説明

置換2−アミノアセトアミドおよびその使用

【課題】ナトリウム(Na+)チャンネルの遮断薬の提供。
【解決手段】特定の置換基により置換された置換2−アミノアセトアミド、またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグ。具体例としては2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド、2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド等が挙げられる。これらの化合物は、全体的および限局的虚血に続いた神経細胞損傷の処置、神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS))の処置または予防、痛みの処置、予防または改善、抗痙攣薬として、抗うつ抑制剤として、局所麻酔薬として、抗不整脈薬として、および糖尿病性神経障害の処置および予防薬として、用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、薬物化学の分野である。特に、本発明は、置換2−アミノアセトアミドおよびこれらの化合物がナトリウム(Na+)チャンネルの遮断薬として作用することの発見に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連した背景技術)
数種の治療的に有用な薬剤(これには、局所麻酔薬(例えば、リドカインおよびブピバカイン)、抗不整脈薬(例えば、プロパフェノンおよびアミオクラロン(amioclarone))、および抗痙攣薬(例えば、ラモトリジン(lamotrigine)、フェニトインおよびカルバマゼピン)が挙げられる)は、Na+チャンネル活性を遮断または調節することによる共通の作用機構を共有することが明らかになっている(非特許文献1)。これらの試薬の各々は、Na+イオンの急速な流入を妨害することにより作用すると考えられている。
【0003】
最近では、他のNa+チャンネル遮断薬(例えば、BW619C89およびリファリジン(lifarizine))は、全体的および限局的虚血の動物モデルにおいて、神経保護性であることが明らかとなっており、現在、臨床試験中である(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。
【0004】
Na+チャンネル遮断薬の神経保護活性は、興奮毒性アミノ酸神経伝達物質の放出の阻害により、虚血中の細胞外グルタメート濃度を低下することにおけるそれらの有効性に起因する。研究により、グルタミン酸レセプターアンタゴニストとは異なり、Na+チャンネル遮断薬は、哺乳動物の白質に対する低酸素損傷を防止することが明らかとなっている(非特許文献6)。それゆえ、それらは、ある種の発作または神経細胞外傷(この場合、白質路に対する損傷が顕著である)を処置することに対して、利点を与え得る。
【0005】
Na+チャンネル遮断薬の臨床用途の他の例には、リルゾール(riluzole)がある。この薬剤は、ALSを有する患者のサブセットにおいて、生存率を延ばすことが明らかとなっており(非特許文献7)、引き続いて、ALSの処置について、FDAにより認可された。前記臨床用途に加えて、カルバマゼピン、リドカインおよびフェニトインは、時折、神経障害性の痛み(例えば、三叉神経痛、糖尿病性神経障害および他の形状の神経損傷に由来の痛み)を処置するのに使用されており(非特許文献8)、また、カルバマゼピンおよびラモトリジン(lamotrigine)は、躁鬱病の治療に使用されている(非特許文献9)。
【0006】
電位感受性のNa+チャンネルにおいて、神経毒性を特異的に結合する少なくとも5個または6個の部位が存在することが立証されている(非特許文献10)。研究により、さらに、治療的な抗不整脈薬、抗痙攣薬および局所麻酔薬(それらの作用は、Na+チャンネルで媒介される)は、Na+チャンネルの細胞内側と相互作用して、アロステリックとして、神経毒性レセプター部位2との相互作用を阻害することにより、それらの作用を発揮することが明らかとなった(非特許文献11)。
【0007】
特許文献1および特許文献2は、式Iにより表わされる2−(4−置換)−ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド誘導体を開示している:
【0008】
【化7】

ここで、nは、0〜3である;Xは、O、S、CH2またはNHである;RおよびR1の各々は、独立して、水素、C16アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C14アルコキシ、またはトリフルオロメチルである;R2、R3およびR4の各々は、独立して、水素、C16アルキルまたはC37シクロアルキルである。これらの化合物は、パーキンソン病の処置における抗てんかん薬として、また、神経保護薬(これは、例えば、発作、低酸素症、虚血、CNS外傷、低血糖症または手術に付随した神経細胞損失を防止または処置する)として、および神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症候群、ハンチントン舞踏症、後天性免疫不全症候群(AIDS)により引き起こされる痴呆、脳における梗塞性痴呆および感染または炎症)を処置または予防するのに有用であると開示されている;それらはまた、抗うつ薬、睡眠薬および鎮痙薬として、および眼球損傷および網膜症を処置するのに使用できる。しかしながら、それらの作用機構は、開示されていなかった。
【特許文献1】国際公開第90/14334号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/05102号パンフレット
【非特許文献1】Catterall,W.A.,Trends Pharmacol.Sci.(1987)8:57〜65
【非特許文献2】Grahamら、J.Pharmacol.Exp.Ther.(1994)269:854〜859
【非特許文献3】Brownら、British J. Pharmacol.(1995)115:1425〜1432
【非特許文献4】SCRIP (1993)1870:8
【非特許文献5】SCRIP (1992)1773:14
【非特許文献6】Stysら、J.Neurosci.(1992)12:430〜439
【非特許文献7】Bensimmら、New Engl.J.Med.(1994)330:585〜591
【非特許文献8】TaylorおよびMeldrum,Trends Pharmacol.Sci.(1995)16:309〜316
【非特許文献9】Denicottら、J.Clin.Psychiatry (1994)55:70〜76
【非特許文献10】Catterall,W.A.,Science (1988)242:50〜61
【非特許文献11】Catterall,W.A.Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.(1980)10:15〜43
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、ナトリウムチャンネルの過剰な活性を受けている哺乳動物において、式Iの化合物の有効量を投与することにより、該チャンネルの遮断に応答する障害を処置することに関係している。本発明はまた、ナトリウムチャンネルの遮断に応答する障害に罹っている哺乳動物において、本明細書中で記述した式IIの化合物の有効量を投与することにより、この障害を処置することに関係している。
【0010】
本発明はまた、全体的および限局的虚血に続いた神経細胞損傷の処置、および神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS))の処置または予防、抗うつ抑制剤として、局所麻酔薬として、抗不整脈薬として、および糖尿病性神経障害の処置および予防、および痛み(慢性の痛みを含む)の処置に対する、式IまたはIIの化合物の使用に関する。
【0011】
本発明はまた、式IIの新規な置換2−アミノアセトアミドを調製するプロセスに関する。
【0012】
本発明の第一の局面は、ナトリウムチャンネルの遮断薬としての式IまたはIIの化合物の使用に関する。
【0013】
本発明の第二の局面は、以下の処置が必要な哺乳動物に、式IまたはIIの化合物を投与することにより、全体的および限局的虚血に続いた神経細胞損失を処置、予防または改善する;痛み(慢性の痛みを含めて)を処置、予防または改善する;神経変性疾患を処置、予防または改善する;躁鬱病を処置、予防または改善する;局所麻酔を誘発する;および不整脈を処置する方法を提供する。
【0014】
本発明の範囲内の多数の化合物は、新規化合物である。従って、本発明の第三の局面は、式IIの新規化合物を提供すること、また、痙攣を処置、予防または改善するためにこれらの新規化合物を使用することにある。
【0015】
本発明の第四の局面は、ナトリウムチャンネルの遮断に応答する障害を処置するのに有用な薬学的組成物を提供することにあり、この組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤との混合物中にて、式IまたはIIの化合物の有効量を含有する。
【0016】
本発明の第五の局面は、式IIの新規化合物を調製する方法に関する。
【0017】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)哺乳動物における痛みを処置または改善する方法であって、該方法は、このような処置が必要な哺乳動物に、式IIを有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグの有効量を投与することを包含する:
【化1】


1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;
5、R6およびR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルであるか、またはR5は、上記のように定義され、そしてR6およびR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成する;
1およびA2は、独立して、アリール、ヘテロアリール、飽和または部分不飽和炭素環あるいは飽和または部分不飽和複素環であり、それらのいずれかは、必要に応じて、置換されている;
Xは、1個またはO、S、NR8、CH2、C(O)、NR8(CO)、C(O)NR8、SO、SO2または共有結合である;ここで、
8は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;そして
nは、0、1、2または3である、
方法。
(項目2)A1およびA2が、共に、必要に応じて、アリール部分で置換されている、項目1に記載の方法。
(項目3)A1およびA2が、フェニル部分であり、A2が、必要に応じて、水素、C16アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C14アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている;
1およびR2が、水素である;
3およびR4が、メチルである;
5、R6およびR7が、独立して、水素、C16アルキルまたはC37シクロアルキルである;そして
Xが、O、S、CH2またはNHである、
項目1に記載の方法。
(項目4)前記化合物が、以下からなる群から選択される、項目1に記載の方法:
2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘキシルオキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−アダマンタノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ニトロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−テトラヒドロピラノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−メチルフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5−インダノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘプトキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(1−メチル−4−ピペリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(エキソ−2−ノルボルノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−(4−フルオロフェノキシ)−5−ピリジルメチルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ピリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−ピリミジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−キノリノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ジフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド;および
2−(4−トリフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド。
(項目5)全体的および限局的虚血に続いた神経細胞損失を処置、予防または改善する;神経変性疾患を処置、予防または改善する;痛みを処置、予防または改善する;躁鬱病を処置、予防または改善する;局所麻酔を与える;または不整脈を処置する方法であって、該方法は、このような処置が必要な哺乳動物に、式IIを有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグの有効量を投与することを包含する:
【化2】


ここで、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;
5、R6およびR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルであるか、またはR5は、上記のように定義され、そしてR6およびR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成する;
1およびA2は、独立して、アリール、ヘテロアリール、飽和または部分不飽和炭素環あるいは飽和または部分不飽和複素環であり、それらのいずれかは、必要に応じて、置換されている;
Xは、1個またはO、S、NR8、CH2、C(O)、NR8(CO)、C(O)NR8、SO、SO2または共有結合である;ここで、
8は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;そして
nは、0、1、2または3である;
但し、Xが、O、S、CH2またはNHであり、R1およびR2が、水素であり、R3およびR4が、メチルまたはエチルのとき、A1およびA2は、両方がフェニルになることはない、
方法。
(項目6)前記方法が、痛みを処置、予防または改善するためにあり、該痛みが、神経障害性痛み、外科的痛みまたは慢性の痛みの1つである、項目5に記載の方法。
(項目7)A1およびA2が、フェニル部分であり、A1が、必要に応じて、水素、C16アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C14アルコキシおよびトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1個または2個の置換基により置換される;
1およびR2が、水素である;
3およびR4が、メチルである;
5、R5およびR6が、独立して、水素、C16アルキルまたはC37シクロアルキルである;そして
Xが、O、S、CH2またはNHである、項目6に記載の方法。
(項目8)A1が、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたアリール基であり、そしてA2が、ピリジル、ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、フラニル、チオフェニル、ナフチル、キノリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチルおよびキノキサリニルからなる群から選択される必要に応じて置換されたヘテロアリール基またはアリール基である、項目5に記載の方法。
(項目9)A1が、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたアリール基であり、そしてA2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、シクロヘキセニル、アダマンチル、エキソ−ノルボルニルおよびシクロペンテニルからなる群から選択される必要に応じて置換された炭素環または複素環である、項目5に記載の方法。
(項目10)式IIを有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグ:
【化3】


1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;
5、R6およびR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルであるか、またはR5は、上記のように定義され、そしてR6およびR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成する;
1およびA2は、独立して、アリール、ヘテロアリール、飽和または部分不飽和炭素環あるいは飽和または部分不飽和複素環であり、それらのいずれかは、必要に応じて、置換されている;
Xは、1個またはO、S、NR8、CH2、C(O)、NR8(CO)、C(O)NR8、SO、SO2または共有結合である;ここで、
8は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;そして
nは、0、1、2または3である;
但し、Xが、O、S、CH2またはNHであり、R1およびR2が、水素であり、R3およびR4が、メチルまたはエチルのとき、A1およびA2は、両方がフェニルになることはない、
化合物。
(項目11)A1が、フェニルまたはナフチルであり、必要に応じて、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロゲンで置換されており、
2が、ピリジニル、ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、キノリニル、キノキサリニルまたはナフチルであり、必要に応じて、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロゲンで置換されており、そして
Xが、OまたはSである、項目10に記載の化合物。
(項目12) A1が、ピリジニル、ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、キノリニル、フラニル、チオフェニルまたはナフチルであり、必要に応じて、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロゲンで置換されており、そして
2が、フェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニルまたはナフチルであり、必要に応じて、水素、アルキル、ハロアルキルまたはハロゲンで置換されている、項目10に記載の化合物。
(項目13)式IIIまたは式IVを有する、項目10に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグ:
【化4】


ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、n、A1およびA2は、項目10に関して先に定義したとおりである;そして
9、R10、R11およびR12は、独立して、水素、ハロ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、飽和または部分不飽和複素環、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミドまたはアルキルチオールである;または
9およびR10またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;
但し、A2が、必要に応じて、フェニルで置換されているとき、R9およびR10またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;
13、R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、飽和または部分不飽和複素環、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミドまたはアルキルチオールである;または
13およびR14、またはR14およびR15、またはR15およびR16、またはR16およびR17の1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;
但し、A1が、必要に応じて、フェニルで置換されているとき、R13およびR14、またはR14およびR15、またはR15およびR16、またはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する。
(項目14)式Vまたは式VIを有する、項目13に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグ:
【化5】


ここで、R1〜R7、R9〜R12、R13〜R17、nおよびXは、項目13に関して先に定義したとおりである;そして
A、B、C、DおよびEは、独立して、窒素または炭素であるが、但し、A、B、C、DおよびEの3個以下は、窒素であり、そして置換基は、該A、B、C、DまたはEが窒素を表わすときにA、B、C、DまたはE上に存在する酸素以外(該窒素がN−オキシドとして存在するとき)存在しない。
(項目15)式VIIまたは式VIIIを有する、項目13に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグ:
【化6】


ここで、R1〜R7、R9〜R12、R13〜R17、nおよびXは、項目13に関して先に定義したとおりである;そして
1は、必要に応じて置換された飽和または部分不飽和炭素環あるいは必要に応じて置換された飽和または部分不飽和複素環である;
2は、必要に応じて置換された飽和または部分不飽和炭素環あるいは必要に応じて置換された飽和または部分不飽和複素環である。
(項目16)B1が、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニルまたはピペリジニルである、項目15に記載の化合物。
(項目17)B2が、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニルまたはピペリジニルである、項目15に記載の化合物。
(項目18)前記化合物が、以下である、項目10に記載の化合物:
2−(4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘキシルオキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−アダマンタノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ニトロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−テトラヒドロピラノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−メチルフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5−インダノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘプトキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(1−メチル−4−ピペリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(エキソ−2−ノルボルノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−(4−フルオロフェノキシ)−5−ピリジルメチルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ピリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−ピリミジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−キノリノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ジフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド;および
2−(4−トリフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド。
(項目19)項目10〜18のいずれか1項に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含有する、薬学的組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式IおよびIIの化合物がNa+チャンネル遮断薬として作用することの発見から生じる。この発見を考慮すると、式IおよびIIの化合物は、ナトリウムイオンチャンネルの遮断に応答する障害を処置するのに有用である。
【0019】
本発明のこの局面で有用な化合物は、式IIにより表わされる置換された2−アミノアセトアミドまたはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグである:
【0020】
【化8】

ここで、R1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;
5、R6およびR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルであるか、またはR5は、上記のように定義され、そしてR6およびR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環を形成する;
1およびA2は、独立して、アリール、ヘテロアリール、飽和または部分不飽和炭素環あるいは飽和または部分不飽和複素環であり、それらのいずれかは、必要に応じて、置換されている;
Xは、1個またはO、S、NR8、CH2、C(O)、NR8C(O)、C(O)NR8、SO、SO2または共有結合である;ここで、
8は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;そして
nは、0、1、2または3である。
【0021】
式IIの範囲内の入る好ましい化合物には、以下である化合物が挙げられる:A1およびA2は、共にアリール部分(好ましくは、共に、フェニル部分)であって、これらは、それぞれ、必要に応じて、独立して、ハロゲン、ニトロ、アミノ、C16アルキル、C38シクロアルキル、シアノ、C16アルコキシまたはC610アリールオキシからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されている;R1は、水素、C16アルキル、C38シクロアルキルまたはC610アリールである;OまたはS。
【0022】
式IIの範囲内の入る好ましい化合物にはまた、以下である化合物が挙げられる:A1は、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたアリール基であり、そしてA2は、ピリジル、ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、フラニル、チオフェニル、ナフチル、キノリル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、ビフェニルメチル、トリフェニルメチルおよびキノキサリニルからなる群から選択される必要に応じて置換されたヘテロアリール基またはアリール基である。
【0023】
式IIの範囲内の入る好ましい化合物にはまた、以下である化合物が挙げられる:A1は、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたアリール基であり、そしてA2は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、シクロヘキセニル、アダマンチル、エキソ−ノルボルニルおよびシクロペンテニルからなる群から選択される必要に応じて置換された炭素環または複素環である。
【0024】
式IIの範囲内の入る追加の好ましい化合物には、以下である化合物が挙げられる:A1は、ピリジル、ピリミジニル、1,3,5−トリアジニル、ナフチル、キノリル、フラニルおよびチオフェニルからなる群から選択される必要に応じて置換されたヘテロアリール基またはアリール基であり、そしてA2は、フェニル、フラニル、チオフェニル、キノリニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたヘテロアリール基またはアリール基である。
【0025】
式IIの範囲内の入る追加の好ましい化合物には、以下である化合物が挙げられる:A1は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルからなる群から選択される必要に応じて置換された飽和または部分不飽和炭素環あるいは複素環であり、そしてA2は、フェニル、フラニル、チオフェニル、キノリニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチルおよびナフチルからなる群から選択される必要に応じて置換されたアリールまたはヘテロアリール基である。
【0026】
本発明の方法で使用され得る代表的な好ましい化合物には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘキシルオキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−アダマンタノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ニトロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−テトラヒドロピラノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−メチルフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5−インダノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘプトキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(1−メチル−4−ピペリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(エキソ−2−ノルボルノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−(4−フルオロフェノキシ)−5−ピリジルメチルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ピリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−ピリミジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−キノリノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ジフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド;および
2−(4−トリフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド。
【0027】
式IおよびIIの化合物は、ナトリウム(Na+)チャンネルの遮断薬であるので、ナトリウムイオン流出により媒介される多数の病気および疾患は、これらの化合物を使用すると処置できる。従って、本発明は、発作、全体的および限局的虚血、CNS外傷、低血糖症および手術、脊髄外傷に付随した神経細胞損失を処置、予防または改善する方法だけでなく、神経変性疾患(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病を含めて)を処置または改善する方法、不安、痙攣、緑内障、偏頭痛および筋痙攣を処置または改善する方法に関係している。式IおよびIIの化合物はまた、抗うつ抑制剤として、局所麻酔薬として、抗不整脈薬としてだけでなく、痛み(手術の痛み、慢性の痛みおよび神経障害性の痛み)を処置、予防または改善するのに有用である。各場合において、本発明の方法は、このような処置が必要な動物に、本発明のナトリウムチャンネル遮断薬またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグの有効量を投与することが必要である。
【0028】
本発明はまた、式IIの範囲内に入る新規化合物に関する。これらの化合物には、式IIの化合物であって、ここで:
1、R2、R3およびR4は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;
5、R6およびR7は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルであるか、またはR5は、上記のように定義され、そしてR6およびR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環(ピペリジン、ピペラジン、モルホリンを含む)を形成する;
1およびA2は、独立して、アリール、ヘテロアリール、飽和または部分不飽和炭素環あるいは飽和または部分不飽和複素環であり、それらのいずれかは、必要に応じて、置換されている;
Xは、1個またはO、S、NR8、CH2、C(O)、NR8(CO)、C(O)NR8、SO、SO2または共有結合である;ここで、
8は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたはカルボキシアルキルである;そして
nは、0、1、2または3である;
但し、Xが、O、S、CH2またはNHであり、R1およびR2が、水素であり、R3およびR4が、メチルであるとき、A1およびA2は、両方がフェニルになることはなく、A2は必要に応じて1個または2個の非水素置換基によって置換される。
【0029】
具体的には、好ましい置換2−アミノアセトアミドは、式III〜VIIIにより表わされる。特に、好ましい実施態様は、式IIIおよびIVにより表わされるか、またはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグである:
【0030】
【化9】

ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X、n、A1およびA2は、式IIに関して先に定義したとおりである;そして
9、R10、R11およびR12は、独立して、水素、ハロ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、飽和または部分不飽和複素環、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミドまたはアルキルチオールである;または
9およびR10またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;R9およびR10、またはR11およびR12が一緒になって形成する架橋構造の例には、−OCH2O−、−OCF2O−、−(CH23−、−(CH24−、−OCH2CH2O−、−CH2N(R18)CH2−、−CH2CH2N(R18)CH2−、−CH2N(R18)CH2CH2−および−CH=CH−CH=CH−である;ここで、R18は、水素、アルキルまたはシクロアルキルである;
但し、式III中のA2が、必要に応じて、フェニルで置換される場合、R9およびR10またはR11およびR12は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;
13、R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、ハロ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、飽和または部分不飽和複素環、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、カルボニルアミドまたはアルキルチオールである;または
13およびR14、またはR14およびR15、またはR15およびR16、またはR16およびR17の1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する;R13およびR14、またはR14およびR15、またはR15およびR16、またはR16およびR17が一緒になって形成する架橋構造の例には、−OCH2O−、−OCF2O−、−(CH23−、−(CH24−、−OCH2CH2O−、−CH2N(R18)CH2−、−CH2CH2N(R18)CH2−、−CH2N(R18)CH2CH2−および−CH=CH−CH=CH−である;ここで、R18は、水素、アルキルまたはシクロアルキルである;
但し、式IV中のA1が、必要に応じて、フェニルで置換されているとき、R13およびR14、またはR14およびR15、またはR15およびR16、またはR16およびR17は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環または複素環を形成する。
【0031】
式III中のA2の好ましい値(value)には、フラニル、チオフェニル、キノリニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチルおよびナフチルが挙げられる。
【0032】
式IV中のA1の好ましい値には、フラニル、チオフェニル、キノリニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、インダニル、テトラヒドロナフチルおよびナフチルが挙げられる。
【0033】
本発明の他の好ましい実施態様は、式Vおよび式VIにより表わされる置換2−アミノアセトアミドまたはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグを包含する:
【0034】
【化10】

ここで、R1〜R7、R9〜R12、R13〜R17、nおよびXは、式II、IIIおよびIVに関して先に定義したとおりである;そして
A、B、C、DおよびEは、独立して、窒素または炭素であるが、但し、A、B、C、DおよびEの3個以下は、窒素であり、そして置換基は、該A、B、C、DまたはEが窒素を表わすときにA、B、C、DまたはE上に存在する酸素以外(この窒素がN−オキシドとして存在するとき)存在しない。
【0035】
式Vの好ましい化合物には、A〜Eの1個、2個または3個が窒素であるものがある。式VIの好ましい化合物には、A〜Dの1個または2個が窒素であるものがある。
【0036】
本発明の他の好ましい実施態様には、式VIIおよび式VIIIにより表わされる置換2−アミノアセトアミドまたはその薬学的に受容可能な塩またはプロドラッグが挙げられる:
【0037】
【化11】

ここで、R1〜R7、R9〜R12、R13〜R17、nおよびXは、式II,IIIおよびIVに関して先に定義したとおりである;そして
1は、必要に応じて置換された飽和または部分不飽和炭素環または必要に応じて置換された飽和または部分不飽和複素環である;
2は、必要に応じて置換された飽和または部分不飽和炭素環または必要に応じて置換された飽和または部分不飽和複素環である。
【0038】
好ましいB1およびB2には、独立して、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニルおよびピペリジニルが挙げられる。
【0039】
一般に、式II〜VIIIの好ましい化合物には、R1およびR2が水素またはアルキル(さらに好ましくは、水素、メチルまたはエチル)であり、そしてR3およびR4が、独立して、水素またはC14アルキルである化合物がある。
【0040】
式II〜VIII中のXの好ましい値には、OおよびSがある。
【0041】
式II〜VIIIに関して、R5〜R7の好ましい値には、水素またはC14アルキルがある。
【0042】
式II〜VIIIに関して、R9〜R12およびR13〜R17の好ましい値には、水素、ハロ、C1〜C6ハロアルキル、C6〜C10アリール、C4〜C7シクロアルキル、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C6〜C10アリール(C1〜C6)アルキル、C6〜C10アリール(C2〜C6)アルケニル、C6〜C10アリール(C2〜C6)アルキニル、C1〜C6ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、C1〜C6アシルアミド、ヒドロキシ、チオール、C1〜C6アシルオキシ、アジド、C1〜C6アルコキシ、およびカルボキシが挙げられる。あるいは、R9およびR10またはR11およびR12、または2個の隣接しているR13〜R17は、−OCH2O−、−(CH23−、−(CH24−、−OCH2CH2O−、−CH2N(R18)CH2−、−CH2CH2N(R18)CH2−、−CH2N(R18)CH2CH2−および−CH=CH−CH=CH−からなる群から選択される架橋構造を形成できる(ここで、R18は水素またはC1〜C6アルキルである)。最も好ましくは、R9、R10、R11、R12の少なくとも1個、2個または3個は、水素である。最も好ましくは、R13〜R17の少なくとも1個、2個または3個は、水素である。
【0043】
本発明の新規処置方法に関して、置換2−アミノアセトアミド化合物の追加の好ましいサブセットには、以下である式IIの化合物が挙げられる:ここで、A1およびA2は、フェニル部分であり、A2は、水素、C16アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C14アルコキシ、またはトリフルオロメチルからなる群から独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている;R1およびR2の各々は、水素である;R3およびR4は、メチルである;そしてR5〜R7は独立して、C1-6アルキルまたはC37シクロアルキルである。
【0044】
本発明のこの局面で有用な化合物には、以下が挙げられる:
2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘキシルオキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−アダマンタノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ニトロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−テトラヒドロピラノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−メチルフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(5−インダノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−シクロヘプトキシベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(1−メチル−4−ピペリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(エキソ−2−ノルボルノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−(4−フルオロフェノキシ)−5−ピリジルメチルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(4−ピリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−ピリミジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(6−キノリノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−ジフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド;および
2−(4−トリフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチル−プロパンアミド。
【0045】
有用なアリール基には、C614アリール、特に、C610アリールがある。典型的なC614アリール基には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基、インデニル基、アズレニル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基およびフルオレニル基が挙げられる。
【0046】
有用なシクロアルキル基には、C38シクロアルキル基が挙げられる。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0047】
有用な飽和または部分飽和炭素環基には、上で定義したシクロアルキル基ならびにシクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニル)がある。
【0048】
有用なハロまたはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0049】
有用なアルキル基には、直鎖および分枝C110アルキル基、さらに好ましくは、C16アルキル基が挙げられる。典型的なC110アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、3−ペンチル、ヘキシルおよびオクチル基が挙げられる。また、本発明の化合物のベンゼン環上での2個の隣接する位置で置換されたトリメチレン基もまた、考慮される。
【0050】
有用なアルケニル基には、C26アルケニル基、好ましくは、C24アルケニルが挙げられる。典型的なC24アルケニル基には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルおよびsec−ブテニルが挙げられる。
【0051】
有用なアルキニル基には、C26アルキニル基、好ましくは、C24アルキニルが挙げられる。典型的なC24アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニルおよび2−ブチニル基が挙げられる。
【0052】
有用なアリールアルキル基には、前記C614アリール基のいずれかにより置換された前記C110アルキル基のいずれかが挙げられる。典型的な基には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが挙げられる。
【0053】
有用なアリールアルケニル基には、前記C614アリール基のいずれかにより置換された前記C24アルケニル基のいずれかが挙げられる。
【0054】
有用なアリールアルキニル基には、前記C614アリール基のいずれかにより置換された前記C24アルキニル基のいずれかが挙げられる。典型的な基には、フェニルエチニルおよびフェニルプロピニルが挙げられる。
【0055】
有用なシクロアルキルアルキル基には、前記シクロアルキル基のいずれかにより置換された前記C110アルキル基のいずれかが挙げられる。
【0056】
有用なハロアルキル基には、1個またはそれ以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子により置換されたC110アルキル基、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチルおよびトリクロロメチル基が挙げられる。
【0057】
有用なヒドロキシアルキル基には、ヒドロキシにより置換されたC110アルキル基、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル基が挙げられる。
【0058】
有用なアルコキシ基には、前記C110アルキル基の1個により置換された酸素が挙げられる。
【0059】
有用なアルキルチオ基には、前記C110アルキル基の1個により置換されたイオウが挙げられる。
【0060】
有用なアシルアミノ基には、アミノ窒素に結合した任意のC16アシル(アルカノイル)、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタノイルアミド、ペンタノイルアミド、ヘキサノイルアミドならびにアリール置換C26置換アシル基が挙げられる。
【0061】
有用なアシルオキシ基には、オキシ(−O−)基に結合した任意のC16アシル(アルカノイル)、例えば、アセトキシ、プロピオノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシなどがある。
【0062】
有用な飽和または部分飽和複素環式基には、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル(piperizinyl)、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニルおよびピラゾリニル基が挙げられる。
【0063】
有用なヘテロシクロアルキル基には、前記複素環式基のいずれかにより置換された前記C110アルキル基のいずれかが挙げられる。
【0064】
有用なヘテロアリール基には、以下のいずれか1個が挙げられる:チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンシニル(phenoxanthiinyl)、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル(phthalzinyl)、ナフチリジニル、キノザリニル、シンノリニル、プテリジニル、5aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリンジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4−ジヒドロキノキサリン−2,3−ジオン、7−アミノイソクマリン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、1,2−ベンゾイソキサゾール−3−イル、4−ニトロベンゾフラザン、ベンズイミダゾリル、2−オキシインドリル(oxindolyl)および2−オキソベンズイミダゾリル。このヘテロアリール基が環内に窒素原子を含有する場合、このような窒素原子は、N−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、ピラジニルN−オキシド、ピリミジニルN−オキシドなど)の形態であり得る。
【0065】
有用なヘテロアリールアルキル基には、前記ヘテロアリール基のいずれかにより置換された前記C110アルキル基のいずれかが挙げられる。
【0066】
有用なヘテロアリールアルケニル基には、前記ヘテロアリール基のいずれかにより置換された前記C24アルケニル基のいずれかが挙げられる。
【0067】
有用なヘテロアリールアルキニル基には、前記ヘテロアリール基のいずれかにより置換された前記C24アルキニル基のいずれかが挙げられる。
【0068】
有用なアミノ基には、−NH2、−NHR19および−NR1920が挙げられ、ここで、R19およびR20は、上で定義したC110アルキルまたはシクロアルキル基である。
【0069】
有用なアミノカルボニル基には、−NH2、−NHR19および−NR1920により置換されたカルボニル基が挙げられ、ここで、R19およびR20は、C110アルキル基である。
【0070】
式II〜VIII中の任意のアリール、複素環式、ヘテロアリールおよびシクロアルキル環上の任意の置換基には、上で述べたハロ、ハロアルキル、アリール、複素環、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アシルアミノ、ヒドロキシ、チオール、アシルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニルおよびアルキルチオール基のいずれか1個が挙げられる。好ましい任意の置換基には、以下が挙げられる:ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ニトロ、アルキル、アルコキシおよびアミノ。
【0071】
特定の式IIの化合物は、光学異性体として存在し得、本発明は、個々の鏡像異性体(これは、当業者に周知の方法に従って、分離され得る)だけでなく、このような光学異性体のラセミ混合物も包含する。
【0072】
薬学的に受容可能な付加塩の例には、無機酸および有機酸の付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩およびシュウ酸塩)が挙げられる。
【0073】
プロドラッグの例には、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキルとしてのR1〜R7を有する式IIのエステルまたはアミドが挙げられ、これらは、このような化合物を無水物(例えば、無水コハク酸)と反応させることにより、調製され得る。
【0074】
本発明はまた、ナトリウムチャンネルの遮断に応答する障害に罹っている動物において、このような障害を治療する方法に関する。本発明の方法で使用する置換2−アミノアセトアミドの特に好ましい実施態様は、先に定義した式IIにより、表わされる。
【0075】
本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して、または本発明の新規方法により、調製され得る。PCT公開出願WO97/05102で記述されている方法は、本発明の範囲内の化合物を合成するのに使用できる。
【0076】
式II〜VIIIを有する化合物は、スキーム1〜5の代表的な反応により例示されるように、調製され得る。
【0077】
【化12】

【0078】
【化13】

【0079】
【化14】

本発明の化合物は、ナトリウムチャンネル遮断薬活性について、解離した海馬神経細胞での電気生理学的アッセイにより、評価される。これらの化合物はまた、ラット前脳膜および[3H]BTX−Bを使用して神経細胞の電位依存性ナトリウムチャンネルに対する結合について、アッセイされ得る。
【0080】
ナトリウムチャンネルは、大きな膜貫通タンパク質であり、これは、種々の組織で発現される。これらは、電位感受性チャンネルであり、そして筋肉細胞、神経細胞および心細胞を含めた多くの興奮性細胞において、活動電位に関連した脱分極に応答して、Na+浸透性の急速な増加の原因となる。
【0081】
本発明の1局面は、特異的なNa+チャンネル遮断薬として本明細書中で記述されている化合物の作用機構の発見にある。本発明の1局面では、国際公開出願WO97/05102で開示された化合物が、特異的なNa+チャンネル遮断薬であることが発見された。この機構の発見に基づいて、これらの化合物ならびに本明細書中で記述された新規化合物は、限局的または全体的虚血による神経細胞損失を処置または予防するのに、また、神経変性障害(ALS、不安およびてんかんを含めて)を処置または予防するのに有用である。それらはまた、神経障害性の痛み、外科的な痛みおよび慢性の痛みを処置、予防または寛解するのに効果的であると予想されている。これらの化合物はまた、抗不整脈薬、麻酔薬および抗躁鬱剤として有用であると予想される。
【0082】
本発明は、電位感受性ナトリウムチャンネルの遮断薬である式IIの化合物に関する。本発明によれば、好ましいナトリウムチャンネル遮断特性を有する化合物は、本明細書中で記述する電気生理学的アッセイにおいて、約100μM以下のIC50を示す。好ましくは、本発明の化合物は、10μM以下のIC50を示す。最も好ましくは、本発明の化合物は、約1.0μM以下のIC50を示す。本発明の新規化合物ならびにWO97/05102で開示された置換2−アミノアセトアミドは、以下の電気生理学的アッセイおよび結合アッセイにより、それらのNa+チャンネル遮断活性について試験され得る。
【0083】
(電気生理学的アッセイ)
細胞調製:以前に記述された手順(KuoおよびBean,Mol.Pharm.46:716〜725(1994))の改変を用いて、ラット海馬神経細胞の急性培養物を毎日調製した。要約すると、3〜11日齢のラットの子の脳(Spague−Dawley;Charles River)から海馬を単離し、そして手で、0.5〜1mmの厚さの横断切片に切断した(WhittemoreおよびKoerner,Eur.J.Pharm.192;435〜438(1991))。切片を、5%CO2/95%O2を連続的に泡立たせた酸素添加培地(124mM NaCl、3.3mM KCl、2.4mM MgSO4、2.5mM CaCl2、1.2mM KH2PO4、26mM NaHCO3、pH=7.4)にて、室温(20〜24℃)で、少なくとも30分間インキュベートした。記録する前に、4個〜5個の切片を、3mg/mLのプロテアーゼXXIII(Sigma,St.Louis,MO)を含有する酸素添加解離培地(82mM NaSO4、30mM K2SO4、3mM MgCl2、2mM HEPES、26mM NaHCO3、0.001%フェノールレッド、pH=7.4)に移し、そして5%CO2/95%O2を連続的に泡立たせつつ、37℃で、10〜15分間インキュベートした。酵素分解は、これらの切片を重炭酸塩なしで解離培地に移すことにより終了し、1mg/mLウシ血清アルブミンおよび1mg/mLトリプシン阻害剤(Sigma,St.Louis,MO)で補足した。次いで、切片を、重炭酸塩なしで、解離培地を含有する35mm培養皿に移し、そして耐火研磨ガラス(fire−polished glass)パスツールピペットで粉砕して、単一細胞を放出した。この皿にて、約30分間にわたって、細胞を沈降させ、次いで、電気記録を行うのに使用した。
【0084】
電位感受性Na+電流のパッチクランプ記録:Axopatch 200A増幅器(Axon Instruments,Foster City,CA)と共に、通常のパッチクランプ法(Hamillら、Pfluegers Arch.391:85〜100(1981))を用いて、細胞全体の電位クランプ記録を行った。記録は、神経細胞解離後、2〜3時間以内に行った。その記録チャンバを、約1ml/分の速度で、Tyrode溶液(156mM NaCl、3.5mM KCl、2mM CaCl2、5mM NaHCO3、10mM HEPES、10mMグルコース、pH 7.4)で連続的に灌流した。100μlのClay Adams Accu−Fill 90 Micropet使い捨てピペット(Becton, Dickenson and Company,Parsipanny,NJ)から、薄壁ピペットを引き出し、耐火研磨し、そしてシルガードした(sylgarded)(Dow−Corning,Midland,MI)。このピペット抵抗は、このピペットを以下を含む(mM)内部溶液で満たしたとき、1〜3MΩの範囲であった:130 CsF、20 NaCl、1 CaCl2、2 MgCl2、10 EGTA、10 HEPES、CsOHで7.4に調整したpH。流れパイプ(Drummond Microcaps,2μl,64mm長)の直線状アレイを通って、薬剤および介在ウォッシュアウト(wash−outs)を適用した。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して、10mMストック溶液を作製し、これを、Tyrode溶液で連続的に希釈して、0.1〜20μMの最終濃度を得た。最高濃度(1%)では、DMSOは、Na+電流のサイズを僅かに抑制したにすぎなかった。電流を室温(22〜25℃)で記録し、4極Besselフィルターを用いて5kHzで濾過し、20〜50μs間隔でデジタル化し、そしてPclamp6/Clampexソフトウエア(Axon Instruments)で、Digidata 1200アナログ/デジタル界面を用いて保存した。残留直列抵抗は、部分補正(典型的には、約90%)後、0.4〜0.8MΩの範囲であった。薬物の阻害効力は、試験化合物の濃度を高めることにより誘発されたNa+電流のピーク振幅の低下を測定することにより、評価した。Na+電流は、−100mV〜−50mVにわたる保持電位から−10mVのパルス電位まで、膜電位に段差を付けることにより、顕在化した。この試験パルスの持続時間は、5〜10msecであり、≦1Hzの周波数で繰り返した。濃度−阻害曲線は、等式1に適合した:
I/Icontrol = 1/(1+([化合物]/IC50)) 等式1
ここで、Icontrolは、アンタゴニストの不在下での最大Na+電流であり、[化合物]は、その薬物濃度であり、そしてIC50は、最大阻害の半分を生じる化合物の濃度である。
【0085】
(結合アッセイ)
本発明の化合物がNa+チャンネルの部位1または部位2のいずれかを変調する能力を、それぞれ、Yasushi.J.Biol.Chem.261:6149〜6152(1986)およびCreveling,Mol.Pharmacol.23:350〜358(1983)で詳細に記述された手順に従って、決定した。Na+チャンネルタンパク質のソースとして、ラット前脳膜を使用した。これらの結合アッセイは、それぞれ、部位1および部位2に対する放射性リガンドとして[3H]サキシトキシンおよび[3H]バトラコトキシンを用いて、130μM塩化コリン中にて、37℃で、60分間のインキュベーションを行った。
【0086】
本発明の化合物は、マウスでの多数の抗痙攣試験(DBA−2マウスでの聴覚原性痙攣モデル、マウスでのペンチレンテトラゾール誘発痙攣、最大電気ショック痙攣試験(MES))を使用してivまたはip注射後、インビボ抗痙攣活性について試験され得る。
【0087】
これらの化合物は、それらのBuchanらで記述された手順(Stroke,Suppl.148〜152(1993)およびSheardownら(Eur.J.Pharmacol.236:347〜353(1993))およびGrahamら(J.Pharmacol.Exp.Therap.276:1〜4(1996)))に従って、ラットまたはスナネズミにおいて、局所的および全体的虚血を発生された後のそれらの神経保護活性について試験され得る。
【0088】
これらの化合物は、Wrathallら(Exp.Neurology 137:119〜126(1996)およびIwasakiら(J.Neuro Sci.134:21〜25(1995))で記述された手順に従って、外傷性脊髄傷害後のそれらの神経保護活性について、試験され得る。
【0089】
本発明の範囲内の組成物は、本発明の化合物がその意図した目的を達成するために有効であり得る量で含有される全ての組成物を包含する。個々の必要性は変わるものの、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該技術分野の範囲内である。典型的には、これらの化合物は、てんかん、神経変性疾患、麻酔、不整脈、躁鬱病および痛みに対して処置する哺乳動物の体重の1日あたり、0.0025〜50mg/kgの用量またはそれらの等量の薬学的に受容可能な塩で、経口的に、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与され得る。筋肉内注射のためには、この用量は、一般に、この経口用量の約半分である。
【0090】
全体的および限局的虚血、脳および脊髄の外傷、低酸素症、低血糖症、てんかん重積状態および手術における神経細胞損失の処置または予防方法では、この化合物は、約0.025〜約10mg/kgの用量で、静脈内注射により、投与できる。
【0091】
その単位経口用量は、この化合物の約0.01〜約50mg、好ましくは、約0.1〜約10mgを含有し得る。この単位用量は、1個またはそれ以上の錠剤(各々は、約0.1〜約10mg、好都合には、約0.25〜50mgのこの化合物またはその溶媒和物を含有する)として、1日1回またはそれ以上で、投与され得る。
【0092】
この化合物を生の化学物質として投与する代わりに、本発明の化合物は、適切な薬学的に受容可能なキャリア(これは、この化合物を薬学的に使用できる調製物として処理するのを容易にする賦形剤および補助剤を含有する)を含む薬学的調製物の一部として、投与され得る。好ましくは、これらの調製物(特に、経口的に投与できる調製物であって、好ましい投与型に使用できる調製物(例えば、錠剤、糖衣錠およびカプセル)、また、直腸的に投与できる調製物(例えば、座剤)だけでなく、注射によりまたは経口的に投与するのに適切な溶液)は、この賦形剤と共に、約0.01〜99%、好ましくは、約0.25〜75%の活性化合物(単数または複数)を含有する。
【0093】
本発明の化合物の非毒性の薬学的に受容可能な塩もまた、本発明の範囲内である。酸付加塩は、本発明の特定の2−アミノアセトアミドの溶液を、薬学的に受容可能な非毒性の酸(例えば、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸など)の溶液と混合することにより、形成される。本発明の特定の2−アミノアセトアミドの溶液を、薬学的に受容可能な非毒性の塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウムなど)の溶液と混合することにより、塩基性の塩が形成される。
【0094】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有益な効果を享受し得る任意の動物に投与され得る。このような動物のうちで主要なものには、哺乳動物(例えば、ヒト)があるが、本発明は、そのように限定することを意図していない。
【0095】
本発明の薬学的組成物はそれらの意図された目的を達成する任意の手段で投与され得る。例えば、非経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹膜内経路、経皮経路または口腔内経路により、投与され得る。あるいは、または同時に、投与は、経口経路により、なされ得る。その投薬量は、受容者の年齢、健康および体重、それと同時に行う処置(もし、あれば)の種類、処置の頻度、望ましい効果の性質に依存している。
【0096】
本発明の薬学的調製物は、それ自体公知の様式で(例えば、通常の混合、顆粒化、糖衣錠製造、溶解または凍結乾燥プロセスによって)、製造される。それゆえ、経口用途のための薬学的調製物は、これらの活性化合物を固形賦形剤と配合すること、必要に応じて、適切な補助剤(もし、望ましいか、または必要なら)を添加した後、得られた混合物を粉砕し顆粒混合物を処理して錠剤または糖衣錠核を得ることにより、得ることができる。
【0097】
適切な賦形剤には、特に、充填剤(例えば、糖類(例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム))だけけでなく、結合剤(例えば、デンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、イモデンプンを用いる)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン)がある。もし、望ましいなら、崩壊剤(例えば、前記デンプン、また、カルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))もまた、添加され得る。補助剤には、特に、流動制御剤および潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコール)がある。糖衣錠核には、適当な被覆(これは、もし、望ましいなら、胃液に耐える)が設けられる。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。胃液に耐える被覆を作成するために、適切なセルロース調製物(例えば、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の溶液が使用される。例えば、確認用、または活性化合物の用量の組合せを特徴付けるために、これらの錠剤または糖衣錠被覆には、色素材料また顔料が添加され得る。
【0098】
経口的に使用できる他の薬学的調製物には、ゼラチンから製造されるプッシュフィット(push−fit)カプセルならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から製造される柔軟な密封カプセルが挙げられる。このプッシュフィットカプセルは、顆粒(これは、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または潤滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定剤と混合され得る)の形態で、これらの活性化合物を含有できる。ソフトカプセルでは、これらの活性化合物は、好ましくは、適切な液体(例えば、脂肪油または流動パラフィン)に溶解または懸濁されている。さらに、安定剤が添加され得る。
【0099】
直腸的に使用され得る可能な薬学的調製物には、例えば、座剤が挙げられ、これは、1種またはそれ以上のこれらの活性化合物と座剤ベースとの組合せからなる。適切な座剤ベースには、例えば、天然および合成のトリグリセリド、またはパラフィン性炭化水素がある。さらに、ゼラチン直腸カプセル(これは、これらの活性化合物とベースとの組合せからなる)を使用することもまた、可能である。使用可能なベース材料には、例えば、液状トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン性炭化水素が挙げられる。
【0100】
非経口投与に適切な処方には、水溶性の形態でのこれらの活性化合物の水溶液(例えば、水溶性塩およびアルカリ溶液)が挙げられる。さらに、適切な油性注射懸濁液としてのこれらの活性化合物の懸濁液が、投与され得る。適切な親油性溶媒またはベヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)またはポリエチレングリコール−400(この化合物は、PEG−400に溶解性である)が挙げられる。水性注射懸濁液は、この懸濁液の粘度を高める物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストリン)を含有し得る。必要に応じて、この懸濁液はまた、安定剤を含有し得る。
【0101】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であって、限定ではない。臨床治療で通常遭遇する種々の条件およびパラメータ(これらは、当業者に明らかである)の他の適切な改変および適応は、本発明の精神および範囲内である。
【0102】
(実施例1)
Na+チャンネル遮断薬としての2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミドを、上記電気生理学的アッセイおよび結合アッセイで試験し、そして電位ゲートNa+電流の用量依存性阻害(これは、急に解離したラット海馬神経細胞で記録した)を生じた。Na+電流に対するこの化合物の遮断効果は、その保持電位に非常に敏感であった。例えば、0.1〜10μMの間の濃度では、2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミドは、−100mVの保持膜電位から作動したNa+電流に対して殆ど効果がなかったが、この保持電位が漸次脱分極するにつれて、効力の増大と共に、電流を阻害した。これらの研究における最も強力な遮断は、−65mVの膜保持電位で見られた。電流の低下は、このNa+チャンネルの定常状態不活性化に依っていた。
【0103】
このデータは、2−(4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミドが、それらの不活性化状態にて、電位感受性Na+チャンネルに結合して、その静止状態では、Na+チャンネルに対して弱い効力を有することを示している(Ragsdaleら、Mol.Pharmacol.40:756〜765(1991);KuoおよびBean,Mol.Pharmacol.46:716〜725(1994))。不活性化Na+チャンネルに対するこの化合物の見掛けアンタゴニスト解離定数(Kd)は、約1.2μMである。
【0104】
(実施例2)
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
a)4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンズアルデヒド:N,N−ジメチルアセトアミド(50mL)中のセサモール(sesamol)(5.13g、37.1mmol)、4−フルオロベンズアルデヒド(4.0mL、37.3mmol)、炭酸カリウム(6.21g、44.9mmol)の混合物を、23時間還流した。この混合物を水に添加し、そして酢酸エチル/ヘキサン溶液で抽出した。その有機層を水酸化ナトリウム水溶液(2N)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下にて蒸発させて、粗生成物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、ピンク色の固形物を得、これを、クロロホルム中の活性炭で1時間還流することにより、脱色した。セライトに通した濾過およびこのクロロホルムの真空中除去により、所望のアルデヒドを得た。
【0105】
【数1】

b)2−アミノ−2,2−ジメチルエタンアミド:HClのジオキサン溶液(4.0M)、メタノール(54ml)およびアミノイソ酪酸(11.7g、0.114mol)を、6時間還流した。一旦、室温にして、この溶液を、白色の固形物まで濃縮した。この固形物のNMRにより、この固形物は、アミノイソ酪酸および2−アミノ−2,2−ジメチル酢酸メチルの混合物であることが明らかとなった。この粗中間体を、密封チューブにて、24時間にわたって、水酸化アンモニウム水溶液(29%、140ml)中で、50℃まで加熱した。この溶液を室温まで冷却し、次いで、減圧下にて蒸発させて、白色の固形物を得た。この固形物の1HNMRにより、この白色固形物は、40%の表題生成物を含有していることが明らかとなった。
【0106】
【数2】

c)2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド:30mLの無水エタノール中の4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンズアルデヒド(0.51g、0.21mmol)の溶液に、3Åモレキュラーシーブ(1g)および2−アミノ−2,2−ジメチルエタンアミド(1.67g、1HNMRにより40重量%、0.49mmol)を添加した。24時間攪拌した後、得られた混合物を、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(95%;1.0g、16mmol)で処理した。さらに8時間攪拌した後、この反応を水でクエンチした。その水層を、酢酸エチル/ヘキサン混合物で3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下にて蒸発させた。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題生成物77mg(11%)を得た。
【0107】
【数3】

同様にして、以下の化合物を調製した:
2−(4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド:
【0108】
【数4】

2−(4−(2,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド:
【0109】
【数5】

2−(4−(5−インダノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド:
【0110】
【数6】

以下の化合物は、上記のようにして、適当なアルデヒド前駆体を2−メチルプロパンアミドと反応させることにより、同様に調製できる。
【0111】
2−(4−(3,4−メチレンジオキシフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−シクロヘキシルオキシベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(2−アダマンタノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(3,4−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(6−ブロモ−4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−ニトロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−テトラヒドロピラノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−メチルフェノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−シクロヘプトキシベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(1−メチル−4−ピペリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(エキソ−2−ノルボルノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(3−(4−フルオロフェノキシ)−5−ピリジルメチルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(4−ピリジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパンアミド;
2−(3−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(2−ピリミジノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(6−キノリノキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−ジフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチルプロパンアミド;および
2−(4−トリフェニルメトキシ)ベンジルアミノ−2−メチルプロパンアミド;
2−(4−(3,4−メチレンジオキシベンジルオキシ)ベンジルアミノ)−2−メチルプロパンアミド。
【0112】
選択した2−メチルプロパンアミド誘導体が、最大電気ショックで誘発した痙攣(MES)を遮断する能力を、以下の手順により測定した。
【0113】
痙攣は、Ugo Basile ECT装置(モデル7801)を用いて、電流(50mA、60パルス/秒、0.8msecのパルス幅、1秒の持続時間、D.C.)を加えることにより、誘発した。マウスを、その背面にある緩い皮膚を握ることにより束縛し、そして生理食塩水被覆した角膜電極を、2個の角膜に対して軽く保持した。電流を加えて、マウスを緊張性の後肢伸筋応答の発生について、30秒までの期間にわたって、観察した。緊張性の痙攣は、身体面から90度を超える後肢の伸長として規定した。試験した2−メチルプロパンアミド類を、この試験手順の10分前に、マウスに静脈内投与した。
【0114】
【表1】

今ここで、本発明を詳細に記述したが、本発明またはその任意の等価物の範囲に影響を与えることなく、条件、製剤および他のパラメータの広い等価な範囲内にて、同じことが実施できることは、当業者が理解できる。本明細書中で引用した全ての特許、特許出願および文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の哺乳動物における痛みを処置または改善する方法。

【公開番号】特開2008−19263(P2008−19263A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207280(P2007−207280)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【分割の表示】特願2000−521816(P2000−521816)の分割
【原出願日】平成10年11月20日(1998.11.20)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】