説明

繊維製品処理組成物

【課題】 浴比が低い洗濯条件下においても繊維製品上へのケイ酸エステル化合物の吸着性を高め、繊維製品を長時間にわたり強く賦香することができる繊維製品処理組成物の提供
【解決手段】 下記(a)成分及び(b)成分を含有する繊維製品処理組成物。
(a):一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体
【化1】


〔式中、Xは−OH、−R、−OR又は−ORであり、YはX又は−OSi(X)であり、Rは総炭素数1〜22の炭化水素基等、Rは機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、nは0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−ORを少なくとも1つ有する。〕
(b):カチオン性基含有高分子重合体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香りに対する意識の高まりから、衣類によい香りを長く残すことが求められてきており、衣料用洗浄剤や仕上げ剤などの繊維製品処理剤を用いる残香性を付与する技術の開発が行われている。特許文献1〜4には、衣類に残香性を付与する技術として、香料前駆体であるケイ酸エステル化合物、及びそれを含有する組成物が開示されている。特許文献5には陽イオン性ポリマーを含有した柔軟剤組成物が開示されており、最終すすぎへのアニオン性界面活性剤の持ち越しに対する改良された抵抗性を有する繊維調質用組成物が開示されている。特許文献6にはカチオン性ポリマーを含有した濃縮四級アンモニウム布地柔軟剤組成物が開示されており、とりわけカチオン性グアーガムは残留アニオン性界面活性剤のスカベンジャーとして作用し、カチオン性織物柔軟剤の柔軟効果を増すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−59498号公報
【特許文献2】特開昭54−93006号公報
【特許文献3】特開昭55−127314号公報
【特許文献4】特表2003−526644号公報
【特許文献5】特開昭54−106696号公報
【特許文献6】特表2000−503735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4に記載されている技術は、ケイ酸エステル化合物の加水分解物(アルコール性香気成分)を香料成分として用いる技術であり、繊維製品に付着したケイ酸エステル化合物が加水分解することで香りが発せられ、長時間にわたり、心地よい香りを持続することができる。より高い残香性能を達成するためには、衣類の洗濯工程でケイ酸エステル化合物が繊維製品上に多く吸着することが要求される。
【0005】
一方、環境保護への関心の高まりから、洗浄工程や濯ぎ工程に用いる水の量を少なくした洗濯機が増加している。また、洗濯機の大型化から一度に洗濯する衣類の量が増加している。これらはいずれも浴比(水/衣類の質量比)の低下につながるものである。浴比が低下すると、洗浄工程で用いられたアニオン界面活性剤などの洗浄剤成分が、次の濯ぎ工程ですすぎ水中に多く持ち越される。すすぎ水中に持ち越されたアニオン界面活性剤は、柔軟基剤として用いられるカチオン界面活性剤と反対の電荷を有しているため、電気的な相互作用によって柔軟化効果に悪影響を及ぼすことが知られている。一方、香料前駆体としてのケイ酸エステル化合物は、分子内に第4級アンモニウム基のようなカチオン基を有さないため、アニオン界面活性剤の持ち越しがある場合にもアニオン界面活性剤と相互作用することはないと考察されることから、浴比の低下の影響を受けにくいものと予想される。また、ケイ酸エステル化合物は一般的に油溶性の香料を原料としており、水中で安定に存在しにくいと考察されることから、速やかに衣類に吸着するものと予想される。しかしながら、意外にも前記のような性質を有するケイ酸エステル化合物が、アニオン界面活性剤の多く存在するすすぎ水中では、衣類に吸着し難いという課題が見出された。
【0006】
したがって、本発明の課題は、浴比が低い洗濯条件下においても繊維製品上へのケイ酸エステル化合物の吸着性を高め、繊維製品を長時間にわたり強く賦香することができる繊維製品処理組成物並びに処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(a)成分及び(b)成分を含有する繊維製品処理組成物、更に(c)成分として特定の3級アミン化合物等を含有する繊維製品処理組成物、並びに該繊維製品処理組成物を用いて繊維製品を処理する方法を提供する。
(a):一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体。
【化1】


〔式中、Xは−OH、−R、−OR又は−ORであり、YはX又は−OSi(X)であり、Rは置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基、Rは機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、nは平均値を示す0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−ORを少なくとも1つ有する。〕
(b):カチオン性基含有高分子重合体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の繊維製品処理組成物及び繊維製品処理方法によると、洗濯工程における、濯ぎの段階で、浴比が低い条件下においても繊維製品上へのケイ酸エステル化合物の吸着性を高め、繊維製品を長時間にわたり強く賦香することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、上記一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体である。
【0010】
一般式(1)において、Xは−OH、−R、−OR又は−ORであり、YはX又は−OSi(X)である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−ORを少なくとも1つ有する。
【0011】
は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基を示すが、置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、及びベンジル基から選ばれる基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0012】
は、機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基である。本発明において、機能性アルコールとしては、繊維製品に香りを付与する香料アルコールが好ましい。
【0013】
香料アルコールは、「香料と調香の基礎知識、中島基貴編著、産業図書株式会社発行、2005年第4刷」に記載されるように、脂肪族アルコール、テルペン/セスキテルペン系アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、及び合成サンダルに分類される。本発明においては、香料アルコールは、特に制限されるものではないが、芳香族アルコール、合成サンダル、及びテルペン/セスキテルペン系アルコールから選ばれる1種以上が好ましく、抗菌防カビ性能を併せ持つ点でテルペン/セスキテルペン系アルコールがより好ましい。
【0014】
芳香族アルコールとしては、特に制限されるものではないが、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエチルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、シンナミックアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、1−フェニル−2−メチル−2−プロパノール、4−フェニル−2−メチル−2−ブタノール、1−フェニル−3−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、又はイソオイゲノール等の炭素数7〜15の芳香族アルコールが挙げられ、中でも、炭素数8〜10の芳香族アルコールが好ましい。
【0015】
合成サンダルとしては、特に制限されるものではないが、サンダルマイソールコア、サンタロール、バクダノール、又はエバノールが挙げられる。
【0016】
テルペン/セスキテルペン系アルコールとしては、特に制限されるものではないが、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、アオロシメノール、α−ターピネオール、β−ターピネオール、ターピネン−4−オール、l−メントール、イソプレゴール、ファルネソール、又はネロリドール等が挙げられ、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、α−ターピネオール、ターピネン−4−オール、又はイソプレゴールが好ましく、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、α−ターピネオール、又はターピネン−4−オールがより好ましい。
【0017】
は、炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、炭素数1〜3の炭化水素基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が更に好ましい。
【0018】
上記一般式(1)においてnは平均値を示す0〜15の数であり、n=0の化合物が好適である。この場合、4個のXのうち2〜4個が−ORであり、残りが−R又は−ORである化合物が好適である。さらに、4個のXのうち3又は4個が−ORであり、残りが−R又は−ORである化合物がより好適である。
【0019】
n=0の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられ、特に(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0020】
【化2】


〔式中、R及びRは前記と同じ意味を示す。〕
【0021】
一般式(1)において、n=1〜15の化合物も、本発明の(a)成分として用いることができる。n=1〜15の場合には、nは平均値を示し、全てのX及びYに対して、1/10以上、好ましくは1/8以上が−ORであり、残りが−R又は−ORである化合物が好適であり、全てのX及びYが−ORである化合物が特に好適である。なお、n=1〜10が好ましく、n=1〜5がより好ましい。
【0022】
n=1〜15の場合の好ましい化合物としては、下記式(1−3)又は(1−4)で表される化合物が挙げられる。
【0023】
【化3】


〔式中、R及びRは前記と同じ意味を示す。mは1〜15の数であり、Tは−OR、−OR、又は−Rを示す。ここで、Rは前記と同じ意味を示す。〕
【0024】
(b)成分との併用で本発明の効果を最も享受できる好ましい(a)成分は上記一般式(1)においてn=0の化合物であり、より好ましくは、上記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物が挙げられ、特に(1−1)で表される化合物が好ましい。
【0025】
一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物は、以下の合成方法1又は2により合成することが好ましい。
【0026】
合成方法1:アルコキシシランと機能性アルコールとのエステル交換
テトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン等のアルコキシシラン類(前記、アルコキシシラン類のアルコキシ基は前記一般式(1)中のOR基と同じ意味を示し、アルキル基は前記一般式(1)中のR基と同じ意味を示す。)と機能性アルコール(ROH;式中、Rは前記の意味を示す)をエステル交換反応させる。かかる合成方法では、アルコキシシランに対する機能性アルコールのモル比を変えることで、置換度(即ち、一般式(1)における全置換基X及びYに占める−ORの割合)の異なるケイ酸エステル化合物を得ることができる。
【0027】
合成反応に用いる機能性アルコールの量は、アルコキシシランのアルコキシ基に対し、0.55〜10モル倍が好ましく、0.55〜5モル倍がより好ましい。
【0028】
アルコキシシランのアルコキシ基としては、入手性等の観点から、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、エトキシ基がより好ましい。
【0029】
エステル交換反応の反応温度は、アルコキシシラン及び機能性アルコールの沸点以下とすることが好ましく、例えば、20℃〜200℃が好ましく、50〜170℃がより好ましい。反応は、反応を速やかに進行させることができる等の点から、減圧下で行うことが好ましい。減圧度は反応温度にもよるが、アルコキシシラン及び機能性アルコールの沸点以下で行えばよく、1.3Pa〜常圧(0.1MPa)が好ましく、130Pa〜40kPaがより好ましい。反応は、反応初期から減圧下で行っても、途中から減圧下で行っても良い。
【0030】
エステル交換反応は、反応を速やかに進行させることができる等の点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ触媒、アルミニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等のルイス酸触媒を用いることができる。
【0031】
合成方法2:ハロゲン化シランと機能性アルコールとのエステル化反応
テトラハロゲンシランやモノアルキルトリハロゲンシラン等のハロゲン化シラン類(前記モノアルキルトリハロゲンシラン等のアルキル基は、前記一般式(1)中のR基と同じ意味を示す。)と機能性アルコール(ROH;式中、Rは前記の意味を示す)を用いてエステル化反応させる。かかる合成方法では、ハロゲン化シランに対する機能性アルコールのモル比を変えることで、置換度の異なるケイ酸エステル化合物を得ることができる。
【0032】
合成反応に用いる機能性アルコールの量は、ハロゲン化シランのハロゲン基に対し、0.55〜10モル倍が好ましく、0.55〜5モル倍がより好ましい。
【0033】
ハロゲン化シランのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0034】
合成方法2では、反応の進行に伴って酸が副生するため、塩基を加えて反応することが好ましい。用いる塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の3級アミンやピリジン等が挙げられる。また、多量の塩が副生することから、溶媒を用いても良く、反応温度は、基質や溶媒が凝固しない低温で行うこともできる。反応終了後、溶媒を除去する必要がある場合には、各種公知の装置・設備を用いることができ、脱塩には、濾過や抽出、電気透析等の公知の方法を用いることができる。
【0035】
上記合成方法1又は合成方法2で得られる一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物は、置換度の異なる他のケイ酸エステル化合物との混合物であっても、シロキサンが縮合した鎖状又は環状の重・縮合物との混合物であっても良い。また、上記合成方法では、2種以上の機能性アルコール(ROH)を混合して用いても良く、また、アルコキシシラン(又はハロゲン化シラン)として、異なる炭化水素基(即ち、OR又はR)を有するアルコキシシラン(又はハロゲン化シラン)を2種以上混合して用いても良い。
【0036】
また、(b)成分が存在しない場合の(a)成分の吸着率に対する、(b)成分と(a)成分を併用した場合の(a)成分の吸着率の比(吸着率向上度)が高いという利点から、上記合成方法1又は合成方法2の反応時に用いる、機能性アルコールの平均CLOGPは1.3〜3.2が好ましく、より好ましくは1.5〜3.0である。
平均CLOGPは、以下のように求める。
(1)反応時に1種類の機能性アルコールを用いる場合は、平均CLOGPはその機能性アルコールそのもののCLOGPを用いる。
(2)反応時に複数種類の機能性アルコールを用いる場合は、各々のCLOGPからPを算出する。次に反応時の各々のモル比を元に、P値のモル平均値を算出する。算出したP値のモル平均値から平均CLOGP値を算出する。
【0037】
ここでCLOGPとは、プログラム“CLOGP”(Daylight CIS)(v4.92)で計算された値である。プログラム“CLOGP”においては、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される「計算logP(ClogP)」の値を出力する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(A.Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C.Hansch, P.G.Sammens, J.B.Taylor and C.A.Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。
【0038】
[(b)成分]
(b)成分はカチオン性基含有高分子重合体である。ここで、カチオン性基とは、水中において、水のpHによっては陽イオン性を呈し得る性質を有する官能基をいう。カチオン性基の具体例としては、1級〜3級アミノ基、その酸塩又はその4級化物が挙げられる。本発明の好ましい(b)成分の具体例は、以下の(b1)〜(b3)から選ばれる1種以上のカチオン性基含有高分子重合体である。
【0039】
以下、(b1)〜(b3)のカチオン性基含有高分子重合体について説明する。
【0040】
<カチオン性基含有高分子重合体(b1)>
(b1)は、下記一般式(I)若しくは(II)で表されるビニル単量体、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種〔以下、モノマー(A)という〕を必須の構成単位とする高分子重合体である。
【0041】
【化4】


〔式中、Rb1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基(好ましくはメチル基、又はエチル基)を示し、Rb2及びRb3は同一又は異なって、水素原子又は水酸基で置換されていても良い炭素数1〜4の炭化水素基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基を示す。Yはエステル基(好ましくは−COO−又は−OCO−)若しくはアミド基(好ましくは−CONH−又は−NHCO−)を示し、Zは水酸基を含んでいても良い炭素数1〜8のアルキレン基を示し、好ましくはエチレン基、プロピレン基、又は−CHCH(OH)−を示す。〕
【0042】
【化5】


〔式中、Rb4及びRb5は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、Rb6は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示す。〕
【0043】
モノマー(A)としては、特に制限されるものではないが、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、又はジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、若しくはそれらを酸により中和した酸中和物、若しくは4級化剤により4級化した4級アンモニウム塩、又はジメチルジアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0044】
中和に用いる酸としては、特に制限されるものではないが、塩酸、硫酸等の無機酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸などの有機酸が挙げられる。
【0045】
4級化剤としては、特に制限されるものではないが、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。
【0046】
(b1)のカチオン性基含有高分子重合体は、上記モノマー(A)を単独重合させるか、又は他の共重合可能なモノマー〔以下、モノマー(B)という〕と共重合させて調製することができる。
【0047】
モノマー(B)としては、以下の(i)〜(iv)から選ばれるものが好ましい。
(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、スチレンスルホン酸又はその塩、スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩等のアニオン性基含有ビニル単量体
(ii)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜18)アミド等のアミド基含有非イオン性ビニル単量体
(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜14)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル等のエステル基含有非イオン性ビニル単量体
(iv)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンから選ばれる、酸素原子又は窒素原子を含有しないビニル単量体
【0048】
中でも、(iii)エステル基含有非イオン性ビニル単量体及び(iv)酸素原子又は窒素原子を含有しないビニル単量体が好ましく、(iii)エステル基含有非イオン性ビニル単量体が特に好ましい。
【0049】
(b1)のカチオン性基含有高分子重合体がモノマー(A)とモノマー(B)の共重合体である場合、モノマー(A)の共重合量は、繊維製品への(a)成分の吸着性を高める観点から、モノマー全量に対して50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは85モル%以上である。
【0050】
また、カチオン性基含有高分子重合体(b1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜90,000である。Mwと数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnは、好ましくは1.0〜40、より好ましくは1.5〜35である。ここで、カチオン性基含有高分子重合体(b1)のMw、Mnは、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、(1%酢酸/エタノール):水=3:7(質量比)の混合溶媒で調製したLiBrの50mmol/L溶液を溶媒として、極性溶媒用GPCカラム「α−M(東ソー(株)製)」を2本直列して用い、ポリエチレングリコール換算の分子量により算出する。
【0051】
<カチオン性基含有高分子重合体(b2)>
(b2)は、カチオン性多糖である。カチオン性多糖の主骨格を形成する多糖としては、特に制限されるものではないが、セルロース、デンプン、デキストラン、ローカストビーンガム、グアーガム、プルラン、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、又はカードラン等が挙げられ、セルロース、デンプンが好ましい。
【0052】
本発明において、多糖にカチオン性基を導入する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、多糖と、第三アミノ又は第四アンモニウムアルキル化試薬を、20〜80℃、1〜24時間反応させて、多糖にカチオン性基を導入することができる。第三級アミノ又は第四級アンモニウムアルキル化試薬の例としては、2−ジアルキル(炭素数1〜3)アミノエチルクロライド等の第三級アミノアルキル化試薬、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウムアルキル化試薬が挙げられる。
【0053】
本発明に用いられるカチオン性多糖は、非イオン性基やアニオン性基を有していても良い。非イオン性基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜30のヒドロキシアルキル基が挙げられる。また、アニオン性基としては、例えば、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル(炭素数1〜5)基が挙げられる。
【0054】
多糖に非イオン性基を導入する方法としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを多糖と反応させることによって、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基を導入することができる。また、多糖にアニオン性基を導入する方法としては、例えば、クロロメチル酢酸等のアニオン化試薬を多糖と反応させることによって、カルボキメチル基を導入することができる。
【0055】
カチオン性多糖のカチオン性官能基の導入量は、カチオン性多糖の全質量に対するカチオン性官能基のアミン、その酸塩あるいは4級アンモニウム塩の窒素原子の質量割合を指標として表す。即ち、カチオン性多糖の全質量に対するカチオン性官能基のアミン、その酸塩あるいは4級アンモニウム塩の窒素原子の質量割合[N質量(%)]で表す。ここでN質量(%)は、下記のカチオン性官能基の導入量指標測定法に示す方法を用いることにより測定、算出することができる。N質量(%)は、繊維製品への(a)成分の吸着性を高める観点から、0.01〜3.0が好ましく、0.1〜2.0がより好ましい。尚、(A)成分のカチオン性官能基の導入量指標[N質量(%)]は下記の方法により測定した。
【0056】
また、本発明に用いられるカチオン性多糖の重量平均分子量(プルラン換算)は、10,000〜15,000,000が好ましく、30,000〜12,000,000がより好ましい。ここでカチオン性多糖の重量平均分子量は下記方法で測定した。
【0057】
<カチオン性官能基の導入量指標測定法>
カチオン性多糖0.1gを精秤し、0.1質量%水溶液になる様にイオン交換水に溶解させた。このカチオン性多糖水溶液10.0gを精秤し(ag)、5倍に希釈した後にトルイジンブルーを3滴加えて、1/400Nポリビニル硫酸カリウム(PVSK)水溶液で滴定した。滴定の終点は青→紫〜赤である。滴定に要したPVSK量から、次式によりN質量(%)を求める。
【0058】
【数1】


〔式中、fは1/400N PVSKの力価を示す。〕
【0059】
測定により得られたN質量(%)を多糖に導入されたカチオン基量の指標とした。
【0060】
<重量平均分子量測定法>
ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の測定条件で測定した。
装置;東ソー(株)製HLC−8120
GPCカラム;東ソー(株)製TSKgelα−M(1本)
溶離液;ジメチルスルホキシド(50mM臭化カリウム)
流速;0.5mL/min
カラム温度;50℃
検出器;RI
試料濃度;5mg/mL
注入量;100μL
分子量換算用検量線;昭和電工製単分散プルランを使用。
試料の分子量:標準プルラン基準の相対値
【0061】
<カチオン性基含有高分子重合体(b3)>
(b3)は、ポリ[アルキレン(炭素数2〜3)イミン]であり、−(C2nNH)−[左記式中、nは2又は3]で表される炭素数2〜3のアルキレンイミン単位が直鎖状、分岐状又は網目状に重合した水溶性高分子化合物である。
【0062】
本発明において、ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、600〜100,000が好ましく、3,000〜90,000がより好ましく、4,000〜80,000が更に好ましい。
本発明において、ポリアルキレンイミンとしては、繊維製品への(a)成分の吸着性を高める観点から、ポリエチレンイミンが好ましい。
【0063】
ポリアルキレンイミンの製法は特に制限されず、公知の重合法により製造することができる。例えば、ポリエチレンイミンは、〔1〕エチレンイミンを二酸化炭素、塩酸、臭化水素酸等を触媒として開環重合させる方法、〔2〕塩化エチレンとエチレンジアミンを重縮合させる方法、〔3〕オキサゾリドン−2を加熱する方法等が挙げられる。
【0064】
[(c)成分]
本発明の繊維製品処理組成物は、上記(a)成分及び(b)成分の他に、下記一般式(2)で表される化合物、その4級化物、並びに無機酸及び/又は有機酸との中和物から選ばれる少なくとも1種〔以下、(c)成分という〕を含有することができる。
【0065】
【化6】


〔式中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜29の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、Rc1、Rc2及びRc3のうち少なくとも1つはエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基である。〕
【0066】
繊維製品への(a)成分の衣類への吸着率を高める観点から、エステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基に関しては、該炭化水素基の総モル数に占める飽和炭化水素基の割合は好ましくは65モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。一方で、防臭効果を高める為には、不飽和炭化水素基の割合が高い方が好ましく、不飽和炭化水素基の割合は、好ましくは40モル%以上である。不飽和炭化水素基の割合が高くなると繊維製品への(a)成分の吸着率が極端に低下するが(実施例参照)、上記(b)成分を併用することで、(a)成分の吸着率を高く維持することができる。
【0067】
一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(3)で表されるアミン化合物(c1)と、炭素数8〜26の脂肪酸又は脂肪酸低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)エステル(b2)とを、エステル化反応、アミド化反応、又はエステル交換反応させて得ることができる。また、その酸中和物は、無機酸若しくは有機酸を用いてさらに中和反応させることにより、また、その4級化物は、アルキル化剤を用いてさらに4級化反応させることにより得ることができる。
【0068】
【化7】


〔式中、X、Y、Zはそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、1級アミノ基及び2級アミノ基から選ばれる基であり、X、Y、Zの少なくとも一つはヒドロキシ基である。R31、R32、R33はそれぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、又はプロピレン基である。〕
【0069】
一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例としては、特に制限されるものではないがN−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチル−N−(3−アミノプロピル)アミンが挙げられる。
【0070】
(c)成分の製造に用いられる上記(c2)成分に関しては、種々の炭素数範囲及び飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸のモル比率を有する脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを得るために、通常油脂便覧等で知られているような脂肪酸を用いるだけでは達成できない場合は、不飽和結合への水素添加反応、不飽和結合の異性化反応、または蒸留操作、ボトムカット、トップカットによるアルキル鎖長の調整、あるいは複数の脂肪酸の混合により得ることができる。
【0071】
(c2)成分の具体例としては、特に制限されるものではないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はオレイン酸等の飽和もしくは不飽和脂肪酸又はその低級アルキルエステル;牛脂、豚脂、パーム油、大豆油、ナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油等の天然油脂を分解・精製して得られる脂肪酸又はその低級アルキルエステル(好ましくはメチルエステル又はエチルエステル);並びにこれらの硬化脂肪酸、部分硬化脂肪酸又はそれらの低級アルキルエステル(好ましくはメチルエステル又はエチルエステル)等を挙げることができる。
【0072】
(c2)成分としては、特に制限されるものではないが、炭素数8〜26、好ましくは炭素数14〜20の脂肪酸又はその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)が好適であり、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0073】
エステル化反応、アミド化反応又はエステル交換反応において、前記アミン(c1)のヒドロキシ基、1級アミノ基及び2級アミノ基の合計モル数と、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル(c2)とのモル比、(b1)/(b2)は、好ましくは1/0.5〜1/1であり、より好ましくは1/0.5〜1/0.98、更に好ましくは1/0.54〜1/0.95である。
【0074】
(c1)成分と(c2)成分との反応において(c2)成分として脂肪酸を用いる場合には、エステル化及び/又はアミド化反応温度を140〜230℃で縮合水を除去しながら反応させることが好ましい。反応を促進させる目的から通常のエステル化触媒を用いても差し支えなく、例えば硫酸、燐酸などの無機酸、酸化錫、酸化亜鉛などの無機酸化物、テトラプロポキシチタンなどのアルコラートなどを選択することができる。反応の進行はJIS K0070−1992に記載の方法で酸価(AV)及び鹸化価(SV)を測定することで確認を行い、AVが好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは6mgKOH/g以下となった時、反応を終了する。
【0075】
(c1)成分と(c2)成分との反応において、(c2)成分として脂肪酸の低級アルキルエステルを用いる場合には、好ましくは50〜150℃の温度で、生成する低級アルコールを除去しながら反応を行う。反応促進のために水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの無機アルカリや、メチラート及びエチラートなどのアルコキシ触媒を用いることも可能である。反応の進行はガスクロマトグラフィーなどを用いて脂肪酸低級アルキルエステルの量を直接定量することが好ましく、未反応脂肪酸低級アルキルエステルが仕込みの脂肪酸低級アルキルエステルに対してガスクロマトグラフィーチャート上で好ましくは10面積%以下、より好ましくは6面積%以下となったとき反応を終了させることが好ましい。
【0076】
一般式(2)で表される化合物の4級化に用いられるアルキル化剤としては、メチルクロリド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が挙げられる。アルキル化剤としてメチルクロリドを用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合は、エタノールやイソプロパノールなどの溶媒を、エステル化合物に対して10〜50質量%程度混合した溶液をオートクレーブなどの加圧反応器に仕込み、密封下30〜120℃の反応温度でメチルクロリドを圧入させて反応させる。このとき、メチルクロリドの一部が分解し塩酸が発生する場合があるため、アルカリ剤を少量加えることもできる。メチルクロリドと一般式(2)で表される化合物とのモル比は、一般式(2)で表される化合物のアミノ基1当量に対してメチルクロリドを0.9〜1.5倍当量用いることが好適である。
【0077】
アルキル化剤としてジメチル硫酸、ジエチル硫酸を用いる場合には、特に溶媒を使用する必要はないが、溶媒を使用する場合、エタノールやイソプロパノールなどの溶媒を一般式(2)で表される化合物に対して10〜50質量%程度混合した溶液を40〜100℃に加熱混合し、ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を滴下して行う。ジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸と一般式(2)で表される化合物とのモル比は、一般式(2)で表される化合物のアミノ基1当量に対してジメチル硫酸及び/又はジエチル硫酸を0.9〜1.1倍当量用いることが好ましい。
【0078】
また、一般式(2)で表される化合物の中和に用いられる酸としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸、硫酸であり、好ましい有機酸は炭素数1〜10の1価又は多価のカルボン酸、又は炭素数1〜20の1価又は多価のスルホン酸、又は炭素数6〜36のアルキル硫酸エステル、又はポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数6〜36)硫酸エステルである。より好ましくはメチル硫酸、エチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、(o−、m−、p−)キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、グリコール酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、炭素数12〜36のアルキル硫酸エステル、又はポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜36)硫酸エステルである。
【0079】
[繊維製品処理組成物]
本発明の繊維製品処理組成物中の(a)成分の含有量は、繊維製品の香りを持続させる観点から、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましい。また、本発明の繊維製品処理組成物中の(b)成分の含有量は、(a)成分/(b)成分の質量比により規定され、(a)成分/(b)成分の質量比で10/1〜1/30が好ましく、10/1〜1/10がより好ましく、6/1〜1/6が更に好ましい。
【0080】
本発明の繊維製品処理組成物は、繊維製品への香りの付与及び/又は繊維製品への抗菌防カビ効果の付与を目的として、衣料用柔軟剤、衣料用賦香剤、糊剤などの各種衣料用仕上げ剤等に応用可能である。とりわけ、一般家庭における洗濯工程のすすぎの段階で、濯ぎ水に添加して繊維製品に処理することが好ましく、上記(c)成分を主成分とする衣料用柔軟剤に応用することが、香りを効率良く衣料に付与できる点で好ましい。かかる場合、本発明の繊維製品処理組成物中の(c)成分の含有量は3〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
【0081】
本発明の繊維製品処理組成物は、任意成分として以下の(d)成分〜(h)成分を含有することができる。
【0082】
<(d)成分>
本発明の(a)成分、(b)成分を水性組成物の形態として用いる場合には、組成物中に安定に溶解、分散、乳化させる目的から、(d)成分として、炭素数8〜20の炭化水素基とポリオキシアルキレンとを有する非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。(d)成分としては、下記一般式(4)で表される非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0083】
4a−G−〔(R4bO)−R4c (4)
〔式中、R4aは、炭素数8〜20、好ましくは炭素数8〜18、より好ましくは炭素数10〜16の炭化水素基であり、R4bは、炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、R4cは、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子であり、pは2〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは5〜60、更に好ましくは10〜60の数であり、付加形態はランダム付加又はブロック付加のいずれでもよい。Gは−O−、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON<又は−N<であり、Gが−O−、−COO−、−CONH−又は−NH−の場合qは1であり、Gが−CON<又は−N<の場合qは2である。〕
【0084】
本発明の繊維製品処理組成物中の(d)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましい。
【0085】
<(e)成分>
本発明の繊維製品処理組成物は、繊維製品に多種多様な香りを付与する為に、(e)成分として、複数の香料成分を含有する香料混合物を含有することができる。香料成分としては、「香料の化学」(赤星亮一著、日本化学会編,産業化学シリーズ,昭和58年9月16日発行)、「合成香料 化学と商品知識」(印藤 元一著、化学工業日報社、1996年3月6日発行)、並びに「香料と調香の基礎知識」(中島 基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)に記載のものを用いることができる。
【0086】
本発明の繊維製品処理組成物中の(e)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましい。
【0087】
<(f)成分>
本発明の繊維製品処理組成物は、貯蔵安定性を向上させる目的から、(f)成分として、無機塩を含有することが好適である。無機塩としては、貯蔵安定性の観点から、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムが好ましい。
【0088】
本発明の繊維製品処理組成物中の(f)成分の含有量は、0.0005〜5質量%が好ましく、0.001〜4質量%がより好ましい。
【0089】
<(g)成分>
本発明の繊維製品処理組成物を柔軟剤組成物に応用する場合には、柔軟効果を向上させる目的及び/又は保存安定性を向上する目的から、(g)成分として、炭素数12〜22の脂肪酸を含有することが好適である。また、炭素数8〜22の脂肪酸と、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化合物を含有することも好適である。
本発明の繊維製品処理組成物中の(g)成分の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。
【0090】
<(h)成分>
本発明の繊維製品処理組成物は、(h)成分として、溶剤を含有することができる。溶剤としては、エタノール、グリセリン、エチレングリコールから選ばれる溶剤が好ましく、匂いの観点からエタノールがより好ましい。
【0091】
本発明の繊維製品処理組成物中の(h)成分の含有量は、0.2〜25質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
【0092】
[繊維製品の処理方法]
本発明の繊維製品処理組成物を用いて繊維製品を処理する方法(即ち、繊維製品に(a)成分を吸着させる方法)としては、上記繊維製品処理組成物を、水を媒体として繊維製品に接触させる方法が好適であり、繊維製品1kgあたり(a)成分が2mg〜1300mg、好ましくは2mg〜650mgとなるように本発明の繊維製品処理組成物を使用する。具体的な例としては、一般家庭の洗濯工程における濯ぎの段階で本発明の繊維製品処理組成物を濯ぎ水に添加して繊維製品を処理することが好ましい。
【0093】
本発明の繊維製品処理組成物は、濯ぎ時の浴比([すすぎ水の容量(L)]/[繊維製品の質量(kg)]の比)が低い条件下においても、繊維製品に(a)成分を高い吸着率にて吸着させることができる。
【0094】
本発明の効果を最も享受できる処理時の浴比は、2〜20が好ましく、5〜12がより好ましい。
【0095】
本発明の繊維製品処理組成物により繊維製品を処理した後は、通常の脱水/乾燥工程を行う。

【実施例】
【0096】
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られたケイ酸エステル化合物
(a−2):下記合成例2で得られたケイ酸エステル化合物
(a−3):下記合成例3で得られたケイ酸エステル化合物
(a−4):下記合成例4で得られたケイ酸エステル化合物
<(b)成分>
(b−1):下記合成例5で得られた高分子重合体(M:11000)
(b−2):カチオン性タピオカ澱粉(日本エヌエスシー(株)製CATO308、N質量(%)=0.36)
(b−3):下記合成例6で得られた高分子重合体(M:972000、N質量(%)0.68質量%)
(b−4):ポリエチレンイミン(和光純薬製(株)製、M:10000)
(b−5):ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体(日東紡製(株)製、PAS−H−1L、MW:8500、28%水溶液)
<(c)成分>
(c−1):下記合成例7で得られた化合物
(c−2):下記合成例8で得られた化合物
(c−3):下記合成例9で得られた化合物
(c−4):下記合成例10で得られた化合物
(c−5):下記合成例11で得られた化合物
<その他の成分>
(d−1):炭素数12の飽和アルコールにエチレンオキシドを平均20モル付加させたポリオキシエチレンアルキルエーテル
(e−1):香料組成物(パールライド:クマリン:ベンジルサリシレート=1:1:1(質量比))
(f−1):塩化カルシウム
(g−1):硬化牛脂脂肪酸1.7モルとグリセリン1モルの脱水縮合物(脱水縮合物中の未反応脂肪酸含有量は3質量%)
(h−1):エタノール
【0097】
合成例1:ケイ酸エステル化合物(a−1)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン27.08g(0.13mol)、3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール(「ゲラニオール」、CLOGP2.8)72.5g(0.47mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.485mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110〜120℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行いケイ酸エステル化合物(a−1)を得た。得られたケイ酸エステル化合物の全置換基中の3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−イルオキシ基の割合を、H−NMR測定により分析した結果、89質量%であった。反応に用いた原料アルコールの平均CLOGPは2.8である。
【0098】
合成例2:ケイ酸エステル化合物(a−2)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.68g(0.20mol)、2−フェニルエタノール(CLOGP1.2)87.98g(0.72mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.85mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら112℃〜118℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながらさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ケイ酸エステル化合物(a−2)を得た。得られたケイ酸エステル化合物の全置換基中の2−フェニルエトキシ基の割合を、H−NMR測定により分析した結果、90質量%であった。反応に用いた原料アルコールの平均CLOGPは1.2である。
【0099】
合成例3:ケイ酸エステル化合物(a−3)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン37.51g(0.18mol)、2−フェニルエタノール(CLOGP1.2)39.61g(0.32mol)、3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール(CLOGP2.8)50.05g(0.32mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.671mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜120℃で約2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら約120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、2−フェニルエタノールと3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オールのモル比1:1の混合ケイ酸エステル化合物(a−3)を得た。得られたケイ酸エステル化合物の全置換基中の3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−イルオキシ基と2−フェニルエトキシ基の合計の割合を、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、96質量%であった。反応に用いた原料アルコールの平均CLOGPは2.5である。
【0100】
合成例4:ケイ酸エステル化合物(a−4)の合成
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン37.51g(0.18mol)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)(「サンダルマイソールコア」、CLOGP3.9)31.09g(0.16mol)、3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール(CLOGP2.8)75.08g(0.48mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.69mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜120℃で約2.5時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら約120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)と3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オールのモル比1:3の混合ケイ酸エステル化合物(a−4)を得た。得られたケイ酸エステル化合物の全置換基中の3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−イルオキシ基と2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)基の合計の割合を、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、95質量%であった。反応に用いた原料アルコールの平均CLOGPは3.4である。
【0101】
合成例5:高分子重合体(b−1)の合成
メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル(DMAEMA;分子量:157.21)42.37g、ラウリルメタクリレート(LMA;分子量:254.41)7.62g、エタノール180.0gを均一に混合し、内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で一定時間攪拌した。そこに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65;和光純薬工業(株)製)1.41gをエタノール20.0gに溶解した溶液を添加し、60℃付近まで昇温した。60〜70℃付近で合計8時間保持することで重合・熟成した。そこにエタノール100.0gを加えて希釈した後、室温まで降温した。この反応溶液をイオン交換水4000.0g中に滴下して再沈殿精製し、沈殿物を乾燥して高分子重合体(b−1)を得た。得られた高分子重合体のMw、Mn、及びMw/Mn比を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した結果(水/エタノール=7/3系、ポリエチレンオキシド換算)、それぞれ11000、2800、3.9であった。また、H−NMRにより分析した高分子重合体(b−1)の組成は、仕込みモノマー組成通り、DMAEMA/LMA(モル比)=9/1であった。
【0102】
合成例6:高分子重合体(b−3)の合成
プロペラ型攪拌羽根、冷却管、温度計がついた500mL容量の4つ口フラスコに苛性ソーダ0.9g、イオン交換水、45g、イソプロピルアルコール100gをいれ25℃に調温した。以下の操作は攪拌条件下で行った。コーンスターチ(三和澱粉工業(株)製)100gを30分かけて投入した。更に苛性ソーダの20%水溶液9.7gと3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド15gとの混合物を4つ口フラスコ内に投入した。投入後50℃まで昇温し、10時間攪拌した。次に36%塩酸水溶液で反応液のpHを7に調製した後、25℃まで冷却した。更に36%塩酸水溶液2.3gを加えたその後40℃まで昇温し、反応液の粘度が50〜100mPa.sになるまで攪拌した。次に5%苛性ソーダ水溶液で反応液のpHを5.0に調製した。この反応物をイソプロピルアルコール/水(質量比50/50)で2回洗浄し、乾燥させた。GPC法にて分子量を測定したところ、MW=972000であった。N含量は0.68%であった。
【0103】
合成例7: 化合物(c−1)の合成
N−(3−アミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンと、ステアリン酸とパルミチン酸を6/4の質量比で混合した混合脂肪酸を、1/1.9のモル比で定法に従って脱水縮合させた(反応温度範囲:180〜190℃、圧力範囲:150〜200Torr)。反応の進行は反応物中の未反応の脂肪酸含量を、JIS K 0070記載の試験法に従い、酸価を測定することで追跡し、酸価が5になった時点で反応を終了させた。反応物を70℃まで自然法冷で冷却し、窒素で常圧に戻した。得られた反応生成物中の未反応脂肪酸含量を、前記JISの試験法に従い酸価を測定することで求めた。残分が(c−1)成分であり、含有量は95質量%であった。
【0104】
合成例8:化合物(c−2)の合成
混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸(質量比)=6/4)に代えて、該混合脂肪酸とオレイン酸を下記比率(モル比)で混合した脂肪酸を使用した以外は合成例7と同様に合成した。
混合脂肪酸:オレイン酸=8:2(モル比)
【0105】
合成例9:化合物(c−3)の合成
混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸(質量比)=6/4)に代えて、該混合脂肪酸とオレイン酸を下記比率(モル比)で混合した脂肪酸を使用した以外は合成例7と同様に合成した。
混合脂肪酸:オレイン酸=7:3(モル比)
【0106】
合成例10:化合物(c−4)の合成
混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸(質量比)=6/4)に代えて、該混合脂肪酸とオレイン酸を下記比率(モル比)で混合した脂肪酸を使用した以外は合成例7と同様に合成した。
混合脂肪酸:オレイン酸=6:4(モル比)
【0107】
合成例11:化合物(c−5)の合成
混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸(質量比)=6/4)に代えて、オレイン酸を使用した以外は合成例7と同様に合成した。
【0108】
実施例1−15及び比較例1−8
表1に示す成分を用い、以下に示す方法で表1に示す組成の繊維製品処理組成物を調製した。得られた繊維製品処理組成物を、下記要領で繊維製品に処理し、(a)成分の吸着率を測定した。結果を表1に示す。
【0109】
<繊維製品処理組成物の調製>
500mLのガラスビーカーに、一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根を設置(攪拌羽根底部がビーカー底面より1cm上部になるように設置)し、繊維製品処理組成物の出来上がり質量が300gになるのに必要な量の75%相当量のイオン交換水を入れ、60〜65℃に設定したウォーターバス中で攪拌した(500rpm)。次いで、攪拌を続けながら、溶融状態にした(d)成分を添加した。次に(c)成分、(g)成分、及び(h)成分を予め混合し、70℃で溶融させた予備混合物を添加した。その後、所定のpHにするのに必要な量の35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、15分間攪拌した後、5℃のウォーターバス中で30℃まで冷却し、(f)成分を添加し、更に5分間混合した。攪拌しながら、(a)成分及び(e)成分を添加し、必要に応じて35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した後、(b)成分を添加した(なお、(b)成分として(b−2)成分を用いた態様では、(b−2)成分添加後の組成物を50℃まで昇温し、10分攪拌後、再度、5℃のウォーターバス中で30℃まで冷却した)。最後に、イオン交換水により出来上がり量の300gまでメスアップし、更に2分間攪拌した。
なお、表1の組成においては、(c)成分は、ほぼすべて塩酸塩の状態で組成物に存在する。
【0110】
<繊維製品処理組成物による繊維製品の処理>
(1)前処理した繊維製品の調製方法
あらかじめ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製 アタックマイクロ粒子)を用いて、45×70cmの大きさに裁断した木綿メリヤス(色染社製、綿ニット未シル)24枚、及び木綿タオル(武井タオル製、TW220)24枚を各々、日立全自動洗濯機NW−6CYで一連の洗濯工程を5回繰り返し(洗剤使用量31.33g、標準コース、水量47L、水温20℃、洗浄時間10分、ため濯ぎ2回)、再度、前記の洗濯機及び洗剤を用いて、洗濯コースを洗浄工程→脱水工程→濯ぎ工程(1回)→脱水工程となるように設定し、洗濯を行った(洗剤使用量31.33g、水道水47L、水温20℃、洗浄時間10分)後、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した。
(2)繊維製品への組成物の処理
500mL容量のガラスビーカーに、一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根を設置し、表1及び表2に示す浴比条件になるように水道水を入れ、繊維製品処理組成物(繊維製品1.0kgに対し10g)を加えた後、1分間攪拌した(200rpm)。次に、木綿メリヤス(7cm×13cm)10枚を入れ、5分間、撹拌処理した(200rpm)。なお、水の質量及び繊維製品処理組成物の必要量は、前記木綿メリヤス10枚の質量を各処理毎に秤量した質量から算出した。
【0111】
<(a)成分の吸着率の測定>
(a)成分の吸着率は、処理前の処理浴中の(a)成分含有量(x)と処理後の(a)成分含有量(y)の差分〔(x)−(y)〕を綿メリヤスに吸着している量として、処理前の(a)成分含有量(x)に対する割合(百分率)、すなわち、〔(x)−(y)〕/(x)×100を(a)成分の吸着率とした。(a)成分含有量は、処理浴から水を5ml採取し、20mlすりつき試験管に入れ、その中にエタノール3ml、水酸化ナトリウム1mlを入れ、80℃で1時間加熱した後、塩酸1mlを加えた処理液中の香料を定量することにより求めた。香料の定量は、下記の液体クロマトグラフィー装置を用いて測定した。
【0112】
液体クロマトグラフィー装置:HITACHI L−6000
カラム:Lichrospher 100 RP−18(e) 5μm 125mm×4φ
カラム温度:40℃
溶離剤:アセトニトリル/水=7/3(質量比)の混合溶液
流速:1.0mL/min
検出器:UV(220nm)
【0113】
【表1】

【0114】
実施例16−18及び比較例9−11
表2に示す成分を用い、実施例1−15と同様の方法で、表2に示す組成の繊維製品処理組成物を調製した。得られた繊維製品処理組成物を、木綿メリヤス布(7cm×13cm)の代わりに木綿タオルのパイル部分(7cm×13cm)を使用した以外は実施例1−15と同様の要領で処理し、(a)成分の吸着率を測定した。結果を表2に示す。
【0115】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分及び(b)成分を含有する繊維製品処理組成物。
(a):一般式(1)で表されるケイ酸エステル化合物から選ばれる1種以上の機能性アルコール放出前駆体
【化1】


〔式中、Xは−OH、−R、−OR又は−ORであり、YはX又は−OSi(X)であり、Rは置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基、Rは機能性アルコールから水酸基1個を除いた残基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基、nは平均値を示す0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−ORを少なくとも1つ有する。〕
(b)カチオン性基含有高分子重合体
【請求項2】
前記(b)カチオン性基含有高分子重合体が、下記(b1)〜(b3)から選ばれる1種以上のカチオン性基含有高分子重合体である請求項1記載の繊維製品処理組成物。
(b1):一般式(I)若しくは(II)で表されるビニル単量体、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種を必須の構成単位とする高分子重合体
【化2】


〔式中、Rb1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、Rb2及びRb3は同一又は異なって、水素原子又は水酸基で置換されていても良い炭素数1〜4の炭化水素基を示し、Yはエステル基又はアミド基を示し、Zは水酸基を含んでいても良い炭素数1〜8のアルキレン基を示す。〕
【化3】


〔式中、Rb4及びRb5は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、Rb6は水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を示す。]
(b2):カチオン性多糖
(b3):ポリ[アルキレン(炭素数2〜3)イミン]
【請求項3】
下記(c)成分を含有する請求項1又は2記載の繊維製品処理組成物。
(c):一般式(2)で表される化合物、その4級化物、並びに無機酸及び/又は有機酸との中和物から選ばれる少なくとも1種。
【化4】


〔式中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、エステル基及び/若しくはアミド基で分断されていても良い総炭素数12〜29の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、Rc1、Rc2及びRc3のうち少なくとも1つはエステル基及び/若しくはアミド基で分断されている総炭素数12〜29の炭化水素基である。〕
【請求項4】
(a)成分と(b)成分の質量比が(a)成分/(b)成分=10/1〜1/30である請求項1〜3記載の繊維製品処理組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理組成物を用いて、繊維製品を浴比([処理時の水の容量(L)]/[繊維製品の質量(kg)])=2〜20で処理する、繊維製品の処理方法。
【請求項6】
洗濯工程における濯ぎの段階で、請求項1〜4いずれかに記載の繊維製品処理組成物を濯ぎ水に添加して繊維製品を処理する、請求項5記載の繊維製品の処理方法。

【公開番号】特開2011−42884(P2011−42884A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189935(P2009−189935)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】