説明

置換2−オキシ−3,5−ジシアノ−4−アリール−6−アミノピリジンおよびそれらの使用

【課題】本発明の目的は、様々な障害、特に心臓血管系の障害(心臓血管障害)の予防および/または治療に適する薬理学的に活性な物質を供給または提供することである。好ましくは、その物質はアデノシン受容体選択的リガンドとして作用する。
【解決手段】式(I)の化合物、およびそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、障害の予防および/または治療のための使用、新規式(I)の化合物およびその製造方法を提供する。式(I)の化合物は、アデノシン受容体選択的リガンドとして有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬としての置換2−オキシ−3,5−ジシアノ−4−アリール−6−アミノピリジンの使用および新規2−オキシ−3,5−ジシアノ−4−アリール−6−アミノピリジンおよびそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アデニンとD−リボースからなるヌクレオシドであるアデノシンは、例えば、様々な器官(例えば、心臓や脳)の虚血の場合など、特に限られた酸素および基質の供給による細胞損傷条件下で、細胞保護活性を有する内在性因子である。
【0003】
アデノシンは、アデノシン−5'−一燐酸(AMP)およびS−アデノシルホモシステインの分解中の中間体として細胞内で形成されるが、細胞から放出され得、その場合、特異的受容体への結合により、ホルモン様物質または神経伝達物質として作用する。
【0004】
正常酸素(normoxic)条件では、細胞外空間における遊離アデノシンの濃度は非常に低い。しかしながら、虚血または低酸素条件では、冒された器官におけるアデノシンの細胞外濃度は劇的に増加する。このように、例えば、アデノシンが血小板の凝集を阻害し、冠動脈への血液供給を増加させることが知られている。さらに、それは心拍数、神経伝達物質の放出、およびリンパ球の分化に対して作用する。
【0005】
これらのアデノシンの作用の目的は、虚血または低酸素条件下で器官の代謝を器官の血液供給に合わせるために、冒された器官の酸素供給を増加させること、および/またはこれらの器官の代謝を低減させることである。
【0006】
アデノシンの作用は、特異的受容体に介在される。今日までに、サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3が知られている。これらのアデノシン受容体の作用は、細胞内でメッセンジャーcAMPに介在される。アデノシンのA2aまたはA2b受容体への結合の場合、細胞内cAMPは膜結合アデニル酸シクラーゼの活性化により増加し、一方アデノシンのA1またはA3受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼの阻害により細胞内cAMP濃度の低下をもたらす。
【0007】
本発明によると、「アデノシン受容体選択的リガンド」は、アデノシン受容体の1つまたはそれ以上のサブタイプに選択的に結合し、かくしてアデノシンの作用を模倣する(アデノシンアゴニスト)か、またはその作用を妨害する(アデノシンアンタゴニスト)物質である。
【0008】
それらの受容体の選択性により、アデノシン受容体選択的リガンドは、様々なカテゴリーに分けられる。例えば、アデノシンのA1またはA2受容体に選択的に結合するリガンド、そして後者の場合はまた、例えば、アデノシンのA2aまたはA2b受容体に選択的に結合するもの、などである。また、複数のアデノシン受容体サブタイプに選択的に結合するアデノシン受容体リガンドもあり得る。例えば、アデノシン受容体のA1およびA2に選択的に結合するが、A3には結合しないリガンド、などである。
【0009】
上述の受容体選択性は、対応するcDNAの安定なトランスフェクションの後、問題の受容体サブタイプを発現する細胞株に対するその物質の作用により決定できる(刊行物 M.E. Olah, H. Ren, J. Ostrowski, K.A. Jacobson, G.L. Stiles, "Cloning, expression, and characterization of the unique bovine A1 adenosine receptor. Studies on the ligand binding site by site-directed mutagenesis." in J. Biol. Chem. 267 (1992) pages 10764-10770 を参照のこと。この開示を出典明示により全て本明細書の一部とする)。
【0010】
かかる細胞株に対する物質の作用は、細胞内メッセンジャーcAMPの生化学的測定によりモニタリングできる(刊行物 K.N. Klotz, J. Hessling, J. Hegler, C. Owman, B. Kull, B.B. Fredholm, M.J. Lohse, "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells" in Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol. 357 (1998) pages 1-9 を参照のこと。この開示を出典明示により全て本明細書の一部とする)。
【0011】
先行技術により既知の「アデノシン受容体特異的」リガンドは、主に天然のアデノシンに基づく誘導体である(S.-A. Poulsen and R.J. Quinn, "adenosine receptors: new opportunities for future drugs" in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998) pages 619 to 641; K.J. Broadley, "Drugs modulating adenosine receptors as potential therapeutic agents for cardiovascular diseases" in Exp. Opin. Ther. Patents 10 (2000) pages 1669-1692)。しかしながら、先行技術により既知のアデノシンリガンドのほとんどは、作用が真に受容体特異的ではなく、作用が天然アデノシンのものより低いか、あるいは経口投与の後に非常に弱い活性しか持たないという欠点を有する。従って、それらは主に実験的目的のみに使用される。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、様々な障害、特に心臓血管系の障害(心臓血管障害)の予防および/または治療に適する薬理学的に活性な物質を供給または提供することである。好ましくは、その物質はアデノシン受容体選択的リガンドとして作用する。
【0013】
本発明は、式(I)
【化1】

式中、
、RおよびRは、相互に独立して、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲンまたは(C−C10)−アリールオキシにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C10)−アリール(これは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリール、N、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリール、(C−C10)−アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよい)、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノまたは−NH−C(O)−R(但し、Rは(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい)、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C10)−アリール(これは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)である)であるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、2個の環炭素原子と共に、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有する5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、(C−C)−アルキルまたはオキソにより置換されていてもよい)、
とRは、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)、または(C−C)−シクロアルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルキルにより置換されていてもよい)であるか、
または、
とRは、それらが結合する窒素原子と共に5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、環中にN、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のさらなるヘテロ原子を含有し得、そして、相互に独立してオキソ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより1ないし3置換されていてもよい)、
そして、
は、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−アルキルであり、但し、アルキルは(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリールにより置換されていてもよく、アリールおよびヘテロアリールはそれらの部分についてハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシルにより置換されていてもよい、
の化合物、およびそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、障害の予防および/または治療のための使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明により障害の予防および/または治療に使用できる上述の物質のいくつかは、文献で知られている(Alvarez−Insua, Lora-Tamayo, Soto, Journal of heterocyclic Chemistry 7, pages 1305-1309, (1970); Quintela et al., Eur. J. Med. Chem. Chim. Ther. 19, 555-557 (1984); Ballantyne, Drug Chem. Toxicol. 8, 171-173 (1985); Seada et al., Orient. J. Chem. 5, 273-280 (1989); Mishriki et al., Recl. Trav. Chim. Pays-Bas 113, 35-39 (1994); Quintela et al., Tetrahedron 52, 10497-10506 (1996) を参照のこと)。しかしながら、既知化合物の医療上使用は、今までに文献に記載されてこなかった。このことは、本発明において初めてなされる。
【0015】
置換のパターンにより、式(I)の化合物は、像および鏡像のような(エナンチオマー)、または像および鏡像のようにではない(ジアステレオマー)、いずれかの立体異性形で存在することができる。本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの両者およびそれらのそれぞれの混合物に関する。ジアステレオマーのように、ラセミ形は、公知の方法により、立体異性的に均一な構成分に分離することができる。同様に、本発明はまた、式(I)の化合物の互変体に関する。
【0016】
式(I)の化合物のは、本発明による化合物の鉱酸、カルボン酸またはスルホン酸との生理学的に許容され得る塩であり得る。特に好ましいのは、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または安息香酸との塩である。
【0017】
言及されてよい塩は、また、常套の塩基との塩であってもよく、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩)またはアンモニアもしくは有機アミン(例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジヒドロアビエチルアミン、l−エフェナミンまたはメチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩であってよい。
【0018】
本発明によると、水和物または溶媒和物は、固体または液体の状態で水の水和または溶媒分子との配位により、分子化合物または錯体を形成する、式(I)の化合物の形態である。水和物の例は、セスキ水和物、一水和物、二水和物または三水和物である。同様に、本発明による化合物の塩の水和物または溶媒和物も適する。
【0019】
さらに、本発明は本発明による化合物のプロドラッグも包含する。本発明によると、プロドラッグは、それ自体生物学的に活性または非活性であり得るが、生理的条件下(例えば、代謝的または加溶媒分解的)で対応する生物学的に活性な形態に変換され得る化合物の形態である。
【0020】
本発明の文脈では、別に定義されない限り、置換基は以下の意味を有する:
ハロゲンは、一般にフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表わす。フッ素、塩素または臭素が好ましい。フッ素と塩素が特に好ましい。
【0021】
(C−C)アルキル、(C−C)アルキルおよび(C−C)アルキルは、一般的に、それぞれ炭素数1ないし8、1ないし6および1ないし4を有する直鎖または分枝状アルキル基を表わす。炭素数1ないし6を有する直鎖または分枝状アルキル基が好ましい。炭素数1ないし4を有する直鎖または分枝状アルキル基が特に好ましい。言及されてよい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルがある。
【0022】
(C−C)アルケニルは、一般的に、炭素数2ないし4を有する直鎖または分枝状アルケニル基を表わす。言及されてよい具体例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、およびn−ブト−2−エン−1−イルがある。
【0023】
(C−C)アルキニルは、一般的に、炭素数2ないし4を有する直鎖または分枝状アルキニル基を表わす。言及されてよい具体例としては、エチニル、n−プロプ−2−イン−1−イルおよびn−ブト−2−イン−1−イルがある。
【0024】
(C−C)アルコキシ、(C−C)アルコキシおよび(C−C)アルコキシは、一般的に、それぞれ炭素数1ないし8、1ないし6および1ないし4を有する直鎖または分枝状アルコキシ基を表わす。炭素数1ないし6を有する直鎖または分枝状アルコキシ基が好ましい。炭素数1ないし4を有する直鎖または分枝状アルコキシ基が特に好ましい。言及されてよい具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシがある。
【0025】
(C−C)−アルコキシカルボニルは、一般的に、カルボニル基を介して結合している1ないし4の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルコキシ基を表わす。言及されてよい具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびt−ブトキシカルボニルがある。
【0026】
本発明において、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノは、1個または2個の同一または異なる各々炭素数1ないし4の直鎖または分枝状アルキル置換基を有するアミノ基を表わす。言及されてよい具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノおよびN−t−ブチル−N−メルアミノがある。
【0027】
(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、一般的に、それぞれ炭素数3ないし7および3ないし6を有する環状アルキル基を表わす。炭素数3ないし6を有する環状アルキル基が好ましい。言及されてよい具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルがある。
【0028】
(C−C10)−アリールは、一般的に、炭素数6ないし10を有する芳香族基を表わす。好ましいアリール基は、フェニルおよびナフチルである。
【0029】
(C10)−アリールオキシは、一般的に、酸素原子を介して結合した、上記定義の芳香族基を表わす。
【0030】
N、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリールは、一般的に、ヘテロ芳香族の環炭素原子を介して、また適切ならばヘテロ芳香族の環窒素原子を介して結合した、一または二環の、場合によりベンゾ縮合したヘテロ芳香族を表わす。言及されてよい具体例としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキシジアゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルまたはベンズイミダゾリルがある。対応するより少ないヘテロ原子を有するヘテロ芳香族、例えば、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有するもの、または例えば、5または6員のヘテロアリールなどのより小さい環サイズを有するものは、この定義から同様に導かれる。一般に、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族ヘテロ環が好ましい。言及されてよい具体例としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、フリル、イミダゾリルまたはチエニルがある。
【0031】
5ないし7員のヘテロ環は、一般的に、飽和または部分不飽和、場合によりベンゾ縮合した、N、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有するヘテロ環を表わす。言及されてよい具体例としては、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピロリニル、ジヒドロピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロピラニルがある。対応するより少ないヘテロ原子を有するヘテロ環、例えば、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有するもの、または例えば、5または6員のヘテロシクリルなどのより小さい環サイズを有するものは、この定義から同様に導かれる。N、Oおよび/またはSからなる群から2個のヘテロ原子を有する飽和ヘテロ環、特にピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルおよびピロリジニルが好ましい。
【0032】
さらに、本発明は新規の式(I)
【化2】

式中、
、RおよびRは、相互に独立して、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲンまたは(C−C10)−アリールオキシにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C10)−アリール(これは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリール、N、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリール、(C−C10)−アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよい)、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノまたは−NH−C(O)−R(但し、Rは(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい)、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C10)−アリール(これらは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)である)であるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、2個の環炭素原子と共に、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有する5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、(C−C)−アルキルまたはオキソにより置換されていてもよい)、
とRは、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)、または(C−C)−シクロアルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルキルにより置換されていてもよい)であるか、
または、
とRは、それらが結合する窒素原子と共に5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、環中にN、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のさらなるヘテロ原子を含有し得、そして、相互に独立してオキソ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより1ないし3置換されていてもよい)、
そして、
は、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−アルキルであり、但し、アルキルは(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリールにより置換されていてもよく、アリールおよびヘテロアリールはそれらの部分についてハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシルにより置換されていてもよい、
の化合物、およびそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物に関するが、
基R、R、R、R、RおよびRが下記定義である、以下の式(I)の化合物を除く:
・R=R=R=R=R=H;R=エチル
・R=4−メチル;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=3−メチル;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=4−メトキシ;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=4−メトキシ;R=3−メトキシ;R=5−メトキシ;R=R=H;R=エチル
・R=2−塩素;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=4−塩素;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=3−メチル;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=R=R=R=R=H;R=メチル
・R=R=R=R=R=H;R=プロピル
・R=R=R=R=R=H;R=イソプロピル
・R=2−ヒドロキシ;R=R=R=R=H;R=エチル
・R=4−フッ素;R=R=R=R=H;R=メチル
・R=4−メトキシ;R=R=R=R=H;R=メチル
・R=R=−O−CH−O−;R=R=R=H;R=メチル。
【0033】
式(I)、
式中、
、RおよびRは、相互に独立して水素、ヒドロキシル、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フッ素、塩素、(C−C)−アルコキシ(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−アルケニルにより置換されていてもよい)、−NH−C(O)−CHまたは−NH−C(O)−Cであるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、基−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−であり、
とRは、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル(これはヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)、シクロプロピル、ベンジルまたはピリジルメチルであるか、
または、
とRは、それらが結合する窒素原子と共に5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、環中にN、OまたはSからなる群からさらなるヘテロ原子を含有し得、そして、相互に独立してヒドロキシル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより1ないし3置換されていてもよい)、
そして、
は、(C−C)−シクロアルキル、または(C−C)−アルキル(これは、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルケニル、フェニルまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールにより置換されている、但し、フェニルおよびヘテロアリールは、それらの部分についてフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシルにより置換されていてもよい)、または非置換(C−C)−アルキルである、
の化合物、およびそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物が好ましい。
【0034】
式(I)
式中、
とRは相互に独立して水素、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたは−NH−C(O)−CH(但し、アルコキシ基はそれらの部分についてヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)であるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、基−O−CH−O−であり、
は水素であり、
は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(但し、アルキル基はそれらの部分についてヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)またはシクロプロピルであり、
は水素またはメチル基であり、
そして
は、メチルまたはエチル(これらはピリジル、フェニル(これは、その部分についてシアノ、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはアミノにより置換されていてもよい)、ヒドロキシルまたはメトキシにより置換されている)、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシである、
の化合物、およびそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物が特に好ましい。
【0035】
が水素である式(I)の化合物も特に好ましい。
とRが水素である式(I)の化合物も特に好ましい。
が水素である式(I)の化合物も特に好ましい。
とRが、ピリジン環の結合点に対してパラおよびメタ位に位置する、隣接するフェニル環の原子に結合し、基−O−CH−O−である式(I)の化合物も特に好ましい。
【0036】
式(I)
式中、R、RおよびRは、相互に独立して、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、ハロゲンまたは(C−C10)−アリールオキシにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C10)−アリール(これは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)、(C−C)−アルコキシ(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリール、N、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリール、(C−C10)−アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよい)、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノまたは−NH−C(O)−R(但し、Rは(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい)、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C10)−アリール(これらは、ハロゲン、ニトロ、(C−C)−アルコキシ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノにより3回まで相互に独立して置換されていてもよい)である)であるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、2個の環炭素原子と共に、N、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のヘテロ原子を有する5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(それらは、(C−C)−アルキルまたはオキソにより置換されていてもよい)、
は、水素、(C−C)−アルキル(それらは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)、または(C−C)−シクロアルキル(それらは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルキルにより置換されていてもよい)であり、
そして、
は、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし6員のヘテロアリールにより置換されていてもよい)、または(C−C)−シクロアルキル(これは、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルキルにより置換されていてもよい)であるか、
または、
とRは、それらが結合する窒素原子と共に5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、環中にN、Oおよび/またはSからなる群から1個または2個のさらなるヘテロ原子を含有し得、そして、相互に独立してオキソ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより1ないし3置換されていてもよい)、
そして、
は、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−アルキルであり、但し、アルキルは(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルケニル、(C−C10)−アリールまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5ないし10員のヘテロアリールにより置換されていてもよく、アリールおよびヘテロアリールはそれらの部分についてハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシルにより置換されていてもよい、
の化合物、その塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物も好ましい。
【0037】
実施例3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、17、18、19、20の化合物、それらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物も好ましい。
【0038】
上記の一般的または好ましい基の定義または例示は、所望により相互に組合わせることができる。即ち、各々の範囲と好ましい範囲との間の組合せを含む。それらは、最終生成物および対応して前駆体および中間体の両方に適用される。
【0039】
本発明は、さらに式(I)の化合物の製造法に関する。それは、
[A]式(II)
【化3】

式中、R、R、RおよびRは上記定義の通りであり、Xは、例えば、塩素、臭素、メチルチオまたはフェニルチオなどの適する脱離基である、
の化合物を、不活性な溶媒の中で式(III)
−NH−R (III)
式中、RとRは上記定義の通りである、
の化合物と反応させるか、
または、
[B]式(IV)
【化4】

式中、R、RおよびRは上記定義の通りであり、XとXは相互に独立して上記定義のXの定義を有する適する脱離基である、
の化合物を、最初に不活性な溶媒の中で式(III)の化合物で式(V)
【化5】

式中、R、R、R、R、RおよびXは、上記定義の通りである、
の化合物に変換し、
これらを塩基の存在下で、適切ならば不活性な溶媒中で、式(VI)
−OH (VI)
式中、Rは上記定義の通りである、
の化合物と反応させるか、
または、
[C]式(I)の化合物において、RとRが各々水素であるなら、式(VII)
【化6】

式中、R、RおよびRは、上記定義の通りである、
の化合物を、塩基の存在下で、適切なら不活性な溶媒を添加し、マロニトリル(malonitrile)および式(VI)の化合物と反応させる、
のいずれかを特徴とする。
【0040】
本発明による方法は、下記の式のスキームで例示的に描写できる:
【化7】

【0041】
本方法の段階[A]:(II)+(III)→(I)に適する溶媒は、反応条件下で変化しない有機溶媒である。これには、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロベンゼンまたはジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類またはジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの他の溶媒が含まれる。他の適する溶媒は水である。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。テトラヒドロフランが好ましい。
【0042】
一般的に、反応は−78℃ないし+150℃の温度範囲、好ましくは+20℃ないし+80℃の範囲で、特に+20℃ないし+40℃で実行する。
【0043】
反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる。例えば、0.5ないし5バールの範囲である。一般に、反応は大気圧で実行する。
【0044】
一般に、反応は過剰の化合物(III)、好ましくは化合物(II)1モル当り2ないし8モルの比の化合物(III)を使用して実行する。
【0045】
一般式(II)の化合物は、当業者に公知である。あるいは、文献より知られる方法と同様に製造できる[例えば、J.M. Quintela, J.L. Soto, Anales de Quimica 79, 368-372 (1983)を参照のこと]。
【0046】
一般式(III)の化合物は、市販されており、当業者に既知である。あるいは、文献による方法で製造できる。
【0047】
第一の反応段階[B]:(IV)+(III)→(V)に適する溶媒は、反応条件下で不活性な有機溶媒である。これには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロベンゼンまたはジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類またはジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの他の溶媒が含まれる。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランが好ましい。
【0048】
一般に、反応は−78℃ないし+120℃の温度範囲、好ましくは+20℃ないし+60℃の範囲で、特に+20℃ないし+40℃で実行する。
【0049】
反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる。例えば、0.5ないし5バールの範囲である。一般に、反応は大気圧で実行する。
【0050】
一般に、反応は、等量または過剰の化合物(III)、好ましくは化合物(IV)1モル当り1ないし8モルの比の化合物(III)、特に好ましくは1ないし2モルの比の化合物(III)を使用して実行する。
【0051】
反応はまた、例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類、DBN(1,5−ジアザシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)またはDBU(1,8−ジアザシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)などのアミジン類などの補助塩基の存在下で実行できる。
【0052】
一般式(IV)の化合物は公知である。あるいは、文献より知られる方法と同様に製造できる[例えば、Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994)を参照のこと]。
【0053】
一般式(V)の化合物は公知である。あるいは、文献より知られる方法と同様に製造できる[例えば、Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994), Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981), Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 47b, 572-578 (1991)を参照のこと]。
【0054】
第2の反応段階[B]:(V)+(VI)→(I)は、そのまま、溶媒の非存在下で、または溶媒中で実行できる。適する溶媒は、反応条件下で不活性な有機溶媒である。これには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロベンゼンまたはジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類またはジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの他の溶媒が含まれる。他の適する溶媒は水である。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランが好ましい。
【0055】
適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これには、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウムなど)、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、アミド(ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなど)、有機金属化合物(ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなど)、アミン(トリエチルアミンまたはピリジンなど)、あるいは問題の一般式(VI)の化合物自体のナトリウムまたはカリウム塩が含まれる。カリウムtert−ブトキシドおよび炭酸カリウムが好ましい。
【0056】
その際、塩基は化合物(VI)1モル当り、1ないし10モルの比、好ましくは1ないし5モルの比、特に1ないし4モルの比の塩基で採用できる。
【0057】
一般的に、反応は−78℃ないし+120℃の温度範囲、好ましくは+20℃ないし+100℃の範囲で、特に+20℃ないし+80℃で実行する。
【0058】
反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる。例えば、0.5ないし5バールの範囲である。一般に、反応は大気圧で実行する。
【0059】
一般的に、反応は、等量または過剰の化合物(VI)を、好ましくは化合物(V)1モル当り1ないし50モルの化合物(VI)の比で使用して実行する。
【0060】
一般式(VI)の化合物は、市販されており、当業者に既知である。あるいは、文献による方法で製造できる。
【0061】
過程[C]:(VIII)→(I)(但し、R=R=Hである)は、文献より知られる方法と同様に製造できる[例えば、Alvarez−Insua et al., Journal of Heterocyclic Chemistry 7, 1305-1309 (1970)を参照のこと]。
【0062】
反応は、溶媒の非存在下で、または溶媒中できちんと実行できる。適する溶媒は、反応条件下で不活性な有機溶媒である。これには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、クロロベンゼンまたはジクロロエタンなどの塩素化炭化水素類またはジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの他の溶媒が含まれる。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましくは、反応はそのまま、溶媒の非存在下で実行する。
【0063】
適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これには、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、カリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、トリエチルアミンまたはピリジンなどアミン、あるいは問題の一般式(VI)の化合物自体のナトリウムまたはカリウム塩が含まれる。問題の一般式(VI)の化合物のナトリウムまたはカリウム塩が好ましい。
【0064】
その際、塩基は化合物(VII)1モル当り、1ないし10モルの比、好ましくは1ないし5モルの比、特に1ないし4モルの比の塩基で採用できる。
【0065】
一般に、反応は−78℃ないし+180℃の温度範囲、好ましくは+20℃ないし+160℃の範囲で、特に+20℃ないし+120℃で実行する。
【0066】
反応は、大気圧、加圧または減圧下で実行できる。例えば、0.5ないし5バールの範囲である。一般に、反応は大気圧で実行する。
【0067】
一般的に、反応は、等量または過剰の化合物(VI)を、好ましくは化合物(VII)1モル当り1ないし50モルの(VI)の比で使用して実行する。
【0068】
一般式(VII)の化合物は、市販されており、当業者に既知である。あるいは、文献から知られる方法により製造できる。
【0069】
驚くべきことに、式(I)の化合物は、予見できない薬理的活性スペクトルを有し、従って障害の予防および/または治療に特に適する。
【0070】
式(I)の化合物は、例えば、特に心臓血管系の障害(心臓血管障害)などの、多数の障害の予防および/または治療に適する。
【0071】
本発明では、心臓血管障害は、特に例えば、以下の障害を意味すると理解されるものである:冠状動脈性心臓病、高血圧症(高い血圧)、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、動脈硬化症、頻脈、不整脈、末梢血管障害および心臓血管障害、安定および不安定な狭心症、並びに心房細動。
【0072】
式(I)の化合物はさらにまた、例えば、梗塞に冒された心筋領域の大きさの縮小に特に適している。
【0073】
式(I)の化合物はさらに、例えば、心筋梗塞、卒中および一過性虚血発作などの血栓塞栓障害の予防および/または治療に特に適している。
【0074】
式(I)の化合物が適する適応症の域は、例えば、過敏性膀胱、勃起性機能不全および女性の性機能不全などの泌尿生殖器系の障害および癌の予防および/または治療であるが、加えて、喘息および炎症性皮膚病などの炎症性障害、卒中後の障害、アルツハイマー病などの中枢神経系の神経炎症性障害、およびさらにまたパーキンソン病などの神経変性障害、および痛みの予防および/または治療でもある。
【0075】
指示されるさらなる領域は、例えば、呼吸管の障害(例えば、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(膵臓繊維症)および肺高血圧症)の予防および/または治療である。
【0076】
式(I)の化合物は、例えば、特に肝臓線維症および肝硬変の予防および/または治療にもさらに適する。
【0077】
最後に、式(I)の化合物は、例えば、糖尿病、特に真性糖尿病の予防および/または治療にも特に適する。
【0078】
本発明はまた、上記の病像の予防および/または治療のための医薬および医薬組成物を製造するための、式(I)の物質の使用にも関する。
【0079】
本発明は、式(I)の物質を使用する、上記の病像の予防および/または治療方法に関する。
【0080】
上記の式(I)の化合物の薬理的活性は、アデノシン受容体の個々のサブタイプまたは複数のサブタイプに対する選択的リガンドとしての、特にアデノシンA1、アデノシンA2aおよび/またはアデノシンA2b受容体に対する選択的リガンドとしての、好ましくはアデノシンA1および/またはアデノシンA2b受容体に対する選択的リガンドとしての活性により説明できる。
【0081】
本発明では、アデノシン受容体リガンドは、第一に、1種またはそれ以上のアデノシン受容体サブタイプに対して明確に活性であれば、そして第二に、1種またはそれ以上の他のアデノシン受容体サブタイプに対して観察され得る活性が、あるとしてもかなり弱いものであれば、「選択的」であると呼ぶ。作用の選択性の試験方法に関して、セクションAのIIに記載する試験方法を参照する。
【0082】
本発明の式(I)の化合物の1つの利点は、従来技術のアデノシン受容体リガンドよりも選択的であることである。
【0083】
特に、RとRが隣接するフェニル環の原子に結合し−O−CH−O−、−O−CH−CH−O−または−O−(CH−O−の基である式(I)の化合物は、一般にアデノシンA1受容体に選択的に作用する。
【0084】
特に、R、RまたはR基の1つが−NH−C(O)−Rであり、RまたはR基の1つがベンジルまたはピリジルメチルである式(I)の化合物は、一般にアデノシンA1およびアデノシンA2b受容体に選択的に作用する。
【0085】
受容体の選択性は、アデノシン受容体の1つのサブタイプのみを特異的に発現するトランスフェクションされた細胞における、細胞内メッセンジャーcAMPの生化学的測定により判定できる。ここで、アデノシンまたはアデノシン様物質による前刺激に続いて、観察されるものは、各々、A2aおよびA2bアゴニスト(好ましくはGsタンパク質を介して共役する)の場合は細胞内cAMP濃度の増大であり、A2aおよびA2bアンタゴニストの場合は細胞内cAMP濃度の低減である(刊行物、B. Kull, G. Arslan, C. Nilsson, C. Owman, A. Lorenzen, U. Schwabe, B.B. Fredholm, "Differences in the order of potency for agonists but not antagonists at human and rat adenosine A2A receptors", Biochem. Pharmacol., 57 (1999) pages 65-75; and S.P. Alexander, J. Cooper, J. Shine, S.J. Hill, "Characterization of the human brain putative A2B adenosine receptor expressed in Chinese hamster ovary (CHO.A2B4) cells", Br. J. Pharmacol., 119 (1996) pages 1286-90, 各々の内容を、出典明示により本明細書の一部とする)。対応して、A1アゴニスト(好ましくはGiタンパク質を介して共役する)およびA1アンタゴニストは、各々cAMP濃度の低減と増大をもたらす。
【0086】
従って、アデノシンA1受容体に選択的に結合する式(I)の化合物は、好ましくは心筋の保護、並びに頻脈、心房の不整脈、心不全、心筋梗塞、急性腎不全、糖尿病、痛みの予防および/または治療、並びに創傷の治癒に適する。
【0087】
アデノシンA2a受容体に選択的に結合する式(I)の化合物は、好ましくは血栓塞栓障害、パーキンソン病などの神経変性障害の予防および/または治療、並びに創傷の治癒に適する。
【0088】
アデノシンA2b受容体に選択的に結合する式(I)の化合物は、好ましくは肝臓線維症、心筋梗塞、神経炎症性障害、アルツハイマー病、泌尿生殖器系の失禁並びに呼吸管の障害(例えば、喘息および慢性気管支炎)の予防および/または治療に適する。
【0089】
本発明はまた、好ましくは1つまたはそれ以上の医薬的に許容し得る助剤または担体と共に、少なくとも1つの式(I)の化合物を含む医薬および医薬製剤、並びに上記目的のこれらの使用も提供する。
【0090】
式(I)の化合物の投与に適するのは、あらゆる常套の投与形態である。即ち、経口、非経口、吸入、経鼻、舌下、経直腸、例えば、インプラントまたはステントの場合などの局所、または例えば、経皮などの外用である。非経口投与の場合、特に言及し得るものは、脈管内、筋肉内および例えば、皮下持続性薬剤(depot)としての皮下投与である。特に好ましいのは経口投与である。
【0091】
活性化合物は、単独で、または製剤の形態で投与できる。経口投与に適する製剤は、とりわけ、錠剤、カプセル剤、小丸剤、糖衣錠剤、丸剤、顆粒剤、固体および液体煙霧剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤である。活性化合物は、治療作用が得られる量で存在しなければならない。一般に、活性化合物は重量で0.1ないし100%、特に重量で0.5ないし90%、好ましくは重量で5ないし80%の濃度で存在できる。即ち、活性化合物は言及する用量範囲を達成するのに十分な量で存在するべきである。
【0092】
この目的のために、活性化合物は本質的に知られている方法で、常套の製剤に変換できる。これは、不活性な非毒性の医薬的に適する担体、助剤、溶媒、担体、乳化剤および/または分散剤を使用して達成する。
【0093】
言及されてよい助剤は、例えば、水、パラフィンなどの非毒性有機溶媒、植物油(例えば、ゴマ油)、アルコール(例えば、エタノール、グリセロール)、グリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、天然または合成の粉砕鉱物などの固体担体(例えば、タルクまたは珪酸塩)、糖類(例えば、ラクトース)、乳化剤、分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン)および流動促進剤(glidant)(例えば、硫酸マグネシウム)である。
【0094】
経口投与の場合、錠剤は一般的に、澱粉、ゼラチンなどの佐剤と共に、クエン酸ナトリウムなどの添加物も含有し得る。経口投与用水性製剤は、さらに香味増強剤または着色料と混合してもよい。
【0095】
一般に、非経口投与の場合、効果的な結果を得るには、体重の約0.1ないし約10000μg/kg、好ましくは約1ないし約1000μg/kg、特に約1μg/kgないし約100μg/kgの量を投与するのが有利であると見出された。経口投与の場合、量は約0.1ないし約10mg/kg、好ましくは約0.5ないし約5mg/kg、特に約1ないし約4mg/kgである。
【0096】
時には、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の反応、製剤タイプおよび投与する時間または間隔によって、言及した量から外れることが必要なことがある。
【実施例】
【0097】
以下の実施例により本発明を例示説明する。これは、いかようにも本発明を限定しない。
【0098】
A.生理的活性の評価
I.心臓血管作用の検出
ラットのランゲンドルフ心臓:
胸部を切開した後、麻酔したラットから心臓を取出し、通常のランゲンドルフ器具に導入した。冠状動脈を一定量(10ml/分)で潅流し、生じる潅流圧を適切な圧力感知器で記録した。このセットアップでは、潅流圧は冠状動脈の弛緩に対応する。同時に、各収縮の間に心臓が発する圧力を左心室に導入したバルーンと第2の圧力感知器で測定した。分離されて鼓動している心臓の頻度を、時間単位毎の収縮数から算出した。
【0099】
II.受容体選択性の評価
a)アデノシンA1、A2a、A2bおよびA3受容体の選択性
パーマネント細胞株のCHO(Chinese Hamster Ovary)細胞に、アデノシン受容体サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3のcDNAを安定にトランスフェクションした。A2bまたはA3の受容体サブタイプへの物質の結合を、従来の放射性免疫学的アッセイ(cAMP RIA)を使用して、これらの細胞における細胞内cAMP含量を測定することにより決定した。
【0100】
物質がアゴニストとして作用するとき、物質の結合はcAMPの細胞内含量の増大として表出される。全アデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合するが選択的ではなく、アゴニスト作用を有するアデノシン類似化合物であるNECA(5−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、これらの実験における参照化合物として使用した(Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol, 357 (1998), 1-9)。
【0101】
アデノシン受容体A1およびA3は、Giタンパク質と共役する。即ち、これらの受容体の刺激はアデニル酸シクラーゼの阻害を導き、結果的に細胞内cAMPレベルの低下を導く。A1/A3受容体アゴニストを同定するために、アデニル酸シクラーゼをフォルスコリン(forskolin)で刺激した。しかしながら、A1/A3受容体の付加的な刺激はアデニル酸シクラーゼを阻害する。このことは、A1/A3受容体アゴニストを細胞中の比較的低いcAMP含量により検出できることを意味する。
【0102】
アデノシン受容体に対するアンタゴニスト作用を検出するために、対応する受容体をトランスフェクションした組換え細胞をNECAで前刺激し、この前刺激により引き起こされる細胞内cAMP含量の減少に対するその物質の作用を調べた。全アデノシン受容体サブタイプに非選択的であるが高い親和性で結合し、アンタゴニスト作用を有するXAC(キサンチンアミンコンジナー)を、これらの実験における参照化合物として使用した(Mueller, C.E., Stein, B., adenosine receptor antagonists: structures and potential therapeutic applications, Current Pharmaceutical Design, 2 (1996) 501-530)。
【0103】
b)アデノシンA1、A2a、A2b受容体の選択性
CHO(Chinese Hamster Ovary)パーマネント細胞株の細胞に、アデノシン受容体サブタイプA1、A2aおよびA2bのcDNAを安定にトランスフェクションした。アデノシンA1受容体はアデニル酸シクラーゼとGタンパク質により共役し、一方アデノシンA2aおよびA2b受容体はGsタンパク質により共役する。このことに対応して、細胞におけるcAMPの形成は、それぞれ阻害または刺激される。その後、cAMP依存性プロモーターによりルシフェラーゼの発現が調節される。高感受性と再現性、低変動性および自動装置システムによる実行への良好な適合性のために、細胞密度、成育期の期間、並びに試験のインキュベーション、フォルスコリン濃度および培地組成などのいくつかの試験パラメーターを変動させることにより、ルシフェラーゼ試験を最適化した。細胞の薬理学的な特性記述に、そして自動装置に補助される物質の試験スクリーニングに、以下の試験プロトコールを使用した。
【0104】
37℃、5%CO下、10%FCS(ウシ胎児血清)含有DMEM/F12培地で貯蔵培養物を成育させ、それぞれ2ないし3日後に1:10に分けた。384ウェルプレートにウェル毎1000ないし3000細胞の割合で試験培養物を播種し、37℃で約48時間成育させた。次いで、培地を生理的塩化ナトリウム溶液と置き換えた(130mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、20mM HEPES、1mM MgCl・6HO、5mM NaHCO、pH7.4)。DMSOに溶解した物質をこの生理的塩化ナトリウム溶液で1:10で3回希釈し、試験培養物にピペットで添加した(試験混合物中のDMSOの最大終濃度0.5%)。このようにして、例えば、5μMないし5nMの最終物質濃度を得た。10分後、フォルスコリンをA1細胞に添加し、全培養物を続いて37℃で4時間インキュベートした。その後、50%の溶解試薬(30mMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3% TritonX100、25mMTrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)および50%のルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM MgSO、15mM DTT、pH7.8)からなる溶液35μlを試験培養物に添加し、プレートを約1分間震盪し、カメラシステムを使用してルシフェラーゼ活性を測定した。
【0105】
実施例
使用した略称:
DMSO ジメチルスルホキシド
HPLC 高圧高速液体クロマトグラフィー
NMR 核磁気共鳴分光
THF テトラヒドロフラン
【0106】
実施例1
2−アミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化8】

344mg(15mmol)のナトリウムを20.7mlのベンジルアルコールに溶解した。660mg(10mmol)のマロニトリルおよび750mg(5mmol)のピペロナールを添加し、混合物を室温で約16時間撹拌した。20mlの水を反応混合物に添加し、1N塩酸を使用して混合物を中和した。各回50mlのジクロロメタン中で3回混合物を抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン)で精製した。
収率:872mg(=理論値の40.1%)
質量スペクトル:求められるモル質量: 370, 見出された[M+H]+ = 371
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 5.45 [2H] s; 6.15 [2H] s; 7.0-7.2 [3H] m; 7.3-7.6 [5H] m; 7.8-8.2 [2H] s broad.
【0107】
実施例2
2−アミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化9】

実施例1と同様に、化合物を製造した。
収率:850mg(=理論値の41.4%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 308, 見出された[M+H]+ = 309
【0108】
実施例3
2−アミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化10】

実施例1と同様に、化合物を製造した。
収率:1100mg(=理論値の50.9%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 324, 見出された[M+H]+ = 325
【0109】
実施例4
2−エチルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
段階1
2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化11】

400mg(1.08mmol)の2−アミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル(実施例1)を10mlのアセトニトリルに溶解した。759mg(0.87ml、6.48mmol)の亜硝酸イソアミルおよび871mg(6.48mmol)の塩化銅(I)を添加し、混合物を40℃で約16時間撹拌した。反応溶液を1N塩酸で希釈し、各回50mlのジクロロメタン中で3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。濃縮残渣をジクロロメタン/メタノールから結晶化した。
収率:214mg(=理論値の50.9%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 389, 見出された[M+H]+ = 390
【0110】
段階2
2−エチルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化12】

30mg(0.08mmol)の2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル(実施例4、段階1)および10.4mg(0.23mmol)のエチルアミンを一緒に0.12mlのTHF中で約16時間震盪した。水を反応溶液に添加し、結晶化した生成物を吸引濾過し、減圧下で乾燥させた。
収率:22mg(=理論値の72.7%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 398, 見出された[M+H]+ = 399
【0111】
実施例5
2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化13】

30mg(0.08mmol)の2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル(実施例4、段階1)および14.1mg(0.23mmol)の2−ヒドロキシエチルアミンを一緒に0.5mlのTHF中で約16時間震盪した。水を反応溶液に添加し、結晶化した生成物を吸引濾過し、減圧下で乾燥させた。移動相ジクロロメタンおよびジクロロメタン/メタノール50:1を使用して、シリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した。
収率:16mg(=理論値の50%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 414, 見出された[M+H]+ = 415
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 3.55 [4H] s; 4.8 [1H] s; 5.5 [2H] s; 6.15 [2H] s; 7.0-7.2 [3H] m; 7.3-7.6 [5H] m; 8 [1H] s.
【0112】
実施例6
2−メチルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化14】

実施例4、段階2と同様に化合物を製造した。
収率:26mg(=理論値の88.9%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 384, 見出された[M+H]+ = 385
【0113】
実施例7
2−(2−メトキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化15】

実施例4、段階2と同様に化合物を製造した。
収率:27mg(=理論値の82.8%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 428, 見出された[M+H]+ = 429
【0114】
実施例8
2−シクロプロピルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化16】

実施例4、段階2と同様に化合物を製造した。
収率:24mg(=理論値の76.9%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 410, 見出された[M+H]+ = 411
【0115】
実施例9
2−シクロプロピルメチルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−ベンジルオキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化17】

実施例4、段階2と同様に化合物を製造した。
収率:24mg(=理論値の73.5%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 424, 見出された[M+H]+ = 425
【0116】
実施例10
2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化18】

開始物質2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリルを実施例4、段階1と同様に製造し、生成物2−(2−ヒドロキシルエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリルを、実施例4、段階2と同様に製造した。
収率:22mg(=理論値の39.9%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 352, 見出された[M+H]+ = 353
【0117】
実施例11
2−シクロプロピルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化19】

開始物質2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリルを、実施例4、段階1と同様に製造し、生成物2−シクロプロピルアミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリルを実施例4、段階2と同様に製造した。
収率:51mg(=理論値の80%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 364, 見出された[M+H]+ = 365
【0118】
実施例12
2−(2−メトキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化20】

開始物質2−クロロ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリルを実施例4、段階1と同様に製造し、生成物2−(2−メトキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリルを実施例4、段階2と同様に製造した。
収率:54mg(=理論値の96.5%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 366, 見出された[M+H]+ = 367
【0119】
実施例13
2−アミノ−4−フェニル−6−(2−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化21】

102mg(0.4mmol)の2−アミノ−6−クロロ−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994)] および54mg(0.48mmol)のカリウムtert−ブトキシドを一緒に1.696g(=1.5ml、15.55mmol)の2−ヒドロキシメチルピリジンに溶解し、混合物を60℃で約16時間撹拌した。結晶化した生成物を吸引濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させた。
収率:128mg(=理論値の97.8%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 327, 見出された[M+H]+ = 328
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 5.55 [2H] s; 7.35 [1H] m; 7.5 [6H] m; 7.85 [1H] m; 8.05 [2H] s broad; 8.6 [1H] m.
【0120】
実施例14
2−アミノ−4−フェニル−6−(3−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化22】

102mg(0.4mmol)の2−アミノ−6−クロロ−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994)] および54mg(0.48mmol)のカリウムtert−ブトキシドを一緒に1.696g(=1.5ml、15.55mmol)の3−ヒドロキシメチルピリジンに溶解し、混合物を60℃で約16時間撹拌した。生じた懸濁液を、2滴の氷酢酸で酸性化した。結晶化した生成物を吸引濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させた。
収率:130mg(=理論値の99.7%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 327, 見出された[M+H]+ = 328
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 5.5 [2H] s; 7.45 [6H] m; 7.95 [1H] m; 8.1 [2H] s broad; 8.55 [1H] m; 8.8 [1H] d.
【0121】
実施例15
2−アミノ−4−フェニル−6−(4−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化23】

102mg(0.4mmol)の2−アミノ−6−クロロ−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994)] を、54mg(0.48mmol)のカリウムtert−ブトキシドおよび131mg(1.2mmol)の4−ヒドロキシメチルピリジンと共に1.5mlのDMSOに溶解し、混合物を60℃で約16時間撹拌した。反応混合物を、2滴の氷酢酸で酸性化した。溶液を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した(勾配:水+0.1%蟻酸/アセトニトリル90:10→10:90、12分)。
収率:66mg(=理論値の50.5%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 327, 見出された[M+H]+ = 328
【0122】
実施例16
N−{4−[2−アミノ−6−(ベンジルオキシ)−3,5−ジシアノ−4−ピリジニル]フェニル}アセトアミド
【化24】

58mg(0.15mmol)のN−{4−[2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−(フェニルスルファニル)−4−ピリジニル]フェニル}アセトアミド [Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981)と同様に製造した]を、41mg(0.3mmol)の炭酸カリウムと共に、1.88g(=1.8ml、17.4mmol)のベンジルアルコールに溶解し/懸濁し、混合物を100℃で3.5時間撹拌した。ベンジルアルコールを減圧下で蒸発させ、蒸発残渣を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した(勾配:水/アセトニトリル90:10→10:90、38分)
収率:38mg(=理論値の67%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 383, 見出された[M+H]+ = 384
【0123】
実施例17
2−ベンジルオキシ−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル
段階1
2−クロロ−4−フェニル−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化25】

1g(3.65mmol)の2,6−ジクロロ−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Quintela et al., Heterocycles 38, 1299-1305 (1994)] を、0.33g(5.47mmol)の2−アミノエタノールと共に3mlのTHFに溶解し、混合物を還流下で8時間加熱した。反応混合物を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した(勾配:水+0.1%蟻酸/アセトニトリル90:10→5:95、35分)
収率:977mg(=理論値の89.7%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 298, 見出された[M+H]+ = 299
【0124】
段階2
2−ベンジルオキシ−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化26】

58mg(0.2mmol)の2−クロロ−4−フェニル−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル(実施例17、段階1)を、27mg(0.24mmol)のカリウムtert−ブトキシドと共に0.96g(=1ml、8.9mmol)のベンジルアルコールに溶解し、混合物を40℃で約16時間撹拌した。反応混合物を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した(勾配:水+0.1%蟻酸/アセトニトリル90:10→5:95、35分)。
収率:62mg(=理論値の83.3%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 370, 見出された[M+H]+ = 371
【0125】
実施例18
N−{4−[2−アミノ−6−(3−ピリジルメチルオキシ)−3,5−ジシアノ−4−ピリジニル]フェニル}−アセトアミド
【化27】

115mg(0.3mmol)のN−{4−[2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−(フェニルスルファニル)−4−ピリジニル]フェニル}アセトアミド [Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981)と同様に製造した]を、50mg(0.45mmol)のカリウムtert−ブトキシドと共に、1.12g(=1ml、10.3mmol)の3−ピリジルメチルアルコールに溶解/懸濁し、混合物を60℃で2時間撹拌した。製造物を吸引濾過し、水とエタノールの混合物に懸濁し、0.3mlの5N酢酸を添加した。濾過後、生成物を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した(勾配:水/アセトニトリル95:5→10:90、38分)。
収率:24mg(=理論値の20%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 384, 見出された[M+H]+ = 385
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 2.1 [2H] s; 5.5 [2H] s; 7.45 [3H] m; 7.7 [2H] d; 7.95 [1H] m; 8.1 [2H] s broad; 8.6 [1H] m; 8.8 [1H] s; 10.2 [1H] s.
【0126】
実施例19
2−アミノ−4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−6−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化28】

100mg(0.26mmol)の2−アミノ−4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−6−(フェニルスルファニル)−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981)と同様に製造した] を、44mg(0.39mmol)のカリウムtert−ブトキシドおよび334mg(2.59mmol)の(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチルアルコールと共に5mlの1,2−ジメトキシエタン中で室温で一晩撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣を逆相シリカゲルの分離用HPLCにより精製した。
収率:41mg(=理論値の39%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 405, 見出された[M+H]+ = 406
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 2.65 (s, 3H); 4.3 (s, 4H); 5.45 (s, 2H); 7.0 (m, 3H); 7.7 (s, 1H); 8.0 (s broad; 2H).
【0127】
実施例20
2−アミノ−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−(3−チエニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル
【化29】

100mg(0.26mmol)の2−アミノ−4−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−6−(メチルスルファニル)−3,5−ピリジンジカルボニトリル [Dyachenko et al., Russian Journal of Chemistry, Vol. 33, No. 7, 1997, pages 1014-1017 or Vol. 34, No. 4, 1998, pages 557-563 と同様に製造した] を、181mg(1.6mmol)のカリウムtert−ブトキシドおよび184mg(1.6mmol)の3−ヒドロキシメチルチオフェンと共に、50℃で4時間撹拌した。冷却後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルから結晶化した。
収率:57mg(=理論値の47%)
質量スペクトル: 求められるモル質量: 376, 見出された[M+H]+ = 377
NMRスペクトル: [1H-NMR, DMSO-d6] 5.45 (s, 2H); 6.15 (s, 2H); 7.0-7.15 (m, 3H); 7.25 (d, 1H); 7.55 (dd, 1H); 7.7 (d, 1H); 8.0 (s broad; 2H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
は、−NH−C(O)−CHまたは−NH−C(O)−Cを表し、
およびRは、水素を表すか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、基−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−であり、
は、水素を表し、
とRは、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル(これはヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)、シクロプロピル、ベンジルまたはピリジルメチルであるか、
または、
とRは、それらが結合する窒素原子と共に5ないし7員の飽和または部分不飽和のヘテロ環を形成し(これは、環中にN、OまたはSからなる群から選択されるさらなるヘテロ原子を含有し得、そして、相互に独立してヒドロキシル、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより1ないし3置換されていてもよい)、
そして、
は、(C−C)−シクロアルキルまたは(C−C)−アルキル(アルキルは、(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルケニル、フェニルまたはN、Oおよび/またはSからなる群からの3個までのヘテロ原子を有する5または6員のヘテロアリールにより置換されている、但し、フェニルおよびヘテロアリールは、それらの部分についてフッ素、塩素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ニトロ、シアノまたはヒドロキシルにより置換されていてもよい)、または、非置換(C−C)−アルキルである、
の化合物、またはそれらの塩、水和物、塩の水和物または溶媒和物、
但し、
・Rが−NH−C(O)−Cであり、R、R、RおよびRがHであり、Rがエチルである化合物、
・Rが−NH−C(O)−Cであり、R、R、RおよびRがHであり、Rがメチルである化合物、
・RおよびRが−O−CH−O−であり、R、RおよびRがHであり、Rがエチルである化合物、
・RおよびR=−O−CH−O−、R、RおよびRがHであり、Rがメチルである化合物、
・RおよびR=−O−CH−O−、R、RおよびRがHであり、Rがn−プロピルである化合物、および、
・RおよびRが−O−CH−O−であり、R、RおよびRがHであり、Rがn−ブチルである化合物並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物を除く。
【請求項2】
式中、
とRは相互に独立して水素、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたは−NH−C(O)−CH(但し、アルコキシ基はヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)であるか、
または、
とRは、隣接するフェニル環原子に結合し、基−O−CH−O−であり、
は水素であり、
は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(但し、アルキル基は、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはシクロプロピルにより置換されていてもよい)またはシクロプロピルであり、
は水素またはメチル基であり、
そして、
は、メチルまたはエチル{それらはピリジル、フェニル(フェニルは、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシまたはアミノにより置換されていてもよい)、ヒドロキシルまたはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシにより置換されている}である、
請求項1に記載の化合物、またはそれらの塩、水和物、塩の水和物または溶媒和物。
【請求項3】
2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル、
2−(2−メトキシエチルアミノ)−4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−6−エトキシ−3,5−ピリジンジカルボニトリル、
2−アミノ−4−フェニル−6−(2−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル、
2−アミノ−4−フェニル−6−(3−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル、
2−アミノ−4−フェニル−6−(4−ピリジニルメトキシ)−3,5−ピリジンジカルボニトリル、または、
2−ベンジルオキシ−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4−フェニル−3,5−ピリジンジカルボニトリル。
【請求項4】
[A]式(II)
【化2】

式中、R、R、RおよびRは請求項1で定義の通りであり、Xは脱離基である、
の化合物を、式(III)
−NH−R (III)
式中、RとRは請求項1で定義の通りである、
の化合物と反応させる、
を特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項5】
[B]式(IV)
【化3】

式中、R、RおよびRは請求項1で定義の通りであり、XとXは同一であるか、または異なり、脱離基である、
の化合物を、最初に式(III)
−NH−R (III)
式中、RとRは請求項1で定義の通りである、
の化合物で式(V)
【化4】

式中、R、R、R、RおよびRは、請求項1で定義の通りであり、Xは脱離基である、
の化合物に変換し、
これらを式(VI)
−OH (VI)
式中、Rは請求項1で定義の通りである、
の化合物と反応させる、
を特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項6】
[C]式(I)の化合物において、RとRが各々水素であるなら、式(VII)
【化5】

式中、R、RおよびRは、請求項1で定義の通りである、
の化合物を、塩基の存在下で、マロニトリル(malonitrile)および式(VI)
−OH (VI)
式中、Rは請求項1で定義の通りである、
の化合物と反応させる、
を特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項7】
障害の予防および/または治療のための、請求項1または2で定義される式(I)の化合物。
【請求項8】
少なくとも1つの請求項1または2で定義される式(I)の化合物、および少なくとも1つのさらなる助剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
心臓血管系の障害(心臓血管障害)の予防および/または治療のための医薬を製造するための、請求項1または2で定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
泌尿生殖器系の障害および癌の予防および/または治療のための医薬を製造するための、請求項1または2で定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
炎症性および神経炎症性障害、神経変性障害並びに痛みの予防および/または治療のための医薬を製造するための、請求項1または2で定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
呼吸管の障害、肝臓線維症および肝硬変および糖尿病の予防および/または治療のための医薬を製造するための、請求項1または2で定義される式(I)の化合物の使用。

【公開番号】特開2010−24242(P2010−24242A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250323(P2009−250323)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【分割の表示】特願2002−569804(P2002−569804)の分割
【原出願日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】