説明

置換ピラゾリン化合物、それらの製造法、および薬剤としての使用

【課題】新規置換ピラゾリン化合物の製造方法の提供。
【解決手段】




上記反応で得られた置換ピラゾリン化合物を対応する酸クロリドに変換し、アミノ化合物と反応させて置換ピラゾリン−3−カルボキサミドを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ピラゾリン化合物、それらの製造法、これらの化合物を含む薬剤(薬剤)、並びにヒト及び動物の治療用の薬剤を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイド類は、通常マリファナとして知られる大麻植物から誘導される化合物である。天然カンナビノイド類の最も活性な化合物はテトラヒドロカンナビノール(THC)、特に△−THCである。
【0003】
これらの天然カンナビノイド類並びにそれらの合成類似体は、特定のG−結合レセプター、いわゆるカンナビノイド−レセプター、への結合により生理的効果を促進する。
【0004】
現在、天然カンナビノイド類及び合成カンナビノイド類の両方を結合する2つの異なるタイプのレセプターが確認されそしてクローン化されている。これらのレセプターはCB及びCBで表わされるが、例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、及び非特許文献4に記載されているように、ヒト及び動物における多様の生理学的又は病理生理学的過程、例えば、中枢神経系、免疫系、心臓血管系、内分泌系、呼吸系、胃腸管に関係するか又は再生に関係する過程、に関わっている。
【0005】
従って、これらのカンナビノイドレセプターに対して高い結合親和性を有しそしてこれらのレセプターを調節するのに適した化合物は、カンナビノイド−レセプター関連障害の予防及び/又は治療に有用である。
【0006】
特にCB−レセプターは、II型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病)に関係した肥満を含む過食症又は肥満のような、多くの異なる食物摂取関連障害に関係し、従って、このレセプターを制御するのに適した化合物は、これらの障害の予防及び/又は治療に使用し得る。
【0007】
【非特許文献1】Hollister,Pharm.Rev.38,1986,1−20
【非特許文献2】Reny and Singha,Prog.Drug.Res.,36,71−114,1991
【非特許文献3】Consroe and Sandyk,in Marijuana/Cannabinoids,Neurobiology and Neurophysiology,459,Murphy L.
【非特許文献4】Barthe A.Eds.,CRC Press,1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、薬剤中の活性物質として使用するための新規化合物を提供することである。特にこれらの活性物質は、カンナビノイドレセプターの調節、更に特定的にはカンナビノイド1(CB)レセプターの調節に適するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、以下に示す一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物、それらの立体異性体、対応するその塩及び対応するその溶媒和物を提供することにより達成された。
【0010】
これらの化合物はカンナビノイドレセプター、特にCB−レセプター、に対して高い結合親和性を有しそして調節剤(modulator)、例えばこれらのレセプターに対する拮抗薬、逆作用薬(inverse agonists)または作用薬(agonists)、として作用することが見出された。従ってこれらの化合物は、ヒト及び/又は動物、好ましくは幼児、子供及び成人を含むヒト、における中枢神経系、免疫系、心臓血管系、内分泌系、呼吸系、胃腸管又は再生に関係する種々の障害の予防及び/又は治療に適する。
【0011】
従って、本発明の側面の一つは、一般式I:
【0012】
【化1】


【0013】
(式中、
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し;
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し;
は、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基を示すか;或いはRは、場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示すか;或いはRは、−NR基を示し;
【0014】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されていてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合されていてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基;−SO−R基;又は−NR基を示し、
【0015】
は、直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、単環式又は多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合してもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示し;
【0016】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示す)
で表わされる置換ピラゾリン化合物であって、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい置換ピラゾリン化合物に関する。
【0017】
特に好ましくは、下記の但し書き(除外する声明)が上記の一般式Iのピラゾリン化合物に適用される。
【0018】
及びRは両方が水素原子を示すことはなく;そして
残基R及びRの一つが水素原子、又は場合によってはアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、ハロゲン原子若しくはフェニル基で少なくとも一置換されたアルキル基を示す場合、これらの残基R及びRの他方は、場合によっては5位が一置換されたピリド−2−イル基;場合によっては2位が一置換されたピリド−5−イル基;場合によっては2位が一置換されたピリミド−5−イル基;場合によっては6位が一置換されたピリダズ−3−イル基;場合によっては2位が一置換されたピラジン−5−イル基;場合によっては5位が一置換されたチエン−2−イル基;場合によっては少なくとも4位が一置換されたチエン−2−イル基;場合によっては環の4位が一置換されたベンジル基;場合によっては環の4位が一置換されたフェネチル基;場合によっては一、二若しくは三置換されたフェニル基;二置換されたフェニル基であって、2つの置換基が一緒に、場合によっては1つ若しくはそれ以上のハロゲン原子又は1つ若しくは2つのメチル基で置換された−OCHO−、−OCHCHO−若しくは−CHCHO−鎖を形成する上記のフェニル基;フェニル基が4位で一置換されていてもよい−NH−フェニル基を示さず;そして
【0019】
残基R及びRの一方がアルキニル基を示す場合は、これらの残基R及びRの他方は、場合によっては4位が置換されたフェニル基を示さず;そして
残基R及びRの一方が水素原子、又は直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和の、非置換若しくは置換された脂肪族基を示す場合は、これらの残基R及びRの他方は、非置換若しくは置換されたチアゾール基、又は非置換若しくは置換された[1,3,4]チアジアゾール基を示さない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の単環式若しくは多環式の環系とは、飽和、不飽和若しくは芳香族であってもよい単環式若しくは多環式の炭化水素環系を意味する。環系が多環式である場合は、その個々の環の各々は異なる飽和度を示してもよく、即ち、飽和、不飽和又は芳香族であってもよい。場合によっては単環式若しくは多環式の環系の各々は1又はそれ以上、例えば1、2又は3個、のヘテロ原子を環部員として含んでもよく、該ヘテロ原子は同じでも異なってもよく、そして好ましくはN、O、S及びPから成る群、更に好ましくはN、O及びSから成る群から選ぶことができる。好ましくは多環式環系は、縮合された2つの環を含み得る。単環式又は多環式の環系は好ましくは5員又は6員である。
【0021】
用語「縮合された」は本発明では環又は環系が別の環又は環系に結合し、従って、用語「環が形成された」("annulated"ないしは"annelated")も当業者にこの種の結合を示すものとして使用される。
【0022】
残基R-Rの一方又はそれ以上が、飽和又は不飽和の、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含む脂環式基であって、1つ又はそれ以上、例えば1、2、3又は4、の置換基で置換された該脂環式基を表わすか又は含む場合、別途定義しない限り、各置換基は独立して、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−6アルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−6アルキル、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4ペルフルオロアルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4−ペルフルオロアルキル、オキソ、アミノ、カルボキシ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−NH−SO−C1−4アルキル(ここで、該C1−4アルキルはそれぞれ分岐鎖でも若しくは分岐していなくてもよい)、及びフェニル基から成る群から選ぶことができ、更に好ましくはヒドロキシ、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、オキソ、CF及びフェニル基から成る群から選ぶことができる。
【0023】
残基R−Rの1つ又はそれ以上が、1つ又はそれ以上のヘテロ原子を環部員として含む脂環式基を表わすか又は含む場合、別途定義しない限り、これらのヘテロ原子の各々は、好ましくはN、O及びSから成る群から選ぶことができる。好ましくは脂環式基は、環部員として、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含み得る。
【0024】
適当な、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含み、場合によっては少なくとも一置換された脂環式基は、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモ−ピペラジニル及びモルホリニルから成る群から選び得る。
【0025】
残基R-Rの1つ又はそれ以上が、1つ又はそれ以上、例えば1、2、3、4又は5個の置換基で置換された単環式若しくは多環式の環系を含む場合、別途定義しない限り、該置換基の各々は、独立して、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−6アルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−6アルキル、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4ペルフルオロアルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4ペルフルオロアルキル、アミノ、カルボキシ、オキソ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−NH−SO−C1−4アルキル(該C1−4アルキルはそれぞれ分岐しても分岐していなくともよい)、及びフェニル基から成る群から選ぶことができ、更に好ましくはヒドロキシ、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、CF、オキソ及びフェニル基から成る群から選ぶことができる。
【0026】
残基R−Rの1つ又はそれ以上が、1つ又はそれ以上、例えば1、2、3、4又は5個の置換基で置換された、フェニル基を含むアリール基を示す又は含む場合、別途定義しない限り、該置換基の各々は、独立して、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br、I)、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、−CO−C1−6アルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、-CO−O−C1−6アルキル基、-CO−NR基、−CO−NH−NR基、-SH、−S−C1−6アルキル基、−SO−C1−6アルキル基、−SO−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−S−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−SO−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−SO−C1−6アルキル基、-NH基、NHR‘基又はNR’R‘‘基(ここで、R‘及びR‘‘は独立して、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基を示す)及び−C1−6アルキレン−NR基から成る群から選び得る。
【0027】
ここで、R、Rは、同じであるか又は異なり、水素又はC1−6−アルキル基を示すか、或いはRとRは橋かけ窒素原子と一緒に、飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、1つ又はそれ以上の同じであるか又は異なるC1−6アルキル基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0028】
、Rは、同じであるか又は異なり、水素、C1−6アルキル基、−CO−O−C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルキレン−C3−8シクロアルキル基、C1−6アルキレン−O−C1−6アルキル基、又は1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基を示すか、或いはRとRは橋かけ窒素原子と一緒に飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、独立してC1−6アルキル基、−CO−C1−6アルキル基、-CO−O−C1−6アルキル基、−CO−NH−C1−6アルキル基、−CS−NH−C1−6アルキル基、オキソ基、1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基、C1−6アルキレン−O−C1−6アルキル基及び-CO−NH基から成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0029】
、Rは、同じであるか又は異なり、水素又はC1−6−アルキル基を示すか、或いはR及びRは、橋かけ窒素原子と一緒に飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、1つ又はそれ以上の同じであるか又は異なるC1−6アルキル基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0030】
場合によっては少なくとも一置換されてもよい好ましいアリール基は、フェニル及びナフチルである。
【0031】
残基R−Rの1つ又はそれ以上が1つ又はそれ以上、例えば1、2、3、4又は5個の置換基で置換されたヘテロアリール基を示すか又は含む場合、別途定義しない限り、該置換基の各々は、独立して、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br、I)、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6−アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、−CO−C1−6アルキル基、シアノ基、カルボキシ基、-CO−O−C1−6アルキル基、-CO−NR基、−CO−NH−NR基、−S−C1−6アルキル基、−SO−C1−6アルキル基、−SO−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−S−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−SO−C1−6アルキル基、−C1−6アルキレン−SO−C1−6アルキル基、1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換された−C1−6アルキル基及び−C1−6アルキレン−NR基から成る群から選び得る。
【0032】
ここで、R、Rは同じであるか又は異なり、水素又はC1−6アルキル基を示すか、或いはRとRは橋かけ窒素原子と一緒に飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、1つ又はそれ以上の、同じであるか又は異なるC1−6アルキル基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0033】
、Rは同じであるか又は異なり、水素原子、C1−6アルキル基、−CO−O−C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルキレン−C3−8シクロアルキル基、C1−6アルキレン−O−C1−6アルキル基、又は1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基を示すか、或いはRとRは橋かけ窒素原子と一緒に飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、独立して、C1−6アルキル基、−CO−C1−6アルキル基、-CO−O−C1−6アルキル基、−CO−NH−C1−6アルキル基、−CS−NH−C1−6アルキル基、オキソ基、1つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6アルキル基、C1−6アルキレン−O−C1−6アルキル基及び-CO−NH基から成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0034】
ここで、R、Rは同じであるか又は異なり、水素又はC1−6アルキル基を示すか、或いはRとRは橋かけ窒素原子と一緒に飽和の単環式若しくはニ環式の3−10員のヘテロ環式環系を形成し、該ヘテロ環式環系は、1つ又はそれ以上の、同じであるか又は異なるC1−6アルキル基で少なくとも一置換されてもよく、そして/又は窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる環部員としての少なくとも1つの別のヘテロ原子を含んでもよい。
【0035】
ヘテロアリール基中に環部員として存在するヘテロ原子は、別途定義しない限り、独立して、窒素、酸素及びイオウから成る群から選び得る。好ましくはヘテロアリール基は、独立して、環部員としてのN、O及びSから成る群から選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含み得る。
【0036】
場合によっては少なくとも一置換されてもよい適当なヘテロアリール基は、好ましくはチエニル、フリル、ピロリル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[1,2,5]−チオジアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾ[b]フラニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、トリアゾリル、及びピラゾリルから成る群から選び得、更に好ましくはチエニル、ベンゾ[1,2,5]−チオジアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、トリアゾリル、及びピラゾリルから成る群から選び得る。
【0037】
残基R-Rの1つ又はそれ以上が直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基、例えば、1つ又はそれ以上の、例えば1、2、3、4又は5個の置換基で置換されたアルキル基を示すか又は含む場合、別途定義しない限り、該置換基の各々は、独立して、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4アルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4ペルフルオロアルコキシ、分岐鎖の若しくは分岐していないC1−4ペルフルオロアルキル、アミノ、カルボキシ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−SO−C1−4アルキル、−NH−SO−C1−4アルキル(ここで、該C1−4アルキルはそれぞれの場合、分岐鎖でも分岐していなくともよい)、及びフェニル基から成る群から選び得、更に好ましくはヒドロキシ、F、Cl、Br、メトキシ、エトキシ、CF、及びフェニル基から成る群から選び得る。
【0038】
1つ又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい好ましい直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基は、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ビニル、エチニル、プロペニル、プロピニル、ブテニル及びブチニルから成る群から選び得る。
【0039】
残基R-Rのいずれかが直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を示すか又は含む場合、該アルキレン基は好ましくはメチレン−(CH)−、エチレン−(CH−CH)−、n−プロピレン−(CH−CH−CH)−又はイソ−プロピレン-(−C(CH)−から成る群から選び得る。
【0040】
好ましいのは、上記の一般式Iの置換ピラゾリン化合物であって、式中、
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し、
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し、
は、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基を示すか;或いはRは、場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示すか;或いはRは、−NR基を示し;
【0041】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されていてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合されていてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基;−SO−R基;又は−NR基を示し、
【0042】
は、直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、単環式又は多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合してもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示し;
【0043】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示す置換ピラゾリン化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0044】
ここで、好ましくは下記の但し書き(除外する声明)が適用される:
及びRは両方が水素原子を示すことはなく;そして残基R及びRの一つが水素原子、又は直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、置換された若しくは非置換の脂肪族基を示す場合は、これらの残基R及びRの他方は、置換された若しくは非置換のピリジル基、置換された若しくは非置換のピリミジル基、置換された若しくは非置換のピリダジニル基、置換された若しくは非置換のピラジニル基、置換された若しくは非置換のチエニル基、置換された若しくは非置換のベンジル基、置換された若しくは非置換のフェネチル基、置換された若しくは非置換のフェニル基、少なくとも1つの場合によっては置換された環若しくは環系に縮合(結合)した置換された若しくは非置換のフェニル基、-NH−フェニル基(該フェニル基は少なくとも一置換されていてもよい)、置換された若しくは非置換のチアゾール基、又は置換された若しくは非置換の[1,3,4]チアジアゾール基を示さない。
【0045】
好ましいのはまた、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、Rが、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、ハロゲン原子、CHF、CHF2、CF、CN、OH、NO、−(C=O)−R‘、SH、SR‘、SOR‘、SOR‘、NH、NHR‘、NR’R‘‘、−(C=O)−NH、−(C=O)−NHR‘及び−(C=O)−NR’R‘‘(ここで、各置換基のR‘及びR‘‘は独立して直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキルを示す)から成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示し、好ましくはRが、場合によってはメチル、エチル、F、Cl、Br及びCFから成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で置換されたフェニル基を示し、更に好ましくはRが、4位が塩素原子で一置換されたフェニル基を示し、そしてR−Rが上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0046】
また好ましいのは、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、Rが、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、ハロゲン原子、CHF、CHF、CF、CN、OH、NO、−(C=O)−R‘、SH、SR‘、SOR‘、SOR‘、NH、NHR‘、NR’R‘‘、−(C=O)−NH、−(C=O)−NHR‘及び−(C=O)−NR’R‘‘(ここで、各置換基のR‘及びR‘‘は、独立して直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキルを示す)から成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示し、好ましくはRが、メチル、エチル、F、Cl、Br及びCFから成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示し、更に好ましくはRが、2位及び4位が2つの塩素原子で二置換されたフェニル基を示し、R及びR−Rが上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0047】
好ましいのはまた、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、Rが、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有するC3−8脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のC3−8脂環式基を示すか、或いはRが、場合によっては少なくとも一置換された5員若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示すか、或いはRが-NR基を示し、好ましくはRが、飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては1つ若しくはそれ以上の窒素原子を環部員として含有するC3−8脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のC3−8脂環式基を示すか、或いはRが-NR基を示し、更に好ましくはRがピロリジニル基、ピペリジニル基又はピペラジニル基を示し、ここでこれらの基の各々は1つ又はそれ以上のC1−6アルキル基で置換されていてもよく、或いはRが-NR基を示し、そしてR,R及びR−Rは上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0048】
更に、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、R及びRが、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換されたC1−6脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有するC3−8脂環式基あって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換された5員若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよくそして/又はメチレン(−CH−)若しくはエチレン(−CH−CH−)基を介して結合されていてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基;−SO−R基;又は−NR基を示し、好ましくはこれらの残基R及びRの一方が水素原子を示し、そしてこれらの残基R及びRの他方が飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有するC3−8脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよい上記のC3−8脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換された5員若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基;−SO−R基;又は−NR基を示すか、或いはR及びRが同一であるか又は異なり、各々がC1−6アルキル基を示し、更に好ましくはこれらの残基R及びRの一方が水素原子を示し、これらの残基R及びRの他方が、場合によっては少なくとも一置換されたピロリジニル基;場合によっては少なくとも一置換されたピペリジニル基;場合によっては少なくとも一置換されたピペラジニル基;場合によっては少なくとも一置換されたトリアゾリル基;−SO−R基;又は−NR基を示すか、或いはR及びRが、同一であるか又は異なり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert.−ブチル基を示し、そしてR−R及びR−Rが上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物が好ましく、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0049】
また好ましいのは、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、Rが、直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換されたC1−6脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有するC3−8脂環式基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよい上記のC3−8脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換された5員若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよくそして/又はメチレン(−CH−)若しくはエチレン(−CH−CH−)基を介して結合されていてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示し、好ましくはRがC1−6−アルキル基;飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂環式基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合されてもよい上記の脂環式基;又はフェニル基であって、場合によっては1つ又はそれ以上のC1−6アルキル基で置換されてもよい上記のフェニル基を示し、そしてR−R、R及びRが上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0050】
更に、上記一般式Iで表わされる置換ピラゾリン化合物であって、式中、R及びRが、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換されたC1−6脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環部員として含有するC3−8脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換された5員若しくは6員のアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又はメチレン(−CH−)若しくはエチレン(−CH−CH−)基を介して結合してもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示し、好ましくはR及びRが水素原子又はC1−6アルキル基を示し、そしてR−Rが上記の意味を有する置換ピラゾリン化合物が好ましく、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態であってもよい。
【0051】
特に好ましいのは、下記一般式I:
【0052】
【化2】


【0053】
(式中、
は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、で4位が一置換されたフェニル環を示し、
は、2つのハロゲン原子、好ましくは塩素原子、で2位及び4位が二置換されたフェニル環を示し、
は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモ−ピペラジニル基、モルホリニル基、又は-NR基を示し、
は、水素原子、又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示し、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモ−ピペラジニル基、モルホリニル基、トリアゾリル基(ここで、各ヘテロ環式環は1つ又はそれ以上の同一の又は異なるC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、又は−SO−R基を示し、そして
は、同一であるか又は異なってもよい1つ又はそれ以上のC1−6アルキル基で場合によっては置換されたフェニル基を示す)
で表わされる化合物であり、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー又はジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/又はジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、又は対応するそのN−オキシド、又は対応するその塩、又は対応するその溶媒和物の形態にあってもよい。
【0054】
最も特に好ましいのは、下記から成る群から選ばれる置換ピラゾリン化合物である:
N−ピペリジニル−5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−[1,2,4]−トリアゾール−4−イル−アミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ジエチルアミド、
[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
N−[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−4−メチルフェニルスルホンアミドであって、
場合によっては対応するN−オキシド、又は対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態にあってもよい。
【0055】
本発明の別の側面では、上記の一般式の置換ピラゾリン化合物の製造法が提供され、その製造法によると、一般式(II):
【0056】
【化3】


(II)
【0057】
(式中、Rは上記の意味を有する)で表わされる少なくとも1つのベンズアルデヒド化合物を、一般式(III):
【0058】
【化4】

(III)
【0059】
(式中、GはOR基を示し、Rは分岐鎖の又は分岐していないC1−6アルキル基、好ましくはエチル基であるか、或いはGはOK基を示し、Kはカチオン、好ましくは一価のカチオン、更に好ましくはアルカリ金属カチオン、更により好ましくはナトリウムカチオンである)で表わされるピルベート化合物と反応させて、一般式(IV):
【0060】
【化5】

(IV)
【0061】
(式中、Rは前記の意味を有する)の化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そしてそれを、一般式(V):
【0062】
【化6】

(V)
【0063】
(式中、Rは、前記の意味を有する)で表わされる、場合によっては置換されたフェニルヒドラジン又は対応するその塩と不活性雰囲気下で反応させて、一般式(VI):
【0064】
【化7】

(VI)
【0065】
(式中、R及びRは前記の意味を有する)で表わされる化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そして場合によっては、不活性雰囲気下で活性化剤との反応により一般式(VII):
【0066】
【化8】

(VII)
【0067】
(式中、置換基R及びRは前記の意味を有し、そしてAは離脱基を示す)で表わされる化合物に変換し、該化合物を場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そして一般式(VI)で表わされる少なくとも1つの化合物を一般式RH(式中、Rは-NR基を示し、R及びRは前記の意味を有する)で表わされる化合物と反応させて、一般式(I)(式中、Rは-NR基を表わす)で表わされる置換ピラゾリン化合物を得、
そして/又は一般式(VII)で表わされる少なくとも1つの化合物を一般式RH(式中、Rは前記の意味を有する)で表わされる化合物と反応させて、前記の一般式(I)で表わされる化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製する。
【0068】
本発明の製造法は、下記のスキームIでも例示される:
【0069】
【化9】

【0070】
スキーム1:
一般式IIのベンズアルデヒド化合物と一般式IIIのピルベート化合物との反応は、例えばSynthetic communications,26(11),2229−33(1996)に記載されたように、好ましくは少なくとも1つの塩基の存在下、更に好ましくは水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物、又はナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属メトキシドの存在下で実施される。その記載を参照用に本願に含め、そしてそれは本願の開示の一部を形成する。ピルベート化合物として好ましくはピルビン酸ナトリウムを使用し得る。好ましくは該反応はC1−4アルキルアルコール又はそれらの混合物のようなプロトン性反応媒体中で実施される。かかるアルコールと水との混合物、例えばエタノール/水もまた使用し得る。
【0071】
反応の継続時間だけでなく反応温度も広範囲にわたって変えることができる。好ましい反応温度は−10℃から反応媒体の沸点の範囲である。適切な反応時間は例えば数分から数時間である。
【0072】
同じく好ましくは、一般式IIのベンズアルデヒド化合物の一般式IIIのピルベート化合物との反応は酸で触媒した条件の下で行われ、いっそう好ましくは、例えばSynlett、(1)、147−149、2001に記載されるように、銅(II)トリフルオロメタンスルホネートの存在下、塩化メチレンを溶媒としてその混合物を還流することによって行われる。それぞれの記載はここに引用により包含し、本開示の一部を構成する。
【0073】
一般式(IV)の化合物と、一般式(V)の場合によっては置換されていてもよいフェニルヒドラジンとの反応は、適切な反応媒体中、例えばC1−4-アルコールまたはジオキサン若しくはテトラヒドロフランのようなエーテルまたはこれらの前述の化合物の少なくとも2種の混合物のような反応媒体中で行うことが好ましい。同じく好ましくは、前記の反応は酸の存在下で行うことができ、このとき酸は酢酸のような有機系でも、および/または塩酸のような無機系でもよい。さらに、反応はピペリジン、ピペラジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドのような塩基の存在下で行うこともでき、これらの塩基の少なくとも2種の混合物を使ってもよい。
【0074】
反応の継続時間だけでなく反応温度も広範囲で変化させることができる。適切な反応温度は室温、すなわちおよそ25℃から反応媒体の沸点までの範囲である。適切な反応時間は例えば数分から数時間までの範囲とすることができる。
【0075】
一般式(VI)の化合物のカルボキシル基は、当業者によく知られている通常の方法より適切な脱離基を導入することによって別の反応のために活性化させてもよい。好ましくは、一般式(VI)の化合物は酸クロリド、酸無水物、混合無水物、C1−4アルキルエステル、p−ニトロフェニルエステルのような活性化エステルに変換される。酸を活性化させる他のよく知られている方法には、N、N−ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはベンゾトリアゾール−N−オキソトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェート(BOP)を用いた活性化がある。
【0076】
一般式(VII)の前記活性化化合物が酸クロリドである場合は、それは一般式(VI)の対応する酸をチオニルクロリドまたは塩化オキサリルと反応させて調製することが好ましく、このとき前記の塩素化剤は溶媒としても使用される。追加の溶媒を使うことも好ましい。適切な溶剤に、ベンゼン、トルエンまたはキシレンのような炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルムまたは四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはジメトキシエタンのようなエーテルが含まれる。1つの分類からの2種以上の溶媒の混合物または種々の分類からの2種以上の溶媒の混合物もまた使用することができる。好ましい反応温度は0℃から溶媒の沸点までわたり、反応時間は数分から数時間までの範囲にわたる。
【0077】
一般式(VII)の前記活性化化合物が混合無水物である場合は、該無水物は、好ましくは、例えば、一般式(VI)の対応する酸を、トリエチルアミンまたはピリジンのような塩基の存在下、適切な溶媒中でクロロ蟻酸エチルと反応させることによって調製することができる。
【0078】
一般式(VII)の一般式HR3の化合物との反応は、一般一般I(このときR3は−NR4R5基を示す。)の化合物を生成するが、好ましくは、メチレンクロリドのような反応媒体中でトリエチルアミンのような塩基の存在下で行われる。温度は0℃から反応媒体の沸点までの範囲が好ましい。反応時間は例えば数時間から数日までと広範囲でありうる。
【0079】
一般式(VII)の一般式HR3の化合物との反応は、一般式Iの化合物(このとき、Rは、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環構成員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基を示すか;或いはRは、場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示す)を生成するがこの反応は、例えばPascual, A., J. Prakt Chem., 1999, 341(7), 695-700; Lin, S. et al., Heterocycles, 2001, 55(2), 265-277; Rao, P. et al., J. Org.Chem., 2000, 65(22), 7323-7344, Pearson D.E and Buehler, C.A., Synthesis, 1972, 533-542、およびこれらの文献中で引用された文献により当業者によく知られている通常の方法に従って行うことができる。それぞれの記載はここに引用して包含させ、本開示の一部を構成させる。
【0080】
好ましくは前記の反応はルイス酸の存在下、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフランまたは類似物のような適切な反応媒体中で行われ、ルイス酸はFeCl、ZnCl2およびAlClからなる群から好ましくは選択される。温度は0の℃から反応媒体の沸点までが好ましく、いっそう好ましくは15から25℃までの範囲である。反応時間は広範囲で例えば数分から数時間までとり得る。
【0081】
4,5−ジヒドロ−ピラゾール環の合成、または該環を有する化合物の反応を伴う前述の反応は該環系の酸化を避けるために不活性雰囲気、好ましくは窒素またはアルゴン、の下で行われる。
【0082】
上述のプロセスの間に感受性の高い基をまたは試薬を保護することが必要、および/または望ましいことがある。通常の保護基の導入および脱離は当業者によく知られている方法によって実行することができる。
【0083】
一般式(I)の置換ピラゾリン化合物自体が立体異性体、特にエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物の形で得られる場合、該混合物は当業者に知られている標準的な方法、例えばクロマトグラフィの方法またはキラル(chiral)試薬による分別結晶法によって分離することができる。立体選択的な合成によって純粋な立体異性体を得ることも可能である。
【0084】
本発明は別の側面において、化合物:
【0085】
【化10】

【0086】
であって、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、または対応するそれらの塩、または対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよい化合物、特に一般式(I)の置換ピラゾリン化合物を調製する方法において中間体としての化合物に関する。
別の側面においてこの発明は一般式(I)の置換ピラゾリン化合物およびその立体異性体の塩の調製方法であって、少なくとも1つの塩基性の基を有している一般式(I)の化合物少なくとも1種を、好ましくは適切な反応媒体の存在下で、少なくとも1種の無機のおよび/または有機の酸と反応させる方法を提供する。適切な反応媒体としては、例えば、上述したいずれのものも挙げられる。適切な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸が挙げられる。適切な有機酸は例えばクエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、またはそれらの誘導体、p‐トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはカンファースルホン酸である。
【0087】
さらに別の側面において、この発明は一般式(I)の置換ピラゾリン化合物またはその立体異性体の塩の調製方法であって、少なくとも1つの酸性基を有する一般式(I)の化合物少なくとも1種を、好ましくは適切な反応媒体の存在下で、1種以上の適切な塩基で反応させる方法を提供する。適切な塩基は例えば水酸化物、炭酸塩またはアルコキシドであり、これには、適切なカチオン、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属由来のもの、または有機カチオン、例えば[NHnR4-n(ここで、nは0、1、2、3または4であり、Rは分岐した若しくは非分岐のC1−4アルキル基を表す)が含まれる。適切な反応媒体としては例えば上述したいずれのものも挙げられる。
【0088】
一般式(I)の置換ピラゾリン化合物の、対応する立体異性体の、対応するN−オキシドのまたはそれらの対応する塩の溶媒和物、好ましくは水和物も当業者に知られている標準的方法によって得ることができる。
【0089】
窒素原子を含み、飽和した、不飽和のまたは芳香族の環を含有する、一般式Iの置換ピラゾリン化合物も当業者によく知られている方法によってそのN−オキシドのかたちで得ることができる。
【0090】
当業者は、ここで使われる置換ピラゾリン化合物の用語がこれらの化合物のエーテル、エステルおよび錯体のような誘導体を包含するものとして理解されるべきであることを理解する。本願で用いられる"誘導体"の用語は、ここでは、作用する(活性のある)化合物から出発して化学的な誘導を経てその物理化学特性のいずれかを変化(製薬の用途上の改良)させた化合物、特にいわゆるプロドラッグ、例えばそれらのエステルおよびエーテル、を意味するものとして定義される。所定の作用する化合物のプロドラッグを製造する周知の方法の例は当業者に知られていて、例えば、クログスガード-ラルセン(Krogsgaard-Larsen)ほか、薬物設計および発見の教科書(Textbook of Drugdesign and Discovery)、テイラー&フランシス (Taylor & Francis)(2002年4月)に見いだすことができる。それぞれの記載はここに引用し本開示の一部を構成するものとする。
【0091】
本発明に係る一般式(I)の置換ピラゾリン化合物の、それの対応する立体異性体または塩またはN−オキシドまたは溶媒和物またはそれらのいずれかの中間体の精製および分離は、必要とされる場合は、当業者に知られている通常の方法、例えばクロマトグラフィの方法または再結晶によって行われる。
【0092】
下に示した一般式(I)の置換ピラゾリン化合物、それらの立体異性体、対応するN−オキシド、その対応する塩および対応する溶媒和物は毒物学的に許容できるので、製薬学的な有効物質として薬剤の調製に適している。
【0093】
下に示す一般式Iの置換ピラゾリン化合物、その立体異性体、そのN−オキシド、対応する塩および対応する溶媒和物がカンナビノイドレセプター、特にカンナビノイド1(CB1)-レセプターに高い親和性を有すること、すなわちそれらは(CB1)-レセプターに対して選択的なリガンドであり、これらのレセプターに調節薬、例えば拮抗薬、逆作用薬(inverse agonists)または作用薬(agonists)として作用することがわかった。特に、これらのピラゾリン化合物は特に摂食行動に関して、治療中に、耐薬性の発現をわずかしかまたは全然示さない。すなわち、治療が所定の期間中断させられ、その後続けられた場合でも、本発明で使用されるピラゾリン化合物は再び望ましい効果を示す。ピラゾリン化合物による治療を終わらせた後でも、体重に対する肯定的な影響が持継続することがわかる。
さらに、これらのピラゾリン化合物は比較的弱いハーグチャンネルアフィニティー(Herg channel affinity)しか示さないので、これらの化合物についてはQT間隔(QT-interval)延長の危険は低いと予想される。
【0094】
要するに、本発明に用いられるピラゾリン化合物は、広範囲の有益な効果を有するという特徴を持つが、一方望ましくない効果すなわち患者の健康に肯定的に寄与しないが特に損ないもしない効果は比較的少ない。
【0095】
そこで、本発明は、他の側面において、一般式I:
【0096】
【化11】


【0097】
(式中、
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し;
は、場合によっては少なくとも一置換されたフェニル基を示し;
【0098】
は、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環構成員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基を示すか、或いはRは、場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示すか、或いはRは、-NR基を示し;
【0099】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環構成員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合されていてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合されていてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基;-SO−R基;又は−NR基を示すが、但し、R及びRが等しく水素原子を示すことはなく;
【0100】
は、直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環構成員として含有する脂環式基であって、単環式又は多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合してもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示し;
【0101】
及びRは、同一であるか又は異なり、水素原子;分岐していない若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換された脂肪族基;飽和若しくは不飽和の、場合によっては少なくとも一置換され、場合によっては少なくとも1つのヘテロ原子を環構成員として含有する脂環式基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよい上記の脂環式基;又は場合によっては少なくとも一置換されたアリール若しくはヘテロアリール基であって、場合によっては少なくとも一置換された単環式若しくは多環式の環系と縮合していてもよくそして/又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を介して結合していてもよい上記のアリール若しくはヘテロアリール基を示す)
で表わされる少なくとも1つの置換ピラゾリン化合物であって、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマー若しくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、または対応するそれらのN−オキシド、または対応するそれらの塩、または対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよい置換ピラゾリン化合物、ならびに場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む薬剤に関する。
【0102】
本発明に係る単環式または多環式の環系は、飽和していてもよく、不飽和であってもよく、または芳香性であってもよい単環式かまたは多環式の炭化水素環系を意味する。環系が多環式である場合は、その各環のそれぞれが異なった飽和度を示してもよい、すなわちそれは飽和していても不飽和でもあるいは芳香性でもよい。場合によっては単環式または多環式の環系内の複数の環のそれぞれが1つ以上の、例えば1、2または3個のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよく、それらは同一でも異なってもよく、好ましくはN、O、SおよびPからなる群から選択でき、いっそう好ましくはN、OおよびSからなる群から選択することができる。
【0103】
好ましくは、多環式の環系は縮合している2つの環を有することができる。単環式または多環式の環系の各環は好ましくは5−または6−員である。本発明による「縮合した」の用語は環または環系が別の環または環系に結合していることを意味するが、「環が形成された」("annulated"ないしは"annelated")の用語もこの種の結合意味するものとして当業者によって使われる。
【0104】
残基R−Rの1つ以上が飽和または不飽和の、場合によっては環構成員として少なくとも1つの異種原子を含有する脂環式基を表すかまたは含んでいて、その基が1以上の、例えば1、2、3または4個の置換基により置換されている場合は、別途定義しない限りは、それら置換基のそれぞれは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐した若しくは非分岐のC1−6-アルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−6-アルキル、分岐した若しくは非分岐のC1−4-ペルフルオロアルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−4-ペルフルオロアルキル、オキソ、アミノ、カルボキシ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO-C1−4−アルキル、−SO-C1−4−アルキル、−SO-C1−4−アルキル、−NH−SO−C1−4−アルキル(ここで、C1−4-アルキルはそれぞれの場合において分岐していても非分岐でもよい)、およびフェニル基からなる群から独立に選択することができ、いっそう好ましくは、ヒドロキシ、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、オキソ、CFおよびフェニル基からなる群から独立に選択することができる。
【0105】
残基のR-Rの1以上が脂環式の基であって、環構成員として1以上のヘテロ原子を有する場合には、別途定義しない限りは、これらのヘテロ原子のそれぞれは好ましくはN、OおよびSからなる群から選択することができる。好ましくは、脂環式基はN、OおよびSからなる群から独立に選ばれた1、2または3個のヘテロ原子を環構成員として有することができる。
【0106】
適切な飽和または不飽和の、場合によっては環構成員として少なくとも1個のヘテロ原子を含み、場合によっては少なくとも一置換された脂環式の基は、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモ-ピペラジニルおよびモルフォリニルからなる群から選択することができる。
【0107】
残基のR-Rの1以上が単環式または多環式の環系であって、1以上の、例えば1、2、3、4または5個の置換基で置換されている場合には、別途定義しない限り、それら置換基のそれぞれは独立にヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐した若しくは非分岐のC1−6-アルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−6-アルキル、分岐した若しくは非分岐のC1−4-ペルフルオロアルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−4-パーフルオロアルキル、アミノ、カルボキシ、オキソ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO−C1−4−アルキル、−SO−C1−4−アルキル、−SO−C1−4−アルキル、−NH−SO−C1−4−アルキル(ここで、C1−4−アルキルはそれぞれの場合において分岐していても非分岐でもよい)、フェニル基からなる群から選択することができ、より好ましくはヒドロキシ、F、Cl、Br、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、CF、オキソおよびフェニル基からなる群から選択することができる。
【0108】
残基のR-Rの1以上が、フェニル基などのアリール基を表すかまたは含み、該アリール基が1以上の、例えば1、2、3、4または5個の置換基で置換されている場合には、別途定義しない限り、それら置換基のそれぞれは独立にハロゲン原子、(F、Cl、Br、I)、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6-アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、フォルミル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-CO-C1−6-アルキル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、-CO-O-C1−6-アルキル基、-CO-NRR基、-CO-NH-NRR基、-SH、-S-C1−6-アルキル基、-SO-C1−6-アルキル基、-SO2-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-S-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-SO-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-SO2-C1−6-アルキル基、-NH2基、NHR‘基またはNR’R‘‘基(ここで、R‘およびR‘‘は独立に直鎖若しくは分岐鎖のC1−6-アルキル基または1つ以上のヒドロキシ基によって置換されたC1−6-アルキル基を表す)、および-C1−6-アルキレン-NRR基からなる群から選択することができるが、
ここにおいて、R、Rは同一または異なり、水素またはC1−6-アルキル基を表すか、あるいは、RとRは橋かけ窒素原子と共に飽和し、単環式若しくは二環式で、3-10員の複素環系を構成するものであり、該複素環系は同一若しくは異なった1つ以上のC1−6アルキル基により少なくとも一置換されていてもよく、および/または、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい;
R、Rは同一または異なり、水素原子、C1−6-アルキル基、−CO−OC1−6−アルキル基、C3−8−シクロアルキル基、C1−6−アルキレン−C3−8−シクロアルキル基、C1−6−アルキレン−O−C1−6-アルキル基または1つ以上でヒドロキシ基で置換されたC1−6−アルキル基を表すか、あるいは、R、Rは、橋かけ窒素原子と共に、飽和した、単環式若しくは二環式の、3−10員の複素環系を構成するもので、この複素環系はC1−6アルキル基、−CO−C1−6−アルキル基、−CO−O−C1−6−アルキル基、−CO−NH−C1−6−アルキル基、−CS−NH−C1−6−アルキル基、オキソ基、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6−アルキル基、C1−6−アルキレン−O−C1−6−アルキル基および−CO−NH基からなる群から独立に選ばれた一種以上の置換基によって少なくとも一置換されていてもよく、および/または、該複素環系窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい;そして、
【0109】
ここにおいて、R、Rは同一または異なり、水素またはC1−6−アルキル基を表すか、あるいは、RとRは橋かけ窒素原子と共に飽和した、単環式若しくは二環式で、3−10員の複素環系を構成するものであり、該複素環系は同一若しくは異なった1つ以上のC1−6アルキル基により少なくとも一置換されていてもよく、および/または、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい。
好ましいアリール基は、場合によっては少なくとも一置換であってもよいが、フェニルおよびナフチルである。
【0110】
残基のR-Rの1以上が、ヘテロアリール基を表すかまたは含み、該基が1以上の、例えば1、2、3、4または5個の置換基で置換されている場合には、別途定義しない限り、それら置換基のそれぞれは独立にハロゲン原子、(例えば、F、Cl、Br、I)、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6-アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、フォルミル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、-CO-C1−6-アルキル基、シアノ基、カルボキシ基、-CO-O-C1−6-アルキル基、-CO-NRR基、-CO-NH-NRCR基、-S-C1−6-アルキル基、-SO-C1−6-アルキル基、-SO2-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-S-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-SO-C1−6-アルキル基、-C1−6-アルキレン-SO2-C1−6-アルキル基、1つ以上のヒドロキシ基によって置換されたC1−6-アルキル基、および-C1−6-アルキレン-NRR基からなる群から選択することができるが、
【0111】
ここにおいて、R、Rは同一または異なり、水素またはC1−6-アルキル基を表すか、または、RとRは橋かけ窒素原子と共に飽和した、単環式若しくは二環式で、3-10員の複素環系を構成するものであり、該複素環系は同一若しくは異なった1つ以上のC1−6アルキル基により少なくとも一置換されていてもよく、および/または、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい;
R、RDは同一または異なり、水素原子、C1−6−アルキル基、−CO−OC1−6−アルキル基、C3−8−シクロアルキル基、C1−6−アルキレン−C3−8−シクロアルキル基、C1−6−アルキレン−O−C1−6−アルキル基または1つ以上でヒドロキシ基で置換されたC1−6−アルキル基を表すか、あるいは、R、RDは橋かけ窒素原子と共に飽和した、単環式若しくは二環式の、3−10員の複素環系を構成するもので、この複素環系はC1−6アルキル基、−CO−C1−6−アルキル基、−CO−O−C1−6−アルキル基、−CO−NH−C1−6−アルキル基、−CS−NH−C1−6−アルキル基、オキソ基、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたC1−6-アルキル基、C1−6−アルキレン−O−C1−6−アルキル基および−CO−NH基からなる群から独立に選ばれた一種以上の置換基によって少なくとも一置換されていてもよく、および/または、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい;そして、
【0112】
ここにおいて、R、Rは同一または異なり、水素またはC1−6-アルキル基を表すか、または、RとRは橋かけ窒素原子と共に飽和した、単環式若しくは二環式で、3−10員の複素環系を構成するものであり、該複素環系は同一若しくは異なった1つ以上のC1−6アルキル基により少なくとも一置換されていてもよく、および/または、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択された少なくとも1つの別のヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい。
【0113】
ヘテロ原子は、環構成員としてヘテロアリール基中に存在しているが、別途定義しない限り、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立に選択することができる。好ましくは、ヘテロアリール基は環構成員としてN、OおよびSからなる群から独立に選ばれた1、2または3個のヘテロ原子を有することができる。
【0114】
適切なヘテロアリール基は、場合によっては少なくとも一置換されていてもよいが、好ましくはチエニル、フリル、ピロリル、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾ[1,2,5]-チオジアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾ[b]フラニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、トリアゾリルおよびピラゾリルからなる群から選択することができ、いっそう好ましくはチエニル-、ベンゾ[1,2,5]-チオジアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、トリアゾリルおよびピラゾリルからなる群から選択することができる。
【0115】
残基のR4-Rの1以上がアルキル基のような直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基であって、1以上の、例えば1、2、3、4または5個の置換基で置換されている場合には、別途定義しない限り、それら置換基のそれぞれは独立にヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、分岐した若しくは非分岐のC1−4-アルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−4-パーフルオロアルコキシ、分岐した若しくは非分岐のC1−4-パーフルオロアルキル、アミノ、カルボキシ、アミド、シアノ、ニトロ、−SONH、−CO−C1−4−アルキル、−SO-C1−4−アルキル、−SO-C1−4−アルキル、−NH−SO−C1−4−アルキル(ここで、C1−4-アルキルはそれぞれの場合において分岐していても非分岐でもよい)、およびフェニル基からなる群から選択することができ、より好ましくはヒドロキシ、F、Cl、Br、メトキシ、エトキシ、CFおよびフェニル基からなる群から選択することができる。
【0116】
好ましい直鎖若しくは分岐鎖の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基は1以上の置換基によって置換されていてもよいが、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル基、イソプロヒル、n−ブチル、イソブチル基、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ビニル、エチニル、プロペニル、プロピニル、ブテニルおよびブチニルからなる群から選択することができる。
【0117】
残基のR4-Rのいずれかが直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表すかまたは含む場合には、該アルキレン基は好ましくは−メチレン:−(CH)−、エチレン:−(CH−CH)−、n−プロピレン:−(CH−CH−CH)−、またはイソプロピレン:−(−C(CH)−からなる群から選ぶことができる。
【0118】
特に好ましいのは、一般式I:
【0119】
【化12】



(式中、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ、F、Cl、Br、I、CHF、CHF2、CF、CN、OH、NO、−(C=O)−R‘、SH、SR‘、SOR‘、SOR‘、NH、NHR‘、NR’R‘‘、−(C=O)−NH、−(C=O)−NHR‘及び−(C=O)−NR’R‘‘(ここで、R‘及びR‘‘は各々が出現するときに独立して直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示す)から成る群から独立して選ばれる1、2、3、4又は5つの置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示し、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ、F、Cl、Br、I、CHF、CHF、CF、CN、OH、NO、−(C=O)−R‘、SH、SR‘、SOR‘、SOR‘、NH、NHR‘、NR’R‘‘、−(C=O)−NH、−(C=O)−NHR‘及び−(C=O)−NR’R‘‘(ここで、R‘及びR‘‘は、各々が出現するときに独立して直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示す)から成る群から独立して選ばれる1、2、3、4又は5つの置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示し、
は、飽和若しくは不飽和のC3−8脂環式基を示し、ここで、該C3−8脂環式基は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ、OH、F、Cl、Br、I、CN、CHF、CHF2、CF及びオキソ(=O)から成る群から独立して選ばれる1、2、3又は4つの置換基で場合によっては置換され、かつ、ここで、該C3−8脂環式基は、N、OおよびSから成る群から独立して選ばれる1、2又は3つのヘテロ原子を環構成員として含有してもよく、或いはRは-NR基を示し、
は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示し、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基;−SO−R基;飽和若しくは不飽和のC3−8脂環式基を示し、ここで、該C3−8脂環式基は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、OH、F、Cl、Br、I、CN、CHF、CHF2、CF及びオキソ(=O)から成る群から独立して選ばれる1、2、3又は4つの置換基で場合によっては置換され、かつ、ここで、該C3−8脂環式基は、N、OおよびSから成る群から独立して選ばれる1、2又は3つのヘテロ原子を環構成員として含有してもよく、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ基、F、Cl、Br、I、CHF、CHF2、CF、CN、OH、NO、−(C=O)−R‘、SH、SR‘、SOR‘、SOR‘、NH、NHR‘、NR’R‘‘、−(C=O)−NH、−(C=O)−NHR‘及び−(C=O)−NR’R‘‘(ここで、R‘及びR‘‘は各々が出現するときに独立して直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示す)から成る群から独立して選ばれる1、2、3、4又は5つの置換基で場合によっては置換されたフェニル基を示す)
で表わされる少なくとも1つの化合物であって、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよい化合物を含む薬剤である。
【0120】
更に、下記一般式I:
【0121】
【化13】



(式中、
は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、で4位が一置換されたフェニル環を示し、
は、2つのハロゲン原子、好ましくは塩素原子、で2位及び4位が二置換されたフェニル環を示し、
は、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモ−ピペラジニル基、モルホリニル基、又は-NR基を示し、
は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示し、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモ−ピペラジニル基、モルホリニル基、トリアゾリル基であって、各ヘテロ環式環は1つ又はそれ以上の同一の又は異なるC1−6アルキル基または−SO−R基で置換されていてもよく、そして
は、同一であるか又は異なってもよい1つ又はそれ以上のC1−6アルキル基で場合によっては置換されてもよいフェニル基を示す)
で表わされる少なくとも1つの化合物であって、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよい化合物を含む薬剤が特に好ましい。
【0122】
最も特に好ましいのは、下記から成る群から選ばれ、場合によっては対応するN−オキシド、又は対応する塩、又は対応する溶媒和物の形態である少なくとも1つの置換ピラゾリン化合物を含む薬剤である:
N−ピペリジニル−5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−[1,2,4]−トリアゾール−4−イル−アミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ジエチルアミド、
[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
N−[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−4−メチルフェニルスルホンアミド。
【0123】
本発明薬剤は、好ましくは、本発明ピラゾリン化合物あるいはこれら上記のピラゾリン化合物の少なくとも2つからなる組み合わせのいずれも含んでよい。
【0124】
該薬剤は、上記の一般式Iで表わされる1つ以上の置換ピラゾリン化合物、その立体異性体、その対応するN−オキシド、その生理的に許容できる塩あるいはその生理的に許容できる溶媒和物のいかなる組み合わせも含んでよい。
【0125】
好ましくは該薬剤は、カンナビノイド-レセプター、好ましくはカンナビノイド1(CB1)レセプターの調節(制御)に、中枢神経系の障害、免疫系の障害、心血管系の障害、内分泌系の障害、呼吸器系の障害、消化管の障害あるいは生殖器障害の予防および/あるいは治療に適している。
【0126】
特に好ましくは該薬剤は、精神病の予防および/あるいは治療に適している。
【0127】
更に特に好ましくは該薬剤は、食物摂取障害(food intake disorders)、好ましくは過食症、拒食症、悪液質、肥満症、および/またはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、より好ましくは肥満症の予防および/あるいは治療に適している。本発明薬剤は欲求障害の予防および/あるいは治療に有効であるとも考えられる。例えば、一般式Iで表わされるピラゾリン化合物は甘いものに対する欲求も減らす。
【0128】
更に特に好ましくは該薬剤は、がんの予防および/あるいは治療に、好ましくは脳腫瘍、骨肉腫、口唇癌(lip cancer)、口腔癌(mouth cancer)、食道がん、胃がん、肝癌、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、皮膚がん、結腸がん、腸がんおよび前立腺がんからなる群より選択される一種以上のがんの予防および/あるいは治療に、より好ましくは結腸がん、腸がんおよび前立腺がんからなる群より選択される一種以上のがんの予防および/あるいは治療に適している。
【0129】
特に好ましくは該薬剤は、アルコール乱用および/もしくはアルコール嗜癖、ニコチン乱用および/もしくはニコチン嗜癖、薬物(drug)乱用および/もしくは薬物嗜癖、ならびに/または薬剤乱用および/もしくは薬剤嗜癖、好ましくは薬物乱用および/もしくは薬物嗜癖ならびに/またはニコチン乱用および/もしくはニコチン嗜癖の予防および/あるいは治療に適している。
【0130】
しばしば誤用の対象である薬剤および/または薬物は、オピオイド、バルビツール酸塩、大麻、コカイン、アンフェタミン、フェンシクリジン、幻覚薬およびベンゾジアゼピンを含む。
【0131】
該薬剤は、骨障害、好ましくは骨粗鬆症(例えば、遺伝的素因、性ホルモン欠乏、もしくは加齢と結び付けられる骨粗鬆症)、癌関連骨疾患または骨ページェット病;精神分裂症、不安、うつ病、てんかん、神経変性障害、小脳障害、脊髄小脳障害、認識力障害、頭蓋外傷、頭部外傷、発作、パニック発作、末梢神経障害(peripheric neuropathy)、炎症、緑内障、片頭痛、パーキンソン病(Morbus Parkinson)、ハンチントン病(Morbus Huntington)、アルツハイマー病(Morbus Alzheimer)、レイノー病、振戦疾患、強迫障害、老年痴呆、胸腺疾患、遅発性ジスキネジー、躁鬱病、薬剤誘発性(medicament-induced)運動障害、失調症、内毒素血症性ショック(endotoxemic shock)、出血性ショック、低血圧症、不眠症、免疫障害、硬化性プラーク(sclerotic plaques)、嘔吐、下痢、ぜんそく、記憶障害、そう痒症、痛みからなる群より選択される一つ以上の障害の予防および/または治療に、あるいは麻薬性および非麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果の増強に、あるいは腸管通過に影響を与えるのに適している。
【0132】
本発明の別の側面は、カンナビノイド-レセプター、好ましくはカンナビノイド1(CB1)レセプターの調節用の、中枢神経系の障害、免疫系の障害、心血管系の障害、内分泌系の障害、呼吸器系の障害、消化管の障害あるいは生殖器障害の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよい上記の一般式Iで表わされる、適切な有効物質としての少なくとも1つの置換ピラゾリン化合物と、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0133】
特に好ましいのは、精神病の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0134】
更に特に好ましいのは、食物摂取障害、好ましくは過食症、拒食症、悪液質、肥満症、および/またはII型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)、より好ましくは肥満症の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0135】
更に特に好ましいのは、がんの予防および/あるいは治療用の、好ましくは脳腫瘍、骨肉腫、口唇癌、口腔癌、食道がん、胃がん、肝癌、膀胱がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、皮膚がん、結腸がん、腸がんおよび前立腺がんからなる群より選択される一種以上のがんの予防および/あるいは治療用の、より好ましくは結腸がん、腸がんおよび前立腺がんからなる群より選択される一種以上のがんの予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0136】
更に特に好ましいのは、アルコール乱用および/もしくはアルコール嗜癖、ニコチン乱用および/もしくはニコチン嗜癖、薬物乱用および/もしくは薬物嗜癖、ならびに/または薬剤乱用および/もしくは薬剤嗜癖、好ましくは薬物乱用および/もしくは薬物嗜癖ならびに/またはニコチン乱用および/もしくはニコチン嗜癖の予防および/あるいは治療用の薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0137】
しばしば誤用の対象である薬剤 / 薬物は、オピオイド、バルビツール酸塩、大麻、コカイン、アンフェタミン、フェンシクリジン、幻覚薬およびベンゾジアゼピンを含む。
【0138】
更に好ましいのは、骨障害、好ましくは骨粗鬆症(例えば、遺伝的素因、性ホルモン欠乏、もしくは加齢と結び付けられる骨粗鬆症)、癌関連骨疾患または骨ページェット病;精神分裂症、不安、うつ病、てんかん、神経変性障害、小脳障害、脊髄小脳障害、認識力障害、頭蓋外傷、頭部外傷、発作パニック発作、末梢神経障害、炎症、緑内障、片頭痛、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、レイノー病、振戦疾患、強迫障害、老年痴呆、胸腺疾患、遅発性ジスキネジー、躁鬱病、、薬剤誘発性運動障害、失調症、内毒素血症性ショック、出血性ショック、低血圧症、不眠症、免疫障害、硬化性プラーク、嘔吐、下痢、ぜんそく、記憶障害、そう痒症、痛みからなる群より選択される一つ以上の障害の予防および/または治療用の、あるいは麻薬性および非麻薬性鎮痛薬の鎮痛効果の増強用の、あるいは腸管通過に影響を与えるための薬剤の製造のための、場合によっては立体異性体の1種、好ましくはエナンチオマーもしくはジアステレオマー、ラセミ体、又はこれらの立体異性体の少なくとも2種、好ましくはエナンチオマー及び/もしくはジアステレオマー、の任意の混合比の混合物の形態、あるいは対応するそれらのN−オキシド、あるいは対応するそれらの塩、あるいは対応するそれらの溶媒和物の形態であってもよいそれぞれのピラゾリン化合物の少なくとも1つと、場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤との使用である。
【0139】
本発明による薬剤は、ヒトおよび/または動物、好ましくは幼児、子供および成人を含むヒトに適用するのに適したいかなる形態であってもよく、当業者に公知の標準的な手順によって製造することができる。薬剤の組成は投与経路によって異なってもよい。
【0140】
本発明の薬剤は、例えば、水あるいは適当なアルコールなどの、従来の注射可能な液状担体と共に非経口投与してもよい。安定化剤、可溶化剤、バッファなどの、注射のための従来の薬学的賦形剤を、このような注射可能な組成物に含めてもよい。これらの薬剤は、例えば、筋肉内に、腹腔内に、あるいは静脈内に注射してもよい。
【0141】
本発明による薬剤を調合して、固体あるいは液体の形態で、1つ以上の生理的に適合しうる担体あるいは賦形剤を含む経口投与可能な組成物としてもよい。これらの組成物は、結着剤、充填剤、潤滑剤、許容できる加湿剤などの従来成分を含んでもよい。組成物は、即座のまたは遅延した放出のために、錠剤、ペレット、カプセル、薬用ドロップ、水性または油性溶液、懸濁液、乳濁液などの都合が良い全ての形態、あるいは水または他の適当な液状媒体で使用前に再形成するのに適した乾燥粉末の形態をとってもよい。
【0142】
投与のための液状経口剤型は、甘味料、香味料、防腐剤、乳化剤などのある種の添加物も含んでよい。食用油を含有させて、経口投与のための非水液状組成物を調合してもよい。このような液状組成物は、例えば、ゼラチンカプセル中に単位投与量で都合よくカプセル化してもよい。
【0143】
本発明の組成物は、局所的に、あるいは座薬によっても投与してよい。
【0144】
ヒトおよび動物のための毎日の服用量は、それぞれの種に基礎を有する要因あるいは年齢、性別、重量または病気の程度などの他の要因によって異なってもよい。ヒトのための1日の服用量は、1日当たり1回又は数回の摂取の間に投与される有効成分1〜2000、好ましくは1〜1500、より好ましくは1〜1000ミリグラムの範囲内であることが好ましい。
【0145】
薬理学的方法
I. CB1 / CB2 - レセプターに対する親和性の試験管内測定
CB1 / CB2 - レセプターに対する本発明置換ピラゾリン化合物の親和性の試験管内測定をルース・エー・ロス、ヘザー・シー・ブロッキー他(Ruth A. Ross, Heather C. Brockie et al.)の刊行物「Agonist-inverse agonist characterization at CB1 and CB2 cannabinoid receptors of L-759633, L759656 and AM630」 British Journal of Pharmacology, 126, 665-672, (1999)に記載のとおりに実行する。ここでは、Receptor Biology, Inc.のトランスフェクトされた(transfected)ヒトCB1およびCB2レセプターが使われる。両方のレセプターのために使われた放射性リガンドは [3H]-CP55940 である。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0146】
II. カンナビノイド活性の測定のための生体内バイオアッセイシステム
マウス4つ組モデル
カンナビノイドレセプターに対する親和性を有する物質が広範囲の薬理学的効果を引き起こすことは公知である。マウスにおいてカンナビノイドレセプターに対する親和性を有する物質を静脈内投与することにより、痛覚消失症、低体温症、鎮静作用および強硬症が引き起こされることも公知である。これらの効果すべてが種々のクラスの中枢作用剤について共通しているので、これらの効果のいずれも個々には、被験物質がカンナビノイド - レセプターに対する親和性を有することの証明であるとみなすことはできない。しかしながら、これらすべての効果を示す物質、すなわち、このいわゆる4つ組モデルで活性な物質はカンナビノイドレセプターに対する親和性を有すると考えられる。カンナビノイドレセプター拮抗薬がマウス4つ組モデルでカンナビノイド作用薬の効果を阻止することに大いに効果があることがさらに示されている。
【0147】
4つ組モデルについては、例えば、エー・シー・ハウレット他(A. C. Howlett et al)の刊行物International Union of Pharmacology XXVII. Classification of Cannabinoid Receptors, Pharmacol Rev 54, 161-202 , 2002、およびデイビッド・アール・コンプトン他(David R. Compton et al.)「In-vivo Characterization of a Specific Cannabinoid Receptor Antagonist (SR141716A) :Inhibition of Tetrahydrocannbinol- induced Responses and Apparent Agonist Activity」J. Pharmacol. Exp. Ther. 277 , 2, 586-594, 1996に記載されている。該記載の対応部分は、ここに参考文献として導入される。
【0148】
材料と方法
重量20-30gのオスの NMRI マウス(ハーラン、バルセロナ、スペイン(Harlan, Barcelona, Spain))が以下の実験すべてで使われる。
【0149】
下記の行動手順で試験をする前に、マウスを実験的設定に順応させる。処理前の対照値(Pre-Treatment control values)を痛覚消失症ホットプレート潜伏期(analgesia hot plate latency)(秒にて)、直腸温度、鎮静作用および強硬症について測定する。
【0150】
被験物質の作用薬活性を測定するために、マウスは被験物質あるいは媒体だけを静脈内注射される。注射の15分後に、ホットプレート痛覚消失症(hot plate analgesia)における潜伏期を測定する。直腸温度、鎮静作用および強硬症を注射の20分後に測定する。
【0151】
拮抗薬活性を測定するために、作用薬効果の測定に関するものと同一の手順が使われるが、1.25 mg/kgのWin-55,212(公知のカンナビノイド - レセプター作用薬)を静脈注射する5分前に、拮抗薬活性について評価される物質を注射するという相違点がある。
【0152】
ホットプレート痛覚消失症
ホットプレート痛覚消失症は、ウールフ・ディー他(Woolfe D. et al.)「The evaluation of analgesic action of pethidine hydrochloride (Demerol)」J. Pharmacol. Exp. Ther. 80, 300-307,1944に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0153】
足をなめたりジャンプしたりすることによって痛みの感覚を示すまで、マウスを55±0.5℃のホットプレート(ハーバード無痛覚計(Harvard Analgesimeter))の上に置き、これらの感覚が起こる時間を記録する。この示数を基礎的な値(B)であるとみなす。マウスがいかなる痛みの反応もなくホットプレートの上にとどまったままでいられる最大の制限時間は、皮膚の損傷を防ぐため、40秒である。この時間は打ち切り時間(PC)と呼ばれる。
【0154】
被験物質投与の15分後に、マウスを再びホットプレートの上に置き、前述の手順を繰り返す。この時間は処理後示数(PT)と呼ばれる。
【0155】
痛覚消失症の程度は式:
痛覚消失症の% MPE = ( PT- B) / (PC-B) x 100
(MPE = 最大可能作用(Maximum possible effect))
から計算される。
【0156】
鎮静作用および運動失調の測定
鎮静作用と運動失調は、デスメット・エル・ケー・シー他(Desmet L. K. C. et al.)「Anticonvulsive properties of Cinarizine and Flunarizine in Rats and Mice」Arzneim. -Forsch. (Frug Res) 25, 9, 1975に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0157】
選ばれた評価システムは、処理の前および後において
0:運動失調なし;
1:疑わしい;
2:明白な沈静および静止;
3 顕著な運動失調;
である。
【0158】
鎮静作用のパーセンテージは式:
鎮静作用の% = 算数平均 / 3 × 100
に従って測定される。
【0159】
低体温症:
低体温症は、デイビッド・アール・コンプトン他(David R. Compton et al.)「In-vivo Characterization of a Specific Cannabinoid Receptor Antagonist (SR141716A) Inhibition of Tetrahydrocannbinol- induced Responses and Apparent Agonist Activity」J. Pharmacol Exp Ther. 277 , 2, 586-594, 1996に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0160】
被験物質を投与する前に、基準直腸温度を温度計(Yello Springs Instruments Co., Panlabs)と25mmまで差し込まれたサーミスタープローブとで測定する。直腸温度を被験物質の投与の20分後に再び測定する。温度差は動物ごとに計算され、−2℃以上の差は活性を表すとみなす。
【0161】
強硬症:
強硬症は、アルパーマン・エイチ・ジー他(Alpermann H. G. et al.)「Pharmacological effets of Hoe 249: A new potential antidepressant」Drugs Dev. Res. 25, 267-282. 1992に記載された方法によって測定される。それぞれの記載は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0162】
被験物質の強硬症効果(cataleptic effect)は、強硬症の持続時間に応じて評価される。ここで、動物は、キンレッグ(kinlegs)を木製ブロックの先端に載せて、下向きに置かれる。
【0163】
選ばれた評価システムは、
60秒間を超える強硬症 = 6;50−60秒間の強硬症 = 5、40−50秒間の強硬症 = 4、30−40秒間の強硬症 = 3、20−30秒間の強硬症 = 2、5−10秒間の強硬症 = 1、5秒間未満の強硬症 = 0
である。
【0164】
強硬症のパーセンテージは次の式:
%強硬症 = 算数平均 / 6 × 100
に従って測定される。
【0165】
III. 抗肥満活性の生体内試験
本発明ピラゾリン化合物の抗肥満活性の生体内試験は、ジー・コロンボ他(G. Colombo et al.)の刊行物「Appetite Suppression and Weight Loss after the Cannabinoid Antagonist SR 141716」Life Sciences, 63 (8), 113-117, (1998)に記載されたとおりに行われる。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0166】
IV. 抗うつ活性の生体内試験
本発明ピラゾリン化合物の抗うつ活性の生体内試験は、水絶望試験(water despair test)として、イー・ティー・ツァヴァラ他(E.T. Tzavara et al.)の刊行物「The CB1 receptor antagonist SR141716A selectively increases monoaminergic neurotransmission in the medial prefrontal cortex: implications for therapeutic actions」Br. J. Pharmacol. 2003, 138(4):544:53に記載されたとおりに行われる。前記記載のそれぞれの部分は、ここに参考文献として導入され、本開示内容の一部を形成する。
【0167】
以下、本発明を例により説明する。これらの説明は、単に例示の目的で示されるものであり、本発明の一般的な精神を制限しない。
【0168】
例:
例1:
N−ピペリジニル−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
a)4−(4−クロロフェニル)−2−オキソ-3-ブテン酸
【0169】
【化14】

【0170】
三つ口フラスコでp-クロロベンズアルデヒド(13.3g、95ミリモル)とピルビン酸エチル(10g、86ミリモル)とを150mlの無水エタノールに溶解した。
溶液を0℃まで氷冷させ、NaOH 水溶液(45mLの水に3.8g)を、温度を10℃以下に保持して、滴下により添加した。それによって、黄橙色沈殿物が形成された。反応混合物を0℃で1時間および室温(およそ25℃)でさらに1.5時間撹拌した。その後、反応混合物をおよそ5℃に冷却し、4−(4−クロロフェニル)−2−オキソ-3-ブテン酸の不溶解性ナトリウム塩をろ過によって単離した。
【0171】
ろ液を冷蔵庫内で一晩放置した。それによって、より多くの沈殿物が形成された。それをろ過し、塩の最初の分画と合わせて、ジエチルエーテルで洗った。4−(4−クロロフェニル)−2−オキソ-3-ブテン酸のナトリウム塩を次に2N塩酸溶液で処理し、数分間撹拌し、固体の4−(4−クロロフェニル)−2−オキソ-3-ブテン酸をろ過によって分離し乾燥させて、12.7gの所望の生成物(理論収量の70%)を得た。
【0172】
IR (KBr, cm-1 ) : 3500-2500, 1719,3, 1686,5, 1603,4, 1587,8, 1081,9.
1H NMR(CDCl3, δ) : 7,4 (d, J=8,4Hz, 2H), 7,5 (d, J=16,1Hz, 1H), 7,6 (d, J=8,4Hz, 2H), 8,1(d, J=16,1Hz, 1H)。
【0173】
b) 5-(4-クロロフェニル)-1−(2,4-ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−ピラゾール-3−カルボン酸
【0174】
【化15】

【0175】
段階a)により得られた4−(4−クロロフェニル)−2−オキソ-3-ブテン酸(12.6g、60ミリモル)、2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(12.8g、60ミリモル)および氷酢酸(200mL)を窒素雰囲気下で混合し、加熱して4時間還流し、室温(およそ25℃)に冷却し、冷水中に加えた。それによって、粘着性の塊を得、塩化メチレンにより抽出した。混合した塩化メチレン分画を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させて、淡黄色の固体を得た(12.7g、理論収量の57%)。
【0176】
IR (KBr, cm-1 ) : 3200-2200, 1668,4, 1458, 1251,4, 1104,8.
1H NMR (CDCl3, δ) : 3,3 (dd, 1H), 3,7 (dd, 1H), 5,9 (dd, 1H), 7,09-7,25 (m, 7H)。
【0177】
(c) 塩化5−(4-クロロフェニル)−1-(2,4-ジクロロフェニル)−4,5-ジヒドロ−ピラゾール-3-カルボン酸
【0178】
【化16】

【0179】
窒素雰囲気下、段階(b)により得られた5-(4-クロロフェニル)-1−(2,4-ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−ピラゾール-3−カルボン酸(2.5g、6.8ミリモル)を4mLの塩化チオニルに溶かし、加熱して2.5時間還流した。過剰の塩化チオニルは減圧下で反応混合物から取り除かれ、結果として生じた粗製残渣(2.6g)をそれ以上は精製しないで用いる。
【0180】
IR (KBr, cm-1) : 1732,3, 1700, 1533,3, 1478,1, 1212,9, 826,6.
【0181】
d) N-ピペリジニル-5−(4−クロロフェニル)−1-(2,4-ジクロロフェニル)−4,5-ジヒドロピラゾール-3−カルボキサミド[この化合物は、5−(4-クロロ-フェニル)−1-(2,4-ジクロロ-フェニル)−4,5-ジヒドロ-1H−ピラゾール-3-カルボン酸ピペリジン-1-イルアミドとしても、あるいは1−(2,4-ジクロロフェニル)-5-(4-クロロフェニル)-4,5−ジヒドロ−N-(ピペリジン-1-イル)−1H−ピラゾール-3−カルボキサミドとしても言及される場合がある]
【0182】
【化17】

【0183】
窒素雰囲気下、N−アミノピペリジン(0.6mL、5.6ミリモル)およびトリエチルアミン(4mL)を塩化メチレン(25mL)に溶かした。結果として生じた混合物を0℃まで氷冷し、段階(c)で得られた塩化5−(4-クロロフェニル)−1-(2,4-ジクロロフェニル)−4,5-ジヒドロ−ピラゾール-3-カルボン酸の塩化メチレン溶液(15mL)を滴下により添加した。結果として生じた反応混合物を一晩室温(およそ25℃)で撹拌した。その後、反応混合物を水、それに続いて重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で、それから再び水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ロータベーパー(rotavapor)で蒸発乾固させた。結果として生じた粗製固体をエタノールから結晶させた。結晶させた固体をろ過によって取り除き、母液を濃縮して、結晶生成物の第二分画を得た。2つの分画を混合して、183-186℃の融点を有する総量1.7g(理論収量の57%)のN-ピペリジニル-5−(4−クロロフェニル)−1-(2,4-ジクロロフェニル)−4,5-ジヒドロピラゾール-3−カルボキサミドを得た。
【0184】
IR (KBr, cm-1) : 3222,9, 2934,9, 1647,4, 1474,7, 1268,3, 815,6.
1H NMR ( CDCl3, δ) : 1,4 (m, 2H), 1,7 (m, 4H), 2,8 (m, 4H), 3,3 (dd, J=6,1 y 18,3Hz, 1H), 3,7 (dd, J=12,5および 18,3 Hz, 1H), 5,7 (dd, J=6,1および 12,5 Hz, 1H), 7,0-7,2 (m, 6H), 7,4 (s, 1H).
【0185】
以下の例2-6による化合物は、例1に記載した方法と同様に調製した。
【0186】
例2:
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−[1,2,4]トリアゾール−4−イルアミド
融点: 134-138 ℃.
IR (KBr, cm-1): 3448, 1686, 1477, 1243, 1091, 821.
1H NMR(CDCl3, δ): 3,1 (dd, J=6,2 および 17,9Hz, 1H), 3,7 (dd, J=12,3および 17,9Hz, 1H), 5,9 (dd, J=6,2および 12,3 Hz, 1H), 7,2-7,5 (m, 7H), 8,7 (s, 2H), 12,0 (bs, 1H).
【0187】
例3:
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミド塩酸塩
融点: 150-155℃.
IR (KBr, cm-1) : 3433, 1685, 1477, 1296, 1246, 1088, 1014, 825.
1H NMR (CDCl3, δ): 2,7 (d, J=4,2Hz, 3H), 3,0-3,4 (m, 9H), 3,6 (dd, J=11,9および 17,9 Hz, 1H), 5,8 (dd, J=5,5および 11,9 Hz, 1H), 7,1 (d, J=8,4Hz, 2H), 7,25 (2d, J= 8,4および 8,7 Hz, 3H), 7,4 (d, J=2,2Hz, 1H), 7,5 (d, J=8,7Hz, 1H), 9,8 (s, 1H), 11,2 (bs).
【0188】
例4:
5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸ジエチルアミド
この化合物はオイルの形態で得られた。
IR (フィルム, cm-1) : 2974, 1621, 1471, 1274, 1092, 820.
1H NMR (CDCl3, δ): 1,2 (m, 6H), 3,3-3,9 (m, 6H), 5,6 (dd, J=5,8および 11,7 Hz, 1H), 7-7,25 (m, 7H).
【0189】
例5:
[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン
融点: 105-110℃.
IR (KBr, cm-1) : 2934, 1622, 1470, 1446, 1266, 1010, 817.
1H NMR ( CDCl3, δ): 1,7 (m, 6H), 3,4 (dd, J=5,7および 17,9Hz, 1H), 3,7 (m, 3H), 3,9 (m, 2H), 5,6 (dd, J=6,1 y 11,9 Hz, 1H), 7-7,25 (m, 7H).
【0190】
例6:
N−[5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ-フェニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボニル]−4−メチル-フェニルスルホンアミド
この化合物は無定形固体の形態で得られた。
IR (KBr, cm-1) : 1697, 1481, 1436, 1340, 1169, 1074, 853.
1H NMR (CDCl3, δ): 2,4 (s, 3H), 3,2 (dd, J=6,6および 18,3Hz, 1H), 3,6 (dd, J=12,8および 18,3Hz, 1H), 5,8 (dd, J=6,6および 12,8Hz, 1H), 7 (d, J=8,2Hz, 2H), 7,2 (s, 1H), 7,3-7,4 (m, 6H), 8 (d, J=8,1Hz, 2H), 9 (s, 1H).
【0191】
例7:
N−ピペリジニル−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロピラゾール−3−カルボキサミドのN−オキシド
不活性雰囲気として窒素ガス下で、N−ピペリジニル−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロピラゾール−3−カルボキサミド(0,15g、332ミリモル)を7ミリリットルの塩化メチレンに溶かした。結果として生じた溶液を0℃に氷冷し、m-クロロ過安息香酸(0,204g、0,83ミリモル)をいくつかの部分に分けて添加した。15分間撹拌した後で、薄層クロマトグラフィーを介した操作によって、出発物質が残っていないことが示された。それから、重炭酸ナトリウムの飽和溶液をゆっくりと加え、有機相を分離し、水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ過された溶液を蒸発乾固させ、粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、78ミリグラム(理論収量の50%)のN−ピペリジニル−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロピラゾール−3−カルボキサミドのN−オキシドを、115-120℃の融点を有する白い固体の形態で、得た。
【0192】
IR (KBr, cm-1): 3202, 1678, 1654, 1474, 1309, 1107.
1H-NMR (CDCl3, δ): 1.6 (m, 2H), 1.8-2.0 (m, 4H), 2.55 (m, 2H), 3.3 (dd, J = 6.3 Hzおよび 18.2 Hz, 1H), 3.7 (m, 3H), 5.8 (dd, J = 6.3 Hzおよび 12.5 Hz, 1H), 7.0-7.3 (m, 7H), 8.5 (s, 1H.)
【0193】
薬理学的データ:
I. CB1 / CB2 - レセプターに対する親和性の試験管内測定
CB1 / CB2 - レセプターに対する本発明置換ピラゾリン化合物の親和性を上述のとおりに測定した。得られた値のいくつかを以下の表1に示す:
【0194】
【表1】

【0195】
表1に示した値から分かるように、本発明ピラゾリン化合物はCB1 - レセプターを制御するのに特に適している。
【0196】
II. カンナビノイド活性の測定のための生体内バイオアッセイシステム
生体内でのカンナビノイド活性の測定を上述のとおりに測定した。得られた値のいくつかを以下の表2に示す:
【0197】
【表2】


i.v. 静脈内
A: ホットプレート試験
B: 低体温症
C: 強硬症
D: 鎮静作用
【0198】
表2に示した値から分かるように、本発明ピラゾリン化合物は拮抗薬効果を示す。
【0199】
III. 抗肥満活性の生体内試験
抗肥満活性の生体内試験を上述のとおり行った。ここで、おのおの10匹のラットからなる4つの異なったグループを以下のとおりに処理した:
【0200】
グループI:
グループを媒体、すなわち、水に溶けたアラビアゴム(5重量%)で処理した。
【0201】
グループII:
2番目のグループのラットは、例1による本発明化合物N−ピペリジニル−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロピラゾール−3−カルボキサミドで処理した。該化合物を、(10ミリグラム / kg 体重)という一日の供与量で14日の期間にわたってラットに腹腔内投与した。
【0202】
グループIII:
3番目のグループのラットは、食欲を減らすことが知られている有効成分であるアンフェタミンで処理した。該化合物を、(5ミリグラム / kg 体重)という一日の供与量で14日の期間にわたってラットに腹腔内投与した。
【0203】
図1から分かるとおり、体重は例1による本発明化合物の投与により下がり、この効果は処理を終えた後も観察される。
【0204】
図2は、例1による本発明化合物の投与による食物摂取の減少を示す。
【0205】
IV. 抗うつ活性の生体内試験
本発明ピラゾリン化合物の抗うつ活性の生体内試験を、水絶望試験として、上述のとおり行った。特に、例1による化合物は、不動時間(immobility time)ともがき時間(struggling time)とに関して肯定的な効果を見せた。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】ラットの体重は例1による本発明化合物の投与により下がり、この効果は処理を終えた後も観察されることを示す。
【図2】例1による本発明化合物の投与によるラットの食物摂取の減少を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】



(式中、
は、場合によってはハロゲン、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ、及びCFから成る群から選ばれる1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたフェニル基を示し;
は、場合によってはハロゲン、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルコキシ、及びCFから成る群から選ばれる1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたフェニル基を示し;
は、ピロリジニル基;ピペリジニル基;ピペラジニル基;ホモ−ピペラジニル基;モルホリニル基;又は-NR基を示し、
は、水素原子又は直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基を示し、
は、直鎖若しくは分岐鎖のC1−6アルキル基;SO−R基;ピロリジニル基;ピペリジニル基;ピペラジニル基;ホモ−ピペラジニル基;モルホリニル基;又はトリアゾリル基であって、各ヘテロ環式環は1つ又はそれ以上の同一の又は異なるC1−6アルキル基で置換されていてもよく、そして
は、同一であるか又は異なってもよい1つ又はそれ以上のC1−6アルキル基で場合によっては置換されてもよいフェニル基を示す)
で表わされる置換ピラゾリン化合物の製造方法であって、一般式(II):
【化2】


(II)
(式中、Rは、前記の意味を有する)
で表わされる少なくとも1つのベンズアルデヒド化合物を、一般式(III):
【化3】


(III)
(式中、GはOR基を示し、Rは分岐鎖の又は分岐していないC1−6アルキル基であるか、又はGはOK基を示し、Kはカチオンである)
で表わされるピルベート化合物と反応させて、一般式(IV):
【化4】


(IV)
(式中、Rは前記の意味を有する)の化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そしてそれを、一般式(V):
【化5】


(V)
(式中、Rは、前記の意味を有する)で表わされる、場合によっては置換されたフェニルヒドラジン又は対応するその塩と不活性雰囲気下で反応させて、一般式(VI):
【化6】


(VI)
(式中、R及びRは前記の意味を有する)
で表わされる化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そして場合によっては、不活性雰囲気下で、脱離基を導入するための活性化剤との反応により一般式(VII):
【化7】


(VII)
(式中、置換基R及びRは前記の意味を有し、そしてAは脱離基を示す)
で表わされる化合物に変換し、該化合物を場合によっては単離及び/又は場合によっては精製し、そして一般式(VI)で表わされる少なくとも1つの化合物を一般式RH(式中、Rは−NR基を示し、R及びRは前記の意味を有する)で表わされる化合物と不活性雰囲気下で反応させて、一般式(I)(式中、Rは−NR基を表わす)で表わされる置換ピラゾリン化合物を得るか、
或いは、一般式(VII)で表わされる少なくとも1つの化合物を一般式RH(式中、Rは前記の意味を有する)で表わされる化合物と不活性雰囲気下で反応させて、一般式(I)で表わされる化合物を得、それを場合によっては単離及び/又は場合によっては精製することを特徴とする、一般式(I)で表わされる置換ピラゾリン化合物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−137976(P2009−137976A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328362(P2008−328362)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【分割の表示】特願2006−530288(P2006−530288)の分割
【原出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(504379198)ラボラトリオス・デル・デエレ・エステベ・エセ・ア (19)
【Fターム(参考)】