説明

織布仕上げ装置

とりわけ繊維材料ウェブの乾燥及びバイアスストレッチを伴う織布仕上げ用の装置を説明する。別個のバイアスストレッチ装置を節減するためには、乾燥に使用されるホット・フルー(5)のガイドローラ(10,11)の少なくとも1群(17)が、材料ウェブ(1)の平均的な搬送方向(2,18)に関して1方向で斜めに支承される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕立てに先行する織布仕上げ用の装置であって、とりわけ、特にデニム生地から成る繊維材料ウェブのバイアスストレッチ手段が設けられており、少なくとも1つのホット・フルーと、該ホット・フルーにほぼ水平方向の平面内でそれぞれ支承された、材料ウェブのための複数のガイドローラ列とが設けられており、更に、ホット・フルーにそれぞれ前置及び後置された、材料ウェブに長手方向張力を加えるための手段が設けられている形式のものに関する。
【0002】
例えばいわゆるジーンズ等のデニム衣類の製作におけるデニム処理ライン若しくは生産ラインは、織布から出発して主として3つのステップを有している。即ち、デニム仕上げ、仕立て及び取付け部品装備である。デニム仕上げには、(また、織布仕上げにも)しばしば材料ウェブの防縮加工も伴う織布の乾燥、ストレッチ及び「バイアスストレッチ」が所属している。衣類は仕立てにおいて切断され且つ縫製される。次いで完成した衣類は、取付け部品装備において1つ1つ例えば糊抜きされ、ストーンウォッシュ加工され且つ/又は漂白される。
【0003】
バイアスストレッチ(英語:skewing)において織布は、特に綾織りの場合は経糸及び緯糸に関して斜めに引っ張られる(斜めドラフト)。このためには、以前から慣用のバイアスストレッチ装置が使用される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3715086号明細書には、織布の緯糸の調整装置が記載されている。この緯糸調整機では、連続した織布ウェブが規定された長さ区分を超えて、走行方向で増大する力によって、主として緯糸方向で2つの縁部側の緊締ドラムの間に緊締され、これらの緊締ドラムは、斜めドラフトに際して発生する、緊締手段に対する走行方向の様々な力が補償可能であるように、互いに独立して運動可能である。
【0005】
斜めドラフトは、繊維材料ウェブの乾燥時に「多層緊締機械」において発生させることができる。このような緊締機械は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19801537号明細書に記載されている。この公知の緊締機械では、材料ウェブが複数の処理層を通走して、層から層へ移行する際に、エンドレスで循環する2つの搬送機構を用いた少なくとも1つの変向箇所を介して搬送される。この多層緊締機械において発生する斜めドラフトが方向付け可能であるためには、1変向箇所において少なくとも1つの変向ホイールが、別の変向ホイールに対して緊締機械の長手方向で相対的に移動可能である。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第3336328号明細書に記載されたホット・フルーは、ガイドローラの上側の列と下側の列とを有している。両ガイドローラ列は、互いに平行に且つ水平方向で、それぞれほぼ1平面内で、ホット・フル−ケーシングに支承される。このケーシングは、入口壁に水平方向のスリットを有しており、このスリットを通って処理しようとする材料ウェブが広げられて導入されている。これに対応して、出口壁には出口スリットが設けられている。材料ウェブは、ループ状若しくはメアンダ状に交互に下側のガイドローラと上側のガイドローラとを介して搬送される。ケーシング内には、ガイドローラに対して平行に配置された吹付けノズル列が設けられ、これらの吹付けノズル列を用いて、処理剤、特に加熱された空気(一般には再循環空気)が材料ウェブ若しくは張設された材料ウェブループに吹き付けられる。一般に、材料ウェブはホット・フルー内で、このホット・フルーに前置及び後置された製品緊締手段によって、ある程度の材料ウェブ長手方向張力下で保持される。この長手方向張力の大きさは、少なくとも材料ウェブmが30m以上の製品内容においても、ホット・フルー内において及びこのホット・フルーを通してほぼしわの無い製品進行が保証される程度であるのが望ましい。ホット・フルーにおける「平均的な搬送方向」とは、一般に製品入口と製品出口との間のまっすぐな、ほぼ水平方向の結合線であると理解される。
【0007】
本発明の課題は、その時々の所望のバイアスストレッチを、別個のバイアスストレッチ装置無しで得ることである。
【0008】
有利にはデニム仕上げにおいて使用するためのバイアスストレッチ手段と、ホット・フルーと、該ホット・フルーに支承された複数のガイドローラ列とを備えた、冒頭で述べた形式の装置のための本発明による解決手段は、少なくとも1つのガイドローラ列の少なくとも1群が、これらのガイドローラ列によって張設された水平方向の平面に関して1方向で斜めに傾動されて支承されているという点にある。「1方向で」斜めに傾動されてとは、各ローラ群の全てのローラが同一方向で、有利には同程度に傾動されているということを意味している。本発明により傾動された若しくは斜めに設置されたガイドローラの順序はつながっていなくてよい。即ち、傾動されたガイドローラ及び従来のように水平方向で支承されたガイドローラの順序は任意で変えることができる。
【0009】
公知のホット・フルーの場合、ホット・フルーの上下のローラ列のガイドローラは、それぞれできるだけ正確に平行に、ローラ1つ1つが位置調整された。なぜならば、そうする以外に材料ウェブをしわ無しで装置を通走させることは不可能であると考えられていたからである。これに対して本発明により、つまりガイドローラの少なくとも1群を斜めに設置することにより、ホット・フルーがその他の使命を果たすと同時に、バイアスストレッチ手段として働くということが達成される。本発明の枠内で、加熱された再循環空気を規則的に供給されるホット・フルーには、乾いた製品も湿った製品も前置され得る。乾いた材料ウェブが、本発明により斜めに設置されたガイドローラの装備されたホット・フルーに進入すると、当該の材料ウェブは、加熱された空気温度においてバイアスストレッチされる。材料ウェブがホット・フルーへの進入時に湿っている場合は、当該の材料ウェブはホット・フルーでバイアスストレッチもされ、吹き付けられる再循環空気によって乾燥もされる。後者の場合は特に好適である。なぜならば、この場合、ホット・フルーは1作業工程において、従来技術では2つの異なる装置を用いなければ得られない2つの作業成果をもたらすからである。
【0010】
汎用サイズのホット・フルーは、上側のローラ列と下側のローラ列とに、それぞれオーダに従って20個のガイドローラを有していてよい。バイアスストレッチのためには、本発明に基づいて上側の列及び/又は下側の列のガイドローラの一部が、材料ウェブの搬送方向に関して斜めに向けられれば十分である。例えば、各ローラ列の約5〜10%が斜めに設置されれば足りる。傾斜の程度は、ローラを斜めに設置することによって得ようとする材料ウェブの斜めドラフトの程度に従う。一般に所望される斜めドラフトは、一方の列の当該のガイドローラが、残りのガイドローラに対して5〜10度だけ、材料ウェブの平均的な搬送方向に対して平行に位置する軸線を中心として、他方のローラ列に向かって傾動されると、既に達成される。
【0011】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0012】
材料ウェブ1は、搬送方向2で第1の緊締手段3を介して全体に符号5で示したホット・フルーのケーシング4に進入する。このケーシング4は、変向ローラ7を備えたほぼ水平方向の入口スリット6と、内部に2列8,9のガイドローラ10;11とを有している。ガイドローラ10,11を巡って製品ウェブ1がメアンダ状に上方及び下方に案内され、最後に変向ローラ12を介してケーシング4の出口スリット13を通って第2の緊締手段14へ案内される。ケーシング4の内部には、1ローラ列8;9の各2つのガイドローラ間に張設された材料ウェブループに向けられた、複数の吹付けノズル15;16が設けられる。
【0013】
従来のホット・フルーの場合、両ローラ列8,9及び所属のローラ10;11は、それぞれ水平方向平面内で互いに平行に位置している。本発明では、列8,9のガイドローラの少なくとも1群17が、意図的に平行から変位されて、列の残りのガイドローラ11に関して斜めに設置される。斜めに設置するためには、当該のガイドローラ11群17が、一方の列の残りのガイドローラの水平方向平面に対して平行に位置し且つ/又は中央の材料ウェブ搬送方向2に対して平行に位置する軸線18を中心として、それぞれ他方のローラ列9に向かって傾動される。
【0014】
傾斜の程度及び斜めに設置されるローラの数(斜めに設置されるローラ群17は、1列又はそれどころか両方の列8,9の全てのローラを含んでいてよい。)は、その都度扱われる材料及びその時々の所望の斜めドラフトに関連している。本発明の特徴は、まず第1にホット・フルーのガイドローラの少なくとも一部を斜めに設置するだけで、その他の点において期待される、ホット・フルーの通常の作業成果が損なわれること無しに、別個の傾斜装置が完全に節減されているという認識にある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】少数のガイドローラしか有さない装置を、中央の材料ウェブ搬送方向に対して平行に鉛直方向で断面した図である。
【符号の説明】
【0016】
1 材料ウェブ、 2 搬送方向、 3,14 緊締手段、 4 ケーシング、 5 ホット・フルー、 6 入口スリット、 7,12 変向ローラ、 8,9 列、 10,11 ガイドローラ、 13 出口スリット、 15,16 吹付けノズル、 17 ガイドローラ群、 18 軸線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕立てに先行する織布仕上げ用の装置であって、とりわけ、特にデニム生地から成る繊維材料ウェブ(1)のバイアスストレッチ手段が設けられており、少なくとも1つのホット・フルー(5)と、該ホット・フルーにそれぞれほぼ水平方向の平面内で支承された、材料ウェブのための複数のガイドローラ列(8,9)とが設けられており、更に、ホット・フルーにそれぞれ前置及び後置された、材料ウェブ(1)に規定された長手方向張力を加えるための手段(3,14)が設けられている形式のものにおいて、
少なくとも1つのガイドローラ列の少なくとも1群(17)が、ガイドローラ列(9)によって張設された水平方向平面に関して1方向で斜めに傾動されて支承されていることを特徴とする、織布仕上げ装置。
【請求項2】
斜めに傾動されたガイドローラ(17)が、ローラ列(9)の平面に対して平行に且つ/又は平均的な搬送方向(2)に対して平行に位置する軸線(18)を中心として、その時々の他方のローラ列(8)に向かって傾動されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
材料ウェブ(1)を、ホット・フルー(5)においてバイアスストレッチすると同時に再循環空気中で乾燥もすることを特徴とする、請求項1又は2記載の装置の運転法。

【公表番号】特表2006−500478(P2006−500478A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−528386(P2004−528386)
【出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【国際出願番号】PCT/DE2003/002416
【国際公開番号】WO2004/017003
【国際公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(501169213)アー モンフォルツ テクスティールマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】A.Monforts Textilmaschinen GmbH & Co.KG
【Fターム(参考)】