説明

置換ベンゾキセピノ−イソキサゾール類およびそれらの使用

本発明は、式(I)の新規置換ベンゾキセピノ−イソキサゾール誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、さらに、疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用、特に、心血管疾患、特に異脂肪血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および/または予防のためのものに関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規置換ベンゾキセピノイソキサゾール誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、および疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用、好ましくは心血管障害、特に異脂肪血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および/または予防のためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の疫学的研究により、異脂肪血症と心血管障害の因果関係が示されてきた。上昇した血漿コレステロールは、単独で、例えば動脈硬化症などの心血管障害の最大のリスク要因の1つである。このことは、単独の高コレステロール血症と、例えば上昇した血漿トリグリセリドまたは低血漿HDL−コレステロールと組み合わされた高コレステロール血症の、両方に関する。コレステロール低下効果、またはコレステロールおよびトリグリセリドの低下効果を合わせて有する物質は、従って、心血管障害の処置および予防に適するはずである。
【0003】
血漿コレステロールおよびトリグリセリドがスクアレンシンターゼ阻害剤により低下することは、動物モデルで既に示された。スクアレンシンターゼ(EC2.5.1.21)は、還元的縮合により、ファルネシルピロリン酸のスクアレンへの変換を触媒する。これは、コレステロール生合成に不可欠な段階である。ファルネシルピロリン酸および前駆物質は、他の細胞の代謝経路および反応にも重要であるが、スクアレンは、専らコレステロールの前駆物質として働く。従って、スクアレンシンターゼの阻害は、コレステロール生合成の減少を直接的に導き、故に、血漿コレステロールレベルの低下を導く。加えて、スクアレンシンターゼ阻害剤は血漿トリグリセリドレベルも低下させることが示された。従って、スクアレンシンターゼ阻害剤は、例えば、異脂肪血症、動脈硬化症、虚血/再灌流、再狭窄および動脈の炎症などの心血管障害の処置および/または予防に用い得るであろう[例えば、Eur. Heart J. 19 (Suppl. A), A2-A11 (1998); Prog. Med. Chem. 33, 331-378 (1996); Europ. J. Pharm. 431, 345-352 (2001) 参照]。
【0004】
本発明の目的は、特に心血管障害の処置および/または予防のためのスクアレンシンターゼ阻害剤として用いることができる新規化合物を提供することであった。
【0005】
WO2005/068472は、ある種の三環式ベンズアゼピン誘導体をスクアレンシンターゼ阻害剤として開示している。[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール誘導体自体およびそれらの使用は、今日まで文献に記載されていない。これは、本発明に関して初めて行われるものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Aは、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールであるか{これらは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノの群から選択される3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}、
または、式
【化2】

の基であり、
nは、0、1、2または3の数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニルであるか{これらの各々は、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
は、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであるか(これらの各々は、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって4員ないし8員の複素環を形成し、それは、N−R、O、S、SOまたはSOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルである}]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0007】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含され、後述される式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含され、例示的実施態様として後述される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(式(I)に包含され、後述される化合物がまだ塩、溶媒和物または塩の溶媒和物ではない限り)。
【0008】
本発明の化合物は、それらの構造次第では、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を含む。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知の方法で立体異性的に純粋な構成分を単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で生じ得る場合、本発明は全ての互変異性体を包含する。
【0009】
本発明の目的上、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それ自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0010】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩などの、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩が含まれる。
【0011】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩などの、常套の塩基の塩も含まれる。
【0012】
本発明の目的上、溶媒和物は、溶媒分子との配位により固体または液体状態で錯体を形成している本発明の化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して好ましい溶媒和物は、水和物である。
【0013】
本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それ自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に本発明による化合物に(例えば代謝または加水分解により)変換される化合物を包含する。
【0014】
本発明に関し、置換基は、断りの無い限り、以下の意味を有する:
(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関し、各々1個ないし8個、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。1個ないし6個または1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが特に好ましい。好ましく言及し得る例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルである。
【0015】
(C−C)−アルケニルおよび(C−C)−アルケニルは、本発明に関し、各々2個ないし8個および2個ないし6個の炭素原子および1個または2個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルケニルラジカルである。2個ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルケニルラジカルが好ましく、特に好ましくは2個ないし4個の炭素原子および1個の二重結合を有する。好ましく言及し得る例は、ビニル、アリル、イソプロペニルおよびn−ブト−2−エン−1−イルである。
【0016】
(C−C)−アルキニルおよび(C−C)−アルキニルは、本発明に関し、2個ないし8個および2個ないし6個の炭素原子並びに三重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルキニルラジカルである。2個ないし6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキニルラジカルが好ましく、特に好ましくは、2個ないし4個の炭素原子を有する。好ましく言及し得る例は、エチニル、n−プロプ−1−イン−1−イル、n−プロプ−2−イン−1−イル、n−ブト−2−イン−1−イルおよびn−ブト−3−イン−1−イルである。
【0017】
(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関し、各々3個ないし8個および3個ないし6個の炭素原子を有する単環式の飽和シクロアルキル基である。3個ないし6個の炭素原子を有するシクロアルキルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。
【0018】
(C−C10)−アリールは、本発明に関し、好ましくは6個ないし10個の炭素原子を有する芳香族ラジカルである。好ましいアリールラジカルは、フェニルおよびナフチルである。
【0019】
(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、本発明に関し、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびtert−ブトキシである。
【0020】
(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、本発明に関し、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有し、カルボニル基を介して結合している、直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。アルコキシ基中に1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルである。
【0021】
モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関し、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびtert−ブチルアミノである。
【0022】
ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関し、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。各場合で1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノである。
【0023】
モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよびモノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルは、本発明に関し、カルボニル基を介して結合しており、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する1個の直鎖または分枝鎖のアルキル置換基および2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を各々有するアミノ基である。好ましく言及し得る例は、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニルである。
【0024】
(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイル]は、本発明に関し、1位に二重結合した酸素原子を有し、1位を介して結合している、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましく言及し得る例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリルおよびイソ−ブチリルである。
【0025】
(C−C)−アシルオキシは、本発明に関し、1位に二重結合した酸素原子を有し、1位のさらなる酸素原子を介して結合している、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましく言及し得る例は:アセトキシ、プロピオンオキシ、n−ブチルオキシおよびイソ−ブチルオキシである。
【0026】
5員ないし10員のヘテロアリールは、本発明に関し、N、Oおよび/またはSの群から3個までの同一かまたは異なるヘテロ原子を有し、複素芳香族系の環の炭素原子を介して、または、必要に応じて、環の窒素原子を介して結合している、単環式または必要に応じて二環式の芳香族性複素環(複素芳香族系)である。言及し得る例は、フラニル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニルである。N、Oおよび/またはSの系列から2個までのヘテロ原子を有する5員ないし6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルが好ましい。
【0027】
4員ないし8員、5員ないし7員または5員ないし6員の複素環は、本発明に関し、各々全部で4個ないし8個、5個ないし7個および5個ないし6個の環原子を有する飽和または部分不飽和の複素環であり、これは、環の窒素原子を含み、後者を介して結合しており、N、O、S、SOまたはSOの群からさらなるヘテロ原子を含んでもよい。N、OまたはSの群からさらなるヘテロ原子を含んでもよい、5員ないし7員の飽和N−結合複素環が好ましい。言及し得る例は、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼピニル、1,4−ジアゼピニルである。ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびピロリジニルが特に好ましい。
【0028】
ハロゲンは、本発明に関し、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。塩素またはフッ素が好ましい。
【0029】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、そのラジカルは、断りの無い限り、一置換または多置換されていてよい。本発明に関し、1個より多く存在する全てのラジカルは、相互に独立した意味を有する。1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0030】
好ましいのは、式中、
Aが、フェニル、ナフチルまたはピリジルであり{これらの各々は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノの群から選択される2個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}、
nが、0または1の数であり、
およびRが、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
が、(C−C)−アルキルであるか{これは、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
が、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであるか(これらの各々は、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員ないし7員の複素環を形成し、それは、N−R、OまたはSの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルである}、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0031】
特に好ましいのは、式中、
Aが、1個または2個の同一かまたは異なるフッ素、塩素、臭素、メチル、メトキシ、エトキシまたはジメチルアミノにより置換されているフェニルであり、
nが、0の数であり、
およびRが、相互に独立して、水素または塩素であり、
が、(C−C)−アルキルであるか{これは、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、ヒドロキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
が、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルであるか(これは、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員または6員の複素環を形成し、それは、N−RおよびOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アシルである}、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0032】
ことさら特に好ましいのは、式中、
Aが、1個または2個の同一かまたは異なるフッ素、塩素、メチル、メトキシまたはエトキシにより置換されているフェニルであり、
nが、0の数であり、
およびRが、相互に独立して、水素または塩素であり、
が(C−C)−アルキルであり、
そして、
が、ヒドロキシまたは式−NRの基である
{式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員または6員の複素環を形成し、それは、N−RおよびOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、(C−C)−アルキル、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、メチルまたはアセチルである}、
式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0033】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せにおいて特別に示されるラジカルの定義は、所望により、それらのラジカルについて示される特定の組合せと関係なく、他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せがことさら特に好ましい。
【0034】
本発明は、さらに、本発明の化合物の製造方法に関し、それは、式(II)
【化3】

(式中、Rは上記の意味を有し、そして、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C)−シクロアルキルであるか、または、2個のRラジカルは、一体となって、オルト−フェニレン、−CH−CH−、−C(CH−C(CH−、−CH−C(CH−CH−または−CH−CHR10−CH−架橋を形成し、ここで、R10は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシである)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基性条件下、式(III)
【化4】

(式中、R11は、(C−C)−アルキルまたは(C)−シクロアルキルであるか、または、2個のR11ラジカルは、一体となって、オルト−フェニレン、−CH−CH−、−C(CH−C(CH−、−CH−C(CH−CH−または−CH−CHR12−CH−架橋を形成し、ここで、R12は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシである)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化5】

(式中、R、RおよびR11は、各々上記の意味を有する)
[例えば、Davies et al., Chem. Commun., 1558-1559 (2001)参照]の化合物を得、
【0035】
後者を、不活性溶媒中、遷移金属触媒および塩基の存在下、式(V)
【化6】

(式中、R、RおよびAは、各々上記の意味を有し、そして、
Xは、ハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素であるか、または、ハロゲン等価物、例えば、そして好ましくは、アルキルスルホネートまたはアリールスルホネート、例えば、メシレート、トリフレート、トレシレート(tresylate)、ノナフレート(nonaflate)またはトシレートである)
の化合物とカップリングし、式(VI)
【化7】

(式中、R、R、R、R11およびAは、各々上記の意味を有する)
[例えば、Moore et al., Synlett, 2071-2073 (2002)参照]の4−フェニルイソキサゾール誘導体を得、
【0036】
続いて、酸性条件下で、式(VII)
【化8】

(式中、R、R、RおよびAは、各々上記の意味を有する)
[例えば、Greene et al., Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd edition, Wiley, New York, 1991, pages 178-183参照]のアルデヒドに変換し、続いて、不活性溶媒中、ウィティッヒ反応により、リンイリド類またはそれらの互変異性のリンイレン類、例えば、エトキシカルボニルメチレントリフェニルホスホランと反応させるか、または、ウィティッヒ・ホーナー反応により、所謂POイリド類と反応させ、式(VIII)
【化9】

(式中、R、R、RおよびAは、各々上記の意味を有し、そして、
Tは(C−C)−アルキルである)
[例えば、Wittig et al., Justus Liebigs Ann. Chem. 508, 44-57 (1953); Maryanoff et al., Chem. Rev. 89, 863-927 (1989); Schlosser, Chemie fuer Labor und Betrieb 33 (6), 259-263 (1982)参照]の化合物を得、次いで、不活性溶媒中、水素化ホウ素または水素化アルミニウム、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、カリウムボロヒドリドまたは水素化リチウムトリ(tert−ブチルオキシ)アルミニウムを利用して、式(IX)
【化10】

(式中、R、R、R、AおよびTは、各々上記の意味を有する)
[例えば、Miki et al., Bioorg. Med. Chem. 10, 401-414 (2002)参照]の化合物に還元し、
【0037】
続いて、後者を不活性溶媒中、塩基の存在下で環化し、式(I−A)
【化11】

(式中、R、R、R、AおよびTは、各々上記の意味を有する)
[例えば, Miki et al., J. Med. Chem. 45 (20), 4571-4580 (2002)参照]の化合物を得、次いで、酸性条件下で加水分解し、式(I−B)
【化12】

(式中、R、R、RおよびAは、各々上記の意味を有する)
のカルボン酸を得、
【0038】
式(I−B)の化合物を、必要に応じて、鎖延長のために文献から知られている方法により、例えば、アーント・アイシュタート(Arndt-Eistert)反応(C鎖延長)[Eistert et al., Ber. Dtsch. Chem. Ges. 60, 1364-1370 (1927); Ye et al., Chem. Rev. 94, 1091-1160 (1994); Cesar et al., Tetrahedron Lett. 42, 7099-7102 (2001)]、メルドラム酸(Meldrum's acid)による誘導体化[Smrcina, Tetrahedron 53, 12867-12874 (1997)参照]または、N−ヒドロキシ−2−チオピリドン[Barton et al., Tetrahedron Lett. 32, 3309-3312 (1991)参照](C鎖延長)により、または、Steglich の方法[Steglich et al., Angew. Chem. 10, 655-656 (1971)参照](C鎖延長)により、式(I−C)
【化13】

(式中、R、R、R、Aおよびnは、各々上記の意味を有するが、nは0の数ではない)
の同族カルボン酸に変換し、次いで、得られる式(I−B)または(I−C)の化合物を、カルボン酸のエステル化またはアミド化のために文献から知られている方法により、式(X)または(XI)
【化14】

(式中、R、RおよびRは、各々上記の意味を有するが、Rは水素ではない)
の化合物と反応させ、式(I)の化合物を得、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0039】
本発明の化合物の対応するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーへの分離が、好都合には、化合物(I−A)、(I−B)、(I−C)または(I)の段階で、可能である;そのような立体異性体の分画は、当業者に知られている方法で、好ましくはクロマトグラフィー的手段により、実施できる。
【0040】
工程(II)+(III)→(IV)用の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、例えば、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの他の溶媒である。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることが可能である。ジエチルエーテルおよびグリコールジメチルエーテル(1,2−ジメトキシエタン)が好ましい。
【0041】
適する塩基は、通常の無機または有機塩基である。これらには、特にアルカリ金属重炭酸塩、例えば、重炭酸ナトリウムまたはカリウム、または、アミン類、例えば、トリエチルアミンが含まれる。重炭酸カリウムが好ましい。
【0042】
式(III)の化合物は、この場合、式(II)の化合物1molを基準として、0.5ないし5mol、好ましくは1ないし1.5molの量で用いる。この反応は、一般的に、+20℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+80℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0043】
反応(IV)+(V)→(VI)["鈴木反応";例えば、Suzuki et al., Synlett 3, 207-210 (1992); Suzuki et al., Chem. Rev. 95, 2457-2483 (1995) 参照]は、遷移金属触媒、例えばパラジウムまたはニッケル触媒、および塩基の存在下で行う。
【0044】
この反応に適する溶媒は、反応条件下で変化しない不活性の有機溶媒である。これらには、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、または、例えば、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの他の溶媒が含まれる。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。ジオキサンを好ましくは使用する。
【0045】
反応(IV)+(V)→(VI)のための塩基として適するのは、常套の無機または有機塩基である。これらには、特に、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、カリウムまたはセシウム、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、ナトリウムまたはカリウム、アルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化バリウム、アルカリ金属フッ化物、例えば、フッ化ナトリウム、カリウムまたはセシウム、アルカリ金属アルコラート、例えばナトリウムエタノラート、アルカリ金属リン酸塩、例えばリン酸カリウム、または、有機アミン類、例えば、トリエチルアミンが含まれる。リン酸カリウムが好ましい。
【0046】
遷移金属触媒として適するのは、例えば、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、または、遷移金属触媒と錯体配位子との混合物、例えば、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)/ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンまたはビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)/トリ−tert−ブチルホスフィン、または、遷移金属塩と錯体配位子との混合物、例えば、パラジウム(II)アセテート/トリ−オルト−トリルホスフィンである。[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)が好ましい。触媒は、この場合、式(IV)の化合物1molを基準として、0.001ないし1mol、好ましくは0.01ないし0.2molの量で用いる。
【0047】
式(IV)の化合物は、式(V)の化合物1molを基準として、0.5ないし5mol、好ましくは1ないし2.5molの量で用いる。この反応は、一般的に、+20℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+60℃ないし+100℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0048】
工程(VI)→(VII)の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、または、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルなどの双極性非プロトン性溶媒、または水である。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。テトラヒドロフラン/水混合物が好ましい。
【0049】
工程(VI)→(VII)に適する酸は、通常の無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸または臭化水素酸の水性溶液である。ギ酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などの有機酸を、各場合で水を添加して用いることも可能である。酸性イオン交換樹脂、例えば、Amberlyst 15(登録商標)、Dowex 50WX8(登録商標)、Amberlite IR-120(登録商標)または Purolite CT269(登録商標)も適する。塩酸を好ましくは使用する。
【0050】
この反応は、一般的に、+20℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+100℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0051】
工程(VII)→(VIII)の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、例えば、酢酸エチルまたはアセトニトリルなどの他の溶媒である。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。テトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはトルエンを好ましくは使用する。
【0052】
ウィティッヒ反応に適するリンイリド類またはリンイレン類は、例えば、エトキシカルボニルメチレントリフェニルホスホランまたはtert−ブトキシカルボニルメチレントリフェニルホスホランである。これらのリンイリド類またはイレン類は、例えばエトキシカルボニルメチルトリフェニルホスホニウムブロミドなどの対応するホスホニウム塩から、例えば水素化ナトリウム、カリウムtert−ブタノラートまたは1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンなどの塩基の作用により、得ることもできる。ウィティッヒ・ホーナー反応において、所謂POイリド類を用いることも可能であり、これは、例えばトリエチルホスホノアセテートなどの適当なホスホン酸エステルから、例えば水素化ナトリウムまたは1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンなどの塩基の存在下で得ることができる。
【0053】
上記のイリド類またはイレン類は、この場合、式(VII)の化合物1molを基準として、0.5ないし5mol、好ましくは1ないし1.5molの量で用いる。この反応は、一般的に、−40℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+40℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0054】
工程(VIII)→(IX)の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、または、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、または、例えば、酢酸エチルなどの他の溶媒である。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。テトラヒドロフランを好ましくは使用する。
【0055】
適する還元剤は、水素化ホウ素または水素化アルミニウム、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化リチウムトリ(tert−ブチルオキシ)アルミニウムである。水素化リチウムトリ(tert−ブチルオキシ)アルミニウムを好ましくは使用する。
【0056】
この反応は、一般的に、−40℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+40℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0057】
工程(IX)→(I−A)の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、ジクロロメタンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、他の溶媒、例えば、酢酸エチルまたはジメチルホルムアミドである。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。テトラヒドロフランが好ましい。
【0058】
塩基として適するのは、通常の無機または有機塩基である。これらには、特に、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、カリウムまたはセシウム、または、ホスファゼン塩基、例えば、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2,4−カテナジホスファゼン(ホスファゼン塩基P−tert−Bu)が含まれる。炭酸セシウムまたはホスファゼン塩基P−tert−Buを好ましくは使用する。
【0059】
この反応は、一般的に、−40℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+40℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0060】
工程(I−A)→(I−B)の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールまたはn−ブタノールなどのアルコール類、または、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルなどの双極性非プロトン性溶媒、または、水である。同様に、上述の溶媒の混合物を用いることも可能である。ジオキサン/水混合物を好ましくは使用する。
【0061】
適する酸は、通常の無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸または臭化水素酸の水性溶液である。塩酸が好ましい。この反応は、一般的に、+20℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+100℃で行う。この反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5bar)で実施できる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0062】
工程(I−B)→(I−C)[n≠0]は、カルボン酸の同族体化(homologization)のための、文献からわかる上述の方法により実施する。
工程(I−B)→(I)または(I−C)→(I)は、文献からわかるカルボン酸のエステル化またはアミド化(アミド形成)の方法により実施する。
【0063】
工程(I−B)+(XI)→(I)または(I−C)+(XI)→(I)のアミド化のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、アセトン、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)またはアセトニトリルなどの他の溶媒である。同様に、上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはこれらの2種の溶媒の混合物が好ましい。
【0064】
工程(I−B)+(XI)→(I)または(I−C)+(XI)→(I)のアミド形成に適する縮合剤は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカルボジイミド類、N,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)などのホスゲン誘導体、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム3−サルフェートもしくは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、イソブチルクロロホルメート、プロパンホスホン酸無水物、ジエチルシアノホスホネート、ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)またはO−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)であり、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)などのさらなる補助剤と組み合わせ、そして、適する塩基は、アルカリ金属炭酸塩、例えばナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または重炭酸塩、または有機塩基、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンである。N,N−ジイソプロピルエチルアミンと組み合わせたPyBOPを好ましくは使用する。
【0065】
工程(I−B)+(XI)→(I)または(I−C)+(XI)→(I)のアミド形成は、一般的に、0℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+40℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧(例えば、0.5ないし5bar)で行うことができる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0066】
式(V)の化合物は、文献からわかる方法と同様に、先ず、式(XII)
【化15】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、無水酢酸を用いて、式(XIII)
【化16】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
[例えば、Jiang et al., J. Med. Chem. 33 (6), 1721-1728 (1990)参照]のベンゾキサジン−4−オン誘導体に変換し、続いて、不活性溶媒中、式(XIV)
A−M (XIV)
(式中、Aは上記の意味を有し、そして、
Mは、リチウムまたはグリニャール残基−MgCl、−MgBrまたは−MgIである)
の有機金属化合物との反応、および、続く酸性加水分解により、式(XV)
【化17】

(式中、A、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
[例えば、Miki et al., Bioorg. Med. Chem. 10, 401-414 (2002)参照]の化合物に変換し、次いで、後者を、文献中の常套の方法によるジアゾ化により、式(V)
【化18】

(式中、A、R、RおよびXは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換することにより、製造できる。
【0067】
式(X)、(XI)、(XII)および(XIV)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献中の常套の方法により製造できる。
式(II)および(III)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献からわかる方法と同様に製造できる[例えば、Brown et al., Tetrahedron Lett. 29, 2631-2634 (1988) および Martin et al., Tetrahedron 53, 8997-9006 (1997)参照]。
【0068】
本発明の化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化19】

[(a):ヒドロキシルアミン;(b):N−クロロスクシンイミド]。
【0069】
スキーム2
【化20】

[(c):n−ブチルリチウム(R=例えば、メチルまたはイソプロピル)]。
【0070】
スキーム3
【化21】

[(d):重炭酸カリウム]。
【0071】
スキーム4
【化22】

[(e):無水酢酸;(f):1. A−M(XIV);2. 塩酸;(g):1. 亜硝酸イソ−アミル、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体;2. ヨウ化ナトリウム]。
【0072】
スキーム5
【化23】

[(h):パラジウム触媒、例えば[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、リン酸カリウム;(i):塩酸;(j):エトキシカルボニルメチレントリフェニルホスホラン;(k):水素化リチウムトリ(tert−ブチルオキシ)アルミニウム;(l):ホスファゼン塩基P−tert−Bu;(m):塩酸]。
【0073】
スキーム6
【化24】

[(n):塩化チオニル;(o):1. ジアゾメタン、2. 酢酸銀、トリエチルアミン、水]。
【0074】
スキーム7
【化25】

[(p):PyBOP、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;(q):HまたはDCC(R=アルキル)]。
【0075】
本発明による化合物は、価値ある薬理的特性を有し、ヒトおよび動物の障害の予防および処置に使用できる。
【0076】
特に、本発明による化合物は、効力の高いスクアレンシンターゼ阻害剤であり、コレステロール生合成を阻害する。本発明による化合物は、血中のコレステロールレベルの低下およびトリグリセリドレベルの低下をもたらす。従って、それらは、心血管障害、特に低リポタンパク質血症、異脂肪血症、高脂血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および予防に用いることができる。本発明による化合物は、加えて、体脂肪蓄積および肥満症(肥満)の処置および予防にも使用し得る。本発明による化合物は、さらに、卒中およびアルツハイマー病の処置および予防に適する。
【0077】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0078】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物、および特に上述の障害の処置および/または予防のための少なくとも1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む、医薬に関する。好ましく言及し得る組合せに適する有効成分の例は、コレステロール低下性スタチン類、コレステロール吸収阻害剤、HDL上昇またはトリグリセリド低下および/またはアポリポタンパク質B低下性物質、酸化阻害剤または抗炎症活性を有する化合物である。
【0079】
これらの有効成分との組合せは、好ましくは、異脂肪血症、混合性の高脂血症、高コレステロール血症または高トリグリセリド血症の処置に適する。該組合せは、冠動脈心疾患(例えば心筋梗塞)および末梢動脈障害の一次的または二次的予防に用いることもできる。
【0080】
本発明に関し、スタチン類の例は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン(rosuvastatin)およびピタバスタチン(pitavastatin)である。コレステロール吸収阻害剤の例は、コレスチラミン類またはエゼチミベである;HDL上昇またはトリグリセリド低下またはアポリポタンパク質B低下性物質の例は、フィブラート類、ナイアシン、PPARアゴニスト、IBAT阻害剤、MTP阻害剤およびCETP阻害剤である。抗炎症活性を有する化合物は、例えば、アスピリンである。
【0081】
本発明はさらに、家族性高脂血症、体脂肪蓄積(肥満)および真性糖尿病の処置のための、本発明による化合物のグルコシダーゼ阻害剤および/またはアミラーゼ阻害剤との組合せに関する。
【0082】
本発明に関し、グルコシダーゼ阻害剤および/またはアミラーゼ阻害剤の例は、アカルボース、アジポシン(adiposin)類、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテート類、MDL−25637、カミグリボース(camiglibose)(MDL−73945)、テンダミスタット(tendamistat)類、AI−3688、トレスタチン(trestatin)、プラディマイシンQおよびサルボスタチン(salbostatin)である。アカルボース、ミグリトール、エミグリテート類またはボグリボースと本発明による化合物の1種との組合せが好ましい。
【0083】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。このために、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、もしくは耳の経路で、または、インプラントもしくはステントとしてなど、適する方法でそれらを投与できる。
本発明の化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0084】
経口投与に適するのは、先行技術に従って機能し、本発明の化合物を迅速かつ/または改変された様式で送達する投与形であり、本発明の化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形で含有し、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば腸溶性被覆、または、不溶であるか、遅延して溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えばハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0085】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0086】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻剤、液またはスプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えばパッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0087】
経口または非経腸投与、特に経口または静脈内投与が好ましい。
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、それ自体知られている方法で、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と混合することにより行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば酸化鉄などの無機色素)および香味および/または匂いのマスキング剤が含まれる。
【0088】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0089】
一般的に、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を非経腸投与で投与するのが、有効な結果を達成するのに有利であると明らかになった。経口投与では、投与量は約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0090】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個々の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱する必要があり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合もあり得、一方、上述の上限を超えなければならない場合もあり得る。大量投与の場合には、これらを1日に亘る複数の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0091】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例におけるパーセントのデータは、断りのない限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0092】
A. 実施例
略号および頭字語:
【表1】

【0093】
LC/MS、GC/MSおよびHPLCの方法:
方法1:
装置:Micromass GCT, GC 6890;カラム:Restek RTX-35MS, 30 m x 250 μm x 0.25 μm;ヘリウムの一定流速:0.88ml/分;オーブン:60℃;入口:250℃;グラジエント:60℃(0.30分間保持)、50℃/分→120℃、16℃/分→250℃、30℃/分→300℃(1.7分間保持)。
【0094】
方法2:
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0095】
方法3:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0096】
方法4:
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0097】
出発化合物および中間体:
実施例1A
N−ヒドロキシ−2,2−ジメトキシエタンイミドイルクロリド
【化26】

メタノール110mlに溶解したヒドロキシルアミン塩酸塩6.608g(95.10mmol)を、25%強度メタノール性ナトリウムメトキシド溶液22.7ml(95.10mmol)に10℃で滴下して添加する。反応混合物を10℃で1時間撹拌し、得られる沈殿を濾過し、少量のメタノールで洗浄する。合わせた濾液を、tert−ブチルメチルエーテル中のグリオキサール1,1−ジメチルアセタールの45%強度溶液20g(86.5mmol)と混合し、室温で16時間撹拌する。後処理に、水50mlを添加し、メタノールをロータリーエバポレーターで除去し、残渣をジクロロメタンで4回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。高真空下で乾燥させ、油性残渣6.19gを得、それをさらに精製せずに後続の反応に用いる。
【0098】
得られる残渣をDMF50mlに溶解し、室温で、N−クロロスクシンイミド7.772g(58.20mmol)を、数回に分けて添加する。反応開始後、氷/アセトンの冷却混合物を冷却に使用し、反応混合物の温度が+40℃を超えないようにする。混合物の温度が室温に戻った後、冷却浴を除去し、撹拌を2時間継続する。後処理に、冷水(約5℃)300mlを添加し、混合物をtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出する。合わせた有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。乾燥後の残渣を酢酸エチル10mlに溶解し、生成物の結晶化が始まるまで、シクロヘキサンをゆっくりと添加する(約40ml)。結晶化を完了させるために、混合物を5℃で16時間保存する。得られる沈殿を濾過し、高真空下で乾燥する。表題化合物3.26g(理論値の41%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.44 (s, 6H), 4.89 (s, 1H), 7.86 (s, 1H).
MS (EI): m/z (rel. Int. %) = 75 (100) [M-78]+, 122 (48) [M-OCH3]+.
【0099】
実施例2A
4,4,5,5−テトラメチル−2−(3−メチルブト−1−イン−1−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン
【化27】

アルゴン雰囲気下、3−メチル−1−ブチン5.00g(70.47mmol)を、THF60mlに溶解し、−78℃で、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの溶液44ml(1.6M、70.47mmol)を滴下して添加する。続いて、THF60mlに溶解した2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン13.11g(70.47mmol)を、−78℃で滴下して添加する。反応混合物を−78℃で2時間撹拌し、次いで、後処理に、ジエチルエーテル中の塩化水素の1N溶液70mlを滴下して添加する。混合物を室温に温め、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をジエチルエーテル50mlと撹拌し、沈殿を濾過し、ジエチルエーテル10mlで2回洗浄する。合わせた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を高真空下で分留する。表題化合物10.51g(理論値の77%)を無色液体として得る(b.p.48−50℃/1.4mbar)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.19 (d, J = 6.8, 6H), 1.27 (s, 12H), 2.61 (sept, J = 6.8, 1H).
GC/MS (方法 1): Rt = 5.17 分; MS (EI): m/z (rel. int. %) = 67 (100), 179 (55) [M-CH3]+.
【0100】
実施例3A
3−(ジメトキシメチル)−5−イソプロピル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イソキサゾール
【化28】

アルゴン雰囲気下、実施例2Aの化合物3.703g(19.08mmol)を、乾燥1,2−ジメトキシエタン10mlに溶解し、予め高真空下で2時間乾燥した重炭酸カリウム3.820g(19.08mmol)を添加する。65℃で、1,2−ジメトキシエタン20mlに溶解した実施例1Aの化合物2.930gを、非常にゆっくりと滴下して、シリンジポンプを利用して、56時間かけて添加する。次いで、反応混合物を65℃でさらに8時間撹拌する。冷却後、反応混合物を濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を高真空下で乾燥し、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により分画する。生成物含有画分を合わせ、凍結乾燥する。表題化合物1.00g(理論値の17%)を得る。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ = 1.31 (d, J = 6.8, 6H), 1.31 (s, 12H), 3.45 (s, 6H), 3.47 (sept, J = 6.8, 1H), 5.72 (s, 1H).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ = 21.16, 24.91, 27.82, 53.74, 83.74, 98.21, 163.94, 185.77.
LC/MS (方法 4): Rt = 2.73 分; MS (ESIpos): m/z = 312 [M+H]+.
GC/MS (方法 1): Rt = 9.39 分; MS (EI): m/z (rel. Int. %) = 75 (100), 280 (10) [M-31]+.
【0101】
実施例4A
6−クロロ−2−メチル−4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン
【化29】

2−アミノ−5−クロロ安息香酸9.42g(54.9mmol)および無水酢酸31.1ml(33.6g、329mmol)の混合物を、還流下で2時間加熱する。冷却後、得られる沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテル50mlで2回洗浄する。生成物9.01g(理論値の83%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 2.47 (s, 3H), 7.50 (d, J = 8.7, 1H), 7.74 (dd, J = 8.7, 2.3, 1H), 8.15 (d, J = 2.3, 1H).
GC/MS (方法 1): Rt = 8.13 分; MS (EI): m/z (rel. Int. %) = 180 (75), 195 (100) [M]+.
【0102】
実施例5A
(2−アミノ−5−クロロフェニル)(2,3−ジメトキシフェニル)メタノン
【化30】

アルゴン下で、ベラトロール9.07ml(9.28g、47.4mmol)を、THF40mlに溶解する。0℃で、n−ブチルリチウム22.0ml(3.53g、55.0mmol;1.6M溶液、ヘキサン中)をゆっくりと添加する。30分後、この懸濁液を、THF40ml中の実施例4Aの化合物9.28gに0℃で添加する。30分後、溶媒を減圧下で除去する。残渣をエタノール48mlおよび水20mlに取り、濃塩酸32mlを添加し、混合物を還流下で3時間加熱する。水100mlを添加し、混合物を各回75mlのジエチルエーテルで3回抽出する。合わせた有機相を1N水酸化ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液(各100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。残渣をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル4:1)により精製する。生成物6.53g(理論値の47%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.78 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 6.38 (br. s, 2H), 6.65 (d, J = 8.8, 1H), 6.82 (dd, J = 7.6, 1.5, 1H), 7.03 (dd, J = 8.3, 1.2, 1H), 7.10-7.23 (m, 3H).
LC/MS (方法 4): Rt = 2.53 分; MS (ESIpos): m/z = 292 [M+H]+.
【0103】
実施例6A
(5−クロロ−2−ヨードフェニル)(2,3−ジメトキシフェニル)メタノン
【化31】

THF170ml中の実施例5Aの(2−アミノ−5−クロロフェニル)(2,3−ジメトキシフェニル)メタノン10.00g(34.28mmol)の溶液を、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体9.73g(68.56mmol)に、0℃で滴下して添加する。−10℃で、THF10mlに溶解した亜硝酸イソアミル5.22g(44.56mmol)を、溶液に滴下して添加し、混合物を−10℃で30分間撹拌する。得られるジアゾニウム塩を、冷たいジエチルエーテル100mlの添加により沈殿させる。濾過後、ジアゾニウム塩を、アセトン170ml中のヨウ化ナトリウム6.68g(44.56mmol)の溶液に数回に分けて添加する(ガスの発生)。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで氷水300mlに添加し、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル20:1)により精製する。表題化合物5.72g(理論値の41%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.55 (s, 3H), 3.89 (s, 3H), 7.09-7.17 (m, 3H), 7.22-7.28 (m, 2H), 7.83 (d, J = 8.3, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.87 分; MS (ESIpos): m/z = 403 [M+H]+.
【0104】
実施例7A
{5−クロロ−2−[3−(ジメトキシメチル)−5−イソプロピルイソキサゾール−4−イル]フェニル}(2,3−ジメトキシフェニル)メタノン
【化32】

アルゴン雰囲気下、実施例6Aの化合物398mg(0.988mmol)を、ジオキサン20mlに溶解し、実施例3Aの化合物615mg(1.976mmol)を添加する。続いて、リン酸カリウム382mg(1.798mmol)および[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)161mg(ジクロロメタンとの1:1錯体、0.198mmol)を添加し、次いで、反応混合物を85℃で72時間撹拌する。冷却後、水15mlを添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン/ジエチルエーテル2:1)。表題化合物460mg(理論値の42%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.15 (d, J = 7.3, 3H), 1.19 (d, J = 6.9, 3H), 2.90 (sept, J = 7.3, 1H), 3.19 (s, 3H), 3.34 (s, 3H), 3.61 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 5.30 (s, 1H), 6.90-6.92 (m, 1H), 7.00-7.06 (m, 2H), 7.18-7.20 (m, 1H), 7.46-7.52 (m, 2H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.97 分; MS (ESIpos): m/z = 428 [M-OCH3]+.
MS (CI): m/z = 477 [M+NH4]+.
【0105】
実施例8A
エチル(2E)−3−{4−[4−クロロ−2−(2,3−ジメトキシベンゾイル)フェニル]−5−イソプロピルイソキサゾール-3-イル}アクリレート
【化33】

実施例7Aの化合物277mg(0.602mmol)を、THF3mlに溶解し、10%強度塩酸1.8mlを添加する。反応混合物を還流下で42時間加熱し、冷却後、水を添加し、混合物をtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出する。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回、飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。油性残渣をジクロロメタン15mlに溶解し、エトキシカルボニルメチルトリフェニルホスホラン214mg(0.614mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌する。次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物213mg(理論値の72%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.15 (d, J = 6.9, 3H), 1.21 (d, J = 6.9, 3H), 1.29 (t, J = 6.9, 3H), 2.89 (sept, J = 6.9, 1H), 3.57 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 4.15-4.26 (m, 2H), 6.23 (d, J = 16.4, 1H), 6.83-6.86 (m, 1H), 6.97-7.03 (m, 2H), 7.17 (d, J = 8.12, 1H), 7.25 (d, J = 16.4, 1H), 7.51-7.58 (m, 2H).
LC/MS (方法 4): Rt = 3.18 分; MS (ESIpos): m/z = 484 [M+H]+.
【0106】
例示的実施態様:
実施例1
エチル[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセテート(ジアステレオマーのラセミ対)
【化34】

実施例8Aの化合物320mg(0.661mmol)を、乾燥THF5mlに溶解し、0℃で、THF中の水素化リチウムトリ(tert−ブチルオキシ)アルミニウムの1M溶液1.47ml(1.472mmol)を、滴下して添加する。反応溶液を、撹拌しながら、2時間かけて室温に温める。次いで、2mlの1N塩酸および水を添加し、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を乾燥THF10mlに取り、0℃で、THF中の1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2,4−カテナジ(ホスファゼン)(ホスファゼン塩基P−tert−Bu、1.320mmol)の2M溶液0.66mlを添加し、混合物を0℃で1時間撹拌する。2mlの1N塩酸および水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物115mg(理論値の36%)を、2種のジアステレオマーの混合物(ジアステレオマー1−1/ジアステレオマー1−2の比=58:42)として得る。分析目的で、繰り返しの分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により、少量を個々のジアステレオマーに分ける。
【0107】
ジアステレオマー1−1(ラセミ体):
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.18 (t, J = 7.1, 3H), 1.39 (d, J = 6.9, 3H), 1.52 (d, J = 7.1, 3H), 2.84 (dd, J = 15.4, 8.8, 1H), 2.95 (dd, J = 15.4, 4.2, 1H), 3.47 (sept, J = 6.9, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.89 (s, 3H), 4.12 (q, J = 7.1, 2H), 5.65 (dd, J = 8.9, 4.3, 1H), 5.96 (s, 1H), 6.63 (d, J = 2.2, 1H), 6.95 (dd, J = 8.9, 1.3, 1H), 7.06-7.09 (m, 1H), 7.14 (t, J = 7.8, 1H), 7.27-7.29 (m, 1H), 7.37 (d, J = 8.3, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 3.18 分; MS (ESIpos): m/z = 486 [M+H]+.
ジアステレオマー1−2(ラセミ体):
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.17 (t, J = 7.1, 3H), 1.37 (d, J = 7.1, 3H), 1.52 (d, J = 7.1, 3H), 3.01 (dd, J = 15.9, 8.8, 1H), 3.21 (dd, J = 15.9, 4.9, 1H), 3.46 (sept, J = 7.1, 1H), 3.52 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 4.05-4.14 (m, 2H), 5.37 (dd, J = 8.6, 4.9, 1H), 5.90 (s, 1H), 6.89 (d, J = 1.7, 1H), 6.94-6.96 (m, 1H), 7.15 (t, J = 7.8, 1H), 7.18-7.20 (m, 1H), 7.32 (dd, J = 8.1, 2.0, 1H), 7.37 (d, J = 8.1, 1H).
LC/MS (方法 4): Rt = 3.22 分; MS (ESIpos): m/z = 486 [M+H]+.
【0108】
実施例2
[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]酢酸(ジアステレオマーのラセミ対)
【化35】

実施例1のジアステレオマー混合物252mg(0.519mmol)を、ジオキサン20mlに溶解し、水3.5mlおよび濃塩酸3.5mlを添加し、混合物を80℃で19時間撹拌する。冷却後、反応混合物を水10mlで希釈し、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により精製する。分離された表題化合物のジアステレオマーを得る。
【0109】
ジアステレオマー2−1(ラセミ体):
収量:122mg(理論値の51%)
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.53 (d, J = 7.0, 3H), 2.93 (dd, J = 15.9, 8.7, 1H), 3.04 (dd, J = 15.9, 4.2, 1H), 3.47 (sept, J = 7.0, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 5.66 (dd, J = 8.7, 4.2, 1H), 6.00 (s, 1H), 6.65 (d, J = 2.3, 1H), 6.96 (dd, J = 8.1, 1.7, 1H), 7.06-7.09 (m, 1H), 7.14-7.18 (m, 1H), 7.30 (dd, J = 8.4, 2.4, 1H), 7.38 (d, J = 8.1, 1H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.53 分; MS (ESIpos): m/z = 458 [M+H]+.
ジアステレオマー2−2(ラセミ体):
収量:75mg(理論値の31%)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.38 (d, J = 7.0, 3H), 1.53 (d, J = 7.0, 3H), 3.08 (dd, J = 16.2, 8.1, 1H), 3.30 (dd, J = 16.2, 4.9, 1H), 3.47 (sept, J = 7.0, 1H), 3.51 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 5.28 (dd, J = 8.1, 4.9, 1H), 5.92 (s, 1H), 6.73-6.74 (m, 1H), 6.96 (dd, J = 7.8, 1.9, 1H), 7.14-7.36 (m, 4H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.57 分; MS (ESIpos): m/z = 458 [M+H]+.
【0110】
実施例3
[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]酢酸(分離された立体異性体)
【化36】

実施例2の全立体異性体の混合物490mgを、キラル相の分取HPLC[DAD 検出を備えた Agilent 1100; カラム: Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;溶離剤A:イソヘキサン、溶離剤B:イソプロパノール+0.2%氷酢酸+1.0%水;溶離剤A/B=4:1;流速:15ml/分;オーブン:25℃;UV検出:220nm]により、4つの立体異性体(エナンチオピュアなジアステレオマー)に分離する:
【0111】
立体異性体3−1:
HPLC:R=4.160分、混合物の割合19.5%[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4.6 mm;溶離剤A:イソヘキサン、溶離剤B:エタノール+0.2%TFA+1.0%水;溶離剤A/B=4:1;流速:1ml/分;オーブン:25℃;UV検出:215nm]
収量:74mg;含有量:>96%(215nm)、ee>99.5%
LC/MS (方法 4): Rt = 2.82 分; MS (ESIpos): m/z = 457 [M+H]+.
立体異性体3−2:
HPLC:R=4.439分、混合物の割合28.5%
収量:118mg;含有量:>97%(215nm)、ee>99.0%
LC/MS (方法 4): Rt = 2.78 分; MS (ESIpos): m/z = 457 [M+H]+.
立体異性体3−3:
HPLC:R=6.018分、混合物の割合27.9%
収量:101mg;含有量:>99%(215nm)、ee>99.0%
LC/MS (方法 4): Rt = 2.78 分; MS (ESIpos): m/z = 457 [M+H]+.
立体異性体3−4:
HPLC:R=6.610分、混合物の割合19.8%
収量:67mg;含有量:>98%(215nm)、ee>99.3%
LC/MS (方法 4): Rt = 2.82 分; MS (ESIpos): m/z = 457 [M+H]+.
【0112】
実施例4
エチル(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)アセテート(立体異性体4)
【化37】

22mgの実施例3の立体異性体3−4(0.048mmol)を、THF1.5mlに溶解し、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート33mg(PyBOP、0.062mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン16mg(0.120mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチル4−ピペリジンアセテート塩酸塩13mg(0.062mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、さらなる後処理をせずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物11mg(理論値の37%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.00-2.27 (m, 7H), 1.26 (t, J = 7.0, 3H), 1.36 (d, J = 7.0, 3H), 1.52 (d, J = 7.0, 3H), 2.50-3.22 (m, 4H), 3.41-3.50 (m, 4H), 3.84-3.93 (m, 4H), 4.13 (q, J = 7.0, 2H), 4.56-4.65 (m, 1H), 5.27-5.43 (m, 1H), 5.86-5.88 (m, 1H), 6.69-6.72 (m, 1H), 6.93-6.97 (m, 1H), 7.14-7.36 (m, 4H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.93 分; MS (ESIpos): m/z = 611 [M+H]+.
【0113】
実施例5
エチル(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)アセテート(立体異性体3)
【化38】

25mgの実施例3の立体異性体3−3(0.055mmol)を、THF2mlに溶解し、PyBOP37mg(0.071mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン18mg(0.136mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチル4−ピペリジンアセテート塩酸塩15mg(0.071mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物16mg(理論値の46%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.02-1.75 (m, 4H), 1.25 (t, J = 7.2, 3H), 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.47 (d, J = 6.8, 3H), 1.95-2.03 (m, 1H), 2.16-2.22 (m, 2H), 2.51-2.59 (m, 1H), 2.89-3.03 (m, 3H), 3.46 (sept, J = 6.9, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.79-3.89 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.13 (q, J = 7.2, 2H), 4.58-4.63 (m, 1H), 5.65-5.68 (m, 1H), 6.03-6.07 (m, 1H), 6.71-6.76 (m, 1H), 6.90-6.93 (m, 1H), 6.95-7.01 (m, 1H), 7.07-7.11 (m, 1H), 7.27-7.28 (m, 1H), 7.35 (d, J = 8.2, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 3.07 分; MS (ESIpos): m/z = 611 [M+H]+.
【0114】
実施例6
エチル(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)アセテート(立体異性体2)
【化39】

30mgの実施例3の立体異性体3−2(0.066mmol)を、THF4mlに溶解し、PyBOP44mg(0.085mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン11mg(0.085mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチル4−ピペリジンアセテート15mg(0.085mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物13mg(理論値の32%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.02-1.75 (m, 4H), 1.25 (t, J = 7.2, 3H), 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.47 (d, J = 6.8, 3H), 1.95-2.03 (m, 1H), 2.16-2.22 (m, 2H), 2.51-2.59 (m, 1H), 2.89-3.03 (m, 3H), 3.46 (sept, J = 6.9, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.79-3.89 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.13 (q, J = 7.2, 2H), 4.58-4.63 (m, 1H), 5.65-5.68 (m, 1H), 6.03-6.07 (m, 1H), 6.71-6.76 (m, 1H), 6.90-6.93 (m, 1H), 6.95-7.01 (m, 1H), 7.07-7.11 (m, 1H), 7.27-7.28 (m, 1H), 7.35 (d, J = 8.2, 1H).
LC/MS (方法 2): Rt = 3.06 分; MS (ESIpos): m/z = 611 [M+H]+.
【0115】
実施例7
(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)酢酸(立体異性体4)
【化40】

実施例4の化合物8mg(0.012mmol)を、ジオキサン2mlに溶解し、濃塩酸0.2mlを添加する。反応混合物を60℃で16時間撹拌する。後処理に、水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。標的化合物5mg(理論値の66%)を得る。
LC/MS (方法 2): Rt = 2.63 分; MS (ESIpos): m/z = 583 [M+H]+.
【0116】
実施例8
(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)酢酸(立体異性体3)
【化41】

実施例5の化合物14mg(0.023mmol)を、ジオキサン2mlに溶解し、濃塩酸0.2mlを添加する。反応混合物を60℃で16時間撹拌する。後処理に、水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。標的化合物5mg(理論値の39%)を得る。
LC/MS (方法 2): Rt = 2.60 分; MS (ESIpos): m/z = 583 [M+H]+.
【0117】
実施例9
(1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−イル)酢酸(立体異性体2)
【化42】

実施例6の化合物10mg(0.016mmol)を、ジオキサン1mlに溶解し、濃塩酸0.1mlを添加する。反応混合物を60℃で16時間撹拌する。後処理に、水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。標的化合物3mg(理論値の30%)を得る。
LC/MS (方法 3): Rt = 2.45 分; MS (ESIpos): m/z = 583 [M+H]+.
【0118】
実施例10
エチル1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボキシレート(立体異性体4)
【化43】

22mgの実施例3の立体異性体3−4(0.048mmol)を、THF1.5mlに溶解し、PyBOP33mg(0.062mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン8mg(0.062mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチルピペリジン−4−カルボキシレート13mg(0.062mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物20mg(理論値の69%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.26 (t, J = 7.2, 3H), 1.36 (d, J = 7.0, 3H), 1.42-1.94 (m, 4H), 1.51 (d, J = 7.0, 3H), 2.41-2.51 (m, 1H), 2.75-3.23 (m, 4H), 3.44 (s, 3H), 3.46 (sept, J = 7.0, 1H), 3.81-3.87 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 4.14 (q, J = 7.2, 2H), 4.32-4.46 (m, 1H), 5.32 (dd, J = 13.0, 7.0, 1H), 5.86 (s, 1H), 6.71-6.73 (m, 1H), 6.91-6.96 (m, 1H), 7.14-7.19 (m, 1H), 7.24-7.35 (m, 3H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.90 分; MS (ESIpos): m/z = 597 [M+H]+.
【0119】
実施例11
エチル1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボキシレート(立体異性体3)
【化44】

25mgの実施例3の立体異性体3−3(0.055mmol)を、THF1.5mlに溶解し、PyBOP37mg(0.071mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン9mg(0.071mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチルピペリジン−4−カルボキシレート11mg(0.071mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物をこれ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物21mg(理論値の65%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, J = 7.2, 3H), 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.48 (d, J = 7.0, 3H), 1.52-1.95 (m, 4H), 2.43-2.54 (m, 1H), 2.75-3.13 (m, 4H), 3.46 (sept, J = 6.8, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.76-3.85 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.10-4.18 (m, 2H), 4.36-4.45 (m, 1H), 5.65-5.71 (m, 1H), 6.05 (s, 1H), 6.73-6.74 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 8.1, 1.3, 1H), 6.95-7.01 (m, 1H), 7.06-7.12 (m, 1H), 7.27-7.36 (m, 2H).
LC/MS (方法 4): Rt = 3.10 分; MS (ESIpos): m/z = 597 [M+H]+.
【0120】
実施例12
エチル1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボキシレート(立体異性体2)
【化45】

26mgの実施例3の立体異性体3−2(0.057mmol)を、THF1.9mlに溶解し、PyBOP38mg(0.074mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン10mg(0.074mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。エチルピペリジン−4−カルボキシレート12mg(0.074mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物21mg(理論値の65%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.25 (t, J = 7.2, 3H), 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.48 (d, J = 7.0, 3H), 1.52-1.95 (m, 4H), 2.43-2.54 (m, 1H), 2.75-3.13 (m, 4H), 3.46 (sept, J = 6.8, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.76-3.85 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.10-4.18 (m, 2H), 4.36-4.45 (m, 1H), 5.65-5.71 (m, 1H), 6.05 (s, 1H), 6.73-6.74 (m, 1H), 6.91 (dd, J = 8.1, 1.3, 1H), 6.95-7.01 (m, 1H), 7.06-7.12 (m, 1H), 7.27-7.36 (m, 2H).
LC/MS (方法 2): Rt = 3.02 分; MS (ESIpos): m/z = 597 [M+H]+.
【0121】
実施例13
1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボン酸(立体異性体4)
【化46】

実施例10の化合物16mg(0.027mmol)を、ジオキサン2mlに溶解し、濃塩酸0.2mlを添加する。反応混合物を60℃で16時間撹拌する。後処理に、水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。標的化合物12mg(理論値の75%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.36 (d, J = 6.9, 3H), 1.48-1.98 (m, 4H), 1.51 (d, J = 6.9, 3H), 2.49-2.58 (m, 1H), 2.79-3.02 (m, 2H), 3.07-3.20 (m, 2H), 3.44 (s, 3H), 3.46 (sept, J = 6.9, 1H), 3.84-3.89 (m, 4H), 4.32-4.46 (m, 1H), 5.23-5.37 (m, 1H), 5.87 (s, 1H), 6.71-6.73 (m, 1H), 6.91-6.95 (m, 1H), 7.14-7.18 (m, 1H), 7.24-7.35 (m, 3H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.59 分; MS (ESIpos): m/z = 569 [M+H]+.
【0122】
実施例14
1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−カルボン酸(立体異性体3)
【化47】

実施例11の化合物20mg(0.033mmol)を、ジオキサン2mlに溶解し、濃塩酸0.2mlを添加する。反応混合物を60℃で16時間撹拌する。後処理に、水を添加し、混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。得られる残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。標的化合物12mg(理論値の64%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.48 (d, J = 6.8, 3H), 1.52-1.99 (m, 4H), 2.50-2.62 (m, 1H), 2.77-3.17 (m, 4H), 3.46 (sept, J = 7.0, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.79-3.86 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.36-4.46 (m, 1H), 5.65-5.71 (m, 1H), 6.05 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.90-7.00 (m, 2H), 7.07-7.12 (m, 1H), 7.24-7.35 (m, 2H).
LC/MS (方法 4): Rt = 2.61 分; MS (ESIpos): m/z = 569 [M+H]+.
【0123】
実施例15
1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−オール(立体異性体3)
【化48】

25mgの実施例3の立体異性体3−3(0.055mmol)を、THF1.5mlに溶解し、PyBOP37mg(0.071mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン9mg(0.071mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。4−ヒドロキシピペリジン7mg(0.071mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物15mg(理論値の49%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.39-1.49 (m, 9H), 1.77-1.88 (m, 2H), 2.91-3.06 (m, 2H), 3.12-3.23 (m, 2H), 3.43-3.50 (m, 1H), 3.63-3.67 (m, 3H), 3.68-3.77 (m, 1H), 3.86-3.90 (m, 4H), 4.05-4.15 (m, 1H), 5.63-5.69 (m, 1H), 6.05-6.09 (m, 1H), 6.74-6.77 (m, 1H), 6.89-6.92 (m, 1H), 6.95-6.98 (m, 1H), 7.06-7.10 (m, 1H), 7.25-7.36 (m, 2H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.37 分; MS (ESIpos): m/z = 541 [M+H]+.
【0124】
実施例16
1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピペリジン−4−オール(立体異性体2)
【化49】

20mgの実施例3の立体異性体3−2(0.044mmol)を、THF3mlに溶解し、PyBOP30mg(0.057mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン7mg(0.057mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。4−ヒドロキシピペリジン6mg(0.057mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物14mg(理論値の58%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.34 (d, J = 6.8, 3H), 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.44-1.53 (m, 2H), 1.69-1.81 (m, 2H), 2.55 (s, 1H), 2.84-3.00 (m, 2H), 3.04-3.16 (m, 2H), 3.39 (sept, J = 6.9, 1H), 3.58 (s, 3H), 3.61-3.69 (m, 1H), 3.79-3.84 (m, 4H), 3.98-4.07 (m, 1H), 5.58-5.61 (m, 1H), 5.98-6.02 (m, 1H), 6.67-6.69 (m, 1H), 6.82-6.85 (m, 1H), 6.88-6.91 (m, 1H), 6.99-7.04 (m, 1H), 7.18-7.29 (m, 2H).
LC/MS (方法 2): Rt = 2.50 分; MS (ESIpos): m/z = 541 [M+H]+.
【0125】
実施例17
8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール(立体異性体2)
【化50】

21mgの実施例3の立体異性体3−2(0.046mmol)を、THF3mlに溶解し、PyBOP31mg(0.060mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン8mg(0.060mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。モルホリン5mg(0.060mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物14mg(理論値の58%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.40 (d, J = 6.8, 3H), 1.48 (d, J = 6.8, 3H), 2.90-3.02 (m, 2H), 3.41-3.50 (m, 3H), 3.55-3.66 (m, 9H), 3.88 (s, 3H), 5.68 (dd, J = 8.1, 4.5, 1H), 6.05 (s, 1H), 6.74 (d, J = 2.1, 1H), 6.90-6.93 (m, 1H), 6.96-6.99 (m, 1H), 7.08-7.12 (m, 1H), 7.28 (d, J = 2.1, 1H), 7.35 (d, J = 8.3, 1H).
LC/MS (方法 4): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 527 [M+H]+.
【0126】
実施例18
(3R)−1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピロリジン−3−オール(立体異性体3)
【化51】

25mgの実施例3の立体異性体3−3(0.055mmol)を、THF1.5mlに溶解し、PyBOP37mg(0.071mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン9mg(0.071mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。R−3−ピロリジノール6mg(0.071mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物14mg(理論値の49%)を得る。
LC/MS (方法 4): Rt = 2.60 分; MS (ESIpos): m/z = 527 [M+H]+.
【0127】
実施例19
(3R)−1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピロリジン−3−オール(立体異性体4)
【化52】

22mgの実施例3の立体異性体3−4(0.048mmol)を、THF1.5mlに溶解し、PyBOP33mg(0.062mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン8mg(0.062mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。R−3−ピロリジノール6mg(0.062mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物8mg(理論値の32%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.36 (d, J = 6.8, 3H), 1.51 (d, J = 6.8, 3H), 1.83-2.11 (m, 2H), 2.95-3.23 (m, 2H), 3.39-3.68 (m, 8H), 3.87 (s, 3H), 4.31-4.47 (m, 1H), 5.29-5.37 (m, 1H), 5.87-5.88 (m, 1H), 6.70-6.72 (m, 1H), 6.92-6.96 (m, 1H), 7.13-7.34 (m, 4H).
LC/MS (方法 3): Rt = 2.33 分; MS (ESIpos): m/z = 527 [M+H]+.
【0128】
実施例20
(3RS)−1−{[8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール−4−イル]アセチル}ピロリジン−3−オール(立体異性体4)
【化53】

52mgの実施例3の立体異性体3−4(0.113mmol)を、THF4mlに溶解し、PyBOP76mg(0.146mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン19mg(0.146mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。rac−3−ピロリジノール13mg(0.146mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物38mg(理論値の62%)を得る。
LC/MS (方法 3): Rt = 2.32 分; MS (ESIpos): m/z = 527 [M+H]+.
【0129】
実施例21
4−[2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−4H,6H−[2]ベンゾキセピノ[4,5−c]イソキサゾール(立体異性体2)
【化54】

20mgの実施例3の立体異性体3−2(0.044mmol)を、THF3mlに溶解し、PyBOP30mg(0.057mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン7mg(0.057mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。1−アセチルピペリジン7mg(0.057mmol)を添加し、反応溶液を室温で16時間撹拌する。得られる粗生成物を、これ以上後処理せずに、分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。標的化合物13mg(理論値の52%)を得る。
LC/MS (方法 4): Rt = 2.57 分; MS (ESIpos): m/z = 568 [M+H]+.
【0130】
B. 薬理活性の評価
本発明による化合物の薬理効果は、以下のアッセイで示すことができる:
1. スクアレンシンターゼ阻害アッセイ
a)ミクロソームの入手:
ラット肝臓由来のミクロソームを、活性アッセイ用のスクアレンシンターゼ供給源として調製する。ラットの肝臓を粉砕し、2倍の体積のホモジナイゼーションバッファー[100mM Tris/HCl、0.2Mスクロース、30mMニコチンアミド、14mMフッ化ナトリウム、5mMジチオスレイトール、5mM MgCl、プロテアーゼ阻害剤カクテル (Sigma より、Taufkirchen)、pH7.5]中でホモジナイズする(加圧型細胞破砕装置)。次いで、10000g遠心分離の上清を、100500gで遠心分離する。ペレット状のミクロソームをホモジナイゼーションバッファーに取り、10mg/mlタンパク質に希釈し、−80℃で保存する。
【0131】
b)スクアレンシンターゼ活性アッセイ:
ミクロソームのスクアレンシンターゼによるtrans,trans−[1−H]−ファルネシルピロリン酸の[H]−スクアレンへの変換は、以下の反応条件下で行う:ラット肝臓ミクロソーム(タンパク質含有量65μg/ml)、1mM NADPH、6mMグルタチオン、10%PBS、10mMフッ化ナトリウム、5mM MgCl、pH7.5。各場合で試験しようとする化合物を、DMSOに溶解し、所定の濃度でアッセイに添加する。ファルネシルピロリン酸(最終濃度5μM)および20kBq/mlのtrans,trans−[1−H]−ファルネシルピロリン酸の添加により反応を開始し、37℃で10分間インキュベートする。続いて、反応溶液100μlを、クロロホルム200μl、メタノール200μlおよび5N水酸化ナトリウム溶液60μlと混合し、2mMスクアレンに調節する。激しい混合および続く相分離の後、有機相のアリコートをシンチレーション液(Packard Ultima Gold LSC Cocktail)に移し、有機的に抽出可能な放射性化合物を定量する(LS 6500, Beckman より)。放射性シグナルの減少は、各場合で用いた化合物によるスクアレンシンターゼの阻害に直接的に比例する。
例示的実施態様は、このアッセイで50nMないし20μMの範囲のIC50値を示す。
【0132】
2. マウス肝臓におけるスクアレンおよびコレステロール合成の阻害
オスのNMRIマウスを、代謝ケージ中、通常の齧歯類用餌(NAFAG3883)で飼育する。明/暗サイクルは、06.00から18.00まで、および18.00から06.00までの12時間からなる。これらの実験では、体重25gないし40gの動物を8−10匹の動物群で用いる。餌および飲料水は、動物にとって自由に入手可能である。
【0133】
物質は、それらの溶解度によって、水性トラガカント懸濁液(0.5%)または Solutol HS15/塩水溶液(20:80)中、胃管栄養法により、10ml/体重kgの量で経口投与するか、または、Solutol HS15/塩水溶液(20:80)またはDMSO/塩水溶液(20:80)中、皮下注射する。対応する対照群は、活性物質を含まない対応する製剤化剤のみを受容する。物質投与の1または2時間後、動物は放射性標識14C−メバロノラクトン(mevalonolactone)の腹腔内注射を受ける。14C−メバロノラクトン注射の1または2時間後、即ち物質投与の2−4時間後、動物を殺し、腹腔を開き、肝臓組織を取り出す。取り出した直後に組織を表面上で乾燥させ、秤量し、イソプロパノール中でホモジナイズする。さらなる処理および合成されたスクアレンおよびその二次生成物の抽出は、H. Bischoff et al. (Atherosclerosis 1997, 135) により改変された、I. Duncan et al. (J. Chromatogr. 1979, 162) の方法により行う。
【0134】
抽出した脂質画分を、イソプロパノール1mlに取り、シンチレーションバイアルに移し、Ultima Gold(登録商標)シンチレーション液 (Packard) 15mlを加え、液体シンチレーションカウンター (Beckmann Coulter LS 6500)でカウントする。
【0135】
脂質画分の14Cの比活性(dpm/肝臓組織g)を計算した後、活性物質で処置した動物の放射性標識14Cスクアレンおよび14C二次代謝物の合成速度を、製剤化剤のみで処置した対照動物の放射性標識14Cスクアレンおよび14C二次代謝物の合成速度と比較する。対照動物の合成速度(=100%)と比較して、30%までの合成速度の減少を、Student のt検定による統計的評価がp値<0.05になるならば、薬理的に活性であるとみなす。
【0136】
3. ラット肝臓におけるスクアレンおよびコレステロール合成の阻害
オスの Wistar ラットを、Makrolon(登録商標)タイプ III ケージ中、通常の齧歯類用餌(NAFAG3883)で飼育する。明/暗サイクルは、06.00から18.00まで、および18.00から06.00までの12時間からなる。これらの実験では、体重150gないし200gの動物を6−8匹の動物群で用いる。餌を実験開始18−22時間前に動物から引き上げる;飲料水は、実験終了まで自由に入手可能である。
【0137】
これらの物質を、それらの溶解度によって、水性トラガカント懸濁液(0.5%)または Solutol HS15/塩水溶液(20:80)中、胃管栄養法により、10ml/体重kgの量で経口投与するか、または、Solutol HS15/塩水溶液(20:80)またはDMSO/塩水溶液(20:80)中、皮下注射する。対応する対照群は、活性物質を含まない対応する製剤化剤のみを受容する。物質投与の1または2時間後、動物は放射性標識14C−メバロノラクトンの腹腔内注射を受ける。14C−メバロノラクトン注射の1または2時間後、即ち物質投与の2−4時間後、動物を殺し、腹腔を開き、肝臓組織を取り出す。取り出した直後に組織を表面上で乾燥させ、秤量し、イソプロパノール中でホモジナイズする。さらなる処理および合成されたスクアレンおよびその二次生成物の抽出は、H. Bischoff et al. (Atherosclerosis 1997, 135) により改変された、I. Duncan et al. (J. Chromatogr. 1979, 162) の方法により行う。
【0138】
抽出した脂質画分を、イソプロパノール1mlに取り、シンチレーションバイアルに移し、Ultima Gold(登録商標)シンチレーション液 (Packard) 15mlを加え、液体シンチレーションカウンター (Beckmann Coulter LS 6500)でカウントする。
【0139】
脂質画分の14Cの比活性(dpm/肝臓組織g)を計算した後、活性物質で処置した動物の放射性標識14Cスクアレンおよび14C二次代謝物の合成速度を、製剤化剤のみで処置した対照動物の放射性標識14Cスクアレンおよび14C二次代謝物の合成速度と比較する。対照動物の合成速度(=100%)と比較して、30%までの合成速度の減少を、Student のt検定による統計的評価がp値<0.05になるならば、薬理的に活性であるとみなす。
【0140】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、次の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびスターチの混合物をPVPの5%強度水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0141】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA)400mgおよび水99g。
経口懸濁液10mlは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0142】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで撹拌処理を継続する。
【0143】
i.v.溶液:
本発明による化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に、飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、滅菌されたパイロジェンを含まない注射容器を満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、(C−C10)−アリールまたは5員ないし10員のヘテロアリールであるか{これらは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノの群から選択される3個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}、
または、式
【化2】

の基であり、
nは、0、1、2または3の数であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニルであるか{これらの各々は、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
は、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであるか(これらの各々は、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって4員ないし8員の複素環を形成し、それは、N−R、O、S、SOまたはSOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、フッ素、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルである}]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、フェニル、ナフチルまたはピリジルであり{これらの各々は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノの群から選択される2個までの同一かまたは異なる置換基により置換されていてもよい}、
nが、0または1の数であり、
およびRが、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシであり、
が、(C−C)−アルキルであるか{これは、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、ヒドロキシ、アミノ、(C−C)−アルコキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
が、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであるか(これらの各々は、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員ないし7員の複素環を形成し、それは、N−R、OまたはSの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルである}、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Aが、1個または2個の同一かまたは異なるフッ素、塩素、臭素、メチル、メトキシ、エトキシまたはジメチルアミノにより置換されているフェニルであり、
nが、0の数であり、
およびRが、相互に独立して、水素または塩素であり、
が、(C−C)−アルキルであるか{これは、(C−C)−シクロアルキルにより置換されていてもよい}、または、(C−C)−シクロアルキルであり
{ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、各々、ヒドロキシまたは(C−C)−アシルオキシにより置換されていてもよい}、
そして、
が、式−ORまたは−NRの基である
{式中、
は、水素または(C−C)−アルキルであり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルであるか(これは、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよい)、
または、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員または6員の複素環を形成し、それは、N−RおよびOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、(C−C)−アルキル、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルの群から選択される置換基により置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群から選択される置換基により置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アシルである}、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
式中、
Aが、1個または2個の同一かまたは異なるフッ素、塩素、メチル、メトキシまたはエトキシにより置換されているフェニルであり、
nが、0の数であり、
およびRが、相互に独立して、水素または塩素であり、
が(C−C)−アルキルであり、
そして、
が、ヒドロキシまたは式−NRの基である
{式中、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一体となって5員または6員の複素環を形成し、それは、N−RおよびOの群からさらなる環のヘテロ原子を含んでもよく、ヒドロキシ、オキソ、(C−C)−アルキル、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよく(ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシルまたは(C−C)−アルコキシカルボニルにより置換されていてもよい)、
そして、
は、水素、メチルまたはアセチルである}、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(VIII)
【化3】

(式中、R、R、RおよびAは、各々請求項1ないし請求項4に記載の意味を有し、そして、
Tは(C−C)−アルキルである)
の化合物を、不活性溶媒中、水素化ホウ素または水素化アルミニウムを利用して、式(IX)
【化4】

(式中、R、R、R、AおよびTは、各々上記の意味を有する)
の化合物に還元し、続いて、後者を、不活性溶媒中、塩基の存在下で環化し、式(I−A)
【化5】

(式中、R、R、R、AおよびTは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、酸性条件下で加水分解し、式(I−B)
【化6】

(式中、R、R、RおよびAは、各々上記の意味を有する)
のカルボン酸を得、式(I−B)の化合物を、必要に応じて、鎖延長のために文献から知られている方法により、式(I−C)
【化7】

(式中、R、R、R、Aおよびnは、各々請求項1ないし請求項4に記載の意味を有するが、nは0の数ではない)
の同族カルボン酸に変換し、次いで、得られる式(I−B)または(I−C)の化合物を、カルボン酸のエステル化またはアミド化のために文献から知られている方法により、式(X)または(XI)
【化8】

(式中、R、RおよびRは、各々請求項1ないし請求項4に記載の意味を有するが、Rは水素ではない)
の化合物を用いて式(I)の化合物に変換し、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、立体異性的に純粋な異性体に分離し、かつ/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
異脂肪血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
コレステロール低下性スタチン化合物、コレステロール吸収阻害剤、HDL上昇、トリグリセリド低下および/またはアポリポタンパク質B低下性物質、酸化阻害剤および抗炎症活性を有する化合物からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む、医薬。
【請求項9】
不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む、医薬。
【請求項10】
異脂肪血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および/または予防のための、請求項8または請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬を使用することによる、ヒトおよび動物の異脂肪血症、動脈硬化症、再狭窄および虚血の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2009−542590(P2009−542590A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516987(P2009−516987)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005711
【国際公開番号】WO2008/003424
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】