説明

置換ピペリジンの製造方法

本発明はキラルモノ−またはビホスフィン配位子に錯化した金属前駆物質の存在下のフッ化ビニルの非対称水素化を含む置換ピペリジンの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換ピペリジンの製造方法に関する。方法は、キラルモノ−またはビスホスフィン配位子と錯化した金属前駆物質の存在下のフッ化ビニルまたはその誘導体の非対称水素化を含む。より特定的には本発明は、薬剤候補の成分としておよび他の生物活性分子の合成に有用なN−ベンジル3−フルオロ置換ピペリジンの製造方法を目的とする。
【発明の開示】
【0002】
本発明は式Iの誘導体の製造方法に関する。方法は、キラルモノ−またはビスホスフィン配位子と錯化した金属前駆物質の存在下のフッ化ビニルの非対称水素化を利用する。方法は、パイロットプラントまたは工業規模のベンジルフルオロ置換ピペリジン誘導体の製造に応用できる。誘導されたベンジルフルオロ置換ピペリジンは薬剤候補の成分としてまたは多様な他の生物活性分子の製造に有用である。
【0003】
本発明はさらにいくつかの中間化合物を包含する。
【0004】
本発明は、式I:
【0005】
【化16】

[式中、
はハロゲン、酸素、CONH、窒素、イオウ、ケイ素、置換または未置換のC−Cアルキル、または、置換または未置換のアリールであり、
は酸素、アミノ、ハロゲン、CONH、窒素、イオウであるか、または、水素、ヒドロキシ、アミノおよびアミノ−ヘテロアリールから選択された1つまたは複数の基で置換されるかまたは未置換のC−Cアルキルであり、
はイオウ、置換または未置換のC−Cアルキル、アリール、リン、ケイ素、ベンジル、CBZ、カーバメート、C−Cアルキル置換または未置換のアリール、または、C(=O)O置換または未置換のアリールである]
の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。方法は、適当な有機溶媒中、キラルモノ−またはビスホスフィン配位子に錯化した金属前駆物質の存在下の式II:
【0006】
【化17】

[式中、R、RおよびRのおのおのは前記と同義である]
の化合物の非対称還元を含む。
【0007】
本発明方法の第一の形態では、本発明は式中のRが水素または置換もしくは未置換のアリールである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0008】
第二の形態では、本発明は、式中のRがハロゲンである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0009】
第三の形態では、本発明は、式中のRがフッ素である式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0010】
第四の形態では、本発明は、式中のRが置換または未置換のアリールである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0011】
第五の形態では、本発明は、式中のRがヒドロキシル、アミノまたはアミノ−ヘテロアリールで置換されるかまたは未置換のC−Cアルキルである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0012】
第六の形態では、本発明は、式中のRがC−C置換または未置換のアリールである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0013】
第七の形態では、本発明は、式中のRがベンジルである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0014】
本発明方法の第八の形態では、本発明は、金属前駆物質がロジウム前駆物質である式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0015】
この第八の形態の1つの実施態様では、本発明は、金属前駆物質が[Rh(cod)Cl]である式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0016】
本発明方法の第九の形態では、本発明は、有機溶媒がメタノールである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0017】
本発明方法の第十の形態では、本発明は、有機溶媒がエタノールまたはイソプロピルアルコールである式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0018】
本発明方法の第十一の形態では、本発明は、キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【0019】
【化18】

[式中、**は(R)配置のステレオジェン中心炭素であり、
はC−Cアルキルまたはアリールであり。
、R、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキル、C5−12シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールであり、これらのアリールおよびヘテロアリールは1つまたは複数のC−Cフルオロアルキル、ハロゲン、C−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されるかまたは未置換であり、RおよびR10はおのおの独立にハロゲン、水素、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−C12シクロアルキルまたはC−Cアルコキシである]
のフェロセニルビスホスフィン配位子である式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法を提供する。
【0020】
本発明はさらに、式(III):
【0021】
【化19】

の中間化合物またはその有機酸または金属酸を提供する。
【0022】
本発明方法においてロジウム金属前駆物質を使用する場合、ロジウム金属前駆物質とキラルホスフィン配位子との触媒錯体は、(a)反応混合物にロジウム金属前駆物質およびキラルホスフィン配位子を順次にまたは同時に添加することによって用時調製する、または、(b)予め調製し単離するかまたは単離しないで反応混合物に添加する、の双方が考えられる。予め調製した触媒錯体は以下の式によって表され、式中の(R’)P−P(R)は1個のキレート性キラル二座配位子ビホスフィンを表すか、または、2個の非キレート性キラル一座配位子ホスフィンを表す。Xはトリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレートおよびヘキサフルオロホスフェートのような非配位アニオンを表し、Lはオレフィン(またはキレート性ジオレフィン、例えば1,5−シクロオクタジエンまたはノルボルナジエン)または溶媒分子(例えばMeOHおよびTFE)のような中性配位子を表す:
【0023】
【化20】

【0024】
オレフィンがアレーンである場合、錯体は式:
【0025】
【化21】

によって表される。
【0026】
Xがハロゲンを表す場合の予め調製した触媒錯体は式:
【0027】
【化22】

によって表される。
【0028】
本発明方法の1つの実施態様では、キラルホスフィン配位子が以下の構造式:
【0029】
【化23】

を有しており、式中の、nは1、2または3であり、RはC1−8アルキルまたはC6−10アリールであり、Rはアリールまたはフェロセニルホスホランラジカルである。
【0030】
この実施態様の1つのクラスでは、Rがフェニルであり、RがC1−4アルキルまたはアリールである。
【0031】
この実施態様の第二のクラスは、以下の構造式:
【0032】
【化24】

[式中のR16はC1−4アルキルまたはアリールである]を有しているFerroLANE、FerroTANE、PhenylLANEおよびPhenylTANEシリーズまたはそれらの対応する鏡像異性体を包含する。
【0033】
本発明方法の第二の実施態様では、キラルビスホスフィン配位子が以下の構造式:
【0034】
【化25】

[式中、mおよびpのおのおのは0または1であり、
およびRはおのおの独立に水素、C1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルであり、
Aは、(a)1または2個の二重結合を場合によっては含有するC1−5アルキレンブリッジであり、このC1−5アルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されており、前記C1−5アルキレンブリッジは場合によっては、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されるかまたは未置換の2個のC5−6シクロアルキル、C6−10アリールまたはC6−10ヘテロアリール基と融合している;(b)1−3個の二重結合と、NC0−4アルキル、N(CH0−1Ph、NCOC1−4アルキル、NCOOC1−4アルキル、酸素およびイオウから選択された1または2個のヘテロ原子とを場合によっては含有する1,2−C3−8シクロアルキレンブリッジであり、前記1,2−C3−8シクロアルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、オキソ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されている;(c)1−3個の二重結合と、NC0−4アルキル、N(CH0−1Ph、NCOC1−4アルキル、NCOOC1−4アルキル、酸素およびイオウから選択された1または2個のヘテロ原子とを場合によっては含有する1,3−C3−8シクロアルキレンブリッジであり、前記1,3−C3−8シクロアルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、オキソ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されている;または、(d)未置換であるかまたはハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択された1−3個の置換基で置換された1,2−フェニレンを表し、R10a、R10b、R11aおよびR11bはおのおの独立にC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはアリールであり、これらのアルキル、シクロアルキルおよびアリールは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから成るグループから独立に選択された1−3個の置換基で置換されており、あるいは、R10aとR10bとが一緒にまたはR11aとR11bとが一緒に、4から7員環の脂肪族環を形成しており、これらの環は未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシメチル、C1−4アルコキシメチル、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された2−4個の置換基で置換されており、また、この脂肪族環は場合によっては1または2個のアリール基に融合している]
を有している。
【0035】
この実施態様の1つのクラスでは、R10aおよびR10bがいずれも、同じであるが構造的に異なる置換基を表すR11aおよびR11bとは構造的に異なる同じ置換基を表す。このクラスの1つのサブクラスでは、R10aおよびR10bの双方が置換または未置換のC1−6アルキルであり、R11aおよびR11bの双方が置換または未置換のC3−6シクロアルキルである。このクラスの第二のサブクラスでは、R10aおよびR10bの双方が置換または未置換のアリールであり、R11aおよびR11bの双方が置換または未置換のC3−6シクロアルキルである。このクラスの第三のサブクラスでは、R10aおよびR10bの双方が置換アリールであり、R11aおよびR11bの双方が未置換アリールである。このクラスの第四のサブクラスでは、R10aおよびR10bの双方が置換または未置換のC1−6アルキルであり、R11aおよびR11bの双方が置換または未置換のアリールである。
【0036】
この第二の実施態様の第二のクラスは、米国特許第4,994,615号に開示されたキラルビスホスフィン配位子を包含する。該特許の記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。このクラスのキラル1,4−ビスホスフィン配位子の非限定例は構造式:
【0037】
【化26】

で表されるかまたは対応するそれらの鏡像異性体である。
【0038】
このクラスのキラルビスホスフイン配位子の代表的な非限定具体例は以下の構造式:
【0039】
【化27】

を有するかまたはそれらの対応する鏡像異性体である。
【0040】
この第二実施態様の第三のクラスは、米国特許第5,008,457号、第5,171,892号、第5,206,398号、第5,329,015号、第5,532,395号、第5,386,061号、第5,559,267号、第5,596,114号および第6,492,544号に開示されたキラルビスホスフィン配位子を包含する。これらの特許の記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。このクラスのキラルビスホスフィン配位子の非限定例は構造式:
【0041】
【化28】

で表される。
【0042】
このクラスのキラルビスホスフイン配位子の代表的な非限定具体例は以下の構造式:
【0043】
【化29】

を有するかまたはそれらの対応する鏡像異性体である。
【0044】
この第二の実施態様の第四のクラスは、構造式:
【0045】
【化30】

[式中、Arはアリールであり、R17はC1−4アルキルまたはアリールであり、但し、Arが未置換フェニルであるときはR17がメチルでないという条件付きである]のビスホスフィン配位子または対応するその鏡像異性体を含む。
【0046】
キラルビスホスフィン配位子の第三の実施態様は、構造式:
【0047】
【化31】

[式中、
Arは、未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから独立に選択された1−4個の置換基で置換されたフェニルまたはナフチルであるか、あるいは、Ar上の隣り合う2つの置換基はそれらが結合している炭素原子と共に5員環のメチレンジオキシ環を形成しており、
HetArは、おのおのがC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから独立に選択された1−4個の置換基で置換されるかまたは未置換のピリジルまたはチエニルであるか、あるいは、HetAr上の隣り合う2つの置換基はそれらが結合している炭素原子と共に5員環のメチレンジオキシ環を形成しており、
14a、R14b、R15aおよびR15bはおのおの独立にC1−4アルキル、アリールまたはC3−6シクロアルキルであり、これらのアリールおよびシクロアルキルは未置換であるかまたはC1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから独立に選択された1−4個の置換基で置換されており、
あるいは、R14aとR14bとが一緒にまたはR15aとR15bとが一緒に、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシメチル、C1−4アルコキシメチル、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された2−4個の置換基で置換されるかまたは未置換の4−7員環の脂肪族環を形成しており、
前記脂肪族環は場合によっては1または2個のアリール基に融合している]
のビアリールまたはビヘテロアリールビスホスフィン配位子を包含する。
【0048】
この実施態様の1つのクラスでは、R14aおよびR14bがいずれも、同じであるが構造的に異なる置換基を表すR15aおよびR15bとは構造的に異なる同じ置換基を表す。このクラスの1つのサブクラスでは、R14aおよびR10bの双方が置換または未置換のC1−6アルキルであり、R15aおよびR15bの双方が置換または未置換のC3−6シクロアルキルである。このクラスの第二のサブクラスでは、R14aおよびR14bの双方が置換または未置換のアリールであり、R15aおよびR15bの双方が置換または未置換のC3−6シクロアルキルである。このクラスの第三のサブクラスでは、R14aおよびR10bの双方が置換アリールであり、R15aおよびR15bの双方が未置換アリールである。このクラスの第四のサブクラスでは、R14aおよびR14bの双方が置換または未置換のC1−6アルキルであり、R15aおよびR15bの双方が置換または未置換のアリールである。
【0049】
キラルビスホスフィン配位子のこの第三の実施態様の代表的な非限定例は以下の構造:
【0050】
【化32】

を有しているかまたは対応するそれらの鏡像異性体である。
【0051】
第四の実施態様は、米国特許第5,874,629号および第6,043,387号に開示されたキラルビスホスフィン配位子を包含する。これらの特許の記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。キラルビスホスフィン配位子のこのサブ実施態様の非限定例は構造式:
【0052】
【化33】

で表されるかまたは対応するそれらの鏡像異性体である。
【0053】
ビスホスフイン配位子のこの実施態様の非限定具体例は以下の化合物:
【0054】
【化34】

またはその対応する鏡像異性体である。
【0055】
本発明方法の第五の実施態様では、キラルビスホスフィン配位子が以下の構造式:
【0056】
【化35】

[式中、rは1、2または3であり、R19はC1−4アルキルまたはアリールである]を有するかまたはその対応する鏡像異性体である。
【0057】
キラルビスホスフイン配位子のこの実施態様の非限定具体例は:
【0058】
【化36】

またはその対応する鏡像異性体である。
【0059】
本発明方法の第六の実施態様では、キラルホスフィン配位子が構造式:
【0060】
【化37】

を有している。式中の、Rは水素またはメチルであり、RおよびRのおのおのは独立に水素、C1−4アルキル、ベンジルまたはα−メチルベンジルであるか、あるいは、RとRとはそれらが結合した窒素原子と共にピロリジンまたはピペリジン環を形成している。
【0061】
本発明方法の第七の実施態様では、キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【0062】
【化38】

[式中、RはC1−4アルキルまたはアリールであり、
、R、RおよびRはおのおの独立に、C−Cアルキル、C−C12シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールであり、これらのアリールおよびヘテロアリールは場合によっては1つまたは複数のC−Cフルオロアルキル、ハロゲン、C−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されている]
のフェロセニルビスホスフィン配位子である。
【0063】
この第七の実施態様の1つのクラスでは、Rがメチルであり、R、R、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキルまたはフェニルであり、このフェニルは場合によっては1つもしくは複数のC−Cアルキルで置換されている。このクラスの1つのサブクラスでは、Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキルであり、RおよびRはおのおの独立にフェニルである。このクラスの追加のサブクラスでは、Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立にメチル置換フェニルであり、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキルである。このクラスの別のサブクラスでは、Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立に2個のメチル基で置換されたフェニルであり、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキルである。
【0064】
本発明方法の第八の実施態様では、キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【0065】
【化39】

[式中、RはC−Cアルキルまたはアリールであり、
、R、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキル、C5−12シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールであり、これらのアリールおよびヘテロアリールは場合によっては1つまたは複数のC−Cフルオロアルキル、ハロゲン、C−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されており、RおよびR10はおのおの独立にハロゲン、水素、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−C12シクロアルキルまたはC−Cアルコキシである]のフェロセニルビスホスフィン配位子である。この第八の実施態様の1つのクラスでは、Rがメチルであり、R、R、RおよびRはおのおの独立にシクロヘキシルまたはフェニルであり、このフェニルは場合によっては1つまたは複数のC−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されており、RおよびR10はおのおの独立に水素である。このクラスの1つのサブクラスでは、Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立にシクロヘキシルであり、RおよびRはおのおの独立にフェニルであり、RおよびR10はおのおの独立に水素である。
【0066】
この第八の実施態様の追加のクラスでは、**の付いたステレオジェン中心炭素が構造式:
【0067】
【化40】

で示される(R)配置を有している。
【0068】
このクラスの1つのサブクラスでは、Rがメチルであり、R、R、RおよびRはおのおの独立にアリールまたはC5−12シクロアルキルであり、RおよびR10はおのおの独立にハロゲンまたは水素である。このクラスの1つのサブクラスでは、Rがメチルであり、R、R、RおよびRはおのおの独立にシクロヘキシルまたはフェニルであり、RおよびR10はおのおの独立に水素である。このクラスの追加のサブクラスでは、Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立にシクロヘキシルであり、RおよびRはおのおの独立にフェニルであり、RおよびR10はおのおの独立に水素である。
【0069】
この第八の実施態様に包含される配位子を本文中で“Walphos”と呼ぶこともある(Solvias,Inc.,Fort Lee,New Jersey 07024から市販されている)。Rがメチルであり、RおよびRはおのおの独立にシクロヘキシルであり、RおよびRはおのおの独立にフェニルであり、RおよびR10はおのおの独立に水素であるような置換基を有しているWalphos配位子を本文中でWalphos(SL−W003−1)と呼ぶ。
【0070】
本発明の方法に包含されるキラルフェロセニルビスホスフィン配位子は米国特許第5,371,256号、第5,463,097号、第5,466,844号、第5,563,308号、第5,563,309号、第5,565,594号、第5,583,241号、および、再発行特許RE37,344に開示されている。これらの特許の記載内容全部が参照によって本発明に含まれるものとする。
【0071】
本発明の非対称水素化反応は、適当な有機溶媒中で行う。適当な有機溶媒は、低級アルカノール類、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール;2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE);ヘキサフルオロイソプロピルアルコール;フェノール;フッ素化フェノール;ポリヒドロキシル化ベンゼン、例えば、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)および1,2,3,4−テトラヒドロキシベンゼン;テトラヒドロフラン;ジクロロメタン;メチルt−ブチルルエーテル;およびそれらの混合物などである。
【0072】
反応に用いる反応温度は約10℃−約90℃の範囲でよい。反応に適した温度範囲は約40℃−約65℃である。
【0073】
水素化反応は、約0psig−約1500psigの水素圧範囲で行うことができる。水素圧範囲は約80psig−約200psigである。
【0074】
ロジウム金属前駆物質は、[Rh(モノオレフィン)Cl]、[Rh(ジオレフィン)Cl]、[Rh(モノオレフィン)アセチルアセトネート]、[Rh(ジオレフィン)アセチルアセトネート]、[Rh(モノオレフィン)]Xまたは[Rh(ジオレフィン)]Xであり、Xは、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート(Tf)、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)またはヘキサフルオロアンチモネート(SbF)から成るグループから選択される非配位アニオンである。1つの実施態様では、ロジウム金属前駆物質が、[Rh(cod)Cl]、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]、[Rh(cod)]Xまたは[Rh(ノルボルナジエン)]Xである。この実施態様の1つのクラスでは、ロジウム金属前駆物質が、[Rh(cod)Cl]である。
【0075】
本願明細書を通じて、異なる指示がない限り、用語は以下の意味を有している。
【0076】
“エナンチオマー過剰率(%)”(略号“ee”)は、多いほうのエナンチオマー%から少ないほうのエナンチオマー%を減算した値を意味する。すなわち、70%エナンチオマー過剰率は、一方のエナンチオマーが85%形成され他方が15%形成されることに対応する。“エナンチオマー過剰率”という用語は“光学純度”という用語と同義である。
【0077】
本発明の方法は、構造式Iの化合物を典型的には50%eeを上回る高い光学純度で提供する。1つの実施態様では、式Iの化合物が70%eeを上回る光学純度で得られる。この実施態様の1つのクラスでは、式Iの化合物が80%eeを上回る光学純度で得られる。このクラスの1つのサブクラスでは、式Iの化合物が90%eeを上回る光学純度で得られる。
【0078】
“エナンチオ選択的”という用語は、一方のエナンチオマーが他方よりも迅速に製造され(または破壊され)、その結果として生成物の混合物中に好ましいエナンチオマーが優勢に存在することを意味する。
【0079】
上記に特定したアルキル基は、直鎖状または分枝状の立体配置をもつ指定した長さのアルキル基を含む。このようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、などである。“C−Cアルキル”という用語は、炭素原子数6、5、4、3、2、1または0個のアルキルを意味する。炭素原子のないアルキルは、アルキルが末端基であるときは水素原子置換基であり、アルキルが架橋基であるときは直接結合である。アルキル基は未置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、アミノ、C−CアルコキシおよびC1−4アルキルチオから成るグループから独立に選択された1−3個の基で置換されている。
【0080】
“シクロアルキル”という用語は、全炭素原子数5−12個またはこの範囲内の任意の数のアルカン環を意味する(すなわち、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)。
【0081】
“C1−5アルキレン”という用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、ブチレン(−CHCHCHCH−)またはペンチレン(−CHCHCHCHCH−)基を意味する。
【0082】
“1,2−フェニレン”という用語は、1位および2位で置換されたフェニル基を意味する。
【0083】
“1,2−C3−8シクロアルキレン”という用語は、環の隣り合う炭素で置換された炭素数3−8のシクロアルキル基を意味しており、例えば、1,2−ジ置換シクロヘキシルおよび1,2−ジ置換シクロペンチルである。シクロアルキレン基はまた、一対の橋頭炭素原子を含有する二環式環系、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプチル環系(代表例はノルボルナンおよびノルボルネン)およびビシクロ[2.2.2]オクチル環系を包含する。
【0084】
“1,3−C3−8シクロアルキレン”という用語は、環系の1位および3位で置換された炭素数3−8のシクロアルキル基を含意し、代表例は、1,3−ジ置換シクロヘキシルおよび1,3−ジ置換シクロペンチルである。
【0085】
“ハロゲン”という用語は、ハロゲン原子、すなわち、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含意する。
【0086】
“オレフィン”という用語は、芳香族環状炭化水素のような1つまたは複数の二重結合を含有する非環状または環状の炭化水素を表す。これらの非限定例は、1,5−シクロオクタジエン(“cod”)およびノルボルジエン(“nbd”)である。
【0087】
略号“cod”は“1,5−シクロオクタジエン”を意味する。
【0088】
“アリール”という用語は、フェニルまたはナフチルを含む。特定しない場合には、“アリール”は未置換であるか、または、フェニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニルおよびC1−4アルキルオキシカルボニルから独立に選択された1−5個の置換基で置換されており、これらの置換基のおのおののアルキル部分は未置換であるかまたは1−5個のフッ素で置換されている。
【0089】
“ヘテロアリール”という用語は、O、SおよびNから選択された少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する5または6員環の芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールはまた、他の種類の環、例えば、アリール、シクロアルキルおよび非芳香族複素環に融合したヘテロアリールを含意する。ヘテロアリール基の非限定例は、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、イミダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリルおよびジベンゾフラニルである。“ヘテロアリール”は、未置換であるか、または、フルオロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、アミノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから独立に選択された1−5個の置換基で置換されている。
【0090】
“ヘテロC0−4アルキル”という用語は、炭素原子数3、2、1または0のヘテロアルキルを意味する。しかしながら、少なくとも1個のヘテロ原子が存在しなければならない。一例を挙げると、炭素原子数0で1個のN原子を有しているヘテロC0−4アルキルは、架橋基のときは−NH−であり、末端基のときは−NHであろう。OまたはSヘテロ原子の場合にも同様の架橋基または末端基となることは明らかであろう。
【0091】
“アミン”という用語は、特に他の記述がない限り、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンを含む。
【0092】
“カルボニル”という用語は、特に他の記述がない限り、カルボニルが末端であるときのC0−6アルキル置換基を包含する。
【0093】
“場合によっては置換された”という用語は、置換および未置換の双方を含む。従って例えば、場合によっては置換されたアリールはペンタフルオロフェニルまたはフェニル環を表す。さらに、場合によっては置換された多重基、例えばアルキルアリールは、アルキル基およびアリール基が場合によっては置換されていることを意味する。多重基の一方だけが場合によっては置換されている場合には、“アリールがハロゲンまたはヒドロキシルによって場合によっては置換されたアルキルアリール”と具体的に記述する。
【0094】
本文中に記載の化合物は、1つまたは複数の二重結合を含むことができ、従って、シス/トランス異性体や他の配座異性体を生成し得る。特に他の記述がない限り、本発明はこのような可能な異性体およびこのような異性体の混合物をすべて包含する。
【0095】
本文に記載の化合物は、1つまたは複数の非対称中心を含有でき、従ってジアステレオ異性体および光学異性体を生成し得る。本発明はこのような可能なジアステレオ異性体およびそれらのラセミ混合物、それらの実質的に純粋な分割鏡像異性体、可能なすべての幾何異性体、および、医薬的に許容されるそれらの塩をすべて包含する。上記に示した化学式はいくつかの位置の立体化学を決定しないで示されている。本発明は、化学式の立体異性体および医薬的に許容されるそれらの塩をすべて包含する。さらに、立体異性体の混合物、単離した個々の立体異性体も包含される。このような化合物を製造するために使用した合成手順の進行中、または、当業者に公知のラセミ化またはエピマー化手順を使用するとき、これらの手順の生成物は立体異性体の混合物でもよい。
【0096】
“医薬的に許容される塩”という用語は、医薬的に許容される無毒の塩基または酸から製造される塩を表す。本発明の化合物が酸性であるとき、対応するその塩は、医薬的に許容される無毒の塩基、例えば無機塩基および有機塩基から好都合に製造できる。このような無機塩基に由来の塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二銅および第一銅)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第二マンガンおよび第一マンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩である。医薬的に許容される無毒の有機塩基に由来の塩は、第一級、第二級および第三級アミンの塩や、環状アミンおよび置換アミン、例えば天然および合成の置換アミンの塩である。塩の形成に使用できるその他の医薬的に許容される無毒の有機塩基は、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドロラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトロメタミンである。
【0097】
本発明の化合物が塩基性のとき、対応するその塩は医薬的に許容される無毒の酸、例えば、有機酸および無機酸から好都合に製造できる。このような酸は例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、などである。
【0098】
本文中に使用した略号の意味を以下の表に示す。以下の表に示していない略号は特に他の記述がない限り常用の意味を有している。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
本発明の化合物は、後述の一般反応スキームおよび実施例に示した手順によって製造できる。以下の反応スキームおよび実施例は本発明の範囲をより詳細に説明するが限定的ではない。
【0102】
実験手順で追跡した反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって追跡し、反応時間は単なる代表例である。融点は非補正であり、“d”は分解を示す。与えられた融点は記載の手順で製造した材料で得られた融点である。いくつかの調製物は多形性があるので異なる融点をもつ材料を単離した。すべての最終生成物の構造および純度は以下の技術の少なくとも1つによって確認した:TLC、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光法または微量分析データ。収率が示されているとき、これは単なる例である。示されているNMRデータは、主要診断プロトンのデルタ(δ)値の形態であり、指定した溶媒を使用し、300MHz、400MHzまたは500MHzで測定したときの内部標準テトラヒドロシラン(TMS)に対する値をパーツ・パー・ミリオン(ppm)で表している。シグナル形態を表すために使用した慣用の略号は、s.singlet;d.doublet;t.triplet;m.multiplet;br.Broad;などである。さらに、“Ar”は芳香族シグナルを意味する。化学記号は常用の意味を有している。以下の略号を使用する:v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0103】
方法および合成
本発明の化合物は、後述の反応スキームおよび実施例に示した手順によって製造できる。そうでないと定義されている場合またはそうでないことが平均的な当業者に明らかである場合を除いて置換基は上記の式中の置換基と同義である。
【0104】
本発明の新規な化合物は例えば以下の文献に記載されているような当業者に公知の技術を使用して容易に合成できる:Advanced Organic Chemistry,March,4thEd.,John Wiley and Sons,New York,NY,1992;Advanced Organic Chemistry,Carey and Sundberg,Vol.A and B,3rdEd.,Plenum Press,Inc.,New York,NY,1990;Protective groups in Organic Synthesis,Green and Wuts,2ndEd.,John Wiley and Sons,New York,NY, 1991;Comprehensive Organic Transformations,Larock,VCH Publishers,Inc.,New York,NY,1988;Handbook of Heterocyclic Chemistry,Katritzky and Pozharskii,2ndEd.,Pergamon,New York,NY,2000およびそれらに引用された参考文献。本発明の化合物の出発材料は、市販資源から容易に入手できる化学的前駆物質の標準的合成変換法を使用して製造するとよい。市販資源は例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI);Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO);Lancaster Synthesis(Windham,N.H.);Ryan Scientific(Columbia,S.C);Maybridge(Cornwall,UK);Matrix Scientific(Columbia,S.C);Arcos,(Pittsburgh,PA)およびTrans World Chemicals(Rockville,MD)から得られる。
【0105】
本文中に記載の化合物合成手順は、再結晶化、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラジカルクロマトグラフィーおよび高圧クロマトグラフィー(HPLC)のような保護基の処理および精製のための1つまたは複数の段階を含む。化学業界で公知の種々の技術を使用して生成物を特性決定できる。これらの技術には、プロトンおよび炭素−13の核磁気共鳴(Hおよび13C NMR)、赤外および紫外線分光法(IRおよびUV)、X線結晶学、元素分析、HPLCおよび質量分析(LC−MS)がある。保護基の処理、精製、構造同定および定量の方法は化学合成業者に公知である。
【0106】
適正溶媒は、反応体の1つまたは全部を少なくとも部分的に溶解し、反応体とも生成物とも好ましくない相互作用を生じないものである。適当な溶媒は、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば、2−ブタノン、ジチルケトン、tert−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)および水である。2種以上の溶媒の混合物も使用できる。適当な塩基は一般に、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属水素化物およびアルカリ土類金属水素化物、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化カルシウム;アルカリ金属アミド、例えば、リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミド;アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素セシウム;アルカリ金属アルコキシドおよびアルカリ土類金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドおよびマグネシウムエトキシド;アルカリ金属アルキル、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、アルキルマグネシウムハロゲン化物、有機塩基例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジンおよび4−ジメチルアミノピリジン;二環式アミン、例えば、DBUおよびDABCOである。
【0107】
本発明に記載した所望の化合物を得るために、後述の反応スキームに記載した化合物に存在する官能基はさらに、当業者が利用できる標準的官能基変換技術を使用して適宜処理できることが理解されよう。
【0108】
当業者に明白な他の変更および修正は本発明の範囲および教示に包含される。特許請求の範囲だけが本発明を限定する。
【0109】
【化41】

【0110】
代表的実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0111】
【化42】

【0112】
段階A:
【0113】
【化43】

【0114】
5L丸底フラスコに、THF(1.87L,KF≦50ppm)を充填し−75℃までの冷却を開始した。THFの温度が−20℃以下に達するとn−BuLi(ヘキサン中で11M、123mL)を、溶液温度が−10℃以下に維持されるように15分で添加した。溶液が−35℃に達すると、発熱によって溶液温度が−16℃よりも高温にならないように調節しながらジイソプロピルアミン(197mL,KF≦50ppm)を15分で添加した。次いで、溶液が−75℃に達するまで冷却を継続した。次に、バッチ温度を−70℃以下に維持しながら未希釈の3−フルオロピリジン(スキーム1の化合物1)(125g,KF≦150ppm)を添加漏斗からこの溶液に添加した。
【0115】
次に、温度を−70℃以下に維持しながら未希釈のDMF(168mL,KF≦50ppm)を1時間でバッチに添加した。アルデヒドの形成完了を確認した後で、反応混合物を0℃に加温し、HO(230mL,10当量)を添加した。次にNaBH(48.4g)を2回に分け、0℃で5分を要して添加した。濃HCl(6M,1.17L)の添加は0−25℃の温度で1時間後に完了した。次に反応バッチを40℃に加熱し、この温度で1時間維持した。
【0116】
次に反応混合物を室温に放冷した。次いで、6MのNaOH(747mL)を0−15℃でゆっくりと水層に添加してpHを12に調整した。水層中の沈殿物を完全に溶解するために約700mLのHOを添加した。次に水層をIPAc(1×1.275L,2×800mL)で抽出した。有機層を20重量%のDarco−G60カーボン(生成物検定に基づく)で処理し、溶液を40℃で1時間加熱し、次いでsolka flocで濾過した。濾過後に有機層の溶媒をIPAcからIPAc:ヘプタン(15−20%v/vのIPAc:ヘプタン)に交換した。生成物が白色固体として晶出した。この溶液を次に0℃で30分間冷却し濾過した。追加量の250mLのヘプタンを0℃に冷却し、ウェットケーキの洗浄に使用した。典型的収率=79%(128.5g)。
【0117】
段階B
【0118】
【化44】

【0119】
雰囲気下で2Lフラスコにスキーム1の化合物2(50.01g)、アセトン(524mL)およびBnBr(50.0mL)を充填した。この均質溶液を還流まで〜12時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ヘプタン(550mL)で希釈した。ピリジニウム塩(スキーム1の化合物3)を濾過によって収集した。次にウェットケーキを周囲温度で25%アセトン/ヘプタン(200mL)によってスラリー洗浄し、濾過した。次いでウェットケーキを大気に暴露した真空下に周囲温度で乾燥すると、1H NMRで約98%純度の淡紅色固体が得られた。典型的収率=93%(109.5g)。
【0120】
段階C
【0121】
【化45】

【0122】
2L丸底フラスコにスキーム1の化合物3(100.30g,1.00当量)およびメタノール(960mL)を充填した。次に均質溶液を10℃に冷却した。温度を10℃以下に維持しながらNaBH(19.10g,1.50当量)を部分量ずつ(固体添加漏斗を使用して)添加した。バッチをIPAc(1.0L)で希釈し、次いで1Lの11.25重量%ブラインを添加した。得られた混合物を15分間熟成し、次いで2つの透明な層に分離させた。下方のブライン層を除去した。次に有機物流を500mLの15%ブラインで洗浄し、2つの透明な層に分離させた。下方のブライン層を除去した。
【0123】
バッチをほぼ1:1のMeOH:IPAc(c=100g/L)に調整し、25重量%のEcosorb C−941によって50℃で〜2時間処理した。これを1:1のMeOH:IPAcですすぎながらセライトプラグで濾過した(すすぎ液はバッチ全量のほぼ25%)。次にバッチを濃縮して残渣を得た。
【0124】
次にバッチを5%のMeOHを含むIPAcに〜100g/L(〜636mL)で溶解した。バッチを50℃に加温し、次いで4MのHClを含むジオキサン溶液(1.19当量)を〜1時間でゆっくりと添加した。この時点でシードを満たした小スパチュラ先端でバッチにシードを接種した。HCL溶液添加の終了後、バッチを一夜でゆっくりと室温に放冷した。濾過によって固体を単離した。次に、スラリーケーキ洗浄を5%のMeOH/IPAc(200mL)で行い、引き続いて5%のMeOH/IPAc(200mL)による置換洗浄を行った。次にバッチを大気に暴露した真空下に周囲温度で乾燥すると、化合物4が白色固体として得られた(77%収率)。
【0125】
この材料すなわち66.10gの粗化合物4を、450mLのIPAcを添加した450mLのMeOHに溶解した。この混合物を25重量%のEcosorb C−941(16.53g)で処理し、50℃で2時間加熱した。つぎに混合物をセライトパッドで濾過し、Ecosorb C−941を〜500mlの25%MeOH含有IPAcで洗浄した。次に回転蒸発器で混合物の溶媒をほぼ10%のMeOH含有のIPAcに交換した。溶媒交換中に初期容量の約60%に濃縮し、シードを満たした小スパチュラ先端を導入し、直ちに結晶成長を惹起した。この混合物を最終容量〜350mLまで濃縮した。次に〜200mLの5%MeOH/IPAcスラリーすすぎ液を使用してスラリーを単離した。固体を大気に暴露した真空下で一夜乾燥すると60.23gの4が得られた(70%収率)。典型的収率=70%(60.2g)。
【0126】
段階D
【0127】
【化46】

【0128】
雰囲気のグローブボックスで、(R,R)−Walphos(SL−W003−1)(60.1mg,Solvias,Inc.,Fort Lee,New Jersey 07024から市販)および[(COD)RhCl](20.3mg)をジクロロメタン(3mL,無水,N脱ガス)に溶解し、室温で45分間熟成した。スキーム1の化合物4(15.0g)を、磁気撹拌バーを収容している6オンスのガラス圧力容器(Andrews Glass Co.,Vineland,NJ)に充填した。MeOH(69mL,無水,N脱ガス)を添加し、次いで、触媒溶液およびジクロロメタン(3mL)すすぎ液を添加した。
【0129】
反応装置をH(40psig)で脱ガスし、予熱した50℃油浴に浸漬した。数分後、容器をHで85psigまでさらに加圧し、18.75時間熟成した。この時間の経過後、容器を通気し室温に冷却した。HPLC分析は、フッ化ビニルの>99%変換率を示した。HPLC分析は99.3%eeを示した。
【0130】
上記で得られた反応混合物を真空下、濃縮して暗褐色油とし、次いでこれを50mLのEtOAcで希釈し、50mLの飽和NaHCO(水溶液)を添加した。この二塩基性混合物を室温で30分間撹拌した。この混合物を分離し、水層を3×10mLのEtOAcで抽出し、集めた有機層をNaSOで乾燥し、真空下で濃縮して残渣を得た。この残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1のEtOAc:ヘキサン)によって精製すると9.45gの遊離塩基化合物5(74.4%単離収率)が淡黄色油として得られた。典型的収率=74%(9.5g)。
【0131】
段階E
【0132】
【化47】

【0133】
100mL丸底フラスコに、実施例スキーム1の遊離塩基化合物5(1.00当量)、Pd(OH)/C(1.29g)、MeOH(23mL)および6MのHCl(3.89mL,1.00当量)を充填した。この混合物を3回脱ガスし、最後にH(1気圧、バルーン圧力)を容器に充填した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をCelite 521プラグで濾過し、50mLのMeOHですすぎ、次いで濃縮して残渣を得た。残渣を〜150mLの1:1のMeOH:IPAcに再溶解し、焼結ガラス漏斗で再度濾過して無機物を除去した。このように得られた溶液の溶媒をほぼ10%のMeOH含有のIPAcに交換すると、交換中にスキーム1の化合物6の自発的晶出が観察された。固体を真空によって単離し、〜10mLの10%MeOH含有のIPAcで2回洗浄し、次いで真空下で一夜乾燥すると、青白色の結晶質固体が得られた。典型的収率=81%(3.2g)。
【0134】
段階F
【0135】
【化48】

【0136】
N,N’−カルボニルジイミダゾール(2.39g,1.00当量)を50mL丸底フラスコに充填し、DMF(19.7ml)を添加した。次に、4−メチルベンジルアルコール(1.80g,1.00当量)を固体として添加した。この混合物を室温で15分間撹拌すると、撹拌中に発熱が観察された(ΔT=+6.1℃,18.5℃から24.6℃に)。次いでこの混合物にフルオロアルコールHCl塩6(2.50g,1.00当量)を固体として添加した。これを50℃で10時間加熱し、次いで一夜室温に放冷した。得られた混合物を40mLのEtOAcで希釈した。この混合物を2×25mLの3MのHClで洗浄し、単離し、次いで1×25mLの15重量%ブラインで洗浄し、分離した。これを1×15mLのEtOAcで抽出し、先の有機物流に合わせた。有機物流を濃縮して残渣とし、カラムクロマトグラフィーによって勾配溶出処理すると(0%から50%のEtOAc含有のヘキサン,TLCは50%EtOAc:ヘキサン中で展開,UVおよびKMnOで可視化)、3.35gの無色透明な油が得られた。典型的収率=81%(3.4g)。
【0137】
段階G
【0138】
【化49】

【0139】
CHCN中のスキーム1のフルオロアルコール化合物7(1.22g)の溶液を−20℃に冷却し、Hunig塩基(2.2当量,1.66mL)を添加した。内部温度を≦−10℃以下に維持しながらこの溶液にTfO−(1.1当量,0.81mL)をゆっくりと添加した。次に反応混合物にNHOH水溶液(15当量,2.7mL)を低温(−20℃)で添加し、次いで室温に加温して1時間熟成した。完了後、トルエン(15mL)および10%NaOH(10mL)を添加して層を分離した。抽出後、有機層をHO(10mL)で洗浄した。
【0140】
アミンのトルエン流(〜400μg/mL)を乾燥し、100g/Lに濃縮した。次に総溶媒組成をトルエン/MeOH(95:5)とするためにメタノールを添加し、引き続いてHCl(1.05当量,1.12mL)を50℃でゆっくりと添加した。スキーム1のアミン塩酸塩8が直ちに晶出した。反応混合物を20分間熟成した。淡黄色の塩を濾過し、低温トルエン(15mL)で洗浄するとアミン塩酸塩8が白色結晶質固体として82%で得られた。
【0141】
段階H
【0142】
【化50】

【0143】
100L丸底フラスコに1.67kgのスキーム1のアミンHCl塩8、912.4gのクロロピリミジン、4.6Lのジイソプロピルエチルアミンおよび25.78Lのエチレングリコールを充填した。得られたスラリーは次第に溶液となり、これを脱ガスして窒素雰囲気下で撹拌した。内容物を100℃で12時間加熱した。加熱を中止し、反応溶液をゆっくりと室温に冷却すると、スラリーが形成された。このスラリーに77.3Lの水を1時間の期間で添加し、スラリーを室温で3時間熟成した。混合物を濾過し、ケーキを追加量の80Lで洗浄した。ウェットケーキを窒素下で一夜乾燥した。乾燥後、1.90kgの黄白色固体を収集した。
【0144】
1.77kgの上記固体を71LのEtOAcに溶解し、531gのDarco G−60カーボンによって室温で3時間処理した。Solka Flocで濾過し、引き続いて2×20LのEtOAで洗浄した。減圧下で溶媒をMeOHに交換すると、スラリーが得られた。MeOHの最終量は19Lに調整した。MeOH中のスラリーを約60℃に加熱した。室温まで徐々に冷却するとスラリーとなり、これを冷却しながら57LのGMP水を1時間で添加した(発熱性混合、30℃以下に温度調節)。混合物を室温で3時間熟成し、濾過して固体を収集し、ケーキを30LのGMP水で洗浄し、窒素下で乾燥した。1.55kgの乾燥生成物を収集した(89%収率)。典型的収率=89%(1.55kg)。
【0145】
上述の中間体および手順を使用して以下の実施例2−7を製造できる。
【0146】
【化51】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、酸素、CONH、窒素、イオウ、ケイ素、置換または未置換のC−Cアルキルまたは置換または未置換のアリールであり、
は酸素、アミノ、ハロゲン、CONH、窒素、イオウであるか、または、水素、ヒドロキシ、アミノおよびアミノ−ヘテロアリールから選択された1つまたは複数の基で置換されるかまたは未置換のC−Cアルキルであり、
はイオウ、置換または未置換のC−Cアルキル、アリール、リン、ケイ素、ベンジル、CBZ、カーバメート、C−Cアルキル置換または未置換のアリール、または、C(=O)O置換または未置換のアリールである]
の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法であって、
方法が、適当な有機溶媒中、キラルモノ−またはビスホスフィン配位子に錯化した金属前駆物質の存在下の式II:
【化2】

[式中、R、RおよびRのおのおのは前記と同義である]
の化合物の非対称還元を含む方法。
【請求項2】
前記キラルモノホスフィン配位子が構造式:
【化3】

[式中、nは1、2または3であり、RはC1−8アルキルまたはC6−10アリールであり、Rはアリールまたはフェロセニルホスホランラジカルである]
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がフェニルであり、RがC1−4アルキルまたはアリールである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キラルホスフィン配位子が構造式:
【化4】

[式中、R16はC1−4アルキルまたはアリールである]
を有しているかまたは対応するその鏡像異性体である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記キラルビスホスフィン配位子が以下の構造式:
【化5】

[式中、mおよびpのおのおのは0または1であり、
およびRはおのおの独立に水素、C1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルであり、
Aは、(a)1または2個の二重結合を場合によっては含有するC1−5アルキレンブリッジであり、このC1−5アルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されており、前記C1−5アルキレンブリッジは場合によっては、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されるかまたは未置換の2個のC5−6シクロアルキル、C6−10アリールまたはC6−10ヘテロアリール基と融合している;(b)1−3個の二重結合と、NC0−4アルキル、N(CH0−1Ph、NCOC1−4アルキル、NCOOC1−4アルキル、酸素およびイオウから選択された1または2個のヘテロ原子とを場合によっては含有する1,2−C3−8シクロアルキレンブリッジであり、前記1,2−C3−8シクロアルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、オキソ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されている;(c)1−3個の二重結合と、NC0−4アルキル、N(CH0−1Ph、NCOC1−4アルキル、NCOOC1−4アルキル、酸素およびイオウから選択された1または2個のヘテロ原子とを場合によっては含有する1,3−C3−8シクロアルキレンブリッジであり、前記1,3−C3−8シクロアルキレンブリッジは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、オキソ、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された1−4個の置換基で置換されている;または、(d)未置換であるかまたはハロゲン、C1−4アルキル、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシから独立に選択された1−3個の置換基で置換された1,2−フェニレンを表し、R10a、R10b、R11aおよびR11bはおのおの独立にC1−6アルキル、C3−6シクロアルキルまたはアリールであり、これらのアルキル、シクロアルキルおよびアリールは未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから成るグループから独立に選択された1−3個の置換基で置換されており、あるいは、R10aとR10bとが一緒にまたはR11aとR11bとが一緒に、4から7員環の脂肪族環を形成しており、これらの環は未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシメチル、C1−4アルコキシメチル、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された2−4個の置換基で置換されており、また、この脂肪族環は場合によっては1または2個のアリール基に融合している]
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
10aおよびR10bがいずれも、同じであるが構造的に異なる置換基を表すR11aおよびR11bから構造的に異なる同じ置換基を表す請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化6】

[式中、A’はCH;CHCH;1,2−フェニレン;2,5−フランジオン−3,4−ジイル;またはN−メチル−2,5−ピロレジオン−3,4−ジイルであり;R10a、R10b、R11aおよびR11bはおのおの独立にC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CHOHまたはCHOC1−4アルキルである]
を有している請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化7】

[式中、tは1−6の整数であり、
Arは、未置換であるかまたはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから独立に選択された1−4個の置換基で置換されたフェニルまたはナフチルであるか、あるいは、Ar上の隣り合う2つの置換基はそれらが結合している炭素原子と共に5員環のメチレンジオキシ環を形成しており、
HetArは、おのおのがC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、クロロおよびフルオロから独立に選択された1−4個の置換基で置換されるかまたは未置換のピリジルまたはチエニルであるか、あるいは、HetAr上の隣り合う2つの置換基はそれらが結合している炭素原子と共に5員環のメチレンジオキシ環を形成しており、
14a、R14b、R15aおよびR15bはおのおの独立にC1−4アルキル、アリールまたはC3−6シクロアルキルであり、これらのアリールおよびシクロアルキルは未置換であるかまたはC1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから独立に選択された1−4個の置換基で置換されており、
あるいは、R14aとR14bとが一緒にまたはR15aとR15bとが一緒に、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシメチル、C1−4アルコキシメチル、アリールおよびC3−6シクロアルキルから成るグループから独立に選択された2−4個の置換基で置換されるかまたは未置換の4−7員環の脂肪族環を形成しており、
前記脂肪族環は場合によっては1または2個のアリール基に融合している]
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項9】
14aおよびR14aがいずれも、同じであるが構造的に異なる置換基を表すR15aおよびR15bから構造的に異なる同じ置換基を表す請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化8】

を有しているかまたは対応するその鏡像異性体である請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化9】

[式中、Arはアリールであり、R17はC1−4アルキルまたはアリールである]
または対応するその鏡像異性体であり、但し、Arが未置換フェニルであるときはR17がメチルでないという条件付きである請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化10】

[式中、R12はC1−4アルキル、C3−6シクロアルキルまたはアリールである]
を有するかまたは対応するその鏡像異性体である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アリールがフェニルである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化11】

[式中、rは1、2または3であり、R19はC1−4アルキルまたはアリールである]
を有するかまたは対応するその鏡像異性体である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化12】

[式中、**は(R)配置のステレオジェン中心炭素であり、
はC−Cアルキルまたはアリールであり。
、R、RおよびRはおのおの独立にC−Cアルキル、C5−12シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールであり、これらのアリールおよびヘテロアリールは場合によっては1つまたは複数のC−Cフルオロアルキル、ハロゲン、C−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されており、RおよびR10はおのおの独立にハロゲン、水素、C−Cアルキル、C−Cフルオロアルキル、C−C12シクロアルキルまたはC−Cアルコキシである]
のフェロセニルビスホスフィン配位子である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
がメチルであり、RおよびRがおのおの独立にシクロヘキシルであり、RおよびRがおのおの独立にフェニルであり、RおよびR10がおのおの独立に水素である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属前駆物質が[Rh(cod)Cl]である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記有機溶媒がメタノールである請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記キラルビスホスフィン配位子が構造式:
【化13】

[式中、RはC1−4アルキルまたはアリールであり、
、R、RおよびRはおのおの独立に、C−Cアルキル、C−C12シクロアルキル、ヘテロアリールまたはアリールであり、これらのアリールおよびヘテロアリールは場合によっては1つまたは複数のC−Cフルオロアルキル、ハロゲン、C−Cアルキル、CFまたはO−C−Cアルキルで置換されている]
のフェロセニルビスホスフィン配位子である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記キラルモノホスフィン配位子が構造式:
【化14】

[式中、Rは水素またはメチルであり、RおよびRはおのおの独立に水素、C1−4アルキル、ベンジルまたはα−メチルベンジルであるか、あるいは、RとRはそれらが結合している窒素原子と共にピロリジンまたはピペリジン環を形成している]
を有している請求項1に記載の方法。
【請求項21】

【化15】

によって表される中間化合物またはその有機酸または金属酸。

【公表番号】特表2008−525486(P2008−525486A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548500(P2007−548500)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046718
【国際公開番号】WO2006/069287
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】