説明

置台

【課題】協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面の位置調整を同時に、かつ、調整誤差を生じることなく行うことができる置台を提供すること。
【解決手段】構造物Sを設置するために用いられる高さ調節可能な置台1において、基礎F上に設置される接地部材11と、この接地部材11に対して昇降可能に配設し、構造物Sを支持する支持面12aを備えた昇降部材12とからなり、昇降部材12の支持面12aに開口12cを有する液体収容部12bを形成し、この液体収容部12bと、協働して構造物Sを支持する昇降部材12の支持面12に開口12cを有する液体収容部12bとを連通するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置台に関し、特に、構造物を設置するために用いられる高さ調節可能な置台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水準を調整するための高さ調節機能を備えていない物置、置棚、機械設備等の構造物を、例えば、排水のための勾配が設けられているコンクリート製等の基礎上に設置する場合、高さ調節可能な置台が用いられている。
【0003】
この置台は、基礎上に設置される接地部材と、接地部材に対して昇降可能に配設し、構造物を支持する支持面を備えた昇降部材とからなるのが一般的であるが、協働して構造物を支持する複数の昇降部材の支持面の位置調整は、隣接する昇降部材間に仮部材を架設し、この仮部材上に水準器を置いて、水平を出すようにしていた。
【0004】
しかしながら、この方法によると、隣接する2つの昇降部材の支持面の位置調整はできるものの、協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面の位置調整を同時に行うことができないため、位置調整に手数を要するとともに、調整誤差を生じやすいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の置台の有する問題点に鑑み、協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面の位置調整を同時に、かつ、調整誤差を生じることなく行うことができる置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の置台は、構造物を設置するために用いられる高さ調節可能な置台において、基礎上に設置される接地部材と、該接地部材に対して昇降可能に配設し、構造物を支持する支持面を備えた昇降部材とからなり、該昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部を形成し、該液体収容部と、協働して構造物を支持する昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部とを連通するようにしてなることを特徴とする。
【0007】
この場合において、接地部材と昇降部材とを螺合することにより、昇降部材を接地部材に対して昇降可能にすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の置台によれば、基礎上に設置される接地部材と、該接地部材に対して昇降可能に配設し、構造物を支持する支持面を備えた昇降部材とからなり、該昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部を形成し、該液体収容部と、協働して構造物を支持する昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部とを連通するようにしてなることにより、協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部のレベルを、所定位置、例えば、昇降部材の支持面にくるように、接地部材に対して昇降可能に配設した昇降部材の支持面の位置調整を行うことによって、協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面の位置調整を同時に、かつ、調整誤差を生じることなく行うことができる。
【0009】
また、接地部材と昇降部材とを螺合することにより、昇降部材を接地部材に対して昇降可能にすることにより、昇降部材の支持面の位置調整を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の置台の一実施例を示す正面断面図である。
【図2】同置台を用いて基礎上に設置した物置の正面図である。
【図3】同置台の一使用例を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の置台の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図3に、本発明の置台の一実施例を示す。
この置台1は、水準を調整するための高さ調節機能を備えていない物置、置棚、機械設備等の構造物S(本実施例においては、物置)を、例えば、排水のための勾配が設けられているコンクリート製等の基礎F上に設置する場合に用いられる高さ調節可能なもので、基礎F上に設置される接地部材11と、この接地部材11に対して昇降可能に配設し、構造物Sを支持する支持面12aを備えた昇降部材12とからなり、昇降部材12の支持面12aに開口12cを有する液体収容部12bを形成し、この液体収容部12bと、協働して構造物Sを支持する昇降部材12の支持面12に開口12cを有する液体収容部12bとを連通するようにしている。
ここで、液体収容部12bに収容する液体Lには、水等の任意の液体を使用することができる。
【0013】
この場合において、昇降部材12の液体収容部12bと、協働して構造物Sを支持する昇降部材12の支持面12に開口12cを有する液体収容部12bとを連通するために、本実施例においては、接地部材11に、昇降部材12の液体収容部12bと連通する液体収容部11b及びこの液体収容部11bと連通する接続部11cを形成し、この接続部11cと、協働して構造物Sを支持する昇降部材12に対応する接続部11cとを、例えば、柔軟性を有する合成樹脂製のチューブ等からなる連通部材2を介して連通するようにしている。
この場合、接地部材11に形成する接続部11cの数は、協働して構造物を支持するすべての昇降部材12の液体収容部12bを相互に接続することができるように、図3に示す使用例のように、2以上とするようにしたり、接続部11cの数を1とし、接続部11cに接続した各連通部材2を分岐部材(図示省略)を用いて相互に連通するようにすることもできる。
なお、連通構造は、上記本実施例に記載したものに限定されず、例えば、昇降部材12の液体収容部12bと、協働して構造物Sを支持する昇降部材12の液体収容部12bとを、任意の連通部材を介して直接連通するようにすることもできる。
【0014】
また、昇降部材12を接地部材11に対して昇降可能にするとともに、昇降部材12を接地部材11に対して所定位置で固定するようにする昇降機構13として、本実施例においては、接地部材11及び昇降部材12にそれぞれねじ部13a、13bを形成し、接地部材11と昇降部材12とを螺合することにより構成している。
これにより、昇降部材12の支持面12aの位置調整を簡易に行うことができるとともに、接地部材11と昇降部材12との摺接面からの液体Lの漏れを防止でき、シール部材を省略することができるようにしている。
なお、昇降部材12を接地部材11に対して昇降可能にするとともに、昇降部材12を接地部材11に対して所定位置で固定するようにする昇降機構13は、ねじ部13a、13bに限定されず、例えば、接地部材11に対して昇降可能にした昇降部材12を、ピン等の固定片(図示省略)を用いて接地部材11に固定するようにすることもできる。
また、必要に応じて、接地部材11と昇降部材12との摺接面からの液体Lの漏れを防止するためのシール部材(図示省略)を配設することもできる。
【0015】
また、置台1は、接地部材11を基礎F上に直接設置して用いるほか、例えば、図3に示す使用例のように、必要に応じて、接地部材11を基礎F上にスペーサ3を介して設置して用いることもできる。
これにより、勾配がきつい基礎Fの場合でも、昇降部材12の昇降可能寸法が小さいコンパクトな置台1を用いることができる。
【0016】
なお、本実施例の置台1は、それぞれ独立して形成した置台1を、複数個(特に限定されるものではないが、通常、4個又は6個程度)、基礎F上に並べて用いるようにしたものであるが、例えば、接地部材11を構造物Sの一辺に相当する長さの長尺形状又は四辺に相当する形状の矩形状に形成し、この接地部材11に複数個の昇降部材12を昇降可能に配設して構成することもできる。
【0017】
そして、この置台1は、協働して構造物Sを支持するすべての昇降部材12の支持面12aに開口12cを有する液体収容部12bの液体Lのレベル(水位)を、所定位置、例えば、昇降部材12の支持面12aにくるように、接地部材11に対して昇降可能に配設した昇降部材12の支持面12aの位置調整を行うことによって、協働して構造物Sを支持するすべての昇降部材12の支持面12aの位置調整を同時に、かつ、調整誤差を生じることなく行うことができる。
【0018】
以上、本発明の置台について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の置台は、協働して構造物を支持するすべての昇降部材の支持面の位置調整を同時に、かつ、調整誤差を生じることなく行うことができることから、水準を調整するための高さ調節機能を備えていない物置、置棚、機械設備等の構造物を、勾配が設けられている基礎上に設置する用途等に広く好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 置台
11 接地部材
12 昇降部材
11b 液体収容部
11c 接続部
12a 支持面
12b 液体収容部
12c 開口
13 昇降機構
13a ねじ部
13b ねじ部
2 連通部材
3 スペーサ
F 基礎
L 液体
S 構造物(物置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を設置するために用いられる高さ調節可能な置台において、基礎上に設置される接地部材と、該接地部材に対して昇降可能に配設し、構造物を支持する支持面を備えた昇降部材とからなり、該昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部を形成し、該液体収容部と、協働して構造物を支持する昇降部材の支持面に開口を有する液体収容部とを連通するようにしてなることを特徴とする置台。
【請求項2】
接地部材と昇降部材とを螺合することにより、昇降部材を接地部材に対して昇降可能にしたことを特徴とする請求項1記載の置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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