説明

繊維構造物の抗菌防臭・制菌加工方法

【課題】健康的で快適な生活環境や医療分野でのMRSA感染症を予防するための抗菌防臭・制菌剤の機能性を付与された繊維製品の技術開発が訴求されている。これら繊維構造物へ安全で省エネルギー、環境及び人体適応性に優れ、医療分野に対応可能な、更に河川排水(B.O.D)負荷軽減にも寄与し、繊維構造物の広い用途開拓をする事でありその目的に合致した耐久性のある該構造物への抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させるものである。
【解決手段】親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び親水性の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を含浸させた後、該繊維構造物を30℃〜90℃の熱処理を実施する加工工程を有することを特徴とする耐久性のある繊維構造物の抗菌防臭・制菌加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物並び親水性(以下、水系と記す)性を有する天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ繊維構造物に含浸させたのち、熱処理工程を実施することにより繊維構造物に耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させるものである。より具体的には親水置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物並び水系の天然有機系・有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ繊維構造物に含浸させたのち「浴中吸尽法」及び「パッドドライ法」でアルカリ浴に酸結合剤を用いて調液した後、30℃〜90℃の熱処理を付し、該構造物に耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与させ、該繊維構造物の市場を拡大させる、抗菌防臭・制菌加工方法である。
【技術背景】
【0002】
近年、科学技術の発達、向上に伴って繊維構造物への様々な機能を付与された技術が紹介されている。
【0003】
しかし、地球温暖化や健康問題等で機能性を重視しつつも環境に優しく生適合性のある衛生的で健康的・快適な生活環境を訴追するライフスタイルへと消費者ニーズを変化させている。
【0004】
又、1980年頃からMRSA(Methicillin.Resistant.Staphylococus.Aureus)感染症患者が急増している。その対応策として医療用抗菌繊維製品や高齢者社会の到来とともに寝たきり老人・病人などの皮膚の保護や悪臭防止対策として抗菌防臭加工製品が提案されている。
【0005】
これらのことを受けて多くの繊維関連企業並び加工製造業はエネルギーの高騰、産業構造の低開発国への移行で不況化にあるもののこれらの指向を敏感に取り入れ、これらの抗菌防臭加工は差別化製品とMRSA対策としてこれらに適応した加工方法である。
【0006】
すなわち、繊維上での微生物の増殖を抑制して悪臭の発生を防止する、抗菌防臭加工の繊維製品並び医療用抗菌制菌の衣料や寝具類の繊維製品の研究開発や用途拡大に力を注いで繊維不況打開策を模索しているのが現状である。
【0007】
繊維製品を着用すると汗・皮脂・垢など人体の皮膚から代謝老廃物が繊維の表面に付着し汚れて非衛生的になる。汚れが付着した繊維製品は、保温性や通気性が低下し吸湿性が増加する。皮膚常在細菌や外部より付着した微生物(細菌類)は老廃物や汚染物質などの有機化合物を栄養源として増殖してこれを代謝して揮発性の悪臭物質を発生させる。
【0008】
この該構造物での微生物の増殖を抑制し悪臭の発生を防止するのが抗菌防臭加工である。
【0009】
現状の抗菌防臭加工法は、後処理加工法と原糸改良加工法に大別できる。
【0010】
後処理加工法で坑菌性能を付与する加工方法として、スプレー法・浸漬法・パッド法・コーティング法などがあり、一般的には仕上げ工程での最終段階で処理をする。これらの代表的な加工法を次に解説する。
【0011】
反応樹脂を用いて繊維表面に抗菌剤を用いて熱固着させる加工法で、たとえば微粉末キトサンを第四級アンモニウム塩化させた水溶液中に被膜形成(コーティング)する樹脂を混合して130℃〜180℃の高温でパッド・ドライを実施する。
【0012】
繊維表面に抗菌剤を吸着固定化させる加工方法で抗菌剤を水溶液中に浸績させ、乾燥して吸着固定を実施する。
【0013】
有機シリコーン系第四級アンモニウム塩のトリメトキシル基と繊維表面の水酸基との間で、脱アルコール反応を実施して抗菌剤を繊維表面に固着化させる加工法である。この加工法と反応システムの概要を説明する。有機シリコーン系第四級アンモニウム塩を浸漬法やパッド法を用いて繊維表面に被膜化を実施する。この段階で抗菌剤分子が水に微分散してトリメトキシル基が分解して、80℃〜120℃で乾燥する行程で繊維表面の水酸基と酸素原子が、脱アルコール反応で置換反応を実施すると同時に反応樹脂がクラフト重合して抗菌剤が熱固着する加工方法である。
【0014】
原糸改良加工法(練り込み法)は重合段階・重合終了後・溶融ラインでのポリマーへの混入、紡糸原液中に抗菌剤を練り込む加工方法である。
【0015】
高分子原料と無機の抗菌剤を混合させ、紡糸原液を有機溶剤中に紡糸して蒸熱処理をする加工方法。
【0016】
再生繊維の製造段階において凝固・再生工程で脱銅を制御し繊維内部表面に無機の銅化合物を微分散させ硫化剤で硫化銅を含有させ抗菌効果を得る加工方法。
【0017】
これらの抗菌防臭加工方法が現況であるが必ずしも消費者及び医療関係者からは満足したとの回答を得られていない。これらのことを次に述べる。
【0018】
後処理加工法は合成樹脂を用いる、熱付着法と有機シリコーン系第四級アンモニウムを用いる熱固着法が主な加工方法であり、パッド・ドライ法を用いる。これらの技術は高温条件化での加工技術であり単に抗菌剤を繊維表面に被膜化するだけで抗菌性能の耐久性は無い。この理由は洗濯時、繊維表面同志の摩擦によって樹脂並び抗菌剤が脱落してしまう。更に高温条件での洗濯や蒸気による消毒などで繊維が80℃以上になると合成樹脂や有機シリコーン系の固着剤は熱により溶解して脱落してしまう。この事は抗菌性能を著しく低下させる要因となる。又有機シリコーン系第四級アンモニウムを用いる加工放法はシロキサン誘導体を用いるため発ガン性の指摘及び排水・廃水における生物化学的酸素要求量(以下、B.O.Dと記す)の負荷を高めるため合成樹脂内に存在するホルムアルデヒド基と共に近い将来使用禁止となる可能性がある。
【0019】
原糸改良加工法については練り込み法を採用するが無機の金属類の抗菌剤を化合織繊維の原料内に混在させる加工法であるが特定の繊維メーカーの加工技術であり金属から発生させるイオンの抗菌効果があるのか疑問であり製品の不当表示をめぐって公正取引委員会より排除命令が相次いでいる。又有機溶剤を用いる事により排水における廃水、B.O.D負荷を高める。
【0020】
本発明に用いる親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物を用いた有機天然繊維材料に形態安定を行うという加工法が提案されている(特許文献1)
【0023】
しかし、この特許文献1の技術では繊維製品の抗菌防臭・制菌加工法とは目的、効果のいずれかにおいても相違するものである。
【特許文献1】特許3415576号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
すなわち本発明の目的は、繊維構造物に親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌・制菌剤を共存させ該構造物を含浸させたのち、30℃〜90℃の熱処理を付すことによって安全性で熱による作業環境の悪化を防ぎ耐久性のある抗菌防具・制菌性能を付与し品質向上並び省エネルギー化による製造コスト低減させに排水(B.O.D)負荷低減による環境負荷軽減を図ることを目的(課題)とする。
【0025】
更にアミノ基(NH基)・アルコール性水酸基(OH基)・スルフォン酸基(SH基)・カルボキシル基(COOH基)など末端基に(H)部位を有する繊維構造物に、抗菌防臭・制菌性能を付与し、生体適合性・着用快適性並びMRSA感染症患者を防止するべく医療分野への活用など広い用途開拓を実施することであり、その目的に沿った繊維構造物製品を提供するものである。
【問題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明に係る繊維構造物の抗菌防臭・制菌加工方法は、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ「浴中吸尽法」並び「パッド.ドライ法」を用いる。
【0027】
繊維構造物を、前記化合物を共存させた水溶液に含浸させた後30℃〜90℃で熱処理することを特徴とするものである。
【0028】
本発明において親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物としては、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が好ましく使用される。
【化2】

【0029】
上記式(1)中、Xは塩素・フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基・カルボキシル基・水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基・アリールオキシ基・アリールメルカプト基・アルキルアミノ基・アルコキシ基・アルキルチオ基・トリアジニルアミノ基・トリアジニルオキシ基・トリアジニルチオ基・またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基・カルボキシル基・水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
【0030】
また本発明において用いる多価アミノ化合物は繭・毛羽・生糸から得られる分子量20,000以下の低分子水溶性の加水分解シルクを用いる。
【0031】
更に本発明において用いる、抗菌防臭・制菌剤としては水系の天然有機系あるいは有機系の(H)ハロゲン部位を有する剤を用いる。
【0032】
「浴中吸尽法」は昇温熱処理を用いて浴液温度30℃〜90℃までの加工を実施する。加工機として液流染色機・ウインス染色機・ジッカー染色機並びワッシャー染色機などがあり反応染色を実施する場合とよく似た条件で加工することが出来る。30℃〜60℃までの20分間〜30分間かけて徐々に昇温、60℃〜90℃の処理温度の時間は30分間〜60分間が好ましい。徐々にとは、急激かつ均一に昇温すると親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物が加水分解や凝集を引き起こしたり多価アミノ化合物並び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌・制菌加工剤が重合結合を実施して繊維製品への(H)ハロゲン部位に有効に共有結合を実施しない。より具体的には昇温温度は1.5℃/分以下である事が好ましい。
【0033】
「パッド.ドライ法」は連続乾熱処理温度を60℃〜90℃として繊維製品を実質的に乾燥するまでの熱処理を用いる。加工機としてシリンダー乾燥機・シュリンク乾燥機並びテンター乾燥機などがある。60℃〜90℃に乾燥機内並びシリンダーの温度を設定して3分間〜20分間かけて実質的に乾燥するまでの処理をすれば良い。
【0034】
「浴中吸尽法」並び「パッド.ドライ法」を用いて前記の物質を均一に共有結合させる目的において酸結合剤として苛性ソーダ−・炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウムから選ばれた少なくとも一種を添加してPh8.0〜13.0の範囲のアルカリ浴に調液することが好ましい。これらのことにより薬剤使用量の削減と省エネルギー並びの排水のB.O.D削減を達成し、経済性・作業環境の改善並び環境適応性を著しく改善する事が出来る。
【0035】
また本発明に用いる繊維構造物は分子中にアミノ基(NH基)・アルコール性水酸基(OH基)・スルフォン酸基(SH基)・カルボキシル基(COOH基)など親水性の(H)ハロゲン部位を有した置換基をそなえていることが必須条件であり、絹・ウール・綿・麻などの天然有機素材、レーヨン・キュプラなどの再生繊維、ナイロン等があげられる。更に皮革も考えられる。
【0037】
前記の多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌・制菌剤は共有結合・イオン結合して繊維構造物の(H)ハロゲン部位にクロルトリアジン環を構成して被膜化・耐久性のある抗菌防臭・制菌制を付与できると考えられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の製造方法によって得られる、繊維製品の抗菌防臭・制菌加工方法は今後環境問題や健康問題で使用禁止が予想される合成樹脂や有機シリコーン系第四級アンモニウム塩を用いる化工方法と比較して合成樹脂、有機溶剤やホルマリン等の有害な薬剤を使用することなく安全で生体適合性及び環境適合性に優れた安価な加工薬剤であること、合成樹脂加工による莫大なエネルギーを使用することなく、省エネルギーを達成し二酸化炭素や窒素酸化物の削減にも寄与し熱による作業環境の悪化を防ぐ点にありこれらのことから新規の設備を設置することなく遊休設備を活用できるなど優れた経済性のもとで従来は規制・制約が多かった衣料分野のみならず、寝装用品・医療分野にまで繊維製品の用途を広く拡大できる、抗菌防臭・制菌加工方法である。
【0039】
具体的には、カジュアル衣料・ユニホームなどの一般衣料、枕・布団・シーツなどの寝装分野、ドクターコート・ナースコート・介護用エプロンなどの医療分野、靴下・ショーツ・ランジェリー・ファンデーションなどの下着用途・皮革製品などに使用できる。
【0040】
このように、本発明の繊維構造物の抗菌防臭・制菌加工方法は技術的価値・実用的価値が高く、なおかつ近年の健康問題やエネルギー削減における地球規模の環境問題にも対応でき、製造過程で発生する窒素酸化物COの削減、排水におけるB.O.Dの負荷削減にも寄与するなど、構造不況下にある繊維産業・加工業界に大いに貢献する事ができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明において望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
【0042】
本発明の繊維構造物の抗菌防臭・制菌加工方法は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物。多価アミノ化合物・水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ、繊維製品に含浸させた後、該構造物を30℃〜90℃で熱処理を実施する「浴中吸尽法」あるいは30℃〜90℃の乾熱の中で実質的に乾燥するまでの熱処理を実施する「パッド.ドライ法」の処理工程を有するものである。
【0043】
本発明は該構造物に耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与するにあたり、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物に30℃〜90℃の熱処理を行うものである。
【0044】
ここで繊維構造物にアミノ基(NH基)・アルコール性水酸基(OH基)・スルフォン酸基(SH基)・カルボキシル基(COOH基)など(H)ハロゲン部位の末端基を有している事が必須条件であり多価アミノ化合物のアミノ末端基・水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤も前記同様の親水性のNH基、OH基、SH基、COOH基などの末端基(H)ハロゲン部位を持っている事が条件である。
【0045】
含浸とは該構造物に親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び水系の天然有機系・有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させた水溶液を含ませることをいう。含浸させる手段は浸漬・スプレー・シャワーなどの適宣の方法によって行う事ができる。その水溶液が含浸されている状態で該構造物を30℃〜90℃での熱処理に付すものである。
【0046】
本発明の製造方法・反応形態を説明する。
【0047】
該構造物の耐久性ある抗菌防臭・制菌性の製造方法は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ酸結合剤を用いてPh8.0〜13.0のアルカリ浴に調液する。その後含浸させ30℃〜90℃の熱処理を付す。
【0048】
反応形態を説明する。親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物はアルカリ浴では30℃〜60℃の熱処理で多価アミノ化合物及び天然有機系、有機系の抗菌防臭、性菌剤の(H)ハロゲン部位と共有結合してモノクロトリアジン環として水溶液中に存在するか、あるいは該構造物の(H)ハロゲン部位と置換反応して被膜化する。その後60℃〜90℃の熱処理として親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の残された部位が該構造物・多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌剤の(H)ハロゲン部位と共有結合・イオン結合してクロルトリアジン環を構成して該構造物に立体的な網目構造的な共有・架橋結合を構成する。この架橋・共有結合・イオン結合によって耐久性のある抗菌防臭・制菌性の付与が実現できる。
【0049】
熱処理を急激な昇温を実施したり高温条件下で処理を実施すると、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物は加水分解や凝集を引き起こし、平面的な構造で被膜化するので好ましくない。また、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の重量比の50%以下に、多価アミノ化合物及び水系の天然有機系あるいは有機系抗菌剤の合計の重量をすることが好ましい。この理由は、多価アミノ化合物並び水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤の化合物が重合結合を実施して、クロルトリアジン環として水溶液中に存在して該構造物に有効的なあるいは充分な被膜化を実施しない。
【0050】
多価アミノ化合物を共存させる理由は、京都府織物.機械金属振興センターの研究・報告によりこの化合物は吸放湿性・防臭効果・抗菌化作用を保持しているとされて公知である。
【0051】
このような理由により更なる該構造物への耐久性のある抗菌防臭あるいは抗菌防臭、制菌効果向上には吸放湿性・抗酸化作用が大きく寄与することを見出したことによる。
【0052】
本発明で用いることができる親水性置換基を有するのジハロゲノトリアジン系化合物は、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が付与されていることを特徴とする。
【0053】
【化3】

【0054】
上記式(1)中、Xは塩素・フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基・カルボキシル基・水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基・アリールオキシ基・アリールメルカプト基・アルキルアミノ基・アルコキシ基・アルキルチオ基・トリアジニルアミノ基・トリアジニルオキシ基・トリアジニルチオ基・またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基・カルボキシル基・水酸基及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
【0055】
前記一般式(1)で表される繊維材料の改質薬剤をより具体的に説明すると、トリハロゲノ−S−トリアジン、好ましくは塩化シアヌルを主原料として用い、カルボキシル基・水酸基・チオール基・アミノ基・スルホン基・スルホン酸基等水溶性あるいは親水性置換基を有するアニリン類・フェノール類・チオフェノール類・ナフチルアミン類・ナフトール類・アミノ酸類・トリアジン類等の単体あるいは混合物を塩化シアヌル1モルに対して1モルを酸結合剤に共存させ中性ないし弱アルカリ性で縮合させるかあるいは塩化シアヌルを重炭酸ソーダ・炭酸ソーダ・苛性ソーダ・苛性カリ・水酸化マグネシウム等を用いてアルカリ性で加水分解させることによって得られる。これらの化合物は純粋である必要はなく、前記2種以上の混合物と塩化シアヌルを反応させたものであってもよいし、純粋に作られたものをあとから混合して多成分系として使用することが好ましい場合もある。
【0056】
本発明の加工薬剤ジハロゲノトリアジン類はドイツ公開特許第2357252号公報、あるいはアメリカ特許第5601971号明細書等に記載があるように公知の合成法に準じて合成することができるがその概要は次の通りである。
【0057】
すなわち、例えば塩化シアヌル1.00モルを5℃以下の氷水の中へ仕込み、次いで例えばm−スルファニル酸1.02モルと炭酸ソーダ約1モルをよく撹拌しながら徐々に仕込む。m−スルファニル酸と炭酸ソーダの仕込みはPH=7±1で約3時間を要して5〜10℃で仕込み、高速液体クロマトグラフィー(HPLO)によって分析し、塩化シアヌルがほぼ消滅すれば、更に1時間保温撹拌して反応を完結させる。この間PHは6〜8に維持し、HPLCによって組成を分析し、モノスルフアニル体が90%以上となれば反応を終了する。反応後微量の不溶物を濾過して除き、最終的にはPHは7に調整する。このようにして2.6−ジクロル−4−(3−スルフォアニリノ)−S−トリアジンNa塩水溶液が高収率で得られる。この化合物は冷蔵庫内で5℃以下保管すれば約1ヶ月間は安定である。
【0058】
親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物は、具体的には次のような化合物の単体あるいは混合物を例として挙げることができる。
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−スルフォアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2,5−ジスルフォホアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3,5−ジスルフォアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(3−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(2−カルボキシアリニノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(β−カルボキシエチルアミノ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−ウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−チオウレイド−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェノキシ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−(4−カルボキシフェニルチオ)−S−トリアジ
2,6−ジクロル−4−(3−スルフォフェルニチオ)−S−トリアジン
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンLi塩
2,6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンMg塩
2,6−ジクロル−4−チオ−S−トリアジンNa塩
【0059】
親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン類は、この他にも数多くの有効な化合物が考えられるのであって、本発明はこれらの具体例に制約されるものではなく、親水性置換基を有する化合物であることと、活性ハロゲン原子またはそれに類する反応性基を2個以上有することがポイントである。
【0060】
本発明において、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物のクロルトリアジン環を共有結合を実施させるために用いる多価アミノ化合物は繭、毛羽、生糸から得られる分子量20000以下の低分子、水溶性の加水分解シルクは以下の様にして得られる。
【0061】
水溶性加水分解シルクとなる繭・毛羽・生糸を洗濯槽内へ投入して常温で約1時間洗濯を実施して不純物を除去する。洗浄した原料を遠心の脱水機を用いて充分脱水する。
水溶液中に原料を投入して重炭酸ソーダーを用いて100℃まで昇温煮沸し、その時間を120分持続し、再度遠心脱水機を用いてセリシンとフィビィロインに分離する。セリシンを有している水溶液は酵素分解槽内へ投入、アルカラーゼ・セルラーゼ等の酵素を用いて約60℃までの温度で300分間精練を実施する、分離されたフィビィロインも同様の精練を実施するセリシンを有している水溶液を真空濃縮機に投入してリンゴ酸・クエン酸等を用いて濃縮工程を数回繰り返してゼムライト等を使用して濾過をしてその後300℃まで昇温したスプレードライ機内で噴射してパウダー化を行う。遠心脱水機並び濾過して残留したフィビィロインは酵素精練並び高アルカリ下において再三、再四フィビィロインを分解して同様に濃縮工程をセリシン水溶液と同様のスプレードライを実施する。
【0062】
この様にして得られた加水分解シルクの分子量を京都府.織物機械金属振興センターにて評価の結果、低分子の加水分解シルク(セリシンパウダー)は分子量10000、加水分解シルク(シルクパウダー)は分子量1000という結果となり水溶性の加水分解シルクを得た。これらの多価アミノ化合物は親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物と加工浴内において酸結合剤を用いることによりクロルトリアジン環を形成し立体的な網目反応構造的に繊維構造物に被膜化する。
【0063】
本発明において繊維構造物に耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与・向上させるために用いることが出来る水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤は物質中にNH基・OH基・SH基・COOH基などの少なくとも一種以上の(H)ハロゲン部位を基えた親水性の置換基を有することが必須条件である化合物をいう。
【0064】
天然有機系の抗菌防臭・制菌剤として以下の様な化合物が考えられる。
【0065】
「糖質」
キトサン・ヒドロキシプロピルキトサン・架橋キトサン・キトサン有機酸塩・キトサ微粉末(ポリグルコサミン)・キチン繊維・キチン
【0066】
「トロポロン」
ヒノキチオール・ヒノキ油エマルジョン・ヒバ油・サイクロデキストリン類とヒバ油の混合物・ヒバ油エマルジョン
【0067】
「エステル」
ウンデシレン酸モノグリセライド・脂肪酸グリセライド・脂肪酸エステル酸・(プロピレングリコールモノエステル)・グリセリン脂肪酸エステル・メトキシポリエチレングリコールメタクリレート−アルキルリン酸エステル・燐酸エステル系ポリマー
【0068】
「テルペン」
1,8−シネオール(ヨモギ、ユーカリ、レモンユーカリ)
【0069】
「カルボン酸」
ポリメタクリル酸・ポリアクリル酸塩と硫酸亜鉛の配合物・ナリジクス酸:1−エチル−1,4−ジハイドロ−7−メチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸
【0070】
「アルコール」
多価アルコール系化合物
【0071】
有機系の抗菌・制菌剤として以下の様な化合物が考えられる。
【0072】
「ビグアナイド」
グルコン酸クロルヘキシジン・グルコン酸クロルヘキシジン.ピロクトオラミン・ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩・クロロヘキシジンと2アクリルアミド2メチルプロパンスルホン酸の共重合物・ポリヘキサメチレンビグアナイドハイドロクロライドと酸化亜鉛の配合物
【0073】
「カーバニリド」
トリクロカルバン・トリクロカルバンとナリジクス酸の配合物・フェニルアミド系化合物
【0074】
「両性界面活性剤」
アルキルアミドプロピルジメチルβ−ヒドロキシエチルアンモニウム塩.ポリ[オキシエキレン(ジメチルアミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレンクロライド]
【0075】
「アミノ酸」
N−アルキロイル−L−グルミタミン酸銀銅
【0076】
「スルファミド」
N,N−ジメチル−N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N”−フェニルスルファミド
【0077】
「ピリジン」
ビス(2−ピリジンチオール−ジンク−1−オキシド)亜鉛・ビス(1−ヒドロキシ−2(1)ピリジオチオネート(O,S)−T−4)亜鉛
【0078】
「ニトリル」
2,4,5,6テトラクロロイソフタロニトリル
【0079】
「ポリマー」
アクリロニトリル.アクリル酸共重合物銅架橋物・アクリロニトリル硫化銅複合体・アクリルニトリルアミドージアリルアミン塩酸塩共重合体・メタクリレート共重合物
【0080】
「その他」
硫黄フルアブル・ラクトフェリン・ラクトフェリシン・ジクロロメタン
【0081】
本発明において繊維構造物は前記した通り分子構造中にアミノ基・アルコール性水酸基・スルフォン酸基・カルボキシル基を有する天然繊維・再生繊維並びのナイロン繊維などが好ましく使用されるが、本発明の効果が阻害されない範囲であれば他のポリエチレンテレフタレート・ポリトリメチレンテレフタレート・ポリプチレンテレフタレート等のポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維の混合繊維構造物も使用できる。
【0082】
これらの繊維構造物は、綿や糸の段階・織編物にした後の製品・不織布あるいは工程途中の半製品など加工することも可能である。これらは親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物と反応することができる反応基を有する繊維からなる繊維構造物である。
【0083】
本発明において前記薬剤並び化合物を共存させ、繊維構造物の耐久性ある抗菌防臭・制菌性能を付与・向上させる製造方法には「浴中吸尽法」と「パッド.ドライ法」があるが好ましくは「浴中吸尽法」を用いる。しかし、近年の石油エネルギーなどの原燃料高騰によるコスト合理化には「パッド.ドライ法」の優位性も排除する事はできない。
【0084】
本発明において前記薬剤並び化合物を用いて繊維構造物を加工する製造方法「浴中吸尽法」の概要を説明する。昇温熱処理を用いる加工機は液流染色機・ウインス染色機・ジッカー染色機・ワッシャ−染色機などを用いる。繊維構造物の総重量に対し、浴比1:60以下になる様、加工機内の槽内の水量を調液する。この時の水の温度は30℃以下の条件が好ましい。親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物を薬剤純度100%換算で0.01%〜5%(o.m.s)・多価アミノ化合物0.01%〜5%(o.m.s)及び水系の天然有機系あるいは有機系抗菌剤を0.01%〜5%(o.m.s)共存させ仕込む。苛性ソーダ−・炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選ばれた少なくとも一種の酸結合剤を用いてPh8.0〜13.0のアルカリ浴に調液する。この時点で注意しなければならないのは多価アミノ化合物と水系の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤のトータルの総重量は親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の純分の50%以下の条件を採用する事を必須とする。親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物の反応部位(CL基)はアルカリ浴中では30℃〜50℃で第一次の電子置換反応を実施、60℃〜90℃で第二次の電子置換反応を実施するため多価アミノ化合物の(H)ハロゲン部位及び水系の天然有機系・有機系の抗菌防臭・制菌剤の(H)ハロゲン部位が重合結合を実施して該構造物に有効に被膜化、共有結合を実施しない。調液が終了すれば、約5分間〜10分間、30℃以下の水温を条件として加工機を稼動し該構造物に均一に含浸を実施する。その後0.1℃〜2℃/分の条件で60℃まで20分間〜30分間かけて徐々に昇温熱処理を実施し、60℃〜90℃の熱処理時間は30分間〜90分間として熱処理加工を実施する。その後、排水し水洗を実施して、脱水した後、乾燥を実施して該構造物に立体的な網目構造状の共有結合、イオン結合を実施して耐久性のある抗菌防臭・制菌加工製品が得られる。
【0085】
また本発明においては30℃〜90℃の「昇温熱処理」並び「連続熱処理が」含まれていれば良い。
【0086】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
【0087】
実施例1
液流染色機内へ水720g、2.6ジクロル−4−(3−スルフォアリノ)−s−トリアジン10%水溶液6kg、加水分解シルク200g、水溶性のキトサン100g、炭酸ナトリウム2k880gを投入しphを10.9としてアルカリ浴に調液した後常温でよく撹拌、混合した加工液の中に、綿100%ポプリン生地、重量30kgを投入し含浸・浸漬した後、5分間稼動運動を実施した。その後1.5℃/分で60℃まで20分間かけて昇温熱処理を実施し80℃までの昇温を15分かけて継続処理をした後80℃の加工浴温度を30分間保持・稼動した。その後、排水を実施し約40℃で酢酸を用いて約10分間酸中和を実施後、排水して再度水洗を実施した。その後、シリンダー乾燥機で乾燥した、得られた布帛について、JISL−1902菌液吸収法(抗菌防臭性能評価)並び平衡水分率を(財)日本化学繊維検査協会で評価した結果を表1に示す。
【0088】
比較例1
実施例1で使用したものと同じ布帛を、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物を用いて、実施例1と同様の加工を実施した。このようにして得られた布帛を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0089】
実施例2
ウインス染色機内へ水1600kg、2.6−ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液16kg、加水分解シルク800g、N−アルキロイル−L−グルタミン酸銀銅400g、炭酸ナトリウム4k800gを投入してphを11.5としてアルカリ浴に調液した後、綿100%スムース編地、生地重量80kgを投入し実施例1と同様の加工を実施した後、シュリンク乾燥機で乾燥して得られた編地についてJISL−1902菌液吸収法(抗菌防臭性能評価)、アンモニア酢酸ガスの除去性能評価試験並び平衡水分率の評価を(財)日本化学繊維検査協会大阪分析センターで評価した結果を表2に示す。
【0090】
比較例2
実施例2で使用した同じ編地を、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン化合物を用いて実施例2と同様の加工を実施した。このようにして得られて編地を実施例2と同様に測定した結果を表2に示す。
【0091】
実施例3
液流染色機内へ水1600kg、2.6ジクロル−4−オキシ−S−トリアジンNa塩10%水溶液16kg、加水分解シルク500g、ナリジクス酸.1−エチル−1.4−ジハイドロ.7.メチル.4オキソ.1.8−ナフチリジン.3.カルボン酸300g、炭酸ナトリウム6k400gを投入してphを11.4としてアルカリ浴に調液した後、綿100%1/2ギャバ地生地重量100kgを投入し、実施例1と同様の加工を実施した後、テンター乾燥機で乾燥して得られた布帛を京都府織物・機械金属振興センター並びユニチカ.メンテック(株)で評価した結果、平衡水分率並び遊離ホルムアルデヒド試験JIS1041.5.3.1(2) (b)2.4−ペンタジオン法(B法)で試験した結果を表3に示す、
【0092】
比較例3
実施例3で使用した同じ布帛を、親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物を用いて実施例3と同様の加工を実施した。このようにして得られた布帛を実施例3と同様に測定した結果を表3に示す。
【0093】
【表1】


【0094】
【表2】



【0095】
【表3】



【0096】
抗菌防臭性能評価においては(社)繊維評価技術協議会における抗菌性の基準値は静菌活性値が2.2以上で抗菌防臭効果が認められるが実施例1.の(原品)3.6、(10回洗濯後)3.7と耐久性のある抗菌防臭効果を実証した。更に表1−2.アンモニウムガス除去性能、表1−3.酢酸ガスの除去せいのうも実証し、平衡水分率も比較例より吸放湿率差も同様となり、本発明の優位性を実証した。
【0097】
前記同様の結果となり本発明の優位性を実証した。
【0098】
(社)繊維評価技術協議会における制菌性の基準値は殺菌活性値が0.0以上である。前記の制菌評価における殺菌活性値はすべてこの基準をクリアしている。表3−2の結果より、黄色ぶどう球菌の殺菌活性値は原品(未洗濯)で1.8以上、(洗濯10回後)1.7でありいずれにおいても耐久性のある制菌性能が認められた。肺炎桿菌の殺菌活性値は原品(未洗濯)で1.2、(洗濯10回後)でも1.3以上であり、いずれにおいても耐久性のある制菌性能が認められた。平衡水分率も前記同様であり、遊離ホルムアルデヒド試験JIS L1041 5.3.1(2)(b)2.4ペンタジオン(B法)では遊離ホルムアルデヒド検出せずの結果で、乳幼児にも使用できる結果となり、本発明の優位性を実証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性の置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物及び水溶性の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ繊維構造物を含浸させたのち「浴中吸尽法」並び「パッドドライ法」を用いて熱処理を付して繊維構造物へ耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項2】
親水性の置換基を有する前記ジハロゲノトリアジン化合物が、下記一般式(1)で表される2,6−ジハロゲノ−4−Y−1,3,5−トリアジン誘導体が付与されていることを特徴とする、請求項1記載の繊維構造物へ耐久性ある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【化1】

上記式[化1]中、Xは塩素、フッ素及び臭素からなる群より選ばれるハロゲン基、Yはスルホン基、カルボキシル基、水酸基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基により置換されたアリールアミノ基・アリールオキシ基・アリールメルカプト基・アルキルアミノ基・アルコキシ基・アルキルチオ基・トリアジニルアミノ基・トリアジニルオキシ基・トリアジニルチオ基・またはトリアジニルアミノスチルベンアミノ基であり、前記スルホン基・カルボキシル基・水酸基・及びチオール基はその水素原子がアルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子で置換されてもよい。
【請求項3】
繊維構造物がアミノ基・アルコール性水酸基・スルフォン酸基・カルボキシル基等末端基に(H)部位を有していることを特徴とする、耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項4】
多価アミノ化合物が繭・毛羽・生糸から得られる、分子量20,000以下の水溶性の構造物を請求項1〜3に含浸させることを特徴とする、耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項5】
天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤が親水性のNH基・OH基・SH基・COOH基を有している構造物を請求項1〜3に含浸させることを特徴とする、耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項6】
請求項1〜5の水溶液の中へ親水性置換基を有するジハロゲノトリアジン系化合物・多価アミノ化合物・親水性の天然有機系あるいは有機系の抗菌防臭・制菌剤を共存させ30℃〜90℃で熱処理する加工法を有することを特徴とする、耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項7】
請求項1〜6の水溶液中に苛性ソーダ・炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムを少なくとも一種用いてPh8.0〜13.0のアルカリ浴に調液することを特徴とする、耐久性のある抗菌防臭・制菌性能を付与、向上させる加工方法。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のいずれかの繊維構造物からなるスーツ・ジャケット・ボトムなどの衣料類・カジュアル衣料・シャツ類・ユニホーム類・トレッキング類・調理師衣料などのアウター類。
【請求項9】
請求項1〜7に記載のいずれかの繊維構造物からなる靴下・ショーツ・ガードル・スリップ・ブラジャー・パンティ・その他のランジェリー・ファンデーション等の下着類。
【請求項10】
請求項1〜7に記載のいずれかの繊維構造物からなるドクターコート・ナースコート・介護用エプロン・介護用シーツ・不織布・オムツ類・生理用品などの医療用品類。
【請求項11】
請求項1〜7に記載のいずれかの繊維構造物からなる布団・枕・毛布・シーツ・寝袋寝具用カバー類などの寝具類。
【請求項12】
請求項1〜7に記載のいずれかの繊維構造物からなる鞄・靴・手袋・シート類・テーブルクロス類・カーシート類・椅子・カーペット・カーテン・壁紙・クロスなどの工業製品類。
【請求項13】
請求項1〜7に記載のいずれかの皮革繊維構造物からなる鞄・靴・バック・シート・カーシート類。

【公開番号】特開2010−90523(P2010−90523A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287149(P2008−287149)
【出願日】平成20年10月11日(2008.10.11)
【出願人】(596037895)株式会社金久 (8)
【出願人】(506339051)環宇企業集團有限公司 (3)
【Fターム(参考)】