説明

繊維構造物

【課題】本発明は静電気の除去等に使用可能な導電性繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、その表面に導電性ポリマーからなる樹脂層が形成され、コピー機やプリンターなどの転写ドラムやコピー用紙などに帯電した静電気の除去に好適に使用できる導電性繊維構造物に関するものである。
【解決手段】本発明の要旨は、芯部に導電性微粒子が含有された芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマーが被覆された繊維構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い導電性能を有する繊維構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は静電気の除去等に使用可能な導電性繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、その表面に導電性ポリマーからなる樹脂層が形成され、コピー機やプリンターなどの転写ドラムやコピー用紙などに帯電した静電気の除去に好適に使用できる導電性繊維構造物に関するものである。
【0003】
従来より、画像形成装置においては、トナーを用紙に転写した後、感光体をクリーニングする際にトナーを除電するため、或いは用紙の搬送路において用紙の除電のために除電ブラシや除電布などが用いられてきた。
【0004】
特許文献1には、画像形成装置の給紙トレーに設置される除電用織物が開示されているが、トナーやインクが固着された紙が高速に排出される画像形成装置などを長期間使用した場合、織物を構成する導電性繊維の金属皮膜が脱落し、織物の表面抵抗率が上昇してしまうために、除電効果が極端に低減してしまうという問題があった。
【0005】
さらに、特許文献2には、繊維表面に金属皮膜を形成した有機繊維用いた布帛に、金属皮膜の脱落を防止する目的で樹脂加工を施す導電性布帛が記載されているが、対磨耗性能は向上するものの、樹脂により導電性が阻害されるため、高い導電性能を発揮できないものであった。
【特許文献1】特開平11−35181号公報
【特許文献2】特開2004−308042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は静電気の除去等に使用可能な導電性繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、その表面に導電性ポリマーからなる樹脂層が形成され、コピー機やプリンターなどの転写ドラムやコピー用紙などに帯電した静電気の除去に好適に使用できる導電性繊維構造物に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、芯部に導電性微粒子が含有された芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマーが被覆された繊維構造物にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は静電気の除去等に使用可能な導電性繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、その表面に導電性ポリマーからなる樹脂層が形成され、コピー機やプリンターなどの転写ドラムやコピー用紙などに帯電した静電気の除去に好適に使用できる導電性繊維構造物に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の繊維構造物は、芯部に導電性微粒子が含有された芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマーが被覆された繊維構造物であることが必要である。
【0010】
繊維構造物を構成する有機合成繊維は、芯部に導電性微粒子が含有された芯鞘型導電性有機合成短繊維であることが必要である。芯部に導電性微粒子を含有した芯鞘型導電性繊維でないと、コピー機やプリンターなどの転写ドラムやコピー用紙などに帯電した静電気の除去に用いた場合には、使用と共に摩耗により導電性微粒子が脱落し、徐々に性能が低下することとなり、芯鞘型の導電性繊維で芯部に導電性が含有されていることが必要である。
【0011】
また、本発明では、繊維構造物に導電性ポリマーが被覆されてなることが必要である。本発明の繊維構造物は、導電性ポリマーで被覆されていないと高い導電性能を発揮できない。
【0012】
この原理は詳細にはわかっていないが、短繊維の断面に露出している導電性微粒子と導電性ポリマーが接触することによるものか、短繊維中の導電性微粒子により繊維側面で起こると考えられている絶縁破壊と関係があるものと考えられる。
【0013】
本発明でいう繊維構造物とは、織物、編物および不織布などをいい、綿、ウールなどの天然繊維との混紡、交撚、交織、交編などを施したものも含まれるが、これらに限られるものではないが、本発明では、不織布が好適に用いられる。
【0014】
芯部に導電性微粒子を含有した芯鞘型導電有機合成短繊維としては、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維を主成分としたものが挙げられる。
【0015】
アクリル繊維を用いる場合には、鞘成分及び芯成分の紡糸原液に使用されるアクリル系ポリマーは特に限定されず、従来のアクリル繊維の製造に用いられる一般的なアクリル系ポリマーを用いることができる。特に、例えば以下で説明する紡糸後の熱収縮処理工程において容易に熱収縮を発現できるものを用いることが好ましい。アクリル系ポリマーの組成と緩和による熱収縮の関係については、共重合させるモノマー成分にも左右されるが、一般的に重合体中のアクリルニトリル含有量の少ないほど熱収縮性は高くなる傾向にある。従って、紡糸原液中のアクリロニトリル含有量は、その後の熱収縮処理工程にて所定の熱収縮率が得られるように適切に調整することが望ましい。
【0016】
特に、鞘成分の紡糸原液については、アクリル系ポリマーのアクリロニトリル含有量が50質量%以上98質量%以下、特に50質量%以上95質量%以下であることが好適である。アクリロニトリルの含有量が50質量%未満では、染色鮮明性、発色性などのアクリル繊維としての本来の特徴が効果的に発現せず、また熱特性をはじめとする他の物性も低下する傾向となる。また、アクリロニトリルの溶解性や染色性等を向上させるためには、アクリロニトリルにアクリル酸エステル等の不飽和単量体を共重合させることが好ましい。
【0017】
従って、鞘部におけるアクリロニトリル含有量は、不飽和単量体を共重合させることによって、上記のように50質量%以上98質量%以下となるようにすることが好ましく、それにより、アクリル繊維が本来有する特性を失うことなく、優れた染色鮮明性、発色性、熱特性を具備させることができる。なお、本実施形態において、アクリロニトリルと共重合させる不飽和単量体は特に限定されないが、例えばアクリル酸およびアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを用いることができる。
【0018】
またこの場合、芯鞘構造を有するアクリル繊維を、芯部が鞘部へ露出するのを抑制して、紡糸時に糸切れを生じさせずに安定して製造するためには、鞘成分の紡糸原液の粘度を調節することが極めて重要であり、鞘成分の紡糸原液の粘度が300poise以下、好ましくは150poise以下となるように、鞘成分の紡糸原液における固形分濃度や温度を制御することが大事である。
【0019】
一方、芯成分の紡糸原液については、上記のように導電性微粒子(A)とアクリル系ポリマー(B)との質量比(A)/(B)を4以上20以下となるように混合して有機溶剤に溶解する。上記質量比(A)/(B)の値を4以上とすることにより、導電性アクリル繊維を製造した際にそのアクリル繊維中に導電性微粒子の連続相が安定して形成されて十分な導電性能を具備させることができる。一方、上記質量比(A)/(B)が20を超えると、紡糸を行うときに導電性微粒子の分散性の低下や、紡糸原液の曳糸性の低下が生じてしまい、凝固糸引取時あるいは延伸時に芯部の切断が発生しやすくなる。このため、紡糸性が低下するとともにアクリル繊維の導電性能を低下させてしまう。
【0020】
また、上記鞘成分及び芯成分の各紡糸原液を調整するための有機溶剤については、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤を好ましく用いることができるが、特に限定されるものではなく、アクリル繊維の紡糸で一般的に用いられるその他の有機溶剤を選択することもできる。
【0021】
上記鞘成分及び芯成分の各紡糸原液の固形分濃度、及び温度についても特に制限はないが、固形分濃度が低過ぎると紡糸後の繊維中にボイドが発生しやすく、結果として繊維物性を低下、導電性能の低下につながる恐れがある。従って、鞘成分の紡糸原液中の固形分濃度は5質量%以上であることが好ましく、また芯成分の紡糸原液中の固形分濃度は30質量%以上であることが好ましい。
【0022】
次に、上記のように準備した鞘成分及び芯成分の紡糸原液を、芯鞘型紡糸口金を用いてアクリル繊維中に含まれる導電性微粒子の含有量が5質量%以上15質量%以下となるように鞘部と芯部の比率を設定して湿式紡糸法により紡糸を行う。紡糸を行う際に、繊維中に含まれる導電性微粒子の含有量が5質量%未満の場合には、導電性微粒子が少ない為にアクリル繊維に対して優れた導電性能を付与することができない。一方、導電性微粒子の含有量が15質量%を超える場合には、製糸性が低下するという問題が生じる。
【0023】
芯部に用いられる導電性微粒子としては、粉末状での導電率が10-3S/cm以上となる金属酸化物またはカーボンブラックであることが好適である。このような金属酸化物としては、酸化チタンまたは酸化亜鉛を好適に用いることができ、またその他にも、例えば酸化錫、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛で表面を被覆した酸化チタンを用いることができる。さらに導電性を一層高めるために、酸化錫、酸化インジウムに対しては酸化アンチモンを、酸化亜鉛に対しては酸化錫、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ゲルマニウム等を併用することができる。またカーボンブラックとしては、カーボンブラックとしては、導電性カーボンブラック、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックが使用され、二種以上併用することもできる。
【0024】
本発明に用いる導電性ポリマーは、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系ポリマーである。
【0025】
中でも、溶媒への溶解性の点で、いわゆる水溶性導電性ポリマーが本発明では好ましく用いられる。ここで、水溶性導電性ポリマーとは、π共役系ポリマーの骨格または該ポリマー中の窒素原子上に、酸性基、あるいは酸性基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーである。
【0026】
また、本発明においては、水溶性導電性ポリマーの中でも、溶媒への溶解性、導電性、成膜性の点で、スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが好適に用いられる。
【0027】
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
【0028】
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、具体的には、無置換及び置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン及びカルバゾリレンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むπ共役系ポリマーの骨格または該ポリマー中の窒素原子上に、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基、あるいはスルホン酸基及び/またはカルボキシル基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している水溶性導電性ポリマーが挙げられる。この中でも特にチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、イソチアナフテンを含む骨格を有する水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
【0029】
好ましいスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーは、下記式(1)〜(9)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性ポリマーである。
【化1】

【0030】

(式(1)中、R1 、R2 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR1 、R2 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化2】

【0031】
(式(2)中、R3 、R4 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR3 、R4 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化3】

【0032】
(式(3)中、R5 〜R8 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR5 〜R8 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化4】

【0033】
(式(4)中、R9 〜R13は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR9 〜R13のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化5】

【0034】
(式(5)中、R14は、−SO3-、−SO3 H、−R42SO3-、−R42SO3 H、−COOH及び−R42COOHからなる群より選ばれ、ここで、R42は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
【化6】

【0035】
(式(6)中、R52〜R57は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR52 〜R57のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Htは、NR82、S、O、Se及びTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R82は水素及び炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R52〜R57の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R53〜R56を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化7】

【0036】
(式(7)中、R58〜R66は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR58〜R66のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R58及びR59を有するベンゼン環と置換基R61〜R64を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化8】

【0037】
(式(8)中、R67〜R76は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR67〜R76のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R67〜R69を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化9】

【0038】
(式(9)中、R77〜R81は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR77〜R81のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
また、好ましいスルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとして、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートも用いられる。この水溶性導電性ポリマーは、導電性ポリマーの骨格にはスルホン酸基は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸が付与している構造を有している。このポリマーは、3,4−エチレンジオキシチオフェン(バイエル社製 Baytron M)をトルエンスルホン酸鉄(バイエル社製 Baytron C)などの酸化剤で重合することにより製造することが可能である。また、このポリマーは、バイエル社製 Baytron Pとして入手可能である。
【0039】
以上のスルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーのうち、
下記式(10)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20
〜100%含む水溶性導電性ポリマーが更に好ましく用いられる。
【化10】

【0040】
(式(10)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R15〜R32は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R15〜R32のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
ここで、ポリマーの繰り返し単位の総数に対するスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量が50%以上の水溶性導電性ポリマーは、水、含水有機溶媒等の溶媒への溶解性が非常に良好なため、好ましく用いられる。スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量は、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
【0041】
また、芳香環に付加する置換基は、導電性及び溶解性の面からアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等が好ましく、特にアルコキシ基を有する水溶性導電性ポリマーが最も好ましい。これらの組み合わせの中で最も好ましい水溶性導電性ポリマーを下記式(11)に示す。
【化11】

【0042】
(式(11)中、R33は、スルホン酸基、カルボキシル基、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R34は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
本発明における水溶性導電性ポリマーとしては、化学重合または電解重合などの各種合成法によって得られるポリマーを用いることができる。例えば、本発明者らが提案した特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成方法が適用される。すなわち、下記式(12)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーである。
【化12】

【0043】
(式(12)中、R36〜R41は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R36〜R41のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
特に好ましい水溶性導電性ポリマーとしては、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーが用いられる。
【0044】
本発明における水溶性導電性ポリマーに含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。また、本発明における水溶性導電性ポリマーとしては、その質量平均分子量が、GPCのポリエチレングリコール換算で、2000以上、300万以下のものが導電性、成膜性及び膜強度に優れており好ましく用いられ、質量平均分子量3000以上、100万以下のものがより好ましく、5000以上、50万以下のものが最も好ましい。
【0045】
導電性ポリマーはこのままでも使用できるが、公知の方法によって酸によるドーピング処理方法を実施して、外部ドーパントを付与したものを用いることができる。例えば、酸性溶液中に、導電性ポリマーを浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。ドーピング処理に用いる酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などのポリマー酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。これらの無機酸、有機酸、ポリマー酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0046】
溶媒は、導電性ポリマー、さらに、必要に応じて用いられるポリマー化合物、塩基性化合物、界面活性剤、シランカップリング剤及びコロイダルシリカを溶解または分散するものであれば特に限定されない。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、 N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジメチルスルオキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類等;アニリン、N−メチルアニリン等のアニリン類が好ましく用いられる。
【0047】
導電性ポリマーとして水溶性導電性ポリマーを用いる場合には、水溶性導電性ポリマーの溶解性、分散性の点で、溶剤としては、水または含水有機溶剤が好ましく用いられる。
【0048】
本発明の繊維構造物は、芯部に導電性微粒子を含有した芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマー、溶媒を含有する組成物を塗工、乾燥して、導電性ポリマー層を形成することにより製造される。
【0049】
本発明における導電性ポリマーを被覆する方法は、一般の塗工に用いられる方法によって形成される。例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の塗布方法、エアスプレー、エアレススプレー等のスプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等が用いられるが、特に不織布に施す場合は、経済性に点からディップニップ法またはスプレー噴霧法が好ましい。
【0050】
芯部に導電性微粒子を含有した芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマー含有組成物を塗工した後は、常温で放置することもできるが、導電性ポリマー層を加熱処理することもできる。加熱処理により繊維構造物、ポリマー化合物、塩基性化合物と、導電性ポリマーとの架橋反応が更に促進して、耐水性をより短時間で付与でき、また残留する溶媒の量をより低下することができ、導電性がさらに向上するため好ましい。加熱処理温度は、20℃以上、250℃以下が好ましく、特に40℃〜200℃の加熱が好ましい。250℃より高いと導電性ポリマー自体が分解してしまい導電性が著しく低下することがある。
【0051】
以上説明した本発明の繊維構造物にあっては、繊維構造物に、導電性ポリマー、溶媒を含む組成物を塗工して形成された導電性ポリマー層を有しているので、繊維構造物自体の特性を損なうことなく、高い導電性が得られる。
【0052】
なお各評価は以下の方法に従った。
(導電性能評価)
導電性測定機器(三菱化学(株)製 製品名:ハイレスターIP−ICP−HT260(2探針法))を用いて、印加電圧500Vとし、温度23℃、湿度55%の条件下で、繊維構造物の表面抵抗値を測定した。
【実施例】
【0053】
以下、実施例をあげて本発明を説明する。
【0054】
(実施例1)
芯部に導電性微粒子を含有した芯鞘型アクリル導電繊維(三菱レイヨン(株)製 商品名:コアブリッドB 単繊維繊度:3.3dtex、繊維長:51mm、導電性微粒子含有率:7質量%、単繊維抵抗値(ドータイト法)で1〜10Ωcm/1000V)を原料として、カードウェブを製造後、スパンレース法にて目付け100g/mの不織布を製造した。
【0055】
引き続き、導電性樹脂水溶液(ポリアニリンスルホン酸系導電性ポリマー 三菱レイヨン(株)製 商品名:aquaPASS−01X(平均分子量:約10000、体積固有抵抗値:0.1S/cm)5質量%水溶液)を、ディップニップ法によりm当たり100g含浸させた後、100℃で3時間乾燥させた。
【0056】
前記不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値1.1×10Ωであった。
【0057】
(実施例2)
実施例1の不織布を使用し、熱カレンダーロールで0.3mmに厚み方向に圧縮後、導電性樹脂水溶液(実施例1と同じ)をスプレー噴霧法によりm当たり52g含浸させた後、150℃で1時間乾燥させた。
【0058】
作成した不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値8.0×10Ωであった。
【0059】
(実施例3)
実施例1の不織布を使用し、導電性塗料(チオフェン系導電性ポリマー 信越ポリマー(株)製 商品名:セプルシーダ 品番:AS−X03 2.1質量%水・メタノール溶液)を、ディップニップ法によりm当たり447g含浸させた後、100℃で30分間乾燥させた。
【0060】
導電性を測定したところ、表面抵抗値1.3×106Ωであった。
【0061】
(実施例4)
実施例1の不織布の製造方法をニードルパンチ法にて目付け220g/mの不織布を製造した。
【0062】
引き続き、導電樹脂水溶液(実施例1と同じ)をディップニップ法にてm当たり335g含浸させた後、150℃で1時間乾燥させた。
【0063】
前記不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値6.5×104Ωであった。
【0064】
(実施例5)
ナイロン導電繊維を原料として、実施例1の通り不織布及び導電性樹脂水溶液の含浸、乾燥を行った。
【0065】
前記不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値4.0×10Ωであった。
【0066】
(実施例6)
実施例1の芯鞘型アクリル導電繊維を、オープンエンド式、撚り数1m当たり620回で、1/26の紡績糸を得た。前記紡績糸で目付け180g/mの天竺組織の筒編みを製造し、この編地に導電樹脂水溶液(実施例1と同じ)をディップニップ法にてm当たり221g含浸させた後、150℃で1時間乾燥させた。
【0067】
前記不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値2.5×10Ωであった。
【0068】
(比較例1)
実施例1の不織布を熱カレンダーロールで0.3mmに厚み方向に圧縮後、そのまま導電性を測定したところ、表面抵抗値5.6×107Ωであった。
【0069】
(比較例2)
レギュラータイプのアクリル繊維(三菱レイヨン(株)製 ボンネルH815B 単繊維繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)を原料としてカードウェブを製造後、スパンレース法にて目付け100g/mの不織布を製造した。
【0070】
引き続き、導電性樹脂水溶液(実施例1と同じ)をディップニップ法によりm当たり229g含浸させた後、100℃で2時間乾燥させた。
【0071】
前記不織布の導電性を測定したところ、表面抵抗値2.6×106Ωであった。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯部に導電性微粒子が含有された芯鞘型導電有機合成短繊維からなる繊維構造物に、導電性ポリマーが被覆された繊維構造物。
【請求項2】
導電性ポリマーが、下記式(1)〜(9)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する導電性ポリマーである請求項1に記載の繊維構造物。
【化1】

(式(1)中、R1 、R2 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR1 、R2 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化2】

(式(2)中、R3 、R4 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR3 、R4 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化3】

(式(3)中、R5 〜R8 は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR5 〜R8 のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化4】

(式(4)中、R9 〜R13は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR9 〜R13のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【化5】

(式(5)中、R14は、−SO3-、−SO3 H、−R42SO3-、−R42SO3 H、−COOH及び−R42COOHからなる群より選ばれ、ここで、R42は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
【化6】

(式(6)中、R52〜R57は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR52 〜R57のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Htは、NR82、S、O、Se及びTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R82は水素及び炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R52〜R57の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R53〜R56を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化7】

(式(7)中、R58〜R66は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR58〜R66のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R58及びR59を有するベンゼン環と置換基R61〜R64を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化8】

(式(8)中、R67〜R76は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR67〜R76のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R67〜R69を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
【化9】

(式(9)中、R77〜R81は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR77〜R81のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
【請求項3】
スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する導電性ポリマーが、下記式(10)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含む請求項2記載の繊維構造物。
【化10】

(式(10)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R15〜R32は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R15〜R32のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
【請求項4】
スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する導電性ポリマーが、下記式(11)で表されるものである請求項3記載の繊維構造物。
【化11】

(式(11)中、R33は、スルホン酸基、カルボキシル基、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R34は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
【請求項5】
スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する導電性ポリマーが、下記式(12)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた導電性ポリマーである請求項4記載の繊維構造物。
【化12】

(式(12)中、R36〜R41は各々独立に、H、−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O-、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R36〜R41のうち少なくとも一つが−SO3-、−SO3 H、−R35SO3-、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)

【公開番号】特開2009−197366(P2009−197366A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41286(P2008−41286)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】