説明

織物シール、織物シート、シール、接着性シート、及びその製造方法

【課題】シールや接着性シートにおける新たな技術を提供する。
【解決手段】シール10は、基材100と、粘着材200とを備える。基材は、例えば、織物である。さらに、粘着材200を覆うセパレータ300を備え、織物100と粘着材200の間にアンカー材、さらに粘着材200とセパレータ300の間に補シートと第2の粘着材とを備えた織物シール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物シール、織物シート、シール、接着性シート、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、織物を利用した商品の開発が望まれている。例えば、絹織物産業において、着物市場の著しい伸びが望めない中、絹織物の需要減に対する有効な対策が望まれている。また、シール、接着性シートにおける新たな技術が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の態様は、織物を利用した商品の開発に適用可能な技術を提供することを目的とする。また、絹織物の利用を促進することが可能な技術を提供することを目的とする。また、シール及び接着性シートにおける新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様に従えば、織物と、粘着材とを備えた織物シールが提供される。
【0005】
本発明の別の態様に従えば、織物と、前記織物を他の物体に取り付けるための手段とを備えた織物シートが提供される。
【0006】
本発明の別の態様に従えば、織物を用意する工程と、前記織物を他の物体に取り付けるための手段を前記織物に配する工程とを含む、織物シール又は織物シートの製造方法が提供される。
【0007】
本発明の別の態様に従えば、織物と、前記織物の一面に配された粘着材と、前記粘着材を介して前記織物の前記一面に貼り付けられ、前記粘着材の少なくとも一部を前記織物の前記一面に残して前記織物の前記一面から剥がすことが可能なセパレータと、を備えた織物シールが提供される。
【0008】
本発明の別の態様に従えば、基材と、補シートと、セパレータと、前記基材と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を備えたシールが提供される。
【0009】
本発明の別の態様に従えば、基材と、補シートと、前記基材と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記第1粘着材に対して反対側の面である、前記補シートの一面に配される第2粘着材と、を備えた接着性シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】織物シール(織物シート)を示す断面模式図である。
【図2A】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図2B】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図2C】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図2D】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図2E】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図2F】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図2G】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図2H】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図2I】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図3A】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図3B】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図3C】織物シールの全体形状の例を示す図である。
【図4】織物に対するアンカー処理の例を示す図である。
【図5】織物に対するアンカー処理の例を示す図である。
【図6A】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6B】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6C】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6D】織物の組織構造の例を模式的に示す図である。
【図6E】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6F】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6G】織物シールの拡大断面構造の例を模式的に示す図である。
【図6H】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6I】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図6J】粘着材の配置例を示す図である。
【図6K】粘着材の配置例を示す図である。
【図6L】粘着材の配置例を示す図である。
【図7A】セパレータの形態の例を示す図である。
【図7B】セパレータの形態の例を示す図である。
【図7C】セパレータの形態の例を示す図である。
【図7D】セパレータの形態の例を示す図である。
【図8A】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図8B】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図8C】織物シール(織物シート)を対象物に取り付けた例を示す図である。
【図8D】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図8E】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図9A】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図9B】折ケイが形成された補シートを備えた形態例を模式的に示す図である。
【図9C】複数層の粘着材を備えた形態例を模式的に示す図である。
【図9D】層間剥離によって対象物から織物を剥がす例を示す模式図である。
【図9E】対象物から織物を剥がす例を示す模式図である。
【図9F】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図9G】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図9H】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9I】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9J】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9K】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9L】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9M】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9N】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9O】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9P】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9Q】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9R】織物シールの製造プロセスの一例を模式的に示す図である。
【図9S】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図9T】織物シールの拡大断面構造の一例を模式的に示す図である。
【図10A】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図10B】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図10C】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図10D】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図10E】織物シール(織物シート)の別の形態例を示す図である。
【図11】補材(強化部)の配置例を示す図である。
【図12】織物にUV硬化型樹脂を付与するためのプロセスの一例を示す図である。
【図13】織物にUV硬化型樹脂を付与するためのプロセスの別の一例を示す図である。
【図14】織物の部分的な加工処理のための別の一例を示す図である。
【図15】織物の部分的な加工処理のための別の一例を示す図である。
【図16A】織物の部分的な加工処理のための別の一例を示す図である。
【図16B】織物の部分的な加工処理のための別の一例を示す図である。
【図16C】織物の部分的な加工処理のための別の一例を示す図である。
【図17A】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17B】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17C】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17D】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17E】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17F】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17G】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図17H】織物の切断部を強化した形態の例を示す図である。
【図18】織物シール(織物シート)における表面の一例を示す図である。
【図19】織物シール(織物シート)における表面の別の一例を示す図である。
【図20】織物シール(織物シート)における表面の別の一例を示す図である。
【図21】千社札・交換札として織物シール(織物シート)が適用された例を示す図である。
【図22】アルコール飲料容器用ラベルとして織物シール(織物シート)が適用された例を示す図である。
【図23】他の容器用ラベルとして織物シール(織物シート)が適用された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明で参照する各図面においては、図面を見易くするために、必要に応じて、各構成部材の寸法を変更したり、一部を省略して表示している。
【0012】
図1は、織物シール(織物シート)10を示す図である。図1において、織物シール(織物シート)10は、織物100と、粘着材(取り付け材、接合材、接着材)200と、セパレータ(剥離層、剥離シート、台紙、保護シート)300とを備える。
【0013】
一実施形態において、粘着材200が織物100の一面に配される。セパレータ300が粘着材200を介して織物100のその一面に配される。すなわち、一実施形態において、織物シール10は、織物100、粘着材200、及びセパレータ300を含む少なくとも3層構造を有する。織物100とセパレータ300との間に粘着材200が配される。粘着材200の一方側に織物100が配され、他方側にセパレータ300が配される。
【0014】
なお、後述するように、織物シール(織物シート)10は、実質的3層構造に限定されない。代替的又は追加的に、織物シール(織物シート)10の層の実質的な数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上にできる。すなわち、織物シール(織物シート)10は、1枚の織物100からなる層の他に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又はそれ以上の数の層を含むことができる。
【0015】
一実施形態において、粘着材200を織物100の一面に残してセパレータ300の少なくとも一部を織物100の一面から除去する(剥がす)ことが可能である。セパレータ300が除去された織物シール10において、粘着材200の少なくとも一部が露出する。露出した粘着材200を介して、織物シール10を対象物500に取り付けることができる。例えば、粘着性を有する粘着材200を対象物500に接触させることにより、粘着材200の粘着力を用いて、セパレータ300が除去された織物シール10を対象物500に貼り付けることができる。
【0016】
一実施形態において、織物100は、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。対象物500に取り付けられた織物100において、その色彩、陰影、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つが観察され得る。織物100は、代表的に、絹織物、毛織物、綿織物、麻織物の他、化学繊維織物等を含むことができる。また、織物100は、先染め織物、及び/又は後染め織物を含むことができる。
【0017】
対象物500に取り付けられた織物シール10において、織物100は、空間側に配される第1面102と、対象物500側に配される第2面104とを有する。一例において、対象物500とは反対側から織物100が観察される。この場合、織物100の第1面102が観察側空間に面する。他の一例において、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して織物100が観察される。すなわち、対象物500側から織物100の第2面104が観察される。この場合、織物100の第2面104が対象物500を介して観察側空間を向く。さらに他の一例において、織物100の両面が観察される。すなわち、対象物500とは反対側から織物100の第1面102が観察されるとともに、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して織物100の第2面104が観察される。一実施形態において、織物100の第2面104に粘着材200が配される。すなわち、織物100と対象物500との間に粘着材200が配される。
【0018】
一実施形態において、対象物500に織物シール(織物シート)10を取り付けることにより、織物シール10が有する外観特性や機能特性を対象物500に付与することができる。例えば、織物100の色彩、陰影、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つの外観性が対象物500に付与される。あるいは、織物シール10が取り付けられた対象物500について、外観性以外の機能の発現に織物シール10が貢献する。織物シール10が取り付けられる対象物500が増えることにより、織物100の利用が促進される。また例えば、織物100が絹織物である場合、織物シール10(絹織物シール10)が取り付けられた対象物500について、人目を引く外観性に絹織物100が貢献する。あるいは、絹織物シール10が取り付けられた対象物500について、外観性以外の機能の発現に絹織物シール10が貢献する。絹織物シール10が取り付けられる対象物500が増えることにより、絹織物100の利用が促進される。
【0019】
他の実施形態において、織物以外の基材100と、粘着材(取り付け材)200と、セパレータ(剥離層、剥離シート、台紙、保護シート)300とを備えたシール(接着性シート)10を提供できる。織物以外の基材100としては、織物以外の布や和紙などが挙げられる。基材100は、浸透性素材、吸液性素材、又は多孔素材を含むことができる。ここで、布は、繊維(天然繊維、化学繊維)等からなる板状又はシート状の部材であり、様々な種類を含む。例えば、布は、織物、不織布、フェルト、編み物、及びレース等を含む。布の素材としては様々な材料が適用可能であり、例えば、綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミア、化学繊維(例えば、アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、フィストップなど)等が挙げられる。不織布の材料として、例えば、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、絹繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維等が挙げられる。基材100として、上記素材を単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。布及びその素材は、上記例に限定されない。
【0020】
また、布は、デニム、フリース、ベルベット、タオル地、スエード、コーデュロイ、リネン、サテン、コットンサテン、ガーゼ、ダブルガーゼ、ギンガム、コットンボイル、コットンツイル、オーガンジ、揚柳(ようりゅう)、斜文織、クレープ、ネル、パイル、ビロード、フランネル、ベッチン、ベロア、帆布、毛布、ラシャ、キャラコ、ストレッチブロード、さらし、シーチング、シフォン、シャンタン、ジョーゼット、新モス、ブロード、ボイル、モスリン、リネンダマスク、ワッフル織、お召、黄八丈、塩瀬、上布、紬、ちりめん(縮緬)、西陣、羽二重、富士絹、本しゅす、銘仙、綿ちぢみ、浴衣地、りんず、杢糸(もくいと)、コア・ヤーン、シャーリング、シャンブレー、ストレッチ、スラブ、リップル、平織物、綾織物(ツイル)、又は朱子織物を含むことができる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。布及びその素材は、上記例に限定されない。
【0021】
織物シール(織物シート)10が取り付けられる対象物500としては、取り付け用の面を有する物体のすべてが対象となり得る。対象物500として、例えば、文具及び補助具(例えば、筆記用具、ノート、メモ用紙、手帳、記録用具、ステイプラー、ハサミ、付箋、封筒、葉書、書簡紙、収納具など)、容器・箱(例えば、食品容器、瓶、ガラス容器、グラス、缶、ブリキ容器、樹脂ボトル、紙箱、紙コップ、木箱、布箱、ごみ箱など)、携帯機器及びその付属品(例えば、携帯電話、携帯端末、携帯ゲーム機など)、電気製品及びその付属品(例えば、各種家電機器、パーソナル・コンピュータ、音響機器、映像機器、撮影機器、ゲーム機器、通信機器、照明器具、ランプなど)、記録媒体及びその付属品(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Magnetic Disk)、CD(Compact Disk)、BD(Blue-ray Disk)、FD(Floppy Disk(登録商標))、フラッシュメモリー、ビデオテープ、カセットテープなど)、機械装置(例えば、カメラ、時計、楽器、電話機など)、衣料品・衣料雑貨及びその付属品(例えば、服、下着、靴、ベルト、ハンカチ、鞄、ネクタイ、眼鏡、髪留め、かんざし、宝飾品など)、装飾用品(例えば、額縁、飾り付け用品、宝飾品、ガラス板など)、化粧用品及びその付属品(例えば、鏡、化粧品容器、化粧品パッケージなど)、台所用品(例えば、食器、料理用具、鍋、収納具、調理補助具など)、医療品(例えば、薬剤パッケージ、マスク、絆創膏、包帯、補助具など)、社寺等に関わる物品(例えば、おみくじ、お守り、絵馬、神棚、お札、千社札(貼札、題名札、色札、交換札、交換納札)、その他縁起物)、その他日用品(例えば、おもちゃ、人形、工芸品、ペット用品、化粧室用品・トイレ用品、掃除用具、運動器具、運動用品、学習用具、団扇、扇子など)、乗り物及びその付属品(例えば、バス、タクシー、電車、船、飛行機、トラック、車、自転車など)、舞台セット及び舞台用品(舞台道具、舞台衣装、舞台装飾など)、競技場・道場の構造物及び飾り用品、幟(のぼり)(のぼりばた、鯉のぼりなど)、テーブル装飾用品、交通網構成機器、建築物・建造物、公共施設、販売機・現金取扱装置(例えば、自動販売機、キャッシュ・ディスペンサーなど)、看板、壁(壁
材)、床(床材)、天井(天井材)、窓(窓部材、枠部材)、棚、家具、テーブル、椅子、寝具、書籍、新聞、雑誌、パンフレット、カレンダー、名刺、千社札(名刺代わり等として使用される。特に、舞妓、芸子、芸者、芸妓、芸能関係者等に使用されることが知られている。色札、交換札、交換納札、花名刺とも呼ばれる。)、名札、用紙、包装紙、各種チケット、メニュー表、各種カード、草木、花(生花、造花)、人体(頬、鼻、口、額、瞼、耳、顎、頭部、首、肩、腕、手首、胸部、背中、掌、手の甲、手の指、手の爪、腰、臀部、脚、膝、足首、足の甲、足の指、足の掌、足の爪など)、その他生物、工事現場用仕切、案内板などが挙げられる。織物シール10は、対象物500が特定された特定シールとして又は対象物500や用途が特定されない自由シールとして適用され得る。織物シール(織物シート)10は、例えば、土産雑貨シール、ラッピングシール、デコレーションシール、屋外用シール、接合用テープ、付箋、ラベル(商品ラベル、情報ラベル、値札など)、ステッカー、エンブレム、記章(ワッペン)、パズル、ペナント、難燃シート、防火シート、医薬部外品、社寺等に関わる物品(おみくじ、お守り、絵馬、神棚、お札、千社札(貼札、題名札、色札、交換札、交換納札)、その他縁起物)、千社札(名刺代わり等として使用される。特に、舞妓、芸子、芸者、芸妓、芸能関係者等に使用されることが知られている。色札、交換札、交換納札、花名刺とも呼ばれる。)、飾り材として広く適用可能である。織物シール(織物シート)10が取り付けられる対象物500、及び織物シール(織物シート)10の適用物は、上記例に限定されない。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0022】
一実施形態において、織物100として、絹織物100を使用できる。この場合、対象物500に絹織物シール(絹織物シート)10を取り付けることにより、絹織物100が有する外観特性や機能特性を対象物500に付与することができる。
【0023】
絹織物100は、各々絹糸からなるたて糸(経糸)及びよこ糸(緯糸)を交錯させた構造を有する。一般に、たて糸は製織時に織物の長さ方向に沿って配され、よこ糸は幅方向に沿って配される。所定パターンの交錯の繰り返しは織物組織を構成する。また一般に、織物において、織物組織を構成する単位組織が繰り返される。なお、基礎となる最小単位の組織は完全組織と呼ばれることがある。また、たて糸とよこ糸の交差点は組織点と呼ばれることがある。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0024】
一実施形態において、絹織物100に用いられる原糸(絹糸、生糸)は、繭を原料とする天然繊維を含む。天然の絹糸の持つ組織の二重構造、断面形状、及び曲線性などの形態的特徴が絹織物100の風合い、染色性、光沢などの外観特性や機能特性に貢献する。絹織物100の風合いは、例えば、弾力のある滑らかさ、硬さ、反発性(こし)、張り(曲げ強さ)、厚み感(ふくらみ)などの少なくとも1つの要素を含むことができる。また、風合いは一般に、先練織物と後練織物との間で、繊維組織に基づき異なる。また、絹糸は、光沢性、色彩性、染着性、伸び性、吸湿性・透湿性、低帯電性、防しわ性、難燃性、紫外線カット性、抗菌性、耐酸化性、物質吸収性(ガス吸収性など)、金属吸着性などの機能を有することができる。他の実施形態において、天然繊維の絹糸と、他の材料とを組み合わせた複合素材を用いて絹織物を形成することができる。追加的に、絹糸又は絹織物100に所定の処理を施すことができる。
【0025】
一実施形態において、絹織物100の絹糸の少なくとも一部を絹以外の素材にできる。例えば、たて糸又はよこ糸に絹糸を用い、よこ糸又はたて糸に絹以外の素材(例えば、化学繊維、紙系色糸(例えば、金糸、銀糸など))を用いることができる。
【0026】
一実施形態において、絹織物100は、先染織物(先練織物)及び後染織物(後練織物)の少なくとも一方を含むことができる。先染織物の製造は、例えば、撚糸、精錬・染色、製織、仕上などの工程を有する。後染織物の製造は、例えば、撚糸、製織、精錬・仕上、染色・仕上などの工程を有する。撚糸の工程において、撚りの方向(右撚り、左撚り)や、撚りの強弱(甘撚り、並撚り、強撚)が適宜に設定される。撚糸構造は、例えば、片撚糸、諸撚糸、駒撚糸、飾撚糸、及び壁撚糸の少なくとも1つを有することができる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0027】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、平織、斜文織(綾織)、朱子織、及び変化組織(変化平織、変化斜文織、変化朱子織)の少なくとも1つを有することができる。平織、斜文織、及び朱子織は、三原組織と呼ばれる。斜文織は、両面斜文織、片面斜文織、3枚斜文織、4枚斜文織、5枚斜文織、及び/又は6枚以上の斜文織を含む。朱子織は、たて朱子織、よこ朱子織、5枚朱子織、6枚朱子織、7枚朱子織、及び/又は8枚以上の朱子織を含む。変化平織は、うね織、たてうね織、よこうね織、変化うね織、吉野織、たて吉野織、よこ吉野織、しじら織(阿波しじら)、ななこ織り、変化ななこ織り、接結ななこ織、及び/又は向いななこ織を含む。変化斜文織は、伸び斜文織、急斜文織、緩斜文織、まがり斜文織、破れ斜文織、トルコ朱子(4枚朱子)、杉綾(ヘリンボン)、重ね斜文織、あじろ斜文織、山形斜文織、たて山形斜文織、よこ山形斜文織、菱形斜文織、飛び斜文織、よれ斜文織、たてよれ斜文織、よこよれ斜文織、曲りよれ斜文織、昼夜斜文織、ぼかし斜文織、及び/又は飾り斜文織を含む。変化朱子織は、変則朱子織、ひろげ朱子、重ね朱子織、みかげ朱子織、昼夜朱子織、及び/又はぼかし朱子織を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0028】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、必要に応じて、はちす織(ブライトンはちす織、特別はちす織、スポンジ織)、グレーシアン織、ハック織、模紗織、及びなし地織の少なくとも1つを含むことができる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0029】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、必要に応じて、部分的な補強組織を含むことができる。部分的な補強組織は、絹織物100の少なくとも縁付近の一部、又は実質的に縁全周を補強した、縁補強組織(端加工組織)を含むことができる。部分的な補強組織は、いわゆる耳組織(selvedge weave)を含むことができる。部分的な補強組織は、絹織物100の少なくとも一部に設けることができる。例えば、他の部位と異なる織物組織(例えば耳)を絹織物100の縁付近の一部又は全周に設けることができる。また、他の部位と異なる織物組織(例えば耳)を絹織物100の角部付近に設けることができる。絹織物100における部分的な補強組織は、他の部位に比べて高密度の組織及び/又は太い糸の組織を有することができる。部分的な補強組織は、絹織物の外観向上及び補強に有利である。例えば部分的な補強組織は、絹織物100における端面(縁)のほつれ防止に有利である。部分的な補強組織には、例えば、平織、うね織、及び/又は斜文織を用いることができる。耳組織は、平織耳、よこうね織耳、ななこ織耳、あや耳織、枕耳、及び袋耳の少なくとも1つを含むことができる。代替的又は追加的に、部分的な補強組織の少なくとも一部を、縁以外の部分に設けることができる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0030】
一実施形態において、織物組織とたて糸・よこ糸の色糸配列の組み合わせに基づき、先染織物における絹織物100の柄が表される(色糸効果:color effect)。絹織物100の柄は、例えば、ピンヘッド(エンド・アンド・エンド・クロス、微鹿格子)、ヘヤライン、ツー・アンド・ツー・チェック、シャーク・スキン、ハウンドトゥース、シェパードチェック、グレンチェック、バーズアイ、及びスターチェックの少なくとも1つを含むことができる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0031】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、重ね組織を含むことができる。重ね組織は、たて糸又はよこ糸に2種類以上の糸を用いた片重ね組織、たて糸及びよこ糸ともに2種類の糸を用いた二重織、及びたて糸及びよこ糸ともに3種類以上の糸を用いた多層織の少なくとも1つを含む。片重ね組織は、よこ糸を2種類用いたよこ二重織、及び/又はたて糸を2種類用いたたて二重織を含む。よこ二重織は、よこ二重裏付織、よこ二重両面織、及び/又はしん入りよこ二重織を含む。たて二重織は、たて二重裏付織、たて二重両面織、及び/又はしん入りたて二重織を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0032】
一実施形態において、二重織は、接結二重織を含むことができる。接結二重織は、表裏2枚の織物を織る際に、表裏の糸の一部を使って2枚の織物を密着させて1枚の織物としたものである。接結二重織は、普通接結二重織、裏たて糸接結二重織、裏よこ糸接結二重織、及び/又は複接結二重織を含む。また、二重織は、中央接結二重織を含むことができる。中央接結二重織では、接結のために別の糸が用いられる。中央接結二重織は、中央たて接結二重織、中央よこ接結二重織、しん入り接結二重織、よこしん入り裏たて糸接結二重織、及び/又はたてしん入り裏よこ糸接結二重織を含む。また、二重織は、裏付二重織を含むことができる。裏付二重織は、よこ糸裏付二重織、及び/又はたて糸裏付二重織を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0033】
一実施形態において、多重織は、3、4、5、又は6以上の層を含むことができる。多重織は、接結多層織、中央たて糸接結多層織、及び/又は中央よこ糸接結多層織を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0034】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、袋織、風通織、さしこ織、網目織、トリコ織、ピッケ、ひだ織、ベッドフォードコード織、クレーポン、斜めコード織、紋コード織、及び接結模様二重織の少なくとも1つを含むことができる。袋織は、通常袋、よこ口袋、及び/又は多重袋織を含む。風通織は、二重二色風通織、二重三色風通織、二重四色風通織、三重三色風通織、及び/又は三重九色風通織を含む。さしこ織は、よこさしこ織、たてさしこ織、及び/又はたてよこさしこ織を含む。トリコ織は、たてトリコ織、及び/又はよこトリコ織を含む。ピッケは、シンプルピッケ、しん入りピッケ、ファストバックピッケ、ルーズバックピッケ、及び/又は紋ピッケを含む。ベッドフォードコード織は、平表ベッドフォードコード織、斜文表ベッドフォードコード織、及び/又はしん入りベッドフォードコード織を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0035】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、よこパイル織及び/又はたてパイル織を含むパイル織を含むことができる。よこパイル織は、別珍、コール天、及び/又はよこプラッシュを含む。別珍は、平地別珍、斜文地別珍、及び/又は両面別珍を含む。コール天は、平地コール天、斜文地コール天、及び/又は両面コール天を含む。よこプラッシュは、両面よこプラッシュを含む。たてパイル織は、タオル組織、ビロード組織、二重ビロード組織、及び/又はプラッシュを含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0036】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、からみ組織を含むことができる。からみ組織は、紗、絽、及び羅の少なくとも1つを含むことができる。紗は、観音紗、二回からみ紗、三本からみ紗、紋紗、顕文紗、及び/又は紗無双を含む。絽は、平絽、綾絽、兜絽、鶉絽、斜め絽、紗絽、市松絽、三本からみ絽、四本からみ絽、たて絽、角目絽、及び/又は絽無双を含む。綾絽は、三本綾絽、一楽綾絽、及び/又は高貴綾絽を含む。羅は、網目羅、籠目羅、ほら羅、及び/又は文羅を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0037】
一実施形態において、絹織物100の織物組織は、綴れ(つづれ)、たて錦、よこ錦、緞子(どんす)、朱珍(しゅちん)、紹巴(しょうは)、風通、からみ織(もじり織)、ビロード、本しぼ織、絣織、紬を含むことができる。これらの12品目は西陣織の指定品種に含まれる。たて錦は、平地たて錦、及び/又は斜文地たて錦を含む。よこ錦は、緯錦、大和錦(倭錦)、唐織、及び/又は錦帯を含む。緞子は、緞子帯、及び/又は緞子裏を含む。紹巴は、蜀は(しょうは)、及び/又は紹巴帯を含む。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0038】
一実施形態において、絹織物100は、上記の他にも、繻子(しゅす)、金銀襴(らん)、羽二重(はぶたえ)、綸子(りんず)、お召、銘仙、大島、綴錦(つづれにしき)、博多織(はかたおり)など、様々な織物組織を含むことができる。縮緬(ちりめん)は、絹を平織りにして作った織物であり、実質的に撚りのないたて糸と、強い撚りを有するよこ糸とを交互に織り込み生地にし、その後、精錬することにより製造される。生地の表面は、細かいしぼ(凹凸)を有する。しぼの凹凸は光の乱反射を導く。しぼは、絹織物100の風合いや染め上がりの色合いの豊かさに貢献できる。縮緬は、防しわ性に優れる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0039】
一実施形態において、絹織物シール10の用途等に応じて絹織物100の織物組織、撚糸構造、糸の太さ、密度、の少なくとも1つを選択することができる。例えば、絹織物100の少なくとも表面側に比較的高い強度を有するオプションを採用することができる。あるいは、絹織物100の少なくとも裏面側に薬剤の塗布に適したオプションを採用することができる。あるいは、外観性の要求に応じて、織物組織の種別を選択することができる。絹織物以外の織物についても適宜に同様である。
【0040】
追加的に、絹糸及び/又は絹織物100に所定の処理を施して絹織物シール10における所定の機能を向上させる及び/又は付加することができる。こうした機能としては、例えば、強度(引っ張り強度など)、耐摩耗性、耐候性(黄変・脆化抑制など)、透湿性、防水性、耐水性(撥水性)、耐薬性、洗濯性、外観性(光沢など)、防しわ性、熱特性、保温性、保冷性、柔軟性、及び難燃性などが挙げられる。絹織物以外の織物を使用する場合も同様にできる。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0041】
図2A、図2B、図2F、図2G、図2H、及び図2Iは、織物100を使用した織物シール10の全体形状の例を示す図である。
【0042】
図2Aにおいて、織物シール10は、全体的に、実質的長方形状を有する。織物100及びセパレータ(台紙)300は、互いに実質的に同じ形状及び/又は同程度の大きさを有することができる。図2Aにおいて、織物100及びセパレータ300は、X軸に沿った短軸と、Y軸に沿った長軸を有する。一実施形態において、Y軸は織物100のたて糸121(又はよこ糸122)に実質的に沿っており、X軸は織物100のよこ糸122(又はたて糸121)に実質的に沿っている。織物100の短軸、セパレータ300の短軸、織物100のよこ糸122(又はたて糸121)、及び織物100の1つの対称軸は、X軸に実質的に平行である。織物100の長軸、セパレータ300の長軸、織物100のたて糸121(又はよこ糸122)、及び織物100の1つの対称軸は、X軸に実質的に平行である。一実施形態において、織物100は、たて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有する。本実施形態において、セパレータ300は、たて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有する。織物組織(たて糸、よこ糸)と織物シール10における所定軸とのこのような関係は、織物シール10の優れた外観性に貢献する。他の実施形態において、織物100及びセパレータ300は、たて糸又はよこ糸と交差する軸を有する形状を有することができる。例えば、交差角度は、約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°にできる。
【0043】
図2Bにおいて、織物シール10は、全体的に、円形状、四角形状、菱形状、又は星形状を有する。織物シール10の織物100及びセパレータ(台紙)300は、互いに実質的に同じ形状及び/又は同程度の大きさを有することができる。代替的又は追加的に、織物シール10は、三角形状、五角形状、六角形状、楕円形状、又は他の形状を有することができる。織物シール10の輪郭は、直線、曲線、及びジグザグ線の少なくとも1つを含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。織物100及びセパレータ300は、Y軸に沿ったたて糸(又はよこ糸)又はX軸に沿ったよこ糸(又はたて糸)に沿った軸を有する形状を有することができ、又は、たて糸又はよこ糸と交差する軸を有する形状を有することができる。
【0044】
図2Cに示すように、織物シール10の製造プロセスの一例は、(a)織物100の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、及び必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。基材又は半製品は枚葉状又は巻物状で提供可能である。巻物の使用は、生産能力の向上に有利である。例えば、所定の基材のみからなる巻物が提供される。例えば、少なくとも1つの基材を含む複数の層が径方向に繰り返される巻物が提供される。例えば、所定の基材と別の基材との貼り合わせにおいて、少なくとも一方の基材を巻物にできる。
【0045】
図2Dに示すように、織物シール10の製造プロセスの別の一例は、(a)セパレータ300の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、及び必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。あるいは、織物シール10の製造プロセスの別の一例は、(a)一面に粘着材200(粘着材200の層)が配置されたセパレータ300を用意する工程、(b)粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、及び必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。基材又は半製品は枚葉状又は巻物状で提供可能である。巻物の使用は、生産能力の向上に有利である。例えば、所定の基材のみからなる巻物が提供される。例えば、少なくとも1つの基材を含む複数の層が径方向に繰り返される巻物が提供される。例えば、所定の基材と別の基材との貼り合わせにおいて、少なくとも一方の基材を巻物にできる。一例において、粘着材200及びセパレータ300の積層が径方向に繰り返される巻物(粘着材200とセパレータ300が交互に積層された構成を有する巻物)を用意できる。又は、セパレータ300、粘着材200、及び別のカバーシートが積層された積層シートを用意できる。カッティングにおいて、織物100、粘着材200、及びセパレータ300を同時に所定形状にカッティングする又は打ち抜くことができる。一例において、カッティング形状は、織物100の柄や文字を画像認識した結果に基づいて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0046】
図2Eに示すように、織物シール10の製造プロセスの少なくとも1つの工程において、製法上及び/又は取り扱い上等の必要に応じて、仮のセパレータ(カバーシート、保護シート)1300を少なくとも一時的に使用可能である。仮セパレータ1300は例えば半製品段階で使用される。一例において、仮セパレータ1300は、粘着材(200)が配置された所定の基材(例えば、セパレータ300)に貼り付けられるとともに、粘着材(200)を残してその基材(300)から剥がすことが可能である。また、一例において、仮セパレータ1300上に粘着材(200)が配置され、その粘着材(200)を介して仮セパレータ1300が所定の基材に貼り付けられる。また、一例において、粘着材(200)から仮セパレータ1300を剥がしながら、その粘着材(200)が配置された所定の基材(300)と別の基材(例えば、織物100)とが貼り合わせられる。
【0047】
図2Fにおいて、織物シール10は、全体的に、織物100が有する柄や文字の輪郭に概ね沿った輪郭を有する形状を有する。織物100及びセパレータ300は、互いに実質的に同じ形状及び/又は同程度の大きさを有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。一実施形態において、織物100は、たて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する、文字、図柄、及び模様の少なくとも1つを有する。図2Fにおいて、Y軸は織物100のたて糸(又はよこ糸)に実質的に沿っており、X軸は織物100のよこ糸(又はたて糸)に実質的に沿っている。文字の高さ軸、文字の幅方向の軸、文字の対称軸、文字の縦軸、文字の横軸、文字の並び方向の軸、図柄の高さ軸、図柄の幅方向の軸、図柄の対称軸、図柄の縦軸、図柄の横軸、及び/又は図柄の並び方向の軸は、X軸又はY軸に沿っている。これらの軸は、Y軸に沿ったたて糸(又はよこ糸)又はX軸に沿ったよこ糸(又はたて糸)に実質的に平行である。織物組織(たて糸、よこ糸)と織物シール10における文字、図柄、模様とのこのような関係は、織物シール10の高い外観性に貢献する。一実施形態において、織物100における文字、図柄、及び/又は模様は、織物組織に基づき表現される第1デザインと、製織後処理に基づき表現される第2デザインの少なくとも1つを含む。他の実施形態において、織物100は、たて糸又はよこ糸に実質的に交差する軸を有する、文字、図柄、及び模様の少なくとも1つを有することができる。例えば、交差角度は、約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°にできる。図2Fに示す織物シール10の製造プロセスは、図2A及び2Bのそれと概ね同じである。一例において、カッティング形状は、織物100の柄や文字を画像認識した結果に基づいて設定可能である。
【0048】
図2Gにおいて、織物シール10は、全体的に、巻物形状を有する。図2Gにおいて、例えば、セパレータ300、粘着材200、及び織物100の積層が径方向に沿って繰り返される。織物シール10の巻物は、直径に比べて幅(軸長さ)が大きい形態、直径と幅(軸長さ)が同程度である形態、又は直径に比べて幅(軸長さ)が小さい形態を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0049】
巻物状の織物シール10の幅及び長さは、織物100の原反寸法に実質的に合わせることができる。すなわち、織物シール10の巻物は、織物100の原反寸法と実質的に同じ幅及び長さを有することができる。あるいは、巻物状の織物シール10の幅及び長さは、織物100の原反寸法に実質的に無関係に定めることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。原反寸法は、様々な数値を取り得る。織物100が絹織物である場合の原反寸法の一例において、幅が約36、37、38、40、42、72、又は91cm、長さが約4、4.5、5.7、8、8.5、9、9.8、10、11.4、11.5、12、13.5、18、22、22.8、24、又は26mである。上記数値は一例であって本発明はこれに限定されない。
【0050】
一例において、巻物状の織物シール10の製造プロセスは、巻物から織物100を巻き出す工程、織物100の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、及びセパレータ300が付いた織物100を巻き取る工程を有する。代替的に、巻物状の織物シール10の製造プロセスは、セパレータ300の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、巻物から織物100を巻き出す工程、粘着材200を介してセパレータ300の一面に織物100を配置する工程、及びセパレータ300が付いた織物100を巻き取る工程を有することができる。さらに代替的に、巻物状の織物シール10の製造プロセスは、一面に粘着材200(粘着材200の層)が配置されたセパレータ300を用意する工程、巻物から織物100を巻き出す工程、粘着材200を介してセパレータ300の一面に織物100を配置する工程、及びセパレータ300が付いた織物100を巻き取る工程を有することができる。この場合、粘着材200及びセパレータ300の積層が径方向に交互に繰り返される巻物(粘着材200と織物100が交互に積層された構成を有する巻物)を用意できる。幅方向のカッティングは、例えば、セパレータ300が付いた織物100の巻物全体を直径全体にわたってカッティングする工程、織物100の原反を直径全体にわたって先にカッティングする工程、及び巻き出しから巻き取りまでの間に織物100を連続的にカッティングする工程のいずれかを含むことができる。また、巻物の織物100を平面的にさらにカッティングすることにより、所定長さ及び/又は幅を有する織物シール10や、図2A、図2B、又は図2Fの形態を有する織物シール10を得ることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0051】
他の実施形態において、図2Gに示す織物シール10の巻物からセパレータ300を省くことができる。この場合、巻物において、織物100及び粘着材200の積層が径方向に沿って繰り返される。すなわち、織物シール10の巻物は、粘着材200と織物100が交互に積層された構成を有する。セパレータ300の削除は、コスト削減、巻物のサイズ低減に有利である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0052】
一実施形態において、1つの基材上に粘着材200を介して別の基材を配置する処理に際し、熱処理により粘着材を軟化させることができ、又は、熱処理により少なくとも一部を溶融させることができる。適切な温度管理により、高品質の織物シール10を得ることができる。この場合、熱処理温度は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、織物100の組織構造、粘着材200の特性(軟化温度、溶融温度)等に応じて設定可能である。
【0053】
図2Hにおいて、織物シール10は、折ケイ(将来に折り目となる補助部(補助線)、折るための型)108を有する。折ケイ108は、織物シール10の一面又は両面に対して加工され得る。折ケイ108によって織物シール10を容易に折り曲げることができる。折ケイ108により、織物シール10を立体的な形状に容易に加工できる。なお、織物100は一般に比較的高い柔軟性を有することから、折ケイ108が無い織物シール10を立体的な形状に加工することもできる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。折ケイ108は、織物100のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成でき、又は、たて糸又はよこ糸と交差するように(例えば、交差角度が約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°)形成できる。これらは、使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて選択・設定できる。たて糸又はよこ糸に沿った折ケイは、織物100の折り曲げやすさに貢献できる。たて糸又はよこ糸と交差する折ケイは、織物100の折り曲げ疲労の抑制に貢献できる。将来に折り目となる補助部(補助線)として、折ケイ以外の形態を採用できる。一例において、部分膜(線状膜、エリア膜)を織物100に配置できる。他の一例において、折りを補助する組織構造を織物100が有することができる。さらに他の一例において、織物100が、一面内で部分的に厚み構造及び/又は柔軟性が変化した形態を有することができる。織物100の厚み構造及び/又は柔軟性の変化は、織物100の厚み、織物100の層数、粘着材200の材質、粘着材200の厚み、粘着材200の層数、及び表面及び/又は裏面処理材(コーティング材など)の少なくとも1つの変化を有することができる。
【0054】
また、一例において、織物シール10は、折ケイ108を中心に左右対称の全体形状(線対称な形状)を有する。すなわち、折ケイ108の一方側の第1部分の形状と、他方側の第2部分の形状とが鏡像関係を有する。本例において、折ケイ108は対称軸である。折ケイ108を境に織物シール10を折り返すことにより、一方が他方に重なる。この場合、織物100の裏面同士を貼り合わせることにより、織物100の裏面が隠れ、織物100の表面のみが露出した状態が得られる。さらに、露出した両側2つの表面のうちの一方に粘着材200を配することができる。これを実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500に取り付けることにより、一方側において、織物100の表面を対象物500が通して観察されるとともに、他方側において、織物100の表面が対象物500を介さずに直接的に観察される。この場合、例えば、商店のガラス窓に織物シール10を取り付けることができ、店内及び店外から織物100の表面が観察可能である。代替的に、織物シール10は、2以上の部分を折り返すことにより、織物100の裏面が隠れる形状を有することができる。また、代替的に、織物シール10は、折り返した場合に、織物100の裏面の一部が隠れない形状を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0055】
図2Iにおいて、織物シール10は、折ケイ108と、切り目110と、止め刃112とを有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。折ケイ108や折り目100は、織物100のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成でき、又は、たて糸又はよこ糸と交差するように(例えば、交差角度が約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°)形成できる。これらは、使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて選択・設定できる。図2Iの織物シール10は、例えば、御幣や玉串に使用される紙垂のような形状に加工することができる。
【0056】
図3A、図3B、及び図3Cは、織物シール10の全体形状の他の例を示す図である。図3A−図3Cにおいて、織物100の1片が、セパレータ(セパレータ)300に比べて小さいサイズを有することができる。一つの織物シール10において、一つのセパレータ300に対して、織物100を単数片又は複数片にできる。
【0057】
図3Aにおいて、織物シール10は、織物100に設けられた切込み線106を有する。切込み線106に沿って織物100の一片をセパレータ300から離間することが可能である。図3Aにおいて、織物100の全体の形状及び全体の大きさは、セパレータ300のそれと実質的に同じにできる。この場合、織物シール10の面全体にわたって織物100の色彩、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つが観察可能である。切込み線106は、織物100の一片の周囲に実質的にわたって形成される。切込み線106の形状は、直線及び/又は曲線を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。切込み線106は、織物100のたて糸又はよこ糸に沿うように形成でき、又は、たて糸又はよこ糸と交差するように(例えば、交差角度が約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°)形成できる。これらは、使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて選択・設定できる。図3Aにおいて、織物100の一片が別の一片と実質的に離間する又は隣接することができる。あるいは、切込み線106が実質的に幅を有することができる。図3Aに示す織物シール10の製造プロセスは、例えば、織物100の一面に粘着材200を配置する工程、粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、及び織物100に切込み線106を設ける工程を有する。切込み線106の形成プロセスにおいて、織物100、及び粘着材200を同時に所定形状にカッティングする又は打ち抜くことができる。一例において、切込み線106の形状は、織物100の柄や文字を画像認識した結果に基づいて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0058】
図3Bに示す織物シール10は、図3Aの織物シール10の変形例である。図3Bにおいて、織物100の柄の輪郭に沿った形状を切込み線106が有することができる。あるいは、動物や花などの所定の図柄の輪郭に実質的に沿った形状を切込み線106が有することができる。あるいは、切込み線106が文字の輪郭に実質的に沿った形状を有することができる。あるいは、織物100の一片の輪郭の凸部が織物100の別の一片の輪郭の凹部に組み込まれるように、切込み線が凸凹形状を有することができる。図3Bに示す織物シール10の製造プロセスは、図3Aのそれと概ね同じである。一例において、切込み線106の形状は、織物100の柄や文字を画像認識した結果に基づいて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0059】
図3Cにおいて、セパレータ300上に、所定形状の織物100の片が配置されている。1つのセパレータ300上に、同じ形状の織物100の複数片を配置できる。あるいは、1つのセパレータ300上に、互いに異なる形状の織物100の複数片を配置できる。織物100の片が配置されていない領域において、セパレータ300の一面が露出している。図3Cにおいて、織物100の片は、全体的に、円形状、四角形状、菱形状、又は星形状を有することができる。代替的又は追加的に、織物100の片は、三角形状、五角形状、六角形状、楕円形状、又は他の形状(例えば、人間・動物の形状、植物の形状、乗り物の形状、建物の形状、果物・野菜の形状、菓子の形状など)を有することができる。あるいは、織物100は、織物構造が互いに異なる複数片100A,100B,100Cを含むことができる。あるいは、織物シール10は、織物100の片と織物以外の材質からなる片600とが一つのセパレータ300上に配置された構成を有することができる。あるいは、織物シール10は、織物100の片と織物以外の材質からなる片600とを含む片がセパレータ300上に配置された構成を有することができる。例えば、織物シール10は、セパレータ300上に他材質の片600が配され、その他材質の片600上に織物100の片が配置された構成を有することができる。上記の他材質の片600は、色彩、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つを有することができる。例えば、他材質の片600は、織物100に関する情報及び/又は織物100の使用方法に関する情報を含む文字を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0060】
図3Cに示す織物シール10を製造するためのプロセスの一例は、例えば、織物100の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、粘着材200を介して織物100の一面にセパレータ300を配置する工程、織物100に切込み線106を設ける工程、及び所定片以外の織物100をセパレータ300から除去する(剥がす)工程とを有する。代替的に、製造プロセスの別の一例は、セパレータ300の一面に粘着材200を配置する工程、必要に応じて粘着材200に対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、粘着材200を介してセパレータ300の一面に織物100を配置する工程、織物100に切込み線106を設ける工程、及び所定片以外の織物100をセパレータ300から除去する(剥がす)工程とを有することができる。さらに代替的に、製造プロセスの別の一例は、一面に粘着材200(粘着材200の層)が配置されたセパレータ300を用意する工程、粘着材200を介してセパレータ300の一面に織物100を配置する工程、織物100に切込み線を設ける工程、及び所定片以外の織物100をセパレータ300から除去する(剥がす)工程とを有することができる。一例において、織物100の片の形状は、織物100の柄や文字を画像認識した結果に基づいて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0061】
一実施形態において、粘着材200として様々な粘着材(接着性物質)を使用することができる。例えば、粘着材200は、常温で粘着性を発現することができる。あるいは、粘着材200は、常温で粘着性を発現せず、所定の処理により粘着性を発現することできる。粘着材200として、水溶性粘着材、及び溶剤系粘着材などが挙げられる。一例として、アクリルエマルション樹脂系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤が挙げられる。粘着材は、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を含むことができる。粘着材(接着性物質)としての高分子化合物は、天然系(セルロースなど)、付加系(ビニルアルコール系など)、又は縮合系(ウレタン系など)を使用できる。粘着材(接着性物質)は、感圧接着剤、又は水性接着剤(水性媒体中に分散された接着剤、ウェットグルー)を含むことができる。水性接着剤・ウェットグルーの使用に際し、織物100は透水性を有することができる。代替的又は追加的に、人体や生物の肌に刺激の少ない粘着剤を選択的に使用することができる。あるいは、粘着材200として、再剥離可能なものを選択的に使用することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0062】
織物シール10においては、織物100の組織構造が織物100に対する粘着材200の浸透性に関係する。使用する粘着材200の種類や粘度は、織物100の組織構造に基づき決定することができる。適切な粘着材200の使用により、粘着材200が生地表面にしみ出てくるのを防ぐことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0063】
代替的又は追加的に、図4及び図5に示すように、織物100の一面にアンカー処理(アンカーコーティング処理、補処理、下地処理、バリア処理)を施すことができる。図4において、織物100の一面にアンカー材(補材、下地材、バリア材)210が配置される。すなわち、織物100と粘着材200との間にアンカー材(補材、下地材、バリア材)210が配置される。図5に示すように、アンカー材210を、織物100の疎の部分及び密の部分を含む実質的全面に配置することができる。あるいは、アンカー材を、織物100の組織構造など、所定の形状やパターンに応じてパターン配置及び/又は部分配置できる。アンカー材210を、織物100の疎の部分にのみ主に配置し、密の部分に実質的に配置しない又は比較的少量配置することができる。あるいは、疎の部分におけるアンカー材210の膜厚を比較的大きく、密の部分におけるアンカー材210の膜厚を比較的小さくできる。一例において、アンカー材(補材、下地材、バリア材)210は、粘着材200に比べて強い接着力(粘着力)及び/又は高い硬度(高い粘度)を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0064】
アンカー材210が粘着材200に対するバリア層として機能できる。アンカー材210は、粘着材200の種類及び粘度における選択性を広げることができる。さらに、アンカー材210は、織物100の柔軟性を補完する機能を発揮することができる。適切なアンカー材210の使用により、アンカー材210が織物100を強固にできる。すなわち、アンカー材210は、織物100の特性の1つである組織構造上における液浸透性に関する課題と、織物100の特性の別の1つである軟性に関する課題との解決に貢献する。また、アンカー材210は、織物100と粘着材200との間の接合力の強化に貢献する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0065】
代替的又は追加的に、アンカー材210が、粘着材200に向かう所定物質に対するバリア層(外部物質の浸透防止層)として機能できる。この場合、例えば、所定物質は粘着材200の機能を低下させる可能性がある。アンカー材210は、外部からの所定の物質が織物100を通過して粘着材200に到達するのを、抑制する、防止する、及び/又は遮断する機能を有することができる。一例において、織物100を介した粘着材200への水分の到達が抑制されることにより、粘着材200の機能低下(粘着力の低下、分離及び/又は剥離)を抑制し、粘着材200の粘着性能を安定的に維持できる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0066】
使用するアンカー材210の種類、粘度、膜厚は、織物100の組織構造、及び使用する粘着剤の少なくとも1つに基づき決定することができる。一例として、ニス系、メジウム系、樹脂系などが挙げられる。適切なアンカー材210の使用により、織物100の風合いを保ちつつ、シールとしての適切な機能を得ることができる。水分の遮断性に優れたアンカー材210を選択的に使用することにより、水分による粘着材200の機能低下を抑制できる。例えば、織物100と相性が良く、粘着材200と相性が良く、水分の遮断性に優れたアンカー材210が選択され得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0067】
また、アンカー材210は、織物100における切断端面(切断部)のほつれの防止にも貢献できる。すなわち、アンカー材210の一部が織物100の組織内に配されることで、織物100の組織構造の強化(組織の実質的固定化)がなされる。織物100の縁付近のみにアンカー材210を配置できる。また、織物100の第1部分(例えば縁付近)と第2部分(例えば他の部分)との間で、アンカー材210の種類、粘度、及び膜厚の少なくとも1つについて異なるものにできる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0068】
一実施形態において、アンカー材210として、シート状の部材(シート材、フィルム材)を用いることができる。一例において、シート材(フィルム材)は、多孔構造、網目構造、凹凸構造、突起構造、極薄構造、浸透構造、及び柔軟構造等の少なくとも1つを有することができる。こうした構造は、織物100と粘着材200との間の接合力の確保に有利になり得る。シート材(フィルム材)として、物理的加工処理、化学的処理、光学的処理、及び/又は熱的処理により、織物100と粘着材200との間の接合を促進させる機能を発現する材料(バインダ材料、バインダ繊維)を選択することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0069】
なお、適切な粘着材200の使用により、アンカー材210を省くこともできる。また、粘着材200が織物100を強固にすることもできる。この場合、粘着材200は、織物100の組織構造上における液浸透性に関する課題と、軟性に関する課題との解決に貢献する。例えば、粘着材200の膜(粘着膜、粘着層)が予め形成された面を有するセパレータ300を、織物100の一面に貼り付けることにより、織物シール10を提供できる。織物シール10(織物100)の一面における少なくとも大部分の領域において、織物100の糸の内部に対して粘着材200が実質的に非浸入状態又は低浸入状態にできる。熱処理、光処理、及び液処理等の追加的な処理により、追加処理部分における粘着材200の浸入状態を部分的に他の部分と異ならせることができる。例えば、織物100の一面における少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95%以上の領域において、織物100の糸の内部に対して粘着材200が実質的に非浸入状態にできる。非浸入状態部分の織物100の断面において、粘着材200の少なくとも一部が織物100の組織構造の間隙に配置できる(隙間に入り込むことができる)。織物100の組織構造に応じて、粘着材200の材質、特性、進入率等を設定できる。進入率が低い(入り込む距離が短い)場合、織物100の元々持つ風合いが損なわれるのが抑制される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0070】
図6A及び図6Bはそれぞれ、織物シール10の拡大断面構造を模式的に示す図である。一実施形態において、織物100の素材(糸)に対する、粘着材200の浸透率が制御され得る。織物100の素材(糸)の内部への粘着材200の浸透率(例えば、糸に対する粘着材の重量比)は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200%、又はそれ以上にできる。あるいは、織物100の素材(糸)の内部への粘着材200の浸透を実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高浸透率の織物シール(織物シート)10において、高い剛性や強度を得ることができる。低浸透率の織物シール(織物シート)10において、粘着材200の浸透に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ150%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ100%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ80%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ50%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ20%以下である。浸透率は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0071】
一実施形態において、織物100に対する粘着材200の進入率が制御される。図6A及び図6Bにおいて、織物100の組織構造の間隙において、粘着材200が入り込む距離h1は、例えば、織物100の厚みt1の約90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれ以下にできる(進入率)。あるいは、織物100の組織構造の間隙への粘着材200の進入を、実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高進入率の織物シール(織物シート)10において、高い剛性や強度を得ることができる。低進入率の織物シール(織物シート)10において、粘着材200の進入に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ50%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ40%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ30%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ20%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ10%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ5%以下である。進入率は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0072】
一実施形態において、織物100と粘着材200の表面との間の空隙(209)の有無又はその割合が制御される。図6Aにおいて、織物100と粘着材200とが密に接し、織物100と粘着材200の表面との間の空隙が実質的に存在しない。すなわち、織物100の糸の表面のうちの粘着材200に面する表面の実質的に全体が粘着材200に接している。換言すると、たて糸とよこ糸と粘着材200とに囲まれた空隙(空間)が実質的に存在しない。こうした低空隙の織物シール(織物シート)10において、高い剛性や強度を得ることができる。図6Bにおいて、織物100と粘着材200とが疎に接し、織物100と粘着材200の表面との間の空隙209が存在する。換言すると、織物100の糸の表面のうちの粘着材200に面する表面の少なくとも一部が粘着材200に非接触状態である。あるいは、図6Bの織物シール(織物シート)10において、たて糸とよこ糸と粘着材200とに囲まれた空隙(空間)209が存在する。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。多くの空隙209を有する織物シール(織物シート)10において、粘着材200の影響による織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。空隙209の有無やその割合は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0073】
一実施形態において、織物100に面する側の、粘着材200の表面201の形状が制御され得る。織物100の一面は微細凹凸構造を含む。織物100の微細凹凸構造に少なくとも一部が接する粘着材200の面の形状が制御されている。粘着材200の表面201の形状は、織物シール(織物シート)10の製造プロセス及び条件に応じて変化する。高い剛性や強度を織物100に与える表面形状が得られるように、織物シール(織物シート)10の製造プロセス及び条件の選択が可能である。また、粘着材200の影響による織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制されるような表面形状が得られるように、織物シール(織物シート)10の製造プロセス及び条件の選択が可能である。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。製造プロセス及び条件は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0074】
粘着材200は、単層、又は実質的複数層にできる。粘着材200において、織物100に接する面とセパレータ300に接する面との間で仕様(材質や特性)等が異なることができる。例えば、図6Cに示すように、複数層の粘着材200において、織物100に接する層202とセパレータ300に接する層203との間で仕様(材質、硬度、厚み、色、透明度、模様等)が異なることができる。積層数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上にできる。また、粘着材200は、面内で部分的に、材質や特性等が異なることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0075】
図6Dにおいて、織物シール(織物シート)10は、表側(観察側)から粘着材(又はアンカー材)を直接的に観察可能な状態、又は、表側から直接的には粘着材(又はアンカー材)を実質的に観察できない状態に設定できる。すなわち、織物100の表側における粘着材の観察状態が制御可能である。織物100の組織構造は、平織組織、又は別の組織を有することができる。表側からの粘着材の被観察状態を制御することにより、色彩、陰影、模様、文字、及び/又は図柄等の被観察状態を制御可能である。織物100の組織構造の窪みにおける粘着材の状態(粘着材の有無、粘着材の量、粘着材の表面積、粘着材の厚み、粘着材の分布)が制御可能である。一例において、織物100の表面における組織構造の窪み125(織物100の表層における、互いに隣接する糸同士の境界部分の窪み125、織物100の表面の窪み)に粘着材が存在する場合、特に、窪み(境界部分)125において粘着材が直接的に観察可能である場合、例えば、織物100の組織構造に基づく陰影が粘着材によって抑制され得る。別の一例において、織物100の表面における組織構造の窪み125(互いに隣接する糸同士の境界部分125)に粘着材が実質的に存在しない場合、あるいは窪み(境界部分)125において粘着材が実質的に観察されない場合、例えば、織物100の組織構造に基づく陰影が効果的に観察され得る。
【0076】
また、図6Dにおいて、織物100の組織構造が隙間126を有する場合(組織構造が実質的に疎の構造の場合)において、表側から隙間126を介して粘着材(又はアンカー材)を直接的に観察可能な状態、又は、表側から隙間126を介して直接的には粘着材(又はアンカー材)を実質的に観察できない状態にできる。一例において、織物100の表側から隙間126を介して粘着材を直接的に観察可能な場合、その隙間126内における粘着材の表面高さ(又はアンカー材の表面高さ)を制御することにより、例えば、織物100の組織構造に基づく陰影を制御可能である。一例において、織物100の表側から隙間126を介して粘着材(又はアンカー材)を直接的に観察可能な場合、その隙間126内における粘着材(又はアンカー材)の色及び/又は光学特性を制御することにより、例えば、織物100の色彩、陰影、模様、文字、及び/又は図柄等の被観察状態を制御可能である。なお、織物100の組織構造が実質的に隙間を有さない場合(組織構造が実質的に密の構造の場合)、あるいは疎の組織構造を有する織物100の表側から隙間126を介して直接的には粘着材(アンカー材)を実質的に観察できない場合においても、粘着材(又はアンカー材)の色及び/又は光学特性を制御することにより、例えば、織物100の色彩、陰影、模様、文字、及び/又は図柄等の被観察状態を制御可能な場合がある。
【0077】
粘着材(又はアンカー材)は、実質的に無色である、又は色を有することができる。織物100の組織構造、色彩、陰影、模様、文字、及び/又は図柄等に応じて、粘着材(又はアンカー材)の色相、色度、及び/又は彩度が設定され得る。一例において、粘着材(又はアンカー材)は、比較的明るい色を有する、比較的暗い色を有する、織物100の色と同系の色を有する、織物100の色と所定の関係にある色を有する、面全体が均一な色を有する、又は、一面における少なくとも部分的に色の変化を有する、ことができる。粘着材(又はアンカー材)は、光吸収性及び/又は光反射性を有することができる。例えば、粘着材(又はアンカー材)は、光吸収性及び/又は光反射性を有する粒子を含有することができる。
【0078】
一実施形態において、下層の糸(ここで、織物組織において表面に近い側の糸を上層の糸、表面から遠い側の(表面とは反対側の)糸を下層の糸と適宜称する。)に対する粘着材200(又はアンカー材)の高さが制御される。図6Eにおいて、下層又は最下層の糸(123)の厚み(外径)t2に対する、粘着材200の高さ(浸透高さ、進入高さ)h2の割合(下層進入率)は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はそれ以上にできる。あるいは、下層又は最下層の糸(123)の厚みt2に対する、粘着材200(又はアンカー材)の浸透高さ(進入高さ)h2を、実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高進入の織物シール(織物シート)10において、高い剛性や強度を得ることができる。低進入の織物シール(織物シート)10において、粘着材200(又はアンカー材)の進入に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ100%以下である。あるいは、低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ80%以下である。あるいは、低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ60%以下である。あるいは、低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ40%以下である。あるいは、低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ20%以下である。あるいは、低進入の一例において、下層進入率は、0%以上かつ10%以下である。下層進入率は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。密な組織構造を有する織物100において、下層侵入率が100%未満であることにより、表側(観察側)からの粘着材200(又はアンカー材)の直接的な被観察状態を回避及び/又は抑制可能である。疎な組織構造を有する織物100において、下層侵入率が50%未満であることにより、表側(観察側)からの粘着材200(又はアンカー材)の直接的な被観察状態を回避及び/又は抑制可能である。進入率は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0079】
一実施形態において、上層の糸に対する粘着材200の高さが制御される。図6Fにおいて、上層又は最上層の糸(124)の厚み(外径)t3に対する、粘着材200の高さ(浸透高さ、進入高さ)h3の割合(上層進入率)は、例えば、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれ以下にできる。あるいは、上層又は最上層の糸(124)の厚みt3に対する、粘着材200の浸透高さ(進入高さ)h3を、実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高進入の織物シール(織物シート)10において、高い剛性や強度を得ることができる。低進入の織物シール(織物シート)10において、粘着材200の進入に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低進入の一例において、進入率は、50%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、40%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、30%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ20%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ10%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ5%以下である。密な組織構造を有する織物100において、上層侵入率が50%未満であることにより、表側(観察側)からの粘着材200(又はアンカー材)の直接的な被観察状態を回避及び/又は抑制可能である。疎な組織構造を有する織物100において、上層侵入率が1%未満であることにより、表側(観察側)からの粘着材200(又はアンカー材)の直接的な被観察状態を抑制可能である。進入率は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0080】
一実施形態において、図6Gに示すように、織物100は、表面側に配される上部105と、裏面側(粘着材200の近傍)に配される下部106との間で、同一又は異なる特性(物理的特性、化学的特性、光学的特性、熱的特性、素材等)を有することができる。別の一実施形態において、織物100は、表面側に配される上部105、裏面側(粘着材200の近傍)に配される下部106、及び上部と下部との間の中間部107のうち、少なくとも一部が他の部に対して同一又は異なる特性(物理的特性、化学的特性、光学的特性、熱的特性、素材等)を有することができる。織物100の一例において、下部106又は中間部107が他の部に比べて組織構造の全体的な密度が異なる。例えば、上部105が全体的に疎であり、下部106が全体的に密にできる。例えば、上部105が全体的に密であり、下部106が全体的に疎にできる。例えば、上部105が全体的に疎、中間部107が全体的に密、下部106が全体的に疎にできる。例えば、上部105が全体的に密、中間部107が全体的に疎、下部106が全体的に密にできる。各部における組織構造の密度は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材200の特性等に応じて設定可能である。織物100の別の一例において、上部105及び下部106がともに疎又は密にできる。織物100における二重織などの積層構造は、織物100と粘着材200と接合力の確保、及び/又は織物100の風合いの確保に有利になり得る。織物100の下面における多数の凹凸は、織物100と粘着材200との接触面積の増大/接合力の確保に有利になり得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0081】
また織物100の一例において、下部106又は中間部107が他の部に比べて全体的な柔軟性又は硬さが異なる。例えば、上部105が全体的に比較的柔軟であり、下部106が全体的に比較的硬質である。例えば、上部105が全体的に比較的硬質であり、下部106が全体的に比較的柔軟にできる。例えば、上部105が全体的に比較的柔軟、中間部107が全体的に比較的硬質、下部106が全体的に比較的柔軟にできる。例えば、上部105が全体的に比較的硬質、中間部107が全体的に比較的柔軟、下部106が全体的に比較的硬質にできる。各部における組織構造の柔軟性又は硬さは、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材200の特性等に応じて設定可能である。織物100の上部105における柔軟性は、織物100の風合いの確保に有利になり得る。織物100の下部106又は中間部107における硬質は、織物100と粘着材200との間の接触面積の増大/接合力の確保に有利になり得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0082】
また織物100の一例において、下部106又は中間部107が他の部に比べて糸の表面粗さ(平滑度)が異なる。例えば、上部105の糸表面の平滑度が全体的に比較的高く、下部106の糸表面の平滑度が全体的に比較的低く(表面が粗く)できる。例えば、上部105の糸表面の平滑度が全体的に比較的低く、下部106の糸表面の平滑度が全体的に比較的高くできる。例えば、上部105の糸表面の平滑度が全体的に比較的高く、中間部107の糸表面の平滑度が全体的に比較的低く、下部106の糸表面の平滑度が全体的に比較的高くできる。例えば、上部105の糸表面の平滑度が全体的に比較的低く、中間部107の糸表面の平滑度が全体的に比較的高く、下部106の糸表面の平滑度が全体的に比較的低くにできる。各部における糸表面の平滑度(粗さ)は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、粘着材200の特性等に応じて設定可能である。織物100の上部105の糸表面の平滑性は、織物100の風合いに関係する場合がある。織物100の下部106又は中間部107の糸表面の平滑性(表面粗さ)は、織物100と粘着材200との間の接触面積/接合力に関係する場合がある。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0083】
織物100において、上部105及び下部106の間、又は、上部105、下部106、及び中間部107の間で、特性(物理的特性、化学的特性、光学的特性、熱的特性、素材等)が異なることは、織物100の風合いの確保と、織物100と粘着材200との間の接合力の確保の両立に有利になり得る。なお、図6Gにおいて、代表的に織物100の厚み方向の2つ又は3つの部分に分けて比較した場合を示しているが、4以上の部分に分けて比較してもよい。また、こうした特性は、織物100の厚み方向の変化に限らず、織物100の面内での変化を有してもよい。織物100に対する物理的加工処理、化学的処理、光学的処理、及び/又は熱的処理により、織物100における部分的な特性の変化を得ることが可能である。あるいは、部分的に素材(単独素材、又は素材の組み合わせ)を異ならせることにより、織物100における部分的な特性の変化を得ることが可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0084】
一実施形態において、図6H及び図6Iに示すように、粘着材200に接するセパレータ300の一面が実質的な凹凸構造を有することができる。図6Hにおいて、セパレータ300の一面301が複数の突起部305を有する。突起部305の形状、数(密度)、及び/又は剛性は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、織物100の組織構造、粘着材200の特性等に応じて設定可能である。図6Iにおいて、セパレータ300の一面301上に複数の粒子306が配置されている。あるいは、セパレータ300上の粘着材200が複数の粒子306を含む。粒子306の形状、数(密度)、及び/又は剛性は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、織物100の組織構造、粘着材200の特性等に応じて設定可能である。粘着材200に接するセパレータ300の一面が実質的な凹凸構造を有することは、織物100と粘着材200との間の接触面積の増大/接合力の確保に有利になり得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0085】
図6J、図6K、及び図6Lは、粘着材200の配置例を示す図である。
【0086】
図6Jにおいて、粘着材200は、織物100の一面の全体又は部分に配置することができる。部分配置は、織物100の素材感、質感を発揮する上で有利になり得る。部分配置において、例えば、粘着材200は、織物100の縁部を除く領域に配置することができる。あるいは、粘着材200は、織物100の縁部に環状に配置することができる。あるいは、粘着材200は、織物100の一面における、互いに離間する複数の領域に分けて配置することができる。織物シール10に立体的な形状を与えることを目的として、粘着材200の部分配置が適宜に利用可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0087】
図6Kにおいて、粘着材200は、織物100の少なくとも中央付近に部分的に配置することができる。あるいは、粘着材200は、織物100の少なくとも角部に部分的に配置することができる。あるいは、粘着材200は、織物100の一面における中央領域を挟んだ横方向の両端部に部分的に配置することができる。この形態は、例えば口を覆うマスクに取り付けるのに好適である。あるいは、粘着材200は、織物100の一面における、クロス領域に配置することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0088】
図6Lにおいて、粘着材200は、長尺状の織物100の一面の実質的全体に配置することができる。長尺状の織物100において、幅に対する長さの比は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1000、5000、又はそれ以上である。あるいは、粘着材200は、長尺状の織物100における少なくとも1つの長辺付近の領域に長辺に沿って部分的に配置することができる。あるいは、織物100における少なくとも1つの短辺付近の領域に短辺に沿って部分的に配置することができる。この形態は、例えば付箋などに好ましく適用される。あるいは、粘着材200は、一つの織物100上に配置される互いに特性が異なる複数の材料200X,200Yを含むことができる。あるいは、粘着材200は、光処理、熱処理、液処理などの所定処理により他の部分200Y(又は200X)に比べて部分的に特性(硬度、粘着性など)が変化した部分200X(又は200Y)を含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0089】
一実施形態において、セパレータ(台紙)300は、シート状の部材からなり、例えば紙、合成紙(フィルム又は紙に属する場合がある)、フィルム、布、合成樹脂などを用いることができる。また、セパレータ300は、離型機能を有することができる。セパレータ300において、基材にシリコンなどの離型剤を塗布することができる。一例において、基材の少なくとも一面に対して離型剤処理(シリコン処理など)が施されている。あるいは、セパレータ300において、基材自体が離型性を有することができる。この場合、セパレータ300の一例として、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン)、シリコン樹脂フィルムなどが挙げられる。また、セパレータ300の一例において、基材の片面又は両面に樹脂膜(ポリエチレンなど)がラミネートされ、その少なくとも一面に対して離型剤処理(シリコン処理など)が施されている。なお、セパレータ300は、柄、文字などが印刷された印刷層を有することもできる。
【0090】
一例において、セパレータ300(剥離紙、剥離材)は、シリコーン層、ポリエチレン層、及び紙層(上質紙、クラフト紙など)を含む、実質的に少なくとも3層構造を有することができる(ポリエチレンラミネートタイプ)。一例において、セパレータ300は、シリコーン層、及び紙層(クラフト紙、パーチメント紙など)を含む、実質的に少なくとも2層構造を有することができる(グラシンタイプ)。一例において、セパレータ300は、シリコーン層、及びスーパーカレンダード紙を含む実質的に少なくとも2層構造を有することができる(スーパーカレンダードタイプ)。一例において、セパレータ300は、シリコーン層、クレーバインダー層、及び紙層(上質紙、クラフト紙など)を含む、実質的に少なくとも3層構造を有することができる(クレーコートタイプ)。一例において、セパレータ300は、シリコーン層、水系樹脂層(ポリビニルアルコール(PVA)、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)など)、及び紙層(上質紙、クラフト紙など)を含む、実質的に少なくとも3層構造を有することができる(水系樹脂タイプ)。一例において、セパレータ300は、シリコーン層、及びプラスチックフィルム層(ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン(PE)など)を含む、実質的に少なくとも2層構造を有することができる(フィルムタイプ)。
【0091】
図7A、図7B、図7C、及び図7Dは、セパレータ300の形態の例を示す図である。
【0092】
図7Aにおいて、一つの織物100の面全体に対して1枚のセパレータ300を配置することができる。あるいは、一つの織物100の面全体に対して複数枚のセパレータ300を配置することができる。すなわち、セパレータ300は、実質的な分割用のスリット302を有することができる。一つの織物100に対するセパレータ300の分割の数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20以上にできる。スリット302は、セパレータ300を実質的均等に分割するように設けることができる。あるいは、スリット302は、セパレータ300を実質的不均等に分割するように設けることができる。例えば、対象物に対する織物シール10の取り付けやすさを考慮して、スリット302の数、位置、及び形状の少なくとも1つを設定することができる。織物100は、高い柔軟性を有する場合が多い。スリット302の形態の最適化により、織物100のしわ発生などの取り付け時の不具合を回避することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。図7Aにおいて、セパレータ300の全体形状の軸が織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成でき、スリット302が織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成できる。代替的に、セパレータ300が織物のたて糸又はよこ糸と交差するように形成でき、スリット302が織物のたて糸又はよこ糸に交差するように形成できる。
【0093】
図7Bにおいて、セパレータ300は、先に除去される(剥がされる)、比較的小サイズのセパレータ300Aと、後で除去される(剥がされる)、比較的大サイズのセパレータ300Bとを含むことができる。スリット302は、直線形状及び/又は曲線形状を有することができる。最初に除去される(剥がされる)セパレータ300Aのサイズが比較的小さいことにより、対象物に対する織物シール10の位置や姿勢を容易に制御することができる。一例において、小サイズのセパレータ300Aは、織物シール10の短辺付近に配される。あるいは、小サイズのセパレータ300Aは、織物シール10の長辺における中央付近に配される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0094】
図7Cにおいて、長尺の織物シール10に対して、幅方向の中央位置で長軸方向に沿って延びる幅狭パターンを有するセパレータ300Cを設けることができる。この場合、セパレータ300A又はセパレータ300Cを先に織物シール10から除去し(剥がし)、セパレータ300Bを後で織物シール10から除去することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0095】
図7Dにおいて、セパレータ300の全体形状の軸が織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成でき、スリット302が織物のたて糸又はよこ糸に実質的に交差するように形成できる。スリット302は、直線、折れ曲げ線、及び曲線の少なくとも1つを有することができる。交差角度は、約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°にできる。織物組織(たて糸、よこ糸)と織物シール10におけるセパレータ300の全体形状との間の実質的平行関係は、織物シール10の優れた外観性に貢献する。織物組織(たて糸、よこ糸)とスリット302との間の交差関係は、織物100の疲労の抑制に貢献できる。
【0096】
以上説明したように、織物100に粘着材200を配することにより、織物100の汎用性が向上し、その結果、織物100の利用促進を図ることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0097】
図8Aは、図1に示す形態の変形例である、織物シール(織物シート)20を示す図である。なお、以下の図において、図1から図7Dに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0098】
図8Aにおいて、織物シール(織物シート)20は、織物100と、粘着材200とを備える。一実施形態において、粘着材200が織物100の一面に配される。すなわち、本実施形態において、織物シート20は、織物100、及び粘着材200を含む少なくとも2層構造を有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0099】
一実施形態において、粘着材200は、所定の処理が施されることで粘着性を発現することができる。例えば、粘着材200は、熱処理、光処理、液処理、及び圧力付与処理等の少なくとも1つが施されることで粘着性を発現する。粘着材200の一例として、水溶性粘着材、溶剤系粘着材、及びホットメルトなどが挙げられる。一例として、でんぷん(エマルション、溶剤)、ホットメルト(UV硬化型、ゴム系、エマルション系、ウレタン系)、アクリルエマルション樹脂系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤が挙げられる。
【0100】
一実施形態において、粘着材200は常温では固形または半固形であり、粘着性は低い。対象物500上に配置し、所定の処理を施すことにより、粘着材200の粘着性が発現し、粘着材200を介して対象物500に織物100が取り付けられる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0101】
このように、上記実施形態によれば、図1の形態に比べて、セパレータ300を省くことが可能である。なお、図8Aにおいて、織物100の表面(生地表面)を対象物500と反対側に向けて配置することができる。この場合、対象物500とは反対側から織物100の第1面102が観察される。あるいは、織物100の表面(生地表面)を対象物500に向けて配置することができる。この場合、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して織物100の第2面104が観察される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0102】
代替的に、2層構造の織物シート20において、粘着材200は常温で粘着性を発現することができる。例えば、図2Gに示した形態と同様に、織物シート20が巻物形状を有する場合、セパレータを不要にできる。この場合、巻物において、織物100及び粘着材200の2層構造が径方向(厚み方向)に沿って繰り返される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0103】
図8Bは、図1に示す形態の変形例である、織物シート22を示す図である。なお、以下の図において、図1から図8Aに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0104】
図8Bにおいて、織物シート22は、織物100と、取付材260とを備える。一実施形態において、取付材260が織物100の一面に配される。すなわち、本実施形態において、織物シート22は、織物100、及び取付材260を含む少なくとも2層構造を有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0105】
一実施形態において、取付材260は、所定の処理が施されることで収縮性を発現することができる(収縮できる(シュリンクできる))。例えば、取付材260は、熱処理、光処理、液処理、及び圧力付与処理等の少なくとも1つが施されることで収縮性を発現する。取付材260の一例として、延伸フィルム、及び熱収縮フィルムなどが挙げられる。一例として、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエステル及びポリスチレンの多層フィルム等の各種フィルムが挙げられる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0106】
図8Bの一例において、取付材260は、実質的環状を有し、取付材260の内面側に織物100が配置される。代替的に、取付材260は、実質的非環状(例えば帯状)を有することができ、及び/又は、取付材260の外面側に織物100の少なくとも一部を配置できる。織物100は、取付材260の周方向全体にわたって延在でき、又は、周方向における部分的に延在できる。代替的及び/又は追加的に、織物100は、延伸性及び/又は収縮性を有する織物構造を有することができる。代替的及び/又は追加的に、織物100は延伸性及び/又は収縮性を機能的に付加され得る。取付の最初の段階の一例において、対象物500を囲むように取付材260が配置される。織物100は、(1)取付材260に堅固に接合される、(2)取付材260に実質的に接合されない、又は(3)取付材260に弱く接合される(例えば仮止めされる)、ことができる。次の段階の一例において、所定の処理により少なくとも取付材260が収縮し、対象物500に取り付けられる。織物100も対象物500に取り付けられる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0107】
一実施形態によれば、対象物500と織物100との間の粘着材の使用を回避できる。本実施形態において、対象物500から織物100を容易に取り外しできる。取り外した織物100は、例えば、分別処理される、又は収集される。追加的に、対象物500と織物100との間の粘着材を使用できる。図8Cに示す一例において、少なくとも、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓262を有する取付材260を通して織物100が観察される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0108】
図8Dは、図1に示す形態の変形例である、織物シート24を示す図である。なお、以下の図において、図1から図8Cに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0109】
図8Dにおいて、織物シート24は、織物100と、取付材270とを備える。一実施形態において、取付材270が織物100の一面に配される。すなわち、本実施形態において、織物シート24は、織物100、及び取付材270を含む少なくとも2層構造を有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0110】
一実施形態において、取付材270は、伸縮性(ストレッチ性)を有する。取付材260の一例として、ストレッチフィルムなどの伸縮部材が挙げられる。一例として、ポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル等の各種フィルムが挙げられる。
【0111】
図8Dの一例において、取付材270は、実質的環状を有し、取付材270の内面側に織物100が配置される。代替的に、取付材270は、実質的非環状(例えば帯状)を有することができ、及び/又は、取付材270の外面側に織物100の少なくとも一部を配置できる。織物100は、取付材270の周方向全体にわたって延在でき、又は、周方向における部分的に延在できる。代替的及び/又は追加的に、織物100が延伸性及び/又は収縮性を有する織物構造を有することができる。代替的及び/又は追加的に、織物100は延伸性及び/又は収縮性を機能的に付加され得る。取付の段階の一例において、対象物500を囲むように延伸された取付材270が配置される。織物100は、(1)取付材270に堅固に接合される、(2)取付材270に実質的に接合されない、又は(3)取付材270に弱く接合される(例えば仮止め)、ことができる。取付状態の取付材270において、延伸の力の少なくとも一部が開放される、及び/又は取付材270の張力が維持される。これに伴い、取付材270が対象物500に取り付けられる。織物100も対象物500に取り付けられる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0112】
このように、上記実施形態によれば、対象物500と織物100との間の粘着材の使用を回避できる。上記実施形態において、対象物500から織物100を容易に取り外しできる。取り外した織物100は、例えば、分別処理される、又は収集される。追加的に、対象物500と織物100との間の粘着材を使用できる。先の図8Cに示す一例において、少なくとも、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓272を有する取付材270を通して織物100が観察される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0113】
図8Eにおいて、織物シート26は、インモールド成形により対象物500に取り付けられる。織物シート26は、成形用の金型280に一時的に配置される。一例において、織物100中の成分の少なくとも一部が成形時の熱により溶融し、織物100が取り付けられた成形品(対象物500)が形成される。一例において、織物100に浸透又は塗布された材料の少なくとも一部が成形時の熱により溶融し、織物100が取り付けられた成形品が形成される。一例において、織物100と金型280との間に配置された取付材の少なくとも一部が成形時の熱により溶融し、織物26が取り付けられた成形品が形成される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0114】
図9Aは、図1に示す形態の変形例である、織物シール(織物シート)30を示す図である。なお、以下の図において、図1から図8Eに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0115】
図9Aにおいて、織物シール(織物シート)30は、織物100と、粘着材200と、セパレータ300とを備える。さらに、織物シート30は、補シート340を備える。粘着材200は、織物100と補シート340との間に配される第1粘着材200Aと、補シート340とセパレータ300との間に配される第2粘着材200Bとを含む。換言すると、第2粘着材200Bは、第1粘着材200Aに対して反対側の面である、補シート340の一面に配される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0116】
一実施形態において、セパレータ300上に第2粘着材200Bが配され、第2粘着材200B上に補シート340が配される。さらに、補シート340上に第1粘着材200Aが配され、第1粘着材200A上に織物100が配される。すなわち、本実施形態において、織物シール30は、少なくとも5層構造を有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0117】
一実施形態において、補シート340は、例えば、フィルム、紙、合成紙(フィルム又は紙に属する場合がある)、布、合成樹脂などからなる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。代表的には、補シート340として、ポリエステルフィルム(マットPET、発泡PETを含む)、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、合成紙(ユポ(登録商標)、ポビック(登録商標)、ピーチコート(登録商標)など)、塩化ビニルフィルム、オレフィン系フィルム、ポリイミドフィルム、インクジェット印刷対応フィルム、サーマル印刷対応フィルム、熱転写印刷対応フィルム、電子写真印刷対応フィルム、サーマルサンカットフィルム、ホログラムフィルム、サテン、上質紙(無色、色上質紙を含む)、コート紙、アート紙、キャストコート紙、スーパーキャスト紙、ホイル紙(金ホイル、銀ホイルを含む)、和紙、耐水紙、クラフト紙、再生紙、含浸紙(紙に高分子樹脂を含浸したもの)、ケント紙(MSケント紙を含む)、感熱紙(一般サーマル紙、耐熱サーマル紙、光沢サーマル紙、二色発光サーマル紙、長期保存用サーマル紙、ユポサーマル紙(登録商標))、印字用紙、ノーカーボン紙、マットコート紙、無塵紙、特殊紙(耐水紙、蛍光紙など)、インクジェット印刷対応フィルム、サーマル印刷対応フィルム、熱転写印刷対応フィルム、電子写真印刷対応フィルムなどが挙げられる。
【0118】
補シート340に用いられるフィルム素材として、例えば、アイオノマーフィルム(IOフィルム)、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)、ポリ塩化ビニリデンフィルム(PVDCフィルム)、ポリビニルアルコールフィルム(PVAフィルム)、ポリプロピレンフィルム(PPフィルム)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム(PCフィルム)、ポリスチレンフィルム(PSフィルム)、ポリアクリロニトリルフィルム(PANフィルム)エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(EVAフィルム)、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOHフィルム)、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(EMAAフィルム)、ナイロンフィルム(NYフィルム、ポリアミド(PA)フィルム)、セロファンなどが挙げられる。補シート340に用いられるフィルム素材として、各種金属、磁性体も適用可能である。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。フィルム素材は上記例に限定されない。
【0119】
補シート340に用いられる紙素材として、洋紙(上質紙、塗工紙(コート紙、アート紙、軽量コート紙、キャスト紙、キャストコート紙、スーパーキャスト紙、グロス系、マット系などを含む)、ホイル紙、クラフト紙、再生紙、合成紙、含浸紙、ケント紙、感熱紙、印刷用紙、ノーカーボン紙、マットコート紙、無塵紙、特殊紙、剥離紙、グラシン紙、トレーシングペーパー、硫酸紙、パラフィン紙、酸性紙、などを含む)、和紙(麻紙、穀紙、斐紙(雁皮紙)、檀紙(陸奥紙)、などを含む)、板紙(ダンボール原紙、ボール紙(白板紙)、チップボール、黄ボール、などを含む)、合成紙を含む各種適用可能である。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。紙素材は上記例に限定されない。
【0120】
補シート340に用いられる布素材としては、例えば、デニム、フリース、ベルベット、タオル地、スエード、コーデュロイ、リネン、サテン、コットンサテン、ガーゼ、ダブルガーゼ、ギンガム、コットンボイル、コットンツイル、オーガンジ、揚柳(ようりゅう)、斜文織、クレープ、ネル、パイル、ビロード、フランネル、ベッチン、ベロア、帆布、毛布、ラシャ、キャラコ、ストレッチブロード、さらし、シーチング、シフォン、シャンタン、ジョーゼット、新モス、ブロード、ボイル、モスリン、リネンダマスク、ワッフル織、お召、黄八丈、塩瀬、上布、紬、ちりめん(縮緬)、西陣、羽二重、富士絹、本しゅす、銘仙、綿ちぢみ、浴衣地、りんず、杢糸(もくいと)、コア・ヤーン、シャーリング、シャンブレー、ストレッチ、スラブ、リップル、平織物、綾織物(ツイル)、又は朱子織物などを含むことができる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。布及びその素材は、上記例に限定されない。
【0121】
補シート340に用いられる合成樹脂としては、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)(ナイロンを含む)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。合成樹脂は、上記例に限定されない。
【0122】
補シート340は、単層構造又は多層構造にできる。補シート340の層の実質的な数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20以上にできる。補シート340は、絵、柄、文字などが印刷された印刷層を有することもできる。
【0123】
図9Aに示すように、一実施形態において、第2粘着材200Bを補シート340の一面に残してセパレータ300の少なくとも一部を補シート340の一面から除去する(剥がす)ことが可能である。セパレータ300が除去された織物シール30において、第2粘着材200Bの少なくとも一部が露出する。露出した第2粘着材200Bを介して、織物シール30を対象物500に取り付けることができる。例えば、粘着性を有する第2粘着材200Bを対象物500に接触させることにより、第2粘着材200Bの粘着力を用いて、セパレータ300が除去された織物シール30を対象物500に貼り付けることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0124】
一実施形態において、織物100は、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。対象物500に取り付けられた織物100において、その色彩、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つが観察され得る。
【0125】
一例において、対象物500とは反対側から織物シール30が観察され得る。この場合、織物100の第1面102が観察側空間に面する。別の一例において、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して織物シール30が観察され得る。すなわち、対象物500側から補シート340の裏面(第2面344)が観察される。この場合、補シート340の第2面344が対象物500を介して観察側空間を向く。補シート340が印刷層を有する場合、対象物500を通して、補シート340上の絵、柄、文字などが観察可能である。さらに他の一例において、織物シール30の両面が観察される。すなわち、対象物500とは反対側から織物100の第1面102が観察されるとともに、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して補シート340の第2面344が観察され得る。
【0126】
一実施形態において、対象物500に織物シール(織物シート)30を取り付けることにより、織物シール30が有する外観特性や機能特性を対象物500に付与することができる。例えば、織物100が絹織物である場合、織物シール30(絹織物シール30)が取り付けられた対象物500について、人目を引く外観性に絹織物100が貢献する。あるいは、絹織物シール30が取り付けられた対象物500について、外観性以外の機能の発現に絹織物シール30が貢献する。絹織物シール30が取り付けられる対象物500が増えることにより、絹織物100の利用が促進される。
【0127】
補シート340に用いられる素材として、所定の機能を有する機能性素材を使用できる。機能として、例えば、光学性(反射防止性、電磁波遮蔽性、制電性、遮光性、周波数選択性、偏光性、フィルタ性、耐光性など)、透湿性、透水性、吸水性、剥離性、層間剥離性、形状安定性、抜き加工性、補強性、耐水性、耐火性、耐熱性、非透過性、形状追従性、形状保持性、形状安定性、加工容易性、静電気除去性、クッション性(緩衝性)、耐溶剤性、絶縁性、収縮性、伸張性、耐油性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性など)、意匠性、磁性、導電性、印刷性、感光性、保護性、防錆性、離型性、装飾性、ストレッチ性、生分解性、抗菌性などが挙げられる。例えば、機能性フィルムの一例として、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光層保護フィルム、光学補償フィルム(位相差フィルム、視野角向上フィルムなど)、輝度向上フィルム、電磁波シールドフィルム、遮光フィルム、特定周波数選択遮断フィルム、光学ローパスフィルター、耐候性フィルム、導電フィルム、プリント配電板用フィルム、感光性フィルム、保護フィルム(プロテクトフィルム、マスキングフィルム、剥離フィルム、防錆フィルムを含む)、転写フィルム、研磨フィルム、装飾フィルム、生分解性フィルム、抗菌フィルムが挙げられる。機能性素材は、上記例に限定されない。
【0128】
先の図2A〜図2B、図2F〜図2I、図3A〜図5、図6A−図7D、図8B−図8Eに示した形態例は、織物シール(織物シート)30にも同様に適用可能である。
【0129】
一実施形態において、織物シール(織物シート)30の物理的特性又は化学的特性が補シート340によって補完され得る。比較的柔軟な織物100を使用する一例において、織物100が比較的高い剛性を有する補シート340と一体化されることで、セパレータ300を剥がした状態でも織物シール(織物シート)30が比較的高い剛性を有することができる。凹凸を有する表面を貼付対象とする別の一例において、比較的高い延伸性を有する補シート340によって、織物100が表面形状に容易に倣い、織物シール(織物シート)30における皺の発生が抑制され得る。あるいは、比較的高い延伸性を有する補シート340によって、織物シール(織物シート)30の曲面対応性の向上が図られる。別の一例において、補シート340が外からの水分の浸入を防ぎ、中からの水分を放出する機能を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0130】
一実施形態において、補シート340は、図9Bに示すように、折ケイ(将来に折り目となる補助部(補助線)、折るための型)348を有する。折ケイ348は、補シート340の一面又は両面に対して加工され得る。折ケイ348によって織物シール30を容易に折り曲げることができる。折ケイ348により、織物シール30を立体的な形状に容易に加工できる。補シート340の折ケイ348によって、比較的高い柔軟性を有する織物100を所定の位置で容易に折り曲げられるとともに、その折り曲げ状態を容易に維持できる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。折ケイ348は、織物100のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成でき、又は、たて糸又はよこ糸と交差するように(例えば、交差角度が約5、10、15、20、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又は85°)形成できる。これらは、使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて選択・設定できる。たて糸又はよこ糸に沿った折ケイは、織物100の折り曲げやすさに貢献できる。たて糸又はよこ糸と交差する折ケイは、織物100の折り曲げ疲労の抑制に貢献できる。将来に折り目となる補助部(補助線)として、折ケイ以外の形態を採用できる。一例において、部分膜(線状膜、エリア膜)を補シート340に配置できる。他の一例において、折りを補助する組織構造を補シート340が有することができる。さらに他の一例において、補シート340が、一面内で部分的に厚み構造及び/又は柔軟性が変化した形態を有することができる。補シート340の厚み構造及び/又は柔軟性の変化は、補シート340の厚み、補シート340の層数、及び表面及び/又は裏面処理材(コーティング材など)の少なくとも1つの変化を有することができる。なお、補シート340に折ケイ348を形成する際に、他の部材にも折ケイや加工痕が残る場合がある。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0131】
一実施形態において、補シート340の所定の機能は、第1粘着材200A及び/又は第2粘着材200Bによって発現、制御、強化、又は促進可能である。例えば、補シート340と第1粘着材200Aとの組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。又は、補シート340と第2粘着材200Bとの組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。又は、補シート340、第1粘着材200A、及び第2粘着材200Bの組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0132】
一実施形態において、第1粘着材200Aと第2粘着材200Bとは互いに同じ仕様にできる、又は互いに異なる仕様にできる。第2粘着材200Bの仕様は、例えば、対象物(500)の表面仕様(例えば、材質、外形、表面粗さなど)、補シート340の仕様、及び/又は織物シール(織物シート)30の使用目的等に応じて選択される。例えば、織物シール(織物シート)30に要求される仕様(例えば、リターナブル、リタック、弱粘など)等に応じて、第2粘着材200Bの仕様が設定される。第1粘着材200Aの仕様は、例えば、織物100の仕様、補シート340の仕様、及び/又は織物シール(織物シート)30の使用目的等に応じて選択される。第1粘着材200Aと第2粘着材200Bとが互いに種類が異なる場合でも、補シート340によって両者の接触や混合が回避され得る。これは例えば第1粘着材200A及び第2粘着材200Bの化学的安定性を保つ上で有利である。一例において、第1粘着材200Aが熱溶融型粘着材(熱可塑性樹脂など)であり、第2粘着材200Bが水溶性粘着材である。第1粘着材200Aと第2粘着材200Bの組み合わせの種類は様々に変更可能である。第1粘着材200Aと第2粘着材200Bとの間に補シート340が配されることにより、第1粘着材及び/又は第2粘着材200Bの仕様の最適化が容易に図れる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0133】
一実施形態において、第1粘着材200A及び第2粘着材200Bはそれぞれ、単層、又は実質的複数層にできる。第1粘着材200Aにおいて、織物100に接する面と補シート340に接する面との間で仕様(材質や特性)等が異なることができる。第2粘着材200Bにおいて、補シート340に接する面とセパレータ300に接する面との間で仕様(材質や特性)等が異なることができる。例えば、図9Cに示すように、複数層の粘着材200Aにおいて、織物100に接する層204と補シート340に接する層205との間で仕様(材質、硬度、厚み、色、透明度、模様等)が異なることができる。あるいは、複数層の粘着材200Bにおいて、織物100に接する層206と補シート340に接する層207との間で仕様(材質、硬度、厚み、色、透明度、模様等)が異なることができる。積層数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上にできる。また、第1粘着材200A及び第2粘着材200Bはそれぞれ、面内で部分的に、材質や特性等が異なることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0134】
一例において、補シート340は、織物100をカッティング又は打ち抜きするための刃に対して、織物100に比べて優れた加工性を有することができる。一例において、補シート340は、織物100に比べて高い密度を有することができる。一例において、第1粘着材200Aは、第2粘着材200Bに比べて強い接着性(粘着性、接合性)及び/又は高い硬度(高い粘度)を有することができる。一例において、カッティング又は打ち抜き加工の際に、織物100の上から刃が多層に対して挿入される。刃は最初に織物100に接する。続いて、刃は、第1粘着材200Aを介して、補シート340に接し、さらに、第2粘着材200Bを介して、セパレータ300に接する。補シート340及び第1粘着材200Aの存在により、織物100に接した後の刃の移動距離を大にできる。あるいは、補シート340が織物100を裏面側から支持することにより、加工時における織物100の変形(曲がりなど)やずれ(逃げ)を抑えることができる。第1粘着材200Aが比較的強い接着性(粘着性)及び/又は比較的高い硬度(高い粘度)を有することは、加工時における織物100の変形や逃げの抑制に有利である。刃の移動距離が大であること、及び加工時の織物100の変形や逃げの抑制は、織物100の加工性の向上に有利である。こうした加工性の向上は、例えば、織物100における、糸の一部が切断されない加工抜けの防止に貢献できる。これは、比較的細い糸を有する織物100の加工に特に有利である。第1粘着材200Aの存在により、カッティングや打ち抜き後の加工部における糸のほつれが抑制される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0135】
一実施形態において、補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、第2粘着材200Bに対するバリア層(第2粘着材200Bの浸透防止層)として機能できる。補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、第2粘着材200Bの種類及び粘度における選択性を広げることができる。さらに、補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、織物100の柔軟性を補完する機能を発揮することができる。適切な補シート340及び/又は第1粘着材200Aの使用により、補シート340及び/又は第1粘着材200Aが織物100を強固にできる。補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、織物100の特性の1つである組織構造上における液浸透性に関する課題と、織物100の特性の別の1つである軟性に関する課題との解決に貢献する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0136】
代替的又は追加的に、補シート340が、第2粘着材200Bに向かう所定物質に対するバリア層(外部物質の浸透防止層)として機能できる。この場合、例えば、所定物質は第2粘着材200Bの機能を低下させる可能性がある。補シート340は、外部からの所定の物質が織物100を通過して第2粘着材200Bに到達するのを、抑制する、防止する、及び/又は遮断する機能を有することができる。一例において、織物100を介した第2粘着材200Bへの水分の到達が抑制されることにより、第2粘着材200Bの機能低下(粘着力の低下、分離及び/又は剥離)を抑制し、第2粘着材200Bの粘着性能を安定的に維持できる。水分の遮断性に優れた補シート340を選択的に使用することにより、水分による第2粘着材200Bの機能低下を抑制できる。代替的又は追加的に、補シート340に対して、水分遮断性を強化する処理を施すことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0137】
一例において、補シート340及び第1粘着材200Aは、織物100の一面の実質的全体に配置できる。別の例において、補シート340及び第1粘着材200Aは、織物100の一面に対して部分的に配置できる。例えば、部分配置において、補シート340及び第1粘着材200Aは、少なくとも織物100の加工位置を含む部分に配置できる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0138】
一実施形態において、補シート340が層間剥離性を有することができる。この場合、図9Dに示すように、補シート340を層間剥離させて、対象物500から織物100を比較的容易に剥がすことが可能である。これは、織物100の収集(シール・ラベル収集など)などに有利である。また、補シート340は、層間剥離された際に観察可能な、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。一例において、補シート340は、層間剥離された際に、対象物500に残される層の表面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層341を有することができる。追加的又は代替的に、補シート340は、層間剥離された際に、対象物500から剥がされる層(剥離によって対象物500から離れた層)の表面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層342を有することができる。印刷層341、342は、例えば、対象物500の情報、対象物500の識別コード、織物100の情報、織物100の識別コード、及びその他の情報の少なくとも1つを含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0139】
一実施形態において、第2粘着材200Bが主に水などで容易に剥がせる性質の材料(水溶性粘着材など)を含むことができる。この場合、図9Eに示すように、織物100と補シート340との積層体を対象物500から比較的容易に剥がすことが可能である。これは、織物100の収集(シール・ラベル収集など)、織物シール30の廃棄処理などに有利である。追加的に、補シート340は、剥離された際に観察可能な、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。一例において、補シート340は、剥離された際に露出される面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層343を有することができる。印刷層343は、例えば、対象物500の情報、対象物500の識別コード、織物100の情報、織物100の識別コード、及びその他の情報の少なくとも1つを含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0140】
図9F及び図9Gはそれぞれ、織物シール30の拡大断面構造を模式的に示す図ある。一実施形態において、織物100の素材(糸)に対する、第1粘着材200Aの浸透率が制御され得る。織物100の素材(糸)の内部への第1粘着材200Aの浸透率(例えば、糸に対する粘着材の重量比)は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200%、又はそれ以上にできる。あるいは、織物100の素材(糸)の内部への第1粘着材200Aの浸透を実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高浸透率の織物シール(織物シート)30において、高い剛性や強度を得ることができる。低浸透率の織物シール(織物シート)30において、第1粘着材200Aの浸透に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ150%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ100%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ80%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ50%以下である。あるいは、低浸透の一例において、浸透率は、重量比で、0%以上かつ20%以下である。浸透率は、例えば、織物シール(織物シート)30の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0141】
一実施形態において、織物100に対する第1粘着材200Aの進入率が制御される。図9F及び図9Gにおいて、織物100の組織構造の間隙において、第1粘着材200Aが入り込む距離h1は、織物100の厚みt1の約90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれ以下にできる(進入率)。あるいは、織物100の組織構造の間隙への第1粘着材200Aの進入を、実質的にゼロにできる。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。高進入率の織物シール(織物シート)30において、高い剛性や強度を得ることができる。低進入率の織物シール(織物シート)30において、第1粘着材200Aの進入に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ50%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ40%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ30%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ20%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ10%以下である。あるいは、低進入の一例において、進入率は、0%以上かつ5%以下である。進入率は、例えば、織物シール(織物シート)30の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0142】
一実施形態において、織物100と第1粘着材200Aの表面との間の空隙(209)の有無又はその割合が制御される。図9Fにおいて、織物100と第1粘着材200Aとが密に接し、織物100と第1粘着材200Aの表面との間の空隙が実質的に存在しない。すなわち、織物100の糸の表面のうちの第1粘着材200Aに面する表面の全体が第1粘着材200Aに接している。換言すると、たて糸とよこ糸と第1粘着材200Aとに囲まれた空隙(空間)が実質的に存在しない。こうした低空隙の織物シール(織物シート)30において、高い剛性や強度を得ることができる。図9Gにおいて、織物100と第1粘着材200Aとが疎に接し、織物100と第1粘着材200Aの表面との間の空隙209が存在する。換言すると、織物100の糸の表面のうちの第1粘着材200Aに面する表面の少なくとも一部が第1粘着材200Aに非接触状態である。あるいは、図9Gの織物シール(織物シート)30において、たて糸とよこ糸と第1粘着材200Aとに囲まれた空隙(空間)209が存在する。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。多くの空隙209を有する織物シール(織物シート)30において、粘着材200Aの影響による織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。空隙209の有無やその割合は、例えば、織物シール(織物シート)30の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0143】
一実施形態において、織物100に面する側の、第1粘着材200Aの表面形状が制御され得る。織物100の一面は微細凹凸構造を含む。織物100の微細凹凸構造に少なくとも一部が接する第1粘着材200Aの面の形状が制御されている。第1粘着材200Aの表面形状は、織物シール(織物シート)30の製造プロセス及び条件に応じて変化する。高い剛性や強度を織物100に与える表面形状が得られるように、織物シール(織物シート)30の製造プロセス及び条件の選択が可能である。また、第1粘着材200Aの影響による織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制されるような表面形状が得られるように、織物シール(織物シート)30の製造プロセス及び条件の選択が可能である。これらにおいて、対象領域として、局所的な処理(強化処理など)を施した部分(縁部、端部など)を除くことができる。製造プロセス及び条件は、例えば、織物シール(織物シート)30の使用形態や使用環境、粘着材の特性等に応じて設定可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0144】
図9Hに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)織物100の一面に第1粘着材200Aを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200Aに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)セパレータ300の一面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(c)第2粘着材200Bを介してセパレータ300の一面に補シート340を配置する工程、(d)セパレータ300及び補シート340を含む積層体上に、第1粘着材200Aを介して織物100を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0145】
図9Iに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)織物100の一面に第1粘着材200Aを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200Aに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)補シート340の一面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(c)第2粘着材200Bを介して補シート340の一面にセパレータ300を配置する工程、(d)セパレータ300及び補シート340を含む積層体上に、第1粘着材200Aを介して織物100を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0146】
図9Jに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)補シート340の一面に第1粘着材200Aを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200Aに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)第1粘着材200Aを介して補シート340の一面に織物100を配置する工程、(c)セパレータ300の一面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(d)第2粘着材200Bを介してセパレータ300の一面に織物100及び補シート340を含む積層体を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0147】
図9Kに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)補シート340の一面に第1粘着材200Aを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200Aに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)セパレータ300の一面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(c)第2粘着材200Bを介してセパレータ300の一面に補シート340を配置する工程、(d)補シート340及びセパレータ300を含む積層体上に第1粘着材200Aを介して織物100を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0148】
図9Lに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)セパレータ300の一面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)第2粘着材200Bを介してセパレータ300の一面に補シート340を配置する工程、(c)セパレータ300及び補シート340を含む積層体の一面に第1粘着材200Aを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200Aに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(d)補シート340及びセパレータ300を含む積層体上に第1粘着材200Aを介して織物100を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0149】
図9Mに示すように、織物シール30の製造プロセスの一例は、(a)補シート340の一方の面に第1粘着材200Aを配置し、他方の面に第2粘着材200Bを配置する工程、必要に応じて第1粘着材200A及び第2粘着材200Bに対して熱処理、光処理、乾燥処理、及び/又はその他の処理を行う工程、(b)第2粘着材200Bを介して補シート340の一面にセパレータ300を配置する工程、(c)補シート340及びセパレータ300を含む積層体上に第1粘着材200Aを介して織物100を配置する工程、及び、必要に応じて積層体に所定の処理(例えば、カッティング、縁部処理、端部処理など)を行う工程を含む。
【0150】
図9N、図9O、図9P、図9Q、図9Rに示すように、織物シール30の製造プロセスの少なくとも1つの工程において、製法上及び/又は取り扱い上等の必要に応じて、仮のセパレータ(カバーシート、保護シート)1300A,1300B,1300Cを少なくとも一時的に使用可能である。仮セパレータ1300A,1300B,1300Cは例えば半製品段階で使用される。一例において、仮セパレータ1300A,1300B,1300Cは、粘着材(例えば、第1粘着材200A、第2粘着材200B)が配置された所定の基材(例えば、補シート340、セパレータ300)に貼り付けられるとともに、粘着材(200A,200B)を残してその基材(340,300)から剥がすことが可能である。また、一例において、仮セパレータ1300A,1300B,1300C上に粘着材(例えば、第1粘着材200A,第2粘着材200B)が配置され、その粘着材(200A,200B)を介してその仮セパレータ1300A,1300B,1300Cが所定の基材(例えば、織物100,補シート340,セパレータ300)に貼り付けられる。また、一例において、粘着材(例えば、第1粘着材200A,第2粘着材200B)から仮セパレータ1300A,1300B,1300Cを剥がしながら、その粘着材(200A,200B)が配置された所定の基材(例えば、織物100,補シート340,セパレータ300)と別の基材(例えば、織物100,補シート340,セパレータ300)とが貼り合わせられる。また、一例において、仮セパレータ1300A,1300B,1300C上に粘着材(例えば、第1粘着材200A,第2粘着材200B)が配置され、その粘着材(200A,200B)を介してその仮セパレータ1300A,1300B,1300Cが別の仮セパレータ1300A,1300B,1300Cに貼り付けられる。
【0151】
織物シール30の製造プロセスは、上記例に限定されない。巻物状(ロール状)の基材に対する処理についても適宜に適用され得る。基材又は半製品は枚葉状又は巻物状で提供可能である。巻物の使用は、生産能力の向上に有利である。例えば、所定の基材のみからなる巻物が提供される。例えば、少なくとも1つの基材を含む複数の層が径方向に繰り返される巻物が提供される。例えば、所定の基材と別の基材との貼り合わせにおいて、少なくとも一方の基材を巻物にできる。巻物状の織物シール30の製造プロセスの一例は、基材を巻き出す工程、及び処理後の基材を巻き取る工程等をさらに含む。一例における、巻物において、織物100、第1粘着材200A(又は第2粘着材200B)、及び補シート340の積層が径方向に沿って繰り返される。織物シール(織物シート)30を巻物状で提供することで、セパレータ300を省くことも可能である。この場合の一例における、巻物において、織物100、第1粘着材200A、補シート340、及び第2粘着材200Bの積層が径方向に沿って繰り返される。セパレータ300の削除は、コスト削減、巻物のサイズ低減に有利である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0152】
一実施形態において、第1粘着材200A及び第2粘着材200Bに対する熱処理温度は、使用する粘着材や基材の種類等に応じて適宜に設定される。上記製造プロセスにおいて、第1粘着材200Aと第2粘着材200Bとの間で熱処理温度が実質的に同じ、又は互いに異なるようにできる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0153】
1つの基材上に粘着材を介して別の基材を配置する処理において、熱処理により粘着材を軟化させることができ、又は、熱処理により少なくとも一部を溶融させることができる。適切な温度管理により、高品質の織物シールを得ることができる。この場合、熱処理温度は、例えば、織物シール(織物シート)の使用形態や使用環境、織物の組織構造、粘着材の特性(軟化温度、溶融温度)等に応じて設定可能である。
【0154】
一実施形態において、図9S及び図9Tに示すように、第1粘着材200Aに接する補シート340の一面が実質的な凹凸構造を有することができる。図9Sにおいて、補シート340の一面349が複数の突起部345を有する。突起部345の形状、数(密度)、及び/又は剛性は、例えば、織物シール(織物シート)の使用形態や使用環境、織物100の組織構造、粘着材の特性等に応じて設定可能である。図9Tにおいて、補シート340の一面349上に複数の粒子346が配置されている。あるいは、補シート340上の第1粘着材200Aが複数の粒子346を含む。粒子346の形状、数(密度)、及び/又は剛性は、例えば、織物シール(織物シート)10の使用形態や使用環境、織物100の組織構造、粘着材の特性等に応じて設定可能である。第1粘着材200Aに接する補シート340の一面が実質的な凹凸構造を有することは、織物100と第1粘着材200Aとの間の接触面積の増大/接合力の確保に有利になり得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0155】
図10A、図10B、及び図10Cは、図9Aに示す形態の変形例である、織物シール(織物シート)40を示す図である。なお、以下の図において、図1から図9Tに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0156】
図10A及び10Bにおいて、織物シール(織物シート)40は、図9Aの織物シール30と同様に、織物100と、粘着材200と、セパレータ300とを備える。さらに、織物シート40は、補シート340を備える。粘着材200は、織物100と補シート340との間に配される第1粘着材200Aと、補シート340とセパレータ300との間に配される第2粘着材200Bとを含む。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0157】
一実施形態において、図9Aの織物シール30と同様に、セパレータ300上に第2粘着材200Bが配され、第2粘着材200B上に補シート340が配される。さらに、補シート340上に第1粘着材200Aが配され、第1粘着材200A上に織物100が配される。すなわち、本実施形態において、織物シール30は、少なくとも5層構造を有する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0158】
一実施形態において、セパレータ300から補シート340を剥がすことができる。このとき、補シート340の一面には、第1粘着材200Aを介して織物100が配置され、補シート340の他面には、第2粘着材200Bが配置されている。図10Cに示すように、織物100が搭載された補シート340を対象物500に配置することができる。さらに、対象物500上の補シート340から織物100を剥がすことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0159】
一実施形態において、セパレータ(台紙)300は、図1の形態と同様に、シート状の部材からなり、補シート340に対して離型機能を有する。補シート340は、織物100に対して離型機能を有する。すなわち、補シート340において、基材にシリコンなどの離型剤を塗布することができる。一例において、基材の少なくとも一面に対して離型剤処理(シリコン処理など)が施されている。あるいは、補シート340において、基材自体が離型性を有することができる。この場合、一例として、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン)、シリコン樹脂フィルムなどが挙げられる。また、セパレータ300の一例において、基材の片面又は両面に樹脂膜(ポリエチレンなど)がラミネートされ、その少なくとも一面に対して離型剤処理(シリコン処理など)が施されている。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0160】
一実施形態において、補シート340は、色、柄、文字などが印刷された印刷層を有することもできる。例えば、補シート340における織物100が配置されている領域に文字を印刷することができる。この場合、対象物500に配置された補シート340から、織物100を剥がすことにより、その補シート340上の文字を観察できる。
【0161】
図10Dは、図1に示す形態の変形例である、織物シール(織物シート)25を示す図である。なお、以下の図において、図1から図10Cに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0162】
図10Dにおいて、織物シール(織物シート)25は、織物100と、粘着材200とを備える。さらに、織物シート25は、補シート340を備える。粘着材200は、織物100と補シート340との間に配される第1粘着材200Aと、第1粘着材200Aに対して反対側の面である、補シート340の一面に配される第2粘着材200Bとを含む。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0163】
一実施形態において、第2粘着材200Bは、所定の処理が施されることで粘着性を発現することができる。例えば、第2粘着材200Bは、熱処理、光処理、液処理、及び圧力付与処理等の少なくとも1つが施されることで粘着性を発現する。第2粘着材200Bの一例として、水溶性粘着材、溶剤系粘着材、及びホットメルトなどが挙げられる。一例として、でんぷん(エマルション、溶剤)、ホットメルト(UV硬化型、ゴム系、エマルション系、ウレタン系)、アクリルエマルション樹脂系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤が挙げられる。
【0164】
一実施形態において、第2粘着材200Bは常温では固形または半固形であり、粘着性は低い。対象物500上に配置し、所定の処理を施すことにより、第2粘着材200Bの粘着性が発現し、第2粘着材200Bを介して対象物500に織物100が取り付けられる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0165】
なお、図10Dにおいて、織物100の表面(生地表面)を対象物500と反対側に向けて配置することができる。この場合、対象物500とは反対側から織物100の第1面102が観察される。また、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して補シート340の第2面344が観察され得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0166】
代替的に、4層構造の織物シート25において、第2粘着材200Bは常温で粘着性を発現することができる。例えば、図2Gに示した形態と同様に、織物シート25が巻物形状を有する場合、セパレータを不要にできる。この場合、巻物において、織物100、第1粘着材200A、補シート340、及び第2粘着材200Bの積層が径方向に沿って繰り返される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0167】
図10Eは、図1に示す形態の変形例である、織物シール(織物シート、織物グルーラベル)27を示す図である。なお、以下の図において、図1から図10Dに示した構成要素と実質的に同一の要素については同一符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
【0168】
図10Eにおいて、織物シール(織物シート、織物グルーラベル)27は、織物100と、粘着材200とを備える。さらに、織物シート27は、補シート340を備える。粘着材200は、織物100と補シート340との間に配される第1粘着材200Aを含む。補シート340の一面及び/又は対象物500の表面に接合材(接着剤、粘着材)215を塗布し、織物シール27を対象物500上に配置することにより、対象物500に織物100が取り付けられる。図10Eに示す織物シール27は、いわゆるグルーラベルとして使用可能である。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0169】
一実施形態において、織物100は、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。対象物500に取り付けられた織物100において、その色彩、模様、文字、及び図柄等の少なくとも1つが観察され得る。
【0170】
一例において、対象物500とは反対側から織物シール27が観察され得る。この場合、織物100の第1面102が観察側空間に面する。別の一例において、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して織物シール27が観察され得る。すなわち、対象物500側から補シート340の裏面(第2面344)が観察される。この場合、補シート340の第2面344が対象物500を介して観察側空間を向く。補シート340が印刷層を有する場合、対象物500を通して、補シート340上の絵、柄、文字などが観察可能である。さらに他の一例において、織物シール27の両面が観察される。すなわち、対象物500とは反対側から織物100の第1面102が観察されるとともに、実質的な透明性を有する及び/又は観察窓を有する対象物500を通して補シート340の第2面344が観察され得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0171】
一実施形態において、織物シール(織物シート)27の物理的特性又は化学的特性が補シート340によって補完され得る。補シート340の存在により、(1)織物100と接合材215との接触や、(2)織物100の内部への接合材215の浸透・進入が回避される。これらに伴い、織物100表面への接合材215の漏出、織物100の変質、織物100の風合いの損失などが回避される。補シート340を有する織物シール27は、グルーラベルとしての自由度が高い。接合材215として、様々な材料を使用可能である。織物100の吸液性が比較的高い場合でも、接合材215の種類に対する制限を比較的低くできる。また、比較的柔軟な織物100を使用する一例において、織物100が比較的高い剛性を有する補シート340と一体化されることで、織物シール(織物シート)27が比較的高い剛性を有することができる。凹凸を有する表面を貼付対象とする別の一例において、比較的高い延伸性を有する補シート340によって、織物100が表面形状に容易に倣い、織物シール(織物シート)27における皺の発生が抑制され得る。あるいは、比較的高い延伸性を有する補シート340によって、織物シール(織物シート)27の曲面対応性の向上が図られる。別の一例において、補シート340が外からの水分の浸入を防ぎ、中からの水分を放出する機能を有することができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0172】
一実施形態において、補シート340の所定の機能は、第1粘着材200A及び/又は接合材(接着剤、粘着材)215によって発現、制御、強化、又は促進可能である。例えば、補シート340と第1粘着材200Aとの組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。又は、補シート340と接合材(接着剤、粘着材)215との組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。又は、補シート340、第1粘着材200A、及び接合材(接着剤、粘着材)215の組み合わせによって所定の機能が発現、制御、強化、又は促進され得る。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0173】
一実施形態において、第1粘着材200Aは、単層、又は実質的複数層にできる。第1粘着材200Aにおいて、織物100に接する面と補シート340に接する面との間で仕様(材質や特性)等が異なることができる。例えば、複数層の粘着材200Aにおいて、織物100に接する層と補シート340に接する層との間で仕様(材質、硬度、厚み、色、透明度、模様等)が異なることができる。積層数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上にできる。また、第1粘着材200Aは、面内で部分的に、材質や特性等が異なることができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0174】
一例において、補シート340は、織物100をカッティング又は打ち抜きするための刃に対して、織物100に比べて優れた加工性を有することができる。一例において、補シート340は、織物100に比べて高い密度を有することができる。一例において、カッティング又は打ち抜き加工の際に、刃が織物100に対して挿入される。補シート340の存在により、織物100に接した後の刃の移動距離を大にできる。あるいは、補シート340が織物100を裏面側から支持することにより、加工時における織物100の変形(曲がりなど)やずれ(逃げ)を抑えることができる。第1粘着材200Aが比較的強い接着性(粘着性)及び/又は比較的高い硬度(高い粘度)を有することは、加工時における織物100の変形や逃げの抑制に有利である。刃の移動距離が大であること、及び加工時の織物100の変形や逃げの抑制は、織物100の加工性の向上に有利である。こうした加工性の向上は、例えば、織物100における、糸の一部が切断されない加工抜けの防止に貢献できる。これは、比較的細い糸を有する織物100の加工に特に有利である。第1粘着材200Aの存在により、カッティングや打ち抜き後の加工部における糸のほつれが抑制される。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0175】
一実施形態において、補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、接合材215に対するバリア層(接合材215の浸透防止層)として機能できる。補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、接合材215の種類及び粘度における選択性を広げることができる。さらに、補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、織物100の柔軟性を補完する機能を発揮することができる。適切な補シート340及び/又は第1粘着材200Aの使用により、補シート340及び/又は第1粘着材200Aが織物100を強固にできる。補シート340及び/又は第1粘着材200Aは、織物100の特性の1つである組織構造上における液浸透性に関する課題と、織物100の特性の別の1つである軟性に関する課題との解決に貢献する。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0176】
代替的又は追加的に、補シート340が、接合材215に向かう所定物質に対するバリア層(外部物質の浸透防止層)として機能できる。この場合、例えば、所定物質は接合材215の機能を低下させる可能性がある。補シート340は、外部からの所定の物質が織物100を通過して接合材215に到達するのを、抑制する、防止する、及び/又は遮断する機能を有することができる。一例において、織物100を介した接合材215への水分の到達が抑制されることにより、接合材215の機能低下(接合力の低下、分離及び/又は剥離)を抑制し、接合材215の性能を安定的に維持できる。水分の遮断性に優れた補シート340を選択的に使用することにより、水分による接合材215の機能低下を抑制できる。代替的又は追加的に、補シート340に対して、水分遮断性を強化する処理を施すことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0177】
一例において、補シート340及び第1粘着材200Aは、織物100の一面の実質的全体に配置できる。別の例において、補シート340及び第1粘着材200Aは、織物100の一面に対して部分的に配置できる。例えば、部分配置において、補シート340及び第1粘着材200Aは、接合材215が塗布される予定の部分に配置できる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0178】
一実施形態において、補シート340が層間剥離性を有することができる。この場合、先の図9Dに示したものと同様に、補シート340を層間剥離させて、対象物500から織物100を比較的容易に剥がすことが可能である。これは、織物100の収集(シール・ラベル収集など)などに有利である。また、補シート340は、層間剥離された際に観察可能な、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。一例において、補シート340は、層間剥離された際に、対象物500に残される層の表面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層を有することができる。追加的又は代替的に、補シート340は、層間剥離された際に、対象物500から剥がされる層の表面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層を有することができる。印刷層は、例えば、対象物500の情報、対象物500の識別コード、織物100の情報、織物100の識別コード、及びその他の情報の少なくとも1つを含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0179】
一実施形態において、接合材215が主に水などで容易に剥がせる性質の材料(水溶性粘着材など)を含むことができる。この場合、先の図9Eに示したものと同様に、織物100と補シート340との積層体を対象物500から比較的容易に剥がすことが可能である。これは、織物100の収集(シール・ラベル収集など)、織物シール30の廃棄処理などに有利である。追加的に、補シート340は、剥離された際に観察可能な、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを有することができる。一例において、補シート340は、剥離された際に露出される面で観察可能な、色、柄、文字などを含む印刷層を有することができる。印刷層は、例えば、対象物500の情報、対象物500の識別コード、織物100の情報、織物100の識別コード、及びその他の情報の少なくとも1つを含むことができる。織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0180】
ここで、前述したように、織物に用いられる素材として、天然繊維の絹糸と他の材料とを組み合わせた複合素材(複合絹糸)を用いることができる。複合素材は、例えば、繭糸と他の繊維とを混合繰糸することにより形成される。あるいは、複合素材は、互いに異なる種類の短繊維を混合紡績することにより形成される。あるいは、複合素材は、互いに異なる種類の糸を撚り合わせることにより生成される(交撚糸)。あるいは、複合素材は、互いに異なる種類の糸を組み合わせて織ることにより形成される。あるいは、複合素材は、交撚糸を織ることにより形成される。
【0181】
また、前述したように、所定の処理を施すことにより、絹糸又は織物を改質することができる。例えば、絹糸及び/又は織物に補材(改質材、加工剤、強化材)を与えるとともに、必要に応じて熱処理及び/又は光処理を行うことにより、織物に強度、撥液性・防汚性、弾力性、特有の風合いなどの機能を付加することができる。
【0182】
織物100に与える補材(改質材、加工剤、強化材)としては、例えば、UV硬化型樹脂、シリコン樹脂、セルロース樹脂、アルキット樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アラビアゴム、膠(ニカワ)、ワニス、及び松脂(マツヤニ)などが挙げられる。上記加工剤は一例であって、本発明はこれに限定されない。
【0183】
補材を有する織物100において、組織の間隙部の少なくとも一部に補材が配置される、糸内部に補材が配置される、組織の少なくとも一部を覆う、及び/又は組織の少なくとも一部を囲む。例えば、織物100における組織構造の結合剤(バインダー)として補材が織物100の強化に貢献できる。
【0184】
図11は、補材(又は後述する強化部172)の配置例を示す図である。図11に示すように、補材220は織物100の実質的全面に配置できる。あるいは、補材220は織物100に部分的に配置できる。部分的な配置の一例において、補材220は、織物100の縁に沿って配置される(全周、部分周)。代替的及び/又は追加的に、補材220は、織物100の縁と他の部分に直線状、曲線状、及び/又は点状に配置される。代替的及び/又は追加的に、補材220は、織物100の角部に配置される。代替的及び/又は追加的に、補材220は、織物100の縁とスリット302の付近に配置される。代替的及び/又は追加的に、補材220は、織物100の縁(外縁)と窓304の付近(内縁付近)に配置される。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。補材220の配置領域は、織物100のたて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有することができる。あるいは、補材220の配置領域は、たて糸又はよこ糸と交差する軸を有する形状を有することができる。
【0185】
補材220は織物100の全体に実質的均一に配置できる。あるいは、補材220は織物100に実質的不均一に配置できる。少なくとも織物100の切断部(縁やスリット部)に補材が配置されることで、織物100における切断部のほつれや組織崩れを抑制できる。部分的な補材配置及び/又は不均一な補材配置を有する織物100は、ある一部における組織、組成、強度、充填率、密度、硬度等の少なくとも1つが他部のそれと異なる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0186】
補材220の配置は、例えば、織物100の作成時、織物100の作成後、粘着材200の配置前、粘着材200の配置後、粘着材200の配置時、セパレータ300の配置前、セパレータ300の配置後、セパレータ300の配置時、織物100の切断加工前、織物100の切断加工後、織物100の切断加工後、及び/又はスリット加工などの補加工時等において実施可能である。補材220は、液体材料、ゲル状材料、固体材料、カプセル材料、及び/又はシート材料として提供できる。例えば、材料を絹糸に染み込ませることができる。また、材料を織物100、粘着材200、及び/又はセパレータ300に配置することができる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0187】
補材220の機能を発現させるための処理は、他の処理と別に行うことができる。あるいは、補材220の機能を発現させるための処理の少なくとも一部を他の処理と同時に行うことができる。例えば、切断時の加工エネルギーを利用して、補材220の機能を発現できる。あるいは、別の処理における熱処理及び/又は光処理を利用して、補材220の機能を発現できる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0188】
絹糸は、比較的高い耐熱性を有する。例えば、熱処理により補材220の機能を発現させることができる。この場合、熱処理温度は、例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230℃、又はそれ以上にできる。
【0189】
代替的及び/又は追加的に、織物100の素材(糸)の少なくとも一部が、補材220として機能できる。例えば、押圧力、熱エネルギー、光エネルギー、処理液による化学反応、及び/又は処理ガスによる化学反応等により、織物100の素材及び/又は組織構造の性質(組織、強度、密度、硬度等)が少なくとも部分的に変化する。織物100の素材(糸)の少なくとも一部が補材220として機能することにより、織物100の一面における少なくとも部分的に、織物100の強度、撥液性・防汚性、弾力性、特有の風合いなどの機能を発現させることができる。例えば、織物100の素材及び/又は組織構造を硬化させることにより、織物100におけるほつれや組織崩れを抑制できる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0190】
補材220として機能する素材は、天然繊維の絹糸、及び/又は他の繊維糸にできる。例えば、切断時(例えばレーザ加工、加熱された刃を用いた切断加工、部分的な熱付与など)等におけるエネルギーを利用して、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維を硬化せることができる。織物100が複合素材を含む場合、熱及び/又は光処理により、絹糸以外の繊維を硬化させて組織構造を強化できる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0191】
図12は、織物100にUV硬化型樹脂を付与するためのプロセスの一例を示す図である。図12に示すプロセスでは、織物100の抜き加工とUV硬化型樹脂700の配置とを実質的に同時に行うことができる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0192】
図12において、まず、加工装置における刃型800にUV硬化型樹脂700(補材220)が配置される。すなわち、刃型800の表面に樹脂700が保持される。次に、刃型800を基材である織物100に打ち込む。この抜き加工において、織物100に刃型800が接し、樹脂700の少なくとも一部が刃型800から織物100に移動する。織物100においては、樹脂700が組織内に浸透する。次に、織物100に対してUV光を照射することにより、樹脂700を硬化させることができる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0193】
硬化処理により、織物100の強度向上が図られた織物シール50が提供される。この織物シール50は、樹脂700の硬化により織物100の少なくとも切断部の組織が実質的に固定される。また、織物100の組織構造が強化されることにより、織物100における切断部のほつれを防止できる。図12の例において、織物100の抜き加工とUV硬化型樹脂700の配置とを実質的に同時に行うことから、処理能力の向上に有利である。代替的又は追加的に、UV硬化型樹脂と同様に、他の加工剤を織物100に付与することが可能である。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0194】
図13は、織物100にUV硬化型樹脂を付与するためのプロセスの別の一例を示す図である。
【0195】
図13において、まず、織物100上にUV硬化型樹脂700(補材220)が配置される。本例において、UV硬化型樹脂700は、織物100の一面上において、環状に配置される。なお、図13において、樹脂700の配置形状は円環状である。代替的に、樹脂700の配置形状は別の環状又は非環状にできる。織物100上の樹脂700の少なくとも一部が織物100に浸透することができる。次に、刃型800を基材である織物100に打ち込む。この抜き加工において、織物100に樹脂700が接し、樹脂700がさらに織物100に浸透できる。本例において、環状の樹脂700の縁は、刃型800の縁と実質的に相似形を有することができる。樹脂700の内側の縁は、刃型800の縁に比べて小さい形状を有する。樹脂700の外側の縁は、刃型800の縁に比べて大きい形状を有する。抜き加工時において、刃型800の縁が樹脂700の内側の縁と外側の縁との間に位置することができる。こうした位置関係は、刃型800の移動を利用して樹脂700を織物100に浸透させる上で効果的である。最後に、織物100に対してUV光を照射することにより、樹脂700を硬化させることができる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0196】
硬化処理により、織物100の特に縁付近における強度向上が図られた織物シール60が提供される。また、織物100の組織構造が強化されることにより、織物100における切断部のほつれを防止できる。代替的又は追加に、UV硬化型樹脂と同様に、他の加工剤を織物100に付与することが可能である。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0197】
図14は、織物100が絹織物である場合における、絹織物100の部分的な加工処理のためのプロセスの別の一例を示す図である。
【0198】
図14において、まず、絹織物100にセリシンが必要に応じて含浸される。蚕糸は、フィブロインとセリシンを主に含む。繭の糸において、接着力(粘着力)を有するセリシンがフィブロインの周りを被っている。セリシンの供給により、絹織物100中のセリシン濃度が高まる。次に、所定の突起(凸形状)を有する部材810を絹織物100に押圧する。このとき、部材810を加熱することができる。加熱温度は、セリシンの溶融温度又は軟化温度に基づいて定められる。部材810の突起によって加熱・押圧された部分114において、絹織物100中のセリシンの少なくとも一部が溶融した後に固化することにより、絹糸同士が接合される。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0199】
この処理により、絹織物100が部分的に強化された絹織物シール62が提供される。切断線(抜き加工線)に沿った部分を強化することにより、絹織物100の特に縁付近における強度向上が図られる。絹織物100の組織構造が強化されることにより、絹織物100におけるほつれ(例えば切断部のほつれ)を防止できる。押圧位置の調整により、絹織物100における切断部以外の部分を強化することもできる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0200】
図15は、織物100の部分的な加工処理のためのプロセスの別の一例を示す図である。
【0201】
図15において、まず、織物100に熱可塑性樹脂が浸透される。次に、所定の突起(凸形状)を有する部材810を織物100に押圧する。このとき、部材810を加熱することができる。加熱温度は、熱可塑性樹脂の溶融温度又は軟化温度に基づいて定められる。部材810の突起によって加熱・押圧された部分115において、織物100中の熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融した後に固化することにより、糸同士が接合される。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0202】
この処理により、織物100が部分的に強化された織物シール64が提供される。切断線(抜き加工線)に沿った部分を強化することにより、織物100の特に縁付近における強度向上が図られる。織物100の組織構造が強化されることにより、織物100におけるほつれ(例えば切断部のほつれ)を防止できる。押圧位置の調整により、織物100における切断部以外の部分を強化することもできる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0203】
図16Aは、織物100の部分的な加工処理のためのプロセスの別の一例を示す図である。
【0204】
図16Aにおいて、粘着材200が熱可塑性の樹脂を含む。所定の平面形状の突起(凸形状)を有する部材810を織物100に押圧する。このとき、部材810を加熱することができる。加熱温度は、熱可塑性樹脂の溶融温度又は軟化温度に基づいて定められる。部材810の突起によって加熱・押圧された部分において、粘着材200中の熱可塑性樹脂の一部が溶融し、織物100の部分116に浸透する。圧力をかけることにより、織物生地の糸と糸の間に粘着材の粒子が入り込むとともに、糸と糸との距離が短くなる(密になる)。織物100の部分116において、熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融した後に固化する。すなわち、密になった生地の糸と糸の間に入った粘着材粒子が一旦溶融し、その後に熱源が無くなるためにその位置で固化する。その結果、糸同士が接合され、ほつれが防止される。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0205】
この処理により、織物100が部分的に強化された織物シール66が提供される。切断線(抜き加工線)に沿った部分を強化することにより、織物100の特に縁付近における強度向上が図られる。部分116は、他の部分に比べて粘着材(熱可塑性樹脂)がより浸透した高浸透部であり、他の部分に比べて基材の密度が高い高密度部である。織物100の組織構造が強化されることにより、織物100におけるほつれ(例えば切断部のほつれ)を防止できる。押圧位置の調整により、織物100における切断部以外の部分を強化することもできる。図16Aの例では、部分116以外には熱可塑性樹脂が浸透しないことから、全体として、樹脂の浸透に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0206】
図16Bは、図16Aのプロセスの変形例であり、織物シール(織物シート)が補シート(340)を備える場合の一例を示す図である。
【0207】
図16Bにおいて、第1粘着材200Aが熱可塑性の樹脂を含み、第2粘着材200Bが主に水溶性粘着材を含む。部材810の突起によって織物100を加熱・押圧する処理において、第1粘着材200A中の熱可塑性樹脂の一部が溶融して織物100の部分116に浸透し、一方、第2粘着材200B中の水溶性粘着材は実質的に反応しない。図16Aのプロセスと同様に、図16Bのプロセスが進行し、織物100が部分的に強化された織物シール68が提供される。部分116は、他の部分に比べて粘着材(熱可塑性樹脂)がより浸透した高浸透部であり、他の部分に比べて基材の密度が高い高密度部である。切断線(抜き加工線)に沿った部分を強化することにより、織物100の特に縁付近における強度向上が図られる。織物100の組織構造が強化されることにより、織物100におけるほつれ(例えば切断部のほつれ)を防止できる。押圧位置の調整により、織物100における切断部以外の部分を強化することもできる。図16Bの例では、部分116以外には熱可塑性樹脂が浸透しないことから、全体として、樹脂の浸透に伴う織物100の元々持つ特性(外観特性、感触、柔軟性、風合いなど)の低下が抑制される。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)がセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。
【0208】
図16Cは、図16Bのプロセスの変形例を示す図である。
【0209】
図16Cにおいて、加熱・押圧処理の際に、部材810と織物100との間にシート815が挟まれる。シート815としては、耐熱性を有する薄膜シート、例えば、フィルム、グラシン紙等が挙げられる。シート815の一面には、溶融した樹脂との接着を防ぐ処理が施されている。例えば、シート815の少なくとも一面に、離型材が配されている。加熱・押圧処理の際に、部材810と織物100との間にシート815が挟まれることで、部材810と織物100との接着が防止される。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)がセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。シート815の配置は、図14、図15、及び図16Aのプロセスにも同様に適用可能である。
【0210】
図17A、図17B、図17C、図17D、図17E、及び図17Fは、図14−図16Cに示した方法等により、織物100の切断部を強化した形態の例を示す図である。図17A及び図17Dは、補シートを備えない形態の一例であり、図17B及び図17Eは、補シート340を備えた形態の一例であり、図17C及び図17Fは、織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合である。図17A、図17B、及び図17Cにおいて、織物シール(織物シート)は、織物100の切断端部(縁、縁部分)に段差を有する。すなわち、強化処理された部分(強化部)172の織物100の厚みが、他の部分に比べて小さい。これは押圧処理(圧縮処理)された跡を示すものである。この強化部172は、押圧接合処理により糸の密度が高い。強化部172は、他の部分に比べて基材の密度が高い高密度部を有する。平面的に観察すると、強化部172の反射率、及び/又は色が他の部分と異なる場合がある。強化材料の調整により、強化部172の被観察状態を調整可能である。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0211】
図17D、図17E、及び図17Fにおいて、織物シール(織物シート)は、織物100の切断端部(縁、縁部分、強化部)172に加え、別の部分174で段差を有する。織物100の縁以外の部分において、強化処理された部分(強化部)174の織物100の厚みが、他の部分に比べて小さい。この強化部174は、押圧接合処理により糸の密度が高い。見え方の違いを利用して、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等を織物100の一面に描くことができる。強化材料に色材及び/又は反射材を添加することにより、強化部172、174の色彩を変化させることができる。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0212】
織物100の切断端部において、強化部172の幅は、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mm、又はそれ以上にできる。
【0213】
先の図11に示すように、強化部172は、織物100の実質的全面に形成できる。あるいは、強化部172は、織物100に部分的に形成できる。部分的な形成の一例において、強化部172は、織物100の縁に沿って形成される(全周、部分周)。代替的及び/又は追加的に、強化部172は、織物100の縁と他の部分に直線状、曲線状、及び/又は点状に形成される。代替的及び/又は追加的に、強化部172は、織物100の角部に形成される。代替的及び/又は追加的に、強化部172は、織物100の縁とスリット302の付近に形成される。代替的及び/又は追加的に、強化部172は、織物100の縁(外縁)と窓304の付近(内縁付近)に形成される。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。強化部172の形成領域は、織物100のたて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有することができる。あるいは、強化部172の形成領域は、たて糸又はよこ糸と交差する軸を有する形状を有することができる。
【0214】
強化部172は織物100の全体に実質的均一に形成できる。あるいは、強化部172は織物100に実質的不均一に形成できる。少なくとも織物100の切断部(縁やスリット部)に強化部172が形成されることで、織物100における切断部のほつれや組織崩れを抑制できる。部分的な強化部172の形成及び/又は不均一な強化部172強化部172の形成を有する織物100は、ある一部における組織、組成、強度、充填率、密度、硬度等の少なくとも1つが他部のそれと異なる。織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0215】
図17Gは、織物100の切断部を強化した形態の別の例を示す図である。図17Gにおいて、織物シール70は、織物100の切断端部(縁、縁部分)に部分的に配置された樹脂720(補材220)を備える。樹脂720の部分配置は、例えば、織物100の切断後又は切断前に行うことができる。樹脂720は、切断された織物100の縁に沿って配置できる。樹脂720は、切断された織物100の縁の全周にわたって配置できる。あるいは、樹脂720は、切断された織物10の縁の周の一部に配置できる。樹脂720は、織物100の表面(例えば縁部の表面)上で盛り上がった状態で設けることができる、実質的に織物100の表面と同じ高さとなるように設けることができる、織物100の表面にはみ出ないように設けることができる、又は織物100の主に側面上にのみ設けることができる。なお、図17Gでは、織物シール70は少なくとも3層構造を有する。代替的に、4層構造以上を有する織物シールに対して強化用樹脂を部分配置できる。代替的に、樹脂以外の材料を織物100の切断部の強化に使用できる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0216】
図17Hは、織物100の切断部を強化した形態の別の例を示す図である。図17Hにおいて、織物シール80は、織物100の表面を覆う保護シート740(補材220)を備える。保護シート740を織物100の切断端部(縁、縁部分)に部分的に配置することができる。あるいは、保護シート740を織物100の表面全体を覆う(ラミネートする)ように配置することができる。保護シート740として、無色かつ実質的透明のシート、有色かつ実質的透明のシート、実質的半透明のシート、又は実質的透明でないシートを用いることができる。様々な材料が保護シート740として使用可能である。なお、図17Hの例では、織物シール80は少なくとも3層構造を有する。代替的に、4層構造以上を有する織物シールに対して保護シートを配置できる。織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えた場合、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シート(340)を備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材(200B)を備えない場合も同様にできる。また、織物100の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も同様にできる。
【0217】
図18は、織物シール(織物シート)における表面の一例を示す図である。前述したように、織物100は、色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを含むデザインを有することができる。織物10のデザイン(第1デザイン150)は、織物組織(先染めの織物組織、織り目、織柄など)に基づき表現され得る(以後、適宜に第1デザイン処理と称する)。例えば、織物組織のみ、又は織物組織とたて糸・よこ糸の色糸配列の組み合わせに基づき、柄や文字が表現され得る。追加的及び/又は代替的に、織物100のデザイン(第2デザイン160)は、後染めや捺染(印刷など)、樹脂ポッティング、箔付け、刺繍、手描き、エアブラシ、漆塗り、版画、その他の飾りつけ等の後染めにより表現され得る(以後、適宜に第2デザイン処理と称する)。箔付けには、ホットスタンピング法や、コールド転写法(フレキソ印刷機を使用する方法、オフセット印刷機を使用する方法など)が適用され得る。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0218】
第1デザイン処理による第1デザイン150の内容(第1内容)、及び第2デザイン処理による第2デザイン160の内容(第2内容)の少なくとも1つは、織物シール(織物シート)が取り付けられる対象物に、又は織物シール(織物シート)の適用物に関連できる。例えば、第1デザイン150の内容及び第2デザイン160の内容の少なくとも1つは、対象物の名称・ブランド、対象物の象徴イメージ、又は対象物の説明文・宣伝広告等を含むことができる。対象物の取り付け面が曲面、折り曲げ面、及び/又は段差を有する、取り付け部が光透過性を有する、適用物が立体形状を有する、及び/又は適用状態がドレープを有する等の場合において、織物100の光特性がより効果的に発揮され得る。粘着材を介して織物100が対象物に貼り付けられることにより、曲面、折り曲げ面、及び/又は段差を有する取り付け面に倣って織物100を、少なくとも部分的に対象物に密着できる。織物100の密着部分が対象物の表面に沿って三次元形状を有することができる。織物100からの光の状態が部分ごとに異なり、特徴的な外観性が発揮される。あるいは、接着材(粘着材)の非配置領域が設けられた織物100において、織物100の非密着部分が風合いを発揮する。対象物の取り付け面の形状に合わせて、織物100の第1デザイン150及び第2デザイン160の少なくとも一方を定めることができる。接着材(粘着材)の配置パターンに合わせて、織物100の第1デザイン150及び第2デザイン160の少なくとも一方を定めることができる。あるいは、光透過性を有する粘着材を介して光透過性の対象物に取り付けられた織物100において、織物100の光透過性及び発色性に基づき、独特の外観性が発揮され得る。
【0219】
また、第1デザイン処理と第2デザイン処理との組み合わせにより、織物シール(織物シート)が有する外観特性や機能特性を効果的に発揮できる。この場合においても、取り付け面が曲面、折り曲げ面、及び/又は段差を有する、取り付け部が光透過性を有する、適用物が立体形状を有する、及び/又は適用状態がドレープを有する等により、織物100の光特性がより効果的に発揮できる。一例において、第1デザイン150の内容と、第2デザイン160の内容とが互いに関連できる。例えば、第1デザイン150の内容及び第2デザイン160の内容の一方が、企業名や企業ロゴに関する情報を含み、他方が対象物(商品)に関する情報を含むことができる。あるいは、第1内容及び第2内容の一方が対象物に関する主情報を含み、他方が対象物に関する補情報を含むことができる。観察角度や織物100に対する光の入射状態に応じて第1デザイン及び第2デザインの外観特性が変化するとともに、その変化の様子が第1デザインと第2デザインとの間で互いに異なることができる。一例において、縮緬の絹織物100に文字及び図柄が印刷される。縮緬の生地の表面は、細かいしぼ(凹凸)を有する。印刷領域と非印刷領域との間で光反射が異なり、これが優れた外観性に貢献する。また、しぼが、絹織物100の風合いや色合いの豊かさに貢献する。
【0220】
織物100に対する捺染・印刷は、直接印刷方式と転写方式とを含むことができる。織物100に対する捺染・印刷としては、凸版印刷(活版印刷・フレキソ印刷・シール印刷など)、凹版印刷(グラビア印刷など)、平版印刷(オフセット印刷(枚葉印刷、輪転印刷、乾式)など)、孔版印刷(スクリーン印刷など)、レーザー方式(レーザープリンターなど)、及びインクジェット方式(連続式・オンデマンド方式(ピエゾ方式、サーマルインク方式など)など)などが挙げられる。捺染・印刷用のインクとしては、酸化重合タイプ、蒸発タイプ、浸透タイプ、及び光重合タイプ等が挙げられる。インクジェットプリンタ用のインクは、顔料インク、染料インク、昇華インク、万能インク、溶剤インク、昇華蛍光インク、及びUV硬化型インクの少なくとも1つを含むことができる。顔料インクは、一般に、顔料を溶剤に溶かしたインクで、印刷面に顔料色素が付着することで印刷が行われる。染料インクは、一般に、染料を溶剤に溶かしたインクで、顔料インクに比べて多くの色を作り出すことができる。染料インクが印刷面に浸透することで印刷が行われる。昇華において、インクが気体から固体になるとともに、インクの成分が対象物に固定される。
【0221】
織物100に対する捺染・印刷において、印刷方式とインクの組み合わせが適宜に選択される。一例において、顔料捺染直接印刷と顔料捺染インク(レジンインク)との組み合わせが選択され得る。レジンインクは、織物100の外観特性を好ましく維持すること、及び/又は印刷部分と非印刷部分との色特性や外観特性のバランスを取ることにおいて有利である。適切な組み合わせにおいて、第1デザイン150と第2デザイン160とが調和した独特の外観性を発揮できる。例えば、第1デザイン150の織模様が第2デザイン160内でも表現され、第1デザイン150と第2デザイン160とが組み合わされた光効果が発揮できる。他の例において、酸性直接印刷と酸性染料インクとの組み合わせが選択され得る。また他の例において、昇華転写/直接印刷方式と昇華染料インクとの組み合わせが選択され得る。また他の例において、反応性直接印刷と反応性染料インクとの組み合わせが選択され得る。代替的に、上記例以外の組み合わせが適宜に選択され得る。
【0222】
図19は、織物シール(織物シート)における表面の別の一例を示す図である。図19において、織物100における色彩、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等の少なくとも1つを含むデザインが、強化部172の少なくとも一部を含む。前述したように、強化部172は、所定の処理により糸の密度が高く、他の部分と光反射が異なる場合がある。見え方の違いを利用して、模様(パターン)、文字、及び図柄(デザイン)等を織物100の一面に描くことができる。強化材料に色材及び/又は反射材を添加することにより、強化部172の色彩を変化させることができる。例えば、強化部172は、織物100の枠を示す図柄として表現され得る。例えば、強化部172は、模様を示す図柄として表現され得る。例えば、強化部172は、文字として表現され得る。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シートを備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材を備えない場合も適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0223】
図20は、織物シール(織物シート)における表面の別の一例を示す図である。図20において、強化部172の形成領域は、後染、捺染、印刷、樹脂ポッティング、箔付け、刺繍、手描き、エアブラシ、漆塗り、版画、及び飾りつけの少なくとも1つを含む、製織後処理に基づき表現されるデザインを含む。見え方が他の部分と異なる強化部172へのデザインの追加は、他のデザインとのマッチングやバランス向上に貢献できる。例えば、強化部172の形成領域に、枠線の少なくとも一部を描画することができる。例えば、強化部172の形成領域に色彩を追加することができる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物シール(織物シート)がセパレータ(300)を備えない場合、あるいは織物シール(織物シート)が補シートを備えかつセパレータ(300)及び第2粘着材を備えない場合も適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0224】
前述したように、織物100が絹織物である場合、絹糸又は絹織物は、光沢性、色彩性、染着性、伸び性、吸湿性・透湿性、低帯電性、防しわ性、難燃性、紫外線カット性、抗菌性、耐酸化性、物質吸収性(ガス吸収性など)、金属吸着性などの機能を有することができる。また、天然繊維の絹糸と、他の材料との組み合わせにより、さらに様々な機能を有することができる。絹の光沢は、一般に、絹糸の断面が全体的に略三角形状を有することによるプリズム光効果、及び複雑な微細繊維構造(層状構造、フィブリル構造)等に基づく。絹は、たんぱく質繊維であり、結晶性部分と非結晶性部分とを含む。また絹は、染着に適した様々な活性基を含む。また絹は、比較的低屈折率を有する。絹繊維内部からの反射光が表面を透過して鮮度の高い色を発することができる。絹織物は、多数の気室を含み、含気量が比較的多い。絹織物は、厚さが比較的維持され得る(高圧縮弾性)。絹織物は比較的熱を伝えにくい。絹織物は変形が比較的容易である。絹は綿に比べて高い吸水性を有する。絹は絹と同程度の放湿性を有する。絹織物は、しわが比較的できにくく、しわができても残りにくい。しわの残りにくさは、繰り返し使用に適するなど、シールや装飾用の使用に有利である。絹は比較的高温度まで燃えず、燃えた場合にも有毒ガスが発生しにくい。また絹は溶融しにくい。絹フィブロインの紫外線吸収スペクトルは、特定の波長に高い吸収率を示す。絹織物は、紫外線の少なくとも一部を吸収する機能を有する。
【0225】
上記の技術の利用又は必要に応じて複数の技術を組み合わせることにより絹織物の利用を促進させる様々な応用製品を作ることができる。
【0226】
(千社札・交換札)
一例において、図21に示すように、千社札・交換札として織物シール1001が提供される。織物100の外観特性が独特の風合いの発揮に貢献する。織物シール(織物シート)1001が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。織物100は、例えば絹織物である。織物100として、絹織物以外の織物にできる。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0227】
(アルコール飲料容器用ラベル)
一例において、図22に示すように、アルコール飲料(日本酒、梅酒、焼酎、ウィスキー、ブランデー、ワイン、ビール、カクテルなど)の容器に織物シール(織物シート)1002、1003、1004が取り付けられる。アルコール飲料の容器に織物100の外観特性や紫外線カット性が付与され得る。織物シール(織物シート)1002、1003、1004が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0228】
(容器用ラベル)
一例において、食料・食品用の容器に織物シール(織物シート)が取り付けられる。例えば、図23に示すように、酒樽、味噌(漬物)桶、木箱(例えば高級食材用木箱)に織物シール(織物シート)1005、1006、1007が取り付けられる。織物シール(織物シート)が取り付けられる食品容器として、漬物、ご飯類、餅、和菓子、魚加工品、お茶、蜂蜜、果物等用の容器が挙げられる。織物シール(織物シート)が取り付けられる調味料容器として、醤油、ソース、酢、味噌、塩、砂糖、胡椒、七味等用の容器が挙げられる。織物シール(織物シート)が取り付けられる飲料容器として、果物のジュース、炭酸飲料、野菜ジュースが挙げられる。こうした容器に織物100の外観特性やその他の機能が付与され得る。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0229】
(人体装飾用シール)
一例において、装飾用としての織物シール(織物シート)が人体に貼り付けられる。本例において、例えば、人体の肌に対して刺激の少ない粘着材(取り付け材)が採用される。織物の外観性を人体の装飾に活用することができる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0230】
(医薬部外品シール)
一例において、医薬部外品としての織物シール(織物シート)が人体に取り付けられる。本例において、例えば、粘着材(取り付け材)にチタン、マグネシウム、アルミニウムの少なくとも1つを含む金属材が混入される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0231】
(香料シール)
一例において、香料を含む織物シール(織物シート)が人体に取り付けられる。本例において、例えば、粘着材(取り付け材)に香料が混入される。粘着材が露出状態となることで、粘着材から香りが放出される。こうしたシールは、例えば、香料をカプセル化したものを粘着材に混入し、それを織物に塗布することにより製造される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0232】
(虫除けシール)
一例において、虫除け用としての織物シール(織物シート)が人体に取り付けられる。本例は、上記の香料シールの応用である。香料として、虫除けに効果を有する材料が使用される。肌または衣類にシールを貼付することにより、虫除けの効果を得ることができる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0233】
(織物テープ)
一例において、テープ状に製造された織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、織物の外観性を有するテープが提供される。また、織物の防しわ性により、貼り直しても外観性が損なわれにくい。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0234】
(飾り書簡紙)
一例において、織物が貼り付けられた書簡紙が提供される。すなわち、本例において、織物と書簡紙が合紙される。織物の外観性を書簡紙に付与することができる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0235】
(光触媒シール)
一例において、光触媒の機能を有する織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、織物又は粘着材に光触媒の機能が付与される。光触媒により、シールが貼付された付近の空間に対して消臭効果を発揮することができる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0236】
(シップ)
一例において、シップ機能を有する織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、取り付け剤(粘着材)に温シップや冷シップの機能を有する材料が混入される。織物の外観性を有するシップが提供される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0237】
(冷剤)
一例において、冷却機能を有する織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、粘着材に冷却機能を持たせたものが塗布される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0238】
(ブロークンシール)
一例において、所定の加工(ブロークン加工)が施された織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、使い込んだような外観が織物に与えられる。独特の外観性が発揮される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0239】
(インクジェットプリンタ対応シール)
一例において、商業向け及び家庭用インクジェットプリンタで印刷可能なシールが提供される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0240】
(レーザプリンタ対応シール)
一例において、商業向け及び家庭用レーザプリンタで印刷可能なシールが提供される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0241】
(インクジェットプリンタ用ホットメルト)
一例において、インクジェットプリンタ用ホットメルトとしての織物シートが提供される。本例において、例えば、商業向け及び家庭用インクジェットプリンタ対応のアイロンを用いてシートが対象物に接着可能である。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0242】
(レーザプリンタ用ホットメルト)
一例において、レーザプリンタ用ホットメルトとしての織物シートが提供される。本例において、例えば、商業向け及び家庭用レーザプリンタ対応のアイロンを用いてシートが対象物に接着可能である。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0243】
(ドライデカール)
一例において、ドライデカールとしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、シールを対象物の所定位置に配置した後に、シールの表面を擦ることにより、シールが対象物に付着する。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0244】
(食品鮮度保持シール)
一例において、食品鮮度保持シールとしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、冷蔵庫の内部などに織物シールが貼付される。冷蔵庫内に織物の装飾性が付与される。また、織物が絹織物である場合、絹のガス吸収性により食品鮮度低下の抑制がなされる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0245】
(壁紙)
一例において、壁などの内装用として織物シールが使用される。本例において、例えば、織物の外観性が壁などに付与される。また、織物が絹織物である場合、絹のガス吸収性により環境ホルモンなどの放出の抑制がなされる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0246】
(暗号シール、情報シール)
一例において、暗号シールや情報シールとしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、織コード又はカラーコードが所定の情報を含む。本例において、例えば、先染めの織物組織が好ましく用いられる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0247】
(抗菌シート)
一例において、防菌シートしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、マスク、ガーゼ、包帯、絆創膏などに織物シートが用いられる。これらの用品に絹織物の外観性が付与される。また、織物が絹織物である場合、絹の抗菌性が付与される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0248】
(反射シール、防犯シール)
一例において、反射シールや防犯シールとしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、自転車や標識などに織物シールが貼付される。織物が絹織物である場合、絹織物の光沢性や外観性が対象物に付与される。追加的に、反射糸が複合使用された絹織物を使用することができる。あるいは、絹織物の表面に光沢層を被覆することができる。あるいは一片のシールにおいて、絹織物が配置された領域と、反射印刷が施された領域が設けられる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0249】
(ハイブリッド繊維織物シール)
一例において、異なる素材の繊維を組み合わせたハイブリッドタイプの織物シールが提供される。本例において、例えば、一片のシールにおいて、天然繊維、化学繊維など複数の素材の組み合わせが挙げられる。織物は、例えば絹繊維とアセテートの織物である。織物として、絹繊維以外の繊維を備えた織物にできる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0250】
(ハイブリッド積層シール)
一例において、他の素材と組み合わされたハイブリッドタイプの積層織物シールが提供される。本例において、例えば、一片のシールにおいて、他の素材の領域と織物の領域とが設けられる。他の素材としては、例えば、紙、和紙、樹脂、金属などが挙げられる。織物は、例えば絹織物である。織物として、絹織物以外の織物にできる。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。
【0251】
(賀状デザイン用シール)
一例において、賀状デザイン用シールとしての織物シール(織物シート)が提供される。本例において、例えば、年賀状などの葉書に織物シールが貼付される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0252】
(ポイントシール)
一例において、商店などが提供するポイントシールに織物シールが使用される。織物シール(織物シート)が補シートを備えない場合及び補シートを備える場合のいずれも適用可能である。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0253】
(絆創膏)
一例において、絆創膏としての織物シールが提供される。本例において、織物シールは、外からの水分の浸入を防ぎ、中からの水分を放出する機能を有する補シートを備えることができる。織物は、例えば絹織物である。織物として、絹織物以外の織物にできる。また、織物の代わりに、織物以外の布や和紙を使用する場合も適用可能である。
【0254】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。上記説明において使用した数値は一例であって、本発明はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0255】
一実施形態において、織物シール(織物シート)は、織物と、前記織物の一面に配された粘着材と、前記粘着材を介して前記織物の前記一面に貼り付けられ、前記粘着材の少なくとも一部を前記織物の前記一面に残して前記織物の前記一面から剥がすことが可能なセパレータ(台紙、シート)とを備える。本実施形態において、前記粘着材が前記織物を強化する機能を有することができる。本実施形態において、織物シールは、前記粘着材と前記織物の間に配され、前記織物を補強する補材を含むことができる。
【0256】
一実施形態において、織物シール(織物シート)は、織物と、前記織物の一面に配された粘着材であって、所定の処理が施されることにより前記織物を他の物体に貼り付け可能な粘着性を発現する前記粘着材と、を備える。
【0257】
一実施形態において、織物シール(織物シート)は、織物と、織物の一面に配された第1粘着材と、前記粘着材を介して前記織物の前記一面に貼り付けられる第1面を有し、前記粘着材の少なくとも一部を前記織物の前記一面に残して前記織物の前記一面から前記第1面を剥がすことが可能なセパレータ(シート)と、前記セパレータの第2面に配された第2粘着材と、を備える。
【符号の説明】
【0258】
10,20,22,24,25,26,27,30,40,50,60,70,80:織物シール(織物シート、接着性シート、シール)、100:織物(基材)、150:第1デザイン、160:第2デザイン、200:粘着材、200A:第1粘着材、200B:第2粘着材、210:アンカー材、260,270:取付材、300:セパレータ、340:補シート、500:対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物と、
粘着材と、
を備えた織物シール。
【請求項2】
織物と、
前記織物を他の物体に取り付けるための手段と、
を備えた織物シート。
【請求項3】
織物を用意する工程と、
前記織物を他の物体に取り付けるための手段を前記織物に配する工程と、
を備えた織物シール又は織物シートの製造方法。
【請求項4】
織物と、
粘着材と、を備え、
全体の実質的な層の数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上である、織物シール。
【請求項5】
前記織物は、色彩、模様、文字、及び図柄の少なくとも1つを有する、請求項4に記載の織物シール。
【請求項6】
空間側に配される前記織物の第1面と、対象物側に配される前記織物の第2面との少なくとも1つが観察される、請求項4又は請求項5に記載の織物シール。
【請求項7】
前記織物は、絹織物、毛織物、綿織物、麻織物の、及び化学繊維織物の少なくとも1つを含む、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項8】
前記織物は、先染め織物及び後染め織物の少なくとも1つを含む、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項9】
文具、補助具、容器、携帯機器、携帯機器付属品、電気製品、電気製品付属品、記録媒体、機械装置、衣料品、衣料雑貨、装飾用品、化粧用品、化粧付属品、台所用品、医療品、社寺等に関わる物品、日用品、乗り物、舞台セット、舞台用品、競技場の構造物、競技場の飾り用品、道場の構造物、道場の飾り用品、幟、テーブル装飾用品、交通網構成機器、建築物、公共施設、販売機、現金取扱装置、看板、壁、床、天井、窓、棚、家具、テーブル、椅子、寝具、書籍、新聞、雑誌、パンフレット、カレンダー、名刺、千社札、名札、用紙、包装紙、チケット、メニュー表、カード、草木、花、人体、生物、工事現場用仕切、案内板、の少なくとも1つに取り付けられる、又は
土産雑貨シール、ラッピングシール、デコレーションシール、屋外用シール、接合用テープ、付箋、ラベル、パズル、ペナント、難燃シート、防火シート、医薬部外品、社寺等に関わる物品、千社札、飾り材として使用される、請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項10】
前記織物は、強度、耐摩耗性、耐候性、透湿性、防水性、耐水性、耐薬性、洗濯性、外観性、防しわ性、熱特性、保温性、保冷性、柔軟性、難燃性、及び接合性の少なくとも1つに関する処理がなされた少なくとも部分を有する、請求項4から請求項9のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項11】
前記織物は、たて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有する、又は、たて糸又はよこ糸と実質的に交差する軸を有する形状を有する、請求項4から請求項10のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項12】
シート形状、巻物形状、及び立体的形状の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項11のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項13】
前記織物は、たて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する、文字、図柄、及び模様の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項12のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項14】
前記織物は、
織物組織に基づき表現される第1デザインと、
後染、捺染、印刷、樹脂ポッティング、箔付け、刺繍、手描き、エアブラシ、漆塗り、版画、及び飾りつけの少なくとも1つを含む、製織後処理に基づき表現される第2デザインと、
の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項13のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項15】
前記織物の表側における前記粘着材の被観察状態が制御されている、又は前記織物の組織構造の隙間を介した前記粘着材の被観察状態が制御されている、請求項4から請求項14のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項16】
前記織物の組織構造の窪みにおける、前記粘着材の有無、量、表面積、厚み、分布などの前記粘着材の状態が制御されている、請求項4から請求項15のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項17】
前記織物の表面の窪みにおける、前記粘着材の表面高さが制御されている、又は、
前記織物の組織構造の隙間における前記粘着材の表面高さが制御されている、請求項4から請求項16のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項18】
前記粘着材は、色及び光学特性の少なくとも1つが制御されている、又は、
前記織物の組織構造、色彩、陰影、模様、文字、又は図柄等に応じて、前記粘着材の色相、色度、及び/又は彩度が設定されている、
請求項4から請求項17のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項19】
前記粘着材は、実質的に透明、前記織物の全体に比べて明るい色、前記織物の全体に比べて暗い色、前記織物の色と同系の色、前記織物の色と所定の関係にある色、面全体が均一な色、一面における少なくとも部分的な色の変化、光吸収性、及び光反射性、の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項18のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項20】
前記織物の下層又は最下層の糸の厚みに対する、前記粘着材の高さの割合が、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はそれ以上である、請求項4から請求項19のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項21】
前記織物の上層又は最上層の糸の厚みに対する、前記粘着材の高さの割合が、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれ以下である、請求項4から請求項20のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項22】
前記織物の内部に浸透した前記粘着材の実質的な割合が、前記織物に対して、重量比で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200%、又はそれ以上である、請求項4から請求項21のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項23】
前記織物の組織構造の間隙に前記粘着材が進入した実質的な距離が、前記織物の厚みに対して、約90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%、又はそれ以下である、請求項4から請求項22のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項24】
前記織物のたて糸とよこ糸と前記粘着材とに囲まれた空隙の有無又は割合が制御されている、請求項4から請求項23のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項25】
前記粘着材は、単層を有する、又は少なくとも一部の仕様が互いに異なる複数層を有する、請求項4から請求項24のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項26】
前記粘着材は、前記織物の一面の全体又は部分に配置される、請求項4から請求項25のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項27】
前記織物は、表面側に配される上部と、裏面側に配される下部との間で、同一又は異なる特性を有する、請求項4から請求項26のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項28】
前記織物は、表面側に配される上部、裏面側に配される下部、及び上部と下部との間の中間部のうち、少なくとも一部が他の部に対して同一又は異なる特性を有する、請求項4から請求項27のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項29】
前記織物は、平織、斜文織、朱子織、及びそれ以外の組織の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項28のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項30】
前記織物は、部分的な補強組織を含む、請求項4から請求項29のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項31】
前記織物は、織物組織と色糸配列の組み合わせに基づく柄を有する、請求項4から請求項30のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項32】
前記織物は、重ね組織を含む、請求項4から請求項31のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項33】
前記織物は、袋織、風通織、さしこ織、網目織、トリコ織、ピッケ、ひだ織、ベッドフォードコード織、クレーポン、斜めコード織、紋コード織、接結模様二重織、パイル織、からみ組織、綴れ、たて錦、よこ錦、緞子、朱珍、紹巴、風通、からみ織、ビロード、本しぼ織、絣織、紬、繻子、金銀襴、羽二重、綸子、お召、銘仙、大島、綴錦、博多織、及び縮緬の少なくとも1つを含む、請求項4から請求項32のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項34】
前記粘着材を覆うセパレータをさらに備えた、請求項4から請求項33のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項35】
セパレータをさらに備え、
前記セパレータは、前記織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状を有する、又は、たて糸又はよこ糸と実質的に交差する軸を有する形状を有する、請求項4から請求項34のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項36】
セパレータをさらに備え、
前記セパレータは、実質的な分割用のスリットを有し、
前記スリットは、前記織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿うように形成される、又は、前記織物のたて糸又はよこ糸と実質的に交差するように形成される、請求項4から請求項35のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項37】
セパレータをさらに備え、
1つの前記セパレータに対して、前記織物が単数片又は複数片を有する、請求項4から請求項36のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項38】
セパレータをさらに備え、
前記織物が、切込み線を有する、請求項4から請求項37のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項39】
セパレータをさらに備え、
前記粘着材に接する前記セパレータの一面が実質的な凹凸構造を有する、請求項4から請求項38のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項40】
前記織物の一面における少なくとも大部分の領域は、前記織物の糸の内部に対して前記粘着材が実質的に非浸入状態である、請求項4から請求項39のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項41】
前記織物は、他の部分に比べて厚みが小さい部分を有する、請求項4から請求項40のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項42】
前記織物は、他の部分に比べて前記基材の密度が高く、少なくとも部分的に形成された高密度部を有する、請求項4から請求項41のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項43】
前記織物は、他の部分に比べて前記粘着材がより浸透した高浸透部を有する、請求項4から請求項42のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項44】
前記織物の少なくとも一面の少なくとも一部の領域にアンカー処理が施されている、請求項4から請求項43のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項45】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備える、請求項4から請求項44のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項46】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備え、
前記アンカー材は、前記織物の一面の全体又は部分的に配置される、請求項4から請求項45のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項47】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備え、
前記アンカー材は、前記織物と前記粘着材との間の接合の確保機能、前記粘着材に対するバリア層としての機能、前記織物の組織の補強機能、及び前記織物のほつれ防止機能、の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項46のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項48】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備え、
前記アンカー材は、シート材やフィルム材を含むシート状の部材を有する、請求項4から請求項47のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項49】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備え、
前記アンカー材は、多孔構造、網目構造、凹凸構造、突起構造、極薄構造、浸透構造、及び柔軟構造の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項48のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項50】
前記織物の少なくとも一面に配置されたアンカー材をさらに備え、
前記アンカー材は、前記織物と前記粘着材との間の接合を促進させる機能を発現する材料を含む、請求項4から請求項49のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項51】
前記織物は、一面内で部分的に、前記織物の組織構造を強化した強化部を有する、請求項4から請求項50のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項52】
前記織物は、一面内で部分的に、前記織物の組織構造を強化した強化部を有し、
前記強化部は、前記織物のたて糸又はよこ糸に実質的に沿った軸を有する形状の領域を有する、請求項4から請求項51のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項53】
前記織物は、一面内で部分的に、前記織物の組織構造を強化した強化部を有し、
前記織物における文字、図柄、及び模様の少なくとも1つは、前記強化部の少なくとも一部を含む、請求項4から請求項52のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項54】
前記織物は、一面内で部分的に、前記織物の組織構造を強化した強化部を有し、
前記織物における文字、図柄、及び模様の少なくとも1つは、前記強化部の少なくとも一部を含み、
前記強化部の形成領域は、後染、捺染、印刷、樹脂ポッティング、箔付け、刺繍、手描き、エアブラシ、漆塗り、版画、及び飾りつけの少なくとも1つを含む、製織後処理に基づき表現されるデザインを含む、請求項4から請求項53のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項55】
前記織物に接する前記粘着材の面の形状が制御されている、請求項4から請求項54のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項56】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記粘着材は、前記基材と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を含む、請求項4から請求項55のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項57】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記織物が浸透性素材、吸液性素材、又は多孔素材を含み、
前記粘着材は、前記織物と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を含み、
前記第1粘着材の仕様と前記第2粘着材の仕様とが互いに異なる、請求項4から請求項56のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項58】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記粘着材は、前記織物と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を含み、
前記織物と前記第1粘着材とが密に接している、又は、
前記織物と前記第1粘着材とが疎に接している、請求項4から請求項57のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項59】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記粘着材は、前記織物と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を含み、
前記織物に少なくとも一部が接する前記第1粘着材の面の形状が制御されている、請求項4から請求項58のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項60】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記粘着材は、前記織物と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、を含み、
前記第1粘着材に接する前記補シートの一面が実質的な凹凸構造を有する、請求項4から請求項59のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項61】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記補シートは、フィルム、紙、合成紙、布、又は合成樹脂を含む、請求項4から請求項60のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項62】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記補シートは、反射防止性、電磁波遮蔽性、制電性、遮光性、周波数選択性、偏光性、フィルタ性、耐光性、透湿性、透水性、吸水性、剥離性、層間剥離性、形状安定性、抜き加工性、補強性、耐水性、耐火性、耐熱性、非透過性、形状追従性、形状保持性、形状安定性、加工容易性、静電気除去性、緩衝性、耐溶剤性、絶縁性、収縮性、伸張性、耐油性、耐薬品性、意匠性、磁性、導電性、印刷性、感光性、保護性、防錆性、離型性、装飾性、ストレッチ性、生分解性、及び抗菌性の少なくとも1つを有する、請求項4から請求項61のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項63】
セパレータと、前記織物と前記セパレータとの間に配される補シートとをさらに備え、
前記補シートは、印刷層を有し、
前記印刷層は、対象物から前記補シートが剥離された際に観察可能である、又は、前記補シートが層間剥離された際に、対象物に残される層の表面で観察可能である、又は、前記補シートが層間剥離された際に、対象物から離れる層の表面で観察可能である、請求項4から請求項62のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項64】
折ケイ、切り目、及び止め刃の少なくとも1つをさらに備える、請求項4から請求項63のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項65】
前記粘着材は、常温で粘着性を実質的に発現せず、所定の処理により粘着性を発現する、請求項4から請求項64のいずれか一項に記載の織物シール。
【請求項66】
請求項4から請求項65のいずれか一項に記載の織物シールにおける織物の代わりに不織布、フェルト、編み物、及びレースの少なくとも1つを含む布、又は和紙などの織物以外の基材を使用した、接着性シート。
【請求項67】
基材と、
補シートと、
セパレータと、
前記基材と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、
前記補シートと前記セパレータとの間に配される第2粘着材と、
を備えたシール。
【請求項68】
基材と、
補シートと、
前記基材と前記補シートとの間に配される第1粘着材と、
前記第1粘着材に対して反対側の面である、前記補シートの一面に配される第2粘着材と、
を備えた接着性シート。
【請求項69】
前記基材が浸透性素材、吸液性素材、又は多孔素材を含み、
前記第1粘着材の仕様と前記第2粘着材の仕様とが互いに異なる、請求項68に記載の接着性シート。
【請求項70】
前記基材と前記第1粘着材とが密に接している、請求項68から請求項69のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項71】
前記基材と前記第1粘着材とが疎に接している、請求項68から請求項70のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項72】
前記基材の一面は微細凹凸構造を含み、
前記微細凹凸構造に少なくとも一部が接する前記第1粘着材の面の形状が制御されている、請求項68から請求項71のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項73】
前記基材は、他の部分に比べて厚みが小さい部分を有する、請求項68から請求項72のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項74】
前記基材は、他の部分に比べて前記基材の密度が高く、少なくとも部分的に形成された高密度部を有する、請求項68から請求項73のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項75】
前記基材は、他の部分に比べて前記第1粘着材がより浸透した高浸透部を有する、請求項68から請求項74のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項76】
前記基材は、織物、不織布、フェルト、編み物、及びレースの少なくとも1つを含む布、又は和紙を含む、請求項68から請求項75のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項77】
前記補シートは、フィルム、紙、合成紙、布、及び合成樹脂の少なくとも1つを含む、請求項68から請求項76のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項78】
前記補シートは、反射防止性、電磁波遮蔽性、制電性、遮光性、周波数選択性、偏光性、フィルタ性、耐光性、透湿性、透水性、吸水性、剥離性、層間剥離性、形状安定性、抜き加工性、補強性、耐水性、耐火性、耐熱性、非透過性、形状追従性、形状保持性、形状安定性、加工容易性、静電気除去性、緩衝性、耐溶剤性、絶縁性、収縮性、伸張性、耐油性、耐薬品性、意匠性、磁性、導電性、印刷性、感光性、保護性、防錆性、離型性、装飾性、ストレッチ性、生分解性、及び抗菌性の少なくとも1つを有する、請求項68から請求項77のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項79】
前記第2粘着材に接して配されるセパレータをさらに備えた、請求項68から請求項78のいずれか一項に記載の接着性シート。
【請求項80】
基材を用意する工程と、
セパレータを用意する工程と、
粘着材を介して前記基材と前記セパレータとを貼り合わせる工程と、
前記基材に所定の機能を付与する工程と、
を含む、接着性シート又はシールの製造方法。
【請求項81】
基材を用意する工程と、
セパレータを用意する工程と、
前記基材と前記セパレータとの間に配される補シートを用意する工程と、
第1粘着材を介して前記基材と前記補シートとを貼り合わせる工程と、
第2粘着材を介して前記補シートと前記セパレータとを貼り合わせる工程と、
前記基材に所定の機能を付与する工程と、
を含む、接着性シート又はシールの製造方法。
【請求項82】
前記所定の機能は、強度、耐摩耗性、耐候性、透湿性、防水性、耐水性、耐薬性、洗濯性、外観性、防しわ性、熱特性、保温性、保冷性、柔軟性、又は難燃性を向上させる機能、前記基材と前記粘着材との間の接合性の強化機能、前記粘着材に対するバリア機能、及び前記基材のほつれ防止機能、の少なくとも1つを含む、請求項80又は請求項81に記載の接着性シート又はシールの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図9K】
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【図9L】
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【図9M】
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【図9N】
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【図9O】
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【図9P】
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【図9Q】
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【図9R】
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【図9S】
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【図9T】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−68130(P2011−68130A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189856(P2010−189856)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(509241018)
【出願人】(509241029)共栄紙工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】