説明

繊維集合体へのポリフェノール類固着方法、その繊維集合体および繊維処理剤

【課題】カテキンに代表されるポリフェノール類を、繊維、生地または合成皮革等の表面に固着させることでポリフェノール類の機能を付与するとともに、洗濯耐久性、耐磨耗性および抗アレルゲン性をも付与する繊維集合体へのポリフェノール類固着方法、その繊維集合体および繊維処理剤を提供すること。
【解決手段】ポリフェノール類の水酸基1〜4個を脂肪酸によってエステル化し、このポリフェノール類の脂肪酸エステル体と、アクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の水エマルジョンまたは水溶液とを混合したものを繊維処理剤とする。この繊維処理剤を用いて、浸漬法やパディング法等によって繊維集合体に処理を行い、乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維集合体へのポリフェノール類固着方法、その繊維集合体および繊維処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキンに代表されるポリフェノール類は、抗菌・抗ウィルス性、抗酸化性、消臭および抗アレルギー性等の機能を有している。このようなポリフェノール類は、茶葉、柿渋、カカオの実等の天然素材に含まれ、これらから分離、抽出、精製されると、上記機能がより顕著となる。
このようなポリフェノール類の機能を応用する技術がさかんに開発されている。例えば、特許文献1で示される従来例1には、茶カテキン成分を添着したフィルターによって、ダニ死骸や糞、花粉、細菌、真菌などの蛋白性アレルゲンを吸着し、抗アレルゲン性を発現することが記載されている。
【0003】
一方、従来例2として、カテキンを繊維体に固着させる技術として、樹脂にカテキンを混練した後、フィルム、シート、不織布等を成形する方法がある。
また、繊維や繊維製品に対して、吸放湿性等の繊維自体が有しない諸特性を付与するために繊維処理剤が用いられ、特許文献2で示される従来例3では、水溶性卵殻膜と反応基を有する反応有機化合物を含有し、肌効果、吸湿性、創傷治療性を備えた繊維処理剤が提供されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−5531号公報
【特許文献2】特開2004−84154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、カテキン類は低分子であり、かつ水溶性であるため、洗濯により容易に脱落する。特許文献1では、カテキン水溶液をフィルター素材に含浸後、乾燥するのみで加工しており、特許文献1で示される従来例1のように、フィルター、マスク等の用途では問題ないが、繰り返し洗濯を要求される生地の場合には有効でない。
また、カテキンを樹脂に混練させてシートを成形する従来例2では、製造工程が煩雑となり、汎用的でない。さらに、カテキン成分の多数が樹脂に埋没しており、配合量に見合った抗アレルゲン活性やその他の性能は期待できない。
そして、特許文献2で示される従来例3では、アミノ基やメルカプト基等の反応性に富んだ官能基を持った物質に適用できる方法であり、ポリフェノール類のように水酸基しかなく、結合性に乏しい物質には適用できない。
【0006】
本発明の目的は、カテキンに代表されるポリフェノール類を、繊維、生地または合成皮革等の表面に固着させることでポリフェノール類の機能を付与するとともに、洗濯耐久性、耐磨耗性および抗アレルゲン性をも付与するポリフェノール類固着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法は、水酸基が化学修飾されたポリフェノール類を、繊維集合体に固着させることを特徴とする。
化学修飾とは、化学試薬を作用させ、特定の官能基を選択的に化学変化させることである。ポリフェノール類は複数の水酸基を持つため、水に溶けやすいが、これらの水酸基を化学修飾させることで水に不溶とし、繊維集合体に固着させることができる。
ポリフェノール類であるエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンおよびエピガロカテキンガレートの化学式を、化1から化4に示す。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
【化4】

【0012】
化1から化4に示されるように、ポリフェノール類は複数の水酸基を有し、これら水酸基が化学修飾される。
ポリフェノール類の機能を維持するためには、これらの水酸基全てが化学修飾されてはいけない。一般に、2つ以上の隣接した水酸基がポリフェノール類の機能に関与していると考えられているため、隣接した水酸基のうちのいずれかが化学修飾されて水酸基が隣接しない状態になってしまうと、ポリフェノール類の機能を発揮できない。
一方、化学修飾されやすい水酸基は、クロマン環の7位に結合した水酸基で、この水酸基は立体的にも反応しやすいため、この水酸基から選択的に化学修飾される可能性が高い。
この発明によれば、水酸基が選択的に化学修飾されるので、ポリフェノール類が、その機能を維持しながら、水に不溶となった状態で繊維集合体に固着される。したがって、ポリフェノール類が持つ、抗菌・抗ウィルス性、抗酸化性、消臭および抗アレルギー性等の機能を備えた繊維集合体にすることができ、また、洗濯や摩耗等により、ポリフェノールが脱落することがない。
【0013】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類とは、脂肪酸によって水酸基1〜4個をエステル化されたポリフェノール類であって、このポリフェノール類の脂肪酸エステル体を、アクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の水エマルジョンまたは水溶液とともに繊維集合体に固着させる方法が好ましい。
【0014】
ポリフェノール類をエステル化するには、ポリフェノール類1モルに対して、1〜4モル当量の脂肪酸を加えて反応させる。4モルを超えると、ポリフェノール類の機能に関与する水酸基の一部までが化学修飾され、機能の低下を招来する恐れがある。
脂肪酸には、C2〜C12脂肪酸を利用でき、分岐をしているものや不飽和結合しているものも含まれる。
反応条件としては多数考えられるが、例えば、次のような方法で反応させることができる。ポリフェノール類と脂肪酸の混合物を、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,4−ジオキサン等の親水性溶剤とトルエン等の疎水性溶剤との混合物に溶かし、硫酸、有機スルホン酸または固体酸などの酸触媒の共存の下、加熱および脱水する。このとき、トルエンの沸点(110℃)以上で加熱還流し、共沸してくる水を連続的に除くと反応がより速く進行する。これにより、ポリフェノール類の脂肪酸エステルを生成できる。
【0015】
また、アクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の水エマルジョンまたは水溶液は、ポリフェノール類の脂肪酸エステルを繊維に強固に付着させるバインダー成分としての役割を有するものであり、これらの一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。これら合成樹脂の水エマルジョンまたは水溶液と、ポリフェノール類の脂肪酸エステル体を混合したものを繊維処理剤として、繊維集合体を処理することができる。
【0016】
そして、この中でも、シリコン含有ポリアクリル系樹脂や、水溶性ポリウレタン系樹脂を使用すれば、繊維処理剤として使用した際にあっては、繊維に対してポリフェノール類の脂肪酸エステルを多量に、かつより強固に固着させることができ、洗濯や摩耗等にたいするポリフェノール類の耐久性を向上させることができるため好ましい。
【0017】
シリコン含有ポリアクリル系樹脂は、シリコン含有アクリルモノマーであるシロキサン、変成シリコンをエステル残基に含むアクリレートまたはメタクリレートの重合体や、これらシリコン含有アクリルモノマーとアクリル系モノマーとの共重合体を使用するようにしてもよい。後者の例として、アクリル系モノマーであるポリエチレングリコール等の親水性基のアクリレートまたはメタクリレート、脂肪鎖アルキルのアクリレートまたはメタクリレート等の重合体が挙げられる。
【0018】
ポリウレタン系樹脂は、有機ジイソシアネートと長鎖ジオール、並びに必要に応じて低分子鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレタン系弾性体樹脂であり、具体的には、有機ジイソシアネートとして、例えば4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、又はブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ジイソシアネートと、長鎖ジオールとして、例えばポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテル系ジオール、ポリエチレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート系ジオール、又はポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル系ジオールと、必要に応じて低分子鎖伸長剤として、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオール、キシリレングリコール等の芳香族ジオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノ酸ヒドラジド等のヒドラジン誘導体とから得られるポリウレタン樹脂である。これらは無溶剤で反応させた後極性溶剤中に溶解してもよいし、極性溶剤中で反応させてもよい。また、反応させる方法としては、前記した三者を同時に反応させるワンショット法でも、有機ジイソシアネートと長鎖ジオールとをあらかじめ反応させた後、必要に応じて低分子鎖伸長剤で鎖伸長反応させる方法でもよい。
【0019】
なお、この繊維処理剤には、さらに界面活性剤を添加することが好ましい。繊維処理剤に界面活性剤を添加することにより、エステル体が繊維内部へ浸透しやすくなり、ひいては繊維の洗濯耐久性を向上させることができる。
界面活性剤の種類としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤といった公知の界面活性剤を使用することができ、具体的には、p−ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルオキシスルホン酸ナトリウム、ラウリルオキシリン酸二ナトリウム等のアニオン界面活性剤や、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド等のカチオン界面活性剤や、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル等のノニオン界面活性剤や、ラウリルジメチルペタイン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらの一種を単独で、または、二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
繊維処理剤に用いられる溶媒は、特に制限はないが、水や、アルコール類、ジメチルホルムアミド、アセトン、グリオキサール系樹脂、エポキシ系樹脂等の公知の有機溶媒が挙げられ、これらの一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。この中でも、肌への刺激が小さく生体への影響が小さいことから、溶媒として、水性溶媒を用いることが好ましく、特に、水および/または炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールを用いることが好ましい。
かかる炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、これらは一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
また、本発明の繊維処理剤には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、必要に応じて添加剤を適宜添加することができる。このような添加剤としては、分散剤、増粘剤、イオン化剤、防腐剤などが挙げられる。
【0022】
本発明の繊維処理剤は、ポリフェノール類のエステル体及び合成樹脂のエマルジョンまたは水溶液の必須成分、好ましくは界面活性剤、及び必要に応じて前記した各種添加剤を、溶媒と混合、攪拌して、液体成分中に各成分を分散させることにより簡便に調製することができる。この場合にあっては、ポリフェノール類のエステル体及び合成樹脂のエマルジョンまたは水溶液を同時に溶媒成分に分散、希釈させてもよいし、いずれか一方を先に分散、希釈させ、その後他方を分散希釈させるようにしてもよい。
【0023】
ここで、処理対象となる繊維集合体としては、特に制限はないが、綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維や、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート等の合成繊維、あるいはこれらから選択される複数種からなる混紡繊維や複合繊維等からなる繊維布帛のほか、合成皮革等が挙げられる。
このような繊維集合体の形態は特に限定されず、織物、編物、不織布等が挙げられる。また、精練、染色、抗菌加工、SR加工、防炎加工、帯電防止加工等の各処理、加工が施されたものであってもよい。また、衣類、肌着等の縫製品や手袋、靴下、寝具(シーツ、カバー、布団側等)の製品に加工したものであってもよいし、加工する前のものであってもよい。
【0024】
繊維処理剤の処理方法としては、任意の処理方法でよいが、例えば、浸漬法、パディング法等を使用できる。浸漬法の例としては、室温静置法、加熱撹拌法等が挙げられる。パディング法としては、パッドドライ法、パッドスチーム法等があり、いずれの方法を使用してもよい。
このようにして処理された繊維集合体は、乾燥工程にかけることにより、水分が好適に除去され、ポリフェノール類のエステル体が繊維に付着されることとなる。乾燥温度は、特に制限はないが、例えば、80〜200℃程度とすればよく、100〜180℃程度とすることが好ましい。
【0025】
したがって、この発明によれば、得られた繊維集合体は、ポリフェノール類が固着されているので、ポリフェノール類の機能である抗菌・抗ウィルス性、抗酸化性、消臭、抗アレルギー性等を備えることができる。また、ポリフェノール類は脂肪酸によってエステル化された上で繊維に固着されているため、ポリフェノール類は水に溶けにくく、洗濯や摩耗等でポリフェノール類が脱落してしまうことがない。さらに、ポリフェノール類のバインダー成分として合成樹脂エマルジョンや合成樹脂水溶液を選択しているので、繊維間に確実に浸透し、繊維に確実かつ強固に固着させることができる。
【0026】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類とは、アクリル酸またはメタクリル酸によって水酸基1〜4個をエステル化されたポリフェノール類であって、このポリフェノール類のアクリル酸エステル体またはメタクリル酸エステル体を、前記アクリル酸または前記メタクリル酸とは別のアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとともに繊維集合体上で共重合させる方法が好ましい。
【0027】
ポリフェノール類を、アクリル酸またはメタクリル酸でエステル化するには、ポリフェノール類1モルに対して、1〜4モル当量のアクリル酸またはメタクリル酸を反応させる。4モルを超えると、ポリフェノール類の機能に関与する水酸基の一部までが化学修飾され、機能の低下を招来する恐れがある。
反応条件としては多数考えられ、前述のもののほか、次に示す条件も考えられる。
ポリフェノール類と、アクリル酸無水物またはメタクリル酸無水物、アクリル酸ハライドまたはメタクリル酸ハライドの混合物を、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジオキサン、メチルエチルケトン(MEK)等の極性溶剤を脱水乾燥したものに加え、さらに塩基を添加していく。塩基には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機塩基のほか、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基などが挙げられる。
【0028】
アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーは、ポリフェノール類のエステル体と重合反応し、繊維集合体の上で樹脂化することにより、ポリフェノール類を繊維集合体へ固着させることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のC1〜C18アルキルエステル、C1〜C8(ジ)アルキルアミド、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、C2〜C12アルキレングリコールージ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールージ(メタ)アクリレートまたはポリオキシプロピレングリコールージ(メタ)アクリレートのうち、少なくとも1種または2種以上を含む混合体などが挙げられる。
【0029】
以上に説明したポリフェノール類のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの水溶液または水エマルジョンと、アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとを調製して繊維処理剤とする。
ここで、繊維としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維が挙げられ、これらの複合繊維も挙げられる。
また、繊維処理剤の処理方法としては、任意の処理方法でよいが、例えば浸漬法、パディング法等を使用できる。浸漬法としては、室温静置法、加熱撹拌法等がある。パディング法としては、パッドドライ法、パッドスチーム法等がある。
【0030】
したがって、この発明によれば、得られた繊維集合体は、ポリフェノール類が固着されているので、ポリフェノール類の機能である抗菌・抗ウィルス性、抗酸化性、消臭、抗アレルギー性等を備えることができる。また、ポリフェノール類はアクリル系またはメタクリル系の樹脂に化学結合し、取り込まれた上で繊維に固着されているため、ポリフェノール類が洗濯や摩耗等で脱落してしまうことはなく、繊維に確実かつ強固に固着させることができる。
【0031】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類は、グリシジル基が付加結合したポリフェノール類であって、
アクリル酸グリシジルの単体またはメタクリル酸グリシジルの単体またはアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させた後に、ポリフェノール類を、グリシジル基に付加結合させる方法が好ましい。
【0032】
ここで、アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとは前述の通りである。
アクリル酸グリシジルの単体、またはメタクリル酸グリシジルの単体、またはこれらのうちいずれかとアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させるには、多数の方法が考えられるが、次に示すような方法を用いることができる。
アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルと、アクリル系および/またはメタクリル系のモノマー混合物の濃度を、水エマルジョンまたは溶液中で15質量%以下となるように、水、低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の親水性溶剤に加え、これを繊維処理剤とする。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、i‐プロパノールなどが挙げられる。この繊維処理剤に無機過酸化物、有機パーオキサイド、アゾ系ラジカル発生剤等の重合開始剤を併用すると、繊維集合体上で効果的に重合させることができる。
【0033】
繊維処理剤の処理方法としては、任意の処理方法でよいが、例えば浸漬法、パディング法等を使用できる。浸漬法としては、室温静置法、加熱撹拌法等がある。パディング法としては、パッドドライ法、パッドスチーム法等がある。
【0034】
この発明によれば、アクリル酸グリシジルの単体またはメタクリル酸グリシジルの単体またはアクリル酸/メタクリル酸グリシジルの単体とアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させるので、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルを、強固に繊維集合体に固着させることができる。そして、固着されたグリシジル基に、ポリフェノール類を付加結合させるので、ポリフェノール類が水に溶けにくい状態で繊維集合体に固着される。したがって、ポリフェノール類の機能を維持しながら、洗濯や摩耗等によってポリフェノール類が脱落しない。
【0035】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記アクリル酸グリシジルの単体または前記メタクリル酸グリシジルの単体、またはこれらと前記アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させる前に、繊維集合体の表面に電子線を照射する方法が好ましい。
具体的には、繊維、布帛、合成皮革等を、水と有機溶剤の混合物に浸漬後、濡れた状態で10〜200kG(キログレイ)の電子線を照射する。照射直後または−20℃以下の冷凍保存後ではラジカルが減少しにくくなるので、ラジカルが残存しているうちにアクリル酸グリシジルの単体またはメタクリル酸グリシジルの単体、またはこれらと前記アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを塗布し、無酸素化で加熱(35〜100℃)して重合する。この方法を用いる場合、重合開始剤は不要である。
【0036】
この発明によれば、繊維集合体の表面に電子線を照射することでラジカルが発生するので、繊維集合体の表面が、反応性に優れた状態となる。したがって、次の工程で、アクリル酸グリシジルの単体またはメタクリル酸グリシジルの単体またはアクリル酸/メタクリル酸グリシジルの単体とアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させる際には、繊維集合体とグリシジル基が取り込まれた樹脂が直接繊維上で結合でき、また、反応がより速く進行する。すなわち、電子線照射をしない場合に比べて、より強固にかつより多量に、アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーを固着させることができる。その結果、繊維集合体に固着されるアクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルもより強固にかつより多量に固着されるので、そこに付加結合するポリフェノール類もより強固にかつより多量に固着される。
【0037】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、ポリフェノール類に含まれる不純物は、ポリフェノール類中の水酸基を化学修飾するための脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸またはグリシジル基と反応するため、不純物の量が多い程、脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸またはグリシジル基が不純物によって消費される可能性が高い。その結果、化学修飾にあずからず水中に流出するポリフェノール分子の比率が高まる恐れがある。
このため、最低でも、純分50質量%以上の有効成分(異性体も含む化1から化4の化合物)を含有する高純度ポリフェノール類を使用する方法が好ましく、より好ましくは、純分80質量%以上の有効成分を含有する高純度ポリフェノール類を使用する方法である。
【0038】
純分80質量%以上のポリフェノール類を調整することは一般に困難であるが、例えば、茶カテキンであれば、三井農林(株)から市販されている「ポリフェノン70A(登録商標)」は、80質量%以上の純分を含むので、これを使用することができる。
この発明によれば、原料となるポリフェノール類が、純分50質量%以上、より好ましくは80質量%以上の有効成分を含んでおり、不純物が少ないので、過剰の脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸またはグリシジル基が不純物と反応して消費される可能性が低い。したがって、ポリフェノール類の水酸基を効率よく化学修飾することができ、より多くのポリフェノール類を繊維集合体に固着させることができる。
【0039】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記ポリフェノール類は、茶葉、柿渋、樹皮またはカカオの実などから抽出されたカテキン類である方法が好ましい。
カテキンはポリフェノール類の一種で、例えば、緑茶ポリフェノールのうち、大部分が茶カテキンから構成されている。
この発明によれば、天然物である茶葉、柿渋、樹皮またはカカオの実などから抽出されるので、多量のカテキンを得ることができる。
【0040】
本発明の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、前記カテキン類が、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のうち、少なくとも1種類以上を含む方法が好ましい。
カテキンには、8種類のカテキン類があり、このうち主要なものがエピカテキン,エピカテキンガレート,エピガロカテキン,エピガロカテキンガレートの4種で、期待できる作用はどれも同じである。これらは、抗菌・抗ウィルス性、抗酸化性、消臭および抗アレルギー性等の機能を発揮する。
この発明によれば、エピカテキン,エピカテキンガレート,エピガロカテキン,エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のいずれかを含んだポリフェノール類を繊維集合体に固着させているので、前述のポリフェノール類の機能を発揮することができる。
【0041】
本発明の繊維集合体は、前述の繊維集合体のポリフェノール類固着方法で製造されることを特徴とする。
この発明によれば、前述の繊維集合体のポリフェノール類固着方法を用いてポリフェノール類が固着されるので、前述と同じ作用効果を奏することができる。
【0042】
本発明の繊維集合体は、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のうち、少なくとも1種類以上が表面に固着している構成が好ましい。
この発明によれば、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のいずれかを含んだ繊維集合体であるので、前述の作用効果を奏することができる。
【0043】
本発明の繊維処理剤は、前記ポリフェノール類の脂肪酸エステル体、およびアクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の前記水エマルジョンまたは前記水溶液を含有する構成が好ましい。
この繊維処理剤を用いることによって、前述と同じ作用効果を奏することができる。
【0044】
本発明の繊維処理剤は、前記ポリフェノール類のアクリル酸エステル体またはメタクリル酸エステル体を含有する構成が好ましい。
この繊維処理剤を用いることによって、前述と同じ作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
<試験1>
ポリフェノールを固着させた繊維布帛を作製し、洗濯後にポリフェノールが残留しているかどうかを確認した。繊維布帛は、以下のように作製した。
【0046】
[実施例1]
(1)高濃度カテキンの脂肪酸エステル化:三井農林(株)製ポリフェノン70A(ポリフェノール純分80%以上)10gを、トルエン30mlおよびジメチルホルムアミド30mlの混合液に懸濁させ、これにn−ラウリン酸8.9gおよびp−トルエンスルホン酸一水和物0.5gを加え、ディーンクターク式連続水除去装置を接続し、油浴中130℃に4時間加熱還流した。反応後、トルエンを減圧下留去し、残液を氷水浴中で15℃以下の温度に維持しつつ脱塩水100mlを加えて攪拌し、析出した固体をろ過した。固体をそのまま200mlのi−プロパノールに溶解し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、固体をろ過して除き、減圧下で溶剤を留去し乾燥する事で、目的のカテキン−ラウリン酸エステル体を主成分とする固体を16.2g得た。
【0047】
(2)繊維処理剤の調整:(1)で得たカテキン−ラウリン酸エステルを主原料として、以下の配合比率で繊維処理剤を調整した。
まず、AとBを均一になるまで混合し、次いでCを加え、40℃にてホモミキサーで攪拌混合して均一なエマルジョンとした。これを室温に戻し、攪拌しつつ徐々に水で希釈していき、繊維処理剤とした。
A:(1)で得たカテキン−ラウリン酸エステル 2.0質量%
B:ノニオン系界面活性剤(ノイゲンTDS−80(第一工業製薬(株)製)) 3.0質量%
C:アクリル系樹脂エマルジョン(ライトエポックAX−30(共栄社化学(株)製)) 5.0質量%
D:水 90.0質量%
【0048】
(3)綿生地への加工:A4サイズの綿織物(綿100%、目付130g/m)を基布として、この基布を(2)で得た繊維処理剤に10秒間浸漬させた。次いで、ロール間圧力が4.0kg/cmのマングルで絞り(絞り率95%)、市販の熱風乾燥機で110℃の温度にて10分間乾燥し、繊維布帛を得た。
【0049】
[実施例2]
(1)高濃度カテキンのメタクリルエステル化:ポリフェノン70A、10gを、予め乾燥したジメチルホルムアミド50mlに懸濁させ、これにトリエチルアミン9.0gおよび1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン0.5gを加え、混合液を氷浴で10℃以下に冷却しつつ、上からメタクリル酸クロリド7.0gを徐々に滴下した。滴下終了後、さらに30分間同温度で攪拌し続け、次いで室温(25℃)まで温度を上げた後、同温度で約24時間放置した。混合液を酢酸エチル300mlで希釈し、これを飽和食塩水100mlで3回洗浄し、有機層を採取して無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、固体をろ過して除き、減圧下で溶剤を留去することで、目的のカテキン−メタクリル酸エステル体を10.2g得た。
【0050】
(2)繊維処理剤の調整:(1)で得たカテキン−メタクリル酸エステルを主原料とし、以下の配合で繊維処理剤を調整した。
A:(1)で得たカテキン−メタクリル酸エステル 1.0質量%
B:ポリオキシエチレン−モノメタクリレート 5.0質量%
C:テトラメチレン−ジメタクリレート 1.0質量%
D:水 93.0質量%
【0051】
(3)ポリエステル生地への加工:(2)で得た繊維処理剤の100重両部に対し、過硫酸アンモニウムの10質量%/水溶液を3重量部加えて攪拌した後、この溶液にA4サイズのポリエステルニット(ポリエステル100%、目付200g/m)を浸漬させた。次いで、ロール間圧力が4.0kg/cmのマングルで絞り(絞り率79%)、100℃で3分間乾燥後、110℃、97%RHのスチームで10分間湿熱処理して重合を行った。その後、JIS L0217 103法に準拠して1回洗濯を行い、市販の熱風乾燥機で100℃にて15分間乾燥し、繊維布帛を得た。
【0052】
[比較例1]
実施例1の(2)のAを、ポリフェノン70A(2.0質量%)に変えて、それ以外は同一の配合で繊維処理剤を調整した。次いで、得られた繊維処理剤を用い、実施例1の(3)と同一の方法で繊維布帛を得た。
【0053】
[比較例2]
実施例2の(2)のAを、ポリフェノン70A(1.0質量%)に変えて、それ以外は同一の配合で繊維処理剤を調整した。次いで、得られた繊維処理剤を用い、実施例2の(3)における、1回の洗濯を行わなかった以外は、実施例2の(3)と同一の方法で重合処理を行い、乾燥して繊維布帛を得た。
【0054】
[比較例3]
(1)カテキンのメタクリルエステル化:カテキン含有原料として、ポリフェノンNP(三井農林(株)製、茶ポリフェノール20%以上含有)を用いた。実施例2の(1)におけるポリフェノン70Aの代わりにポリフェノンNP、10gを用いた以外は、実施例2と同様の方法でエステル化反応を行い、酢酸エチルを含む有機層から減圧下で溶剤を留去した後に、6.6gの残渣を褐色液状物として得た。
この残渣の一部を酢酸エチルで希釈し、GC9Aガスクロマトグラフ((株)島津製作所)にて成分分析を行ったところ、50質量%以上がメタクリル酸(原料のメタクリル酸クロリドが加水分解された産物)であった。
(2)上記(1)にて目的のカテキン−メタクリル酸エステルが所望の状態で得られなかったため、繊維処理剤化および生地への加工は実施しなかった。
【0055】
<評価方法>
ポリフェノールの残留は、塩化鉄(III)の呈色反応を用いて確認できる。
塩化鉄(III)六水和物0.5質量%とメタノールの溶液を調整し、この1滴を生地上に滴下して乾燥させた。生地にポリフェノールが残留している場合には、そのフェノール基と鉄イオンとの結合により、濃灰色の呈色が見られる。
実施例1および実施例2、比較例1および比較例2の加工生地を、JIS L0217 103法に準拠し、それぞれ、1回、5回、10回、30回洗濯を行った後、塩化鉄(III)の呈色反応によりポリフェノールの残留を確認した。呈色がある場合を○、呈色がない場合を×で示した。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例1および実施例2では、何回洗濯をしても呈色反応を示しているので、ポリフェノールが残留している。
比較例1および比較例2では、繰り返し洗濯を行うと、呈色反応を示さなくなり、ポリフェノールが残留していないことがわかる。特に比較例2では、1回の洗濯でポリフェノールが落ちてしまっている。
【0058】
<試験2>
屋内塵性ダニ簡易検査キット(シントーファイン社製)を用いて、抗アレルゲン性の評価を行った。検査キットの反応は以下の通りである。
【0059】
【表2】

【0060】
抗原液の調整:増殖のピークの過ぎたヤケヒョウヒダニおよびコナヒョウヒダニの飼育培地各5gを200mlのリオン酸緩衝液にいれ、氷冷しながら超音波ホモジナイザーで5分間攪拌した後、24時間冷蔵庫で静置した。アドバンテック性ろ紙No.1でろ過後、2000回転/分で10分間回転させ、遠心分離した上澄み液を採取し、抗原液とした。
この抗原液をリン酸緩衝液を希釈した場合に、検査キットの反応が確実に「++」となる濃度が5〜10%だったため、抗アレルゲン性の評価には5%液を用いることにした。
【0061】
[参考例]
所定量のポリフェノン70Aを5%抗原液に浸漬し、25℃で18時間攪拌したものを各3回測定した。
【0062】
[実施例3]
ポリフェノン70Aを実施例1で用いたカテキン−ラウリン酸エステル体とした以外は、参考例と同様に測定した。
【0063】
[実施例4]
ポリフェノン70Aを実施例2で用いたカテキン−メタクリル酸エステル体とした以外は、参考例と同様に測定した。
測定結果を以下の表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例3および実施例4では、抗アレルゲン効果が認められる。
なお、実施例3および実施例4で明らかな効果(+−)が認められた濃度は、参考例で明らかな効果(+−)が認められた濃度よりも高い。実施例3および実施例4では、参考例の2倍の濃度が必要であったが、これはエステル化により分子量が増えて単位質量あたりのカテキン含量が減ったためであり、同量のカテキン成分量で比較するとほぼ同程度の抗アレルゲン性を示す。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、スポーツやアパレル、衛生材、車両内装、家具および寝具等に使用される繊維や繊維布帛等に利用できる他、合成皮革製品にも利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール類を繊維集合体に固着させる方法であって、
水酸基が化学修飾されたポリフェノール類を、繊維集合体に固着させることを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類は、脂肪酸によって水酸基1〜4個をエステル化されたポリフェノール類であって、このポリフェノール類の脂肪酸エステル体を、アクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の水エマルジョンまたは水溶液とともに繊維集合体に固着させることを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項3】
請求項1に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類は、アクリル酸またはメタクリル酸によって水酸基1〜4個をエステル化されたポリフェノール類であって、このポリフェノール類のアクリル酸エステル体またはメタクリル酸エステル体を、前記アクリル酸または前記メタクリル酸とは別のアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとともに繊維集合体上で共重合させることを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項4】
請求項1に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記水酸基が化学修飾されたポリフェノール類は、グリシジル基が付加結合したポリフェノール類であって、
アクリル酸グリシジルの単体またはメタクリル酸グリシジルの単体またはアクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させた後に、
前記ポリフェノール類を、グリシジル基に付加結合させることを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項5】
請求項4に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記アクリル酸グリシジルの単体または前記メタクリル酸グリシジルの単体、またはこれらと前記アクリル系および/またはメタクリル系のモノマーとの混合物の溶液または水エマルジョンを繊維集合体上で重合させる前に、
繊維集合体の表面に電子線を照射することを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記ポリフェノール類は、純分50質量%以上の有効成分を含有することを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記ポリフェノール類には、純分80質量%以上の有効成分を含有することを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記ポリフェノール類は、茶葉、柿渋、樹皮またはカカオの実などから抽出されたカテキン類であることを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項9】
請求項8に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において、
前記カテキン類が、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のうち、少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする繊維集合体のポリフェノール類固着方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法によって製造された繊維集合体。
【請求項11】
請求項10に記載の繊維集合体であって、
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートまたはこれらの属性体のうち、少なくとも1種類以上が表面に固着していることを特徴とする繊維集合体。
【請求項12】
請求項2に記載の繊維集合体へのポリフェノール類固着方法において使用される繊維処理剤であって、前記ポリフェノール類の脂肪酸エステル体およびアクリル系、ウレタン系またはシリコン含有アクリル系樹脂の前記水エマルジョンまたは前記水溶液を含有することを特徴とする繊維処理剤。
【請求項13】
請求項3に記載の繊維集合体のポリフェノール類固着方法において使用される繊維処理剤であって、前記ポリフェノール類のアクリル酸エステル体またはメタクリル酸エステル体を含有することを特徴とする繊維処理剤。

【公開番号】特開2008−50743(P2008−50743A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194716(P2007−194716)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(500242384)出光テクノファイン株式会社 (55)
【Fターム(参考)】