説明

置換4−アルキル−および4−アルカノイル−ピペリジン誘導体およびそれらのニューロキニンアンタゴニストとしての使用

本発明は、ニューロキニン アンタゴニスト活性、特にNKアンタゴニスト活性および混合NK/NKアンタゴニスト活性を有する置換4−アルキル−および4−アルカノイル−ピペリジン誘導体、それらを含んでなる組成物、および薬剤としての、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内蔵およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害の処置および/または予防のためのそれらの使用に関する。本発明の化合物は一般式(I)により表すことができ、そしてまたその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグも含んでなり、ここで、全ての置換基は請求項1に定義する通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューロキニン(neurokinin)アンタゴニスト活性、特にNKアンタゴニスト活性および混合NK/NKアンタゴニスト活性を有する置換4−アルキル−および4−アルカノイル−ピペリジン誘導体、それらを含んでなる組成物および薬剤としての、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内蔵およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経原性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害を処置および/または予防するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タキキニンは、哺乳類の中枢および末梢神経系に広く分布している短いペプチドのファミリーに属する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。それらは共通のC末端配列Phe−Xaa−Gly−Leu−Met−NHを共有する。末梢感覚神経終末から放出されるタキキニンは、神経原性炎症に関与すると考えられている。脊髄/中枢神経系において、タキキニン は、疼痛伝達/知覚において、そしてある自律反射および行動において役割を果たし得る。3つの主要なタキキニンは、それぞれ、NK、NKおよびNKと称する3つの別個のニューロキニン受容体サブタイプに対する優先的親和性を有するサブスタンスP(SP)、ニューロキニン A(NKA)およびニューロキニン B(NKB)である。しかしながら、クローン化された受容体での機能研究は、3つのタキキニンおよびそれらの対応するニューロキニン受容体間の強い機能的交差相互作用を示唆する(非特許文献5)。
【0003】
NK受容体の構造における種差は、NKアンタゴニストの種に関連する効能差の原因である(非特許文献3;非特許文献4)。ヒトNK受容体はモルモットおよびスナネズミのNK受容体によく似ているが、齧歯類のNK受容体と著しく異なる。ニューロキニン アンタゴニストの開発は、現在まで一連のペプチド化合物を導き、それらは、製薬学的に有効な物質として用いるには代謝的に不安定すぎると考えられるかもしれない(非特許文献6)。
【0004】
タキキニンは、統合失調症、鬱病(ストレス関連)不安状態、嘔吐、炎症反応、平滑筋収縮および疼痛知覚に関与する。ニューロキニン アンタゴニストは、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、内臓痛、神経原性炎症、喘息、排尿障害および侵害刺激のような適応症のために開発中である。特にNKアンタゴニストは、嘔吐および鬱病に、そしてNKアンタゴニストは喘息の処置に高い治療的効力を有する。NKアンタゴニストは、疼痛/炎症の処置(非特許文献7)および統合失調症に役割を果たすようである。
【0005】
統合失調症
最近、NKアンタゴニストのSR142801(サノフィ:Sanofi)が、陰性症状に影響を与えずに統合失調症患者に抗精神病活性を有することが示された(非特許文献8)。NK受容体の活性化は数種の動物モデルにおいて不安を引き起こし、ストレスの多い出来事が上昇したサブスタンスP(SP)の血漿レベルを誘起し、そしてNKアンタゴニストは不安緩解剤となることが報告されている。メルクからのNKアンタゴニスト、MK−869は、大鬱病では抗鬱効果を示すが、高いプラセボ応答率からデータは結論付けられなかった。さらにグラクソ−ウェルカム(Glaxo−Welcome)からのNKアンタゴニスト(S)−GR205,171は、前脳皮質でのドーパミン放出
を強化することが示されたが、線状では示されなかった(非特許文献9)。したがってNKの拮抗作用と組み合わされたNK拮抗作用は、統合失調症の陽性、および陰性症状の両方に対して有利となる。
【0006】
不安および鬱病
鬱病は、特に人口の若いメンバーにおいて、高いそしてなお増加する有病率を有する現代社会の最も一般的な情動障害の一つである。大鬱病(MDD、DSM−IV)の生涯有病率は、現在、女性では10〜25%、そして男性では5〜12%であると概算され、ここで、患者の約25%において生涯MDDは再発性であり、完全なエピソード間回復がなく、そして気分変調性障害に併発する。他の精神障害と鬱病との高い共罹患率、ならびに特に若年人口において薬物およびアルコール乱用との高い関連性がある。鬱病は18〜44歳の間の年齢の人口、例えば最も生産的な人口に主として影響を及ぼすことを考慮すると、それは個人、家族および全社会に重い負担を強いることは明らかである。
【0007】
全ての治療可能性の中で、抗鬱剤での治療は明白に最も有効である。最近の40年の間に多数の抗鬱剤が開発され、そして市場に導入されている。それにもかかわらず、現在の抗鬱剤のいずれも理想的な薬剤の全ての基準(高い治療および予防効能、作用の迅速な開始、完全に申し分のない短期および長期の安全性、単純で且つ好ましい薬物動態学)を満たすとは限らず、または鬱病患者の全ての群および亜群におけるそれらの使用を何らかの点で制限する副作用がないわけではない。
【0008】
現在、鬱病の原因の処置は存在せず、また差し迫っているとも思われず、そして患者の60〜70%より多くにおいて有効である抗鬱剤はないので;利用可能な薬剤の欠点のいずれかを回避することができる新規な抗鬱剤の開発は理にかなっている。
【0009】
いくつかの知見は、ストレス関連不安状態におけるSPの関与を示唆する。SPの中枢注入は、骨格筋における血管拡張ならびに腸間膜および腎血流量の減少を生理的に特徴とする古典的な「戦闘または逃亡」反応に類似する心臓血管反応を誘導する。この心臓血管反応は、侵害刺激もしくはストレス後に齧歯類において観察される行動反応を伴う(非特許文献10)。マウスにおいて、中枢投与したNKアゴニストおよびアンタゴニストは、それぞれ、不安を惹起し、不安を緩解する(非特許文献11)。スナネズミにおいてサンピング(thumping)は同種への警報もしくは警戒シグナルとして役割を果たすので、SPにより(もしくは電気ショックにより;非特許文献12)誘導されるサンピングを阻害するNKアンタゴニストの能力は、この抗鬱/抗不安活性に相当する可能性がある。
【0010】
NK受容体は、扁桃、海馬、中隔、視床下部および中脳水道周囲灰白質を包含する、脳の辺縁系および恐怖処理経路の全体にわたって広く分布している。さらに、サブスタンスPは、外傷性もしくは侵害刺激に応答して中枢で放出され、そしてサブスタンスPに関連する神経伝達は、鬱病および不安のような情動障害に付随して起こる不安、恐怖および情緒障害の一因となるかもしくはそれに関与し得る。この観点を支持するものとして、別個の脳領域におけるサブスタンスP含有量の変化をストレスの多い刺激に応答して観察することができる(非特許文献13)。
【0011】
サブスタンスP模倣物(アゴニスト)の中枢注入は、条件付け場所嫌悪反応(非特許文献14)、増強された(potentiated)音響驚愕反応(非特許文献15)、発声困難(distress vocalization)、逃避行動(非特許文献16)および高架式十字迷路上での不安(非特許文献17)を包含する一連の防御行動および心臓血管変化を誘導する。これらの化合物は、ロータロッド装置上での運動能力および協調または活動ケージにおける移動を改変しなかった。サブスタンスP生合成のダウンレギュ
レーションは、既知の抗不安薬および抗鬱剤の投与に応答して起こる(非特許文献13;非特許文献18)。同様に、モルモットにおける中枢投与したNKアゴニストにより誘導される発声反応は、イミプラミンおよびフルオキセチンならびにL−733,060、NKアンタゴニストのような抗鬱剤により中和することができる。これらの研究は、中枢NK受容体の阻害が、抗鬱剤および抗不安薬に類似するように(非特許文献19)、しかし現在の薬剤の副作用なしに精神的ストレスを抑制できることを示唆する証拠を提供する。
【0012】
嘔吐
悪心および嘔吐は、癌化学療法の中でも最も苦痛を伴う副作用である。これらは生活の質を下げ、そして場合によっては治癒の可能性がある薬剤を患者が滞らせるかもしくは拒否する原因になり得る(非特許文献20)。嘔吐の発生率、強さおよびパターンは、化学療法薬、投薬量および投与の経路のような異なる因子により決定される。典型的に、早期もしくは急性嘔吐は、化学療法投与後最初の4時間以内に始まり、4時間〜10時間の間にピークに達し、そして12〜24時間までに減少する。遅発性嘔吐(24時間後に発生し、そして化学療法後3〜5日まで続く)は、大部分の「高催嘔吐性」化学療法薬(非特許文献21によるレベル4および5)で見られる。ヒトにおいて、シスプラチナムを包含するこれらの「高催嘔吐性」抗癌処置は、癌患者の>98%において急性嘔吐をそして60〜90%において遅発性嘔吐を誘発する。
【0013】
フェレットにおけるシスプラチン誘発性嘔吐のような化学療法の動物モデル(非特許文献22;非特許文献23)は、5−HT受容体アンタゴニストの臨床効能を成功裡に予測している。この発見は、癌患者における化学療法および放射線療法誘発性疾患の処置に成功した治療をもたらしたが、オンダンセトロンおよびグラニセトロンのような5−HTアンタゴニスト(デキサメタゾンと会合するかもしくはしない)は、急性嘔吐期(最初の24時間)の制御において有効であるが、遅発性嘔吐(>24時間)の発生を不十分な効能で減らすことしかできない(非特許文献24;非特許文献25)。急性および遅発性嘔吐の両方の予防のためのこれらの現在最も有効な処置にもかかわらず、患者のなお50%は、遅発性嘔吐および/もしくは悪心に苦しむ(非特許文献26)。
【0014】
5−HTアンタゴニストと対照的に、CP−99,994(非特許文献27)およびアプレピタント(MK−869もしくはL−754,030としても知られている;非特許文献16;非特許文献19)のようなNKアンタゴニストは、現在、動物におけるシスプラチン誘発性嘔吐の急性期だけでなく遅発性期も阻害することが示されている(非特許文献28;非特許文献29)。NKアンタゴニストはまた、併用療法のない場合にヒトにおいて「遅発性」嘔吐を減少することも示されている(非特許文献30;非特許文献31)。デキサメタゾンおよび5−HTアンタゴニストと一緒に投与する場合、さらに、NKアンタゴニスト(エズロピタント(Ezlobitant)としても知られている、MK−869およびCJ−11,974のような)は、急性嘔吐の予防における付加的効果をもたらすことが示されている(非特許文献32;非特許文献33)。
【0015】
中枢ニューロキニン NK受容体は、嘔吐の調節において主要な役割を果たす。NKアンタゴニストは、多種多様な催嘔吐刺激に対して有効である(非特許文献34;非特許文献35;非特許文献36)。該化合物は、孤束核における中枢NK受容体を阻害することにより作用することが示唆されている。NK拮抗作用は別として、CNS浸透は、従って、これらの化合物の制吐活性の前提条件である。フェレットにおけるロペラミド誘発性嘔吐は、NKアンタゴニストの制吐活性の迅速で且つ信頼性のあるスクリーニングモデルとして用いることができる。シスプラチン誘発性嘔吐の急性期および遅発性期の両方の処置におけるそれらの治療的価値のさらなる評価は、確立したフェレットモデルにおいて示されている(非特許文献28)。このモデルは、シスプラチン後の「急性」および「遅発性」嘔吐の両方を研究し、そして5−HT受容体アンタゴニスト、グルココルチコイド(非特許文献37)および他の薬理学的チャレンジに対するその感受性に関して立証されている。任意の将来の制吐薬は、嘔吐の「急性」期および「遅発性」期の両方をうまく処置しない限り臨床承認される可能性は低い。
【0016】
内臓痛および過敏性腸症候群(IBS)
内臓感覚とは、内臓(心臓、肺、GI管、肝胆汁管および尿生殖管)から生じ、そして中枢神経系に伝達されて、認識された知覚を生じるすべての感覚情報を称する。下神経節を介する迷走神経、および脊髄神経節(DRG)および後角の2次元ニューロン(second order neuron)を介する一次交感神経求心神経は、内臓感覚情報が脳幹および内臓身体皮質に運ばれる初期の経路として役立つ。内臓痛は新生物プロセス(例えば膵ガン)、炎症(例えば胆嚢炎、腹膜炎)、虚血および機械的閉塞(尿道結石)により引き起こされ得る。
【0017】
器質性障害に結び付けられる内臓痛の医学的処置の中心は(内臓のガンの場合)、今でもアヘン剤に集中している。
【0018】
最近の証拠は、過敏性腸症候群(IBS)、非心臓性の胸痛(NCCP)および慢性骨盤痛のような非器質性障害が、「内臓痛覚過敏症(visceral hyperalgesia)」の状態から生じ得ることを示唆する。後者は生理学的な非疼痛性の内臓刺激(例えば管の拡張)が疼痛の低下した閾値により認識された疼痛を導く。内臓痛覚過敏症は永久的な後炎症の状態を反映することができ、内臓感覚経路内のニューロンシナプスで、膜の脱分局に関する閾値をリセットする。初期の炎症は末梢(例えば感染性の胃腸炎)または内臓感覚情報の統合部位(後角の神経原性炎症)で起こり得る。SPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の両方が、神経原性炎症において前炎症ニューロペプチドとして作用することが示された。
【0019】
現在、内臓痛覚過敏症は、西側人口の15〜25%に生じる機能的腸疾患の処置を目的とした薬剤開発の主要目標の1つと考えられている。それらは医学的な介助の経費、処方の経費およびアブセンティズムという意味で膨大な社会−経済学的問題を構成する。現在の処置の選択には、中でも抗痙性剤(IBSおよびNCCP)、プロモティリィティ(promotility)剤(例えば便秘症−IBSにおけるテガソロッド(tegasorod))、緩下薬(便秘症−IBS)、およびロペラミド(下痢−IBS)を含む。これらの取り組みのいずれも、それほど効果的とは示されず、特に疼痛の処置には効果的ではない。低用量の三環式抗鬱薬およびSSRIは、疼痛が優勢なIBSにおいて内臓痛覚過敏症を処置するために使用されるが、両クラスの化合物は結腸の通過にかなりの効果を有することができる。この分野で現在進行中の研究は、内臓痛覚過敏症における薬剤を開発するために役立つことができるかなり多くの分子標的を同定した。これらにはNK受容体、CGRP受容体、5−HT受容体、グルタミン酸受容体およびカッパオピオイド受容体がある。理想的には、「内臓鎮痛性化合物」は、推進的な運動活性、吸収および分泌および感覚に関して、GI環の正常な生理学的ホメオスタシスに影響をおよぼさずに、強まった感覚が内臓からCNSへ移動することを遮断すべきである。トラキニンを内臓の侵害受容シグナリングに結び付けるやむにやまれぬ証拠がある。内臓痛および内臓痛覚過敏症におけるNK、NKおよびNK受容体の役割に関する多くの前臨床の公報は、齧歯類モデルを対象とした異なる炎症過敏症において、NK、NKおよびNK受容体間のかかわりあいの矛盾を示す。最近、非特許文献38で、組み合わせたニューロキニン受容体アンタゴニストが、選択的なニューロキニン受容体アンタゴニストよりも活性となり得ることが示唆された。サブスタンスPおよびNK、NKおよびNK受容体は、内臓痛状態を含め、臨床的な疼痛状態で上昇した(非特許文献39)。ヒトの疼痛試験において鎮痛剤としてNK受容体アンタゴニストの最近の失敗を考慮すれば(非特許文献
40)、アンタゴニストの組み合わせが、有意な臨床的効果を有することが必要となるかもしれない。NK受容体アンタゴニストは、抗−痛覚過敏薬である(非特許文献41;非特許文献42)。最近、脊髄レベルでのNKではなくNKおよびNK受容体の関与が、侵害受容および非侵害受容の求心性インプットにより媒介される内臓痛覚過敏症で証明された(非特許文献43)。したがってNK1−2−3アンタゴニスト活性を組み合わせれば、内臓痛覚過敏症の新規処置の開発に興味深い治療用標的を表すことができる。
【0020】
内臓痛におけるNK受容体の役割に関して、ある程度の数の前臨床的公報が公開された。動物モデルでNK受容体ノックアウトマウスおよびNKアンタゴニストを使用して、異なる群が痛覚過敏症および内臓痛においてNK受容体により果たされる重要な役割を証明した。NK受容体およびサブスタンスPの分布は、胃痛よりも内臓で主要な役割を示す。実際にわずか25%の皮膚の求心性線維(afferent)に比べて、80%より多くの内臓の一次求心性線維がサブスタンスPを含む。またNK受容体は胃腸管運動にも関与する(非特許文献44;非特許文献45)。胃腸管運動および侵害刺激の両方におけるこの二重の役割により、NKアンタゴニストはIBS患者において症状を緩解する能力を有すると考えられる。
【0021】
尿失禁
急迫的な尿失禁は、膀胱または不安定膀胱(刺激反応性膀胱:irritable bladder)により引き起こされる。この不安定膀胱は、脊髄に突出している膀胱感覚求心性C−線維の過興奮に関連する。C−線維の過興奮の起源は多要因的であるが、例えば膀胱感染および膀胱壁の慢性的拡大後に起こる(例えば良性の前立腺肥大、BPH)。したがって処置は神経の過興奮を下げることを目的とすべきである。バニルロイド(vanilloid)(例えばカプサイシン)の膀胱内点滴注入は、従来の抗コリン作用性薬の処置に難治性の排尿筋反射亢進に、長期の有益効果を生じる。動物実験に類似して、感覚神経終末へのバニルロイドの効果は、神経毒性効果を介して媒介される。ヒトの膀胱では、内皮下の感覚神経はタキキニンを含み、これは排尿筋過興奮を駆り立てる。この効果に関与するNK受容体は、末梢NK受容体であり、そして程度は少ないがNK受容体である。後者は脊髄のレベルで膀胱の反射亢進に役割を果たしていると主張されている。結論として、中心的に作用するNK/末梢的に作用するNKアンタゴニストは、排尿筋過興奮の処置に好適である。興味深いことには、NK受容体の活性化はSertoli細胞でのアロマターゼ活性を上げる。NK受容体アンタゴニストは、マウスにおける血清テストステロンレベルを下げ、そしてこれはBPHにおいて治療的に重要となり得る。
【0022】
従来技術の背景
1−ピペリジン−4−イル−ピペラジニル部分を含有する化合物は、サブスタンスPアンタゴニストとしての使用に関してヤンセン ファーマシューティカ社(Janssen
Pharmaceutica N.V.)により1997年5月9日に公開された特許文献1において、ニューロキニン アンタゴニストとしてのそれらの特別な利点に関してグラクソグループ社(Glaxo Group Ltd.)により2002年4月25日に公開された特許文献2において(より詳細には4−ピペラジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸アミド誘導体が開示された)、概日タイミング系(circadian
timing system)に影響を与えるためのサブスタンスPアンタゴニストとしての使用に関してヤンセン ファーマシューティカ社により2001年5月3日に公開された特許文献3において、そしてニューロキニン 1アンタゴニストとしての使用に関してホフマン−ラ ロッシュ社(Hoffmann−La Roche AG)により2002年8月15日に公開された特許文献4において公開された。
【0023】
本発明の化合物は、置換されたピペリジニル/イミダゾリジニル部分の置換において、
ならびに特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内臓およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経原性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害の処置および/または予防のために、治療的価値を有する強力な、経口でそして中枢で有効なニューロキニン アンタゴニストとしてのそれらの向上した能力において従来技術の化合物と異なる。
【参考文献】
【0024】
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【特許文献2】国際公開第02/32867号パンフレット
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【特許文献4】国際公開第02/062784−A1号パンフレット
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【非特許文献45】Okano et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther 299:559−564(2001)
【発明の開示】
【0025】
発明の記載
本発明は、一般式(I)
【0026】
【化1】

[式中:
nは0、1もしくは2に等しい整数であり;
mは1もしくは2に等しい整数であり、ただし、mが2である場合、nは1であり;
各Rは相互に独立して、Ar、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され;
は水素、ヒドロキシおよびアルキルオキシの群から選択され;
Zはrが1、2、3、4もしくは5に等しい整数であり、そして1つの基−(CH)−が場合により>C=O基で置換されてもよい2価の基−(CH−であるか;あるいは
およびZは一緒になって、rが2、3、4もしくは5に等しい整数であり、そして1つの基−CH−が場合により>C=O基で置換されてもよい3価の基=CH−(CHr−1−を形成し;
pは1もしくは2に等しい整数であり;
QはOもしくはNRであり;
Xは共有結合または式−O−、−S−または−NR−の2価の基であり;
各Rは、相互に独立して、水素またはアルキルであり;
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり;
qは0もしくは1に等しい整数であり;
jは0、1もしくは2に等しい整数であり;
kは0、1もしくは2に等しい整数であり;
Yは共有結合または式>C(=O)−または−SO−の2価の基であり;
各Alkは、相互に独立して、共有結合;1〜6個の炭素原子を有する2価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和炭化水素基;または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し;各基は場合により1もしくは複数のアルキル、フェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基により1もしくは複数の炭素原子上で置換されていてもよく;
Lは水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、モノ−およびジ(アルキルオキシカルボニル)アミノ、Ar、Ar−カルボニル、HetおよびHet−カルボニルの群から選択され;
Arは場合によりハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
Arは各々場合によりハロ、ニトロ、アミノ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボ
ニル、アミノカルボニルおよびモノ−およびジ(アルキル)アミノカルボニルの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルまたはフェニルであり;
Arは場合によりアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルまたはフェニルであり;
Hetはピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環式基;あるいはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基は場合によりハロおよびアルキルの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;
Hetはピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される単環式複素環式基;あるいはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基は場合によりAr、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;そして
アルキルは場合によりフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基の群から選択される1もしくは複数の基により1もしくは複数の炭素原子上で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和炭化水素基である]
の新規4−アルキル−および4−アルカノイル−ピペリジン誘導体、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0027】
より詳細には、本発明はmおよびnが1に等しく、そしてArが非置換フェニルである式(I)の化合物について以下のいずれか式で例示されるような、RがArメチルであり、そして2位に結合しているか、またはRがArであり、そして3位に結合している一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。好ましくはArは非置換フェニル基であり、そしてArメチルは非置換ベンジル基である。
【0028】
【化2】

さらに詳細には、本発明はR−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルである一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0029】
さらに詳細には、本発明はmおよびnが両方とも1に等しい一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0030】
さらに詳細には、本発明はZが−CH−、>C=O、−CHCH−および−CHC(=O)−の群から選択されるか、またはZおよびRが一緒になって3価の基=CH−C(=O)−を形成する一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0031】
さらに詳細には、本発明はRが水素、ヒドロキシおよびメトキシの群から選択される一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0032】
さらに詳細には、本発明はpが1に等しい一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0033】
さらに詳細には、本発明はjが1に等しく、そしてkが0または1に等しい一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0034】
さらに詳細には、本発明はAlkが共有結合、−CH−、CH(CH)−、−CH(フェニル)−、CHCH(フェニル)−または−CHCH=CH−である一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0035】
さらに詳細には、本発明はLが水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、HetおよびHetカルボニルおよびArの群から選択され、そしてHetが式(I)で定義された通りである一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0036】
さらに詳細には、本発明は
nが1に等しい整数であり;
mが1に等しい整数であり;
がAr−アルキルであり;
が水素、ヒドロキシまたはアルキルオキシの群から選択され;
Zが、rが1または2であり、そして1つの基−CH−が場合により>C=O基で置換されてもよい2価の基−(CH−であるか;あるいは
およびZは一緒になって、rが2であり、そして1つの基−CH−が>C=O基で置換された3価の基=CH−(CHr−1−を形成し;
pが1に等しい整数であり;
QがOであり;
Xが共有結合であり;
がArであり;
qが0に等しい整数であり;
jが1に等しい整数であり;
kが0もしくは1に等しい整数であり;
Yが共有結合または式>C(=O)−または−SO−の2価の基であり;
各Alkが、相互に独立して、共有結合;1〜6個の炭素原子を有する2価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し;各基が場合により1もしくは複数の炭素原子上でフェニル基により置換されていてもよく;
Lが水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、ArおよびHetの群から選択され;
Arがフェニルであり;
Arが場合により2個のアルキル置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
Arが場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロおよびヒドロキシの群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されてもよいフェニルであり;
Hetがテトラヒドロフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環式基;またはキノリニル、インドリル、クロメニルおよびベンズイミダゾリルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基が場合によりAr、ハロ、アルキルおよびオキソの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;そして
アルキルが1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素基、または3〜6個の炭素原子を有する環式飽和炭化水素基である、
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0037】
本出願の構成において、アルキルは1〜6個の炭素原子を有する1価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシルと定義し;アルキルはさらに、3〜6個の炭素原子を有する1価の環式の飽和炭化水素基、例えばシクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルと定義する。アルキルの定義はまた、場合により1もしくは複数のフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基により1もしくは複数の炭素原子上で置換されていてもよいアルキル基、例えばヒドロキシアルキル、特にヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルならびにポリハロアルキル、特にジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルも含んでなる。
【0038】
本出願の構成において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。
【0039】
本出願の構成において、「本発明の化合物」は、一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグを意味する。
【0040】
本出願の構成において、特に式(I)中の部分Alk−Y−Alkにおいて、該部分の2つもしくは複数の連続した要素が共有結合を意味する場合、単一の共有結合が示される。例えば、AlkおよびYが両方とも共有結合を意味し、そしてAlkが−CH−である場合、部分Alk−Y−Alk−は−CH−を意味する。同様にAlk、YおよびAlkがそれぞれ共有結合を表し、そしてLがHを表す場合、部分Alk−Y−Alk−Lは−Hを示す。
【0041】
製薬学的に許容され得る塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な非毒性の酸付加塩形態を含んでなると定義する。該塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸で処理することにより得ることができる。
【0042】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの治療的に有効な非無性の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン(hybramine)塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含んでなる。
【0043】
逆に該塩形態は、適切な塩基もしくは酸での処理により遊離形態に転化することができる。
【0044】
付加塩という用語はまた、本出願の構成において用いる場合、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することのできる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物およびアルコラートである。
【0045】
式(I)の化合物のN−オキシド形は、1もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシド、特に1もしくは複数の第三級窒素(例えば、ピペラジニルもしくはピペリジニル基の)がN−酸化されるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。そのようなN−オキシドは、任意の独創的技術なしに当業者により容易に得られることができ、そしてこれらの化合物は、摂取の際に人体において酸化により形成される代謝産物であるので、それらは式(I)の化合物の明らかな代替物である。一般に知られているように、通常、酸化は薬剤代謝に関与する第一段階である(Textbook of Organic Medicinal and Pharmaceutical Chemistry,1977,pages 70−75)。同様に一般に知られているように、化合物の代謝産物形態はまた、ほぼ同じ効果を有して、化合物自体の代わりにヒトに投与することもできる。
【0046】
本発明の化合物は、少なくとも2個の酸化可能な窒素(第三級アミン部分)を保有する。従って、N−オキシドがヒト代謝において形成される可能性は高い。
【0047】
式(I)の化合物は、3価の窒素をそのN−オキシド形に転化するための当該技術分野
で既知の手順に従って対応するN−オキシド形に転化することができる。該N−酸化反応は一般に、式(I)の出発材料を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、ならびにそのような溶媒の混合物である。
【0048】
これまでに使用した「立体化学的異性体」という用語は、式(I)の化合物が有することのできる全ての可能な異性体を定義する。他に言及または示さない限り、化合物の化学名称は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。さらに特に、ステレオジェン中心はRもしくはS立体配置を有することができ;2価の環式の(部分的)飽和基上の置換基は、シスもしくはトランス立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でEもしくはZ立体化学を有することができる。式(I)の化合物の立体化学的異性体は、明らかに本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0049】
CAS命名法の慣例に従って、既知の絶対立体配置の2個のステレオジェン中心が分子に存在する場合、最も低い番号が付けられたキラル中心、基準中心(reference
center)にRもしくはS記述子を割り当てる(カーン−インゴールド−プレローグ順位付け規則に基づく)。RおよびSはそれぞれ、未確認の絶対立体配置を持つ光学的に純粋なステレオジェン中心を表す。「α」および「β」を用いる場合:最も低い環番号を有する環系における不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、任意にいつも環系により決定される平均平面の「α」位置にある。基準原子上の最優先置換基の位置に対する環系における他の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置(式(I)の化合物における水素原子)は、それが環系により決定される平均平面の同じ側にある場合には「α」、もしくはそれが環系により決定される平均平面の反対側にある場合には「β」と命名される。
【0050】
式(I)の化合物および中間体化合物の幾つかは、それらの構造に、少なくとも2個のステレオジェン中心を有する。
【0051】
また本発明は、本発明の化合物を生成するようにインビボにおいて分解される、本発明の薬理学的に有効な化合物の誘導体化合物(通常、「プロドラッグ」と呼ばれる)も含んでなる。プロドラッグは通常(しかし、常にとは限らない)、それらが分解される化合物より標的受容体で低い効能のものである。プロドラッグは、所望の化合物が、その投与を困難にもしくは非効率的にする化学的もしくは物理的性質を有する場合に特に有用である。例えば、所望の化合物は不十分にしか溶解できない可能性があり、粘膜上皮を越えて不十分に輸送される可能性があり、または望ましくない短い血漿半減期を有する可能性がある。プロドラッグに関するさらなる検討は、Stella,V.J.et al.,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985,pp.112−176およびDrugs,1985,29,pp.455−473に見出すことができる。
【0052】
本発明の薬理学的に有効な化合物のプロドラッグ形態は一般に、エステル化されるかもしくはアミド化される酸基を有する式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形である。そのような
エステル化される酸基に含まれるのは、式−COORの基であり、ここで、RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジルまたは以下の基の一つである:
【0053】
【化3】

アミド化される基には、式−CONRの基が含まれ、ここで、RはH、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルである。アミノ基を有する本発明の化合物は、マンニッヒ塩基を生成するためにケトンもしくはホルムアルデヒドのようなアルデヒドで誘導体化することができる。この塩基は、水溶液中で一次速度式で加水分解する。
【0054】
以下に記載する方法で調製される式(I)の化合物は、当該技術分野で既知の分割方法に従って互いに分離することができる鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。続いて該ジアステレオマー塩形態を例えば選択もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの様式には、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーが含まれる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は、立体特異的調製方法によって合成される。これらの方法は鏡像異性的に純粋な出発材料を都合よく用いる。
【0055】
薬理学
本発明の化合物は、ニューロキニン媒介型効果、特にNKおよびNK受容体を介して媒介されるものの強力なインヒビターであり、従ってブタ冠状動脈のサブスタンスP誘導型弛緩の拮抗作用によりインビトロで示されるように、ニューロキニン アンタゴニスト特にサブスタンスPアンタゴニストとして記載することができる。またヒト、モルモットおよびスナネズミのニューロキニン受容体に対する本化合物の結合親和性も、放射性リガンドとしてH−サブスタンスPを用いて受容体結合試験においてインビトロで決定することができる。また主題の化合物は、例えばモルモットにおけるサブスタンスP誘導型血漿浸出の拮抗作用、またはフェレットにおける薬剤誘導型嘔吐の拮抗作用により証明することができるようにインビボでサブスタンスPアンタゴニスト活性も示す(Watson et al.,Br.J.Pharmacol.115:84−94(1995))。
【0056】
本発明の化合物は、ニューロキニン 受容体を遮断することにより、そして特にNKおよびNK受容体を遮断することによりタキキニンの作用と拮抗するそれらの能力の観点から、薬剤として特にタキキニン媒介型症状の予防および治療処置において有用である。特に本発明の化合物は、タキキニン媒介型の状態の予防および治療的処置において、経口的に活性な、中心に浸透する薬剤として有用である。
【0057】
さらに具体的には、幾つかの化合物は実験の章の表から分かるように混合NK/NK拮抗活性を表すことが見いだされた。
【0058】
従って本発明は、薬剤として使用する一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグに関する。
【0059】
また本発明は、ニューロキニン媒介型の状態を処置する(予防もしくは治療または両方のいずれか)薬剤の製造のための一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグの使用にも関する。
【0060】
本発明の化合物は、CNS疾患、特に鬱病、不安障害、ストレス関連障害、睡眠障害、認知障害、人格障害、統合失調性感情障害、摂食障害、神経変性疾患、中毒障害、気分障害、性機能障害、疼痛および他のCNS関連症状;炎症;アレルギー性疾患;嘔吐;胃腸疾患、特に過敏性腸症候群(IBS);皮膚疾患;血管痙攣性疾患;線維症および膠原病;免疫増強もしくは抑制に関連する疾患およびリウマチ性疾患ならびに体重管理の処置において有用である。
【0061】
特に本発明の化合物は、双極性鬱病;単極性鬱病;精神病の特徴、緊張病の特徴、メランコリーの特徴、非定型の特徴もしくは分娩後の発症を有するもしくは有さない、そして再発エピソードの場合には、季節的パターンを有するもしくは有さない単一もしくは再発大鬱病エピソードを包含する大鬱病性障害が包含されるがこれらに限定されるものではない鬱病の処置もしくは予防において有用である。「大鬱病性障害」という用語内に含まれる他の気分障害には、早期もしくは晩期発症を有するそして非定型の特徴を有するもしくは有さない気分変調性障害、I型双極性障害、II型双極性障害、気分循環性障害、再発性短期抑鬱障害、混合性情動障害、神経症性鬱病、心的外傷後ストレス障害および対人恐怖症;抑鬱気分を伴う、初期もしくは晩期発症を有するアルツハイマー型の痴呆;抑鬱気分を伴う血管性痴呆;アルコール、アンフェタミン、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬および他の物質により誘発される気分障害のような物質誘発型の気分障害;抑鬱型の統合失調性感情障害;ならびに抑鬱気分を伴う適応障害が包含される。大鬱病性障害はまた、心筋梗塞、糖尿病、流産もしくは妊娠中絶などが包含されるがこれらに限定されるものではない一般的病状にも起因し得る。
【0062】
特に本発明の化合物は、パニック発作;広場恐怖症;広場恐怖症のないパニック障害;パニック障害の病歴のない広場恐怖症;特定の恐怖症;対人恐怖症;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;全般性不安障害;一般的病状に起因する不安障害;物質誘発性不安障害;および他に特定されない不安障害が包含されるがこれらに限定されるものではない不安障害の処置もしくは予防において有用である。
【0063】
特に本発明の化合物は、急性ストレス反応;短期抑鬱反応、遅延性抑鬱反応、混合性不安抑鬱反応、他の感情の主障害を有する適応障害、行動の主障害を有する適応障害、感情および行動の混合性障害を有する適応障害ならびに他の特定の主症状を有する適応障害のような適応障害;ならびに強いストレスへの他の反応が包含されるがこれらに限定されるものではない、鬱病および/もしくは不安と関連するストレス関連障害の処置もしくは予防において有用である。
【0064】
特に本発明の化合物は、原発性睡眠障害としての睡眠不全および/もしくは錯眠;不眠症;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;日概リズム障害;別の精神障害に関連する睡眠障害;一般的な病状に起因する睡眠障害;ならびに物質誘発性睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない睡眠障害の処置もしくは予防において有用である。
【0065】
特に本発明の化合物は、痴呆;他に特定されない記憶喪失障害および認知障害、特に変
性疾患、損傷、外傷、感染、血管障害、毒素、酸素欠乏症、ビタミン欠乏症もしくは内分泌障害に起因する痴呆;抑鬱気分を伴う、初期もしくは晩期発症を有するアルツハイマー型の痴呆;エイズ関連痴呆あるいはアルコールまたはチアミン欠乏症、単純ヘルペス脳炎および他の辺縁系脳炎に起因する両側側頭葉損傷、酸素欠乏症/低血糖症/重度の痙攣および手術に続発するニューロンの欠損、変性疾患、血管障害もしくは第III脳室の周りの病変の他の原因に起因する記憶喪失障害が包含されるがこれらに限定されるものではない認知障害の処置もしくは予防において有用である。さらに、本発明の化合物はまた、認知および/もしくは記憶障害のない健常人における記憶および/もしくは認知エンハンサーとしても有用である。
【0066】
特に本発明の化合物は、妄想性人格障害;統合失調性人格障害;統合失調型人格障害;反社会的人格障害;境界性人格障害;演技性人格障害;自己愛性人格障害;回避性人格障害;依存性人格障害;強迫性人格障害および他に特定されない人格障害が包含されるがこれらに限定されるものではない人格障害の処置もしくは予防において有用である。
【0067】
特に本発明の化合物は、躁病型の、鬱病型の、混合型の統合失調性感情障害;妄想型、解体型、緊張型、分類不能型および残遺分裂病;分裂病様障害;統合失調性感情障害;妄想性障害;短期精神病性障害;共有精神病性障害;物質誘発性精神病性障害;ならびに他に特定されない精神病性障害が包含される、様々な原因に起因する統合失調性感情障害の処置もしくは予防において有用である。
【0068】
特に本発明の化合物はまた、拒食症;非定型拒食症;多食症;非定型多食症;他の心理的障害と関連する過食;他の心理的障害と関連する嘔吐;および特定されない摂食障害が包含される摂食障害の処置もしくは予防においても有用である。
【0069】
特に本発明の化合物はまた、アルツハイマー病;ハンチントン舞踏病;クロイツフェルト・ヤコブ病;ピック病;多発性硬化症およびALSのような脱髄疾患;他の神経障害および神経痛;多発性硬化症;筋萎縮性側索硬化症;卒中ならびに頭部外傷が包含されるがこれらに限定されるものではない神経変性疾患の処置もしくは予防においても有用である。
【0070】
特に本発明の化合物はまた、生理的依存を有するもしくは有さない物質依存もしくは乱用(特にここで、物質はアルコール、アンフェタミン、アンフェタミン様物質、カフェイン、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド(大麻、ヘロインおよびモルヒネのような)、フェンシクリジン、フェンシクリジン様化合物、鎮静剤−睡眠薬、ベンゾジアゼピンおよび/もしくは他の物質である)が包含されるがこれらに限定されるものではない中毒障害の処置もしくは予防においても有用であり、特に、上記の物質からの離脱症およびアルコール離脱性せん妄を処置するために有用である。
【0071】
特に本発明の化合物はまた、特にアルコール、アンフェタミン、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬および他の物質により誘発される気分障害の処置もしくは予防においても有用である。
【0072】
特に本発明の化合物はまた、性欲障害;性的興奮障害;オルガスム障害;性交疼痛障害;一般的な病状に起因する性機能障害;物質誘発性型機能障害および他に特定されない性機能障害が包含されるがこれらに限定されるものではない性機能障害の処置もしくは予防においても有用である。
【0073】
特に本発明の化合物はまた、術後疼痛のような外傷性疼痛;腕神経叢のような外傷性剥
離痛(traumatic avulsion pain);膵炎誘発性慢性疼痛または変形性関節症−関節リウマチもしくは乾癬性関節炎において起こるような関節痛のような慢性疼痛;ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、分節性もしくは肋間神経痛、線維筋痛、灼熱痛、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、化学療法誘発性神経障害、エイズ関連神経障害、後頭神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィーおよび幻肢痛のような神経障害性疼痛;片頭痛、急性もしくは慢性緊張性頭痛、側頭下顎痛、上顎洞痛および群発性頭痛のような様々な形態の頭痛;歯痛;癌性疼痛;内臓痛;胃腸痛;神経絞扼痛;スポーツでのけがの疼痛;月経困難症;生理痛;髄膜炎;くも膜炎;筋骨格系疼痛;脊髄狭窄、円板脱出(prolapsed disc)、坐骨神経痛、アンギナ、強直性脊椎炎のような腰痛;痛風;熱傷;瘢痕痛;かゆみ;ならびに卒中後視床痛のような視床痛が包含されるがこれらに限定されるものではない疼痛の処置もしくは予防においても有用である。
【0074】
特に本発明の化合物はまた、以下の他のCNS関連症状:運動不能症、運動不能−強直性症候群(akinetic−rigid syndromes)、ジスキネジーおよび薬剤誘発性パーキンソニズム、ジル・ド・ラ・ツレット症候群およびその症状、振せん、舞踏病、ミオクロヌス、チックおよびジストニー、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、薬剤誘発性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮、大脳皮質基底核変性症、パーキンソニズム−ALS痴呆複合および基底核石灰化、情動不安および動揺を包含する、痴呆および知的障害における行動障害および行為障害、錐体外路運動障害、ダウン症候群ならびに静座不能の処置もしくは予防においても有用である。
【0075】
特に本発明の化合物はまた、限定するわけではないが喘息、インフルエンザ、慢性気管支炎および関節リウマチにおける炎症症状;限定するわけではないがクローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患および非ステロイド性抗炎症薬誘発性損傷のような胃腸管における炎症症状;ヘルペスおよび湿疹のような皮膚の炎症症状;膀胱炎および急迫性尿失禁のような膀胱の炎症症状;ならびに眼および歯の炎症ならびに膵炎、特に慢性および急性膵炎を含む炎症の処置もしくは予防においても有用である。
【0076】
特に本発明の化合物はまた、限定するわけではないが麻疹のような皮膚のアレルギー性疾患;および限定するわけではないが鼻炎のような気道のアレルギー性疾患を含むアレルギー性疾患の処置もしくは予防においても有用である。
【0077】
特に本発明の化合物はまた、限定するわけではないが急性嘔吐、遅発性嘔吐および期待的嘔吐;アルキル化剤、例えばシクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチンおよびクロラムブシルのような癌化学療法剤;細胞傷害性抗生物質、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシン−Cおよびブレオマイシン;代謝拮抗物質、例えばシタラビン、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル;ビンカアルカロイド、例えばエトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチンのような薬剤;ならびにシスプラチン、ダカルバジン、プロカルバジンおよびヒドロキシウレアのような他の薬剤;ならびにその組み合わせ;放射能疾患;癌の処置におけるような放射線療法;毒物;代謝障害に、もしくは胃炎のような感染に起因するか、または細菌もしくはウイルス胃腸感染中に放出される毒素のような毒素;妊娠;乗り物酔い、目まい、目まい感およびメニエール病のような前庭障害;術後の疾病;胃腸閉塞;胃腸運動低下;心筋梗塞もしくは腹膜炎のような内臓痛;片頭痛;頭蓋内圧亢進;頭蓋内圧低下(高山病のような);モルヒネのようなオピオイド鎮痛薬;胃食道逆流症;胃酸過多;食品もしくは飲料の過剰耽溺(over−indulgence of food or drink);酸性胃;胸焼け(sour stomach);胸焼け(waterbrash)/逆流;偶発的胸焼け(episodic heartburn)、夜間の胸焼けおよび食事誘発性の胸焼けのような胸焼け;ならびに消化不良により誘発される嘔吐を含むがこれらに限定されるものではない嘔吐、すなわち、悪心、吐気および嘔吐の処置もしくは予防においても有用である。
【0078】
特に本発明の化合物はまた、限定するわけではないが過敏性腸症候群(IBS)を含む胃腸疾患、乾癬、かゆみおよび日焼けのような皮膚疾患;アンギナ、血管性頭痛およびレーノー病、くも膜下出血後の脳血管痙攣のような脳虚血のような血管痙攣性疾患;強皮症および好酸球性肝蛭症のような線維症および膠原病;全身性エリテマトーデスのような免疫増強もしくは抑制に関連する疾患および結合組織炎のようなリウマチ性疾患;咳;ならびに肥満症を含む体重管理の処置もしくは予防においても有用である。
【0079】
最も特別には、本発明の化合物は統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内蔵およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害の処置および/または予防の薬剤を製造するために有用である。
【0080】
また本発明は、ニューロキニン媒介型の疾患の処置および/または予防、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内蔵およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害の処置および/または予防のための方法に関し、この方法は投与が必要なヒトに有効量の本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容される得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形ならびにそのプロドラッグを投与することを含んでなる。
【0081】
本発明はまた、製薬学的に許容し得る担体ならびに有効成分として本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグの治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0082】
本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容し得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグ、またはその任意のサブグループもしくは組み合わせは、投与目的のために様々な製薬学的形態に製剤することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として、場合により付加塩形態の、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容し得る担体と完全に混合して合わせ、この担体は投与に所望される調製物の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口的、直腸的、経皮的、非経口注射により、または吸入による投与に適当な単位剤形が望ましい。例えば、経口投与形態の組成物の調製には、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合に、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;あるいは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口用単位剤形であり、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物には、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば注入可能な液剤を調製することができ、ここで担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液との混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた調製することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適する組成物では、担体は場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および
/または適当な湿潤剤を含んでなり、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、かつ/または所望の組成物の調製に役立つことができる。これらの組成物は、様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0083】
投与の容易さおよび投薬用量の均一性のためには単位剤形の上記の製薬学的組成物を配合することが特に好都合である。本明細書において用いる場合、単位剤形は単位投薬用量として適当な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位剤形の例には、錠剤(刻み目付き、またはコート錠を含む)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0084】
本発明の化合物は強力な経口投与可能なNKおよびNK/NKアンタゴニストであるので、経口投与のための該化合物を含んでなる製薬学的組成物が特に有利である。
【0085】
合成
本発明の化合物は、一般に、一連の段階により調製することができ、これらの各々は当業者に既知である。
【0086】
式(I)の化合物は、R、R、R、X、Q、m、n、pおよびZが式(I)で定義される式(II)の中間体を、R、Alk、Y、L、j、kおよびqが式(I)で定義される式(III)のN−置換ピペリジノンで還元的にN−アルキル化することにより都合よく調製される。該還元的N−アルキル化は、例えば、ジクロロメタン、エタノールもしくはトルエンまたはその混合物のような反応に不活性な溶媒中で、そして例えばホウ化水素、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウムもしくは水素化ホウ素トリアセトキシのような適切な還元剤の存在下で行うことができる。ホウ化水素を還元剤として用いる場合、例えば、J.Org.Chem,1990,55,2552−2554に記述されているようなチタン(IV)−イソプロピレートのような錯体形成剤を使用することが好都合となり得る。該錯体形成剤を使用することはまた、トランス異性体を優先する向上したシス/トランス比をもたらすこともできる。また例えば活性炭担持パラジウムもしくは活性炭担持白金のような適当な触媒と組み合わせて、水素を還元剤として使用することも好都合となり得る。水素を還元剤として使用する場合、例えば、アルミニウムtert−ブトキシドのような脱水剤を反応混合物に加えることは有利となり得る。反応物および反応生成物における特定の官能基の望ましくないさらなる水素化を防ぐために、適切な触媒毒、例えばチオフェンもしくはキノリン−硫黄を反応混合物に加えることもまた有利となり得る。撹拌および場合により高温および/または高圧が、反応の速度を高めることができる。
【0087】
【化4】

このおよび下記の調製において、反応生成物を反応媒質から単離し、そして必要に応じて、例えば、抽出、結晶化、トリチュレーションおよびクロマトグラフィーのような当該
技術分野において一般に既知である方法論に従いさらに精製することができる。
【0088】
特に有利であるのは、Alk−Y−Alk−L−部分がベンジルである先の反応スキームによる本発明の化合物の調製であり、従ってAlk−Y−Alk−L−部分がベンジルである式(I)の化合物を生じる。該化合物は薬理学的に活性であり、そして例えば活性炭担持パラジウムもしくは活性炭担持白金のような適当な触媒と組み合わせて還元剤として、例えば水素を用いた還元的水素化によりAlk−Y−Alk−L部分が水素である本発明の化合物に転化することができる。得られる本発明の化合物は、次いで当該技術分野で既知の変換、例えばアシル化およびアルキル化により本発明の他の化合物に転換することができる。
【0089】
特に、式(I)の化合物は、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqが式(I)におけるように定義される式(I’)の最終化合物を、AlkおよびLが式(I)におけるように定義され、そしてWが例えばハロ、例えばクロロもしくはブロモ、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシもしくはベンゼンスルホニルオキシのような適切な脱離基である式(V)のアシル化合物と反応させることにより調製することができる。該反応は、例えば、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応に不活性な溶媒中で、そして例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムもしくはトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下で行うことができる。撹拌は反応の速度を高めることができる。該反応は、室温ないし還流温度の間の温度範囲で都合よく行うことができる。
【0090】
【化5】

あるいはまた、式(I)の化合物は、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqが式(I)で定義される式(I’)の最終化合物を、AlkおよびLが式(I)におけるように定義される式(VI)のカルボン酸と反応させることにより調製することができる(塩基触媒求核付加反応)。該反応は、例えば、塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応に不活性な溶媒中で、そして例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムもしくはトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下で行うことができる。攪拌は反応の速度を高めることができる。反応は、室温ないし還流温度の間の温度範囲で都合よく行うことができる。
【0091】
【化6】

上記の反応はまた、式(VI)のカルボン酸のカルボン酸エステルで同等な条件下で行うともできる。
【0092】
特に、式(I)の化合物は、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqが式(I)で定義される式(I’)の最終化合物を、ALKおよびLが式(I)で定義され、そしてWが例えばハロゲン、例えばクロロもしくはブロモ、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシもしくはベンゼンスルホニルオキシのような適切な脱離基である式(VII)のケト化合物と反応させることにより調製することができる。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応に不活性な溶媒中で、そして例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムもしくはトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下で行うことができる。撹拌は反応の速度を高めることができる。該反応は、室温ないし還流温度の間の温度範囲で都合よく行うことができる。
【0093】
【化7】

式(I)の化合物は、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqが式(I)で定義される式(I’)の最終化合物の、AlkおよびLが式(I)で定義され、そしてWが例えばハロゲン、例えばクロロもしくはブロモ、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシもしくはベンゼンスルホニルオキシのような適切な脱離基である式(VIII)の化合物での還元的アミノ化/アルキル化により調製することができる。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応に不活性な溶媒中で、そして例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムもしくはトリエチルアミンのような適当な塩基の存在下で行うことができる。撹拌は反応の速度を高めることができる。該反応は、室温ないし還流温度の間の温度範囲で都合よく行うことができる。
【0094】
【化8】

出発物質および中間体の幾つかは既知の化合物であり、そして市販されているか、または当該技術分野において一般に既知である通常の反応手順に従って調製することができる。中間体の調製は、引用することにより本明細書に開示されるヤンセンファーマシューティカ社により1997年5月9日に公開された国際公開第97/16440−A1号パンフレットの実験の章に、ならびに例えば欧州特許出願公開第0,532,456−A号明細書のような国際公開第97/16440−A1号パンフレットで言及された他の公開に記載されている。
【0095】
本発明の化合物は、さらに具体的に説明するように、技術的に知られている変換反応に従い、互いに変換することができる。
【0096】
さらに特に、Aがアリールもしくはヘテロアリールであり、Kが任意の部分、好ましくは以下に記載するKの部分であり、Hetが不飽和ヘテロアリールであり、そしてrが1ないしアリールもしくはヘテロアリール部分Aにおける利用可能な炭素原子の数(例えばフェニルでは5、そしてピロリルでは4)に等しい数の範囲の整数である式(XIII)の化合物は、K、Aおよびrが式(XIII)で定義する通りであり、そしてHalがハロゲンであり、従って、活性もしくは非活性のハロで置換されたアリールもしくはハロで置換されたヘテロアリール、より好ましくは1置換もしくは多置換されたブロモ−および/もしくはヨードアリールもしくは−ヘテロアリール部分を含んでなる式(XI)の化合物を、触媒量のPd(OAc)および1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンの存在下で、適当な塩基、好ましくはCsCOもしくはK(AcO)の存在下で、好ましくはNMP、DMA、DMFなどのような反応不活性極性溶媒中で、そして高い反応温度、好ましくは140〜150℃で、ある期間、好ましくは約6〜20時間、より好ましくは12〜18時間、式(XII)の不飽和ヘテロアリールと反応させる新規なタイプのヘック反応により得ることができる。
【0097】
好ましくは、rは1である。Hetは、場合によりAr、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1もしくは複数の基で置換されていてもよい、例えばイミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルもしくはインドリルのような、または式(I)で定義するような基HetおよびHetにおける不飽和基のいずれかのような、不飽和の単環式もしくは二環式ヘテロアリール部分であることができる。好ましくは、Aはフェニルもしくはピリジニルである。
【0098】
該反応は、従来技術の方法を超える向上した収量を有する(Yutaka Aoyagi et al.,Heterocycles,1992,33,257およびSommai Pivsa−Art,Bull.Chem.Soc.Jpn.,1998,71,467)。
【0099】
【化9】

また、本発明の化合物は、酸での処理により酸付加塩に、または塩基での処理により塩基付加塩に転化することができ、または逆に、酸付加塩形態をアルカリでの処理により遊離塩基に転化することができ、または塩基付加塩を酸での処理により遊離酸に転化することができる。
【0100】
以下の実施例は、本発明を具体的に説明することを目的とし、そしてその範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0101】
実験の部
以下、「RT」は室温を意味し、「CDI」は1,1’−カルボニルジイミダゾールを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「MIK」はメチルイソブチルケトンを意味し、「BINAP」は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’―ジイルビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「NMP」は1−メチル−2−ピロリジノンを意味し、「Pd(dba)」はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを意味し、そして「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、“DMAP”はN,N−ジメチル−4−ピリジンアミンを意味し、“EDCT”は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド.HClを意味し、そして“HOBT”はヒドロキシベンゾトリアゾールを意味する。
【0102】
中間体化合物の調製
実施例A1
a.中間体化合物1の調製
【0103】
【化10】

トルエン(1500ml)中の7−(フェニルメチル)−1,4−ジオキサ−8−アザ
スピロ[4.5]デカン(国際公開第97/24350号パンフレットに従い調製)(0.5モル)の撹拌混合物にEtN(0.55モル)を加えた。3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(0.5モル)を1時間の期間にわたって加えた(発熱反応)。混合物を室温で2時間撹拌し、次に週末の間静置させ、そして水(500ml、2x250ml)で3回洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:245gの画分(100%)。この画分の一部を石油エーテルから結晶化させた。沈殿物を濾過し、そして乾燥させて1.06gの中間体化合物1を得た。
b.中間体化合物2および3の調製
【0104】
【化11】

エタノール(300ml)およびHO(300ml)中の中間体化合物1(A1.aに従い調製した)(0.5モル)の混合物に、HCl cp(300ml)を加えた。反応混合物を60℃で20時間攪拌した。沈殿物を濾過し、粉砕し、HO中で攪拌し、濾過し、石油エーテルで洗浄し、そして乾燥させて192gの画分1(89.4%)を得た。この画分の一部(75g)を、Chiralcel AS(20μm、100Å;溶出液:ヘキサン/2−プロパノール 70/30)でキラルカラムクロマトグラフィーによりその光学異性体に分離した。2つの画分のグループを集め、それらの溶媒を蒸発させた。収量:36.9gの中間体化合物2および37.5gの中間体化合物3。
c.中間体化合物4の調製
【0105】
【化12】

NaH、60%(0.04モル)をヘキサンで3回洗浄し、次いでDMSO(30ml)を加え、そして混合物を1時間、N下および60℃で撹拌した。混合物を室温に冷却し、そしてTHF(40ml)を加えた。生じた混合物を0℃に冷却し、そしてトリメチルスルホニウムヨージド(0.032モル)の溶液(40mlのDMSO中)を滴下した。0℃で30分間撹拌した後、中間体化合物2(A1.bに従い調製)(0.02モル)の溶液(20mlのDMSO中)を滴下し、そして反応混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を氷に注ぎ、NHCl溶液で洗浄し、そして層が分離した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:7.3gの中間体化合物4(83%)。
実施例A2
a中間体化合物5の調製
【0106】
【化13】

雰囲気下での反応。(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド(0.0055モル)およびN−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(0.0083モル)の混合物(20mlの乾燥THF、p.a.中)を−70℃で撹拌した。2.3M BuLi/ヘキサン(0.0055モル)を滴下した。さらに2.3M BuLi/ヘキサン(2.2ml)を加えた。混合物を室温に暖めた。反応混合物を20℃で30分間撹拌した。混合物を−25℃に再冷却した。1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−ピペリジノン(国際公開第97/24350号パンフレットに従い調製)(0.005モル)の溶液(幾らかの乾燥THF、p.a.中)を滴下し、そして反応混合物を室温に暖めた。反応混合物を一晩、室温で撹拌し、次いで水で分解した。有機溶媒を蒸発させ、そして水性の濃縮物をCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出液:CHCl)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.30gの中間体化合物5(57%)。
b.中間体化合物6の調製
【0107】
【化14】

1.6N HCl(6ml)およびTHF(6ml)中の中間体化合物5(A2.aに従い調製)(0.0028モル)の混合物を40℃で1時間撹拌した。THFを蒸発させ、そして水性濃縮物をCHClで抽出した。分離した有機層を水性NaCO溶液で洗浄し、乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.24gの中間体化合物6(100%)。
c.中間体化合物7の調製
【0108】
【化15】

THF(5ml)およびメタノール(100ml)中の中間体化合物6(A2.bに従い調製)(0.0028モル)および1−(フェニルメチル)ピペラジン(0.0028モル)の混合物を、Pd/C、10%(0.5g)を触媒としてチオフェン溶液(0.5ml)の存在下で水素化した。H(1当量)の取り込み後、触媒を濾過して除き、そして濾液を蒸発させた。残渣をメタノール中の(E)−2−ブタン二酸で処理した。塩を濾過し、そして50%NaOHで遊離塩基に再転換し、次いでCHClで抽出した。分かれた有機層を乾燥させ、濾過しし、そして溶媒を蒸発させた。残渣は自然と固化し、そして乾燥した。収量:0.56gの中間体化合物7(33%)。
d.中間体化合物8の調製
【0109】
【化16】

メタノール(500ml)中の中間体化合物7(A2.cに従い調製)(0.133モル)の混合物を、週末の間、Pd/C、10%(0.5g)を触媒として水素化した。H(1当量)の取り込み後、触媒を濾過して除き、そして濾液を蒸発させた。収量:67.5gの中間体化合物8。
実施例A3
中間体化合物9の調製
【0110】
【化17】

CHCN(p.a)(20ml)中の中間体化合物6(A2.bに従い調製)(0.0081モル)の混合物を氷浴上で撹拌し、混合物(I)を得た。HO(20ml)に溶解したNaOCl(0.00975モル)を、<10℃で混合物(I)に滴下した。反応混合物を<10℃で2時間撹拌し、そして室温で一晩攪拌した。NaOH(25ml、10%)を室温で混合物に加え、そして反応混合物をDIPEで洗浄した(2回)。水性層を<10℃でHCl(10%)にて酸性化し、次いでCHClで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、そして濾過した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をDIPEから結晶化した。収量:3.0gの中間体化合物9(80%)。
実施例A4
a.中間体化合物10の調製
【0111】
【化18】

エタノール(100ml、p.a.)中の中間体化合物4(A1.cに従い調製)(0.0165モル)および1,1−ジメチルエチル−1−ピペラジンカルボン酸エステル(0.0165モル)の混合物を撹拌し、そして14時間還流した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出液:CHCl/CHOH 97.5/2.5)。生成物の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:8.3gの中間体化合物10(80%)。
b.中間体化合物11の調製
【0112】
【化19】

DMF(p.a.、250ml)中の中間体化合物10(A4.aに従い調製)(8.3g:0.0132モル)の混合物をN下にて室温で撹拌した。NaH60%(0.64g;0.16モル)を加え、そして反応混合物を室温で1時間撹拌した。DMFに溶解したCHI(2.25g;0.0158モル)の混合物を滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。過剰なNaH60%(0.64g)を加え、そして混合物を室温で1時間撹拌した。過剰なCHI(2.25g)を加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。混合物をHOに注ぎ、そしてDIPEで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。収量:6.4gの中間体化合物11(75%)。
c.中間体化合物12の調製
【0113】
【化20】

中間体化合物11(A4.bに従い調製)(6.0g:0.0093モル)、HCl/iPrOH(25ml)およびメタノール(100ml)の混合物を、50℃で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をHOに注いだ。KCO10%(3g)を加えた。濾液をCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:5.1gの中間体化合物12(100%)。
実施例A5
a)中間体化合物13の調製
【0114】
【化21】

モレキュラーシーブ(200ml)で乾燥させたTHF、p.a.中のNaH、60%(0.036モル)の混合物を、室温で撹拌し、そしてモレキュラーシーブ(q.s.)で乾燥させたTHF、p.a.中の(ジエトキシホスフィニル)酢酸エチルエステル(0.036モル)を滴下し、次いで混合物を室温で30分間撹拌し、そしてモレキュラーシーブ(q.s.)で乾燥させたTHF、p.a.中の中間体化合物2の溶液(A1.bに従い調製)(0.03モル)を滴下した。反応混合物を室温で90分間撹拌した。NHCl(15g)およびHO(200ml)を加えた。有機溶媒を蒸発させ、そして水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣は、ガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH、100/0から98/2)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:14.3gの中間体化合物13(95%)。
b)中間体化合物14の調製
【0115】
【化22】

エタノール中(100ml)の中間体化合物13(A5.aに従い調製)(0.012
6モル)の混合物を、20℃で18時間、触媒としてPd/C10%(1g)を用いて水素化した。Hの取り込み(1当量)後、触媒を濾過して除き、そして濾液を蒸発させた。収量:7.1gの中間体化合物14(100%)。
c)中間体化合物15の調製
【0116】
【化23】

NaOH(1N)(75ml)、メタノール(70ml)およびHO(70ml)中の中間体化合物14(A5.bに従い調製)(0.014モル)の混合物を、室温で24時間撹拌した。有機溶媒を蒸発させた。HCl(100ml、1N)を加え、そして反応混合物をCHClで抽出した(2回)。有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして濾液を蒸発させた。収量:5.5gの中間体化合物15(83%)。
実施例A6
中間体化合物16の調製
【0117】
【化24】

中間体化合物
【0118】
【化25】

(2R)(A2.aに従い調製)(0.0133モル)の混合物(10mlの37%HCl、30mlのHO、および40mlのTHF中)を、50℃で2時間撹拌し、次いで有機溶媒を蒸発させ、そして水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層をNaHCO溶液およびHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣はシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH、100/0から98/2)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:2.7gの中間体化合物16(66%)。
実施例A7
中間体化合物17の調製
【0119】
【化26】

中間体化合物13(A5.aに従い調製)(0.0143モル)の混合物(75mlの1N NaOH、170mlのメタノールおよび100mlのHO中)を、室温で48時間撹拌した。溶液を水まで蒸発させ、そして残渣をDIPEで洗浄した。HCl(100m、1N)を加え、そして反応混合物をCHClで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣はシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH、100/0から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:5.9gの中間体化合物17(88%)。
【0120】
最終化合物の調製
実施例B1
a)最終化合物1の調製
【0121】
【化27】

メタノール(250ml)中の中間体化合物8(A2.dに従い調製)(0.04モル)および1−(フェニルメチル)−3−ピロリジノン(0.04モル)の混合物を、チオフェン溶液(2ml)の存在下でPd/C 10%(3g)を触媒として50℃で18時間水素化した。H(1当量)の取り込み後、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残渣をHO/CHClおよびKCO(5g)に取った。層が分離した。水性層をCHClで抽出し、そして有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣はシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 95/5から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:22.0gの最終化合物1(82%)。
b)最終化合物2の調製
【0122】
【化28】

エタノール(p.a.、100ml)中の中間体化合物4(A1.cに従い調製)(0.0165モル)および1−[1−(フェニルメチル)−3−ピロリジニル]ピペラジン(内容を引用により本明細書に編入する国際公開第96/20173号パンフレットの教示に従い調製)(0.0165モル)の混合物を撹拌し、そして一晩還流した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 95/5から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:7.6gの最終化合物2(67%)。
c)最終化合物3の調製
【0123】
【化29】

CHCl(p.a.、300ml)中の中間体化合物9(A3に従い調製)(0.02モル)、N,N−ジメチル−4−ピリジンアミン(0.028モル)およびEtN(0.028モル)の混合物を室温で撹拌し、次いでEDCI(0.028モル)を滴下し、そして反応混合物を室温で5時間撹拌した。CHCl中の1−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジン−イル]ピペラジン(内容を引用により本明細書に編入する国際公開第96/20173号パンフレットの教示に従い調製)(0.02モル)を滴下し、そして混合物を室温で週末の間、撹拌した。NaOH(150ml、1N)を加え、そして反応混合物を室温で15分間撹拌した。層が分離し、そして水性層をCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:3.2gの最終化合物3(23%)。
d)最終化合物4の調製
【0124】
【化30】

(50ml)中の最終化合物3(0.0041モル)の混合物を、触媒としてPd/C10%(0.5g)を用いて室温で72時間、水素化した。Hを取り込んだ後(1
当量)、触媒を濾過により除去し、そして濾液を蒸発させた。収量:2.4gの最終化合物4(96%)。
実施例B2
a)最終化合物5の調製
【0125】
【化31】

メタノール(250ml)中の中間体化合物
【0126】
【化32】

(トランス)(A2.dに従い調製)(0.02モル)および1,1−ジメチルエチル4−オキソ−1−ピペリジン−カルボン酸エステル(0.02モル)の混合物を、チオフェン溶液(1ml)の存在下、触媒としてPd/C10%(2g)を用いて50℃で水素化した。Hを取り込んだ後(1当量)、触媒を濾過により除去し、そして濾液を蒸発させた。残渣はガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出勾配:CHCl/MeOH 97/3から94/6)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:10.4gの最終化合物5(75%)。
b)最終化合物6の調製
【0127】
【化33】

HCl/2−プロパノール(15ml)中の最終化合物5(B2.aに従い調製)(0.0139モル)および2−プロパノール(60ml)を50℃で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。収量:9.3gの最終化合物6(95%)。
実施例B3
a.最終化合物7の調製
【0128】
【化34】

中間体化合物15(A5.cに従って調製)(0.006モル)、DMAP(0.0077モル)およびEtN(0.0077モル)の混合物(100mlのCHCl中)を室温で撹拌した。EDCI(0.0077モル)を加え、そして混合物を室温で2時間撹拌し、混合物(I)を得た。CHClに溶解した1,1−ジメチルエチル3−(1−ピペラジニル)−1−ピロリジンカルボン酸エステル(内容を引用により本明細書に編入する国際公開第2004/056799号パンフレットの教示に従い調製)(0.006モル)を混合物(I)に滴下し、そして反応混合物を室温で一晩撹拌した。HO(100ml)およびNaOH(50ml、1N)を加え、そして混合物を室温で5分間撹拌した。層が分離した。水性層をCHClで抽出し、そして有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 100/0から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:2.1gの最終化合物7(50%)。
b)最終化合物8の調製
【0129】
【化35】

CFCOOH(20ml)中の最終化合物7(0.00295モル)の混合物を、室温で一時間撹拌した。反応混合物を氷/HO/KCOに注いだ。水性層をCHClで抽出し、そして有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.7gの最終化合物8(94%)。
実施例B4
a)最終化合物9の調製
【0130】
【化36】

中間体化合物16(A6に従って調製)(0.0088モル)および1,1−ジメチルエチル3−(1−ピペラジニル)−1−ピロリジンカルボン酸エステル(内容を引用によ
り本明細書に編入する国際公開第2004/056799号パンフレットの教示に従い調製)(0.01モル)の混合物(150mlのメタノール中)を、チオフェン溶液(1ml)の存在下、触媒としてPd/C10%(1g)を用いて50℃で48時間、水素化した。Hを取り込んだ後(1当量)、触媒を濾過により除去し、そして濾液を蒸発させた。残渣はシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 100/0から95/5)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:3.6gの最終化合物9(75%)。
b)最終化合物10の調製
【0131】
【化37】

HCl/2−プロパノール(10ml)およびメタノール(40ml)中の最終化合物9(B4.aに従い調製)(0.0066モル)の混合物を撹拌し、そして1時間還流した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をHOに取った。混合物をNaOHでアルカリ性とし、そしてCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。収量:2.6gの最終化合物10(88%)。
実施例B5
最終化合物11の調製
【0132】
【化38】

CHCl(p.a.、100ml)中の3−フランカルボン酸(0.0027モル)、DMAP(0.0027モル)およびEtN(0.0027モル)の混合物を室温で撹拌した。次いでEDCI(0.0027モル)を加え、そして反応混合物を室温で1時間撹拌し、混合物(I)を得た。CHClに溶解した最終化合物60(B1.dに従って調製)(0.002モル)の混合物を、混合物(I)に滴下し、そして反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をNaOH(1N)に注ぎ、そして室温で15分間撹拌した。層が分離した。水性層をCHClで抽出し、そして有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、次いで溶媒を蒸発させた。残渣はシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 100/0から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.914gの最終化合物11(67%)。
実施例B6
最終化合物12の調製
【0133】
【化39】

CHCl(p.a.、50ml)中の最終化合物6(B1.dに従って調製)(0.0021モル)およびEtN(0.01モル)の混合物を氷浴上で撹拌した。3,5−ジメチルベンゾイルクロライド(0.0025モル)をCHClに溶解し、そして反応混合物に滴下し、これを室温で1時間撹拌した。KCO(2g)およびHOを加え、そして混合物を抽出した。分かれた水性層をCHClで抽出し、そして分離した合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/MeOH 100/0から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.38gの最終化合物12(90%)。
実施例B7
最終化合物13の調製
【0134】
【化40】

CHCl(p.a.、40ml)中の最終化合物66(B1.dに従って調製)(0.00134モル)およびEtN(0.01モル)の混合物を室温で撹拌し、次いで2−チオフェンスルホニルクロライド(0.0016モル)の溶液(CHCl、p.a.(q.s.)中)を滴下し、そして反応混合物を室温で一晩撹拌した。NaOH(1N、20ml)を滴下し、生じた混合物を室温で10分間撹拌すると層が分離した。水性層をCHClで抽出した;有機層をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶出勾配:CHCl/CHOH 100/0から90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.791gの最終化合物13(80%)。
実施例B8
最終化合物14の調製
【0135】
【化41】

最終化合物6(B2.bに従い調製)(0.000168モル)を遊離塩基に転換した。最終化合物6(0.000168モル)の遊離塩基、2−クロロ−1H−ベンズイミダゾール(0.000182モル)およびCuO(0.010g)の混合物(3mlのN,N−ジメチルアセトアミド中)を、150℃で3時間撹拌し、次いで溶媒を蒸発させた。得られた残渣をCHCl(5ml)に取り、そしてHO/MHを加えた。混合物を2時間撹拌し、そしてExtrelutを通して濾過し、次いでフィルター残渣をCHCl(2×2ml)で洗浄し、そして高性能液体クロマトグラフィーにより精製した(CHCl/CHOH 90/10)。精製物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.011gの最終化合物14。
実施例B9
最終化合物15の調製
【0136】
【化42】

最終化合物6(B2.bに従って調製)(0.000168モル)を遊離塩基に転換した。最終化合物6(0.000168モル)の遊離塩基、シクロプロパンカルボニルクロライド(0.001182モル)およびEtN(0.0005モル)の混合物(4mlのCHCl中)を室温で週末の間撹拌し、次いでHO(2ml)を加えた。混合物を30分間撹拌し、そしてExtrelutを通して濾過し、次いでフィルター残渣をCHCl(2×2ml)で洗浄し、そして高性能液体クロマトグラフィーにより精製した(CHCl/CHOH 90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.109gの最終化合物15。
実施例B10
最終化合物16の調製
【0137】
【化43】

最終化合物6(B2.bに従って調製)(0.000168モル)を遊離塩基に転換した。2−キノリンカルボン酸(0.000182モル)、EtN(0.0005モル)およびPyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート)(0.0002モル)の混合物(4mlのCHCl中)を3時間撹拌し、次いで最終化合物6(0.000168モル)の遊離塩基を加え、そして反応混合物を室温で週末の間撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣を逆相高性能液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.083gの最終化合物16。
実施例B11
最終化合物17の調製
【0138】
【化44】

最終化合物6(B2.bに従って調製)(0.000168モル)を遊離塩基に転換した。最終化合物6(0.000168モル)の遊離塩基、2−クロロピリミジン(0.000182モル)およびNaCO(0.0005モル)の混合物(4mlのN,N−ジメチルアセトアミド中)を60℃で週末の間撹拌し、そして溶媒を蒸発させた。得られた残渣をCHCl(5ml)に取り、そしてHO(2ml)を加えた。混合物を30分間撹拌し、そしてExtrelutを通して濾過し、次いでフィルター残渣をCHCl(2×2ml)で洗浄し、そして高性能液体クロマトグラフィーにより精製した(勾配 90/10)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.059gの最終化合物17。
【0139】
【表1】

【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
【表5】

【0144】
【表6】

【0145】
【表7】

【0146】
【表8】

【0147】
【表9】

【0148】
【表10】

【0149】
【表11】

【0150】
C.分析データ
多数の化合物に対して、融点またはLCMSデータを記録した。
1.LCMS条件
HPLC勾配は、40℃で設定したカラムヒーターを有するウォーターズ(Waters) Alliance HT 2790システムにより供給した。カラムからの流れをウォーターズ(Waters) 996光ダイオードアレイ(PDA)検出器ならびに正および負イオン化モードにおいて操作するエレクトロスプレーイオン化源を有するウォーターズ(Waters)−Micromass ZQ質量分析計に分けた。逆相HPLCは、1.6ml/分の流速でXterra MS C18カラム(3.5mm、4.6x100mm)上で実施した。3つの移動相(移動相A:95% 25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて100% Aから6.5分で50% Bおよび50% Cに、1分で100% Bに、1分間100% Bの勾配条件を行い、そして100% Aで1.5分間再平衡化した。10mLの注入容量を用いた。
【0151】
質量スペクトルは、0.1sの滞留時間を用いて1sで100から1000まで走査することにより得た。キャピラリーニードル電圧は3kVであり、そして供給源温度を140℃に保った。窒素をネブライザーガスとして用いた。コーン電圧は、正イオン化モードでは10V、そして負イオン化モードでは20Vであった。データ収集は、ウォーターズ(Waters)−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0152】
【表12】

【0153】
【表13】

【0154】
【表14】

【0155】
D.薬理学的実施例
実施例D.1;h−NK、h−NKおよびh−NK受容体に対する結合実験
本発明の化合物を放射性リガンド結合技術を用いて様々な神経伝達物質受容体、イオンチャンネルおよび輸送体結合部位との相互作用に関して調べた。興味のある受容体もしくは輸送体を発現する、組織ホモジネートもしくは細胞からの膜を放射性標識した物質([H]−もしくは[125I]リガンド)とインキュベーションして特定の受容体を標識した。受容体部位への結合に関して放射性リガンドと競合することが既知である非標識薬剤(ブランク)で受容体標識化を選択的に阻害することにより、放射性リガンドの特異的受容体結合を非特異的膜標識化と区別した。インキュベーション後に、標識した膜を採取し、そして過剰の冷却バッファーですすぎ、非結合放射能を吸引下で急速濾過により除いた。膜に結合した放射能をシンチレーションカウンターで計数し、そして結果を分当たりのカウント数(cpm)で表した。
【0156】
化合物をDMSOに溶解し、そして10−10〜10−5Mの範囲の10濃度で試験した。
【0157】
CHO細胞において発現されるクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−サブスタンスPを置き換える、Sf9細胞において発現されるクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−48968を置き換える、そしてCHO細胞において発現されるクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−142801を置き換える本発明の化合物の能力を評価した。
【0158】
h−NKの受容体結合値は、本発明による全ての選択化合物について10かし6の間であった。
【0159】
実施例D.2:シグナル伝達(ST)
本試験は、インビトロ機能性NKアンタゴニスト活性を評価する。細胞内Ca++濃度の測定のために、細胞をそれらがコンフルエンスに達するまでCostarからの96ウェル(黒い壁面/透明な底)プレート上で2日間培養した。細胞に0.1%のBSAおよび2.5mMのプロベネシドを含有するDMEM中、2μMのFluo3を37℃で1時間負荷した。それらを2.5mMのプロベネシドおよび0.1%のBSAを含有するクレブスバッファー(140mM NaCl、1mM MgClx6HO、5mM KCl、10mMグルコース、5mM HEPES;1.25mM CaCl;pH7.4)(Ca++バッファー)で3x洗浄した。細胞を濃度範囲のアンタゴニストとRTで20分間プレインキュベーションし、そしてアゴニストの添加後のCa++シグナルを蛍光イメージプレートリーダー(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)、クラウェイ、英国からのFLIPR)で測定した。Ca++−一過性のピークを関連シグナルと考え、そして対応するウェルの平均値を下記のように分析した。
【0160】
S字状用量応答曲線をGraphPadプログラムを用いてコンピューターによる曲線の当てはめにより分析した。化合物のEC50値は、最大効果の50%を示す有効用量である。平均曲線には、最も高い効能を有するアゴニストへの応答を100%に標準化した。アンタゴニスト応答にはIC50値を非線形回帰を用いて計算した。
【0161】
選択した代表的化合物に関するシグナル伝達試験に関するpIC50データを表6に与える。最後のカラムは(それらに限定するわけではないが)、どの化合物の使用が最適であるかを示す。もちろん、幾つかのニューロキニン受容体についてはデータが決定されていないので、これらの化合物は別の適切な使用があるかもしれない。
【0162】
【表15】

【0163】
【表16】

【0164】
【表17】

【0165】
E.組成物実施例
「有効成分」(A.I.)は、これらの実施例の全体にわたって使用する場合、式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形態およびそのプロドラッグに関する。
【0166】
実施例E.1:経口ドロップ
500グラムのA.I.を0.5リットルの2−ヒドロキシプロパン酸および1.5リットルのポリエチレングリコールに60〜80℃で溶解した。30〜40℃に冷却した後、35リットルのポリエチレングリコールを加え、そして混合物をよく撹拌した。次いで2.5リットルの精製水中1750グラムのサッカリン溶液を加え、そして撹拌しながら2.5リットルのココアフレーバーおよびポリエチレングリコール(加えて50リットルとする)を加え、10mg/mlのA.I.を含んでなる経口ドロップ溶液を与えた。得られる溶液を適当な容器に入れた。
【0167】
実施例E2:経口液剤
9グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび1グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを、4リットルの沸騰精製水に溶解した。3リットルのこの溶液に最初に10グラムの2,3−ジヒドロキシブタン二酸、そしてその後に20グラムのA.I.を溶解した。後者の溶液を前者の溶液の残りの部分と合わせ、そして12リットルlの1,2,3−プロパントリオールおよび3リットルのソルビトール70%溶液をそれに加えた。40グラムのサッカリンナトリウムを0.5リットルの水に溶解し、そして2mlのラズベリーおよび2mlのグーズベリーエッセンスを加えた。後者の溶液を前者と合わせ、水(加えて20リットルとする)を加え、茶さじ1杯(5ml)当たり5mgの有効成分を含んでなる経口液剤を与えた。得られる溶液を適当な容器に入れた。
【0168】
実施例E.3:フィルムコート錠
錠剤コアの調製
100グラムのA.I.、570グラムのラクトースおよび200グラムの澱粉の混合物をよく混合し、そしてその後に約200mlの水中5グラムのドデシル硫酸ナトリウムおよび10グラムのポリビニルピロリドンの溶液で加湿した。加湿した粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかけた。次いで100グラムの微晶質セルロースおよび15グラムの水素化植物油を加えた。全部をよく混合し、そして錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含有する10,000個の錠剤を与えた。
【0169】
コーティング
75mlの変性エタノール中10グラムのメチルセルロースの溶液に、150mlのジクロロメタン中5グラムのエチルセルロース溶液を加えた。次いで75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加えた。10グラムのポリエチレングリコールを融解し、そして75mlのジクロロメタンに溶解した。後者の溶液を前者に加え、そして次に2.5グラムのオクタデカン酸マグネシウム、5グラムのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮した着色懸濁液を加え、そして全体を均質化した。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置でコーティングした。
【0170】
実施例E.4:注入可能な溶液
1.8グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび0.2グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを、約0.5リットルの注射用沸騰水に溶解した。約50℃に冷却した後に、撹拌しながら4グラムの乳酸、0.05グラムのプロピレングリコールおよび4グラムのA.I.を加えた。溶液を室温まで冷却し、そして注射用水(加えて1リットルとする)を補足し、4mg/mlのA.I.を含んでなる溶液を与えた。溶液を濾過により滅菌し、そして滅菌容器に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中:
nは0、1もしくは2に等しい整数であり;
mは1もしくは2に等しい整数であり、ただし、mが2である場合、nは1であり;
各Rは相互に独立して、Ar、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され;
は水素、ヒドロキシおよびアルキルオキシの群から選択され;
Zはrが1、2、3、4もしくは5に等しい整数であり、そして1つの基−CH−が場合により>C=O基で置換されてもよい2価の基−(CH−であるか;あるいは
およびZは一緒になって、rが2、3、4もしくは5に等しい整数であり、そして1つの基−CH−が場合により>C=O基で置換されてもよい3価の基=CH−(CHr−1−を形成し;
pは1もしくは2に等しい整数であり;
QはOまたはNRであり;
Xは共有結合または式−O−、−S−または−NR−の2価の基であり;
各Rは、相互に独立して、水素またはアルキルであり;
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、HetまたはHet−アルキルであり;
qは0もしくは1に等しい整数であり;
jは0、1もしくは2に等しい整数であり;
kは0、1もしくは2に等しい整数であり;
Yは共有結合または式>C(=O)−または−SO−の2価の基であり;
各Alkは、相互に独立して、共有結合;1〜6個の炭素原子を有する2価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和炭化水素基;または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し;各基は場合により1もしくは複数のアルキル、フェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基により1もしくは複数の炭素原子上で置換されていてもよく;
Lは水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、モノ−およびジ(アルキルオキシカルボニル)アミノ、Ar、Ar−カルボニル、HetおよびHet−カルボニルの群から選択され;
Arは場合によりハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
Arは各々場合によりハロ、ニトロ、アミノ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−およびジ(アルキル)アミノカルボニルの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルまたはフェニルであり;
Arは場合によりアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルまたはフェニルであり;
Hetはピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環式基;あるいはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基は場合によりハロおよびアルキルの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;
Hetはピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される単環式複素環式基;あるいはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基は場合によりAr、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;そして
アルキルは場合によりフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基の群から選択される1もしくは複数の基により1もしくは複数の炭素原子上で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和炭化水素基である]
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形およびそのプロドラッグ。
【請求項2】
がArメチルであり、そして2位に結合しているか、またはRがArであり、そして3位に結合していることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルであることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
mおよびnが両方とも1に等しい請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Zが−CH−、>C=O、−CHCH−および−CHC(=O)−の群から選択されることを特徴とするか、またはZおよびRが一緒になって3価の基=CH−C(=O)−を形成することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素、ヒドロキシおよびメトキシの群から選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
pが1に等しいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
jが1に等しく、そしてkが0または1に等しいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Alkが共有結合、−CH−、CH(CH)−、−CH(フェニル)−、CHCH(フェニル)−または−CHCH=CH−であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Lが水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、HetおよびHetカルボニルおよびArの群から選択され、そしてHetが式(I)で定義された通りであることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
nが1に等しい整数であり;
mが1に等しい整数であり;
がAr−アルキルであり;
が水素、ヒドロキシまたはアルキルオキシの群から選択され;
Zが、rが1もしくは2であり、そして1つの基−CH−が場合により>C=O基で置換されてもよい2価の基−(CH−であるか;あるいは
およびZは一緒になって、rが2であり、そして1つの基−CH−が>C=O基で置換された3価の基=CH−(CHr−1−を形成し;
pが1に等しい整数であり;
QがOであり;
Xが共有結合であり;
がArであり;
qが0に等しい整数であり;
jが1に等しい整数であり;
kが0もしくは1に等しい整数であり;
Yが共有結合または式>C(=O)−または−SO−の2価の基であり;
各Alkが、相互に独立して、共有結合;1〜6個の炭素原子を有する2価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し;各基が場合により1もしくは複数の炭素原子上でフェニル基により置換されていてもよく;
Lが水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、HetおよびHetカルボニルの群から選択され;
Arがフェニルであり;
Arが場合により2個のアルキル置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
Arが場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロおよびヒドロキシの群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されてもよいフェニルであり;
Hetがテトラヒドロフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環式基;またはキノリニル、インドリル、クロメニルおよびベンズイミダゾリルの群から選択される二環式複素環式基であり;各複素環式基が場合によりAr、ハロ、アルキルおよびオキソの群から選択される1もしくは複数の基により任意の原子上で置換されることができ;そして
アルキルが1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状の飽和炭化水素基、または3〜6個の炭素原子を有する環式飽和炭化水素基である、
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
薬剤として使用する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
ニューロキニン媒介症状を処置する薬剤の製造のための請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズム障害、子かん前症、侵害刺激、疼痛、特に内蔵およびニューロパシー性疼痛、膵炎、神経原性炎症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および尿失禁のような排尿障害を処置および/または予防する薬剤を製造するための請求項13に記載の化合物の使用。
【請求項15】
製薬学的に許容され得る担体および有効成分として治療に有効な量の請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項16】
経口投与するのに適した形態であることを特徴とする請求項15に記載の製薬学的組成物。
【請求項17】
製薬学的に許容され得る担体を、治療に有効な量の請求項1ないし11のいずれか1項に記載の化合物と完全に混合することを特徴とする、請求項15ないし16のいずれか1項に記載の製薬学的組成物の調製法。
【請求項18】
式(I)の、さらに詳細には式(I)、式(I)または式(I)の化合物の調製法であって;
a)式(I)の最終化合物が、反応に不活性な溶媒中で、そして還元剤の存在下で、式(II)の中間体(式中、R、R、R、X、Q、m、n、pおよびZは式(I)に定義されたとおりである)の、式(III)のN−置換ピペリジノン(式中、R、Alk、Y、L、j、kおよびqは式(I)に定義されたとおりである)を用いた還元的N−アルキル化により得られるか;あるいは
【化2】

b)式(I)の最終化合物が、反応に不活性な溶媒中で、そして塩基の存在下で、式(I’)の最終化合物(式中、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqは式(I)に定義されたとおりである)の、式(V)のアシル化合物(式中、AlkおよびLは式(I)に定義されたとおりである、そしてWは脱離基である)との反応により得られるか;あるいは
【化3】

c)式(I)の最終化合物が、反応に不活性な溶媒中で、そして塩基の存在下で、式(I’)の最終化合物(式中、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqは式(
I)に定義されたとおりである)の、式(VI)のカルボン酸(式中、AlkおよびLが式(I)に定義されたとおりである)を用いた塩基触媒型求核付加反応により得られるか;あるいは
【化4】

d)式(I)の最終化合物が、反応に不活性な溶媒中で、そして塩基の存在下で、式(I’)の最終化合物(式中、R、R、R、X、Q、Z、m、n、pおよびqは式(I)に定義されたとおりである)の、式(VII)のケト−化合物(式中、AlkおよびLは式(I)に定義されたとおりであり、そしてWは脱離基である)を用いた塩基触媒型求核付加反応により得られるか;あるいは
【化5】

e)式(I)の最終化合物が、反応に不活性な溶媒中で、そして塩基の存在下で、式(I’)の最終化合物(式中、R、R、X、Q、m、n、pおよびqは式(I)に定義されたとおりである)の、式(VIII)の化合物(式中、AlkおよびLは式(I)に定義されたとおりであり、そしてWは脱離基である)を用いた還元的アミノ化/アルキル化により得られるか;あるいは
【化6】

f)式(I)の最終化合物が、当該技術分野で既知の転化反応に従って式(I)の化合物を相互に転化することにより;そしてさらに場合により、式(I)の化合物を酸での処理により酸付加塩に、または塩基での処理により塩基付加塩に転化することにより、または逆に酸付加塩形態をアルカリでの処理により遊離塩基に転化してもよく、あるいは塩基付加塩を酸での処理により遊離酸に転化してもよく;そしてそのN−オキシドおよび/または立体化学的異性体を調製することにより得られる、
ことを特徴とする上記調製法。

【公表番号】特表2007−532516(P2007−532516A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506775(P2007−506775)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051509
【国際公開番号】WO2005/097774
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】