説明

織物生地、織物生地の製造方法および織物生地を含む衣料

ポリアミドまたはポリエステルまたはこれらの素材のいずれかと綿との混紡からなる第1糸(10)で構成される織物生地は、第2糸(12)が前記生地の少なくとも一部分に含まれ、前記第2糸がポリエーテルをベースとしていて前記第1糸に熱接着する、という特徴を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドまたはポリエステルまたはこれらの素材のいずれかと綿との混紡からなる第1糸を含む織物生地に関する。本発明はさらに、前記織物生地の製造方法および前記織物生地を含む衣料に関する。とりわけ本発明は、衣料およびコルセットに適用できる。
【背景技術】
【0002】
通例では、ガードル、パンティ、ボディスーツ、水着、ブラジャーなどの衣料およびコルセットは、例えば、ナイロン糸やポリエステル糸などの合成繊維糸、レーヨン糸、アセテート糸またはキュプラレーヨン糸などの再生繊維糸、綿糸、絹糸、亜麻糸、または紡毛糸などの天然繊維糸を編んだり、縦編みにしたり、または織った織物生地を用意して製造される。当技術分野では、織物生地の所望する特徴を得るために、糸の太さを変えることや異種の糸を使用することが知られており、この結果、衣料の異なる部分で異なる特性が得られている。衣料が編み目構造によって縦方向または横方向に弾力的に伸縮可能になっているとしてもなお、目的とする衣料について織物生地の特性を最適化するために、弾性糸を挿入する選択の余地がある。弾性糸の基本素材として、通常ポリウレタンが使用される。
【0003】
次いで、織物生地は所望する衣料の輪郭に沿って裁断されるが、この裁断は、裁断機(押切り型、打抜き型)で行うか、衣料の縁仕上げを形成するために、裁断の端部に沿って装飾的および/または弾性のある縁取り部を同時に縫い付ける縫製機で行うのが好ましい。
【0004】
衣料の輪郭は、織物生地の上に、衣料のより長い端部が織物生地の端部と一致するように配置される。このことは、例えば、乳房用カップの下にあるブラジャー端部やパンティの脚部の縁取り部分に関係する。
【0005】
時には、衣料の着用者の心地よさや改良した外観のために、曲がった縁を提供することが要望されるであろう。しかし、縁は、もしそれを裁断すればほつれてしまうような生地の織端で形成されているので、これらの曲線部分を単純に裁断することはできない。
【0006】
この点については、例えば接着によってであるが、ほつれなく裁断できる複合物を形成するように、織物を他の層に重ねたブラジャーが知られている。しかし、視覚的外観や着用者の心地よさは低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、生地の端部であっても裁断部分がほつれる恐れのない曲線裁断が可能となる織物生地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に定義された織物生地で解決される。
本発明によれば織物生地の少なくとも一部分に第2糸が含まれ、前記第2糸はポリエーテルをベースとしていて第1糸に熱接着される。この追加する糸は、柔らかくて締め付ける力、十分な耐アルカリ性、良好なセッティング能力および優れた結合能力など、衣料に適する優れた特徴をもつ、溶融紡糸スパンデックスであってもよい。第2糸を第1糸に熱融着することにより、もつれ、カールおよびスリップ−インを回避することが可能である。
【0009】
また、前記織物生地の少なくとも一部分に弾性糸を挿入することも可能であり、弾性糸を含む部分と、前記の熱接着糸を含む部分とが互いに異なってもよく、部分的に重なってもよい。
【0010】
上述した織物生地の製造方法は、以下のステップを含む。
a)第1糸を織ったり編んだりし、
b)前記第1糸を織ったり編んだりする最中に、またはその後で、織物生地の少なくとも一部分に第2糸を挿入し、
c)任意選択で、前記織物の同じ部分または別の部分に弾性糸を挿入し、
d)前記第2糸を前記第1糸に熱融着する。
【0011】
この方法では広範囲のプロセス温度が可能であるが、熱融着の最中の温度は、約110℃〜190℃の間が好ましい。適切な融着温度は、糸の細さ、糸の素材に依存するであろう。高すぎる温度による糸の切断は、避けなければならない。
【0012】
前に定義した織物生地を含む衣料は、熱接着糸を含む織物生地の少なくとも一部分が、前記衣料の製造中に裁断される領域内にあることを特徴とする。
【0013】
前記衣料がブラジャーであってもよく、前記熱接着糸を含む部分が、乳房用カップの下方に張り出している部分であってもよい。
【0014】
前記衣料が、パンティ、ボディスーツまたは水着であってもよく、前記熱接着糸を含む部分が、脚の縁取り部分であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の、上記目的およびそのほかの目的、特徴および優れた点は、以下に示す添付図面を参照して、以下の記述から一層明らかになるであろう。
図1は、熱接着糸が基布の編み目に挿入されている状態を説明するための編み目の概略図であり、
図2は、織物の一部が裁断された場合に、糸が別の糸に熱接着している状態を示す概略図であり、
図3は、弾性糸を追加して含む、図1に類似する図であり、
図4は、弾性糸を含む、図2に類似する図であり、
図5は、ブラジャーを製造するための織物生地の一部分の概略図であり、
図6は、パンティガードルやパンティを製造するための織物生地の一部分の概略図である。
【実施例1】
【0016】
図1では、符号10は、基布の編み目に編み込まれた非弾性糸のループを示す。非弾性糸は、ポリアミド糸またはポリエステル糸とすることができる。第2糸12が、それぞれ単一のループを通っていて、前記非弾性糸10に熱接着された後ではループの形態が安定化される。
【0017】
図2は、織物の一部が裁断されているが、非弾性糸10と熱接着性糸12の熱接着点によって、基布の編み目構造が固定化されている状態を示す。
【0018】
図3は、織物に強度と弾性を付与するために弾性糸14が追加挿入された、図1に類似する図である。
【0019】
図4は、図2に類似しているが、織物の一部が裁断されたときに、非弾性糸10と熱接着性糸12の接着点によって織物が依然固定化されていることを示す。
【0020】
非弾性糸10の材料としてポリエステルまたはポリアミドが選択されると、熱接着性糸12は、ポリエーテルをベースとした糸でなければならないことが判明した。
【0021】
図5は、本発明の織物生地を使用して、如何にブラジャーが製造されうるかを示している。乳房用カップ20は、非弾性糸または非弾性糸と弾性糸を含む基布の編み目で編まれていて、乳房用カップの下の補強部分22は、さらにポリウレタン糸などの弾性糸を含み、第3区分24は、図3に類似する編み目、すなわち非弾性糸、弾性糸および熱接着性糸を含む。熱融着の後は、端部がほつれる恐れもなく、曲線端部を実現するためにライン26に沿って裁断することが可能となる。
【0022】
図6は、本発明の織物生地を使用して、パンティガードルやパンティが如何に製造されうるかを示している。主要部分30は、非弾性糸、または非弾性糸と弾性糸、任意選択で綿糸とのブレンド糸で構成される基布の編み目で編まれている。主要部分30には、裁断線34によって脚の切り抜きを規定する縁取り部分32がある。区画36は、斜線で示されているが、当初はその縁取り部分32と一体である。それらは図1に似た編み目、すなわち、非弾性糸と熱接着性糸を含む編み目、もしくは図3に似た、非弾性糸、弾性糸および熱接着性糸を含む編み目で構成される。熱融着後にライン34に沿って裁断されて、区画36は廃棄される。
【0023】
前述の説明、特許請求の範囲および/または添付図面において開示された特徴は、別々にでも、それらを任意に組み合わせてでも、共に、本発明をさまざまな形態で実施するために重要であろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、熱接着糸が基布の編み目に挿入されている状態を説明するための編み目の略図である。
【図2】図2は、織物の一部が裁断された場合に、糸が別の糸に熱接着している状態を示す略図である。
【図3】図3は、弾性糸を追加して含む、図1に類似する図である。
【図4】図4は、弾性糸を含む、図2に類似する図である。
【図5】図5は、ブラジャーを製造するための織物生地の一部分の略図である。
【図6】図6は、パンティガードルやパンティを製造するための織物生地の一部分の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドまたはポリエステルまたはこれらの材料と綿との混紡からなる第1糸(10)を含む織物生地であって、前記織物生地の少なくとも一部には第2糸(12)が含まれ、前記第2糸(12)はポリエーテルをベースとしており前記第1糸(10)に熱接着されることを特徴とする織物生地。
【請求項2】
前記織物生地の少なくとも一部には弾性糸(14)が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の織物生地。
【請求項3】
前記弾性糸(14)を含む部分と熱接着糸(12)を含む部分とが一部重なっていることを特徴とする請求項2に記載の織物生地。
【請求項4】
前記弾性糸(14)を含む部分と前記熱接着糸(12)を含む部分とが互いに異なることを特徴とする請求項2に記載の織物生地。
【請求項5】
a)前記第1糸を織りまたは編みまたは縦編みをし、
b)前記第1糸を織るまたは編む最中またはその後に、織物生地の少なくとも一部分に前記第2糸を挿入し、
c)任意選択で、前記織物の同じ部分または別の部分に前記弾性糸を挿入し、
d)前記第1糸に前記第2糸を熱融着する、
ステップを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の織物生地の製造方法。
【請求項6】
熱融着の最中の温度が約110℃〜190℃の間であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
衣料であって、前記熱接着糸を含む織物生地の少なくとも一部分が衣料の製造中に裁断領域内にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の織物生地を含む衣料。
【請求項8】
前記衣料がブラジャーであり、前記第2糸を含む部分が乳房用カップの下方に張り出していることを特徴とする請求項7に記載の衣料。
【請求項9】
前記衣料がパンティ、ボディスーツまたは水着であり、前記第2糸を含む部分が脚の縁取り部分に張り出していることを特徴とする請求項7に記載の衣料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−515559(P2007−515559A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508358(P2005−508358)
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009624
【国際公開番号】WO2005/021852
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501467430)ペン エラスティック ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】