説明

置換アミドの経口投与のための液体及び半固体の医薬製剤

3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(化合物I)は、プロピレングリコール、プロピレングリコール節約剤、抗酸化剤又はそれらの混合物を含み得る両親媒性ビヒクル中での、驚くほど改善された溶解度、バイオアベイラビリティ及び安定性を有する。本発明の一実施態様は、その活性剤又は薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物、及び両親媒性剤を含む溶液であり、この両親媒性剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はソルビトールの脂肪酸エステルである。
【図1】

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
WO2005/073191に記載の化合物3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(化合物I)は、NK−1レセプターアンタゴニストである。
【0002】
【化1】

【0003】
本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける使用のための化合物Iの製剤並びにその薬学的に許容され得る塩及び溶媒和物の製剤、特に、カプセル化された製剤に関しており、この製剤としては、吸収のために;したがってより高いバイオアベイラビリティのために化合物Iの濃度の増大をもたらす、硬及び軟性のゼラチンカプセルを包含する。
【0004】
医薬産業では、低い水溶解度及び/又は腸管上皮透過性を保有する活性な分子数を増大させるための製剤開発という課題に直面している。時として、化合物Iの場合と同様、許容されるバイオアベイラビリティは、伝統的な錠剤又はカプセル製剤では、有用な用量の範囲におよぶことが容易には達成できない。高い脂質溶解度を有する化合物についての代替的な投薬形態は、脂質ベースの液体充填カプセル(lipid−based liquid−filled capsule)(LFC)である。このような製剤は、経口のバイオアベイラビリティを増強しており、経口投与のための脂質ベースの製剤の可能性における関心を増大させている。水溶性の劣る化合物のバイオアベイラビリティの増強を担う正確な機構は解明が困難であるが、脂質ベースの製剤は主に、固体剤形からの緩徐な溶解過程を克服することによって暴露を増大する(Pouton,C.W.,Europ.J.Pharm.Sciences,11 Suppl.2(2000)S93〜S98)。さらに、これらの製剤はまた透過性を増強し得る(Aungst,B.J.,J.Pharm.Sciences,89:4(2000)429〜442)。
【0005】
したがって、暴露を最大にし、かつ食物の影響に起因した吸収の潜在的な可変性を減少させる、化合物Iの安定な経口製剤を開発する必要がある。1カプセルあたりにより高用量を与えることを可能にする製剤も、望ましい結果である。本発明は、化合物Iの液体溶液、半固体、懸濁液、及び(水中油型)エマルジョンである医薬組成物を提供し、この溶液は、経口投与可能である。溶液又は分散剤は、例えば、グリセリン及びソルビトールなどの可塑剤を含む、液体充填及び密閉された硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルなどの、充填カプセル化剤形として投与され得る。化合物Iは、以下にさらに記載されかつ考察されるように、消化可能な油脂、共溶媒及び界面活性剤などの多くの親油性ビヒクルにおいては適切な濃度で容易に溶解できない。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本発明は、水溶解度の低い(<0.2μg/mL)化合物である、3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(化合物I)の経口投与のための医薬組成物に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
化合物Iは、NK−1レセプターアンタゴニストである。化合物Iを含む本発明の組成物は、NK−1レセプターのアンタゴニストによって媒介される疾患の治療において有用である。
【0009】
発明の詳細な記載
本発明は、低い水溶解度(<0.2μg/mL)を有する化合物(化合物I)である、N−[1S,2S]−3−(4−クロロフェニル)−2−(3−シアノフェニル)−1−メチルプロピル]−2−メチル−2−{[5−トリフルオロメチル]ピリジン−2−イル}オキシ}プロパンアミドの経口投与のための医薬組成物に関する。本発明は、貯蔵の際、製剤中の化合物Iの化学的完全性を維持しながら、薬物の血漿レベルによって決定される、バイオアベイラビリティを増大する製剤である。結晶性の固体として投与される場合、この化合物は、犬及びラットにおいてバイオアベイラビリティが劣っていることが見出された。バイオアベイラビリティは、この化合物が、液体及び半固体の賦形剤の特定の組み合わせの溶液中にある液体充填カプセル剤形を用いることによって劇的に増大される。しかし、水溶解度の低い化合物の製剤中で典型的に用いられるビヒクルの圧倒的多数において化合物Iは低溶解性及び/又は化学的不安定であり、本明細書に開示した驚くべき発明に達するために広範な研究及び独創性が必要であった。
【0010】
一実施態様では、本発明は、活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物、及び両親媒性剤を含む溶液に関しており、この両親媒性剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はソルビトールの脂肪酸エステルである。
【0011】
この実施態様では、両親媒性剤が本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる、属がある。
【0012】
当業者が理解するとおり、商業的に生産された両親媒性剤は、C8及びC10脂肪酸を含有するものを含むトリグリセリドなどの少量の非両親媒性剤を含み得る。本明細書の目的に関しては、両親媒性剤は、このような市販の製品を含むと規定される。他方では、このような非両親媒性剤は、本発明の物質ではない(すなわち、それらは、液体製剤中の式Iの化合物の溶解度を増大しない)。例えば、式Iの化合物は、500mgのカプセル中に十分に有効な量の化合物を溶解するには、Miglyol812では十分に溶解しない。
【0013】
この実施態様では、上記両親媒性剤がCAPMUL MCM、CAPMUL MCM8、CAPMUL MCM10、IMWITOR988、IMWITOR742、IMWITOR642、IMWITOR308、CAPRYOL PGMC、CAPRYOL90、LAUROGLYCOL、CAPTEX200、CRILL 1、CRILL4、PECEOL及びMAISINEからなる群より選択される、別の属がある。
【0014】
この属では、上記両親媒性剤がIMWITOR742である亜属がある。
この実施態様では:
(a)50重量%以下の活性剤及び
(b)50重量%以上の両親媒性剤、
を含む、別の属がある。
【0015】
この属では:
(a)0.03%〜5.0重量%の活性剤及び
(b)95%〜99.9重量%の両親媒性剤、
を含む、亜属がある。
【0016】
この属では:
(a)0.10%〜5.0重量%の活性剤及び
(b)95%〜99.9重量%の両親媒性剤、
を含む別の亜属がある。
【0017】
この亜属では:
(a)0.5%〜4重量%の活性剤及び
(b)96%〜99.5重量%の両親媒性剤、
を含む、クラスがある。
【0018】
この実施態様では、プロピレングリコールをさらに含む別の属がある。
【0019】
この属では、重量が溶液の1%未満である抗酸化剤をさらに含む亜属がある。
【0020】
この属では、プロピレングリコールに対する両親媒性剤の重量比が1対1より大きい、亜属がある。
【0021】
この亜属では、プロピレングリコールに対する両親媒性剤の重量比が、1対1〜10対1であるクラスがある。
【0022】
この属では、グリセリン若しくはエタノール又はそれらの混合物から選択される、プロピレングリコール節約剤をさらに含む、別の亜属がある。
【0023】
この亜属では:
(a)0.03〜5.0重量%の活性剤;
(b)50〜94.9重量%の両親媒性剤;
(c)5〜49.9重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜20重量%のグリセリン及び
(e)0〜20重量%のエタノール、
を含むクラスがある。
【0024】
この亜属では:
(a)0.10〜5.0重量%の活性剤;
(b)50〜94.9重量%の両親媒性剤;
(c)5〜49.9重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜20重量%のグリセリン及び
(e)0〜20重量%のエタノール
を含む、別のクラスがある。
【0025】
このクラスでは:
(a)0.5〜4.0重量%の活性剤;
(b)50〜89.5重量%の両親媒性剤;
(c)10〜49.5重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜10重量%のグリセリン及び
(e)0〜5重量%のエタノール、
を含む、サブクラスがある。
【0026】
この実施態様では、重量が上記溶液の1%未満である、抗酸化剤をさらに含む属がある。
【0027】
この属では、抗酸化剤の重量が溶液の0.2%未満である、亜属がある。
【0028】
この亜属では、抗酸化剤の重量が溶液の0.05%〜0.15%である、クラスがある。
【0029】
このクラスでは、抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及び亜硫酸ナトリウム並びにその混合物から選択される、サブクラスがある。
【0030】
第二の実施態様では、本発明は、第一の実施態様による溶液を含むカプセルに関しており、この溶液は:0.25〜25mgの活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び50〜950mgの両親媒性剤を含み、この両親媒性剤は、本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる。
【0031】
第二の実施態様では、上記溶液が:
0.25〜25mgの活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物及び775〜800mgの両親媒性剤を含み、この両親媒性剤が本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる、属がある。
【0032】
この属では、上記両親媒性剤が、CAPMUL MCM、CAPMUL MCM8、CAPMUL MCM10、IMWITOR988、IMWITOR742及びIMWITOR308からなる群より選択される、亜属がある。
【0033】
この亜属では、この両親媒性剤がIMWITOR742であるクラスがある。
【0034】
この属では、上記溶液が0〜50%のプロピレングリコールをさらに含む、亜属がある。
【0035】
この亜属では、上記溶液が20〜40%のプロピレングリコールを含む、クラスがある。
【0036】
プロピレングリコールを含む亜属では、上記溶液がさらに、グリセリン若しくはエタノール又はそれらの混合物から選択される0〜20%のプロピレングリコール節約剤を含む、クラスがある。
【0037】
プロピレングリコールを含む亜属では、グリセリン若しくはエタノール又はそれらの混合物から選択される10〜20%のプロピレングリコール節約剤をさらに含む、クラスがある。
【0038】
プロピレングリコールを含む亜属では、0〜1%の抗酸化剤をさらに含む、クラスがある。
【0039】
このクラスでは、抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及び亜硫酸ナトリウム並びにその混合物から選択される、サブクラスがある。
【0040】
プロピレングリコールを含む亜属では、0.01〜0.2%の抗酸化剤をさらに含む、クラスがある。
【0041】
このクラスには、0.1%のブチル化ヒドロキシアニソールを含むサブクラスがある。
【0042】
第二の実施態様では、3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オンの量が:0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg及び25mgから選択される、属がある。
【0043】
この属では、3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オンの量が:1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg及び10mgから選択される、亜属がある。
【0044】
この亜属では、上記溶液が:50〜500mgの両親媒性剤を含み、この両親媒性剤が、本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる、クラスがある。
【0045】
この第二の実施態様では、上記カプセルが軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルから選択される、属がある。
【0046】
この属では、経口の医薬組成物である亜属がある。
【0047】
第一の実施態様では、尿失禁、頻尿、過活動膀胱及び頻尿障害から選択される疾患の治療における使用であって、このような治療の必要なヒトにおける使用のためである、属がある。
【0048】
本明細書における言及は、軟ゼラチンカプセル(soft gelatin capsule)に対してなされ、「ソフトゲル(softgel)」が、軟ゼラチンカプセルの略称である。言及が「ソフトゲル」という用語のみに行われる場合、本発明は、硬性、軟性などにかかわらず、全てのタイプのゼラチン及び非ゼラチンカプセルに等しく適用されることが理解されるであろう。本発明の一実施態様では、この軟ゼラチンカプセルは、可塑剤、例えば、グリセリン及びソルビトールを含む。所望の色相の軟ゼラチンカプセルを作製するために、カプセル化の前にゲル混合物に着色剤が添加されてもよい。
【0049】
事前濃縮物は、自己乳化されても、自己マイクロエマルジョン化されても、また非乳化であってもよい。「自己乳化」という用語は、水又は他の水性媒体で少なくとも100倍希釈されかつ穏やかに混合された場合、約5ミクロン未満であるが、250nmより大きい平均液滴直径を有し(かつ一般には多分散系である)不透明で、安定な水中油型エマルジョンを生じる製剤を指す。「自己マイクロエマルジョン化」という用語は、水性媒体での少なくとも100×希釈及び穏やかな混合の際に、約1ミクロン以下の平均液滴サイズ(この平均粒子サイズは好ましくは250nm未満である)を有する不透明ではない安定な水中油型エマルジョンを生じる事前濃縮物を指す。この粒子サイズは主に、単峰型である。自己乳化、自己マイクロエマルジョン化、及び非エマルジョン化製剤のどれも、本発明に包含される。
【0050】
この組成物は、適切なゼラチン組成物のゼラチンカプセルにカプセル化された充填物、適切にシールされた硬ゼラチンカプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルのような非ゼラチンカプセル、又は経口の液体又はエマルジョンとして、当該技術分野で通常使用される方法によって製剤され得る。本発明の一実施形態では、この充填物を、グリセリン及びソルビトールなどの可塑剤を含む、密閉した硬ゼラチンカプセル又は軟ゼラチンカプセルにカプセル化する。この実施態様の1つのクラスでは、この硬ゼラチンカプセルを、ゼラチンリボンを用いるか、又はLEMS(Liquid Encapsulation Microspray Sealing Technology,すなわち、水アルコール溶液を噴霧して、局所的に融解し、次いでカプセルを乾燥させてゼラチンカプセル片を融合/密閉する)を用いるバンド・シーリングによって密閉する。この充填物は、必要に応じて加熱しながら賦形剤及び化合物Iを混合することによって調製する。
【0051】
化合物Iの経口送達は特に困難である。なぜなら、その水溶解度は、極めて低く、典型的には、0.2μg/mL未満であるからである。薬物の実際的な量の経口投薬により血液中で治療薬物レベルを達成するには一般に、胃腸液中の薬物濃度が増大すること、その結果としてのバイオアベイラビリティの増大を必要とする。本発明の製剤は、有効用量の化合物Iが患者に投与されるような量で投与される。化合物Iの量は一般には、担当医により知られるか又は決定される。したがって、投与される事前濃縮物の量又は容積は、この事前濃縮物中の化合物Iの投薬量及び溶解度として処方されるか、及び/又はそうでなければ所望される化合物Iの量によって決定される。一般には、化合物Iの有効用量は、単回用量又は分割用量で、1日あたり0.05mg又は0.25mg〜約25mg;好ましくは、単回用量又は分割用量で、1日あたり約1.0mg〜約10mgである。経口投与については、この組成物は、好ましくは、治療されるべき患者に対して、その症状によって投薬量が調節されるが、0.05〜25mg又は0.25〜25mg、好ましくは0.05、0.1、0.25、0.5、1、2、2.5、3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、15、20又は25、最も好ましくは、1、5、又は10mgの活性成分を含む液体又は半固体の充填されたカプセルの形態で提供される。
【0052】
本発明の組成物は、軟又は硬性のゼラチンカプセル中で一般に経口投与される、事前濃縮物であり、ゼラチンカプセル化の技術は、薬学の分野で周知である。このような事前濃縮物はまた、水又は他の水性の液体(例えば、ソーダ)に対してこの事前濃縮物を添加することによって水性の経口エマルジョン中で投与され得る。それらは、水性の液体と混合されて、事前形成されたエマルジョンとして販売されても、又はアイスクリームのような食品に添加されてもよい。
【0053】
化合物Iを含む本発明の組成物は、過剰のタキキニン(特にサブスタンスP)活性の存在によって特徴付けられる広範な種々の臨床的状態の予防及び治療に有用である。したがって、例えば、過剰のタキキニン(及び特にサブスタンスP)活性は、中枢神経系の種々の障害に関係するとされている。このような障害としては、気分障害、例えば、抑うつ又はさらに詳細には、抑うつ障害、例えば、単一エピソード又は再発性の大うつ病性障害及び気分変調性障害、又は双極性障害、例えば、双極I型障害、双極II型障害、及び気分循環性障害;不安障害、例えば、広場恐怖の有無のパニック障害、パニック障害の既往のない広場恐怖症、特定恐怖症、例えば、特定の動物の恐怖症、社会(対人)恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含むストレス障害、及び全般性不安障害;統合失調症及び他の精神異常、例えば、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神異常、妄想又は幻覚を有する共有精神障害及び精神障害;デレリウム(delerium)、痴呆、並びに健忘及び他の認識力障害又は神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、老年痴呆、アルツハイマー型痴呆、血管性認知症及び他の痴呆、(例えば、HIV、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病に起因する、又は複数の原因論に起因する);パーキンソン病及び他の錐体外路運動障害、例えば、薬剤誘発性運動障害、例えば、神経遮断薬誘発性パーキンソン症、神経弛緩遮断薬性悪性症候群、神経遮断薬誘発性急性ジストニア、神経遮断薬誘発性急性アカシジア、神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジア及び薬剤誘発性姿勢振戦;アルコール、アンフェタミン(又はアンフェタミン様物質)、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入薬及びエアロゾル噴霧剤、ニコチン、オピオイド、フェニルグリシジン誘導体、鎮静剤、催眠薬及び抗不安薬の使用から生じる物質関連障害(この物質関連の障害としては、依存症及び乱用、中毒、退薬、中毒デレリウム(delerium)、退薬デレリウム(delerium)、持続性認知症、精神異常、気分障害、不安障害、性機能障害及び睡眠障害が挙げられる);てんかん;ダウン症;脱髄疾患、例えば、MS及びALS及び他の神経病理学的障害、例えば、末梢神経障害、例えば、糖尿病及び化学療法誘発性神経障害、及びヘルペス後神経痛、三叉神経痛、分節性神経痛、又は肋間神経痛及び他の神経痛;並びに脳血管障害(急性又は慢性の脳血管障害、例えば、脳梗塞、くも膜下出血又は脳浮腫に起因する)が挙げられる。
【0054】
タキキニン(及び特にサブスタンスP)活性はまた、痛覚及び疼痛に関与する。したがって本発明の化合物Iは、軟部組織及び末梢の損傷、例えば、急性の外傷、骨関節炎、リウマチ関節炎、筋骨格疼痛、特に外傷後、脊椎痛、筋膜疼痛症候群、頭痛、会陰切開痛、及び火傷;深部内臓痛、例えば、心臓痛、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛、例えば、歯痛、腹痛、婦人科疼痛、例えば、月経困難症、及び陣痛;神経及び根傷害に関する疼痛、例えば、末梢神経障害、例えば、神経絞扼及び腕神経叢裂離、切断術、末梢神経障害、疼痛性チック、非定型顔面痛、神経根損傷、及びくも膜炎に関連する疼痛;しばしばがん性疼痛と呼ばれる、癌腫に関連する疼痛;中枢神経系痛、例えば、脊髄又は脳幹の損傷に起因する疼痛;腰痛;坐骨神経痛;強直性脊椎炎、痛風;並びに瘢痕痛を含む、疼痛が主な症状の疾患及び状態の予防又は治療において使用される。
【0055】
タキキニン(及び特にサブスタンスP)アンタゴニストも、呼吸器疾患、特に、過剰な粘液分泌に関連する疾患、例えば、慢性閉塞性気道疾患、気管支肺炎、慢性気管支炎、嚢胞性線維症及び喘息、成人呼吸窮迫症候群及び気管支痙攣;炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、乾癬、結合組織炎、変形性関節症、リウマチ関節炎、掻痒及び日焼け;アレルギー、例えば、湿疹及び鼻炎;過敏性疾患、例えば、ツタウルシ(かぶれ);眼疾患、例えば、結膜炎、春季カタルなど;細胞増殖に関連する眼疾患、例えば、増殖性硝子体網膜症;皮膚病、例えば、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、及び他の湿疹様皮膚炎の治療において用い得る。タキキニン、及び特にサブスタンスP、アンタゴニストはまた、乳房腫瘍、神経節芽細胞腫及び小細胞肺癌のような小細胞がんを含む、新生物の治療に用いられ得る。
【0056】
タキキニン(及び特にサブスタンスP)アンタゴニストはまた、胃腸(GI)管の炎症性疾患及び疾病、例えば、胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃リンパ腫、内臓の神経制御に関連する障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群及び嘔吐(急性、遅延性又は先行嘔吐、例えば、化学療法、放射線、毒素、ウイルス又は細菌感染、妊娠、前庭障害、例えば、乗り物酔い、眩暈(vertigo)、眩暈(dizziness)及びメニエール病、手術、片頭痛、頭蓋内圧の変動、胃−食道逆流症、胃酸過多、食物又は飲料の耽溺、酸胃、呑酸又は逆流、胸焼け、例えば、一時的、夜間又は食物誘発性の胸焼け及び消化不良によって誘発される嘔吐を含む)を含む、胃腸(GI)障害の治療において用いられ得る。
【0057】
タキキニン(及び特にサブスタンスP)アンタゴニストはまた、ストレス関連身体疾患;反射性交感神経性ジストロフィー、例えば、肩手症候群;有害な免疫学的反応、例えば、移植組織の拒絶及び免疫の増強又は抑制に関連する障害、例えば、全身性エリテマトーデス;サイトカイン化学療法から生じる血漿の浸出、膀胱機能の障害、例えば、膀胱炎、膀胱排尿筋反射亢進、頻尿及び尿失禁(衝動的な尿失禁、急性及び頻度の症状を有する過活動膀胱の予防又は治療を含む);線維症及び膠原病、例えば、強皮症及び好酸性肝蛭症;血管拡張及び血管攣縮性疾患、例えば、狭心症、血管性頭痛、片頭痛及びレイノー病によって生じる血流の障害;並びに前述の任意の状態に起因するか又は関連する疼痛又は痛覚、特に片頭痛における疼痛の伝達を含む種々の他の状態の治療に用いられ得る。本発明の化合物はまた、上記の状態の組み合わせの治療において、特に、複合した術後疼痛並びに術後の悪心及び嘔吐の治療において有用である。
【0058】
本発明の化合物Iは、嘔吐の予防又は治療において特に有用であり、嘔吐としては、急性、遅延型又は先行的な嘔吐、例えば、化学療法、放射線、毒素、妊娠、前庭障害、運動、手術、片頭痛及び頭蓋内圧における変動によって誘発される嘔吐が挙げられる。例えば、本発明の化合物は、高用量のシスプラチンを含む、中度又は高度に催吐性のがん化学療法の初回及び反復の過程での、急性及び遅延型の悪心及び嘔吐の予防のための他の制吐剤と組み合わせて用いられてもよい。とりわけ、本発明の化合物は、抗悪性腫瘍(細胞毒性)剤(がん化学療法において慣用的に用いられるものを含む)によって誘発される嘔吐、及び他の薬剤、例えば、ロリプラムによって誘発される嘔吐の治療に用いられる。このような化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、エチレンイミン化合物、スルホン酸アルキル及びアルキル化作用を有する他の化合物、例えば、ニトロソウレア、シスプラチン及びダカルバジン;代謝拮抗剤、例えば、葉酸、プリン又はピリミジンアンタゴニスト;分裂抑制剤、例えば、ビンカ・アルカロイド及びポドフィロトキシンの誘導体;並びに細胞傷害性抗生物質が挙げられる。化学療法剤の特定の例は、例えば、D.J.Stewart in Nausea and Vomiting:Recent Research and Clinical Advances,編集.J.Kucharczykら,CRC Press Inc.,Boca Raton,Florida,USA(1991)第177〜203頁、特に第188頁に記載される。通常用いられる化学療法剤としては、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン及びクロラムブシルが挙げられる[R.J.Grallaら、Cancer Treatment Reports(1984)68(1),163〜172]。本発明のさらなる側面は、哺乳動物において時間生物学的(概日周期位相シフト)効果を達成すること、及び概日周期障害を軽減することのための本発明の化合物の使用を包含する。本発明はさらに、哺乳動物における光の位相シフト効果をブロックするための本発明の化合物の使用に関する。
【0059】
本発明はさらに、本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の使用であって、哺乳動物において、睡眠の質を増強又は改善するため、並びに睡眠障害及び睡眠妨害を予防及び治療するための使用に関する。特に、本発明は、睡眠の効率を向上すること及び睡眠の維持を強化させることによって、睡眠の質を向上又は改善するための方法を提供する。さらに、本発明は、哺乳動物において睡眠障害及び睡眠妨害を予防及び治療するための方法を提供し、この方法は、本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の投与を包含する。本発明は、精神疾患の結果として(特に不安に関連する)の精神心理学的原因から、薬物及びアルコールの使用及び乱用(特に退薬段階の間)から、生じ得る、睡眠の導入及び維持の障害(Disorders of Initiating and Maintaining Sleep)(不眠症)(「DIMS」)、幼若期発現DIMS、夜間ミオクロヌス、線維筋痛、筋肉痛、睡眠時無呼吸及び脚不穏症及び加齢でみられる非特異的REM障害を含む睡眠障害の治療のために有用である。
【0060】
化合物「の投与」及び「を投与すること」という用語は、治療の必要な個体に対して本発明の組成物を提供することを意味することが理解されるべきである。
【0061】
本発明の治療方法を行うための本発明の組成物の投与は、このような治療又は予防の必要な患者に対して構造式Iの化合物の有効量を投与することによって行う。本発明の方法による予防的投与の必要性は、周知の危険因子の使用を介して決定される。個々の化合物の有効量は、症例を担当する医師によって、最終分析で決定されるが、治療されるべき正確な疾患、患者が被る疾患及び他の疾患又は状態の重篤度、患者が同時に必要とし得る他の薬物及び治療の選ばれた投与経路、並びに医師の判定における他の要因などの要因に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0062】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物、及び両親媒性剤を含む溶液であって、該両親媒性剤が、グリセロール、プロピレングリコール又はソルビトールの脂肪酸エステルである溶液。
【請求項2】
前記両親媒性剤が、本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
前記両親媒性剤がCAPMUL MCM、CAPMUL MCM8、CAPMUL MCM10、IMWITOR988、IMWITOR742、IMWITOR642、IMWITOR308、CAPRYOL PGMC、CAPRYOL90、LAUROGLYCOL、CAPTEX200、CRILL1、CRILL4、PECEOL及びMAISINEからなる群より選択される、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
前記両親媒性剤がIMWITOR742である、請求項3記載の溶液。
【請求項5】
(a)50重量%以下の活性剤及び
(b)50重量%以上の両親媒性剤、
を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
(a)0.03%〜5.0重量%の活性剤及び
(b)95%〜99.9重量%の両親媒性剤、
を含む、請求項5記載の溶液。
【請求項7】
(a)0.10%〜5.0重量%の活性剤及び
(b)95%〜99.9重量%の両親媒性剤、
を含む、請求項5記載の溶液。
【請求項8】
(a)0.5%〜4重量%の活性剤及び
(b)96%〜99.5重量%の両親媒性剤、
を含む、請求項7記載の溶液。
【請求項9】
さらにプロピレングリコールを含む、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
プロピレングリコールに対する両親媒性剤の重量比が1対1より大きい、請求項9記載の溶液。
【請求項11】
プロピレングリコールに対する両親媒性剤の重量比が、1対1と10対1との間である、請求項10記載の溶液。
【請求項12】
グリセリン若しくはエタノール又はそれらの混合物から選択される、プロピレングリコール節約剤をさらに含む、請求項9記載の溶液。
【請求項13】
(a)0.03〜5.0重量%の活性剤;
(b)50〜94.9重量%の両親媒性剤;
(c)5〜49.9重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜20重量%のグリセリン及び
(e)0〜20重量%のエタノール、
を含む、請求項12記載の溶液。
【請求項14】
(a)0.10〜5.0重量%の活性剤;
(b)50〜94.9重量%の両親媒性剤;
(c)5〜49.9重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜20重量%のグリセリン及び
(e)0〜20重量%のエタノール
を含む、請求項12記載の溶液。
【請求項15】
(a)0.5〜4.0重量%の活性剤;
(b)50〜89.5重量%の両親媒性剤;
(c)10〜49.5重量%のプロピレングリコール;
(d)0〜10重量%のグリセリン及び
(e)0〜5重量%のエタノール、
を含む、請求項14記載の溶液。
【請求項16】
重量が溶液の1%未満である抗酸化剤をさらに含む、請求項1、請求項4又は請求項9記載の溶液。
【請求項17】
前記抗酸化剤の重量が前記溶液の0.2%未満である、請求項16記載の溶液。
【請求項18】
前記抗酸化剤の重量が前記溶液の0.05%と0.15%との間である、請求項17記載の溶液。
【請求項19】
前記抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及び亜硫酸ナトリウム並びにその混合物から選択される、請求項16記載の溶液。
【請求項20】
請求項1記載の溶液を含むカプセルであって、該溶液が、0.05〜25mgの活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物、及び50〜950mgの両親媒性剤を含み、該両親媒性剤が、本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなるカプセル。
【請求項21】
請求項20記載の溶液を含むカプセルであって、該溶液が、0.25〜25mgの活性剤3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物、及び775〜800mgの両親媒性剤を含み、該両親媒性剤が本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなるカプセル。
【請求項22】
前記両親媒性剤が、CAPMUL MCM、CAPMUL MCM8、CAPMUL MCM10、IMWITOR988、IMWITOR742、及びIMWITOR308からなる群より選択される、請求項21記載のカプセル。
【請求項23】
前記両親媒性剤がIMWITOR742である、請求項22記載のカプセル。
【請求項24】
前記溶液が0〜50%のプロピレングリコールをさらに含む、請求項22記載のカプセル。
【請求項25】
前記溶液が、20〜40%のプロピレングリコールを含む、請求項24記載のカプセル。
【請求項26】
前記溶液がさらに、グリセリン若しくはエタノール又はそれらの混合物から選択される0〜20%のプロピレングリコール節約剤を含む、請求項24記載のカプセル。
【請求項27】
前記溶液がグリセリン若しくはエタノール又はその混合物から選択される10〜20%のプロピレングリコール節約剤を含む、請求項26記載のカプセル。
【請求項28】
前記溶液がさらに、0〜1%の抗酸化剤を含む、請求項24記載のカプセル。
【請求項29】
前記溶液が、0.01〜0.2%の抗酸化剤を含む、請求項28記載のカプセル。
【請求項30】
前記抗酸化剤が、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及び亜硫酸ナトリウム並びにその混合物から選択される、請求項28記載のカプセル。
【請求項31】
前記溶液がさらに、0.1%のブチル化ヒドロキシアニソールを含む、請求項23記載のカプセル。
【請求項32】
3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オンの量が:0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg及び25mgから選択される、請求項20記載のカプセル。
【請求項33】
3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オンの量が:1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg及び10mgから選択される、請求項32記載のカプセル。
【請求項34】
前記溶液が50〜500mgの両親媒性剤を含み、該両親媒性剤が、本質的にC8〜C12飽和脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド並びにその混合物からなる、請求項33記載の溶液を含むカプセル。
【請求項35】
前記カプセルが、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセルから選択される、請求項20記載のカプセル。
【請求項36】
経口の医薬組成物である、請求項35記載の溶液。
【請求項37】
尿失禁、頻尿、過活動膀胱及び頻尿障害から選択される疾患の治療における使用であって、このような治療の必要なヒトにおける使用のための、請求項1記載の溶液。

【図1】液体充填カプセルにおける式Iの化合物の40mgの経口投与後の平均血漿濃度対時間。
【発明を実施するための形態】
【0063】
代表的な実験手順が以下に提供される。これらは例示に過ぎず、本発明の新規な組成物及びプロセスに対する限定と解釈されるべきではない。
【実施例】
【0064】
【表1】
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【0065】
実施例1
【0066】
種々の液体ビヒクル中の3−[(3aR,4R,5S,7aS)−5−{(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ}−4−(4−フルオロフェニル)−オクタヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン、(化合物I)の安定性
【0067】
【表2】
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【0068】
実施例2
【0069】
化合物Iのカプセル剤形を作製するために用いられる手順の例を以下に示す:
1.モノグリセリド及びジグリセリド賦形剤(例えば、IMWITOR742)を適切な温度で融解する。
2.抗酸化剤をこの混合物に添加して、溶解する。
3.化合物Iをこの混合物に添加して、溶解する。
4.この混合物を、硬ゼラチンカプセル、又は適切に製剤された軟ゼラチンカプセルに充填する。硬ゼラチンカプセルについては、この充填したカプセルを適切に密閉する。
実施例3
【0070】
雄性アカゲザルに対する液体充填ゼラチンカプセル中の50mgの化合物Iの経口投与後の平均薬物動態パラメーター(平均+/−SD)。
【0071】
絶食させた雄性アカゲザル(New Iberia,LA)を、サルの研究で用いた。全ての動物は、投薬前に16時間絶食させた。それらの動物は、USDAのガイドラインに従ってAAALAC−公認の施設で飼育した。一晩の絶食後、カプセルを、チューブを介してサルに強制的に経口投与し、その直後に20mLの水を与えた。各々の製剤を、3匹のサルで試験した(n=3)。水は、投薬の1時間後に戻し、食物は投薬の4時間後に戻した。投与前、並びに投薬の15、30、60、120、240、360、480及び1440分後に伏在静脈に挿入した21gの翼状針を用い静脈穿刺から血液を吸引した。血漿を遠心分離によって分離し(2500rpmで15分間)、LC/MS/MSによる分析まで−70℃で凍結保存した。
【0072】
サルの血漿における化合物Iの定量のために液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC/ESI−MS/MS)を用いる高感度分析法を開発して、確証した。この方法は、生物学的マトリックスから化合物Iを単離するためにアセトニトリルを用いるタンパク質沈殿手法を使用した。化合物Iのアナログである、N−[3−(4−フルオロ−フェニル)−2−(3−シアノ−フェニル)−1−メチルプロピル]−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)−2−メチルプロパンアミド;を、内部標準として用いた。再構成した抽出物は、TurboIonSprayインターフェースによってイオン化して、選択反応モニタリング(selected reaction monitoring)(SRM)モードで分析した。クロマトグラフィーは、100×2mm、5μm、AQUASILC8カラムで、75:25のアセトニトリル及び25mMのギ酸アンモニウム(pH3.0)を用いて行った。これらの条件下では、イヌの血漿の内因性の成分から、化合物I又は内部標準のいずれについても干渉は観察されなかった。このアッセイは、血漿の0.1−mLのアリコートに基づいて、化合物Iについて血漿では1ng/mLという定量の下限(lower limit of quantitation)(LOQ)を有した。標準曲線の範囲は、1〜5000ng/mLであった。その分析時間は、サンプルあたり5.0分間であった。
【0073】
曲線下面積(AUC0−24)、AUCの平均及び標準偏差、観察された最大血漿濃度(Cmax)、及びCmaxの時間(Tmax)を、WinNonLin v3.1を用いて算出した。
【0074】
【表3】
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【0075】
実施例4A及び実施例4B
実施例4A
製造工程−配合剤を充填する:
モノグリセリド及びジグリセリド賦形剤(例えば、IMWITOR742)を適切な温度(40℃±5℃)で融解した。抗酸化剤(ブチル化ヒドロキシアニソール)を、適切な容器中でモノグリセリド及びジグリセリドに添加して、その物質が溶解するまで(均質溶液)、35℃±5℃で混合した。化合物Iを、IMWITOR742に添加し、その内容物を化合物Iが溶解するまで35℃±5℃で混合した。その溶液を、視覚検査で全ての空気が除かれたことが明らかになるまで真空下で脱気した(少なくとも15分間)。その溶液を35ミクロンのメッシュフィルターを通して濾過した。その溶液をカプセル化するまで30℃で保持した。その充填製剤組成物を以下の表4に示す。
製造過工程−カプセル化:
【0076】
充填混合物及びゼラチン混合物を別々に配合させた。次いでこれらの物質をカプセル化機械に供給した。用いたゼラチンは、酸性骨質(acid bone)及び石灰骨質(lime bone)のウシゼラチンであって、これは、グリセリン及びソルビトールを可塑剤として、かつベンガラ(red iron oxides)及び鉄黄(yellow iron oxides)並びに酸化チタンを着色料として含んだ。
【0077】
充填溶液をカプセル化するために、ゼラチン製剤を、2つの冷却ローラー上でシートにキャスティングした。これらのシートを一連のロールを通して通過させ、ここに食品等級の潤滑剤を加えた。次いで、このシートをロータリー・ダイ・ロール(rotary die rolls)を通して供給し、ここでソフトゲルを形成した。ソフトゲルの下端が形成されるにつれて、往復ポンプは、ソフトゲルの中心に充填溶液を注入し、この後、ダイの上端が一緒になってソフトゲルをシールした。新規に形成されたソフトゲルを、シートから取り外して、空気圧で回転式乾燥機に運び、ここに45〜60分間おいた。乾燥機から出るとき、そのソフトゲルをトレイ上に広げて、乾燥トンネルに置き(低湿度チャンバ)、乾燥させた。乾燥過程の終了の際、そのソフトゲルの欠陥について視覚検査した。引き続き、このカプセルをサイズに分けて、大きすぎ及び小さすぎるサイズのカプセルを除いて、研磨した。
【0078】
【表4】
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【0079】
実施例4B
IMWITOR742を、適切な温度で融解した(40℃±5℃)。Imwitor742を、事前加熱した容器(35℃±5℃)に加えて、凝固を回避した。ブチル化ヒドロキシアニソールも、この容器に添加して、均一になる(溶解する)まで少なくとも15分間混合する。化合物Iを、この混合物にゆっくり添加して、溶解した。その物質を、35℃±5℃で、高剪断混合及び/若しくは低剪断混合を用いて、少なくとも15分間、又は化合物Iが完全に溶解されるまで混合した。一旦、化合物I溶解が視覚的に確認されれば、処理中のサンプルを採取して、それらを、粒子の存在について視覚検査し、HPLCによって分析して、溶液の濃度が目標値に達したことを確認した。その充填溶液を、カプセル化のためにエンカプスレータ(ShionogiF40)プロダクト・ホッパーに充填した。この液体製剤を、サイズ0又は00、白色、不透明、硬ゼラチンカプセル(Licap CAPSUGELカプセル、ゼラチン及び二酸化チタンを含む)の中に、400又は800mgという目標充填重量まで分注した。この充填したカプセルを、シオノギS40カプセル・バンド・シーラーに移し、それらをカプセルのシェル本体とキャップとの間の境界でゼラチンの小バンドを置くことによって密閉した。このバンド形成溶液は、ゼラチン、ポリソルベート80水及び必要に応じて着色剤からなる。バンド形成後、そのカプセルを、乾燥紙を裏打ちした乾燥トレイに置き、漏出について視覚的に検査する前に最低4時間保管した。許容可能なカプセルを、シオノギカプセル検査機(Shionogi Capsule Inspection Machine)CWI−80を用いて重量分別した。次いで、出来上がったカプセルを適切な容器に包装した。
【0080】
以下の表は、0.25mg、1mg、4mg及び25mgの硬シェル・カプセルの調製の例示を示す。軟シェルカプセルは、同一の成分で調製されてもよく、実際に、4mgのカプセルの場合、調製されている。
【0081】
【表5】
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【0082】
【表6】
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【0083】
本発明は、その特定の詳細な実施形態を参照して記載及び図示されているが、当業者は、種々の変化、改変及び置換が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書でなされ得ることを理解する。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定され、かつこのような特許請求の範囲は、合理的である限り広範に解釈されるものとする。
【図1】
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【公表番号】特表2010−502703(P2010−502703A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527367(P2009−527367)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/019121
【国際公開番号】WO2008/030389
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】