説明

置換ピリジン類およびGSK3阻害剤としてのそれらの使用

本発明は、置換ピリジン類およびそれらの製造方法、並びに、疾患の、特に血液疾患の、好ましくは白血球減少症および好中球減少症の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ピリジン類およびそれらの製造方法、並びに、疾患の、特に血液疾患の、好ましくは白血球減少症および好中球減少症の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、セリン/スレオニンキナーゼのファミリーに属する。特異的基質には、細胞骨格タンパク質および転写因子が含まれる。2つのアイソフォーム、GSK3αおよびGSK3βが今日までに同定された(Woodgett JR., Trends Biochem. Sci. (1991), 16(5), 177-81)。両アイソフォームは、主として休止している非増殖細胞において、恒常的に活性である。
【0003】
GSK3βは、Wnt/Wingless シグナル伝達経路において、中心的に重要である。この経路は、最も重要な、進化的に保存されているシグナル伝達系の1つである。Wnt シグナルは、胚発生における非常に初期のパターン形成過程を制御し、それらは、中胚葉の形成および多くの器官を誘導し、そして、幹細胞の増殖および分化を制御する(Wodarz A., Nusse R., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. (1998), 14, 59-88; Kirstetter et al., Nat Immunol. (2006), 7(10), 1048-56)。Wnt シグナル伝達経路の細胞内区画化があり、これが幅広い様々な異なる過程の制御を可能にしている。Wnt カスケードの内で、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3は、構造分子のアキシン(axin)、腫瘍抑制タンパク質APCおよび転写補因子β−カテニンを含む多タンパク質複合体の一部を形成する。β−カテニンは、GSK3βの最も重要な基質である。このGSK3βに媒介されるリン酸化の結果は、β−カテニンのプロテアソーム分解である。GSK3活性の阻害は、細胞内のβ−カテニンの蓄積を導き、続いて細胞核への移行を伴う。そこで、β−カテニンは、転写複合体の補因子として作用し、かくして所定の標的遺伝子の発現を部分的に担う。
【0004】
放射線療法または化学療法は、癌の制御への標準的アプローチのうちにある。両形態の療法は、それらの標的細胞に関して非特異的であり、即ち、腫瘍細胞のみならず、形質転換していない増殖している細胞も影響を受ける。これらの形質転換していない増殖している細胞には、とりわけ、発達して好中球の顆粒球になる造血性前駆細胞も含まれる。好中球数の顕著な減少は、好中球減少症と呼ばれる。化学療法または放射線療法に誘導される好中球減少症の臨床的結果は、感染への易罹患性の上昇である。好中球減少症が実質的であれば、罹患率の上昇があり、いくつかの状況では、療法の死亡率の上昇もある(O'Brien et al., British Journal of Cancer (2006), 95, 1632-1636)。
【0005】
GSK3活性の阻害は、造血幹細胞の増殖および分化の速度の上昇を導き、従って、治療により誘導される好中球減少に関して、治療介入に利用できる。
【0006】
WO99/65897およびWO02/20495は、とりわけ、ピリジン類を、糖尿病、癌および中枢神経系の障害の処置用のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤として記載している。WO2003/049739は、ピリミジン類を、糖尿病、癌および中枢神経系の障害の処置用のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤として記載している。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、ヒトおよび動物の血液疾患、好ましくは好中球減少症の処置用のGSK3β阻害剤としての新規化合物を提供することである。
【0008】
本発明は、式
【化1】

〔式中、
は、式
【化2】

[式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イルまたは1,2−ピラゾール−5−イルである
{ここで、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、1,3−チアゾール−2−イルおよび1,3−チアゾール−4−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択され
(ここで、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、トリフルオロメチルおよびC−C−シクロアルキルからなる群から選択される)、
そして、
ここで、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イルおよび1,2−ピラゾール−5−イルは、1個ないし2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択される}]
の基であり、
【0009】
は、フェニルであり
{ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノメチル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルキルアミノスルホニル、フェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルメチル、ピペリジニルメチル、モルホリニルメチルおよびピペラジニルメチルからなる群から各々独立して選択される
(ここで、フェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルメチル、ピペリジニルメチル、モルホリニルメチルおよびピペラジニルメチルは、1個ないし3個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルであり、
かつ、
は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであるか
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであり
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
かつ、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルである〕
の化合物、並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含され、実施例として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(式(I)に包含され、後述する化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない限り)。
【0011】
本発明の化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性体的に均一な構成分は、かかるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は全ての互変異性体を包含する。
【0012】
本発明に関して、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。本発明は、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば、本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も含む。
【0013】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0014】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、常套の塩基の塩が含まれ、好ましい例は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(好ましい例は、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミン、N−メチルピペリジンおよびコリンである)から誘導されるアンモニウム塩である。
【0015】
本発明に関して、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成する本発明の化合物の形態を表す。水和物は、配位が水とのものである、溶媒和物の特別な形態である。
【0016】
さらに、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存中に、本発明の化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を包含する。
【0017】
本発明に関して、断りの無い限り、置換基は以下の通りに定義される:
アルキル自体、並びに、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノおよびアルキルアミノスルホニル中の「アルコ(Alk)」および「アルキル」は、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルであり、好ましい例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびtert−ブチルである。
【0018】
例えば、そして好ましくは、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシである。
【0019】
アルキルアミノは、1個または2個の(独立して選択される)アルキル置換基を有するアルキルアミノラジカルであり、好ましい例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノである。C−C−アルキルアミノは、例えば、1個ないし4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノラジカル、または、アルキル置換基1個につき各場合で1個ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノラジカルである。
【0020】
例えば、そして好ましくは、アルキルカルボニルは、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニルおよびtert−ブチルカルボニルである。
【0021】
例えば、そして好ましくは、アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルである。
【0022】
アルキルアミノカルボニルは、1個または2個の(独立して選択される)アルキル置換基を有するアルキルアミノカルボニルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニルである。C−C−アルキルアミノカルボニルは、例えば、1個ないし4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニルラジカル、または、アルキル置換基1個につき各場合で1個ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニルラジカルである。
【0023】
例えば、そして好ましくは、アルキルカルボニルアミノは、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノおよびtert−ブチルカルボニルアミノである。
【0024】
例えば、そして好ましくは、アルキルスルホニルは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルおよびtert−ブチルスルホニルである。
【0025】
アルキルアミノスルホニルは、1個または2個の(独立して選択される)アルキル置換基を有するアルキルアミノスルホニルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノスルホニル、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノスルホニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノスルホニルである。C−C−アルキルアミノスルホニルは、例えば、1個ないし4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノスルホニルラジカル、または、アルキル置換基1個につき各場合で1個ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノスルホニルラジカルである。
【0026】
例えば、そして好ましくは、アルキルスルホニルアミノは、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノおよびtert−ブチルスルホニルアミノである。
【0027】
シクロアルキルは、一般的に3個ないし6個の炭素原子を有する単環式シクロアルキル基である;シクロアルキルの好ましい例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0028】
複素環は、5個または6個の環内原子、および、N、O、S、SO、SOの群から3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する単環式複素環式ラジカルであり、ここで、窒素原子は、また、N−オキシドを形成してもよい。複素環ラジカルは、飽和または部分不飽和であり得る。好ましいのは、O、NおよびSからなる群から2個までのヘテロ原子を有する5員または6員の単環式飽和複素環ラジカル、例えば、そして好ましくは、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イル、チオピラニル、モルホリン−1−イル、モルホリン−2−イル、モルホリン−3−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イルである。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素および塩素である。
【0029】
であり得る基の式において、*の印しを付けた線の末端は炭素原子またはCH基を表さず、Rが結合している原子への結合の一部である。
であり得る基の式において、#の印しを付けた線の末端は炭素原子またはCH基を表さず、Rが結合している原子への結合の一部である。
【0030】
好ましいのは、式中、
が、式
【化3】

[式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イルまたは1,2−ピラゾール−5−イルである
{ここで、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、1,3−チアゾール−2−イルおよび1,3−チアゾール−4−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択され
(ここで、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、トリフルオロメチルおよびC−C−シクロアルキルからなる群から選択される)}
そして、
ここで、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イルおよび1,2−ピラゾール−5−イルは、1個または2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択される}]
の基であり、
【0031】
が、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルおよびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであるか
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0032】
好ましいのは、また、式中、
が、式
【化4】

{式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イルまたは1,3−チアゾール−2−イルである
(ここで、ピリド−2−イルおよび1,3−チアゾール−2−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチルカルボニル、エチルカルボニルおよびメチルカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}
の基であり、
がフェニルであり
(ここで、フェニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルおよびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニルまたはモルホリニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニルおよびモルホリニルカルボニルは、1個ないし3個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルからなる群から選択される
(ここで、ピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルは、1個または2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0033】
特に好ましいのは、式中、
が、式
【化5】

{式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、式
【化6】

(式中、
#は、NHへの結合部位であり、
Lは、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルカルボニルであり、
Mは、水素またはアミノである)
の基である}
の基であり、
が、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素およびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が、水素であり、
が、水素であり、
かつ、
が、シアノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニルまたはピペリジニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニルおよびピペリジニルカルボニルは、1個ないし2個の置換基により各々置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、メチルアミノカルボニルおよびジメチルアミノカルボニルは、1個のピペリジニル置換基により置換されている
(ここで、ピペリジニルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
トリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0034】
特に好ましいのは、式中、
が、式
【化7】

{式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、式
【化8】

(式中、
#は、NHへの結合部位であり、
Lはシアノであり、
かつ、
Mは水素であるか、
または、
Lは、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルカルボニルであり、
かつ、
Mはアミノである)
の基であり、
が、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素およびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、シアノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニルまたはピペリジニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニルおよびピペリジニルカルボニルは、1個または2個の置換基により各々置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、メチルアミノカルボニルおよびジメチルアミノカルボニルは、1個のピペリジニル置換基により置換されており
(ここで、ピペリジニルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物である。
【0035】
好ましいのは、また、式中、Rが、式
【化9】

(ここで、*は、複素環への結合部位である)
の基である、式(I)の化合物である。
【0036】
好ましいのは、また、
が、ピリド−2−イルまたは1,3−チアゾール−2−イルである
(ここで、ピリド−2−イルおよび1,3−チアゾール−2−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチルカルボニル、エチルカルボニルおよびメチルカルボニルからなる群から各々独立して選択される)、
式(I)の化合物である。
【0037】
好ましいのは、また、式中、
が、式
【化10】

(ここで、#は、NHへの結合部位であり、
Lは、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルであり、
Mは、水素またはアミノである)
の基である、式(I)の化合物である。
【0038】
好ましいのは、また、式中、Rが5−シアノピリド−2−イルである、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rが5−トリフルオロメチルカルボニル−6−アミノピリド−2−イルである、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、式中、Rがフェニル(ここで、フェニルは1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素およびメトキシからなる群から各々独立して選択される)である、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが水素である式(I)の化合物である。
【0039】
好ましいのは、また、式中、
が水素であり、
かつ、
が、シアノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニルまたはピペリジニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニルおよびピペリジニルカルボニルは、1個または2個の置換基により各々置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、メチルアミノカルボニルおよびジメチルアミノカルボニルは、1個のピペリジニル置換基により置換されている
(ここで、ピペリジニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
が、トリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
式(I)の化合物である。
【0040】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物の製造方法を提供し、その方法では、
[A]式
【化11】

(式中、R、R、RおよびRは、各々上記の通りであり、
そして、Xは、ハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素である)
の化合物を、式
【化12】

(式中、Rは上記の通りである)
の化合物と反応させるか、
または、
【0041】
[B]式
【化13】

(式中、R、R、RおよびRは、各々上記の通りである)
の化合物を、式
【化14】

[式中、R5aは、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノまたは5員ないし6員の複素環である
{ここで、複素環は、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}]
の化合物と反応させ、式
【化15】

の化合物を得る。
【0042】
式(Ia)および(Ib)の化合物は、式(I)の化合物の一部である。
方法[A]による反応は、一般的に、不活性溶媒中、場合により塩基の存在下、場合によりマイクロ波中、好ましくは50℃ないし200℃の温度範囲で、標準気圧ないし5barで実施する。
【0043】
塩基は、例えば、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム、または、有機塩基、例えばトリアルキルアミン類、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミン、または、他の塩基、例えば、水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドである;好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンまたは水素化ナトリウムである。
【0044】
不活性溶媒は、例えば、ハロ炭化水素、例えば、塩化メチレンまたはトリクロロメタン、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、または、エーテル、例えば、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン、または、他の溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドン、またはこれらの溶媒の混合物であり、好ましいのはN−メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドである。
【0045】
式(II)の化合物は公知であり、対応する出発化合物から既知方法により合成できるか、または、実施例の部(実施例16Aおよび17A)に記載の方法と同様に、または、W. Yang et al., Organic Letters 2003, 5, 17, 3131 と同様に製造できる。
式(III)の化合物は公知であり、対応する出発化合物から既知方法により合成できるか、または、実施例の部(実施例1Aないし15A)に記載の方法と同様に製造できる。
【0046】
方法[B]による反応は、一般的に、不活性溶媒中、脱水剤の存在下、場合により塩基の存在下、好ましくは室温ないし溶媒の還流の温度範囲で、標準気圧で実施する。
【0047】
不活性溶媒は、例えば、ハロ炭化水素、例えば、塩化メチレン、トリクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタン、エーテル、例えばジオキサン、テトラヒドロフランまたは1,2−ジメトキシエタン、または、他の溶媒、例えばアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ブタノンまたはアセトニトリルである。これらの溶媒の混合物を使用することが、同等に可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドである。
【0048】
これに関して適する脱水剤は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)などのカルボジイミド類、カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、プロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリドまたはベンゾトリアゾリルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)またはN−ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの塩基との混合物である。
【0049】
塩基は、例えば、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、または、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム、または、有機塩基、例えばトリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンである;好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0050】
好ましいのは、ジイソプロピルエチルアミンの存在下でHATUを用いて縮合を実施することである。
【0051】
式(Ia)の化合物は、方法[A]に従って製造できる。反応中に、メチルまたはエチルエステルの形態でカルボン酸を保護し、それを、最後の段階で塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムにより加水分解し、式(Ia)の化合物を製造する。
【0052】
出発化合物および式(I)の化合物の製造は、下記の合成スキームにより例示説明できる。
スキーム1:
【化16】

【0053】
スキーム2:
【化17】

【0054】
本発明による化合物は、予想できない有用な薬理的および薬物動態的効果のスペクトルを有する。
従って、それらは、ヒトおよび動物の疾患の処置および/または予防用の医薬としての使用に適する。
本発明は、さらに、障害、好ましくは血液疾患、特に白血球減少症および好中球減少症の処置および/または予防のための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0055】
従って、本発明の化合物は、神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、変性症、認知症、うつ病;攻撃性、脳血管性虚血、睡眠障害、ハンチントン舞踏病、神経外傷性障害、例えば、卒中;2型真性糖尿病および関連障害、例えば、代謝症候群または肥満症、1型真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、高カルシウム血症、高血糖症、高脂血症、グルコース・ガラクトース吸収不良症、全般的な内分泌の機能不全、例えば、膵臓炎;血液疾患、例えば、後天性および先天性好中球減少症、薬剤に誘導される好中球減少症、寄生生物に誘導される好中球減少症、化学療法に誘導される好中球減少症、顆粒球減少症、後天性および先天性白血球減少症、後天性および先天性貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球性貧血、後天性および先天性血小板減少症、白血球機能不全、血液凝固の障害、移植片対宿主反応;癌、例えば、乳癌、結腸腫瘍、胃腸腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、肝臓腫瘍、膵臓腫瘍、皮膚腫瘍、骨髄腫瘍、白血病、例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、MLL白血病、前立腺腫瘍、肺癌、腎臓腫瘍;喘息、進行性の不完全に可逆性の気道の閉塞、肺炎、肺機能不全;炎症性障害、例えば、多発性硬化症、リウマチ性関節炎などの自己免疫疾患、グラム陰性およびグラム陽性細菌による感染、ウイルス感染、例えばカンジダ・アルビカンスによる真菌感染、HIV感染およびHIVに関連する感染、A、BおよびC型肝炎、寄生虫感染;マラリア;脱毛;精子運動能の低下;創傷治癒;緑内障;骨粗鬆症、骨髄障害、骨および関節の障害;心血管障害、例えば、心臓の欠陥、心不全、心臓の線維症、心不整脈、心筋梗塞、薬物または物質に誘導される心毒性、アテローム性動脈硬化症、高血圧;敗血症;炎症性障害;尋常性天疱瘡の予防および/または処置に適する。
【0056】
本発明の化合物は、神経変性障害、例えば、アルツハイマー病および統合失調症、2型糖尿病および関連障害、癌、白血球減少症および/または好中球減少症の予防および/または処置に特に適する。
本発明の化合物は、白血球減少症および/または好中球減少症の予防および/または処置に特に適する。
【0057】
本発明の化合物は、さらに、骨髄および/または末梢血に由来する成人造血幹細胞の効率的な生体外増殖のために、かつ/または、臍帯血由来の胚性幹細胞の生体外増殖のために、使用することもできる。
本発明の化合物は、さらに、胚性および/または成体肝細胞の生体外増殖のために、そして、胚性および/または成体肝細胞の生体外分化のために、使用することもできる。
【0058】
かくして増やした細胞を、次いで、骨髄破壊的治療により誘導される血球減少の削減のために、または、治療的移植方法の枠組み内で、または、血液系の障害、例えば、白血病のために、または、遺伝子治療のために増殖後に遺伝子操作された細胞と共に、使用することができる。
【0059】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための本発明の化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明の化合物の使用を提供する。
本発明は、さらに、治療的に有効な量の本発明の化合物を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
【0060】
本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬を提供する。適する有効成分の組合せの好ましい例には、以下のものが含まれる:
本発明の化合物の臨床使用される化学療法剤との組合せは、様々な腫瘍性疾患の処置結果の有意な改善を導き得る。化学療法剤は、腫瘍細胞の分裂速度を抑制し、かつ/または、固形腫瘍の新血管新生を防止する物質である。これらには、タキサン類、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル、腫瘍細胞の有糸分裂を阻害する物質、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンの群からの物質が含まれる。白金誘導体のクラスからの物質、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチンまたはロバプラチン(lobaplatin)。化学療法剤には、さらに、アルキル化剤のクラスからの物質、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトジン(streptozin)、ダカルバジンまたはテモゾロミドが含まれる。化学療法剤には、また、抗代謝剤、例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体またはアデノシンデアミナーゼ阻害剤も含まれる。このクラスの物質には、とりわけ、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、ペントスタチンおよびゲムシタビンが含まれる。化学療法剤として使用されるのは、また、酵素、抗腫瘍性抗体およびリンホカインを含む天然物またはそれらの誘導体である。これらには、例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ−V(ara-V)、パクリタキセル、ミトラマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン類(例えば、IFN−アルファ)およびエトポシドが含まれる。抗増殖および/または抗血管形成効果を有する他の化学療法剤は、とりわけ、ソラフェニブ、スニチニブ、ボルテゾミブ、DAST阻害剤(BAY73−4506)、ZK−エポチロンである。
【0061】
本発明は、さらに、有効量の本発明の化合物を添加することを特徴とする、骨髄および/または末梢血に由来する成人造血幹細胞の生体外増殖、および/または、臍帯血由来の胚性幹細胞の生体外増殖の方法を提供する。
【0062】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的に作用し得る。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、もしくは、耳の経路で、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。
【0063】
本発明の化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
経口投与に適する投与形は、先行技術に準じて機能し、本発明の化合物を、迅速に、かつ/または、改変された様式で送達し、本発明の化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形で含有する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、もしくは遅れて溶解し、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤である。
【0064】
非経腸投与は、吸収段階を避けて(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内経路により)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内経路により)、達成できる。非経腸投与に適する投与形には、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌散剤の形態の、注射および点滴用製剤が含まれる。
【0065】
経口投与が好ましい。
他の投与経路に適する投与形は、例えば、吸入用医薬形(散剤吸入器、噴霧器を含む)、点鼻薬、液またはスプレー;舌に、舌下に、または頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えばパッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0066】
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性の、医薬的に適する補助剤と混合することにより、既知方法で行える。これらの補助剤には、担体(例えば結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えばアスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば酸化鉄などの無機色素)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0067】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、好ましくは1種またはそれ以上の不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0068】
非経腸投与の場合、一般的に、24時間につき約5ないし1500mgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると見出された。経口投与の場合、その量は、24時間につき約5ないし2000mgである。
【0069】
それにも拘わらず、特に体重、投与経路、有効成分に対する個体の挙動、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要な場合があり得る。
【0070】
以下の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積を基準とする。表記「w/v」は、「重量/体積」を意味する。例えば、「10%w/v」は、溶液または懸濁液100mlが物質10gを含むことを意味する。
【実施例】
【0071】
A)実施例
略号:
【表1】

【0072】
LC−MSの方法:
方法1:装置: HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0073】
方法2:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Warters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 mm x 4.6 mm;溶離剤A:水+50%ギ酸500μl/l;溶離剤B:アセトニトリル+50%ギ酸500μl/l;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm
【0074】
方法3:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分.2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0075】
方法4:装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0076】
方法5:MS装置タイプ:Warters ZQ;HPLC装置タイプ:Warters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0077】
方法6:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Warters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0078】
方法7:装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0079】
方法8:装置:Warters UPLC Acquity を備えた Micromass QuattroPremier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9 μ 50 mm x 1 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.1分100%A→1.5分10%A→2.2分10%A;オーブン:50℃;流速:0.33ml/分;UV検出:210nm。
【0080】
方法9:装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro Micro MS;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A→5.00分100%A;流速:0.0分/3.0分/4.0分/4.01分2.5ml/分、5.00分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0081】
方法10:分取HPLC:カラム:Reprosil C18;グラジエント:アセトニトリル/水、0.1%塩酸を含む。−
方法11:分取HPLC:カラム:Reprosil C18;グラジエント:アセトニトリル/水、0.1%トリフルオロ酢酸を含む。
【0082】
方法12:装置:Waters ACQUITY SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ, 50 mm x 1 mm;溶離剤A:水1l+99%ギ酸0.25ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+99%ギ酸0.25ml;グラジエント:0.0分90%A→1.2分5%A→2.0分5%A;流速:0.40ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210−400nm。
方法13:分取HPLC:カラム:Reprosil C18;グラジエント:アセトニトリル/水。
【0083】
使用したマイクロ波反応器は、EmrysTM Optimizerタイプのシングルモードの装置であった。
【0084】
出発化合物
実施例1A
tert−ブチル(6−クロロピリジン−2−イル)カルバメート
【化18】

2−クロロ−5−アミノピリジン23.4g(181.8mmol)を、THF150mlとアルゴン下で混合し、0℃に冷却した。THF150mlに溶解したナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド73.3g(400mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート43.65g(200mmol)を、滴下して添加した。15分後、冷却浴を除去し、混合物を室温でさらに15分間撹拌した。THFを回転蒸発により除去し、残渣を混合し、酢酸エチルおよび0.5N塩酸で抽出した。有機相を除去し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。反応混合物をシリカゲルでクロマトグラフィーした(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール100%→100:3)。生成物36.54g(理論値の88%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.41 分. (m/z = 175 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.11 (s, 1H), 7.78 (d, 2H), 7.1 (t, 1H), 1.47 (s, 9H).
【0085】
実施例2A
tert−ブチル(6−クロロ−3−ホルミルピリジン−2−イル)カルバメート
【化19】

反応器具をベークアウトし、アルゴン下で反応を実施し、撹拌した。tert−ブチル(6−クロロピリジン−2−イル)カルバメート(実施例1A)15g(65.6mmol)および1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン19g(164mmol)を、先ず、THF270mlに加え、−78℃に冷却した。ブチルリチウム(1.6N)102.5ml(164mmol)を滴下して添加した。滴下による添加の終了後、反応を徐々に−10℃に温め、−10℃で2時間維持した。次いで、それを再度−78℃に冷却し、DMF10ml(131mmol)を添加した。反応を徐々に室温に温め、反応混合物を酢酸エチル1lおよび1N塩酸350mlに添加し、混合物を15分間撹拌し、有機相を除去した。それを水および飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をジエチルエーテルと混合し、固体を吸引濾過し、乾燥させた。生成物12.3g(理論値の73%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.19 分. (m/z = 255 (M+H)-).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.37 (s, 1H), 9.83 (s, 1H), 8.2 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 1.46 (s, 9H).
【0086】
実施例3A
tert−ブチル{6−クロロ−3−[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバメート
【化20】

tert−ブチル(6−クロロ−3−ホルミルピリジン−2−イル)カルバメート(実施例2A)15.45g(60.2mmol)を、先ず、エタノール750mlに添加し、水225mlおよび酢酸ナトリウム9.38g(120.4mmol)の溶液と混合し、5分間撹拌した。水225mlおよびヒドロキシルアミン塩酸塩8.36g(114.4mmol)の溶液を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。20℃で、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を酢酸エチルに取り、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機相を除去し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、20℃で、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生成物15.5g(理論値の80%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.08 分. (m/z = 270 (M+H)-).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 11.71 (s, 1H), 9.91 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.3 (d, 1H), 1.49 (s, 9H).
【0087】
実施例4A
2−アミノ−6−クロロピリジン−3−カルボアルデヒドオキシム塩酸塩
【化21】

tert−ブチル{6−クロロ−3−[(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジン−2−イル}カルバメート(実施例3A)15.5g(57mmol)を、ジオキサン中の4N塩化水素285mlに溶解し、さらに30分間撹拌した。反応混合物を半量に濃縮し、同量のジエチルエーテルを添加した。反応混合物をさらに20分間撹拌し、生成物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。生成物11g(理論値の94%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 1.09 分. (m/z = 172 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.27 (s, 1H), 7.61 (d, 1H), 6.65 (d, 1H).
【0088】
実施例5A
2−アミノ−6−クロロピリジン−3−カルボニトリル
【化22】

2−アミノ−6−クロロピリジン−3−カルボアルデヒドオキシム塩酸塩(実施例4A)11.15g(53.6mmol)を、先ず、ジオキサンに加え、ピリジン13ml(161mmol)と混合し、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物8.3ml(58.95mmol)を添加し、反応を室温に温め、次いで、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム溶液の混合物に取った。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を3:1ジクロロメタン:ジエチルエーテルに懸濁し、固体を吸引濾過し、乾燥させた。生成物5.56g(理論値の66%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 1.0 分. (m/z = 154 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 7.91 (d, 1H), 7.38 (s, 2H), 6.69 (d, 1H).
【0089】
実施例6A
4−(トリフルオロアセチル)モルホリン
【化23】

モルホリン15g(172mmol)を、先ず、ジクロロメタン750mlに加え、トリフルオロ酢酸無水物29ml(206mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン119ml(688mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温に温め、室温でさらに3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに取り、炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸および再度炭酸水素ナトリウム水溶液で連続的に洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生成物28g(理論値の88%)を油状物として得た。
LCMS (方法 9): Rt = 1.22 分. (m/z = 184 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 3.65 (m, 2H), 3.56 (m, 2H).
【0090】
実施例7A
tert−ブチル(6−クロロ−3−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル)カルバメート
【化24】

tert−ブチル(6−クロロピリジン−2−イル)カルバメート(実施例1A)8g(35mmol)を、先ず、THF100mlに加え、−50℃に冷却した。ブチルリチウム(1.6N)55ml(87mmol)を滴下して添加した。滴下による添加の終了後、反応を徐々に−10℃に温め、0℃で2時間撹拌した。続いて、混合物を再度−40℃に冷却し、THF4mlに溶解した4−(トリフルオロアセチル)モルホリン(実施例6A)12.8g(70mmol)を添加した。反応溶液を−40℃で1時間撹拌し、次いで、−40℃で酢酸エチル1lおよび塩化アンモニウム溶液350mlに注ぎ、抽出した。有機相を除去し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。反応混合物をシリカゲルでクロマトグラフィーした(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)。生成物9g(理論値の79%)を油状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.96 (s, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.4 (d, 1H), 1.43 (s, 9H).
【0091】
実施例8A
tert−ブチル3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【化25】

tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート1.0g(4.99mmol)および6−クロロピリジン−3−カルボニトリル1.383g(9.99mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.29g(9.99mmol)を、DMSO40mlに懸濁し、マイクロ波反応器中で45分間140℃に加熱した。クーゲルロール蒸留により混合物から実質的にDMSOをなくし、水と混合し、沈殿した固体を濾過した。高真空下で乾燥させた後、生成物2.24g(理論値の46%)を得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.23 分. (m/z = 303 (M+H)+).
【0092】
実施例9A
tert−ブチル3−[(6−アミノ−5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【化26】

tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート2.15g(10.7mmol)、2−アミノ−6−クロロピリジン−3−カルボニトリル(実施例5A)1.50g(9.77mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.89g(14.7mmol)をDMSO6mlに懸濁し、マイクロ波反応器中で8時間130℃に加熱した。反応混合物を酢酸エチル(100ml)および水(40ml)で希釈し、有機相を除去し、飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル4:1から1:1へ)。生成物2.04g(理論値の60%)を固体形で単離した。
LCMS (方法 6): Rt = 1.69 分. (m/z = 318 (M+H)+)
【0093】
実施例10A
6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化27】

tert−ブチル3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例8A)2.24g(7.4mmol)を、ジオキサン(4M)中の塩酸溶液4.3mlに溶解し、室温で3時間撹拌した。反応の完了時に、溶媒を完全に除去した。生成物1.74g(理論値の90%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 0.27 分. (m/z = 203 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 9.13 (m, 1H), 9.0 (m, 1H), 8.44 (d, 1H), 7.89 (m, 1H), 7.74 (dd, 1H), 6.63 (d, 1H), 5.58 (s, br), 4.19 (s, br, 1H), 3.57 (s, 1H), 3.34 (d, 1H), 3.14 (d, 1H), 2.88 (m, 1H), 2.7-2.81 (m, 1H), 1.82-2.0 (m, 2H), 1.63-1.79 (m, 1H), 1.48-1.59 (m, 1H).
【0094】
実施例11A
2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩
【化28】

tert−ブチル3−[(6−アミノ−5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例9A)2.00g(6.3mmol)を、ジオキサン中の塩酸溶液(4M)40mlに溶解し、室温で2時間撹拌した。反応の完了時に、溶媒を半量に濃縮し、ジエチルエーテル20mlを添加した。沈殿を濾過し、乾燥させた。生成物1.80g(理論値の100%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 0.25 分. (m/z = 218 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 9.38 (br m, 1H), 8.97 (br m, 1H), 8.25 (br m, 1H), 7.53 (m, 1H), 7.40 (br s, 2H), 6.01 (d, 1H), 4.16 (br m, 1H), 3.34 (br m, 1H), 3.10 (m, 1H), 2.89 (m, 2H), 2.00-1.84 (m, 2H), 1.73 (m, 1H), 1.55 (m, 1H).
【0095】
実施例12A
tert−ブチル3−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化29】

tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート561mg(2.8mmol)、tert−ブチル[6−クロロ−3−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]カルバメート(実施例7A)700mg(2.16mmol)およびジイソプロピルエチルアミン0.56ml(3.23mmol)を、DMSO14mlに懸濁し、マイクロ波反応器中で45分間90℃に加熱した。反応混合物を酢酸エチル(100ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3x40ml)で洗浄し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1から1:1へ)。生成物670mg(理論値の63%)を単離した。
LCMS (方法 6): Rt = 2.70 分. (m/z = 489 (M+H)+)
【0096】
実施例13A
1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩
【化30】

tert−ブチル3−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル}アミノ)ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例12A)670mg(1.37mmol)を、ジオキサン中の塩酸溶液(4M)25mlに溶解し、室温で20時間撹拌した。反応の完了時に、反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、沈殿を完全に濾過し、ジエチルエーテル(100ml)で洗浄し、乾燥させた。生成物286mg(理論値の64%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 0.81 分. (m/z = 289 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 9.26 (br s, 1H), 9.07 (br s, 1H), 8.8.34 (br s, 1H), 7.59 (d, 1H), 6.22 (br, 2H), 6.03 (d, 1H), 4.25 (br m, 1H), 3.36 (m, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.93 (m, 2H), 2.00-1.85 (m, 2H), 1.73 (m, 1H), 1.56 (m, 1H).
【0097】
実施例14A
tert−ブチル3−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
【化31】

tert−ブチル3−アミノピペリジン−1−カルボキシレート500mg(2.11mmol)、2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロピリジン772mg(4.22mmol)およびジイソプロピルエチルアミン1.05ml(6.34mmol)をDMSO18mlに懸濁し、マイクロ波反応器中で45分間120℃に加熱した。反応混合物を分取逆相HPLC(方法13)により精製した。生成物600mg(理論値の81%)を固体形で単離した。
LCMS (方法 6): Rt = 1.77 分. (m/z = 338 (M+H)+)
【0098】
実施例15A
3−ニトロ−N−(ピペリジン−3−イル)ピリジン−2,6−ジアミン塩酸塩
【化32】

tert−ブチル3−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート(実施例14A)610mg(1.62mmol)を、ジオキサン中の塩酸溶液(4M)40mlに溶解し、室温で30分間撹拌した。反応の完了時に、溶媒を完全に除去した。粗生成物662mgを得た。
LCMS (方法 4): Rt = 0.86 分. (m/z = 238 (M+H)+)
【0099】
実施例16A
メチル2−クロロ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート
【化33】

メチル2,6−ジクロロピリジン−3−カルボキシレート6g(29.12mmol)、2,4−ジクロロフェニルボロン酸5.56g(29.12mmol)、炭酸カリウム12.07g(87.4mmol)および、次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.68g(1.46mmol)を、先ず、脱気したTHF120mlに加え、混合物を還流条件下で、アルゴン雰囲気下で16時間加熱した。水300mlおよび酢酸エチル500mlを添加した。相を分離し、溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(シクロヘキサン/酢酸エチル6:1)。生成物2.5g(理論値の27%)を固体形で単離した。
LCMS (方法 6): Rt = 2.41 分. (m/z = 316 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.38 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.60 (dd, 1H), 3.92 (s, 3H).
【0100】
実施例17A
メチル2−クロロ−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート
【化34】

2−クロロ−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボン酸500mg(1.90mmol)を、先ず、メタノール20mlおよびトルエン8mlの混合物に加え、ヘキサン中の2モル濃度トリメチルシリルジアゾメタン溶液8ml(16mmol)と混合した。混合物を室温で15時間撹拌し、次いで、酢酸1mlを添加した。溶媒を減圧下で完全に除去し、得られた固体をさらに精製せずに使用した。生成物502mg(理論値の87%)を得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.27 分. (m/z = 278 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.29 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), 7.81 (dd, 1H), 7.50 (dt, 1H), 7.21 (d, 1H), 7.11 (t, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.88 (s, 3H).
【0101】
実施例
実施例1
2−{3−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化35】

2−クロロ−6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル70.4mg(0.27mmol)、3−ニトロ−N−(ピペリジン−3−イル)ピリジン−2,6−ジアミン塩酸塩(実施例15A)100mg(0.32mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.187ml(1.08mmol)を、先ず、DMSO3mlに加えた。混合物をマイクロ波中、140℃で30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)により精製した。生成物99mg(理論値の74%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.45 分. (m/z = 450 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.13 (d, 2H), 8.09 (d, 2H), 7.89-7.98 (m, 2H), 7.66 (br s, 1H), 7.51 (ψt, 3H), 5.95 (d, 1H), 4.12-4.28 (m, 2H), 3.97-4.06 (m, 1H), 3.36-3.49 (m, 2H), 1.9-2.1 (m, 2H), 1.55-1.77 (m, 2H).
【0102】
2−{3−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(4−クロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例1)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例1のサンプル(78mg)をメタノール8ml、アセトニトリル8mlおよびtert−ブチルメチルエーテル15mlに溶解し、Daicel Chiralpak IA, 5μm, 250 mm x 20 mm カラムでクロマトグラフィーした(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:500μl;溶離剤:tert−ブチルメチルエーテル:メタノール(90:10)、温度:30℃)。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−1:生成物37mgを>99%eeで単離した。
保持時間4.31分、比旋光度:[α]20589=−113.0°(c=0.475g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−1:生成物33mgを>98%eeで単離した。
保持時間4.66分
【0103】
実施例2
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化36】

2−クロロ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル29.5mg(0.1mmol)、1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)30mg(0.1mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.09ml(0.52mmol)を、先ず、DMSO1mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中、30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)で精製した。生成物35mg(理論値の63%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 3.13 分. (m/z = 535 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.50 (br s, 2H), 8.16 (d, 1H), 7.97 (d, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.45-7.53 (m, 2H), 7.18 (d, 1H), 5.96 (d, 1H), 4.12-4.25 (m, 2H), 3.99-4.09 (m, 1H), 3.2-3.37 (m, 2H), 1.87-2.08 (m, 2H), 1.5-1.74 (m, 2H).
【0104】
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例2)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例2のサンプル(190mg)を、2−プロパノール10mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラムを使用してクロマトグラフィーした(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:1000μl;溶離剤:イソヘキサン:2−プロパノール(50:50)、温度:40℃)。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−2:生成物73mgを>99%eeで単離した。
保持時間6.09分
実施例Ent−B−2:生成物110mgを、>99%eeで単離した。
保持時間13.38分
【0105】
実施例3
2−{3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化37】

2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.26mmol)、6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例10A)77mg(0.31mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.225ml(1.29mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中、30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)で精製した。生成物99mg(理論値の50%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.40 分. (m/z = 399 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.38 (d, 1H), 8.15 (d, 1H), 8.14 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 7.6-7.68 (m, 2H), 7.46 (d, 1H), 7.32 (ψt, 2H), 6.56 (d, 1H), 4.26 (dd, 1H), 4.01-4.14 (m, 2H), 3.33-3.47 (m, 2H), 2.0-2.08 (m, 1H), 1.88-1.97 (m, 1H), 1.55-1.75 (m, 2H).
【0106】
実施例4
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化38】

2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル55mg(0.24mmol)、1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)83mg(0.28mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.206ml(1.18mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中で30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)で精製した。生成物72mg(理論値の54%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.52 分. (m/z = 485 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.28 (br s, 1H), 7.86-7.94 (m, 3H), 7.74 (d, 1H), 7.37 (br s, 1H), 7.22-7.30 (m, 2H), 7.05 (t, 2H), 5.74 (d, 1H), 4.02 (m, 1H), 3.93 (d, 1H), 3.76-3.85 (m, 1H), 3.14-3.25 (m, 2H), 1.78-1.86 (m, 1H), 1.67-1.77 (m, 1H), 1.32-1.55 (m, 2H).
【0107】
実施例5
2−アミノ−6−({1−[3−シアノ−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アミノ)ピリジン−3−カルボニトリル
【化39】

2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル55mg(0.24mmol)、2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例11A)74mg(0.28mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.206ml(1.18mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中で30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)により精製した。生成物47mg(理論値の48%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.64 分. (m/z = 414 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.09-8.17 (m, 3H), 7.47 (d, 1H), 7.26-7.36 (m, 3H), 7.14 (br s, 1H), 6.26 (s, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.25 (d, 1H), 4.01-4.12 (m, 2H), 3.17-3.28 (m, 2H), 1.97-2.05 (m, 1H), 1.86-1.96 (m, 1H), 1.62-1.75 (m, 1H), 1.49-1.61 (m, 1H).
【0108】
実施例6
2−アミノ−6−({1−[3−シアノ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アミノ)ピリジン−3−カルボニトリル
【化40】

2−クロロ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル55mg(0.19mmol)、2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例11A)60.9mg(0.23mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.169ml(0.97mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中で30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)により精製した。生成物30mg(理論値の33%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.90 分. (m/z = 464 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.14 (d, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.54 (dd, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.16 (d, 1H), 7.10 (br s, 1H), 6.22 (br s, 2H), 5.79 (d, 1H), 4.28 (d, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.91-4.03 (m, 1H), 3.22 (t, 1H), 3.05 (t, 1H), 1.95-2.04 (m, 1H), 1.82-1.92 (m, 1H), 1.6-1.71 (m, 1H), 1.46-1.58 (m, 1H).
【0109】
2−アミノ−6−({1−[3−シアノ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アミノ)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例6)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例6のサンプル(63mg)を、エタノール5mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラムを使用してクロマトグラフィーした(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:2000μl;溶離剤:イソヘキサン:エタノール(50:50)、温度:40℃)。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−6:生成物25mgを>99%eeで単離した。
保持時間7.33分
実施例Ent−B−6:生成物25mgを>99%eeで単離した。
保持時間15.6分
【0110】
実施例7
2−{3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化41】

2−クロロ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.21mmol)、6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例10A)63mg(0.25mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.184ml(1.06mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。混合物を120℃で、マイクロ波中で30分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法13)で精製した。生成物61mg(理論値の64%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 3.00 分. (m/z = 449 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.32 (d, 1H), 8.12 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.52-7.63 (m, 4H), 7.13 (d, 1H), 6.54 (d, 1H), 4.20 (d, 1H), 3.98-4.08 (m, 2H), 3.32-3.42 (m, 2H), 1.98-2.06 (m, 1H), 1.86-1.95 (m, 1H), 1.55-1.73 (m, 2H).
【0111】
実施例8
メチル2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート塩酸塩
【化42】

メチル2−クロロ−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート(実施例16A)255mg(0.533mmol)、1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)259mg(0.799mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.56ml(3.2mmol)を、先ず、DMSO4.5mlに加えた。混合物を140℃で、マイクロ波中で45分間加熱した。粗生成物を分取HPLC(方法10)で精製した。生成物28mg(理論値の8%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 2.87 分. (m/z = 568 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.50 (br s, 1H), 8.0 (d, 1H), 7.89 (d, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.45-7.56 (m, 2H), 7.10 (d, 1H), 5.94 (d, 1H), 4.15 (m, 1H), 3.9-4.0 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.58 (m, 1H), 2.96 (dd, 2H), 1.96-2.08 (m, 1H), 1.75-1.86 (m, 1H), 1.57-1.72 (m, 1H), 1.43-1.56 (m, 1H).
【0112】
実施例9
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボン酸塩酸塩
【化43】

メチル2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート塩酸塩(実施例8)220mg(0.36mmol)を、1,2−ジメトキシエタン10mlに溶解し、水4.4mlを添加した。次いで、水酸化ナトリウム43mg(1.1mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。後処理に、2N塩酸35mlを添加し、形成された沈殿を吸引濾過した。生成物180mg(理論値の75%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 2.42 分. (m/z = 554 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ =13.1 (br s, 1H), 8.50 (br s, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.9-7.96 (m, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.62-7.70 (m, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.47-7.55 (m, 2H), 7.11 (d, 1H), 5.95 (d, 1H), 4.11-4.24 (m, 1H), 4.00 (d, 1H), 3.66-3.75 (m, 1H), 2.90 (dd, 2H), 1.98-2.07 (m, 1H), 1.75-1.85 (m, 1H), 1.59-1.74 (m, 1H), 1.42-1.55 (m, 1H).
【0113】
実施例10
メチル2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート塩酸塩
【化44】

実施例8の製造と同様に、メチル2−クロロ−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート(実施例17A)255mg(0.84mmol)および1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)299mg(0.92mmol)を使用して、粗生成物を分取HPLC(方法10)により精製した後に、生成物275mg(理論値の58%)を固体形で得た。
LCMS (方法 6): Rt = 2.62 分. (m/z = 530 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.51 (br s, 1H), 7.9-8.0 (m, 2H), 7.77 (d, 1H), 7.55-7.71 (m, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.39 (t, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.13 (d, 1H), 7.0 (t, 1H), 5.95 (d, 1H), 4.19 (m, 1H), 3.91-3.98 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.55-3.65 (m, 1H), 3.49 (s, 3H), 2.96 (t, 2H), 1.98-2.05 (m, 1H), 1.78-1.85 (m, 1H), 1.6-1.71 (m, 1H), 1.44-1.56 (m, 1H).
【0114】
実施例11
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボン酸塩酸塩
【化45】

実施例9の製造と同様に、メチル2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−3−カルボキシレート塩酸塩(実施例10)235mg(0.42mmol)を使用して、水酸化ナトリウムを用いる加水分解により、粗生成物を分取HPLC(方法10)で精製した後に、生成物207mg(理論値の97%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.28 分. (m/z = 516 (M+H)+)
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ =13.1 (s, br, 1H), 8.51 (s, br, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.92 (d, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.68 (s, br, 1H), 7.51 (m, 1H), 7.35-7.44 (m, 2H), 7.13 (d, 1H), 7.02 (t, 1H), 5.95 (d, 1H), 4.20 (m, 1H), 3.94 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.69 (m, 1H), 2.87-2.98 (m, 2H), 1.98-2.07 (m, 1H), 1.76-1.85 (m, 1H), 1.6-1.75 (m, 1H), 1.42-1.54 (m, 1H).
【0115】
アミドカップリングのための一般的な実験の説明:
特定のアミン0.117mmolを、先ず、DMF3mlに加え、HATU0.125mmol、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.25mmolおよび酸(実施例9および実施例11)0.083mmolと連続的に混合する。混合物を室温で16時間撹拌した。分取HPLC(方法13)による精製後、生成物を固体形で得た。
【0116】
アミドカップリングのための一般的な実験の説明を使用して、以下の化合物を製造した:
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
1−[2−アミノ−6−({1−[6−(2−メトキシフェニル)−3−{[4−(プロパン−2−イル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}ピリジン−2−イル]ピペリジン−3−イル}アミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン(実施例12)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例12のサンプル(24mg)を、2−プロパノール2mlに溶解し、Daicel Chiralpak AD-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラムを使用してクロマトグラフィーした(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:500μl;溶離剤:イソヘキサン:0.2%ジエチルアミンを含む2−プロパノール、(60:40)、温度:30℃)。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−12:生成物15mgを>99%eeで単離した。
保持時間5.26分、比旋光度:[α]20589=−173.7°(c=0.37g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−12:生成物9mgを>99%eeで単離した。
保持時間6.30分
【0119】
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−メトキシフェニル)−N−{[1−(プロパン−2−イル)ピペリジン−4−イル]メチル}ピリジン−3−カルボキサミド(実施例13)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例13のサンプル(28mg)を、エタノール1mlに溶解し、Daicel Chiralpak AD-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラムを使用してクロマトグラフィーした(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:500μl;溶離剤:イソヘキサン:0.2%ジエチルアミンを含むエタノール(60:40)、温度:30℃)。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−13:生成物6mgを>99%eeで単離した。
保持時間4.57分
実施例Ent−B−13:生成物12mgを>99%eeで単離した。
保持時間6.66分、比旋光度:[α]20589=−103.7°(c=0.375g/エタノール100ml)
【0120】
1−{2−アミノ−6−[(1−{3−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)カルボニル]−6−(2−メトキシフェニル)ピリジン−2−イル}ピペリジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル}−2,2,2−トリフルオロエタノン(実施例14)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例14のサンプル(28mg)を、2−プロパノール2mlに溶解し、Daicel Chiralpak AD-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラム(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:500μl;溶離剤:イソヘキサン:0.2%ジエチルアミンを含む2−プロパノール(60:40)、温度:30℃)でクロマトグラフィーした。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−14:生成物15mgを>99%eeで単離した。
保持時間5.96分、比旋光度:[α]20589=−166.7°(c=0.38g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−14:生成物11mgを>99%eeで単離した。
保持時間7.25分
【0121】
実施例20
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化46】

2−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル70mg(0.221mmol)、1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)65mg(0.221mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.192ml(1.1mmol)を、先ず、DMSO2mlに加えた。反応混合物をマイクロ波反応器中、120℃で30分間照射した。反応混合物を分取HPLC(方法13)で精製した。これにより、生成物86mg(理論値の68%)を得た。
LCMS (方法 6): Rt = 2.84 分. (m/z = 569 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.49 (br s, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.69 (dd, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.42-7.58 (m, 5H), 5.91 (d, 1H), 4.11-4.22 (m, 2H), 3.92-4.01 (m, 1H), 3.48-3.64 (m, 2H), 1.96-2.09 (m, 2H), 1.58-1.75 (m, 2H).
【0122】
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例20)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例20のサンプル(75mg)を、エタノール2mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラム(流速:15ml/分;220nmで検出;注入量:1000μl;溶離剤:イソヘキサン:エタノール(70:30)、温度:40℃)を使用してクロマトグラフィーした。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−20:生成物28mgを>99%eeで単離した。
保持時間4.23分、比旋光度:[α]20589=+318.4°(c=0.622g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−20:生成物46mgを>99%eeで単離した。
保持時間6.34分
【0123】
実施例21
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化47】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.2mmol)および1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)70.4mg(0.24mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物92mg(理論値の83%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.61 分. (m/z = 553 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.50 (br s, 1H), 8.20-8.28 (m, 2H), 7.90 (d, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.58 (br s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.30 (ψt, 2H), 5.90 (d, 1H), 4.17-4.28 (m, 1H), 4.07 (d, 1H), 3.88-3.97 (m, 1H), 3.75-3.83 (m, 1H), 3.59-3.68 (m, 1H), 1.97-2.09 (m, 2H), 1.62-1.77 (m, 2H).
【0124】
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例21)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例21のサンプル(84mg)を、イソヘキサン:エタノール(4:1)20mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラム(流速:20ml/分;230nmで検出;注入量:20000μl;溶離剤:イソヘキサン:エタノール(80:20)、温度:24℃)を使用してクロマトグラフィーした。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−21:生成物39mgを>99%eeで単離した。
保持時間4.52分、比旋光度:[α]20589=+327.6°(c=0.5905g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−21:生成物24mgを>99%eeで単離した。
保持時間6.62分
【0125】
実施例22
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(3−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化48】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(3−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.19mmol)および1−[2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン塩酸塩(実施例13A)66.8mg(0.23mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物96mg(理論値の89%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.67 分. (m/z = 569 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.49 (br s, 1H), 8.23 (t, 1H), 8.13 (d, 1H), 7.90 (d, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.56 (br s, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.46 (m, 1H), 5.89 (d, 1H), 4.22 (m, 1H), 4.13 (d, 1H), 3.9-3.99 (m, 1H), 3.72 (dd, 1H), 3.58-3.67 (m, 1H), 2.0-2.12 (m, 2H), 1.61-1.78 (m, 2H).
【0126】
2−(3−{[6−アミノ−5−(トリフルオロアセチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ピペリジン−1−イル)−6−(3−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例22)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例22のサンプル(83mg)を、イソヘキサン:エタノール(4:1)20mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラム(流速:20ml/分;230nmで検出;注入量:4500μl;溶離剤:イソヘキサン:エタノール(80:20)、温度:24℃)を使用してクロマトグラフィーした。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−22:生成物26mgを>99%eeで単離した。
保持時間4.54分、比旋光度:[α]20589=+328.2°(c=0.4645g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−22:生成物42mgを>99%eeで単離した。
保持時間7.15分
【0127】
実施例23
6−(2−クロロフェニル)−2−{3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化49】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.19mmol)および6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例10A)47mg(0.19mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後、生成物61mg(理論値の67%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.53 分. (m/z = 483 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.31 (d, 1H), 7.67 (dd, 1H), 7.45-7.64 (m, 6H), 6.51 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 3.91-4.07 (m, 2H), 3.52-3.65 (m, 2H), 1.94-2.07 (m, 2H), 1.61-1.75 (m, 2H).
【0128】
実施例24
2−{3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化50】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.2mmol)および6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例10A)59.5mg(0.24mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物61mg(理論値の66%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.5 分. (m/z = 467 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.38 (d, 1H), 8.23-8.29 (m, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.57-7.65 (m, 2H), 7.36 (ψt, 2H), 6.52 (d, 1H), 4.19 (dd, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.93-4.01 (m, 1H), 3.57-3.71 (m, 2H), 1.92-2.09 (m, 2H), 1.61-1.78 (m, 2H).
【0129】
実施例25
6−(4−クロロフェニル)−2−{3−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化51】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(4−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.19mmol)および6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例10A)56mg(0.23mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物46mg(理論値の50%)を固体形で得た。
LCMS (方法 8): Rt = 1.57 分. (m/z = 483 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.38 (d, 1H), 8.21 (d, 2H), 7.78 (s, 1H), 7.55-7.65 (m, 4H), 6.52 (d, 1H), 4.18 (d, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.92-4.01 (m, 1H), 3.59-3.72 (m, 2H), 1.96-2.09 (m, 2H), 1.63-1.76 (m, 2H).
【0130】
実施例26
2−{3−[(6−アミノ−5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化52】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.19mmol)および2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例11A)49.5mg(0.19mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物94mg(理論値の99%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.87 分. (m/z = 498 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 7.69 (dd, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.54 (dd, 1H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.22 (d, 1H), 7.10 (br s, 1H), 6.21 (s, 2H), 5.75-5.8 (m, 1H), 4.24 (d, 1H), 3.91-4.10 (m, 2H), 3.33-3.45 (m, 2H), 1.9-2.05 (m, 2H), 1.5-1.73 (m, 2H).
【0131】
2−{3−[(6−アミノ−5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(2−クロロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル(実施例26)のエナンチオマー分離を、以下の条件下で実施した:
実施例26のサンプル(83mg)をイソヘキサン:エタノール(3:2)20mlに溶解し、Daicel Chiralpak AS-H, 5μm, 250 mm x 20 mm カラム(流速:20ml/分;230nmで検出;注入量:4500μl;溶離剤:イソヘキサン:エタノール(70:30)、温度:24℃)を使用してクロマトグラフィーした。2つの画分を単離した:
実施例Ent−A−26:生成物26mgを>99%eeで単離した。
保持時間7.97分、比旋光度:[α]20589=+208°(c=0.230g/エタノール100ml)
実施例Ent−B−26:生成物26mgを>99%eeで単離した。
保持時間13.57分
【0132】
実施例27
2−{3−[(6−アミノ−5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル
【化53】

実施例20の製造と同様に、2−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニトリル60mg(0.2mmol)および2−アミノ−6−(ピペリジン−3−イルアミノ)ピリジン−3−カルボニトリル塩酸塩(実施例11A)62.6mg(0.24mmol)を使用して、分取HPLC(方法13)による分離の後に、生成物90mg(理論値の94%)を固体形で得た。
LCMS (方法 3): Rt = 2.83 分. (m/z = 482 (M+H)+).
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 8.21-8.28 (m, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.35 (ψt, 2H), 7.27 (d, 1H), 7.12 (d, 1H), 6.25 (br s, 2H), 5.77 (d, 2H), 4.19 (d, 1H), 3.98-4.1 (d, 2H), 3.42-3.58 (m, 2H), 1.92-2.07 (m, 2H), 1.56-1.78 (m, 2H).
【0133】
B)生理的効力の評価
本発明の化合物の血液疾患の処置に対する適合性を、以下のアッセイ系で立証できる:
インビトロアッセイ
活性物質の阻害活性を、生化学的アッセイで測定する。この目的で必要とされる成分を、透明な底を有する黒色の384ウェルマイクロタイタープレート中で混合する(Greinerより、カタログ番号781092)。384ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに必要な成分は、5nM GSK3β(Upstateより、カタログ番号 14-306)、40μM GSK3β基質GSM(配列H-RRRPASVPPSPSLSRHS-(pS)-HQRR、Upstateより、カタログ番号 2-533)、30μMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNADH(Roche Diagnostics、カタログ番号 10107735)、50μMアデノシン三リン酸ATP(Sigmaより、カタログ番号 A7966)、2mMホスホエノールピルビン酸(Rocheより、カタログ番号128112)、並びに、約1U/mlのピルビン酸キナーゼおよび約1U/mlの乳酸デヒドロゲナーゼであり、これらは、保存調製物(Rocheより、カタログ番号10737291001、3.2mM硫酸アンモニウム溶液pH6中の、約450U/mlのピルビン酸キナーゼ活性、約450U/mlの乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する懸濁液)中に一緒に存在する。1ユニットのピルビン酸キナーゼは、pH7.6および37℃で、毎分1μmolのホスホエノールピルビン酸をピルビン酸塩に変換し、1ユニットの乳酸デヒドロゲナーゼは、pH7.5および37℃で、毎分1μmolのピルビン酸塩を酪酸塩に還元する。必要とされる反応バッファー(その中で生化学反応が進行する)は、50mM Trizma 塩酸塩トリスHCl pH:7.5(Sigmaより、カタログ番号 T3253)、5mM塩化マグネシウムMgCl(Sigmaより、カタログ番号 M8266)、0.2mM DL−ジチオスレイトールDTT(Sigmaより、カタログ番号 D9779)、2mMエチレンジアミンエーテルテトラ酢酸EDTA(Sigmaより、カタログ番号 E6758)、0.01% Triton X-100 (Sigmaより、カタログ番号 T8787)および0.05%ウシ血清アルブミンBSA(Sigmaより、カタログ番号 B4287)からなる。
【0134】
活性物質をジメチルスルホキシドDMSO(Sigmaより、カタログ番号 D8418)に10mMの濃度で溶解する。活性物質を、10μM、1μM、0.1μM、0.01μM、0.001μM、0.0001μM、0.00001μM、0.000001μMの連続的濃度で、生化学反応の混合物に添加する。対照として、物質の代わりにジメチルスルホキシドを最終濃度0.1%で添加する。
【0135】
反応を、30℃で2時間インキュベートし、次いで、得られる蛍光を、Tecan Safire-XFLUOR4 装置、バージョン V4.50 (シリアルナンバー 12901300283)で、以下の仕様で測定する:測定様式−下方から測定される蛍光、励起波長340nm、発光波長465nm、励起スリット幅5nm、発光スリット幅5nm、利得モード120、遅延0μs、測定毎の閃光回数3、積分時間40μs。
【0136】
GSK3β活性を蛍光ユニットで測定し、阻害されていないキナーゼの値を100%とし、完全に阻害されているキナーゼの値を0%とする。活性物質の活性を、これらの0%および100%との関連で算出する。
【0137】
表Aは、上記のアッセイで測定したIC50値を示す。
表A
【表4】

【0138】
GSK3β阻害剤を試験するためのCD34+増殖アッセイ
成人造血幹細胞は、膜結合タンパク質の特異的発現を特徴とする。これらの表面マーカーは、それらの分子量によって適当な番号を与えられている。このクラスには、また、CD34と呼ばれる分子も含まれ、これは、成人造血幹細胞の同定、特徴解析および単離に役立つ。これらの幹細胞は、骨髄、末梢血または臍帯血から単離され得る。これらの細胞の生存能はインビトロの培養中で限られているが、培養培地への様々な添加物により、増殖および分化の刺激を受け得る。CD34陽性細胞は、ここで、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3の活性に対する物質の影響を試験するために使用される。この目的で、第1段階で、分画遠心段階により単核細胞を臍帯血から単離する。
【0139】
この目的で、臍帯血をリン酸緩衝食塩水で1:4に希釈する。50mlの遠心管に、17mlの Ficoll (密度 1.077、Ficoll Paque Plus; Pharmacia, カタログ番号 17-1440-02)を入れる。1:4に希釈した臍帯血30mlをその上に重ね、次いで400xg、室温で、30分間遠心分離する。この間、遠心機のブレーキはかけない。遠心分離により、単核細胞は相間に集まる。後者を30mlのピペットで取り出し、新しい50mlの遠心容器に移し、次いで、体積をリン酸緩衝食塩水で30mlにする。これらの細胞を、300xgで、ブレーキをかけて、室温で10分間遠心分離する。上清を廃棄し、得られる細胞ペレットをリン酸緩衝食塩水30mlに再懸濁する。これらの細胞を、再度、200xgで、ブレーキをかけて、20℃で15分間遠心分離する。
【0140】
濃縮した単核細胞からCD34陽性細胞を単離するために、細胞1x10個/MACSバッファー(0.5%エンドトキシン不含ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝食塩水)300μlの濃度で再懸濁する。FCRブロッキング試薬(Miltenyi Biotec, カタログ番号 130-046-702)100μlおよびCD34マイクロビーズ(Miltenyi Biotec, カタログ番号 130-046-702)100μlを添加する。この懸濁液を4℃で30分間インキュベートする。次いで細胞を20倍の体積のMACSバッファーで希釈し、300xgで10分間遠心分離する。上清を廃棄し、細胞をMACSバッファー500μlに再懸濁する。かくして処理した細胞をLSカラム(Miltenyi Biotec, カタログ番号 130-042-401)に載せ、Midi MACS マグネット (Miltenyi Biotec, カタログ番号 130-042-303)を使用して精製する。
【0141】
Neubauer チャンバーを使用して細胞を計数することにより、CD34陽性細胞の数を決定する。蛍光励起細胞分取法を使用する標準的プロトコールにより、細胞の純度を決定する(Becton Dickinson, BD FACSTM Sample Prep Assistant SPAII Upgrade Kit, カタログ番号 337642)。
【0142】
GSK3活性の調節の影響を測定するために、CD34陽性細胞を96ウェルのマイクロタイタープレート中、37℃および5%二酸化炭素で7日間インキュベートし、次いで細胞数に基づいて増殖速度を測定する。
【0143】
この目的で、5000個のCD34陽性細胞を、96個のU底ウェルのマイクロタイタープレート(Greiner Bio-One, カタログ番号 650 180)の各ウェル中で、100μlのIMDM培地(Life Technology, カタログ番号 12440-046)、10%ウシ胎児血清(Life Technology, カタログ番号 10082-139)および20ng/mlの幹細胞因子(R&D, カタログ番号 255-SC-010)に取る。加えて、細胞を、また、ジメチルスルホキシド(Sigma Aldrich, カタログ番号 D5879-1L)に溶解した様々な濃度の物質と混合する。これは、各場合で上述の細胞数5000個のCD34陽性細胞/ウェルを有する4個のウェルに10μmolを、4個のウェルに5μmolを、4個のウェルに2.5μmolを、4個のウェルに1.25μmolを、4個のウェルに0.625μmolを、4個のウェルに0.3125μmolを、4個のウェルに0.156μmolを、4個のウェルに0.078μmolを、そして対照として4個のウェルに最終濃度0.1%のジメチルスルホキシドを供給することにより行う。
【0144】
かくして処理したこれらの細胞を、細胞培養インキュベーター中、37℃および5%二酸化炭素で7日間インキュベートする。Neubauer 計数チャンバーを使用して細胞を再度計数することにより増殖速度を決定し、幹細胞因子のみを与えられた細胞を100%値と設定し、全ての他の値をこの値に関連付ける。
【0145】
インビボアッセイ
本発明の化合物のインビボ効果は、体重18−22gの6週齢のオスのC57BL/6マウス(Charles River, Sulzfeld, Germany)を使用して試験する。これらの動物をこの種にふさわしく、12時間の明暗サイクルで、一定の気候条件下、水およびマウス用飼料を自由に摂らせて飼育する。使用する化学療法剤の濃縮物を、製造業者の指示に従い、腹部の尾側3分の1での腹腔内(i.p.)注射により、動物に投与する。同じ方法を本発明に関連する物質に適用する。パスツールピペットを使用して、血液サンプルを後眼窩静脈叢から取る。フローサイトメトリーシステムを使用して、好中球の顆粒球の数を完全に自動的に決定する。
【0146】
CYP阻害試験
物質がヒトにおいてCYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2D6およびCYP3A4を阻害する能力を、CYPアイソフォーム特異的代謝産物を形成する標準基質(下記参照)の存在下で、酵素供給源としてプールしたヒト肝臓ミクロソームを用いることにより調べる。阻害効果を、6つの異なる濃度(1.5、3.1、6.3、12.5、25および50μM)の試験化合物で試験し、試験化合物の非存在下における標準基質のCYPアイソフォーム特異的代謝産物形成の程度と比較し、対応するIC50値を算出する。単一のCYPアイソフォームを特異的に阻害する標準阻害剤は、得られた結果の対照として役立つ。
【0147】
手順:
ワークステーション(Tecan、Genesis、クライルシャイム、ドイツ国)において、ヒト肝臓ミクロソームとフェナセチン、アモジアキン、ジクロフェナク、デキストロメトルファンまたはミダゾラムのインキュベーションを、各場合で6つの異なる濃度の試験化合物(可能性のある阻害剤として)の存在下で実施する。標準インキュベーション混合物は、総体積200μl中に、1.3mMのNADP、3.3mMのMgCl×6HO、3.3mMのグルコース6−リン酸、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ(0.4U/ml)および100mMのリン酸バッファー(pH7.4)を含む。好ましくは、試験化合物をアセトニトリルに溶解する。96ウェルプレートを、所定の期間にわたり、37℃で、プールしたヒト肝臓ミクロソームとインキュベートする。適切な内部標準を含むアセトニトリル100μlを添加することにより、反応を停止させる。沈殿したタンパク質を遠心分離により除去し、上清を合わせ、LC−MS/MSにより分析する。
【0148】
溶解度の測定
必要とされる試薬:
・PBSバッファーpH6.5:61.86gの塩化ナトリウムp.a.(例えば Merck から、製品番号1.06404.1000)、39.54gのリン酸二水素ナトリウムp.a.(例えば Merck から、製品番号1.06346.1000)および83.35gの1N水酸化ナトリウム溶液(例えば Bernd Kraft GmbH から、製品番号01030.4000)を秤量して1lの標準フラスコへ入れ、印しまで水を加え、混合物を約1時間撹拌する。この溶液500mlを5lの標準フラスコに加え、印しまで水を加える。1N水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを6.5に調節する。
・ジメチルスルホキシド(例えば Baker から、製品番号7157.2500)
・蒸留水
・Chromasolv アセトニトリル(例えば Riedel-de Haenから、製品番号34851)
・50%ギ酸p.a.(例えば Fluka から、製品番号09676)
【0149】
出発溶液の調製
少なくとも1.5mgの試験物質を正確に秤量し、スクリューキャップおよびセプタムを取り付けた広口10mmスクリューV型バイアル(Glastechnik Graefenroda GmbH から、製品番号 8004-WM-H/V 15μ)に入れ、ジメチルスルホキシドを50mg/mlの濃度まで加え、バイアルを30分間ボルテックスする。
【0150】
較正溶液の調製:
必要なピペット操作工程は、1.2mlの96ウェルの深型ウェルプレート (DWP)(例えば、HJ-Bioanalytik GmbH、製品番号850289)中で、液体操作ロボットを使用して実施する。使用する溶媒は、Chromasolv アセトニトリル/蒸留水8:2の混合物である。
【0151】
較正溶液用出発溶液(原液)の調製:833μlの溶媒混合物を、出発溶液(濃度=600μg/ml)10μlに加え、混合物をホモジネートする。各試験物質から、2つの1:100希釈液を別々のDWPに調製し、次いでこれらをホモジネートする。1:100希釈液の一方を較正溶液の調製に使用し;第2の希釈液をMS/MSパラメーターの最適化に使用する。
【0152】
較正溶液5(600ng/ml):270μlの溶媒混合物を30μlの原液に加え、混合物をホモジネートする。
較正溶液4(60ng/ml)270μlの溶媒混合物を30μlの較正溶液5に加え、混合物をホモジネートする。
較正溶液3(12ng/ml):400μlの溶媒混合物を100μlの較正溶液4に加え、混合物をホモジネートする。
較正溶液2(1.2ng/ml):270μlの溶媒混合物を30μlの較正溶液3に加え、混合物をホモジネートする。
較正溶液1(0.6ng/ml):150μlの溶媒混合物を150μlの較正溶液2に加え、混合物をホモジネートする。
【0153】
試料溶液の調製:
必要なピペット操作工程を、1.2mlの96ウェルDWP(例えば、HJ-Bioanalytik GmbH、製品番号850289)で、液体操作ロボットを利用して実施する。
1000μlのPBSバッファーpH6.5を、10.1μlの原液に加える。
【0154】
手順:
必要なピペット操作工程を、1.2mlの96ウェルDWP(例えば、HJ-Bioanalytik GmbH、製品番号850289)で、液体操作ロボットを利用して実施する。
温度調節可能なシェーカー(例えば、Eppendorf Thermomixer comfort、製品番号5355000.011)を用いて、かくして調製した試料溶液を20℃および1400rpmで24時間振盪する。これらの溶液の各々から180μlを取り出し、Beckman Polyallomer 遠心分離管(製品番号343621)に移す。これらの溶液を約223000×gで1時間遠心分離する(例えば、Beckman Optima L-90K Ultracentrifuge、42.2 Ti 型ローター、42000rpm)。各試料溶液から100μlの上清を取り出し、PBSバッファー6.5で1:10および1:1000に希釈する。
【0155】
分析:
試料をHPLC/MS−MSにより分析する。試験化合物を、5点較正曲線を利用して定量する。溶解度をmg/lで表す。分析順序:1)ブランク(溶媒混合物);2)較正溶液0.6ng/ml;3)較正溶液1.2ng/ml;4)較正溶液12ng/ml;5)較正溶液60ng/ml;6)較正溶液600ng/ml;7)ブランク(溶媒混合物);8)試料溶液1:1000;7)試料溶液1:10。
【0156】
HPLC/MS−MSの方法
HPLC:Agilent 1100、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A);カラム:Oasis HLB 20 mm x 2.1 mm、25μ;温度:40℃;溶離剤A:水+0.5mlのギ酸/l;溶離剤B:アセトニトリル+0.5mlのギ酸/l;流速:2.5ml/分;停止時間1.5分;勾配:0分95%A、5%B;勾配:0−0.5分5%A、95%B;0.5−0.84分5%A、95%B;勾配:0.84−0.85分95%A、5%B;0.85−1.5分95%A、5%B。
MS/MS:WATERS Quattro Micro Tandem MS/MS;Z-Spray API インターフェース;HPLC−MSインレットスプリッター1:20;ESIモードで分析。
各試験物質について、装置のパラメーターは、MassLynx/QuanOptimize ソフトウェアを利用して、上記の原液(第2の1:100希釈液)の注入により自動的に最適化される。
【0157】
C)医薬組成物の実施例
本発明の物質は、以下の通りに医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
実施例1の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(ドイツ国、BASFより)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
実施例1の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状は上記参照)。
【0158】
経口懸濁剤:
組成:
実施例1の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel (キサンタンゴム) (米国、FMCより)400mgおよび水99g。
本発明の化合物100mgの単回用量は、経口懸濁剤10mlに相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、実施例1の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel が膨潤し終えるまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0159】
静脈内投与できる液剤:
組成:
実施例1の化合物1mg、ポリエチレングリコール400 15gおよび注射用水250g。
製造:
実施例1の化合物を、ポリエチレングリコール400と共に、水中で撹拌することにより溶解する。溶液を濾過滅菌し(孔の直径0.22μm)、無菌条件下で、加熱滅菌した点滴瓶に分配する。後者を点滴ストッパーおよびクリンプキャップで密封する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、
は、式
【化2】

[式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イルまたは1,2−ピラゾール−5−イルである
{ここで、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、1,3−チアゾール−2−イルおよび1,3−チアゾール−4−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択され
(ここで、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、トリフルオロメチルおよびC−C−シクロアルキルからなる群から選択される)、
そして、
ここで、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イルおよび1,2−ピラゾール−5−イルは、1個ないし2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択される}]
の基であり、
は、フェニルであり
{ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシメチル、C−C−アルキルアミノメチル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルスルホニル、C−C−アルキルスルホニルアミノ、C−C−アルキルアミノスルホニル、フェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルメチル、ピペリジニルメチル、モルホリニルメチルおよびピペラジニルメチルからなる群から各々独立して選択される
(ここで、フェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルメチル、ピペリジニルメチル、モルホリニルメチルおよびピペラジニルメチルは、1個ないし3個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルであり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルであり、
かつ、
は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであるか
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであり
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
かつ、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、C−C−アルキルまたはシクロプロピルである〕
の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、式
【化3】

[式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イルまたは1,2−ピラゾール−5−イルである
{ここで、ピリド−2−イル、ピリミド−2−イル、1,3−チアゾール−2−イルおよび1,3−チアゾール−4−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択され
(ここで、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニルおよびシクロアルキルカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、トリフルオロメチルおよびC−C−シクロアルキルからなる群から選択される)、
そして、
ここで、2−アミノピリミド−4−イル、2−シクロプロピルアミノピリミド−4−イル、2−メチルアミノピリミド−4−イル、2−エチルアミノピリミド−4−イルおよび1,2−ピラゾール−5−イルは、1個または2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル、トリフルオロメチルカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−シクロアルキルカルボニルからなる群から各々独立して選択される}]
の基であり、
が、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルおよびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルまたは5員または6員の複素環カルボニルであるか
{ここで、複素環カルボニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
請求項1に記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項3】
式中、
が、式
【化4】

{式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、ピリド−2−イルまたは1,3−チアゾール−2−イルである
(ここで、ピリド−2−イルおよび1,3−チアゾール−2−イルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、シアノ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチルカルボニル、エチルカルボニルおよびメチルカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}
の基であり、
がフェニルであり
(ここで、フェニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルおよびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニルまたはモルホリニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニルおよびモルホリニルカルボニルは、1個ないし3個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
アルキルアミノカルボニルは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルからなる群から選択される
(ここで、ピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルは、1個ないし2個の置換基により各々置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
請求項1および請求項2のいずれかに記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項4】
式中、
が、式
【化5】

{式中、
*は、複素環への結合部位であり、
は、式
【化6】

(式中、
#は、NHへの結合部位であり、
Lはシアノであり、
かつ、
Mは水素であるか、
または、
Lは、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルカルボニルであり、
かつ、
Mはアミノである)
の基であり、
が、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個または2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、塩素、フッ素およびメトキシからなる群から各々独立して選択される)、
が水素であり、
が水素であり、
かつ、
が、シアノ、ヒドロキシカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ピペラジニルカルボニルまたはピペリジニルカルボニルであるか
{ここで、ピペラジニルカルボニルおよびピペリジニルカルボニルは、1個または2個の置換基により各々置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、メチルアミノカルボニルおよびジメチルアミノカルボニルは、1個のピペリジニル置換基により置換されており
(ここで、ピペリジニルは、1個ないし2個の置換基により置換されており、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルキルからなる群から各々独立して選択される)}、
または、
がトリフルオロメチルであり、
かつ、
がシアノである、
請求項1、請求項2および請求項3のいずれかに記載の化合物またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、その溶媒和物もしくはその塩の溶媒和物の製造方法であって、
[A]式
【化7】

(式中、R、R、RおよびRは、各々請求項1に記載の通りであり、
そして、Xは、ハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素である)
の化合物を、式
【化8】

(式中、Rは請求項1に記載の通りである)
の化合物と反応させる、
または、
[B]式
【化9】

(式中、R、R、RおよびRは、各々請求項1に記載の通りである)
の化合物を、式
【化10】

[式中、R5aは、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノまたは5員ないし6員の複素環である
{ここで、複素環は、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択され、
そして、
ここで、アルキルアミノは、1個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノおよび5員または6員の複素環からなる群から選択される
(ここで、複素環は、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、オキソ、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から各々独立して選択される)}]
の化合物と反応させ、式
【化11】

の化合物を得る、
のいずれかを特徴とする方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
血液疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物を、不活性かつ非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬。
【請求項10】
血液疾患の処置および/または予防用の請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
治療的有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物、請求項9に記載の医薬、または、請求項7または請求項8に従って得られる医薬を投与することによる、ヒトまたは動物における血液疾患の処置方法。
【請求項12】
骨髄および/または末梢血に由来する成人造血幹細胞の効率的な生体外増殖のための、かつ/または、臍帯血由来の胚性幹細胞の生体外増殖のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
骨髄および/または末梢血に由来する成人造血幹細胞の生体外増殖のための、かつ/または、臍帯血由来の胚性幹細胞の生体外増殖のための方法であって、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物の有効量を添加することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2011−529458(P2011−529458A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520358(P2011−520358)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005266
【国際公開番号】WO2010/012398
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】