説明

繊維製品の回復のための泡状水性エマルションの使用

本発明は、繊維製品の回復のための泡状水性エマルションおよび/または分散剤の使用に関する。これらの水性エマルションおよび/または分散剤は、(a)1つまたはいくつかの皮膚保護油0〜25重量%、(b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、(c)1つまたはいくつかの乳化剤0〜20重量%、(d)1つまたはいくつかの泡形成剤0.1〜25重量%、(e)1つまたはいくつかの泡安定化剤0〜10重量%、および(f)残り100重量%までの水を含有し、成分(a)または(b)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならないという条件を有し、さらに該泡が以下の条件を満たさなければならない:50〜300g/lの範囲の泡密度および2〜30分の範囲の泡崩壊時間。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料繊維製品の回復のための泡状水性エマルションの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質繊維製品の仕上げのために、繊維製品にスキンケア特性を付与する油混合物がますます頻繁に使用されている。これらの油混合物が布地を通って吸収される際に、例えば保湿、平滑化、冷却、加温または再脂化特性を付与し得る。繊維製品を油混合物で初めて仕上げるために、通常、繊維溶液(textile liquor)中でさらに希釈された油混合物の水性エマルションが用いられる。その後、これらの水溶液を、例えば繊維製品の仕上げのためのパジングまたは吸収工程において使用し得る。しかしながら、数回の洗浄作業の後には、最初の仕上げ効果は低減する。
従って、繊維製品に対する最初の仕上げの特性を容易に回復させる方法に対する必要性がある。
【0003】
DE−A−102005045138号は、a)水、b)1つまたはそれ以上の成分および/または活性成分を充填したマイクロカプセル、およびc)ポリマー分散剤(該ポリマーは単重合または共重合であってよく、かつ少なくとも5個のモノマー構成単位からなる)を含んでなる水性マイクロカプセル分散剤を記載する。該発明によれば、これらの分散剤は長期間貯蔵安定である。これらのマイクロカプセル分散剤は回復適用に使用し得る。
【0004】
DE−A−102005059721号は、ケア油による繊維製品の仕上げのための方法であって、200mPas以下の粘度(ブルックフィールドにより、20℃にて測定)を有し、(a)水、(b)1つまたはそれ以上のケア油および(c)1つまたはそれ以上の乳化剤を含んでなる水性エマルションを繊維製品に塗布する方法を記載する(但し、該水性エマルションは繊維製品に噴霧によって塗布する)。しかしながら、この方法は、噴霧中に少なくとも一定量のエマルションが、処理を行う繊維製品からそれてこぼれ落ち、失われるという不利な点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第2005045138号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第2005059721号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明中、「回復(reloading)」は、繊維の回復(例えば洗浄作業後の)を意味すると理解される。従って、回復は、繊維製品の工業的な最初の仕上がりを言うのではなく、スキンケア油および/または活性成分により繊維製品を再仕上げすることをいう。その性質のため、そのような回復は特に最終消費者により行われる。
【0007】
本発明の目的は、容易に使用でき、かつ、スキンケア油および/または活性成分に関する最初の仕上がりを繊維製品に再付与し得る方法を開発することである。さらなる目的は、スキンケア油および/または活性成分を含む水性エマルションおよび/または分散剤を提供することである。これらのエマルションおよび/または分散剤は、空気により容易に泡立てることができ、また、染みになることなく塗り広げることができ、特に、皮膚に対して直接身に付ける、例えば下着、ズボン、シャツおよびストッキングのような衣類に容易に均一に染み込ませることができる安定した回復発泡剤(reload foam)を形成し得るべきである。該回復発泡剤は、繊維製品に均一にかつ染みになることなく、容易に取り込まれるべきである。これに関して、早急な処理可能な方法を確保すべきである。これに対して、一方では、分解することなく、かつ事前に染みになることなく繊維製品中に取り込まれ得る十分な安定性を有し、他方では、繊維製品中への取り込みができないほど、またはかなりの時間をかけた場合のみ取り込まれるほど安定しているべきではない。特に、回復発泡剤は紡績によりまだ湿っている繊維製品中に、繊維製品の洗浄および紡績後も存在できるように、前述した方法で取り込み得るべきである。
【0008】
特に、本発明中、繊維製品は衣類の意味で用いられることを規定し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有する(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)泡状の水性エマルションおよび/または分散剤であって、かつ該泡が、
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たす水性エマルションおよび/または分散剤の、繊維製品の回復(reloading)のための使用を提供する。
【0010】
個々の成分の重量%は、常に全エマルションおよび/または分散剤に基づき、これは、概して、本発明に適用する。
【0011】
本発明は、さらに、繊維製品の回復のための方法であって、
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有する(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)水性エマルションおよび/または分散剤を、
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たす泡に変換する方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、繊維製品の回復のための組成物であって、該組成物が
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有する(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)水性エマルションおよび/または分散剤であって、さらに該エマルションおよび/または分散剤をガスにより泡立てることで泡に変換し、該泡が
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たす組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、手動操作可能なフォームディスペンサーと水性エマルションおよび/または分散剤を含んでなるシステムであって、該水性エマルションおよび/または分散剤が
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有し(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)、かつ、フォームディスペンサーの操作により生じる泡が
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たすシステムを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、圧縮ガスにより操作するフォームディスペンサーと水性エマルションおよび/または分散剤を含んでなるシステムであって、該水性エマルションおよび/または分散剤が
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有し(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)、かつ、フォームディスペンサーの操作により生じる泡が
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たすシステムを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に用いられる回復発泡剤は、エマルションまたは分散剤であってよい。該エマルションは、従来法により調製されたO/Wエマルション(「マイクロエマルション」)あるいは、その他のいわゆるPITまたは当業者に既知のマイクロ−またはナノエマルションであってよい。
【0016】
本発明の回復発泡剤により仕上げられる好ましい繊維製品は、あらゆるタイプの衣服であって、これらは、好ましくは直接皮膚に身に付ける、例えば下着、ズボン、シャツおよびストッキングなどである。
【0017】
本発明に用いられる泡は、上述した2つの生理学的特性で定義付けられる。これらは以下に説明し得る。
【0018】
泡密度(FD)は、20℃における泡重量(グラム)と泡体積(リットル)の商を意味すると理解される。FDはg/lで表される。例:2kgの水溶液から8リットルの泡が得られる。従って、FDは2000g/8l=250g/lである。本発明によると、FDは好ましくは50〜250g/lの範囲に、特に100〜200g/lの範囲にあることが好ましい。
【0019】
泡崩壊時間(FT)は、20℃で、1リットルの泡体積から、その中の液体が50ml流出する時間を意味すると理解される。FTは、泡の耐久性の尺度である。FTは、以下のようにして測定される。段階的コニカル1リットル沈降漏斗(DIN12672−Kによる)を、1000mlの印まで60秒間かけて泡で満たす。
ここで、泡は、ポンプフォームボトルを用いて水性エマルションまたは分散剤から作製する。その後、ストップウォッチを使って、50mlの液体が沈降する時間を測定する。
ここで、使用するポンプフォームボトルは、Rexam Airspray International BVから入手可能な手動式フォームディスペンサー(200mlボトルHDPE−BE−43C1−200HE−10002;フォーマーポンプ白−F202.093.0001)である。
【0020】
本発明において、FTは好ましくは5〜20分の範囲、特に7〜18分の範囲であることが好ましい。
【0021】
すでに述べたように、泡崩壊時間および泡密度は、20℃の温度で測定される。
【0022】
必要に応じて、本発明に用いられる回復発泡剤は、その他の成分を含有してもよい。それらの例は、粘度調整剤および水性または非水性形態で使用し得る植物抽出物である。水性植物抽出物の場合、通常、これらの植物抽出物に特別な乳化剤を使用することなく用いることができる。適当な植物抽出物の例は、アロエベラ、マロニエエキスなどである。本発明において水性植物抽出物は、好ましくは0〜5%の量で使用される。
【0023】
フォームディスペンサー
1つの好ましい実施態様において、本発明に用いられる回復発泡剤は、手動式ポンプ式フォームディスペンサーを使用して仕上げるべき繊維製品に塗布される。この目的のために、ポンプ式タイプの任意の望ましいフォームディスペンサーを使用することが可能である。本発明の回復エマルションまたは回復分散剤はディスペンサーからの空気により泡立てられる。しかしながら、本発明において、発泡用ガスに基づくディスペンサーは使用されない。
【0024】
使用されるフォームディスペンサーは、使用者に簡単な方法で、本発明の水性回復エマルションまたは分散剤を前述した複雑な課題を満足させる特定の回復発泡剤に変換することを可能にする。フォームディスペンサーは、作製された泡が前述した条件、即ち:
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
を満たすように、空気と液体(回復エマルションまたは分散剤)の混合比を有するように設計されるべきである。
【0025】
適当なフォームディスペンサーの1つの例は、WO−A−03/088941の25頁以下および図1に記載されるような、Airspray International B.V.からのポンプ式フォームディスペンサーである。また、例えばMicrotec Labs Inc.(5747 Executive Bvld., Dayton,OH 45424,USA)からも入手し得る。
【0026】
本発明に用いられる回復発泡剤は、布地に直接塗布し、その後揉み込まれる。乾燥時間(布地のタイプによって決まる)の後、布地は再び元のスキンケア特性を有し、またその後すぐに身に付けることができる。該スキンケア効果は、本発明の回復発泡剤の場合、ケア油および/または活性成分の使用量によって調整され得る。スキンケア特性に加えて、該発泡剤は繊維製品に良好な感触および/または良好な滑らかさを与えることができ、例えば、密着タイプの繊維製品(例えば圧縮ストッキング)を身に付けることを容易にする。
【0027】
化合物c)(乳化剤)、d)(泡形成剤)およびe)(泡安定化剤)は、それらの機能により定義付けられる。これは、以下を意味する:
・成分a)(スキンケア油)および/またはb)(活性成分を充填したマイクロカプセル)を含む水系をエマルションおよび/または分散剤に変換し得るいずれの物質も、物質区分に関係なく、乳化剤c)とよぶ。
・成分a)(スキンケア油)および/またはb)(活性成分を充填したマイクロカプセル)を含む水性エマルションおよび/または分散剤を、空気による泡立てにより泡に変換し得るいずれの物質も、物質区分に関係なく、泡形成剤d)とよぶ。
・成分a)(スキンケア油)および/またはb)(活性成分を充填したマイクロカプセル)を含む水性エマルションおよび/または分散剤を泡立てて形成した泡を、急激な崩壊に対して安定化し得るいずれの物質も、物質区分に関係なく、泡安定化剤e)とよぶ。
【0028】
化合物c)、d)およびe)は構造的用語において重複し得ることはすぐに明らかになる。例えば、1つの実施態様において、化合物c)、d)およびe)は、界面活性剤の群より選択される。ここで、最初の実施態様において、化合物c)、d)およびe)のそれぞれに対して別の物質が用いられる。しかしながら、界面活性剤が2つの機能を満たす異なる実施態様もあり得る。即ち、
i)乳化剤であり同時に泡形成剤である、または
ii)乳化剤であり同時に泡安定化剤である、または
iii)泡形成剤であり同時に泡安定化剤である。
まれな場合には、
iv)乳化剤であり、同時に泡形成剤であり泡安定化剤である
界面活性剤が用いられる。
【0029】
化合物c)、d)およびe)に対する前述した量的範囲に関して、実施態様i)〜iv)は以下を意味する:
・i)の場合、量的範囲は、c)およびd)に対して与えられた値を加えることにより、乳化剤であり同時に泡形成剤である界面活性剤に対して生じる。それぞれの場合、下限および上限が加えられることになる。
・ii)の場合、量的範囲は、c)およびe)に対して与えられた値を加えることにより、乳化剤であり同時に泡安定化剤である界面活性剤に対して生じる。それぞれの場合、下限および上限が加えられることになる。
・iii)の場合、量的範囲は、d)およびe)に対して与えられた値を加えることにより、泡形成剤であり同時に泡安定化剤である界面活性剤に対して生じる。それぞれの場合、下限および上限が加えられることになる。
・iv)の場合、量的範囲は、c)、d)およびe)に対して与えられた値を加えることにより、乳化剤であり同時に泡形成剤および泡安定化剤である界面活性剤に対して生じる。それぞれの場合、下限および上限が加えられることになる。
【0030】
化合物a)
すでに述べたように、成分(a)は、スキンケア油である。ここで、用語「油」は、化学的に狭義の「トリグリセリド」であると理解すべきでない。むしろ、油は、室温で油性コンシステンシーを有する成分を意味すると理解される。成分(a)は、好ましくはモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよび脂肪酸アルキルエステルの郡から選択される。これらは、天然由来の物質であってもまたは合成物質であってもよい。
1つの実施態様において、油(a)は、それ自身がスキンケア物質として機能するのみでなく、さらに他の油溶性スキンケア物質を溶解させた状態で含むこともできる。
【0031】
化合物a)は、0〜25重量%、好ましくは3〜20重量%、特に5〜15重量%の量で用いられる。特に適当な油a)は、例えば、ココナッツ油、スクアラン、ホホバ油、シアバター、ビタミンE、ミリトール318、セチオールSN、パラフィン、ホワイトオイル、ジメチルシロキサンである。
【0032】
マイクロカプセルb)
本発明によれば、マイクロカプセルは、原則として、特定の3次元構造を有する有機ポリマーを意味すると理解される(これに関して参照:K.LacasseおよびW.Baumann、Textile Chemicals, Environmental Data and Facts、Berlin 2004、468〜482頁)。3次元構造に関して、これは、一般的に2〜2000μmの範囲の直径を有し、かつ0.1〜200μmの、特に0.5〜150μmの外径を有する中空体である。この中空体構造により、該マイクロカプセルは成分および/または活性成分を充填し得る。
本発明によれば、充填されたマイクロカプセルが常に用いられる。即ち、1つまたはそれ以上の成分および/または活性成分を充填されたマイクロカプセルが用いられる。適当な成分および/または活性成分は、原則として、充填されたマイクロカプセルにより仕上げられた繊維製品を着ることで、皮膚へと通過する全ての物質である。例えば、脂肪、油、植物抽出物、ビタミン、香料、防虫剤、殺虫剤などを挙げ得る。油は、好ましくはスキンケアおよび健康増進特性を有する植物油であり、例えばココナッツ油、トケイソウ油、シアバター、ローズヒップ核油、ラベンダー油、杏仁油である。植物抽出物は、好ましくは、例えばRhodysterol、Herbaliaセンテラ、Herbalia緑茶、Herbaliaセイヨウトチノキおよびアロエベラのような藻類抽出物である(全てのHerbaliaグレードは、Cognisより入手可能)。
【0033】
以下の特性を有する成分および/活性成分は、本発明において特に重要である:スキンケア、保湿、刺激、沈静、セルライトの減少、皮膚引き締め、忌避(Repelling)、リフレッシュ、加温、刺激。
以下でコア材料とも呼ばれるカプセル化された物質は、対応する生成物中にカプセル化された形態で組み込まれる任意の望ましい固体、液体または気体から成り得る。好ましくは、使用されるコア材料は香料であり、例えば香油または使用する各分野のケア油である。
使用され得る香油および/または香料は、個々の臭気物質化合物であり、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素タイプの合成生成物である。エステルタイプの臭気物質化合物は、例えば、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチルアリルプロピオネートおよびベンジルサリチレートである。エーテルには、例えばベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール(ゲラニアール)、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒドヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびブールゲオナールが含まれる。ケトンには、例えばイオノン、α−イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンを含み、アルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールを含み、炭化水素は、例えばリモネンやα−ピネンのようなテルピンを含む。オイカリプトール(1,8−シネオール)も香料として使用し得る。しかしながら、心地よい香りの雰囲気を一緒になって作り出す、異なる臭気物質の混合物を使用することが好ましい。そのような香油は、植物油から採取できる、例えば松油、シトラス油、ジャスミン油、パチョリ油、ローズ油またはイランイラン油のような天然臭気混合物を含んでいてよい。同様に、クラリーセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、ユーカリ油、シナモン葉油、リンデンの花の油、ビャクシンベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油およびラブダナム油、またオレンジの花の油、ネロリオール、オレンジピール油およびビャクダン油も適当である。
さらに、ニトリル、硫化物、オキシム、アセタール、ケタール、酸、シッフ塩基、インドールとキノリンのような複素環式窒素化合物、ピラジン、アントラニル酸塩のようなアミン、アミド、ローズアセテートのような有機ハロゲン化合物、ニトロムスクのような硝化化合物、チアゾールのような複素環式硫黄化合物およびエポキシドのような複素環式酸素化合物は、全てが当業者に使用可能な臭気物質として既知であり、使用され得る。
ケア成分の例は、ビタミンおよびプロビタミンであり、例えばビタミンA、ビタミンC、ビタミンE(α−トコフェロール)、ビタミンF(ポリエン脂肪酸)、パンテノール(プロビタミンB5)、ベータカロテン(プロビタミンA)およびそれらの誘導体(例えばステアリルアスコルベートのようなエステル)、植物抽出物、バイオポリマー、フケ防止剤、UV防止剤、皮膚軟化剤(化粧油)、シリコーン油などである。
化粧品適用の場合、好ましいケア成分は、トコフェロールおよびその液体溶解誘導体である。好ましいトコフェロールは、例えば天然トコフェロールおよびそれらの混合物、ならびに合成トコフェロールである。好ましい誘導体は、例えば酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、アスコルビン酸トコフェロール、レチノイン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リノール酸トコフェロールまたは安息香酸トコフェロールである。
【0034】
マイクロカプセルb)は、0〜25重量%、好ましくは3〜25重量%、特に15〜25重量%の量で用いられる。
【0035】
化合物c)
すでに述べたように、化合物(c)は乳化剤である。これらは、水中でのケア油の乳化および/または分散を助ける。乳化剤の選択は、特に制限を受けるものではない。
【0036】
乳化剤(c)は、例えば界面活性剤のような合成乳化剤(例えばエトキシ化された脂肪アルコール)または、例えばレクチンのような天然乳化剤に区分され得る。ここで、8〜18の範囲のHLB値を有する乳化剤が好ましい。
【0037】
PITエマルションが用いられる場合、特定の乳化剤混合物、例えばEmulgade SE−PF(Cognis製)が好ましく用いられる。
【0038】
1つの実施態様において、使用される化合物c)はポリマー乳化剤である。即ち、構造的にポリマーと記載され、ケア油b)に関連して乳化作用を高める。モノマー構成単位が天然由来であるポリマー乳化剤c)の例は、例えば、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロースNa)または多糖(キサンタンガム、ゲランガム、グアーガムまたはペクチン)に基づくポリマーである。モノマー構成単位が合成由来であるポリマー乳化剤c)の例は、例えば、アクリル酸塩(例えばポリアクリル酸Na)、メタクリル酸塩またはアルキルアクリル酸塩(例えばペムレン)である。必要に応じて、乳化剤c)を構成するモノマー構成単位は、化学修飾され得る。特に好ましい実施態様において用いられる乳化剤c)は、キサンタンガム、ゲランガム、グアー、ポリアクリレートの群から選択される化合物である。
これらの乳化剤は、個々にまたは互いに混合して使用し得る。乳化剤c)は0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、特に0〜10重量%の量で用いられる。
【0039】
化合物d)
すでに述べたように、化合物d)は、泡形成剤である。これに関して制限は特にないが、好ましくは界面活性剤が使用される。特に、易起泡性の陰イオン性、非イオン性、陽イオン性または両性界面活性剤あるいはそれらの混合物が使用される。化合物d)は、0.1〜25重量%、好ましくは3〜15重量%、特に5〜10重量%の量で用いられる。
【0040】
化合物e)
すでに述べたように、化合物e)は、泡安定化剤である。これに関して制限は特にない。ラウレス−4−カルボン酸ナトリウム、グリセレス−7、ラウレス−7−クエン酸塩(名称は、INCI名による)の群から選択される物質を使用することが好ましい。
【0041】
化合物e)は、0〜10重量%、好ましくは0〜7重量%、特に0〜5重量%の量で用いられる。
【実施例】
【0042】
使用した物質

【0043】
使用したポンプ測定装置
Rexam Airspray International BVから入手可能な手動式フォームディスペンサー(200mlボトルHDPE−BE−43C1−200HE−10002;フォーマーポンプ白−F202.093.0001)。
【0044】
泡の特性化
泡密度(FD)は、20℃における泡重量(グラム)と泡体積(リットル)の商を意味すると理解される。FDはg/lで表される。
【0045】
泡崩壊時間(FT)は、20℃で、1リットルの泡体積から、その中の液体が50ml流出する時間を意味すると理解される。FTは、泡の耐久性の尺度である。FTは、以下のようにして測定される。段階的コニカル1リットル沈降漏斗(DIN12672−Kによる)を、1000mlの印まで60秒間かけて泡で満たす。ここで、泡は、Rexam Airspray International BVの上記ポンプフォームボトルを用いて水性エマルションおよび/または分散剤から作製する。その後、ストップウォッチを使って、50mlの液体が沈降する時間を測定する。
【0046】
泡の塗布性および取り込み性(Incorporability)の評価
回復に対する泡の安定性の評価は、以下のように行った。
【0047】
含水量50±20%のスピンダンプ(spin-damp)繊維に泡を供給した。泡置換の量は、繊維の乾燥重量と泡置換の重量によって決定した。乾燥繊維に基づき、10±5%の泡重量を目標とした。置換された泡を、繊維に均一に広げ、その後手で繊維に揉み込んだ。このため、泡は十分に安定でなければならず、繊維にあまり速く浸透すべきでない。泡は、下記の評価スケールによるスクール評価システム(school grading system)により評価した。
【0048】
【表1】

【0049】
本発明の目的に対して、繊維製品の回復のために等級1〜4の泡は安定であり、一方等級5および6の泡は安定でない。
【0050】
作業実施例
実施例1:
マイクロカプセルに基づくポンプフォーム
はじめに、20.0gのマイクロカプセル分散Cognis2006−G(成分b))を導入した。20gの完全脱塩水(成分f)を加えた後、混合物を15分間均一化した。混合物を50℃まで加熱した。その後、下記界面活性剤T1、T2およびT3を、下記の量で攪拌した:
T1)7.0gのPlantapon LGC sorb(泡形成界面活性剤、成分d))
T2)2.0gのPlantapon ACG 35(泡安定化界面活性剤、成分e))
T3)1.0gのPlantapon LC 7(泡安定化界面活性剤、成分e))。
この混合物を、パドル攪拌機を使用して攪拌することにより、5分間均一化した。その後さらに50.0gの脱塩水(成分f)を一部に加えた。混合物を80℃まで加熱し、その後30分攪拌し、最後に放置して室温まで冷却した。最後に、250μスクリーンバッグを通してフィルター濾過した。
【0051】
ポンプフォームは、下記のように特性化された:
ブルックフィールド粘度計(25℃): 30mPas
pH: 4.8
泡密度(FD): 119g/l
泡崩壊時間(FT): 15分
【0052】
実施例2〜10:
実施例1を繰り返した。実施例1で使用した界面活性剤T1、T2およびT3の総量10.0g(T1+T2+T3の合計)の代わりに、同じ界面活性剤T1、T2およびT3の総量を下記の表に示す総量で使用した。界面活性剤T1、T2およびT3の重量比は、それぞれの場合において括弧内に示した。実施例1と異なる界面活性剤T1、T2およびT3の総量が使用される場合、ポンプフォーム処方における全成分の合計が(実施例1のように)100gとなるよう、水の量で補正をした。
【0053】
実施例2〜10の組成物および泡の特性は、下記の表に示し得る。実施例1も、この表に含まれる。
【0054】
【表2】

【0055】
実施例11:
化粧油に基づくポンプフォーム
10.0gのMyritol318(化粧油、成分a))、7.5gのNanocream(乳化剤および泡安定化界面活性剤、従って成分c)およびd))および1.0gのPhenonip(防腐剤)をビーカーに量り入れ、よく攪拌した。その後、混合物(油相)を攪拌しながら60℃まで加熱した(溶解盤またはプロペラは150〜300rpmで攪拌)。60℃で、油相は均一化し、実質上透明になった。
その後、60℃の温度まで予備加熱した水を、3つの部分P1、P2およびP3に滴下して加えた。測定された水の添加の全時間を通して、系の温度は60℃に保たれた。
部分P1(8.0g)を、ゆっくりと滴下した。P1の添加の後、さらに60℃で5分間攪拌し、粘性中間相を作製した。
部分P2(12.0g)を、同様に滴下した。この間、混合物はだんだんと乳状になり、薄い溶液となった。
その後、部分P3(61.5g)を比較的速く攪拌した。
最後に混合物を5分間後攪拌し、その後放置して35℃以下までゆっくりと冷却した。
使用するポンプフォームボトルの問題ない機能性を確保するため、得られた混合物を微細格子スクリーン(80μ)に通してフィルター濾過した。
【0056】
ポンプフォームは、下記のように特性化された:
ブルックフィールド粘度計(25℃): 15mPas
pH: 7.7
泡密度(FD): 93g/l
泡崩壊時間(FT): 8.5分
【0057】
実施例12〜15:
実施例11を繰り返した。実施例11で使用したNanocreamの総量の代わりに、下記の表に示されるNanocreamの総量を使用した。それぞれの場合において、実施例11と異なるNanocreamの総量を使用したため、ポンプフォーム処方における全成分の合計が(実施例11のように)100gとなるよう、水の量で補正をした。
【0058】
実施例12〜15の組成物および泡の特性は、下記の表に示し得る。実施例11もこの表に含まれる。
【0059】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有する(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)泡状の水性エマルションおよび/または分散剤であって、かつ該泡が、
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たす水性エマルションおよび/または分散剤の、繊維製品の回復(reloading)のための使用。
【請求項2】
繊維製品の回復のための方法であって、
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有する(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)水性エマルションおよび/または分散剤を、
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たす泡に変換する方法。
【請求項3】
手動操作可能なフォームディスペンサーと水性エマルションおよび/または分散剤を含んでなるシステムであって、該水性エマルションおよび/または分散剤が
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有し(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)、かつ、フォームディスペンサーの操作により生じる泡が
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たすシステム。
【請求項4】
圧縮ガスにより操作するフォームディスペンサーと水性エマルションおよび/または分散剤を含んでなるシステムであって、該水性エマルションおよび/または分散剤が
a)1つまたはそれ以上のスキンケア油0〜25重量%、
b)活性成分を充填したマイクロカプセル0〜25重量%、
c)1つまたはそれ以上の乳化剤0〜20重量%、
d)1つまたはそれ以上の泡形成剤0.1〜25重量%、
e)1つまたはそれ以上の泡安定化剤0〜10重量%、および
f)100重量%になるまでの残りの水
を含有し(但し、成分a)およびb)の少なくとも1つが0重量%より多い量で存在しなければならない)、かつ、フォームディスペンサーの操作により生じる泡が
・50〜300g/lの範囲の泡密度、
・2〜30分の範囲の泡崩壊時間
の条件を満たすシステム。

【公表番号】特表2010−514955(P2010−514955A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544366(P2009−544366)
【出願日】平成19年12月8日(2007.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010714
【国際公開番号】WO2008/080514
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】