説明

置換ベンゾジチオフェン類及びベンゾジセレノフェン類

本発明は、アルキニル置換ベンゾジチオフェン類及びベンゾジセレノフェン類、特に光学、電気光学または電子デバイス中の半導体または電荷輸送材料としてのその使用、及びこれらの材料を含むそのようなデバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は新規置換ベンゾジチオフェン類及びベンゾジセレノフェン類に関する。本発明はさらに、特に光学、電気光学または電子デバイスにおける半導体または電荷輸送材料としてのそれらの使用に関する。本発明はさらに、これらの新規材料を含むそのようなデバイスに関する。
背景技術及び従来の技術
非置換ベンゾジチオフェン及びベンゾジセレノフェンをベースとする分子(1)は、有機薄層半導体としての使用が知見されている(図1、Takimiyaら、JACS 2004年、126巻、5084頁)。
【0002】
【化1】

【0003】
化合物1は、1上に可溶性置換基が無いため、非常に溶解性が低く、昇華によって精製する。トランジスタ用途用の1の薄層は、真空蒸着によっても製造した。低コスト、大面積蒸着法の開発を促進するため、溶液加工により有機半導体薄層を形成することが非常に望ましい。Takimiyaは、ベンゾジチオフェン核にフェニル以外のアリール基を結合させるための方法については記載していない。
【0004】
1の薄層はx-線回折で分析すると、エッジ−フェイスとフェイス−フェイス分子相互作用の組み合わせをもつ、杉綾型のモチーフに密集していることが知見された。このエッジ−フェイス充填は分子の重なりが少ないと予想され、有機材料では、電荷は一つの分子から隣接する分子へ分子軌道の相互作用によるホッピング機構(hopping mechanism)によって移動するので、材料の電荷キャリヤ移動性が低下してしまうかもしれない。
【0005】
既にAnthony及び共同研究者らは、分子の周辺に嵩高い基を導入することによってペンタセン分子(杉綾型のモチーフにも充填されている)の充填を促進させる方法について示しており、これはエッジ−フェース充填を妨げて、分子がフェース−フェース充填モチーフを選択するように促進する(Adv.Mater 2003年、15巻、2009頁)。Anthony及び共同研究者らはさらに、ペンタセン様分子を並べるためにこのアプローチを採用し、そのうちの幾つかは、溶液から製造する際に良好な電荷キャリヤ移動性を示す(JACS、2005年、127巻、4986頁)。しかしながら、置換ペンタセン類は、溶液中でも固体状態でも、悪い光安定性(photostability)を示し、4+4二量化及び光酸化を受ける(Coppo及びYeates、Adv.Mater.2005年、p3001;Maliakalら、Chem.Mater.2004年、16巻、4980頁参照)。
【0006】
本発明の目的は、合成が容易で、高い電荷移動性と優れた加工性とをもつ、半導体または電荷輸送材料として使用するための新規有機材料を提供することである。この材料は、半導体デバイスで使用するために薄く、且つ大面積のフィルムを容易に加工できなければならない。特にこの材料は酸化的に安定であるべきであるが、従来技術から公知の材料の所望の特性を保持するか、さらに改良すべきである。本発明の別の目的は、半導体デバイスの製造においてより容易に加工可能であり、安定で且つ大スケールでも容易に合成が可能である、新規且つ改良ベンゾジチオフェン及びベンゾジセレノフェン誘導体を提供することであった。欧州特許第EP1 524 286A1号はベンゾジチオフェン化合物について開示するが、本発明に従った化合物は開示していない。
【0007】
上記目的は、本発明に従った化合物を提供することにより達成し得ることが知見された。
発明の概要
本発明は以下の式:
【0008】
【化2】

【0009】
の化合物に関する{式中、
Xは、SまたはSeであり、
Rはそれぞれの場合において互いに独立してR3または-SiR’R”R”’であり、
Ar1及びAr2は互いに独立して、一つ以上のR3により場合により置換されるアリール若しくはヘテロアリール基であるか、または-CX1=CX2-若しくは-C≡C-を示す、
a及びbは互いに独立して1、2、3、4または5であり、
R1、R2及びR3は互いに独立してH、ハロゲンまたは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I若しくはCNにより一置換若しくは多置換されていてもよい、1〜40個のC原子をもつ直鎖、分岐または環式アルキルであり、一つ以上の非隣接CH2基は、O及び/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-SiR0R00-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-若しくは-C≡C-により置き換えられることも可能であり、または場合により置換されたアリール若しくはヘテロアリール、またはP-Sp-である、
Pは、重合可能な基または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
X1及びX2は、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
R0及びR00は、互いに独立してHまたは、1〜12個のC原子をもつアルキルであり、及び
R’、R”及びR”’は、H、直鎖、分岐または環式C1-C40-アルキルまたはC1-C40-アルコキシ、C6-C40-アリール、C6-C40-アリールアルキルまたはC6-C40-アリールアルキルオキシから選択される同一または異なる基であり、ここでこれら全ての基は場合により一つ以上のハロゲン原子により置換されている}。
【0010】
本発明はさらに、少なくとも一つの重合可能な基を含む式Iの一種以上の化合物と、場合によりさらに一つ以上の重合可能な化合物とを含む、重合可能なメソゲンまたは液晶材料に関する。
【0011】
本発明はさらに、その液晶相に整列して巨視的に均一配向させ、重合または架橋させてその配向状態を固定する、本発明に従った重合可能な液晶材料から得ることが可能な異方性ポリマーフィルムに関する。
【0012】
本発明はさらに、電荷キャリヤ材料及び有機半導体としての式Iの化合物の使用に関する。
本発明はさらに、式Iの一種以上の化合物、一種以上の溶媒、及び場合により一種以上の有機バインダー、好ましくは有機重合バインダー若しくはその前駆体とを含む配合物(formulation)に関する。
【0013】
本発明はさらに、式Iの一種以上の化合物、一種以上の有機ポリマー若しくは有機ポリマーバインダー、またはその前駆体と、場合により一種以上の溶媒とを含む配合物に関する。
【0014】
本発明はさらに、上記及び以下に記載の化合物、材料、ポリマーまたは配合物を含む有機半導体層に関する。
本発明はさらに、上記及び以下に記載の有機半導体層を製造するためのプロセスであって、以下の段階:
(i)式Iの一種以上の化合物、一種以上の有機バインダーまたはその前駆体と、場合により一種以上の溶媒とを含む配合物の液相を基板上に付着(deposit)させる;
(ii)前記液相から、有機半導体層である固体層を形成する;
(iii)場合により基板から前記層を取り外す、
各段階を含む、前記プロセスに関する。
【0015】
本発明はさらに、電子、光学または電気光学部品またはデバイスにおける、上記または下記の化合物、材料、ポリマー、配合物及び層の使用に関する。
本発明はさらに、上記または下記の一種以上の化合物、材料、ポリマーまたは配合物を含む電子、光学または電子光学部品またはデバイスに関する。
【0016】
前記電子、光学または電気光学部品またはデバイスとしては、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄層トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)の部品、無線自動識別(radio frequency identification)(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、電界発光ディスプレイ、平面パネルディスプレイ、バックライト、光検出器、センサ、論理回路、記憶素子、キャパシタ、太陽電池(PV)、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板若しくはパターン、光伝導体または電子写真用素子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明はさらに、本発明に従ったFETまたはRFIDタグを含むセキュリティマーキングまたはデバイスに関する。
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、以下の構造(1):
【0018】
【化3】

【0019】
をもつベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン、以後ベンゾジチオフェンまたはBDTとして参照するもの、または上記構造(式中、S原子はSe原子で置き換わっている)をもつベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン、以後BDSとして参照するものをベースとする。
【0020】
本発明の化合物は、溶液から製造すると、優れた溶解性及び高い電荷キャリヤ移動度を示す。BDT/BDS核の4,8-位置に嵩高い置換基を導入すると、溶解性の材料が利用可能になる。嵩高い置換基の導入することによるさらなる利益は、材料の結晶充填(crystal packing)が、エッジ−フェース相互作用が嫌われて、フェース−フェース充填が好まれるように変更されるということである。さらに、BDT/BDS核は光化学二量化を受けないので、ペンタセン誘導体よりも光酸化に対してずっと高い安定性を示す。
【0021】
芳香族基はBDT/BDS核の2,6-位置に容易に導入される。これによって、分子の電気的特性を調節する簡易経路が得られる。チオフェンまたはチエノ[3,2-b]チオフェンなどの富電子部分を導入することにより、分子のイオン化ポテンシャルを下げることができるが、ピリジンなどの電子の不足している芳香族は、分子のイオン化ポテンシャル上昇させる。
【0022】
式Iにおいて、R’、R”及びR”’は、好ましくはC1-C4-アルキル、最も好ましくはメチル、エチル、n-プロピル若しくはイソプロピル、またはフェニルから選択され、ここでこれら全ての基は、場合により一つ以上のハロゲン原子で置換されている。好ましくはR’、R”及びR”’は、それぞれ独立して、場合により置換されたC1-C10-アルキル、より好ましくはC1-C4-アルキル、最も好ましくはC1-C3-アルキル、たとえばイソプロピル及び場合により置換されたC6-C10-アリール、好ましくはフェニルから選択される。さらに好ましいものは式:-SiR’R”’{式中、R”’は、好ましくは1〜8個のC原子をもつ、Si原子と一緒になって環式シリルアルキル基を形成する}のシリル基である。
【0023】
シリル基の好ましい態様では、R’、R”及びR”’は、同一基であり、たとえば、トリイソプロピルシリルのような、場合により置換された同一のアルキル基である。非常に好ましくは、R’、R”及びR”’は、同一の、場合により置換されたC1-C10-、より好ましくはC1-C4-、最も好ましくはC1-C3-アルキル基である。この場合において好ましいアルキル基は、イソプロピルである。
【0024】
上記式:−SiR’R”R”’のシリル基は、C1-C40-カルビルまたはヒドロカルビル基に関する好ましい任意置換基である。
好ましいR’、R”及びR”’基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、ジメチルエチルシリル、ジエチルメチルシリル、ジメチルプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジプロピルメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、ジプロピルエチルシリル、ジイソプロピルエチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメトキシリル、トリエトキシシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、ジフェニルエチルシリル、ジエチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニルシリルなど(ここで前記アルキル、アリールまたはアルコキシ基は場合により置換されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
場合により、デバイスを製造し易くするために一般的な有機溶媒中での式Iの半導体化合物の溶解性を制御するのが望ましい。これは、溶液コーティング、たとえば半導体層上の誘電材料が半導体を溶解する傾向がある場合に、FETを製造する際に有利であるかもしれない。また、デバイスが一度形成すると、あまり溶解性ではない半導体は、有機層にわたって「流出する(bleed)」傾向が少ないかもしれない。上記式Iの半導体化合物の溶解性を制御する方法の一態様において、化合物は、シリル基-SiR’R”R”’{式中、R’、R”及びR”’の少なくとも一つは場合により置換されたアリール、好ましくはフェニル基を含む}を含む。かくして、R’、R”及びR”’の少なくとも一つは、場合により置換されたC6-C18-アリール、好ましくはフェニル基、場合により置換されたC6-C18-アリールオキシ、好ましくはフェノキシ基、場合により置換されたC6-C20-アリールアルキル、たとえばベンジル基、または場合により置換されたC6-C20-アリールアルキルオキシ、たとえばベンジルオキシ基であってもよい。そのような場合、R’、R”及びR”’の中でもしあれば、残っている基は、場合により置換されている好ましくはC1-C10-、より好ましくはC1-C4-アルキル基である。
【0026】
さらに好ましいものは式Iの化合物であり、式中、
XはSであり、
XはSeであり、
Ar1及び/またはAr2は、その全てが場合により置換されているフェニル、ナフタレン-2-イル、ピリジン-4-イル、チオフェン-2-イル、セレノフェン-2-イル、ビフェニル-1-イル、チエノ[2,3b]チオフェン-2-イル、ベンゾ(b)チオフェン-2-イル、または−CH=CH−若しくは−C≡C−から選択される、
(Ar1a及び(Ar2bは、-CH=CH-Arまたは-C≡C-Arであり、Arは、そのすべては場合により置換されているフェニル、ナフタレン-2-イル、ピリジン-4-イル、チオフェン-2-イル、セレノフェン-2-イル、ビフェニル-1-イル、チエノ[2,3b]チオフェン-2-イル、ベンゾ(b)チオフェン-2-イルから選択される、
R1、R2及びR3は、一つ以上のフッ素原子で場合により置換されているC1-C20-アルキル、C1-C20-アルケニル、C1-C20-アルキニル、C1-C20-チオアルキル、C1-C20-シリル、C1-C20-エステル、C1-C20-アミノ、C1-C20-フルオロアルキル及び、場合により置換されたアリール若しくはヘテロアリール、非常に好ましくはC1-C20-アルキルまたはC1-C20-フルオロアルキルから選択され、
R1及びR2の一方または両方ともHを示し、
Rはアルキルまたはシクロアルキルであり、
Rは、-SiR’R”R”’であり、
a=b=1であり、
a=b=2であり、
a=b=3であり、
Ar1及びAr2は一つ以上のR3により置換されており、
Ar1及びAr2は、P-Sp-を示す少なくとも一つ、好ましくは一つの基R3により置換されている。
【0027】
Ar1及びAr2の一方がアリールまたはヘテロアリールである場合、これは好ましくは25個以下のC原子の一-、二-または三環式芳香族または複素環式芳香族基であり、ここで前記環は融合していてもよく、複素環式芳香族基は、好ましくはN、O及びSから選択される、少なくとも一つのヘテロ環原子を含む。これは場合によりF、Cl、Br、I、CN及び、非置換、F、Cl、Br、I、-CN若しくは-OHにより一置換若しくは多置換されている、1〜20個のC原子をもつ直鎖、分岐または環式アルキルで置換されており、ここで一つ以上の非隣接CH2基は場合により、O及び/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-SiR0R00-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられる。
【0028】
好ましいアリール及びヘテロアリール基は、フェニルから選択され、この場合、さらに一つ以上のCH基はN、またはナフタレン、アルキルフルオレン若しくはオキサゾールによって置き換えられていてもよく、ここでこれら全ての基は場合によりLで一置換または多置換されており、ここでLはF、Cl、Brまたは、1〜12C原子をもつアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ若しくはアルコキシカルボニル基であり、ここで一つ以上のH原子は場合によりFまたはClにより置換されている。さらに好ましい基は、一つ以上のハロゲン、特にフッ素原子により置換されているピリジン、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チオノチオフェン及びジチエノチオフェンである。
【0029】
特に好ましいアリール及びヘテロアリール基は、その全てが上記定義のように非置換、Lで一置換または多置換されている、フェニル、フッ素化フェニル、ピリジン、ピリミジン、ビフェニル、ナフタレン、フッ素化チオフェン、セレノフェン、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン、チエノ[3,2-b]チオフェン、チアゾール及びオキサゾールである。
【0030】
R1、R2及びR3がアルキルまたはアルコキシ基、即ち、末端CH2基が-O-により置き換わっている場合、これは直鎖であっても分岐であってもよい。これは好ましくは直鎖であり、2〜8個の炭素原子を有し、従ってエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、またはオクトキシであり、さらにたとえばメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0031】
さらに好ましい基R1-3は、シクロヘキシル、アダマンチル及びビシクロ[2.2.2]オクタンのような環式アルキル基である。
フルオロアルキルまたはフッ素化アルキルまたはアルコキシは、好ましくは直鎖(O)CiF2i+1であり、ここでiは1〜20の整数であり、特に1〜15であり、非常に好ましくは、(O)CF3、(O)C2F5、(O)C3F7、(O)C4F9、(O)C5F11、(O)C6F13、(O)C7F15、または(O)C8F17であり、最も好ましくは(O)C6F13である。
【0032】
CX1=CX2は好ましくは、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CN)-、または-C(CN)=CH-である。
ハロゲンは好ましくは、F、Br、ClまたはIである。
【0033】
ヘテロ原子は好ましくは、N、O及びSから選択される。
重合可能なまたは反応性基Pは、好ましくは、CH2=CW1-COO-、
【0034】
【化4】

【0035】
CH2=CW2-(O)k1-、CH3-CH=CH-O-、(CH2=CH)2CH-OCO-、(CH2=CH)2CH-O-、(CH2=CH-CH2)CH-OCO-、(CH2=CH-CH2)2N-、HO-CW2W3-、HC-CW2W3-、HW2N-、HO-CW2W3-NH-、CH2=CW1-CO-NH-、CH2=CH-(COO)k1-Phe-(O)k2-、Phe-CH=CH-、HOOC-、OCN-及びW4W5W6Si-から選択され、ここでW1はH、Cl、CN、フェニルまたは、1〜5C原子をもつアルキルであり、特にH、ClまたはCH3であり、W2及びW3は互いに独立して、Hまたは1〜5C原子をもつアルキルであり、特にメチル、エチル若しくはn-プロピルであり、W4、W5及びW6は互いに独立して、Cl、1〜5C原子をもつオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4-フェニレンであり、k1及びk2は互いに独立して0または1である。
【0036】
特に好ましい基Pは、CH2=CH-COO-、CH2=C(CH3)-COO-、CH2=CH-、CH2=CH-O-、(CH2=CH)2CH-OCO-、(CH2=CH)2CH-O-、及び
【0037】
【化5】

【0038】
である。
非常に好ましいものはアクリレート及びオキセタン基である。オキセタンは、重合(架橋)時にあまり収縮せず、フィルム内でそれほど応力を成長させないので、秩序化の定着度が高く、欠陥がより少ない。オキセタン架橋にはカチオン性開始剤も必要であるが、これはフリーラジカル開始剤とは異なり、酸素に対して不活性である。
【0039】
スペーサー基Spに関しては、当業者にこの目的で公知の全ての基を使用することができる。スペーサー基Spは好ましくは、P-Sp-がP-Sp’-X-{式中、
Sp’は、非置換、F、Cl、Br、I若しくはCNにより一置換または多置換されていてもよい20個以下のC原子をもつアルキレンであり、一つ以上の非隣接CH2基は、O及び/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-SiR0R00-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-により置き換えられることも可能であり、
Xは、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-CX1=CX2-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合であり、及び
R0、R00、X1及びX2は、上記の意味の一つをもつ}であるような、式:Sp’-Xである。
【0040】
Xは好ましくは、-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH2CH2-、-CF2CH2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CR0-、-CX1=CX2-、-C≡C-または単結合、特に、-O-、-S-、-C≡C-、-CX1=CX2-または単結合、非常に好ましくは、-C≡C-若しくは-CX1=CX2-などの共役系を形成し得る基または単結合である。
【0041】
典型的なSp’基は、たとえば-(CH2)p-、-(CH2CH2O)q-、-CH2CH2-、-CH2CH2-S-CH2CH2-または-CH2CH2-NH-CH2CH2-または-(SiR0R00-O)p-であり、pは2〜12の整数であり、qは1〜3の整数であり、R0及びR00は上記の意味をもつ。
【0042】
好ましいSp’基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン-チオエチレン、エチレン-N-メチル-イミノエチレン、1-メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレン及びブテニレンがある。
【0043】
さらに好ましいものは、一つまたは二つの基P-Sp-{式中、Spは単結合である}をもつ化合物である。
二つの基P-Spをもつ化合物の場合には、二つの重合可能な基Pと二つのスペーサー基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
重合または共重合により本発明の化合物または混合物から得られるSCLCPは、重合可能な基Pによって形成される幹(backbone)をもつ。
特に好ましい化合物は、以下の式をもつものである。
【0045】
【化6】

【0046】
【化7】

【0047】
【化8】

【0048】
【化9】

【0049】
【化10】

【0050】
【化11】

【0051】
式中、X、R3、R’、R”及びR”’は、上記定義の意味を有し、ここでベンゼン環及びチオフェン環は場合により、上記定義の一つ以上の基R3で置換されている。特に好ましい化合物は、式中XがSであるものである。
【0052】
本発明の化合物は、公知方法に従ってまたはそれに類似の方法により合成することができる。好ましい方法の幾つかを以下に記載する。
スキーム1
【0053】
【化12】

【0054】
化合物の合成をスキーム1に概説する。重要な中間体は、2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]チジオフェン-4,8-ジオン(3)であり、これは、アルキル、アルケニルまたはアルキニル有機マグネシウムまたは有機リチウム試薬との反応によりその4,8-位置で容易に反応し、続いて得られたジオール中間体を還元して、その4,8-位置にアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を導入することができる。中間体(3)は、出発物質の4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオン(Slocum及びGierer、J.Org.Chem.1974年、3668頁)から、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)などのヒンダードアミン塩基との二重リチオ化、続いて臭素の求電子性供給源との反応により合成する。あるいは、2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオンから、直接、2,5-ジブロモ-3-チオフェンカルボン酸ジメチルアミドと、有機リチウム試薬(Slocum及びGierer、J.Org.Chem.1974年、3668頁により報告された方法と類似)との反応により合成する。上記のような可溶性基を導入した後、アリール基は、それぞれアリールボロン酸若しくはエステル、アリール有機スズ試薬、またはアリール有機亜鉛試薬とブロモ基との標準Suzuki、StilleまたはNegishiカップリングによって容易に2,6-位置に導入することができる。式Iのセレノフェン誘導体は、チオフェンと同様の方法により合成する。
【0055】
式Iの化合物を製造する上記方法は、本発明のもう一つの側面である。
化合物は、好ましくは、以下のいずれかにより合成される。
a1)2,5-ジブロモ-3-チオフェンカルボン酸ジアルキルアミドまたは2,5-ジブロモ-3-セレノフェンカルボン酸ジアルキルアミドと、有機リチウムまたは有機マグネシウム試薬とを反応させて、現場で2-チオフェンまたは2-セレノフェン有機リチウムまたは有機マグネシウム試薬を生成させ、これは、別の当量のチオフェンまたはセレノフェンとの自己縮合を受けて、2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオン、または2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-4,8-ジオンを提供する、または
a2)4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオン、若しくは4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-4,8-ジオンを、2当量のヒンダードアミン塩基と反応させ、続いて臭素の求電子供給源と反応させる、
b)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールボロン酸若しくはエステル、アリール有機スズ試薬、アリール有機亜鉛試薬または有機マグネシウム試薬との標準Suzuki、Stille、Negishi若しくはKumadaカップリングによりアリール若しくはヘテロアリール基を、段階a1)若しくはa2)の生成物の2,6-位置に導入する、及び
c)段階b)の生成物と過剰量の好適なアルキル、アルケニル若しくはアルキニル有機リチウムまたは有機マグネシウム試薬とを反応させ、続いて得られたジオール中間体を還元することにより、段階b)の生成物の4,8-位置にアルキニル基を導入する、または
b1)段階a1)若しくはa2)の生成物と過剰量の好適なアルキル、アルケニル若しくはアルキニル有機リチウム若しくは有機マグネシウム試薬とを反応させ、続いて得られたジオール中間体を還元することにより、段階a1)若しくはa2)の生成物にアルキニル基を導入する、及び
c1)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールボロン酸若しくはエステル、アリール有機スズ試薬、アリール有機亜鉛試薬または有機マグネシウム試薬との標準Suzuki、Stille、Negishi若しくはKumadaカップリングによりアリール若しくはヘテロアリール基を、段階b1)の生成物に導入する、または
d)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールアルケン基、アリールアルキン基若しくはアリールアルケニルボロン酸若しくはエステルとの標準Heck、Sonogashira、若しくはKumadaカップリングによりアルケニル若しくはアルキニルアリール若しくはヘテロアリール基を、段階b1)の生成物に導入する。
【0056】
本発明のさらなる側面は、本発明に従った化合物及び材料の酸化形と還元形の両方に関する。電子の喪失または獲得により、高伝導度である高度に非局在化イオン形を形成する。これは、一般的なドーパントに暴露する際に起きることがある。好適なドーパント及び好適なドープ法は、たとえば欧州特許第EP0 528 662号、米国特許第5,198,153号またはPCT国際公開第WO96/21659号などから、当業者には公知である。
【0057】
ドープ法は通常、レドックス反応中、半導体材料の酸化剤または還元剤による処理を含み、材料中に非局在化イオン中心を形成し、対応する対イオンは適用するドーパントから誘導される。好適なドープ法はたとえば、大気圧または減圧下、ドープ蒸気への暴露、ドーパントを含む溶液中での電気化学ドープ、ドーパントを半導体材料と接触させて熱拡散させる、ドーパントを半導体材料中にイオン含浸させることなどを含む。
【0058】
電子をキャリヤとして使用するとき、好適なドーパントはたとえばハロゲン類(たとえば、I2、Cl2、Br2、ICl、ICl3、IBr及びIF)、ルイス酸(たとえば、PF5、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、SbCl5、BBr3及びSO3)、プロトン酸、有機酸、またはアミノ酸(たとえばHF、HCl、NNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H及びClSO3H)、遷移金属化合物(たとえばFeCl3、FeOCl、Fe(ClO4)3、Fe(4-CH3C6H4SO3)s、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoF5、MoCl5、WF5、WCl、UF6及びLnCl3(ここでLnはランタノイドである)、アニオン類(たとえばCl-、Br-、I-、I3-、HSO4-、SO42-、NO3-、ClO4-、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、FeCl4-、Fe(CN)63-、及び種々のスルホン酸のアニオン、たとえばアリールSO3-)がある。正孔をキャリヤとして使用するとき、ドーパントの例としては、カチオン(たとえばH+、Li+、Na+、K+、Rb+及びCs+)、アルカリ金属(たとえばLi、Na、K、Rb及びCs)、アルカリ土類金属(たとえばCa、Sr及びBa)、O2、XeOF4(NO2+)(SbF6-)、(NO2+)(SbCl6-)、(NO2+)(BF4-)、AgClO4、H2IrCl6、La(NO3)3・6H2O、FSO2OOSO2F、Eu、アセチルコリン、R4N+、(Rはアルキル基である)、R4P+(Rはアルキル基である)、R6As-(Rはアルキル基である)、及びR3S+(Rはアルキル基である)がある。
【0059】
本発明の化合物及び材料の導電形は、たとえばこれらに限定されないが、有機発光ダイオード用途における電荷注入層及びITO平坦化層、プリント配線基板及びコンデンサなどの電子用途における平坦パネルディスプレイ及びタッチスクリーン用フィルム、帯電防止フィルム、プリント導電基板、パターンまたはトラクト(tract)などの用途における有機「金属」として使用することができる。
【0060】
本発明の好ましい態様は、メソゲンまたは液晶であり、且つ非常に好ましくは一種以上の重合可能な基を含む、式Iの化合物及びその好ましい式の化合物に関する。この種の非常に好ましい材料は、式I及びその好ましい式の化合物{式中、R1、R2及びR3はP-Sp-を示す}である。
【0061】
これらの材料は、公知方法によりその液晶相で非常に高い規則性の配向に配列でき、特に高い電荷キャリヤ移動度を導く高度な配列を示すので、半導体または電荷輸送材料として特に有用である。高度に配列した液晶状態は、基Pによって現場の重合または架橋によって固定して、高い電荷移動度及び高い熱的、機械的及び化学的安定性をもつポリマーフィルムを提供することができる。
【0062】
液晶相の挙動を誘導または強化させるために、本発明に従った重合可能な化合物と、当業界で公知の他の重合可能なメソゲンまたは液晶モノマーとを共重合させることも可能である。
【0063】
かくして、本発明のもう一つの側面は、少なくとも一つの重合可能な基を含む上記及び下記の本発明の一種以上の化合物と、場合により一種以上のさらなる重合可能な化合物とを含む重合可能な液晶材料であって、本発明の重合可能な化合物及び/またはさらなる重合可能な化合物の少なくとも一種はメソゲンまたは液晶性である、前記液晶材料に関する。
【0064】
ネマチック及び/またはスメクチック相をもつ液晶材料が特に好ましい。FET用途に関しては、スメクチックが特に好ましい。OLED用途に関しては、ネマチックまたはスメクチック材料が特に好ましい。
【0065】
本発明のさらなる側面は、その液晶相を巨視的に均一な配向に配列させ、重合または架橋させて配向状態を固定させる、上記定義の重合可能な液晶材料から得ることができる電荷輸送特性をもつ異方性ポリマーフィルムに関する。
【0066】
好ましくは重合は、本発明の半導体材料を含む電気または光学デバイスを製造する間に、材料のコーティング層の現場重合として実施する。液晶材料の場合には、重合前にその液晶状態をホメオトロピック配向に整列させるのが好ましく、ここで共役パイ−電子系は電荷輸送の方向に対して直角である。これにより分子間距離が最小化されて、分子の間に電荷を輸送するのに必要なエネルギーが最小化する。そして分子を重合または架橋して、液晶状態の均一配向を固定する。配列及び硬化は材料の液晶相または中間相で実施する。この方法は当業界で公知であり、通常たとえば、D.J.Broerら、Angew.Makromol.Chem.183、(1990)、45-66頁に記載されている。
【0067】
液晶材料の配列は、たとえば材料がコーティングされる基板の処理、コーティングの間またはその後で材料の剪断加工(shearing)、コーティング化材料への磁場または電場の印加、または液晶材料に界面活性化合物の添加により実施する。配列方法の総説はたとえば、I.Sage、“Thermotropic Liquid Crystals”、G.W.Gray編、John Wiley & Sons,1987年、75-77頁及びT.Uchida及びH.Seki、“Liquid Crystals”−Applications and Uses Vol.3”、B.Bahadur編、World Scientific Publishing,Singapore 1992年、1-63頁に見られる。配列材料及び方法の総説は、J.Congard、Mol.Cryst.Liq.Cryst.78,補遺1(1981)、1-77頁に見られる。
【0068】
重合は、熱または化学線照射に暴露することによって実施することができる。化学線照射は、UV光、IR光若しくは可視光などの光の照射、X線若しくはガンマ線の照射、またはイオン若しくは電子などの高エネルギー粒子の照射を意味する。好ましくは重合は、非吸収性波長でUV照射により実施する。化学線照射供給源としては、たとえば単一UVランプまたはUVランプセットを使用することができる。高ランプ出力を使用すると、硬化時間を短縮することができる。化学線照射の別の可能な供給源は、たとえばUVレーザー、IRレーザーまたは可視光レーザーなどのレーザーがある。
【0069】
重合は好ましくは、化学線照射の波長で吸収する開始剤の存在下で実施する。たとえばUV光によって重合するとき、UV照射下で分解する光開始剤を使用して、重合反応を開始するフリーラジカルまたはイオンを生成させることができる。アクリレートまたはメタクリレート基をもつ重合可能な材料を硬化するとき、ラジカル光開始剤を使用するのが好ましく、ビニル、エポキシド及びオキセタン基をもつ重合可能な材料を硬化するとき、カチオン性光開始剤を使用するのが好ましい。加熱すると分解して重合を開始するフリーラジカルまたはイオンを発生する重合開始剤を使用することも可能である。ラジカル重合用の光開始剤としては、たとえば市販で入手可能なIrgacure 651、Irgacure 184、Darocure 1173またはDarocure 4205(すべてCiba Geigy AG製)を使用することができるが、カチオン光重合の場合には、市販で入手可能なUVI 6974(Union Carbide)を使用することができる。
【0070】
重合可能な材料はさらに、一種以上の他の好適な成分、たとえば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、同時反応性モノマー(co-reacting monomer)、界面活性化合物、滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水性物質、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤(deaerator)、希釈剤、反応性希釈剤、賦形剤、着色剤、染料若しくは顔料を含むことができる。
【0071】
一つ以上の基P-Sp-を含む化合物は、また、重合可能なメソゲン化合物と一緒に共重合して、液晶相の挙動を誘発または強化することができる。コモノマーとして適している重合可能なメソゲン化合物は、当業界で公知であり、PCT国際公開第WO93/22397号、欧州特許第EP0,261,712号、ドイツ特許第DE195,04,224号、PCT国際公開第WO95/22586号及び同第WO97/00600号に開示されている。
【0072】
本発明の別の側面は、重合または重合に似た反応(polymeranaloguous reaction)により上記定義の重合可能な液晶材料から得られる液晶側鎖ポリマー(liquid crystal side chain polymer:SCLCP)に関する。特に好ましいものは、式I及びその好ましい式{式中、R1-3の一つ以上、特に一つ若しくは二つの基R3は重合可能な若しくは反応性基である}の一つ以上の化合物から、または前記モノマーの一つ以上を含む重合可能な混合物から得られたSCLCPである。
【0073】
本発明の別の側面は、式I及びその好ましい式の一つ以上の重合可能な化合物から、または上記定義の重合可能な液晶混合物から、一種以上の追加のメソゲンまたは非メソゲンコモノマーと一緒に共重合または重合に似た反応により得られるSCLCPである。
【0074】
導電性成分が脂肪族スペーサ基によって柔軟な幹から離れて、懸垂基として配置されている側鎖液晶ポリマーまたはコポリマー(SCLCLP)は、高度に配列したラメラ様モルフォロジーを得る機会を提供する。この構造は密に充填した共役芳香族メソゲンからなり、ここで密着した(通常<4Å)のパイ−パイ充填が起きる可能性がある。このスタッキングによって分子間電荷輸送がより容易に発生するので、高い電荷キャリヤ移動度となる。SCLCPは加工前に容易に合成でき、有機溶媒中の溶液から加工できるので、特別な用途に好都合である。SCLCPを溶液中で使用する場合、好適な表面にコーティングし、その中間相温度にあるとき、自然発生的に配向できるので、大面積の非常に高度に配向したドメインとなる可能性がある。
【0075】
SCLCPは、上記の方法または、ラジカル、アニオン若しくはカチオン連鎖重合、重付加若しくは重縮合などの当業者に公知の慣用の重合法によって、本発明に従った重合可能な化合物または混合物から製造することができる。
【0076】
重合は、コーティング及び事前の配列も現場重合の必要なく、溶液中の重合として実施することができる。本発明に従った化合物を好適な反応性基またはその混合物と一緒に、重合に似た反応で予備的に合成した等方性または異方性ポリマー幹にグラフトすることによって、SCLCPを形成することも可能である。たとえば、末端ヒドロキシ基をもつ化合物はラテラル(lateral)カルボン酸若しくはエステル基をもつポリマー幹に結合させることができ、末端イソシアナート基をもつ化合物は、遊離ヒドロキシ基をもつ幹に付加させることができ、末端ビニル若しくはビニルオキシ基をもつ化合物は、たとえばSi-H基をもつポリシロキサン幹に付加させることができる。慣用のメソゲンまたは非メソゲンコモノマーと一緒に本発明の化合物から重合または重合に似た反応によってSCLCPを形成することも可能である。好適なコモノマーは当業者に公知である。原理的には、上記定義のように重合可能なまたは反応性基Pのような、所望のポリマー形成反応を受けることができる反応性または重合可能な基をもつ当業界で公知の全ての慣用のコモノマーを使用することが可能である。典型的なメソゲンコモノマーは、たとえば、PCT国際公開第WO93/22397号、欧州特許第EP0 261 712号、ドイツ特許第DE195 04 224号、PCT国際公開第WO95/22586号、同第WO97/00600号及び英国特許第GB2 351 734号に記載されているようなものである。典型的な非メソゲンコモノマーは、たとえば、メチルアクリレートまたはメチルメタクリレートのような、1〜20個のC原子をもつアルキル基をもつアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートである。
【0077】
本発明の化合物は好都合な溶解特性を示し、これによりこれらの化合物の溶液を使用する製造プロセスが可能になる。かくして、層及びコーティングを含むフィルムは、スピンコーティングなどの低コスト製造法によって製造することができる。好適な溶媒または溶媒混合物はアルカン類及び/または芳香族類を含み、特にそのフッ素化誘導体を含む。
【0078】
本発明の化合物は、光学、電子工学及び半導体材料として、特に電界効果トランジスタ(FET)における電荷輸送材料として、たとえば集積回路、IDタグまたはTFT用途における部品として有用である。あるいは、これらは電界発光ディスプレイ用途における有機発光ダイオード(OLED)中で、または液晶ディスプレイなどのバックライトとして、電子写真記録用及び他の半導体用途用の太陽光発電(photovolataics)またはセンサ材料として使用することができる。
【0079】
有機半導体材料がゲート−誘電体とドレインとソース電極との間にフィルムとして配置されるFETは、一般的に米国特許第US5,892,244号、PCT国際公開第WO00/79617号、米国特許US5,998,804号から公知であり、背景及び従来の技術の節において引用され、以下に列記される文献から公知である。本発明に従った化合物の溶解特性を使用する低コスト製造法及び大面積の加工特性などの好都合な点により、これらのFETの好ましい用途は集積回路、TFT-ディスプレイ及びセキュリティ用途などである。
【0080】
セキュリティ用途において、電界効果トランジスタ及びトランジスタまたはダイオードなどの半導体材料を使用する他のデバイスは、IDタグまたはセキュリティーマーキングに関して使用して、紙幣、クレジットカード若しくはIDカード、国民のID書類、免許または、スタンプ、チケット、株、チェックなどの貨幣価値(monetry value)のある任意の製品のような有価証券を証明し、この偽造を防止することができる。
【0081】
あるいは、本発明の化合物は、ディスプレイ用途などの有機発光デバイス若しくはダイオード(OLED)において、または液晶ディスプレイなどのバックライトとして使用することができる。一般的なOLEDは多層構造を使用して実現できる。発光層は通常、一つ以上の電子−輸送層及び/または正孔−輸送層との間に挟まれる。電圧を印加することにより、電荷キャリヤとして電子と正孔は発光層へ移動し、ここでこれらは再結合して励起し、発光層に含まれるルモフォア(lumophor)単位が発光する。本発明の化合物、材料及びフィルムは、それらの電気及び光学的特性に対応する、一つ以上の電荷輸送層及び/または発光層内で使用することができる。
【0082】
さらに発光層内でこれらを使用すると、本発明の化合物、材料及びフィルムがそれ自体電子発光特性を有するか、または電子発光基若しくは化合物を含む場合には特に好都合である。OLEDにおいて使用するための好適なモノマー、オリゴマー及びポリマー化合物または材料の選択、キャラクタリゼーション並びに処理は、当業者に公知であり、たとえばMeerholz、Synthetic Materials、111-112、2000、31-34、Alcala、J.Appl.Phys.88、2000、7124-7128及びその中に引用された文献を参照されたい。
【0083】
他の用途によれば、本発明の化合物、材料またはフィルム、特に光輝性特性を示すようなものは、たとえば欧州特許第EP0 889 350A1号またはC.Wederら、Science、279、1998、835-837に記載されているようなディスプレイデバイスの光源材料として使用することができる。
【0084】
式Iの化合物は、殆ど若しくは全くその電荷移動度が下がらず、むしろ場合によっては増加する有機バインダー樹脂(以後、バインダーとも称する)とも組み合わせることができる。たとえば、式Iの化合物をバインダー樹脂(たとえばポリ(α-メチルスチレン))に溶解し、(たとえばスピンコーティングによって)付着させて、有機半導体層を形成し、高い電荷移動度を生み出すことができる。
【0085】
また本発明は、有機半導体層の形成を含む、有機半導体層も提供する。
本発明はさらに、半導体層の製造プロセスを提供し、前記プロセスは以下の段階:
(i)上記及び下記の式Iの一種以上の化合物、一種以上の有機バインダーまたはその前駆体と、場合により一種以上の溶媒とを含む配合物の液層を基板上に付着させる;
(ii)前記液層から、有機半導体層である固体層を形成する;
(iii)場合により基板から前記層を取り外す、
各段階を含む。
【0086】
本プロセスについて以下詳細に記載する。
本発明はさらに、前記有機半導体層を含む電子デバイスを提供する。この電子デバイスとしては、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、光検出器、センサ、論理回路、記憶素子、キャパシタまたは太陽電池(PV)が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、OFET中のドレインとソースとの間のアクティブな半導体チャネルは、本発明の層を含むことができる。別の例として、OLEDデバイス内の電荷(正孔または電子)注入または輸送層は、本発明の層を含むことができる。本発明に従った配合物及びこれらから製造した層は、特に本明細書中に記載の好ましい態様に関して、OFET中で特に有用である。
【0087】
本発明の好ましい態様において、式Iの半導体化合物は、10-5cm2V-1s-1を超える電荷キャリヤ移動度、μ、好ましくは10-4cm2V-1s-1を超え、特に10-3cm2V-1s-1を超え、非常に好ましくは10-2cm2V-1s-1を超え、最も好ましくは10-1cm2V-1s-1を超える電荷キャリヤ移動度、μを有する。
【0088】
本発明の配合物は、式Iの(単数または複数種類の)一つ以上のオリゴマーポリアセン(polyacene)と、さらに、一種以上のポリマー若しくはポリマーバインダー、好ましくは熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、デュロマー(duromer)、エラストマー、導電性ポリマー、エンジニアリングプラスチックなどの(単数または複数種類の)有機ポリマーを含むブレンドであってもよい。このポリマーはコポリマーであってもよい。
【0089】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−プロピレンコポリマーなど、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどが挙げられる。熱硬化性ポリマーとしては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。エンジニアリングプラスチックの例としては、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンなどが挙げられる。合成有機ポリマーは、合成ゴム、たとえばスチレン−ブタジエンなど、またはフッ素樹脂、たとえばポリテトラフルオロエチレンなどであってもよい。導電性ポリマーとしては、共役ポリマー、たとえばポリアセチレン、ポリピロール、ポリアリレンビニレン、ポリチエニレンビニレンなど及び、電子供与性分子または電子受容性分子がドープされたものが挙げられる。
【0090】
バインダーは通常、ポリマーであり、絶縁性バインダーまたは導電性バインダーか、その混合物を含むことができる。これらは本明細書中、「有機バインダー」、「ポリマーバインダー」または単に「バインダー」と称する。
【0091】
本発明に従った好ましいバインダーは、低誘電率の材料、すなわち1,000Hzにおいて3.3以下の誘電率εを持つようなものである。有機バインダーは好ましくは、1,000Hzで3.0以下、より好ましくは2.9以下の誘電率をもつ。好ましくは有機バインダーは、1,000Hzで1.7以上の誘電率をもつ。バインダーの誘電率は2.0〜2.9の範囲内であるのが特に好ましい。理論的根拠はないが、1,000Hzで3.3を超える誘電率をもつバインダーを使用すると、たとえばOFETなどの電子デバイスにおいてOSC層移動度が減少することがある。さらに高誘電率バインダーは好ましくない、デバイスの高い電流ヒステリシス(current hysteresis)を引き起こすかもしれない。
【0092】
好適な有機バインダーの例としてはポリスチレンがある。さらなる例を以下に示す。
好ましい態様の一つにおいて、有機バインダーは、原子の少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、特に全ての原子が水素、フッ素及び炭素原子からなるものである。
【0093】
バインダーは、通常、共役結合、特に共役二重結合および/または芳香環を含むことが好ましい。
バインダーは好ましくは、フィルム、より好ましくは柔軟なフィルムを形成し得るものでなければならない。スチレンとα-メチルスチレンとのポリマー、たとえばスチレン、α-メチルスチレンとブタジエンとを含むコポリマーは好適に使用することができる。
【0094】
本発明において使用する低誘電率バインダーは、分子サイトエネルギー(molecular site energy)のランダム機能を起こしてしまう永久双極子を殆どもたない。誘電率(permittivity)ε(誘電率:dielectric constant)は、ASTM D150試験法によって決定できる。
【0095】
本発明において、低い極性及び水素結合に寄与する溶解パラメーターをもつバインダー種の材料は低い永久双極子をもつので、このバインダーを使用するのも好ましい。本発明に従って使用するためのバインダーの溶解パラメーター(Hansenパラメーター)に関する好ましい範囲を以下の表1に提供する。
【0096】
【表1】

【0097】
上記の三次元溶解性パラメーターとしては、分散(δd)、極性(δp)及び水素結合(δh)成分が挙げられる(C.M.Hansen,Ind.Eng.and Chem.,Prod.Pres.and Devl.、9,第三巻、9282、1970年)。これらのパラメーターは、Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters、A.F.M.Barton編、CRC Press、1991年に記載のような公知のモル基寄与率(molar group contribution)から計算するか、経験的に決定することができる。多くの公知ポリマーの溶解パラメーターも、この刊行物に列記されている。
【0098】
バインダーの誘電率はほとんど周波数に依存しない。これは非極性材料に典型的である。ポリマー及び/またはコポリマーは、その置換基の誘電率によってバインダーとして選択することができる。好適且つ好ましい低極性バインダーのリストを表2に示す(これらの例に限定されない)。
【0099】
【表2】

【0100】
バインダーとして好適な他のポリマーとしては、ポリ(1,3-ブタジエン)またはポリフェニレンが挙げられる。
特に好ましいものは、バインダーがポリ-α-メチルスチレン、ポリスチレン及びポリトリアリールアミンまたはこれらの任意のコポリマーから選択され、溶媒が(単数または複数種類の)キシレン、トルエン、テトラリン及びシクロヘキサノンから選択されるような配合物である。
【0101】
上記ポリマーの繰り返し単位を含むコポリマーもバインダーとして好適である。コポリマーは、式Iのポリアセンとの適合性を改善する可能性を提供し、最終層組成物のモルフォロジー及び/またはガラス転移温度を変更する。上記表において、特定の材料は、層を製造するために一般的に使用される溶媒には不溶性であると考えられる。これらの場合において、類似体をコポリマーとして使用することができる。コポリマーの例の幾つかを表3に示す(これらの例に限定されない)。ランダムまたはブロックコポリマーのいずれをも使用することができる。全体の組成物の極性が低い限り、数種類のより極性のモノマー成分を添加することも可能である。
【0102】
【表3】

【0103】
他のコポリマーとしては、分岐若しくは非分岐ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン、ポリスチレン-ブロック(ポリエチレン-ran-ブチレン)-ブロック-ポリスチレン、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリスチレン、ポリスチレン-(エチレン-プロピレン)-ジブロック-コポリマー(たとえばKRATON(商標)-G1701E、Shell)、ポリ(プロピレン-コ-エチレン)及びポリ(スチレン-コ-メチルメタクリレート)が挙げられる。
【0104】
本発明に従った有機半導体層配合物で使用するのに好ましい絶縁性バインダーは、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4-ビニルビフェニル)、ポリ(4-メチルスチレン)及びTopas(商標)8007(線状オレフィン、シクロオレフィン(ノルボルネン)コポリマー、Ticona製、ドイツ)が挙げられる。最も好ましい絶縁性バインダーは、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、及びポリ(4-ビニルビフェニル)である。
【0105】
バインダーは、十分に低い誘電率、非常に好ましくは3.3以下の誘電率をもつ、アクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、チオレンなどの架橋可能なバインダーからも選択することができる。バインダーはメソゲンまたは液晶であってもよい。
【0106】
有機バインダーそれ自体が半導体であるのも可能であり、この場合、半導体バインダーとして本明細書中に参照するが好ましい。半導体バインダーは、本明細書中で定義するように低誘電率バインダーであるのが好ましい。本発明で使用する半導体バインダーは、好ましくは少なくとも1500-2000、より好ましくは少なくとも3000、さらにより好ましくは少なくとも4000、最も好ましくは少なくとも5000の数平均分子量(Mn)をもつ。この半導体バインダーは好ましくは、少なくとも10-5cm2V-1s-1、より好ましくは10-4cm2V-1s-1の電荷キャリヤ移動度、μを有する。
【0107】
好適且つ好ましい半導体バインダーとしては、PCT国際公開第WO99/32537A1号及び同第WO00/78843A1号に記載のアリールアミンポリマー、PCT国際公開第WO2004/057688A1号に記載の半導体ポリマー、WO99/54385A1号に記載のフルオレン-アリールアミンコポリマー、WO2004/041901A1号、Macromolecules 2000、33(6)、2016-2020及びAdvanced Materials、2001、13、1096-1099に記載のインデノフルオレンポリマー、Dohmaraら、Phil.Mag.B.1995、71、1069に記載のポリシランポリマー、WO2004/057688A1号に記載のポリチオフェン、並びに日本特許第JP2005-101493A1号に記載のポリアリールアミン−ブタジエンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
通常、好適且つ好ましいバインダーは、一般式IIのホモポリマーまたはコポリマー(ブロックコポリマーを含む)などの実質的に共役繰り返し単位を含むポリマーから選択される:
【0109】
【化13】

【0110】
{式中、ランダムポリマー中のA、B、・・・Zはそれぞれモノマー単位を表し、ブロックコポリマー中のA、B、・・・Zはそれぞれブロックを表し、(c)、(d)、・・・(z)はそれぞれポリマー中の個々のモノマー単位のモル画分を表し、即ち、それぞれの(c)、(d)、・・・(z)は0〜1の値であり、(c)+(d)+・・・+(z)の合計=1である}。
【0111】
好適且つ好ましいモノマー単位またはブロックA、B、・・・Zの例としては、以下の式1〜8のものが挙げられる。ここでmは式1aで定義の通りであり、>1である場合、単一モノマー単位の代わりにブロック単位も示してもよい。
【0112】
1.トリアリールアミン単位、好ましくは式1aの単位(米国特許第US6,630,566号に開示)または1b:
【0113】
【化14】

【0114】
{式中、Ar1-5は、同一または異なっていてもよく、異なる繰り返し単位中にある場合には、独立して、単核または多核である場合により置換された芳香族基を表す、及び
mは1または>1の整数であり、好ましくは10であり、より好ましくは20である}。
【0115】
Ar1-5に関しては、単核芳香族基は、たった一つの芳香環、たとえばフェニルまたはフェニレンしかもたない。多核芳香族基は、融合していてもよい(たとえばナフチル若しくはナフチレン)、個々に共役結合(たとえばビフェニル)していてもよい二つ以上の芳香環及び/または融合したものと、個々に結合した芳香環との両方の組み合わせを有する。好ましくはAr1-5はそれぞれ、実質的に全体の基にわたって実質的に共役結合している芳香族基である。
【0116】
2.式2のフルオレン単位:
【0117】
【化15】

【0118】
{式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、F、CN、NO2、-N(Rc)(Rd)または場合により置換されたアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アシル、アリールから選択され、
Rc及びRdはそれぞれ独立して、H、場合により置換されたアルキル、アリール、アルコキシ若しくはポリアルコキシまたは他の置換基から選択される、
ここでアスタリスク(*)は、任意の末端またはエンドキャッピング基、たとえばHであり、前記アルキル及びアリール基は場合によりフッ素化されている}。
【0119】
3.式3の複素環単位:
【0120】
【化16】

【0121】
{式中、Yは、Se、Te、O、S、または-N(Re)、好ましくはO、Sまたは-N(Re)であり、
ReはH、場合により置換されたアルキルまたはアリールであり、
Ra及びRbは式2の定義通りである}。
【0122】
4.式4の単位:
【0123】
【化17】

【0124】
{式中、Ra、Rb及びYは式2及び3の定義通りである}。
5.式5の単位:
【0125】
【化18】

【0126】
{式中、Ra、Rb及びYは式2及び3の定義通りであり、
zは-C(T1)=C(T2)-、-C≡C-、-N(Rf)-、-N=N-、(Rf)=N-、-N=C(Rf)-であり、
T1及びT2はそれぞれ独立して、H、Cl、F、-CNまたは1〜8個のC原子の低級アルキルを表し、
RfはH、または場合により置換されたアルキル若しくはアリールである}。
【0127】
6.式6のスピロビフルオレン単位:
【0128】
【化19】

【0129】
{式中、Ra及びRbは式2の定義通りである}。
7.式7のインデノフレン単位:
【0130】
【化20】

【0131】
{式中、Ra及びRbは式2の定義通りである}。
8.式8のチエノ[2,3-b]チオフェン単位:
【0132】
【化21】

【0133】
{式中、Ra及びRbは式2の定義通りである}。
9.式9のチエノ[3,2-b]チオフェン単位:
【0134】
【化22】

【0135】
{式中、Ra及びRbは式2の定義通りである}。
本明細書中に記載のポリマー式、たとえば式1〜9の場合、ポリマーは、任意の末端基、即ち、任意のエンドキャッピング基または離脱基(Hを含む)によって終端していてもよい。
【0136】
ブロックコポリマーの場合、それぞれのモノマー、A、B、・・・Zは、式1〜9の単位の数m、たとえば2〜50を含む共役オリゴマーまたはポリマーであってもよい。
特に好ましい半導体バインダーはPTAA及びそのコポリマー、フルオレンポリマー並びにPTAAとのコポリマー、ポリシラン類、特にポリフェニルトリメチルジシラン、及びシス-及びトランス-インデノフルオレンポリマー並びにアルキルまたは芳香族置換基をもつPTAAとのそれらのコポリマー、特に以下の式のポリマーである:
【0137】
【化23】

【0138】
{式中、Rは、式2のRaの意味の一つを有し、好ましくは1〜20、好ましくは1〜12個のC原子をもつ直鎖若しくは分岐アルキル若しくはアルコキシであるか、または5〜12個のC原子をもつアリール、好ましくは場合により置換されているフェニルであり、
R’は、Rの意味の一つを有し、及び
nは>1の整数である}。
【0139】
典型的且つ好ましいポリマーの例としては、以下に列記したポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
【化24】

【0141】
【化25】

【0142】
好ましくは半導体バインダーは、電荷キャリヤ移動度10-3cm2V-1s-1、より好ましくは5×10-3cm2V-1s-1、最も好ましくは10-2cm2V-1s-1、好ましくは1cm2V-1s-1の電荷キャリヤ移動度を有する。好ましくは、バインダーは、結晶質小分子OSCのイオン化ポテンシャルに近いイオン化ポテンシャル、最も好ましくは+/−0.6eVの範囲内、より好ましくは小さい(samll)分子OSCのイオン化ポテンシャル+/−0.4eVに近いイオン化ポテンシャルをもつ。バインダーポリマーの分子量は好ましくは1000〜107、より好ましくは10,000〜106、最も好ましくは20,000〜500,000である。ポリフェニレンビニレン(PPV)ポリマーはあまり好ましくない。というのも、これらはその電荷キャリヤ移動度(通常、<10-4cm2V-1s-1)が低いので殆どまたは全く利益がないからである。同様にポリビニルカルバゾール(PVK)は通常、有効なバインダーであるが、本発明ではあまり好ましくない。というのも、その移動度が低いので、そのポリマーは短チャネルデバイスでの接触を改良するにはあまり効率的ではないからである。通常、高電荷キャリヤ移動度のポリマーを本発明におけるバインダーとして使用するのが望ましい。導電性ポリマーも低極性であるのが好ましく、誘電率は、絶縁性バインダーに関して上記定義のものと同じ範囲である。
【0143】
導電性バインダー/OSC小分子組成物のレオロジー特性を調節するために、少量の不活性バインダーも添加することができる。好適な不活性バインダーは、たとえばPCT国際公開第WO02/45184A1号に記載されている。この不活性バインダー含有量は好ましくは、乾燥後の全組成物の固体重量の約0.1〜10%である。
【0144】
最も好適なバインダーを選択すること及び、最適バインダー対半導体比を形成することにより、半導体層のモルフォロジーを制御することができる。実験から、アモルファスから結晶質までの範囲のモルフォロジーは、バインダー樹脂、溶媒、濃度、付着方法などの成形パラメーターの変動によって得られることが判明した。
【0145】
バインダー樹脂の重要な因子は以下の通りである:バインダーは通常、共役結合及び/または芳香環を含み、バインダーは好ましくは柔軟フィルムを形成できるべきであり、バインダーは一般的に使用される溶媒に溶解性でなければならず、バインダーは好適なガラス転移温度を持たねばならず、且つバインダーの誘電率は周波数に殆ど依存するべきではない。
【0146】
p-チャネルFETにおける半導体層の用途に関しては、半導体バインダーは
OSCと同等またはこれよりも高いイオン化ポテンシャルを持つべきであり、そうでない場合にはバインダーは正孔トラップを形成するかもしれない。n-チャネル材料では、半導体バインダーは、電子捕獲(electron trapping)を避けるためにn-型半導体と同等またはそれより電子親和性が低くなければならない。
【0147】
本発明に従った配合物及びOSC層は、以下の段階を含むプロセスによって製造することができる:
(i)(単数または複数種類の)OSC化合物及び(単数若しくは複数種類の)バインダーまたはその前駆体を最初に混合する。好ましくは、この混合は、溶媒または溶媒混合物中で成分を一緒に混合することを含む、
(ii)(単数若しくは複数種類の)OSC化合物及び(単数若しくは複数種類の)バインダーを含む(単数若しくは複数種類の)溶媒を基板に適用する;及び場合により、(単数若しくは複数種類の)溶媒を蒸発させて、本発明の固体OSC層を形成する、
(iii)及び場合により、基板から固体OSC層を、または固体層から基板を取り外す。
【0148】
段階(i)において、溶媒は、単一溶媒であってもよく、または(単数若しくは複数種類の)OSC化合物及び(単数若しくは複数種類の)バインダーは、それぞれ別々の溶媒に溶解して、続いて得られた二つの溶液を混合して化合物を混合してもよい。
【0149】
バインダーは、場合により溶媒の存在下、液体モノマー、オリゴマー若しくは架橋可能なポリマーなどのバインダー前駆体中に(単数若しくは複数種類の)OSC化合物を混合または溶解する、及び基板上に液層を形成するために、浸漬、スプレー、塗布(paint)若しくは印刷などによってこの混合物または溶液を付着させる、次いで固体層を生成するために、放射線、熱または電子線に暴露することなどにより、液体モノマー、オリゴマーまたは架橋可能なポリマーを硬化させることにより、現場で形成することができる。予備形成したバインダーを使用する場合、これは好適な溶媒中で式Iの化合物と一緒に溶解させて、この溶液は基板上に浸漬、噴霧、塗布若しくは印刷することによって付着させて、液層を形成し、次いで溶媒を除去して固体層を残すことができる。バインダーと(単数若しくは複数種類の)OSC化合物の両方を溶解させることができ、且つ溶液ブレンドから蒸発させる際に密着した欠陥のない層を与えるのがよい。
【0150】
バインダーまたはOSC化合物に好適な溶媒は、混合物を使用する濃度でASTM法D 3132に記載のように材料に関する輪郭ダイアグラム(contour diagram)をつくることによって決定することができる。材料は、ASTM法に記載のように広範な種類の溶媒に添加する。
【0151】
本発明に従った配合物は、二種以上のOSC化合物及び/または二種以上のバインダーまたはバインダー前駆体も含むことができ、上記プロセスはそのような配合物にも適用することができる。
【0152】
好適且つ好ましい有機溶媒の例としては、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、1,4-ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、酢酸エチル、n-ブチルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダン及び/またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
好適な混合及びエージング後、溶液は以下のカテゴリー:完全な溶液、境界溶液または不溶性の一つとして評価する。輪郭線は、溶解性と不溶性とを分ける溶解性パラメーター-水素結合限界の輪郭を描くようにひく。溶解性領域内に入る「完全な」溶液は、“Crowley,J.D.,Teague,G.S.Jr及びLowe,J.W.,Journal of Paint Technology,38,第496巻、296(1966)”で刊行されているような文献値から選択することができる。溶媒ブレンドも使用することができ、“Solvents,W.H.Ellis,Federation of Societies for Coatings Technology,9-10頁、1986”に記載されているように同定することができる。そのような手順により式Iの化合物とバインダーの両方を溶解する「非」溶媒のブレンドとなることがあるが、ブレンド中に少なくとも一種の真の溶媒(true solvent)があるのが望ましい。
【0154】
半導体バインダー及びその混合物と共に本発明に従った配合物中で使用するのに特に好ましい溶媒は、(単数若しくは複数種類の)キシレン、トルエン、テトラリン、クロロベンゼン及びo-ジクロロベンゼンである。
【0155】
本発明に従った配合物または層の(単数若しくは複数種類の)OSC化合物対バインダーの重量比は、通常、20:1〜1:20であり、たとえば1:1の重量比である。好ましい態様では、(単数若しくは複数種類の)OSC化合物対バインダーの比は、重量で10:1以上、好ましくは15:1以上である。18:1または19:1以下の比も好適であることが証明された。
【0156】
本発明に従って、有機半導体層配合物中の固体含有量レベルは、OFETなどの電子デバイスで改良された移動度の値を達成する際の因子でもあることが知見された。配合物の固体含有量は、一般的に以下のように表される:
【0157】
【数1】

【0158】
{式中、a=式Iの化合物の質量であり、
b=バインダーの質量であり、及び
c=溶媒の質量である}。
【0159】
配合物の固体含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。
現代の電子機器では、小さな構造体を製造して、コスト(さらにデバイス/ユニット面積)と電気の消費量を削減するのが望ましい。本発明の層のパターン化は、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィー、レーザーパターン化によって実施することができる。
【0160】
電界効果トランジスタなどの有機電子デバイスの液体コーティングは、真空蒸着法よりも望ましい。本発明の配合物により、多くの液体コーティング法の使用が可能になる。有機半導体層は、たとえばこれらに限定されないが、浸漬コーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、レタープレス印刷(letter-press printing)、スクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、ローラー捺染(roller coating)、逆ローラー捺染、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソグラフ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、ブラシコーティングまたはパッドコーティングによって最終デバイス構造体に配合することができる。本発明は、最終デバイス構造体に有機半導体層をスピンコーティングする際に使用するのに特に適している。
【0161】
本発明の選択された配合物は、インクジェット印刷またはマイクロディスペンス(microdispensing)によって作成済みのデバイス基板に適用することができる。これらに限定されないが、Aprion、Hitachi-Koki、InkJet Technology、On Target Technology、Picojet、Spectra、Trident、Xaarなどにより供給される、工業的圧電印刷ヘッドを使用して、基板に有機半導体層を適用するのが好ましい。さらに、Brother、Epson、Konica、Seiko Instruments Toshiba TECにより製造されるもののような準工業的ヘッド(semi-industrial head)またはMicrodrop及びMicrofabにより製造されるもののようなシングルノズル・マイクロディスペンサを使用することができる。
【0162】
インクジェット印刷またはマイクロディスペンスによって適用するために、式Iの化合物とバインダーとの混合物を最初に、好適な溶媒に溶解させなければならない。溶媒は、上記の要求条件を充足しなければならず、且つ選択したプリントヘッド上に全く悪影響を及ぼしてはならない。さらに溶媒は、プリントヘッド内で溶媒が乾燥しきることによって生じる操作上の問題(operability problem)を避けるために、>100℃、好ましくは>140℃、より好ましくは>150℃の沸点をもつべきである。好適な溶媒としては、置換及び非置換キシレン誘導体、ジ-C1-2-アルキルホルムアミド、置換及び非置換アニソール類、並びに他のフェノール-エーテル誘導体、置換複素環、たとえば置換ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン、置換及び非置換N,N-ジ-C1-2-アルキルアニリン類並びに他のフッ素化または塩素化芳香族が挙げられる。
【0163】
インクジェット印刷によって本発明に従った配合物を付着させるのに好適な溶媒は、一つ以上の置換基によって置換されたベンゼン環をもつベンゼン誘導体を含み、ここで一つ以上の置換基の中の炭素原子の総数は少なくとも3つである。たとえば、ベンゼン誘導体は、プロピル基または3個のメチル基で置換されていてもよく、いずれの場合でも全体で少なくとも3個の炭素原子である。そのような溶媒により、噴霧の間にジェットが閉塞したり、成分が分離するのを軽減または防いだりするバインダーとOSC化合物とを含む溶媒を含むインクジェット流体を形成することができる。(単数若しくは複数種類の)溶媒としては、以下のリスト:ドデシルベンゼン、1-メチル-4-tert-ブチルベンゼン、テルピネオールリモネン(terpineol limonen)、イソデュレン(isoduren)、テルピノレン、シメン、ジエチルベンゼンから選択されるものを含んでもよい。溶媒は、二種以上の溶媒の組み合わせである溶媒混合物であってもよく、それぞれ沸点>100℃、より好ましくは>140℃をもつのが好ましい。そのような(単数若しくは複数種類の)溶媒は、付着した層内のフィルム形成を促進し、層内の欠陥を減少させる。
【0164】
(溶媒、バインダーと半導体化合物との混合物である)インクジェット流体は、好ましくは20℃で1〜100mPa・s、より好ましくは1〜50mPa・s及び最も好ましくは1〜30mPa・sの粘度をもつ。
【0165】
本発明のバインダーを使用することによって、特定のプリントヘッドの要求条件を満足させるようにコーティング溶液の粘度を調節することもできる。
本発明の半導体層は通常、最大1ミクロン(=1μm)厚さであるが、必要によりもっと厚くてもよい。層の正確な厚さは、層を使用する電子デバイスの要求条件などに依存する。OFETまたはOLEDで使用するには、層の厚さは通常500nmあるいはそれ以下である。
【0166】
OSC層を製造するために使用する基板としては、任意の下層のデバイス層、電極または別の基板、たとえばシリコンウエハ、ガラス若しくはポリマー基板などが挙げられる。
本発明の特別な態様において、バインダーは配列可能(alignable)であり、たとえば、液晶相を形成し得る。この場合、バインダーは、たとえばOSC化合物の長い分子軸が電荷輸送方向に沿って優先的に配列するように、(単数若しくは複数種類の)OSC化合物の配列に役立つことができる。バインダーの配列に好適なプロセスとしては、ポリマー有機半導体を配列させるのに使用されるプロセスが挙げられ、従来法、たとえばPCT国際公開第WO03/007397号に記載されている。
【0167】
本発明に従った配合物はさらに、一種以上の追加の成分、たとえば界面活性化合物、滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水性物質(hyrophobing agent)、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、反応性若しくは非反応性希釈剤、賦形剤、着色剤、染料、顔料若しくはナノ粒子を含むことができ、さらに特に架橋可能なバインダーを使用する場合には、触媒、感光剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、または同時反応性モノマー(co-reacting monomer)を含むことができる。
【0168】
本発明はさらに、OSC層を含む電子デバイスに関する。この電子デバイスとしては、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、光検出器、センサ、論理回路、記憶素子、キャパシタまたは太陽電池(PV)が挙げられるが、これらに限定されない。たとえばOFETのドレインとソースとの間のアクティブ半導体チャネルは、本発明の層を含むことができる。別の例としては、OLEDデバイス中の電荷(正孔若しくは電子)注入または移動層は、本発明の層を含むことができる。本発明に従ったOSC配合物とこれから製造したOSC層は、本明細書中に記載の好ましい態様に関して特にOFETで有用である。
【0169】
本発明に従ったOFETデバイスは、好ましくは、
-ソース電極;
-ドレイン電極;
-ゲート電極;
-上記のOSC層;
-一つ以上のゲート絶縁層;
-場合により基板
を含む。
【0170】
OFETデバイス内のゲート、ソース及びドレイン電極並びに絶縁及び半導体層は、ソース及びドレイン電極が絶縁層によってゲート電極から分離され、ゲート電極と半導体層のいずれもが絶縁層に接触し、ソース電極とドレイン電極のいずれもが半導体層と接触しているのであれば、任意の順序に配列することができる。
【0171】
OFETデバイスは上部ゲートデバイスまたは底部ゲートデバイスであってもよい。OFETデバイスの好適な構造体及び製造方法は、当業者には公知であり、たとえばPCT国際公開第WO03/052841号などの文献に記載されている。
【0172】
ゲート絶縁層は好ましくは、市販のCytop 809M(登録商標)またはCytop 107M(登録商標)(Asahi Glass製)などのフルオロポリマーを含む。好ましくはゲート絶縁層は、絶縁材料と、一つ以上のフッ素原子をもつ一種以上の溶媒(フルオロ溶媒:fluorosolvent)、好ましくはパーフルオロ溶媒(perfluorosolvent)を含む配合物から、スピンコーティング、ドクターブレーディング、ワイヤバーコーティング、噴霧若しくは浸漬コーティングまたは他の公知の方法により付着させる。好適なパーフルオロ溶媒は、たとえばFC75(登録商標)(Acros製、カタログ番号12380)である。他の好適なフルオロポリマー及びフルオロ溶媒は、たとえばパーフルオロポリマーTeflon AF(登録商標)1600若しくは2400(Dupont 製)またはFluoropel(登録商標)(Cytonix製)またはパーフルオロ溶媒FC 43(登録商標)(Acros製、No.12377)など、当業界で公知である。
【0173】
明らかに記載しない限り、本明細書中で使用する用語の複数形は、単数形も含むと解釈すべきであり、また単数形は複数形も含むと解釈すべきである。
本明細書の記載及び請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」及びその変形、たとえば「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、且つ他の成分を排除するものではない(排除しない)。
【0174】
本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の上記態様に対する変形が可能であると理解されよう。他に記載しない限り、本明細書中に記載されたそれぞれの特徴は、同一、等価または同様の目的を提供する別の特徴によって置き換えることができる。かくして他に記載しない限り、開示されたそれぞれの特徴は、等価または同様の特徴の包括的なシリーズの単なる一例にすぎない。
【0175】
本明細書中に開示された特徴の全ては、その特徴及び/または段階の少なくとも幾つかを相互に排除する組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての側面に適用可能であり,且つ任意の組み合わせで使用することができる。同様に、非本質的な組み合わせで記載された特徴は個別に(組み合わせずに)使用することができる。
【0176】
上記の特徴、特に好ましい態様の多くは、それ自体独創的であり、本発明の態様の単なる一部としてではないと考えられよう。現在請求されている全ての発明に加えて、またはこの代わりに、これらの特徴に関して独立の保護が求めることができる。
【0177】
本発明を、本発明の範囲の単なる例示であって、本発明の範囲を限定するものではない、以下の実施例を参照して詳細に記載する。
実施例
実施例1
化合物(1)は以下のようにして製造した:
【0178】
【化26】

【0179】
段階1−1:チオフェン-3-カルボン酸ジメチルアミド
3-チオフェンカルボン酸(20.0g,156.1mmol)をDCM(250ml)に溶解し、続いてDMAP(0.5g)、N,N-ジメチルアミン塩酸塩(12.72g,156.1mmol)及びDCC(32.21g,156.1mmol)を室温で攪拌しながら添加する。10分後、トリエチルアミン(50ml)をゆっくりと添加する。この得られた混合物を室温で一晩(15時間)攪拌する。沈殿物を濾別し、濾液と減圧下で蒸発させる。残渣をガソリン(petrol)/酢酸エチル(9:1〜3:2)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、薄黄色油状物が得られる(19.71g,81%)。
【0180】
【数2】

【0181】
段階1.2:2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸ジメチルアミド
DMF中のチオフェン-3-カルボン酸ジメチルアミド(6.26g,40.3mmol)の溶液に、N-ブロモスクシンイミド(15.95g,88.7mmol)を室温で添加する。この混合物を光の非存在下で2時間攪拌し、水(200ml)に注ぎ、生成物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。有機層を合わせ、水(3×150ml)、塩水(150ml)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を減圧下で除去する。残渣をガソリン/酢酸エチル(9:1〜4:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、黄色油状物が得られる(10.05g,80%)。
【0182】
【数3】

【0183】
段階1.3:2,6-ジブロモ-1,5-ジチア-s-インダセン-2,8-ジオン
無水ジエチルエーテル(70ml)中の2,5-ジブロモチオフェン-3-カルボン酸ジメチルアミド(8.03g,25.7mmol)の溶液に、BuLi(ヘキサン中2.5M,10ml,25.0mmol)を窒素下、攪拌しながら−78℃で滴下添加する。添加完了後、反応混合物を室温に放置して温め、さらに1時間攪拌してから、飽和塩化アンモニウム溶液中に注ぐ。沈殿物を濾過により集め、ジエチルエーテルで洗浄すると、黄色い固体が得られ、これをアセトニトリル/THFで再結晶化すると、黄色い結晶が得られる(2.79g,58%)。
【0184】
【数4】

【0185】
段階1.4:2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン
1,4-ジオキサン(150ml)中のトリイソプロピルシリルアセチレン(1.77g,9.7mmol)の溶液に、室温でn-BuLi(ヘキサン中1.60M,5.5ml,8.8mmol)を滴下添加する。この溶液を10分間攪拌し、続いて2,6-ジブロモ-1,5-ジチア-s-インダセン-4,8-ジオン(3.34g,8.8mmol)を添加する。得られた混合物を一晩(〜15時間)環流下で加熱する。冷却後、固体SnCl2(7.0g)、続いて濃HCl溶液(15ml)を添加し、混合物を1時間攪拌する。沈殿を濾過により集め、ジエチルエチルで洗浄すると、白色固体状の生成物が得られる(2.66g,42%)。
【0186】
【数5】

【0187】
段階1.5:2,6-ジフェニル-4,8-ビス[(トリスイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン
20mlのマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.43g,0.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いてフェニルボロン酸(0.17g,1.39mmol)と炭酸カリウム溶液(0.77g,9.2mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間、脱気し、次いでマイクロ波反応器(Personal Chemistry Creator)中、100℃で120秒間、120℃で120秒間、及び140℃で600秒間加熱する。この混合物を水に注ぎ、次いで酢酸エチル(3×50ml)で抽出する。合わせた有機層を水及び塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を減圧下で除去する。残渣は、ガソリン/酢酸エチル(10:1〜9:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、黄色固体が得られ、これを石油エーテル(沸点80〜100℃)で再結晶すると、黄色結晶が得られる(0.39g,91%)。
【0188】
【数6】

【0189】
実施例2
化合物(2)、2,6-ビスベンゾ(b)チオフェン-2-イル-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセンは以下のようにして製造する。
【0190】
【化27】

【0191】
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.19g,0.27mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(8ml)、続いてベンゾ(b)チオフェン-2-ボロン酸(0.15g,0.84mml)と炭酸カリウム溶液(0.9g,6.52mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器(Personal Chemistry Creator)中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で720秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、10分間攪拌する。沈殿を濾過により集め、水及びジエチルエーテルで洗浄すると、黄色固体が得られる(0.18g,82%)。
【0192】
【数7】

【0193】
実施例3
化合物(3)、2,6-ジチオフェン-2-イル-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセンは以下のようにして製造する。
【0194】
【化28】

【0195】
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.25g,0.35mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いてチオフェン-2-ボロン酸(0.19g,1.48mml)と炭酸カリウム溶液(0.60g,4.4mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で720秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、次いで酢酸エチルで抽出する(3×50ml)。合わせた有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒は減圧下で除去する。残渣を石油/酢酸エチル(10:1〜9:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、黄色固体が得られ、これを石油(沸点80〜100℃)で再結晶すると、黄色結晶が得られる(0.17g,68%)。
【0196】
【数8】

【0197】
実施例4
化合物(4)は以下のようにして製造する。
【0198】
【化29】

【0199】
段階4.1:4,4,5,5-テトラメチル-2-(チエノ[3,2-b]チオフェン-2-イル)[1,3,2]-ジオキサボロラン
THF(70ml)中のチエノ[3,2-b]チオフェン(4.08g,29.1mmol)の溶液に、N2下、−78℃でBuLi(ヘキサン中2.5M,10.5ml,26.3mmol)を攪拌しながら滴下添加する。添加完了後、混合物を同一温度で30分間攪拌し、続いて2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル[1,3,2]ジオキソボロラン(4.89g,26.3mmol)を添加する。この混合物を室温に放置して温め、一晩(〜15時間)攪拌し、続いて飽和塩化アンモニウム溶液に注ぐ。生成物を酢酸エチル(3×70ml)で抽出する。抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥する(Na2SO4)。溶媒を減圧下で除去し、残渣をアセトニトリルで再結晶すると、深い青色の結晶が得られる(5.14g,73%)。
【0200】
【数9】

【0201】
段階4.2:2,6-ビス(チエノ[3,2-b]チオフェン-2-イル)-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)-エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.20g,0.28mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いて4,4,5,5-テトラメチル-2-(チエノ[3,2-b]チオフェン-2-イル)-[1,3,2]-ジオキサボロラン(0.23g,0.86mml)と炭酸カリウム溶液(0.48g,3.5mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で900秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、沈殿を濾過により集め、THFで溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、茶色い固体が得られ、これをTHF/アセトニトリルで再結晶すると、茶色結晶が得られる(0.19g,83%)。
【0202】
【数10】

【0203】
実施例5
化合物(5)、2,6-ビス(フェニルビニル)-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)-エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセンは以下のようにして製造する。
【0204】
【化30】

【0205】
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.20g,0.28mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いてトランス-2-フェニルビニルボロン酸(0.13g,0.88mml)と炭酸カリウム溶液(0.5g,3.5mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器(Personal Chemistry Creator)中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で900秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、10分間攪拌する。沈殿を濾過により集め、THFで溶出するカラムクロマトグラフィーで精製すると、茶色固体が得られ、これをTHF/アセトニトリルで再結晶すると、茶色結晶が得られる(0.15g,71%)。
【0206】
【数11】

【0207】
実施例6
化合物(6)は、以下のようにして製造する。
【0208】
【化31】

【0209】
段階6.1:2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリエチルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン
1,4-ジオキサン(200ml)中のトリエチルシリルアセチレン(7.70g,53.2mmol)の溶液に、室温でn-BuLi(ヘキサン中1.60M,33.2ml,53.1mmol)を滴下添加する。この溶液を30分間攪拌し、続いて2,6-ジブロモ-1,5-ジチア-s-インダセン-4,8-ジオン(4.01g,10.6mmol)を添加する。得られた混合物を一晩(〜17時間)環流下で加熱する。冷却後、固体SnCl2(10.0g)、続いて濃HCl溶液(15ml)を添加し、混合物を1時間攪拌する。水を添加し、沈殿を濾過により集め、アセトニトリルで洗浄すると、茶色固体状の生成物が得られる(3.2g,49%)。
【0210】
【数12】

【0211】
段階6.2:2,6-ビスベンゾ(b)チオフェン-2-イル-4,8-ビス[(トリエチルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.31g,0.50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いてベンゾ(b)チオフェン-2-ボロン酸(0.26g,1.46mml)と炭酸カリウム溶液(0.8g,5.80mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器(Personal Chemistry Creator)中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で900秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、10分間攪拌する。沈殿を濾過により集め、水とジエチルエーテルで洗浄すると、赤い固体が得られる(0.27g,75%)。
【0212】
【数13】

【0213】
実施例7
化合物(7)、2,6-ビス(フェニルビニル)-4,8-ビス[(トリエチルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセンは以下のようにして製造する。
【0214】
【化32】

【0215】
20mlマイクロ波反応管に、2,6-ジブロモ-4,8-ビス[(トリイソプロピルシラニル)エチニル]-1,5-ジチア-s-インダセン(0.31g,0.50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.05g)及びTHF(10ml)、続いてトランス-2-フェニルビニルボロン酸(0.23g,1.6mml)と炭酸カリウム溶液(0.8g,5.80mmol,3ml水中)を添加する。この反応混合物を窒素で5分間脱気し、次いでマイクロ波反応器(Personal Chemistry Creator)中、100℃で120秒、120℃で120秒、及び140℃で900秒間加熱する。混合物を水に注ぎ、10分間攪拌する。沈殿を濾過により集め、水とジエチルエーテルで洗浄すると、赤い固体が得られ、これをTHF/アセトニトリルで再結晶すると、赤い結晶が得られる(0.18g,55%)。
【0216】
【数14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物{式中、
Xは、SまたはSeであり、
Rはそれぞれの場合において互いに独立してR3または−SiR’R”R”’であり、
Ar1及びAr2は互いに独立して、一つ以上のR3により場合により置換されるアリール若しくはヘテロアリール基であるか、または-CX1=CX2-若しくは-C≡C-を示す、
a及びbは互いに独立して1、2、3、4または5であり、
R1、R2及びR3は互いに独立してH、ハロゲンまたは、非置換であるか、またはF、Cl、Br、I若しくはCNにより一置換若しくは多置換されていてもよい、1〜40個のC原子をもつ直鎖、分岐または環式アルキルであり、一つ以上の非隣接CH2基は、O及び/またはS原子が互いに直接結合しないように、それぞれ互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-SiR0R00-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-若しくは-C≡C-により置き換えられることも可能であり、または場合により置換されたアリール若しくはヘテロアリール、またはP-Sp-である、
Pは、重合可能な基または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
X1及びX2は、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
R0及びR00は、互いに独立してHまたは1〜12個のC原子をもつアルキルであり、及び
R’、R”及びR”’は、H、直鎖、分岐または環式C1-C40-アルキルまたはC1-C40-アルコキシ、C6-C40-アリール、C6-C40-アリールアルキルまたはC6-C40-アリールアルキルオキシから選択される同一または異なる基であり、ここでこれら全ての基は場合により一つ以上のハロゲン原子により置換されている}。
【請求項2】
R’、R”及びR”’はそれぞれ独立して、場合により置換されたC1-C10-アルキル及び場合により置換されたC6-C10-アリールから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar1及びAr2は互いに独立してフェニルから選択され、ここでさらに一つ以上のCH基は、N、ナフタレン、ピリジン、ナフタレン-2-イル、チオフェン-2-イル、チエノ[2,3b]チオフェン-2-イル、ベンゾ(b)チオフェン-2-イルによって置換されていてもよく、これらは全て場合により、Lにより一置換若しくは多置換されており、ここでLはF、Cl、Brまたは、1〜12個のC原子をもつアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ若しくはアルコキシカルボニル基であり、ここで一つ以上のH原子は場合によりFまたはClにより置き換わっていてもよいことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R1、R2及びR3は、一つ以上のフッ素原子で場合により置換されているC1-C20-アルキル、C1-C20-アルケニル、C1-C20-アルキニル、C1-C20-チオアルキル、C1-C20-シリル、C1-C20-エステル、C1-C20-アミノ、C1-C20-フルオロアルキル及び、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されることを特徴とする、請求項1〜3の一つ以上に記載の化合物。
【請求項5】
Ar1及びAr2は、P-Sp-を示す少なくとも一つの基R3により置換されていることを特徴とする、請求項1〜4の一つ以上に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

{式中、X、R3、R’、R”及びR”’は、請求項1に与えられた意味を有し、ここでベンゼン環及びチオフェン環は、請求項1に定義の一つ以上のR3で場合により置換されている}から選択されることを特徴とする、請求項1〜5の一つ以上に記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも一つの重合可能な基を含む請求項1〜6の一つ以上に記載の一種以上の化合物と、場合によりさらに一つ以上の重合可能な化合物とを含む、重合可能なメソゲンまたは液晶材料。
【請求項8】
請求項7に従った重合可能な液晶材料(materialline)を液晶相に巨視的に均一配向に配列させ、前記材料を重合または架橋させてその配向状態を固定することにより得ることが可能な異方性ポリマーフィルム。
【請求項9】
請求項1〜6の一つ以上に記載の一種以上の化合物、一種以上の溶媒、及び場合により一種以上の有機バインダーとを含む配合物。
【請求項10】
一種以上の半導体バインダーを含むことを特徴とする、請求項9に記載の配合物。
【請求項11】
電子、光学または電子光学部品またはデバイスにおける請求項1〜10の一つ以上に記載の化合物、材料、ポリマーまたは配合物の使用。
【請求項12】
請求項1〜10の一つ以上に記載の一種以上の化合物、材料、ポリマーまたは配合物を含む電子、光学または電子光学部品またはデバイス。
【請求項13】
有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄層トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)の部品、無線自動識別(radio frequency identification)(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、電界発光ディスプレイ、平面パネルディスプレイ、バックライト、光検出器、センサ、論理回路、記憶素子、キャパシタ、太陽電池(PV)、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板若しくはパターン、光伝導体または電子写真用素子であることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
酸化的または還元的にドープして導電性イオン種を形成することを特徴とする、請求項1〜8の一つ以上に記載の化合物、材料またはポリマー。
【請求項15】
請求項14に記載の化合物、材料またはポリマーを含む、電子用途または平面パネルディスプレイ用の電荷注入層、平坦化層、帯電防止フィルムまたは伝導性基板若しくはパターン。
【請求項16】
a1)4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオン、若しくは4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジセレノフェン-4,8-ジオンを、ヒンダードリチウムアミド塩基との二重リチオ化に、続いて臭素の求電子性供給源との反応に供するか、または
a2) 2,5-ジブロモ-3-チオフェンカルボン酸ジアルキルアミド、若しくは2,5-ジブロモ-3-セレノフェンカルボン酸ジアルキルアミドとそれぞれ、有機リチウム若しくは有機マグネシウム試薬との反応により、2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン-4,8-ジオン、若しくは2,6-ジブロモ-4,8-デヒドロベンゾ「1,2-b:4,5-b’」ジセレノフェン-4,8-ジオンを合成する、及び
b)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールボロン酸若しくはエステル、アリール有機スズ試薬、アリール有機亜鉛試薬または有機マグネシウム試薬との標準Suzuki、Stille、Negishi若しくはKumadaカップリングによりアリール若しくはヘテロアリール基を、段階a1)若しくはa2)の生成物の2,6-位置に導入する、及び
c)段階b)の生成物と過剰量の好適なアルキル、アルケニル若しくはアルキニル有機リチウムまたは有機マグネシウム試薬とを反応させ、続いて得られたジオール中間体を還元することにより、段階b)の生成物の4,8-位置にアルキニル基、アルケニル若しくはアルキル基を導入する、または
b1)段階a1)若しくはa2)の生成物と過剰量の好適なアルキル、アルケニル若しくはアルキニル有機リチウム若しくは有機マグネシウム試薬とを反応させ、続いて得られたジオール中間体を還元することにより、段階a1)若しくはa2)の生成物の4,8-位置にアルキニル基、アルケニル若しくはアルキル基を導入する、及び
c1)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールボロン酸若しくはエステル、アリール有機スズ試薬、アリール有機亜鉛試薬または有機マグネシウム試薬との標準Suzuki、Stille、Negishi若しくはKumadaカップリングにより段階b1)の生成物にアリール若しくはヘテロアリール基を導入する、または
d)好適なパラジウム若しくはニッケル触媒の存在下で、それぞれアリールアルケン基、アリールアルキン基若しくはアリールアルケニルボロン酸若しくはエステルとの標準Heck、Sonogashira、若しくはSuzukiカップリングによりアルケニル若しくはアルキニルアリール若しくはヘテロアリール基を、段階b1)の生成物の2,6-位置に導入する、各段階による、請求項1〜6の一つ以上に記載の化合物の製造法。

【公表番号】特表2010−502570(P2010−502570A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521127(P2009−521127)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005797
【国際公開番号】WO2008/011957
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】