説明

置換ピリミジン誘導体



本発明は、式Iの化合物、その立体異性体、薬学的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、又はそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩に関する。その化合物は、ヒトCRFレセプターを包含するCRFレセプターと相互作用する。本発明は、本発明の化合物を用いて、CNS障害又は疾患、特に不安関連障害、例えば不安症、及び気分障害、例えば大鬱病ような、CRFレセプターが拮抗されることによりその治療がもたらされるか又は促進される障害又は状態を治療する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、CRFレセプターに結合する化合物、特に、CRFレセプターアンタゴニストとしての置換ピリミジン誘導体、及びCRF又はCRFレセプターに関連した障害のための治療としてのその使用に関する。
【0002】
発明の背景
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は、脳下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチン(POMC)由来ペプチド分泌の主要な生理学的レギュレーターである、41アミノ酸ペプチドである[J.Rivier et al.,Proc.Natl.Acad.Sci(USA)80:4851(1983);W.Vale et al.,Science213:1394(1981)]。下垂体におけるその内分泌の役割に加えて、CRFはCNS中の広い視床下部外(extrahypothalmic)分布を有し、その中で、脳における神経伝達物質又は神経修飾物質の役割と一致した広範な自律行動的作用及び生理学的作用に貢献していることが知られている[W.Vale et al.,Rec.Prog.Horm.Res.39:245(1983);G.F.Koob,Persp.Behav.Med.2:39(1985);E.B.De Souza et al.,J.Neurosci.5:3189(1985)]。精神障害、及びうつ病、不安関連障害及び摂食障害を包含する神経疾患において、及びアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上麻痺及び筋萎縮性側索硬化症の病因学及び病理生理学において、生理学的、心理学的及び免疫学的ストレッサーに対する免疫系における応答を統合する際に、CRFが重要な役割を果たすという証拠がある。なぜなら、それらは中枢神経系におけるCRFニューロンの機能不全に関連するからである。[J.E.Blalock,Physiological Reviews,69:1(1989);J.E.Morley,Life Sci.41:527(1987);E.B.De Souze,Hosp.Practice 23:59(1988)]
CRFが気分障害において一役買っている証拠がある。情動障害としても知られている気分障害は当該技術分野においてよく認識されており、それには、大鬱病、単一エピソード(single episode)鬱病、再発性鬱病、幼児虐待誘発性鬱病、及び分娩後鬱病を包含する鬱病;気分変調(dysthemia);双極性障害:及び循環気質が含まれる。情動障害又は大鬱病に悩まされている個体において、脳脊髄液(CSF)におけるCRFの濃度が有意に増加していることが示された[C.B.Nemeroff et al.,Science 226:1342(1984);C.M.Banki et al.,Am.J.Psychiatry 144:873(1987);R.D.France et al.,Biol.Psychiatry 28:86(1988);M.Arato et al.,Biol.Psychiatry 25:355(1989)]。さらに、CRFレセプターの密集度は、自殺犠牲者の前頭皮質において有意に減少しており、CRFの過剰分泌と一致している[C.B.Memeroff et al.,Arch.Gen.Psychiatry 45:577(1988)]。さらに、鬱の患者において観測されたCRF(静脈内投与)に対する鈍化した副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)応答も存在する[P.W.Gold et al.,Am.J.Psychiatry 141:619(1984);F.Holsboer et al.,Psychoneuroendocrinology 9:147(1984);P.W.Gold et al.,New Engl. J.Med.314:1129(1986)]。ラット及び非ヒト霊長類における前臨床検討は、CRFの過剰分泌が、ヒト鬱病においてみられる症状に関与し得るという仮定についての更なる裏づけを提供する[R.M.Sapolsky,Arch.Gen.Psychiatry 46:1047(1989)]。三環系抗鬱薬はCRFレベルを変化させるため、脳におけるレセプターの数をモジュレートし得るという予備的な証拠もある[Grigoriadis et al.,Neuropsychopharmacology 2:53(1989)]。
【0003】
CRFは、不安関連障害の病因にも関係している。不安障害は、当該技術分野において認識されている一連の疾患であり、それには、恐怖症、不安状態、外傷後ストレス障害、全般性不安障害、社会性不安障害(socialanxietydisorder)、抑うつ疾患と共存する不安症、パニック障害、強迫性障害、及び異型不安障害が含まれる[The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、16th edition(1992)]。情動ストレスは、しばしば不安障害における誘発因子であり、一般に、そのような障害はストレスに対する応答を低下させる薬物療法に応答する。過剰なレベルのCRFは、アンザイオジェニック(anxiogenic)作用を生じることが知られている[例えば、Britton et al.,1982;Berridge and Dunn,1986 and 1987を参照のこと]。ベンゾジアゼピン/非ベンゾジアゼピン抗不安薬とCRFの間の相互作用は、種々の行動不安モデルにおいて立証されている[D.R.Britton et al.,Life Sci.31:363(1982);C.W.Berridge and A.J.Dunn,Regul.Peptides 16:83(1986)]。種々の行動パラダイムにおける推定されるCRFレセプターアンタゴニストであるα−へリックスヒツジCRF(9−41)を用いた検討は、そのアンタゴニストが、定性的にベンゾジアゼピン類と類似した“抗不安薬様”の作用を生じることを立証している[C.W.Berridge and A.J.Dunn,Horm.Behav.21:393(1987),Brain Research Reviews 15:71(1990);G.F.Koob and K.T.Britton,In:Corticotropin−Releasing Factor.Basic and Clinical Studies of a Neuropeptide,E.B.De Souza and C.B.Nemeroff eds.,CRC Press p.221(1990)]。神経化学、内分泌及びレセプター結合の検討全てが、CRFとベンゾジアゼピン抗不安薬の間の相互作用を立証しており、これら障害におけるCRFの関与についての更なる証拠を提供している。クロルジアゼポキシドは、CRFの“アンザイオジェニック”作用を、ラットにおける葛藤試験(conflict test)においても[K.T.Britton et al.,Psychopharmacology 86:170(1985);K.T.Britton et al.,Psychopharmacology 94:306(1988)]、音響驚愕試験(acoustic startle test)においても[N.R.Swerdlow et al.,Psychopharmacology 88:147(1986)]、いずれにおいても減弱する。オペラント葛藤試験において行動活性を単独で有さないベンゾジアゼピンレセプターアンタゴニストRo15−1788は、CRFの効果を容量依存形式で逆転し、ベンゾジアゼピン逆アゴニストFG7142は、CRFの作用を増強した[K.T.Britton et al.,Psychopharmacology 94:396(1988)]。
【0004】
X症候群を治療するためのCRFアンタゴニストの使用も、EP1097709A2中に記載されている。
鬱血性心不全を治療するためのCRFアンタゴニストの使用は、米国特許第6,043,260号中に記載されている。
【0005】
CRFアンタゴニストは関節炎及び炎症性障害[E.L.Webster et al.,J.Rheumatol 29:1252(2002);E.P.Murphy et al.,Arthritis Rheum 44:782(2001)];ストレス関連胃腸障害[K.E.Gabry et al.,Molecular Psychiatry 7:474(2002)];及び皮膚障害[C.C.Zouboulis et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.99:7148(2002)]を治療するために有用であることも示唆されている。
【0006】
動物モデルにおいて、慢性接触皮膚炎のストレス誘発性悪化が選択的CRFアンタゴニストによって遮断されることが最近開示され、このことは、CRFが慢性接触皮膚炎のストレス誘発性悪化に関与していること、及びCRFアンタゴニストがこの障害を治療するために有用であり得ることを示唆している[K.Kaneko et al.,Exp Dermatol,12:47(2003)]。
【0007】
WO01/60806は、高い親和性及び高い選択性でCRFレセプターに結合することができるアリールピペラジン化合物を開示している。
本発明の課題は、新規な置換ピリミジン誘導体化合物を提供することである。
【0008】
本発明の別の課題は、CRFレセプターアンタゴニストとして有用である新規なピリミジン誘導体を提供することである。
本発明の別の課題は、不安障害、鬱病及びストレス関連障害のようなCRF又はCRFレセプターに関連した障害又は状態の治療薬としての新規な置換ピリミジン化合物を提供することである。
【0009】
本発明の別の課題は、不安関連障害、気分障害及びストレス関連障害のようなCRF又はCRFレセプターに関連した障害又は状態を治療する方法を提供することである。
本発明のさらに別の課題は、不安関連障害、気分障害及びストレス関連障害のようなCRF又はCRFレセプターに関連した障害又は状態を治療するために有用な医薬組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の課題が存在するが、それらは、本出願の明細書における発明の説明から明白又は明らかとなる。
発明の要旨
本発明は、式I:
【0011】
【化1】

【0012】
の化合物、その立体異性体、薬学的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、又はそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩を提供する{式中:
Xは、−NR、−OR、−CR、−C(O)R、−S(O)、−NRC(O)R、又は−NRS(O)から選択され;
mは、0、1又は2であり;
Gは、N又はC(R)から選択され;
及びRは、−H、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(置換アルキル)、−N(置換アルキル)、−O(アルキル)、−O(置換アルキル)、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、−CRAr、−OAr、−S(O)mAr、−NRAr、−S(O)アルキル、−S(O)置換アルキル、−CN、−NO、−OH、−NH、−SH、−C(O)NR及び−C(S)NRから独立して選択され;
及びRは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、置換ヘテロアリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、置換アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又は置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択され(但し、R及びRの両方が存在する場合には、R又はRの一方が本明細書において上記に与えられている基から選択され、そしてR又はRの他方が、−H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、置換ヘテロアリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、置換アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、又は置換ヘテロアリールヘテロシクロアルキルから選択され;Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、及び置換ヘテロアリールから選択される);そして
各Rは、−H、アルキル、シクロアルキル、及びハロアルキルから独立して選択され、ここで、アルキルは、ハロゲン、−O(アルキル)、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−C(O)NH(アルキル)、−C(O)N(アルキル)、−NHC(O)アルキル、−N(アルキル)C(O)アルキル、及び−S(O)アルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、及びArから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。}。
【0013】
別の側面において、本発明は、式Iの化合物、その立体異性体、薬学的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、又はそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、エマルション剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤及び軟膏剤のようないずれの適する形態で製造してもよい。
【0014】
本発明の化合物は、CRFレセプターアンタゴニストである。したがって、別の側面において、本発明は、温血動物においてCRFレセプターに拮抗する方法であって、CRFレセプターに拮抗するのに有効な量で本発明の化合物を当該動物へ投与することを含む方法を提供する。
【0015】
さらに別の側面において、本発明は、CRFレセプターについてのリガンドを求めてスクリーニングする方法を提供し、その方法は:a)CRFレセプター、検出可能な標識で標識された式Iの化合物、及び候補リガンドを用いる競合的結合アッセイを行い;そしてb)前記候補リガンドが前記標識化合物を追い出す能力を測定することを含む。
【0016】
さらに別の側面において、本発明は:a)検出可能な標識で標識した式Iの化合物と組織とを、化合物が組織に結合できるようにする条件下で接触させ;そしてb)組織へ結合した標識化合物を検出することを含む、組織中のCRFレセプター検出するための方法を提供する。
【0017】
さらに別の側面において、本発明は、本発明の化合物と、IMR32細胞のようなCRFレセプターを発現している細胞を含む溶液とを接触させることを含む、CRFのCRFレセプターへの結合をin vitroで阻害する方法であって、当該化合物が、CRFのCRFレセプターへの結合を阻害するのに十分な濃度で当該溶液中に存在する方法を提供する。
【0018】
本発明の化合物は、温血動物、特に哺乳動物、より特定的には、ヒトにおいて、CRF又はCRFレセプターに関連した種々の障害、又はCRFレセプターが拮抗されることによりその治療がもたらされるか又は促進され得る障害を治療するために有用である。そのような障害の例には、以下のものが含まれる:不安関連障害(不安状態、全般性不安障害、社会性不安障害、抑うつ疾患と共存する不安症、パニック障害、及び強迫性障害、恐怖障害、外傷後ストレス障害、及び異型不安障害のような);情動障害としても知られている気分障害(大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、幼児虐待誘発性鬱病及び分娩後鬱病を包含する鬱病;気分変調(dysthemia);双極性障害:及び循環気質のような);外傷後ストレス障害;核上麻痺;免疫抑制;薬物又はアルコール禁断症状;物質乱用障害(例えば、ニコチン、コカイン、エタノール、オピエート又は他の薬物);炎症性障害(リウマチ様関節炎及び変形性関節症のような);不妊症を包含する生殖能力問題;疼痛;喘息;乾癬及びアレルギー;恐怖症;ストレスにより誘発される睡眠障害;疼痛知覚(pain perception:繊維筋痛症のような);気分変調(dysthemia);双極性障害;循環気質;疲労症候群(fatigue syndrome);ストレス誘発頭痛;癌;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症;神経変性性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病のような);胃腸疾患(精神病理学的障害またはストレスを伴う、潰瘍、過敏性腸症候群、クローン病、痙攣性結腸、下痢、及び術後腸閉塞(ilius)、及び結腸過敏性のような);摂食障害(神経性拒食症及び過食症、及び他の摂食障害のような);出血性ストレス;ストレス誘発性精神病エピソード;甲状腺機能正常病的症候群(euthyroid sick syndrome);不適切な制瀉ホルモン(ADH)の症候群;肥満;頭部外傷;脊髄外傷;虚血性ニューロン損傷(例えば、脳海馬虚血のような脳虚血);興奮毒性ニューロン損傷;癲癇;心血管及び心臓関連障害(高血圧、頻脈、及び鬱血性心不全のような);卒中;ストレス誘発性免疫機能不全を包含する免疫機能不全(例えば、ストレス誘発性発熱、ブタストレス症候群、ウシ輸送熱、ウマ発作性細動、及びニワトリにおいて監禁により誘発される機能不全、ヒツジにおける剪毛ストレス、又はイヌにおけるヒト−動物相互作用関連ストレス);筋肉スパスム;尿失禁;アルツハイマータイプの老人性痴呆症;多発梗塞性痴呆症;筋萎縮性側索硬化症;薬物依存症及び嗜癖(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、ベンゾジアゼピン類又は他の薬物の依存症);骨粗しょう症;心理社会性小人症、低血糖症、及び皮膚障害(ニキビ、乾癬、慢性接触性皮膚炎、及びストレス−悪化性皮膚障害のような)。それらは、喫煙中止及び育毛を促進させるため、または脱毛症を治療するためにも有用である。
【0019】
従って、更なる側面において、本発明は、温血動物において、その治療がCRFレセプターが拮抗されることによりもたらされるか又は促進され得る障害を治療する方法であって、そのような方法を必要とする患者へ、有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。特定の態様において、本発明は、CRFの過剰分泌を発現する障害を治療する方法を提供する。本発明の化合物で治療することができる障害の例には、全般性不安障害;社会性不安障害;不安症;強迫性障害;抑うつ疾患と共存する不安症;パニック障害;及び大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、幼児虐待誘発性鬱病、分娩後鬱病を包含する鬱病、脱毛症、及び接触性皮膚炎のような気分障害が含まれる。温血動物が哺乳動物であることが好ましく、当該動物がヒトであることがより好ましい。
【0020】
発明の詳しい説明
本発明は、上記の式Iの化合物を提供する。
特に好ましい一般式Iの化合物は、Xが−NRであるものである。
【0021】
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方がアリールシクロアルキル又はヘテロアリールシクロアルキルである、一般式Iのものである。
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方がアリールシクロアルキル又はヘテロアリールシクロアルキルであり、そして付着点がシクロアルキル環である、一般式Iのものである。
【0022】
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方がアリールシクロアルキル又はヘテロアリールシクロアルキルであり、付着点がシクロアルキル環であり、そしてR又はRの一方が水素である、一般式Iのものである。
【0023】
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方が置換アリールシクロアルキル又は置換ヘテロアリールシクロアルキルであり、付着点がシクロアルキル環であり、そしてR又はRの一方が水素である、一般式Iのものである。
【0024】
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方が置換アリールシクロアルキル又は置換ヘテロアリールシクロアルキルであり(その置換基はアルキル又はアルコキシであり且つ当該シクロアルキル環上に有る)、付着点がシクロアルキル環であり、そしてR又はRの一方が水素である、一般式Iのものである。
【0025】
本発明の他の好ましい化合物は、Xが−NRであり、R又はRの一方が置換アリールシクロアルキル又は置換ヘテロアリールシクロアルキルであり(その置換基はアルキル又はアルコキシであり且つ当該シクロアルキル環上に有り、そしてこれら環置換基の絶対立体化学は(R,R)、(R,S)、(S,R)又は(S,S)である)、付着点がシクロアルキル環であり、そしてR又はRの一方が水素である、一般式Iのものである。
【0026】
特に好ましい本発明の化合物は、Xが−NRであり、Rが2−置換−1−インダニルであり、そしてRが水素である、一般式Iのものである。
他の特に好ましい本発明の化合物は、Xが−NRであり、Rが2−アルコキシ−1−インダニルであり、そしてRが水素である、一般式Iのものである。
【0027】
他の特に好ましい本発明の化合物は、Xが−NRであり、Rが2(S)−アルコキシ−1(R)−インダニルであり、そしてRが水素である、一般式Iのものである。
【0028】
本明細書中に提供されている化合物は、1つ以上の不斉中心又は面を有してもよく、それら化合物の全てのキラル体(エナンチオマー又はジアステレオマー)及びラセミ体は、本発明に含まれる。オレフィン、C=N二重結合等の多くの幾何異性体が化合物中に存在してもよく、そしてそのような全ての安定な異性体は、本発明において意図されている。本発明の化合物は、本発明の化合物はラセミ体で単離されるか、又は例えば、分割剤の存在下での結晶化、若しくは例えばキラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィーのような慣用的な方法によるラセミ体の分離により光学的に純粋な形態で単離されるか、又は、エナンチオマーが濃縮された原料の製造を可能にする不斉合成経路により合成される。本発明は、式Iにより表される化合物の全ての可能な互変異性体を包含する。
【0029】
当業者により理解されるように、本発明の化合物は、チャートA〜K中に概説され以下に説明されている方法を、合成有機化学の技術において知られている合成法又はその変法と共に用いて合成することができる。当業者は、本発明に包含される化合物を製造するために、出発原料を変更してもよいこと、及び追加の工程を用いてもよいことを理解するであろう。
【0030】
【化2】

【0031】
及びRが式Iについて定義されたとおりであり、Xがハロゲン、好ましくは塩化物又は臭化物であるピリミジン誘導体は、チャートA中に概説されている通りに製造できる。A−Iのような化合物は、公知の文献手順に従って製造できる[J.Org.Chem.1983、48、1060]。A−I中のニトロ基の還元は、水素及び遷移金属触媒を用いる水素化又は水溶液中での亜硫酸水素ナトリウムの使用を包含する当該技術分野において知られている種々の方法により達成され、A−IIを与えることができる。また、A−IIのような化合物は、適する親電子試薬(例えば、J.Med.Chem.1997、40、24中に記載されているようなエポキシド)を用いるアミノ基のアルキル化により製造することができる。アミノピリジンA−IIは、アルデヒドとナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのような還元剤とを不活性溶媒中で用いる還元的アミノ化によってA−IIに変換できる。ハロピリジンA−IIIは、メタロアリール試薬(Ar−[M])を用いる遷移金属触媒カップリング反応によってアリールピリミジンA−IVに変換できる。より普通に用いられる試薬/触媒対には、アリールボロン酸/パラジウム(0)[Stille反応:T.N.Mitchell、Synthesis1992、803]、アリール亜鉛/パラジウム(0)、及びグリニャール/ニッケル(II)が含まれる。パラジウム(0)は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセテート/トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)/トリ−tert−ブチルホスフィン、及びジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウム(II)を包含するが、これらに限定されない種々の組み合わせの金属/リガンド対の触媒系マッド(mad)を表す。ニッケル(II)は、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンジクロロニッケル(II)]及び[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)のようなニッケル含有触媒を表す。
【0032】
【化3】

【0033】
チャートB中に概説されているように、チャートAにおける事象の配列を変えるが、チャートAについて記載されているものと同じ方法を用いることにより、式B−IVの化合物も製造できる。
【0034】
【化4】

【0035】
置換基R及びRを導入して式C−IVの化合物を与えるための別の方法がチャートC中に概説されており、それは、当該技術分野において知られている種々の方法により達成できる。これら方法には、アミンC−Iと酸塩化物又は無水物との、トリエチルアミン又はピリジンのような(これらに限定されないが)塩基の存在下での、ジクロロメタン又はトルエンのような不活性溶媒中での反応が含まれる。次いで、N−H基は、水素化アルカリ金属、アルカリ金属アミド又はアルカリ金属アルコキシドのような(これらに限定されないが)強塩基によって、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルホキシドのような(これらに限定されないが)不活性溶媒中で脱プロトン化され得る。アルキル化は、アルキルハライド、適切には、ブロミド又はヨージドを、0℃〜100℃の範囲の温度で用いて行うことができる。水素化アルミニウムリチウム、ボラン又は水素化ジイソブチルアルミニウムのような(これらに限定されないが)還元剤を、THF、エーテル又はトルエンのような(これらに限定されないが)不活性溶媒中で用いるアミドC−IIIの還元は、式C−IVの化合物を提供する。
【0036】
【化5】

【0037】
式D−IIの化合物を製造するための別の方法が、チャートD中に示される。アミンD−Iを、水素化アルカリ金属、アルカリ金属アミド、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属カーボネートで(これらに限定されないが)のような塩基で、THF、DMF、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリル(これらに限定されないが)のような不活性溶媒中で、アルカリ金属ヨージドを添加して又はしないで処理した後、アルキルハライド、適切にはブロミド若しくはヨージド、又はアルキルスルホネートを用いるアルキル化を、0℃〜100℃の範囲の温度で行って、式D−IIの化合物を与える。
【0038】
【化6】

【0039】
本発明のピリジン化合物は、チャートF〜K中に概説されている経路により製造できる。例えば、2,5−ジハロピリジンE−Iの選択的金属触媒クロスカップリングは、5−ハロ−2−ピリジンE−II(hal=ハロゲン)を与える。所望の3−アルコキシ−6−アリールピリジンE−IIIは、E−IIをアルコキシドと共に加熱することにより得られる。E−IIIの酸化が、m−クロロペルオキシ安息香酸のような適する酸化剤により達成されて、E−IVが与えられ得る。POCl中でE−IVを加熱することにより、ハロ−中間体E−Vが提供される。E−Vの変換は、化合物、例えば、求核置換により2,3−ジアルコキシ−6−アリールピリジンE−VIを、クロスカップリングにより2−アルキル−3−アルコキシ−6−アリールピリジンE−VIIを、そしてアミノ化により2−アミノ−3−アルコキシ−6−アリールピリジンE−VIII化合物を提供する。
【0040】
【化7】

【0041】
3−アルコキシピリジンは、チャートF中に示されている方法による3−ピリジノール類のアルキル化によっても製造される。当業者に知られている方法を用いるF−Iのニトロ化の後にヒドロキシ脱ジアゾ化(dediazitization)を行うことにより、F−IIが提供される。F−IIを熱POClで処理することにより、F−IIIが提供される。F−IIIと適切なアリールユニットとのクロスカップリングにより、F−IVが与えられる。F−IVのニトロ基は、水素化又はSnClを包含する(これらに限定されないが)当業者に知られている方法を用いてその後に還元されて、F−Vが提供される。F−Vのヒドロキシ脱ジアゾ化により、F−VIが提供される。F−VIのアルキル化により、標的である3−アルコキシ−6−アリールピリジン化合物F−VIIが与えられる。
【0042】
【化8】

【0043】
アリールピリジンは、チャートG中に示された通りのピリジン環の構築によっても製造できる。マロン酸G−IとアミンG−IIとの縮合により、ジヒドロキシピリジンG−IIIが与えられる。POClでのG−IIIの処理により、G−IVが与えられる。そのより高度に活性化されたハロゲンへのG−IVの選択的クロスカップリングが進行して、2−アリール−4−クロロピリジンG−Vを与える。求核置換を介して進行するRの組み込みにより、G−VIが提供される。G−VIの加水分解により、カルボン酸G−VIIが提供される。Curtius転移の後にそのアミンをカーバメート保護基で保護することにより、G−VIIIが与えられる。生じたアミドのアルキル化により、G−IXが提供される。脱保護と、所望により還元的アミノ化を行うにより、標的化合物G−Xが与えられる。
【0044】
【化9】

【0045】
2−アミノ−3−アルコキシ−6−アリールピリジン類の別の合成は、チャートH中に記載されている。H−Iのヨード化は、H−IIを提供し、それをアルキル化して、対応する3−アルコキシピリジンH−IIIを提供することができる。2−ハロと6−ヨードの間の化学選択性を注意深く適用することによって、メタロアリール試薬(G−[M])を用いる遷移金属触媒カップリング反応によって、ハロピラジンH−IIIをアリールピラジンH−IVに変換することができる。より普通に用いられる試薬/触媒対には、アリールボロン酸/パラジウム(0)(Suzuki反応;N.Miyaura and A.Suzuki,Chemical Review 1995,95,2457)、アリールトリアルキルスタナン/パラジウム(0)(Stille反応;T.N.Mitchell,Synthesis 1992、803)、アリール亜鉛/パラジウム(0)及びアリールグリニャール/ニッケル(II)が含まれる。H−IVのアミノ化を、酢酸パラジウム(II)、又はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)のような(これらに限定されないが)適する遷移金属触媒、1、1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン、2、2’−ビス(ジフェニルホスフィン)−1、1’−ビナフチル、ジシクロヘキシル(2−ビフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、またはトリ−tert−ブチルホスフィンのようなリガンド(これらに限定されないが)、及びナトリウム又はカリウムtert−ブトキシドのような(これらに限定されないが)塩基の存在下、トルエン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム、DMF又はN−メチルピロリドンのような(これらに限定されないが)不活性溶媒中で、周囲温度〜100℃で行うことにより、H−Vが提供される。H−Vのハロゲン化の後に金属触媒クロスカップリング反応を行なうことにより、標的化合物H−VIIが与えられる。
【0046】
【化10】

【0047】
興味の対象となるピリジン類のさらに別の経路が、チャートJ中に概説されている。3−ハロ−5−ピリジノールJ−Iのアルキル化により、J−IIが提供される。J−IIの金属触媒クロスカップリングにより、J−IIIが与えられる。J−IIIのハロゲン化が進行して、J−IVが産出される。その後に行なうJ−IVへの金属触媒クロスカップリングにより、トリ置換ピリジンJ−Vが提供される。第二のハロゲン化工程により、J−VIが与えられる。最後の金属触媒クロスカップリングにより、標的化合物J−VIIが産出される。
【0048】
【化11】

【0049】
興味の対象となるピリジン類へのさらに別の経路が、チャートK中に概説されている。商業的に入手可能なK−Iの2位における活性化された臭素の選択的反応により、K−IIが提供される。適切に置換されたアミンのBuchwaldカップリングにより、K−IIIが提供される。最後に、適する塩基の存在下のアルキル化により、K−IVが提供される。
【0050】
本発明は、式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩も包含する。薬学的に許容可能な塩の例は、アミン類のような塩基の残基の無機及び有機酸塩のような無機酸又は有機酸から製造される塩、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、アンファー(amphor)スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、バーバル酸(barbaric acid)、p−トルエンスルホン酸等の塩;及び、カルボン酸のような酸の残基のアルカリ又は有機塩、例えば、次の塩基から誘導されるアルカリ及びアルカリ土類金属塩である:水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、アンモニア、トリメチルアンモニア、トリエチルアンモニア、エチリデンアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、n−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム等。
【0051】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、慣用的な化学的方法により製造されうる。一般に、そのような塩は、例えば、これら化合物の遊離酸又は塩基形態と、化学量論量の適切な塩基又は酸とを、水、有機溶媒、又はそれら二者の混合物中で反応させることにより製造される;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい。適する塩のリストは、その開示が参照により本明細書により組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17th ed.,Mack Publishing Company、Easton、PA、1985、p.1418中に見出される。
【0052】
別の側面において、本発明は、式Iの化合物のプロドラッグを提供する。プロドラッグは、改善された化学的安定性、改善された患者受容性及び服薬遵守性、改善された生物学的利用能、延長された作用期間、改善された臓器選択性(改善された脳浸透度が含まれる)、改善された製剤(例えば、増大した水溶性(hydrosolubility))、及び/又は減少された副作用(例えば、毒性)といった目的をもって製造される。例えば、T.Higuchi and V.Stella、“Prodrugs as Novel Delivery Systems”、Vol.14 of the A.C.S、Symposium Series;Bioreversible Carriersin Drug Design、ed.Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、(1987)を参照のこと。プロドラッグには、ヒドロキシ、アミン又はスルフヒドリル基が、もし存在するならば、患者に投与された場合に開裂してそれぞれ遊離のヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基を形成する基に結合している、式Iの化合物から誘導される化合物が含まれるが、これらに限定されない。選択される例には、アルコール及びアミン官能基の生物加水分解性(biohydrolyzable)のアミド及び生物加水分解性エステル、及び生物加水分解性のカルバメート、カーボネート、アセテート、ホルメート及びベンゾエート誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
プロドラッグは、当該技術分野において知られている方法を用いて、式Iの化合物から容易に製造できる。例えば、Notari,R.E.,“Theory and Practice of Prodrug Kinetics,”Methods in Enzymology、112:309−323(1985);Bodor,N.,“Novel Approaches in Prodrug Design,”Drugs of the Future、6(3):165−182(1981);及びBundgaard、H.,“Design of Prodrugs:Bioreversible−Derivatives for Various Functional Groups and Chemical Entities,”in Design of Prodrugs(H.Bundgaard,ed.)、Elsevier、N.Y.(1985);Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Chemistry、Fifth Ed.,Vol.1、pp.172−178、949−982(1995)を参照のこと。例えば、式Iの化合物は、その1以上のヒドロキシまたはカルボキシ基をエステルに変換することにより、プロドラッグに転換することができる。
【0054】
本発明には、同位体標識された化合物も含まれ、それらは、1以上の原子が、天然に見出される原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子によって置換されているという事実の他は、式I中に記載されたものと同一である。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例には、H、11C、14C、18F、123I及び125Iのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体が含まれる。先述の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する式Iの化合物は、本発明の範囲内である。本発明の同位体標識化合物は、例えば、H及び14Cのような放射性同位体が組み込まれているものであり、それらは薬物及び/又は物質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム、すなわち、H、及びカーボン−14、即ち、14C同位体は、PET(ポジトロン放出断層撮影)において特に有用であり、125I同位体は、SPECT(単光子放出コンピュータ断層撮影)において特に特に有用である:これらは全て脳の画像化において有用である。さらに、重水素、即ちHのようなより重い同位体で置換することにより、より大きな代謝安定性、例えば、増大したin vivo半減期又は減少した投与要求からもたらされる一定の治療的利点が得られ、したがって、いくつかの状況において好ましい。同位体標識された本発明の式Iの化合物は、一般に、同位体標識試薬で非同位体標識試薬を置き換えることによって合成操作を行なうことにより製造できる。
【0055】
式Iの化合物は、CRFレセプターにおいてアンタゴニストであり、CRFのCRFレセプターへの特異的結合を阻害することができ、そして、CRFレセプターに関連した活性に拮抗することができる。化合物のCRFレセプターアンタゴニストとしての効力は、種々のアッセイ方法によって測定することができる。式Iの化合物は、CRFアンタゴニストとしての活性について、De Souza et al.(J.Neuroscience 7:88、1987)及びBattaglia et al.(Synaps1:572、1987)によって開示されているアッセイを包含する(これらに限定されないが)この目的のために一般に受け入れられている1以上のアッセイにより評価することができる。CRFレセプター親和性は、化合物が放射標識CRF(例えば、[125I]チロシン−CRF)のそのレセプター(例えば、ラット大脳皮質膜から調製されるレセプター)への結合を阻害する能力を測定する結合検討により測定することができる。De Souza et al.(上掲、1987)によって記載されている放射リガンド結合アッセイは、CRFレセプターについての化合物の親和性を測定するためのアッセイを提供する。そのような活性は、典型的には、50%の放射標識リガンドをレセプターから追い出すのに必要となる化合物の濃度であるIC50から計算され、“Ki”値として報告される。IC50及びKi値は、非線形曲線フィッティングプログラムGraphPadPrism(GraphPad Software,San Diego,CA)などを用いる標準的な公知の方法を用いて計算される。化合物は、CRFレセプターの阻害について約10マイクロモル(μM)未満のKiを有する場合に活性であるものとみなされる。Ki値として表される式Iの化合物の結合親和性は、一般に、約0.5ナノモル〜約10ナノモルの範囲である。式Iの好ましい化合物は、1マイクロモル以下のKi値を示し、式Iのさらにより好ましい化合物は、100ナノモル未満のKi値を示し、式Iのなおさらにより好ましい化合物は、10ナノモル未満のKi値を示す。
【0056】
CRFレセプター結合を阻害することに加えて、化合物のCRFレセプターアンタゴニスト活性は、化合物がCRFに関連した活性に拮抗する能力によって立証され得る。例えば、CRFは、アデニレートシクラーゼ活性を包含する種々の生物化学的過程を刺激することが知られている。したがって、化合物は、例えばcAMPレベルを測定することによる、CRF−刺激性アデニレートシクラーゼ活性に拮抗するそれらの能力によって、CRFアンタゴニストとして評価され得る。Battaglia et al.(上掲)により記載されているCRF刺激性アデニレートシクラーゼ活性アッセイは、化合物がCRF活性に拮抗する活性を測定するためのアッセイを提供する。あるいは、アデニレートシクラーゼ活性又はcAMP生成は、Applied Biosystems(Bedford、MA)からのcAMP競合的ELISA系を用いる96/384ウェルフォーマット中で、提供されるプロトコールに従って評価することもできる。簡単に説明すると、決まった量の希釈cAMP−アルカリホスファターゼコンジュゲート(cAMP−AP)を、阻害剤の存在下又は非存在下でCRFで刺激された細胞からの試料を含有する96〜386ウェルプレートへ加える。抗cAMP抗体をその混合物に加えて、1時間インキュベートする。連続的洗浄工程の後に、化学ルミネセンス物質/促進剤溶液を加え、次いでそれが光信号を生成し、その光は、Packerd TopCountのようなマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いて検出され得る。細胞により生成されるcAMPは、cAMP−APコンジュゲートを抗体から追い出して、検出可能な信号の減少をもたらす。CRF−刺激アデニレートシクラーゼ活性アッセイの例は、下記の実施例C中に提供される。
【0057】
従って、別の側面において、本発明は、温血動物においてCRFレセプターに拮抗する方法であって、当該動物へCRFレセプターに拮抗するのに有効な量で本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。温血動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0058】
別の側面において、本発明は、温血動物においてCRFの過剰分泌を発現する障害、又はCRFレセプターが拮抗されることによってその治療がもたらされるか若しくは促進され得る障害を治療する方法であって、当該動物へ、治療的に有効な量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。温血動物は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0059】
別の側面において、本発明は、CRFレセプターについてのリガンドを求めてスクリーニングするための方法を提供し、その方法は:a)CRFレセプター、検出可能な標識で標識した式Iの化合物、及び候補リガンドを用いる競合的結合アッセイを行い、そしてb)前記候補リガンドが前記標識化合物を追い出す能力を測定することを含む。競合的結合アッセイのためのアッセイ方法は当該技術分野において周知であり、実施例A中に例示されている。
【0060】
別の側面において、本発明は:a)検出可能標識で標識した式Iの化合物と組織とを、化合物が組織に結合できるようにする条件下で接触させ;そしてb)組織への標識化合物の結合を検出することを含む、組織中のCRFレセプターを検出する方法を提供する。組織中のレセプターを検出するためのアッセイ方法は、当該技術分野において周知である。
【0061】
別の側面において、本発明は、本発明の化合物と、CRFレセプターを発現している細胞を含む溶液とを接触させることを含む、CRFのCRFレセプターへの結合を阻害する方法であって、当該化合物が、CRFのCRFレセプターへの結合を阻害するのに十分な濃度で当該溶液中に存在する方法を提供する。CRFレセプターを発現し、かつin vitroアッセイにおいて用いることのできる細胞株の例は、当該技術分野で知られているIMR32細胞である。
【0062】
式Iの化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容可能な塩若しくはプロドラッグは、温血動物における、CRFの過剰発現を発現する障害、又はその治療がCRFレセプターが拮抗されることによりもたらされるか又は促進され得る障害の治療に有用である。そのような障害の例は、本明細書中に上記されている。それらは喫煙中止を促進するため、又は発毛を促進するためにも有用である。
【0063】
従って、さらに別の側面において、本発明は、本願明細書中で上記した障害を治療する方法であって、温血動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。温血動物は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。
【0064】
本発明の方法により治療され得る特定の障害には、好ましくは次のものが含まれる:全般性不安障害、社会性不安障害、抑うつ疾患と共存する不安症、強迫性障害、及びパニック障害、不安状態、恐怖障害、抑うつ疾患と共存する不安症、強迫性障害、外傷後ストレス障害、及び異型不安障害のような不安関連障害;大鬱病、単一エピソード鬱病、再発性鬱病、幼児虐待誘発性鬱病、及び分娩後鬱病を包含する鬱病、双極性障害、外傷後ストレス障害、気分変調、及び循環気質のような気分障害;物質乱用障害(例えば、ニコチン、コカイン、エタノール、オピエート、又は他の薬物);リウマチ様関節炎及び変形性関節症のような炎症性障害;過敏性腸症候群、潰瘍、クローン病、痙攣性結腸、下痢、及び術後腸閉塞、及び精神病理学的障害又はストレスに関連した慢性過敏症のような胃腸疾患;及びニキビ、乾癬、及び接触性皮膚炎のような皮膚障害。
【0065】
本発明の方法により治療され得る特定の障害には、より好ましくは次のものが含まれる:不安関連障害;気分障害;炎症性障害;及び慢性接触性皮膚炎。
本発明の方法により治療され得る特定の障害には、さらにより好ましくは、不安関連障害、特に、全般性不安障害、及び気分障害、特に大鬱病が含まれる。
【0066】
温血動物において上記された疾患又は障害を治療するための本発明の化合物の治療的に有効な量は、当業者に知られている種々の方法、例えば、種々の量の特定の薬剤を特定の状態に悩まされている動物に投与して当該動物における効果を測定することによる方法において決定され得る。典型的には、治療的に有効な量の本発明の化合物は、0.002〜200mg/kg体重の活性成分の投与量で毎日経口投与され得る。通常、1日1〜4回の分割投与での、又は持続放出製剤での0.01〜10mg/kgの投与量が、所望の薬理学的効果を得るのに有効である。しかしながら、特定の患者のための具体的な投与量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食生活、投与の時間、投与経路、及び排泄率、薬物の組み合わせ、及び当該特定の疾患の重症度を包含する種々の因子に依存する。投与頻度も、用いられる化合物及び治療される特定の疾患に依存して変動し得る。しかしながら、多くのCNS障害の治療のためには、1日4回以下の投与計画が好ましい。ストレス及び鬱病の治療のためには、1日1又は2回の投与計画が特に好ましい。
【0067】
本発明の化合物は、経口、局所、経皮膚、非経口若しくは直腸投与、又は適切な投与形態を用いる吸入若しくはスプレーのように哺乳動物の体内において活性薬剤とその薬剤の作用部位との接触を生む手段により投与されて、上記障害を治療し得る。本明細書において用いられる“非経口”との用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は吸入技術が含まれる。本化合物は単独で投与され得るが、一般に、薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤と共に投与される。
【0068】
従って、さらに別の側面において、本発明は、式Iの化合物、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩、又はそのプロドラッグ若しくはそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。一つの態様において、その医薬組成物は、そのための薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含む。“薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤”は、哺乳動物、例えばヒトへの生物学的な活性薬剤の送達について一般に許容されている媒質である。そのような担体は、一般に、当業者が大いに決定し把握している範囲内である多くの因子に従って製剤化される。これらには、限定されることなく次のものが含まれる:製剤化されている活性薬剤のタイプ及び性質;薬剤含有組成物が投与される対象;組成物の意図された投与経路;及び標的とされる治療的適応症。薬学的に許容可能な担体及び賦形剤には、水性及び非水性の液体媒質の両方、並びに種々の固体及び半固体投与形態が含まれる。そのような担体には、活性薬剤に加えて、多くの異なる成分及び添加剤が含まれてもよく、そのような追加の成分は、技術分野において周知である種々の理由、例えば活性薬剤の安定化のために、当該製剤中に含まれる。適する薬学的に許容可能な担体及びそれらの選択に関与する因子の説明は、種々の容易に入手可能な情報源、例えば、その内容が参照により本明細書中に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17thed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985中に見出される。
【0069】
経口投与が意図される組成物は、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液剤、分散性粉末剤もしくは顆粒剤、エマルション、ハード若しくはソフトカプセル剤、又はシロップ剤、又はエリキシル剤の形態をとることができ、それらは、当該技術分野において知られている方法に従って調製され得る。そのような組成物は、薬学的に上質で味のよい製剤を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群から選択される1以上の薬剤を含有してもよい。
【0070】
錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で薬学的に許容可能な賦形剤と混合した活性成分を含有する。これら賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;顆粒剤及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアカシア、及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤はコーティングされていなくてもよいし、又は胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させるための公知の技術によってコーティングされてもよく、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような遅延物質が用いられ得る。
【0071】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、あるいは活性成分が水若しくは油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィン又はオリーブオイルと混合されているソフトゼラチンカプセルとして提供してもよい。
【0072】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性材料を含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、及びアカシアガムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド類、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール類との縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は脂肪酸及びヘキシタール(hexital)から得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物から得られる部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートでよい。水性懸濁液は、1以上の保存剤、例えば、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1以上の着色剤、1以上の甘味料、例えばショ糖又はサッカリンも含有してよい。
【0073】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、若しくはココナッツ油中に、又は鉱油、例えば液体パラフィン中に懸濁することによって製剤化され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。上述したもののような甘味料及び着香料を加えて味のよい経口製剤を提供してもよい。これら組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤を添加することによって保存してもよい。
【0074】
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散粉末剤及び顆粒剤は、分散剤若しくは湿潤剤、懸濁化剤、及び1以上の保存剤と混合した活性成分を提供する。適する分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上記されたものにより例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味料、着香料、及び着色料も存在してよい。
【0075】
本発明の医薬組成物は、水中油エマルションの形態をとることができる。その油相は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、又は鉱油、例えば液体パラフィン、若しくはこれらの混合物であってよい。適する乳化剤は、天然に存在するガム、例えばアカシアガム、又はトラガントガム、天然に存在するホスファチド類、例えば大豆レシチン及び脂肪酸とヘキシトール無水物とから生成されるエステル若しくは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合組成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。エマルションは、甘味料及び着香料も含有し得る。
【0076】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はショ糖と共に製剤化され得る。そのような製剤は、緩和剤、保存剤、及び着香料、及び着色剤も含有してよい。
【0077】
本発明の化合物の直腸投与のための坐剤は、化合物と適する非刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。それは、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸において溶けて薬物を放出する。そのような材料の例は、カカオ脂及びポリエチレングリコール類である
医薬組成物は、滅菌注射可能水性又は油性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上述された適する分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いる知られた方法に従って製剤化され得る。滅菌注射可能溶液又は懸濁液は、非毒性で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中で、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として製剤化され得る。用いることができる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒又は懸濁化媒質として慣用的に用いられる。この目的のためには、合成モノ−ジグリセリド類を包含する刺激に少ない如何なる不揮発性油を用いてもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸に、注射可能物の調製における有用性が見出される。
【0078】
投与のための適する投与形態は、一般に単位あたり約1mg〜約100mgの活性成分を含有する。これら医薬組成物においては、組成物の総重量に基づいて約0.5〜95重量%の量で活性成分が通常存在する。本発明の化合物の投与のための投与形態の例には、次のものが含まれる:(1)カプセル剤.標準的2ピースハードゼラチンカプセルを100mgの粉末化した活性成分、15mgのラクトース、50mgのセルロース、及び6mgのステアリン酸マグネシウムで各々充填することにより多数のユニットカプセル剤が調製される;(2)ソフトゼラチンカプセル剤.大豆油、綿実油、又はオリーブ油のような消化性油中の活性成分の混合物を調製し、そして容積式によりゼラチン中に注射し、100mgの活性成分を含有するソフトゼラチンカプセル剤を形成する。それらカプセル剤は、洗浄して乾燥した;(3)錠剤.多数の錠剤を慣用的な手順により調製し、投与単位は、活性成分100mg、0.2mgのコロイド状二酸化ケイ素、5mgのステアリン酸マグネシウム、275mgの微結晶性セルロース、11mgのデンプン、及び98.8mgのラクトースであった。適切なコーティングを適用して、味のよさ又は遅延吸収を増大させてもよい。
【0079】
さらに別の側面において、本発明は、a)包装材料;b)前記包装材料内に含有された本発明の化合物を含む医薬剤;及びc)前記医薬剤が上記した障害を治療するために用いられ得る旨を示すラベル又は包装挿入物を含む、製造の物品を提供する。
【0080】
定義及び約束事
次の定義は、別途記載しない限り本出願全体で用いられる。
“ハロゲン”との用語は、−F、−Cl、−Br、−Iから選択される群を意味する;
“アリールシクロアルキル”との用語は、9〜14個の炭素原子からなる二環式の環であって、一方の環がアリールであり、他方がそのアリール環と縮合したシクロアルキルであり、いずれの環も付着点として作用し得るものを意味する。そのシクロアルキル環は、その環のうちのアリール環と縮合していない部分において完全に飽和していてもよいし、部分的に飽和していてもよい。
【0081】
“置換アリールシクロアルキル”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するアリールシクロアルキル基のことを意味する;
“ヘテロアリールシクロアルキル”との用語は、9〜14個の原子からなる二環式環であって、一方の環がヘテロアリールであり、他方の環が当該アリール環に縮合したシクロアルキルであり、そしていずれの環も付着点として作用しうるものを意味する。シクロアルキル環は、その環のうちのアリール環に縮合していない部分において完全飽和していてもよいし、部分的に飽和していてもよい。
【0082】
“置換ヘテロアリールシクロアルキル”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)m、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するヘテロアリールシクロアルキルを意味する;
“アリールへテロシクロアルキル”との用語は、9〜14個の原子を含有する二環式環系であって、一方の環がアリールであり、他方の環がヘテロシクロアルキルであり、いずれの環も付着点として作用しうるものを意味する。
【0083】
“置換アリールへテロシクロアルキル”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するアリールヘテロシクロアルキルを意味する;
“ヘテロアリールへテロシクロアルキル”との用語は、9〜4個の原子を含有する二環式環であって、一方の環がヘテロアリールであり、他方がヘテロシクロアルキルであり、いずれも環も付着点として作用し得るものを意味する。
【0084】
“置換へテロアリールへテロシクロアルキル”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)m、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するヘテロアリールヘテロシクロアルキルを意味する。
【0085】
“アルキル”との用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖両方の炭化水素部分を意味する。
“置換アルキル”との用語は、ハロゲン、−S(O)、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、−CN、−NO、及びArから独立して選択される1〜3個の置換基を有するアルキル部分を意味する。但し、1個又は複数個のハロゲンだけが当該アルキル基上の置換基ではない。
【0086】
“ハロアルキル”との用語は、1〜(2v+1)個の独立して選択されるハロゲン置換基を有するアルキル部分を意味する。ここで、vは当該部分中の炭素原子の数である。
“シクロアルキル”との用語は、3〜10個の炭素原子を有する単環式又は二環式で非芳香族性の炭化水素部分を意味する。シクロアルキルは、1〜2個の二重結合を場合によって含有してもよい。但し、二重結合は集積されていない;
“置換シクロアルキル”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基を意味する;
“アリール”との用語は、フェニル又はナフチルを意味する。
【0087】
“置換フェニル”との用語は、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−OR、SR、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するフェニル基を意味する。
【0088】
”置換ナフチル”との用語は、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−OR、SR、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するナフチル基を意味する。
【0089】
“ヘテロアリール”との用語は、非過酸化O、S、及びNからなる群から各々選択される1〜4個のヘテロ原子と炭素原子とからなる5又は6個の環原子を、原子価数要件を満たすための適切な結合とともに含有する単環式芳香族環の基であって、付着が環炭素又は窒素原子を介していてよいものを意味する。“ヘテロアリール”との用語には、非過酸化O,S及びNからなる群から各々選択される1〜6個のヘテロ原子と炭素原子とからなる約8〜10の環原子と、原子価要件を満たすための適切な結合とを有する、縮合二環式へテロ芳香族環の基であって、付着が環炭素又は窒素原子を介していてもよいも含まれる。ヘテロアリールの非限定的な例には、チエニル、ベンゾチエニル、ピリジル、チアゾリル、キノリル、ピラジニル、ピリミジル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル、及びベンゾキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、ピロリル、イソキノリニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、フラザニル(furazanyl)、ベンゾフラザニル(benzofurazanyl)、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフトリジニル(naphthridinyl)、及びフロピリジニルが含まれる。
【0090】
“置換ヘテロアリール”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)m、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NO、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、ヘテロアリール、及びヘテロアリール誘導体から独立して選択される1〜3個の置換基を有するヘテロアリール基を意味する。
【0091】
“ヘテロアリール誘導体”との用語は、ハロゲン、−R、−OR、−S(O)m、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するヘテロアリール基を意味する。
【0092】
“ヘテロシクロアルキル”との用語は、4〜8員非芳香族単環式環、又は6〜12員非芳香族二環式環を意味し、1〜4個の炭素原子の各々は、酸素、窒素、−NH−、又は−S(O)−(mは0、1又は2である)から選択されるヘテロメンバーで置換されており、環の付着は、炭素原子で生じても窒素原子で生じてもよい。ヘテロシクロアルキルは、場合により1〜3個の二重結合を含有してもよい。ヘテロシクロアルキルの例には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[2.2.1]−アザビサイクリック環、[2.2.2]−アザビサイクリック環、[3.3.1]−アザビサイクリック環、キヌクリジニル、アゼチジニル、アゼチジノニル、オキシインドリル(oxindolyl)、ジヒドロイミダゾリル、及びピッロリジノニルが含まれる。
【0093】
“置換ヘテロシクロアルキル”との用語は、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、−OR、−S(O)m、−NR、−C(O)R、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−S(O)NR、−NRS(O)、及び−NOから独立して選択される1〜3個の置換基を有するヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0094】
“薬学的に許容可能な”との用語は、別のやり方で記載しない限り、信頼できる医療判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触して用いるのに適しており、妥当な利点/リスク比率と釣り合う、化合物、材料、組成物、及び/又は投与形態のことをいう。
【0095】
“薬学的に許容可能な塩”との用語は、本発明の化合物の生物学的効力及び性質を保持しており、生物学的又は別のやり方で望ましくないものでない、塩のことをいう。
“立体異性体”との用語は、同じ結合によって結合されている同じ原子からできているが、互換性のない異なる三次元構造を有する化合物のことをいう。三次元構造は、立体配置と呼ばれる。本明細書において用いられる用語“エナンチオマー”とは、その分子が重ね合わせることができない互いの鏡像である二つの立体異性体のことをいう。“不斉中心”との用語は、4つの異なる基が付着している炭素原子のことをいう。本明細書に置いて用いられる用語“ジアステレオマー”とは、エナンイオマーでない立体異性体のことをいう。さらに、異なる立体配置をただ1つの不斉中心にしか有さない2つのジアステレオマーは、“エピマー”と呼ばれる。“ラセミ化合物”又は“ラセミ混合物”との用語は、同等の部のエナンチオマーの混合物のことをいう。
【0096】
“プロドラッグ”との用語は、in vivoで変換されて式Iの化合物を生成する化合物を意味する。その変換は、血中での加水分解によるものなどの種々のメカニズムにより生じ得る。
【0097】
“治療的に有効な量”、“有効な量”、“治療的な量”又は“有効な投与量”との用語は、所望の薬理学的又は治療的作用を誘発するのに十分であり、従って疾患の有効な予防又は治療をもたらす量のことを意味する。
【0098】
“発明の化合物”、“本発明の化合物”、“本発明の(複数の)化合物”、又は“式Iによる化合物”等のフレーズは、式Iの化合物、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩、又はそのプロドラッグ、若しくは式Iの化合物のプロドラッグの薬学的に許容可能な塩のことをいう。
【0099】
“治療”、“治療する”、“治療すること”等の用語は、障害の進行を遅くすること又は逆転させることの両方、並びに障害を治癒させることを包含することが意図される。これら用語には、たとえ障害又は状態が実際に除去されなくとも、そしてたとえ障害又は状態の進行がそれ自体遅くされるか又は逆転されなくとも、障害又は状態の1つ以上の症状を軽減すること、改善すること、和らげること、除去すること、又は減じることも含まれる。“治療”等の用語には、防止的(例えば予防的)及び一時しのぎの治療も含まれる。疾患の防止は、疾患の症状の開始を延期するか又は遅延させることによって現れる。
【実施例】
【0100】
更に詳述しなくとも、当業者は、先行する説明を用いて本発明を存分に実施することができる。実施例A〜Dは、本発明の化合物の生物学的性質を決定するために用いることのできる生物学的アッセイを説明するために提供される。これら実施例は、本発明の範囲又は精神をそれらにおいて記載されている具体的な手順に限定するものと理解されるべきではない。当業者は、実施例において記載されている手順からの適切な変更を直ちに認識するであろう。
【0101】
実施例A:
生物学的活性の評価のためのin vitro CRFレセプター結合アッセイ
下記は、試験化合物のCRFレセプターに対する生物学的活性の評価のための標準的in vitro結合アッセイの説明である。それは、De Souza(De Souza,1987)により記載された修飾プロトコールに基づいている。
【0102】
この結合アッセイは、通常はラット由来である脳膜を利用する。結合アッセイのための脳膜を調製するために、ラット前頭皮質を10mLの氷冷組織緩衝液(10mM MgCl、2mM EGTA、1μg/mLアプロチニン、1μg/mLロイペプチン及び1μg/mLペプスタチンを含有する50mM HEPES緩衝液pH7.0)中でホモジェナイズする。ホモジェネートを48,000×gで10分間遠心分離して、生じたペレットを、10mLの組織緩衝液中で再度ホモジェナイズする。48,000×gでの、10分間の追加の遠心分離の後、ペレットを再懸濁して300μg/mLのタンパク質濃度とした。
【0103】
結合アッセイは、96ウェルプレート中で、300μLの最終濃度で行なう。アッセイは、150μL膜懸濁液を、125I−ヒツジ−CRF(最終濃度150pM)及び種々の濃度の阻害剤を含有する150μLのアッセイ緩衝液へ加えることによって開始する。アッセイ緩衝液は、膜タンパク質調製物について上記されているものと同じであるが、0.1%の卵白アルブミンと0.15mMのバシトラシン(bacitracin)が加えられている。放射リガンド結合は、室温で2時間後に、Packard細胞採取器を用いるPackard GF/Cユニフィルタープレート(0.3%ポリエチレンイミンに予め浸漬された)によって濾過することにより終結される。フィルターを、0.01%TritonX−100を含有する氷冷リン酸緩衝化生理食塩水pH7.0で3回洗浄する。フィルターを、Packard TopCount中で放射活性について評価する。
【0104】
あるいは、IMR−32ヒト神経芽細胞腫細胞(ATCC;Hogg et al.,1996)のような天然にCRFレセプターを発現する組織及び細胞を、上記したものと類似の結合アッセイにおいて用いてもよい。
【0105】
化合物は、それがCRFの阻害について約10μM未満のKi値を有する場合に、活性であるとみなす。非特異的結合は、過剰量(10μM)のα−螺旋状のCRFの存在下で測定される。
【0106】
実施例B:
生物学的活性の評価のためのEx vivo CRFレセプター結合アッセイ
下記は、試験化合物のCRFレセプターに対する生物学的活性を評価するための典型的なex vivo CRFレセプター結合アッセイの説明である。
【0107】
絶食した雄のHarlen育ちのSprague−Dawelyラット(170〜210g)に、12:30と2:00PMの間の胃洗浄を介して試験化合物又はビヒクルを経口投与した。化合物は、ビヒクル(通常、dH20中の10%大豆油、5%ポリソルベート80)中で調製した。薬物投与の2時間後にラットを断頭により犠牲にし、前頭皮質をすばやく切り裂いて乾燥氷上に置き、次いでアッセイするまで−80℃で冷凍した;胴体血をヘパリン処理したチューブ中に採取し、血漿を遠心分離(2500RPM、20分)により分離させ、−20℃で冷凍した。
【0108】
結合アッセイの日に、組織試料を秤量し、氷冷50mM Hepes緩衝液(10mM MgCl、2mM EGTA、1μg/mLアプロチニン、1μg/mLロイペプチンヘミスルフェート、及び1μg/mLペプスタチンA、0.15mMバシトラシン、及び0.1%卵白アルブミンを含有し、23℃でpH=7.0)中に投入し、次いで、セッティング5で30秒ホモジェナイズした(KinematicaによるPolytron)。ホモジェネートを、アッセイ緩衝液(上記した通り)又はDMP−904(10μM)の存在下で、[125I]CRF(0.15nM、NEN)と共にインキュベートした。アッセイは、濾過(Packard FilterMate、GF/Cフィルタープレート)によって終結させた;プレートは、Packard TopCount LSC中で計数した;トータル及び非特異的フェムトモルは、DPMのものから計算した。データは、ビヒクルコントロール(特異的結合フェムトモル)の%として表す。統計的有意性は、スチューデントのt検定を用いて決定した。
【0109】
実施例C:
CRF刺激アデニレートシクラーゼ活性の阻害
CRF−刺激アデニレートシクラーゼ活性の阻害は、前に記載されているように[G.Battaglia et al.,Synapse 1:572(1987)]行なうことができる。簡単に説明すると、アッセイは、37℃で、10分間、100mM Tris−HCl(37℃でpH7.4)、10mM MgCl、0.4mM EGTA、0.1%BSA、1mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)、250単位/mLホスホクレアチンキナーゼ、5mMクレアチニンホスフェート、100mMグアノシン5’−トリホスフェート、100nM o−CRF、アンタゴニストペプチド(種々の濃度)、及び0.8mgの元の湿潤重量の組織(約40〜60mgタンパク質)を含有する200mLの緩衝液中で実施される。反応は、1mMのATP/[32P]ATP(約2〜4mCi/チューブ)を加えることにより開始し、そして100mlの50mM Tris−HCl、45mM ATP、及び2%ドデシル硫酸ナトリウムを加えることにより終結する。cAMPの回収を追跡するために、1mLの[H]cAMP(約40,000dpm)を各チューブへ加えた後に分離した。[32P]ATPからの[32P]cAMPの分離は、Dowexとアルミナカラム上での逐次的溶離によって行なわれる。
【0110】
あるいは、アデニレートシクラーゼ活性は、NENライフサイエンスからのAdenylyl Cyclase Activation FlashPlate Assayを利用する96−ウェルフォーマット中で、その提供されるプロトコールに従って評価することもできる。簡単に説明すると、固定量の放射標識cAMPを、抗−サイクリックAMP抗体でプレコートした96−ウェルプレートに加える。細胞又は組織が加えられ、阻害剤の存在下又は不存在下で刺激される。細胞によって産生される非標識cAMPは、放射標識cAMPを抗体から追い出す。結合した放射標識cAMPは光信号を生成し、それは、Packard TopCountのようなマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いて検出することができる。非標識cAMPの量が増加することによって、規定のインキュベーション時間にわたり(2〜24時間)、検出可能な信号の減少がもたらされる。
【0111】
実施例D:
in vivo生物学的アッセイ
本発明の化合物のin vivo活性は、当該技術分野において利用可能である、受け入れられている生物学的アッセイのいずれか1つを用いて評価することができる。これら試験の例には、音声驚愕(Acoustic Startle)アッセイ、階段昇り試験、及び慢性投与アッセイが含まれる。本発明の化合物を試験するために有用なこれら及び他のモデルは、C.W.Berridge and A.J.Dunn Brain Research Reviews15:71(1990)中に概説されている。化合物は、げっ歯類又は小型哺乳類のいずれの種において試験してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、その立体異性体、薬学的に許容可能なその塩、そのプロドラッグ、又はそのプロドラッグの薬学的に許容可能な塩{式中:
Xは、−NR、−OR、−CR、−C(O)R、−S(O)、−NRC(O)R、又は−NRS(O)から選択され;
mは、0、1又は2であり;
Gは、N又はC(R)から選択され;
及びRは、−H、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(置換アルキル)、−N(置換アルキル)、−O(アルキル)、−O(置換アルキル)、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、−CRAr、−OAr、−S(O)mAr、−NRAr、−S(O)アルキル、−S(O)置換アルキル、−CN、−NO、−OH、−NH、−SH、−C(O)NR及び−C(S)NRから独立して選択され;
及びRは、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、置換ヘテロアリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、置換アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、又は置換ヘテロシクロアルキルから独立して選択され(但し、R及びRの両方が存在する場合には、R又はRの一方が本明細書において上記に与えられている基から選択され、そしてR又はRの他方が、−H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリール、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、置換ヘテロアリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、置換アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、又は置換ヘテロアリールヘテロシクロアルキルから選択される);
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、及び置換ヘテロアリールから選択され;そして
各Rは、−H、アルキル、シクロアルキル、及びハロアルキルから独立して選択され、ここで、アルキルは、ハロゲン、−O(アルキル)、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−C(O)NH(アルキル)、−C(O)N(アルキル)、−NHC(O)アルキル、−N(アルキル)C(O)アルキル、及び−S(O)アルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル及びArから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい}。
【請求項2】
請求項1又は2に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項3】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
CRFの存在下で請求項1又は2に記載の化合物を含む溶液とCRFレセプターを発現している細胞とを接触させることを含む、CRFのCRFレセプターへの結合をin vitroで阻害する方法であって、当該化合物が、当該細胞へのCRF結合のレベルをin vitroで低下させるのに充分な濃度で当該溶液中に存在する方法。
【請求項5】
治療的に有効な量の請求項1又は2に記載の化合物を哺乳動物へ投与することを含む、哺乳動物においてCRFレセプターに拮抗する方法。
【請求項6】
a)CRFレセプター、検出可能な標識で標識された請求項1又は2に記載の化合物、及び候補リガンドを用いる競合的結合アッセイを行い;そしてb)前記候補リガンドが前記標識化合物を追い出す能力を測定することを含む、CRFレセプターについてのリガンドを求めてスクリーニングするための方法。
【請求項7】
CRFが拮抗されることによってその障害の治療がもたらされるか又は促進され得る、哺乳動物において障害を治療する方法。
【請求項8】
障害がCRFの過剰分泌を発現する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物がヒトであり、障害が、不安関連障害;気分障害;外傷後ストレス障害;核上麻痺;免疫抑制;薬物又はアルコール禁断症状;炎症性障害;疼痛;喘息;乾癬及びアレルギー;恐怖症;ストレスにより誘発される睡眠障害;線維筋痛症;気分変調;双極性障害;循環気質;疲労症候群;ストレス誘発性頭痛;癌;ヒト免疫不全ウイルス感染症;神経変性性疾患;胃腸疾患;摂食障害;出血性ストレス;ストレス誘発性精神病エピソード;甲状腺機能正常病的症候群;不適切な制瀉ホルモンの症候群;肥満症;不妊症;頭部外傷;脊髄外傷;虚血性ニューロン損傷;興奮毒性ニューロン損傷;癲癇;心血管及び心臓関連障害;免疫機能不全;筋肉スパスム;尿失禁;アルツハイマータイプの老人性痴呆症;多発梗塞性痴呆症;筋萎縮性側索硬化症;薬物依存症及び嗜癖;心理社会性小人症、低血糖症、及び皮膚障害;及び脱毛症から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
障害が、不安関連障害;気分障害;双極性障害;外傷後ストレス障害;炎症性障害;薬物依存症及び嗜癖;胃腸障害;及び皮膚障害から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
障害が不安関連障害又は気分障害から選択され、不安関連障害が全般性不安症であり、そして気分障害が鬱病である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヒトにおいて育毛を促進する方法であって、その必要があるヒトに、有効な量の請求項1又は2に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項13】
ヒトにおいて禁煙を促進する方法であって、それを必要とするヒトに、有効な量の請求項1又は2に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項14】
標準的in vitroCRFレセプター結合アッセイにおいて1マイクロモル以下のKi値を示す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項15】
100ナノモル以下のKi値を示す、請求項14に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−525987(P2006−525987A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506583(P2006−506583)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001410
【国際公開番号】WO2004/099148
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】