繊維物質懸濁液からフローテーションによって固体を除去する方法
本発明は、繊維物質懸濁液(S)からフローテーションによって固体、特に異物を除去する方法であって、繊維物質懸濁液(S)をガス(L)と混合させ、少なくとも2つのフローテーション室(1,2,2′,2′′,2′′′,2′′′′)においてフローテーション泡(3,4)を形成し、固体を集めて、フローテーション室から排出する形式の方法に関する。この場合本発明によれば、少なくとも1つのフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′,2′′′′)のフローテーション泡(4)を少なくとも部分的に、少なくとも1つの別のフローテーション室(1)に導入する、特に該別のフローテーション室(1)内に形成されたフローテーション泡(3)に導入する。この方法によって、効果や収益に関する高い要求に対しても、手間もしくはコストを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の方法、すなわち、繊維物質懸濁液からフローテーションによって固体を除去する方法であって、繊維物質懸濁液をガスと混合させ、少なくとも2つのフローテーション室においてフローテーション泡を形成し、固体を集めて、フローテーション室から排出し、さらにこれらの固体を取り除いた繊維物質懸濁液を、貫流物として各フローテーション室から排出する形式の方法に関する。
【0002】
フローテーションによって泡又は浮遊スラッジが形成され、この泡又は浮遊スラッジは、排除すべき物質を含有しかつ一緒に排出する。このような方法の典型的な使用例は、印刷済みの古紙から得られた懸濁液の調製であり、この懸濁液において印刷インキ粒子は既に繊維から解離されているので、これらの印刷インキ粒子はフローテーションによって除去することができる。この場合繊維物質懸濁液においてはしばしば、0.5%〜2%の間、有利には0.8%〜1.2%の間の繊維密度(総量に対する繊維量)は調節される。ここに記載のフローテーション過程は、紙繊維物質と、析出される固体、特に不都合な異物粒子との差異を利用しており、つまりフローテーション過程において繊維物質は、どちらかというとその親水性の性質に基づいて繊維懸濁液内に留まり、これに対して異物粒子は疎水性であり、ゆえに気泡と一緒に泡内に達する。この場合すべての固体がフローテーションによって除去されるのではなく、繊維が汚染物から分離される。しばしば使用される概念「フローテーションデインキング(Flotationdeinking)」は一般に、印刷インキ粒子の除去のためだけでなく、より一般的には、繊維物質懸濁液からの細かな物質のフローテーションのためにも使用される。このような物質として、上に述べた印刷インキの他に、特に接着剤、細かなプラスチック粒子や場合によっては樹脂のようなその他の汚染物が挙げられる。さらにまた、鉱物質の充填物質(「灰」)をコントロールしてフローテーションによって除去することも、フローテーション法の目的の1つである。
【0003】
繊維物質懸濁液のためのフローテーション法に関する従来技術は、既に長足の進歩を遂げている。ゆえに、固体粒子を所望の形式及び量でフローテーションによって除去するのに極めて適した解決策が存在する。しかしながら良好なフローテーション結果は、かなり高いコストを伴って、つまり装置、運転手段及びエネルギに関する高いコストを伴ってしか得ることができない。問題は、2つの要求を満たすこと、すなわち分離したいすべての物質(つまり通常除去したい物質は複数存在する)の完全な除去と、損失の回避、つまり後で製造される製品のために利用したい物質の不都合な分離の回避という2つの要求を満たすことにある。フローテーション法の実施においては、この2つの目的を、複雑な方法を用いてしか共に良好に達成することができない。
【0004】
フローテーション時に、フローテーション可能な物質の最適な分離と極めて僅かな損失とを同時に得るために、多段式の装置によって作業を行うことができる。この場合繊維物質懸濁液は多くの場合、フローテーション段の一部である複数のフローテーション室又はフローテーションセルを次々と貫流し、この過程は、貫流物、つまり合格品もしくは良品であるアクセプトにおいて所望の物質除去が達成されるまで続く。オーバフロー、つまりフローテーション段において形成されるフローテーション泡は、例えば紙繊維の成分をなおかなり含有しているので、オーバフローは、装入物として別のフローテーション段に導入される。通常は、第1及び第2のフローテーション段又は一次フローテーション及び二次フローテーションが話題になる。第2のフローテーション段の貫流物、つまりアクセプトは、第1のフローテーション段の供給部に再びもたらすことができる。第2のフローテーション段の貫流物が第1のフローテーション段の貫流物、つまりアクセプトに添加混合される場合もある。第2のフローテーション段において生ぜしめられたフローテーション泡は、次いで除去されるか、又はそれがなお極めて多くの繊維を含有している場合には、第3のフローテーション段に供給されることができる。第2のフローテーション段のためのフローテーション室又はフローテーションセルは多くの場合、第1のフローテーション段のためのフローテーション室又はフローテーションセルと類似の又は同じ構造を有しているが、その数は著しく僅かである。典型的な装置は、一次フローテーション段に5つ又は6つのフローテーションセルを有し、二次フローテーション段に1つ又は2つのフローテーションセルを有している。
【0005】
DE10125978C1に開示された2段式のフローテーション装置では、部分流が引き出されて、装置の他の箇所において再び添加されるようになっており、特にフローテーション泡は、上流側に配置されたフローテーションセルの繊維物質懸濁液に戻される。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方法を改良して、分離作用に関する損失を被ることなしに、方法を実施するためのコストを減じることである。
【0007】
この課題を解決するために本発明の方法では、請求項1の特徴部に記載のように、すなわち、少なくとも1つのフローテーション室のフローテーション泡を少なくとも部分的に、少なくとも1つの別のフローテーション室に導入するようにした。
【0008】
本発明による方法によって、少なくとも1つの選択されたフローテーション室において、著しく増大された泡量を有する泡層が形成される。この際に、付加的に導入されるフローテーション泡が方法の実施に基づいてなお残留繊維を含有しているということは、受け入れることができる。このような残留繊維は、気泡の間を通って沈降する水と共に、気泡の下に位置する繊維物質懸濁液内に流れ込むことができる(泡排流(Schaumdraenage))。
【0009】
さらに本発明による方法によって、泡層の安定性が改善される。それというのは、泡層に別の液体が供給されることによって、泡層の位置を高くすることができるからである。比較的水分量の多い高い泡層によって、泡排流が容易になり、つまり繊維の損失は著しく減じられる。
【0010】
新規な本発明による方法には主として、特にフローテーションされる繊維物質懸濁液が最初に、泡を受容するフローテーション室に導入される場合には、フローテーションセルの数が僅かであってよい、という利点がある。フローテーション室において形成されるフローテーション泡は通常、最も高い汚染率を有していて、このフローテーション泡には、僅かしか汚染されていない導入されるフローテーション泡が加えられ、この導入されるフローテーション泡が当該フローテーション室における本来のフローテーションプロセスをさらに負荷することはない。フローテーションプロセスは基本的には単に1つの静的な過程(フローテーションの確率(Flotations-Wahrscheinlichkeit))である。別のフローテーション段において新たなフローテーションが行われる場合とは異なり、本発明においては、戻された泡が、球形の気泡によって生ぜしめられたガス含有量が多い泡層内に案内されるという、有利な作用が得られる。
【0011】
再び導入されるフローテーション泡は有利に脱気されることができ、これによってフローテーション泡は泡ポンプによって搬送することができる。脱気はしかしながら、フローテーション泡が繊維物質懸濁液と一緒にポンプ搬送される場合よりも、僅かであってよい(部分脱気)。
【0012】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による方法を説明するための概略図である。
【図2】本発明による方法を実施するための通常のフローテーションセルを示す図である。
【図3】本発明による方法を実施するための、泡導入部を備えた特殊なフローテーションセルを示す図である。
【図4】全部で5つのフローテーションセルを備えた、方法を実施する装置を示す図。
【図5】図4に示した実施形態の変化実施形態を示す図である。
【図6】本発明による方法を多段式のフローテーション装置において使用する場合に1実施形態を示す図である。
【図7】泡を受容する2つのフローテーション室が使用される、変化実施形態を示す図である。
【図8】泡導入部を備えたフローテーションセルの1実施形態を示す図である。
【図9】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図10】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図11】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図12】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図13】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【0014】
図1には、フローテーションつまり浮選される繊維物質懸濁液Sが供給されるフローテーション室1を有する概略図が示されている。この場合ガスとの混合は示されていない。このフローテーション室1の貫流物A1は別のフローテーション室2に導かれる。両方のフローテーション室1,2においてはそれぞれフローテーション泡3;4が形成される。第2のフローテーション室2のフローテーション泡4は、オーバフローとして引き出され、第1のフローテーション室1のフローテーション泡3に導入され、そのためにここでは部分脱気する泡ポンプ6が働く。第2のフローテーション室2の貫流物A2はフローテーション装置のアクセプト(Gutstoff)であるか、又はなおさらにフローテーションされるものを示す。第1のフローテーション室1のオーバフローは、不良品もしくは廃棄物であるリジェクトR1として廃棄される。
【0015】
第1のフローテーション室1(図1)の課題は、第2のフローテーション室2の課題と幾分異なっているので、フローテーションセルはこの異なった目的のために異なった構成(例えば図2及び図3)を有していると有利である。
【0016】
フローテーション法を産業分野において使用するためには、通常、2つよりも多くのフローテーション室が使用される(図4、図5、図6及び図7参照)。
【0017】
図2には、フローテーション室2を内蔵する、楕円横断面を有するフローテーションセルが示されており、この形状は特に有利であることが分かっている。繊維物質懸濁液Sは混合装置10内にポンプ供給され、ガスL、通常は空気と、気泡を形成しながら強力に混合される。有利には混合装置10はフローテーション室2内に中心からずらされて配置され、通気される繊維物質懸濁液S′内に浸漬している。この場合ガスLはフローテーションセルから、フローテーション泡の上において直に取り出すことができる。上昇するフローテーション泡4は、フローテーションされる固体、特に印刷インキ粒子、プラスチック粒子又は樹脂のような異物(Stoerstoff)を受容し、有利には調節可能な泡バリア9を介して泡溝8に流出する。これによりフローテーション泡4はこのセルのオーバフローを形成し、リジェクトR2として排出される。貫流物、つまりアクセプトA2はフローテーション室2の下側部分において取り出される。
【0018】
図3には、本発明による方法のために特に構成されたフローテーションセルが示されている。このフローテーションセルは、懸濁液Sと泡との間の境界面の上、つまり懸濁液面5の上に、比較的大きな容積を備えた泡集合室11を有している。この泡集合室11には、導入されるフローテーション泡4のための供給路が開口しており、このフローテーション泡4は、別のフローテーション室からもたらされ、泡集合室11において上昇するフローテーション泡3と混合される。フローテーション泡3の導入のためには例として、孔を備えた管12が示されているが、例えば上側が開放した溝(図8参照)のような別の構成も可能である。一般的には、フローテーション泡はその導入時に面状に分配されることが望ましく、この場合この面は、フローテーション泡3の上昇方向に対してほぼ垂直に又は幾分斜めに位置していてよく、しかしながら必ずしも、フローテーション室1全体にわたって延在している必要はない。例えば、供給領域におけるフローテーション室1の水平な横断面の少なくとも30%の面積をもって、水平に分配されていてよい。フローテーション泡4は、懸濁液面5からフローテーション泡3の上昇方向で測定して正の間隔7を有する領域において、フローテーション泡3に導入される。このような間隔7は例えば100mm〜1000mmの間であってよく、場合によっては、導入は上昇するフローテーション泡3の上において行うことも可能である(図9参照)。しかしながらまた他の使用例では、フローテーション泡4の導入は懸濁液面5の下においてつまり負の間隔7をもって行われる(図10参照)。有利には泡集合室11は部分的に泡案内面によって画定され、これらの泡案内面は、上昇するフローテーション泡を軽く堰き止めて、泡溝8に向かって側方に案内する。これによって泡の排出はさらに改善される。泡案内面は、旋回可能又は移動可能な壁22によって調節可能であってよく、このようになっていると、泡の流れに影響を及ぼすこともしくは泡の流れを調整することができる(図11参照)。泡バリア9の調節によって、泡高さに、ひいては特に泡の脱水(Schaumentwaesserung)に影響を及ぼすことができる。
【0019】
フローテーション室1内に形成されたフローテーション泡3を、導入されるフローテーション泡4と完全には混合しないことが、有利なこともある。
【0020】
混合されない部分はこの場合例えば、調節可能な泡フラップ20(図12参照)によってリジェクトR1に達することも、又は直接、導入されるフローテーション泡4に供給されることもできる(図12の矢印21)。
【0021】
例えばEP1029975A1及びDE19823053C1に基づいて、フローテーションされる懸濁液を既に存在しているフローテーション泡に導入するために働く装置の解決策が公知である。このような又は類似の装置は、本発明による方法のためにも適していることがある。
【0022】
本発明によるフローテーション装置は、図4に示すように、フローテーション室を備えた第1のフローテーションセルと、それぞれ1つのフローテーション室2,2′,2′′又は2′′′を備えた4つの別のフローテーションセルとを有している。フローテーションされる繊維物質懸濁液Sは、第1のフローテーション室1内にポンプを用いて圧送され、図示されていない混合装置を用いてガス供給(Begasung)され、これによってフローテーション泡3が形成される。このセルの貫流物A1は物質ポンプ13(渦巻ポンプ)を用いて次のフローテーション室2に搬送され、このフローテーション室2においても同様に最初にガス供給が行われ、次いでフローテーションが行われる。これらの工程は、フローテーション室2′,2′′及び2′′′において繰り返される。そして最後の貫流物は装置のアクセプトAである。フローテーション室2,2′,2′′及び2′′′のオーバフローは、1つの共通の泡溝において集められ、フローテーション泡4として、第1のフローテーション室1のフローテーション泡3に導入される。この場合例えば調整目的のために、フローテーション泡4の一部を分岐させて、特に第1のフローテーション室1への供給路に添加混合することが可能であり、このことは図4に、調整弁を備えた破線14で示されている。第1のフローテーション室1において発生するオーバフローは、リジェクトRとして排出される。泡ポンプ6は脱気ポンプとして形成されていてよく、ここではガス戻し路L2でフローテーション室2′′′に通じている。図5に示すように、脱気ポンプの代わりに、気泡を壊すために働く公知の泡破壊装置17と、該泡破壊装置に後置された泡タンク18とを使用することができる。
【0023】
複数の段を用いてフローテーションを実施することが望まれている場合にも、本発明は有利に使用することができる。例えば図6に示したフローテーション装置は、標準通りに運転される直列接続された5つのフローテーション室17,17′,17′′,17′′′及び17′′′′を有しており、これらのフローテーション室は第1の段として働き、この場合フローテーションされる繊維物質懸濁液Sは第1のフローテーション室1にポンプを用いて供給される。第1の段のフローテーション泡18は、繊維物質懸濁液S′′として、図示の実施形態では泡破壊装置15及び泡タンク16の下流で、第2の段に所属の1つのフローテーション室1の供給路に案内される。第2の段は第2のフローテーション室2を有していて、この第2のフローテーション室2には第1のフローテーション室1の貫流物A1が供給され、第2のフローテーション室2においてはフローテーション泡4が形成される。泡ポンプ6を介してフローテーション泡4はフローテーション泡3に導入される。フローテーション室2の貫流物A2は第1の段に通じる供給路に達し、フローテーション室1のオーバフローはリジェクトRとして排出されることができる。
【0024】
方法の別の実施形態が図7に示されている。この実施形態では2つの、特に最初の2つのフローテーション室1,1′は、両フローテーション室1,1′内においてそれぞれ形成されているフローテーション泡3;3′に、再び導入されたフローテーション泡が供給されるように運転され、図7には直接的な添加の例が示されている。別の可能性は図8及び図9に示されている。オーバフローR1,R1′は廃棄することができる。両フローテーション室1,1′は直列に接続されており、つまり第1のフローテーション室1の貫流物A1は次のフローテーション室1′にポンプを用いて送られ、混合装置を介して新たにガス混合される。さらに下流側にはフローテーション室2,2′,2′′が続いており、これらのフローテーション室2,2′,2′′にはフローテーション泡は導入されない。
【0025】
図13に示されたコラム式フローテーション(Saeulenflotation)のための装置では、フローテーション泡は僅かな過圧をもってハウジングから除去される。この装置はフローテーション室1を有している。このような装置によっても、発生するフローテーション泡に例えば孔を備えた少なくとも1つの管12(又は図8に示すような開放した溝)を介して、他のフローテーション室において発生したフローテーション泡4が導入されると、本発明を実現することができる。付加的に、フローテーション泡を安定化させるために上から水Wを添加供給することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の方法、すなわち、繊維物質懸濁液からフローテーションによって固体を除去する方法であって、繊維物質懸濁液をガスと混合させ、少なくとも2つのフローテーション室においてフローテーション泡を形成し、固体を集めて、フローテーション室から排出し、さらにこれらの固体を取り除いた繊維物質懸濁液を、貫流物として各フローテーション室から排出する形式の方法に関する。
【0002】
フローテーションによって泡又は浮遊スラッジが形成され、この泡又は浮遊スラッジは、排除すべき物質を含有しかつ一緒に排出する。このような方法の典型的な使用例は、印刷済みの古紙から得られた懸濁液の調製であり、この懸濁液において印刷インキ粒子は既に繊維から解離されているので、これらの印刷インキ粒子はフローテーションによって除去することができる。この場合繊維物質懸濁液においてはしばしば、0.5%〜2%の間、有利には0.8%〜1.2%の間の繊維密度(総量に対する繊維量)は調節される。ここに記載のフローテーション過程は、紙繊維物質と、析出される固体、特に不都合な異物粒子との差異を利用しており、つまりフローテーション過程において繊維物質は、どちらかというとその親水性の性質に基づいて繊維懸濁液内に留まり、これに対して異物粒子は疎水性であり、ゆえに気泡と一緒に泡内に達する。この場合すべての固体がフローテーションによって除去されるのではなく、繊維が汚染物から分離される。しばしば使用される概念「フローテーションデインキング(Flotationdeinking)」は一般に、印刷インキ粒子の除去のためだけでなく、より一般的には、繊維物質懸濁液からの細かな物質のフローテーションのためにも使用される。このような物質として、上に述べた印刷インキの他に、特に接着剤、細かなプラスチック粒子や場合によっては樹脂のようなその他の汚染物が挙げられる。さらにまた、鉱物質の充填物質(「灰」)をコントロールしてフローテーションによって除去することも、フローテーション法の目的の1つである。
【0003】
繊維物質懸濁液のためのフローテーション法に関する従来技術は、既に長足の進歩を遂げている。ゆえに、固体粒子を所望の形式及び量でフローテーションによって除去するのに極めて適した解決策が存在する。しかしながら良好なフローテーション結果は、かなり高いコストを伴って、つまり装置、運転手段及びエネルギに関する高いコストを伴ってしか得ることができない。問題は、2つの要求を満たすこと、すなわち分離したいすべての物質(つまり通常除去したい物質は複数存在する)の完全な除去と、損失の回避、つまり後で製造される製品のために利用したい物質の不都合な分離の回避という2つの要求を満たすことにある。フローテーション法の実施においては、この2つの目的を、複雑な方法を用いてしか共に良好に達成することができない。
【0004】
フローテーション時に、フローテーション可能な物質の最適な分離と極めて僅かな損失とを同時に得るために、多段式の装置によって作業を行うことができる。この場合繊維物質懸濁液は多くの場合、フローテーション段の一部である複数のフローテーション室又はフローテーションセルを次々と貫流し、この過程は、貫流物、つまり合格品もしくは良品であるアクセプトにおいて所望の物質除去が達成されるまで続く。オーバフロー、つまりフローテーション段において形成されるフローテーション泡は、例えば紙繊維の成分をなおかなり含有しているので、オーバフローは、装入物として別のフローテーション段に導入される。通常は、第1及び第2のフローテーション段又は一次フローテーション及び二次フローテーションが話題になる。第2のフローテーション段の貫流物、つまりアクセプトは、第1のフローテーション段の供給部に再びもたらすことができる。第2のフローテーション段の貫流物が第1のフローテーション段の貫流物、つまりアクセプトに添加混合される場合もある。第2のフローテーション段において生ぜしめられたフローテーション泡は、次いで除去されるか、又はそれがなお極めて多くの繊維を含有している場合には、第3のフローテーション段に供給されることができる。第2のフローテーション段のためのフローテーション室又はフローテーションセルは多くの場合、第1のフローテーション段のためのフローテーション室又はフローテーションセルと類似の又は同じ構造を有しているが、その数は著しく僅かである。典型的な装置は、一次フローテーション段に5つ又は6つのフローテーションセルを有し、二次フローテーション段に1つ又は2つのフローテーションセルを有している。
【0005】
DE10125978C1に開示された2段式のフローテーション装置では、部分流が引き出されて、装置の他の箇所において再び添加されるようになっており、特にフローテーション泡は、上流側に配置されたフローテーションセルの繊維物質懸濁液に戻される。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方法を改良して、分離作用に関する損失を被ることなしに、方法を実施するためのコストを減じることである。
【0007】
この課題を解決するために本発明の方法では、請求項1の特徴部に記載のように、すなわち、少なくとも1つのフローテーション室のフローテーション泡を少なくとも部分的に、少なくとも1つの別のフローテーション室に導入するようにした。
【0008】
本発明による方法によって、少なくとも1つの選択されたフローテーション室において、著しく増大された泡量を有する泡層が形成される。この際に、付加的に導入されるフローテーション泡が方法の実施に基づいてなお残留繊維を含有しているということは、受け入れることができる。このような残留繊維は、気泡の間を通って沈降する水と共に、気泡の下に位置する繊維物質懸濁液内に流れ込むことができる(泡排流(Schaumdraenage))。
【0009】
さらに本発明による方法によって、泡層の安定性が改善される。それというのは、泡層に別の液体が供給されることによって、泡層の位置を高くすることができるからである。比較的水分量の多い高い泡層によって、泡排流が容易になり、つまり繊維の損失は著しく減じられる。
【0010】
新規な本発明による方法には主として、特にフローテーションされる繊維物質懸濁液が最初に、泡を受容するフローテーション室に導入される場合には、フローテーションセルの数が僅かであってよい、という利点がある。フローテーション室において形成されるフローテーション泡は通常、最も高い汚染率を有していて、このフローテーション泡には、僅かしか汚染されていない導入されるフローテーション泡が加えられ、この導入されるフローテーション泡が当該フローテーション室における本来のフローテーションプロセスをさらに負荷することはない。フローテーションプロセスは基本的には単に1つの静的な過程(フローテーションの確率(Flotations-Wahrscheinlichkeit))である。別のフローテーション段において新たなフローテーションが行われる場合とは異なり、本発明においては、戻された泡が、球形の気泡によって生ぜしめられたガス含有量が多い泡層内に案内されるという、有利な作用が得られる。
【0011】
再び導入されるフローテーション泡は有利に脱気されることができ、これによってフローテーション泡は泡ポンプによって搬送することができる。脱気はしかしながら、フローテーション泡が繊維物質懸濁液と一緒にポンプ搬送される場合よりも、僅かであってよい(部分脱気)。
【0012】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による方法を説明するための概略図である。
【図2】本発明による方法を実施するための通常のフローテーションセルを示す図である。
【図3】本発明による方法を実施するための、泡導入部を備えた特殊なフローテーションセルを示す図である。
【図4】全部で5つのフローテーションセルを備えた、方法を実施する装置を示す図。
【図5】図4に示した実施形態の変化実施形態を示す図である。
【図6】本発明による方法を多段式のフローテーション装置において使用する場合に1実施形態を示す図である。
【図7】泡を受容する2つのフローテーション室が使用される、変化実施形態を示す図である。
【図8】泡導入部を備えたフローテーションセルの1実施形態を示す図である。
【図9】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図10】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図11】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図12】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【図13】泡導入部を備えたフローテーションセルの別の実施形態を示す図である。
【0014】
図1には、フローテーションつまり浮選される繊維物質懸濁液Sが供給されるフローテーション室1を有する概略図が示されている。この場合ガスとの混合は示されていない。このフローテーション室1の貫流物A1は別のフローテーション室2に導かれる。両方のフローテーション室1,2においてはそれぞれフローテーション泡3;4が形成される。第2のフローテーション室2のフローテーション泡4は、オーバフローとして引き出され、第1のフローテーション室1のフローテーション泡3に導入され、そのためにここでは部分脱気する泡ポンプ6が働く。第2のフローテーション室2の貫流物A2はフローテーション装置のアクセプト(Gutstoff)であるか、又はなおさらにフローテーションされるものを示す。第1のフローテーション室1のオーバフローは、不良品もしくは廃棄物であるリジェクトR1として廃棄される。
【0015】
第1のフローテーション室1(図1)の課題は、第2のフローテーション室2の課題と幾分異なっているので、フローテーションセルはこの異なった目的のために異なった構成(例えば図2及び図3)を有していると有利である。
【0016】
フローテーション法を産業分野において使用するためには、通常、2つよりも多くのフローテーション室が使用される(図4、図5、図6及び図7参照)。
【0017】
図2には、フローテーション室2を内蔵する、楕円横断面を有するフローテーションセルが示されており、この形状は特に有利であることが分かっている。繊維物質懸濁液Sは混合装置10内にポンプ供給され、ガスL、通常は空気と、気泡を形成しながら強力に混合される。有利には混合装置10はフローテーション室2内に中心からずらされて配置され、通気される繊維物質懸濁液S′内に浸漬している。この場合ガスLはフローテーションセルから、フローテーション泡の上において直に取り出すことができる。上昇するフローテーション泡4は、フローテーションされる固体、特に印刷インキ粒子、プラスチック粒子又は樹脂のような異物(Stoerstoff)を受容し、有利には調節可能な泡バリア9を介して泡溝8に流出する。これによりフローテーション泡4はこのセルのオーバフローを形成し、リジェクトR2として排出される。貫流物、つまりアクセプトA2はフローテーション室2の下側部分において取り出される。
【0018】
図3には、本発明による方法のために特に構成されたフローテーションセルが示されている。このフローテーションセルは、懸濁液Sと泡との間の境界面の上、つまり懸濁液面5の上に、比較的大きな容積を備えた泡集合室11を有している。この泡集合室11には、導入されるフローテーション泡4のための供給路が開口しており、このフローテーション泡4は、別のフローテーション室からもたらされ、泡集合室11において上昇するフローテーション泡3と混合される。フローテーション泡3の導入のためには例として、孔を備えた管12が示されているが、例えば上側が開放した溝(図8参照)のような別の構成も可能である。一般的には、フローテーション泡はその導入時に面状に分配されることが望ましく、この場合この面は、フローテーション泡3の上昇方向に対してほぼ垂直に又は幾分斜めに位置していてよく、しかしながら必ずしも、フローテーション室1全体にわたって延在している必要はない。例えば、供給領域におけるフローテーション室1の水平な横断面の少なくとも30%の面積をもって、水平に分配されていてよい。フローテーション泡4は、懸濁液面5からフローテーション泡3の上昇方向で測定して正の間隔7を有する領域において、フローテーション泡3に導入される。このような間隔7は例えば100mm〜1000mmの間であってよく、場合によっては、導入は上昇するフローテーション泡3の上において行うことも可能である(図9参照)。しかしながらまた他の使用例では、フローテーション泡4の導入は懸濁液面5の下においてつまり負の間隔7をもって行われる(図10参照)。有利には泡集合室11は部分的に泡案内面によって画定され、これらの泡案内面は、上昇するフローテーション泡を軽く堰き止めて、泡溝8に向かって側方に案内する。これによって泡の排出はさらに改善される。泡案内面は、旋回可能又は移動可能な壁22によって調節可能であってよく、このようになっていると、泡の流れに影響を及ぼすこともしくは泡の流れを調整することができる(図11参照)。泡バリア9の調節によって、泡高さに、ひいては特に泡の脱水(Schaumentwaesserung)に影響を及ぼすことができる。
【0019】
フローテーション室1内に形成されたフローテーション泡3を、導入されるフローテーション泡4と完全には混合しないことが、有利なこともある。
【0020】
混合されない部分はこの場合例えば、調節可能な泡フラップ20(図12参照)によってリジェクトR1に達することも、又は直接、導入されるフローテーション泡4に供給されることもできる(図12の矢印21)。
【0021】
例えばEP1029975A1及びDE19823053C1に基づいて、フローテーションされる懸濁液を既に存在しているフローテーション泡に導入するために働く装置の解決策が公知である。このような又は類似の装置は、本発明による方法のためにも適していることがある。
【0022】
本発明によるフローテーション装置は、図4に示すように、フローテーション室を備えた第1のフローテーションセルと、それぞれ1つのフローテーション室2,2′,2′′又は2′′′を備えた4つの別のフローテーションセルとを有している。フローテーションされる繊維物質懸濁液Sは、第1のフローテーション室1内にポンプを用いて圧送され、図示されていない混合装置を用いてガス供給(Begasung)され、これによってフローテーション泡3が形成される。このセルの貫流物A1は物質ポンプ13(渦巻ポンプ)を用いて次のフローテーション室2に搬送され、このフローテーション室2においても同様に最初にガス供給が行われ、次いでフローテーションが行われる。これらの工程は、フローテーション室2′,2′′及び2′′′において繰り返される。そして最後の貫流物は装置のアクセプトAである。フローテーション室2,2′,2′′及び2′′′のオーバフローは、1つの共通の泡溝において集められ、フローテーション泡4として、第1のフローテーション室1のフローテーション泡3に導入される。この場合例えば調整目的のために、フローテーション泡4の一部を分岐させて、特に第1のフローテーション室1への供給路に添加混合することが可能であり、このことは図4に、調整弁を備えた破線14で示されている。第1のフローテーション室1において発生するオーバフローは、リジェクトRとして排出される。泡ポンプ6は脱気ポンプとして形成されていてよく、ここではガス戻し路L2でフローテーション室2′′′に通じている。図5に示すように、脱気ポンプの代わりに、気泡を壊すために働く公知の泡破壊装置17と、該泡破壊装置に後置された泡タンク18とを使用することができる。
【0023】
複数の段を用いてフローテーションを実施することが望まれている場合にも、本発明は有利に使用することができる。例えば図6に示したフローテーション装置は、標準通りに運転される直列接続された5つのフローテーション室17,17′,17′′,17′′′及び17′′′′を有しており、これらのフローテーション室は第1の段として働き、この場合フローテーションされる繊維物質懸濁液Sは第1のフローテーション室1にポンプを用いて供給される。第1の段のフローテーション泡18は、繊維物質懸濁液S′′として、図示の実施形態では泡破壊装置15及び泡タンク16の下流で、第2の段に所属の1つのフローテーション室1の供給路に案内される。第2の段は第2のフローテーション室2を有していて、この第2のフローテーション室2には第1のフローテーション室1の貫流物A1が供給され、第2のフローテーション室2においてはフローテーション泡4が形成される。泡ポンプ6を介してフローテーション泡4はフローテーション泡3に導入される。フローテーション室2の貫流物A2は第1の段に通じる供給路に達し、フローテーション室1のオーバフローはリジェクトRとして排出されることができる。
【0024】
方法の別の実施形態が図7に示されている。この実施形態では2つの、特に最初の2つのフローテーション室1,1′は、両フローテーション室1,1′内においてそれぞれ形成されているフローテーション泡3;3′に、再び導入されたフローテーション泡が供給されるように運転され、図7には直接的な添加の例が示されている。別の可能性は図8及び図9に示されている。オーバフローR1,R1′は廃棄することができる。両フローテーション室1,1′は直列に接続されており、つまり第1のフローテーション室1の貫流物A1は次のフローテーション室1′にポンプを用いて送られ、混合装置を介して新たにガス混合される。さらに下流側にはフローテーション室2,2′,2′′が続いており、これらのフローテーション室2,2′,2′′にはフローテーション泡は導入されない。
【0025】
図13に示されたコラム式フローテーション(Saeulenflotation)のための装置では、フローテーション泡は僅かな過圧をもってハウジングから除去される。この装置はフローテーション室1を有している。このような装置によっても、発生するフローテーション泡に例えば孔を備えた少なくとも1つの管12(又は図8に示すような開放した溝)を介して、他のフローテーション室において発生したフローテーション泡4が導入されると、本発明を実現することができる。付加的に、フローテーション泡を安定化させるために上から水Wを添加供給することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維物質懸濁液(S,S′′)からフローテーションによって固体を除去する方法であって、繊維物質懸濁液(S,S′′)をガス(L)と混合させ、少なくとも2つのフローテーション室(1,2)においてフローテーション泡(3,4)を形成し、固体を集めて、フローテーション室(1,2)から排出し、さらにこれらの固体を取り除いた繊維物質懸濁液を、貫流物(A1,A2)として各フローテーション室(1,2)から排出する形式の方法において、
少なくとも1つのフローテーション室(2)のフローテーション泡(4)を少なくとも部分的に、少なくとも1つの別のフローテーション室(1)に導入することを特徴とする、繊維物質懸濁液からフローテーションによって固体を除去する方法。
【請求項2】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)に、集められたフローテーション泡(3,4)の上限の上に位置している領域において導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)に、懸濁液面(5)の下に位置している領域において導入する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
導入されるフローテーション泡(4)を、別のフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)内に導入する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に、懸濁液面(5)と、集められたフローテーション泡(3,4)の上限との間に位置している領域において導入する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に、懸濁液面(5)からフローテーション泡(3)の上昇方向で測定して0mm〜200mmの間の間隔(7)、有利には少なくとも1000mmの間隔(7)を有する領域において、導入する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
導入されるフローテーション泡(4)を脱気して、次いで他のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に導入する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
導入されるフローテーション泡(4)を、集合容器の介在なしに、他のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)内に導入する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)を受容するフローテーション室(1,1′)における、集められたフローテーション泡(3,4)の高さを、泡の脱水に影響を与えるために調節する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
フローテーション泡(4)が供給されないフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′,17,17′,17′′,17′′′,17′′′′)の数を、フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1;1,1′)の数の少なくとも3倍、有利には少なくとも4倍にする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)内において、フローテーション泡(3,4)を少なくとも1つの泡案内面によって案内する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
泡案内面の位置が調節可能である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
フローテーション泡(4)が供給されないフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′,17,17′,17′′,17′′′,17′′′′)において発生するフローテーション泡(4)の一部だけを、フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)に導入する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)の一部だけを、他のフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′)において形成されたフローテーション室(4)と混合させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)の混合されない部分を、リジェクトR1と一緒に排出するか又は他のフローテーション泡(4)と混合させる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つのフローテーション段を使用し、第2の段においてフローテーションされる繊維物質懸濁液(S′′)を最初に1つのフローテーション室(1)に導入し、該フローテーション室(1)は、同じ段の他のフローテーション室(2)のフローテーション泡(4)を受容する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
導入されるフローテーション泡(4)を、該フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1,1′)内に導入する際に、水平方向において泡の分配を行い、この分配は、添加供給領域におけるフローテーション室(1,1′)の水平な横断面の少なくとも30%、有利には少なくとも50%を占めている、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項1】
繊維物質懸濁液(S,S′′)からフローテーションによって固体を除去する方法であって、繊維物質懸濁液(S,S′′)をガス(L)と混合させ、少なくとも2つのフローテーション室(1,2)においてフローテーション泡(3,4)を形成し、固体を集めて、フローテーション室(1,2)から排出し、さらにこれらの固体を取り除いた繊維物質懸濁液を、貫流物(A1,A2)として各フローテーション室(1,2)から排出する形式の方法において、
少なくとも1つのフローテーション室(2)のフローテーション泡(4)を少なくとも部分的に、少なくとも1つの別のフローテーション室(1)に導入することを特徴とする、繊維物質懸濁液からフローテーションによって固体を除去する方法。
【請求項2】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)に、集められたフローテーション泡(3,4)の上限の上に位置している領域において導入する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)に、懸濁液面(5)の下に位置している領域において導入する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
導入されるフローテーション泡(4)を、別のフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)内に導入する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に、懸濁液面(5)と、集められたフローテーション泡(3,4)の上限との間に位置している領域において導入する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
導入されるフローテーション泡(4)を別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に、懸濁液面(5)からフローテーション泡(3)の上昇方向で測定して0mm〜200mmの間の間隔(7)、有利には少なくとも1000mmの間隔(7)を有する領域において、導入する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
導入されるフローテーション泡(4)を脱気して、次いで他のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)に導入する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
導入されるフローテーション泡(4)を、集合容器の介在なしに、他のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)内に導入する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
別のフローテーション室(1)のフローテーション泡(3)を受容するフローテーション室(1,1′)における、集められたフローテーション泡(3,4)の高さを、泡の脱水に影響を与えるために調節する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
フローテーション泡(4)が供給されないフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′,17,17′,17′′,17′′′,17′′′′)の数を、フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1;1,1′)の数の少なくとも3倍、有利には少なくとも4倍にする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)内において、フローテーション泡(3,4)を少なくとも1つの泡案内面によって案内する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
泡案内面の位置が調節可能である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
フローテーション泡(4)が供給されないフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′,17,17′,17′′,17′′′,17′′′′)において発生するフローテーション泡(4)の一部だけを、フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)に導入する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)の一部だけを、他のフローテーション室(2,2′,2′′,2′′′)において形成されたフローテーション室(4)と混合させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1)において形成されたフローテーション泡(3)の混合されない部分を、リジェクトR1と一緒に排出するか又は他のフローテーション泡(4)と混合させる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つのフローテーション段を使用し、第2の段においてフローテーションされる繊維物質懸濁液(S′′)を最初に1つのフローテーション室(1)に導入し、該フローテーション室(1)は、同じ段の他のフローテーション室(2)のフローテーション泡(4)を受容する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
導入されるフローテーション泡(4)を、該フローテーション泡(4)を受容するフローテーション室(1,1′)内に導入する際に、水平方向において泡の分配を行い、この分配は、添加供給領域におけるフローテーション室(1,1′)の水平な横断面の少なくとも30%、有利には少なくとも50%を占めている、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−508134(P2013−508134A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534594(P2012−534594)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060191
【国際公開番号】WO2011/047892
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060191
【国際公開番号】WO2011/047892
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】
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