説明

織り込まれた導電糸、特にアンテナ用糸を有する細幅布、特にラベル用細幅布を製造するための細幅ニードル織機

経糸(8)から杼口(24)を形成するための開口装置と、緯糸ループを打ち込むための緯針(26)と、製織筬(30)と、導電糸用の供給装置(34)とを備え、この供給装置がブレード(34)を備え、このブレードが、経糸(8)の間で杼口(24)内に緯針(26)を打込む軌道の下方まで進入するように構成される、細幅布、特にラベル用細幅布を製造するための細幅ニードル織機において、導電糸、特にアンテナ用糸を様々な方法で織り込み可能とするために、経方向を横切って位置合せされたシャフト(38)にブレードを配置することが提案される。このシャフトは軸の回転運動を実行するための第1駆動装置(40a)と結合される。ブレード(34)は回転によって杼口(24)内に進入かつ進出する。さらにシャフトは軸線方向で移動させるための第2駆動装置(44a)と結合される。そのため、ブレード(34)は細幅布(2)の幅を越えて移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載された、織り込まれた導電糸、特にアンテナ用糸を有する細幅布、特にラベル用細幅布を製造するための細幅ニードル織機に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に指摘した種類の細幅ニードル織機が、スイス特許第490581号明細書により公知となっている。そこでは、細幅布の製織中にブレードによって飾り糸が配置されることとなる。ブレードがどのように操作されるかは、この刊行物から読み取ることができない。導電糸、特にアンテナ用糸を織り込むために、この細幅ニードル織機が適しているという指摘も何ら見出すことができない。
【0003】
国際公開第2005/071605号パンフレットが、アンテナと無線周波トランスポンダとを備える繊維材料を開示している。この繊維材料は製織技術によって製造しておくことができる。しかしながら、このことについて、詳しい細部はこの刊行物から読み取ることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、織り込まれた導電糸、特にアンテナ用糸を有する細幅布、特にラベル用細幅布を製造するのに適した細幅ニードル織機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に指摘した細幅ニードル織機において請求項1の特徴部分の特徴によって解決される。ブレードを杼口に進入かつ進出させるような第1駆動装置を設けることによって、また細幅布の幅全体に渡ってブレードを移動させるための第2駆動装置によって、導電糸、特に導電糸を織り込みことを可能とする細幅ニードル織機が提供されることとなる。ブレードは、経方向に対して横切るように位置合わせされたシャフトに設けられており、このシャフトは第1駆動装置によって回転運動を実施するように構成され、また第2駆動装置によってシャフトの軸線方向に直線運動を実施するように構成されている。
【0006】
本発明に係る細幅ニードル織機によって、導電糸は非常に多様な方法で織り込むことが可能となる。ジグザグ状に織り込むときに、導電糸は、各緯入れ時に、緯糸の下方に挿入されることが可能であり、またジグザグ変位の末端部分の間では経糸上を自由に案内されることが可能となり、ジグザグ運動の末端部分でのみ緯糸の下方に達することが可能となっている。しかしながら、あらゆる中間的な組合せも可能となっている。他方で、蛇行状に変位することが可能であり、そこでは単一の緯入れ時に、導電糸が、製織幅全体を横切って交互に案内されることとなり、次に大量の緯入れ用にそれぞれ同じ経糸の間に刺し込まれることとなる。導電糸が任意の非対称の変位をすることも可能である。
【0007】
細幅ニードル織機の有利な諸構成は、請求項2〜9に述べられている。
【0008】
請求項2より第1および第2駆動装置が、回転/直線複合モータとして構成されていると、とりわけ有利である。
【0009】
請求項3より、第2駆動装置はシャフトと結合された直線モータとして構成されるとよい。第1駆動装置の構成に関して、とりわけ簡単な解決を含む請求項4によれば、この駆動装置が摺動ロッドと協動して、この摺動ロッドが伝動装置、主にレバー伝動装置を介してシャフトと結合されることとなる。請求項5によれば、第1駆動装置は摺動ロッドと協動する直線モータを備えているとよい。
【0010】
とりわけ有利である請求項6の構成によれば、ブレードを回転させながら杼口に進入かつ進出させるための第1駆動装置が、故障した場合に、各緯入れ後、状況に応じてブレードを強制的に製織領域から引き戻すために、供給装置が細幅ニードル織機の主な駆動部分と結合する戻し装置と連結されているとよい。そのため、請求項7によれば、戻し装置は主な駆動部分と結合された偏心駆動部を有し、この偏心駆動部は旋回レバーと結合されており、各緯入れ後、かつ製織筬を耳に筬打ちする前に摺動ロッドが製織筬の作動範囲の外側の基本位置にそれぞれ復帰可能であるように、この旋回レバーは摺動ロッドのストッパと協動することとなる。
【0011】
細幅布および/または細幅ニードル織機の損傷を避けるため、請求項8によれば、ブレードは製織領域の外側にある目標破断部を備えているとよく、この目標破断部が誤動作の際に有効となって破断するように構成されている。
【0012】
請求項9により、第1および第2駆動装置が、柄模様に対応して細幅ニードル織機を制御するための電子制御装置と結合されていると、とりわけ有利である。
【0013】
以下、細幅ニードル織機の実施例が図面を基に詳しく説明されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に示される細幅布2では、打込み側部4から緯糸ループ6が、経糸8の間に打ち込まれている。緯糸ループ6は、打込み側部4とは反対の側部10で、線として概略的に示されるステッチ12によって相互に結ばれている。細幅布2の上面で導電糸14がジグザグ状に延び、導電糸は転向部16でそれぞれ緯糸ループ6によって結び付けられている。導電糸14はアンテナとして機能し、導電糸の両方の末端と結合されるトランスポンダチップ20を設置する前に符号18の中断位置で中断されることとなる。このような結合は、例えば溶接、蝋付、導電性接着剤による接着、収縮または締付けによって実現することができる。
【0015】
図2に概略的に示される細幅ニードル織機22は、導電糸14を有する図1の細幅布2を、トランスポンダチップ20のない状態で製造することに適している。詳細には、経糸8は、図示しない開口装置によって開口されて杼口24として構成され、緯針26では、緯糸ループ6が杼口24に打ち込まれることとなる。打込み側部4とは反対の側部10で緯糸ループ6は編針28によって公知のように結ばれることとなる。打ち込まれた緯糸ループ6は製織筬30によって筬打ち耳32に筬打ちされることとなる。
【0016】
導電糸14を打ち込むために用いられるブレード34が、先端部に導糸用アイ36を有しており、この導糸用アイに導電糸14が通されている。ブレード34はシャフト38に取付けられており、ブレード34を経糸8の間で杼口24に刺し込み、かつ導電糸14のループが緯針26の打込み軌道の下方に入り込むようにするために、このシャフトは第1駆動装置40によって回転運動を実行するように構成されている。そのため、導電糸は所望の位置で結び付けられて、取付けられることとなる。
【0017】
ブレード34が一点鎖線で示した基本位置Gに進出した後に、細幅布2の別の所望の位置でブレード34を経糸8の間で杼口24に持ち込んで、導電糸を取付けるため、ブレード34は、第2駆動装置44によってシャフト38に沿って直線運動48して、細幅布2の幅全体に渡って移動することができる。この例において第1および第2駆動装置40、44は直線運動および回転運動を可能とする複合モータ50として構成されている。このモータが電子制御装置52と結合されており、この制御装置は、細幅ニードル織機22、すなわちブレード34を、柄模様に対応して制御することとなる。
【0018】
図3によって示される細幅ニードル織機22aは、図2の細幅ニードル織機22と同様に構成されている。ただし、回転運動42用の第1駆動装置40aと直線運動48用の第2駆動装置44aは別々に構成されている。そのため、第1駆動装置40aは、レバー58を介してシャフト38と結合された摺動ロッド56を操作するための直線モータ54を備えている。
【0019】
図4によって示される細幅ニードル織機22bは、図3の細幅ニードル織機22aの一構成となっている。第1駆動装置40aが故障し、ブレード34が製織領域から進出できなくなった場合に、この細幅ニードル織機が、一点鎖線で示した基本位置Gにブレード34を強制的に戻すための戻し装置60を備えている。戻し装置60が偏心駆動部62を備え、この偏心駆動部は主に、詳しくは図示しない方法で細幅ニードル織機22bの主駆動軸と結合されており、緯針26と同じ周波数で作動することとなる。偏心駆動部62はレバー伝動装置64を介して旋回子66と結合されており、この旋回子は一方の末端部分がピン68で旋回可能に支承されている。旋回子66の他方の末端部分は摺動ロッド56に取付けられて配置されるストッパ70と協動することとなる。その場合、戻し装置60が用いられるのは、第1駆動装置40aが摺動ロッド56を基本位置に移動させなかったときである。この場合、ストッパ70が旋回子66および偏心駆動部62によって一点鎖線で示した基本位置に移動し、この基本位置でブレード34が細幅ニードル織機の製織領域を解放し、製織筬30は打ち込まれた緯糸ループを筬打ち耳32に円滑に筬打ちすることができることとなる。
【0020】
一方で細幅ニードル織機、他方で細幅布を保護するため、ブレード34は、戻し装置60の代わりに、製織領域の外側にある目標破断部72を備えておくことができる。一方で、ブレード34が杼口24から進出するより前に、第2駆動装置44aが細幅布2を横切って直線運動48を実行するとき、この目標破断部を利用することができる。他方で、ブレード34が基本位置Gに戻るより前に、製織筬30が緯糸ループ6の筬打ちを実行するとき、目標破断部70を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】導電糸とトランスポンダとを有する細幅布を示す図である。
【図2】第1および第2複合駆動装置を有する第1細幅ニードル織機を示す概略図である。
【図3】個別の第1および第2駆動装置を有する他の細幅ニードル織機を示す概略図である。
【図4】戻し装置を有する図3の細幅ニードル織機を示す概略図であり、ブレードが進入した状態を示している。
【図5】ブレードが進出した状態の図4の細幅ニードル織機を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
2 細幅布
4 打込み側部
6 緯糸ループ
8 経糸
10 側部
12 ステッチ
14 導電糸
16 転向部
18 中断位置
20 トランスポンダチップ
22 細幅ニードル織機
22a 細幅ニードル織機
22b 細幅ニードル織機
24 杼口
26 緯針
28 編針
30 製織筬
32 筬打ち耳
34 ブレード
36 導糸用アイ
38 シャフト
40 第1駆動装置
40a 第1駆動装置
42 回転運動
44 第2駆動装置
44a 第2駆動装置
48 直線運動
50 直線/回転モータ
52 制御装置
54 直線モータ
56 摺動ロッド
58 レバー
60 戻し装置
62 偏心駆動部
64 レバー伝動装置
66 旋回子
68 ピン
70 ストッパ
72 目標破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸(8)から杼口(24)を形成するための開口装置と、緯糸ループ(6)を打ち込むための緯針(26)と、打ち込まれた前記緯糸ループ(6)を筬打ちするための製織筬(30)と、導電糸(14)用の供給装置(34)とを備え、前記供給装置がブレード(34)を備え、前記ブレード(34)が、前記導電糸(14)用の導糸用アイ(36)を備え、かつ経糸(8)の間で前記杼口(24)内に前記緯針(26)を打込む軌道の下方まで進入するように構成されている、織り込まれた前記導電糸(14)、特にアンテナ用糸を有する細幅布(2)、特にラベル用細幅布を製造するための細幅ニードル織機(22、22a、22b)において、
前記ブレードが経方向に対して横切るように位置合せされたシャフト(38)に取付けられており、前記シャフトが回転運動を実行するための第1駆動装置(40,40a)と結合されており、前記ブレード(34)が前記回転運動によって前記杼口(24)内に進入かつ進出し、さらに前記シャフト(38)がその軸線方向に移動するための第2駆動装置(44、44a)と結合されており、前記ブレード(34)が前記細幅布(2)の幅を越えて移動可能に構成されていることを特徴とする細幅ニードル織機。
【請求項2】
前記第1駆動装置(40)と前記第2駆動装置(44)とが直線運動および回転運動可能な複合モータ(50)として構成されていることを特徴とする請求項1記載の細幅ニードル織機。
【請求項3】
前記第2駆動装置(44a)が、前記シャフト(38)と結合された直線モータ(54)として構成されていることを特徴とする請求項1記載の細幅ニードル織機。
【請求項4】
第1駆動装置(40a)が摺動ロッド(56)を備え、前記摺動ロッドが伝動装置、主にレバー伝動装置(58)を介して前記シャフト(38)と結合されていることを特徴とする請求項3記載の細幅ニードル織機。
【請求項5】
第1駆動装置が、前記摺動ロッド(56)と協動する直線モータ(54)を備えていることを特徴とする請求項4記載の細幅ニードル織機。
【請求項6】
前記供給装置が、各緯入れ後に、状況に応じて前記ブレード(34)を強制的に製織領域から引き戻すために、前記細幅ニードル織機の主な駆動部分と結合する戻し装置(60)と連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の細幅ニードル織機。
【請求項7】
前記戻し装置(60)が前記主な駆動部分と結合された偏心駆動部(62)を有し、前記偏心駆動部が旋回レバー(66)と結合されており、各緯入れ後、かつ前記製織筬(30)を耳に筬打ちする前に前記摺動ロッド(56)を前記製織筬(30)の作動範囲の外側の基本位置に復帰できるように、前記旋回レバーが前記摺動ロッド(56)のストッパ(70)と協動する構成となっていることを特徴とする請求項6記載の細幅ニードル織機。
【請求項8】
前記ブレード(34)が前記製織領域の外側に位置する目標破断部(72)を備えており、前記目標破断部が誤動作の際に有効となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の細幅ニードル織機。
【請求項9】
前記第1および第2駆動装置(40,44,40a,44a)が、柄模様に対応して細幅ニードル織機を制御するための電子制御装置と結合されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の細幅織ニードル機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−520886(P2009−520886A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546064(P2008−546064)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000772
【国際公開番号】WO2007/071077
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】