説明

繊維製品の処理方法

【課題】繊維製品に優れた吸水性を付与できる繊維製品の処理方法を提供する。
【解決手段】繊維製品を、HLBが3以上のシリコーン化合物、陽イオン界面活性剤及び水を含有する第1の処理媒体で処理する工程(I)の後に、HLBが3未満のシリコーン化合物、界面活性剤及び水を含有する第2の処理媒体で処理する工程(II)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用の洗濯機は、電気モーターの発達、洗濯槽の改良及びコンピューター制御などによる洗濯スケジュール管理の普及に伴い、一度に多量の繊維製品を洗濯することができる機種が増えている。しかしながら多量の洗濯物を一度に洗うと繊維同士が擦れて、繊維をいためる可能性がある。さらに、脱水を終えた時点で衣類同士が複雑に絡み合い、洗濯槽から取り出すことが困難となるばかりでなく、衣類にシワがつきやすくなる可能性がある。
【0003】
仕上がり性に優れ、洗濯乾燥後のシワを効果的に減らすことができる洗濯方法の発明については、シリコーンを配合した処理浴を用いる特許文献1、2、3を挙げることができる。また、特定のポリオキシアルキレン基を有するシリコーン化合物を配合する洗剤としては、特許文献4、5を挙げることができ、アミノ基を有するシリコーンと陽イオン界面活性剤を含有する繊維処理剤としては、特許文献6を挙げることができる。
【特許文献1】特開2000−44991号公報
【特許文献2】特開2000−44988号公報
【特許文献3】特開2000−44989号公報
【特許文献4】特開平9−67594号公報
【特許文献5】特開2005−213666号公報
【特許文献6】特開2006−214037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、シワ低減効果を高めるには、摩擦低減効果が高く、繊維への吸着性に優れる親水性の低いシリコーンが有効である。しかし、親水性の低いシリコーンを高配合した処理剤(例えば洗剤や柔軟剤)で処理したり、また低配合した処理剤においても繰り返し処理を行うと、繊維製品の吸水性が低下する傾向があることが判明した。
【0005】
本発明の課題は、繊維製品にシワ低減などの高い仕上がり性を与えながらも、優れた吸水性を付与できる繊維製品の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、繊維製品を、(a−I)HLBが3以上のシリコーン化合物、(b−I)陽イオン界面活性剤及び水を含有する第1の処理媒体で処理する工程(I)の後に、(a−II)HLBが3未満のシリコーン化合物、界面活性剤及び水を含有する第2の処理媒体で処理する工程(II)を行う、繊維製品の処理方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、繊維製品にシワ低減などの高い仕上がり性を与えながらも、優れた吸水性を付与できる繊維製品の処理方法が提供される。また、本発明は、繊維製品の洗濯における洗浄処理、柔軟仕上げ処理として実施でき、その場合は累積処理によっても、繊維製品の吸水性の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、繊維製品を、HLBが3以上のシリコーン化合物、陽イオン界面活性剤及び水を含有する第1の処理媒体で処理する工程(I)と、工程(I)により処理された繊維製品を、HLBが3未満のシリコーン化合物、界面活性剤及び水を含有する第2の処理媒体で処理する工程(II)と、を有する繊維製品の処理方法である。以下において、本発明の繊維製品の処理方法を工程ごとに説明する。
【0009】
<工程(I)>
工程(I)では、繊維製品を、(a−I)HLBが3以上のシリコーン化合物〔以下、(a−I)成分という〕、(b−I)陽イオン界面活性剤〔以下、(b−I)成分という〕及び水を含有する第1の処理媒体で処理する。
【0010】
(a−I)成分としては、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等の変性シリコーンから選ばれるシリコーン化合物が挙げられる。これらのうち、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーンから選ばれるシリコーン化合物が好ましい。更に、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーンから選ばれるシリコーン化合物が好ましい。ポリエーテル基を有する変性シリコーンは、ポリオキシエチレン基を有する変性シリコーン化合物であることが好ましい。
【0011】
アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーンとしては、特開2000−144199に記載のシリコーン化合物を用いることができる。
【0012】
吸水性の向上の観点から、(a−I)成分のHLBは、3以上であり、好ましくは4以上、最も好ましくは5以上であり、上限は20以下、より好ましくは10以下である。
【0013】
本発明において、シリコーン化合物のHLB値は、「界面活性剤便覧」(西一郎ら編集、産業図書株式会社、昭和35年発行)の324頁に記載されている下記の方法により測定した曇数Aから、下記の式により算出されるものである(以下同様)。
HLB値=0.89×A+1.1
*曇数Aの測定方法
評価試料(シリコーン化合物)0.5gを98%エチルアルコール5mlに溶解し、25℃に保ちながら、かき混ぜながら2%フェノール水溶液で滴定し、液が混濁を呈する時を終点とする。この滴定に要した2%フェノール水溶液のml数を曇数Aとする。
【0014】
本発明に用いる特定HLBのシリコーンは、市販のものを用いることができるが、変性することでHLBを調製したものを用いてもよい。HLBを高める効果がある変性基としては、アミノ変性、エーテル変性、アミド変性、カルボキシル変性、エポキシ変性及びカルビノール変性をあげることができ、HLBを低くする効果がある変性基としては、アルキル変性、フルオロアルキル変性をあげることができる。2種以上を併用してもよい。
【0015】
(b−I)成分としては、(b−I−1)下記一般式(b−I−1)で表されるアミン又はその酸塩〔以下、(b−I−1)成分という〕、及び(b−I−2)下記一般式(b−I−2)で表される第4級アンモニウム塩〔以下、(b−I−2)成分という〕から選ばれる化合物を含有することが、シリコーンの吸着促進の観点で好ましい。
【0016】
【化1】

【0017】
〔式中、R1bは炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R2bは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは−COO−、−CONR5b−、−OCO−、−NR5bCO−から選ばれる基である。ここで、R5bは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。R3b、R4bは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又はR1b−X−R2b−である。〕
【0018】
【化2】

【0019】
〔式中、R6bは炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基又はベンジル基である。R6bが炭化水素基の場合、この炭化水素基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、ヒドロキシル基のような置換基を任意に含んでもよい。また、R6bはエステル基、アミド基またはエーテル基等の連結基をその鎖中に有していてもよい。R7bはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基、炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基等の炭化水素基又はベンジル基である。R7bが炭化水素基の場合、この炭化水素基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換基を任意に含んでもよい。また、炭化水素基R7bは連結基をその鎖中に有していてもよい。R8b、R9bは、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基である。X-は塩素イオン等のハロゲンイオン、アルキル硫酸イオン等の対イオンである。〕
【0020】
(b−I−1)成分の具体例としては、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジエタノールアミン、ステアリルアミドプロピルジエタノールアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン及びそれらの塩、パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル三級アミン及びそれらの塩等が挙げられ、これらの中でもミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの塩が好ましく、特にはステアリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩が好ましい。
【0021】
(b−I−2)成分の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、椰子アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、N−ラウロイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、N−ミリストイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドなどがあげられる。本発明においては、これらの中でも、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライドやステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0022】
繊維製品の吸水性向上のためには、繊維表面へ(a−I)成分が高吸着することが重要である。しかし、親水性の高い(a−I)成分は、それだけでは繊維に対する吸着性が十分でないため、吸着促進剤として(b−I)成分が必要である。
【0023】
第1の処理媒体における、(a−I)成分と(b−I)成分の質量比は、(a−I)成分の繊維への吸着効率の観点から、(a−I)/(b−I)で、10以下、更に5以下であることが好ましい。また、吸水性向上の観点から、0.5以上、更に1以上、より更に1.5以上であることが好ましい。
【0024】
また、第1の処理媒体は、非イオン界面活性剤〔以下、(c−I)成分という〕を含有することが好ましい。(c−I)成分としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン又はこれらのコポリマー、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドが炭素数8〜22の高級アルコールに付加したポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそれにエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドアルキレンオキシドが付加した化合物、蔗糖脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が8〜22であるアルキルグルコシド等から選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0025】
これらの中でもエチレンオキサイド平均付加モル数が4〜20及びプロピレンオキサイド平均付加モル数が0〜4であって、かつアルキル基の炭素数が8〜22のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特にアルキル基の炭素数が10〜14であってエチレンオキシド平均付加モル数が5〜15のポリオキシエチレンアルキルエーテルが最も好ましい。
【0026】
第1の処理媒体は、(c−I)成分以外の界面活性剤、例えば陰イオン性界面活性剤を含んでもよい。しかし、良好な仕上がり性の観点から、陰イオン界面活性剤の含有量が少ないことが望ましく、陰イオン界面活性剤/(b−I)成分の質量比が1以下、更に0.5以下、より更に0.2以下であることが好ましく、実質的に陰イオン界面活性剤を含まないことが最も好ましい。
【0027】
第1の処理媒体は、繊維製品の洗浄を目的とした洗剤組成物であってもよい。すなわち、工程(I)は、第1の処理媒体中で繊維製品を洗浄する工程とすることができる。その場合、(a−I)成分の含有量は、第1の処理媒体中、1〜1000ppm、更に5〜500ppm、より更に8〜100ppmであることが好ましい。また、(b−I)成分の含有量は、第1の処理媒体中、0.5〜1000ppm、更に1〜500ppm、より更に2〜100ppmであることが好ましい。また、(c−I)成分の含有量は、第1の処理媒体中、20〜1000ppm、更に50〜500ppm、より更に60〜300ppmであることが好ましい。第1の処理媒体の残部は水である。
【0028】
第1の処理媒体が洗剤組成物である場合、その他の添加剤として、特開2005−154505号公報の段落〔0045〕に記載された成分を配合することができる。なかでも、その他の界面活性剤、アルカリ剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、酸剤又はキレート剤としてクエン酸及びコハク酸、分散剤としてオリゴマー、酸化防止剤として亜硫酸ナトリウム、可溶化剤としてプロピレングリコール、低級アルコールとしてエタノール、抗菌剤としてイソチアゾリン系化合物、香料、染料を配合することが好ましい。
【0029】
第1の処理媒体が洗剤組成物である場合、処理媒体の20℃のpHが6〜12、更に6.5〜11であることが、十分な洗浄力を得る上で好ましい。
【0030】
第1の洗浄媒体による繊維製品の処理は、当該第1の洗浄媒体を繊維製品に接触させることで行われる。具体的には、処理浴で第1の洗浄媒体を繊維製品に接触(浸漬等)させる方法が挙げられる。
【0031】
<工程(II)>
工程(II)は、工程(I)の後に、繊維製品を(a−II)HLBが3未満のシリコーン化合物〔以下、(a−II)成分という〕、界面活性剤及び水を含有する第2の処理媒体で処理する。
【0032】
(a−II)としては、アルキル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、フルオロアルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の変性シリコーンから選ばれるシリコーン化合物が挙げられる。これらのうち、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーンから選ばれるシリコーン化合物が好ましい。特にアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0033】
アミノ変性シリコーンとしては、特開2001−49582号公報、特開2001−192973号公報、特開2002−371474号公報、特開平8−325952号公報、特開平10−131054号公報等に記載のアミノ変性シリコーン化合物を用いることができる。
【0034】
アミノ変性シリコーンとしては、25℃の動粘度(オストワルト型粘度計で求めることができる)が、好ましくは100〜20000mm2/s、より好ましくは200〜10000mm2/s、特に好ましくは500〜5000mm2/sであり、アミノ当量(窒素原子1つ当りの分子量、アミノ当量=分子量/N原子数で求められる。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準として求めた値であり、窒素原子数は元素分析法により求めることができる)が、好ましくは400〜8000、より好ましくは600〜5000、特に好ましくは800〜4000のものである。
【0035】
アミノ変性シリコーンの好適な具体例として、一般式(a−II−1)で表される化合物が挙げられる。
【0036】
【化3】

【0037】
〔式中、
1aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、−OR4a(ここでR4aは炭素1〜3のアルキル基)又は水素原子を示し、
2aは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子を示し、
Dは少なくとも1つのアミノ基を有する側鎖を示し、
3aは炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、
wは10〜10,000の数、zは1〜1,000の数を示し、重量平均分子量が2,000〜1,000,000となる数を示し、
1a、R2a、R3a、R4aはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、また複数個のR32は同一でも異なっていてもよい。〕
【0038】
一般式(a−II−1)において、R1aはメチル基又はヒドロキシ基が好ましく、R2aはメチル基又はヒドロキシ基が好ましく、R3aはメチル基又は水素原子が好ましく、R4aはメチル基が好ましい。重量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは8,000〜50,000である。ここで、重量平均分子量はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで求めることができる。アミノ基を有する側鎖Dとしては、下記のものを挙げることができる。
【0039】
−C36−NH2
−C36−NH−C24−NH2
−C36−NH−[C24−NH]h24−NH2
−C36−NH(CH3
−C36−NH−C24−NH(CH3
−C36−NH−[C24−NH]i24−NH(CH3
−C36−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−C24−N(CH3)2
−C36−N(CH3)−[C24−N(CH3)]j24−N(CH3)2
−C36−NH−cyclo-C511
ここでh、i及びjはそれぞれ1〜30の数である。
【0040】
アミノ変性シリコーンは、例えば、式(a−II−2):
2N(CH22NH(CH23Si(CH3)(OCH32 (a−II−2)
で表されるオルガノアルコキシシランを過剰の水で加水分解して得られた加水分解物と、ジメチルシクロポリシロキサンとを水酸化ナトリウムのような塩基性触媒を用いて、80〜110℃に加熱して平衡反応させ、反応混合物が所望の粘度に達した時点で酸を用いて塩基性触媒を中和することにより製造することができる(特開昭53−98499号公報参照)。
【0041】
アミノ変性シリコーンは、オイル状のものをそのまま配合しても差し支えないが、アミノ変性シリコーンの粒子が水中に分散した水性エマルジョンの形態で配合することが、第2の処理媒体を容易に製造できる点から好ましい。
【0042】
アミノ変性シリコーンとして用いることができるものとしては、
GE東芝シリコーン(株)製のTSF4703(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1600)、TSF4707(粘度10000mm2/s(25℃)、アミノ当量7000)、TSF4708(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量2800)、
日本ユニカー(株)製のSS−3551(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1600)、SS−3552(粘度700mm2/s(25℃)、アミノ当量7000)、FZ−3705(粘度250mm2/s(25℃)、アミノ当量4000)、FZ−319(粘度2000mm2/s(25℃)、アミノ当量4000)、
東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSF8451C(粘度600mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)、SF8452C(粘度700mm2/s(25℃)、アミノ当量6400)、SF8457C(粘度1200mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、SF8417(粘度1200mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、BY16−849(粘度1300mm2/s(25℃)、アミノ当量600)、BY16−850(粘度1100mm2/s(25℃)、アミノ当量1100)、BY16−892(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量2000)、BY16−879B(粘度1190mm2/s(25℃)、アミノ当量8000)、BY16−872(粘度20000mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、
信越化学工業(株)製のKF864(粘度1700mm2/s(25℃)、アミノ当量3800)、KF857(粘度1300mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)、KF869(粘度1500mm2/s(25℃)、アミノ当量3800)、KF862(粘度750mm2/s(25℃)、アミノ当量1900)、KF8001(粘度250mm2/s(25℃)、アミノ当量1900)、KF880(粘度650mm2/s(25℃)、アミノ当量1800)、
旭化成ワッカーシリコーン(株)製のWR300(粘度600mm2/s(25℃)、アミノ当量3300)、WR1100(粘度5000mm2/s(25℃)、アミノ当量7000)、WR1600(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)、WT1650(粘度1000mm2/s(25℃)、アミノ当量1700)等を挙げることができる。
【0043】
アミノ変性シリコーンとして用いることができる水性エマルジョンとしては、上記のオイル状のものを界面活性剤等の乳化剤を用いて、各種の乳化機(ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル等)により水中に分散させたものを用いてもよいが、オルガノアルコキシシランとジメチルシクロポリシロキサン等を用い、水中で重合反応を行うことにより、所望のアミノ変性シリコーンを含むエマルジョンを調製し、これをアミノ変性シリコーンの水性エマルジョンとしてそのまま用いてもよい。具体的には日本ユニカー(株)製のFZ−4632、FZ−4635、FZ−4640、FZ−4645、FZ−4658、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSM8702、SM8704C、SM8709、BY22−812、BY22−816、BY22−819、BY22−823、信越化学工業(株)製のPolon MF−14、Polon MF−14D、Polon MF−14EC、Polon MF−29、Polon MF−39、Polon MF−44、Polon MF−52等を挙げることができる。
【0044】
(a−II)のシリコーン化合物のHLBは、前記測定方法において、3以下、好ましくは1.5以下であり、下限値は1.1以上である。
【0045】
第2の処理媒体は、界面活性剤として、(b−II)陽イオン界面活性剤〔以下、(b−II)成分という〕及び(c−II)非イオン界面活性剤〔以下、(c−II)成分という〕の両方を含有することが好ましい。
【0046】
(b−II)成分としては、鎖の途中がエステル結合、アミド結合又はエーテル結合で分断されていてもよい炭素数が8〜25のアルキル基またはアルケニル基を1〜3有し、残りが炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、ヒドロキシアルキル基から選ばれる1種以上の有機基である4級アンモニウム型界面活性剤及び/又は3級アミン型界面活性剤の無機もしくは有機酸塩が挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、硫酸塩等を挙げることができ、有機酸塩としては、炭素数2〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩等を挙げることができる。
【0047】
このような4級アンモニウム型界面活性剤又は3級アミン型界面活性剤としては、下記一般式(b−II−1)及び(b−II−1)で表される化合物を挙げることができる。
【0048】
【化4】

【0049】
[式中、
10b、R12bは同一又は異なっていてもよく、直鎖でも分岐鎖の炭素数が5〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し;
1、Q2は、シングル結合、又は−COO−、−CONR16b−、−OCO−、−NR16bCO−で示される有機基による結合(ここでR16bは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキレン基を示す)を示し;
11b、R13bは炭素数1〜5のアルキレン基を示し;
14b、R15bは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はR10b−Q1−R11b−を示し;
HXは上記した無機酸又は有機酸を示し、X-はハロゲン原子等の陰イオンを示す。]
【0050】
1、Q2がエステル結合、アミド結合の場合は、R10b、R12bはステアリン酸、パルミチン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和高級脂肪酸のほか、牛脂、豚脂、パーム油、パーム核油、オリーブ油等の天然油脂を分解、精製して得られる脂肪酸から由来するものが好ましい。これらの中でも特に、オレイン酸、ステアリン酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸が好適である。
【0051】
なお、不飽和高級脂肪酸としては、立体異性体がシス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよいが、特にシス体/トランス体の比率が25/75〜100/0(質量比)であることが好ましい。
【0052】
第3級アミン化合物の長鎖結合基はエーテル結合を含んでいてもよく、その場合には、牛脂、豚脂、パーム油、オリーブ油を還元して得られるアルコール由来のほか、それらからゲルベ反応によって得られる合成アルコールも使用できる。
【0053】
より具体的には、ジ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルベンジルアンモニウム塩の他に、下記一般式(b−II−i)〜(b−II−iv)及び(b−II−v−1)〜(b−II−v−4)で表される化合物を挙げることができる。なお、式中のR17bは、直鎖の炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくはオレイル又はC18/C16=80/20〜20/80(重量比、ともに飽和アルキル鎖)を示す。また一般式(b−II−v−1)〜(b−II−v−4)で表される化合物は、一般式(b−II−v−1)及び(b−II−v−2)を主として含有する混合物として得られるのが一般的である。
【0054】
【化5】

【0055】
また、4級アンモニウム化合物としては、下記一般式(b−II−vi)で表されるものを用いることもできる。式中のR17bの意味は上記と同様である。
【0056】
【化6】

【0057】
最も好ましい陽イオン界面活性剤は、ジ長鎖アルキル(炭素数8〜22)又はアルケニル(炭素数8〜22)ジメチルアンモニウム塩、又は一般式(8−1)〜(8−4)の化合物の混合物である。
【0058】
また、(c−II)成分は、第1の処理媒体で挙げたものを使用できる。中でも(c−II)成分としては、アルキル基の炭素数が8〜20であって、且つオキシアルキレン基の炭素数が2又は3のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、具体的には、(c−II−1)下記一般式(c−II−1)で表される非イオン界面活性剤〔以下、(c−II−1)成分という〕及び(c−II−2)一般式(c−II−2)で表される非イオン界面活性剤〔以下、(c−II−2)成分という〕から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤が好ましい。
【0059】
1c−O−(C24O)p−H (c−II−1)
〔式中、R1cは炭素数8〜20の炭化水素基であり、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。pは平均付加モル数を示し3〜50の数である。〕
【0060】
1c−O−[(C24O)q/(C36O)r]−H (c−II−2)
〔式中、R1cは前記の意味を示す。q及びrはそれぞれ独立に0より大きく、qとrの合計が10〜22となる数である。(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよく、(C24O)と(C36O)の付加順序は限定されない。〕
【0061】
本発明では、(c−II−2)成分を非イオン界面活性剤の必須成分とすることにより、工程(II)の処理中、泡立つことなく、繊維製品への(a−II)成分の吸着性を向上できるので好ましい。更には(c−II−2)成分が(c−II)成分中の5〜50質量%を占めることが好ましく、特には、(c−II−1)成分と(c−II−2)成分の合計が、(c−II)成分中の90質量%以上、特には95質量%以上であることが好ましい。
【0062】
第2の処理媒体が界面活性剤として(b−II)成分と(c−II)成分とを含有する場合、安定性及び仕上がり性の観点から、(c−II)/(b−II)の質量比は1〜4が好ましく、より好ましくは1.2〜3であり、安定性と仕上がりの観点から(c−II)/(a−II)の質量比は1〜5が好ましく、より好ましくは1.5〜3である。
【0063】
第2の処理媒体は、繊維製品の仕上処理を目的とした組成物、例えば柔軟仕上剤組成物等であってもよい。柔軟仕上剤組成物である場合、抗菌剤(イソチアゾリン骨格を有するものが好ましい)、有機酸(コハク酸及びクエン酸が好ましい)、溶剤(フェノキシエタノール、フェノールにエチレンオキシドを平均3モル付加させたフェノール系化合物)、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及び質量平均分子量が5000以内のポリエチレングリコールを挙げることができる)、無機塩(食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウムが好ましい)、その他(香料、色素)を含有させることができる。
【0064】
第2の処理媒体中、(a−II)成分の含有量は、好ましくは1〜1000ppm、さらに好ましくは2〜500ppm、特に好ましくは、4〜100ppmであり、(b−II)成分の含有量は、好ましくは1〜1000ppm、さらに好ましくは5〜500ppm、特に好ましくは、10〜100ppmであり、(c−II)成分の含有量は、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは5〜300ppm、特に好ましくは、10〜100ppmであり、残部を他の成分と水にする。
【0065】
第2の処理媒体は、20℃のpHは2〜6が好ましい。このpH範囲において(a−II)成分が十分に繊維製品に吸着する。
【0066】
第2の洗浄媒体による繊維製品の処理は、当該第2の洗浄媒体を繊維製品に接触させることで行われる。具体的には、処理浴で第2の洗浄媒体を繊維製品に接触(浸漬等)させる方法が挙げられる。
【0067】
工程(II)の処理後、第2の洗浄媒体は遠心回転等による脱水処理によって繊維製品から除去される。その後、繊維製品は乾燥される。
【0068】
なお、工程(I)に次いで工程(II)を行う場合、第1の処理媒体の成分が第2の処理媒体に混入することがある。その場合も、第2の処理媒体におけるシリコーン化合物全体のHLBが3未満であればよい。また、工程(I)と工程(II)の間に、工程(I)により洗浄された繊維製品を、水を用いて濯ぎを行う工程を設けて、第1の処理媒体の成分が第2の処理媒体中に取り込まれないようにすることも好ましい。とりわけ工程(I)が、第1の処理媒体中で繊維製品を洗浄する工程である場合には、このような濯ぎ工程を設けることが好ましい。
【0069】
また、本発明では、工程(II)の処理を行った後、第2の処理媒体から分離した繊維製品(第2の処理媒体を含んでいてもよい)に対して、工程(I)及び工程(II)の処理を繰り返し行うことができる。すなわち、工程(II)の処理を行った後、繊維製品を第2の処理媒体から分離し、場合によっては乾燥した後に、再び工程(I)及び工程(II)の処理を行った後、第2処理媒体を分離し、場合によっては乾燥する工程を複数回繰り返すことができる。
【0070】
本発明の工程(I)は繊維製品を洗浄する工程として、工程(II)は繊維製品を仕上処理する工程として、それぞれ実施できるため、本発明の繊維製品の処理方法は、例えば、繊維製品の洗濯の工程に組み込んで容易に実施することができる。その際、電気洗濯機(例えば家庭用電気洗濯機)を用いた処理や手洗いによる処理に適用できる。
【0071】
本発明の繊維製品の処理方法の具体例を示す。
繊維製品を、HLBが3以上のシリコーン化合物(好ましくはアミノポリエーテル及び/またはアミドポリエーテル変性シリコーン)1〜1000ppm、更に5〜500ppm、より更に8〜100ppm、陽イオン界面活性剤(好ましくはモノ長鎖アルキルプロピルアミドアミン及び/またはモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩)0.5〜1000ppm、更に1〜500ppm、より更に2〜100ppm、非イオン界面活性剤(好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル)20〜1000ppm、更に50〜500ppm、より更に60〜300ppm、及び残部の水を含有する洗剤組成物の水希釈液(第1の処理媒体)で処理する工程(I)の後に、HLBが3未満のシリコーン化合物(好ましくはアミノ変性シリコーン)1〜1000ppm、更に2〜500ppm、より更に4〜100ppm、陽イオン界面活性剤(好ましくはジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩)1〜1000ppm、更に5〜500ppm、より更に10〜100ppm、非イオン界面活性剤(好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル)1〜500ppm、更に5〜300ppm、より更に10〜100ppm及び残部の水を含有する柔軟仕上剤組成物の水希釈液(第2の処理媒体)で処理する工程(II)を行う。第1の繊維処理媒体の20℃のpHは6〜11が好ましい。また、繊維製品1kgに対し、(a−I)成分が20mg〜10g、更に100mg〜5gとなるように洗剤組成物を用いることが好ましい。また、第2の繊維処理媒体の20℃のpHは2〜6が好ましい。また、繊維製品1kgに対し、(a−II)成分が20mg〜10g、更に100mg〜5gとなるように洗剤組成物を用いることが好ましい。また、これら工程(I)、(II)を電気洗濯機で行うことが好ましい。
【0072】
一般に、HLBの低いシリコーン化合物は、繊維製品に対する仕上がり性は良好となるが、前記の通り、かかるシリコーンを高配合した処理剤で繰り返し処理を行うと、繊維製品の吸水性が低下する傾向がある。しかし、本発明の処理方法では、このような問題が解決される。本発明の効果が得られる機構については明かではないが、本発明では、HLBが3以上のシリコーン化合物を陽イオン界面活性剤とともに第1の処理媒体に用いて処理することで、陽イオン界面活性剤の寄与により、効果的に当該シリコーン化合物が繊維製品に吸着し、続いて行われる工程(II)において、HLBが3未満のシリコーン化合物を含む第2の処理媒体に処理した場合に、HLBが3未満のシリコーン化合物の間にHLBが3以上のシリコーン化合物が存在して、水の連絡経路が形成されることで、吸水性が確保されているのではないかと推察している。
【実施例】
【0073】
<工程(I)で用いた第1の処理媒体>
水47Lに対して表1の組成物(1)〜(6)が60gとなるように用いて(全自動洗濯機に投入する水に添加して)、第1の処理媒体とした。表1の組成物のpHはいずれも、塩酸を用いて7.0(20℃)に調整した。また、表1で用いた成分は以下のものである。
【0074】
<(a−I)成分>
シリコーン化合物I−1:下記一般式で表されるシリコーン化合物であって、RがCH3、R1がCH3、Aが(イ)-(CH2)3-NH-CO-CH2-O-(CH2CH2O)5-C12H25 及び(ロ)-(CH2)3-NH2 の混合〔(イ)/ (ロ)=7/3(モル比)〕であって、Bが-(CH2)3-O-(CH2CH2O)10-CH3、lが300、mが7、nが4であり、HLBの測定値が6.0のシリコーン化合物。
【0075】
【化7】

【0076】
シリコーン化合物I−2:ポリエーテル変性シリコーンSH8400(東レ・ダウコーニング社製)。HLBの測定値は8.2であった。
シリコーン化合物A:ジメチルシリコーンKF−96−5000(信越化学工業社製)。HLBの測定値は1.1であった。
【0077】
<(b−I)成分>
カチオンI−1:ステアリルアミドプロピルジメチルアミン
カチオンI−2:炭素数16及び18が混合したアルキル基(炭素数16/18=70/30:質量比)のモノアルキルトリメチルアンモニウムクロリド
【0078】
<(c−I)成分>
ノニオンI−1:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル鎖が二級直鎖であり、炭素数が12〜15、平均エチレンオキサイド付加モル数が3)
ノニオンI−2:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均エチレンオキサイド付加モル数が10)
【0079】
<その他成分>
溶剤:ブチルカルビトール
【0080】
<工程(II)で用いた第2の処理媒体>
水47Lに対して表2の組成物(7)〜(10)が30gとなるように用いて(全自動洗濯機に投入する水に添加して)、第2の処理媒体とした。表2の組成物のpHはいずれも、塩酸を用いて4.0(20℃)に調整した。また、表2で用いた成分は以下のものである。
【0081】
<(a−II)成分>
シリコーン化合物II−1:アミノ変性シリコーン[KF−393(信越化学工業(株):ジアミン変性型)。HLBの測定値は1.1であった。
シリコーン化合物II−2:アミノ変性シリコーン[KF−864(信越化学工業(株)):モノアミン型]。HLBの測定値は1.1であった。
【0082】
<(b−II)成分>
カチオンII−1:陽イオン界面活性剤[ジアルキル(炭素数12〜14)ジメチルアンモニウムクロライド]
【0083】
<(c−II)成分>
下記EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドの略である。
ノニオンII−1:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル鎖が一級直鎖であり、炭素数が12〜14、平均EO付加モル数が40)]
ノニオンII−2:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル鎖が一級直鎖であり、炭素数が12〜14、平均EO付加モル数が20)]
ノニオンII−3:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル鎖が2級直鎖であり、炭素数が12〜14、平均EO付加モル数が3)]
ノニオンII−4:非イオン界面活性剤[ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(アルキル鎖が一級直鎖であり、炭素数が12〜14のアルコールにEO平均5モル/PO平均2モル/EO平均3モルの順に付加させたもの)]
【0084】
<その他成分>
溶剤:フェノールにEOを平均3モル付加させたグリコールエーテル化合物
EDTA:エチレンジアミン4酢酸
【0085】
<繊維製品の処理方法>
洗濯機として、松下電器産業株式会社製の全自動洗濯機(National NA-F70AP、水量47L)を用い、工程(I)→すすぎ処理→工程(II)→脱水の順に洗濯を行った。洗濯終了後、衣料を取り出し、軽く叩きながら整形し、ハンガーにかけて室内で乾燥させた。この処理を5回繰り返した後、シワのレベルと吸水性の評価を以下の方法で行った。結果を表3に示す。なお、工程(I)、工程(II)での処理媒体は、表3の組み合わせで用いた。また、衣料は、肌着(綿100%)7枚、ポロシャツ(綿100%)10枚、Tシャツ(綿100%)3枚の総計2.0kgを用いた。
【0086】
<シワの評価方法>
乾燥後の衣類(ポロシャツ)を目視で観察し、シワのレベルを判定した。判定は、下記を基準とした。
1:シワが多い
2:シワがやや多い
3:シワがやや少ない
4:シワが少ない
【0087】
<吸水性の試験方法>
乾燥後の衣類(肌着)を6cm×6cmに裁断したのち、20℃・湿度65%の環境下で24時間調湿した。その試験布の中心部分に、20℃のイオン交換水をスポイトを用いて1滴たらし、水が試験布に吸い込まれるまでの時間(秒)を測定した。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
表3の結果から、実施例の処理方法と比較例の処理方法を比べると、実施例の処理方法を適用したほうが、乾燥後において、しわが少なく、かつ高い吸水性を維持できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品を、(a−I)HLBが3以上のシリコーン化合物、(b−I)陽イオン界面活性剤及び水を含有する第1の処理媒体で処理する工程(I)の後に、(a−II)HLBが3未満のシリコーン化合物、界面活性剤及び水を含有する第2の処理媒体で処理する工程(II)を行う、繊維製品の処理方法。
【請求項2】
(a−I)が、ポリオキシエチレン基を有する変性シリコーン化合物である、請求項1記載の繊維製品の処理方法。
【請求項3】
第1の処理媒体が、更に(c−I)非イオン界面活性剤を含有する、請求項1又は2記載の繊維製品の処理方法。
【請求項4】
第2の処理媒体の界面活性剤が、(b−II)陽イオン界面活性剤及び(c−II)非イオン界面活性剤である、請求項1〜3の何れか1項記載の繊維製品の処理方法。
【請求項5】
第1の処理媒体における、(a−I)と(b−I)の質量比が、(a−I)/(b−I)で0.5以上である、請求項1〜4の何れか1項記載の繊維製品の処理方法。
【請求項6】
工程(I)が、第1の処理媒体中で繊維製品を洗浄する工程である、請求項1〜5の何れか1項記載の繊維製品の処理方法。
【請求項7】
工程(I)と工程(II)の間に、工程(I)により洗浄された繊維製品を、水を用いて濯ぎを行う工程を有する、請求項6記載の繊維製品の処理方法。
【請求項8】
工程(II)の処理を行った後、第2の処理媒体から分離した繊維製品に対して、工程(I)及び工程(II)の処理を繰り返し行う、請求項1〜7の何れかに記載の繊維製品の処理方法。

【公開番号】特開2010−100954(P2010−100954A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271979(P2008−271979)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】