説明

繊維複合材料からなる被加工材の製造方法および全長にわたって変化する断面輪郭を有する異形材の形状の繊維複合部品

少なくとも一支持手段(3)が供給されるステップと、予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料(6)および/または第2の材料(7)が、少なくとも二成形ブランクエリア(1,10)を形成すべく、該成形ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記メイン材料を有し、前記成形ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記第2の材料を有するようにして前記少なくとも一支持手段(3)に被着されるステップと、前記成形ブランクエリア(1,10)が、被加工ブランク(14)を形成すべく、前記少なくとも一支持手段(3)が前記被加工ブランク(14)の表面に配されるようにして互いに圧着されるステップと、前記少なくとも一支持手段(3)と前記第2の材料(7)とが、前記被加工材(15)を形成すべく、前記被加工ブランク(14)から取り除かれるステップとを含む繊維複合材料からなる被加工材(15)の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維複合材料からなる被加工材の製造方法、および具体的には本発明に係る製造方法を実施し得る当該装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は下記文言において航空機の耐力構造物の製造に関する問題を基礎として説明が行なわれるが、ただし本発明はそれに制限されるわけではなく、一般に繊維複合材料からなる被加工材、具体的には長尺被加工材の製造に関する。
【0003】
繊維複合材料は高い引張強度と固有の低重量からして航空機の製造に適している旨実証されてきている。たとえば外皮を構成する平板要素に加えて、たとえばいわゆる縦通材のような長尺要素が繊維複合材料から形成される。断面不変の縦通材は連続フロー法によって製造可能である。
【0004】
航空機にはさまざまな断面を有する縦通材が必要である。そのため、さまざまな形状の多様な縦通材の製造を容易にすべく、さまざまな成形ツールを備えることが必要である。さらに、縦通材の全長にわたって輪郭が変化する縦通材が必要とされる。これまでのところ、断面不変の縦通材は複合材料からなる追加単位層の人手被着による手作業によって適合されてきている。こうした方法で製造される縦通材の品質は平均的なレベルのものでしかなく、また、その方法は複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、多様な輪郭断面を有する、好ましくは単一の成形ツールを使用して製造可能な被加工材を繊維複合材料から製造することのできる製造方法ならびに装置を提供することである。この製造方法は好ましくは連続製造方法として実施される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の製造方法は前記目的のため以下のステップを有している。
a) 少なくとも一つの支持手段を供給するステップ。
b) 予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料および/または第2の材料を、少なくとも二つの成形ブランクエリアを形成すべく、前記成形ブランクエリアの少なくとも一方は前記メイン材料を有し、前記成形ブランクエリアの少なくとも一方は前記第2の材料を有するようにして、前記少なくとも一つの支持手段に被着するステップ。
c) 前記少なくとも二つの成形ブランクエリアを、被加工ブランクを形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段が前記被加工ブランクの表面に配されるようにして、互いに圧着するステップ。
d) 前記被加工材を形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段と前記第2の材料とを前記被加工ブランクから取り除くステップ。
【0007】
前記被加工材は前記製造方法により前記メイン材料から形成される。
【0008】
本発明に係る前記製造方法は前記被加工材の断面を前記第2の材料によって成形ツールの断面に適合させる。前記被加工ブランクは好ましくはその全長にわたり、前記成形ツールによって所与の不変の断面を有している。
【0009】
前記第2の材料は好ましくは、少なくとも前記成形ブランクが一体化される際の支配的な条件のために、つまり然るべき圧力と然るべき温度にて、前記予備含浸された繊維半製品と同様な機械的特性を有するように選択される。
【0010】
前記少なくとも二つの成形ブランクエリアは一体的に成形ブランクに配置されることが可能である。続いて、前記成形ブランクは圧着のため、長手方向に折り曲げられるかまたはスロット状に形成されることができる。各々の成形ブランクエリアは同じく個々の成形ブランクに配置されることも可能であり、つまり、各々の成形ブランクエリアは一成形ブランクに正確に一致している。
【0011】
一発展形態において、予備含浸された繊維複合材料および/または前記第2の材料からなる複数の層は、前記メイン材料からなる層が前記第2の層によって被覆されないようにして、前記支持手段の第3のエリアに被着される。これにより、前記第2の材料は製造さるべき前記被加工ブランクの表面に沿って配置され、前記第2の材料はその後に完全に取り除かれることができるようになる。さらに、これによって、前記被加工材に所望の任意の厚さまたは強度のエリアが前記メイン材料から形成されるようにすることができる。
【0012】
一改良形態において、前記メイン材料および/または前記第2の材料はそれぞれ前記成形ブランクエリアの厚さが均一となるような一定の厚さで被着される。
【0013】
前記予備含浸された繊維半製品は織布、編布および/またはスクリムであってよい。前記目的のための前記繊維半製品は好ましくは互いに直角をなして配向される繊維を有している。一発展形態において、前記スクリムは偶数個の単位層から形成され、そのうち奇数番目の単位層において第1の繊維は第1の方向に配列され、偶数番目の単位層において第2の繊維は第2の方向に配列され、前記第1の方向は前記第2の方向に対して30°〜60°の角度をなして傾斜している。前記奇数番目のすべての単位層の前記第1の方向は同一であり、すぐ次の奇数番目の単位層における前記第2の方向は前記第1の方向に対して鏡像対称的に配置されている。
【0014】
前記支持手段はフィルムであってもよい。
【0015】
前記予備含浸された繊維半製品は好ましくは炭素繊維を有している。
【0016】
前記第2の材料はガラス繊維を有する半成形体を有していてもよい。
【0017】
一改良形態において、圧着前に、一方の第1の前記成形ブランクは第2の前記成形ブランクと平行に配置され、続いて、これらの2成形ブランクは互いに圧着される。
【0018】
一発展形態において、前記第1の成形ブランクエリアと前記第2の成形ブランクエリアとは曲線に対応して圧着される。
【0019】
一改良形態において、前記第1の成形ブランクエリアは第1の長さで製造され、前記第2の成形ブランクエリアは第2の長さで製造され、前記第1の長さは圧着工程後の前記第1の成形ブランクエリアの長さに等しく、前記第2の長さは圧着工程後の前記第2の成形ブランクエリアの長さに等しい。したがって、前記曲線の場合に、前記第1の長さと前記第2の長さとの間に相違がもたらされる。その結果、前記被加工材は応力なしで製造される。具体的には、これによって、前記繊維半製品の繊維の圧縮が回避される。
【0020】
また上記の目的は、請求項13記載の繊維複合材料からなる被加工材の製造装置であって、以下つまり、
− 少なくとも一つの支持手段を供給するための供給装置と、
− 少なくとも二つの成形ブランクエリアを形成すべく、予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料を前記少なくとも一つの支持手段の少なくとも一つの第1のエリアに被着し、第2の材料を前記支持手段の少なくとも一つの第2のエリアに被着するための被着装置と、
− 被加工ブランクを形成すべく、前記2成形ブランクエリアを圧着するための成形プレスと、
− 前記被加工ブランクから前記第2の材料を取り除くための分離装置と
を備えた製造装置によっても達成される。
【0021】
前記成形プレスは、対をなして互いに対向配置されて、前記成形プレスの加圧状態を表す所定の曲線に沿って配置可能な一連の成形セグメントを有していてもよい。前記成形セグメントの前記柔軟な配置によって、前記被加工材の長手方向に沿った所望の任意の曲率ならびに形状が実現可能である。
【0022】
一発展形態において、少なくとも二つの供給装置が設けられて、前記成形プレスと平行に2成形ブランクを供給し、その際、前記第1の供給装置の第1の速度と前記第2の供給装置の第2の速度とは前記所定の曲線の曲率の関数として調節可能である。
【0023】
本発明はまた、請求項16に先行する特徴記載項に記載のプルトルージョン法を使用して全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための方法ならびに前記方法を使用して製造されるプラスチック・繊維複合部材にも関する。本発明はまた、この種の方法を実施するための既製スクリムにも関する。最後に本発明は全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための半製品に関する。
【0024】
いわゆるプルトルージョン法は現在では、全長にわたって不変の輪郭断面を有する異形材の製造を目的とする際のプラスチック・繊維複合部材の製造方法の一選択肢である。この方法において、一般に連続材料層は既製スクリムとしてプリプレグの形でロールに巻き付けられてストックされ、これらの複数層が一体に結び付けられて、圧力と熱の作用下で互いに圧着される。固化後に得られる複合部材は高い強度を有しており、また、この製造工程は低コストであると同時に効率的である。
【0025】
もし、たとえばプラスチック・繊維複合部材が影響を受ける静的要件からして、輪郭断面を異形材の全長にわたって変化させる必要がある場合には、これは従来、人手積層法を使用して、プルトルージョン法後に得られた異形材に追加プリプレグ層を被着することによって行われる。場合により、追加接着フィルムも必要とされることがある。これは高コストかつ時間のかかる製造法である。この場合、コストも製造時間も人手積層法自体によって無駄に費やされるだけでなく、そのために必要とされる、追加繊維複合層被着前の基本異形材の前処理によっても空費されることになる。こうした前処理は、硬化後に再び人手によって基本異形材から取り除かれなければならない剥離層によるかまたは研削、ウォーターブレークテストおよびそれに続く基本異形材の再乾燥によって実施される。
【0026】
繊維複合材が外皮要素としてだけでなく、外皮要素を補強する構造部材(縦通材)あるいは屈曲ビームとしてもますます多用されている最新の航空機構造において、輪郭断面が全長にわたって変化するプラスチック・繊維複合部材を製造し得ることが望ましい。一例として、そうした部材は、それらの断面厚さが航空機垂直方向と共に−この方向における曲げモーメントの減少に応じて−減少する垂直安定板の縦通材としてあるいは発生する力に応じて両端に向かって断面厚さが増大する水平床受け材として使用することができる。
【0027】
本発明のさらなる目的は、冒頭に述べたタイプのプラスチック・繊維複合部材を製造するための改善された方法を提供することである。さらなる目的は、この種の改善された方法を実施するための既製スクリムを提供することである。最後の目的は、全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための半製品を提供することである。
【0028】
この目的は、請求項16記載の特徴を有するプラスチック・繊維複合部材を製造するための方法によって達成される。この目的はまた、本方法を使用して製造された請求項35記載のプラスチック・繊維複合部材によっても達成される。本発明による上記解決方法のもう一つの要素は上記改善された方法を実施するための請求項36記載の既製スクリムである。本発明による上記解決方法の最後の要素はまた、プラスチック・繊維複合部材を製造するための請求項37記載の特徴を有する半製品である。
【0029】
本発明の対象のさらにその他の有利な実施形態および発展形態はそれぞれの従属請求項によって特徴付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1a】被加工材を製造するための一実施形態において使用される2つの成形ブランクを示す図である。
【図1b】被加工材を製造するための一実施形態において使用される2つの成形ブランクを示す図である。
【図1c】被加工材を製造するための一実施形態において使用される2つの成形ブランクを示す図である。
【図1d】被加工材を製造するための一実施形態において使用される2つの成形ブランクを示す図である。
【図2a】図1a〜1dに示した成形ブランクから製造される前記第1の実施形態による被加工ブランクを示す図である。
【図2b】図1a〜1dに示した成形ブランクから製造される前記第1の実施形態による被加工ブランクを示す図である。
【図2c】図1a〜1dに示した成形ブランクから製造される前記第1の実施形態による被加工ブランクを示す図である。
【図3a】第1の実施形態によって製造される被加工材を示す図である。
【図3b】第1の実施形態によって製造される被加工材を示す図である。
【図3c】第1の実施形態によって製造される被加工材を示す図である。
【図4a】第2の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図4b】第2の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図4c】第2の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図5a】第3の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図5b】第3の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図5c】第3の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図6】第4の実施形態を図示するための成形ブランクを示す図である。
【図7a】第4の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図7b】第4の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図7c】第4の実施形態によって製造される被加工ブランクを示す図である。
【図8a】その他の実施形態によって製造されるその他の被加工ブランクの断面を示す図である。
【図8b】その他の実施形態によって製造されるその他の被加工ブランクの断面を示す図である。
【図8c】その他の実施形態によって製造されるその他の被加工ブランクの断面を示す図である。
【図8d】その他の実施形態によって製造されるその他の被加工ブランクの断面を示す図である。
【図9】被加工材を製造するための装置の一実施形態を示す図である。
【図10】図9の成形プレスの詳細図である。
【図11a】上記実施形態のいずれかに使用される多層繊維複合材料を示す図である。
【図11b】上記実施形態のいずれかに使用される多層繊維複合材料を示す図である。
【図11c】上記実施形態のいずれかに使用される多層繊維複合材料を示す図である。
【図12】繊維複合材料から被加工材を製造するための装置の第2の実施形態を示す図である。
【図13】本発明の代表的な一実施形態による、全長にわたって断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材として製造された縦通材と、航空機の垂直軸方向に互いに平行に走る多数の縦通材によって支えられた外皮とを有する、繊維複合材料を使用して製造された航空機垂直安定板の半シェルの内部の斜視図である。
【図14a】本発明の2つの代表的な実施形態による、プルトルージョン法で製造される全長にわたって断面の変化する異形材の形のプラスチック・繊維−複合部材の一部の概略的な断面図である。
【図14b】本発明の2つの代表的な実施形態による、プルトルージョン法で製造される全長にわたって断面の変化する異形材の形のプラスチック・繊維−複合部材の一部の概略的な断面図である。
【図14c】本発明の2つの代表的な実施形態による、プルトルージョン法で製造される全長にわたって断面の変化する異形材の形のプラスチック・繊維−複合部材の一部の概略的な断面図である。
【図15】本発明のさらに別の代表的な実施形態による、プルトルージョン法で製造される全長にわたって断面の変化する異形材の形のプラスチック・繊維−複合部材の概略的な断面図である。
【図16a】従来の技術から公知のプルトルージョン設備の概略図である。
【図16b】既製スクリムからの所望の異形材の連続的成形中の種々の相を示す図である。
【図16c】従来の技術から公知の、既製スクリムを圧力と熱の作用下で互いに圧着して所望の形状の異形材とするプレス成形用金型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を下記文言により、好ましい実施形態を参照しかつ添付図面を使用して、詳細に説明する。
【0032】
下記文言において、図中の同じ参照符号は同一もしくは類似の要素を表している。
【0033】
繊維複合材料からなる被加工材の製造方法の第1の実施形態は下記文言において図1a〜1d、2a〜2cおよび3a〜3cを参照して説明される。
【0034】
第1の成形ブランク1は図1aおよび1bに側面図および平面図の形で表されている。所望の被加工材を製造するための材料−下記文言においてメイン材料6と称される−は第1のエリア4において、また第2の材料は第2のエリア5において、支持手段として使用されるフィルム3の表面2にそれぞれ被着される。フィルム3の表面2の全体は好ましくは第1のエリア4と第2のエリア5によって被覆される。
【0035】
メイン材料6は好ましくは、たとえば炭素繊維を有する予備含浸された繊維半製品(プリプレグ)である。予備含浸された繊維半製品は第1のエリア4において機械によりまたは自動化されて、布設装置いわゆるテープ布設機によって表面2に被着することが可能である。
【0036】
第2の材料7も同様にして布設装置によって第2のエリア5に被着することが可能である。具体的には、ガラス繊維を有した繊維半製品が第2の材料としての使用に適している。したがって、未硬化状態において、メイン材料6と第2の材料7とは、有利には爾後のプレス加工にとって有意差のない類似した延性を有している。さらに、第2の材料7は速硬性材料であってよい。
【0037】
第2の材料7とメイン材料との厚さ8は一定で、成形ブランク1の全寸法にわたって同一の大きさである。これによって、平坦面9を有する成形ブランク1が生ずる。
【0038】
図1cおよび1dは、フィルム3とメイン材料6と第2の材料7とからなる同じく既製の第2の成形ブランク10を表している。図1dの平面図からわかるように、第2の材料7が被着される第3のエリア11は一体的ではなく、フィルム3の表面2上に分散配置されることが可能である。メイン材料6は表面2の残りのエリア12,13に被着される。
【0039】
被加工ブランク14はそれぞれ上述した2つの成形ブランク1,10から形成されており、図2a,2bおよび2cに側面図および、面AおよびBに沿った2つの断面図の形で表されている。
【0040】
この代表的な実施形態において、2つの第2の成形ブランク10はそれらの長手方向端縁に沿って、つまりフィルム3の方向に下向きに折り曲げられる。このようにして形成された2つの第2の成形ブランク10は背面でそれらの表面9が互いに対向するようにして配置される。第1の成形ブランク1はそれらの表面9が第2の成形ブランク10の左に折り曲げられた長手方向端縁と右に折り曲げられた長手方向端縁に対向するようにして配置される。こうして、図2bと2cに表されているように、ダブルT形の被加工ブランク14の断面が生ずる。被加工ブランク14はその外側面に沿ってフィルム3によって被覆されている。
【0041】
成形ブランク1,10は今や互いに圧着され、こうして、成形ブランク1,10はメイン材料6によって互いに接着結合される。第2の材料7はプレス加工中に接着またはその他の形で材料6に結合されないように選択される必要があろう。さらに、被加工ブランク14の断面が圧着工程中に変形しないように、第2の材料7は材料6と同じ延性を有しているのが有利である。
【0042】
第1の実施形態の変形例において、分離層たとえばフィルムが第2の材料7とメイン材料6との間に挿設されてもよい。これは有利には2つの材料6,7の結合を防止する。
【0043】
爾後のステップにおいて、フィルム3と第2の材料7とが取り除かれる。これにより、側面図および、面AおよびBに沿った断面図の形でそれぞれ図3a〜3cに表されている被加工材15が生ずる。2つの断面図の比較からわかるように、上述した第1の実施形態は断面が変化する被加工材15の製造を可能にする。これによって有利には、被加工材15の爾後の手作業加工の必要なしに、縦方向支持部材、縦通部材または類似の部材の寸法を設計要件に適合させることができる。さらに、被加工ブランクはその全長にわたって不変の断面を有しているため、成形ブランク1,10を圧着して被加工ブランク14を形成するのに単一の成形ツールが必要とされるにすぎない。
【0044】
被加工材15は続いて通常の方法で硬化される。これは圧力および/または熱の作用によって行われることができる。
【0045】
別途実施形態において、成形ツールブランク14が硬化される。この場合、第2の材料7が急速に硬化し、こうして、被加工材15の製造所要時間が僅かに高まるにすぎないようにするのが有利であることが判明した。硬化した第2の材料7は続いて、同様に硬化されたメイン材料6から取り除かれる。
【0046】
上述した第1の実施形態はさまざまに変形させることが可能である。具体的には、被加工材15につき思料可能なあらゆる幾何的形状ならびに断面が実現可能である。下記文言において、複数の種々異なった被加工ブランクが側面図および当該断面図の形で図解される。相応して製造される当該被加工材ならびにそのために必要とされる成形ブランクは簡単な幾何的考察によって然るべき図面から導出することが可能である。
【0047】
図4a〜4cは、断面Aの上側エリアに同一断面の下側エリアにおけるよりも厚い横向き配置構造物を有する被加工ブランク16cを示している。フィルム3は、図をわかりやすくするため、図示していない。ただし、図2a〜2cと同様に、フィルム3は被加工ブランク16の全周を被覆している。
【0048】
図5a〜5cは単純なT形の断面を有する被加工ブランク17を示している。この被加工ブランク17は3つの成形ブランクから形成されて製造されるか、さもなければ、先ず最初に図2a〜2cまたは4a〜4cに示したようなダブルT形の被加工ブランクを製造し、続いて、前記被加工ブランクをその長手軸に沿って切断することによって製造されてもよい。
【0049】
被加工材製造方法の第2の実施形態は図6,7a〜7cを参照して説明される。図6はフィルム3に被着される成形ブランク19を示している。第1のエリア20において、第2の材料7は厚さ21で、フィルム3に直接被着される。第2の材料7はさらに、メイン材料6からなる厚さ22を有するさらに別個の層によって被覆される。これにより、第2の材料7とメイン材料6とからなる単位層で構成される成形ブランク19が生ずる。この場合の不可欠な特徴は、第2の材料7とフィルム3との間にメイン材料6が配置されていないことである。さもなければ、少なくとも部分的に第2の材料7を取り除くことはもはや不可能であろう。
【0050】
一例として、図示実施形態では、メイン材料6のみが第2のエリア24においてフィルム3に被着される。単位層21,22および23の厚さは成形ブランク19の厚さがその全長にわたって不変であるように選択される。
【0051】
被加工ブランク25は第2の成形ブランクを使用して成形ブランク19から製造される。この場合、一例として、第2の成形ブランクはメイン材料6からなっている。2つの第1の成形ブランク19は、図7bに示したように、一方の端縁に沿って折り曲げられる。材料6の厚さがエリア20において下側に配置された第2の材料7によって減少させられる成形ブランク19を使用することにより、被加工ブランク25の製造が可能になると共に、相応した方法で、所望の強度の材料6を有する被加工材の製造が可能になる。相応した方法で、被加工材の肉厚は自由に変化させることが可能である。
【0052】
図8a〜8dは、既述した実施形態と成形ブランクによって製造可能なさまざまな断面を示している。なお、再度指摘しておくが、被加工ブランクの断面はすべての断面において同一であってもよい。
【0053】
図9は被加工材製造装置の一実施形態を概略的に示している。装置30は、フィルム3のための供給装置31とその他の支持手段とを有している。さらに、それぞれメイン材料6と第2の材料7のために、さらに別の2つの供給装置32,33が設けられている。支持手段3は、支持手段3の表面にメイン材料6と第2の材料7を被着する布設装置34に沿ってガイドされる。2種の材料6,7が被着され、こうして、成形ブランク35,36の製造が連続的工程として実施される。
【0054】
2つの成形ブランク35,36は互いに平行にガイドされて、プレス装置37に導かれる。成形ブランク35,36の全体がひとたびプレス装置37内に配置されると、2つの成形ブランク35,36はプレス装置によって互いに圧着される。こうして、被加工ブランクの形状がプレス装置によって成形されて生ずる。
【0055】
プレス装置37には分離装置38が後置されている。分離装置38は被加工ブランクから第2の材料を取り除く。そのために、フィルム3は被加工ブランクから取り除かれる。この工程中に、第2の材料7も好ましくは被加工ブランクから除去される。
【0056】
図10はプレス装置37の横断面の一例を示している。この装置37は、それぞれの場合に対となって互いに対向配置される顎部39と40とを有している。顎部39,40の幅と長さに対応して、ダブルT形に対応したキャビティが形成されている。
【0057】
図2a〜2cに示した被加工ブランクはこの図示されたプレス装置37によって製造可能である。
【0058】
具体的に好ましい一実施形態のための、フィルム3に被着される材料6の構造を、図11a〜11cを参照して説明する。材料は連続した単位層6a,6bの形で被着される。単位層6aはメイン方向に沿って配置される下側層繊維41を有している。この上に繊維42が第1の繊維41に対して角度43をなして配置されている。この角度は一般に30°〜60°の範囲内にある。
【0059】
第2の単位層6bの繊維はメイン方向に沿って配置される第1の繊維41を有している。この上に配置される第2の繊維44は第1の繊維41のメイン方向に対して角度45をなしている。第2の角度45は好ましくは、第3の繊維44が第1の繊維41を基準にして、第2の繊維42について鏡像対称的に配置されるように設計される。この場合、角度45は角度43とは反対の数学符号を有している。
【0060】
メイン材料6の単位層6a,6bの配列によって、個々の成形ブランクが圧着される際に、互いに平行に配された繊維が互いに上下に着座しないことが保証される。もしもこれが保証されない場合には、これらの繊維は互いに入り込むことができるようになり、その結果、被加工ブランクの厚さはこの点で望ましくない減少を招来するであろう。
【0061】
図12は被加工材製造装置のさらに別の実施形態を示している。同図は成形ブランク52,53のための2つの製造装置50,51を概略的に示している。製造装置50,51は成形ブランク52,53をプレス装置54に向かってガイドする。プレス装置54はそれぞれ対となって互いに対向配置された複数の単位プレス型55からなっている。対をなすプレス型55のこの空間的配置は、図12に示したように、所定の湾曲パターンに従っている。このパターンを実現するために単位プレス型とそれらの対のポジションは好ましくは調整可能である。プレス装置54により、所望の曲率の被加工ブランクの製造が可能である。
【0062】
被加工ブランクが湾曲している場合には、内側成形ブランク52の繊維材料が圧縮されることは自明である。内側成形ブランク52とはそれに対向配置された成形ブランク53よりも小さな曲率半径を有する成形ブランクである。繊維の圧縮は完成した被加工材の機械的特性の減退を招来する。
【0063】
これは長さの異なる2つの成形ブランク52,53を製造することによって対処される。2つの成形ブランク52,53の長さは、完成した被加工材において2つの対向表面に沿って生ずる長さに適合される。それゆえ、内側成形ブランク52は外側成形ブランク53よりも短い。
【0064】
このため、製造装置50,51は好ましくは2つの成形ブランク52,53を異なった送り速度でプレス装置54に送り込む。これは2つの成形ブランク52,53の始点と終点とが同時にプレス装置54に到着するようにして行われる。
【0065】
本発明は上述した実施形態に制限されるものではない。
【0066】
具体的には、唯一の必要性は、成形ブランクが、成形ブランクの全幅にわたって厚さが変化可能であっても、その全長にわたって不変の厚さを有することである。T形またはダブルT形被加工材としての、デザインの異なる被加工材も製造可能である。
【0067】
上述した実施形態において、成形ブランクは互いに別個の要素として製造される。ただし、不記載の一実施形態において、単一の支持手段を設けることも可能である。この支持手段は複数の成形ブランクエリアに細分される。これらの成形ブランクエリアの寸法は上述した一連の別々の成形ブランクの寸法に基本的に一致している。メイン材料と第2の材料は、これら別々の成形ブランクに被着されるのと同様にして、それぞれの成形ブランクエリアに被着される。これらの成形ブランクエリアを圧着して被加工ブランクを成形する前に、この支持手段は成形ブランクエリアの境界に沿って折り曲げられるかまたは切断される。
【0068】
図13はA380広胴型航空機の垂直安定板の半シェル内部の斜視図である。航空機垂直軸方向Zと平行に延びる、それぞれプラスチック・繊維複合部材によって形成された多数の縦通材10’が半シェル1’内に配置されている。これらの縦通材10’は全長にわたって縦通材10’と結合される外皮2’を補強する。図示された半シェル1’の縦通材10’ならびに外皮2’は、最新のプラスチック・繊維複合構造物にあっては、具体的には炭素繊維を使用して製造される。これらの縦通材を形成するプラスチック・繊維複合部材はT形断面を有しかつ全長にわたって輪郭断面の変化する長尺異形材の形をとっている。この異形材はほぼ任意の所望の断面形状を有するようにして製造可能であり、たとえば、先ず最初にH形断面を有する異形材を製造し、続いてそれを長手方向に沿って切り離すことにより、それぞれT形断面を有する2つの異形材要素を製造する等が可能である。
【0069】
図13は縦通材を形成する異形材の断面厚さの増大に対応する4つのエリアI〜IVを示している。プラスチック・繊維複合部材10’はエリアIにおいて最も薄く、この厚さは複合部材1’の全長に延在する基本異形材によって形成されている。この断面厚さは、エリアIIからIVまで延在する第1の補強材によって、エリアIIから増大する。エリアIIIで、エリアIIIとIVのみに延在する第2の補強材が加えられる。最後に、第3の補強層が加えられる結果として、複合部材10’はエリアIVで最も厚くなる。したがって、縦通材10’を形成するプラスチック・繊維複合部材の断面は、垂直安定板の長さが増すにつれて航空機垂直軸方向Zの方向において減少する曲げ荷重に適合されている。
【0070】
図16aは、それ自体従来の技術から公知の、異形材の形のプラスチック・繊維複合部材10’;20’の製造に使用されるプルトルージョン設備100の概略を示している。加工さるべき材料層は既製スクリムとしてロール110に巻き付けられたプリプレグ材料の形でストックされ、予備成形装置120で一体に合わされて、プレス成形用金型130において圧力と熱の作用下で互いに圧着される。繊維複合材を完全に硬化させるため、プレス成形用金型に後置されたトンネル乾燥炉140で熱処理が実施される。既製スクリムは設備を通過して引取装置150によって引き取られる。異形材は切断装置160で所望の長さに切断される。
【0071】
所望の異形材は、図16bに種々異なった相で示したように、既製スクリムを変化させることにより、ロール110を離れる際のストリップ状の形状から最終的に所望の形状へと予備成形装置120中で連続的に成形される。これらの既製スクリムは続いて、図16cに示したように、下流のプレス成形用金型130において、所望の異形材形状を形成すべく、圧力と熱の作用下で互いに圧着される。一例として図示したように、この工程を通じてH形断面を有した異形材が製造されるが、これはそのままで使用されるかまたは長手方向に沿って切り離されて、それぞれT形断面を有する2つの異形材要素とすることもできる。
【0072】
図14,15は、プルトルージョン法を使用して、全長にわたって断面の変化する異形材の形で製造された、2つの異なった代表的な実施形態のプラスチック・繊維複合部材10’;20’の断面図を示している。これらの部材はそれぞれ、全長にわたって連続する単一の材料層かまたは、図示した代表的な実施形態の場合にあって、全長にわたって連続する通常複数の材料層11’;21’から形成される基本異形材を有している。
【0073】
異形材全長にわたって変化する輪郭断面はそれぞれの場合、単一の追加材料層によって形成されるかまたは、図示した代表的な実施形態の場合にあって、同じく、基本異形材に被着されて基本異形材に結合される複数の追加材料層14’;24’,25’によって形成される。これらの材料層は異形材の全長の一部のみに及ぶ長さを有しているため、全長にわたって変化する所望の輪郭断面が生ずる。
【0074】
これらの追加材料層14’;24’,25’は、最終効果の点で所望される全長にわたって変化する輪郭断面を、追加材料層14’;24’,25’によって占められていない異形材長手区域において先ず第一に補完するそれぞれの補償層14a’;24a’,25a’と共に、基本異形材を形成する連続した材料層11’;21’に被着される。これによって、異形材全長にわたって不変の輪郭断面が形成される。こうして、従来のプルトルージョン法の場合と同様に、プルトルージョン法を使用して全長にわたって不変の断面を有する半製品を製造することができる。
【0075】
補償材料層14a’;24a’,25a’と、その下側にあって基本異形材を形成する連続材料層11’;21’と、全長にわたって変化する輪郭断面を形成する追加材料層14’;24’,25’との間には分離層50’が配置されており、この分離層は補償層14a’;24a’,25a’がその上に配置される場合に圧着工程および硬化後の適切な時機に補償層14a’;24a’,25a’の除去を可能にする。補償層14a’;
24a’,25a’は、全長にわたって変化する輪郭断面を有する異形材で構成されるプラスチック・繊維複合部材10’;20’の形の完成品の要素とはされないが、プルトルージョン法の実施中不変の断面を保証することを目的として設けられている。図14は、補償層14a’の除去後に生ずる繊維複合部材10’の概略的な断面を示している。
【0076】
図14,15に示した代表的な実施形態は全長にわたって変化する輪郭断面を形成する複数の追加材料層14’;24’,25’を有しており、これらの追加材料層は対応する補償層14a’;24a’,25a’とのそれぞれの当接点14b’;24b’,25b’において互いに当接している。これらの当接点14b’;24b’,25b’は互いに長手方向にずらされており、こうして、段階的にテーパした所望の輪郭断面が生ずる。この場合、変化する輪郭断面を形成する追加材料層14’;24’,25’と、それぞれ隣接する単位層のそれぞれ前記追加材料層に続く補償層14a’;24a’,25a’とのそれぞれの重複エリアが隣接当接点間に生ずる。爾後に補償層14a’;24a’,25a’が取り除かれるようにすべく、これらの重複エリアの各々に分離層50’が設けられるようにすることも可能である。
【0077】
図14に示した代表的な実施形態において、連続材料層11’は異形材の片側に配置され、除去される補償層14a’は異形材の反対側に配置されている。他方、図15に示した代表的な実施形態において、複合部材20’はその長手軸を中心にして対称的に設計されており、連続材料層21’は中央部に配置され、追加材料層24’は異形材の片側に設けられ、さらに別の追加材料層25’が異形材の反対側に設けられ、これらの追加材料層はそれぞれ連続材料層21’の両側でそれぞれ対応する補償層24a’と25a’とによって補完されている。したがって、除去される補償層24a’,25a’は両側に設けられており、複合部材20’の輪郭は全長にわたって両側で変化する。
【0078】
図14aと15に示した代表的な実施形態によれば、補償層14a’;24a’,25a’は連続層11’;21’の繊維材料と同じかまたは異なった繊維材料であってよい繊維材料からなる単位層によって形成されている。図14aに示したように、補償層14a’;24a’,25a’の個々の単位層の間に分離層50’が設けられるようにするか、または、図15に示したように、補償層24a’,25a’の単位層の間に分離層が設けられないようにすることが可能であり、この場合、補償層24a’,25a’は圧着工程後に独立した別個のプラスチック・繊維複合材を形成する。この繊維複合材は、ひとたび取り去られると、犠牲層として捨て去ることができる。
【0079】
上記すべての代表的な実施形態につき、分離層50’は接着防止粉末の形で、分離用フィルムの形で、あるいは必要であればその他の適切な方途で設けられてよい。
【0080】
連続材料層11’;21’は、1または複数のロールに巻き付けられた既製スクリムの形でストックされて、複合部材10’;20’の製造工程に供給されてもよい。異形材の全長にわたって変化する輪郭断面を形成することを目的とした追加材料層14’;24’,25’と、これらの追加材料層を補完する補償層14a’;24a’,25a’も、同様に1または複数のロールに巻き付けられた既製スクリムの形でストックされて、工程に供給可能である。この場合、一方で、追加材料層14’;24’,25’と、他方で、これらの追加材料層を補完する補償層14a’;24a’,25a’とはそれぞれ別個のロールから供給可能である。この場合、これらの相補層間の当接点14b’;24b’,25b’が互いに正しく位置決めされることを保証する必要があろう。
【0081】
他方、変化する輪郭断面を形成する追加材料層14’;24’,25’と、これらの追加材料層を補完する補償層14a’;24a’,25a’とは、断面不変の既製スクリムの形で1本のロールに一緒に巻き付けられて、本方法に使用されてもよい。さらに、連続材料層11’;21’の少なくとも一つが供給されて、これらの層と一緒に1本のロールに巻き付けられ、こうして、断面不変の既製スクリムが形成されるようにすることも可能である。断面厚さが過大でない異形材の場合には、すべての層つまり連続材料層11’;21’ならびに全長にわたって変化する輪郭断面を形成する追加材料層14’;24’,25’およびこれらの追加材料層を補完する補償層14a’;24a’,25a’が一緒に断面不変の既製スクリムの形で単一のロールに巻き付けられるようにすることも可能である。
【0082】
既製スクリムはさらにそれぞれの層を支持する支持フィルムを含んでいてもよい。こうした支持フィルムは通例、異なったロールから供給されるこれらの様々な層が一緒に引き取られる間に、これらのさまざまな層から切り離されて、工程から取り除かれる。
【0083】
分離用フィルムが単位分離層として使用される場合には、それは既製スクリムの1要素であってよく、あるいはまた別個に供給されてもよく、その場合にはロールに巻き付けられるのが通例である。
【0084】
図14cに示したように、全長にわたって変化する輪郭断面用の補完要素の形を取った単一の補償層40’を設けることも可能である。一例として、これは金属または弾性材料からなっていてもよい。これは、工程中、全長にわたって変化する輪郭断面を追加層14a’;24a’,25a’として補完する上述した単位層と同様に、全長にわたって不変の輪郭断面を形成すべく使用される。こうした要素40’は、製造工程中同伴され、次いで取り除かれて、清掃され、再使用される、再使用可能な“ダミー層”であってもよく、あるいはまた、工程後に捨て去られるかもしくは適切な方法でリサイクルされる要素であってもよいであろう。この要素40’は、具体的には、それがハード“ダミー層”の形をとっていれば、硬化手段の直前で製造工程に供給することが可能である。
【0085】
全長にわたって輪郭断面の変化するプラスチック・繊維複合部材10’;20’と、それを補完する補償層14a’;24a’,25a’;40’とは、これら2つの要素が切り離されるまで、それ自体として輸送可能またはストック可能な半製品を形成する。
【0086】
本発明によるプラスチック・繊維複合部材およびその製造方法ならびに前記半製品により、プルトルージョン法を使用したこの種の部品の従来の製造方法を凌駕する数多くの利点がもたらされる。そうした利点とは、とりわけ、製造コストおよび時間が大幅に節減されること、基本異形材に追加補強層と場合により接着フィルムを被着する複雑な作業の必要性が回避されると共にその際に必要と考えられる前処理が省かれること、この種の追加補強層の被着に要される一切の追加オートクレーブ工程が回避されること、得られた複合部材による積層品質の改善とそれによって機械的性能が改善されること、さらに、基本異形材の検査が不要とされることである。
【0087】
全長にわたって変化する輪郭断面によっても、重量が最適化されかつ荷重に適合されたプルトルージョン異形材が製造されるという利点がもたらされる。
【0088】
従来のプルトルージョン異形材は、その全長にわたって輪郭断面が不変でありかつ部材厚さが不変である点で本発明と相違している。全長にわたって輪郭断面が不変であれば、任意の幾何的形状(H,T,o,X,V,M,D等)が製造可能である。本発明は、この基本的な幾何的形状を保持し得ると共に、部材厚さの点で輪郭断面を変化させることができることにより従来のものと異なっている。基本幾何形状に対する制限は実質的に存在しない。
【0089】
従来のすべての材料たとえばCFP,GFP,AFP,天然繊維等は繊維材料として使用することができる。
【0090】
上記記載から少なくとも以下の実施形態が本説明によって開示されることが明らかであろう。
【0091】
実施形態1.
繊維複合材料からなる被加工材(15)の製造方法であって、(a)少なくとも一つの支持手段(3)を供給するステップと、(b)予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料(6)と第2の材料(7)とを、少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10)を形成すべく、前記成形ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記メイン材料を有し、前記形成ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記第2の材料を有するようにして、前記少なくとも一つの支持手段(3)に被着するステップと、(c)前記少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10)を、被加工ブランク(14)を形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段(3)が前記被加工ブランク(14)の表面に配されるようにして、互いに圧着するステップと、(d)前記被加工材(15)を形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段(3)と前記第2の材料(7)とを前記被加工ブランク(14)から取り除くステップと、を含んでなる製造方法において、前記メイン材料(6)および/または前記第2の材料(7)はそれぞれ一定の厚さ(21,22,23)で被着されて、前記成形ブランク(1,10)の厚さ(21,22,23)は不変に形成されることを特徴とする製造方法。
【0092】
実施形態2.
前記メイン材料(6)および/または前記第2の材料(7)からなる複数の層は、前記メイン材料(6)からなる層が前記第2の材料によって被覆されないようにして、前記支持手段(3)のエリア(20)に被着されることを特徴とする実施形態1による製造方法。
【0093】
実施形態3.
前記メイン材料(6)は織布、編布および/またはスクリムであることを特徴とする先行する実施形態の少なくともいずれか一実施形態による製造方法。
【0094】
実施形態4.
前記スクリムは偶数個の層から形成され、そのうち奇数番目の層において第1の繊維(41)は第1の方向に配列され、偶数番目の層において第2の繊維(42,44)は第2の方向に配列され、前記第1の方向は前記第2の方向に対して30°〜60°の角度をなして配列されていることを特徴とする実施形態3による製造方法。
【0095】
実施形態5.
前記奇数番目のすべての層の前記繊維(41)の前記第1の方向は同一であり、すぐ次ぎの奇数番目の層の前記繊維(42,44)の前記第2の方向は前記第1の方向について互いに鏡像対称的に配置されていることを特徴とする実施形態4による製造方法。
【0096】
実施形態6.
前記支持手段(3)はフィルムの形をとっていることを特徴とする先行する実施形態の少なくともいずれか一実施形態による製造方法。
【0097】
実施形態7.
前記メイン材料(6)は炭素繊維を有する材料であることを特徴とする先行する実施形態の少なくともいずれか一実施形態による製造方法。
【0098】
実施形態8.
前記第2の材料(7)はガラス繊維を有する半製品であることを特徴とする先行する実施形態の少なくともいずれか一実施形態による製造方法。
【0099】
実施形態9.
圧着前に、第1の前記成形ブランクエリア(1,10)は第2の前記成形ブランクエリア(1,10)と平行に配置され、続いて、これらの2成形ブランクエリア(1,10)は互いに圧着されることを特徴とする先行する実施形態の少なくともいずれか一実施形態による製造方法。
【0100】
実施形態10.
前記第1の成形ブランクエリア(1,10)と前記第2の成形ブランクエリア(1,10)とは曲線に対応して圧着されることを特徴とする実施形態9による製造方法。
【0101】
実施形態11.
前記第1の成形ブランクエリア(1,10)は第1の長さで製造され、前記第2の成形ブランクエリア(1,10)は第2の長さで製造され、前記第1の長さは圧着工程後の前記第1の成形ブランクエリア(1,10)の長さに等しく、前記第2の長さは圧着工程後の前記第2の成形ブランクエリア(1,10)の長さに等しいことを特徴とする実施形態10による製造方法。
【0102】
実施形態12.
少なくとも一つの支持手段(3)を供給するための供給装置(31)と、少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10,52,53)を形成すべく、予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料(6)を前記支持手段(3)の少なくとも一つの第1のエリアに被着し、第2の材料(7)を前記少なくとも一つの支持手段(3)の少なくとも一つの第2のエリアに被着するための布設装置(34)と、被加工ブランク(14)を形成すべく、前記2成形ブランクエリア(1,10,52,53)を圧着するための成形プレス(37,54)と、前記被加工ブランク(14)から前記第2の材料(7)を取り除くための分離装置(38)と、を含んでなる繊維複合材料からなる被加工材(15)の製造装置。
【0103】
実施形態13.
前記成形プレス(54)は、対をなして互いに対向配置され、前記成形プレス(54)の加圧状態を表す所定の曲線に沿って配置可能な一連の成形セグメント(55)を有することを特徴とする実施形態12による装置。
【0104】
実施形態14.
少なくとも二つの供給装置(50,51)が設けられ、前記成形プレス(54)と平行に2成形ブランクエリア(1,10,52,53)を供給し、その際、前記第1の供給装置(50)の第1の供給速度と前記第2の供給装置(51)の第2の供給速度とが前記所定の曲線の曲率の関数として調節可能であることを特徴とする実施形態13による装置。
【0105】
実施形態15.
プルトルージョン法を使用して、全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための方法であって、基本異形材および前記変化する輪郭断面は全長にわたって連続した1または複数の繊維材料からなる材料層(11’;21’)から形成されるとともに、前記基本異形材に被着されて同所に結合される、前記異形材の全長の一部のみを占める長さの1または複数の追加材料層(14’;24’,25’)によって形成され、前記プルトルージョン法は前記材料層の供給、圧着および硬化を含んでなる方法において、前記複合部材(10’;20’)の前記変化する輪郭断面を形成する前記追加材料層(14’;24’,25’)は、分離層(50’)の介在下で、前記追加材料層(14’;24’,25’)によって占められていない前記異形材の長さ区域にわたって不変の断面を形成すべく前記輪郭断面を補完する少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)と共に、前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は圧着工程後に取り除かれることを特徴とする方法。
【0106】
実施形態16.
前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とそれぞれの当接点(14b’;24b’,25b’)で互いに当接する複数の追加材料層(14’;24’,25’)は前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記当接点(14b’;24b’,25b’)は互いに長手方向にずらされており、前記追加材料層(14’;24’25’)と前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’,40’)とは隣接当接点(14b’;24b’25b’)の間で互いに上下に配置され、こうしてそれぞれの重複エリアが形成され、同所において前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)との間に同じく分離層(50’)が設けられていることを特徴とする実施形態15による方法。
【0107】
実施形態17.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成されていることを特徴とする実施形態15または16による方法。
【0108】
実施形態18.
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は1または複数の単位金属層によって形成されていることを特徴とする実施形態15または16による方法。
【0109】
実施形態19.
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は弾性材料からなる1または複数の単位層によって形成されていることを特徴とする実施形態15または16による方法。
【0110】
実施形態20.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、前記各々の単位層の間に分離層(50’)が設けられていることを特徴とする実施形態17による方法。
【0111】
実施形態21.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成されて、前記単位層の間に分離層は設けられずに、前記複数の単位層は、圧着工程後に別個のプラスチック・繊維複合材を形成することを特徴とする実施形態17による方法。
【0112】
実施形態22.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は取り除かれた後に犠牲層として捨て去られることを特徴とする実施形態20または21による方法。
【0113】
実施形態23.
異形材はH形またはT形の断面を有して製造されて、全長にわたって変化する輪郭断面を有していることを特徴とする実施形態15から22のいずれか一実施形態による方法。
【0114】
実施形態24.
異形材は輪郭断面が全長にわたって変化するH形輪郭を有して製造されて、それぞれT形断面を有する2異形材要素を製造すべく、長手方向に沿って切り離されることを特徴とする実施形態23による方法。
【0115】
実施形態25.
前記分離層(50’)は接着防止粉末の形で被着されることを特徴とする実施形態15から24のいずれか一実施形態による方法。
【0116】
実施形態26.
前記分離層(50’)は分離フィルムの形で設けられることを特徴とする実施形態15から24のいずれか一実施形態による方法。
【0117】
実施形態27.
前記連続材料層(11’;21’)はストックされて、ロールに巻き付けられた既製スクリムの形で工程に供給されることを特徴とする実施形態15から26のいずれか一実施形態による方法。
【0118】
実施形態28.
前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはストックされて、ロールに巻き付けられた既製スクリムの形で工程に供給されることを特徴とする実施形態27による方法。
【0119】
実施形態29.
一方の前記追加材料層(14’;24’,25’)と、他方の前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはそれぞれ別個のロールから供給されることを特徴とする実施形態28による方法。
【0120】
実施形態30.
前記少なくとも一つの追加材料層(14’;24’,25’)と、前記少なくとも一つの材料層によって占められていない前記異形材の長さ区域を補完する前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする実施形態28による方法。
【0121】
実施形態31.
少なくとも一つの連続材料層(11’;21’)と、少なくとも一つの追加材料層(14’;24’,25’)と、前記長さを補完する前記補償層(14a’;24a’,25a’)とはロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする実施形態27と組み合わされた実施形態30による方法。
【0122】
実施形態32.
前記すべての層(11’,14’,14a’,21’,24’,24a’,25’,25a’)は単一のロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする実施形態31による方法。
【0123】
実施形態33.
前記既製スクリムを形成する前記一連の層は支持フィルムに被着されることを特徴とする実施形態27から32のいずれか一実施形態による方法。
【0124】
実施形態34.
実施形態16から33のいずれか一実施形態による方法を使用して製造されるプラスチック・繊維複合部材。
【0125】
実施形態35.
実施形態27から33のいずれか一実施形態による方法を実施するための既製スクリム。
【0126】
実施形態36.
全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための半製品であって、基本異形材は全長にわたって連続した1または複数の材料層(11’;21’)で形成され、前記変化する輪郭断面は、前記基本異形材に被着されて同所に結合される、前記異形材の全長の一部のみを占める長さの1または複数の追加材料層(14’;24’,25’)によって形成され、前記材料層はプルトルージョン法を使用して圧着される半製品において、前記複合部材(10’;20’)の前記変化する輪郭断面を形成する前記追加材料層(14’;24’,25’)は、分離層(50’)の介在下で、前記追加材料層(14’;24’,25’)によって占められていない前記異形材の長さ区域にわたって不変の断面を形成すべく前記輪郭断面を補完する少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)と共に、前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、この場合にあって、前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は圧着工程後に取り除かれることができることを特徴とする半製品。
【0127】
実施形態37.
前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とそれぞれの当接点(14b’;24b’,25b’)で互いに当接する複数の追加材料層(14’;24’,25’)は前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記当接点(14b’;24b’,25b’)は互いに長手方向にずらされており、前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とは隣接当接点(14b’;24b’,25b’)の間で互いに上下に配置されてそれぞれの場合に重複エリアが形成され、同所において前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)との間に同じく分離層(50’)が設けられていることを特徴とする実施形態36による半製品。
【0128】
実施形態38.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成されていることを特徴とする実施形態36または37による半製品。
【0129】
実施形態39.
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は1または複数の単位金属層によって形成されていることを特徴とする実施形態36または37による半製品。
【0130】
実施形態40.
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は弾性材料からなる1または複数の単位層によって形成されていることを特徴とする実施形態36または37による半製品。
【0131】
実施形態41.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、前記各々の単位層の間に分離層(50’)が設けられていることを特徴とする実施形態38による半製品。
【0132】
実施形態42.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、前記単位層の間に分離層は設けられずに、前記複数の単位層は、圧着工程後に別個のプラスチック・繊維複合材を形成することを特徴とする実施形態38による半製品。
【0133】
実施形態43.
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は捨て去られることが意図された犠牲層を形成することを特徴とする実施形態41または42による半製品。
【0134】
実施形態44.
H形またはT形断面を有する異形材が製造され、前記異形材は全長にわたって変化する輪郭断面を有していることを特徴とする実施形態26から43のいずれか一実施形態による半製品。
【0135】
実施形態45.
異形材は輪郭断面が全長にわたって変化するH形断面を有して製造されて、それぞれT形断面を有する2異形材要素を製造すべく、長手方向に沿って切り離されることを特徴とする実施形態44による半製品。
【0136】
実施形態46.
前記分離層(50’)は接着防止粉末の形で設けられることを特徴とする実施形態36から45の一実施形態による半製品。
【0137】
実施形態47.
前記分離層(50’)は分離フィルムの形で設けられることを特徴とする実施形態36から45のいずれか一実施形態による半製品。
【符号の説明】
【0138】
1 成形ブランク
1’ 半シェル
2 表面
2’ 外皮
3 支持手段
4 エリア
5 エリア
6 メイン材料
6a 層
6b 層
7 第2の材料
9 成形ブランクの表面
10 成形ブランク
10’ プラスチック・繊維複合部材
11 エリア
11’ 連続材料層
12 エリア
13 エリア
14 被加工ブランク
14’ 追加材料層
14a’ 補償層
14b’ 当接点
15 被加工材
16 被加工ブランク
17 被加工ブランク
19 成形ブランク
20 エリア
21 厚さ
21’ 連続材料層
22 厚さ
23 厚さ
24 エリア
24’ 追加材料層
24a’ 補償層
24b’ 当接点
25 被加工ブランク
25’ 追加材料層
25a’ 補償層
25b’ 当接点
30 製造設備
31 供給装置
32 供給装置
33 供給装置
35 成形ブランクエリア
36 成形ブランクエリア
37 プレス装置
38 分離装置
39 プレス顎部
40 プレス顎部
40’ 要素
41 繊維
42 繊維
43 角度
44 繊維
45 角度
50 供給装置
50’ 単位分離層
51 供給装置
52 成形ブランクエリア
53 成形ブランクエリア
54 プレス装置
55 プレス成形型
100 プルトルージョン設備
110 既製スクリムロール
120 初期変形装置
130 プレス装置
140 トンネル乾燥炉
150 引取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維複合材料からなる被加工材(15)の製造方法であって、
(a) 少なくとも一つの支持手段(3)を好ましくはフィルム状で供給するステップと、
(b) 予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料(6)と第2の材料(7)とを、少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10)を形成すべく、前記成形ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記メイン材料を有し、前記成形ブランクエリア(1,10)の少なくとも一方は前記第2の材料を有するようにして、前記少なくとも一つの支持手段(3)に被着するステップと、
(c) 前記少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10)を、被加工ブランク(14)を形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段(3)が前記被加工ブランク(14)の表面に配されるようにして、互いに圧着するステップと、
(d) 前記被加工材(15)を形成すべく、前記少なくとも一つの支持手段(3)および前記第2の材料(7)を前記被加工ブランク(14)から取り除くステップと、
を含んでなる製造方法において、
前記メイン材料(6)および/または前記第2の材料(7)は、前記成形ブランク(1,10)の厚さ(21,22,23)が一定に形成されるように、前記厚さ(21,22,23)で被着されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記メイン材料(6)および/または前記第2の材料(7)からなる複数の層は、前記メイン材料(6)からなる層が前記第2の材料(7)によって被覆されないようにして、前記支持手段(3)のエリア(20)に被着されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記メイン材料(6)は織布、編布および/またはスクリムであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記スクリムは偶数個の層から形成され、そのうち奇数番目の層において第1の繊維(41)は第1の方向に配列され、偶数番目の層において第2の繊維(42,44)は第2の方向に配列され、前記第1の方向は前記第2の方向に対して30°〜60°の角度をなして配列されていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記奇数番目のすべての層の前記繊維(41)の前記第1の方向は同一であり、すぐ次の奇数番目の層の前記繊維(42,44)の前記第2の方向は前記第1の方向について互いに鏡像対称的に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記支持手段(3)はフィルム状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記メイン材料(6)は炭素繊維を有する材料であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第2の材料(7)はガラス繊維を有する半製品であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
圧着前に、第1の前記成形ブランクエリア(1,10)は第2の前記成形ブランクエリア(1,10)と平行に配置され、続いて、これらの2成形ブランクエリア(1,10)は互いに圧着されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1の成形ブランクエリア(1,10)と前記第2の成形ブランクエリア(1,10)とは曲線に対応して圧着されることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1の成形ブランクエリア(1,10)は第1の長さで製造され、前記第2の成形ブランクエリア(1,10)は第2の長さで製造され、前記第1の長さは圧着工程後の前記第1の成形ブランクエリア(1,10)の長さに等しく、前記第2の長さは圧着工程後の前記第2の成形ブランクエリア(1,10)の長さに等しいことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
少なくとも一つの支持手段(3)を供給するための供給装置(31)と、
少なくとも二つの成形ブランクエリア(1,10,52,53)を形成すべく、予備含浸された繊維半製品からなるメイン材料(6)を前記支持手段(3)の少なくとも一つの第1のエリアに被着し、第2の材料(7)を前記少なくとも一つの支持手段(3)の少なくとも一つの第2のエリアに被着するための布設装置(34)と、
被加工ブランク(14)を形成すべく、前記2成形ブランクエリア(1,10,52,53)を圧着するための成形プレス(37,54)と、
前記被加工ブランク(14)から前記第2の材料(7)を取り除くための分離装置(38)と、
を備えた繊維複合材料からなる被加工材(15)の製造装置。
【請求項13】
前記成形プレス(54)は、対をなして互いに対向配置され、前記成形プレス(54)の加圧状態を表す所定の曲線に沿って配置可能な一連の成形セグメント(55)を有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも二つの供給装置(50,51)が設けられ、前記成形プレス(54)と平行に2成形ブランクエリア(1,10,52,53)を供給し、その際、前記第1の供給装置(50)の第1の供給速度と前記第2の供給装置(51)の第2の供給速度とは前記所定の曲線の曲率の関数として調節可能であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
プルトルージョン法を使用して、全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための方法であって、基本異形材および前記変化する輪郭断面は全長にわたって連続した1または複数の繊維材料からなる材料層(11’;21’)で形成されるとともに、前記基本異形材に被着されて同所に結合される、前記異形材の全長の一部のみを占める長さの1または複数の追加材料層(14’;24’,25’)によって形成され、前記プルトルージョン法は前記材料層の供給、圧着および硬化を含んでなる方法において、
前記複合部材(10’;20’)の前記変化する輪郭断面を形成する前記追加材料層(14’;24’,25’)は、分離層(50’)の介在下で、前記追加材料層(14’;24’,25’)によって占められていない前記異形材の長さ区域にわたって不変の断面を形成すべく前記輪郭断面を補完する少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)と共に、前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は圧着工程後に取り除かれることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とそれぞれの当接点(14b’;24b’,25b’)で互いに当接する複数の追加材料層(14’;24’,25’)は前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記当接点(14b’;24b’,25b’)は互いに長手方向にずらされており、前記追加材料層(14’;24’25’)と前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’,40’)とは隣接当接点(14b’;24b’25b’)の間で互いに上下に配置され、こうしてそれぞれの重複エリアが形成され、同所において前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)との間に同じく分離層(50’)が設けられていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は1または複数の単位金属層によって形成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は弾性材料からなる1または複数の単位層によって形成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項20】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、各々の前記単位層の間に分離層(50’)が設けられていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、前記単位層の間に分離層は設けられずに、前記複数の単位層は、圧着工程後に別個のプラスチック・繊維複合材を形成することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は取り除かれた後に犠牲層として捨て去られることを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
異形材はH形またはT形の断面を有して製造されて、全長にわたって変化する輪郭断面を有していることを特徴とする請求項15から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
異形材は輪郭断面が全長にわたって変化するH形輪郭を有して製造されて、それぞれT形断面を有する2異形材要素を製造すべく、長手方向に沿って切り離されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分離層(50’)は接着防止粉末の形で被着されることを特徴とする請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記分離層(50’)は分離フィルムの形で設けられることを特徴とする請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記連続材料層(11’;21’)はストックされて、ロールに巻き付けられた既製スクリムの形で工程に供給されることを特徴とする請求項15から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはストックされて、ロールに巻き付けられた既製スクリムの形で工程に供給されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
一方の前記追加材料層(14’;24’,25’)と、他方の前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはそれぞれ異なるロールから供給されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも一つの追加材料層(14’;24’,25’)と、前記少なくとも一つの材料層によって占められていない前記異形材の長さ区域を補完する前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とはロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも一つの連続材料層(11’;21’)と、少なくとも一つの追加材料層(14’;24’,25’)と、前記長さを補完する前記補償層(14a’;24a’,25a’)とはロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記すべての層(11’,14’,14a’,21’,24’,24a’,25’,25a’)は単一のロールにストックされて、不変の断面を有する既製スクリムの形で工程に一緒に供給されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記既製スクリムを形成する前記一連の層は支持フィルムに被着されることを特徴とする請求項27から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項16から33のいずれか1項に記載の方法を使用して製造されるプラスチック・繊維複合部材。
【請求項35】
請求項27から33のいずれか1項に記載の方法を実施するための既製スクリム。
【請求項36】
全長にわたって輪郭断面が変化する異形材の形のプラスチック・繊維複合部材を製造するための半製品であって、基本異形材および前記変化する輪郭断面は、全長にわたって連続した1または複数の材料層(11’;21’)で形成されるとともに、前記基本異形材に被着されて同所に結合される、前記異形材の全長の一部のみを占める長さの1または複数の追加材料層(14’;24’,25’)によって形成され、前記材料層はプルトルージョン法を使用して圧着される半製品において、
前記複合部材(10’;20’)の前記変化する輪郭断面を形成する前記追加材料層(14’;24’,25’)は、分離層(50’)の介在下で、前記追加材料層(14’;24’,25’)によって占められていない前記異形材の長さ区域にわたって不変の断面を形成すべく前記輪郭断面を補完する少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)と共に、前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、この場合にあって、前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は圧着工程後に取り除かれることができることを特徴とする半製品。
【請求項37】
前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とそれぞれの当接点(14b’;24b’,25b’)で互いに当接する複数の追加材料層(14’;24’,25’)は前記基本異形材を形成する前記連続材料層(11’;21’)に被着され、前記当接点(14b’;24b’,25b’)は互いに長手方向にずらされており、前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記少なくとも一つの補償層(14a’;24a’,25a’;40’)とは隣接当接点(14b’;24b’,25b’)の間で互いに上下に配置されてそれぞれの場合に重複エリアが形成され、同所において前記追加材料層(14’;24’,25’)と前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)との間に同じく分離層(50’)が設けられていることを特徴とする請求項36に記載の半製品。
【請求項38】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成されていることを特徴とする請求項36または37に記載の半製品。
【請求項39】
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は1または複数の単位金属層によって形成されていることを特徴とする請求項36または37に記載の半製品。
【請求項40】
前記補償層(14a’;24a’,25a’;40’)は弾性材料からなる1または複数の単位層によって形成されていることを特徴とする請求項36または37に記載の半製品。
【請求項41】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、各々の前記単位層の間に分離層(50’)が設けられていることを特徴とする請求項38に記載の半製品。
【請求項42】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は繊維材料からなる複数の単位層によって形成され、前記単位層の間に分離層は設けられずに、前記複数の単位層は、圧着工程後に別個のプラスチック・繊維複合材を形成することを特徴とする請求項38に記載の半製品。
【請求項43】
前記補償層(14a’;24a’,25a’)は捨て去られることが意図された犠牲層を形成することを特徴とする請求項41または42に記載の半製品。
【請求項44】
H形またはT形断面を有する異形材が製造され、前記異形材は全長にわたって変化する輪郭断面を有していることを特徴とする請求項26から43のいずれか1項に記載の半製品。
【請求項45】
異形材は輪郭断面が全長にわたって変化するH形断面を有して製造されて、それぞれT形断面を有する2異形材要素を製造すべく、長手方向に沿って切り離されることを特徴とする請求項44に記載の半製品。
【請求項46】
前記分離層(50’)は接着防止粉末の形で設けられることを特徴とする請求項36から45のいずれか1項に記載の半製品。
【請求項47】
前記分離層(50’)は分離フィルムの形で設けられることを特徴とする請求項36から45のいずれか1項に記載の半製品。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【公表番号】特表2010−500932(P2010−500932A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524144(P2009−524144)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054366
【国際公開番号】WO2008/019894
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509044763)エアバス ドイチェランド ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】