説明

繊維症阻害剤としての置換N−アリールピリジノン

式Iの置換N−アリールピリジノン線維性阻害剤および/またはコラーゲン浸潤調節因子、その調製工程、その医薬組成物、およびその使用方法を、本明細書に開示する。


式I

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年6月20日提出の米国特許仮出願第60/945,136号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が本明細書で記載されるかのように、本明細書に参考することによって組み込まれる。
【0002】
本発明は、置換N−アリールピリジノン、その医薬上許容し得る塩およびプロドラッグ、その化学合成、ならびに、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、関節リウマチ、ならびに/または線維症および/もしくは組織へのコラーゲン浸潤を調節することにより軽減される任意の疾患の処置、および/または管理のためのこのような化合物の医療用途を対象とする。
【背景技術】
【0003】
ピルフェニドン(Deskar(登録商標))、5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オンは、経口投与される抗線維症剤である。ピルフェニドンは、齧歯類疾患モデルにおいて有効である。ピルフェニドンは、平滑筋腫細胞および子宮筋細胞において、DNA合成を阻害する(Lee et al,Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 1998,83(1),219−23)。ピルフェニドンは、現在、特発性肺線維症(IPF)のための第III相試験を実施している。
【化1】

ピルフェニドン
【0004】
ピルフェニドンの化学構造は、比較的単純であるが、その代謝は、部分的にしか理解されていない。例えば、メチル基は、相当するヒドロキシメチル代謝物の「M1」をもたらす酸化の影響を受けやすいと考えられる。M1は、さらに酸化して、カルボン酸代謝物の「M2」になると考えられる(Wang et al,Biomedical Chromatography 2006,20,1375−1379)。第3の検出された代謝物は、M1またはM2に由来する可能性のある第II相生成物であると考えられる。ピルフェニドンは、ヒトにおいて非常に短い半減期を有し、1日当たり1回以上投与される可能性が高い。
【発明の概要】
【0005】
構造式Iを有する化合物、
【化2】

(I)
またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを本明細書に開示し、式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素および重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素であり、
、R、R、R10、およびR11が重水素である場合、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは重水素である。
【0006】
さらに、組織にコラーゲンを調節するおよび/または線維症を阻害する方法を本明細書に開示する。
【0007】
本明細書に開示されるのは、対象における、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患のうちの1つ以上の症状を処置、予防、または軽減するための方法であり、それには、治療有効量の本明細書に開示される化合物を投与するステップを含む。
【0008】
本明細書にさらに開示されるのは、該線維性媒介性疾患および/または該コラーゲン媒介性疾患が、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、関節リウマチ、ならびに/または線維症および/もしくは組織へのコラーゲン浸潤を調節することにより軽減される任意の疾患からなる群から選択されるが、これらに限定されない、方法である。
【0009】
また、本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される化合物を含有する製造品およびキットである。例示のみの目的で、キットまたは製造品は、本明細書に開示される所望の量の少なくとも1つの化合物(または化合物の医薬組成物)を含む容器(瓶等)を含むことができる。さらに、このようなキットまたは製造品にはさらに、本明細書に開示される該化合物(または化合物の医薬組成物)を用いるための取扱説明書も含むことができる。取扱説明書は、容器に接着してよく、または容器を維持している(箱またはプラスチックまたはホイルバッグ等の)パッケージ中に含まれてよい。
【0010】
別の態様において、線維症および/またはコラーゲン浸潤が、疾患の病因および/または症状の一因となる動物における疾患を処置するための、薬剤の製造における、本明細書に開示される化合物の利用があげられる。さらなる実施形態において、該疾患は、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、関節リウマチ、ならびに/または線維症および/もしくは組織へのコラーゲン浸潤を調節することにより軽減される任意の疾患であるが、これらに限定されない。
【0011】
別の態様において、線維性阻害剤および/またはコラーゲン浸潤調節因子、またはプロドラッグ誘導体、または個々の異性体およびその異性体またはエナンチオマーの混合物等の他の医薬上許容し得る誘導体として、本明細書に記載される化合物を調製する工程である。
【0012】
別の態様において、線維性調節因子および/またはコラーゲン浸潤調節因子として、本明細書に開示される化合物を調製する工程である。
【0013】
また、本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される化合物を用いて医薬組成物を製剤化する工程である。
【0014】
ある実施形態において、該医薬組成物は、1つ以上の放出制御賦形剤を含む。
【0015】
他の実施形態において、該医薬組成物は、1つ以上の非放出制御賦形剤をさらに含む。
【0016】
ある実施形態において、該医薬組成物は、経口投与、非経口投与、または静脈内注入投与に適している。
【0017】
さらに他の実施形態において、該医薬組成物は、錠剤またはカプセルを含む。
【0018】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、0.5ミリグラムから1,000ミリグラムの用量で投与される。
【0019】
なおさらなる実施形態において、該医薬組成物は、別の治療剤をさらに含む。
【0020】
さらに他の実施形態において、該治療剤は、敗血症剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗血液凝固剤、血栓溶解剤、ステロイド系薬物、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、麻酔薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、硝酸塩または亜硝酸塩、ACE阻害剤、スタチン、血小板凝集阻害剤、アデノシン、ジギトキシン、抗不整脈剤、交感神経刺激薬、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、トロンボキサン酵素拮抗薬、カリウムチャンネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、血小板活性化因子(PAF)拮抗薬、抗血小板剤、第VIIa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート、胆汁酸捕捉因子(bile acid sequestrant)、抗アテローム性動脈硬化症剤、MTP阻害剤、カリウムチャネル活性剤、α−PDE5阻害剤、β−PDE5阻害剤、利尿薬、抗糖尿病剤、PPAR−γアゴニスト、電解質コルチコイド酵素拮抗薬、aP2阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、抗炎症剤、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性薬、代謝拮抗剤、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ホルモン剤、微小管撹乱剤、微小管安定化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、シクロスポリン、TNF−α阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、金化合物、アンタラルミン、Z−338、および白金配位複合体からなる群から選択される。
【0021】
さらに別の実施形態において、該治療剤は、ステロイド系薬物である。
【0022】
さらなる実施形態において、該ステロイド系薬物は、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレニゾロン、デキサメサゾン、およびトリアムシノロンからなる群から選択される。
【0023】
さらに他の実施形態において、該治療剤は、非ステロイド系抗炎症薬である。
【0024】
さらなる実施形態において、該非ステロイド系抗炎症薬は、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン(amoxiprin)、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、サリチル酸コリンマグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ、ファイスルアミン(faislamine)、フェンブテン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチルサリチル酸、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンプラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンからなる群から選択される。
【0025】
他の実施形態において、対象における、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患のうちの1つ以上の症状を処置、予防、または軽減するための方法は、治療有効量の本明細書に開示される化合物を投与するステップを含む。
【0026】
さらに他の実施形態において、該線維性媒介性疾患および/または該コラーゲン媒介性疾患は、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、および関節リウマチからなる群から選択される。
【0027】
他の実施形態において、該線維性媒介性疾患および/または該コラーゲン媒介性疾患は、線維症を調節することにより、緩和、軽減、または予防され得る。
【0028】
さらなる実施形態において、該線維性媒介性疾患および/または該コラーゲン媒介性疾患は、コラーゲン浸潤を調節することにより、緩和、軽減、または予防され得る。
【0029】
他の実施形態において、該化合物は、以下の特性:
a)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、該化合物またはその代謝産物の血漿レベルにおける個人間の変動の減少、
b)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の平均血漿レベルの増加、
c)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの減少、
d)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの増加、
e)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該対象の処置の間の臨床効果の改善、のうちの少なくとも1つを有する。
【0030】
なおさらなる実施形態において、該化合物は、以下の特性:
a)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、該化合物またはその代謝産物の血漿レベルにおける個人間の変動の減少、
b)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の平均血漿レベルの増加、
c)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの減少、
d)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの増加、
e)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該対象の処置の間の臨床効果の改善、のうちの少なくとも2つを有する。
【0031】
ある実施形態において、該化合物は、該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該対象において少なくとも1つの多形性で発現されたシトクロムP450アイソフォームにより、代謝の減少がある。
【0032】
他の実施形態において、該シトクロムP450アイソフォームは、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6からなる群から選択される。
【0033】
なおさらなる実施形態において、該化合物は、該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該対象において少なくとも1つのシトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害の減少により特徴付けられる。
【0034】
ある実施形態において、該シトクロムP450アイソフォームまたはモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、およびMAOからなる群から選択される。
【0035】
他の実施形態において、該方法は、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、診断の肝胆機能エンドポイントにおいて、悪化を低減または排除しつつ、該疾患の処置に影響を及ぼす。
【0036】
なおさらなる実施形態において、該診断の肝胆機能エンドポイントは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」、「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミルトランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓の超音波検査、肝臓核内スキャン、5′−ヌクレオチダーゼ、および血漿タンパク質からなる群から選択される。
【0037】
参照による組み込み
背景技術の項目におけるものを含む、本明細書で引用されたすべての発行物および参考文献は、それら全体を参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。しかしながら、組み込まれた発行物または参考文献の両方で見られるいかなる類似または同一の語句、および本文書で明確に記載または定義される語句に関しても、本文書で明確に記載されるそれら語句の定義または意味は、あらゆる点で優先するものとする。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書で列記した開示物の理解を促進するために、多数の語句を以下に定義する。一般に、本明細書に使用される用語、および本明細書に記載される有機化学、医学的化学および薬理学における研究室手順が、当業者によく知られており、一般に利用されている。他に定義しない限り、本明細書に使用されるすべての技術および科学用語が一般に、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に使用される用語に対して多数の定義が存在する場合、他に言及しない限り、本項目で使用されるものを優先する。
【0039】
本明細書に使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、他に特に言及しない限り、複数形を指してよい。
【0040】
「対象(subject)」という用語は、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット等)、ウサギ科、ブタ科(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ科、イヌ科、ネコ科等が挙げられるが、これらに限定されない、動物を指す。「対象」および「患者(patient)」という用語は、例えば、ヒト患者等の、哺乳動物対象に関連して、本明細書で同義的に使用される。
【0041】
「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、および「処置(treatment)」という用語は、疾患を軽減する、もしくは抑止すること、または疾患に関連した1つ以上の症状を軽減すること、もしくは抑止すること、ならびに/または疾患それ自体の原因を軽減すること、もしくは根絶すること、を含むことを意味する。
【0042】
「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、および「予防(prevention)」という用語は、疾患の開始を遅延させる、もしくは排除する、その付帯症状を遅延させる、もしくは排除する、対象が疾患を罹患することを防ぐ、ならびに/または疾患を罹患する対象のリスクを減少させる、方法を指す。
【0043】
「治療有効量(therapeutically effective amount)」という用語は、投与したときに、処置している疾患の1つ以上の症状の発症を予防するため、またはある程度まで軽減するために十分な化合物の量を指す。「治療有効量」という用語はまた、研究者、獣医、医者または臨床家によって追求されている細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘引するために必要な化合物の量を指す。
【0044】
「医薬上許容し得る担体(pharmaceutically acceptable carrier)」、「医薬上許容し得る賦形剤(pharmaceutically acceptable excipient)」、または「生理学的に許容し得る担体(physiologically acceptable carrier)」または「生理学的に許容し得る賦形剤(physiologically acceptable excipient)」という用語は、液体または固体充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料等の、医薬上許容し得る材料、組成物、またはビヒクルを指す。各成分は、医薬製剤の他の成分と適合可能であることに関して、「医薬上許容し得る」ものでなければならない。過剰な毒性、炎症、アレルギー性応答、免疫発生、または他の問題または合併症、適切な利益/リスク比とのつりあいなしに、ヒトおよび動物の組織または器官に関連しての利用のために適していなければならない。(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition、Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition、Rowe et al.,Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005、およびHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition、Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton、FL、2004参照)。
【0045】
「重水素濃縮(deuterium enrichment)」という用語は、水素の代わりの、分子内の該部分での重水素の取り込みの割合を指す。例えば、所与の位置での1%の重水素濃度が、所与の試料中の分子の1%が、特定の位置で重水素を含有することを意味する。天然に存在する重水素の分布は、約0.0156%であるので、非濃縮開始材料を用いて合成した化合物中の、任意の位置での重水素濃縮は、約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析および核磁気共鳴スペクトル等の、従来の解析方法を用いて判定することができる。
【0046】
「重水素である(is/are)」という用語は、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11等の分子内の所与の位置、または記号「D」を記載するために使用される場合、分子構造の図において所与の位置を示すために使用される場合、特定の位置が、天然に存在する重水素の分布を超える重水素で濃縮されることを意味する。一実施形態において、重水素濃縮は、特定の位置での重水素の約1%以上、別の実施形態において、約5%以上、別の実施形態において、約10%以上、別の実施形態において、約20%以上、別の実施形態において、約50%以上、別の実施形態において、約70%以上、別の実施形態において、約80%以上、別の実施形態において、約90%以上、または別の実施形態において、約98%以上である。
【0047】
「同位体濃縮(isotopic enrichment)」という用語は、より一般的な元素の同位体のかわりに、分子中の所与の位置における、より低い元素の同位体の取り込みの組み合わせの割合を指す。
【0048】
「非同位体的に濃縮した(non−isotopically enriched)」という用語は、種々の同位体の割合が、天然に存在する割合と実質的に同一である分子を指す。
【0049】
「実質的に純粋(substantially pure)」および「実質的に同質(substantially homogeneous)」という用語は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、および質量分析(MS)が挙げられるが、これらに限定されない、標準の解析方法によって判定されるように、簡単に検出可能な不純物を含まないことが明らかなほど実質的に同質であるか、またはさらなる精製が、基質の、物理学的および化学的特性、または酵素的および生物学的活性等の、生物学的および薬理学的特性を検出可能に変化させないように実質的に純粋であることを意味する。ある実施形態において、「実質的に純粋である」または「実質的に均質である」とは、標準の解析方法によって判定されるように、そのラセミ混合物または単一立体異性体を含む、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも99.5%が単一の化合物である、分子の集団を指す。
【0050】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、部分的に、値を測定するまたは判定する方法に依存する、特定の値に関して、許容可能な誤差を意味する。ある実施形態において、「約」とは、1つ以上の標準偏差を意味し得る。
【0051】
「活性成分(active ingredient)」および「活性物質(active substance)」という用語は、疾患の1つ以上の症状を処置するため、予防するため、または軽減するために、対象に、単独で、または1つ以上の医薬上許容し得る賦形剤および/または担体との組み合わせで、投与する化合物を指す。
【0052】
「薬物(drug)」、「治療剤(therapeutic agent)」および「化学療法剤(chemotherapeutic agent)」という用語は、疾患の1つ以上の症状を処置するため、予防するため、または軽減するために、対象に投与する、化合物またはその医薬組成物を指す。
【0053】
本明細書に使用される「疾患」という用語は、一般的に同義語であることが意図され、「疾病(disease)」、「症候群(syndrome)」および「状態(condition)」(医学的状態等)と同義的に使用され、すべてが体または正常な機能を損なうその部分のうちの1つの異常な状態を反映し、特徴的な兆候および症状が典型的に現れる。
【0054】
「放出制御賦形剤(release controlling excipient)」という用語は、その第一の機能が、従来の速効放出剤形と比較して、剤形からの活性物質の放出の期間、または位置を改変することである、賦形剤を指す。
【0055】
「非放出制御賦形剤(non−release controlling excipient)」という用語は、その第一の機能が、従来の速効放出剤形と比較して、剤形からの活性物質の放出の期間、または位置を改変することを含まない、賦形剤を指す。
【0056】
「保護基」または「除去可能な保護基」という用語は、水酸基またはカルボン酸基の酸素原子、またはアミノ基の窒素原子等の官能基に結合される場合、反応がその官能基で生じることを防止し、かつ従来の化学的または酵素的段階によって除去されて、官能基を再構築し得る基を指す(Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999)。
【0057】
「線維症」という用語は、臓器または組織内で過剰な線維性結合組織の発達を指す。
【0058】
「コラーゲン浸潤」という用語は、細胞または細胞周辺の細胞外基質への結合組織コラーゲンの侵入を指す。これは、天然に、および普通の状況下で臓器および組織内で起こるが、過剰に生じ得、疾病に付随して、または疾病を引き起こし得る。
【0059】
「線維症」および「コラーゲン浸潤」という用語は、必ずしも同意語ではないが、ある文脈において、同義的に使用され得る。
【0060】
「コラーゲン媒介性疾患」という用語は、異常な、または望ましくないコラーゲン性浸潤により特徴付けられ、コラーゲン浸潤活性が改変される場合、投与経路により異なる所望の応答および所望の最終結果をもたらす疾患を指す。コラーゲン媒介性疾患は、コラーゲン浸潤を調節することを通して完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、コラーゲン媒介性疾患は、コラーゲン浸潤活性の調節が、基礎疾患におけるいくつかの効果をもたらす、例えば、コラーゲン浸潤調節因子を投与することが、処置される患者の少なくとも何人かにいくつかの改善をもたらすものである。
【0061】
「線維性媒介性疾患」という用語は、異常な、または望ましくない線維性活性により特徴付けられ、線維症活性が改変される場合、投与経路により異なる所望の応答および所望の最終結果をもたらす疾患を指す。線維症媒介性疾患は、線維症を調節することを通して完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、線維症媒介性疾患は、線維症活性の調節が、基礎疾患におけるいくつかの効果をもたらす、例えば、線維症調節因子を投与することが、処置される患者の少なくとも何人かにいくつかの改善をもたらすものである。
【0062】
「線維症調節因子(fibrosis modulator)」または「線維症を調節すること(modulating fibrosis)」という用語は、相互的であることを意味し、線維症の発生および/または量を変化させるために、本明細書に開示される化合物の能力を指す。線維症調節因子は、線維症の発生またはレベルを増加し得る、アドレナリン受容体に暴露される化合物の濃度により異なる線維症の発生および/または量を増加または減少し得る、または線維症の発生および/または量を減少し得る。このような活性化または阻害は、シグナル変換経路の活性化等の特異的事象の発生を条件とし得る、および/または特定の細胞型においてのみ現れ得る。
【0063】
「コラーゲン浸潤調節因子(collagen−infiltration modulator)」または「コラーゲン浸潤を調節すること(modulating collagen infiltration)」という用語は、相互的であることを意味し、コラーゲン浸潤の発生および/または量を変化させるために、本明細書に開示される化合物の能力を指す。線維症調節因子は、コラーゲン浸潤の発生またはレベルを増加し得る、アドレナリン受容体に暴露される化合物の濃度により異なるコラーゲン浸潤の発生および/または量を増加または減少し得る、またはコラーゲン浸潤の発生および/または量を減少し得る。このような活性化または阻害は、シグナル変換経路の活性化等の特異的事象の発生を条件とし得る、および/または特定の細胞型においてのみ現れ得る。
【0064】
重水素速度論的同位体効果
その循環系から、治療的薬剤等の、外来の基質を削除するために、動物の体は、シトクロムP450酵素またはCYP、エステラーゼ、プロテアーゼ、リダクターゼ、デヒドロゲナーゼおよびモノアミンオキシダーゼ等の種々の酵素を発現して、それらの外来基質と反応し、腎排出のために、より極性の中間体または代謝物に変換する。最も一般的な医薬化合物の代謝反応のいくつかには、炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π−結合のいずれかに結合した、炭素−水素(C−H)の酸化が含まれる。結果として得られた代謝物は、生理学的条件下で、安定であるか、または不安定であり、親化合物に対して、実質的に異なる薬物動態学的、薬力学的、および急性および長期毒性特性を有し得る。ほとんどの薬物に対して、このような酸化は一般的に迅速であり、最終的に、複数回投与または高い一日用量の投与をもたらす。
【0065】
活性化エネルギーと反応の速度の間の関係は、アレニウスの式、k=Ae−Eact/RTによって定量してよく、式中Eactは活性エネルギーであり、Tは温度であり、Rは分子気体定数であり、kは反応の速度定数であり、A(頻度因子)は、分子が正しい方向で衝突する可能性に依存した、各反応に特徴的な定数である。アレニウスの式は、エネルギーバリアを打ち負かすのに十分なエネルギーを有する分子の画分、すなわち活性化エネルギーと少なくとも等しいエネルギーを有するものは、熱エネルギー(RT)に対する活性化エネルギーの比、分子が特定の温度にて有する熱エネルギーの平均量に指数関数的に依存することを提示している。
【0066】
反応における遷移状態は、本来の結合がその制限まで伸長する反応経路にそった、短命の状態(約10−14秒)である。定義によって、反応に対する活性化エネルギーEactは、その反応の遷移状態に達するために必要なエネルギーである。多数の段階が関与する反応は必然的に、多数の遷移状態を有し、これらの例において、反応に対する活性化エネルギーは、反応物とほとんどの不安定遷移状態間のエネルギー差に等しい。一旦遷移状態に達したならば、分子が元に戻り、したがって本来の反応物が再形成されるか、または新規の結合が形成されて、産物が発生し得る。両方の経路、フォワードおよびリバースが、結果としてエネルギーの放出となるので、この二分法が可能である。触媒は、遷移状態をもたらす活性化エネルギーを低下させることによって、反応工程を促進する。酵素は、特定の遷移状態を達成するのに必要なエネルギーを減少させる、生物学的触媒の例である。
【0067】
炭素−水素結合は、生来共有化学結合である。このような結合は、類似の電気陰性度の2つの原子が、それらの価電子を共有し、それによって一緒に原子を維持する力が作り出される場合に形成される。この力または結合力は、エネルギーのユニットで定量し、表現可能であり、このようなものとして、種々の原子間の共有結合を、結合を壊すか、または2つの原子を分離するために、どれくらいのエネルギーを適用しなければならないかに従って、分類可能である。
【0068】
結合力は、結合の基底状態振動エネルギーの絶対値に直接比例する。ゼロ点振動エネルギーとしても公知のこの振動エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存している。ゼロ点振動エネルギーの絶対値は、結合を増加させる1つまたは両方の原子の質量として増加する。重水素(D)は、水素(H)の二倍よりもさらに大きく、C−D結合は、相当するC−H結合よりも強い。C−D結合を有する化合物はしばしば、HO中で無制限に安定であり、同位体研究のために広く利用されてきている。C−H結合が、化学的反応における速度決定段階の間(すなわちもっとも高い遷移状態エネルギーをもつ段階)の間に破壊される場合、その水素を重水素に置換することによって、反応速度の減少が引き起こされ、工程が遅延し得る。この現象は、重水素速度論的同位体効果(Deuterium Kinetic Isotope Effect(DKIE))と呼ばれ、約1(同位体効果なし)〜50以上等の、非常に大きな数字の範囲であり得、このことは、反応が、水素が重水素で置換される場合よりも、50倍以上ゆっくりであり得ることを意味している。高いDKIE値は、部分的にトンネル現象と呼ばれる現象により、これは不確実な原理の結果である。トンネル現象は、小さな大きさの水素原子に起因し、プロトンが含まれる遷移状態がしばしば、必要な活性化エネルギーがない場合に形成されるので発生する。重水素はより大きく、統計学的に本現象が起こる可能性は非常に低い。三重水素での水素の置換が結果として、重水素よりもまたより強い結合となり、非常に大きな同位体効果を与える。
【0069】
Ureyによって1932年に発見されたように、重水素(D)は、水素の安定な、非放射性同位体である。純粋な形態で、その元素から分離された最初の同位体であり、水素の二倍の大きさを有し、地球上で水素の総重量の約0.02%(この使用において、すべての水素同位体を意味する)をなす。2つの重水素が1つの酸素と結合する場合、酸化重水素(DOまたは「重水(heavy water)」が形成される。DOは、HOのように見え、風味がするが、異なる物理的特性をもつ。101.41℃にて沸騰し、3.79℃にて凍結する。その熱容量、融解熱、気化熱、およびエントロピーはすべて、HOより大きい。それはまた、HOより粘度が高く、HOほど強力な溶媒ではない。
【0070】
純粋なDOを齧歯類に与えた場合、簡単に吸収され、通常動物によって消費される濃度の約80パーセントの平衡レベルに達する。毒性を誘導するのに必要な重水素の量は非常に高い。体内の水の0%〜15%がDOによって置換された場合、動物は健康であるが、対照(未処理)群と同様の早さで体重を増加することはできない。約15%〜約20%の体内の水がDOによって置換される場合、動物が興奮しやすくなる。約20%〜約25%の体内の水がDOによって置換される場合、動物は刺激した時に、頻繁にけいれんを起こすようになるほど興奮する。皮膚病変、脚および鼻口部における潰瘍、および尾の壊死が発生する。動物はまた、非常に活発になり、オスはほとんど制御不能になる。約30%の体内の水がDOに置換される場合、動物は食べることを拒絶し、昏睡状態になる。これらの体重は激しく減少し、その代謝速度は通常よりも非常に低下し、約30〜約35%のDOでの置換にて、死亡する。DOのために以前の体重の30%以上減少しない限り、効果は可逆的である。研究によってまた、DOの利用が、癌細胞の増殖を遅延させ、特定の抗腫瘍剤の細胞傷害性を増強可能であることも示されている。
【0071】
トリチウム(T)は、水素の放射性同位体であり、研究、融合反応器、ニュートロン発生器、および放射性医薬品にて利用される。トリチウムをリンと混合することによって、連続光源が提供され、一般に腕時計、コンパス、ライフル銃照準器および出口サインにて一般的に利用される技術である。トリチウムは、Rutherford、Oliphant、およびHarteckによって1934年に発見され、宇宙線がH分子と反応したときに、上層大気中で天然に産出される。トリチウムは、核に2つのニュートロンを有し、3に近い原子重量を有する水素原子である。非常に低い濃度で環境に天然に存在し、最も一般的には、無色無臭の液体TOとして見出される。トリチウムはゆっくりと壊れ(半減期=12.3年)、ヒト皮膚の外層を浸潤できない、低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被爆は、本同位体に関する主要な危険であり、著しい健康リスクをもたらすまで、大量に摂取されなくてはならない。重水素と比較されるように、危険レベルに達する前に、より少量のトリチウムが消費されなくてはならない。
【0072】
薬物動態(PK)、薬力学(PD)および毒性特性を改善するために、医薬品の重水素化が、いくつかのクラスの薬物ですでに示されている。例えば、DKIEを利用して、塩化トリフルオロアセチル等の反応種の生成をおそらく制限することによって、ハロタンの肝毒性を減少させた。しかしながら、本方法は、すべての薬物クラスに適用可能であるわけではない。例えば、重水素取り込みが、第I相酵素(例えばシトクロムP4503A4)の活性化から、より高速なオフレートを有する酸化中間体を与え得る、代謝スイッチングを導き得る。代謝スイッチングのコンセプトは、第I相酵素によって隔離した場合に、異種物が、一時的に結合し、化学反応(例えば酸化)の前に、種々の配座にて再結合し得ることを強く主張している。この仮説は、多くの第I相酵素における比較的大きなサイズの結合ポケットと、多くの代謝反応の混乱した特性によって支持される。代謝スイッチングは、潜在的に、公知の代謝物、ならびに新規の代謝物の異なる特性を導き得る。この新規代謝プロファイルは、程度の差はあるが毒性を与え得る。このような欠陥は、明らかでなく、これまで、任意の薬物クラスに関して先験的に十分に予測可能ではなかった。
【0073】
重水素化置換ピリジノン誘導体
ピルフェニドンは、置換ピリジノンベースの線維性媒介性調節因子および/またはコラーゲン浸潤調節因子である。ピルフェニドンの炭素−水素結合は、天然に存在する分布の水素同位元素、特にHすなわちプロチウム(約99.9844%)、Hすなわち重水素(約0.0156%)、およびHすなわちトリチウム(1018プロチウム原子当たり約0.5から67までのトリチウム原子)を含有する。重水素の取り込みのレベルの増加は、天然に存在するレベルの重水素を有する化合物と比較して、線維性媒介性調節因子および/またはコラーゲン浸潤調節因子の薬物動態学的、薬理学的および/または毒素学的プロファイルに影響を及ぼす可能性がある、検出可能な速度論的同位体効果(KIE)を生じ得る。
【0074】
ピルフェニドンは、メチル基を酸化することによりヒトにおいて代謝される可能性が高い。分子上の他の部位はまた、未知の薬理学/毒物学を用いて代謝物をもたらす変換を行い得る。これらの代謝物の生成を制限することは、このような薬物の投与の危険を減らす可能性があり、投与量を増大し、同時に効力を増大することさえ可能になる。これらの変換のすべては、多型的に発現した酵素を通して生じ、ひいては、患者間の変動に悪影響を及ぼし得る。さらに、多発性硬化症等の疾患には、対象が長期間24時間体制で投薬される場合、最良の処置である。前述の理由のすべてから、より半減期の長い薬は、より大きな効果があり、コスト削減しながら、これらの問題を軽減する、可能性が高い。
【0075】
種々の重水素化パターンは、多剤併用が集約的であっても、またはなくとも、a)歓迎されない代謝物を減少または排除するため、b)親薬剤の半減期を増大するため、c)所望の効果を達成するために必要とされる投与量を減らすため、d)所望の効果を達成するために必要とされる用量の量を減少するために、e)いずれかが形成された場合、活性代謝産物の形成を増大するために、および/またはf)特定の組織での破壊的な代謝産物の生成を減少するため、および/または多剤併用のためにいっそう有効な薬剤および/または安全な薬剤を作り出すために使用され得る。重水素化アプローチは、種々の酸化およびラセミ化機構を介した代謝を遅らせる強力な可能性がある。

【0076】
一態様において、構造式Iを有する化合物:
【化3】

(I)
またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを本明細書に開示し、式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素および重水素からなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素であり、
、R、R、R10、およびR11が重水素である場合、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは重水素である。
【0077】
別の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上の重水素濃縮を有する。
【0078】
さらに別の実施形態において、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0079】
さらに別の実施形態において、R、R、およびRは、重水素である。
【0080】
さらに別の実施形態において、Rは、重水素である。
【0081】
さらに別の実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0082】
さらに別の実施形態において、RおよびRは、重水素である。
【0083】
さらに別の実施形態において、RおよびRは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0084】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0085】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R10、およびR11は、重水素である。
【0086】
さらに別の実施形態において、R、R、およびRは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0087】
さらに別の実施形態において、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、水素である。
【0088】
さらに別の実施形態において、R、R、およびRは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0089】
さらに別の実施形態において、Rは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0090】
さらに別の実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1つは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0091】
さらに別の実施形態において、RおよびRは、重水素であり、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0092】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、重水素であり、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0093】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRは、重水素であり、R、R、R、R10、およびR11は、水素である。
【0094】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素であり、R、R、R、R、R、およびRは、水素である。
【0095】
さらに別の実施形態において、R、R、R、R10、およびR11は、重水素であり、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0096】
他の実施形態において、Rは、水素である。さらに他の実施形態において、Rは、水素である。さらなる他の実施形態において、Rは、水素である。さらに他の実施形態において、Rは、水素である。一部の実施形態において、Rは、水素である。さらに他の実施形態において、Rは、水素である。さらなる他の実施形態において、Rは、水素である。さらなる他の実施形態において、Rは、水素である。一部の実施形態において、Rは、水素である。他の実施形態において、R10は、水素である。さらに他の実施形態において、R11は、水素である。
【0097】
他の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。一部の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。さらに他の実施形態において、Rは、重水素である。一部の実施形態において、Rは、重水素である。他の実施形態において、R10は、重水素である。さらに他の実施形態において、R11は、重水素である。
【0098】
さらに他の実施形態において、式Iの化合物は、
【化4】

またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグからなる群から選択される。
【0099】
別の実施形態において、Dとして表される位置のうちの少なくとも1つは独立して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上の重水素濃縮を有する。
【0100】
さらなる実施形態において、該化合物は、実質的に、単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーおよび約10重量%以下の(+)エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーおよび約10重量%以下の(−)エナンチオマーの混合物、実質的に、個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーおよび約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーの混合物である。
【0101】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約60重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約40重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約70重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約30重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約80重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約20重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約90重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約10重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約95重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約5重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約99重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約1重量%以下の(+)エナンチオマーを含有する。
【0102】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約60重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約40重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約70重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約30重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約80重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約20重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約90重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約10重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約95重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約5重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、化合物の約99重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約1重量%以下の(−)エナンチオマーを含有する。
【0103】
本明細書に開示される重水素化合物はまた、炭素に関して13Cまたは14C、窒素に関して15N、および酸素に関して17Oまたは18Oが挙げられるが、これらに限定されない、他の元素に対して優勢ではない同位体も含有し得る。
【0104】
一実施形態において、本明細書に開示される重水素化合物は、実質的に最大認容用量を増加させ、毒性を減少させ、半減期(T1/2)を増加させ、最小有効量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させ、有効量を低下させ、したがって非機能関連毒性を減少させ、および/または薬物間の相互作用の可能性を低下させつつ、相当する非同位体濃縮分子の有益な態様を維持する。
【0105】
水素同位体は、取り込み率が先に判定される、重水素化試薬を利用する合成技術によって、および/または、取り込み率が平衡条件により判定される、交換技術によって、本明細書に開示される化合物内に導入可能であり、反応条件に依存して非常に変化し得る。トリチウムまたは重水素を直接、および特異的に、公知の同位体含量のトリチウム化または重水素化試薬によって挿入する合成技術が、高いトリチウムまたは重水素の存在をもたらし得るが、しかし、要求される化学反応によって制限され得る。さらに、標識されている分子を、使用する合成反応の重度に依存して、変化させてよい。一方で、変換技術は、より低いトリチウムまたは重水素取り込みをもたらすが、別の合成段階を必要とせず、標識化されている分子の構造を崩壊させる可能性が少ないという利点を提供する。
【0106】
本明細書に開示される化合物は、当業者に公知の方法およびその日常的改変によって、および/または本明細書の実施例の項目にて記述されたものと同様の手順、およびその日常的改変、および/またはEsaki et al Tetrahedron 2006,62,10954−10961、Smith et al Organic Syntheses 2002,78,51−56、米国特許第US3,974,281号および国際公開第WO2003/014087号、ならびに本明細書で引用された参考文献にて見出される手順、およびその日常的改変に従って調製することができる。本明細書に開示される化合物はまた、以下のスキームのいずれかにて示されるように、およびその日常的改変により調製することもできる。
【0107】
例えば、本明細書に開示されるある化合物を、スキーム1および2に示したように調製することができる。
スキーム1
【化5】

【0108】
アミノピリドン1は、炭酸カリウム等の塩基と処理し、銅粉等の銅含有試薬の存在下で、溶媒の有無にかかわらず、高温で、ベンゼン2(式中、Xは、臭素あるいはヨウ素のいずれかである)と反応する場合、式1のN−アリールピリジノン3を得た。
【0109】
適切な重水素化中間体を使用することによって、スキーム1に示される合成手段によって、重水素が、合成的に異なる位置に組み込まれる。例えば、R、R、R、R、R、およびRの位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する2−ヒドロキシ−5−ピコリンを使用することができる。R、R、R、R10、およびR11から選択される1つ以上の位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する適切なハロベンゼンを使用することができる。これらの重水素化中間体は、商業的に入手可能であるか、または当業者に公知の方法、または本明細書の実施例の項目にて記載されたものに同様の方法、およびその日常的な改変によって調製される。
【0110】
また、プロトン‐重水素平衡交換を介して、重水素を、交換可能なプロトンを有する種々の位置に組み込むこともできる。このようなプロトンを、当技術分野で公知のプロトン−重水素交換法を介して、選択的に、または非選択的に重水素と交換してよい。
スキーム2
【化6】

【0111】
6−ヒドロキシニコチン酸(4)は、塩化チオニルおよびメタノールと反応し、メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(5)を得、それは、ジクロロメタン中で酢酸銅(II)一水和物、ピリジン、および分子篩の存在下で、フェニルボロン酸と結合させ、メチル−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(6)を得た。化合物6は、テトラヒドロフラン水中で水酸化リチウム一水和物で加水分解され、6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸7を得た。酸7は、テトラヒドロフラン中のN−メチルモルホリンの存在下で、クロロギ酸イソブチルと反応させ、テトラヒドロフラン中の重水素化ホウ素ナトリウムで還元される混合した無水物を得て、d−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(8)を得た。化合物8は、ジクロロメタン中の三臭化リンと反応させることにより、d−5−ブロモメチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン(9)に変換される。臭化物9は、重水素化リチウムアルミニウムで還元され、式(I)のd−5−(メチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(10)を得た。
【0112】
本明細書に開示される化合物は、「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」Eliel and Wilen,John Wiley&Sons,New York,1994,pp.1119−1190にて記載されるように、1つ以上のキラル中心、キラル軸、および/またはキラル平面を含有し得ることを理解されたい。このようなキラル中心、キラル軸およびキラル平面は、(R)または(S)配座いずれかであるか、またはその混合物であってよい。
【0113】
少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を含有する組成物を特性化するための別の方法は、偏光のビームにおける、組成物の効果によるものである。平面偏光のビームが、キラル化合物の溶液を通過する場合、現れる光の極性の平面は、本来の平面に対して回転する。この現象は、光学活性として公知であり、偏光の平面を回転させる化合物は、光学的に活性であるといわれる。化合物の1つのエナンチオマーが、偏光のビームを一方向に回転させ、他のエナンチオマーが、偏光のビームを反対の方向に回転させる。時計回り方向に偏光を回転させるエナンチオマーが、(+)エナンチオマーであり、反時計回り方向に偏光を回転させるエナンチオマーが、(−)エナンチオマーである。本明細書に開示される化合物の0〜100%の(+)および/または(−)エナンチオマーを含有する組成物が、本明細書に記載される組成物の範囲内に含まれる。
【0114】
本明細書に開示される化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、化合物は、幾何学的cis/trans(またはZ/E)異性体の1つまたは混合物として存在し得る。構造的同位体は、低エネルギーバリアを介して相互交換的である場合、本明細書に開示される化合物は、単一の互変体または互変体の混合物として存在し得る。これは、例えば、イミノ、ケト、またはオキシム基を含有する本明細書に開示される化合物中のプロトン互変異性の形態を取り得る、または芳香族部位を含有する化合物中の原子価互変異性と呼ばれる形態をとり得る。単一化合物は、1つ以上の異性の型を示し得る、ということに従う。
【0115】
本明細書に開示される化合物は、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマー等の、鏡像異性的に純粋であり得、またはエナンチオマーの混合物、ラセミ混合物、またはジアステレオマー混合物のように、立体異性体混合物であり得る。このようなものとして、当業者は、その(R)形態での化合物の投与が、生体内でエピマー化を受けている化合物に関して、その(S)形態での化合物の投与と等価であることを認識する。個々のエナンチオマーの調製/単離に関する従来の技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラルクロマトグラフィー、再結晶、分解、ジアステレオマー塩形成、またはジアステレオマー添加物への誘導化後の分離を用いる、ラセミ体の分解が含まれる。
【0116】
本明細書に開示される化合物が、酸性または塩基性部分を含有する場合、また医薬上許容し得る塩として開示されてよい(Berge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19、および「医薬用塩、特性および利用のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use,)」Stah and Wermuth,Ed.;Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002参照)。
【0117】
医薬上許容し得る塩の調製のために好適な酸としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化塩素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、およびバレリアン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
医薬上許容し得る塩の調製のために好適な塩基としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、または水酸化ナトリウム等の無機塩基、L−アルギニン、ベンタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン類、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールおよびトロメタミンを含む第一級、第二級、第三級および第四級、脂肪族および芳香族アミン類等の有機塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書に開示される化合物は、本明細書に開示される化合物の機能的誘導体であり、生体内で簡単に親化合物に変換可能である、プロドラッグとして設計されてよい。プロドラッグはしばしば、一部の例において、親化合物よりも投与するのが簡単であり得るので、有用である。これらは、例えば、親化合物がそうではない一方で、経口投与によってバイオアベイラブルであり得る。プロドラッグはまた、親化合物に対して、医薬組成物中での可溶性が増強され得る。プロドラッグは、酵素処理および代謝加水分解を含む、種々の機構によって、親薬物に変換され得る。Harper, Progress in Drug Research 1962,4,221−294、Morozowich et al.in “Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1977、“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application,”Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1987、“Design of Prodrugs,”Bundgaard, Elsevier,1985、Wang et al., Curr.Pharm.Design 1999,5,265−287、Pauletti et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.1997,27,235−256、Mizen et al.,Pharm.Biotech.1998,11,345−365、Gaignault et al.,Pract.Med.Chem.1996,671−696、Asgharnejad in “Transport Processes in Pharmaceutical Systems,” Amidon et al.,Ed., Marcell Dekker,185−218,2000、Balant et al.,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.1990,15,143−53、Balimane and Sinko, Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183−209、Browne,Clin. Neuropharmacol. 1997,20,1−12;Bundgaard,Arch. Pharm. Chem. 1979,86,1−39、Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179−96、Bundgaard, Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1−38、Fleisher et al.,Adv.Drug Delivery Rev. 1996,19,115−130、Fleisher et al., Methods Enzymol.1985,112,360−381、Farquhar et al.,J.Pharm. Sci.1983,72,324−325、Freeman et al.,J.Chem. Soc., Chem. Commun.1991,875−877、Friis and Bundgaard, Eur. J. Pharm. Sci.1996,4,49−59、Gangwar et al.,Des.Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs,1977,409−421、Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866−94、Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241−273、Stella et al.,Drugs 1985,29,455−73、Tan et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,117−151、Taylor, Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,131−148、Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148−155、Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63−80、Waller et al., Br. J. Clin. Pharmac. 1989,28,497−507参照。
【0120】
医薬組成物
本明細書に開示されるのは、活性成分として、医薬上許容し得るビヒクル、担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその混合物と組み合わせて、またはその混合物として、すなわち、1つ以上の医薬上許容し得る賦形剤または担体との組み合わせにおいて、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む医薬組成物である。
【0121】
本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、すなわち、本明細書に記載される1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、改変放出剤形における医薬組成物である。適切な改変放出剤形のビヒクルとしては、親水性または疎水性マトリックスデバイス、水溶性の分離層コーティング、腸溶コーティング、浸透性デバイス、多粒子デバイス、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。該医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0122】
本明細書にさらに開示されるのは、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、すなわち、腸溶剤形における使用のための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、腸溶剤形における医薬組成物である。該医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0123】
本明細書にさらに開示されるのは、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、すなわち、発泡剤形における使用のための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、発泡剤形における医薬組成物である。該医薬組成物はまた、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0124】
さらに、瞬間放出成分と、少なくとも1種の遅延放出成分を有し、0.1〜最大24時間の間隔の少なくとも2つの連続パルスの形で化合物を不連続放出させることが可能な剤形の医薬組成物を、開示する。該医薬組成物は、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、すなわち、崩壊性(disruptable)半透膜に適している賦形剤または担体、および膨潤性物質等の、1つ以上の放出制御および非制御賦形剤または担体を含む。
【0125】
また、本明細書に開示されるのは、本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、すなわち、部分的にアルカリで中和され、陽イオン交換能を有する胃液耐性の層状ポリマー材料および胃液耐性の外層を含む反応中間層に囲まれた、1つ以上の医薬上許容し得る賦形剤または担体を含む、対象への経口投与のための剤形における医薬組成物である。
【0126】
本明細書に開示されるのは、経口投与のためにフィルム被覆された即効性錠剤の形態で、約0.1から約1000mgまで、約1から約500mgまで、約2から約100mgまで、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む医薬組成物である。該医薬組成物には、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムクロスカルメロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピレングリコール、二酸化ケイ素、ソルビン酸、ソルビタンモノオレエート、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、およびバニリンをさらに含む。
【0127】
本明細書に提供されるのは、経口投与のためにフィルム被覆された即効性錠剤の形態で、約0.1から約1000mgまで、約1から約500mgまで、約2から約250mgまで、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む医薬組成物である。該医薬組成物には、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ナトリウムクロスカルメロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポビドン、プロピレングリコール、ソルビン酸、ソルビタンモノオレエート、二酸化チタン、およびバニリンをさらに含む。
【0128】
本明細書に提供されるのは、経口投与のためにフィルム被覆された徐放性錠剤の形態で、約0.1から約1000mgまで、約1から約500mgまで、約2から約250mgまで、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む医薬組成物である。該医薬組成物は、セルロースポリマー、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、プロピレングリコール、ソルビン酸、ソルビタンモノオレエート、タルク、二酸化チタン、およびバニリンをさらに含む。
【0129】
本明細書に提供されるのは、経口懸濁液のために顆粒の形態で、約0.1から約1000mgまで、約1から約500mgまで、約2から約250mgまで、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む医薬組成物である。該医薬組成物は、カルボマー、ヒマシ油、クエン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、マルトデキストリン、ソルビン酸カリウム、ポビドン、二酸化ケイ素、ショ糖、キサンタンガム、二酸化チタン、およびフルーツパンチ風味をさらに含む。
【0130】
本明細書に開示される医薬組成物は、単位剤形または複数剤形で開示されてよい。本明細書に使用される、単位剤形とは、ヒトおよび動物対象への投与に適し、当技術分野で公知のように個別包装された、物理的に別個の単位を指す。それぞれの単位剤形は、所望の治療効果を生むのに十分な所定量の活性成分を、必要な医薬担体または賦形剤と一緒に含む。単位剤形の例としては、アンプル剤、注射剤、および個別包装された錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位剤形は、画分でまたはそれを複数で投与することができる。複数剤形は、単位剤形を分離して投与するために、単一の容器内に包装された、複数の同一の単位剤形である。複数剤形の例としては、ガラス瓶、錠剤もしくはカプセル剤用の瓶、または1パイントもしくは1ガロン瓶が挙げられる。
【0131】
本明細書に開示される化合物は、単独で、または本明細書に開示される1つ以上の他の化合物、1つ以上の他の活性成分と組み合わせて、投与することができる。本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物は、経口投与、非経口投与、および局所投与のための種々の剤形に製剤化することができる。該医薬組成物はまた、遅延放出剤形、徐放性剤形、長期放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形、ならびに胃内貯留剤形等の改変放出剤形として製剤化することもできる。これらの剤形は、当業者に公知である従来の方法および技術に従って調製することができる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,上記参照、Modified−Release Drug Deliver Technology,Rathbone et al.,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,2002;Vol.126参照)。
【0132】
本明細書に開示される医薬組成物は、単回投与、または時間の間隔を置いて複数回投与することができる。正確な用量および治療の持続期間は治療される患者の年齢、体重、および状態によって変化すると認識されており、かつ、公知の試験手順を用いて、または生体内試験または体外試験または診断データからの推定によって経験的に判定することができる。さらに、任意の特定個人に対して、個々の必要性および、製剤投与の個人管理または監督についての専門家の判断に従って、長期にわたり特定の用量管理を調節すべきであると認識されている。
【0133】
患者の状態が改善されない場合には、本化合物の投与については医師の裁量で、患者の疾病または疾患の症状を改善する、そうでなければ制御または制限するために、慢性的に、すなわち長期間にわたって(患者の生命が存続している間中、等)投与してよい。
【0134】
患者の状態が改善される場合には、本化合物の投与については、医師の裁量で、連続して、またはある一定期間、一時停止してよい(すなわち、「休薬期間」)。
【0135】
患者の状態改善が起こった時点で、必要であれば維持量を投与する。その後、症状に応じて、投与の用量または頻度、またはその両方を、疾病、疾患または状態が改善された状態で維持されるレベルまで減らすことができる。しかしながら、患者は、任意の症状の再発に際して、長期的に断続的な治療を要求することができる。
【0136】
A.経口投与
本明細書に開示される医薬組成物は、経口投与用に、固体、半固体、または液体の剤形で製剤化してよい。本明細書に使用される経口投与はまた、口腔投与、舌投与、および舌下投与も含まれる。適切な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸薬、トローチ、薬用キャンデー、芳香錠、カシェ剤、ペレット剤、薬用チューイングガム、顆粒剤、原末、発泡性または非発泡性粉末剤もしくは顆粒剤、溶液、エマルション、懸濁剤、溶液、ウエハース、噴霧剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、該医薬組成物は、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色流れ阻害剤、甘味剤、香料添加剤が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の医薬上許容し得る担体または賦形剤を含有し得る。
【0137】
結合剤または顆粒化剤は錠剤にまとまりを与えて圧縮後に錠剤が確実に原型を保てるようにする。適切な結合剤または顆粒化剤としては、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびプレゼラチン化デンプン(例えば、STARCH 1500)等のデンプン類、ゼラチン、ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、糖液、および乳糖等の糖類、アカシア、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワルゴム(Panwar gum)、ガッチゴム(ghatti gum)、イサゴール(isabgol)外皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツのアラボガラクタン(larch arabogalactan)、トラガカント末、およびグアーガム等の天然ゴムおよび合成ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、等のセルロース類、AVICEL‐PH‐101、AVICEL‐PH‐103、AVICEL RC‐581、AVICEL‐PH‐105(FMC Corp,Marcus Hook,PA)等の微結晶性セルロース類、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤または充填剤は、本明細書に開示される医薬組成物において、約50〜約99重量%存在してよい。
【0138】
適切な希釈剤としては、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、ショ糖、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられるが、これらに限定されない。マンニトール、乳糖、ソルビトール、ショ糖、およびイノシトール等の特定の希釈剤は、十分な量が存在する場合には、一部の圧縮錠剤に対して、口の中で咀嚼することによって崩れる性質を与えることができる。このような圧縮錠剤は、噛み砕ける錠剤として使用できる。
【0139】
適切な崩壊剤としては、寒天、ベントナイト、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース等のセルロース類、木材生産物、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガムおよびVeegum HV等のゴム類、かんきつ類の果肉、クロスカルメロース等の架橋セルロース類、クロスポビドン等の架橋ポリマー類、架橋デンプン、炭酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム等の微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium)、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびプレゼラチン化デンプン等のデンプン類、粘土、aligns、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される医薬組成物における崩壊剤の量は、製剤の種類によって異なり、当業者に容易に識別できる。本明細書に開示される医薬組成物は、約0.5〜約15重量%、または約1〜約5重量%の崩壊剤を含有し得る。
【0140】
適切な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール類、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油、および大豆油等の硬化植物油、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、デンプン、ヒカゲノカズラ、AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)およびCAB‐O‐SIL(登録商標)(Boston,MAのCabot Co.)等のシリカまたはシリカゲル、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される医薬組成物は、約0.1〜約5重量%の滑沢剤を含有し得る。
【0141】
適切な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、CAB‐O‐SIL(登録商標)(Boston,MAのCabot Co.)、およびアスベスト不使用のタルクが挙げられる。着色剤としては、任意の、認可、認定された、水溶性FD&C染料およびアルミナ白に懸濁させた不水溶性FD&C染料、およびレーキ顔料、およびそれらの混合物が挙げられる。レーキ顔料は、水溶性染料を重金属の水和酸化物に吸着させて、不溶性の染料にした合成品である。香料添加剤としては、果実類等の植物から抽出した天然香料および、ペパーミントおよびメチルサリチル酸等の口当たりが良い感覚を生ずる化合物を合成的に混合したものが挙げられる。甘味剤としては、ショ糖、乳糖、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテーム等の人口甘味料が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)、およびトリエタノールアミンオレアート等の界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。防腐剤としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロプルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶剤としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。エマルションに用いられる非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0142】
当然のことながら、多くの担体および賦形剤が、同一の製剤内においてさえもいくつもの機能をなし得る。
【0143】
本明細書に開示される医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブルドロップ、速溶性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠、糖衣錠もしくはフィルム被覆錠として製剤化してよい。腸溶コーティング錠は、胃の作用には耐えるが、腸内で溶解または分解する物質で被覆した圧縮錠剤で、活性成分を胃の酸性環境から保護する。腸溶コーティング剤としては、脂肪酸、脂質、サリチル酸フェニル、ワックス類、セラックニス、アンモニア処理したセラックニス、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖衣に囲まれた圧縮錠剤で、好ましくない味またはにおいを隠すこと、ならびに錠剤を酸化から保護することに有効であり得る。フィルム被覆錠は、水溶性材料の薄層または薄膜で被覆した圧縮錠剤である。フィルムコーティング剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングにより糖衣と同様の一般的特徴が得られる。多重圧縮錠剤は、層状錠剤および、加圧コーティング錠剤もしくは乾燥コーティング錠剤等の、2回以上の圧縮周期によって作られた圧縮錠剤である。
【0144】
錠剤の剤形は、粉末状、結晶状、もしくは顆粒状の活性成分を単独で、または結合剤、崩壊剤、放出制御ポリマー、滑沢剤、希釈剤、および/または着色剤等を含む、1つ以上の本明細書に記載される担体または賦形剤と組み合わせて、調製可能である。香料添加剤および甘味剤は、チュアブル錠およびチュアブルドロップの形成において特に有効である。
【0145】
本明細書に開示される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製できる、ソフトカプセルまたはハードカプセルとして製剤化してよい。ハードゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られ、2つの部分からなり、片方が他方を覆って滑り降りるので、活性成分を完全に封入できる。弾性ソフトカプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化した、軟らかい、ゼラチンの殻等の球状の殻である。軟らかいゼラチン殻には、微生物の増殖を防ぐ為の防腐剤を含有し得る。適切な防腐剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸を含む、本明細書に記載されるものである。本明細書に開示される液体、半固体、および固体の剤形は、カプセル中に封入してよい。適切な液体および半固体の剤形としては、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリド類の溶液および懸濁剤が挙げられる。このような溶液を含有するカプセルは、米国特許第4,328,245号、第4,409,239号、および第4,410,545号に記載されるように調製することができる。カプセルはまた、活性成分の溶解性を改良するためまたは持続させるために、当業者に公知のように被覆してよい。
【0146】
本明細書に開示される医薬組成物は、エマルション、溶液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤を含む、液体または半固体の剤形で製剤化されてもよい。エマルションは、一方の液体が他方の液体全体に小球状に分散している2相系であり、水中油型または油中水型であり得る。エマルションは、医薬上許容し得る非水性の液体または溶媒、乳化剤、および防腐剤を含み得る。懸濁剤は、医薬上許容し得る懸濁化剤および防腐剤を含み得る。水性アルコール溶液は、医薬上許容し得る、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(「低級」という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキルを意味する)等のアセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール、ならびにプロピレングリコールおよびエタノール等の、1つ以上の水酸基を有する水混和性溶媒を含み得る。エリキシル剤は、透明な、甘味がある、含水アルコール溶液である。シロップ剤は、例えば、ショ糖等の糖の濃縮水溶液であり、また、防腐剤を含有し得る。液体の剤形については、例えば、ポリエチレングリコール溶液を、例えば、水等の十分な量の医薬上許容し得る液体担体で希釈し、投与のために簡便に測定することができる。
【0147】
他の有用な液体および半固体の剤形としては、本明細書に開示される活性成分(1種または複数種)を含有するもの、ならびに、1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(但し、350、550、および750はポリエチレングリコールのおよその平均分子量を指す)を含む、ジアルキル化されたモノ−またはポリ−アルキレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。これらの製剤はさらに、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピン酸、およびそのエステル、ならびにジチオカルバミン酸等の1つ以上の抗酸化剤を含み得る。
【0148】
本明細書に開示される経口投与のための医薬組成物はまた、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、またはナノ系の形で製剤化してよい。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されるように調製することができる。
【0149】
本明細書に開示される医薬組成物は、液体の剤形に再構成できるように、非発泡性または発泡性の顆粒および粉末として製剤化してよい。非発泡性の顆粒または粉末に用いられる、医薬上許容し得る担体および賦形剤としては、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤が挙げられる。発泡性の顆粒または粉末に用いられる、医薬上許容し得る担体および賦形剤としては、有機酸および二酸化炭素源を含み得る。
【0150】
着色剤および香料添加剤は、上記の剤形のすべてに用いることができる。
【0151】
本明細書に開示される医薬組成物は、遅延放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、およびプログラムされた放出剤形を含む、即効性剤形または、改変放出剤形として製剤化してよい。
【0152】
本明細書に開示される医薬組成物は、所望の治療作用を損なうことのない他の活性成分と、またはドロトレコギンα、およびヒドロコルチゾン等の所望の作用を補足する物質と共に製剤化してよい。
【0153】
B.非経口投与
本明細書に開示される医薬組成物は、局所投与または全身投与のために、注射、注入、またはインプラントによる非経口で投与してよい。本明細書に使用される非経口投与には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、くも膜下投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、骨液嚢内投与、および皮下投与が含まれる。
【0154】
本明細書に開示される医薬組成物は、溶液剤、懸濁剤、エマルション、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ系、および、注射前に溶液または懸濁剤に液化するのに適している固体形を含む、非経口投与に適している任意の剤形に製剤化してよい。このような剤形は、薬学の当業者に公知の従来の方法に従って調製することができる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記参照)。
【0155】
非経口投与を対象とした医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水溶性ビヒクル、抗菌剤または微生物の増殖に対する防腐剤、安定剤、溶解度増加剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁および分散剤、湿潤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖またはキレート剤、凍結防止剤、分散防止剤、増粘剤、pH調整剤、および不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の医薬上許容し得る担体および賦形剤を含み得る。
【0156】
適切な水性ビヒクルとしては、水、生理食塩水(saline)、生理食塩水(physiological saline)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射、Ringers注射、等張性のデキストロース注射、滅菌水注射、デキストロースおよび乳酸Ringers注射が挙げられるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルとしては、植物由来の固定油、ヒマシ油、とうもろこし油、綿実油、オリーブ油、ピーナツ油、ペパーミント油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、硬化植物油、硬化大豆油、およびココナツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルとしては、エタノール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
適切な抗菌剤または防腐剤としては、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、およびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載されるものである。適切な局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられるが、これに限定されない。適切な懸濁および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む、本明細書に記載されるものである。適切な乳化剤としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン80、およびオレイン酸トリエタノールアミンを含む、本明細書に記載されるものが挙げられる。適切な金属イオン封鎖またはキレート剤としては、EDTAが挙げられるが、これに限定されない。適切なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な錯化剤としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex,Lenexa,KS)等のシクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
本明細書に開示される医薬組成物は、単回投与または複数回投与用に製剤化することができる。単回投与用量は、アンプル、バイアル、または注射器に包装される。複数用量の非経口剤形は、静菌性または静真菌性濃度で抗菌剤を含有する必要がある。すべての非経口製剤は、当技術分野で公知かつ実践されているように滅菌される必要がある。
【0159】
一実施形態において、医薬組成物は、そのまま使用できる滅菌溶液として製剤化される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルを用いて再構成するために、凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含み、滅菌した乾燥溶解性製品として製剤化される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、そのまま使用できる滅菌懸濁剤として製剤化される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前にビヒクルを用いて再構成するための、滅菌した乾燥不溶性製品として製剤化される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、そのまま使用できる滅菌エマルションとして製剤化される。
【0160】
本明細書に開示される医薬組成物は、遅延放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、およびプログラムされた放出剤形を含む、即効性剤形または改変放出剤形として製剤化してよい。
【0161】
医薬組成物は、埋め込みデポとして投与するために、懸濁剤、固体、半固体、または揺変性液体として製剤化してよい。一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、体液には不溶性だが、医薬組成物中の活性成分はそれを通して拡散できるような高分子外膜に囲まれた、固体の内部基質中に分散される。
【0162】
適切な内部基質としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸ケイ素共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル等の親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋した部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
【0163】
適切な高分子外膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのアイオノマー、ブチルゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元重合体、およびエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体が挙げられる。
【0164】
C.局所投与
本明細書に開示される医薬組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所的に投与することができる。本明細書に使用される局所投与には、皮膚(内)投与、結膜投与、角膜内投与、眼内投与、経眼投与、経耳投与、経皮投与、経鼻投与、膣内投与、尿道内投与、呼吸器投与、および直腸投与が含まれる。
【0165】
本明細書に開示される医薬組成物は、局所的なまたは全身的な効果のための局所投与に適している任意の剤形で製剤化することができ、それらとしては、エマルション、溶液剤、懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤、軟膏、散布剤、包帯剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト剤、フォーム剤、フィルム剤、エアロゾル剤、潅注剤、スプレー剤、坐薬、包帯、皮膚パッチが挙げられる。本明細書に開示される医薬組成物の局所製剤には、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、ナノ系、およびそれらの混合物も含まれ得る。
【0166】
本明細書に開示される局所製剤のために適している医薬上許容し得る担体および賦形剤としては、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、細菌の増殖に対する抗菌剤または保存剤、安定化剤、可溶性増強剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁および分散剤、湿潤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、浸潤増強剤、抗凍結剤、抗親液剤、増粘剤および不活性気体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
医薬組成物はまた、エレクトロポレーション、イオントフォレーゼ、ホノフォレシス、ソノフォレシス、およびPOWDERJECT(登録商標)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)、およびBIOJECT(登録商標)(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)等の、ミクロニードルまたはニードルなしの注射によって、局所に投与してよい。
【0168】
本明細書に開示される医薬組成物は、軟膏、クリーム、およびゲルの形態で製剤化してよい。好適な軟膏賦形剤には、豚脂、安息香豚脂、オリーブ油、木綿油および他の油、白色ペトロラタム等のものを含む、脂肪性または炭化水素ビヒクル、親水性ペトロラタム、ヒドロキシステアリン硫酸および無水ラノリン等の乳化または吸収ビヒクル、親水性軟膏等の水着脱ビヒクル、種々の分子量のポリエチレングリコールを含む、水溶性軟膏ビヒクル、セチルアルコール、グリセリル一ステアリン酸、ラノリンおよびステアリン酸を含む油中水(W/O)エマルションまたは水中油(O/W)エマルションのいずれかの、エマルションビヒクルが含まれる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記参照)。これらのビヒクルは、皮膚軟化剤であるが、一般的に、抗酸化剤および保存剤の添加を必要とする。
【0169】
好適なクリーム基剤は、水中油または油中水であり得る。クリームビヒクルは、水洗浄可能であり得、油相、乳化剤および水性相を含有する。油相はまた、「内部(internal)」相とも呼ばれ、一般に、ペトロラタムとセチルまたはステアリルアルコール等の脂肪族アルコールからなる。水相は通常、容量にて油相を上回り、一般に、保湿剤を含有するが、必ずしもそうである必要はない。クリーム製剤内の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性界面活性剤であってよい。
【0170】
ゲルは、半固体、懸濁型系である。単一相ゲルは、液体担体を通して実質的に均質に分散した、有機巨大分子を含有する。好適なゲル化剤には、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標)等の架橋アシル酸ポリマー、酸化ポリエチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコール等の親水性ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメチルセルロース等のセルロース性ポリマー、トラガカントおよびキサンタンガム等のガム、アルギン酸ナトリウムおよびゼラチンが含まれる。均質ゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリン等の分散剤を加えることができ、またはゲル化剤を、粉砕、機械的混合および/または撹拌によって分散可能である。
【0171】
本明細書に開示される医薬組成物は、座薬、ペッサリー、ブーギー、湿布またはパップ、練り粉、粉末、包帯、クリーム、硬膏、避妊薬、軟膏、溶液、エマルション、懸濁剤、タンポン、ゲル、泡、スプレーまたはかん腸の形態で、直腸、尿道、膣または腹膜膣に投与してよい。これらの剤形は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記参照)にて記載される従来の工程を用いて製造可能である。
【0172】
直腸、尿道、および膣座薬は、通常温度では固体であるが、体温で融解するか、または軟化して、活性成分(類)を開口部内に放出する、体開口部内への挿入のための固体である。直腸および膣座薬に利用される医薬上許容し得る担体には、本明細書に開示される医薬組成物と製剤化したときに、体温の近くで融点を生じ、硬化剤と、亜硫酸水素塩およびメタ亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載される抗酸化剤等の、基剤またはビヒクルが含まれる。好適なビヒクルとしては、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ロウ、パラフィン、白色および黄色ワックス、および脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリドの適切な混合物、ポリビニルアルコール等のハイドロゲル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸、グルセリン化ゼラチンが挙げられるが、これらに限定されない。種々のビヒクルの組み合わせを使用してよい。直腸および膣座薬は、加圧法または成形によって調製してよい。典型的な直腸および膣座薬の質量は、約2〜約3gである。
【0173】
本明細書に開示される医薬組成物は、溶液剤、懸濁剤、軟膏、エマルション、ゲル形成溶液、溶液のための粉末、ゲル、眼球挿入物、およびインプラントの形態で、眼に投与してよい。
【0174】
本明細書に開示される医薬組成物は、鼻腔内に、または気道への吸入によって投与してよい。医薬組成物は、単独、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の好適な高圧ガスとの組み合わせで、加圧容器を用いた送達のためのエアゾルまたは溶液、ポンプ、スプレー、微細なミストを産出するために電子流体力学を用いる噴霧器等の噴霧器、またはネブライザーの形態で製剤化してよい。医薬組成物はまた、単独、またはラクトースまたはリン脂質等の不活性担体との組み合わせで、吹送のための乾燥粉末、および点鼻剤として製剤化してよい。鼻腔内使用のために、粉末は、キトサンまたはシクロデキストリンを含む、生体接着剤を含み得る。
【0175】
加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器、またはネブライザーで用いる溶液または懸濁剤は、本明細書に開示される活性成分を分散し、可溶化し、または徐放するためのエタノール、水性エタノール、または好適な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、および/または三オレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸等の界面活性剤を含有するように製剤化してよい。
【0176】
本明細書に開示される医薬組成物を、約50マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下のように、吸入による送達に適している大きさに微粉にしてよい。このような大きさの粒子は、らせんジェット製粉、流体床ジェット粉砕、ナノ粒子を形成するための臨界超過流体処理、高圧均質化または噴霧乾燥等の、当業者に公知の粉砕方法を用いて調製可能である。
【0177】
吸入または吸入器で用いるカプセル、ブリスター、およびカートリッジを、本明細書に開示される医薬組成物、ラクトースまたはデンプン等の好適な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム等の性能改変物の粉末混合物を含有するように製剤化してよい。ラクトースは、無水物であるか、または一水和物の形態であってよい。他の好適な賦形剤または担体には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。吸入/鼻腔内投与のための本明細書に開示される医薬組成物はさらに、メンソールおよびレボメンソール等の好適な香味料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウム等の甘味料を含み得る。
【0178】
局所投与のための本明細書に開示される医薬組成物を、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラムされた放出を含む、即効性放出または改変放出であるように製剤化してよい。
【0179】
D.改変放出
本明細書に開示される医薬組成物は、改変放出剤形として製剤化してよい。本明細書に使用される「改変放出(modified release)」という用語は、活性成分(類)の放出の速度または位置が、同一の経路によって投与される場合に、即効性剤形のものとは異なる、剤形を指す。可変放出剤形には、遅延放出剤形、徐放性錠剤、長期放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形、ならびに胃貯留剤形が含まれる。改変放出剤形における医薬組成物は、マトリックス制御放出器具、浸透圧制御放出器具、多重微粒子制御放出器具、イオン−交換樹脂、腸溶性コーティング、多重層化コーティング、ミクロスフィア、リポソームおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、当業者に公知の種々の改変放出器具および方法を用いて調製することができる。活性成分(類)の放出速度はまた、活性成分(類)の粒子の大きさおよび多型性を変更することによって改変することもできる。
【0180】
改変放出の例としては、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号、および第6,699,500号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
1.マトリックス制御放出器具
改変放出剤形において本明細書に開示される医薬組成物を、当業者に公知のマトリックス制御放出器具を用いて加工してよい(Takada et al in “Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,”Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley,1999参照)。
【0182】
一実施形態において、改変放出剤形において本明細書に開示される医薬組成物は、合成ポリマーを含む、水膨潤性、浸食または可溶性ポリマーである、浸食マトリックス器具、ならびにポリサッカライドおよびタンパク質等の天然に存在するポリマーおよび誘導体を用いて製剤化する。
【0183】
浸食マトリックスを形成することにおいて有用な材料としては、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン、ガム寒天、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガッチガム、グアーガム、キサンタンガムおよびスクレログルカン、デキストリンおよびマルトデキストリン等のデンプン、ペクチン等の親水性コロイド、レシチン等のホスファチド、アルギン酸、プロピレングリコールアルギン酸、ゼラチン、コラーゲン、およびエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、ブチル酸セルロース(CB)、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸トリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)等のセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、ロームアメリカ社(Rohm America,Inc.)、Piscataway,NJ)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メチルアクリレート)、ポリアクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー、分解可能乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸、およびブチルメタクリレート、メチルメトアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および塩化(トリメチルアミノエチル)メタクリレート等の他のアクリル酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
さらなる実施形態において、医薬組成物を、非浸食マトリックス器具とともに製剤化する。活性成分(類)を、不活性マトリックス内に溶解または分散させ、まず、一旦投与したときに、不活性マトリックスを介した拡散によって放出される。非浸食マトリックス器具としての使用に適している材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロライド、メチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニル酢酸コポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、酢酸ビニルとのビニルクロライドコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタル酸、ブチルラバーエピクロヒドリンラバー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニル酢酸/ビニルアルコールテルポリマーおよびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、塩化ポリビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ラバー、シリコーンラバー、ポリジメチルシロキサン、シリコーン炭酸コポリマー等の不溶性プラスチック、およびエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋され、部分的に加水分解されたポリビニル酢酸等の親水性ポリマー、ならびにカルナウバワックス、微晶質性ワックス、およびトリグリセリド等の脂肪化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
マトリックス制御放出系において、所望の放出速度論は、例えば、利用したポリマー型、ポリマー粘度、ポリマーの粒子サイズおよび/または活性成分(類)、活性成分(類)のポリマーに対する比、および組成物中の他の賦形剤または担体を介して、制御することができる。
【0186】
改変放出剤形における本明細書に開示される医薬組成物は、直接圧縮、乾燥または湿潤顆粒化後の圧縮、溶解−顆粒化後の圧縮を含む、当業者に公知の方法によって調製してよい。
【0187】
2.浸透圧制御放出器具
改変放出剤形における本明細書に開示される医薬組成物は、1チャンバー系、2チャンバー系、非対称膜技術(AMT)、および押出成形コア系(ECS)を含む、浸透圧制御放出器具を用いて加工してよい。一般に、このような器具は、少なくとも2つの成分、(a)活性成分(類)を含有するコア、および(b)コアをカプセル封入する、少なくとも1つの送達ポートを有する、半透性膜を有する。半透性膜は、送達ポート(類)を介した押出成形による薬物放出を引き起こすように、利用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
【0188】
活性成分(類)に加えて、浸透圧器具のコアには任意に、器具のコア内への利用の環境からの水の輸送のための、駆動力を作り出す、浸透圧性薬剤が含まれる。浸透圧性薬剤の1つのクラスは、水膨張性親水性ポリマーであり、「オスモポリマー(osmopolymers)」および「ハイドロゲル(hydrogel)」と称され、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、アルギン酸カルシウム等のポリサッカリド、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニル等の疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、大PEOブロックを含有する親水性ポリウレタン、ナトリウムクロスカルメロース、カラゲーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチル、セルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、およびナトリウムデンプングリコレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
他のクラスの浸透圧性薬剤は、吸収水が、周辺のコーティングのバリアにわたる、浸透圧勾配に影響を与えることが可能である、オスモーゲンである。好適なオスモーゲンとしては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウム等の無機塩、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびキシリトール等の糖、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸等の有機塩、尿素およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
異なる溶解率の浸透圧性薬剤を、いかに迅速に活性成分(類)が、剤形からまず送達するかに影響を与えるように利用してよい。例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma, Lewes, DE)等の不定形糖を使用して、所望の治療的効果を即座に供給するために、最初の数時間のより速い送達、および長期間にわたる治療的および予防的効果の所望のレベルを維持するための残った量の徐々および連続放出を提供することができる。この場合、活性成分(類)は、代謝されるか、排泄される活性成分の量が置換される速度で放出される。
【0191】
コアにはまた、剤形の性能を増強させるため、または安定性または処理を促進するために、本明細書に記載される多種多様の他の賦形剤および担体を含み得る。
【0192】
半透性膜を形成することにおいて有用な材料には、生理学的に相等するpHにおいて、水浸潤性および水不溶性であるか、または架橋等の化学改変によって、水不溶性を与えられる余地のある、種々のグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、セルロース性誘導体が含まれる。コーティングを形成することにおいて有用な、好適なポリマーの例には、可塑性、非可塑性、および強化酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、コハク酸CA、酢酸トリメリテートセルロース(CAT)、CAジメチルアミノ酢酸、カルボン酸CAエチル、クロロ酢酸CA、シュウ酸エチルCA、メチルスルホン酸CA、ブチルスルホン酸CA、p−トルエンスルホン酸CA、酢酸寒天、アミロース三酢酸、酢酸βグルカン、三酢酸βグルカン、アセトアルデヒドジメチル酢酸、ローカストビーンガムの三酢酸、水酸化エチレン−ビニル酢酸、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルおよびポリ−(メチルアクリル)酸およびエステルおよびそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然のワックス、および合成ワックスが含まれる。
【0193】
半透性膜はまた、米国特許第5,798,119号で開示される、孔が実質的に気体で充填され、水性培地によっては湿らないが、水蒸気に対して浸透性である、疎水性微小孔膜であってもよい。このような疎水性であるが、水蒸気透過性の膜は、特に、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、ならびに合成ワックスの疎水性ポリマーからなる。
【0194】
半透性膜上の送達ポート(類)は、機械的またはレーザードリルによって、コーティングの後に形成してよい。送達ポート(類)はまた、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコアのへこみ上の、膜の薄い部分の破裂によって、原位置で形成してよい。さらに、送達ポートは、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号に開示される型の、非対称膜コーティングの場合のように、コーティング工程の間に形成してよい。
【0195】
放出される活性成分(類)の総量および放出速度は実質的に、半透性膜の厚さと気孔率、コアの組成、送達ポートの数、大きさおよび位置を介して調節することができる。
【0196】
浸透圧制御放出剤形における医薬組成物はさらに、製剤の性能または処理を促進するために、本明細書に記載される追加の従来の賦形剤または担体を含み得る。
【0197】
浸透圧制御放出剤形は、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製することができる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記参照、Santus and Baker,J.Controlled Release 1995,35,1−21、Verma et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy 2000,26,695−708、Verma et al.,J.Controlled Release 2002,79,7−27参照)。
【0198】
ある実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物を、AMT制御放出剤形として製剤化し、これには、活性成分(類)と他の医薬上許容し得る賦形剤または担体を含むコアを被覆する、非対称性浸透性膜が含まれる。米国特許第5,612,059号および国際公開第WO2002/17918号を参照。AMT制御放出剤形は、直接圧縮、乾燥顆粒化、湿潤顆粒化、およびディップ−コーティング法を含む、当業者に公知の従来の方法および技術に従って調製することができる。
【0199】
ある実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、ESC制御放出剤形として製剤化し、これには、活性成分(類)、ヒドロキシエチルセルロース、およびの医薬上許容し得る賦形剤または担体を含むコアを被覆する、浸透性膜が含まれる。
【0200】
3.多重微粒子制御放出器具
改変放出剤形における本明細書に開示される医薬組成物は、直径約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、または約100μm〜約1mmの範囲で、多数の粒子、顆粒またはペレットを含む、多重微粒子制御放出器具を加工してよい。このような多重微粒子は、湿潤および乾燥顆粒化、押出成形/球形化、ローラー−圧縮、融解−凍結を含む、当業者に公知の工程によって、そしてスプレー−コーティングシードコアによって、作製してよい。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994、およびPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989参照。
【0201】
本明細書に記載される他の賦形剤または担体を、多重微粒子を処理する、および形成するのに役立てるために、医薬組成物と混合してよい。結果として得られた粒子はそれ自身、多重微粒子器具を構成してよく、または腸溶性ポリマー、水膨潤性および水可溶性ポリマー等の、種々のフィルム形成材料によって被覆してよい。多重微粒子をさらに、カプセルまたは錠剤として処理することができる。
【0202】
4.標的化送達
本明細書に開示される医薬組成物はまた、リポソーム、再封鎖赤血球および抗体に基づく送達系を含む、特定の組織、受容体または処置されるべき対象の体の他の領域に標的化するために製剤化してよい。例としては、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号、および第5,709,874号が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
使用方法
線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患のうちの1つ以上の症状を処置、予防、または軽減するための方法を開示し、それには、このような疾患に罹患する、または罹患すると疑われる対象に、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む。
【0204】
一実施形態において、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患のうちの1つ以上の症状を処置、予防、または軽減するための方法がある。線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患としては、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、関節リウマチ、ならびに/または線維症および/もしくは組織へのコラーゲン浸潤を調節することにより軽減される任意の疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、疾患の処置中、化合物またはその代謝産物の血漿レベルでの個人間の変動の減少に影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0206】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物またはその代謝物の血漿レベルにおける、個人間の変動が、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上まで減少する。
【0207】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの増加または減少に影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0208】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物の平均血漿レベルが、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上まで増加する。
【0209】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物の代謝物の平均血漿レベルが、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上まで減少する。
【0210】
本明細書に開示される化合物、またはその代謝物の血漿レベルは、Liet al(Rapid Communications in Mass Spectrometry 2005,19,1943−1950)によって記載される方法を用いて測定する。
【0211】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、疾患の処置中、該対象において少なくとも1つのシトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害および/または代謝の減少に影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0212】
哺乳動物対象におけるシトクロムP450アイソフォームの例としては、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51が挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
哺乳動物対象における、モノアミンオキシダーゼアイソフォームの例としては、MAOおよびMAOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物による、シトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害の減少は、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上である。
【0215】
シトクロムP450アイソフォームの阻害は、Ko et al.(British Journal of Clinical Pharmacology,2000,49,343−351)の方法によって測定する。MAOアイソフォームの阻害は、Weylerら(J.Biol Chem.1985,260,13199−13207)の方法によって測定する。MAOアイソフォームの阻害は、Uebelhackら(Pharmacopsychiatry,1998,31,187−192)の方法によって測定する。
【0216】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、疾患の処置中、対象において少なくとも1つの多形性で発現されたシトクロムP450アイソフォームを介して、代謝の減少に影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0217】
哺乳動物対象における、多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームの例としては、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6が挙げられるが、これらに限定されない。
【0218】
ある実施形態において、少なくとも1つの多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームシトクロムP450アイソフォームによる、本明細書に開示される化合物の代謝の減少は、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上または約50%以上である。
【0219】
シトクロムP450アイソフォームの代謝活性は、実施例5で記載される方法によって測定する。モノアミンオキシダーゼアイソフォームの代謝活性は、実施例6および7で記載される方法によって測定する。
【0220】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、少なくとも1つの統計学的に有意な改善疾患制御および/または疾患撲滅エンドポイントに影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0221】
改善疾患制御および/または疾患撲滅エンドポイントの例としては、瞳孔拡張の統計学的に有意な改善、鼻のうっ血緩和効果、片頭痛の減少、気管支血管拡張、狭心症発作に対する疼痛指数の改善、狭心症発作の頻度および/または継続時間の減少、低血圧患者における血圧の正常化、虚血性心疾患および間欠性跛行を含む虚血事象の予防、および/または、肝毒性もしくは他の毒性が挙げられるが、これらに限定されない、毒性の減少、または1日当たり同一用量および1用量当たり同量の薬物を含む同一用量のプロトコル下で与えられる場合、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、標準的な研究室プロトコルにより測定される異常な肝臓酵素レベルの減少が挙げられるが、これらに限定されない
【0222】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、改善された臨床効果に影響を及ぼすために、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較して改善された場合に、改善疾患制御および/または疾患撲滅エンドポイントの例としては、瞳孔拡張の統計学的に有意な改善、鼻のうっ血緩和効果、片頭痛の減少、気管支血管拡張、狭心症発作に対する疼痛指数の改善、狭心症発作の頻度および/または継続時間の減少、低血圧患者における血圧の正常化、虚血性心疾患および間欠性跛行を含む虚血事象の予防、および/または、肝毒性もしくは他の毒性が挙げられるが、これらに限定されない、毒性の減少、または、標準的な研究室プロトコルにより測定される異常な肝臓酵素レベルの減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、主要な臨床的利益として異常な食事および肝臓パラメータの再発の防止、または減少もしくは出現の遅延に影響を及ぼすように、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0224】
本明細書に開示されるのは、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患に罹患する、または罹患すると疑われる、ヒトを含む、対象を処置するための方法、または疾患の傾向のある対象においてこのような疾患を予防するための方法であり、それには、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、任意の診断の肝胆機能エンドポイントにおいて、悪化を低減または排除しつつ、遅発型Naチャネル媒介性疾患の治療を可能にするために、治療有効量の本明細書に開示される化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを対象に投与するステップを含む。
【0225】
診断の肝胆機能エンドポイントの例としては、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミルトランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓の超音波検査、肝臓核内スキャン、5′−ヌクレオチダーゼ、および血漿タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。肝胆エンドポイントは、“Diagnostic and Laboratory Test Reference”,4th edition,Mosby,1999で定められる規定の正常レベルと比較される。これらのアッセイは、標準プロトコルに従って、認可を受けた研究室により実行される。
【0226】
処置されるべき疾患、および対象の状態に依存して、本明細書に開示される化合物を、経口、非経口(例えば筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射または注入、皮下注射またはインプラント)、吸入、経鼻、経膣、直腸、舌下、または局所(例えば経皮または局所)投与経路によって投与してよく、各投与経路のために適切な、医薬上許容し得る担体、アジュバント、およびビヒクルとの好適に投与量単位において、単独または一緒に製剤化してよい。
【0227】
用量は、1日あたり、適切な間隔で投与される、1、2、3、4、5、6またはそれ以上のサブ用量の形態であってよい。用量またはサブ用量は、投与量単位当たり、約0.1〜約1000ミリグラム、約0.1〜約500ミリグラム、または約0.5〜約100ミリグラム活性成分(類)を含有する投与量単位の形態で投与してよく、患者の状態が要求する場合、用量は、他の方法として、連続注入として投与可能である。
【0228】
ある実施形態において、適切な投与量レベルは、単一または複数回投与してよい、約0.01〜約100mg/kg患者体重/日(mg/kg/日)、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、または約0.05〜約10mg/kg/日である。好適な投与量レベルは、約0.01〜約100mg/kg/日、約0.05〜約50mg/kg/日、または約0.1〜約10mg/kg/日であってよい。この範囲内で、投与量は、約0.01〜約0.1、約0.1〜約1.0、約1.0〜約10、または約10〜約50mg/kg/日であってよい。
【0229】
組み合わせ療法
本明細書に開示される化合物はまた、線維性媒介性疾患および/またはコラーゲン媒介性疾患ののうちの1つ以上の症状の処置、予防、または軽減に有用な他の薬剤と一体化して、または組み合わせて用いてもよい。または、例としてのみ、ここに記述される化合物の内の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強され得る(すなわち、それ自体によって、アジュバントは、最小の治療的利益のみを示し得るが、別の治療剤との組み合わせで、患者に対する全体的治療利益が増強される)。
【0230】
このような他の薬剤、アジュバント、または薬物を、本明細書に開示される化合物と同時に、または連続して、その目的のために一般的に使用される経路によって、および量で投与してよい。本明細書に開示される化合物を、1つ以上の他の薬物と同時に使用する場合、本明細書に開示される化合物に加えて、このような他の薬物を含有する医薬組成物を利用してよいが、しかし必須ではない。したがって、本明細書に開示される医薬組成物には、本明細書に開示される化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分または治療的薬剤を含有するものが含まれる。
【0231】
一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、ドロトレコギンαまたは活性タンパク質Cのバイオシミラー相当物が挙げられるが、これらに限定されない、敗血症の処置のための1つ以上の治療剤と組み合わせることができる。
【0232】
ある実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレニゾロン、デキサメタゾン、およびトリアムシノロンが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上のステロイド系薬物と組み合わせることができる。
【0233】
他の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アミカシン、アモキシシリン、アンピシリン、アルスフェナミン、アジスロマイシン、アズトレオナム、アズロシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフジニル、セフジトリン(cefditorin)、セフェピム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、シラスチン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、ダルフォプリスタン(dalfopristan)、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エナフロキサシン(enafloxacin)、エルテペネム(ertepenem)、エタンブトール、フルクロキサシリン、ホスホマイシン、フラゾリドン、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、ゲルダナマイシン、ゲンタマイシン、ハービマイシン(herbimicin)、イミペネム、イソニアジド、カナマイシン、レボフロキサシン、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、モキシフロキサシン、メロペネム、メトロニダゾール、メズロシリン、ミノサイクリン、ムピロジン(mupirozin)、ナフシリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキシテトラサイクリン、ペニシリン、ピペラシリン、プラテンシマイシン、ポリミキシンB、プロントシル、ピラジナミド、キヌプリスチン(quinupristine)、リファンピン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テリスロマイシン、テトラサイクリン、チカルシリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロレアンドマイシン、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、およびバンコマイシンが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の抗菌剤と組み合わせることができる。
【0234】
一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アモロルフィン、アンフォテリシンB、アニデュラファンギン、ビホナゾール、ブテナフィン、ブトコナゾール、カスポファンギン(caspofungin)、シクロピロクス、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フィリピン、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン(micafungin)、ミコナゾール、ナフチフィン、ナタマイシン、ナイスタチン、オキシコナゾール、ラブコナゾール(ravuconazole)、ポサコナゾール(posaconazole)、リモシジン(rimocidin)、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、およびボリコナゾールが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の抗真菌剤と組み合わせることができる。
【0235】
他の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アセノクマロール、アルガトロバン、ビバリルジン、レピルジン(lepirudin)、フォンダパリヌクス、ヘパリン、フェニンジオン、ワルファリン、およびキシマラガトラン(ximalagatran)が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の抗凝血剤と組み合わせることができる。
【0236】
ある実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、t−PA(アルテプラーゼアクティベース)、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、およびウロキナーゼに限定されない、1つ以上の血栓溶解剤と組み合わせることができる。
【0237】
ある実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン(amoxiprin)、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、サリチル酸コリンマグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ、ファイスルアミン(faislamine)、フェンブテン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチルサリチル酸、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンプラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンが挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の非ステロイド系抗炎症薬と組み合わせることができる。
【0238】
一部の実施形態において、本明細書に提供される化合物は、アブシキシマブ、シロスタゾール、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン、およびチロフィビン(tirofibin)が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の抗血小板薬と組み合わせることができる。
【0239】
本明細書に開示される化合物はまた、例えば、プロプラノロール等の抗不整脈薬;例えば、ノルエピネフィリン等の交感神経様作用薬;例えば、トラマドール等のオピオイド;例えば、ケタミン等の麻酔薬;例えば、ジルチアゼム等のカルシウムチャネル遮断薬;例えば、アテノロール等のβ遮断薬;例えば、硝酸グリセリン等の硝酸塩または亜硝酸塩;例えば、ホスホラミドン等のエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤;例えば、イフェトロバン等のトロンボキサン受容体拮抗薬;カリウムチャネルオープナー;例えば、ヒルジン等のトロンビン阻害剤;例えば、PDGF活性の調節因子等の成長因子阻害剤;血小板活性因子(PAF)拮抗薬;例えば、GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブドキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)拮抗薬(例えば、クロピドグレル、チクロピジンおよびCS−747)、およびアスピリン等の抗血小板薬;例えば、ワルファリン等の抗凝血剤;例えば、エノキサパリン等の低分子量ヘパリン;第VIIa因子阻害剤および第因子Xa阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;例えば、オマパトリラトおよびゲモパトリラト等のバソペプシダーゼ阻害剤(二重NEP−ACE阻害剤);例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名、イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin))、およびZD−4522(ロスバスタチンもしくはアタバスタチンもしくはビサスタチンとしても知られる)等のHMG CoA還元酵素阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤;フィブラート;例えば、クエストラン等の胆汁酸金属イオン封鎖剤、;ナイアシン;例えば、ACAT阻害剤等の抗アテローム性動脈硬化剤;MTP阻害剤;例えば、ベシル酸アムロジピン等のカルシウムチャネル遮断薬;カリウムチャネル活性剤;α−アドレナリン作用薬;例えば、クロロトラジド、ヒドロチオロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリチオロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチラジド、エタクリン酸、トリクリナフェン、クロルタリドン、フロセニルド、ムソリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリド、およびスピロノラクトン等の利尿薬;例えば、組織プラスミノゲン活性剤(tPA)、組み換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、およびアニソイル化プラスミノゲンストレプトキナーゼ活性剤複合体(APSAC)等の血栓溶解剤;例えば、ビグアニド(例えば、メトフォルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インシュリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニルウレア(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、およびPPAR−γアゴニスト等の抗糖尿病薬;例えば、スピロノラクトンおよびエプレレノン等のミネラロコルチコイド受容体拮抗薬;成長ホルモン分泌促進薬;aP2阻害剤;例えば、PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、ヴァルデナフィル)等のホスホジエステラーゼ阻害剤;タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;例えば、メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、マイコフェノラートモフェチル等の抗増殖薬;化学療法薬;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞傷害薬(例えば、ニトロゲンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、エチレンイミン、およびトリアゼン等のアルキル化剤);例えば、葉酸拮抗剤、プリン類似体、およびピリジン類似体等の代謝拮抗剤;例えば、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシン等の抗生物質;例えば、L−アスパラギナーゼ等の酵素;ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、および黄体形成ホルモン放出ホルモン拮抗剤、および酢酸オクトレオチド等のホルモン剤;例えば、エクチナサイジン等の微小管撹乱剤;例えば、パシタキセル、ドセタキセル、およびエポチロンA−F等の微小管安定剤;例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、およびタキサン等の植物由来製品;ならびにトポイソペラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ならびにシクロスポリン;例えば、プレドニゾンおよびデキサメタゾン等のステロイド;例えば、アザチプリンおよびシクロホスファミド等の細胞傷害薬;例えば、テニダップ等のTNF−α阻害剤;例えば、エタネルセプト、ラパマイシン、およびレフルニミド(leflunimide)等の抗TNF抗体または溶解性TNF受容体;ならびに例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブ等のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;ならびに、例えば、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物、例えば、シスプラチン、サトラプラチン、およびカルボプラチン等のプラチナ調整複合体等の種々雑多な薬剤が挙げられるが、これらに限定されない、他のクラスの化合物と組み合わせて投与することもできる。
【0240】
キット/製造品
本明細書に記載される治療的適用のために、キットおよび製造品もまた本明細書に記載される。このようなキットには、バイアル、チューブ等の1つ以上の容器を受け入れるために区分けされる担体、パッケージ、または容器が含まれ得、各容器(類)には、本明細書に記載される方法において使用されるべき、分離要素のうちの1つが含まれる。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験チューブが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の種々の材料から形成することができる。
【0241】
例えば、容器(類)には、任意に組成物中、または本明細書に開示される別の薬剤との組み合わせで、1つ以上の本明細書に記載される化合物を含むことができる。容器(類)は任意に、無菌アクセスポートを有してよい(例えば、容器は、静脈溶液バッグ、または皮下注射ニードルによって穴を開けることが可能なストッパーを有するバイアルであってよい)。このようなキットには任意に、同定記述またはラベル、または本明細書に記載される方法においてその使用に関連した取扱説明書を伴う、化合物を含む。
【0242】
キットには典型的に、1つ以上のさらなる容器が含まれ、それぞれが、本明細書に記載される化合物の使用のための商業的およびユーザ観点から望ましい1つ以上の種々の材料(任意に濃縮形態での、試薬、および/または器具等)を含む。このような材料の非限定例としては、緩衝液、希釈液、フィルター、ニードル、シリンジ、担体、パッケージ、容器、バイアル、および/または内容物を列記するチューブラベル、および/または使用のために取扱説明書、および使用の説明書を伴うパッケージ挿入物が挙げられるが、これらに限定されない。一組の取扱説明書がまた、典型的に含まれる。
【0243】
ラベルは、容器上または容器に結合してよい。ラベルは、文字、数字または他のラベルを形成する要素が接着する場合、容器上であり得、容器それ自身へ型にいれるか、またはエッチ処理してよく、例えばパッケージ挿入物として、容器をまた保持するレセプタクルまたは担体内に存在する場合に、ラベルを容器に貼り付けることも可能である。ラベルを、内容物が、特定の治療的適用のために利用されるべきであることを示すために利用可能である。ラベルはまた、本明細書に記載される方法において、内容物の使用に関する説明を示すことも可能である。これらの他の治療薬剤を、Physicians’ Desk Reference(PDR)にて示された量で、または当業者によって決定されるように、使用してよい。
【0244】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0245】
5−メチル−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
【化7】

ステップ1
【化8】

【0246】
5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン:2−ヒドロキシ−5−メチルピリジン(0.500g、4.58mmol)、無水炭酸カリウム(0.693g、6.41mmol)、銅粉(0.006g、0.09mmol)、およびヨードベンゼン(1.68g、8.26mmol)の微粉化した混合物を、180〜190℃で7時間加熱した。混合物を冷却し、標準的な抽出調製を行い、石油エーテルで粉砕した茶色の残渣物を得、湯から再結晶し、白色固体として表題化合物(0.470g、56%)を産出した。融点105〜107℃;H NMR(400MHz,DMSO−d)δ2.50(s,3H)、6.43(d,J=9.3Hz,1H)、7.36−7.53(m,7H);IR(KBr)υ3045、1675、1611、1531、1270cm−1;MS186(M+1)。
【実施例2】
【0247】
−5−(メチル−)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
【化9】

ステップ1
【化10】

【0248】
メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
塩化チオニル(6.3mL、86.33mmol)を、0℃で、メタノール中の6−ヒドロキシニコチン酸(10.0g、71.94mmol)の溶液に滴下した。混合物を6時間還流加熱し、溶媒を除去し、標準的な抽出調製は、茶色固体として表題化合物(7.5g、68%)をもたらした。融点166〜172℃;H NMR(400MHz,DMSO−d)δ3.77(s,3H)、6.37(d,J=9.3Hz,1H)、7.79(dd,J=2.7,9.5Hz,1H)、8.04(d,J=2.4Hz 1H);IR(KBr)υ3050、2965、1712、1651、1433、1300、1106cm−1;MS154(M+1)。
ステップ2
【化11】

【0249】
メチル−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート
ジクロロメタン(100mL)中のメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(6.0g、39.22mmol)、フェニルボロン酸(5.74g、47.06mmol)、酢酸銅(II)一水和物(11.76g、58.82mmol)、ピリジン(6.32mL、78.43mmol)、および分子篩(4Å、6.0g)を周囲温度で12時間撹拌し、濾過した。標準的な抽出調製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュ)(クロロホルム中の1〜2%メタノール)により精製された粗残渣物をもたらし、茶色固体として表題化合物(5.0g、56%)を得た。融点100〜105℃;H NMR(400MHz,CDCl)δ3.86(s,3H)、6.63(d,J=9.5Hz,1H)、7.36−7.55(m,5H)、7.91(dd,J=2.5,9.9Hz,1H)、8.23(d,J=2.5Hz,1H);IR(KBr)υ3058、2924、2854、1721、1675、1540、1446、1313、1271、1103cm−1;MS230(M+1)。
ステップ3
【化12】

【0250】
6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸:水酸化リチウム一水和物(0.366g、8.73mmol)を、0℃で、メチル−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート(1.0g、4.37mmol)、テトラヒドロフラン(9mL)、および水(6mL)の混合物に加えた。混合物を、1時間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで洗浄した。水層のpHを、2N 塩酸を用いて2に調整し、沈殿物を濾過し、茶色の固体として表題化合物(0.740g、79%)を得た。融点256〜263℃;H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.53(d,J=9.4Hz,1H)、7.40−7.49(m,5H)、7.87(dd,J=2.5,9.8Hz,1H)、8.23(d,J=2.5Hz,1H);IR(KBr)υ3446、1708、1645、1577、1263、1228cm−1;MS214(M−1)。
ステップ4

【0251】
−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン:クロロギ酸イソブチル(0.45mL、3.49mmol)を、−5℃で、テトラヒドロフラン(10mL)中の6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(0.500g、2.32mmol)およびN−メチルモルホリン(0.38mL、3.49mmol)の溶液に加えた。混合物を、同一温度で、3時間撹拌し、テトラヒドロフランで希釈し、アルゴン下で、セライトパットで濾過した。混合した無水物を含有する濾液を、−10℃で、テトラヒドロフラン中の重水素化ホウ素ナトリウム(0.117g、2.79mmol)の懸濁液に滴下した。反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した後、DO(1mL)を加えた。標準的な抽出調製は、分取HPLCにより精製した粗残渣物を得、白色固体として表題化合物(0.290g、61%)を得た。融点115〜120℃;H NMR(400MHz,CDCl)δ2.05(br,1H)、6.66(d,J=9.1Hz,1H)、7.25−7.51(m,7H);IR(KBr)υ3337、1665、1586、1535、1257cm−1;MS204(M+1)。
ステップ5
【化13】

【0252】
−5−(メチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン:三臭化リン(0.07mL、0.738mmol)を、−10℃で、ジクロロメタン中のd−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(0.300g、1.47mmol)の溶液に滴下し、混合物を30分間撹拌した。ジクロロメタンおよび過剰三臭化リンを、アルゴンストリームにより洗浄し、残渣物をテトラヒドロフラン中に溶解した。臭化物の本溶液を、−78℃で、テトラヒドロフラン中の重水素化リチウムアルミニウム(0.092g、2.2mmol)の懸濁液に滴下し、混合物を1時間撹拌した。DOを加え、標準的な抽出調製は、分取HPLCにより精製された粗残渣物を得、薄茶色固体として表題化合物(0.070g、25%)を得た。融点103〜107℃;H NMR(400MHz,DMSO−d)δ6.42(d,J=9.2Hz,1H)、7.36−7.53(m,7H);IR(KBr)υ3045、2925、1673、1607、1488、1272cm−1;MS189(M+1)。
【実施例3】
【0253】
11−5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン
【化14】

ステップ1

【0254】
−5−メチル−ピリジン−2−イルアミン:Esaki et al Tetrahedron 2006、62、10954−10961により記載される方法を用いて、手順を実行する。
ステップ2
【化15】

【0255】
−5−メチル−1H−ピリジン−2−オン:Smith et al Organic Syntheses 2002,78,51−56により記載される方法を用いて、水中の硫酸の代わりに重水中のd−硫酸を用い、5−メチル−ピリジン−2−イルアミンの代わりにd−5−メチル−ピリジン−2−イルアミンを用いて、手順を実行する。
ステップ3
【化16】

【0256】
11−5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン:国際公開第WO2003/014087号に記載される方法を用いて、手順を実行し、ここでは、5−メチル−1H−ピリジン−2−オンの代わりにd−5−メチル−1H−ピリジン−2−オンを用い、また、ブロモベンゼンの代わりにd−ブロモベンゼン(複数の源から商業的に入手可能)を用いて、ウルマンカップリングした。
【実施例4】
【0257】
体外肝ミクロソーム安定性アッセイ
肝ミクロソーム安定性アッセイを、NADPH−発生系において(2%飽和重炭酸ナトリウム、2.2mM NADPH、25.6mMグルコース6−ホスフェート、および1mL当たり6単位のグルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼおよび3.3mM MgCl)を用いて、1mL当たり0.2mgの肝ミクロソームタンパク質で行う。試験化合物を、20%アセトニトリル‐水中に可溶化した。その後、試験化合物溶液を、アッセイ混合物(最終アッセイ濃度1μM)に加え、混合物を約37℃でインキュベートした。アッセイ中のアセトニトリルの最終濃度は、<1%であるべきである。一定分量(50μL)を、0、15、30、45、60、90、および120分で採取し、氷冷アセトニトリル(200μL)で希釈した(反応を停止させるため)。一定分量を、約10分間、約12,000RPMで遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。その後、上清を採取し、崩壊半減期のLC/MS/MS分析のために微量遠心管に移した。非同位体的に濃縮した薬物と比較した場合、本明細書に開示される化合物は、このアッセイで試験される場合、崩壊半減期で少なくとも5%以上の増加を示すことが予測され得る。例えば、実施例の項目で記載される任意の重水素化合物の崩壊半減期はそれぞれ、非同位体的に濃縮したピルフェニドンと比較した場合、5〜600%の改善を示し得る。
【実施例5】
【0258】
ヒトシトクロムP450酵素を用いた体外代謝
シトクロムP450酵素を、バキュロウイルス発現系(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いて、相当するヒトcDNAから発現させる。100ミリモルのリン酸カリウム(pH7.4)中の1ミリリットル当たり0.8ミリグラムのタンパク質、1.3ミリモルのNADP、3.3ミリモルのグルコース−6−リン酸、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、3.3ミリモルの塩化マグネシウムおよび0.2ミリモルの式1の化合物、相当する非同位体的に濃縮した化合物、または標準もしくは対照を含有する、0.25ミリリットルの反応混合物を、37℃で20分間インキュベートする。インキュベーションした後、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、20%トリクロロ酢酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸、70%過塩素酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸)の添加によって反応を停止し、3分間遠心分離(10,000g)する。上清をHPLC/MS/MSによって解析する。
【表1】

【実施例6】
【0259】
モノアミンオキシダーゼA阻害および酸化ターンオーバー
Weyler,Journal of Biological Chemistry 1985,260,13199−13207により記載される方法を用いて、手順を実行する。モノアミンオキシダーゼA活性は、4−ヒドロキシキノリンの形成を用いるキヌラミンの酸化の際に、314nmでの吸収の増加をモニタリングすることにより分光光度法で測定される。測定は、30℃で、0.2%Triton−X−100(モノアミンオキシダーゼアッセイ緩衝液)に加えて、1mMキヌラミン、および総量1mL中の所望の量の酵素を含有する、pH7.2の50mM NaP緩衝液中で実行される。
【実施例7】
【0260】
モノアミンオキシダーゼB阻害および酸化ターンオーバー
Uebelhack、Pharmacopsychiatry 1998、31、187−192により記載される方法を用いて、手順を実行する。
【実施例8】
【0261】
ジストロフィー(mdx)マウス筋線維症アッセイ
Gosselin et al.,Muscle & Nerve 2007,35(2),208−216により記載される方法を用いて、手順を実行する。
【0262】
上で列記した実施例は、請求された実施形態の製造および使用方法の開示および説明とともに、当業者に付与するために提供され、本明細書に開示されるものの範囲を制限するものではない。本明細書で言及されたすべての発行物、特許、および特許出願は、それぞれのこのような発行物、特許、または特許出願が、参照することによって、本明細書に具体的および個別に組み込まれることが示されるかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iを有する化合物、またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;
【化1】

(I)
式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素および重水素からなる群から独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素であり、
、R、R、R10、およびR11が重水素である場合、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも一つは重水素である。
【請求項2】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約98%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約90%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約50%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約20%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約10%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約5%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは独立して、約1%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物は、
【化2】


またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも98%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも90%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも50%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも20%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも10%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項15】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも5%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項16】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも1%の重水素濃縮を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物は、
【化3】


またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも98%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも90%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも50%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも20%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも10%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項23】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも5%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項24】
Dとして表される前記位置のそれぞれは、少なくとも1%の重水素濃縮を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項25】
構造式IIを有する化合物、
【化4】

(II)
[式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素および重水素からなる群から独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素である]
またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物。
【請求項26】
1つ以上の放出制御賦形剤をさらに含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
1つ以上の非放出制御賦形剤をさらに含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記組成物は、経口投与、非経口投与、または静脈内注入投与に適している、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記経口剤形は、錠剤またはカプセルである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記化合物が、約0.5ミリグラムから約1,000ミリグラムの用量で投与される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
別の治療剤をさらに含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記治療剤は、敗血症剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗血液凝固剤、血栓溶解剤、ステロイド系薬物、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、オピオイド、麻酔薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、硝酸塩または亜硝酸塩、ACE阻害剤、スタチン、血小板凝集阻害剤、アデノシン、ジギトキシン、抗不整脈剤、交感神経刺激薬、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、トロンボキサン酵素拮抗薬、カリウムチャンネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、血小板活性化因子(PAF)拮抗薬、抗血小板剤、第VIIa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート、胆汁酸捕捉因子(bile acid sequestrant)、抗アテローム性動脈硬化症剤、MTP阻害剤、カリウムチャネル活性剤、α−PDE5阻害剤、β−PDE5阻害剤、利尿薬、抗糖尿病剤、PPAR−γアゴニスト、電解質コルチコイド酵素拮抗薬、aP2阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、抗炎症剤、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性薬、代謝拮抗剤、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ホルモン剤、微小管撹乱剤、微小管安定化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、シクロスポリン、TNF−α阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、金化合物、アンタラルミン、Z−338、および白金配位複合体からなる群から選択される、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記治療剤は、ステロイド系薬物である、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ステロイド系薬物は、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレニゾロン、デキサメサゾン、およびトリアムシノロンからなる群から選択される、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記治療剤は、NSAIDである、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記NSAIDは、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン(amoxiprin)、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、サリチル酸コリンマグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ、ファイスルアミン(faislamine)、フェンブテン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、メチルサリチル酸、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチル酸サリチル、スリンダク、スルフィンプラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンからなる群から選択される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
構造式IIを有する化合物、
【化5】

(II)
またはその医薬上許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを用いて、線維性媒介性疾患、コラーゲン媒介性疾患、または線維性媒介性およびコラーゲン媒介性疾患のうちの1つ以上の症状を処置、予防、または軽減するための方法であって、式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、水素および重水素からなる群から独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、重水素である、方法。
【請求項38】
前記線維性媒介性疾患、前記コラーゲン媒介性疾患、または前記線維性媒介性および前記コラーゲン媒介性疾患は、特発性肺線維症、子宮筋腫、多発性硬化症、腎線維症、糖尿病性腎疾患、部分肝切除または肝虚血後のエンドトキシン誘導性肝傷害、臓器移植後の同種移植傷害、嚢胞性線維症、心房細動、好中球減少症、強皮症、皮膚筋炎、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、縦隔線維症、結核症、鎌状赤血球貧血に起因する脾臓線維症、および関節リウマチからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記線維性媒介性疾患、または前記線維性媒介性および前記コラーゲン媒介性疾患は、線維症を調節することにより、軽減、緩和、または予防され得る、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記コラーゲン媒介性疾患、または前記線維性媒介性および前記コラーゲン媒介性疾患は、コラーゲン浸潤を調節することにより、軽減、緩和、または予防され得る、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物は、以下の特性:
a)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記化合物またはその代謝産物の血漿レベルにおける個人間の変動の減少、
b)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の平均血漿レベルの増加、
c)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの減少、
d)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの増加、
e)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記対象の処置の間の臨床効果の改善、のうちの少なくとも1つを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物は、以下の特性:
a)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記化合物またはその代謝産物の血漿レベルにおける個人間の変動の減少、
b)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の平均血漿レベルの増加、
c)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの減少、
d)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿レベルの増加、
e)該非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記対象の処置の間の臨床効果の改善、のうちの少なくとも2つを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記方法は、前記対応する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記対象において少なくとも1つの多形性で発現されたシトクロムP450アイソフォームにより、その投与量単位当たりの前記化合物の代謝の減少に影響を及ぼす、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記シトクロムP450アイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物は、前記非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記対象において少なくとも1つのシトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害の減少により特徴付けられる、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記シトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、およびMAOからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、前記対応する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、診断の肝胆汁性機能エンドポイントにおいて、悪化を低減または排除しつつ、前記疾患の前記処置に影響を及ぼす、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記診断の肝胆汁性機能エンドポイントは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」、「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミルトランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓の超音波検査、肝臓核内スキャン、5′−ヌクレオチダーゼ、および血漿タンパク質からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。

【公表番号】特表2010−530897(P2010−530897A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513457(P2010−513457)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067732
【国際公開番号】WO2008/157786
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(508105728)オースペックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】AUSPEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】