説明

置換2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジンおよびアデノシン受容体−選択的リガンドとしてのその使用

【課題】本発明の課題は、改善されたバイオアベイラビリティーを有するアデノシン受容体リガンドを見出し、または製造することである。
【解決手段】置換2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン化合物、それらの製造方法、および医薬としてのそれらの使用を提供する。本発明の化合物は、価値ある薬理学的な活性スペクトルを示し、従って、疾患の予防および/または処置に特に適切である。また、先行技術と比較して、本発明の化合物は、優れた薬物動態学的性質を有し、特に経口投与によって優れたバイオアベイラビリティーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン、それらの製造方法、および医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノシン、すなわちアデニンとD−リボースからなるヌクレオシドは、特に 例えば虚血に伴う広く様々な器官(例えば心臓や脳)において起こる 酸素や物質の制限された供給を含む、細胞損傷条件下での細胞保護活性を示す内在性因子である。
【0003】
アデノシンは、アデノシン−5'−モノホスフェート(AMP)と、S−アデノシルホモシステインが分解した際に、中間体として細胞内で形成されるが、細胞から放出され、そしてホルモン様物質または神経伝達物質として、特定の受容体に結合することによって、機能し得る。
【0004】
正常酸素条件下では、細胞外でのフリーのアデノシンの濃度は、非常に低い。しかし、虚血もしくは低酸素状態で影響を受けた器官では、細胞外のアデノシンの濃度が劇的に増大する。従って、例えばアデノシンが血小板の凝集を阻害し、冠動脈を通る血流を増大させることが知られている。さらに、アデノシンは、心拍数、神経伝達物質の分泌、およびリンパ球の分化に影響を与える。
【0005】
これらのアデノシンの効果は、当該影響を受けた器官における酸素の供給を増大させ、および/またはこれらの器官の代謝を適切に減速させることで、虚血もしくは低酸素状態下での器官の血流に器官の代謝を適応させることに向けられている。
【0006】
アデノシンの効果は、特定の受容体によって仲介される。現在知られている受容体は、サブタイプ A1、A2a、A2b、およびA3である。これらのアデノシン受容体の効果は、伝達化合物cAMPによって細胞内で仲介される。アデノシンがA2aもしくはA2b受容体に結合すると、膜に位置するアデニル酸シクラーゼが活性化される結果として、細胞内のcAMPが増大し、他方アデノシンのA1もしくはA3受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼが阻害される結果として、細胞内のcAMPの量を減少させる。
【0007】
本発明において、1個もしくはそれ以上のアデノシン受容体のサブタイプに選択的に結合し、そのことによって、アデノシンの効果を模倣する(アデノシン アゴニスト)か、またはアデノシンの効果をブロックする(アデノシン アンタゴニスト)物質は、“アデノシン受容体−選択的リガンド”と呼ばれる。
【0008】
その受容体の選択性によると、アデノシン受容体−選択的リガンドは、様々なクラスに、例えばA1もしくはA2アデノシン受容体に選択的に結合するリガンドに、後者の場合はまた、A2aもしくはA2bアデノシン受容体に選択的に結合するリガンドに、細分され得る。アデノシン受容体リガンドにおいて、アデノシン受容体のサブタイプの幾つかに選択的に結合するリガンド、例えばA1とA2アデノシン受容体に選択的に結合するが、A3アデノシン受容体には結合しないリガンドも存在し得る。
【0009】
上記の受容体選択性は、例えば、関連の受容体のサブタイプを発現した後 適切なcDNAで安定にトランスフェクトした細胞株(これに関しては、M. E. Olah, H. Ren, J. Ostrowski, K. A. Jacobson, G. L. Stiles, “Cloning, expression, and characterization of the unique bovine A1 adenosine receptor. Studies on the ligand binding site by site-directed mutagenesis.” in J. Biol. Chem. 267 (1992) pages 10764-10770 を参照のこと。これは、言及することによって、全体が 本明細書中に組み込まれている)への、物質の効果によって決定され得る。
【0010】
該細胞株への物質の効果は、細胞内の伝達物質cAMPの生化学的な測定によって決定され得る (これに関しては、K. N. Klotz, J. Hessling, J. Hegler, C. Owman, B. Kull, B. B. Fredholm, M. J. Lohse, “Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells” in Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol. 357 (1998) pages 1-9 を参照のこと。これは、言及することによって、全体が 本明細書中に組み込まれている)。
【0011】
先行技術で開示されているアデノシン受容体リガンドは、天然のアデノシンに基づく主要な誘導体である(S. A. Poulsen and R. J. Quinn, “Adenosine receptors: new opportunities for future drugs” in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998) pages 619-641)。しかしながら、これらの先行技術から既知のアデノシン リガンドは、経口投与では、天然のアデノシンより活性が低いか、または非常に弱い活性しかないか、または全く活性がないという欠点がある。この理由から、これらは、主に実験的な目的のためにのみ用いられている。
【0012】
これに加え、WO 01/25210 は、本発明による化合物に構造的に類似している 2−チオ−3,5−ジシアノ−4−アリール−6−アミノピリジンを開示している。しかし、上記の公報に記載されている化合物は、不利益な薬物動態を有している。特に、それらは、経口投与では低いバイオアベイラビリティーしか有さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、先行技術の欠点を除く化合物、すなわち、特に改善されたバイオアベイラビリティーを有する化合物を見出し、または製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、またはモノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノを表し;そして
は、ピリジルまたはチアゾリルを表し、これらは ハロゲン、アミノ、または(C−C)−アルキルによって置換され得る]の化合物、およびそれらの塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
置換パターンに依存して、式(I)の化合物は、互いに実像と鏡像の関係である立体異性体(エナンチオマー)、または互いに実像と鏡像の関係ではない立体異性体(ジアステレオマー)の形態で存在し得る。本発明は、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの両方、およびそれぞれの混合物に関する。ラセミ体の形態は、既知の方法で、ジアステレオマーと同様の方法で、立体異性体で同一の成分に分割し得る。同様に、本発明はまた、式(I)の化合物の他の互変異体およびその塩にも関する。
【0016】
式(I)の化合物の塩は、本発明による化合物と、鉱酸、カルボン酸、スルホン酸との生理学的に害のない塩であり得る。特に好ましいのは、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、または安息香酸との塩である。
【0017】
記載し得る塩は、慣例の塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩もしくはマグネシウム塩)、またはアンモニアもしくは有機アミン(例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、ジヒドロアビエチルアミン、1−エフェナミン(ephenamine)、またはメチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩である。
【0018】
本発明によると、固体状態もしくは液体状態において、水との水和もしくは溶媒分子の配位による分子化合物もしくは錯体を形成する、式(I)の化合物の形態は、それぞれ水和物 および 溶媒和物と呼ばれる。水和物の例は、1.5水和物、一水和物、二水和物、および三水和物である。全く同様に、本発明による化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物もまた考慮の対象となる。
【0019】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグを含む。本発明によって、それ自身生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、生理学的な条件下で対応する生物学的に活性な形態に変換(例えば代謝もしくは加溶媒分解で)され得る式(I)の化合物の形態は、プロドラッグと呼ばれる。
【0020】
本発明の内容において、置換基は、別記しない限り、以下の意味を有する。
ハロゲンは、一般的に、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。フッ素、塩素、または臭素が望ましい。フッ素または塩素が、特に非常に望ましい。
(C−C)−アルキルは、一般的に、1から4個の炭素原子を有する 直鎖もしくは分枝のアルキルを表す。記載し得る例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルである。
【0021】
(C−C)−アルコキシは、一般的に、1から4個の炭素原子を有する 直鎖もしくは分枝のアルコキシを表す。記載し得る例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシである。
【0022】
モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノは、一般的に、1個もしくは2個の、同一もしくは異なる、それぞれの場合で1から4個の炭素原子を有する 直鎖もしくは分枝のアルキル置換基を有するアミノを表す。記載し得る例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、およびN−t−ブチル−N−メチルアミノである。
【0023】
式(I):
[式中、
は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、またはtert−ブチルを表し;そして
は、2−ピリジル、チアゾール−4−イル、またはチアゾール−5−イルを表し、これらは塩素、アミノ、またはメチルによって置換され得る]の化合物、およびその塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物が望ましい。
【0024】
式(I)[式中、Rは(C−C)−アルキルを表す]の化合物、およびその塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物が、特に望ましい。
式(I)[式中、Rは、非置換ピリジルを表す]の化合物、およびその塩、水和物、塩の水和物、および溶媒和物が、同様に 特に望ましい。
【0025】
下記の式:
【化2】

を有する化合物、およびその塩、水和物、塩の水和物、および溶媒和物が、同様に 特に望ましい。
【0026】
本発明はまた、式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【化3】

[式中、Rは上記の意味を有する]の化合物を、式(III):
【化4】

[式中、Rは上記の意味を有し、Xは適切な脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素、またはヨウ素を表すか、またはメシレート、トシレート、トリフレート、または1−イミダゾリルを表す]の化合物と、適当な場合は塩基の存在下で、反応させることを特徴とする方法に関する。
【0027】
上記の方法は、下記のスキーム:
【化5】

によって、例として説明され得る。
【0028】
反応条件下で不活性な全ての有機溶媒が、本発明による方法に適切な溶媒である。これらの溶媒は、アルコール、例えばメタノールや、エタノールや、イソプロパノール、ケトン、例えばアセトンや メチル エチル ケトン、非環状および環状エーテル、例えばジエチル エーテルや テトラヒドロフラン、エステル、例えば酢酸エチルもしくは酢酸ブチル、炭化水素、例えばベンゼン、キシレン、トルエン、ヘキサン、もしくはシクロヘキサン、塩素化された炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロベンゼン、もしくはジクロロエタン、または他の溶媒、例えば ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジン、もしくはジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。水も、同様に溶媒として使用するのに適切である。ジメチルホルムアミドが望ましい。上記の溶媒の混合物の使用も、同様に可能である。
【0029】
慣例の無機塩基もしくは有機塩基が、塩基として使用するのに適切である。これらの塩基は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、またはアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、またはアルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウム、またはアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウム メトキシド もしくは カリウム メトキシド、ナトリウム エトキシド もしくは カリウム エトキシド もしくは カリウム tert−ブトキシド、またはアミド、例えばナトリウム アミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド もしくは リチウム ジイソプロピルアミド、または有機金属化合物、例えば ブチルリチウム もしくは フェニルリチウム、または他のアミン、例えばトリエチルアミンおよびピリジンを含む。アルカリ金属炭酸塩 およびアルカリ金属炭酸水素塩が望ましい。
【0030】
この関係において、塩基は、式(II)の化合物1molに対して、1から10mol、好ましくは1から5mol、特に1から4molの量で用いられ得る。
【0031】
一般的に、該反応は、−78℃から+140℃までの温度範囲で、好ましくは−78℃から+40℃の範囲で、特に室温で起こる。
該反応は、常圧、加圧、または減圧(例えば0.5から5barの範囲)で、実施され得る。一般的に、該反応は、常圧で実施される。
【0032】
式(II)の化合物は、当業者に既知であるか、または文献で知られている慣例の方法を用いて製造され得る。
式(II)の化合物はまた、式(IV)の化合物から、それをアルカリ金属硫化物と反応させることによって製造され得る。この製造方法は、下記のスキーム:
【化6】

で、例として説明され得る。
【0033】
用いられるアルカリ金属硫化物は、好ましくは硫化ナトリウムであり、それを式(IV)の化合物 1molに対して、1から10mol、好ましくは1から5mol、特に1から4molの量で用いられる。
【0034】
反応条件下で不活性な全ての有機溶媒が、溶媒として使用するのに適切である。これらは、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ピリジン、およびアセトニトリルを含む。N,N−ジメチルホルムアミドが特に望ましい。上記の溶媒の混合物を使用することも、同様に可能である。
【0035】
一般的に、該反応は、+20℃から+140℃の範囲で、好ましくは+20℃から+120℃の範囲で、特に+60℃から+100℃で起こる。
該反応は、常圧、加圧、または減圧(例えば0.5から5barの範囲)で実施され得る。一般的に、該反応は、常圧で実施される。
【0036】
式(III)の化合物は、市販されているか、または当業者に既知であるか、または慣例の方法を用いて製造され得る。
式(IV)の化合物は、市販されているか、または当業者に既知であるか、または慣例の方法を用いて製造され得る。特に、下記の論文:
・Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981);
・Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 47b, 572-578 (1991).
を参考文献とし得る。それぞれの内容は、言及することによって、本明細書に組み込まれる。
【0037】
驚くべきことに、式(I)の化合物は、価値ある薬理学的な活性スペクトルを示し(このことは、予測され得なかった)、従って、疾患の予防 および/または 処置に特に適切である。
【0038】
先行技術と比較して、本発明による式(I)の化合物は、優れた薬物動態学的性質を有し、特に経口投与によって優れたバイオアベイラビリティーを有する。
【0039】
式(I)の化合物は、単独で、または1個もしくはそれ以上の異なる活性な化合物と組み合わせて、様々な疾患、例えば、特に心血管系の疾患の予防 および/または 処置に適切である。組み合わせて使用するのに適切な 活性な化合物は、特に、冠動脈心疾患を処置するための活性な化合物、例えばナイトレート、β−ブロッカー、カルシウム アンタゴニスト、および 特に利尿剤である。
【0040】
本発明の意味において、心血管疾患は、例えば、以下の疾患、特に冠動脈心疾患、高血圧、再狭窄(例えば末梢血管のバルーン拡張後の再狭窄)、動脈硬化症、頻脈、不整脈、末梢血管および心血管疾患、安定型 および不安定型狭心症、および心房細動であると解されるべきである。
【0041】
式(I)の化合物は、さらに、例えば心筋の、特に梗塞波及領域を減少させるのに適切である。
さらに、式(I)の化合物は、特に、血栓塞栓性疾患および虚血、例えば心筋梗塞や、脳卒中や、一過性の虚血性発作の予防 および/または 処置に適切である。
【0042】
式(I)の化合物が適切である他の適応領域の例は、特に、泌尿生殖器領域の疾患、例えば過敏性膀胱、勃起不全、および女性の性的な機能不全の予防 および/または 処置であり、さらにまた、炎症性疾患(例えば喘息や炎症性皮膚疾患)、中枢神経系の神経炎症性疾患(例えば脳梗塞後に起こる状態)、およびアルツハイマー病、さらに神経変性疾患、また痛みおよび癌の予防 および/または処置である。
別の適応領域の例は、特に、気道の疾患、例えば喘息、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(膵線維症)、および肺高血圧の予防 および/または処置である。
【0043】
さらに、式(I)の化合物はまた、例えば、特に肝臓線維症および肝硬変の予防 および/または 処置である。
最後に、式(I)の化合物はまた、例えば、特に糖尿病、特に真性糖尿病の予防 および/または処置に適切である。
【0044】
本発明はまた、上記の症候群の予防 および/または処置のための医薬の製造における、式(I)の化合物の使用に関する。
本発明は、さらに式(I)の化合物を用いた上記の症候群の予防 および/または 処置の方法に関する。
【0045】
式(I)の化合物の薬学的な活性は、アデノシンA1受容体 および/または アデノシンA2b受容体へのリガンドとしてのそれらの効果によって説明され得る。
本発明は、さらに、少なくとも1つの式(I)の化合物を含む、好ましくは1個もしくはそれ以上の薬理学的に許容される補助剤 (auxiliary substance)もしくは担体を共に含む医薬、および上記の目的のためのそれらの使用に関する。
【0046】
全ての慣例の投与形態、すなわち経口、非経腸、吸入、経鼻、舌下、直腸、局所(例えばインプラントやステントの場合)、外部の(例えば経皮)の投与形態は、式(I)の化合物の投与に適切である。非経腸の投与の場合において、特に、静脈、筋肉内、皮下(例えば皮下デポー製剤)の投与が記載され得る。経口もしくは非経腸の投与が望ましい。経口投与が特に望ましい。
【0047】
この関係において、活性な化合物は、単独もしくは製剤の形態で投与され得る。経口投与に適切な製剤は、錠剤、カプセル剤、ペレット剤、被覆製剤、丸薬、顆粒剤,固体および液体のエアゾール、シロップ、乳液、懸濁液、および溶液を含む。この関係において、活性な化合物は、治療効果が得られるような量で存在しなければならない。一般的に、活性な化合物は、0.1から100重量%、特に0.5から90重量%、好ましくは5から80重量%の濃度で存在し得る。特に、活性な化合物の濃度は、0.5から90重量%の濃度であるべきである。すなわち、活性な化合物は、規定の容量の許容範囲を達成するのに十分な量で存在するべきである。
【0048】
この目的のために、活性な化合物を、それ自身既知の方法で、慣例の製剤に変え得る。これは、不活性で毒性のない薬学的に適切な担体、補助剤、溶媒、ビークル、乳化剤、および/または分散化剤を用いて行われる。
【0049】
列挙し得る補助剤は、例として、水、毒性のない有機溶媒、例えばパラフィン、野菜油(例えばごま油)、アルコール(例えばエタノール、グリセロール)、グリコール(例えばポリエチレン グリコール)、固体の担体、例えば天然の もしくは合成の鉱物の粉末(例えばタルクまたはケイ酸塩)、糖(例えばラクトース)、乳化剤、分散化剤(例えばポリビニルピロリドン)、および滑剤(glidant)(例えば硫酸マグネシウム)である。
【0050】
経口投与の場合において、錠剤は、当然に、澱粉やゼラチンなどの混合物質と共に、添加剤、例えばクエン酸ナトリウムも含み得る。さらに、矯味剤または着色料を、経口投与のための水性の製剤に加え得る。
【0051】
非経腸の投与に関して、一般的に、約0.1から約10,000μg/kg体重、好ましくは約1から約1,000μg/kg体重、特に約1μg/kg体重から約100μg/kg体重の量で投与することが、効果的な結果を得る目的に有利であることが見出されている。経口投与の場合において、その量は、約0.01から約10mg/kg体重、好ましくは約0.05から約5mg/kg体重、特に約0.1から約1mg/kg体重である。
【0052】
これにもかかわらず、適切な場合は、体重、投与経路、活性な化合物への個々の応答、製剤の性質、および投与がなされる際の時間もしくは間隔に依存して、上記の量を逸脱する必要があり得る。
【0053】
本発明は、下記の、非限定的な、望ましい実施例によって説明される。これらは、しかしながら、本発明を全く制限しない。
別記しない限り、下記の実施例におけるパーセンテージの値は、それぞれの場合において、重量に関していい、比は、重量比である。
【実施例】
【0054】
A. 生理学的活性の評価
I.心血管効果の検出
胸郭を開いた後、心臓を麻酔されたラットから素早く摘出し、常用の Langendorff apparatus に導入する。冠状動脈を一定の体積(10ml/分)で灌流し、この連結で生じた灌流圧力を適切な圧力センサーによって記録する。このセットアップにおける灌流圧力の減少が、冠状動脈の弛緩に対応する。同時に、心臓が個々の収縮によって発生させる圧力を、左心室に導入した バルーンと第2の圧力センサーによって測定する。摘出状態での鼓動である心拍数は、単位時間あたりの収縮数に基いて計算する。
【0055】
II. アデノシンA1、A2a、A2b、およびA3作用性(agonism)の決定
a) 遺伝子発現による非直接的なアデノシン作用性の決定
CHO(Chinese Hamster Ovary) 永久細胞株の細胞を、アデノシン受容体のサブタイプ A1、A2a、およびA2bにおけるcDNAで安定にトランスフェクトする。アデノシンA1受容体は、Giタンパク質によってアデニル酸シクラーゼと結合し、一方アデノシンA2aおよびA2b受容体は、Gsタンパク質によって結合する。これに応答して、細胞中のcAMPの形成が、それぞれ阻害される もしくは刺激される。その後、ルシフェラーゼの発現を、cAMP依存性プロモーターによって調整する。ルシフェラーゼ試験を、幾つかの試験パラメーター、例えば細胞密度、成長相と試験インキュベーションの時間、フォルスコリン濃度、および培地の成分を変えることによって、感度および再現性を高め、変動を減らし、そしてロボット・システムでの実行において良い安定性を得る目的で最適化する。下記の試験プロトコルを、薬理学的特性検討用細胞、およびロボット補助基質試験スクリーニングで使用する。
【0056】
ストック培地を37℃、5% CO下で、10% FCS(ウシ胎児血清)を含むDMEM/F12培地中で成長させ、2−3日後にそれぞれのケースで1:10に割る。試験培地を384−ウェル プレートに、ウェル当たり1,000から3,000細胞の割合で接種し、37℃で約48時間成長させる。次に培地を生理食塩水(130mM 塩化ナトリウム、5mM 塩化カリウム、2mM 塩化カルシウム、20mM HEPES、1mM 塩化マグネシウム・6HO、5mM NaHCO、pH 7.4)で置き換える。DMSOに溶解した物質を、10倍量のこの生理食塩水で3回処理し、試験培地にピペットで移した(試験混合物中のDMSOの最大最終濃度:0.5%)。この方法において、最終物質濃度、例えば5μMから5nMで得られる。10分後、フォルスコリンをA1細胞に加え、続いて全ての培地を37℃で4時間インキュベートする。その後、50%のリシス試薬(30mM リン酸水素二ナトリウム、10% グリセロール、3% TritonX100、25mM TrisHCl、2mM ジチオスレイトール(DTT)、pH 7.8)、および50% ルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mM ルシフェリン、0.1mM コエンザイム A、10mM トリシン、1.35mM 硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH 7.8)を含む35μlの溶液を、試験培地に加え、プレートを約1分間振盪し、ルシフェラーゼ活性をカメラ・システムを用いて測定する。全てのアデノシン受容体のサブタイプに高い親和性で結合し、かつアゴニスト効果を有しているアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、対照化合物として3つの試験に用いる(Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol, 357 (1998), 1-9)。
【0057】
下記の表1は、異なる濃度の実施例1の化合物による、異なるアデノシン受容体サブタイプの刺激で得られた値を示している。
【表1】

【0058】
表は、対応する対照刺激の%値を示している。A2aおよびA2b受容体において測定された値は、NECAによって為される最大の刺激の百分率の値である。A1受容体において測定された値は、アデニル酸シクラーゼを1μM フォルスコリンで直接前もって刺激した後の値の百分率である(100%の値に対応)。A1アゴニストは、それに対応して、ルシフェラーゼ活性の減少を示す(測定値 100%未満)。
【0059】
b) cAMPを検出することによる 直接的なアデノシン作用性の決定
CHO(Chinese Hamster Ovary)永久細胞株の細胞は、アデノシン受容体のサブタイプA1、A2a、A2b、およびA3におけるcDNAで安定にトランスフェクトされる。A2aもしくはA2b受容体サブタイプへの物質の結合は、慣例の放射免疫アッセイを用いて、これらの細胞における細胞内のcAMP含量を測定することによって決定される(cAMP RIA, IBL GmbH, Hamburg, Germany)。
【0060】
物質がアゴニストとして作用する場合、物質の結合は、細胞内のcAMP含量の増大として表される。全てのアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し、かつアゴニスト効果を有するアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、これらの試験において、対照化合物として用いる(Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol, 357 (1998), 1-9)。
【0061】
アデノシン受容体A1およびA3は、Giタンパク質に結合し、すなわちこれらの受容体の刺激がアデニル酸シクラーゼの阻害を引き起こし、次に細胞内のcAMPレベルの低下を引き起こす。A1/A3受容体アゴニストを区別するために、アデニル酸シクラーゼをフォルスコリンで刺激する。しかし、さらなるA1/A3受容体の刺激は、アデニル酸シクラーゼが阻害し、このことは、A1/A3受容体アゴニストは、比較的低い細胞中のcAMPの含量で検出され得ることを意味する。
【0062】
アデノシン受容体に対するアンタゴニストの効果を検出するために、対応する受容体をトランスフェクトした リコンビナント細胞を、NECAで前もって刺激し、前もっての刺激で引き起こされた細胞内のcAMPの含量の減少に対する物質の効果を調べる。全てにアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し かつアンタゴニスト効果を有しているXAC(キサンチン アミン コンジナー)を、これらの試験で対照化合物として用いる(Mueller, C.E., Stein, B., Adenosine receptor antagonists: structures and potential therapeutic applications, Current Pharmaceutical Design, 2 (1996) 501-530)。
【0063】
III. 薬物動態学的試験
薬物動態学的データは、様々な物質を、静脈で もしくは経口で、溶液として、マウス、ラット、およびイヌに投与して決定した。これにおいて、血液試料を、投与後24時間までに集めた。未代謝物質の濃度を、血液試料から得られる血漿試料で、生物分析的方法(HPLCもしくはHPLC−MS)によって決定した。続いて薬物動態学的パラメーターを、この方法で得られた血漿濃度の時間経過から確認した。下記の表2に、異なる種のバイオアベイラビリティーを示す。
【表2】

* 全ての測定時間点での血漿レベルは、決定限界未満(<1μg/L)であった。
【0064】
B. 製造実施例
実施例1
N−(4−{2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−[(2−ピリジニルメチル)スルファニル]−4−ピリジニル}フェニル)アセトアミド
第1段階:
N−[4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル]アセトアミド
【化7】

311.4g(1.9mol)の4−アセトアミノベンズアルデヒドと、131g(1.99mol)のマロンニトリルを、始めに1,330mlのエタノール中に入れ、次に6mlのピペリジンを加える。混合物を30分間還流しながら攪拌する。室温まで冷却した後、結晶を吸引ろ過し、乾燥する。
収量:318g(理論値の79%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:211;
実測値:[M+H]=212.
【0065】
第2段階:
N−{4−[2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−(フェニルスルファニル)−4−ピリジニル]フェニル}アセトアミド
【化8】

318g(1.5mol)のN−[4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル]アセトアミドと、99g(1.5mol)のマロンニトリルと、166g(1.5mol)のチオフェノールを、始めに2,000mlのエタノール中に入れ、次に6.7mlのトリエチルアミンを加える。混合物を2時間還流しながら攪拌し、それに伴って結晶化が起こる。混合物を室温まで冷却した後、生成物を吸引ろ過し、真空下で乾燥する。
収量:170.3g(理論値の29%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:385;
実測値:[M+H]=386.
【0066】
第3段階:
N−[4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−スルファニル−4−ピリジニル)フェニル]アセトアミド
【化9】

アルゴン下、30.83g(80mmol)のN−{4−[2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−(フェニルスルファニル)−4−ピリジニル]フェニル}−アセトアミドを、120mlのDMFに溶解する。その後、9.36g(120mmol)の硫化ナトリウムを加え、混合物を80℃で2時間攪拌する。次に、20mlの1N HCl水溶液(44mlの水中)を、40〜65℃で滴下した後、この手順の間に形成した結晶を、吸引ろ過し、水で洗浄した。沈殿物を200mlのメタノールに懸濁し、還流しながら5分間攪拌する。室温まで冷却後、沈殿物を吸引ろ過し、メタノールとジエチル エーテルで洗浄し、真空下で乾燥した。
収量:24.5g(理論値の88%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:309;
実測値:[M+H]=310.1.
【0067】
第4段階:
N−(4−{2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−[(2−ピリジニルメチル)スルファニル]−4−ピリジニル}フェニル)アセトアミド
【化10】

9.28g(30mmol)のN−[4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−スルファニル−4−ピリジニル)フェニル]アセトアミドと、7.38g(45mmol)の塩化 2−ピコリル塩酸塩と、10.08g(120mmol)の炭酸水素ナトリウムを、室温で、100mlのDMF中で攪拌する。2時間後、100mlの水を、40〜50℃で滴下する。室温まで冷却した後、黄−橙色の結晶を吸引ろ過し、真空下で乾燥する。
収量:10.42g(理論値の86%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:400;
実測値:[M+H]=401;
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.1 (s, 3H), 4.6 (s, 2H), 7.4 (dd, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.65 (d, 2H), 7.75 (m, 3H), 8.1 (s broad, 2H), 8.5 (d, 1H), 10.25 (s, 1H).
【0068】
実施例2
メチル 4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−{[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]スルファニル}−4−ピリジニル)フェニルカルバメート
第1段階:
メチル 4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−スルファニル−4−ピリジニル)フェニルカルバメート
【化11】

8.5g(47.4mmol)のメチル 4−ホルミルフェニルカルバメート(Witek et al, Journal f. Prakt. Chemie 321, 804-812 (1979))と、9.5g(94.9mmol)のシアノチオアセトアミドと、9.6g(94.88mmol)のN−メチルモルホリンを、エタノール中で3時間還流する。蒸発後、ジクロロメタン/メタノールを残さに加え、全体をろ過する。ケイソウ土(kieselguhr)に吸着させ、ろ液をシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製(溶出:ジクロロメタン/メタノール, 100:2から100:6)する。生成物のフラクションを合わせて蒸発する。蒸発した残さを200mlの1N 水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、次に全体をろ過する。300mlの1N 塩酸をろ液に加え、得られた沈殿物を吸引ろ過し、真空下で乾燥する。
収量:2.7g(理論値の17%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:325;
実測値:[M+H]=326;
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 3.7 (s, 3H), 7.4 (d, 2H), 7.6 (d, 2H), 8.1 (s broad, 2H), 10.0 (s, 1H).
【0069】
第2段階:
メチル 4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−{[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]スルファニル}−4−ピリジニル)フェニルカルバメート
【化12】

32.5mg(0.1mmol)のメチル 4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−スルファニル−4−ピリジニル)フェニルカルバメートと、27.6mg(0.15mmol)の4−(クロロメチル)−2−メチル−1,3−チアゾール塩酸塩を、0.4mlのDMF中で、33.6mg(0.4mmol)の炭酸水素ナトリウムと共に、終夜振盪する。反応混合物をろ過し、分取HPLCによって精製する。
カラム:Nucleosil 5C18 Nautilus, 5μm, 20×50mm;
プレカラム:Gromsil ODS 4 HE, 15μm, 10×20mm.
流速:25ml/分.
【表3】

検出:220nm.
注入体積:600μl.
生成物のフラクションを真空下で蒸発する。
収量:15.8mg(理論値の36%);
質量スペクトル:
求められる相対分子量:436;
実測値:[M+H]=437.
【0070】
用いた略号:
DMF=ジメチルホルムアミド;
DMSO=ジメチルスルホキシド;
HEPES=2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ]エタンスルホン酸;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
NMR=核磁気共鳴分光学;
RT=室温;
Tris=2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、モノ−もしくはジ−(C−C)−アルキルアミノを表し;そして
は、ピリジルを表し、これはハロゲン、アミノ、または(C−C)−アルキルによって置換され得る]の化合物、およびそれらの塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I):
[式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、またはtert−ブチルを表し;そして
は、2−ピリジルを表し、これは塩素、アミノ、またはメチルによって置換され得る]の化合物、およびそれらの塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物。
【請求項3】
下記の構造:
【化2】

を有する、請求項1または2に記載の化合物、およびその塩、水和物、その塩の水和物、および溶媒和物。
【請求項4】
請求項1に定義した通りの式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【化3】

[式中、Rは請求項1に記載の意味を有する]の化合物を、式(III):
【化4】

[式中、Rは請求項1に記載の意味を有し;そして
Xは、適切な脱離基を表す]の化合物と反応させることを特徴とする方法。
【請求項5】
疾患の予防および/または処置のための、請求項1で定義した通りの式(I)の化合物。
【請求項6】
少なくとも1つの請求項1で定義した通りの式(I)の化合物と、さらに少なくとも1つの補助剤(auxiliary substance)を含む医薬。
【請求項7】
少なくとも1つの請求項1で定義した通りの式(I)の化合物と、少なくとも1つのさらなる活性な化合物を含む医薬。
【請求項8】
心血管性疾患の予防および/または処置のための医薬を製造するための、請求項1で定義した通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
泌尿生殖器領域の疾患および癌の予防および/または処置のための医薬を製造するための、請求項1で定義した通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性疾患、神経炎症性疾患、神経変性疾患、および痛みの予防および/または処置のための医薬を製造するための、請求項1で定義した通りの式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
気道の疾患、肝臓線維症、肝硬変、および糖尿病の予防および/または処置のための医薬を製造するための、請求項1で定義した通りの式(I)の化合物の使用。

【公開番号】特開2010−138209(P2010−138209A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61255(P2010−61255)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2003−513944(P2003−513944)の分割
【原出願日】平成14年7月3日(2002.7.3)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】