説明

置換アミノフェニル酢酸、その誘導体、その製造およびシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤としてのその使用

【課題】 COX−2依存性疾患の処置に有用な化合物を提供すること。
【解決手段】 式(I)


〔式中、
Rは水素、低級アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルまたはシアノであり;そして
Aはビアリール、所望により置換されているβ−ナフチル、二環式ヘテロ環式アリール、(C−C)シクロアルキル−単環式炭素環式アリール、または(CまたはC)シクロアルカン縮合−単環式炭素環式アリールである。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルは、COX−2依存性疾患の処置に有用であることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は、特に強力かつ選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤である本明細書で定義のフェニル酢酸および誘導体、その製造法、該化合物を含む医薬組成物、該化合物または本発明の該化合物を含む医薬組成物を使用して、COX−2活性を選択的に阻害する方法ならびにCOX−2阻害に反応する哺乳類における状態を処置する方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)を著しく阻害することなく、COX−2を阻害する、新規フェニル酢酸および誘導体を提供する。本発明は、それ故、驚くべきことに、胃腸および腎臓の副作用のような古典的非ステロイド性抗炎症剤に付随する望ましくない副作用がない、新規非ステロイド性抗炎症剤を提供する。
【0003】
本発明の化合物は、それ故選択的COX−2阻害剤として特に有用であるか、または、特に有用である化合物に代謝して変換し得る。それらは、それ故、哺乳類における炎症、発熱(pyresis)、疼痛、骨関節症、リウマチ性関節炎、月経困難症、偏頭痛、癌(消化管の癌、例えば、結腸癌および黒色腫のような)、神経変性疾患(多発性硬化症、パーキンソン病およびアルツハイマー病のような)、心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患および動脈硬化症のような)、骨粗鬆症、喘息、狼瘡および乾癬を含む、COX−2依存性疾患を、慣用のシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤に付随する望ましくない胃腸潰瘍なく処置するのに特に有用である。本発明の化合物はまたUV吸収剤、特に、UV−B吸収剤であり、UV照射の遮断または吸収に、例えば、日焼け製品における、例えば、炎症を伴う日焼けを処置または予防するために有用である。
【0004】
本発明の化合物の眼投与は、小柱網誘発グルココルチコイド反応性タンパク質の産生を阻害することによる眼炎症、PRKまたは白内障手術のような眼手術に関連する疼痛を含む眼疼痛、眼アレルギー、種々の病因の羞明、上昇した眼内圧(緑内障における)の処置、およびドライアイ疾患の処置を含む。
【0005】
本発明の化合物は、良性および癌性腫瘍の両方を含む新生組織形成、特に、プロスタグランジンを産生するかまたはCOXを発現する新生組織形成、増殖およびポリープ、特に、上皮細胞由来新生組織形成の処置に有用である。本発明の化合物は、上記のように、特に、肝臓、膀胱、膵臓、卵巣、前立腺、子宮頸、肺および乳房癌、および、とりわけ胃腸の癌、例えば、結腸の癌、および皮膚癌、例えば、扁平上皮細胞または基底細胞癌および黒色腫の処置に有用である。
【0006】
本明細書で使用する“処置”なる用語は、例えば、新生組織形成の処置に関連して、治療における治療的および予防的形態、または、臨床的にもしくは前臨床的に明確な新生組織形成の発生を予防するための、または、悪性細胞の増殖開始(initiation)の予防のための、または前悪性から悪性細胞への進行を停止または逆戻りさせるための治療、ならびに、新生組織増殖または転移を予防または阻害することを含むと理解される。この内容において、本発明は、特に、皮膚癌、例えば、UV光暴露により起こる、例えば、日光への慢性的暴露が原因の、扁平上皮または基底細胞癌腫の発生の阻害または予防のための本発明の化合物の使用が包含されると理解されるべきである。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は式(I)
【化1】

〔式中、
Rは水素、低級アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルまたはシアノであり;そして
Aはビアリール、所望により置換されているβ−ナフチル、二環式ヘテロ環式アリール、(C−C)シクロアルキル−単環式炭素環式アリール、または(CまたはC)シクロアルカン縮合−単環式炭素環式アリールである。但し、二環式ヘテロ環式アリールが所望により置換されているキノリニルであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0008】
本発明の特定の態様は、Aが所望により置換されているβ−ナフチル、所望により置換されているキノリニル、所望により置換されているイソキノリニル、所望により置換されている5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、所望により置換されているインダニル、所望により置換されているビフェニリル、所望により置換されている(C−C)シクロアルキル−フェニルまたは所望により置換されている単環式ヘテロアリール−フェニルである(但し、Aが所望により置換されているキノリニルであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。);式(I)の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0009】
本発明のより特定の態様は、式(II)
【化2】

〔式中、
Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、フルオロ、クロロ、(CまたはC)アルキルまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、フルオロ、クロロ、(CまたはC)アルキルまたはトリフルオロメチルであり;
は所望により置換されているフェニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
は水素、ハロ、低級アルキルまたはトリフルオロメチルであり;そして
はハロ、低級アルキルまたはトリフルオロメチルである。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0010】
式(I)および(II)の化合物において、Rは好ましくは環の5位に位置する。
【0011】
本発明のより特定の態様において、
Rが水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、シアノ、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルであり;
、R、RおよびRが、独立して、水素、フルオロまたはクロロであり;そして
が(C−C)シクロアルキル、フェニル、または、低級アルキル、フルオロ、クロロ、低級アルコキシもしくは(CまたはC)アルキレンジオキシで独立してモノ−またはポリ−置換されたフェニルである;
式(II)の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0012】
本発明の他の特定の態様は、式(III)
【化3】

〔式中、
Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、クロロ、フルオロまたは(CまたはC)アルキルであり;
は水素またはフルオロであり;
はシクロプロピル、シクロヘキシル、フェニルまたは、クロロ、フルオロ、低級アルコキシ、低級アルキルもしくは低級アルキレンジオキシで置換されたフェニルであり;
は水素、(CまたはC)アルキル、トリフルオロメチルまたはフルオロであり;そして
はフルオロ、クロロまたは(CまたはC)アルキルである。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、
Rが(CまたはC)−アルキル、シクロプロピル、クロロまたはフルオロであり;
がクロロまたはフルオロであり;
が水素またはフルオロであり;
がシクロプロピルであり;
が水素、メチルまたはフルオロであり;そして
がフルオロである;
式(III)の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0014】
本発明の他の局面は、
Rが水素、低級アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノまたはトリフルオロメチルであり;そして
Aが基(a)および(b)
【化4】

〔基(a)において、
nは1または2であり;そして
−Rは、独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはハロであり;そして
基(b)において、
−R12は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはハロであり;そして
XおよびYはCHであるか、またはXとYの一方がNであり、他方がCHである。但し、XがNであり、YがCHであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。〕
から選択される、式(I)の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0015】
好ましくはRとRの少なくとも一方およびRとR10の少なくとも一方が低級アルキルまたはハロである。
【0016】
本発明のさらなる態様は、式(IIIa)
【化5】

〔式中、
Rは低級アルキル、シクロプロピル、クロロまたはフルオロであり;
は水素、クロロまたはフルオロであり;
10はクロロまたはフルオロであり;そして
11はフルオロ、クロロまたは低級アルコキシである。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩;および薬学的に許容されるそのエステルに関する。
【0017】
式(I)、(II)、(III)および(IIIa)の化合物において、Rは好ましくはメチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、クロロまたはフルオロ、最も好ましくはクロロ、メチル、エチルまたはシクロプロピルである。
【0018】
本明細書で使用する一般的定義は、特記しない限り、本発明の範囲で以下の意味を有する。
【0019】
薬学的に許容されるエステルは、好ましくは、加溶媒分解により、または、生理学的条件下で、例えば、式(I)の遊離カルボン酸に変換するプロドラッグエステル誘導体である。このようなエステルは、例えば、低級アルキルエステル、例えばメチルまたはエチルエステル;カルボキシ−低級アルキルエステル、例えばカルボキシメチルエステル;ニトロオキシ−またはニトロソオキシ−低級アルキルエステル、例えば4−ニトロオキシブチルまたは4−ニトロソオキシブチルエステル;などである。好ましいのは、式(Ia)
【化6】

〔式中、
RおよびAは、式(I)−(IIIa)に関して上記で定義した意味を有する。〕
のフェニルアセトキシ酢酸および薬学的に許容されるその塩である。
【0020】
薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩のような金属塩;ならびに、ジエチルアンモニウム塩のような、例えば、アンモニアおよびモノ−またはジ−アルキルアミンと形成されるアンモニウム塩;およびアミノ酸と形成される、例えばアルギニンおよびヒスチジン塩を意味する。
【0021】
低級アルキル基は、7個までの炭素原子、好ましくは1−4個の炭素原子を含み、直鎖または分枝鎖であり得、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチルなど、好ましくはメチルまたはエチルを意味する。低級アルコキシはメトキシ、エトキシなどである。
【0022】
ビアリールは、独立して炭素環式またはヘテロ環式である、二つの直接結合した単環式アリールを意味する。
【0023】
式(I)におけるAのビアリールは、単環式炭素環式アリールで置換された単環式炭素環式アリール、すなわちビフェニリル、有利には3−または4−ビフェニリルであり、所望によりベンゼン環の一方または両方を、1つまたはそれ以上の低級アルキル、ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、低級アルキレンジオキシおよびトリフルオロメチルで置換されており、有利には少なくとも1つの置換基がNH基の結合部分に対してオルト位である。ビアリールはまたヘテロ環式アリールで置換された単環式炭素環式アリール、すなわち所望により置換されている単環式ヘテロアリールフェニルを意味し、好ましくはフェニルはメタまたはパラ位を、例えば、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリルで置換され、一方または両方の環は、所望により低級アルキル、ハロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で置換されており、有利には少なくとも1つの該置換基がNH基の結合部分に対してオルト位である。
【0024】
式(I)におけるAの所望により置換されているβ−ナフチルは、所望により1−および3−位の一方または両方を、例えば、ハロ、低級アルキルまたはトリフルオロメチルで置換されており、そして、さらに所望により、例えば、6位または7位を、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはヒドロキシで置換されている2−ナフチルである。
【0025】
式(I)におけるAの二環式ヘテロ環式アリールは、好ましくはキノリニルまたはイソキノリニルであり、各々、所望により、例えば、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の置換基で置換されている。
【0026】
式(I)におけるAの(C−C)シクロアルキル−単環式炭素環式アリールは、好ましくはパラまたはメタ位を、(C−C)シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルで置換され、さらに、所望により、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の(1−4)置換基で置換されているフェニルであり、有利には少なくとも1つの該置換基は、NH基の結合部分に対してオルト位である。
【0027】
(C−C)シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、好ましくはシクロプロピルである。
【0028】
式(I)におけるAの(CまたはC)シクロアルカン縮合−モノ炭素環式アリールは、好ましくは5−インダニルまたは(2−または3−)5,6,7,8−テトラヒドロナフチルであり、各々所望によりそのベンゼン環上を例えば、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の置換基で置換されている。
【0029】
単環式炭素環式アリールは、所望により置換されているフェニル、例えば、フェニルまたは、例えば、低級アルキル、ハロ、トリフルオロメチルおよび低級アルコキシからなる群から独立して選択される1−5置換基で置換されているフェニルである。
【0030】
単環式ヘテロアリールは、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1または2ヘテロ原子を含む5−または6−員ヘテロアリールであり、好ましくは所望により、例えば、低級アルキルまたはハロで置換されているチアゾリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾリルまたはイソオキサゾリルを意味する。
ハロは好ましくはクロロ、ブロモまたはフルオロ、有利にはクロロまたはフルオロである。
【0031】
所望により置換されているキノリニルは、キノリニルまたは、例えば、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルで置換されているキノリニルである。
【0032】
所望により置換されているイソキノリニルは、イソキノリニルまたは、例えば、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルで置換されているイソキノリニルである。
【0033】
所望により置換されている5,6,7,8−テトラヒドロナフチルは、5,6,7,8−テトラヒドロナフチルまたは、フェニル環上を、例えば、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルで置換されている5,6,7,8−テトラヒドロナフチルである。
【0034】
所望により置換されているインダニルは、インダニルまたは、フェニル環上を、例えば、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシまたはトリフルオロメチルで置換されているインダニルである。
【0035】
所望により置換されているビフェニリルは、好ましくは3−または4−ビフェニリルまたは、一方または両方のベンゼン環上を、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1つまたはそれ以上の置換基で置換されている3−または4−ビフェニリルである。
【0036】
所望により置換されている(C−C)シクロアルキルフェニルは、有利にはパラ位を、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルで置換されているフェニルであり、フェニル環は、さらに、所望により、例えば、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1−4置換基で置換されている。
【0037】
本発明の化合物は、選択的COX−2阻害剤として、またはそのプロドラッグとして有用である。本発明の選択的COX−2阻害剤およびそのプロドラッグは、特に、例えば、炎症、発熱(pyresis)、疼痛、骨関節症、月経困難症、リウマチ性関節炎および、COX−2の阻害に反応する他の状態の処置に有用であり、典型的に、慣用の非ステロイド性抗炎症剤に付随する望ましくない胃腸の副作用がない。
【0038】
上記特性は、インビトロおよびインビボ試験で、有利には、例えば、ラット、マウス、イヌ、サルならびに、ヒトおよび非ヒト起源の単離細胞または酵素調製物を使用して証明できる。該化合物は、インビトロで溶液、例えば、水性溶液の形で適用でき、そして、インビボでは有利には経口、局所または非経腸、例えば、静脈内で投与できる。インビトロにおける用量は、約10−5−10−9モル濃度の範囲であり得る。インビボにおける用量は、投与経路に依存して、約1mg/kgから100mg/kgの間であり得る。
【0039】
生物学的特性は、例えば、米国特許6,291,523に記載のような、および、本明細書に記載のような、当分野で周知の試験において、証明できる。
【0040】
COX−2阻害は市販のキット(Cayman Chemical Company)を使用して酵素的インビトロアッセイで測定する。
【0041】
試験化合物(緩衝液で種々の濃度に希釈したDMSO中の貯蔵溶液)を、30−50単位の精製組み換えヒトCOX−2およびヘマクチン(hemactin)(1μM)と、30分、25℃でプレインキュベートし、続いて100μM アラキドン酸および比色基質TMPD(N,N,N',N'−テトラメチル−p−フェニレンジアミン)と5−7分、25℃でインキュベートし、その後酸化TMPDを590nmで比色検出する。試験化合物存在下のCOX−2活性を、試験化合物非存在下のコントロールとしてのCOX−2活性と比較する。
【0042】
COX阻害をまたCOX−1およびCOX−2の両方の阻害について細胞アッセイを使用してインビトロで測定する。
【0043】
COX阻害剤の試験のための細胞アッセイは当分野で周知であり、COX酵素(プロスタグランジンH合成酵素)が、アラキドン酸からのプロスタグランジン合成の律速段階を触媒するという事実に基づく。二つの酵素は以下の反応を仲介する:COX−1は酵素の構造的形であり、一方COX−2は種々の成長因子およびサイトカインに反応して誘導される。
【0044】
インビトロCOX−1およびCOX−2阻害を、COX−2阻害に関するインビトロ活性および選択性を測定するために、プロスタグランジンEイムノアッセイ(Cayman PGE2 Kit)を使用して、細胞ベースのアッセイにおいて測定する。利用する細胞は、組み換えヒトCOX−1または組み換えヒトCOX−2のいずれかを各々形質移入され、安定に発現するHEK−293 EBNA細胞である。細胞を、アッセイを行う96ウェルプレートに蒔く。両方の細胞系を化合物希釈液で30分、37℃で前処理し、次いでアラキドン酸(1μM)を外因性基質として添加する。上清を15分後に回収し、PGEの産生をイムノアッセイで測定する。IC50決定のために、化合物を5−9濃度で、各濃度を1回、2回または4回繰り返して試験する(最高濃度30μM)。各濃度のPGEの(化合物で処理していない細胞と比較した)平均阻害を計算し、プロットを平均阻害%対化合物濃度対数でプロットし、IC50値を4−パラメーター・ロジスティック・フィットを使用して計算する。各酵素における相対的効果を比較し、COX−2の阻害に対する選択性を評価する。
【0045】
インビトロCOX−1およびCOX−2阻害をまた、COX−1が血小板中で構造的に発現し、COX−2発現をリポポリサッカライド(LPS)(10μg/mL)での処理により単球中で誘発した、ヒト全血で測定する。このアッセイのために、ヘパリン処理ヒト血液を二つのアリコートに分ける:一つ目はTxB産生(COX−1活性の代用指標)の測定用および二つ目はPGE産生(COX−2活性の代用)の測定用。血液サンプルを刺激1時間前に試験化合物で前処理する。化合物を、0.1nMから300μMの範囲の最終濃度で、濃度の対数の半分の増加を使用して試験する。トロンボキサンB(TxB)産生阻害の測定のために、A23187(50μM)を添加し、血液を1時間インキュベートする。PGE産生を、LPS(10μg/mL)の添加と続く一晩のインキュベーション後に測定する。A23187またはLPSとインキュベーション後、サンプルを250×gで10分、4℃で遠心し、血清を回収する。血清中に存在するPGEおよびTxBの用量を、Assay Designs Inc. (Ann Arbor, MI)からのケミルミネッセンス酵素イムノアッセイを使用して測定する。各サンプル中のプロスタグランジンのレベルを、各濃度の試験化合物によりもたらされる阻害パーセントに対して標準化する。各ドナーからの阻害パーセントのデータをプールし、回帰を使用した4−パラメーター・ロジスティック関数に適合させる。
【0046】
式(I)の化合物のCOX−2阻害アッセイに関するIC50値は、約0.010μMほど低い。好ましいのは、COX−1とCOX−2阻害に関するIC50値の比が50を超える、有利には約100−1000の範囲、またはそれより高い化合物である。
【0047】
COX−2により産生されるプロスタグランジン−Eの阻害は、インビボでラットにおけるリポポリサッカライド(LPS)−攻撃皮下空気嚢モデルで測定できる。Advances in Inflammation Research, Raven Press(1986);J. Med. Chem., Vol. 39, p. 1846(1996);J. Pathol., Vol. 141, pp. 483-495;およびJ. Pathol., Vol. 134, pp. 147-156参照。
【0048】
雌のLewisラットを麻酔し、次いで、皮下に10mLの空気を滅菌0.45ミクロンのシリンジ適合フィルターを通して皮下注射することにより、背面空気嚢を産生する。産生6または7日後、空気嚢に、滅菌リン酸緩衝化食塩水に懸濁したLPS(5μg/嚢)を注射する。評価するための化合物を、LPS攻撃1時間前または2時間以上後に胃管栄養法により投与する。嚢内容物をLPS攻撃5時間後に回収し、嚢液に存在するPGEレベルを、酵素イムノアッセイにより測定する。本発明の説明として、実施例4(j)の化合物は、PGE産生を、1mg/kg p.o.で約50%まで阻害する。
【0049】
COX−1により産生されるトロンボキサンB(TXB)のインビボ阻害を、化合物の経口投与後にラットの血清でエキソビボで測定する。
【0050】
簡単に言うと、雄Sprague Dawleyラットを一晩絶食させ、強化コーンスターチ媒体中の化合物を胃管栄養法により投与し、二酸化炭素吸入により、30分から8時間後に殺す。血液を心臓穿刺により抗凝血剤無しの試験管に採血し、凝血させ、遠心により血清を分離する。血清を、後のラジオイムノアッセイによるTXBの分析まで凍結貯蔵する。各実験は、以下のグループから成る(5−6匹のラット/グループ):異なる投与量または異なる時点の媒体コントロールおよび試験化合物。TXBデータを、媒体コントロールグループで測定したレベルの割合として示す。
【0051】
抗炎症性活性を、Nonsteroidal Antiinflammatory Drugs, Lombardino, Ed., John Wiley & Sons, pp. 116-128(1986)に記載のOfferness et al.の方法の変法にしたがい、カラゲナン誘発ラット足浮腫アッセイを使用して測定する。
【0052】
Sprague Dawleyラット(200−225g)を一晩絶食させ、次いで、強化コーンスターチ溶液に懸濁した化合物を経口投与する。1時間後、0.1mL容量の1%カラゲナンの生理食塩水溶液を左後足の下足底(sub-plantar)領域に注射し、これが炎症性反応を引き起こす。カラゲナン3時間後、ラットを殺し、両方の後ろ足を毛の生え際で切断し、電子天秤で秤量する。炎症した足の浮腫の量を、炎症した足(左)から炎症していない足(右)の重さを引くことにより決定する。化合物の阻害パーセントを、各動物で、コントロールの平均と比較して増加した足重量のパーセントとして測定する。
【0053】
本発明の説明として、実施例4(b)および4(j)の化合物は、カラゲナン誘発浮腫を、30mg/kg p.oで阻害する。
【0054】
胃腸耐容性アッセイを使用して、試験化合物の経口投与4時間後に測定したラットにおける総潰瘍を評価する。試験を下記のように行う:
雄Sprague Dawleyラットを一晩絶食させ、強化コーンスターチ媒体中の化合物を胃管栄養法により投与し、二酸化炭素吸入により、4時間後に殺す。胃を摘出し、総胃病巣を測定して、ラットあたりの総病巣長を測定する。各実験は、以下のグループ(5−6匹ラット/グループ)から成る:媒体コントロール、試験化合物および、参照化合物としてのジクロフェナック。
【0055】
データをグループあたりの潰瘍の平均数、グループあたりの潰瘍の平均長(mm)として、および、潰瘍指数(UI)として計算する。
UI=グループにおける潰瘍の平均長×潰瘍発症率
(式中、潰瘍発症率はグループにおける病巣を有する動物のフラクション(100%発症率は1)である)。
【0056】
本発明の説明として、実施例4(b)および4(j)の化合物は、30mg/kg p.oで、いかなる胃腸潰瘍発生作用も本質的に有しない。
【0057】
腸耐容性は、腸透過性における効果を測定することにより決定できる。透過性の増加がないことが、腸耐容性の指標である。
【0058】
使用した方法は、Davies et al., Pharm. Res., Vol. 11, pp. 1652-1656(1994)の方法の変法であり、経口投与した51Cr EDTA(小腸透過性のマーカー)の排泄がNSAIDにより増加するという事実に基づく。雄Sprague Dawleyラット(12匹/グループ)に、試験化合物または媒体を、1回、経口で胃挿管により経口投与する。化合物投与直後に各ラットに51Cr EDTA(5μCi/ラット)を胃挿管により投与する。ラットを個々に代謝ケージに入れ、自由に摂取できる餌および水を与える。尿を24時間にわたり採取する。51Cr−EDTAの投与24時間後にラットを殺す。腸透過性における化合物の効果を定量するために、化合物処置ラットの尿で測定した排泄された51Cr−EDTAを、媒体処置ラットの尿で測定した排泄された51Cr−EDTAと比較する。相対的透過性を、各尿サンプルに存在する活性を、背景放射で補正した後の投与量のパーセントとして計算することにより決定する。
【0059】
本発明の化合物の鎮痛活性を、既知のRandall-Selittoアッセイを使用して測定する。
Randall-Selitto足加圧アッセイは、炎症組織における抗侵害受容(鎮痛活性)を、試験薬の経口投与後のラットの炎症足における加圧閾値を、コーンスターチ媒体を経口で投与されたラットの炎症足におけるそれと比較することにより測定する。
【0060】
体重40−50gの10匹の雄Wistarラットのグループを、試験前一晩絶食させる。ビール酵母の20%懸濁液0.1mLを、26ゲージ針で右後足の下足底領域に注射することにより、痛覚過敏を誘発する。左足には注射せず、痛覚過敏の測定のためのコントロール足として使用する。10mL/kgの媒体(強化コーンスターチ懸濁液3%)、参照化合物(ジクロフェナックを、全ての実験で試験化合物と同量行う)および、10mL/kgの媒体中に懸濁した異なる用量の試験化合物を、酵母注射2時間後に経口投与する。足引っ込め閾値を試験化合物の経口投与1時間後にBasile Analgesyメーターで定量する。侵害受容閾値をラットが足を引っ込めるか声を出す圧力(グラム)として定義する。声を出すか、足を引っ込めるかのいずれかを反応として記録する。
【0061】
データを、炎症したおよび炎症していない足に関するコーンスターチ媒体処置グループの平均疼痛閾値と、個々の薬剤処置ラットのそれを比較することにより、分析する。薬剤処置グループおよび陽性コントロール(ジクロフェナック)グループの個々のラットは、各足における個々の疼痛閾値が、コントロールグループの平均閾値を、その平均の標準偏差の2倍を超えた場合、リアクターと呼ぶ。コントロールグループの炎症足における平均疼痛閾値を、試験薬グループにおける炎症足の個々の疼痛閾値と比較する。炎症していないコントロール平均加圧閾値を、試験薬における炎症していない個々の加圧閾値と比較する。結果を、炎症しているおよび炎症していない足に関する各試験グループ(n=10)におけるリアクターの数として示す。パーセンテージを、リアクターの数を化合物に使用したラットの総数で割ることにより計算する。
【0062】
本発明の化合物の抗関節炎効果を、ラットにおける既知の慢性アジュバント関節炎試験において測定できる。
眼への効果を、既知の眼アッセイ法において証明できる。同様に抗腫瘍活性を既知の抗腫瘍動物試験において証明できる。
【0063】
式(I)の化合物は、例えば、
(a)式(IV)または(IVa)
【化7】

〔式中、
Zはヨードまたはブロモであり;
Rは上記で定義した意味を有し;
は水素、アルカリ金属カチオンまたは低級アルキル、好ましくはイソプロピルであり;そして
13およびR14は低級アルキルであるか;またはR13およびR14は、窒素原子と一緒になってピペリジノ、ピロリジノまたはモルホリノである。〕
の化合物と、式(V)
【化8】

〔式中、
Aは上記で定義した意味を有する。〕
の化合物を銅およびヨウ化第一銅の存在下カップリングさせて、式(VI)または(VIa)
【化9】

の化合物を得、得られた式(VI)または(VIa)の化合物を加水分解して式(I)の化合物を得るか;または
【0064】
(b)Rが5位でアルキル、例えば、エチルである化合物に関しては、式(VII)
【化10】

〔式中、
Aは本明細書で定義した意味を有する。〕
の化合物を、例えば、酢酸の、Friedel-Craftsアシル化反応における反応性官能誘導体、例えばアセチルクロライドと、縮合させ、式(VIII)
【化11】

〔式中、
Aは本明細書で定義した意味を有する。〕
の化合物を得、それを続いて水素化分解し、次いで加水分解して、Rが、例えば、エチルである式(I)の化合物を得るか;または
【0065】
(c)式(IX)
【化12】

〔式中、
RおよびAは本明細書で定義した意味を有する。〕
のラクタムを強塩基で加水分解し;そして、上記工程において、必要であれば、干渉する任意の反応基を一時的に保護し、次いで得られた本発明の化合物を単離し;そして、必要であれば、任意の得られた化合物を他の本発明の化合物に変換し;そして/または、必要であれば、本発明の遊離カルボン酸を、その薬学的に許容されるエステル誘導体に変換し;そして/または、必要であれば、得られた遊離酸を塩にまたは得られた塩を遊離酸もしくは他の塩に変換することにより、製造できる。
【0066】
出発化合物および、本明細書に記載の方法で本発明の化合物に変換される中間体において、存在する官能基、例えば、アミノ、ヒドロキシおよびカルボキシル基は、調製有機化学において一般的な慣用的な保護基により所望により保護される。保護されたヒドロキシ、アミノおよびカルボキシル基は、緩和な条件下で遊離アミノ、ヒドロキシおよびカルボキシル基に、他の望ましくない副反応が起こることなく変換できるものである。例えば、ヒドロキシ保護基は、好ましくはベンジルまたは置換ベンジル基、またはピバロイルのようなアシル基である。
【0067】
工程(a)の式(VI)および(VIa)の化合物の製造は、ジアリールアミンの製造のための修飾Ullmann縮合の条件下で、例えば、銅粉末およびヨウ化銅(I)および炭酸カリウムの存在下、所望によりニトロベンゼン、トルエン、キシレンまたはN−メチルピロリドンのような不活性高沸点溶媒中、高温で、例えば100−200℃で好ましくは還流温度で、Nohara, Chem Abstr, Vol. 94, p. 15402x(1951);およびMoser et al., J Med Chem, Vol. 33, p. 2358(1990)により記載の一般的方法にしたがい行う。Zがブロモであるとき、縮合はヨウ化物塩、例えば、ヨウ化カリウムの存在下で行う。
【0068】
得られた式(VI)のオルト−アニリノフェニルアセトアミドの加水分解は、水性アルカリ水酸化物中、例えば、6N NaOH中、アルコール、例えば、エタノール、プロパノールおよびブタノールの存在下、反応混合物の還流温度のような高温で行う。
【0069】
式(VIa)のエステルの加水分解は、当分野で既知の方法にしたがい、例えば、式(VI)の化合物に関して上記のような塩基性条件下、あるいは、酸性条件下、例えば、メタンスルホン酸を使用して行う。
【0070】
式(IV)または(IVa)の出発物質は一般的に既知であるか、当分野で既知の方法を使用して、例えば、野原らの昭和53年特許願第96,434号(1978);米国特許6,291,523に記載のように、かつ本明細書に説明するように製造できる。
【0071】
例えば、対応するアントラニル酸をオルト−ジアゾニウム誘導体に変換し、続いて酸、例えば、硫酸中のアルカリ金属ヨウ化物での処理により2−ヨード安息香酸またはその低級アルキルエステルを得る。当分野で既知の方法にしたがった、エステルの対応するベンジルアルコールへの、例えば、ジボランまたは水素化アルミニウムリチウムでの還元、アルコールの最初にブロミドへの、続くニトリルへの変換、ニトリルの酢酸への加水分解、そしてN,N−ジアルキルアミドへの変換により、式(IV)の出発物質を産生する。
【0072】
あるいは、例えば、ZがBrであり、そしてRがシクロプロピルである式(IV)の出発物質は、最初に、J. Am. Chem. Soc., Vol. 123, p. 4155(2001)に概説された方法にしたがって、例えば、2−ブロモ−5−ヨード安息香酸メチルエステルとシクロプロピルブロミドを、インジウムトリクロライド存在下に縮合し、2−ブロモ−5−シクロプロピル安息香酸メチルエステルを得て、それを上記のように対応する式(IV)の2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニルアセトアミドに変換させることにより製造できる。
【0073】
さらに、Rが、例えば、エチルである式(IV)の出発物質は、オキシインドールと、例えば、アセチルクロライドの、塩化アルミニウム存在下のFriedel-Craftsアセチル化反応、続く得られたケトンの、例えば、触媒的水素化分解による還元、続く得られた5−エチルオキシインドールのオルトアミノ−フェニル酢酸への加水分解的開裂により製造できる。例えば、ヨウ化カリウム存在下のジアゾ化は、オルトヨード−フェニル酢酸を産生し、それを式(IV)のアミドに変換させる。
【0074】
式(IVa)のエステルは、対応する酸から、当分野で既知のエステル化法にしたがい製造する。
【0075】
式(V)のアミンは、当分野で既知であるか、または、当分野で既知の方法にしたがい、または、本明細書に説明のように製造する。
【0076】
例えば、ビアリールアミンは、例えば、適当に置換された4−ブロモアニリンと適当に置換されたフェニルボロン酸の、パラジウム触媒鈴木カップリング反応の条件下の縮合により製造する。
【0077】
同様に、例えば、シクロプロピル置換アニリンを、対応するブロモ置換アニリン(遊離アミンとしてまたは保護された形で)から、Tetrahedron Letters, Vol. 43, p. 6987(2002)に記載の方法にしたがった、かつ、実施例に説明するような、シクロプロピルボロン酸とのパラジウム触媒縮合により製造する。
【0078】
あるいは、4−シクロアルキル置換アニリンを、J Am Chem Soc, Vol. 123, p. 4155(2001)の一般的方法に準じて、例えば、フタルイミド誘導体として保護された、4−ヨードまたはブロモ置換アニリンと、例えば、シクロプロピルブロミドをインジウムトリクロライドの存在下縮合し、続いて保護基を除去することにより、製造する。
【0079】
工程(b)の例えば、5−エチルまたは5−n−プロピル置換化合物の製造は、例えば、1,2−ジクロロエタンのような不活性溶媒中の塩化アルミニウムの存在下の、Friedel-Craftsアシル化の条件下、続いて、室温および約3気圧で、好ましくは溶媒としての酢酸中、例えば、パラジウム炭素触媒を使用した水素化分解により行う。
【0080】
式(VII)の出発物質は、一般的に工程(a)に記載のように、Rが水素である式(IV)のアミドから出発して、例えば、Moser et al. (1990)、前掲に記載のように製造する。
【0081】
工程(c)の本発明の化合物の製造は、一般的に米国特許3,558,690に記載のように、ラクタムの、好ましくは水性水酸化ナトリウムのような強水性塩基での、所望によりメタノールのような有機性水混和性溶媒の存在下、約50−100℃の範囲の高温での加水分解的開裂に関する分野で既知の条件下で行うことができる。
【0082】
オキシインドール出発物質は、式(X)
【化13】

〔式中、
RおよびAは、上記で定義した意味を有する。〕
のジアリールアミンを、有利には高温で、例えば、100℃付近で、ハロアセチルクロライド、好ましくはクロロアセチルクロライドによりN−アシル化して、式(XI)
【化14】

〔式中、
RおよびAは、上記で定義した意味を有する。〕
の化合物を得ることにより製造する。式(XI)の化合物の環化は、ジクロロベンゼンのような不活性溶媒中、Friedel-Crafts触媒、例えば、塩化アルミニウムおよびエチルアルミニウムジクロライドの存在下、高温で、例えば、120−175℃のようなFriedel-Craftsアルキル化反応の条件下で行う。
【0083】
式(X)の出発アミンは、Ullmann縮合および当分野で既知の他の方法、例えば、Buchwaldカップリング反応により製造できる。
【0084】
式(I)のカルボン酸のエステルは、当分野で既知の方法にしたがって、塩の形のまたは塩基の存在下のカルボン酸と、エステル化しようとするアルコールのハライド(ブロミドまたはクロライド)、例えばベンジルクロロアセテートを、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性溶媒中、縮合して製造し、かつ、必要であれば、得られた生成物をさらに修飾する。例えば、エステル化生成物それ自体がエステルである場合、それを、例えば、得られたベンジルエステルの水素化分解により、カルボン酸に変換できる。またエステル化産物それ自体がハライドである場合、それは、例えば、硝酸銀との反応によりニトロオキシ誘導体に、変換できる。
【0085】
例えば、式(Ia)の化合物は、好ましくは、上記式(I)のカルボン酸の塩と、式
【化15】

〔式中、
Xは脱離基であり;そして
はカルボキシ−保護基である。〕
を縮合して、カルボキシ−保護された形の式(Ia)の化合物を得、続いて保護基Rを除去することにより製造する。
【0086】
エステル化は、当分野で既知のエステル化条件下、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性溶媒中、室温から約100℃の範囲、好ましくは40−60℃の範囲の温度で行うことができる。
【0087】
式(I)の酸の塩は、好ましくはアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩であり、それはその場で形成できる。
【0088】
脱離基Xは好ましくはハロ、例えば、クロロまたはブロモ、または低級アルキルスルホニルオキシ、例えば、メタンスルホニルオキシである。
カルボキシ−保護基Rは好ましくはベンジルである。
【0089】
得られるベンジルエステルを、式(Ia)の遊離酸に、好ましくは、例えば、大気圧での酢酸中のPd/C触媒の存在下、または室温から約50℃の温度範囲のParr水素化下に、水素での水素化分解により変換できる。
【0090】
本発明は全ての新規出発物質およびそれらの製造法を包含する。
最後に、本発明の化合物は、遊離形で、または、塩形成基が存在するとき、その塩として得られる。
【0091】
本発明の酸性化合物は、薬学的に許容される塩基、例えば、水性アルカリ金属水酸化物で、有利には、低級アルカノールのようなエーテル性またはアルコール性溶媒の存在下、金属塩に変換し得る。得られる塩を、酸での処理により遊離化合物に変換し得る。これらまたは他の塩は、得られた化合物の精製のためにも使用できる。アンモニウム塩は、適当なアミン、例えば、ジエチルアミンなどとの反応により得られる。
【0092】
塩基性基を有する本発明の化合物は、酸付加塩、とりわけ薬学的に許容される塩に変換できる。これらは、例えば、鉱酸、例えば、硫酸、リン酸または水素化ハロゲン酸のような無機酸と;または、例えば、非置換またはハロゲンで置換されている(C−C)アルカンカルボン酸、例えば、酢酸のような、飽和または不飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸のような、ヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸のような、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のような有機カルボン酸と;または(C−C)アルキルスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸のような有機スルホン酸と;または、非置換または、例えば、ハロゲンで置換されているアリールスルホン酸と形成される。好ましいのは、塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸と形成される塩である。
【0093】
遊離化合物とその塩の形の化合物の間の密接な関係の観点から、この文脈で化合物を言及している場合はいずれも、その環境下で可能であるかまたは適当である場合、塩もまた意図される。
【0094】
塩を含む化合物はまた水和物の形で得ることができるか、または、結晶化に用いた他の溶媒を含み得る。
【0095】
本発明の医薬組成物は、COX−2−活性を阻害するために、および、ヒトを含む哺乳類への、経口または直腸のような経腸、経皮、局所および非経腸投与に適し、COX−2依存性疾患の処置に適し、かつ、有効量の本発明の薬理学的活性剤を単独でまたは他の治療剤と共に、および、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体と共に含む。
【0096】
より特には、医薬組成物は、COX−1阻害活性およびそれに付随する副作用が実質的にない、本発明の選択的COX−2阻害化合物の有効なCOX−2阻害量を含む。
【0097】
本発明の薬理学的活性化合物は、経腸または非経腸投与のいずれかに適した賦形剤または担体と共にまたは混合して、その有効量を含む、医薬組成物の製造に有用である。好ましいのは、活性成分を以下のものと一緒に含む錠剤またはゼラチンカプセルである:
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤に関してはまた
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;必要であれば
d)崩壊剤、例えば、澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/または
e)吸収剤、色素、香味剤および甘味剤。
【0098】
注射用組成物は、好ましくは水性等張溶液または懸濁液であり、坐薬は有利には脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から製造する。該組成物は滅菌し得および/または防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤のような助剤、溶解推進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝液を含み得る。加えて、それらは他の治療的に価値のある物質を含み得る。該組成物は、各々慣用の混合、造粒またはコーティング法で製造し、約0.1−75%、好ましくは約1−50%の活性成分を含む。
【0099】
錠剤は当分野で既知の方法にしたがい、フィルムコーティングされているか、腸溶性コーティングされ得る。
【0100】
経皮投与のための適当な製剤は、有効量の本発明の化合物を担体と共に含む。有利な担体は、宿主の皮膚を通過するのを助ける、吸収性の薬理学的に許容される溶媒である。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により、宿主の皮膚に制御され、予定された速度で長期にわたり送達させるための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に固定させる手段を含む、バンデージの形である。
【0101】
例えば、皮膚および眼への局所投与のための適当な製剤は、水性溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ジェルまたは、例えば、エアロゾルなどにより送達するための噴霧可能製剤を含む。このような局所送達システムは、特に経皮投与のために、例えば、皮膚癌の処置に、例えば、サン・クリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用に適している。この観点から、本発明の化合物は290−320nmの範囲のUV光線を吸収できるが、それより長い波長の日焼けする光線は通過させることを注意すべきである。それらは、それ故特に、当分野で既知の、化粧品を含む局所用製剤への使用に適している。これらは、可溶化剤、安定化剤、張力増強剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。局所投与に適した製剤は、例えば、米国特許4,784,808に記載のように製造できる。眼投与のための製剤は、例えば、米国特許4,829,088および4,960,799に記載のように製造できる。
【0102】
本発明の化合物は単独でまたは他の治療剤と共に使用し得る。例えば、新生組織形成(悪性および良性)の処置に関する使用のための適当な付加的活性剤は、例えば、国際特許出願WO98/16227に記載の抗腫瘍剤または放射線防護剤などを含む。他の適当な付加的治療剤は、オキシコドン、コデイン、トラマドール、レボルファノール、プロポキシフェン、ケトロラック、ペンタゾシン、メペリジンなどのような鎮痛剤;またアスピリン、クロピドグレル、チクロピジンなどのような抗血小板剤;またゾレドロネート、パミドロネート、リセドロネート、アレンドロネートなどのようなビスホスホネート;またフルバスタチン、アトロバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンなどのスタチンを含む。
【0103】
他の活性成分と併用時、本発明の化合物は、他の活性成分と同時に、前にまたは後に、同じまたは異なる投与経路により別々に、または、同じ医薬製剤中で一緒に投与し得る。
【0104】
活性成分の投与量は温血動物(哺乳類)の種、体重、年齢および個々の状態、ならびに投与の形に依存する。約50−70kgの哺乳類への経口投与の単位投与量は、約5mgから500mgの間の活性成分を含み得る。
【0105】
本発明はまたCOX−2阻害のためのおよび本明細書に記載の状態、例えば、炎症、疼痛、リウマチ性関節炎、骨関節症、月経困難症、腫瘍および他のCOX−2−依存性疾患を処置するための、哺乳類における本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物の使用法に関する。
【0106】
特に、本発明は、哺乳類において、実質的にCOX−1活性を阻害することなく、COX−2活性を選択的に阻害する方法であり、それを必要とする哺乳類に、有効なCOX−2阻害量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0107】
それ故、本発明は、また、哺乳類におけるCOX−2依存性疾患の処置法であり、それを必要とする哺乳類に有効なCOX−2阻害量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0108】
より特に、本発明は、哺乳類における、COX−1阻害活性に付随する望ましくない副作用を実質的に排除しながらCOX−2依存性疾患を処置する方法であり、それを必要とする哺乳類に、実質的にCOX−1阻害活性がない本発明の選択的COX−2阻害化合物の有効なCOX−2阻害量を投与することを含む方法に関する。
【0109】
より具体的に、これは、例えば、哺乳類におけるリウマチ性関節炎、骨関節症、疼痛、月経困難症または炎症を、望ましくない胃腸潰瘍をもたらすことなく処置する方法であり、それを必要とする哺乳類に対応する有効量の本発明の化合物を投与する方法に関する。
【0110】
以下の実施例は本発明を説明することを意図し、それに限定すると解釈してはならない。記載されている温度は摂氏である。特記しない限り、全ての蒸発は減圧下、好ましくは約15mmHgから100mmHg(=20−133mbar)の範囲で行う。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準分析法、例えば、微量分析および分光特性、例えば、MS、IR、NMRにより確認する。使用する略語は、当分野で慣用のものである。
【0111】
略語
BOC:t−ブトキシカルボニル
DME:1,2−ジメトキシエタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド
EDCl:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
LAH:水素化アルミニウムリチウム
NBS:N−ブロモスクシンイミド
NCS:N−クロロスクシンイミド
NMM:N−メチルモルホリン
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【実施例】
【0112】
実施例
実施例1
アニリン出発物質
A. 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−フェニルアニリン
2,3,5,6−テトラフルオロアニリン(25.0g、0.15mol)をメタノール(100mL)に溶解し、臭素元素(28.4g、0.17mol)で、それを室温で滴下することにより処理する。固体重炭酸ナトリウム(15g、0.18mol)を少しずつ添加し、得られる混合物をさらに2時間撹拌する。反応混合物をEtO(500mL)と水(1000mL)に分配する。有機層を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで蒸発して2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ブロモアニリン(m.p. 59−60℃)を得る。
【0113】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ブロモアニリン(13.8g、56.7mmol)をベンゼン(200mL)に溶解し、1.5当量のフェニルボロン酸(10.4g、85.1mmol)および触媒量のエタノール(30mL)溶液としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(4.2g、3.6mmol)で処理する。炭酸ナトリウム(2M水性溶液60mL)を添加し、反応混合物を撹拌し、還流温度で24時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtO(500mL)と水(250mL)に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−フェニルアニリンを油状物として得る。
1H-NMR:(CDCl3)7.43(m, 5H, ArH), 4.05(s, 2H, NH2)。
【0114】
B. 2,6−ジクロロ−4−フェニルアニリン
方法は、Brewster, Org. Synth. II, p. 347(1943)の改変である。
2,6−ジクロロアニリン(16.2g、0.1mol)を、重炭酸ナトリウム(8.6g、100mLの水中0.1mol)の溶液に懸濁し、60℃に暖める。ヨウ素元素(25.4g、0.1mol)を少しずつ添加し、得られる混合物を60℃で3日間撹拌する。室温に冷却後、反応混合物をCHCl(250mL)と飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)に分配する。水性層をさらなるCHCl(250mL)で再抽出し、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2,6−ジクロロ−4−ヨードアニリンを得る(m.p. 100−102℃)。
【0115】
2,6−ジクロロ−4−ヨードアニリン(10.4g、36.0mmol)をトルエン(100mL)に溶解し、1.5当量のフェニルボロン酸(6.6g、54mmol)、および触媒量のエタノール(20mL)中の溶液としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(3.0g、2.6mmol)で処理する。炭酸ナトリウム(2M水性溶液40mL)を添加し、反応混合物を撹拌し、還流温度で24時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtO(300mL)と水(150mL)に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2,6−ジクロロ−4−フェニルアニリンを得る(m.p. 112−113℃)。
【0116】
C. 2−フルオロ−4−フェニル−6−クロロアニリン
2−フルオロ−6−クロロアニリン(28.8g、0.2mol)を重炭酸ナトリウム(17.2g、150mL水中0.2mol)の溶液に懸濁し、60℃に暖める。ヨウ素元素(50.8g、0.2mol)を少しずつ添加し、得られる混合物を60℃で3日間撹拌する。室温に冷却後、反応混合物をCHCl(350mL)と飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)に分配する。水性層をさらなるCHCl(250mL)で再抽出し、合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2−フルオロ−4−ヨード−6−クロロアニリンを得る(m.p. 85−87℃)。
【0117】
2−フルオロ−4−ヨード−6−クロロアニリン(8.0g、36.0mmol)をDMF(110mL)に溶解し、2.8当量のフェニルボロン酸(10.0g、82mmol)、および触媒量のDMF(20mL)中の溶液としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(3.0g、2.6mmol)で処理する。炭酸ナトリウム(2M水性溶液30mL)を添加し、反応混合物を撹拌し、100℃で24時間加熱する。室温に冷却後、ほとんどのDMFを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去する。残った褐色油状物をEtO(300mL)と水(150mL)に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2−フルオロ−4−フェニル−6−クロロアニリンを得る(m.p. 105−107℃)。
【0118】
D. 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(3'−メトキシフェニル)アニリン
(i)2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ブロモアニリン(7.5g、30.7mmol)をDME(150mL)に溶解し、3−メトキシフェニルボロン酸(4.7g、30.7mmol)、触媒量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.70g、0.6mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.66g、2.5mmol)で処理する。炭酸カリウム(50mLの水中8.5g)を添加し、反応混合物を撹拌し、90℃で24時間加熱する。室温に冷却後、ほとんどのDMEを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去する。得られる物質をEtOAc(200mL)と水(250mL)に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗反応生成物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc、次いで6:4 ヘキサン/EtOAC)で精製し、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(3'−メトキシフェニル)アニリンを得る(m.p. 94−96℃)。
【0119】
(ii)別法:2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ブロモアニリン(12.0g、49.2mmol)をDME(250mL)に溶解し、3−メトキシフェニルボロン酸(7.5g、49.2mmol)、触媒量の酢酸パラジウム(II)(0.23g、1.0mmol)およびトリ−o−トリルホスフィン(1.22g、4.0mmol)で処理する。炭酸カリウム(50mL水中13.6g)を添加し、反応混合物を撹拌し、窒素でパージし、次いで90℃で24時間加熱する。室温に冷却後、ほとんどのDMEを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去する。得られる物質をEtOAc(200mL)と水(250mL)に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗反応生成物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc、次いで6:4 ヘキサン/EtOAc)で精製し、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(3'−メトキシフェニル)アニリンを得る(m.p. 94−96℃)。
【0120】
E. 2−フルオロ−4−(4'−フルオロフェニル)アニリン
2−フルオロ−4−ブロモアニリン(10.7g)、4−フルオロフェニルボロン酸(11.9g)、60mLの2N NaOHおよび200mLのベンゼンを合わせ、Nで脱気する。パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(4.2g)を添加し、混合物を還流温度で一晩撹拌する。冷却後、反応物をセライトを通して濾過し、濃縮する。油状残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5−10%EtOAc/ヘキサン)で精製し、2−フルオロ−4−(4'−フルオロフェニル)アニリンを固体として得る。
【0121】
F. 2−クロロ−4−シクロヘキシルアニリン
方法は、Altau et al., J Chem Eng Data, Vol. 8, p. 122(1963)の改変である。
4−シクロヘキシルアニリン(20g、114mmol)を酢酸(50mL)に溶解し、無水酢酸(12g、114mol)と撹拌する。反応は発熱性であり、混合物を室温に冷却し、次いでさらに2時間撹拌する。揮発物をロータリーエバポレーターにより除去し、残った固体をヘキサンとトリチュレートし、濾過して4−シクロヘキシルアセトアニリドを得る(m.p. 126−128℃)。
【0122】
4−シクロヘキシルアセトアニリド(24g、110mmol)を、濃HCl(25mL)と酢酸(75mL)の混合物に溶解する。混合物を氷浴で冷却し、塩化ナトリウム(NaClO、7.5g、70mmol)の水(30mL)溶液を、滴下漏斗を介して添加する。反応物を室温に暖め、次いで飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)に注ぐ。形成した固体を濾過により単離し、連続的に最初に水(500mL)および次いでヘキサン/EtO(10:1、500mL)混合物で洗浄する。得られる固体を空気乾燥し、2−クロロ−4−シクロヘキシルアセトアニリドを得る(m.p. 110−112℃)。
【0123】
濃HClとエタノールの1:1混合物中の、還流温度で12時間の加水分解により、2−クロロ−4−シクロヘキシルアニリンを得る。
【0124】
G. 2−クロロ−4−シクロプロピルアニリン
2−クロロ−4−ヨードアニリン(12.65g)および無水フタル酸(7.4g)を30mLのジメチルホルムアミドに溶解する。溶液を還流温度で16時間加熱する。反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、塩水で洗浄して沈殿を得、それを濾取し、水およびジエチルエーテルで洗浄して、N−(2−クロロ−4−ヨードフェニル)フタルイミドを白色固体として得る。
【0125】
上記ヨウ化物をシクロプロピルブロミドおよびInClと、J Am Chem Soc, Vol. 123, p. 4155(2001)に概説された方法にしたがい反応させ、N−(2−クロロ−4−シクロプロピルフェニル)フタルイミドを得る。
【0126】
上記フタルイミド(3.9g)の80mLのメタノール溶液を1.9mLの無水ヒドラジンで処理する。反応混合物を1.5時間還流し、次いで室温に冷却し、真空でペーストまで濃縮する。このペーストをジエチルエーテルで希釈し、濾過する。濾液を真空で濃縮して2−クロロ−4−シクロプロピルアニリンを粘性油状物として得る。
【0127】
同様に製造するのは、例えば、2−クロロ−6−フルオロ−4−ヨードアニリンからの2−クロロ−6−フルオロ−4−シクロプロピルアニリンおよび2−フルオロ−4−ヨードアニリンからの2−フルオロ−4−シクロプロピルアニリンである。
【0128】
H. 1−クロロ−2−アミノナフタレン
2−ナフチルアミン(1.43g、10mmol)およびトリエチルアミン(1.11g、11mmol)の10mLのCHCl溶液を0℃に窒素雰囲気下冷却する。この溶液に、アセチルクロライド(0.86g、11mmol)の10mLのCHCl溶液を滴下する。混合物を室温に暖め、一晩撹拌する。混合物を真空で濃縮し、次いで1N HClを残渣に添加し、混合物をpH4にする。混合物を3回20mLのEtOAcで抽出し、合わせた有機層を各20mLのHO、飽和水性NaHCOおよび飽和塩水で洗浄する。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を真空で除去して2−アセチルアミノナフタレンを固体として得、それをさらに精製することなく使用する。NaClO(0.33g、30mmol)の0.77mLのHO溶液を、1.0gの2−アセチルアミノナフタレンの5mLの濃HClおよび6mLのHOAcの混合物に0℃で滴下する。混合物を室温に暖め、窒素雰囲気下一晩撹拌する。混合物を20gの氷に注ぎ、3回20mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を各20mLの水、飽和水性重炭酸ナトリウムおよび飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。混合物を濾過し、溶媒を真空で除去して油状物を得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CHCl)で精製し、1−クロロ−2−アセチルアミノナフタレンを固体として得る。0.17g(0.77mmol)の1−クロロ−2−アセチルアミノナフタレンの3.9mLの6N HCl中の混合物を85℃まで加熱し、8時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、固体NaCOを注意深く添加して混合物のpHを8とする。混合物を3回20mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を15mLの飽和塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を真空で除去して1−クロロ−2アミノナフタレンを固体として得る。
【0129】
I. 6−クロロ−5−アミノインダン
5−アミノインダン(8.6g、64.6mmol)およびトリエチルアミン(1.11g、11mmol)の50mLの1,4−ジオキサン溶液を、窒素雰囲気下0℃に冷却する。この溶液に、無水酢酸(15.6g、139mmol)を滴下する。混合物を室温に暖め、一晩撹拌する。混合物を200gの氷に注ぎ、1時間撹拌する。沈殿を濾取し、HOで洗浄し、真空で乾燥して5−アセチルアミドインダンを得る。生成物を33.1mLのHOAcおよび26.9mLの濃HClに溶解し、混合物を窒素雰囲気下、室温で撹拌する。NaClO(3.51g、32.8mmol)の水性溶液をゆっくり滴下し、混合物を一晩撹拌する。混合物を200gの氷に注ぎ、1時間撹拌し、濾過し、生成物を真空で乾燥して6−クロロ−5−アセチルアミノインダンを得る。2.6g(12.4mmol)のこの固体の70mLの濃HCl中の混合物を6時間、窒素雰囲気下加熱還流する。混合物を0℃に冷却し、濾過する。固体を氷で洗浄し、濾液を固体NaHCOを注意深く添加することによりpH8に調節する。混合物を4回50mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を50mLの飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を真空で除去して6−クロロ−5−アミノインダンを得る。
【0130】
J. 6−メチル−5−アミノインダン
7.18g(54mmol)の5−アミノインダンおよび10.9g(108mmol)のトリエチルアミンの40mLのCHCl溶液を5℃に冷却する。無水酢酸(7.63g、81mmol)を注意深く滴下する。反応物を室温に暖め、一晩撹拌する。反応物を次いで1N HClに注ぎ、それを酸性化し、次いでEtOAcで抽出する。有機層を真空で蒸発する。トルエンを残渣に添加し、混合物を真空で蒸発して5−アセチルアミノインダンを得、それをさらに精製することなく使用した。5−アセチルアミノインダン(8.8g)を、26mLのHOAcおよび126mLの無水酢酸の溶液に溶解し、0℃に冷却する。硝酸(8.3mL)を注意深く溶液に滴下し、発熱反応の温度を制御する。混合物をさらに30分撹拌し、氷に注ぎ、濾過する。固体を水で洗浄し、真空オーブンで一晩乾燥して5−アセチルアミノ−6−ニトロインダンを得、それを精製することなく使用する。この固体の230mLの6N HCl中の混合物を4時間加熱還流する。混合物をNaCO(152g)の1000mLのHO溶液で中和する。固体を濾過し、真空オーブンで一晩乾燥して5−アミノ−6−ニトロインダンを得る。
【0131】
5−アミノ−6−ニトロインダン(4g)を10mLのMeOH、30mLのHOおよび20mLのHSOに溶解し、0℃に冷却する。1.72gのNaNO(24.9mmol)の5mLのHO溶液を滴下し、その反応の温度を8℃以下に保つ。混合物を30分撹拌する。この混合物を次いでCuBr(1.8g、12.5mmol)および6mLの48%HBrの30mLのHO溶液に滴下し、それを60℃に加熱する。反応物を冷却し、HOおよびEtOAcに添加する。有機層を分離し、溶媒を真空で蒸発して残渣を得、それをシリカゲルクロマトグラフィー(75%ヘキサン/EtOAc)で精製して5−ブロモ−6−ニトロインダンを得る。このインダン(2.59g、12.2mmol)、4.88g(27.2mmol)のテトラメチルスズ、0.1gのPd(OAc)(0.45mmol)、0.3g(o−tol)P(0.98mmol)、7mLのEtNおよび7mLのDMFの混合物を、密封試験管中、65℃で3日間加熱する。混合物を1N HClで酸性化し、EtOAcで抽出する。有機層を飽和塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を真空で蒸発して残渣を得、それをカラムクロマトグラフィー(80%ヘキサン/EtOAc)で精製して、5−メチル−6−ニトロインダンを得る。90℃に加熱した1.3mLのHOAcおよび7.3mLのHOの混合物に、2.22gのFeを添加する。混合物をガス発生が静まるまで加熱する。1.9gの5−メチル−6−ニトロインダン(10.7mmol)の50mLのEtOH溶液を滴下し、反応物を30分加熱還流する。混合物を2回CHClで抽出する。合わせた有機層を飽和塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を真空で蒸発して残渣を得、それをカラムクロマトグラフィー(75%ヘキサン EtOAc)で精製して、6−メチル−5−アミノインダン(別名5−メチル−6−アミノインダン)を得る。
【0132】
K. 4−シクロプロピル−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン
4−ブロモ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンを、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンから、NBSのDMF溶液を、国際出願WO94/18179に記載の方法にしたがい処理することにより製造する。
【0133】
2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン(28.8g、161mmol)をDMF(100mL)に溶解する。NBS(28.6g、161mmol)のDMF(100mL)溶液を室温で滴下する。3時間後、反応物をEtOで希釈し、塩水で洗浄する。分離した有機相を乾燥し(NaSO)、濃縮して4−ブロモ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンを油状物として得る。
【0134】
4−シクロプロピル−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンを、4−ブロモ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンから、Tetrahedron Letters, Vol. 43, p. 6987(2002)に概説された方法と同様にして、シクロプロピルボロン酸へのパラジウム−触媒カップリングにより製造する。
【0135】
4−ブロモ−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリン(5.0g、19.4mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.16g、25.2mmol)、KPO(14.4g、67.8mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.54g、1.9mmol)をトルエン(80mL)および水(4mL)に溶解する。溶液をNで脱気し、90℃に加熱し、Pd(OAc)(0.22g、1.0mmol)を添加する。反応物を90℃で5時間加熱し、冷却し、EtOで希釈し、濾過し、塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、4−シクロプロピル−2−フルオロ−3−トリフルオロメチルアニリンを得る。
【0136】
同様に製造するのは、4−シクロプロピル−2−フルオロ−5−トリフルオロメチルアニリンおよび4−シクロプロピル−2,6−ジフルオロアニリンである。
【0137】
L. 4−シクロプロピル−3,5−ジフルオロ−2−クロロアニリン
3,5−ジフルオロアニリン(10.0g、77.5mmol)をDMF(100mL)に溶解する。NBS(13.9g、78.0mmol)を室温で徐々に添加する。一晩室温で撹拌後、反応混合物をEtOで希釈し、塩水で洗浄する。分離した有機相を乾燥し(NaSO)、濃縮して油状物を得、それをカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン)で精製して4−ブロモ−3,5−ジフルオロアニリンを得る。
【0138】
4−ブロモ−3,5−ジフルオロアニリン(10.5g、50.5mmol)をDMF(100mL)に溶解する。NCS(28.6g、50.5mmol)を室温で徐々に添加する。48時間後、反応物をEtOで希釈し、塩水で洗浄する。分離した有機相を乾燥し(NaSO)、濃縮して油状物を得る。残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して4−ブロモ−2−クロロ−3,5−ジフルオロアニリンを得る。
【0139】
4−ブロモ−2−クロロ−3,5−ジフルオロアニリン(5.35g、22.0mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.20g、24.0mmol)、KPO(16g、78mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.623g、2.24mmol)のトルエン(30mL)および水(8mL)中の混合物をNで脱気し、100℃に加熱する。Pd(OAc)(0.25g、1.16mmol)を添加する。反応混合物を100℃で一晩加熱し、冷却し、直接シリカゲルカラムにかける。残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、4−シクロプロピル−3,5−ジフルオロ−2−クロロアニリンを得る。
【0140】
M. 2−クロロ−4−シクロプロピル−5−メチル−6−フルオロアニリン
2−クロロ−5−メチル−6−フルオロ安息香酸(43g、0.25mol)をCHCl(500mL)に懸濁し、塩化チオニル(36mL、0.49mol)を滴下することにより処理し、その直後に数滴(0.1mL)のDMFを添加する。混合物を還流温度に加熱し、12時間撹拌し、その間に、固体が完全に溶解し、透明な溶液が得られる。室温に冷却後、ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、トルエン(500mL)を添加する。溶液を再びロータリーエバポレーターで濃縮して残った塩化チオニルを除去する。得られた明黄色油状物を綿栓を通して濾過し、CHCl(1000mL)に溶解する。有機層を塩水で洗浄し(500mL)、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。得られた白色固体をヘキサン/EtO(4:1、500mL)とトリチュレートし、回収して2−クロロ−5−メチル−6−フルオロベンズアミドを白色固体として得る(m.p. 151−153℃)。
【0141】
ナトリウムメトキシドの溶液を、金属ナトリウム(29g、1.26mol)を1000mLの無水メタノールで、それを不活性雰囲気下滴下することにより処理して産生する。金属が完全に消費された後、溶液を還流温度で30分加熱し、次いで室温に冷却する。2−クロロ−5−メチル−6−フルオロベンズアミド(42g、0.22mol)を添加し、撹拌をさらに30分、室温で続ける。N−ブロモスクシンイミド(78g、0.44mol)を次いで、粉末添加漏斗を介してゆっくり添加する。反応混合物を60℃で3時間暖め、その間に、泡が観察される。反応混合物を室温に冷却し、ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をEtOAc(1000mL)と水(1000mL)に分配する。有機層を分離し、水(500mL)および次いで塩水(2×500mL)で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物を次いでフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、4:1 ヘキサン/EtOAcで溶出して、N−(2−クロロ−5−メチル−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸メチルエステルを白色固体として得る(m.p. 109−112℃)。
【0142】
N−(2−クロロ−5−メチル−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸メチルエステル(39g、0.18mmol)をMeOH(150mL)、水(150mL)および30%NaOH溶液(150mL)に溶解する。反応混合物を還流温度で3日間加熱し、次いで室温に冷却する。反応物をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどのメタノールを除去し、次いでEtO(500mL)と水(500mL)に分配する。水性相を再びEtO(250mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(500mL)で洗浄し、乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をバルブ−トゥー−バルブ(bulb-to-bulb)蒸留で精製して2−クロロ−5−メチル−6−フルオロアニリンを無色油状物として得(〜20mmHgでb.p. 120−131℃)、それは4℃で貯蔵すると白色結晶性固体を形成する。
【0143】
2−クロロ−5−メチル−6−フルオロアニリン(23g、0.14mol)およびN−ブロモスクシンイミド(25g、0.14mol)を、撹拌しながら200mLの無水DMFに溶解する。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、ほとんどのDMFを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去する。暗褐色残渣を1:1 EtO/ヘキサン(500mL)と水(500mL)に分配する。有機層を塩水(5×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(20%CHCl/ヘキサン)を使用して精製し、次いでさらにバルブ−トゥー−バルブ(〜20mmHgでb.p. 155−165℃)蒸留により精製して2−クロロ−4−ブロモ−5−メチル−6−フルオロアニリンを桃色固体として得、それを氷冷ヘキサンから再結晶する(m.p. 67−71℃)。
【0144】
2−クロロ−4−ブロモ−5−メチル−6−フルオロアニリン(6.5g、27mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.8g、33mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.4g、1.3mmol)、リン酸カリウム(20.2g、95mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.77g、2.7mmol)を合わせ、200mLの4:1 DME/水溶液中で撹拌する。混合物を真空と陽圧窒素の交互の繰り返しの適用により脱気する(10回)。混合物を還流温度で2日間加熱し、次いで室温に冷却する。DMEのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残った混合物をEtO(250mL)と水(250mL)に分配する。有機相を塩水(3×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(8%CHCl/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−4−シクロプロピル−5−メチル−6−フルオロアニリンを黄褐色油状物として得る。
【0145】
N. 2−クロロ−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリン
方法は、Tetrahedron Lett, Vol. 37, p. 6551(1996)に記載の方法の改変である。
リチウムジイソプロピルアミドの溶液を、n−BuLi(THF中2M溶液360mL)を、ジイソプロピルアミン(73g、0.722mol)の500mLの無水THF溶液に、−60℃の反応温度を、ドライアイス・アセトン浴で冷却して維持しながら添加することにより産生する。30分撹拌後、1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(75g、0.36mol)を添加し、撹拌を−70℃で2時間続ける。冷溶液を次いで不活性雰囲気下、カニューレを介して固体CO(100g、過剰)の無水EtO溶液に移す。混合物を撹拌しながら室温に暖め、次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残った固体を1N HCl溶液でpH=3.0になるまで処理し、混合物を濾過する。得られた白色固体を1000mLの2N HCl溶液に懸濁し、さらに1時間撹拌する。懸濁液を濾過して白色固体を集め、それを空気乾燥し、100mLのヘキサンに懸濁し、回収して2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロ安息香酸を得る。
【0146】
2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロ安息香酸(91g、0.36mol)をCHCl(200mL)に懸濁し、塩化オキサリル(51g、0.40mol)で、それを滴下することにより処理し、その直後数滴(0.1mL)のDMFを添加する。混合物を室温で3時間撹拌し、その間に、固体が完全に溶解し、透明な溶液が得られる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を0℃で撹拌しながら1000mLの水酸化アンモニウムに添加する。生成物を濾過により回収し、水で洗浄して2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロベンズアミドを白色固体として得る。
【0147】
ナトリウムメトキシドの溶液を、金属ナトリウム(18g、0.78mol)を、1000mLの無水メタノールで、それを不活性雰囲気下滴下することにより処理して産生する。
【0148】
金属が完全に消費された後、溶液を還流温度で30分加熱し、次いで室温に冷却する。2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロベンズアミド(65g、0.26mol)を添加し、撹拌をさらに30分、室温で続ける。N−ブロモスクシンイミド(92g、0.52mol)を次いで粉末添加漏斗を介して添加する。反応混合物を60℃で30分暖め、その間に、泡が観察される。反応混合物を室温に冷却し、ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をEtOAc(1000mL)と水(1000mL)に分配する。有機層を分離し、水(5×500mL)、次いで塩水(2×500mL)で洗浄する。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮してN−(2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸メチルエステルを明黄色固体として得る(m.p. 107−112℃)。
【0149】
N−(2−クロロ−5−ブロモ−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸エステルメチルエステル(8.65g、30.6mmol)、シクロプロピルボロン酸(3.16g、36.7mmol)、リン酸カリウム(22.8g、107mmol)、酢酸パラジウム(343mg、1.53mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(858mg、3.06mmol)を合わせ、トルエン(350mL)および水(75mL)から成る2相溶液中で撹拌する。混合物を真空と陽圧窒素の交互の繰り返しの適用により脱気する(10回)。混合物を95℃で4日間加熱し、次いで室温に冷却する。反応混合物をEtOAc(500mL)と水(500mL)に分配する。有機相を水(2×250mL)、塩水(500mL)で洗浄し、次いで乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(7−14%EtOAc/ヘキサン)を使用して精製する。適当なフラクションの蒸発後、生成物をさらにEtO(100mL)中の溶液を炭で処理し、続いてセライトを通して濾過し、蒸発することにより精製する。N−(2−クロロ−5−シクロプロピル−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸メチルエステルを白色結晶性固体として得る(m.p. 100−102℃)。
【0150】
N−(2−クロロ−5−シクロプロピル−6−フルオロフェニル)−カルバミン酸メチルエステル(2.3g、9.4mmol)をMeOH(50mL)、水(50mL)および30%NaOH溶液(50mL)に溶解する。反応混合物を還流温度で3日間加熱し、次いで室温に冷却する。反応物をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどのメタノールを除去し、次いでEtO(250mL)と水(250mL)に分配する。水性相を再びEtO(150mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(250mL)で洗浄し、乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をバルブ−トゥー−バルブ蒸留により精製する。2−クロロ−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリンを無色油状物として単離する(〜20mmHgでb.p. 120−135℃)。
【0151】
O. 2−クロロ−4−メチル−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリン
2−クロロ−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリン(9.4g、50.6mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(9.4g、52.8mmol)を、撹拌しながら100mLの無水DMFに溶解する。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、ほとんどのDMFを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去する。残渣を1:1 EtO/ヘキサン(500mL)と水(500mL)に分配する。有機層を塩水(3×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(7%CHCl/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−4−ブロモ−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリンを明オレンジ色油状物として得る。
【0152】
2−クロロ−4−ブロモ−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリン(14.0g、53mmol)、トリメチルボロキシン(trimethylboroxine)(THF中50%溶液13.4g、53mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.5g、2.2mmol)および炭酸カリウム(14.0g、101mmol)を合わせ、250mLの4:1 DME/水溶液中で撹拌する。混合物を真空と陽圧窒素の交互の繰り返しの適用により脱気する(10回)。混合物を還流温度で2日間加熱し、次いで室温に冷却する。DMEのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残った混合物をEtO(500mL)と水(500mL)に分配する。有機相を塩水(3×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(5%CHCl/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−4−メチル−5−シクロプロピル−6−フルオロアニリンを明黄色油状物として得る。
【0153】
P. 2−フルオロ−4−クロロ−6−シクロプロピルアニリン
6−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロアニリン(2.0g、8.91mmol)、シクロプロピルボロン酸(1.53g、17.8mmol)、KPO(6.61g、31.2mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.249g、0.89mmol)をトルエン(31mL)および水(10mL)に溶解する。溶液をNで脱気し、90℃に加熱し、Pd(OAc)(0.25g、1.16mmol)を添加する。反応混合物を100℃で18時間加熱し、48時間にわたり冷却し、カラムクロマトグラフィーによる精製のために直接シリカゲルカラム(EtOAc/ヘキサン)にかけ、2−フルオロ−4−クロロ−6−シクロプロピルアニリンを得る。
【0154】
Q. 2−クロロ−4−シクロプロピル−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリン
1,4−ジブロモ−2,5−ジフルオロベンゼン(100g、0.37mol)を濃硫酸(200g)に溶解し、発煙硝酸(56g、0.44mol、HNO含量>90%)を、内部温度が50−60℃に維持されるように滴下することにより処理する。添加が完了した後、混合物を室温に冷却し、12時間撹拌し、次いで氷水(1000mL)に注ぐ。懸濁液をEtOAc(3×500mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロニトロベンゼンを油状黄色固体として得る。
【0155】
2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロニトロベンゼン(120g、0.37mol)をエタノール(300mL)および濃HCl(500mL)の混合物に溶解する。混合物を80℃に加熱し、鉄粉末(100g、1.78mol)で、それを2時間にわたり少しずつ添加することにより処理する。さらに1時間撹拌後、混合物を室温に冷却し、EtOAc(800mL)を添加する。固体を濾過により除去し、次いで溶液をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどの溶媒を除去する。残渣をEtOAc(1000mL)と水(500mL)に分配する。有機層を塩水(2×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して褐色油状物を得る。粗生成物を次いでフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)を使用して精製し、2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロアニリンを得る。
【0156】
2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロアニリン(50g、0.17mol)を氷酢酸(100mL)に溶解し、室温で撹拌し、無水酢酸(50g、0.49mol)で処理する。反応混合物が暖かくなり、次いでその後3時間にわたり室温に冷却する。混合物をEtOAc(500mL)に注ぎ、水(2×300mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×300mL)および次いで塩水(2×300mL)で抽出する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をヘキサンおよびEtO(2:1)の混合物とトリチュレートして、2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロアセトアニリドを黄褐色固体として得る。
【0157】
塩化銅(I)(13.2g、0.13mol)および塩化銅(II)(18.0g、0.13mol)を無水DMF(150mL)中、20分撹拌する。2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロアセトアニリド(44g、0.13mol)を添加し、混合物を80℃で4時間撹拌し、その後温度を100℃に上げ、16時間撹拌する。室温に冷却後、ほとんどのDMFを、高真空下のロータリーエバポレーターにより除去し、残渣をEtOAc(500mL)と水(500mL)に分配する。有機層を塩水(5×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(4:1、ヘキサン/EtOAc)を使用して精製し、2−クロロ−5−ブロモ−3,6−ジフルオロアセトアニリドを白色固体として得る(m.p. 164−168℃)。
【0158】
2−クロロ−5−ブロモ−3,6−ジフルオロアセトアニリド(10g、35mmol)、トリメチルボロキシン(THF中50%溶液8.8g、35mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.8g、0.7mmol)および炭酸カリウム(8.6g、62mmol)を合わせ、120mLの5:1 DME/水溶液の混合物中で撹拌する。混合物を真空と陽圧窒素の交互の繰り返しの適用により脱気する(10回)。混合物を還流温度で2日間加熱し、次いで室温に冷却する。DMEのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残った混合物をEtOAc(250mL)と水(250mL)に分配する。有機相を塩水(3×150mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−5−メチル−3,6−ジフルオロアセトアニリドを白色固体として得る。
【0159】
2−クロロ−5−メチル−3,6−ジフルオロアセトアニリド(6.2g、28mmol)をEtOH(50mL)および濃HCl(50mL)の混合物中で撹拌し、還流温度で12時間加熱する。室温に冷却後、ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を1N NaOH溶液(500mL)で処理し、EtO(3×150mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水(2×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/EtOAc)を使用して精製し、2−クロロ−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリンを得る。
【0160】
2−クロロ−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリン(5.0g、28mmol)の無水メタノール(25mL)溶液を臭素元素(5.0g、3.1mmol)で室温で処理する。12時間撹拌後、ほとんどの溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をEtOAc(250mL)と水(250mL)に分配する。有機相を塩水(150mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(7%EtOAc/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−4−ブロモ−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリンを黄褐色固体として得る。
【0161】
2−クロロ−4−ブロモ−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリン(7.0g、27mmol)シクロプロピルボロン酸(3.5g、41mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.67g、3.0mmol)、リン酸カリウム(17.5g、82mmol)およびトリシクロヘキシルホスフィン(0.83g、3.0mmol)を100mLの4:1 トルエン/水に溶解する。混合物を真空と陽圧窒素の交互の繰り返しの適用により脱気する(10回)。混合物を95℃で2日間加熱し、次いで室温に冷却する。トルエンのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残った混合物をEtOAc(250mL)と水(250mL)に分配する。有機相を塩水(3×250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサン)を使用して精製し、2−クロロ−4−シクロプロピル−5−メチル−3,6−ジフルオロアニリンを黄褐色油状物として得る。
【0162】
R. 1−クロロ−3−フルオロ−2−アミノナフタレン
0℃に冷却した3−アミノ−2−ナフトエ酸(3.74g、20mmol)および48%フルオロホウ酸(2.07g、30mmol)の10mLのHO溶液に、NaNO(2.07g、30mmol)の15mLのHO溶液を滴下する。混合物を0℃で1時間撹拌する。混合物を濾過し、固体を冷HO、次いでMeOH、次いでEtOで洗浄する。残った固体を真空で、40℃で2日間乾燥する。固体をキシレンに懸濁し、8時間加熱還流し、次いで室温に冷却する。混合物にヘキサンを添加する。固体を濾過し、CHClで洗浄し、乾燥して3−フルオロ−2−ナフトエ酸を褐色固体として得る。この固体および80mLの1,4−ジオキサンの混合物を、DPPA(4.5mL、20.9mmol)に添加する。次いで3.88mL(27.9mmol)のEtNを添加し、混合物を2時間、室温で窒素雰囲気下撹拌する。エタノール(8.1mL、139mmol)を添加し、混合物を2時間加熱還流し、真空で濃縮し、残渣を200mLのEtOAcで希釈する。溶液を5%水性NaCO(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固して固体を得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%CHCl)で精製し、N−(3−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを得る。
【0163】
50℃に加熱したN−(3−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(0.91g、3.9mmol)の10mLのHOAc溶液に、0.3mL(3.9mmol)のSOCl溶液を滴下する。混合物を1.5時間、60℃で撹拌し、次いで20g氷に注ぐ。混合物を4回、30mLのCHClで抽出し、合わせた有機層を飽和水性NaHCO(50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固してN−(1−クロロ−3−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを褐色固体として得る。この固体および3.14g(74.7mmol)のLiOH・HOの30mLの30%EtOH/HO中の混合物を、還流温度に加熱し、一晩撹拌する。溶媒を真空で蒸発し、残渣を3回、30mL CHClで抽出する。合わせた有機層を、3回、20mL 飽和水性塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固して1−クロロ−3−フルオロ−2−アミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0164】
S. 3−クロロ−2−アミノナフタレン
35mLの濃HSOが入ったフラスコに、3.31g NaNO(47.9mmol)を、ゆっくり15分にわたり添加する。混合物をさらに15分撹拌し、その後冷水浴で室温に冷却する。8.14g 3−アミノ−2−ナフトエ酸(43.5mmol)の65mL HOAc溶液をゆっくり滴下し、反応温度を40℃以下に保つ。混合物を30分撹拌し、次いで注意深く、10.14g CuCl(102.2mmol)の65mLの濃HCl氷冷溶液に注ぐ。混合物を80℃に加熱し、30分撹拌し、その後200mLのHOを添加する。さらに15分撹拌後、混合物を濾過し、HOで洗浄し、灰色固体を得る。固体を500mLのCHClに溶解し、溶液を2回100mL 飽和水性塩水で洗浄し、NaSOで乾燥する。溶媒の蒸発により固体を得、それを真空で乾燥して3−クロロ−2−ナフトエ酸を褐色固体として得る。
【0165】
1.70gの3−クロロ−2−ナフトエ酸(8.23mmol)の50mLの1,4−ジオキサン溶液に、2.3mLのトリエチルアミン(16.45mmol)、続いて2.7mLのDPPA(12.34mmol)を添加する。混合物を2時間、室温で窒素雰囲気下撹拌する。次いで4.8mL(82.3mmol)のEtOHを添加し、反応物を還流温度に加熱し、さらに2時間撹拌する。溶媒を真空で蒸発し、残った残渣を50mLのEtOAcに溶解し、20mLの5%水性クエン酸、20mLの5%NaCOで洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発して残渣を得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50%CHCl/ヘキサン)で精製し、N−(3−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを黄色油状物として得る。
【0166】
2.94g(11.77mmol)のN−(3−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル、7.93g(141.2mmol)KOHの80mLのEtOH中の混合物を、7時間、窒素雰囲気下、還流温度に加熱する。室温に冷却後、溶媒を真空で蒸発して残渣を得、それに氷を添加する。混合物を3回、30mLのCHClで抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を蒸発して3−クロロ−2−アミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0167】
T. 1,3−ジクロロ−2−アミノナフタレン
50℃に加熱した0.48g(2.7mmol)の3−クロロ−2−アミノナフタレンの2mLのHOAc溶液に、0.8mL(2.7mmol)のSOCl溶液を添加する。混合物を60℃で1時間撹拌し、次いで15gの氷に注ぐ。混合物を飽和水性NaHCOでpH4に調節し、3回、20mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を2回飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を蒸発して1,3−ジクロロ−2−アミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0168】
U. 1−フルオロ−2−アミノナフタレン
3.05g(21.3mmol)の2−アミノナフタレンおよび3.56mL(25.6mmol)のトリエチルアミンの100mLのCHCl溶液を0℃に冷却し、1.59mL(22.4mmol)のアセチルクロライドを滴下する。反応物を室温に暖め、窒素雰囲気下で4時間撹拌する。混合物を100mLのCHClで希釈し、各50mLの1N HCl、HO、飽和水性NaHCOおよび塩水で洗浄する。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発して2−アセチルアミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0169】
1.95g(10mmol)の2−アセチルアミノナフタレン、7.1g(20mmol)の1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(Selectfluor(登録商標))の30mLのCHCN中の混合物を窒素雰囲気下、24時間加熱還流する。室温に冷却後、50mLのEtOAcを添加し、混合物をHOで洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒の蒸発によりシロップを得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)で精製し、1−フルオロ−2−アセチルアミノナフタレンを得る。
【0170】
1.31g(6.43mmol)の1−フルオロ−2−アセチルアミノナフタレンの15mLの6N HClおよび15mLのEtOH中の混合物を、窒素雰囲気下、3時間加熱還流し、次いで室温に冷却する。反応物を飽和水性NaHCOで中和し、3回、30mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を2回、20mL 飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を蒸発して1−フルオロ−2−アミノナフタレンを得る。
【0171】
V. 1−フルオロ−3−クロロ−2−アミノナフタレン
2.50g(10mmol)のN−(3−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルおよび7.1gのSelectfluor(登録商標)(20mmol)の30mLのCHCN中の混合物を、窒素雰囲気下、16時間加熱還流する。室温に冷却後、固体を濾過し、溶媒を蒸発して残渣を得、それを200mLのEtOAcで希釈する。混合物を3回、50mLのHOで、1回50mLの飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒の蒸発により残渣を得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(100%CHCl)で精製し、N−(1−フルオロ−3−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを得る。
【0172】
1.43g(5.34mmol)のN−(1−フルオロ−3−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル、4.48g(106.8mmol)LiOH・HOの30mLのEtOHおよび70mLのHO中の混合物を、16時間、窒素雰囲気下加熱還流する。室温に冷却後、混合物を真空で濃縮して残渣を得、それを3回、30mL CHClで抽出する。合わせた有機層を30mLの飽和水性NaHCO、30mLの飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を蒸発して1−フルオロ−3−クロロ−2−アミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0173】
W. 1,3−ジフルオロ−2−アミノナフタレン
1.63g(7mmol)のN−(3−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル、2.73gのSelectfluor(登録商標)(7.7mmol)の10mLのトリフルオロ酢酸中の混合物を、70℃で窒素雰囲気下、4時間加熱する。室温に冷却後、混合物を真空で濃縮し、30mLの氷水を添加する。混合物を3回、40mLのCHClで抽出する。合わせた有機層を各40mLのHO、飽和水性NaHCO、飽和塩水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒の蒸発により残渣を得、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50%CHCl/ヘキサン)で精製し、N−(1,3−ジフルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを得、それを上記の条件下で加水分解して1,3−ジフルオロ−2−アミノナフタレンを得る。
【0174】
X. 1−クロロ−7−トリフルオロメチル−2−アミノナフタレン
加熱還流している2,7−ジニトロナフタレン(500mg、2.29mmol)のメタノール(5mL)溶液に、15分にわたり、水硫化ナトリウム(196mg、3.44mmol)のメタノール(5mL)および水(10mL)中の溶液を添加する。反応混合物を30分加熱還流し、次いで氷水に注ぎ、濾過してオレンジ色固体を得る。固体を沸騰している10%水性HClで洗浄後、濾液を固体NaOHで塩基性化し、EtOAcで抽出する。有機層を乾燥(NaSO)し、溶媒を蒸発して7−ニトロ−2−アミノナフタレンを明オレンジ色固体として得る。
【0175】
7−ニトロ−2−アミノナフタレン(260mg、1.38mmol)の濃HCl(10mL)中の懸濁液を0℃に冷却する。亜硝酸ナトリウム(105mg、1.53mmol)を少しずつ添加し、反応物を0℃で30分撹拌する。ヨウ化物(175mg、253.8mmol)およびヨウ化カリウム(459mg、2.76mmol)の水(5mL)溶液を滴下する。0℃で1時間撹拌後、固体を濾過して除去する。固体をEtOAcに溶解し、メタ重亜硫酸ナトリウム溶液、水および塩水で洗浄する。有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を蒸発して2−ヨード−7−ニトロナフタレンをオレンジ色固体として得る。
【0176】
2−ヨード−7−ニトロナフタレン(1g、3.34mmol)、トリフルオロメチルヨウ化物(0.328mL、4.01mmol)および銅粉末(2.55g、40.1mmol)のピリジン(20mL)中の混合物を、密封試験管中、120℃で20時間加熱する。冷却後、反応混合物を濾過し、EtOAcで抽出する。有機抽出物を水、0.1M クエン酸溶液で洗浄し、乾燥する(NaSO)。濃縮し、残った油状物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/EtOAc)で精製して、2−ニトロ−7−トリフルオロメチルナフタレンを黄色固体として得る。
【0177】
2−ニトロ−7−トリフルオロメチルナフタレン(650mg、2.7mmol)およびラネイ・ニッケル(65mg)のメタノール(10mL)中の混合物をH(1気圧)下、1時間撹拌する。触媒の濾過および溶媒の蒸発により7−トリフルオロメチル−2−アミノナフタレンを黄色固体として得る。
【0178】
7−トリフルオロメチル−2−アミノナフタレン(550mg、2.60mmol)およびトリエチルアミン(1.09mL、7.81mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、室温でアセチルクロライド(0.222mL、3.13mmol)を滴下する。室温で1.5時間撹拌後、混合物をジクロロメタンと水に分配する。有機層を0.1M クエン酸溶液、塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して7−トリフルオロメチル−2−アセトアミドナフタレンを明黄色固体として得る。
【0179】
7−トリフルオロメチル−2−アセトアミドナフタレン(620mg、2.45mmol)、N−クロロスクシンイミド(326mg、2.45mmol)および1M HClの酢酸(2.45mL、2.45mmol)溶液の、酢酸(10mL)中の混合物を50℃でN雰囲気下、1時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して1−クロロ−7−トリフルオロメチル−2−アセトアミドナフタレンを、オフホワイト色固体として得る。
【0180】
1−クロロ−7−トリフルオロメチル−2−アセトアミドナフタレン(700mg、2.43mmol)、水(3mL)および濃硫酸(3mL)のエタノール(6mL)中の混合物をN雰囲気下、1時間還流温度に加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcで抽出する。抽出物を水、塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮する。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)により、1−クロロ−7−トリフルオロメチル−2−アミノナフタレンを白色固体として得る。
【0181】
Y. 1−クロロ−6−メトキシ−2−アミノナフタレン
室温の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(5g、26.6mmol)およびトリエチルアミン(7.39mL、53.1mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)中の懸濁液に、DPPA(8.59mL、39.9mmol)を添加する。室温で2.5時間撹拌後、エタノール(15.5mL、266mmol)を添加し、反応物を還流温度で一晩加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して油状物を得る。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5%メタノール)により、N−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを白色固体として得る。
【0182】
室温のN−(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(1g、4.32mmol)およびトリエチルアミン(1.80mL、13mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、アセチルクロライド(0.369mL、5.19mmol)を滴下する。室温で3時間撹拌後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、N−(6−アセチルオキシ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを白色固体として得る。
【0183】
N−(6−アセチルオキシ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(670mg、2.45mmol)、N−クロロスクシンイミド(326mg、2.45mmol)および1M HClの酢酸(2.45mL、2.45mmol)溶液の酢酸(10mL)中の混合物を、50℃で、N雰囲気下、1時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮してN−(6−アセチルオキシ−1−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを白色固体として得る。
【0184】
N−(6−アセチルオキシ−1−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(375mg、1.34mmol)およびKOH(903mg、16.1mmol)のエタノール(10mL)中の混合物を、N雰囲気下、還流温度で4.5時間加熱する。反応混合物をロータリーエバポレーターで高真空下で濃縮する。残った油状物をEtOAcと水に分配する。酸性化(2N HCl)後、有機層を分離し、塩水で洗浄し、乾燥する(MgSO)。ロータリーエバポレーターによる濃縮により、1−クロロ−2−アミノ−6−ナフトールを褐色固体として得る。
【0185】
1−クロロ−2−アミノ−6−ナフトール(250mg、1.29mmol)、ベンズアルデヒド(0.144mL、1.42mmol)およびNaSOのTHF(10mL)中の混合物を還流温度で一晩加熱する。室温に冷却後、反応混合物を濾過し、EtOAcで洗浄し、ロータリーエバポレーターで濃縮して褐色残渣を得、それを直接次段階に使用する。
【0186】
上記残渣(360mg、1.28mmol)、NaOH(102mg、2.56mmol)およびメチルヨウ化物(0.159mL、2.56mmol)のアセトン(10mL)中の混合物を室温で2時間撹拌する。濃縮後、得られた粗生成物を次段階に使用する。
【0187】
上記粗生成物(378mg、1.28mmol)のTHF(10mL)溶液を2N HCl(20mL)で処理する。室温で一晩撹拌後、反応混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、1−クロロ−6−メトキシ−2−アミノナフタレンを得る。
【0188】
Z. 1−クロロ−6−フルオロ−2−アミノナフタレン
6−アミノ−2−ナフトエ酸(1g、5.34mmol)のエタノール(20mL)溶液に、塩化チオニル(0.622mL、10.7mmol)を滴下する。得られる反応溶液を、N雰囲気下、還流温度で3時間加熱する。濃縮およびメタノールとのトリチュレーションにより、6−アミノ−2−ナフトエ酸エチルエステルを褐色油状物として得る。
【0189】
6−アミノ−2−ナフトエ酸エチルエステル(500mg、2.32mmol)およびニトロソニウムテトラフルオロボレート(298mg、2.56mmol)の1,2−ジクロロベンゼン(10mL)の溶液を、室温で12時間および110℃で1時間撹拌する。室温に冷却後、反応混合物をロータリーエバポレーターで高真空下で濃縮する。残った油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)で精製し、6−フルオロ−2−ナフトエ酸エチルエステルを黄色油状物として得る。
【0190】
室温の6−フルオロ−2−ナフトエ酸エチルエステル(600mg、2.75mmol)のエタノール(10mL)溶液に、1N NaOH(2.75mL、2.75mmol)を添加する。室温で4時間撹拌後、水(10mL)を添加する。酸性化(2N HCl)および濾過により6−フルオロ−2−ナフトエ酸を白色固体として得る。
【0191】
室温の6−フルオロ−2−ナフトエ酸(450mg、2.37mmol)およびトリエチルアミン(0.66mL、4.73mmol)の1,4−ジオキサン(30mL)中の懸濁液に、DPPA(0.77mL、3.55mmol)を添加する。室温で2.5時間撹拌後、エタノール(1.38mL、23.7mmol)を添加し、反応物を還流温度で12時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して油状物を得る。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)により、N−(6−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを油状物として得る。
【0192】
N−(6−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(548mg、2.35mmol)、N−クロロスクシンイミド(313mg、2.35mmol)および1M HClの酢酸(2.35mL、2.35mmol)溶液の、酢酸(20mL)中の混合物を50℃で、N雰囲気下、1時間加熱する。室温に冷却後、水(10mL)を添加する。得られる沈殿を濾過し、除去して、N−(1−クロロ−6−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを黄色固体として得る。
【0193】
N−(1−クロロ−6−フルオロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(600mg、2.24mmol)およびKOH(1.51g、26.9mmol)のエタノール(20mL)中の混合物を、N雰囲気下、還流温度で12時間加熱する。冷却後、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮する。残った油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、1−クロロ−6−フルオロ−2−アミノナフタレンを褐色固体として得る。
【0194】
AA. 1,6−ジクロロ−2−アミノナフタレン
亜硝酸ナトリウム(811mg、11.8mmol)を、15分にわたり、濃硫酸(10mL)に撹拌しながら添加する。混合物を70℃で15分加熱する。室温に冷却後、6−アミノ−2−ナフトエ酸(2g、10.7mmol)の酢酸(10mL)溶液を、40℃以下の温度を保つような速度で滴下する。40℃でさらに30分撹拌後、反応混合物を氷冷した塩化銅(I)(2.54g、25.6mmol)の濃HCl(30mL)溶液に注ぐ。80℃で30分撹拌後、水(80mL)を添加する。沈殿を回収し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中5%メタノール)で精製し、6−クロロ−2−ナフトエ酸を褐色固体として得る。
【0195】
室温の6−クロロ−2−ナフトエ酸(1g、4.84mmol)およびトリエチルアミン(1.35mL、9.68mmol)の1,4−ジオキサン(20mL)中の懸濁液に、DPPA(1.56mL、7.26mmol)を添加する。室温で2.5時間撹拌後、エタノール(2.82mL、48.4mmol)を添加し、反応物を還流温度で12時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAcと水に分配する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して油状物を得る。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)により、N−(6−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを白色固体として得る。
【0196】
N−(6−クロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(725mg、2.90mmol)、N−クロロスクシンイミド(387mg、2.90mmol)および1M HClの酢酸(2.90mL、2.90mmol)溶液の、酢酸(20mL)中の混合物を50℃で、N雰囲気下、1時間加熱する。室温に冷却後、水(10mL)を添加し、EtOAcで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮してN−(1,6−ジクロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステルを黄色固体として得る。
【0197】
N−(1,6−ジクロロ−2−ナフチル)カルバミン酸エチルエステル(750mg、2.64mmol)およびKOH(1.78mg、31.7mmol)のエタノール(20mL)中の混合物を、N雰囲気下、還流温度で12時間加熱する。室温に冷却後、水(10mL)を添加する。得られる沈殿を濾過して除去して、1,6−ジクロロ−2−アミノナフタレンを固体として得る。
【0198】
BB. 1−クロロ−7−フルオロ−2−アミノナフタレン
混合物7−ニトロ−2−アミノナフタレン(1g、5.31mmol)およびニトロソニウムテトラフルオロボレート(931mg、7.97mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を室温で12時間および110℃で1時間撹拌する。室温に冷却後、反応混合物をロータリーエバポレーターで高真空下で濃縮する。残った油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/EtOAc)で精製し、7−フルオロ−2−ニトロナフタレンを暗赤色固体として得る。
【0199】
7−フルオロ−2−ニトロナフタレンを1−クロロ−7−フルオロ−2−アミノナフタレンに、1−クロロ−7−トリフルオロメチル−2−アミノナフタレンの製造に関して記載のステップと同様に変換する。
【0200】
CC. 4−アミノキノリン
(a)4−アミノ−7−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン
7−クロロ−2−トリフルオロメチル−4−キノリノール(4g、16.2mmol)のオキシ塩化リン(7.55mL、81mmol)中の混合物を還流温度で3時間加熱する。室温に冷却後、氷(200g)を添加し、混合物をNaHCOで中和し、EtOAcで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる黄褐色残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中1%エーテル)で精製し、4,7−ジクロロ−2−トリフルオロメチルキノリンを固体として得る。
【0201】
4,7−ジクロロ−2−トリフルオロメチルキノリン(2g、7.52mmol)のジオキサン(10mL)溶液およびNH(2mL)を−78℃で密封試験管中で混合する。密封し、室温に暖めた後、反応物を60−70℃で19時間および120℃で3時間暖める。密封試験管を−78℃に冷却し、その後それを開封して内容物をロータリーエバポレーターで濃縮する。4−アミノ−7−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリンを、残渣のエーテルとのトリチュレーションにより固体として得る。
【0202】
(b)4−アミノ−2,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリン
4−アミノ−2,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリンを、4−クロロ−2,7−ビス(トリフルオロメチル)キノリンから、アンモニアのメタノール溶液を使用して同様に製造し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製(ヘキサン中10%EtOAc)する。
【0203】
(c)4−アミノ−7−フルオロキノリン
4−アミノ−7−フルオロキノリンを4−クロロ−7−フルオロキノリンから同様に製造する。
【0204】
(d)4−アミノ−6−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン
4−クロロ−6−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン(1g、4.01mmol)およびNH(3mL)のエチレングリコール(20mL)中の混合物を、−78℃で密封試験管中、製造する。室温に暖めた後、密封試験管を徐々に100℃まで一晩加熱する。−78℃に冷却後、密封試験管を開封し、内容物をロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(1:3 EtOAc/ヘキサン)で精製し、4−アミノ−6−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)キノリンを明黄色固体として得る。
【0205】
実施例2
2−(ヨードまたはブロモ)−フェニル酢酸エステルおよびフェニルアセトアミド出発物質
A. 対応する安息香酸または2−インドリノンから出発して、例えば、J Med Chem, Vol. 33, pp. 2358-2368(1990)、米国特許6,291,523および国際出願WO99/11605にしたがい製造するのは、以下のものである:
N,N−ジメチル−5−メチル−2−ヨードフェニルアセトアミド;
N,N−ジメチル−5−エチル−2−ヨードフェニルアセトアミド;
N,N−ジメチル−2−ヨードフェニルアセトアミド;
N,N−ジメチル−5−クロロ−2−ヨードフェニルアセトアミド;および
N,N−ジメチル−5−フルオロ−2−ヨードフェニルアセトアミド。
【0206】
B. N,N−ジメチル−2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニルアセトアミド
メチルヨウ化物(13g、91.5mmol)を、2−ブロモ−5−ヨード安息香酸(23g、70.4mmol)およびKCO(14.6g、106mmol)のDMF(50mL)中のスラリーに室温で添加する。TLCにより出発物質の完全な消費が示された後、反応物をEtOで希釈し、3回、NaClの飽和水性溶液で洗浄する。合わせた水性層を1回新鮮なEtOおよび1回EtOAcで抽出する。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、油状物に濃縮する。油状物を最小量のEtOで希釈し、シリカ栓を通して濾過する。シリカを20%エーテル/ヘキサン混合物で洗浄する。溶離剤を真空で濃縮して2−ブロモ−5−ヨード安息香酸メチルエステルを固体として得る。
【0207】
上記ヨウ化物とシクロプロピルブロミドおよびInClの、J. Am. Chem. Soc. (2001)、前掲、に概説の方法にしたがった反応により、2−ブロモ−5−シクロプロピル安息香酸メチルエステルを固体として得る。
【0208】
2−ブロモ−5−シクロプロピル安息香酸メチルエステル(1.82g)のTHF(31mL)溶液に、9mLのTHF中のLAHの1.0M溶液をシリンジを介して添加する。2時間、室温の後、反応を2N NaOHでクエンチし、酢酸エチルと水に分配する。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮して対応するベンジルアルコールを固体として得る。
【0209】
上記ベンジルアルコール(28g)のエーテル(600mL)溶液に、PBr(23mL)をピペットにより添加し、反応物を一晩室温で撹拌する。反応を冷HOをゆっくり添加することによりクエンチする。有機相を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮して、臭化ベンジルを黄色油状物として得る。
【0210】
上記臭化ベンジル(13.2g)のDMF(150mL)溶液に、KCN(5.85g)の水(50mL)溶液を添加する。反応物を50℃で90分加熱し、冷却し、EtOAcと水に分配する。EtOAc層を分離し、3回塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空で濃縮して2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニルアセトニトリルを明黄色油状物として得る。
【0211】
上記ニトリル(12g)のEtOH(400mL)溶液に、NaOH(36.6g)および水(200mL)を添加する。反応物を2時間還流し、室温に冷却する。エタノールを減圧下で除去した後、残渣を0℃に冷却し、3N HClでpH1−2に酸性化する。フェニル酢酸を酢酸エチルに抽出し、水性層を廃棄する。有機相を塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮して2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニル酢酸を得る。
【0212】
上記酸(23.1g)をCHClに溶解する。N,N−ジメチルアミン塩酸塩(7.75g)、182mLのDMF中のHOAtの0.5M溶液、NMM(60mL)およびEDCl(35g)を添加する。反応物を一晩撹拌し、重炭酸ナトリウム溶液および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥する。塩化メチレンを減圧下で除去し、残渣をエーテルで希釈した後、シリカゲル栓を通して濾過する。真空でのエーテルの除去により、N,N−ジメチル−2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニルアセトアミドを得る。
【0213】
C. N,N−ジメチル−5−ブロモ−2−ヨードフェニルアセトアミド
5−ブロモ−2−ヨード安息香酸(100g、0.306mol)をTHF(350mL)に溶解し、氷浴で冷却する。ボラン−THF錯体(THF中1Mで460mL、0.460mol)を滴下する。添加が完了した後、反応物を室温に暖め、14時間撹拌する。混合物を大きなエレンマイヤーフラスコ(4L)に移し、氷浴で冷却し、水(250mL)で注意深くクエンチする。THFのロータリーエバポレーターでの蒸発により、白色懸濁液を得、それをさらなる水(1L)で処理し、次いで濾過し、Pの真空デシケーターで乾燥して、5−ブロモ−2−ヨードベンジルアルコールを得る。
【0214】
上記ベンジルアルコールを48%HBr(500mL)に溶解し、還流温度で4時間加熱する。得られる臭化ベンジルを、冷却した混合物を大容量(1.5L)の水に注ぎ、次いで濾過することにより黄色固体として単離する。臭化ベンジルをEtOH(400mL)に溶解し、室温で撹拌する。シアン化ナトリウム(56g、1.14mol)を最小量(〜100mL)の水に溶解し、次いで臭化ベンジルのエタノール性溶液に添加する。反応物を還流温度で3時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールをロータリーエバポレーターで除去し、残渣を大容量(1L)の水で洗浄する。得られる5−ブロモ−2−ヨードフェニルアセトニトリルを濾過により単離する。
【0215】
上記フェニルアセトニトリルをEtOH(350mL)に溶解し、水(200mL)に溶解しているNaOH(32g、0.8mol)で処理する。反応物を還流温度で14時間加熱する。室温に冷却後、エタノールをロータリーエバポレーターで除去し、6N HClをpH=1まで添加する。形成された固体5−ブロモ−2−ヨードフェニル酢酸を濾過し、水(2×500mL)で洗浄する。真空デシケーター中のPでの乾燥後、5−ブロモ−2−ヨードフェニル酢酸(m.p. 165−169℃)(102g、0.3mol)を、数滴のDMFを含むCHCl(450mL)に溶解する。塩化チオニル(32mL、0.450mol)を添加し、反応物を還流温度で一晩加熱する。室温に冷却後、反応混合物をさらなるCHCl(500mL)で希釈し、水(2×250mL)、飽和NaHCO(250mL)および塩水(250mL)で洗浄する。溶液を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して5−ブロモ−2−ヨードフェニルアセチルクロライドを黄色がかった油状物として得る。
【0216】
ジメチルアミン(THF中2Mの200mL)を、上記5−ブロモ−2−ヨードフェニルアセチルクロライドのEtO(500mL)溶液に滴下し、氷浴で冷却する。添加が完了した後、EtOAc(350mL)を添加し、溶液を水(350mL)、塩水(250mL)で洗浄し、乾燥する(MgSO)。ロータリーエバポレーターでの蒸発および1:1 EtO/ヘキサンとのトリチュレーションにより、N,N−ジメチル−5−ブロモ−2−ヨードフェニルアセトアミドを得る(m.p. 127−129℃)。
【0217】
D. N,N−ジメチル−5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセトアミド
5−メトキシ−2−ブロモ安息香酸(85g、0.37mol)を無水THF(100mL)に溶解し、氷塩浴中で温度が−5℃になるまで冷却する。ボラン−THF錯体をTHF中の1.0M溶液(736mL、0.74mol)として、−5℃で滴下する。添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に暖め、12時間撹拌する。水(40mL)をゆっくり滴下し、反応混合物を30分撹拌する。さらなる水(350mL)を添加し、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどのTHFを除去する。残った物質をEtOAc(800mL)で抽出する。有機層を飽和NaHCO(500mL)、塩水(250mL)で洗浄し、次いで乾燥する(NaSO)。溶媒のロータリーエバポレーターでの除去により、5−メトキシ−2−ブロモベンジルアルコールを白色固体として得る。
【0218】
5−メトキシ−2−ブロモベンジルアルコール(79.5g、0.37mol)を48%HBr(400mL)に溶解し、還流温度で4時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、水(1500mL)に注ぐ。溶液をEtOAc(2×500mL)で抽出する。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗物質を次いでフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/ヘキサン、1:1から4:1まで)を使用して精製し、5−メトキシ−2−ブロモ臭化ベンジルを得る。
【0219】
5−メトキシ−2−ブロモ臭化ベンジル(72.8g、0.26mol)をEtOH(280mL)に溶解し、室温で撹拌する。シアン化ナトリウム(38.2g、0.78mol)を水に溶解し、ブロミドの溶液に添加する。反応混合物を還流温度で3時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターで除去する。固体が形成し、それを濾過により単離し、水(500mL)で洗浄する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/ヘキサン、1:1)を使用して精製し、5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセトニトリルを得る(53g)。
【0220】
5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセトニトリル(52.8g、0.23mol)をエタノール(250mL)に溶解し、室温で撹拌する。水酸化ナトリウム(9.3g、0.47mol)を水(150mL)に溶解し、ニトリルの溶液に添加する。混合物を還流温度で12時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターを使用して除去し、残った水性溶液を3N HClでpH4に調節する。形成した固体を濾過により単離し、水で洗浄する。空気乾燥により5−メトキシ−2−ブロモフェニル酢酸を得る。
【0221】
5−メトキシ−2−ブロモフェニル酢酸(56g、0.23mol)をCHCl(350mL)に溶解し、触媒量のDMFを添加し、溶液を撹拌し、0℃に冷却する。塩化チオニル(41mL、0.34mol)を滴下する。反応混合物を還流温度で一晩加熱し、次いで室温に冷却する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。2回ベンゼン(500mL)を残った油状物に添加し、ベンゼン溶液をロータリーエバポレーターにより蒸発して任意のさらなる揮発性成分を除去する。残った油状物をヘキサンから結晶化して5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセチルクロライドを得る。
【0222】
5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセチルクロライド(60g、0.23mol)を無水EtO(400mL)に溶解し、撹拌し、氷浴で冷却する。ジメチルアミン(228mL、0.46mol)の2M溶液を滴下し、混合物を室温に暖め、2時間撹拌する。さらなるEtO(500mL)を添加する。有機溶液を1N HCl(2×500mL)、飽和NaHCO(500mL)および塩水(500mL)で洗浄する。有機層を乾燥し(NaSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、7:3から1:9まで)を使用して精製する。粗生成物のEtO/ヘキサンとのトリチュレーションにより、N,N−ジメチル−5−メトキシ−2−ブロモフェニルアセトアミドを白色結晶性固体として得る(m.p. 88−90℃)。
【0223】
E. N,N−ジメチル−2−ヨード−5−トリフルオロメトキシフェニルアセトアミド
4−トリフルオロメトキシアニリン(100g、0.58mol)、ジ−tert−ブチルカーボネート(127g、0.58mol)および1N NaOH溶液(250mL)をTHF(200mL)に溶解し、室温で12時間撹拌する。反応混合物をEtOAc(500mL)で抽出する。有機層を1N HCl(500mL)、塩水(250mL)で洗浄し、乾燥する(MgSO)。溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、N−BOC−4−トリフルオロメトキシアニリンを得る。
【0224】
上記BOC−保護されたアニリン(144g、0.52mol)を無水THF(800mL)に溶解し、ドライアイス/EtOH浴で冷却し、撹拌する。t−ブチルリチウム(ヘキサン中1.7M溶液の672mL)をゆっくり滴下する。反応混合物を−30℃で3時間暖め、アリールリチウムを形成させる。固体CO(過剰、約100g)を反応混合物に添加し、撹拌を−30℃でさらに2時間続ける。反応を最初に飽和塩化アンモニウム(250mL)および次いで1N HCl溶液(500mL)を添加することによりクエンチする。混合物をEtOAc(2×500mL)で抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターを使用して濃縮する。残渣をヘキサンとトリチュレートし、2−(BOC−アミノ)−5−トリフルオロメトキシ安息香酸を白色固体として得、それを濾過により単離する。
【0225】
上記安息香酸(120g、0.37mol)を1,4−ジオキサン(200mL)に懸濁、撹拌し、溶解するまで80℃で暖める。溶液を室温に冷却し、塩化水素を反応混合物に30分バブリングする。撹拌を2時間続け、その間に、沈殿が形成する。沈殿を回収し、氷冷水(1000mL)およびEtO(500mL)で洗浄し、5−トリフルオロメトキシアントラニル酸を固体として得る。
【0226】
上記5−トリフルオロメトキシアントラニル酸(68.8g、0.31mol)を濃HCl(50mL)および水(300mL)の混合物に懸濁し、0℃に冷却し、撹拌する。水(50mL)に溶解した亜硝酸ナトリウム(24.2g、0.35mol)を、ゆっくり、反応混合物の温度が5℃以下となるように注意しながら添加する。撹拌を0℃で30分続ける。ヨウ化カリウム(91g、0.55mol)を濃HSO(19mL)および水(130mL)の混合物に溶解し、反応混合物に反応混合物の温度を10℃以下に保ちながら添加する。混合物を次いで100℃に加熱し、2時間撹拌する。室温に冷却後、混合物をEtOAc(1000mL)と飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)に分配する。有機層を再び飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)および次いで塩水(500mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して5−トリフルオロメトキシ−2−ヨード安息香酸を得る。
【0227】
5−トリフルオロメトキシ−2−ヨード安息香酸を、N,N−ジメチル−2−ヨード−5−トリフルオロメトキシフェニルアセトアミドに、先に記載の方法に準じて変換する。
【0228】
F. イソプロピル5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニルアセテート
4−アミノベンゾトリフルオリド(100g、0.62mol)およびジ−tert−ブチルカーボネート(150g、0.69mol)の無水THF(400mL)中の混合物を還流温度で6時間加熱し、次いで室温に冷却する。溶媒のほとんどをロータリーエバポレーターを使用して除去し、残った非揮発性物質を水(1000mL)とトリチュレートし、固体を形成する。固体を濾過により単離し、さらなる水(500mL)で洗浄し、次いでヘキサン(500mL)で洗浄して4−(BOC−アミノ)ベンゾトリフルオリドを得る(m.p. 123−124℃)。
【0229】
4−(BOC−アミノ)ベンゾトリフルオリド(143g、0.55mol)を無水THF(800mL)に溶解し、ドライアイス/エタノール浴で冷却する。tert−ブチルリチウム(1.7Mの709mL)のペンタン溶液を次いでゆっくり滴下漏斗を介して添加する。添加が完了した後、反応混合物を−30℃に暖め、その温度で2時間撹拌する。反応混合物を−78℃に冷却し、過剰(100g)のドライアイスを添加する。反応混合物を再び−30℃に暖め、撹拌を、−30℃で2時間、次いで室温で一晩続ける。反応を飽和水性塩化アンモニウム(500mL)の添加によりクエンチする。混合物を1N HCl(500mL)とEtOAc(500mL)に分配する。有機層を塩水(400mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して粗生成物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(10:1 ヘキサン/メタノール)で精製し、4−(BOC−アミノ)−5−トリフルオロメチル安息香酸を得る(m.p. 197−198℃)。
【0230】
上記で得た2−(BOC−アミノ)−5−トリフルオロメチル安息香酸(120g)を無水エタノール(200mL)に溶解し、3N HCl(80mL)で処理する。反応混合物を還流温度で3時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残った溶液のpHを2N NaOH溶液でpH7に調節する。混合物をEtOAc(500mL)で抽出し、有機層を塩水(250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をヘキサンとのトリチュレーションにより精製し、濾過して5−トリフルオロメチルアントラニル酸を得る(m.p. 191−192℃)。
【0231】
5−トリフルオロメチルアントラニル酸(43g、0.21mol)を濃HCl(40mL)および水(240mL)の混合物に懸濁し、0℃に冷却し、撹拌する。亜硝酸ナトリウム(18g、0.26mol)を水(50mL)に溶解し、反応混合物の温度が5℃以下となるように注意しながら添加する。撹拌を0℃で30分続ける。ヨウ化カリウム(65g、0.39mol)を濃HSO(15mL)および水(100mL)の混合物に溶解し、溶液を反応混合物に、温度を10℃以下に保ちながら滴下する。混合物を次いで100℃に暖め、2時間加熱する。室温に冷却後、混合物をEtOAc(750mL)と飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)に分配する。有機層を再び飽和重亜硫酸ナトリウム溶液(500mL)、次いで塩水(500mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して5−トリフルオロメチル−2−ヨード安息香酸を得る(m.p. 171−172℃)。
【0232】
5−トリフルオロメチル−2−ヨード安息香酸(50g、158mmol)を無水THF(200mL)に溶解し、氷塩浴中で温度が−5℃になるまで冷却する。ボラン−THF錯体をTHF中の1.0M溶液(350mL、350mmol)として、−5℃で滴下する。添加が完了した後、反応混合物をゆっくり室温に暖め、12時間撹拌する。水(40mL)を注意深く添加し(泡立つ)、反応混合物を30分撹拌する。さらなる水(350mL)を添加し、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮してほとんどのTHFを除去する。さらなる水(250mL)を添加して沈殿を形成し、それを濾過により単離して5−トリフルオロメチル−2−ヨードベンジルアルコールを得る(m.p. 81−82℃)。
【0233】
5−トリフルオロメチル−2−ヨードベンジルアルコール(45g、0.15mol)を無水EtO(400mL)に溶解し、三臭化リン(41mL、0.15mol)で、それを滴下することにより処理する。反応混合物を室温で一晩撹拌し、水(150mL)をゆっくり添加することによりクエンチする。有機層を分離し、飽和水性NaHCO(250mL)、塩水(250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで濃縮して5−トリフルオロメチル−2−ヨード臭化ベンジルを油状物として得る。
【0234】
5−トリフルオロメチル−2−ヨード臭化ベンジル(55g、0.15mol)のEtOH(200mL)溶液を室温で撹拌し、シアン化ナトリウム(16g、0.33mol)の水(60mL)溶液を添加する。反応混合物を還流温度で3時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターで除去し、残渣をEtOAc(500mL)と水(200mL)に分配する。有機層を塩水(250mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:9 EtOAc/ヘキサン)を使用して精製し、5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニルアセトニトリルを固体として得る。
【0235】
5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニルアセトニトリル(30g、96mmol)のエタノール(100mL)溶液を室温で撹拌する。水(60mL)に溶解した水酸化ナトリウム(7.7g、192mmol)を添加する。混合物を還流温度で12時間加熱し、次いで室温に冷却する。エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターを使用して除去し、残った水性溶液を、3N HClでpH4に調節する。形成した固体を濾過により単離し、水(250mL)、次いでヘキサン(500mL)で洗浄する。空気乾燥により5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニル酢酸を得る。
【0236】
5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニル酢酸(30g、91mmol)を2−プロパノール(250mL)に溶解し、触媒量(4滴)の濃HSOを添加し、溶液を撹拌し、還流温度で12時間加熱する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(1:4 EtOAc/ヘキサン)を使用して精製し、イソプロピル5−トリフルオロメチル−2−ヨードフェニルアセテートを油状物として得る。
【0237】
実施例3
(a)(i)N,N−ジメチル−2−(2',3',5',6'−テトラフルオロ−4'−フェニルアニリノ)フェニルアセトアミド
N,N−ジメチル−2−ヨードフェニルアセトアミド(2.0g、6.9mmol)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−フェニルアニリン(3.3g、13.8mmol)、銅粉末(219mg、3.4mmol)、ヨウ化銅(I)(646mg、3.4mmol)および無水炭酸カリウム(1.0g、6.9mmol)を150mLのキシレン中で一緒に撹拌する。反応物を還流温度で48時間加熱する。まだわずかに暖かい(40℃)間に、褐色懸濁液をセライトを通して濾過しそれを続いてトルエン(250mL)で濯ぐ。濾液をロータリーエバポレーターで蒸発し、次いでシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(10−20%EtOAc/ヘキサン)により、表題生成物を得る。
【0238】
(a)(ii)N,N−ジメチル−5−シクロプロピル−2−[2'−フルオロ−4'−(4−フルオロフェニル)アニリノ]フェニルアセトアミド
N,N−ジメチル−2−ブロモ−5−シクロプロピルフェニルアセトアミド(1.0g)、2−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)アニリン(1.5g)、KCO(490mg)、KI(590mg)、Cu(113mg)、CuI(337mg)のキシレン(10mL)中の混合物を48時間加熱還流する。冷却後、反応物をシリカゲルを通して濾過し、濾液を濃縮して褐色油状物を得る。油状物を、10%、次いで20%、次いで30%、次いで40%EtOAcのヘキサン溶液を使用したフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題生成物を泡状物として得る。
【0239】
同様に製造されるのは、以下の式を有する化合物である。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0240】
実施例4
(a)(i)2−(2',3',5',6'−テトラフルオロ−4'−フェニルアニリノ)フェニル酢酸
【化16】

N,N−ジメチル−2−(2',3',5',6'−テトラフルオロ−4'−フェニルアニリノ)フェニルアセトアミド(2.7g、6.7mmol)およびNaOH(3.0g、72mmol)のEtOH(100mL)および水(20mL)中の混合物を還流温度で14時間加熱する。室温に冷却後、エタノールのほとんどをロータリーエバポレーターで除去する。氷水(250mL)および氷冷EtO(250mL)を添加し、有機相を分離し、氷冷1N HCl(200mL)および次いで塩水(100mL)で洗浄する。有機溶液を乾燥し(MgSO)、ロータリーエバポレーターで50℃を超えないように注意しながら蒸発する。表題化合物を、残渣のヘキサンとのトリチュレーションにより得る(m.p. 180−181℃)。
【0241】
(a)(ii)5−シクロプロピル−2−[2'−フルオロ−4'−(4−フルオロフェニル)アニリノ]フェニル酢酸
N,N−ジメチル−5−シクロプロピル−2−[2'−フルオロ−4'−(4−フルオロフェニル)アニリノ]フェニルアセトアミド(575mg)の10mLの4N NaOHおよび20mLのEtOHの溶液を、一晩、80℃で加熱する。冷却後、EtOHを減圧下で除去し、残渣をEtOAcおよび冷水で希釈する。混合物を氷浴で冷却し、冷2.5N HClを水性層のpHが2に到達するまで添加する。有機相を分離し、塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮して褐色固体を得る。固体を、10%、次いで20%、次いで30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出する、フラッシュクロマトグラフィーで精製し表題生成物を得る、m.p. 182−183℃。
【0242】
同様に製造されるのは、以下の式を有する化合物である。
【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【0243】
実施例5
カルボキシメチル2−(6−クロロ−5−インダニルアミノ)フェニルアセテート
米国特許5,291,523に記載の方法に準じて、2−(6−クロロ−5−インダニルアミノ)フェニル酢酸をナトリウム塩に変換し、ベンジル2−ブロモアセテートと反応させてベンジルオキシカルボニルメチル2−(6−クロロ−5−インダニルアミノ)フェニルアセテートを得、それをカルボキシメチル2−(6−クロロ−5−インダニルアミノ)フェニルアセテートに水素化分解する、m.p. 97−100℃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Rは水素、低級アルキル、(C−C)シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルまたはシアノであり;そして
Aはビアリール、所望により置換されているβ−ナフチル、二環式ヘテロ環式アリール、(C−C)シクロアルキル−単環式炭素環式アリール、または(CまたはC)シクロアルカン縮合−単環式炭素環式アリールである。但し、二環式ヘテロ環式アリールが所望により置換されているキノリニルであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項2】
Aが所望により置換されているβ−ナフチル、所望により置換されているキノリニル、所望により置換されているイソキノリニル、所望により置換されている5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、所望により置換されているインダニル、所望により置換されているビフェニリル、所望により置換されている(C−C)シクロアルキル−フェニルまたは所望により置換されている単環式ヘテロアリール−フェニルである(但し、Aが所望により置換されているキノリニルであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。)
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(II)
【化2】

〔式中、
Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、フルオロ、クロロ、(CまたはC)アルキルまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、フルオロ、クロロ、(CまたはC)アルキルまたはトリフルオロメチルであり;
は所望により置換されているフェニルまたは(C−C)シクロアルキルであり;
は水素、ハロ、低級アルキルまたはトリフルオロメチルであり;そして
はハロ、低級アルキルまたはトリフルオロメチルである。〕
の化合物である、請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項4】
Rが水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、クロロ、フルオロ、シクロプロピル、シアノ、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルであり;
、R、RおよびRが独立して、水素、フルオロまたはクロロであり;そして
が(C−C)シクロアルキル、フェニル、または低級アルキル、フルオロ、クロロ、低級アルコキシもしくは(CまたはC)アルキレンジオキシでモノ−または独立してポリ−置換されたフェニルである;
請求項3記載の式(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項5】
式(III)
【化3】

〔式中、
Rは水素、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルであり;
は水素、クロロ、フルオロまたは(CまたはC)アルキルであり;
は水素またはフルオロであり;
はシクロプロピル、シクロヘキシル、フェニルまたは、クロロ、フルオロ、低級アルコキシ、低級アルキルもしくは低級アルキレンジオキシで置換されたフェニルであり;
は水素、(CまたはC)アルキル、トリフルオロメチルまたはフルオロであり;そして
はフルオロ、クロロまたは(CまたはC)アルキルである。〕
の化合物である、請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項6】
Rが(CまたはC)アルキル、シクロプロピル、クロロまたはフルオロであり;
がクロロまたはフルオロであり;
が水素またはフルオロであり;
がシクロプロピルであり;
が水素、メチルまたはフルオロであり;そして
がフルオロである;
請求項5記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項7】
Rが水素、低級アルキル、(C−C)シクロアルキル、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノまたはトリフルオロメチルであり;そして
Aが基(a)および(b)
【化4】

〔基(a)において、
nは1または2であり;そして
−Rは独立して水素、低級アルキルまたはハロであり;そして
基(b)において、
−R12は独立して水素、低級アルキルまたはハロであり;そして
XおよびYはCHであるか、またはXとYの一方がNであり、他方がCHである(但し、XがNであり、YがCHであるとき、Rは5位に位置し、かつRは水素ではない。)。〕
から選択される、請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;または薬学的に許容されるそのエステル。
【請求項8】
式(Ia)
【化5】

〔式中、
RおよびAは請求項1で定義した意味を有する。〕
の化合物である、請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
有効量の請求項1記載の化合物を、1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
哺乳類におけるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)依存性疾患を処置する方法であり、それを必要とする哺乳類に有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項11】
哺乳類において、シクロオキシゲナーゼ−1活性を実質的に阻害することなく、COX−2活性を選択的に阻害する方法であり、それを必要とする哺乳類に、有効なCOX−2阻害量の請求項1記載の化合物を投与する方法。
【請求項12】
哺乳類におけるリウマチ性関節炎、骨関節症、月経困難症、疼痛、腫瘍または炎症を処置する方法であり、それを必要とする哺乳類に、対応する有効量の請求項1記載の化合物を投与する方法。
【請求項13】
請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であり:
a)式(IV)または(IVa)
【化6】

〔式中、
Zはヨードまたはブロモであり;
Rは請求項1で定義した意味を有し;
は水素、アルカリ金属カチオンまたは低級アルキル、好ましくはイソプロピルであり;そして
13およびR14は低級アルキルであるか;またはR13およびR14は、窒素原子と一緒になってピペリジノ、ピロリジノまたはモルホリノである。〕
の化合物と、式(V)
【化7】

〔式中、
Aは請求項1で定義した意味を有する〕
の化合物を銅およびヨウ化第一銅の存在下カップリングさせて、式(VI)または(VIa)
【化8】

の化合物を得て、得られた式(VI)または(VIa)の化合物を加水分解して式(I)の化合物を得るか;または
(b)式(IX)
【化9】

〔式中、
RおよびAは請求項1で定義した意味を有する。〕
のラクタムを、強塩基で加水分解し;そして
上記工程において、必要であれば、干渉する任意の反応基を一時的に保護し、次いで得られた本発明の化合物を単離し;そして、必要であれば、任意の得られた化合物を他の本発明の化合物に変換し;そして/または、必要であれば、本発明の遊離カルボン酸を、その薬学的に許容されるエステル誘導体に変換し;そして/または、必要であれば、得られた遊離酸を塩に、または得られた塩を遊離酸もしくは他の塩に変換する
ことを含む、方法。

【公開番号】特開2010−159287(P2010−159287A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85010(P2010−85010)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【分割の表示】特願2004−554464(P2004−554464)の分割
【原出願日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】