説明

繊維製品、製造方法および製造工具

【課題】 製造工程がかなり簡易で、質量は軽く、広い用途を備えており、また、フィラメントの外側繊維は要求に応じて着色し、所望の外観色を直接表現することができ、着色しやすいという長所を備えた繊維製品を製造する。
【解決手段】 本発明の繊維製品20は、遮光剤と第1の人造繊維材料16とを含むことにより遮光効果を備えている内側繊維22と、第2の人造繊維材料18を含み、内側繊維22を包み込む外側繊維24と、を備えている。繊維製品20は、紡績ノズル10の内管12から内側繊維22を吐出するとともに、内管12を覆うように設けられている外管14から外側繊維24を吐出することで、第2の人造繊維材料18を含む外側繊維24で、遮光剤と第1の人造繊維材料16とを含むことにより遮光効果を備えている内側繊維22を包み込むことにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人造繊維製品およびその製造方法に関し、特に着色しやすい繊維製品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遮光性布帛は、日傘の傘地、カーテンおよび衣料などに広く用いられる用途を備えている。遮光性布帛の従来の製造では、下地布に黒色遮光層を形成する以外に、発泡コート層、ライナー層または中間層を順次形成する必要があり、その製造工程はかなり複雑で、かつ製造された布帛は重くなり、その用途も限られていた。
【0003】
また、従来技術では遮光性布帛の一方の面上に遮光樹脂層および化粧樹脂層を設けるが、この遮光樹脂層はラミネート法で布帛上に形成しなければならず、このラミネート法では布帛と一体化した遮光樹脂層を形成するのが難しく、その用途も限られていた。
【0004】
また、従来技術では、下地上に黒色遮光層を形成しているため、黒色遮光層上にさらに薄めの色のコート層を形成しにくいことから、従来の遮光性布帛の多くは深めの色の布帛であった。もし薄めの色系の遮光性布帛を製造するならば、黒色遮光層上にカラー層を別途多層に塗布しなければ、黒色遮光層の背景色の効果を弱めることができず、製造工程がさらに複雑になっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は着色しやすい繊維製品、製造工具および製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の繊維製品の一実施例は、遮光剤と第1の人造繊維材料とを含むことにより遮光効果を備えている内側繊維と、第2の人造繊維材料を含み、前記内側繊維を包み込む外側繊維とを備えている。
【0007】
本発明の繊維製品の製造方法の実施例は、紡績ノズルの内管から内側繊維を吐出するとともに、前記内管を覆うように設けられている外管から外側繊維を吐出することで、第2の人造繊維材料を含む前記外側繊維で、遮光剤と第1の人造繊維材料とを含むことにより遮光効果を備えている前記内側繊維を包み込むことを特徴としている。
【0008】
本発明の繊維製品の製造工具の実施例は、内側繊維を吐出するように構成された少なくとも一本の内管と、前記内管を覆うように設けられており、前記内側繊維を包み込む外側繊維を吐出するように構成された外管と、を備えている。
【0009】
上記では本発明の技術的特徴をかなり広汎に概略的に説明したが、下記の本発明の詳細な説明によりより一層の理解が得られるはずである。本発明の特許請求の標的を構成するその他技術的特徴は下記に記述する。本発明の技術分野の当業者であれば、下記に開示する技術的思想および特定の実施例を簡単に利用することで、その他構成または製造工程に変更または設計することで、本発明と同じ目的を達成できる。本発明の当業者であれば、これら等価の構造は添付する特許請求の範囲にて限定する技術的思想および範囲を逸脱することはできないということは理解するはずである。
【発明の効果】
【0010】
従来の遮光性布帛の製造工程は複雑でしかも製造された布帛はかなり重かったことに比べると、本発明の遮光性布帛の製造工程はかなり簡易で、しかも質量は軽く、広い用途を備えている。また、前記フィラメントの前記外側繊維は要求に応じて着色し、所望の外観色を直接表現することができるので、本発明の繊維製品は着色しやすいという長所を備え、色彩が鮮やかで変化に富み、しかもしっかりと着色され色褪せしにくい布帛を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
下記説明および図面を参照することにより、本発明の技術的特徴は完全に理解できる。
【図1】本発明の繊維製品およびその製造工具の立体断面図
【図2】本発明の繊維製品およびその製造工具の立体断面図
【図3】図1のフィラメントで製造した遮光性布帛を例示した図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図2は本発明の繊維製品およびその製造工具(例えば紡績ノズル10)の立体断面図である。本発明では紡糸装置の紡績ノズル10を改変することにより、遮光効果を備えつつ着色しやすい繊維製品を製造することができる。図1を参照する。紡績ノズル10は内管12と、内管12を覆うように設けられている外管14とを備えており、内管12内には遮光剤(例えばカーボンブラックまたは酸化チタン)と第1の人造繊維材料16とを含むことで、遮光効果を備えており、外管14内には第2の人造繊維材料18を含んでいる。本発明では紡績ノズル10の内管12により内側繊維22を吐出するとともに、外管14から外側繊維24を吐出することで、外側繊維24で内側繊維22を包み込み一本のフィラメント20を形成する。
【0013】
また、図2に示すように、本発明では紡績ノズル10を改変することにより、これに三本の内管12と内管12を覆うように設けられている外管14を備えさせることで、三本の内側繊維32と一本の外側繊維34とを含むフィラメント30を製造することもできる。内側繊維32は遮光剤(カーボンブラックまたは酸化チタン)と第1の人造繊維材料とを含むことにより遮光効果を備えている。外側繊維34は第2の人造繊維材料を含んでいる。内管12および外管14の断面面積を調整することで、フィラメント20の内側繊維22と外側繊維24との比率(例えば前記繊維製品20において内側繊維22が50%、外側繊維24が50%を占める。内側繊維22と外側繊維24との比率は5ないし95%の間であるのが好ましい)を改変することができる。
【0014】
本発明の実施例においては、第1の人造繊維材料および第2の人造繊維材料は、例えば第1の人造繊維材料および第2の人造繊維材料のいずれもがナイロン繊維を、またはポリエステル繊維を採用するという具合に同じ材質とすることができる。本発明の他の実施例においては、第1の人造繊維材料および第2の人造繊維材料は、例えば第1の人造繊維材料がポリエステル繊維である一方で、第2の人造繊維材料がナイロン繊維であるか、または第1の人造繊維材料がナイロン繊維である一方で、第2の人造繊維材料がポリエステル繊維であるという具合に異なる材質とすることができる。
【0015】
図3には図1のフィラメント20で製造した遮光性布帛50を例示している。本発明の実施例において、フィラメント20の内側繊維22は遮光効果を達成する一方で、外側繊維24は要求に応じて着色し、所望の外観色を直接表現することができる。本発明の実施例においては、外側繊維24の着色工程は、選択的に遮光性布帛50を完成させた後、染色工程にて外側繊維24を所望の色に染色してもよい。本発明の他の実施例においては、外側繊維24の着色工程にて図1の外管14に選択的に色素を加えて、フィラメント20に所望の色を持たせて、さらに遮光性布帛50を製造してもよい。
【0016】
従来の遮光性布帛の製造工程は複雑でしかも製造された布帛はかなり重かったことに比べると、本発明の遮光性布帛50の製造工程はかなり簡易で、しかも質量は軽く、広い用途を備えている。また、フィラメント20の外側繊維24は要求に応じて着色し、所望の外観色を直接表現することができるので、本発明の繊維製品は着色しやすいという長所を備え、色彩が鮮やかで変化に富み、しかもしっかりと着色され色褪せしにくい布帛を製造することができる。
【0017】
本発明の技術内容および技術的長所は上記に開示したとおりであるが、本発明の技術分野の当業者であれば、添付する特許請求の範囲で限定する本発明の技術的思想および範囲を離れることなく、本発明の教示および開示で様々な置換および付加を行うことがきることは理解するはずである。例えば、上記開示の数々の製造工程は異なる方法で実施するか、またはその工程に置換するか、または上記二種類の方式を組み合わせることもできる。
【0018】
また、本願の権利範囲は上記開示した特定の実施例の製造工程、設備、製造、物質の成分、装置、方法または手順に限定されるものではない。本発明の技術分野の当業者であれば、本発明で教示および開示する製造工程、設備、製造、物質の成分、装置、方法または手順に基づき、現時点で存在するもの、または後日開発されるものに関わらず、それが本願の実施例に開示するものと実質的に同一の方式で実質的に同一の効果が実現され、そして実質的に同一の結果が達成されるものも、本発明に使用できるものであることは理解するはずである。したがって、別紙の特許請求の範囲はこの類の製造工程、設備、製造、物質の成分、装置、方法または手順を含むよう用いられる。
【符号の説明】
【0019】
10 紡績ノズル
12 内管
14 外管
16 第1の人造繊維材料
18 第2の人造繊維材料
20、30 フィラメントまたは繊維製品
22、32 内側繊維
24、34 外側繊維
50 遮光性布帛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光剤と第1の人造繊維材料とを含み、遮光効果を備えている内側繊維と、
第2の人造繊維材料を含み、前記内側繊維を包み込む外側繊維と、
を備えたことを特徴とする繊維製品。
【請求項2】
前記第1の人造繊維材料と前記第2の人造繊維材料との比率が5ないし95%の間であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項3】
前記内側繊維が第1の人造繊維材料を複数含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項4】
前記遮光剤がカーボンブラックまたは酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項5】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料が同じ材質であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項6】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料がナイロン繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項7】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項8】
前記第1の人造繊維材料と前記第2の人造繊維材料とが異なる材質であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項9】
前記第1の人造繊維材料がポリエステル繊維であり、前記第2の人造繊維材料がナイロン繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項10】
前記第1の人造繊維材料がナイロン繊維であり、前記第2の人造繊維材料がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項11】
フィラメントであることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項12】
前記フィラメントで製造された布帛であることを特徴とする請求項11に記載の繊維製品。
【請求項13】
前記外側繊維が色素を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項14】
紡績ノズルの内管から内側繊維を吐出するとともに、前記内管を覆うように設けられている外管から外側繊維を吐出することで、第2の人造繊維材料を含む前記外側繊維で、遮光剤と第1の人造繊維材料とを含むことにより遮光効果を備えている前記内側繊維を包み込むことを特徴とする繊維製品の製造方法。
【請求項15】
前記第1の人造繊維材料と前記第2の人造繊維材料との比率が5ないし95%の間であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項16】
前記紡績ノズルが、前記外管の内側に設けられている複数本の内管を備えることで、前記外側繊維が複数本の前記内側繊維を包み込むことを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項17】
前記遮光剤がカーボンブラックまたは酸化チタンを含むことを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項18】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料が同じ材質であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項19】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料がナイロン繊維であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項20】
前記第1の人造繊維材料および前記第2の人造繊維材料がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項21】
前記第1の人造繊維材料と前記第2の人造繊維材料とが異なる材質であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項22】
前記第1の人造繊維材料がポリエステル繊維であり、前記第2の人造繊維材料がナイロン繊維であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項23】
前記第1の人造繊維材料がナイロン繊維であり、前記第2の人造繊維材料がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項24】
前記外側繊維が色素を含むことを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項25】
染色工程をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項26】
内側繊維を吐出するように構成された少なくとも一本の内管と、
前記内管を覆うように設けられており、前記内側繊維を包み込む外側繊維を吐出するように構成された外管と、
を備えたことを特徴とする繊維の製造工具。
【請求項27】
前記外管の内側に設けられている複数本の内管を備えることで、前記外側繊維が複数本の前記内側繊維を包み込むことを特徴とする請求項26に記載の繊維の製造工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−106081(P2011−106081A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246076(P2010−246076)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(510139047)フォーモサ タッフェタ カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Formosa Taffeta Co., Ltd.
【Fターム(参考)】