説明

置換されたプロピオン酸類を製造するための方法

本発明は、置換されたプロピオン酸を製造するための方法であって、式(I)で表される基質を用意する工程を含む方法に係る。そして、キラルリンまたは砒素置換基を有するメタロセン基を有する触媒リガンドを含むエナンチオ選択的水素化触媒の存在でエナンチオ選択的水素化条件の下、前記基質をエナンチオ選択的水素化に賦して、式(II)で表される生成物もしくはそのエナンチオマーまたは、適当な場合、そのジアステレオマーをエナンチオメトリック過剰に生じさせる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種の置換されたプロピオン酸類を合成するためのエナンチオ選択的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO-A-2005/068477は、キラル触媒にて有用なある類のリガンドを開示し、WO-A-2005/068478は、これらおよびその他のリガンドを製造するための方法を開示している。
WO-A-2002/02500は、(R)-2-アルキル-3-フェニルプロピオン酸類の立体選択的合成であって、適当に置換されたプロピオン酸エステル類を適当に置換されたベンズアルデヒドに付加させて、対応する置換されたヒドロキシプロピオン酸エステル類を形成し、続いて、ヒドロキシル基を脱離基に変換し、脱離基を脱離させ、生ずる中間体を加水分解し、ついで、水素化する方法を開示している。
【0003】
Sturm et alは、Adv.Synth.Catal.2003,345,160-164にて、Walphosリガンド属の一連のジホスフィン類およびエナンチオ選択的水素化におけるそれらの使用を開示している。
【0004】
WO-A-2005/030764およびOrganic Letters 2005,vol 7,pp1947は、キラルプロピオン酸誘導体を製造するための方法を開示している。
【発明の開示】
【0005】
本発明に従えば、置換されたプロピオン酸類を製造するための方法であって、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、Rは、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択され;
R5は、Rと同一または異なり;かつ、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、N-アシル;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択され;
R6は、
【0008】
【化2】

【0009】
{式中、Qは、OまたはNから選択され;
R8は、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アミノ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択される。}
から選択され;
R7は、Rおよび/またはR5とは同一または異なり(RおよびR7が同一である場合以外は、R5は、水素でない)、かつ、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択される。]
で表される基質を用意し;
キラルリンまたは砒素置換基を有するメタロセン基を有する触媒リガンドを含むエナンチオ選択的水素化触媒の存在でエナンチオ選択的水素化条件の下、前記基質をエナンチオ選択的水素化に賦して、式(II):
【0010】
【化3】

【0011】
で表される生成物もしくはそのエナンチオマーまたは、適当な場合、そのジアステレオマーをエナンチオメトリック過剰に生じさせる方法が提供される。
本発明に従う1つの方法にて、基質は、式(III):
【0012】
【化4】

【0013】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、かつ、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシル化されたアルキルおよびアルコキシル化されたアルコキシから選択される。]
を有し、本方法の生成物が、式(IV):
【0014】
【化5】

【0015】
である。
本発明の1つの特に好ましい方法は、置換されたアリールプロピオン酸類、例えば、2-置換された-3-アリールプロピオン酸類、例えば、2-アルキル-3-アリールプロピオン酸類、例えば、2-アルキル-3-フェニルプロピオン酸類、特に、(R)-2-アルキル-3-フェニルプロピオン酸類を製造するためである。
【0016】
本発明の方法で使用される好ましい基質は、式(V):
【0017】
【化6】

【0018】
[式中、R’Oは、いずれかの適当なアルコキシまたはアルコキシル化されたアルコキシ基であり、各R’Oは、同一または異なっていてもよい。]
で表される基質である。
【0019】
式(V)の基質が本発明に従う場合のエナンチオ選択的な水素化は、式(VI):
【0020】
【化7】

【0021】
で表される生成物を生成する。
本発明の方法は、式(I)の基質および本明細書に記載のその他の基質を良好な収率および反応速度、かつ、重要なことに、所望されるエナンチオマーの高いエナンチオメトリック過剰で、エナンチオ選択的に水素化するのに適していることが見出された。良好なeeを達成するには、触媒のある種の特徴が重要であると考えられる。かくして、場合によっては、触媒リガンドのメタロセン基がキラルリンまたは砒素置換基のオルト位に第2のキラル置換基を含むことが好ましい。場合によっては、メタロセン基上のキラルリンまたは砒素置換基が、さらに、結合部分により、触媒リガンドの第2のメタロセン基上の第2のキラルリンまたは砒素置換基に結合されていることもまた望ましいかもしれない。この場合、キラルリンまたは砒素置換基のキラルコンフィギュレーションが第2のキラルリンまたは砒素置換基のキラルコンフィギュレーションと同一であることがまた好ましい。なお、その他の触媒特徴もまた重要であるかもしれず、若干の場合には、触媒リガンドが、C2対称を示すことが望ましいことが見出された。若干の場合の触媒リガンドのなおさらに望ましい特徴は、それが、例えば、1つ以上の窒素含有置換基からの1つ以上のローンペーアを受容する能力の結果として塩基性であることである。
【0022】
1つの好ましいエナンチオ選択的水素化触媒リガンドは、式(VII):
【0023】
【化8】

【0024】
[式中、Mは、金属であり;
Zは、PまたはAsであり;
Lは、適当なリンカーであり;
R9は、置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルコキシ;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換ヘテロアリールオキシ;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素および酸素から選択され;
Xは、
【0025】
【化9】

【0026】
{式中、Ra、RbおよびRcは、独立に、置換および未置換分岐および直鎖アルキル;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換炭素環式アリール;および、置換および未置換ヘテロアリールから独立に選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素および酸素から選択される。}
から選択される。]
を有する。
【0027】
Xを定義する第1の構造にて、RbおよびRcは、それらが結合する窒素と一緒になって、任意に置換されたヘテロ環、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンおよびそれらの誘導体を形成することができる。
【0028】
Lは、好ましくは、各官能基にて、例えば、リンまたは砒素と結合する能力を有する二官能性部分を含む。概して、リンカー(L)は、二官能性化合物、特に、例えば、リンまたは砒素と結合しうる少なくとも2つの官能基を有する化合物から誘導されるであろう。二官能性化合物は、便宜上、ジ-リチエート化されるかまたは反応してジ-グリニヤール試薬を形成するか、あるいは、処理されてジアニオン反応性種を形成し、ついで、ジアステレオ選択風にリンまたは砒素と直接結合して、例えば、キラルリンまたは砒素を形成する化合物を含むのがよい。この場合、ジアニオン反応性種の第1のアニオン成分は、本発明に従うリガンドの第1のリガンド前駆体のリン(または砒素)置換基と結合するのがよく、ジアニオン反応性種の第2のアニオン成分は、再度、ジアステレオ選択風に、再度、リガンドの第2のリガンド前駆体中のリン(または砒素)置換基と結合して、本発明に従うキラルリン(または砒素)中心を形成して(第1および第2のリガンド前駆体は、相互に同一である)、第1および第2のリガンド前駆体をリンカーにより一緒に結合するのがよい。通常、脱離基、例えば、ハライドは、第1および第2のリガンド前駆体のリン(または砒素)置換基上に生じ、この脱離基は、アニオン性成分のリン(または砒素)置換基との結合から離れる。以下のスキームは、本方法の例である:
【0029】
【化10】

【0030】
例えば、Lは、フェロセンおよびその他のメタロセン類、ジフェニルエーテル類、キサンテン類、2,3-ベンゾチオフェン、1,2-ベンゼン、コハク酸イミド、環式無水物および多くのその他から選択することができる。便宜上、必ずしも必要ではないが、このようなジアニオン性リンカーは、対応するジハロ-前駆体、例えば:
【0031】
【化11】

【0032】
[式中、R”は、いずれか適当な数の適当な置換基類である。]
から製造することができる。
ある種の適当なジアニオン性リンカー(再度、R”は、単にいずれか適当な数のいずれか適当な置換基である)は、以下のように表すことができる:
【0033】
【化12】

【0034】
しかし、フェロセンが本発明に従う好ましいリンカーである。
好ましくは、Mは、Feであるが、若干の場合に、Ruが、もう1つの好ましいMであるのがよい。
【0035】
好ましいR9としては、フェニル、メチル、シクロヘキシルおよびt-ブチル基が挙げられる。
好ましいRbおよびRcとしては、独立に、メチル、エチル、イソプロピルおよびt-ブチル基が挙げられる。また、RbおよびRcは、それらが結合する窒素と一緒に、任意に置換されたヘテロ環、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンおよびそれらの誘導体を形成してもよい。
【0036】
式(V)で表される基質の不斉水素化のための非常に多くの公知リガンドでは、エナンチオ選択率80%が達成される(Adv.Synth.Catal.2003,345,160)。同論文にて、SturmおよびWO 02/2500 A1にて、Heroldは、Walphos属のある種のリガンドは、式(V)で表される基質について、95%のエナンチオ選択性を提供しうることを開示している。一般式(VII)を有するここで記載するある種のリガンドが、式(V)で表される基質のエナンチオ選択的水素化のために特に有用であり、工業的に有用な反応速度で99%以上のエナンチオ選択性を提供しうるのは、驚くべき発見であった。この改良は、式(VI)で表される化合物またはそれらのエナンチオマーを工業的に製造する間の有意なコスト節約を提供することができる。
【0037】
同様に、ここで記載するある種のリガンドは、また、式(VIII):
【0038】
【化13】

【0039】
で表される基質(式中、R’’’は、いずれかの適当な置換基、例えば、置換および未置換分岐および直鎖アルキル;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換炭素環式アリール;および、置換および未置換ヘテロアリールであり、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、例えば、硫黄、窒素および酸素から選択される)のエナンチオ選択的水素化のための適当な金属との組み合わせにて触媒としてもまた適している。
【0040】
かくして、化合物、例えば、式(IX):
【0041】
【化14】

【0042】
は、また、ここで記載するリガンドおよび方法を使用して、高度にエナンチオ選択性を達成することができる。
本発明の方法で有用なある種のリガンドは、Ugiのアミンから誘導され、本発明の方法に従い使用するのに好ましい1つのリガンド(ここで、ジアニオン性リンカーは、フェロセンである)は、
【0043】
【化15】

【0044】
のように、表すことができる。
同好ましいリガンドは、十分に表わされたUgiアミン基を有し、
【0045】
【化16】

【0046】
のように、示すことができる。
上記リガンドは、3つのキラル要素:すなわち、炭素中心キラリティ;リン中心キラリティ;および、リガンドに存在する各タイプの2つの例を有するプラナーキラリティを有する。その対称(C2対称)性により、これらの要素は、標識RまたはSがそれらの通常の意味を有し、SPがリン中心、RCが炭素中心を、SFeがプラナーキラリティを指す2つの同一群2(SP,RC,SFe)にある。
【0047】
本発明は、また、本発明の方法にて上記記載したリガンドのエナンチオマー類およびジアステレオマー類の使用に関する。
本発明の方法で使用されるリガンドは、また、以下のように:
【0048】
【化17】

【0049】
[式中、M、L、R9およびXは、先に定義した通りである。]
表すこともできる。
また、本発明に従い、前述のリガンドに配位した少なくとも1つの遷移金属を含む遷移金属の本発明の方法における使用も提供する。金属は、好ましくは、VIb族またはVIII金属、特に、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金およびニッケルである。
【0050】
フェロセン基体のリンキラルホスフィン類の合成は、以下のスキーム:
【0051】
【化18】

【0052】
に従い、達成することができる。
上記式中、Lは、有機リチウム種またはグリニヤール試薬L(Z)2から誘導されるリンカーであり、XおよびR9は、先に定義した通りである。有機ジリチウムまたはジ-グリニヤール試薬(上記スキーム中のリンカーL(Z)2)は、クロロホスフィン中間体Bに付加して、WO2005/068478 A1に見られるように、非常に良好なジアステレオ選択性を有するリンキラル中心を生ずる。これらのリガンドの合成に使用されるその他の反応は、公知であるかまたは公知反応に類似している。同合成スキームは、概して、本発明に従い使用されるその他のキラルメタロセン基体のリガンドに適用可能である。
【0053】
触媒として使用される金属錯体は、別個に調製されかつ単離され、ついで、反応に添加されるか、または、それらは、反応前にin-situで調製され(単離されず)、ついで、水素化される物質と混合することができる。ここで記載するリガンドでは、ここで記載する酸基質のエナンチオ選択的な水素化を実施する時、リガンドおよび金属源の溶液を混合することによって(in-situか別個に単離して)触媒を予め形成する必要がないことは予想し得ない発見であった。かくして、好都合なことに、反応に必要とされる全ての固体物質(リガンド、金属源および基質)は、容器内に入れることができ、溶剤は、移され、容器は、必要とされる温度および圧力下に置かれ、反応が開始された。このように、超リガンド、その他のリガンドおよび/またはその他の添加剤を反応に加えることが好都合である。添加剤、例えば、プロトン酸および第4級アンモニウムハライドは、助触媒として使用することができる。
【0054】
エナンチオ選択的水素化反応は、いずれかの適当な温度、例えば、約0〜約120℃、または、例えば、約20〜約80℃の温度で実施することができる。
エナンチオ選択的水素化反応は、いずれかの適当な圧力、例えば、水素圧5〜200バールで実施することができる。
【0055】
エナンチオ選択的水素化反応は、いずれかの適当な基質:触媒比、例えば、約0.0001:約10mol%の量で反応混合物中に存在する触媒を使用して実施することができる(100mol%が水素化される物質の量である)。範囲0.001〜5mol%が好ましく、(0.01〜1mol%の範囲が特に好ましい)。
【0056】
エナンチオ選択的水素化反応は、溶剤の使用ありなしで実施することができる。溶剤を使用する時、基質および/または触媒に関して少なくとも実質的に不活性であることが好ましい。溶剤は、存在する時、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル);脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン);脂肪族ハロゲン化された炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、ジアンテトラクロロエタン);ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル);ケトン類(アセトン、メチルイソブチルケトン);炭酸エステル類およびラクトン類(酢酸エチルまたはメチル、バレロラクトン);N-置換されたラクタム類(N-メチルピロリドン);カルボキサミド類(ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド);アクリル尿素類(ジメチルイミダゾリン);および、スルホキシド類およびスルホン類(ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド、テトラメチレンスルホン);水;および、それらの2つ以上の適当な混合物の1種以上を含むのがよい。
【0057】
さて、以下の実施例を参考としつつ、本発明をさらに詳しく例示しよう。これらの実施例にて、合成した基質は、多くの場合、それら自体、新規化合物である。本発明に従えば、以下の実施例の1つ以上で以降に示される構造を有する新規化合物;および、ぞれらの誘導体および緊密な変種が提供される。
【実施例】
【0058】
実施例1
【0059】
【化19】

【0060】
1,1’ビス[(SP,RC,SFe)(1-N,N-ジメチルアミノ)エチルフェロセニル]フェニルホスフィノ]フェロセンL1
(R)-N,N-ジメチル-1-フェロセニルエチルアミン[(R)-Ugiのアミン](3.09g,12mmol)のEt2O(20ml)溶液に、1.5M t-BuLiのペンタン溶液(8.0ml,12.0mmol)を-78℃で加えた。添加が完了した後、混合物を室温まで温め、室温で1.5時間攪拌した。ついで、混合物を、再度、-78℃まで冷却し、ジクロロフェニルホスフィン(1.63ml,12.0mmol)を一度に加えた。-78℃で20分間攪拌後、混合物を室温まで緩やかに温め、室温で1.5時攪拌した。ついで、混合物を-78℃まで再度冷却し、1,1’ジチオフェロセン[1,1’-ジブロモフェロセン(1.72g,5.0mmol)およびペンタン中1.5M t-BuLi溶液(14.0ml,21.0mmol)からEt2O(20ml)中-78℃で調製した]の懸濁液をカニューレにより緩やかに加えた。混合物を室温まで温め、12時間攪拌させた。NaHCO3飽和溶液(20ml)を加えることによって、反応をクエンチした。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で溶剤を除去した。濾液を濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(SiO2,ヘキサン-EtOAc-Et3N=85:10:5)により精製すると、95% ビス-(SP,RC,SFe)標題化合物L1と5% (RP,RC,SFe-SP,RC,SFe)メソ化合物との混合物としてオレンジ色の固体(3.89g、85%)を与えた。メソ化合物は、クロマトグラフィー(SiO2,ヘキサン-EtOAc-Et3N=85:10:5)を使用し、さらに注意深く精製することによって除去することができる。オレンジ/黄色の結晶固体。
【0061】
【化20】

【0062】
標識SPは、リンでのSコンフィギュレーションを指し、RCは、炭素(またはその他の助剤)でのRコンフィギュレーションを指し、SFeは、プラナーなキラル要素でのSコンフィギュレーションを指す。
【0063】
注意:リンでのコンフィギュレーションを定める時本研究の全てにて一貫性を維持するために、我々は、Ugiのアミン(1-N,N-ジメチルアミノ)エチルフェロセニル)フラグメントに優先権1を与え、生ずるリチウムまたはグリニヤール求核剤(上記実施例にて、リチオフェロセン)に優先権2を与え、残りの群に優先権3を与えた。本方法は、厳密なアプローチとは必ずしも一致しないだろう。これらの規則および提案するリンコンフィギュレーションは、単結晶X線結晶法を使用してチェックした。
【0064】
実施例2
2,2’ビス[(SP,RC,SFe)(1-N,N-ジメチルアミノ)エチルフェロセニル]フェニルホスフィノ]-4-トリルエーテルL2
【0065】
【化21】

【0066】
2,2’ジチオ-4-トリルエーテル[2,2’-ジブロモ-4-トリルエーテル(1.78g,5.0mmol)およびペンタン中1.5M t-BuLi溶液(14.0ml,21.0mmol)から公知の方法によってEt2O(20ml)中-78℃で調製した]の懸濁液を、1,1’-ジリチオフェロセンよりむしろリンカー試薬として使用した以外は、上記した方法と同様の方法を使用。
【0067】
【化22】

【0068】
実施例3
2,7-ジ-t-ブチル-4,5-ビス-[(SP,RC,SFe) (1-N,N-ジメチルアミノ)エチルフェロセニル]フェニルホスフィノ]-9,9-ジメチル-9H-キサンテン
【0069】
【化23】

【0070】
2,7ジ-t-ブチル-4,5-ジリチオ-9,9-ジメチル-9H-キサンテン[2,7-ジ-t-ブチル-4,5-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-キサンテンおよびペンタン中1.5M t-BuLi溶液から公知の方法によってEt2O中-78℃で調製した]の懸濁液を、1,1’-ジリチオフェロセンよりむしろリンカー試薬として使用した以外は、上記した方法と同様の方法を使用。
【0071】
【化24】

【0072】
【化25】

【0073】
実施例4
(E)-2-(4-メトキシベンジリデン)-3-メチルブタン酸
工程1
エチル-2-ヒドロキシ(4-メトキシフェニル)-メチル-3-メチルブタノエート
【0074】
【化26】

【0075】
ジイソプロピルアミン(66ml,467mmol)と無水THF(394ml)との溶液を(-30℃)まで冷却した。これに、シリンジを使用し、(20分間かけて)窒素流下、n-ブチルリチウム(1.6M,292ml)を滴下した。n-BuLiの添加後、反応混合物を-30℃で10分間攪拌した。THF(250ml)中エチルイソバラレート(55.8ml,428mmol)を(10分間かけて)滴下した。反応混合物をさらに15分間攪拌し、ついで、4-メトキシベンズアルデヒド(34g,250mmol)のTHF(250ml)溶液を、(-30℃の温度に維持しつつ)30分間かけて加えた。反応混合物を-30℃で2時間攪拌し、ついで、塩化アンモニウム飽和溶液(325ml)を30分間かけて滴下した。ついで、生成物をEtOAc(200ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下、溶剤を蒸発させると、無色のオイル66.5g(93%)を与え、これは、TLCによりワンスポットのみを与えた。
【0076】
【化27】

【0077】
工程2
(E)-エチル2-(4-メトキシベンジリデン)-3-メチルブタノエート
【0078】
【化28】

【0079】
エチル-2-ヒドロキシ(4-メトキシフェニル)-メチル-3-メチルブタノエート(31.56g,118mol)とジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.72g,5.9mmol)の無水THF(200ml)溶液を、氷浴を使用して、0℃まで冷却した。この混合物に、無水酢酸(12.3ml,12.5mmol)を滴下し、ついで、反応混合物を0℃で2時間攪拌放置した。265mlのTHF中カリウム-t-ブトキシドをついでシリンジを使用して滴下した。反応混合物を、ついで、0℃で2時間、室温で一晩攪拌した。混合物を、ついで、0℃まで冷却し、水(150ml)で処理した。混合物をTBME(100ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下、溶剤を蒸発させると、無色の明るいオイル18.52g(63%)を与えた。
【0080】
工程3
(E)-2-(4-メトキシベンジリデン)-3-メチルブタン酸
【0081】
【化29】

【0082】
上記(2-(4-メトキシベンジリデン)-3-メトキシエチルブタノエートからのオイル(16g,64.5mmol)をメタノール(150ml)に溶解させた。これに、ついで、無水水酸化リチウム(10g,417mmol)を室温で加え、オイル浴上で窒素プラグの下、混合物を12時間還流させた。混合物をついで0〜10℃まで冷却し、水(100ml)でクエンチした。塩基性の溶液をEtOAc(3×50ml)で洗浄し、ついで、HCl(2モル)で酸性とし、沈殿した生成物をEtOAc(3×50ml)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。減圧下、溶剤を蒸発させると、固体の残渣を与え、これは、ついで、EtOAc/ヘキサンから再結晶すると、白色微結晶として標題化合物6.8g(48%)を与えた。
【0083】
【化30】

【0084】
上記した方法と同様の方法を使用し、以下の化合物を製造した。
実施例5
(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)-3-メチルブタン酸
【0085】
【化31】

【0086】
実施例6
(E)-2-((チオフェン-2-イル)メチレン)ブタン酸
【0087】
【化32】

【0088】
実施例7
(E)-3-メチル-2-((チオフェン-2-イル)メチレン)ブタン酸
【0089】
【化33】

【0090】
【化34】

【0091】
実施例8
(Z)-2-エトキシ-3-(チオフェン-3-イル)アクリル酸
【0092】
【化35】

【0093】
エチルクロロアセテート(44.8ml,421mmol)と無水エタノール(30ml)とを10〜12℃まで冷却した。エタノール中ナトリウムエトキシドの溶液(21%w/w,165ml)を窒素下12〜16℃で25分間かけて加えた。添加が完了した後、反応混合物を25℃まで温め、1時間攪拌した。混合物を、ついで、10℃まで冷却し、固形のNaOEt(33.3g,488ml)を10〜14℃で0.5時間かけて小分けして加えた。エタノール(20ml)をついで加え、続いて、ジエチルカーボネート(31ml,256mmol)を加えた。スラリーをついで0〜5℃まで冷却し、ついで、3-チオフェンカルボキサアルデヒド(20.2g,179.5mmol)を1時間かけて加えた。添加が完了した後、混合物をオイル浴中40℃で15時間攪拌した。スラリーをついで10〜15℃まで冷却し、ついで、水(40ml)を加え、続いて、NaOH水溶液(10M溶液の55ml)を加えた。生ずるスラリーを、ついで、20℃、pH14で3時間攪拌した。混合物をついで水(60ml)で希釈し、ついで、減圧下45℃に置き、エタノールの大部分と若干の水とを除去した。生ずる粘着性のスラリーをついで氷浴中4℃まで冷却し、ついで、濃HCl(115ml)で滴下処理した。生ずるスラリーをついで室温で1.5時間攪拌し、ついで、EtOAc(2×200ml)で抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、ついで、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。減圧下、溶剤を蒸発させると、深い褐色の残渣を与えた。これを5M NaOH(250ml)に溶解させ、この溶液をEtOAc(100ml)で洗浄した。塩基性の水溶液をついで4℃まで冷却し、濃HCl(11M)でpH4〜6まで酸性とした。生成物をジエチルエーテル(3×200ml)で抽出し、塩水で洗浄し、(硫酸ナトリウムで)乾燥させ、溶剤を減圧下で除去した。ついで、シリカのパッドを介して、残渣を濾過した(溶離液ヘキサン:EtOAc90:10)。減圧下、溶剤を除去し、ついで、残渣をEt2O/ヘキサンから再結晶すると、黄色結晶として標題化合物を与えた(79%)。
【0094】
【化36】

【0095】
上記した方法と同様の方法を使用して、以下の化合物を製造した。
実施例9
【0096】
【化37】

【0097】
(Z)-2-エトキシ-3-(チオフェン-2-イル)アクリル酸
【0098】
【化38】

【0099】
実施例10
(Z)-3-(4-シアノフェニル)-2-エトキシアクリル酸
【0100】
【化39】

【0101】
(Vol.8,No.6,2004,Orgaic Research & Development)の改良法に従い、本化合物を以下のように合成した:エチルクロロアセテート(44.5ml,421mmol)と無水エタノール(30ml)とを混合し、溶液を10〜12℃まで冷却し、NaOEt(EtOH中21%w/w,165ml,421mmol)で30分間かけて緩やかに処理した。添加が完了した後、反応混合物を25℃まで温め、1時間攪拌し、ついで、10℃まで冷却した。この混合物に、ついで、10〜12℃で0.5時間かけて、固形のナトリウムエトキシド(33.5g,488ml)を10〜12℃で0.5時間かけて小分けして加え、エタノール(10ml)の添加に続き、ジエチルカーボネート(31ml,256mmol)を加えた。混合物をついで5〜8℃まで冷却し、ついで、4-シアノベンズアルデヒド(16.75ml,175mmol)で1時間かけて非常に緩やかに処理した。試薬の添加が完了した後、反応混合物をオイル浴中35℃で15時間攪拌した。スラリーをついで15℃まで冷却し、ついで、水(38ml)を加え、続いて、NaOH水溶液(10M,55ml,55mmol)を加えた。(pH14の)塩基性のスラリーを、20℃で2.5時間攪拌した。混合物を水(120ml)で希釈し、エタノールの大部分と若干の水とを45℃でロタリーエバポレータで除去した。生ずる粘着性のスラリーをついで水(105ml)で希釈し、氷浴上10〜12℃まで冷却した。ついで、スラリーを、希HCl(0.5M,pH7まで)で小分けして1時間処理した。幾分酸性の溶液をついでEtOAc(2×200ml)で抽出し、水で洗浄し、ついで、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶剤を蒸発させた後、標題化合物を固体として与え、EtOAc-ヘキサンから再結晶すると、微細な白色結晶として21g(54%)を与えた。
【0102】
【化40】

【0103】
実施例11
(Z)-3-(3-ベンジルオキシ)-4-メトキシフェニル)-2-エトキシアクリル酸
【0104】
【化41】

【0105】
実施例12
(Z)-3-(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル)-2-エトキシアクリル酸
【0106】
【化42】

【0107】
実施例13
(Z)-2-エトキシ-3-(3-メトキシフェニル)アクリル酸
【0108】
【化43】

【0109】
実施例14
一般的な水素化スクリーニング法:
45mlのオートクレーブに、リガンド(3.25×10-3mM)を入れ、容器を真空/Arサイクル下に置いた。容器をついでアルゴンでフラッシュした。MeOH中[(COD)2Rh]BF4のガス抜き溶液(0.64mM溶液5ml)をついでシリンジ/ニードルにより加え、不活性雰囲気を維持するために、容器の上にゴム栓をかぶせた。この混合物を10分間攪拌すると、透明な黄色溶液を与えた。MeOH中出発物質のガス抜き溶液を、ついで、シリンジ/ニードルにより加え、その間、不活性雰囲気を維持するように注意深く試みた。ついで、オートクレーブをParr 3000マルチ反応器システムに連結し、ついで、Ar(5バール)下に置き、攪拌しつつ排気し、このプロセスを3回繰り返した。最終排気後、混合物をH2(50バール)下に置き、再度、注意深く排気した。混合物をついでH2(50バール)下に置き、シールし、所望される温度まで必要とされる時間加熱した。この時間後、反応混合物を冷却し、容器を排気した。ついで、分析用に、0.5〜1.0mlのアリコートを採取した。
【0110】
実施例15
(S)-2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジル)-3-メチルブタン酸
【0111】
【化44】

【0112】
45mlオートクレーブ中に、1,1’ビス-[(RP,SC,RFe)L1(0.0063g,0.0069mmol)、[(COD)2Rh]BF4(0.0025g,0.0061mmol)および(E)-2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジリデン)-3-メチルブタン酸(2g,6.49mmol)を入れた。容器をついで真空/Arサイクル下に置いた。容器をついでアルゴンでフラッシュし、不活性雰囲気を維持するために、容器の上にゴム栓をかぶせた。ガス抜きしたMeOH(10ml)をついでカニューレにより加え、容器内の不活性雰囲気を維持するように注意した。容器をついでシールし、攪拌を開始した。容器をついでAr(5バール)下に置き、排気し、このプロセスを3回繰り返した。オートクレーブをついでH2(50バール)下に置き、再度、注意深く排気した。混合物をついでH2(50バール)下に置き、シールし、40℃まで12時間加熱した。この時間後、反応混合物を冷却し、容器を排気した。ついで、分析用に、0.5〜1.0mlのアリコートを採取した。転化率>98%,ee>98.5%(主要なエナンチオマー第2のランニングピーク)。
【0113】
【化45】

【0114】
2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジル)-3-メチルブタン酸のe.e.決定のためのHPLC法
Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),94%ヘキサン,3% 2-メチル-2-プロパノールおよび3%t-アミルアルコール,流速:1ml/分,230nm.S-酸13.15分(ビス-[(RP,SC,RFe)]1で最大ピーク),R-酸14.01分,出発物質42.73分。
【0115】
2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジル)-3-メチルブタン酸(メチルエステル)-ジアゾメタン誘導体化のe.e.決定のためのHPLC法
10mlのバイアルに、攪拌子と粗製の水素化反応混合物とを入れた。激しく攪拌しつつ、ヘキサン中トリメチルシリルジアゾメタン(2M)を反応混合物に滴下すると、ジアゾメタンの良好な黄色が消え、同時に、良好なガスが発生する。反応混合物が黄色となり、ガス発生が止まるまで、この滴下プロセスを継続した。ニートの酢酸(15〜30μl,酢酸が多すぎないことと過剰のガス発生に注意)をついで加えると、その際、混合物は、非常に淡い黄色となった。この混合物のほぼ1/3を、ついで、Pasteurピペット中の湿潤したシリカの小さなパッドを介して濾過し、少量のヘキサン/IPA(80:20)で洗浄した。生じた溶液をついでHPLCを使用して分析した:Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),95%ヘキサン,5%i-プロピルアルコール,流速:1ml/分,230nm。生成物エナンチオマー;9〜10分,出発物質;14〜16分。
注意:エナンチオマーの溶離の順序は、非誘導体化された酸についての分析に関して逆である。
【0116】
1,1’ビス-[(SP,RC,SFe)]L1は、(R)-2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジル)-3-メチルブタン酸を生成する。
1,1’ビス-[(RP,SC,RFe)]L1は、(S)- 2-(3-(3-メトキシプロポキシ)-4-メトキシベンジル)-3-メチルブタン酸を生成する。
【0117】
実施例16
【0118】
【表1】

【0119】
実施例17
【0120】
【表2】

【0121】
実施例18
【0122】
【表3】

【0123】
実施例19
非常に高いエナンチオ選択性のためには、リガンド中に存在するメソ不純物(RP,RC,SFe-SP,RC,SFe)-L1を最小にする必要があることが好ましいことが見出された。
【0124】
【表4】

【0125】
実施例20
記載する酸基質、例えば、
【0126】
【化46】

【0127】
のエナンチオ選択的水素化のためには、柔軟なリンカーユニットを含むリガンドが最も好ましいことが見出された。
【0128】
【表5】

【0129】
実施例21
(S)-2-エトキシ-3-(チオフェン-2-イル)プロパン酸(メチルエステルとして)についてのe.e.決定のためのHPLC法
【0130】
【化47】

【0131】
誘導体化後:
Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),95%ヘキサン,2.5% 2-メチル-2-プロパノールおよび2.5% t-アミルアルコール,流速:1ml/分,236nm。エナンチオマー5.44および5.81分(ビス-[(SP,RC,SFe)1での最大ピーク]。
【0132】
実施例22
(S)-3-(3-ベンジルオキシ)-4-メトキシフェニル)-2-エトキシプロパン酸についてのe.e.決定のためのHPLC法
【0133】
【化48】

【0134】
Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),93%ヘキサン,7% -i-プロピルアルコール,流速:1.2ml/分,235nm。エナンチオマー11.71分,13.33分(ビス-[(RP,SC,RFe)1での最大ピーク],出発物質36.68分。
【0135】
実施例23
【0136】
【表6】

【0137】
実施例24
(S)-2-エトキシ-3-(チオフェン-3-イル)プロパン酸についてのe.e決定のためのHPLC法
【0138】
【化49】

【0139】
Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),99%ヘキサン,1% -i-プロピルアルコール,流速:0.7ml/分,積分235〜239nm。エナンチオマー9.71分,10.88分(ビス-[(RP,SC,RFe)1での最大ピーク],出発物質16.35分。
【0140】
実施例25
(S)-2-エトキシ-3-(3-メトキシフェニル)プロパン酸(メチルエステルとして)についてのe.e決定のためのHPLC法
【0141】
【化50】

【0142】
誘導体化後:
Chiralpak-ADカラム(250mm×4.6mm),95%ヘキサン,2.5% 2-メチル-2-プロパノールおよび2.5% t-アミルアルコール,流速:1ml/分,積分280〜290nm。エナンチオマー7.49および10.00分(ビス-[(SP,RC,SFe)1での最大ピーク]。
【0143】
実施例26
【0144】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換されたプロピオン酸類を製造するための方法であって、式(I):
【化1】

[式中、Rは、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択され;
R5は、Rと同一または異なり;かつ、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、N-アシル;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択され;
R6は、
【化2】

{式中、Qは、OまたはNから選択され;
R8は、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アミノ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択される。}
から選択され;
R7は、Rおよび/またはR5とは同一または異なり(RおよびR7が同一である場合以外は、R5は、水素でない)、かつ、水素;置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素よび酸素から選択される。]
で表される基質を用意し;
キラルリンまたは砒素置換基を有するメタロセン基を有する触媒リガンドを含むエナンチオ選択的水素化触媒の存在でエナンチオ選択的水素化条件の下、前記基質をエナンチオ選択的水素化に賦して、式(II):
【化3】

で表される生成物もしくはそのエナンチオマーまたは、適当な場合、そのジアステレオマーをエナンチオメトリック過剰に生じさせる方法。
【請求項2】
基質が、式(III):
【化4】

[式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なり、かつ、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシル化されたアルキルおよびアルコキシル化されたアルコキシから選択される。]
を有し、本方法の生成物が、式(IV):
【化5】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基質が、式(V):
【化6】

[式中、R’Oは、いずれかの適当なアルコキシまたはアルコキシル化されたアルコキシ基であり、各R’Oは、同一または異なっていてもよい。]
で表される基質である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
生成物が、式(VI):
【化7】

で表される生成物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
メタロセン基が、キラルリンまたは砒素置換基のオルト位に第2のキラル置換基を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
メタロセン基上のキラルリンまたは砒素置換基が、さらに、結合部分により、第2のメタロセン基上の第2のリンまたは砒素置換基に結合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
キラルリンまたは砒素置換基のコンフィギュレーションが、第2のキラルリンまたは砒素置換基のコンフィギュレーションと同一である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
触媒リガンドが、C2対称を示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
触媒リガンドが、塩基性である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
触媒リガンドが、式(VII):
【化8】

[式中、Mは、金属であり;
Zは、PまたはAsであり;
Lは、適当なリンカーであり;
R9は、置換および未置換分岐および直鎖アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換シクロアルコキシ;置換および未置換シクロアルキルアミノ;置換および未置換炭素環式アリール;置換および未置換炭素環式アリールオキシ;置換および未置換ヘテロアリール;置換および未置換ヘテロアリールオキシ;置換および未置換炭素環式アリールアミノ;および、置換および未置換ヘテロアリールアミノから選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素および酸素から選択され;
Xは、
【化9】

{式中、Ra、RbおよびRcは、独立に、置換および未置換分岐および直鎖アルキル;置換および未置換シクロアルキル;置換および未置換炭素環式アリール;および、置換および未置換ヘテロアリールから独立に選択され、そのまたは各ヘテロ原子が、独立に、硫黄、窒素および酸素から選択される。}
から選択される。]
を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
RbおよびRcが、それらが結合する窒素と一緒に、任意の置換されたヘテロ環を形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Lリンカーが、ジアニオン反応性種から誘導される、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Lが、メタロセン類、ジフェニルエーテル類、キサンテン類、2,3-ベンゾチオフェン類、1,2-ベンゼン類、環式無水物およびコハク酸イミド類から選択される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
リンカーが、フェロセンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エナンチオ選択的水素化触媒が、式(VII)を有するリガンドのエナチオマーまたはジアステレオマーを含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
置換されたプロピオンアルコールを製造するための方法であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により置換されたプロピオン酸を製造し、ついで、その酸を水素化する各工程を含む方法。
【請求項17】
置換されたプロピオンハライドを製造するための方法であって、請求項16の方法により置換されたプロピオンアルコールを製造し、そのアルコールをハロゲン化する各工程を含む方法。
【請求項18】
置換された乳酸を製造するための方法であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法により、式(II):[式中、R5は、アルコキシである]で表される置換されたプロピオン酸を製造し、そのアルコキシ基をヒドロキシ基に変換する各工程を含む方法。
【請求項19】
エナンチオ選択的水素化触媒が、触媒リガンドに配位した遷移金属を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
遷移金属と触媒リガンドとの間の配位が、基質の存在でin situで生ずる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
遷移金属と触媒リガンドとが、基質と接触する前に予め配位される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
遷移金属が、VIb族またはVIII族の金属である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
遷移金属が、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金またはニッケルから選択される、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2008−526940(P2008−526940A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550847(P2007−550847)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000129
【国際公開番号】WO2006/075177
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(502132634)フェニックス・ケミカルズ・リミテッド (9)
【Fターム(参考)】