説明

織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイス

【課題】軸受ハウジングを加圧ロールに対して単純かつ確実に取付け及び取外しする。
【解決手段】相次いで配置された複数のロール対であって、各ロール対は下側および上側ロールIII、4を有するという複数のロール対を備える織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイスであって、上記牽伸システムの上記上側ロールは加重されるというデバイスにおいて、上記上側ロール4の端部における回転ジャーナルは軸受要素22により取付けられ、且つ、上記軸受要素は各々、不動の外側ハウジング22.1と内部回転体22とを有する少なくともひとつの深溝式ボール軸受を有する。単純で迅速かつ確実な様式にて軸受ハウジングが加圧ロールに対して取付け且つ取外しされ得るという構造的に簡素な様式を提供するために、上記軸受要素は深溝式ボール軸受37の形態であり、且つ、上記ジャーナル4.2と上記回転体22.21との間には継手43が在る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイスであって、上記牽伸システムの上側ロールは加重されるというデバイスに関する。相次いで配置されたロール対であって各ロール対は下側ロールおよび上側ロールを有するというロール対を備える牽伸システムを有する練篠フレームは知られている。上記上側ロールの各端部は夫々の軸受要素により取付けられると共に、該軸受要素は各々、不動の外側ハウジング(外側リング)と内部回転体(内側リング)とを有する少なくともひとつの深溝式ボール軸受を有している。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許第968,448号に記述された斯かる公知の牽伸システムにおいて、加圧ロールの各側の転動要素式軸受機構は、該加圧ロールのジャーナルから取り外され得る特殊な軸受ハウジング内に収容される。各ジャーナルに対し、上記軸受ハウジング内には、ロール加重(横方向加重)を吸収する少なくともひとつの転動要素式軸受が配備される。上記転動要素式軸受は、ニードル軸受、ローラ軸受もしくはボール軸受の形態である。また、ロール牽引力(軸心方向の剪断力)を吸収すべく、第2の転動要素式軸受または滑り軸受が存在する。上記加圧ロールは両端部にて、圧力嵌めされたジャーナルを備えている。
【0003】
第1実施例に依れば、軸受ハウジングは各々が2つのローラ軸受を含み、上記加圧ロールのジャーナルはローラ上に直接的に取付けられている。上記ローラ軸受は、上記軸受ハウジング内に固定された不動の外側リングを有している。上記各ローラ軸受は、別体的な構成要素を形成している。上記軸受ハウジングが取り外されつつあるとき、上記ローラは脱落に抗して確保する必要がある。更なる構成は、加圧ロールの加重を吸収するニードル軸受と、ロール牽引力を吸収する滑り軸受とを備える。上記ローラ軸受と同一様式で、上記ニードル軸受は外側リングを有する別体的な構成要素を形成すると共に、ニードルは取り外しの間における脱落に抗して確保される必要がある。加圧ロールの加重を吸収するローラ軸受を有する第3の提案に依れば、加圧ロールの軸受ハウジングであって自身の軸受を備える軸受ハウジングは、カバーを装着する目的で、または、カバーを研削しもしくは軸受に潤滑油を供給するために、ネジ接続により、ロール・ジャーナルから取り外され得る。上記軸受ハウジングが外方へと一旦引張られたなら、該軸受ハウジングはロールの本体から螺着解除され得る。上記ロールの本体および上記ジャーナルは、ユニットを構成する。第4の概念に依れば、加重およびロール剪断力を吸収するボール軸受と、ロール牽引力を吸収するニードル軸受とを有する加圧ロールが提供される。上記ボール軸受は、当該別体的な構成要素自体の外側および内側リングであって、軸受ハウジングおよびジャーナルに夫々当接して支持された外側および内側リングを有するという別体的な構成要素である。特定の問題は、この場合に加圧ロールの軸受ハウジングはジャーナルから取り外され得ないことである。第5実施例は、ロール加重を吸収するローラ軸受と、ロール牽引力およびロール剪断力を吸収するボール軸受とを有する加圧ロールを提供する。上記ローラ軸受および上記ボール軸受は別体的な要素を構成し、高価である。記述された第3の構成と同一様式で、上記加圧ロールの軸受ハウジングは、変位およびネジ接続により取外し可能とされ得るべくジャーナル上に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、冒頭にて言及された種類のデバイスであって、言及された不都合を回避もしくは緩和し、構造的に簡素であり、且つ、単純で迅速かつ確実な様式にて加圧ロールに対して軸受ハウジングの取付けおよび取り外しが為され得るというデバイスを提供するに在る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
相次いで配置された複数のロール対を具備し、各ロール対はジャーナルを備えた下側ロールおよび上側ロールを有すると共に上側ロールは加重されており、
さらに、
軸受要素を具備し、上記上側ロールの各端部における回転ジャーナルは該軸受要素により取付けられ、該軸受要素は不動の外側ハウジングと内部回転体とを備えており、
織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイスであって、
上記軸受要素は深溝式ボール軸受の形態であり、且つ、
上記ジャーナルと上記回転体との間には継手が在るというデバイスを提供する。
【0006】
上記軸受要素は深溝式ボール軸受の形態であることから、該深溝式ボール軸受および上記軸受要素の機能は、好適に相互に融合される。上記深溝式ボール軸受機構は、上記軸受ハウジング内に一体化される。上記深溝式ボール軸受または軸受要素のジャーナルおよび回転体の間の上記継手は、単純で迅速かつ確実な様式で上記軸受ハウジングが加圧ロールに対して取付け又は取外しされ得るという特に洗練された手法を提供する。同時に、上記継手によれば、上記回転体と上記ジャーナルとの間の力の確実な伝達が確保され、すなわち、迅速な接続および接続解除が行われるというトルク伝達が好適に実現される。好適な構成に依れば、上記ジャーナルおよび回転体の共通の係合表面は各々、自動調心を許容するテーパ付き構成である。テーパ付き接続は、低い軸心方向力により大きなトルクを伝達すると共に、同心性に関しては非常に小さな誤差を呈する。
【0007】
上記ロールの上記ジャーナルに対して結合された上記回転体は、使用の間において不動である外側ハウジングに関して回転可能である。好適には各ボールは、上記軸受ハウジングの上記内側壁面における溝内、および、上記回転体の上記外側壁面における溝内を転動する。好適には両方のボール軸受が深溝式ボール軸受であるという2つのボール軸受を各軸受要素が備えるという好適実施例において、離間されて円周方向に延在する2本の溝は、上記軸受の外側ハウジングの上記内壁表面上、および、上記回転体の上記外側壁面上に夫々配備される。少なくとも幾つかの実施例において上記外側ハウジングおよび上記回転体は夫々、ボール軸受または当該軸受の外側リングおよび内側リングを構成すると見做され得る。幾つかの実施例において、上記外側リングと内側リングとの間の空間はシールされる。その目的のために、各ボールの外側部と対向して、たとえばシール用フランジなどのシールが配置され得る。他の実施例において、外側と内側との間の空間は、たとえばグリースなどの潤滑油を収容し得る。
【0008】
幾つかの実施例において上記回転体は各々、上記軸受要素の少なくとも一方の端面を越えて突出する。その場合、ジャーナルと回転体との間の上記継手は、上記軸受要素の外側に配置され得る。他の実施例において上記ジャーナルは、上記軸受要素の内側空間内に係合し得る。その場合、ジャーナルと回転体との間の上記継手は、上記軸受要素の内側に配置され得る。
【0009】
好適には、上記ジャーナルおよび上記回転体の共通の係合表面は各々がテーパ付き構成である。好適には、上記継手は急峻角度テーパ接続を有する。好適には、上記回転体および上記ローラ・ジャーナルは協働構造を有する。好適には、上記ローラ・ジャーナル上の協働構造は該ローラ・ジャーナルと一体的に形成される。好適には、上記回転体上の上記協働構造は、該回転体と一体的に形成される。幾つかの実施例において、上記回転体上には円錐体または截頭円錐体が形成される。その場合、それと協働するために、上記ジャーナル内には好適には円錐形状または截頭円錐形状の凹所が在る。好適には、上記回転体上の上記円錐体または截頭円錐体は、上記ジャーナルの上記円錐形状または截頭円錐形状の凹所内に係合する。他の実施例においては、上記回転体内に円錐形状または截頭円錐形状の凹所が在る。その場合、それと協働するために、上記ジャーナル上には円錐体または截頭円錐体が形成され得る。好適には、上記ジャーナル上の上記円錐体または截頭円錐体は上記回転体の上記円錐形状または截頭円錐形状の凹所内に係合する。更なる実施例において、上記回転体上には円筒体または中空円筒体が形成される。その場合、それと協働するために、上記ジャーナル内には円筒状または中空円筒状の凹所が在り得る。好適には、上記回転体上の上記円筒体または中空円筒体は、上記ジャーナルの上記円筒状または中空円筒状の凹所内に係合する。更に別の実施例においては、上記回転体内に円筒状または中空円筒状の凹所が在る。その場合、それと協働するために、上記ジャーナル上には円筒体または中空円筒体が形成され得る。好適には、上記ジャーナル上の上記円筒体または中空円筒体は、上記回転体上の上記円筒状または中空円筒状の凹所内に係合する。
【0010】
好適には、上記ジャーナルと上記回転体との間を固定するために、たとえば固定ネジなどの固定要素が在る。好適には、上記固定ネジは固着リングと組み合わされる。好適には、上記軸受要素は上記固定要素が弛緩された後で軸心方向に変位可能である。
【0011】
上記ボール軸受の各構成要素は、それらの機能に関して任意の適切な材料とされ得る。好適には、上記転動要素式軸受の転動体は、たとえば100Cr6などのボール軸受鋼から成る。好適には上記軸受ハウジングおよび上記回転体は、たとえば100Cr6などのボール軸受鋼から成る。好適には、各軸受要素はローラ軸受を有する。幾つかの実施例において、軸受ハウジング内には、軸受要素毎に2個の転動要素式軸受が配置される。好適には、上記転動要素式軸受の転動体は、たとえばSiなどの硬質材料から成る。
【0012】
既に言及された如く、幾つかの好適実施例においては、2つの深溝式ボール軸受が在る。各軸受要素は、付加的に滑り軸受を含み得る。
幾つかの好適実施例において、上記ロールの本体および上記ロール・ジャーナルは一体式構成である。
好適には、テーパ付き案内手段を有するネジ継手が在る。
【0013】
本発明は更に、相次いで配置された複数のロール対であって、各ロール対は下側および上側ロールを有するという複数のロール対を備える織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイスであり、上記牽伸システムの上記上側ロールは加重されるというデバイスであって、上記上側ロールの端部における回転ジャーナルは軸受要素により取付けられ、且つ、上記軸受要素は各々、不動の外側ハウジング(外側リング)と内部回転体(内側リング)とを有する少なくともひとつの深溝式ボール軸受を有するというデバイスにおいて、上記軸受要素は深溝式ボール軸受の形態であり、且つ、上記ジャーナルと上記回転体との間には継手が在ることを特徴とするデバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下においては、添付図面を参照して本発明の幾つかの代表的実施例が相当に詳細に記述される。
図1は、たとえばドイツ、メンヒェングラートバッハのTruetzschler有限合弁会社により製造された練篠フレームTC 03などの練篠フレームの牽伸システムSを示している。牽伸システムSはフォー・オーバー・スリー牽伸システムとして構成され、すなわち該システムは、3個の下側ロールI、II、III(Iは出力用下側ロール、IIは中央下側ロール、IIは入力用下側ロール)、および、4個の上側ロール1、2、3、4を備えている。牽伸システムSにおいては、複数本の繊維スライバから成る繊維束5の牽伸が実施される。牽伸操作は、予備牽伸操作および主要牽伸操作から構成される。
【0015】
ロール対4/IIIおよび3/IIは予備牽伸領域を形成し、且つ、ロール対3/IIおよび1、2/Iは主要牽伸領域を形成する。出力用下側ロールIは(不図示の)主要モータにより駆動されることから、吐出速度を決定する。入力用下側ロールIIIおよび中央下側ロールIIは(不図示の)調整モータにより駆動される。上側ロール1〜4は、枢動軸受の回りで枢動可能な加圧アーム11a〜11d(図3(a)参照)内の加圧要素91〜94(加重デバイス)により下側ロールI、II、IIIに当接して押圧されることから、摩擦係合により駆動される。ロールI、II、III;1、2、3、4の回転方向は、湾曲矢印により表される。複数本の繊維スライバから成る繊維束5は、方向Aに進行する。下側ロールI、II、IIIは、機械フレーム15上に配置されたスタンド14(図3(a)参照)内に取付けられる。
【0016】
図2に示された如く空気圧シリンダ9は、頂部にては支持要素12に対し且つ底部にては保持要素13aに対して組み合わされる。空気圧シリンダ9は2つの部分17aおよび17bから成るシリンダ・キャビティ17を備えたシリンダ・ユニットを形成し、その内部では、摺動ブッシュ20内の加圧ロッド19によりピストン18が案内される。保持ブラケット24aにおける開口を貫通通過する加圧ロール4のロール・ジャーナル4aは、軸受22aに係合する。加圧ロール4を収容する軸受22aは、加圧ロッド19と、下側ロールIIIのロール・ジャーナルIIIaとの間の空間内へと延在する。軸受22aはカバー13a1上に取付けられる。圧力に関しては、シリンダ・キャビティ17をメンブレン16が分割する。シリンダ・キャビティ17の上側部分内で圧力が生成されるために、該シリンダ・キャビティに対しては、圧縮空気接続部23により圧縮空気p1が供給され得る。シリンダ・キャビティ17の下側部分は、排気ボア24により排気される。シリンダ・キャビティ17の上側部分は排気され得ると共に、該シリンダ・キャビティ17の下側部分に対しては対応様式で圧縮空気が供給され得る。作動時に、繊維束5が下側ロールI、II、III上を案内された後、各加圧アーム11は図1に示された作用位置へと枢動され、且つ、その位置にて(不図示の)締着デバイスにより固定されることから、加圧ロールI、II、IIIは圧力を及ぼし得る。斯かる加圧作用は、一方では加圧ロッド19の各々が対応軸受22上に着座するという事実により、且つ、他方ではメンブレン16の上方のキャビティ内で過圧が生成されていることから、引き起こされる。結果として加圧ロッド19はその他端にて、上側ロール4と下側ロール(駆動ロール)IIIとの間に上記の加圧作用を生成すべく軸受22に対して押圧される。加圧ロッド19は、矢印D、Eの方向に変位可能である。
【0017】
図3(a)および図3(b)に依ると、上側ロール4は門形状の加圧アーム11aと組み合わされる。(上側ロール2〜4は、対応する不図示の加圧アーム11に対して組み合わされる。)加圧アーム11aは、ガラス繊維強化プラスチックで作成されたハウジング30の形態であると共に、射出成形により作製される。ハウジング30は、単体的な構成の一体的構成要素であって、支持要素12と、加圧要素9a1および9a2(加圧シリンダ)の2つの本体と、2つの中間要素31aおよび31bと、2つの保持要素13aおよび13bとから成るという一体的構成要素である。支持要素12aは、一側が開いた略々U形状断面のチャネルの形態であり、その内部には空気圧ライン34および電気リード線35が配置される。チャネル34の開放側は、取外し可能なカバーにより閉成可能である。このカバーは、ガラス繊維強化プラスチックから成り、断面が略々U形状であり、且つ、圧力嵌め接続により該チャネル33に取付けられる様に弾性的である。ハウジング30は好適には、一体片で形成される。夫々の横方向ロール1〜4を保持して加重する全ての必須の機能要素を結合する一体的ハウジング30は、この様にして経済的に作成される。同時に、加圧アーム11a〜11d全体は簡素な様式で枢動軸受10を中心として枢動可能であると共に、繋止デバイス26により繋止および繋止解除され得る。加圧ロッド19aおよび19bは、負荷が解除されることから、上側ロール4の軸受22aおよび22bから夫々距離b1、b2だけ離間して揚動される。
【0018】
図4(a)には、本発明のデバイスの第1実施例が示される。図4(a)に依ると、上側ロール4(加圧ロール)の軸受機構に対する軸受要素22は、転動要素式軸受の形態である。不動の軸受ハウジング22.1は転動要素式軸受の外側リングを形成し、且つ、回転体22.2は内側リングを形成する。軸受ハウジング22.1の円筒状の内側壁面および回転体22.2の円筒状の外側壁面には、たとえば研削により、たとえば100Cr6から成るボール37a、37bが進行する2つの円周方向環状溝(軌道)が配備される。その様にして、2つの深溝式ボール軸受40a、40bが形成される。ボール37a、37bの外側部と対向して、軸受要素22と回転体22.2との間の空間を密閉する2つの円周方向シール44a、44bが存在する。これら円周方向シール44a、44bは、たとえばグリースなどの潤滑油によりシールされる。回転体22.2は一体片構成であると共に、該回転体は、中空円筒状部分22.21と、截頭円錐形状壁面22.23(図4(b)参照)を有する截頭円錐形状部分22.22とから成る。中空円筒状部分22.21は軸受ハウジング22.1の円筒状内側キャビティの内側に配置される一方、截頭円錐形状部分22.2は軸受ハウジング22.1の端面を越えて突出する。たとえば鋼鉄から成る上側ロール4は、ロール・コア4.1と、2つの外部ジャーナル4.2および4.3(4.2のみが示される)とから成る。ロール・コア4.1上には、中間層4.4(保持層)により弾性的なロール・カバー4.5が配置される。ロール・ジャーナル4.2および4.3(4.2のみが示される)は截頭円錐形状凹所4.21を有し、該凹所は、一端にて開放されると共に、截頭円錐形状壁面4.22(図4(b)を参照)を有する。作動時(図4(a))において截頭円錐形状部分22.2および截頭円錐形状凹所4.21は、相互に接触し、且つ、截頭円錐形状壁面22.23および4.22により相互に非確定係合する。図4(a)は結合された状態を示し、且つ、図4(b)は結合解除された状態を示す。その様にして、継手43が形成される。軸受ハウジング22.1の外側にて、回転体22.2の截頭円錐形状部分22.22は、一端にて開放された截頭円錐形状凹所4.21内に係合する。回転体22.2は軸心方向に円筒状ボア22.3を有し、該ボアを通り、結合状態において部材22.22および4.2を固着する固定ネジ46が貫通する。これに加え、ネジ46の頭部に対しては固着リング47が組み合わされる。その様にして、深溝式ボール軸受40a、40bにより上側ロール軸受機構が実現される。該軸受機構は、二列式の特殊用途軸受として構成される。上記軸受機構は、永続的な潤滑作用を有すると共に、格別にシールされる。上側ロール・コア4.1に対する接続は、急峻角度テーパ接続により行われる。その接続は、低い軸心方向力により大きなトルクを伝達すると共に、同心性に関しては非常に小さな誤差を呈する。引き起こされる軸心方向力は、上記深溝式ボール軸受機構により吸収される。固定ネジ46によれば、その接続が弛緩されたとき、上記軸受ユニットは固着リング47により排出されることから、詰まりは生じ得ない。
【0019】
図5は、図4(a)に類似する構成である(同一のまたは対応する構成要素は同一の参照番号で表される)が、径方向力を吸収するニードル38を有するニードル軸受が在るという構成を示している。軸心方向力を吸収するために、ボール39を有する深溝式ボール軸受が配備される。参照番号48は、内部ネジを表す。凹所4.21(図4(b)参照)内に配置されるネジ48の外側螺条は、ボア22.3の端部領域における内側螺条と協働する。円錐接続部43(図4(b)参照)は、最初のトルクが導入されたときに自己繋止することになる。自動調心し且つ自己繋止する円錐状台座は、高度の同心精度を有する。軸心方向力の吸収は、ボール軸受39(軌道は研削により作製)により行われる。ニードル軸受機構38は、径方向力の吸収する役目を果たす。それはシールされたシステム(シール・リング49)であることから、繊維の進入は無い。潤滑油供給を行う時的間隔は、長期とされ得る。上記システムは、潤滑用継ぎ管50により潤滑油が再供給され得る。上記円錐部は、たとえばソケット・レンチなどを用い、内部にてロックタイト(Loctite)で固着された排出ネジ48により解除され得る。Siで作成された転動体(ニードル38および/またはボール39)が使用される場合には、耐磁性で低摩擦のハイブリッド軸受機構が達成され得る。加圧アーム19における軸心方向の遊びは、何らの問題も引き起こさない。
【0020】
図6の実施例においては中空円筒状回転体22.2が在り、その円筒状内部において、中空円筒状ジャーナル4.2は軸受ハウジング22.1の内側に対して相互係合的に係合する。回転体22.2およびジャーナル4.2は、ネジ接続51により接続および固着される。
【0021】
図7は図4(a)と類似した実施例を示しているが、該実施例において回転体22.2の中空円筒状部分22.22は、軸受ハウジング22.1の外側おけるジャーナル4.2の円筒状凹所であって一端にて開放された円筒状凹所に係合する。
【0022】
上側ロールはロール・シャフトの端部(ジャーナル)に対して及ぼされる加重の作用に委ねられるというロール対(図1参照)の協働する下側ローラおよび上側ロールの場合、2つのロールの軸心が一定の(非常に小さな)角度にて交差する様に、これらの軸心が配置されることはある。その理由は、非常に僅かな製造誤差に在り得る。斯かる場合でも、上側のロール軸受に対して上側ロールが及ぼす軸心方向力は、本発明に係る上記デバイスにより好適に補償される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るデバイスを有する練篠フレームの牽伸システムの概略的側面図である。
【図2】空気圧式上側ロール加重デバイスを備える図1の一部分のK−K線(図1)に対応する断面図である。
【図3】(a)一体的ハウジングと2本の加圧ロッドとを有する加圧アームの前面図である。(b)図3(a)に係る加圧アームの斜視図である。
【図4】(a)2つの深溝式ボール軸受とテーパ式継手とを有する実施例の断面図である。(b)図4(a)に係る継手の分解図である。
【図5】ニードル軸受およびボール軸受およびテーパ付き継手を有する実施例の断面図である。
【図6】中空円筒状回転体と、その内部に係合するジャーナルとを有する実施例の断面図である。
【図7】中空円筒状ジャーナルと、その内部に係合する回転体とを有する実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1〜4 上側ロール
5 繊維束
9 空気圧シリンダ
10 枢動軸受
11、11a〜11d 加圧アーム
12、12a 支持要素
14 スタンド
15 機械フレーム
16 メンブレン
17 キャビティ
18 ピストン
19、19a 加圧ロッド
20 摺動ブッシュ
22、22a 軸受
22.1 軸受ハウジング
22.2 回転体
22.3 ボア
23 圧縮空気接続部
24 排気ボア
30 ハウジング
33、34 チャネル
37 深溝式ボール軸受
37a、37b ボール
38 ニードル
40a、40b 深溝式ボール軸受
43 円錐接続部
43 継手
44a、44b 円周方向シール
46 固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相次いで配置された複数のロール対を具備し、各ロール対はジャーナルを備えた下側ロールおよび上側ロールを有すると共に上側ロールは加重されており、
さらに、
軸受要素を具備し、上記上側ロールの各端部における回転ジャーナルは該軸受要素により取付けられ、該軸受要素は不動の外側ハウジングと内部回転体とを備えている、
織物繊維スライバのための牽伸システムを有する練篠フレーム上のデバイスであって、
上記軸受要素は深溝式ボール軸受の形態であり、且つ、
上記ジャーナルと上記回転体との間には継手が在る、
デバイス。
【請求項2】
前記軸受の外側ハウジングは内壁表面を有し、
前記回転体は外側壁面を有し、且つ、
各ボールは、上記軸受ハウジングの上記内側壁面における溝内、および、上記回転体の外側壁面における溝内を転動する、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記軸受ハウジングの前記内側壁面と前記回転体の前記外側壁面との間の空間はシールされる、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記シール作用は、前記ボールの外側部と対向して配置されたシールにより行われる、請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
前記軸受ハウジングの前記内側壁面と前記回転体の前記外側壁面との間の前記空間は潤滑油を収容する、請求項3または4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記回転体は各々、前記軸受要素の少なくとも一方の端面を越えて突出する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ジャーナルと前記回転体との間の前記継手は、前記軸受要素の外側に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ジャーナルは前記軸受要素の内側に係合する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ジャーナルと前記回転体との間の前記継手は、前記軸受要素の内側に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ジャーナルおよび前記回転体の共通の係合表面は各々がテーパ付き構成である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記継手は急峻角度テーパ接続部を有する、請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
前記回転体上には、円錐体または截頭円錐体が形成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ジャーナル内には、円錐形状または截頭円錐形状の凹所が在る、請求項12記載のデバイス。
【請求項14】
前記回転体上の前記円錐体または截頭円錐体は、前記ジャーナルの前記円錐形状または截頭円錐形状の凹所に係合する、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記回転体内には、円錐形状または截頭円錐形状の凹所が在る、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記ジャーナル上には、円錐体または截頭円錐体が形成される、請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記ジャーナル上の前記円錐体または截頭円錐体は、前記回転体の前記円錐形状または截頭円錐形状の凹所に係合する、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
前記回転体上には、円筒体または中空円筒体が形成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ジャーナル内には、円筒状または中空円筒状の凹所が在る、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
前記回転体上の前記円筒体または中空円筒体は、前記ジャーナルの前記円筒状または中空円筒状の凹所に係合する、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記回転体内には、円筒状または中空円筒状の凹所が在る、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記ジャーナル上には、円筒体または中空円筒体が形成される、請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記ジャーナル上の前記円筒体または中空円筒体は、前記回転体上の前記円筒状または中空円筒状の凹所に係合する、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記ジャーナルと前記回転体との間を固定するための固定要素が在る、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記固定要素は固定ネジである、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
前記固定ネジは固着リングと組み合わされる、請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
前記転動要素式軸受の前記転動体はボール軸受鋼から成る、請求項1乃至25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記軸受ハウジングおよび前記回転体はボール軸受鋼から成る、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
各軸受要素に対するローラ軸受を更に備えて成る、請求項1乃至28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
各軸受要素に対する滑り軸受を更に備えて成る、請求項1乃至29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記ロールの本体および前記ロール・ジャーナルは一体片構成である、請求項1乃至30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
各軸受要素の前記軸受ハウジングは2つの転動要素式軸受を有する、請求項1乃至31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
各軸受要素は少なくとも2つの深溝式ボール軸受を含む、請求項1乃至32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
使用に際して前記軸受要素を所定位置に固定するための固定要素が在り、且つ、
上記軸受要素は、上記固定要素が弛緩された後で軸心方向に変位可能である、請求項1乃至33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
テーパ付き案内手段を有するネジ継手が在る、請求項1乃至34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記転動要素式軸受の前記転動体はSiから成る、請求項1乃至35のいずれか一項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−47310(P2009−47310A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211814(P2008−211814)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】