説明

置換キナゾリン誘導体およびチロシンキナーゼインヒビターとしてのそれらの使用

【課題】がんや多嚢胞性腎疾患などの腎臓病を治療するためのチロシンキナーゼインヒビターの提供。
【解決手段】式(1)


[式中、Xは、C3-7シクロアルキル、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環等を表し、R、RおよびRは水素原子等を表し、Rはモルホリノ基含有残基等を表し、Zは、酸素原子等を表す。]で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ある種のキナゾリン化合物およびその医薬上許容される塩に関する。本発明化合物は、ある種の増殖因子受容体タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の作用を阻害し、それにより、ある種の細胞の異常増殖を阻害する。本発明化合物は、それゆえ、これらPTKの脱調節(deregulation)の結果として生じるある種の疾患の治療に有用である。本発明化合物は抗がん剤であり、哺乳動物のがんの治療に有用である。さらに、本発明化合物は哺乳動物の多嚢胞性腎疾患の治療に有用である。本発明は、また、該キナゾリンの製造、がんや多嚢胞性腎疾患の治療のためのそれらの使用、およびそれらを含有する医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
タンパク質チロシンキナーゼは、ATPからタンパク質基質に存在するチロシン残基へのリン酸基の転移を触媒する一種の酵素である。タンパク質チロシンキナーゼは、明らかに、正常な細胞増殖においてある役割を果たしている。増殖因子受容体タンパク質の多くはチロシンキナーゼとして機能し、それらがシグナル化を行うのは、この過程による。これらの受容体と増殖因子の相互作用は、細胞増殖の正常な調節において必要な事象である。しかし、ある種の条件下では、突然変異または過剰発現のいずれかの結果として、これらの受容体が脱調節されることがあり、その結果は無制御の細胞増殖であり、これは腫瘍増殖、そして最終的にはがんとして公知の疾患をもたらし得る[ウィルクス,エイ・エフ(Wilks, A.F.)、アドヴァンスド・キャンサー・リサーチ(Adv. Cancer Res.),60,43(1993)およびパーソンズ,ジェイ・ティー(Parsons, J.T.)、パーソンズ,エス・ジェイ(Parsons, S.J.)、インポータント・アドヴァンシズ・イン・オンコロジー(Important Advances in Oncology)、デヴィタ,ヴィー・ティー(DeVita, V.T.)編、リッピンコット社(J.B. Lippincott Co.)、フィラデルフィア、3(1993)]。同定されていて、本発明化合物の標的である増殖因子受容体キナーゼおよびそれらのがん原遺伝子の中には、上皮増殖因子受容体キナーゼ(EGF-Rキナーゼ、erbBがん遺伝子のタンパク質産物)、およびerbB-2(neuまたはHER2とも呼ばれる)がん遺伝子により産生される産物が存在する。リン酸化事象は、細胞分割が起こるのに必要なシグナルであるので、また、過剰発現または突然変異キナーゼががんに関連しているので、この事象の阻害剤、すなわちタンパク質チロシンキナーゼインヒビターは、無制御または異常な細胞増殖により特徴付けられるがんおよび他の疾患の処置として治療的価値を有する。例えば、erbB-2がん遺伝子の受容体キナーゼ産物の過剰発現は、ヒトの乳がんや卵巣がんに関連している[スラモン,ディー・ジェイ(Slamon, D.J.)ら、サイエンス(Science),244,707(1989)およびサイエンス(Science),235,1146(1987)]。EGF-Rキナーゼの脱調節は、類表皮腫[レイス,エム(Reiss, M.)ら、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),51,6254(1991)]、乳房部腫瘍[マシアス,エイ(Macias, A.)ら、アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Res.),7,459(1987)]、および他の主要な臓器に関する腫瘍[ガリック,ダブリュー・ジェイ(Gullick, W.J.)、ブリティッシュ・メディカル・ブレティン(Brit. Med. Bull.),47,87(1991)]に関連している。脱調節された受容体キナーゼががんの発病に重要な役割を果たしているので、多くの最近の研究は可能性のある抗がん治療薬としての特異的なPTKインヒビターの開発を取り扱っている[いくつかの最近の論評:バーク,ティー・アール(Burke, T.R.)、ドラッグズ・フューチャー(Drugs Future),17,119(1992)およびチャン,シー・ジェイ(Chang, C.J.)、ゲーレン,アール・エル(Geahlen, R.L.)、ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.),55,1529(1992)]。
【0003】
また、EGF受容体の脱調節およびこれら受容体の異常な位置が多嚢胞性腎疾患として報告される疾患における上皮嚢胞の増殖の因子であることも知られている[デュー,ジェイ(Du, J.)、ウィルソン,ピー・ディー(Wilson, P.D.)、アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Amer. J. Physiol.),269(2Pt1),487(1995);ノータ,ジェイ(Nauta, J.)ら、ピーディアトリック・リサーチ(Pediatric Research),37(6),755(1995);ガットーン,ヴィ・エイチ(Gattone, V.H.)ら、ディベロップメンタル・バイオロジー(Developmental Biology),169(2),504(1995);ウィルソン,ピー・ディー(Wilson, P.D.)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(Eur. J. Cell Biol.),61(1),131(1993)]。本発明化合物は、EGF受容体の触媒機能を阻害するが、その結果的として、この疾患の治療に有用である。
【0004】
上記の有用性に加えて、本発明化合物の一部は、他の本発明化合物の製造中間体として有用である。
【0005】
本発明化合物は、ある種の置換キナゾリンである。この特許出願を通じて、キナゾリン環系は、下記の式に示すように番号付けを行うものとする。
【0006】
【化1】

【0007】
本発明化合物と比較して性質と5〜8位の置換基の配置が異なる数多くの4-アニリノキナゾリンは、PTK阻害活性を有することが知られている。出願EP-92305703.8には、5〜8位にクロロ、トルフルオロメチル、ニトロ基などの簡単な置換基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。出願EP-93300270.1も同様であるが、5〜8位に非常に多くの様々な置換基を有する。出願WO-9609294には、5〜8位に同様の置換基を有し、4位の置換基がある種の多環系からなる化合物が記載されている。いくつかの簡単に置換されたキナゾリンは、出願WO-9524190、WO-9521613およびWO-9515758にも記載されている。出願EP-93309680.2およびWO-9523141は、同様のキナゾリン誘導体(ここで、4位に結合したアリール基は様々なヘテロ環構造であり得る)を包含する。出願EP-94305195.3には、6位の置換基の中にアルケノイルアミノ基およびアルキノイルアミノ基を有するが、7位にハロゲン原子を必要とするある種のキナゾリン誘導体が記載されている。出願WO-9519774には、5〜8位の1個またはそれ以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されており、その結果、多くの様々な二環系(ここで、左側の環は5または6員ヘテロ環である;さらに、様々な置換基は左側の環に存在する)を生じる化合物が記載されている。出願EP-682027-A1には、PTKのある種のピロロピリミジンインヒビターが記載されている。出願WO-9519970には、基本的なキナゾリン構造の左側の芳香環が多種多様の異なるヘテロ環で置換されており、得られた阻害剤が三環系である化合物が記載されている。出願WO-94305194.6には、所望により置換されていてもよい別の5または6員ヘテロ環が5または6位に融合しているキナゾリンが記載されている。出願WO-9633981には、6位に様々なアルコキシアルキルアミノ基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。出願WO-9633980には、6位に様々なアミノアルキルアルコキシ基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。出願WO-9633979には、6位に様々なアルコキシアルキルアミノ基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。出願WO-9633978には、6位に様々なアミノアルキルアミノ基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。出願WO-9633977には、6位に様々なアミノアルキルアルコキシ基を有する4-アニリノキナゾリンが記載されている。注目すべきことに、上記出願の化合物は、いずれも本発明化合物に含まれる置換基の独自の組合わせを有しない。
【0008】
上記の特許出願に加えて、数多くの刊行物には、4-アニリノキナゾリンが記載されている:フライ,ディー・ダブリュー(Fry, D.W.)ら、サイエンス(Science),265,1093(1994);ルーキャッスル,ジー・ダブリュー(Rewcastle, G.W.)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.),38,3482(1995);およびブリッジズ,エイ・ジェイ(Bridges, A.J.)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.),39,267(1996)。これらの刊行物に記載の化合物は、いずれも本発明化合物に含まれる置換基の独自の組合わせを有しない。さらに、注目すべきことに、これらの報告には、インビボでの抗がん効果の実験証明が記載されていない。
【0009】
PTKは、ATPの分子からタンパク質基質に存在するチロシン残基へのリン酸基の転移を触媒する。これまでに当該分野で公知の阻害剤は、通常、ATPまたはキナーゼのタンパク質基質のいずれかと競合的である。これら阻害剤の一部、いわゆる混合競合阻害剤は、ATPおよび基質の両方と同時に競合的であることができる。かかる競合阻害剤は、すべて可逆阻害剤として機能する。当該分野で公知の4-アニリノキナゾリンは、ATPと競合的な可逆阻害剤である[フライ,ディー・ダブリュー(Fry, D.W.)ら、サイエンス(Science),265,1093(1994)]。ATPの細胞内濃度が通常は非常に高い(ミリモル)ので、ATPと競合的である化合物は低いインビボ活性を示すことがある。なぜなら、該化合物は腫瘍増殖を阻害するのに充分な長期間にわたりATPをその結合部位から置換するのに必要であると考えられる細胞内濃度に長期間にわたり達し得る見込みがないからである。ごくありふれたキナゾリンインヒビターとは異なって、本発明のキナゾリンインヒビターは、これらのATPを不可逆的に阻害する独自の能力を有し、それゆえ、ATPまたはタンパク質基質と非競合的である。本発明化合物は、上記酵素の活性部位に存在するアミノ酸残基と共有結合を形成することができるという事実ゆえに、不可逆阻害剤として機能することができる。このことから、本発明化合物は、可逆型の阻害剤と比較した場合に、その治療上の有用性が増大する。特に、上記酵素に対する阻害剤の不可逆結合をもたらすのは、本発明化合物に含まれる置換基の独自の性質および組合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP-92305703.8
【特許文献2】EP-93300270.1
【特許文献3】WO-9609294
【特許文献4】WO-9524190
【特許文献5】WO-9521613
【特許文献6】WO-9515758
【特許文献7】EP-93309680.2
【特許文献8】WO-9523141
【特許文献9】EP-94305195.3
【特許文献10】WO-9519774
【特許文献11】EP-682027-A1
【特許文献12】WO-9519970
【特許文献13】WO-94305194.6
【特許文献14】WO-9633981
【特許文献15】WO-9633980
【特許文献16】WO-9633979
【特許文献17】WO-9633978
【特許文献18】WO-9633977
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ウィルクス,エイ・エフ(Wilks, A.F.)、アドヴァンスド・キャンサー・リサーチ(Adv. Cancer Res.),60,43(1993)
【非特許文献2】パーソンズ,ジェイ・ティー(Parsons, J.T.)、パーソンズ,エス・ジェイ(Parsons, S.J.)、インポータント・アドヴァンシズ・イン・オンコロジー(Important Advances in Oncology)、デヴィタ,ヴィー・ティー(DeVita, V.T.)編、リッピンコット社(J.B. Lippincott Co.)、フィラデルフィア、3(1993)
【非特許文献3】スラモン,ディー・ジェイ(Slamon, D.J.)ら、サイエンス(Science),244,707(1989)
【非特許文献4】スラモン,ディー・ジェイ(Slamon, D.J.)ら、サイエンス(Science),235,1146(1987)
【非特許文献5】レイス,エム(Reiss, M.)ら、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),51,6254(1991)
【非特許文献6】マシアス,エイ(Macias, A.)ら、アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Res.),7,459(1987)
【非特許文献7】ガリック,ダブリュー・ジェイ(Gullick, W.J.)、ブリティッシュ・メディカル・ブレティン(Brit. Med. Bull.),47,87(1991)
【非特許文献8】バーク,ティー・アール(Burke, T.R.)、ドラッグズ・フューチャー(Drugs Future),17,119(1992)およびチャン,シー・ジェイ(Chang, C.J.)、ゲーレン,アール・エル(Geahlen, R.L.)、ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.), 55, 1529(1992)
【非特許文献9】デュー,ジェイ(Du, J.)、ウィルソン,ピー・ディー(Wilson, P.D.)、アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Amer. J. Physiol.), 269 (2Pt1), 487(1995)
【非特許文献10】ノータ,ジェイ(Nauta, J.)ら、ピーディアトリック・リサーチ(Pediatric Research),37(6),755(1995)
【非特許文献11】ガットーン,ヴィ・エイチ(Gattone, V.H.)ら、ディベロップメンタル・バイオロジー(Developmental Biology),169(2),504(1995)
【非特許文献12】ウィルソン,ピー・ディー(Wilson, P.D.)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(Eur. J. Cell Biol.),61(1),131(1993)
【非特許文献13】フライ,ディー・ダブリュー(Fry, D.W.)ら、サイエンス(Science),265,1093(1994)
【非特許文献14】ルーキャッスル,ジー・ダブリュー(Rewcastle, G.W.)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.),38,3482(1995)
【非特許文献15】ブリッジズ,エイ・ジェイ(Bridges, A.J.)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.),39,267(1996)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の開示)
本発明は、式1
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【0015】
【化3】

【0016】
からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【0017】
【化4】

【化5】

【化6】

【0018】
からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【0019】
【化7】

【0020】
からなる群から選択され;
が、独立して、かつ排他的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で排他的に置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【0021】
【化8】

【0022】
かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
医薬上許容される塩は、有機酸および無機酸、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、および同様に公知の許容される酸から誘導される塩である。
【0024】
アルキル、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシメチル、アルカノイルオキシメチル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、カルボアルコキシ、カルボアルキル、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、アルカノイルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイルなどの置換基のアルキル部分には、直鎖および有枝鎖の両方が含まれる。アルケニル、アルケノイルオキシメチル、アルケニルオキシ、アルケニルスルホンアミドなどの置換基のアルケニル部分には、直鎖および有枝鎖の両方ならびに1個またはそれ以上の不飽和部位が含まれる。アルキニル、アルキノイルオキシメチル、アルキニルスルホンアミド、アルキニルオキシなどの置換基のアルキニル部分には、直鎖および有枝鎖の両方ならびに1個またはそれ以上の不飽和部位が含まれる。カルボキシは、-COH基として定義される。炭素数2〜7のカルボアルコキシは、-COR''基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。カルボキシアルキルは、HOC-R'''-基として定義される。ここで、R'''は炭素数1〜6の二価アルキル基である。カルボアルコキシアルキルは、R''OC-R'''-基として定義される。ここで、R'''は二価アルキル基であり、R''およびR'''は合計して炭素数2〜7である。カルボアルキルは、-COR''基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルカノイルオキシは、-OCOR''基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルカノイルオキシメチルは、R''COCH-基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルコキシメチルは、R''OCH-基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルキルスルフィニルは、R''SO-基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルキルスルホニルは、R''SO-として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。アルキルスルホンアミド、アルケニルスルホンアミド、アルキニルスルホンアミドは、R''SONH-基として定義される。ここで、R''はそれぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基である。N-アルキルカルバモイルは、R''NHCO-基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基である。N,N-ジアルキルカルバモイルは、R''R'NCO-基として定義される。ここで、R''は炭素数1〜6のアルキル基であり、R'は炭素数1〜6のアルキル基であり、R'およびR''は同一または相異なっていてもよい。Xが置換されている場合、それは一置換、二置換または三置換であることが好ましく、一置換が最も好ましい。置換基R、RおよびRのうち、少なくとも1個は水素であることが好ましく、2または3個が水素であることが最も好ましい。また、Xがフェニル環、Zが-NH-、かつn=0であることも好ましい。
【0025】
Hetは、上記ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよい。Hetは該ヘテロ環上の炭素原子を介してWに結合していてもよいが、Hetが窒素含有へテロ環であり、さらに飽和炭素-窒素結合を有する場合、かかるヘテロ環はWが結合である場合には窒素を介してWに結合していてもよい。HetがRで置換されている場合、かかる置換は環炭素上であってもよいが、窒素含有へテロ環であり、さらに飽和炭素-窒素結合を有する場合、かかる窒素はRで置換されていてもよい。好ましい置換へテロ環としては、2,6-二置換モルホリン、2,5-二置換チオモルホリン、2-置換イミダゾール、N-置換1,4-ピペラジン、N-置換ピペラジン、N-置換ピロリジンなどが挙げられる。
【0026】
第1のただし書きにおける用語「排他的に」は、条件がすべて成立する場合、Xはただし書きに含まれる置換基の1つまたは組合わせだけで置換されたフェニル環ではあり得ないことを意味する。例えば、第1のただし書きの条件がすべて成立すれば、Xはヒドロキシ部分とアルキル部分で二置換されたフェニル環ではあり得ないが、ハロゲン部分とメルカプト部分で二置換されたフェニル環であり得る。
【0027】
本発明化合物は1個またはそれ以上の不斉炭素原子を有することがある。かかる場合、本発明化合物は、各ジアステレオ異性体、ラセミ体、およびその各R、S鏡像異性体を含む。
【0028】
式9で示される本発明化合物の製造を下記フローシート1[式中、R、R、RおよびXは上記と同意義、R10は炭素数1〜6のアルキル(好ましくは、イソブチル)、R2'
【0029】
【化9】

【0030】
[式中、R、R、J、s、r、uおよびvは上記と同意義]
からなる群から選択される基]に示す。フローシート1に概説する一連の反応に従って、式2で示される5-ニトロ-アントラニロニトリルを、必要に応じて、過剰のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールを含有する溶媒を用いて、約100℃に加熱して、式3で示されるアミジンを得る。酢酸中におけるアミジン3とアニリン4の溶液を1〜5時間加熱して、式5で示される6-ニトロ-4-アニリノキナゾリンを得る。5のニトロ基を、高温で酢酸-アルコール混合物または塩化アンモニウム水溶液-メタノール混合物を用いて鉄などの還元剤で還元して、あるいは、接触水素化で還元して、式6で示される6-アミノ-4-アニリノキナゾリンを得る。6を、テトラヒドロフラン(THF)などの不活性溶媒中、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、トリエチルアミンなどの有機塩基の存在下、式7で示される酸塩化物または式8で示される混合無水物(これらは対応するカルボン酸から製造される)のいずれかでアシル化して、式9で示される本発明化合物を得る。7または8が不斉炭素原子を有する場合、それらはラセミ体または各R、S鏡像異性体として用いることができる。この場合、本発明化合物は、それぞれラセミ体またはR、S光学活性体である。本発明化合物を製造するのに必要な式2で示される5-ニトロ-アントラニロニトリルは、すでに当該分野で公知であるか、あるいは、下記の参考文献に詳述されている当該分野で公知の方法で製造することができる:ボーデット(Baudet)、レクエイル・デス・トラヴォクス・キミクエス・デス・パイス-バス(Recl. Trav. Chim. Pays-Bas),43,710(1924);ハートマンズ(Hartmans)、レクエイル・デス・トラヴォクス・キミクエス・デス・パイス-バス(Recl. Trav. Chim. Pays-Bas),65,468,469(1946);テイラー(Taylor)ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J. Amer. Chem. Soc.),82,6058,6063(1960);テイラー(Taylor)ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J. Amer. Chem. Soc.),82,3152,3154(1960);デーシュパーンデー(Deshpande)、セシャードリー(Seshadri)、インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Indian J. Chem.),11,538(1973);カトリツキー,アラン・アール(Katritzky, Alan R.)、ロレンツォ,キャスリーン・エス(Laurenzo, Kathleen S.)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.),51,5039-5040(1986);ニクラス,ハンス-ヨアヒム(Niclas, Hans-Joachim)、ボーレ,マティアス(Bohle, Matthias)、リック,イェンス-デトレフ(Rick, Jens-Detlev)、ツォイナー,フランク(Zeuner, Frank)、ツェルヒ,ロタール(Zoelch, Lothar)、ツァイトシュリフト・フュア・ヒェミー(Z. Chem.),25(4),135-138(1985)。R2'部分が第一もしくは第二アミノ基を有する場合、かかるアミノ基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。前者の保護基がトリフルオロ酢酸などの酸で処理することにより式9で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。R2'部分がヒドロキシル基を有する場合、かかるヒドロキシル基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、t-ブチルジメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。最初の2つの保護基が酢酸、塩酸などの酸で処理することにより式9で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。中間体6の基Xが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、6を無水物7または酸塩化物8と反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物9から外すことができる。中間体5のR、RまたはRが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、5を還元して6を得る前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物9から外すことができる。
【0031】
【化10】

【0032】
式12で示される本発明化合物の製造を下記フローシート2[式中、R、R、R、R、Xおよびnは上記と同意義]に示す。フローシート2に概説する反応に従って、式10で示される6-アミノ-キナゾリン(フローシート1のように製造)を、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基触媒の存在下、式11で示される環状無水物でアシル化する。Rが第一もしくは第二アミノ基を有する場合、かかるアミノ基は、無水物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。前者の保護基がトリフルオロ酢酸などの酸で処理することにより式12で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。Rがヒドロキシル基を有する場合、かかるヒドロキシル基は、無水物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、t-ブチルジメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。最初の2つの保護基が酢酸、塩酸などの酸で処理することにより式12で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。中間体10の基Xが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、10を無水物11と反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物12から外すことができる。中間体10のR、RまたはRが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、10と11を反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物12から外すことができる。
【0033】
【化11】

【0034】
式18で示される本発明化合物の製造を下記フローシート3[式中、R、R、R、R10、Z、nおよびXは上記と同意義、R2'は上記と同意義]に示す。フローシート3に概説する反応に従って、4-クロロ-6-ニトロキナゾリン10(かかる化合物の製造については、モーレー,ジェイ・エス(Morley, J.S.)およびシンプソン(Simpson)、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ(J. Chem. Soc.),360(1948)を参照)を、テトラヒドロフラン、ブタノール、メトキシエタノールなどの不活性溶媒中で加熱することにより、アミンまたはアニリン11と反応させて、式14[式中、Zは-NH-]で示される化合物を得ることができる。不活性溶媒中における10とメルカプタンまたはチオフェノール12の反応は、水素化ナトリウムなどの塩基を用いて行うことができ、式14[式中、Zは-S-]で示される化合物を与える。不活性溶媒中における10とアルコールまたはフェノール12の反応は、水素化ナトリウムなどの塩基を用いて行うことができ、式14[式中、Zは-O-]で示される化合物を与える。式14で示される化合物は、テトラヒドロフランと水からなる二相系中、少量の相間移動触媒の存在下、亜二チオン酸ナトリウムなどの還元剤を用いて、あるいは、酢酸または塩化アンモニウムを含有する還流プロトン性溶媒中、鉄を用いて、6-アミノ-4-クロロキナゾリン15に還元することができる。15をテトラヒドロフラン(THF)などの不活性溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリンなどの有機塩基の存在下、式16で示される酸塩化物または式17で示される混合無水物(これらは対応するカルボン酸から製造される)でアシル化して、式18で示される本発明化合物を得る。16または17が不斉炭素原子を有する場合、それらはラセミ体または各R、S鏡像異性体として用いることができる。この場合、本発明化合物は、それぞれラセミ体またはR、S光学活性体である。R2'が第一もしくは第二アミノ基を有する場合、かかるアミノ基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。前者の保護基がトリフルオロ酢酸などの酸で処理することにより式18で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。R2'がヒドロキシル基を有する場合、かかるヒドロキシル基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要なことがある。適当な保護基としては、t-ブチルジメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。最初の2つの保護基が酢酸、塩酸などの酸で処理することにより式18で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。中間体11、12または13において、Xが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、10と反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様のアミンまたはアルコール保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物18から外すことができる。
【0035】
【化12】

【0036】
式26で示される本発明化合物の製造を下記フローシート4[式中、R、R、R、R10、nおよびXは上記と同意義、R2'は上記と同意義]に示す。フローシート4に概説する反応に従って、アニリン19を不活性溶媒中、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-アセタール)と加熱して、式20で示される化合物を得る。20のニトロ基を、パラジウム触媒と水素源を用いて、対応するアミノ化合物21に還元する。なお、水素源は水素それ自体またはシクロヘキセンとすることができる。21を、テトラヒドロフラン(THF)などの不活性溶媒中、ピリジン、N-メチルモルホリンなどの有機塩基の存在下、式22で示される酸塩化物または式23で示される混合無水物(これらは対応するカルボン酸から製造される)のいずれかでアシル化して、式24で示される化合物を得る。22または23が不斉炭素原子を有する場合、それらはラセミ体または各R、S鏡像異性体として用いることができる。この場合、本発明化合物は、それぞれラセミ体またはR、S光学活性体である。式24で示される化合物を酢酸などの不活性溶媒中、式25で示されるアニリンまたはベンジルアミンと加熱して、式26で示される本発明化合物を得る。R2'が第一もしくは第二アミノ基を有する場合、かかるアミノ基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。前者の保護基がトリフルオロ酢酸などの酸で処理することにより式26で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。R2'がヒドロキシル基を有する場合、かかるヒドロキシル基は、無水物または酸塩化物を形成する前に、まず保護する必要がある。適当な保護基としては、t-ブチルジメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどの保護基が挙げられるが、これらに限定されない。最初の2つの保護基が酢酸、塩酸などの酸で処理することにより式26で示される最終生成物から外すことができるのに対し、後者の保護基は接触水素化で外すことができる。中間体25において、Xが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、21を無水物23または酸塩化物22と反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物26から外すことができる。中間体19において、R、RまたはRが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基を有する場合、19とジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-アセタール)を反応させる前に、これらの基を保護することが必要なことがある。上記と同様の保護基を用いることができ、それらは上記のように生成物26から外すことができる。
【0037】
【化13】

【0038】
上記フローシート1〜4の方法に加えて、下記の特許出願に記載された方法を用いて、本発明化合物を製造するのに必要な6-アミノ-キナゾリンの多く(例えば、上記フローシートの式6、15および10で示される化合物など)を製造することができる:WO-9633981、WO-9633979、WO-9633978、WO-9616960、WO-9609294、WO-9630347、WO-9615118、WO-9609294、EP-635507、EP-602851およびEP-520722。
【0039】
本発明化合物を製造するには、下記リストA[ここで、R、pおよびrは上記と同意義]に示すある種のアミンが必要である。これらのアミンは、市販品を利用するか、化学文献に公知であるか、あるいは、当該分野で公知の簡単な方法で製造することができる。場合によっては、これらのアミンが不斉炭素原子を有することがある。それらはラセミ体として用いることもできるし、分割して各R、S鏡像異性体として用いることもできる。この場合、本発明化合物は、それぞれラセミ体または光学活性体である。本願を通じて、下記フローシートにおいては、これらのアミンは一般的な構造式(R')NHで示される。ここで、この式は第一もしくは第二アミンを表すことができる。
【0040】
【化14】

【0041】
本発明化合物を製造するには、下記リストB[ここで、R、pおよびrは上記と同意義]に示すある種のアルコールが必要である。これらのアルコールは、市販品を利用するか、化学文献に公知であるか、あるいは、当該分野で公知の簡単な方法で製造することができる。場合によっては、これらのアルコールが不斉炭素原子を有することがある。それらはラセミ体として用いることもできるし、分割して各R、S鏡像異性体として用いることもできる。この場合、本発明化合物は、それぞれラセミ体または光学活性体である。本願を通じて、下記フローシートにおいては、これらのアルコールは一般的な構造式R'OHで示される。
【0042】
【化15】

【0043】
本発明化合物の一部を製造するには、式31、34および38で示されるある種の混合無水物が必要である。これらは、下記フローシート5〜6[ここで、R、R10、X、Z,nおよびsは上記と同意義、J'はハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)、トシラート(p-トルエンスルホナート)またはメシラート(メタンスルホナート)基]に概説するように製造される。27とリストAのアミンの反応は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中で加熱するか、あるいは、アセトン中、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムを用いて行われる。加熱温度および加熱時間は、27の反応性に依存する。sが1より大きければ大きいほど、より長い反応時間と、より高い温度が必要となる。28をアルキルリチウム試薬で処理した後、乾燥した二酸化炭素ガスでクエンチして、式29で示されるカルボン酸を得る。これらは、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、N-メチルモルホリンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルなどの試薬を用いて、式31で示される混合無水物に変換することができる。次いで、これらの無水物を用いて、上記フローシート1、3および4のように本発明化合物を製造することができる。27とリストBのアルコールの反応は、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウムまたは他の非求核塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムなど)を用いて行われる。場合によっては、リストBのアルコールを反応溶媒とすることもできる。32をアルキルリチウム試薬で処理した後、乾燥した二酸化炭素ガスでクエンチして、式33で示されるカルボン酸を得る。これらは、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、N-メチルモルホリンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルなどの試薬を用いて、式34で示される混合無水物に変換することができる。次いで、これらの無水物を用いて、上記フローシート1、3および4のように本発明化合物を製造することができる。
【0044】
【化16】

【0045】
下記フローシート6[ここで、R、R、R、R、R10、X、Z、nおよびsは上記と同意義]に概説するように、アルコール35は、塩化メチレン中、トリエチルアミンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、各塩化シリルと反応させることにより、t-ブチルジメチルシリル保護基で保護することができる。保護されたアルコール36をアセチレングリニャール試薬に変換した後、これを乾燥した二酸化炭素雰囲気下で放置して、カルボン酸37を得る。上記のように、これらを混合無水物38に変換し、(上記フローシート1、3および4のように)6-アミノキナゾリン39と反応させて、40を得る。一連の反応の最後の工程では、シリル保護基をプロトン性溶媒混合物中、酸で処理することにより外して、式41で示される本発明化合物を得る。
【0046】
【化17】

【0047】
また、本発明化合物は、下記フローシート7[ここで、R、R、R、R、R10、X、Z、nおよびsは上記と同意義、J''はハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)、トシラートまたはメシラート基]に示すように製造される。42を低温にてアルキルチリウム試薬で処理した後、乾燥した二酸化炭素ガスでクエンチして、式43で示されるカルボン酸を得る。これらは、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、N-メチルモルホリンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルなどの試薬を用いて、式44で示される混合無水物に変換することができる。次いで、これらの無水物を用いて、上記フローシート1、3および4のように、6-アミノ-キナゾリン45と反応させることにより、本発明化合物を製造することができる。46とリストBのアルコールの反応は、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウムまたは他の非求核塩基を用いて行われ、47で示される本発明化合物を与える。場合によっては、リストBのアルコールを反応溶媒とすることもできる。46をリストAのアミンと反応させて、48で示される本発明化合物を得ることは、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中で加熱するか、あるいは、アセトン中、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムを用いて行われる。加熱温度および加熱時間は、46の反応性に依存する。sが1より大きければ大きいほど、より長い反応時間と、より高い温度が必要となる。
【0048】
【化18】

【0049】
本発明化合物の一部を製造するのに必要な他のカルボン酸塩化物および無水物は、下記フローシート8[ここで、R、R、R10、X、Z、J'、nおよびsは上記と同意義、Q'は炭素数1〜6のアルキル]に示すように製造される。エステル49、53または57を水酸化バリウムなどの塩基で加水分解して、各カルボン酸50、54または58を得ることができる。これらの酸は、不活性溶媒中、塩化オキサリルまたは触媒のN,N-ジメチルホルムアミドを用いることにより、各カルボン酸塩化物51または56に変換するか、あるいは、クロロギ酸イソブチルとN-メチルモルホリンなどの有機塩基を用いることにより、各混合無水物55または59に変換することができる。式52で示される化合物の脱離基を、上記の方法を用いることにより、リストAのアミンまたはリストBのアルコールで置換して、それぞれ中間体57および53を得ることができる。これらのカルボン酸塩化物51および56ならびにこれらの無水物55および59を用いて、上記フローシート1、3および4に概説する方法を用いることにより、本発明化合物の一部を製造することができる。
【0050】
【化19】

【0051】
上記フローシート8に概説する方法と同じ方法を用いることにより、下記リストC[ここで、R、R、pおよびsは上記と同意義、Gは基
【0052】
【化20】

【0053】
Aは基-N(R')、-OR'または-J'である;ここで、-N(R')はリストAのアミンから誘導され、-OR'はリストBのアルコールから誘導され、J'は上記の脱離基]に示す類似のカルボン酸塩化物および無水物を製造することが可能である。これらのカルボン酸塩化物および無水物を利用し、上記フローシート1、3および4に要約する方法に従い、また、下記の実施例に示す詳細に従うことにより、本発明化合物の多くを製造することができる。
【0054】
【化21】

【0055】
式62〜63で示される本発明化合物は、フローシート9[ここで、R、R、R、R、R、R10、X、Z、J'、nおよびsは上記と同意義]に示すように製造することができる。不活性溶媒中、有機塩基を用いて、カルボン酸塩化物60と6-アミノキナゾリン61を反応させて、式62で示される本発明化合物を得る。62とリストBのアルコールの反応は、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウムまたは他の非求核塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムなど)を用いて行われ、63で示される本発明化合物を与える。場合によっては、リストBのアルコールを反応溶媒とすることもできる。62をリストAのアミンと反応させて、64で示される本発明化合物を得ることは、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中で加熱することにより行われる。加熱温度および加熱時間は、62の反応性に依存する。sが1より大きければ大きいほど、より長い反応時間と、より高い温度が必要となる。さらに、この方法を用いることにより、リストCに示すカルボン酸塩化物および混合無水物を用いて、類似の本発明化合物を製造することができる。
【0056】
【化22】

【0057】
本発明化合物の一部は、下記フローシート10[ここで、R、R、R、R、R10、X、Z、J'、nおよびrは上記と同意義]に概説するように製造することができる。アセチレンアルコール65は、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基を用いて、ハロゲン化物、メシラートまたはトシラート66にカップリングさせることができる。次いで、得られたアセチレン67を低温にてアルキルリチウム試薬で処理する。次いで、反応物を二酸化炭素雰囲気下で放置して、カルボン酸68を得る。次いで、これらを、混合無水物を経て、6-アミノ-キナゾリン69と反応させて、式70で示される本発明化合物を得る。あるいは、中間体67は、アルコール71から出発して、まずそれをテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基で処理した後、適当な脱離基を有するアセチレン72を加えることにより製造することができる。同様にして、式(R)N-(C(R))-OHで示されるアミノアルコールは、72と反応させ、フローシート10の化学を適用することにより、式
【0058】
【化23】

【0059】
で示される本発明化合物に変換することができる。
【0060】
【化24】

【0061】
式76および77で示される本発明化合物は、下記フローシート11[式中、R、R、R、Rおよびnは上記と同意義、アミンHN(R'')は、
【0062】
【化25】

【0063】
からなる群から選択される]に示すように製造される。73と74をエタノールなどの溶媒中で還流して、中間体75を得る。これを還流エタノール中、アミンと反応させて、式76で示される本発明化合物を得ることができる。75を不活性溶媒中または下記アルコキシドが誘導される溶媒中、過剰のナトリウムアルコキシドで処理して、式77で示される本発明化合物を得る。
【0064】
【化26】

【0065】
式83で示される本発明化合物は、フローシート12[ここで、R、R、R、R、R、R10、X、Z、nおよびrは上記と同意義]に示すように製造することができる。メルカプトカルボン酸78を試薬79と反応させて、式80で示される化合物を得る。あるいは、80は、メルカプト酸78、トリエチルアミンおよび2,2'-ジピリジルジスルフィドを用いて、メルカプタンRSHから製造することができる。混合無水物を形成させて81を得た後、6-アミノ-キナゾリン82と縮合させて、本発明化合物を得る。
【0066】
【化27】

【0067】
式86〜88で示される本発明化合物は、フローシート13[ここで、R、R、R、R、J'、X、Zおよびnは上記と同意義、Q'は炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたは水素]に示すように製造することができる。84を6-アミノ-キナゾリン85でアルキル化することは、N,N-ジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基を用いて加熱することにより行い、式86で示される本発明化合物を得ることができる。Q'がアルコキシの場合、エステル基は、メタノール中、水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて、酸に加水分解することができる。同様にして、中間体89および90を用いることにより、それぞれ式87および88で示される本発明化合物を製造することができる。
【0068】
【化28】

【0069】
式93で示される本発明化合物は、フローシート14[ここで、R、R、R、R、X、Zおよびnは上記と同意義]に示すように製造することができる。試薬91と6-アミノ-キナゾリン92の反応は、トリエチルアミンなどの過剰の有機塩基とテトラヒドロフランなどの不活性溶媒を用いて行い、式93で示される本発明化合物を得る。
【0070】
【化29】

【0071】
最終的な本発明化合物だけでなく様々なキナゾリン中間体に適用することができる本発明化合物を製造するのに有用なある種の官能基操作が存在する。これらの操作は上記フローシートに示すキナゾリン上の置換基R、RまたはRに関するものである。これらの官能基操作の一部を以下に説明する。
【0072】
、RまたはRの1個またはそれ以上がニトロ基である場合、それは酢酸中、鉄などの還元剤を用いる還元により、あるいは、接触水素化により、対応するアミノ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がアミノ基である場合、それは不活性溶媒中で加熱して少なくとも2当量の炭素数1〜6のハロゲン化アルキルでアルキル化することにより、あるいは、炭素数1〜6のアルデヒドとシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤を用いる還元アルキル化により、対応する炭素数2〜12のジアルキルアミノ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がメトキシ基である場合、それは不活性溶媒中、三臭化ホウ素などの脱メチル化剤と反応させることにより、あるいは、必要に応じて溶媒を用いて塩化ピリジニウムと加熱することにより、対応するヒドロキシル基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がアミノ基である場合、それは不活性溶媒中、トリエチルアミン、ピリジンなどの塩基触媒を用いて、それぞれ塩化アルキルスルホニル、塩化アルケニルスルホニルまたは塩化アルキニルスルホニルと反応させることにより、対応する炭素数2〜6のアルキルスルホンアミド、アルケニルスルホンアミドまたはアルキニルスルホンアミド基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がアミノ基である場合、それは不活性溶媒中で加熱して1当量の炭素数1〜6のハロゲン化アルキルでアルキル化することにより、あるいは、水、アルコール、その混合物などのプロトン性溶媒中、炭素数1〜6のアルデヒドとシアノホウ水素化ナトリウムなどの還元剤を用いる還元アルキル化により、対応する炭素数1〜6のアルキルアミノ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がヒドロキシである場合、それは不活性溶媒中、ピリジンまたはトリアルキルアミンを触媒として用いて、適当なカルボン酸塩化物、無水物または混合無水物と反応させることにより、対応する炭素数1〜6のアルカノイルオキシ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がヒドロキシである場合、それは不活性溶媒中、ピリジンまたはトリアルキルアミンを触媒として用いて、適当なカルボン酸塩化物、無水物または混合無水物と反応させることにより、対応する炭素数1〜6のアルケノイルオキシ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がヒドロキシである場合、それは不活性溶媒中、ピリジンまたはトリアルキルアミンを触媒として用いて、適当なカルボン酸塩化物、無水物または混合無水物と反応させることにより、対応する炭素数1〜6のアルキイルオキシ基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がカルボキシまたは炭素数2〜7のカルボアルコキシ基である場合、それは不活性溶媒中、ボラン、ホウ水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウムなどの適当な還元剤で還元することにより、対応するヒドロキシメチル基に変換することができる。次いで、このヒドロキシメチル基は、不活性溶媒中、三臭化リンなどのハロゲン化剤と反応させてブロモメチル基を得ることにより、あるいは、五塩化リンと反応させてクロロメチル基を得ることにより、対応するハロメチル基に変換することができる。このヒドロキシルメチル基は、不活性溶媒中、ピリジンまたはトリアルキルアミンを触媒として用いて、適当な酸塩化物、無水物または混合無水物でアシル化して、対応する炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル基、炭素数2〜7のアルケノイルオキシメチル基または炭素数2〜7のアルキノイルオキシメチル基を有する本発明化合物を得ることができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がハロメチル基である場合、それは不活性溶媒中、ハロゲン原子をナトリウムアルコキシドで置換することにより、炭素数2〜7のアルコキシメチル基に変換することができる。R、RまたはRの1個またはそれ以上がハロメチル基である場合、それは不活性溶媒中、ハロゲン原子をアンモニア、第一もしくは第二アミンで置換することにより、それぞれアミノメチル基、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル基または炭素数3〜14のN,N-ジアルキルアミノメチル基に変換することができる。
【0073】
上記の方法に加えて、本発明化合物の製造に有用な方法を記載する数多くの特許出願が存在する。出願WO-9633981に記載の化学的方法は、本発明に用いるキナゾリン中間体のうち、R、RまたはRがアルコキシアルキルアミノ基であるものを製造するのに用いることができる。出願WO-9633980に記載の化学的方法は、本発明に用いるキナゾリン中間体のうち、R、RまたRがアミノアルキルアルコキシ基であるものを製造するのに用いることができる。出願WO-9633979に記載の化学的方法は、本発明に用いるキナゾリン中間体のうち、R、RまたはRがアルコキシアルキルアミノ基であるものを製造するのに用いることができる。出願WO-9633978に記載の化学的方法は、本発明に用いるキナゾリン中間体のうち、R、RまたはRがアミノアルキルアミノ基であるものを製造するのに用いることができる。出願WO-9633977に記載の化学的方法は、本発明に用いるキナゾリン中間体のうち、R、RまたはRがアミノアルキルアルコキシ基であるものを製造するのに用いることができる。上記の特許出願は表示の官能基がキナゾリンの6位に導入されている化合物を記載するが、本発明化合物の置換基R、RおよびRの占める位置に同じ基を導入するのに同じ化学を用いることができる。
【0074】
本発明の代表的な化合物をいくつかの標準的な薬理学的試験法で評価した。これらの試験法は、本発明化合物がタンパク質チロシンキナーゼインヒビターとして有意な活性を有し、増殖抑制薬であることを示した。それゆえ、標準的な薬理学的試験法で示される活性に基づいて、本発明化合物は抗新生物薬として有用である。用いた試験法および得られた結果を以下に示す。
【0075】
上皮増殖因子受容体キナーゼ(EGF-R)の阻害
試験化合物は、上皮増殖因子受容体キナーゼ酵素により触媒されるペプチド基質のチロシン残基のリン酸化を阻害するそれらの能力について評価した。ペプチド基質(RR-SRC)は、配列arg-arg-leu-ile-glu-asp-ala-glu-tyr-ala-ala-arg-glyを有する。この酵素は、A431細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)、ロックビル、メリーランド州)の膜抽出物として得た。A431細胞は、T175フラスコ中で集密度80%まで増殖させた。これらの細胞を、Ca2+を含まないリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した。フラスコを、1.0mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む20mL PBS中、室温で1.5時間回転させ、600gで10分間遠心分離した。これらの細胞を、氷上で10ストロークのダウンス(Dounce)ホモジェナイザー中、細胞5×10個あたり1mLの冷たい溶解緩衝液{10mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、pH7.6、10mM NaCl、2mM EDTA、1mMフェニルメチルスルホニル-フルオリド(PMSF)、10mg/mLアプロチニン、10mg/mLロイペプチン、0.1mMオルトバナジン酸ナトリウム}に可溶化した。溶解物をまず600gで10分間遠心分離して透明な細胞破砕物とし、その上澄みを4℃、100,000gで、さらに30分間遠心分離した。膜ペレットを1.5mL HNG緩衝液(50mM HEPES、pH7.6、125mM NaCl、10%グリセロール)に懸濁した。膜抽出物を既知量に分割し、直ちに液体窒素で凍結させ、−70℃で保存した。
【0076】
試験化合物は、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中における10mg/mL貯蔵液とした。実験前に、貯蔵液を100%DMSOで500μMに希釈した後、HEPES緩衝液(30mM HEPES、pH7.4)を用いて、所望の濃度に連続希釈した。
【0077】
A431膜抽出物の既知量(10mg/mL)を30mM HEPES(pH7.4)で希釈して、タンパク質濃度50μg/mLとした。酵素調製物4μLに、EGF(12μg/mLで1μL)を加え、氷上で10分間インキュベートした後、試験化合物または緩衝液4μLを加えた。この混合物を氷上で30分間インキュベートした。これに、濃度0.5mMの基質ペプチドと共に、アッセイ緩衝液中に1:10で希釈した33P−ATP(10mCi/mL)を加え(対照の反応には試験化合物を与えない)、反応を30℃で30分間進行させた。反応を10%TCAで終止させ、氷上で少なくとも10分間放置した後、チューブを最高速度で15分間微量遠心分離した。上澄み20μLをP81ホスホセルロースディスク上にスポットし、1%酢酸中、次いで水中、各5分間で2回洗浄後、シンチレーションカウンティングを行った。本発明の代表的な化合物に関する阻害データを下記表1に示す。IC50は、リン酸化した基質の全量を50%だけ減少させるのに必要な試験化合物の濃度である。試験化合物の阻害率(%)を少なくとも3つの異なる濃度について測定し、IC50値を用量応答曲線から求めた。阻害率(%)は、以下の式
阻害率(%)=100−[CPM(薬物)/CPM(対照)]×100
[式中、CPM(薬物)は、1分間あたりのカウントの単位で示され、液体シンチレーションカウンティングで測定する場合に、試験化合物の存在下、30℃で30分後、酵素によりRR-SRCペプチド基質上に取り込まれた放射標識ATP(γ-33P)の量を表す数である。CPM(対照)は、1分間あたりのカウントの単位で示され、液体シンチレーションカウンティングで測定する場合に、試験化合物の非存在下、30℃で30分後、酵素によりRR-SRCペプチド基質上に取り込まれた放射標識ATP(γ-33P)の量を表す数である]
を用いて求めた。CPM値は、酵素反応の非存在下でATPにより生じたバックグラウンドのカウントについて補正した。表1に示すIC50値は、行った試験数の平均である。
【0078】
【表1】

【0079】
組換え酵素を用いる上皮増殖因子受容体キナーゼ(EGF-R)の阻害
代表的な試験化合物は、上皮増殖因子受容体キナーゼ酵素により触媒されるペプチド基質のチロシン残基のリン酸化を阻害するそれらの能力について評価した。ペプチド基質(RR-SRC)は、配列arg-arg-leu-ile-glu-asp-ala-glu-tyr-ala-ala-arg-glyを有する。このアッセイに用いた酵素は、EGFRのHis-標識した細胞質ドメインである。Met-Ala-(His)の後のアミノ酸645〜1186をコードするEGFR cDNAを含有する組換え体バキュロウイルス(vHcEGFR2)を構築した。100mmプレート中のSf9細胞を10pfu/細胞の感染多重度で感染させ、感染後48時間で細胞を回収した。1%トリトン(Triton)X-100を用いて細胞質抽出物を調製し、Ni-NTAカラムにかけた。このカラムを20mMイミダゾールで洗浄した後、HcEGFRを250mMイミダゾール(50mM NaHPO、pH8.0、300mM NaCl中)で溶出した。集めた画分を10mM HEPES、pH7.0、50mM NaCl、10%グリセロール、1μg/mLアンチパインおよびロイペプチンならびに0.1mMペファブロック(Pefabloc)SCに対して透析した。タンパク質をドライアイス/メタノール中で凍結させ、−70℃で保存した。
【0080】
試験化合物は、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中における10mg/mL貯蔵液とした。実験前に、100%DMSOを用いて貯蔵液を500μMに希釈した後、HEPES緩衝液(30mM HEPES、pH7.4)で所望の濃度に連続希釈した。
【0081】
酵素反応の場合、各インヒビター(様々な濃度)10μLを96ウェルプレートの各ウェルに加えた。これに酵素(10mM HEPES、pH7.4中に1:10希釈、最終濃度1:120)3μLを加えた。これを氷上で10分間静置した後、5μLペプチド(最終濃度80μM)、10μL 4X緩衝液(表A)、0.25μL 33P-ATPおよび12μL HOを加えた。室温で90分間反応を行った後、全量を予め切断したP81フィルターペーパー上にスポットした。これらのフィルターディスクを0.5%リン酸で2回洗浄し、液体シンチレーションカウンターを用いて放射能を測定した。
【0082】
試薬 最終濃度 100Rxns
1M HEPES(pH7.4) 12.5mM 50μL
10mM NaVO 50μM 20μL
1M MnCl 10mM 40μL
1mM ATP 20μM 80μL
33P-ATP 2.5μCi 25μL
【0083】
本発明の代表的な化合物についての阻害データを下記表2に示す。IC50は、リン酸化した基質の全量を50%だけ減少させるのに必要な試験化合物の濃度である。試験化合物の阻害率(%)を少なくとも3つの異なる濃度について測定し、IC50値を用量応答曲線から求めた。阻害率(%)は、以下の式
%阻害=100−[CPM(薬物)/CPM(対照)]×100
[式中、CPM(薬物)は、1分間あたりのカウントの単位で示され、液体シンチレーションカウンティングで測定する場合に、試験化合物の存在下、室温で90分後、酵素によりRR-SRCペプチド基質上に取り込まれた放射標識ATP(γ-33P)の量を表す数である。CPM(対照)は、1分間あたりのカウントの単位で示され、液体シンチレーションカウンティングで測定する場合に、試験化合物の非存在下、室温で90分後、酵素によりRR-SRCペプチド基質上に取り込まれた放射標識ATP(γ-33P)の量を表す数である]
を用いて求めた。CPM値は、酵素反応の非存在下でATPにより生じたバックグラウンドのカウントについて補正した。表2に示すIC50値は、行った試験数の平均である。
【0084】
【表2】

【0085】
がん細胞増殖の阻害
ヒト腫瘍細胞系統を、5%FBS(ウシ胎児血清)を含有するRPMI1640培地中、96ウェルプレート(250μL/ウェル、1〜6×10細胞/mL)で培養した。24時間培養した後、試験化合物を、5種類の対数濃度(0.01〜100mg/mL)またはより有効な化合物の場合は、より低濃度で加えた。試験化合物に48時間曝露した後、細胞をトリクロロ酢酸で固定し、スルホローダミンB(Sulforhodamine B)で染色した。トリクロロ酢酸で洗浄した後、結合した染料を10mMトリス(Tris)塩基に可溶化し、プレート読取り装置を用いて、光学密度を測定した。このアッセイの条件下では、光学密度は、ウェル中の細胞数に比例する。IC50(細胞増殖の50%阻害を引き起こす濃度)を増殖阻害プロットから求めた。試験法は、フィリップ・スケハン(Philip Skehan)らが詳しく報告している[ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J. Natl. Canc. Inst.),82,1107-1112(1990)]。これらのデータを下記表3に示す。これらの試験法に用いた細胞系統の一部についての情報は、アメリカン・タイプ・ティッシュー・コレクション(American Type Tissue Collection):セル・ラインズ・アンド・ハイブリドーマズ(Cell Lines and Hybridomas),1994,レファレンスガイド,第8版から利用可能である。
【0086】
【表3】

【0087】
ヒト類表皮腫(A431)の増殖のインビボ阻害
BALB/c nu/nu雌マウス(チャールズ・リバー(Charles River)、ウィルミントン、マサチューセッツ州)をインビボでの標準的な薬理学的試験法に用いた。ヒト類表皮がん細胞A-431(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、メリーランド州、#CRL-155)を上記のようにインビトロで増殖させた。細胞5×10個からなる1単位をマウスに皮下注射した。腫瘍の大きさが100〜150mgに達したとき、マウスを処理群に任意抽出した(第0日目)。準備段階後の第1、5および9日目または第1〜10日目のいずれかに、0.2%クルーセル(Klucel)中における評価すべき化合物を80、40または20、あるいは10mg/kg/投与のいずれかの投与量で、1日1回、マウスを腹腔内または経口的に処理した。対照動物には、薬物を与えなかった。腫瘍の大きさは、準備段階後の28日間、7日毎に、[(長さ×幅)/2]として測定した。相対的な腫瘍増殖(第7、14、21および28日目の平均的な腫瘍の大きさを第0日目の平均的な腫瘍の大きさで割った値)を各処理群について測定する。%T/C(腫瘍/対照)は、処理群の相対的な腫瘍増殖をプラセボ群の相対的な腫瘍増殖で割って、100を掛けることにより求める。化合物は、その%T/Cが100%であると判定されれば、活性であると見なされる。
【0088】
実施例21の化合物がヒト類表皮腫(A431)の増殖をインビボで阻害する能力を下記表4に示す。
【0089】
【表4】

【0090】
表4の結果が示しているように、実施例21の化合物は、インビボでの腫瘍増殖の有効な阻害剤であり、それゆえ、がんの治療に有用である。
【0091】
実施例25の化合物がヒト類表皮腫(A431)の増殖をインビボで阻害する能力を下記表5に示す。
【0092】
【表5】

【0093】
表5の結果が示しているように、実施例25の化合物は、インビボでの腫瘍増殖の有効な阻害剤であり、それゆえ、がんの治療に有用である。
【0094】
本発明の代表的な化合物について得られた結果に基づいて、本発明化合物は、特に新生物を治療、増殖阻害または根絶するのに有用である。特に、本発明化合物は、EGFRを発現する新生物(例えば、乳房、腎臓、膀胱、口腔、喉頭、食道、胃、結腸、卵巣、肺などの新生物)を治療、増殖阻害または根絶するのに有用である。さらに、本発明化合物は、erbB2(Her2)がん遺伝子により産生される受容体タンパク質を発現する乳房および他の臓器の新生物を治療、増殖阻害または根絶するのに有用である。さらに、本発明化合物は、少なくとも部分的にはEGFRの脱調節を伴うある種の腎臓病(例えば、多嚢胞性腎疾患など)を治療、進行阻害または根治するのに有用である。
【0095】
本発明化合物は、そのまま処方してもよいし、1種またはそれ以上の医薬上許容される投与用担体(例えば、溶剤、希釈剤など)と組み合わせてもよく、錠剤、カプセル剤、分散性散剤、顆粒剤、または、例えば、約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する懸濁剤、例えば、約10〜50%の砂糖を含有するシロップ剤、例えば、約20〜50%のエタノールを含有するエリキシル剤などの形態で経口投与するか、あるいは、無菌注射溶液剤や、等張性媒体中に約0.05〜5%の懸濁化剤を含有する無菌注射懸濁液剤などの形態で非経口投与してもよい。かかる医薬製剤は、例えば、約0.05重量%〜約90重量%まで、より一般的には約5重量%〜60重量%の有効成分を担体と組み合わせて含有していればよい。
【0096】
用いる有効成分の有効量は、用いる特定の化合物、投与方法、治療する症状の重篤度によって変化しうる。しかし、一般的には、本発明化合物を動物の体重1kgあたり約0.5〜約1000mgの一日量で、所望により、1日2〜4回の分割量または徐放性形態で、投与した場合に満足な結果が得られる。たいていの大型動物については、合計一日量は、約1〜1000mg、好ましくは約2〜500mgである。内服用に適する投与形態は、医薬上許容される固形担体または液状担体と均質に混合した約0.5〜1000mgの活性化合物を含有する。この投与計画は、最適な治療応答を与えるように調節してもよい。例えば、数回の分割量を毎日投与し、この投与量を治療状況の緊急性に応じて減らせばよい。
【0097】
これらの活性化合物は、経口投与だけでなく、静脈内、筋肉内または皮下経路で投与してもよい。有効成分の性質および所望の特定投与形態に応じて、固形担体としては、デンプン、乳糖、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、白糖、カオリンなどが挙げられ、液状担体としては、滅菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、食用油、例えば、とうもろこし油、落花生油、ゴマ油などが挙げられる。医薬組成物の製造に慣用的に用いられる好都合な補助剤としては、香味剤、着色剤、保存剤、酸化防止剤、例えば、ビタミンE、アスコルビン酸、BHT、BHAなどが挙げられる。
【0098】
製造および投与の容易性の観点から好ましい医薬組成物は、固形組成物、特に錠剤、硬質充填カプセル剤または液体充填カプセル剤である。上記化合物の経口投与が好ましい。
【0099】
場合によっては、上記化合物をエアロゾルの形態で気道に直接投与するのが望ましいことがある。
【0100】
これらの活性化合物は、非経口的または腹腔内に投与してもよい。これらの活性化合物が遊離塩基または医薬上許容される塩である場合、その溶液剤または懸濁液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水中に製造することができる。また、分散液剤は、油中におけるグリセロール、液体ポリエチレングリコール、その混合物中に製造することができる。保存および使用の通常条件下で、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
【0101】
注射用に適する医薬形態としては、無菌の水溶液剤または水性分散液剤や、無菌の注射溶液剤または注射分散液剤を用時調製するための無菌の粉末状製剤などが挙げられる。いかなる場合にも、その形態は無菌であり、かつ注射容易性を有する程度に流動的でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定であり、かつ細菌類や真菌類などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、植物油などを含有する溶剤または分散媒とすることができる。
【0102】
がん治療の場合、本発明化合物は、他の抗腫瘍性物質または放射線療法と組み合わせて投与することができる。これらの他の物質または放射線療法は、本発明化合物と同時または別々に与えることができる。これらの併合療法は、相乗効果を示し、その結果、効力が向上することがある。例えば、本発明化合物は、タキソールやビンブラスチンなどの核分裂阻止物質、シスプラチンやシクロホスファミドなどのアルキル化剤、5-フルオロウラシルやヒドロキシウレアなどの代謝拮抗物質、アドリアマイシンやブレオマイシンなどのDNA挿入物質、エトポシドやカンプトテシンなどのトポイソメラーゼインヒビター、タモキシフェンなどの抗エストロゲンと組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0103】
(実施例)
以下、本発明化合物の代表例の製造について説明する。
【0104】
実施例1
N'-(2-シアノ-4-ニトロフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン
5-ニトロ-アントラニロニトリル40.8gおよびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール40mLを蒸気浴上で2時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を塩化メチレン中に取った。この溶液をマグネゾル(Magnesol)に通した後、溶媒を除去した。エーテルで洗浄した後、N'-(2-シアノ-4-ニトロフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン50.8gを得た。
【0105】
実施例2
N-(3-ブロモフェニル)-6-ニトロ-4-キナゾリンアミン
氷酢酸100mL中における3-ブロモアニリン23.74mLおよびN'-(2-シアノ-4-ニトロフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン40.5gの溶液を148℃の油浴中で1.5時間攪拌、加熱した。冷却後、得られた固体を濾過して、定量的収量のN-(3-ブロモフェニル)-6-ニトロ-4-キナゾリンアミンを得た。融点267〜270℃;質量スペクトル(m/e):345。
【0106】
実施例3
N-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン
エタノール150mLおよび氷酢酸150mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-6-ニトロ-4-キナゾリンアミン34.5gおよび鉄粉16.8gの混合物を120℃の油浴中で2時間加熱した。固体を濾過した後、濾液に固体の炭酸ナトリウムを加えて固体を得た。これを濾過し、固体をメタノールで抽出した。抽出物を活性炭で処理し、蒸発させて固体とした。この固体をエーテルで洗浄した後、N-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン27.5gを得た。質量スペクトル(m/e):315。
【0107】
実施例4
4-[[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]アミノ]-4-オキソ-(Z)-2-ブテン酸
ピリジン15mLをN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.6gおよび無水マレイン酸0.6gに加えた。一晩攪拌した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。固体を熱いエタノール約400mL中に取り、不溶物を濾過して、4-[[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]アミノ]-4-オキソ-(Z)-2-ブテン酸0.33gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 413,415。
【0108】
実施例5
6-アミノ-4-クロロキナゾリン
テトラヒドロフラン97mLおよび水32mL中における4-クロロ-6-ニトロキナゾリン3.25g、亜二チオン酸ナトリウム10.8gおよび相間移動触媒(C17)NCHCl0.3gの混合物を2時間急速に攪拌した。この混合物をエーテルで希釈し、有機層を分離した。有機溶液を食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を少量のシリカゲルに通した。溶媒を減圧下、30℃で除去して、6-アミノ-4-クロロキナゾリンを得た。これは、さらに精製することなく次の工程に用いる。
【0109】
実施例6
[4-クロロ-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド
テトラヒドロフラン46mL中における2-ブチン酸1.64gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル2.34mL、次いでN-メチルモルホリン4.13mLを加えた。約10分後、これをテトラヒドロフラン46mL中における6-アミノ-4-クロロキナゾリンの溶液に注ぎ込んだ。この混合物を室温で2時間攪拌した。この混合物を食塩水および飽和重炭酸ナトリウム溶液の混合物に注ぎ込み、エーテルで抽出した。エーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を除去して、[4-クロロ-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミドを無色油状物として得た。これは、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0110】
実施例7
N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド
イソプロパノール23mL中における[4-クロロ-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド1.76gおよび3-ブロモアニリン1.23gの溶液を不活性雰囲気下で40分間還流した。この混合物を室温に冷却し、エーテル200mLを加えて、N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド0.4gを塩酸塩として得た。重炭酸ナトリウム溶液で中和し、酢酸エチルで抽出し、溶媒を除去し、1-ブタノールから再結晶して、N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミドを遊離塩基として得た。
【0111】
実施例8
N'-(4-アミノ-2-シアノフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン
メタノール360mL中におけるN'-(2-シアノ-4-ニトロフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジン6.0g(27.5ミリモル)、シクロヘキセン33.9g(41.8mL、412.4ミリモル)および10%Pd/C0.6gの溶液を4時間還流した。この熱い混合物をセライト(Celite)に通して濾過した。溶媒を除去し、残渣をクロロホルム-四塩化炭素から再結晶して、表題化合物4.9g(95%)を明るい灰色の結晶性固体として得た。質量スペクトル(m/e):188.9(M+H,エレクトロスプレー)。
【0112】
実施例9
N-[3-シアノ-4-[[(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ]フェニル]-2-ブチンアミド
テトラヒドロフラン30mL中における2-ブチン酸2.01g(23.9ミリモル)およびクロロギ酸イソブチル2.9mL(22.3ミリモル)の溶液に、窒素下、0℃で、N-メチルモルホリン2.42g(2.63mL、22.3ミリモル)を3分間かけて加えながら攪拌した。15分間攪拌した後、テトラヒドロフラン25mL中におけるN'-(4-アミノ-2-シアノフェニル)-N,N-ジメチルホルムアミジンおよびN-メチルモルホリン1.6g(1.75mL、15.9ミリモル)の溶液を4分間かけて加えた。この混合物を0℃で30分間、室温で30分間攪拌した。この混合物を酢酸エチル70mLで希釈し、食塩水および飽和重炭酸ナトリウム溶液の混合物に注ぎ込んだ。有機層を乾燥(MgSO)し、シリカゲルの詰め物に通して濾過した。溶媒を除去し、残渣をエーテル50mLと共に攪拌した。懸濁した固体を集めて、オフホワイト色固体3.61g(89%)を得た。質量スペクトル(m/e):255.0(M+H,エレクトロスプレー)。
【0113】
実施例10
N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド
酢酸18mL中におけるN-[3-シアノ-4-[[(ジメチルアミノ)メチレン]アミノ]フェニル]-2-ブチンアミド3.0g(11.8ミリモル)および3-ブロモアニリン2.23g(12.98ミリモル)の溶液を窒素下で攪拌しながら1時間15分穏やかに還流した。この混合物を氷浴中で冷却すると、固体の集まりが形成した。この固体を濾取し、エーテル-アセトニトリル(1:1)で洗浄して、黄色固体を得た。これをエタノールから再結晶して、N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド2.51gを得た。質量スペクトル(m/e):381,383。
【0114】
実施例11
4-クロロ-ブタ-2-イン酸
塩化プロパルギル(2mL、26.84ミリモル)を窒素下でテトラヒドロフラン40mLに溶解し、−78℃に冷却した。n-ブチルリチウム(5.4mL、13.42ミリモル、n-ヘキサン中に2.5M)を加え、15分間攪拌した後、それに乾燥した二酸化炭素の気流を−78℃で2時間通した。反応溶液を濾過し、10%硫酸3.5mLで中和した。この溶液を蒸発させた後、残渣をエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥したエーテル溶液を蒸発させた後、油状生成物0.957g(60%)を得た。ESMS m/z 116.6(M−H)。
【0115】
実施例12
4-クロロ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.625g、4.58ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.506g、5.00ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン7mL中における4-クロロ-ブタ-2-イン酸0.542g(4.58ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン3.35mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.72g(2.287ミリモル)の溶液を加え、この混合物を0℃で1時間攪拌した。反応物を氷水でクエンチした。生成物を濾取し、水、エーテルで洗浄し、減圧乾燥して、褐色固体0.537gを得た。ESMS m/z 417.0(M+H)。
【0116】
実施例13
3-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン
tert-ブチルジメチルシリルクロリド(31.8g、0.211モル)、トリエチルアミン(23.5g、0.23モル)、4-N,N-ジメチルピリジン(0.103g、0.83ミリモル)および塩化メチレン(65mL)の氷冷溶液に、塩化メチレン15mL中におけるプロパルギルアルコール(10.6g、0.192モル)を滴下した。室温で21時間攪拌した後、反応溶液を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。蒸留後、生成物22.87g(0.135モル)を得た。CIMS m/z 171.2(M+H)。
参考文献:テトラヘドロン(Tetrahedron),37,3974(1981)
【0117】
実施例14
4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン酸
テトラヒドロフラン(50mL)中における3-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン(5g、29.4ミリモル)の溶液を、0℃で、臭化メチルマグネシウム溶液(11mL、294ミリモル、エチルエーテル中に3M)に滴下した。0℃で1.5時間、室温で2.5時間攪拌した後、この淡黄色溶液に乾燥した二酸化炭素の気流を2時間通した。この溶液を塩化アンモニウム水溶液(水9mL中に2g)および酢酸エチル200mLで処理した。この混合物を1%塩酸でpH5.0に滴定した。次いで、酢酸エチル層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。蒸発後、生成物6.28gを得た。HRMS m/z 215.1096(M+H)。
【0118】
実施例15
4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.639g、4.68ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.555g、5.487ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン32mL中における4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン酸1g(4.673ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン4mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.9797g(3.108ミリモル)の溶液を加え、この混合物を0℃で1時間攪拌した。反応物を氷水でクエンチした。反応溶液を酢酸エチルに注ぎ込み、飽和重炭酸ナトリウム溶液、食塩水で洗浄した。生成物を集め、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中における60%酢酸エチル)で精製して、4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.8gを得た。HRMS m/z 511.1145(M+H)。
【0119】
実施例16
4-ヒドロキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド(300mg、0.587ミリモル)を酢酸:水:テトラヒドロフラン(3:1:1)の溶液60mLに溶解し、室温で一晩攪拌した。反応溶液を冷たい食塩水で処理し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を重炭酸ナトリウム溶液、食塩水で洗浄した。乾燥した酢酸エチル溶液を蒸発させて、生成物275mgを得た。HRMS m/z 397.0258(M+H)。
【0120】
実施例17
ヘキサ-2,4-ジエン酸アミド
臭化プロパルギル(27.3g、230ミリモル)をアセトン350mL中におけるモルホリン(20g、230ミリモル)および炭酸セシウム(75g、230ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、ヘキサ-2,4-ジエン酸アミド18gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 126。
【0121】
実施例18
4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(51mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン200mL中におけるヘキサ-2,4-ジエン酸アミド(16g、128ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸13gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 168。
【0122】
実施例19
4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.343g、2.5ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.322g、3.18ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中における4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸0.540g(3.18ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン10mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.240gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 466。
【0123】
実施例20
4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(96mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン100mL中における1-ジメチルアミノ-2-プロピン(20g、240ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸15.6ggを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 126。
【0124】
実施例21
4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.235g、1.72ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.534g、5.28ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン30mL中における4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸0.336g(2.64ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン10mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.416gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.155gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 424。
【0125】
実施例22
4-メトキシ-ブタ-2-イン酸
エーテル(93mL)中における3.0M臭化メチルマグネシウムを、窒素下で、テトラヒドロフラン300mL中におけるメチルプロパルギルエーテル(20g、280ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を0℃に冷却し、加える間に温度を5℃以下に保ちながら、冷たい10%硫酸125mLを加えた。水層を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを蒸発させ、残渣を減圧下(0.3mmHgで沸点87〜90℃)で蒸留して、4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸15.6gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 126。
【0126】
実施例23
4-メトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.432g、3.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.959g、9.48ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン30mL中における4-メトキシ-ブタ-2-イン酸0.720g(6.32ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン8mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-メトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.270gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 411。
【0127】
実施例24
4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(54mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン60mL中における1-ジエチルアミノ-2-プロピン(15g、135ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸9.2gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 156。
【0128】
実施例25
4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.975g、7.14ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.500g、14.3ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン125mL中における4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸2.200g(14.3ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン12mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.750gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 452。
【0129】
実施例26
1-エチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン
臭化プロパルギル(20.8g、175ミリモル)をアセトン350mL中における1-エチルピペラジン(20g、175ミリモル)および炭酸セシウム(57g、175ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、1-エチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン19gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 153。
【0130】
実施例27
4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(42mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン80mL中における1-エチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン(16g、105ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸18gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 195。
【0131】
実施例28
4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.847g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.460g、14.4ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中における4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸1.900g(9.52ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン10mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(30:70)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド1.450gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 493。
【0132】
実施例29
ビス-(2-メトキシ-エチル)-プロパ-2-イニル-アミン
臭化プロパルギル(17.8g、150ミリモル)をアセトン350mL中におけるビス-(2-メトキシ-エチル)アミン(20g、150ミリモル)および炭酸セシウム(49g、150ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、ビス-(2-メトキシ-エチル)-プロパ-2-イニル-アミン20gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 172。
【0133】
実施例30
4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(42mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン80mL中におけるビス-(2-メトキシ-エチル)-プロパ-2-イニル-アミン(18g、105ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸18gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 214。
【0134】
実施例31
4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.845g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(0.963g、9.52ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中における4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸2.100g(9.52ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン10mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.660gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 512。
【0135】
実施例32
1-メチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン
臭化プロパルギル(23.8g、200ミリモル)をアセトン350mL中における1-メトキシ-ピペラジン(20g、200ミリモル)および炭酸セシウム(65g、200ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、1-メチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン7.5gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 139。
【0136】
実施例33
4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(17.2mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン40mL中における1-メチル-4-プロパ-2-イニル-ピペラジン(6.0g、43.5ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸7gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 181。
【0137】
実施例34
4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.905g、6.6ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.550g、15.3ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン150mL中における4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸1.900g(10.71ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン12mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチした後、それを飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(30:70)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.590gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 479。
【0138】
実施例35
(2-メトキシ-エチル)-メチル-プロパ-2-イニル-アミン
臭化プロパルギル(26.8g、225ミリモル)をアセトン350mL中におけるN-(2-メトキシエチル)メチルアミン(20g、225ミリモル)および炭酸セシウム(73g、225ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、(2-メトキシ-エチル)-メチル-プロパ-2-イニル-アミン14gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 127。
【0139】
実施例36
4-[(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ]-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(37.8mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン90mL中における(2-メトキシ-エチル)-メチル-プロパ-2-イニル-アミン(12.0g、94.5ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-[(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ]-ブタ-2-イン酸15gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 170。
【0140】
実施例37
(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.845g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.2g、11.9ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中における(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸1.6g(9.52ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン15mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチした後、それを飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.560gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 468。
【0141】
実施例38
イソプロピル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン
臭化プロパルギル(32.5g、273ミリモル)をアセトン350mL中におけるイソプロピルメチルアミン(20g、273ミリモル)および炭酸セシウム(89g、273ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、イソプロピル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン6gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 111。
【0142】
実施例39
4-(イソプロピル-メチル-アミノ)-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(18.4mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中におけるイソプロピル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン(5.1g、46ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-(イソプロピル-メチル-アミノ)-ブタ-2-イン酸5.5gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 154。
【0143】
実施例40
イソプロピル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.845g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.0g、9.9ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン70mL中におけるイソプロピル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸1.5g(9.67ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン15mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(15:85)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、イソプロピル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.870gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 452。
【0144】
実施例41
ジイソプロピル-プロパ-2-イニル-アミン
臭化プロパルギル(23.5g、197ミリモル)をアセトン350mL中におけるジイソプロピルアミン(20g、197ミリモル)および炭酸セシウム(64g、197ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、ジイソプロピル-プロパ-2-イニル-アミン12gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 139。
【0145】
実施例42
4-ジイソプロピルアミノ-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(28.8mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン70mL中におけるジイソプロピル-プロパ-2-イニル-アミン(10.0g、72ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-ジイソプロピルアミノ-ブタ-2-イン酸11gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 182。
【0146】
実施例43
ジイソプロピル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.845g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.0g、9.9ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン100mL中におけるジイソプロピル-アミノ-ブタ-2-イン酸1.8g(9.67ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン15mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(5:95)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、ジイソプロピル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド1.54gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 480。
【0147】
実施例44
アリル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン
臭化プロパルギル(33.4g、281ミリモル)をアセトン350mL中におけるイソプロピル-メチル-アミン(20g、281ミリモル)および炭酸セシウム(90g、281ミリモル)の混合物に滴下した。この混合物を窒素下、室温で一晩攪拌した。次いで、無機塩を濾別し、溶媒を除去した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液に溶解し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を蒸発させて、アリル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン4.6gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 110。
【0148】
実施例45
4-(アリル-メチル-アミノ)-ブタ-2-イン酸
ヘキサン中におけるn-ブチルリチウム(16.4mL、n-ヘキサン中に2.5M)を、窒素下で、テトラヒドロフラン50mL中におけるアリル-メチル-プロパ-2-イニル-アミン(4.5g、46ミリモル)にゆっくり加えた。この混合物を−78℃で1時間攪拌した後、乾燥した二酸化炭素を一晩通した。得られた溶液を水に注ぎ込み、酢酸エチルで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させて、粗製の酸を得た。乾燥した酸をメタノールに溶解し、不溶塩を濾過により除去した。濾液を集め、減圧乾燥して、4-(アリル-メチル-アミノ)-ブタ-2-イン酸4.1gを得た。質量スペクトル(m/e):M−H 152。
【0149】
実施例46
アリル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
クロロギ酸イソブチル(0.845g、6.2ミリモル)およびN-メチルモルホリン(1.0g、9.9ミリモル)を、窒素下で、テトラヒドロフラン100mL中におけるアリル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸1.53g(10.0ミリモル)の氷冷溶液に加えた。30分間攪拌した後、ピリジン15mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.500gの溶液を加え、この混合物を0℃で2時間攪拌した。次いで、反応物を氷水でクエンチした後、それを飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出物をメタノール-酢酸エチル(5:95)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、アリル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.750gを得た。質量スペクトル(m/e):M+H 450。
【0150】
実施例47
N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-3(E)-クロロ-2-プロペンアミド
テトラヒドロフラン25mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン2.2gおよびジイソプロピルメチルアミン1.13gの溶液を、3-cis-クロロアクリロイルクロリド1.0gを5分間かけて加えながら、氷浴中で冷却した。30分間攪拌、冷却し、室温でさらに30分間攪拌した後、この混合物を食塩水および飽和重炭酸ナトリウム溶液の混合物に注ぎ込んだ。この混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をクロロホルムおよび酢酸の混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-3(E)-クロロ-2-プロペンアミドを黄色がかった固体を得た。質量スペクトル(m/e):M+H 404.7。
【0151】
実施例48
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
エタノール10mL中における3,4-ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン1.08gおよびN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.0gの溶液を3時間還流した。この混合物を室温に冷却した。固体を濾取し、エタノールで洗浄して、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.9gを黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 441.1。
【0152】
実施例49
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-ジメチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.8g、40%ジメチルアミン8mLおよびエタノール8mLの混合物を2時間還流した。この混合物を室温に冷却し、固体を集め、エタノール、エーテルで洗浄して、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-ジメチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.7gを黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 438.1,440.1。
【0153】
実施例50
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-メチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.8g、33%メチルアミン15mL、水5mLおよびエタノール5mLの混合物を5時間還流した。この混合物を室温に冷却し、固体を集め、エタノール、エーテルで洗浄して、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-メチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.45gを黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 426.0。
【0154】
実施例51
3-アミノ-4-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.8g、アンモニア水8mLおよびエタノール8mLの混合物を1時間還流した。この混合物を室温に冷却し、固体を集め、エタノール、エーテルで洗浄して、3-アミノ-4-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.65gを黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 412.1。
【0155】
実施例52
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-モルホリン-4-イル-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.8g、モルホリン4mLおよびエタノール20mLの混合物を2時間還流した。この混合物を室温に冷却し、固体を集め、エタノール、エーテルで洗浄して、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-モルホリン-4-イル-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン0.69gを黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 480.1,482.1。
【0156】
実施例53
1-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン15mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.75gおよびN,N-ジイソプロピルメチルアミン1.5gの溶液を、固体のN-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロニコチニルクロリド塩酸塩を加えながら、0℃で攪拌した。0℃で1時間、室温で2時間攪拌し続けた。この混合物を重炭酸ナトリウムおよび食塩水の混合物に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルおよびメタノールの混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付した。生成物は1%トリエチルアミンを含有する酢酸エチル-メタノール(4:1)で溶出し、1-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.9gを明るい黄色粉末として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 438.3,440.3。
【0157】
実施例54
4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸
テトラヒドロフラン200mL中における鉱油中60%水素化ナトリウム6gの懸濁液に、窒素下で攪拌しながら、0℃で、メトキシエタノール10gを15分間かけて滴下した。この混合物をさらに1時間攪拌した。この攪拌混合物に、0℃で、臭化プロパルギル(トルエン中に80%)19.54gを加えた。室温で一晩攪拌し続けた。この混合物を濾過し、濾液から溶媒を除去した。残渣を蒸留した。蒸留液をエーテル250mLに溶解した。この溶液を窒素下で攪拌し、ヘキサン中における2.5M n-ブチルリチウム40mLを15分間かけて加えながら、−78℃に冷却した。さらに1.5時間攪拌し続けた。攪拌している反応混合物の表面に、それを−78℃から室温に温めながら、乾燥した二酸化炭素を通した。この混合物を二酸化炭素雰囲気下で一晩攪拌した。この混合物を塩化アンモニウムおよび塩化ナトリウムの混合物100mL中に注ぎ込んだ。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を100℃、4mmHgで1時間保って、4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸11.4gを得た。
【0158】
実施例55
4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン15mL中における4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸0.72gおよびクロロギ酸イソブチル0.57mLの攪拌溶液に、0℃で、N-メチルモルホリン0.5mL、次いで固体のN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.2gを加えた。0℃で1時間、室温で30分間攪拌し続けた。この混合物を−10℃で一晩保存した。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル、クロロホルムおよびメタノールの溶媒混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.55gを黄色固体として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 454.9,456.9。
【0159】
実施例56
4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸
テトラヒドロフラン271mL中における鉱油中60%水素化ナトリウム8.2gの懸濁液に、窒素下で攪拌しながら、0℃で、プロパルギルアルコール10gを15分間かけて滴下した。この混合物をさらに30分間攪拌した。この攪拌混合物に、0℃で、クロロメチルメチルエーテル15.8gを加えた。室温で一晩攪拌し続けた。この混合物を濾過し、濾液から溶媒を除去した。残渣を蒸留(35〜38℃、4mmHg)して、液体8.5gを得た。蒸留液をエーテル200mLに溶解した。この溶液を窒素下で攪拌し、ヘキサン中における2.5M n-ブチルリチウム34.1mLを15分間かけて加えながら、−78℃に冷却した。さらに1.5時間攪拌し続けた。攪拌している反応混合物の表面に、それを−78℃から室温に温めながら、乾燥した二酸化炭素を通した。この混合物を二酸化炭素雰囲気下で一晩攪拌した。この混合物を塩酸14mLおよび水24mLの混合物中に注ぎ込んだ。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を100℃、4mmHgで1時間保って、4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸10.4gを得た。
【0160】
実施例57
4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン16mL中における4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸0.66gおよびクロロギ酸イソブチル0.60mLの攪拌溶液に、0℃で、N-メチルモルホリン0.5mL、次いで固体のN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.2gを加えた。0℃で1時間、室温で30分間攪拌し続けた。さらに同量の上で製造した混合無水物を加えた。この混合物をさらに30分間攪拌し、−10℃で一晩保存した。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルおよびクロロホルムの溶媒混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド0.35gを黄褐色固体として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 441.0。
【0161】
実施例58
4-メトキシ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
メタノール200mL中における4-ブロモクロトン酸メチル54gおよび炭酸カルシウム30.2gの混合物を5日間還流した。この混合物を濾過し、濾液から溶媒を除去した。残渣をエーテルに溶解し、痕跡量の塩酸を含有する水で洗浄した。エーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣を蒸留して、4-メトキシクロトン酸メチル30.6gを得た。この物を1N水酸化ナトリウム170mL中で3分間攪拌した。この溶液をエーテルで洗浄し、水層を硫酸で酸性にした。この混合物をエーテルで数回抽出した。合わせた抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去して、4-メトキシクロトン酸を結晶性固体として得た。この酸10gをベンゼン50mL中、0℃で攪拌し、塩化オキサリル8.3mLを加えた。この混合物を室温で6時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣を蒸留して、4-メトキシクロトニルクロリドを無色液体として得た。
【0162】
テトラヒドロフラン21mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.0gおよびジイソプロピルメチルアミン0.62gの攪拌溶液に、0℃で、4-メトキシクロトニルクロリド0.62gを加えた。この混合物を0℃で1.5時間、室温で10分間攪拌した。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム-食塩水に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をシリカゲルに通して濾過し、溶媒を除去した。残渣を1-ブタノールから再結晶して、4-メトキシ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド1.25gを黄色固体として得た。質量スペクトル(m/e):M+H 415.0。
【0163】
実施例59
2-{[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-メチル}-アクリル酸メチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド20mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン3.15g(0.01モル)、2-ブロモメチルアクリル酸メチル1.32mL(1.96g、0.011モル)および炭酸カリウム2.76g(0.02モル)の混合物を室温で1.5時間攪拌した。次いで、反応物を水に注ぎ込み、得られた混合物を酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル溶液をクロマトグラフィーカラムに直接注ぎ込み、このカラムを酢酸エチルで溶出した。2つの主生成物がカラムから溶出したが、そのうち2番目のものが所望の生成物を含んでいた。溶媒を蒸発させた後、残渣を塩化メチレンと共に煮沸した。ヘキサンをいくらか加えると、固体が生じた。これを濾過した。固体が形成するまで濾液を蒸発させた。かくして、生成物0.88gを得た。これは157〜162℃で融解した。MS(M+H)413,415。
【0164】
実施例60
(E)-4-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-ブタ-2-エン酸メチルエステル
N,N-ジメチルホルムアミド20mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン3.15g(0.01モル)、4-ブロモクロトン酸メチル1.38mL(1.96g、0.011モル、純度85%)および炭酸カリウム2.76g(0.02モル)の混合物を攪拌し、80℃の油浴中で1時間加熱した。反応物を水に注ぎ込み、得られた混合物を酢酸エチル3〜50mLで数回抽出した。合わせた抽出物を水5〜50mLで数回、次いで食塩水25mLで洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下でガム状物とした。このガム状物を塩化メチレンと共に摩砕して、CL 151757 0.875g(21%)を得た。これは185〜190℃で融解した。MS M+H=413,415。
【0165】
実施例61
ブタ-2-イン酸[4-(3-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
氷酢酸2.5mLおよびアセトニトリル5mL中におけるブタ-2-イン酸[3-シアノ-4-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-フェニル]-アミド2.54g(0.01モル)、N,N-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン二塩酸塩2.40g(0.0115モル)および炭酸カリウム1.59g(0.0115モル)の混合物を1時間還流した。冷却後、固体を濾過し、メチルセロソルブから再結晶して、所望の生成物2.02g(58%)を得た。これは252〜254℃で融解した。MS M+H=346.1。
【0166】
実施例62
2-モルホリン-4-イルメチル-アクリル酸
クラウチク(Krawczyk)が報告した方法[ヘンリク・クラウチク(Henryk Krawczyk)、シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications),25,641-650(1995)]により、モルホリン8.8mL(8.8g、0.1モル)をジオキサン100mL中におけるパラホルムアルデヒド6.6g(0.22当量)およびマロン酸10.4g(0.1モル)に加えた。70℃の油浴中で1.5時間加熱した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をアセトンに溶解し、何らかの不溶物を濾過した。濾液を減圧下で油状物とした。この油状物をシリカゲルクロマトグラフィーに付した。生成物をメタノール-塩化メチレン(1:19)で溶出して、生成物5.51g(32%)を得た。これは121〜125℃で融解した。
【0167】
実施例63
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-モルホリン-4-イルメチル-アクリルアミド
テトラヒドロフラン25mL中における2-モルホリン-4-イルメチル-アクリル酸2.06g(0.012モル)のテトラヒドロフラン溶液を氷浴中で冷却し、クロロギ酸イソブチル1.56mL(1.64g、0.012モル)を加えると、沈殿が生じた。この後、N-メチルモルホリン1.32mL(1.22g、0.012モル)を加えた。2分後、ピリジン25mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン3.15g(0.01モル)を加えた。冷却および攪拌を1.5時間続けた。次いで、反応物を氷および酢酸エチル25mLに注いだ。得られた混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で油状物とした。これを水洗し、シリカゲルクロマトグラフィーに付した。このカラムを酢酸エチル-ヘキサン(1:1)からメタノール-酢酸エチル(1:19)までの範囲内の勾配で溶出した。5番目の画分が所望の生成物0.733g(15%)を含んでいた。質量スペクトル(m/e) M+H 235.5。
【0168】
実施例64
4-ブロモクロトン酸
ブラウン(Braun)の方法[ギザ・ブラウン(Giza Braun)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.),52,3167(1930)]に従って、エタノール32mLおよび水93mL中における4-ブロモクロトン酸メチル11.76mL(17.9g、0.1モル)を−11℃に冷却した。反応物を激しく攪拌し、微粉末の水酸化バリウム15.77g(0.05モル)を約1時間かけて数回に分けて加えた。冷却および激しい攪拌を約16時間続けた。次いで、反応混合物をエーテル100mLで抽出した。水層を濃硫酸2.67mL(4.91g、0.05モル)で処理した。得られた混合物をエーテル3〜100mLで数回抽出した。合わせたエーテル抽出物を食塩水50mLで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を減圧下で油状物とした。この油状物を沸騰ヘプタン約400mL中に取ると、カム状物が残った。ヘプタン溶液を分離し、沸騰させて、約50mLに減らした。冷却して、生成物3.46gを得た。
【0169】
実施例65
4-ブロモ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
塩化オキサリル2.88mL(4.19g、0.033モル)を、ジクロロメタン25mL中に懸濁した4-ブロモクロトン酸2.47g(0.015モル)に加えた。これにN,N-ジメチルホルムアミドを3滴加えた。約1.5時間攪拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残留する油状物をテトラヒドロフラン20mLに溶解した。この溶液を氷浴中で冷却し、テトラヒドロフラン50mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン4.72g(0.015モル)の溶液を滴下した。この後、まだ冷却しながら、テトラヒドロフラン10mL中におけるジイソプロピルエチルアミン2.61mL(1.99g、0.015モル)を滴下した。1時間冷却、攪拌後、酢酸エチル80mLおよび水100mLを加えた。層を分離し、水層をテトラヒドロフラン-酢酸エチル(1:1)100mLで抽出した。合わせた有機層を食塩水50mLで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。この溶液を減圧下で固体とした。この固体を酢酸エチル100mLで1時間温浸して、生成物5.87g(84%)を得た。質量スペクトル(m/e) M+H 460.8,462.8,464.8。
【0170】
実施例66
4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン中における2Nジメチルアミン25mLを氷浴中で攪拌、冷却し、テトラヒドロフラン20mLおよびN,N-ジメチルホルムアミド10mL中における4-ブロモ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド1.16g(2.5ミリモル)の溶液を滴下した。2時間攪拌した後、酢酸エチル45mLおよび飽和重炭酸ナトリウム水溶液30mLを加え、層を分離した。有機層を食塩水25mLで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で油状物とした。これをメタノール-塩化メチレン(1:4)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、所望の生成物475mg(44%)を得た。これは215〜217℃で融解した。質量スペクトル(m/e) M+2H 213.4,214.4;M+H 426.1。
【0171】
実施例67
4-ジエチルアミノ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン20mL中におけるジエチルアミン5.17mL(3.65g、50ミリモル)の溶液を氷浴中で攪拌、冷却し、テトラヒドロフラン10mLおよびN,N-ジメチルホルムアミド5mL中における4-ブロモ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド1.16g(2.5ミリモル)の溶液を滴下した。2時間攪拌した後、酢酸エチル45mLおよび飽和重炭酸ナトリウム水溶液30mLを加え、層を分離した。有機層を食塩水25mLで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で油状物とした。これをメタノール-塩化メチレン(1:9)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、所望の生成物677mg(59%)を得た。これは196〜199℃で融解した。質量スペクトル(m/e) M+2H 228.5。
【0172】
実施例68
メチルジスルファニル-酢酸
メルカプト酢酸(0.82mL)を水50mL中で攪拌し、氷浴中で0℃に冷却した。この溶液にエタノール20mL中におけるメタンチオスルホン酸メチル1.33mLの溶液を滴下した。この混合物を室温に温め、一晩攪拌した。この混合物に飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)を加え、エーテル150mLを用いて、この水溶液を2回抽出した。合わせたエーテル層を飽和塩化ナトリウム水溶液30mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを蒸発させて、明るい黄色の油状物2.43gを得た。クーゲルロール(Kugelrohr)蒸留装置で蒸留して、無色油状物1.23gを得た。
H NMR(CDCl):δ10.08(s,1H);δ3.54(s,2H);δ2.5(s,3H)。
MS(EI):m/z 137.9(M)。
ティー・エフ・パーソンズ(T.F. Parsons)らの方法[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.),30,1923(1965)]を変更した。
【0173】
実施例69
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-メチルジスルファニル-アセトアミド
テトラヒドロフラン30mL中における実施例68のジスルフィド酸1.23gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル1.15mL、次いでN-メチルモルホリン0.98mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、6-アミノ4-(3-ブロモアニリノ)キナゾリン0.93gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物0.11gを得た。
H NMR(DMSO):δ10.55(s,1H);δ9.98(s,1H);δ8.71(d,1H,J=1.8);δ8.58(s,1H);δ8.15(t,1H,J=1.9);δ7.87(m,3H);δ7.35(m,2H);δ3.74(s,2H);δ2.44(s,3H)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 435.1,437.1(M+H)
元素分析の結果(C1715BrNOSとして):
計算値:C,46.90;H,3.47;N,12.87
実測値:C,46.79;H,3.32;N,12.47。
【0174】
実施例70
3-メチルジスルファニル-プロピオン酸
3-メルカプトプロピオン酸0.9mLを水50mL中で攪拌し、氷浴中で0℃に冷却した。この溶液にメタンチオスルホン酸メチル1.11mLのエタノール溶液20mLを滴下した。この混合物を室温に温め戻し、一晩攪拌した。この混合物に飽和塩化ナトリウム溶液20mLを加え、エーテル150mLを用いて、この水溶液を2回抽出した。合わせたエーテル層を飽和塩化ナトリウム水溶液30mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを蒸発させて、明るい黄色の油状物を得た。クーゲルロール蒸留装置で蒸留して、無色油状物1.5gを得た。
H NMR(CDCl):δ8.85(s,b);δ2.9(t,2H,J=6);δ2.8(t,2H,J=6);δ2.45(s,3H)。
【0175】
実施例71
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-3-メチルジスルファニル-プロピオンアミド
テトラヒドロフラン30mL中における実施例70のジスルフィド酸1.5gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル1.28mL、次いでN-メチルモルホリン1.08mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、6-アミノ4-(3-ブロモアニリノ)キナゾリン0.77gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物の明るい黄色の固体0.22gを得た。
H NMR(DMSO):δ10.42(s,1H);δ9.94(s,1H);δ8.73(d,1H,J=1.5);δ8.58(s,1H);δ8.18(t,1H,J=1.8);δ7.85(m,3H);δ7.33(m,2H);δ3.06(t,2H,J=7.2);δ2.85(t,2H,J=6.6);δ2.46(s,3H)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 449.1,451.1(M+H)
元素分析の結果(C1817BrNOSとして):
計算値:C,48.11;H,3.11;N,12.47
実測値:C,47.91;H,3.85;N,11.58。
【0176】
実施例72
2-メチルジスルファニル-プロピオン酸
2-メルカプトプロピオン酸(1.25mL)を水50mL中で攪拌し、氷浴中で0℃に冷却した。この溶液にエタノール20mL中におけるメタンチオスルホン酸メチル1.57mLの溶液を滴下した。この混合物を室温に温め、一晩攪拌した。この混合物に飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)を加え、エーテル150mLを用いて、この水溶液を2回抽出した。エーテル抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液30mLで逆洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを蒸発させて、無色油状物2gを得た。
H NMR(CDCl):δ3.55(q,1H,J=7.1Hz);δ2.46(s,3H);δ1.51(d,3H,J=7.1Hz)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 151 (M−H)
【0177】
実施例73
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-メチルジスルファニル-プロピオンアミド
テトラヒドロフラン50mL中における実施例72のジスルフィド酸2gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル1.7mL、次いでN-メチルモルホリン1.4mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、6-アミノ4-(3-ブロモアニリノ)キナゾリン1.0gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物の白色固体0.7gを得た。
H NMR(DMSO):δ10.54(s,1H);δ9.98(s,1H);δ8.74(d,1H,J=1.8);δ8.58(s,1H);δ8.15(s,1H);δ7.87(m,3H);δ7.33(m,2H);δ3.90(q,1H,J=7.0);δ2.43(s,3H);δ1.50(d,3H,J=6.9)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 449.1,451.1(M+H)
元素分析の結果(C1817BrNOSとして):
計算値:C,48.11;H,3.81;N,12.47
実測値:C,47.74;H,3.67;N,12.32。
【0178】
実施例74
tert-ブチルジスルファニル-酢酸
テトラヒドロフラン100mL中における2,2'-ジピリジルジスルフィド11g(50ミリモル)およびトリエチルアミン8.4mL(60ミリモル)に、0℃で、テトラヒドロフラン5mL中におけるメルカプト酢酸2.8mL(40ミリモル)を加えた。氷浴を取り外し、1時間後、tert-ブチルチオール6.8mL(65ミリモル)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した後、エーテルで希釈し、1N塩酸水溶液で3回洗浄した。次いで、生成物を10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層をエーテルで2回洗浄した後、塩酸でpH約3.5の酸性にした。生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。この物をクーゲルロール蒸留装置で蒸留して、部分的に精製された生成物6.6g(37ミリモル、92%)を得た。この物は、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0179】
実施例75
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-tert-ブチルジスルファニル-アセトアミド
テトラヒドロフラン25mL中における実施例74のジスルフィド酸2.7gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル1.9mL、次いでN-メチルモルホリン1.6mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、N-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン1.0gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物の白色固体0.3gを得た。
H NMR(DMSO):δ10.50(s,1H);δ9.97(s,1H);δ8.71(d,1H,J=1.8);δ8.58(s,1H);δ8.16(s,1H);δ7.84(m,3H);δ7.34(m,2H);δ3.75(s,2H);δ1.34(d,9H)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 477.1,479.1(M+H)
元素分析の結果(C2021BrNOSとして):
計算値:C,50.31;H,4.43;N,11.73
実測値:C,49.73;H,4.16;N,11.62。
【0180】
実施例76
イソブチルジスルファニル-酢酸
テトラヒドロフラン100mL中における2,2'-ジピリジルジスルフィド11g(50ミリモル)およびトリエチルアミン10.5mL(75ミリモル)に、0℃で、テトラヒドロフラン5mL中におけるメルカプト酢酸3.5mL(50ミリモル)を加えた。氷浴を取り外し、1時間後、イソブチルチオール5.5mL(50ミリモル)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した後、エーテルで希釈し、1N塩酸水溶液で3回洗浄した。次いで、生成物を10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層をエーテルで2回洗浄した後、塩酸でpH約3.5の酸性にした。生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。この物をクーゲルロール蒸留装置で蒸留して、部分的に精製された生成物3.0g(17ミリモル、33%)を得た。この物は、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0181】
実施例77
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-イソブチルジスルファニル-アセトアミド
テトラヒドロフラン50mL中における実施例76のジスルフィド酸3.0gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル2.1mL、次いでN-メチルモルホリン1.8mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、6-アミノ-4-(3-ブロモアニリノ)キナゾリン0.85gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物の白色固体0.15gを得た。
H NMR(DMSO):δ11.0(s,1H);δ9.98(s,1H);δ8.71(s,1H);δ8.58(s,1H);δ8.15(m,1H);δ7.84(m,3H);δ7.32(m,2H);δ3.72(s,2H);δ2.70(d,2H,J=6.9);δ1.92(m,1H);δ0.92(d,6H,J=6.6)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 477.2,479.2(M+H)
元素分析の結果(C2021BrNOSとして):
計算値:C,50.31;H,4.43;N,11.73
実測値:C,50.13;H,4.34;N,11.56。
【0182】
実施例78
イソプロピルジスルファニル-酢酸
テトラヒドロフラン100mL中における2,2'-ジピリジルジスルフィド11g(50ミリモル)およびトリエチルアミン8.4mL(60ミリモル)に、0℃で、テトラヒドロフラン5mL中におけるメルカプト酢酸2.8mL(40ミリモル)を加えた。氷浴を取り外し、1時間後、イソプロピルチオール6.0mL(65ミリモル)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌した後、エーテルで希釈し、1N塩酸水溶液で3回洗浄した。次いで、生成物を10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層をエーテルで2回洗浄した後、塩酸でpH約3.5の酸性にした。生成物をエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。この物をクーゲルロール蒸留装置で蒸留して、部分的に精製された生成物3.5g(21ミリモル、42%)を得た。この物は、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0183】
実施例79
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-イソプロピルジスルファニル-アセトアミド
テトラヒドロフラン30mL中における実施例78のジスルフィド酸1.4gの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル1.1mL、次いでN-メチルモルホリン0.9mLを加えた。0℃で5分間攪拌した後、N-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン0.66gを加えた。この混合物を0℃で3時間攪拌した後、室温に温めた。反応物を水でクエンチし、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させた。塩化メチレンを加えた後、塩化メチレン層を水洗し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。塩化メチレン中におけるメタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、生成物0.01gを得た。
H NMR(DMSO):δ10.65(s,1H);δ10.01(s,1H);δ8.74(s,1H);δ8.59(bs,1H);δ8.18(m,1H);δ7.95(m,1H);δ7.85(m,2H);δ7.35(m,2H);δ3.73(s,2H);δ3.15(m,1H);δ1.27(d,6H,J=6.6)。
MS(エレクトロスプレー):m/z 463.1,465.1(M+H)
HRMS(EI):計算値462.0184,実測値462.0140。
【0184】
実施例80
2,3-エポキシ-プロピオン酸
アセトニトリル27mLおよび水40.5mL中におけるグリシドール2.0gおよび過ヨウ素酸ナトリウム20.0gの懸濁液に、室温で、RuCl・(HO)を加えた。得られた反応混合物を2時間激しく攪拌した後、エーテル270mLで希釈した。有機層を分離した。水層をエーテル(3回×100mL)で抽出した。合わせた有機溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥し、セライトの詰め物に通して濾過した。溶媒を除去して、粗生成物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、エポキシ酸1.12gを液体として収率47%で得た。
参考文献:ドミニク・ポンス(Dominique Pons)、モアケ・サヴィニャック(Moique Savignac)およびジャン-ピエール・ジュネ(Jean-Pierre Genet)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),31(35),P.5023-5026,1990。
【0185】
実施例81
オキシラン-2-カルボン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
テトラヒドロフラン2.0mL中における2,3-エポキシプロピオン酸280mgの溶液を氷浴中で冷却した。クロロギ酸イソブチル0.42mL、次いでN-メチルモルホリン0.48mLを加えた。5分後、テトラヒドロフラン4mL中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン500mgの懸濁液を加えた。得られた反応混合物を0℃で3時間攪拌した後、水30mLで希釈した。この水溶液を酢酸エチル50mLで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。溶媒を減圧下で除去して、固体の残渣を得た。この粗生成物を分取TLCで精製して、生成物109.9mgを黄色固体として収率18%で得た。融点228〜300℃;質量スペクトル(m/e):385.0264。
【0186】
実施例82
エテンスルホン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド
THF(50mL)中におけるN-(3-ブロモフェニル)-4,6-キナゾリンジアミン(315mg、1ミリモル)およびトリエチルアミン(0.5mL)の溶液に、0℃で、2-クロロ-エチルスルホニルクロリド(490mg、3ミリモル)を滴下した。この溶液を0℃で10分間攪拌した後、それをクロロホルム中における10%メタノールを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して、エテンスルホン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド212mgを明るい黄色の固体として得た。HRMS(m/e):M+ 403.9937。
エイ・エイ・ゴールドバーグ(A.A. Goldberg)の方法[ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ(J. Chem. Soc.),464(1945)]を変更した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式1
【化1】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN−アルキル−N−アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N−ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R−(C(R−Y−、R−(C(R−M−(C(R−Y−またはHet−W−(C(R−Y−;
Yは、
【化2】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化3】

【化4】

【化5】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化6】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基のみで置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化7】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
n=0、Zが-NH-、かつXが無置換のフェニル環またはハロゲンもしくは炭素数1〜6のアルキルで置換されたフェニル環である請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
、RおよびRが水素である請求項2記載の化合物。
【請求項4】
4-ジメチルアミノ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
4-モルホリン-4-イル-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-ジメチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-ジエチルアミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-[ビス-(2-メトキシ-エチル)-アミノ]-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、イソプロピル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、ジイソプロピル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、アリル-メチル-アミノ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドまたはブタ-2-イン酸[4-(3-ジメチルアミノ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項6】
4-メトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-(2-メトキシ-エトキシ)-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドまたは4-メトキシメトキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-エトキシ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-ジメチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン、3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-メチルアミノ-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン、3-アミノ-4-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンまたは3-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-4-モルホリン-4-イル-シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
4-メトキシ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドまたは1-メチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリジン-3-カルボン酸4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-モルホリン-4-イルメチル-アクリルアミドまたは4-ジエチルアミノ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項10】
N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-メチルジスルファニル-プロピオンアミド、N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-3-メチルジスルファニル-プロピオンアミド、N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-メチルジスルファニル-アセトアミド、N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-tert-ブチルジスルファニル-アセトアミド、N-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-イソブチルジスルファニル-アセトアミドまたはN-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-2-イソプロピルジスルファニル-アセトアミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項11】
2-{[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-メチル}-アクリル酸メチルエステルまたは(E)-4-[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イルアミノ]-メチル}-ブタ-2-エン酸メチルエステルである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項12】
4-クロロ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、4-ヒドロキシ-ブタ-2-イン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-3(E)-クロロ-2-プロペンアミド、4-ブロモ-ブタ-2-エン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミド、オキシラン-2-カルボン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドまたはエテンスルホン酸[4-(3-ブロモ-フェニルアミノ)-キナゾリン-6-イル]-アミドである請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
必要とする哺乳動物の脱調節タンパク質チロシンキナーゼの生物学的効果を阻害する方法であって、該哺乳動物に、有効量の構造式1
【化8】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【化9】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化10】

【化11】

【化12】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化13】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基のみで置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化14】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することからなる方法。
【請求項14】
必要とする哺乳動物の新生物を治療、増殖阻害または根絶する方法であって、該哺乳動物に、有効量の構造式1
【化15】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【化16】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化17】

【化18】

【化19】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化20】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基のみで置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化21】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することからなる方法。
【請求項15】
新生物がEGFRまたはerbB2(Her2)を発現する請求項14記載の方法。
【請求項16】
新生物が、乳房、腎臓、膀胱、口腔、喉頭、食道、胃、結腸、卵巣および肺からなる群から選択される請求項14記載の方法。
【請求項17】
必要とする哺乳動物の多嚢胞性腎疾患を治療、進行阻害または根治する方法であって、該哺乳動物に、有効量の構造式1
【化22】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【化23】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化24】

【化25】

【化26】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化27】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基のみで置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化28】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することからなる方法。
【請求項18】
構造式1
【化29】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【化30】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化31】

【化32】

【化33】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化34】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基のみで置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化35】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩と医薬用担体からなる医薬組成物。
【請求項19】
医薬または治療物質として用いるための請求項1〜12のいずれか1項記載の式1で示される化合物。
【請求項20】
必要とする哺乳動物の脱調節タンパク質チロシンキナーゼの生物学的効果を阻害するのに用いるための請求項19記載の化合物。
【請求項21】
必要とする哺乳動物の新生物を治療、増殖阻害または根絶するのに用いるための請求項19記載の化合物。
【請求項22】
EGFRまたはerbB2(Her2)を発現する新生物を治療、増殖阻害または根絶するのに用いるための請求項21記載の化合物。
【請求項23】
乳房、腎臓、膀胱、口腔、喉頭、食道、胃、結腸、卵巣および肺からなる群から選択される新生物を治療、増殖阻害または根絶するのに用いるための請求項21記載の化合物。
【請求項24】
必要とする哺乳動物の多嚢胞性腎疾患を治療、進行阻害または根治するのに用いるための請求項19記載の化合物。
【請求項25】
構造式1
【化36】

[式中、Xは、炭素数3〜7のシクロアルキルであり、所望により、1個またはそれ以上の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいか、あるいは、ピリジニル、ピリミジニルまたはフェニル環であり、所望により、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、アジド、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、アミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノ、炭素数3〜8のアルケノイルアミノ、炭素数3〜8のアルキノイルアミノ、炭素数2〜7のカルボキシアルキル、炭素数3〜8のカルボアルコキシアルキル、アミノメチル、炭素数2〜7のN-アルキルアミノメチル、炭素数3〜7のN,N-ジアルキルアミノメチル、メルカプト、メチルメルカプトおよびベンゾイルアミノからなる群から選択される置換基で一置換、二置換または三置換されていてもよい;
Zは、-NH-、-O-、-S-または-NR-;
Rは、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜6のアルケニルオキシ、炭素数2〜6のアルキニルオキシ、ヒドロキシメチル、ハロメチル、炭素数1〜6のアルカノイルオキシ、炭素数3〜8のアルケノイルオキシ、炭素数3〜8のアルキノイルオキシ、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルケノイルオキシメチル、炭素数4〜9のアルキノイルオキシメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数1〜6のアルキルチオ、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル、炭素数1〜6のアルキルスルホニル、炭素数1〜6のアルキルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルケニルスルホンアミド、炭素数2〜6のアルキニルスルホンアミド、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンジル、アミノ、ヒドロキシアミノ、炭素数1〜4のアルコキシアミノ、炭素数1〜6のアルキルアミノ、炭素数2〜12のジアルキルアミノ、N-アルキルカルバモイル、N,N-ジアルキルカルバモイル、炭素数4〜12のN-アルキル-N-アルケニルアミノ、炭素数6〜12のN,N-ジアルケニルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、R-(C(R))-Y-、R-(C(R))-M-(C(R))-Y-またはHet-W-(C(R))-Y-;
Yは、
【化37】

からなる群から選択される二価の基;
は、-NRまたは-OR
Mは、>NR、-O-、>N-(C(R))NRまたは>N-(C(R))-OR
Wは、>NR、-O-または結合;
Hetは、ヘテロ環であり、所望により、炭素または窒素上がRで一置換または二置換されていてもよく、また、所望により、炭素上が-CHORで一置換されていてもよく、該へテロ環は、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド、ピペリジン、ピロリジン、アジリジン、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランからなる群から選択される;
は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数1〜6のシクロアルキル、炭素数2〜7のカルボアルキル、カルボキシアルキル(炭素数2〜7)、フェニル、あるいは、所望により、1個またはそれ以上のハロゲン、炭素数1〜6のアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、炭素数1〜3のアルキルアミノ、炭素数2〜6のジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アジド、ハロメチル、炭素数2〜7のアルコキシメチル、炭素数2〜7のアルカノイルオキシメチル、炭素数1〜6のアルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシル、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、フェノキシ、フェニル、チオフェノキシ、ベンゾイル、ベンジル、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、炭素数1〜6のアルカノイルアミノまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよいフェニル;
は、
【化38】

【化39】

【化40】

からなる群から選択される;
は、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニル、炭素数2〜7のカルボアルキル、R-(C(R))-、R-(C(R))-M-(C(R))-、R-CH-M-(C(R))-またはHet-W-(C(R))-;
およびRは、各々独立して、-(C(R))NRまたは-(C(R))OR
Jは、独立して、水素、塩素、フッ素または臭素;
Qは、炭素数1〜6のアルキルまたは水素;
a=0または1;
g=1〜6;
k=0〜4;
n=0〜1;
p=2〜4;
q=0〜4;
r=1〜4;
s=1〜6;
u=0〜4およびv=0〜4であり、u+vの和は2〜4
(ただし、ZがNH;
nが0;
が、
【化41】

からなる群から選択され;
が、独立して、かつ限定的に、水素、炭素数1〜6のアルキル、カルボキシ、炭素数1〜6のカルボアルコキシ、フェニルまたは炭素数2〜7のカルボアルキル;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;
が水素、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルコキシ;かつ
が水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシまたはトリフルオロメチルの場合、
Xは、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、カルボキシ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、炭素数2〜7のカルボアルキル、アミノおよび炭素数1〜6のアルカノイルアミノからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で排他的に置換されたフェニル環ではない;
さらに、Rが、
【化42】

かつRが水素または炭素数1〜6のアルキルの場合、
はハロゲンではない;
さらにまた、Rが炭素数2〜7のアルケニルまたは炭素数2〜7のアルキニルの場合、かかるアルケニルまたはアルキニル部分は、飽和炭素原子を介して窒素原子または酸素原子に結合している;
最後に、Yが-NR-またはRが-NRの場合、g=2〜6;
Mが-O-かつRが-ORの場合、p=1〜4;
Yが-NR-の場合、k=2〜4;
Yが-O-かつMまたはWが-O-の場合、k=1〜4;
Wが窒素原子を介して結合したHetとの結合かつYが-O-または-NR-の場合、k=2〜4)]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩の製造方法であって、

【化43】

[式中、R、R、R、Xおよびnは上記と同意義]
で示される化合物を、不活性溶媒中、有機塩基の存在下、式
【化44】

[式中、Rは上記と同意義、R10は炭素数1〜6のアルキル、R2'は、
【化45】

[式中、R、R、J、s、r、uおよびvは上記と同意義]]
で示される化合物と反応させ、さらに、式
【化46】

で示される化合物を、不活性溶媒の存在下、式HN-(CH)-Xで示される化合物と反応させ、所望により、得られた式1で示される化合物の医薬上許容される塩を形成することからなる製造方法。
【請求項26】

【化47】

[式中、R、R、R、Xおよびnは請求項25と同意義]
で示される化合物が、対応する式
【化48】

で示される化合物を還元剤と反応させることにより製造される請求項25記載の方法。
【請求項27】

【化49】

[式中、R、R、R、Xおよびnは請求項26と同意義]
で示される化合物が、対応する式
【化50】

で示される化合物をジメチルアセタールと反応させた後、得られた式
【化51】

で示される化合物を式X-NH[式中、Xは請求項26と同意義]で示されるアニリンと反応させることにより製造される請求項26記載の方法。
【請求項28】

【化52】

[式中、R、R、R、Xおよびnは請求項26と同意義]
で示される化合物が、対応する式
【化53】

で示される化合物を式HN-(CH)-X、HS-(CH)-XまたはHO-(CH)-X[式中、Xおよびnは請求項26と同意義]
で示される化合物と反応させることにより製造される請求項26記載の方法。
【請求項29】
基R2'、X、R、RまたはRのいずれかが第一もしくは第二アミノ基またはヒドロキシル基であり、かかる基を保護基で保護してから一連の反応を行い、その後に該保護基を外すことからなる請求項25〜28のいずれか1項記載の方法。

【公開番号】特開2012−162538(P2012−162538A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−60909(P2012−60909)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2000−509699(P2000−509699)の分割
【原出願日】平成10年7月29日(1998.7.29)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【Fターム(参考)】