説明

置換N−シンナミルベンズアミド

本発明は、癌治療のための置換ベンズアミド化合物の使用方法に加えて、当該化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2005年6月29日出願された米国仮出願第60/695,717号に基づく優先権の利益を主張する。当該優先権基礎出願をここに全体として本願明細書中に援用する。
【0002】
連邦支援研究及び開発の発明への権利の陳述
本発明は、許可番号1U19AI056690−01号の米国政府のサポートの元に行われ、国立衛生研究所により取得された。政府は、本発明の一定の権利を有する。
【0003】
「配列表」、表又はコンパクトディスクに提示されたコンピュータープログラムのリスト付録への参照
以下に添付。
【背景技術】
【0004】
本発明は、ケモカイン受容体CCXCKR2へのSDF−1ケモカイン(CXCL12ケモカインとしても知られる)又はI−TAC(CXCL11としても知られる)の結合を阻害する新規化合物、及び医薬組成物に関する。これらの化合物は、腫瘍細胞増殖、腫瘍細胞形成、転移、及び炎症疾患を阻害するために有効である(同時係属のUSSN10/912,638、及び11/050,345を参照のこと)。
【0005】
ケモカインは、細胞骨格再構成、内皮細胞への強力接着、及び方向性のある移動を導き、細胞活性化や増殖に有効ともなり得る小さなサイトカイン様蛋白質のスーパーファミリーである。ケモカインは、細胞の様々な小集団を特異的な解剖学的部位に導く細胞表面蛋白質の状況に合わせて作用する。
【0006】
多くのグループによる初期研究努力の結果であって、転移、及び腫瘍成長におけるケモカイン受容体CXCR4の役割を示す。Muller他「Involvement of Chemikine Receptors in Breast Cancer Metastasis」Nature,410:50−56(2001)は、乳房腫瘍細胞が、転移過程において、白血球輸送を調整するものの如きケモカイン媒介機構を使用することを示した。腫瘍細胞は、機能的に活性のあるケモカイン受容体の特徴的で、無作為でないパターンを発現する。CXCR4を介するシグナル伝達は、乳房腫瘍細胞におけるアクチン重合、及び偽足形成を媒介し、遊走反応、及び湿潤反応を導く。さらに、乳癌転移の主要部位を示す組織(リンパ節、骨髄、及び肺の如きもの)は、CXCR4受容体に対するリガンドの最も豊富な源である。
【0007】
免疫不全マウスを使用して、Muller他は、CXCR4を結合すると知られる抗体でマウスを処置することにより注入されたヒト乳癌細胞の転移を低減することに成功した。この発見したことは、乳癌転移は、患者をCXCR4アンタゴニストで処置することにより低減され得ることを提示する。
【0008】
Bertolini他「CXCR4 Neutralization,a Novel Therapeutic Approach for Non−Hodgkin’s Lymphoma」,Cancer Research,62:3106−3112(2002)は、抗CXCR4抗体で処理された腫瘍の大きさの低減、並びにヒトリンパ腫細胞を有する免疫不全マウスの生存期間の延長を例証した。それらから、CXCR4アンタゴニストで患者を処置することにより腫瘍の大きさが低減され得ることを意味すると解釈された。
【0009】
さらに最近の研究が提示するには、他のケモカイン受容体CCXCKR2が癌の治療における有力な候補ともなり得る。CCXCKR2は、多くのヒト癌における検出可能な発現を伴って、正常細胞からの形質転換細胞において選択的に発現される。生体外試験が示すことには、CCXCKR2発現細胞の増殖は、CCXCKR2のアンタゴニストにより阻害され得る。マウスの生体内試験が示すことには、CCXCKR2アンタゴニストは腫瘍形成、及び腫瘍成長を阻害できる。
【0010】
CCXCKR2の潜在的重要性は、Bertolini他により発見された腫瘍容積における低減の択一的な解釈により例証される。この低減は、明らかに、抗体媒介クリアランスの結果となり得、元々信じられていたように抗CXCR4抗体の結果とはなり得なかった。抗体媒介クリアランスにおいて、リンパ腫細胞の細胞表面上で蛋白質を認識するいずれかの抗体は、抗CXCR4抗体のせいである効果と同じ効果を有するだろう。あいにく、Bertolini他の研究は、観察された腫瘍反応が抗体媒介クリアランスのせいなのか又はCXCR4との相互作用のせいなのかについて決定的ではない。
【0011】
しかしながら、Bertolini他が使用したリンパ腫細胞はCXCR4、及びCCXCKR2の両方を発現することが知られている。SDF−1は、CXCR4のための唯一のリガンドである。SDF−1、及びI−TACの両方は、CCXCKR2を結合する。抗SDF−1抗体を使用することにより、CCXCKR2のアンタゴニストは腫瘍量における低減、及び生存率の増大に関与することが示される。SDF−1はCXCR4のための唯一のリガンドであるので、抗SDF−1抗体でのSDF−1の中和は抗CXCR4抗体でのCXCR4の中和と同等であると予測される。しかしながら、抗SDF−1抗体を使用した実験は、腫瘍量における部分的低減と増大された生存率のみを示した。結果として、CCXCKR2は、継続的活性がCCXCKR2と第2リガンドであるI−TACとの相互作用に起因することが明らかだとして、有望な標的である。
【0012】
昨今まで、腫瘍細胞増殖、腫瘍成長、及び転移におけるCCXCKR2の有力な重要性が知られていた。現在、癌の成長や拡散、及びCCXCKR2受容体に対する限定された組織分布を示す発現パターンを阻害する特定のCCXCKR2アンタゴニストの能力を指摘する最近の証拠により、潜在的に副作用のない腫瘍細胞上のCCXCKR2受容体に特異的に結合し得る化合物を提供することが有益となるだろう。
【0013】
さらに、最近発見されたことは、CCXCKR2が特定の一般的な発散ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びサル免疫不全ウイルス(SIV)に対する、特に、HIV−2−ROD、X4指向分離株に対する共受容体として役立ち得ることである{Shimizu,N他,J.Virol.,(2000)74:619−626;Balabanian,K.,他,近刊のJ.Biol.Chem.;Manuscript M508234200として2005年8月17日に刊行された。}。
【0014】
さらに、SDF−1は、骨髄を含む特異的造血組織に対する造血前駆細胞、及び幹細胞、並びに特に、CXCR4受容体を有するそれら細胞の可動化における役割を有すると記載されている{Hattori,IC他,Blood,(2000)97:3354−3360;国際特許公開第2005/000333号、その全内容を参照により本明細書中に援用する。}。例えば、CD34+前駆細胞がCXCR4を発現し、化学的誘引及び移植のための骨髄間質細胞により製造されるSDF−1を必要とすること、並びに生体外で、SDF−1がCD34+細胞及び前駆/幹細胞の両方に対して走化性であることが知られる。
【0015】
SDF−1は、いくつかの他のより関与する前駆細胞、並びにT−リンパ球、単球、プロ及びプレ−Bリンパ球、及び巨核球を含む成熟血液細胞にとって、CXCR4受容体を経由するシグナルを伝達する重要な化学的誘引物質でもある。上述のように、SDF−1は、CXCR4受容体のための唯一のリガンドである。SDF−1、及びI−TACは、両方とも、CCXCKR2受容体に対するリガンドである。さらに最近の研究により示されることには、CCXCKR2受容体は幹細胞可動化過程において重要な役割を果たし得る。
【0016】
上記記載を考慮して、CCXCKR2受容体に特異的に結合し得る化合物は、かかる相互作用から有用となり得る疾患、及び他の生物学的症状を治療するために有用であることが明らかである。本発明は、医薬組成物、及び関連する治療方法に加えて、かかる化合物を提供する。
【発明の開示】
【0017】
発明の概略
本発明は、ある態様において、以下に記載される式(I)、式(II)、及び式(III)からなる群より選択される式を有する化合物、又はその医薬として許容される塩、若しくは水和物を提供する。
【0018】
本発明において提供される化合物は、CCXCKR2(CXCR7としても言及される。)に結合するために有用であり、CCXCKR2活性に少なくとも一部依存する疾患を治療するために有用である。従って、本発明は、さらなる態様において、医薬として許容される賦形剤と混合される1又は複数の上述の化合物を含む組成物を提供する。
【0019】
他の態様において、本発明は、CCXCKR2受容体へのケモカインであるI−TAC又はSDF−1の結合を阻害する方法であって、CCXCKR2受容体への前記ケモカインの結合を阻害するのに十分な時間、上記式の化合物とCCXCKR2受容体を発現する細胞とを接触させることを含む、上記方法を提供する。
【0020】
他の態様において、本発明は、癌を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療するのに十分な期間、上記式の化合物の治療有効量を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0021】
他の態様において、本発明は、炎症性疾患を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、炎症性疾患を治療するのに十分な時間、上記式の化合物の治療有効量を投与することを含む、上記方法を提供する。
【0022】
図面の説明
該当なし。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
I.省略形及び定義
用語「アルキル」は、単独で又は他の置換基の一部として、特段の記載がなければ、示された炭素原子の数を有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する(すなわち、C1−8は1〜8個の炭素を意味する)。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどを含む。用語「アルケニル」は、1又は複数の二重結合を有する不飽和アルキル基をいう。同様に、用語「アルキニル」は、1又は複数の三重結合を有する不飽和アルキル基をいう。かかる不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、並びにその高級同族体及び異性体を含む。用語「シクロアルキル」は、示された数の環原子を有し(例えばC3−6シクロアルキル)、全て飽和しているか、環の頂点間に1以下の二重結合を有する炭化水素環をいう。「シクロアルキル」は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどの如き二環式、及び多環式炭化水素環も意味する。
【0024】
用語「アルキレン」は、単独で又は他の置換基の一部として、−CHCH2CHCH−により例示されるようなアルカン由来の2価の基を意味する。通常、アルキル基(アルキレン)は、10又はそれ未満の炭素原子が本発明において好まれるが、1〜24個の炭素原子を有するだろう。「低アルキル」又は「低アルキレン」は、より短い鎖のアルキル又はアルキレン基であり、通常4又はそれ未満の炭素原子を有する。
【0025】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、ありきたりの意味で使用され、酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子の各々を経由し分子の残りと結合するアルキル基を言う。さらに、ジアルキルアミノ基として、アルキル部分は、同じか又は異なり得、組み合わされて、各々が付着される窒素原子を有する3−7員環を形成し得る。従って、−NRとして示される基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことを意味する。
【0026】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、単独で又は他の置換基の一部として、特段の記載がなければ、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」の如き用語は、モノハロアルキル、及びポリハロアルキルを含むように意味される。例えば、用語「C1−4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むように意味される。
【0027】
用語「アリール」は、特段の記載がなければ、一緒に融合される又は共有結合される単環又は多環(3環まで)となり得るポリ不飽和の、典型的には芳香族の、炭化水素基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、窒素原子と硫黄原子が場合により酸化され、当該窒素原子が場合により四級化される、N、O、及びSから選択された1〜5個のヘテロ原子を含むアリール基(又は環)をいう。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を通じてまたは炭素原子を通じて、分子の残りに接着され得る。アリール基の非制限的な例は、フェニル、ナフチル、及びビフェニルを含み、一方、ヘテロアリール基の非制限的な例は、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルを含む。上述のアリール、及びヘテロアリール環系の各々の置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0028】
略して、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)との組み合わせで使用される際の用語「アリール」は、上記定義のようなアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。それ故、用語「アリールアルキル」は、アリール又はヘテロアリール基がアルキル基(ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合するそれらのラジカルを含むように意味される。
【0029】
用語「複素環」は、少なくとも1つの硫黄、窒素又は酸素へテロ原子を含む飽和又は不飽和の非芳香族環状基をいう。各複素環は、いずれかの炭素原子又はヘテロ原子で結合されうる。各複素環は、1又は複数の環を有する。多環が存在するとき、それらは、一緒になって融合され得え、あるいは共有結合され得る。各複素環は、窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(通常、1〜5個のヘテロ原子)を含まなければならない。好ましくは、これらの基は、0〜5個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、及び0〜2個の酸素原子を含む。さらに好ましくは、これらの基は0〜3個の窒素原子、0〜1個の硫黄原子、及び0〜1個の酸素原子を含む。複素環基の非制限的な例は、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン−S,S−ジオキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3−ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェンなどを含む。
【0030】
他の態様において、上記用語(例えば、「アルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの飽和、及び不飽和型の両方を含むだろう。ラジカルの各型の好ましい置換基は、以下に提供される。略して、当該用語アリール、及びヘテロアリールは、以下に提供されるような飽和又は不飽和型をいい、用語「アルキル」、及び関連脂肪族ラジカルは、置換されたとの言及がなければ、非置換型をいうことを意味する。
【0031】
アルキルラジカルのための置換基(しばしば、アルキレン、アルケニル、アルキニル、及びシクロアルキルとして言及されるこれらの基を含む。)は、0〜(2m’+1)の範囲の数において、ハロゲン、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NR’S(O)R’’、−CN、及び−NOから選択される様々な基となり得、ここでm’はかかるラジカル中の炭素原子の総数である。R’、R’’、及びR’’’は、各々独立して、水素、不飽和C1−8アルキル、非置換へテロアルキル、非置換アリール、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換C1−8アルキル、C1−8アルコキシ又はC1−8チオアルコキシ基、あるいは非置換アリール−C1−4アルキル基をいう。R’とR’’が同じ窒素原子に結合されるとき、それらは、窒素原子と組み合わさり、3−、4−、5−、6−又は7−員環を形成する。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル、及び4−モルホリニルを含むことを意味する。
【0032】
同様に、アリール、及びヘテロアリール基のための置換基は様々であり、0〜芳香族環系上のオープン原子価の総数までの範囲において、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R’’、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R’’、−C(O)R’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NR’S(O)R’’、−N、ペルフルオロ(C−C)アルコキシ、及びペルフルオロ(C−C)アルキルから、通常、選択される、ここで、R’、R’’、及びR’’’は、各々独立して、水素、C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、非置換アリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)−C1−4アルキル、及び非置換アリールオキシ−C1−4アルキルである。他の好適な置換基は、1〜4の炭素原子由来のアルキレンテザーにより環原子に結合される上記各々のアリール置換基を含む。
【0033】
アリール又はヘテロアリール環の隣接原子の置換基の2つは、場合により、式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で置き換えられる、ここでT及びUは、独立して、−NH−、−O−、−CH−又は一重結合であり、qは0〜2の整数である。あるいは、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子の置換基の2つは、式−A−(CH)r−B−の置換基で置き換えられる、ここでA及びBは、独立して、−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’又は一重結合であり、rは0〜3の整数である。そのように形成された新たな環の一重結合の1つは、場合により、二重結合と置き換えられる。あるいは、前記アリール又はヘテロアリール環の隣接原子に関する2つの置換基は、場合により、式−(CH−X−(CH−{ここでs及びtは独立して0〜3の整数であり、Xは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−又は−S(O)NR’−である。}の置換基に置き換えられる。−NR’−、及び−S(O)NR’−における置換基R’は、水素又は非置換C1−6アルキルから選択される。
【0034】
本明細書中に使用されるように、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、及びケイ素(Si)を含むと意味される。
【0035】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書中に記載の化合物に見られる特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸又は塩基と共に作成される活性化合物の塩を含むと意味される。本発明の化合物が比較的酸性の官能性を含むとき、そのままで又は好適な不活性溶媒中でのいずれかで、かかる化合物の中性型と十分量の所望の塩基を接触させることにより、塩基付加塩が得られ得る。医薬として許容される無機塩基由来の塩の例は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(manganic)、マンガン(manganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。医薬として許容される有機塩由来の塩の例は、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンの如き、置換アミン、環状アミン、天然発生アミンなどを含む第1、第2、及び第3アミンを含む。
【0036】
本発明の化合物が比較的塩基官能性を含むとき、そのままで又は好適な不活性溶媒中でのいずれかで、かかる化合物の中性型と十分量の所望の酸を接触させることにより、酸付加塩が得られ得る。医薬として許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸又はヨウ化水素酸、あるいは亜リン酸などの無機酸由来のもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸由来の塩を含む。アルギネートなどの如きアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツノリン(galactunoric)酸などの如き有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.他 「Pharmaseutikal Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19を参照のこと。)。本発明のある特定の化合物は、当該化合物を塩基付加塩か酸付加塩のいずれにも転換させ得る塩基及び酸官能性の両方を含む。
【0037】
前記化合物の中性型は、塩を塩基又は酸に接触させること、及び慣習的な方法において親化合物を単離することにより再構成され得る。当該化合物の原型は、極性溶媒中の溶解度のように様々な塩型と異なるが、当該塩は、本発明の目的のための化合物の原型と等価である。
【0038】
塩型に加えて、本発明は、プロドラッグ型の化合物を提供する。本明細書中に記載の化合物のプロドラッグは、本発明の化合物を提供するための生理的条件下、容易に化学変化を受ける化合物である。さらに、プロドラッグは、生体外環境において、化学的又は生化学的方法により本発明の化合物に転換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素又は化学試薬と共に経皮貼付容器に置かれたとき、本発明の化合物にゆっくりと転換され得る。
【0039】
本発明のある化合物は、非溶媒和型、並びに水和物の形を含む溶媒和型で存在する。一般的に、溶媒和型は、非溶媒型と等価であり、本発明の範囲に含まれると意図される。本発明のある化合物は、複合的結晶性形状で存在し得る。一般的に、全物理的形状は、本発明により企図される使用に相当し、本発明の範囲内であると意図される。
【0040】
本発明のある化合物は、不斉炭素原子(光心)又は二重結合を有する;ラセミ化合物、ジスアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及び各異性体(例えば、分離エナンチオマー)は、全て、本発明の範囲内に含まれると意図される。本発明の化合物は、かかる化合物を構成する1又は複数の原子での原子同位体の非天然比率をも含む。例えば、当該化合物は、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)又は炭素−14(14C)の如き放射性同位元素で放射性標識され得る。放射性であるかないかのいずれかの本発明の全同位体変化は、本発明の範囲内に含まれると意図される。
【0041】
「RDC1」としても言及される「CCXCKR2」は、G蛋白質共役受容体(GPCR)と推定される7回膜貫通ドメインをいう。CCXCKR2イヌ・オルソログは、1991年に初めて同定された。Libert他,Science 244:569−572(1989)を参照のこと。そのイヌ配列は、Libert他,Nuc.Acids Res.18(7):1917(1990)に記載される。そのマウス配列は、例えば、Heesen他,Immuno genetics 47:364−370(1998)に記載される。そのヒト配列は、例えば、Sreedharan他,Proc.Nail.Acad.Sd.USA88:4986−4990(1991)に記載され、そこで、当該蛋白質を血管活性腸管ペプチドの受容体として誤って記載されている。「CCXCKR2」は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10の変異体と実質的に類似する配列又はそれらの配列の保存的に修飾された変異型を含む。
【0042】
II.概要
本発明の化合物は、CCXCKR2受容体へのリガンドの結合を阻害し得、癌、特に固形腫瘍癌、及びリンパ腫の治療に有用である。昨今、CCXCKR2へのリガンド結合の阻害は、動物モデルにおいて、関節リウマチの重症度を低減すると注目されていた。
【0043】
III.本発明の態様
化合物
ある態様において、本発明は、以下の式:
【化1】

の式(I)、式(II)又は式(III)を有する化合物、又はそれらの全ての医薬として許容される塩、若しくは水和物を提供する。
【0044】
上記式において、下付文字mは0〜3の整数であり;下付文字nは1〜3の整数であり;下付文字pは、0〜3の整数であり;そして式(III)の点線は、任意の二重結合の存在を示す。
【0045】
次に、式(I)〜(III)の様々な成分について、文字Lは、C1−4アルキルC3−6シクロアルキル連結基を示す。
【0046】
記号Rは、水素、ハロゲン、C1−8アルコキシ、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、及びC3−6シクロアルキルC1−4アルコキシから選択されるメンバーを示す。記号R、及びRは、C1−8アルキル、及びC1−8ハロアルキルから独立して選択される各メンバーを示し、あるいは各々が5〜10員環に結合される酸素原子と場合により組み合わされる。
【0047】
記号R、及びRは、各々独立して、H、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、−CO、−CONR、−SO又は−SONRを示す。
【0048】
は、H又はC1−8アルキルを示す。
【0049】
各R置換基は、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−OR、−NR、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−XCOR、−XCO、−XCONR、−XNRCOR、−XSO、−XSONR、−XNR、及び−XORからなる群より選択される群より独立して選択される。
【0050】
7a、R7b、及びR7cの2つの隣接したメンバーは、組み合わさり、炭素環式又は複素環式の、及び1〜3つの置換基で場合により置換される、融合5又は6員環を形成し;並びにR7a、及びR7cの残りのメンバーはRである。
【0051】
各Rは、ハロゲン、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−OR、−NR、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−XCOR、−XCO、−XCONR、−XNRCOR、−XSO、−XSONR、−XNR、及び−XORからなる群より独立して選択される。
【0052】
上記において、各Xは、C1−4アルキレン、及びC2−4アルキレンから選択され;各R及びRは、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、及びアリール−C1−4アルキルから独立して選択され;上記R置換基の各々の脂肪族部分、及びR7aとR7bとを組み合わせることにより、若しくはR7bとR7cとを組み合わせることにより形成される環は、−OH、−OR、−OC(O)NHR、−OC(O)N(R、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)、−SONH、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−NHS(O)、−NRS(O)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−C(O)R、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NHC(O)NH、−NRC(O)NH、−NRC(O)NHR、−NHC(O)NHR、−NRC(O)N(R、−NHC(O)N(R、−COH、−CO、−NHCO、−NRCO、−CN、−NO、−NH、−NHR、−N(R、−NRS(O)NH、及び−NRS(O)NHRからなる群より選択される1〜3メンバーで場合により置換され、ここで、各Rは、独立して、非置換C1−6アルキルである。
【0053】
ある態様において、前記化合物は式(I)を有する。この態様群の中で、好ましいのは、mは2であり、nは1であり、そしてpは0である。次の連結基Lについて、好ましい態連結基は、以下の:
【化2】

から選択される、ここで、波線は、ピロリジニル窒素原子への接着点を示し、点線は、NRへの接着点を示し、及びRは、C1−3アルキル基である。ここで、R部分は、C1−4アルキルC3−6シクロアルキル連結基のC1−4アルキル部分の痕跡を示す。
【0054】
さらにより好ましくは、Lが以下の:
【化3】

から選択される態様である。
【0055】
式(I)の他の態様も好まれる。ある態様において、RはH又はOCHであり;R及びRはC1−3アルキル及びC1−3ハロアルキルからなる群より各々独立して選択され;R及びRは、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、及び−SOからなる群より各々独立して選択され;Rは、H又はCHであり;並びに、各Rは、存在するときには、ハロゲン、及びC1−4アルキルからなる群より独立して選択される。
【0056】
さらに好ましい態様において態様は、Rは、H又はOCHであり;R及びRは、C1−3アルキル、及びC1−3ハロアルキルからなる群より各々独立して選択され;R及びRは、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、及び−SOからなる群より各々独立して選択され;Rは、H又はCHであり;並びに、各Rは、存在するときには、ハロゲン、及びC1−4アルキルからなる群より独立して選択される。
【0057】
他の態様は式(II)により示される化合物である。この態様の群において、1つの選択群は、R7b、及びR7cが組み合わされ、ピロリジン環に融合される5又は6員環を形成する化合物である。他の選択群は、R7a、及びR7bが組み合わされ、ピロリジン環に融合される5又は6員環を形成する化合物である。さらに他の選択群は、R7aが水素又はC1−8アルキルである化合物である。さらに他の好ましい態様は、nが1又は2である化合物;Rが、水素、及びC1−8アルコキシからなる群より選択される化合物;並びに、R及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される化合物である。特に好ましい態様は、nが1又は2であり;Rが水素、及びC1−8アルコキシから選択され;並びに、R及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルから各々独立して選択される化合物である。
【0058】
本発明のさらに好ましい態様において、化合物は、式(III)により示される。式(III)の好ましい態様において、nは1又は2である。他の好ましい態様において、Rは、水素、及びC1−8アルコキシから選択される。さらに他の好ましい態様において、R及びRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルから各々独立して選択される。式(III)の他の好ましい態様において、nは1又は2であり;Rは水素及びC1−8アルコキシから選択され;R及びRは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルから各々独立して選択される。式(III)のさらに他の好ましい態様において、mは1又は2であり;Rはハロゲン及びC1−8アルキルから独立して選択される。式(III)の他の好ましい態様において、RはH又はCHである。さらに好ましい態様の1つの群において、nは1又は2であり;Rは水素及びC1−8アルコキシから選択され;R及びRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルから各々独立して選択され;RはH又はCHであり;mは1又は2であり;並びに、Rは、ハロゲン及びC1−8アルキルから独立して選択される。
【0059】
置換されたN−シンナミルベンズアミドの製造
本発明の化合物は、当業者にとって明らかな、以下に提供される実施例の変化型を含む、それらの実施例に従い、並びに以下に示された合成手順に従い、製造され得る。以下のスキームにおいて、置換基であるPは保護基を示し、置換基であるXはハロゲン又は他の離脱基、例えばトシラート、好適なアシルオキシ基などを示し、そして残りの置換基、例えばR、Rなどは、本願明細書の「化合物」の区分に記載されているようなものである。
【0060】
【化4】

【0061】
式(I)の化合物は、スキームIに記載のように製造され得る。それらに示されるように、アルデヒド(ii)は、第1級アミン(i)と共に還元的アミノ化反応を受け、化合物(iii)を形成し得る。当該第1級アミン(i)は、当業者に知られた化学的経路により合成され得る。その還元的アミノ化反応は、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、又はメタノールを非制限的に含むいずれかの好適な溶媒中、還元剤の存在下で実施され得、中間体(iii)を形成する。好適な還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(Mattson他,J.Org.Chem.1990,55,2552、及びBarney他,Tetrahedron Lett.1990,31,5547を参照のこと。);トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(Abdel−Magid他,Tetrahedron Lett.1990,31,5595を参照のこと。);水素化ホウ素ナトリウム(Gribble,G.W.他,Synthesis.1987,709を参照のこと。);ペンタ鉄カルボニル及びアルコール性KOH(Watabane他,Tetrahedron Lett.1974,1879を参照のこと。);並びに、BHピリジン(Pelter他,J.Chem.Soc,Perkin Trans.1,1984,717を参照のこと。)を非制限的に含む。
【0062】
ベンゾイル基(iii.a)による化合物(iii)のアシル化は、アシル化生成物(iv)を産生し得る。当該アシル化反応は、化合物(iii)とテトラヒドロフラン又はジクロロメタンの如きいずれかの好適な溶媒中の置換ベンゾイル基(iii.a)及び塩基を混合することにより実施され得る。好ましい塩基は、特に、第3級アミン塩基を含む。特に好ましい塩基は、トリエチルアミン、及びHunig塩基を含む。
【0063】
あるいは、化合物(iv)を製造するための、好適な置換ハロゲン化ベンゾイルの如きベンゾイル基(iii.a)による化合物(iii)のアシル化は、4−N,N−ジメチルアミノ−ピリジンの如き触媒中、あるいはヒドロキシベンゾトリアゾールの存在中(K.Horiki,Synth.Commun.,7,251を参照のこと。)、プロパンホスホン酸環状無水物、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボラート、1−エチル−3−(3−ジメチルブチルプロピル)カルボジイミド又はジシクロヘキシル−カルボジイミド(B.Neises及びW.Steglich,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,17,522,1978を参照のこと。)の如き好適なカップリング試薬を使用しても達成され得る。
【0064】
第2級アミン(v)を製造するための化合物(iv)中の保護基Pの除去は、以下の化学的経路により達成され得る、かかる化学的経路は、Theodora W.Greene,及びPeter G.M.Wuts,(Wiley Interscience)による「Protective Groups in Organic Synthesis」に記載のように、当業者に知られている。アミン(v)は、上記のような{化合物(iii)の合成のための}還元的アミノ化条件下で好適な置換アミノアルデヒド基(v.a)と反応させられ、本発明の式(I)の化合物を製造し得る。
【0065】
本発明の式(II)を有する化合物は、以下のスキーム2に概要が示される合成手順に従って、製造され得る。
【化5】

【0066】
スキーム2に示されるように、アルデヒド(vii)は、第1級アミン(vi)と共に還元的アミノ化反応を受け、化合物(viii)を形成する。当該第1級アミン(vi)は、当業者に知られた化学的経路により合成され得る。当該還元的アミノ化反応は、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン又はメタノールを非制限的に含む好適な溶媒中の還元剤の存在下において実施され、中間体(viii)を形成し得る。好適な還元剤は、スキーム1に記載のようなものを含む。
【0067】
ベンゾイル基(viii.a)による化合物(viii)のアシル化は、アシル化生成物(ix)を産生し得る。当該アシル化反応は、化合物(viii)とテトラヒドロフラン又はジクロロメタンの如きいずれかの好適な溶媒中の置換ベンゾイル基(viii.a)及び塩基を混合することにより実施され得る。好ましい塩基は、特に、第3級アミン塩基を含む。特に好ましい塩基は、トリエチルアミン、及びHunig塩基を含む。
【0068】
あるいは、化合物(ix)を製造するための好適な置換ハロゲン化ベンゾイルの如きベンゾイル基(viii.a)による化合物(viii)のアシル化は、4−N,N−ジメチルアミノ−ピリジンの如き触媒中、あるいはヒドロキシベンゾトリアゾールの存在中(K.Horiki,Synth.Commun.,7,251を参照のこと。)、プロパンホスホン酸環状無水物、O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボラート、1−エチル−3−(3−ジメチルブチルプロピル)カルボジイミド又はジシクロヘキシル−カルボジイミド(B.Neises及びW.Steglich,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,17,522,1978を参照のこと。)の如き好適なカップリング試薬を使用しても達成され得る。
【0069】
第2級アミン(x)を製造するための化合物(ix)中の保護基Pの除去は、以下の化学的経路により達成され得る、かかる化学的経路は、Theodora W.Greene,及びPeter G.M.Wuts,(Wiley Interscience)による「Protective Groups in Organic Synthesis」に記載のように、当業者に知られている。アミン(x)は、{化合物(viii)の合成のために}上記のような還元的アミノ化条件下で、好適な置換アミノアルデヒド基(x.a)と反応させられ、本発明の式(II)の化合物を製造し得る。
【0070】
本発明の式(III)を有する化合物は、以下のスキーム3に記載されるように製造され得る。
【化6】

【0071】
ジアルキルアミン化合物(xiii)は、スキーム1、及び2に既に記載されたような合成手順を使用して、アルデヒド(xi.a)とアミン(xii)の還元アミン化により作成され得る。あるいは、アミン(xii)は、適切に置換されたアルキル化基(xi.b)でアルキル化され、ジアルキルアミン化合物(xiii)を作成する。アルキル化反応を実施するための好適な反応条件は、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの如き溶媒中、化合物(xi.b)及び化合物(xii)を溶解すること、並びに、トリエチルアミン、Hunig塩基の如き第3級アミン塩基;あるいは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムの如き無機塩基をその反応混合物に添加することを含む{Michael B.Smith及びJerry March(Wiley Inter−Science)によるMarch’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版を参照のこと。}。化合物(xiii)は、スキーム1及び2に概略されるような合成手順を使用して、アシル化生成物、すなわち、式(III)の化合物にさらに転換され得る。
【0072】
組成物
上記提供される化合物に加えて、組成物が、癌、並びにヒト及び動物におけるCCXCKR2により調節される他の疾患を治療するために有用である本発明において提供される。当該組成物は、医薬担体又は希釈剤を通常、含むだろう。
【0073】
本明細書中に使用される用語「組成物」は、特定の成分を、好ましくは特定の量含む生成物、並びに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られるいずれかの生成物を含むことを意図する。「医薬として許容される」により、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤中の他の成分と適合しなければならず、それらの受容者に有害でないことを意味する。
【0074】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、単位剤形中に好都合に存在し得、医薬及び薬物デリバリーの分野においてよく知られるいずれかの方法により製造され得る。全ての方法は、活性成分を、1又は複数の副成分を構築する担体と関連するようにするステップを含む。通常、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化された固体担体あるいはその両方に均一かつ密接に関連するようにし、次いで、もし必要ならば、その生成物を所望の剤形に形作ることにより製造される。医薬組成物において、活性対象化合物は、疾患の過程又は症状に対して所望の効果を生ずるのに十分量で含まれる。
【0075】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、タブレット、トローチ、薬用キャンデー、水性懸濁液又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳化剤及び米国特許出願番号第20020012680号に記載されるような自己乳化剤、ハード又はソフトカプセル、シロップ、エリキシル剤、溶液、口腔パッチ、経口ゲル、チューイングガム、チュアブルタブレット、沸騰散、及び発泡タブレットのように、経口使用に好適な形状となり得る。
【0076】
経口使用を意図された組成物は、医薬組成物の製造に関する分野において知られたいずれかの方法に従って製造され得、そしてかかる組成物は、医薬として的確でありかつ口当たりが良い製剤を提供するために甘味剤、香料添加剤、着色剤、抗酸化物質、及び保存料からなる群より選択される1又は複数の剤を含み得る。タブレットは、タブレット製造のために好適である非毒性で医薬として許容される賦形剤との混合において活性成分を含む。
【0077】
これらの賦形剤は、セルロ−ス、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムの如き不活性希釈剤;コーンスターチ又はアルギン酸の如き造粒剤及び崩壊剤;PVP、セルロース、PEG、スターチ、ゼラチン又はアラビアゴムの如き結合剤、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又は滑石の如き平滑剤となり得る。
【0078】
タブレットは、コートされ得ず又は知られた技術により、経腸的に又はそれとは別に、コートされ得、崩壊及び胃腸管での吸収を遅らせ、その結果、長時間に渡る持続活性を提供する。例えば、グリセリルモノステアラート又はグリセリルジステアラートの如き時間遅延材が使用され得る。それらは、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号、及び同第4,265,874号に記載の方法によってもコートされ得、対照放出としての浸透性治療タブレットを形成する。
【0079】
経口使用のための製剤は、ハードゼラチンカプセルとしても存在し得る、ここで、活性成分は炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンの如き不活性固形希釈剤と混合され、あるいはソフトゼラチンカプセルとしても存在し得る、ここで活性成分はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブオイルの如き水または油性媒体と混合される。さらに、乳剤は、油の如き非水混和性成分と共に製造され得、モノ−ジグリセリド、PEGエステルなどの如き界面活性剤と共に安定化される。
【0080】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造のために好適な賦形剤との混合状態で活性成分を含む。かかる賦形剤は懸濁化剤であって、例えばカルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、レシチンの如き天然由来のリン脂質、又はポリオキシエチレン・ステアラートの如きアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、又はヘプタデカエチレンオキシセタノールの如きエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、エチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステル及びポリオキシエチレン・ソルビトール・モノオレアートの如きヘキシトールとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステル及びポリエチレンソルビタンモノオレアート如きヘキシトール無水物との縮合精製物となり得る。当該水性懸濁液は、エチル又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエートの如き1又は複数の保存料、1又は複数の着色剤、1又は複数の香料添加剤、及びスクロース又はサッカリンの如き1又は複数の甘味剤も含み得る。
【0081】
油性懸濁液は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油の如き野菜油、あるいは流動パラフィンの如き鉱油に懸濁することにより形成され得る。当該油性懸濁液は、蜜ろう、固形パラフィン、セチルアルコールの如き増粘剤を含み得る。上記のような甘味剤、及び香料添加料を添加し、口当たりのいい経口製剤を提供する。これらの組成物は、アスコルビン酸の如き抗酸化剤の添加により保存され得る。
【0082】
水の添加による水性懸濁液の製造に好適な分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1又は複数の保存料との混合状態において活性成分を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、既に上述の通り示される。甘味剤、香料添加剤、及び着色剤の如きさらなる賦形剤もまた存在し得る。
【0083】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態においても存在し得る。油相は、オリーブ油又はラッカセイ油の如き植物油、あるいは流動パラフィンの如き鉱油、あるいはこれらの混合物となり得る。好適な乳化剤は、アラビアゴム又はトラガカントゴムの如き天然由来のゴム、大豆、レシチン、及び脂肪酸由来のエステル又は部分エステルの如き天然由来のリン脂質、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートの如き上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物となり得る。当該乳化剤は、甘味剤及び香料添加剤も含み得る。
【0084】
シロップ、及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースの如き甘味剤と共に配合され得る。かかる製剤は、鎮痛薬、防腐剤、並びに香料添加剤及び着色剤も含み得る。経口液剤は、例えばシクロデキストリン、PEG、及び界面活性剤との混合において製造され得る。
【0085】
医薬組成物は、滅菌注入可能水性又は油性懸濁液の形態となり得る。この懸濁液は、上述の好適な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁剤を使用して当業者に知られた方法に従い配合され得る。滅菌注入可能製剤は、非経口許容希釈剤又は溶剤における非毒性滅菌注入可能溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液ともなり得る。許容される担体及び溶媒において、使用され得るものは、水、Ringer溶液、及び生理食塩液である。さらに、滅菌、固定油は、溶媒又は懸濁化剤として慣習的に使用される。この目的のために、いずれかの無菌性の固定油が、合成モノ−又はジグリセリドを含んで使用され得る。さらに、オレイン酸の如き脂肪酸は、注入物質の製造において使用される。
【0086】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための坐薬の形態でも投与され得る。これらの組成物は、薬剤と、常温で固体であるが直腸温度で液体となり、その結果直腸で溶解し薬物を放出する好適な刺激性の少ない賦形剤を混合することにより製造され得る。かかる材料は、ココアバター、及びポリエチレングリコールを含む。さらに、化合物は、溶液又は軟膏手段により眼球デリバリー経由で投与され得る。さらに、題目の化合物の経皮デリバリーは、イオン導入パッチなどによって達成され得る。局所的使用について、本発明の化合物を含む軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが使用される。本明細書中に使用される、局所的適用は、洗口剤、及びうがい薬の使用も含むとも意図される。
【0087】
使用方法
特に理論に束縛されることなく、本発明の組成物は、CCXCKR2受容体へのSDF−1、及び/又はI−TACの結合を阻害することにより治療的有効性を提供すると考えられる。それ故、本発明の化合物、及び組成物は、CCKCR2受容体へのSDF−1、及び/又はI−TACの結合を阻害することが治療的有効性を提供するだろう哺乳類における疾患や障害の治療又は予防に使用され得る。本発明の化合物又は組成物により治療され得る疾患、及び障害は、癌、炎症、HIV感性、前駆/幹細胞疾患などを含む。特に、SDF−1は、ヒトの如き哺乳類における癌細胞の発生又は転移を妨げるための標的を提供する。CCXCKR2受容体へのI−TACの結合の阻害は、血管新生腫瘍の形成を妨害する。上記組成物を、CCXCKR2受容体を発現する癌細胞に接触させることにより、さもなければ当該癌細胞において誘発されるだろう反応は低減され得る。従って、本発明は、癌、特に固形腫瘍癌、より特に乳癌を含む様々な疾患の予防、及び/又は治療において有効である方法にも関する。
【0088】
放射性標識されたSDF−1結合、及びI−TAC置換により測定されるとおり、CCXCKR2は、ヒト形質転換細胞において選択的に発現された。表Aに含まれるものは、CCXCKR2を発現する組織型(CCXCKR2)、並びにCCXCKR2を発現しない組織型(CCXCKR2)である。
【0089】
【表1】

【0090】
ある態様において、CCXCKR2受容体へのケモカインである、SDF−1、及び/又はI−TACの結合を阻害する好ましい方法は、CCXCKR2受容体へのこれらのケモカインの結合を阻害するのに十分な時間、1又は複数の前述の化合物を、CCXCKR2受容体を発現する細胞と接触させることを含む。
【0091】
癌を治療する方法
特に、本発明は、癌を治療する方法も提供する。癌を治療する好ましい方法は、癌を治療するのに十分な時間、癌患者に1又は複数の前述の化合物(又はそれらの塩)の治療有効量を投与することを含む。
【0092】
治療のために、本発明の組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内導入又は注入、皮下注射又は移植)により、吸入噴霧、あるいは鼻、膣内、直腸、舌下又は局所的投与経路により投与され、各投与経路に適した慣習的な非毒性の医薬として許容される担体、アジュバント、及び媒体を含む好適な単位用量製剤において、唯一又は一緒に配合され得る。
【0093】
ヒトの如き霊長類に加えて、様々な他の哺乳類は、本発明の方法により処置され得る。例えば、雌牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ、ヒツジ様動物(ovine)、ウマ科の動物(equine)、イヌ科の動物(canine)、ネコ科の動物(feline)、げっ歯動物(rodent)又はネズミ種を非制限的に含む哺乳類が、処置され得る。しかしながら、当該方法は、鳥類(例えば、ニワトリ)の如き他の種においても実施され得る。
【0094】
本発明の組成物が癌を治療するために有用であることを示す標準的生体内アッセイは、Bertolini,F.他,Endostatin,an antiangiogenic drug,induces tumor stabilization after chemotherapy or anti−CD20 therapy in a NOD/SCID mouse Model of Human high−grade non−Hodgkin lymphoma.Blood,NO.1,Vol.96,pp.282−87(2000年7月1日);Pengnian,L.,Antiangiogenic gene therapy targeting the endothelium−specific Receptor tyrosine kinase Tie2.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.95,pp.8829−34(1998年7月);及びPulaski,B.Cooperativity of Staphylococcal aureus Enterotoxin B Superantigen,Major Histocompatibility Complex Class II,and CD80 for Immunotherapy of Advanced Spontaneous Metastases in a Clinically Relevant Postoperative Mouse Breast Cancer Model.Cancer Research,Vol.60,pp.2710−15(2000年5月15日)に記載のものを含む。
【0095】
ケモカイン受容体調整を必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与量レベルは、通常、単回投与又は複数回投与で投与され得る1日あたり、患者の体重kgあたり約0.001〜100mgとなるだろう。好ましくは、当該投与量レベルは、1日あたり約0.01〜約25mg/kg;より好ましくは、1日あたり約0.05〜約10mg/kgである。好適な投与量レベルは、1日あたり約0.01〜25mg/kg、1日あたり約0.05〜10mg/kg、又は1日あたり約0.1〜5mg/kgとなり得る。この範囲内において、当該用量は、1日あたり0.005〜0.05、0.05〜0.5又は0.5〜5.0mg/kgとなり得る。経口投与について、前記組成物は、治療される患者に対する徴候調整のための活性成分の1.0〜1000ミリグラム、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムを含むタブレット形状で好ましくは投与される。前記化合物は、1日あたり1〜4回の投与計画、好ましくは1日あたり1回又は2回で投与され得る。
【0096】
しかしながら、いずれかの特定の患者のための特定の投与量レベル及び頻度は、様々となり得、使用される特定の化合物の活性、当該化合物の活性の代謝的安定性及び長さ、患者の年齢、体重、遺伝的特徴、総体的な健康、性別、及び食事、並びに投与の形態及び時間、排せつ速度、混合薬、及び治療を受ける被験者の特定の症状の重篤度を含む様々な因子に依存するだろう。
【0097】
本発明の化合物及び組成物は、癌、及びCCXCKR2シグナル伝達に関連する疾患又は症状を予防及び治療するための関連有効性を有する他の化合物及び組成物と混合され得る。かかる他の薬剤は、それらに共通して使用される経路及び量により、本発明の化合物又は組成物と共に、同時に又は連続的に投与され得る。本発明の化合物又は組成物が1又は複数の他の薬物と同時に使用されるとき、本発明の化合物又は組成物に加えてかかる他の薬物を含む医薬組成物が好まれる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物又は組成物に加えて、1又は複数の他の活性成分又は他の治療薬をも含むものを含む。
【0098】
別々に投与されるか同じ医薬組成物内で投与されるかのいずれかで投与される、本発明の化合物又は組成物と混合され得る他の治療薬の例は、シスプラチン、パクリタキセル、メトトレキサート、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、チオテパ、ロムスチン、セムスチン、5−フルオロウラシル、及びシタラビンを非制限的に含む。第2活性成分に対する本発明の化合物の重量比は、様々であり得、各成分の有効量に依存するだろう。一般的に、各々の有効量が使用されるだろう。それ故、例えば、本発明の化合物が第2抗癌剤と混合されるとき、本発明の化合物対当該第2剤の比は、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜1:200の範囲となるだろう。本発明の化合物、及び他の活性成分の混合は、通常、上述の範囲内となるだろう、しかし各々の場合、各活性成分の有効量が使用されるべきである。
【0099】
炎症を治療する方法
さらに、本発明の化合物及び組成物は、炎症の治療に有用であり、本発明の化合物での癌又は炎症の治療の前、後又は同時のいずれかでの処置を必要とし得る、治療有効性を有する他の化合物及び組成物と混合され得る。従って、混合方法及び組成物は、着目の症状又は疾患を予防及び治療するための本発明の要素でもある、ここでかかる着目の症状又は疾患は、例えば、炎症性大腸炎、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、多関節関節炎、多発性硬化症、アレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、及び喘息を含む、炎症性又は自己免疫性の障害、症状、及び疾患、並びに上述のそれらの病状である。
【0100】
例えば、炎症又は自己免疫(autimmunity)、あるいは例えば骨粗しょうに関する関節炎の治療又は予防において、本発明の化合物及び組成物は、オピエイトアゴニスト、5−リポキシゲナーゼの阻害剤の如きリポキシゲナーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の如きシクロオキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン−1阻害剤の如きインターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、一酸化窒素の阻害剤又は一酸化窒素の合成の阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、又はサイトカイン抑制抗炎症薬の如き抗炎症薬又は鎮痛薬と併用して、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカムの如き化合物、ステロイド性鎮痛剤、スフェンタニル、スンリンダク(sunlindac)、テニダップなどと併用して使用され得る。同様に、即時化合物、及び組成物が、上記鎮痛剤;カフェイン、H2アンタゴニスト(例えば、ラニチジン)、シメチコン、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムの如き増強剤;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、偽エフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン(ephinephrine)、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルへキセドリン又はlevo−デソキシエフェドリンの如き充血除去剤;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデキストロメトルファンの如き鎮咳薬;利尿薬;及び鎮静性又は非鎮静性抗ヒスタミン剤と併用して投与され得る。
【0101】
言及したように、本発明の化合物、及び組成物は、本発明の化合物及び組成物が有用な疾患又は症状の治療、予防、抑制又は改善において使用される他の薬物と共に、使用され得る。かかる他の薬物は、本発明の化合物又は組成物と共に、同時に又は連続的に、それらが一般的に使用される経路及び量により投与され得る。本発明の化合物又は組成物が、1又は複数の他の薬物と共に同時に使用されるとき、本発明の化合物又は組成物に加えてかかる他の薬物を含む医薬組成物が好まれる。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物又は組成物に加えて、1又は複数の他の活性成分又は治療薬も含むものを含む。
【0102】
別々に、あるいは同じ医薬組成物中のいずれかで投与される、本発明の化合物又は組成物と組み合わせられ得る他の治療薬の例は、非制限的に、(a)VLA−4アンタゴニスト、(b)ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、サルメテロール、サルメテロール、サルブタモール、ホルメテロールの如きコルチコステロイド;(c)シクロスポリン{シクロスポリンA、Sandimmune(登録商標)、Neoral(登録商標}、タクロリムス{FK−506、Prograf(登録商標)}、ラパマイシン{シロリムス、Rapamune(登録商標)}、及び他のFK−506型免疫抑制剤、並びにミコフェノール酸モフェチル{CellCept(登録商標)}の如きミコフェノラートの如き免疫抑制剤;(d)ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン(dexchloipheniramine)、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミンピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジンなどの如き抗ヒスタミン剤(H1−ヒスタミンアンタゴニスト);
【0103】
(e)非ステロイド系抗喘息薬(例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール、及びピルブテロール)、テオフィリン、クロモグリク酸ナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエン・アンタゴニスト{例えば、ザフムルカスト(zafmlukast)、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、及びSKB−106、203}、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジレウトン、BAY−1005);(f)プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプラフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロドラッグフェン酸、及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパック、オキシピナク、スリンダク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラク)、フェナミン酸誘導体(例えば、フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、ニフルム酸、トルフェナミン酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(例えば、ジフルニサル、及びフルフェニサル)、オキシカム(例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、及びテノキシカム)、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、及びスルファサラジン)、及びピラゾロン(例えば、アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、及びフェニルブタゾン)の如き非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);
【0104】
(g)セレコキシブ{Celebrex(登録商標)}、及びロフェコキシブ{Vioxx(登録商標)}の如きシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;(h)ホスホジエステラーゼIV型(PDE IV)の阻害剤;(i)オーラノフィン、及びアウロチオグルコースの如き金化合物;(j)エタネルセプト{Enbrel(登録商標)};(k)オルトクローン(OKT3)、ダクリズマブ{Zenapax(登録商標)}、バシリキシマブ{Simulect(登録商標)}、及びインフリキシマブ{Remicade(登録商標)}の如き抗体療法;(l)ケモカイン受容体、特にCCR5、CXCR2、CXCR3、CCR2、CCR3、CCR4、CCR7、CX3CR1、及びCXCR6の他のアンタゴニスト;ペトロラタム、及びラノリンの如き滑剤又は皮膚軟化剤;(n)角質溶解剤(例えば、タザロテン);(O)ビタミンD誘導体{例えば、カルシポトリエン又はカルシポトリオール(Dovonex)(登録商標);(p)PUVA;(q)アントラリン{Drithrocreme(登録商標)};
【0105】
(r)エトレチナート{Tegison(登録商標)}及びイソトレチノイン;(s)インターフェロンβ−1β{Betaseron(登録商標)}、インターフェロンβ−1α{Avonex(登録商標)}、アザチオプリン{Imurek(登録商標)、Imuran(登録商標)}、ガラティラメル・アセテート{Capoxone(登録商標)}、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン)、及びシクロホスファミドの如き多発性硬化症治療薬;(t)メトトレキサートの如きDMARDS;(u)5−アミノサリチル酸、及びそれらのプロドラッグ;ヒドロキシクロロキン;D−ペニシラミン;アザチオプリン、6−メルカプトプリン、及びメトトレキサートの如き代謝拮抗物質;ヒドロキシウレアの如きDNA合成阻害剤;並びにコルヒチンの如き微小管撹乱物質の如き他の化合物を含む。
【0106】
本発明の化合物対第2活性成分の重量比は、変化され得、各成分の有効量に依存するだろう。一般的に、各有効量が使用されるだろう。それ故、例えば、本発明の化合物がNSAIDと組み合わされるとき、本発明の化合物対NSAIDの重量比は、通常、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200の範囲である。本発明の化合物、及び他の活性成分の組み合わせも、通常、上述の範囲内となるだろう、しかし、いずれの場合にも、各活性成分の有効量が使用されるべきである。
【0107】
HIV感染症を治療する方法
さらに、本発明の化合物は、HIV感染症の(予防的、治癒的又は緩和的)治療のために有用であり、HIV感染症の治療の前、後又は同時のいずれかにおける本発明の化合物による処置を必要とし得る、治療的有用性を有する他の化合物及び組成物と組み合わされ得る。
【0108】
ある態様において、HIV感染症の治療において、好適な投与量レベルは、通常、単回投与又は複数回投与で投与され得る一日あたり、患者の体重あたり約0.001〜100mgだろう。しかしながら、特定の患者への特定の投与量レベル及び投与頻度は変化され得、使用される特定の化合物の活性、当該化合物の代謝的安定性及び作用の長さ、年齢、体重、総体的な健康、性別、食事、投与の型及び時間、排せつ率、薬物の組み合わせ、特定の症状の重篤度、及び治療を受ける宿主を含む様々な因子に依存するだろうことが理解されるだろう。
【0109】
本発明の範囲内に含まれるものは、1又は複数の追加の治療薬と本発明の化合物の同時投与、及び1又は複数の追加の治療薬と共に本発明の化合物を含む組成物の同時投与を含む態様である。かかる併用治療は、HIV、及びいずれかの単剤療法に耐性を示す株に素早く発達し得る関連レトロウイルス感染症の予防、及び/又は治療のために特に有用である。あるいは、さらなる治療薬が、本発明の化合物で治療される疾患に起因する又はそれ伴って起きる疾患、及び症状を治療するために望まれ得る。例えば、HIV又は関連レトロウイルスの感染の治療において、日和見感染、新生物、及び治療される患者の免疫不全状態の結果として生ずる他の症状をさらに治療することが望まれ得る。
【0110】
本発明の好ましい組み合わせは、本発明の化合物、及び1又は複数の:(a)アバカビル、アデフォビル、ディダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン、及びジドブジンの如き逆転写酵素阻害剤;(b)カパビリン(capavirine)、デラビルジン、エファビレンツ、及びネビラピンの如き非ヌクレオシド逆転写活性阻害剤;(c)インヂニビル(indinivir)、ネルフィナビル、リトナビル、及びサクイナビルの如きHIVプロテアーゼ阻害剤;(d)TAK−779又はUK−427、857の如きCCR5アンタゴニスト;(e)AMD−3100の如きCXCR4アンタゴニスト;(f)L−870、810又はS−1360の如きインテグラーゼ阻害剤;(g)T−20の如きウイルス融合阻害剤;(h)トリジビル、KNI−272、アンプレナビル、GW−33908、FTC、PMPA、MKC−442、MSC−204、MSH−372、DMP450、PNU−140690、ABT−378、KNI−764、DPC−083、TMC−120又はTMC−125の如き試験研究中の薬;(i)フルコナゾール、イトラコナゾール又はボリコナゾールの如き抗真菌薬;あるいは(j)アジスロマイシンの如き抗菌剤による同時又は連続治療を含む。
【0111】
前駆/幹細胞動員障害を治療する方法
さらに、本発明の化合物、及び組成物は、国際特許公開第WO05/000333号に記載されるような手順、及びプロトコールを使用して、前駆/幹細胞分化、及び動員障害の治療に有用となり得、その全内容を本明細書中に引用により援用する。改善され得又は反対に利益になり得る典型的症状は、再生不良貧血、白血病、薬物誘導性貧血、及び化学療法又は放射線療法による造血欠損の如き造血障害を含む。さらに、本発明の化合物、及び組成物は、免疫抑制治療の間及び後の移植の成功を促進するのに、並びにより有用な創傷治癒、及び細菌感染の治療をもたらすのに使用され得る。
【0112】
前駆又は幹細胞動員障害の治療又は予防において、好適な投与量レベルは、通常、単回又は複数回投与において投与され得る1日あたり、患者の体重1kgあたり、約0.001〜100mgとなるだろう。当該化合物は、静脈内投与又は経皮投与として、単回投与、時間をかけた投与、あるいは複数回投与で、投与され得る。本発明の化合物は、生体外処置プロトコールにおいても使用され得、次いで被験者の血球を補充するために使用される細胞培養物を提供する。生体外処置は、末梢血又は骨髄から、あるいは適合ドナー由来の同種移植片から収穫された自己癌細胞で実施され得る。
【0113】
本発明の化合物は、本発明の化合物による前駆/幹細胞障害治療の前、後又は同時のいずれかで治療を必要とし得る治療有用性を有する他の化合物、及び組成物と組み合わされ得る。従って、組み合わせ方法、及び組成物は、着目の症状又は疾患を予防及び治療するための本発明の成分でもある。
【実施例】
【0114】
実施例1
本実施例は、N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−N−[(2S,3aS,7aS)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−ベンズアミド(5)の製造を示す。
【0115】
ステップ1:(2S,3aS,7aS)−2−ヒドロキシメチル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化7】

【0116】
501mg(1.86mmol)の(2S,3aS,7aS)−オクタヒドロ−インドール−1,2−ジカルボン酸1−tertブチルエステルを、10mLのメタノール中に溶解し、0℃まで冷却し、溶液の色が恒久的に黄色になるまで、トリメチルシリル・ジアゾメタンの2Mのエ−テル(etherous)溶液を滴下で添加した。余分なトリメチルシリル・ジアゾメタンを酢酸の滴下で急冷し、かかる溶液を蒸発させた。残留物を15mLのTHF中に溶解し、81mg(3.72mmol)の水素化ホウ素リチウムを室温で添加し、その後、水3滴を添加した。1時間後、さらにいくらかの水素化ホウ素リチウムを添加し、そしてかかる反応を次の1時間内で完了させる。それを含水重炭酸ナトリウムで注意深く冷却し、そしてEtOで3回抽出した。混合された有機層を、無水MgSOで乾燥し、そして真空で蒸発させた。ヘキサン中の40〜50%酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより、無色油の432mg産物を得た。
【化8】

【0117】
ステップ2:(2S,3aS,7aS)−2−ホルミル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化9】

【0118】
5mLのDCM中の(2S,3aS,7aS)−2−ヒドロキシメチル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの102mg(0.40mmol)の溶液に、2mLの0.2MのDess−Martinペリオジナン/DCMを室温で添加した。かかる反応を室温で1時間撹拌し、次いで、20mLのDCMで希釈し、そして含水重炭酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムの添加により急冷し、そして30分間激しく撹拌した。有機層を、無水MgSOで乾燥し、そして真空で蒸発させ、淡黄色油を得た。粗残留物を、次のステップにおいて精製なしで使用した。
【化10】

【0119】
ステップ3:(2S,3aS,7aS)−2−{[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチルアリルアミノ]−メチル}−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化11】

【0120】
4mLのDCM中の(2S,3aS,7aS)−2−ホルミル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの101mg(0.4mmol)の溶液に、73mg(0.4mmol)の(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミン、及び1gの活性化された分子ふるいを添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。127mg(0.06mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドを添加し、混合物を3時間撹拌し、次いで、20mLのDCMで希釈し、15mLの含水重炭酸ナトリウムで急冷した。水層をDCMでいったん抽出し、混合された有機層を無水MgSO4で乾燥し、真空で蒸発させ、そして50分間、逆相HPLC(グラジエント25〜80%アセトニトリルを有する移動相)を使用して精製した。精製産物を含む画分を蒸発させ、残留物をDCM中に溶解し、そして含水重炭酸ナトリウムで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空で蒸発させ、遊離塩基淡黄色油として、106mgの生成物を得た。
【化12】

【0121】
ステップ4:N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−N−[(2S,3aS,7aS)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−ベンズアミド
【化13】

【0122】
1mLのDCM中、44mg(0.10mmol)の(2S,3aS,7aS)−2−{[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミノ]−メチル}−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの溶液に、16μLのトリエチルアミン(0.12mmol)、及び22mg(0.11mmol)の3,4−ジメトキシベンゾイル・クロライドを室温で添加した。室温で1時間撹拌後、1mLのトリフルオロ酢酸を添加した。2時間後、かかる溶液を真空で蒸発させ、40分間、逆相HPLC(グラジエント20〜80%アセトニトリルの移動相)を使用して精製した。精製産物を含む画分を蒸発させ、残留物をDCM中に溶解し、そして含水NaHCOで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、真空で蒸発させ、遊離塩基淡黄色粘性油として、46mgの生成物を得た。
【化14】

【0123】
実施例2
4−ジフルオロメトキシ−N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−N−[(2S,3aS,7aS)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−ベンズアミド、(3)
【化15】

【0124】
実施例1(ステップ4)の記載と類似した実験条件を、29mg(0.10mmol)の(2S,3aS,7aS)−2−{[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミノ]−メチル}−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、1mLのDCM、11μLのトリエチルアミン(0.12mmol)、18mg(0.11mmol)の4−ジフルオロメトキシ−3−メトキシ−ベンゾイル・クロライドで使用した。1時間後、0.5mLのトリフルオロ酢酸の添加により、脱保護を同じステップで実施した。産生物を塩酸塩に転換した。26mgの淡黄色粘性油を得た。
【化16】

【0125】
実施例3
7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−[(2S,3aS,7aS)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−アミド、(4)
【化17】

【0126】
33mg(0.078mmol)の(2S,3aS,7aS)−2−{[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミノ]−メチル}−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、19mg(0.086mmol)の7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸、及び35mg(0.12mmol)の4−(4,6−ジメトキシ[1,3,5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム・クロライド水和物を、1mLのDCMと1mLのアセトニトリルの混合物中に溶解し、一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残留物を20%酢酸エチル/ヘキサンを使用してシリカ上で精製した。中間体生成物を含む画分を蒸発させ、そして5mLのDCMと0.5mLのトリフルオロ酢酸の混合物中に溶解させた。1時間後、室温で、かかる酸を含水重炭酸ナトリウムで中和し、有機相を蒸発させ、そして50分間、逆相HPLC(グラジエント20〜80%アセトニトリルの移動相)を使用して精製した。かかる生成物を含む画分を蒸発させ、DCM中に溶解させ、含水重炭酸ナトリウムで遊離塩基化した。有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、真空で蒸発させ、20mgの淡黄色粘性油の如き産生物を得た。
【化18】

【0127】
実施例4
この実施例は、7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(2−メチル−3−フェニル−アリル)−[(2S,6S,7S)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−アミド(1)の製造を例証する。
【0128】
ステップ1:(2S,6S,7S)−2−[(2−メチル−3−フェニル−アリルアミノ)−メチル]−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化19】

【0129】
実施例1ステップ3に記載された実験条件と類似の条件を、193mg(0.76mmol)の(2S,3aS,7aS)−2−ホルミル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、123mg(0.84mmol)の(E)−2−メチル−3−フェニル−アリルアミン、5mLのDCM、及び242mg(1.1mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドで使用した。生成物を、50分間、逆相HPLC(グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相)を使用して精製した。かかる生成物を含む画分を1.5mLの1MのHCl水溶液で蒸発させ、305mgの黄色油の如き塩酸塩を得た。
【化20】

【0130】
ステップ2:7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(2−メチル−3−フェニル−アリル)−[(2S,6S,7S)−1−(オクタヒドロ−インドル−2−イル)メチル]−アミド
【化21】

【0131】
77mg(0.18mmol)の(2S,6S,7S)−2−[(2−メチル−3−フェニル−アリルアミノ)−メチル]−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル・ヒドロクライド、41mg(0.20mmol)の7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボニルクロライド、及び64μL(0.45mmol)のトリエチルアミンを、3mLのDCMの混合物中に溶解し、1時間撹拌し、その後、0.3mLのトリフルオロ酢酸を添加した。1.5時間後、室温で、かかる酸を含水重炭酸ナトリウムで中和し、有機相を蒸発させ、そして50分間、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して精製した。かかる生成物を含む画分を蒸発させ、DCM中に溶解させ、含水重炭酸ナトリウムで遊離塩基化した。有機溶液を無水MgSOで乾燥させ、真空で蒸発させ、62mgの淡黄色油の如き産生物を得た。
【化22】

【0132】
実施例5
この実施例は、7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(2−メチル−3−フェニル−アリル)−[(2S,5S,6S)−1−(オクタヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−2−イル)メチル]−アミド,(2)の製造を例証する。
【0133】
ステップ1:(2S,5S,6S)−2−ヒドロキシメチル−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化23】

【0134】
1.09g(3.87mmol)の(2S,5S,6S)−オクタヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−2−カルボン酸ベンジルエステル・ヒドロクロライドを、20mLのDCMに溶解し、そして80mLの含水重炭酸塩を、930mg(4.26mmol)のBoc無水物と一緒に添加した。かかる溶液を室温で24時間撹拌し、次いで、層を分離させ、DCMで水層を洗浄した。混合された有機層を無水MgSOで乾燥させ、そして真空で蒸発させた。残留物を、20mLのTHF中に溶解させ、176mg(8.13mmol)の水素化ホウ素リチウムを室温で添加し、その30分後、水を添加した。1時間後、さらにいくらかの水素化ホウ素リチウムを添加し、次の1時間内に反応を完了した。重炭酸ナトリウムで注意深く急冷し、EtOで3回抽出した。混合された有機層を無水MgSOで乾燥させ、真空で蒸発させた。残留物を数日間、高真空状態に保ち、ベンジルアルコールを除去した。生成物を冷DCM/ヘキサンから結晶化し、380mgの精製純粋結晶白色化合物を得た。
【化24】

【0135】
ステップ2:(2S,5S,6S)−2−ホルミル−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化25】

【0136】
実施例1ステップ2に記載された実験条件と類似の条件を、190mg(0.79mmol)の(2S,5S,6S)−2−ヒドロキシメチル−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、2mLのDCM、及び3.9mLの0.2M Dess−Martinペリオジナン/DCMで使用した。得られた100%の粗生成物を、精製なしで次のステップに使用した。
【化26】

【0137】
ステップ3:(2S,5S,6S)−2−[(2−メチル−3−フェニル−アリルアミノ)−メチル]−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化27】

【0138】
実施例1(ステップ3)に記載された実験条件と類似の条件を、188mg(0.78mmol)の(2S,5S,6S)−2−ホルミル−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tertブチルエステル、126mg(0.86mmol)の(E)−2−メチル−3−フェニル−アリルアミン、5mLのDCM、及び248mg(1.17mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドで使用した。生成物を、50分間、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して精製した。かかる精製物を含む画分を1.5mL、1MのHCl水溶液で蒸発させ、320mgの淡黄色油の如き塩酸塩を得た。
【化28】

【0139】
ステップ4:7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(2−メチル−3−フェニル−アリル)−[(2S,5S,6S)−1−(オクタヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−2−イル)メチル]−アミド
【化29】

【0140】
実施例1(ステップ4)に記載された実験条件と類似する実験条件を、74mg(0.18mmol)の(2S,5S,6S)−2−[(2−メチル−3−フェニル−アリルアミノ)−メチル]−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[b]ピロル−1−カルボン酸tert−ブチルエステル・ヒドロクロライド、3mLのDCM、49mg(0.20mmol)の7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−塩化カルボニル、63μL(0.45mmol)のトリエチルアミン、及び0.3mLのTFAで使用した。収量:41mgの遊離塩基、白色固体。
【化30】

【0141】
実施例6
N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−N−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾル−2−イルメチル)−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド・ヒドロクロライド、(19)
【化31】

【0142】
2−クロロメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール・ヒドロクロライドの53mg(0.34mmol)を、(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミン(0.34mmol)と共に、1mLのエタノール中で、3日間、70℃まで加熱した。溶媒を蒸発させ、そして残留物を3mLのDCM中に溶解/懸濁し、その後、61mg(0.31mmol)の3,4−ジメトキシベンゾイル・クロライド、及び91μL(0.65mmol)のトリエチルアミンを添加した。1時間後、溶媒を蒸発させ、そして生成物を、50分間、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルを伴った移動相を使用して、精製した。純生成物を含む画分を、1mLの1M HCl水溶液と共に蒸発させ、淡黄色固体としての42mgの塩酸塩を産生した。
【化32】

【0143】
実施例7
この実施例は、4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−N−(1−メチル−1H−イミダゾル−2−イルメチル)−ベンズアミド(18)の製造を例証する。
【0144】
ステップ1:[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−(1−メチル−1H−イミダゾル−2−イルメチル)−アミン
【化33】

【0145】
実施例1(ステップ3)に記載された実験条件と類似する実験条件を、60.6mg(0.55mmol)の1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルバルデヒド、100mgの(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリルアミン(0.55mmol)、5mLのDCM、及び233mgのソジウム・トリアセトキシボロハイドライド(1.1mmol)で使用した。実施後、粗生成物として73mgの化合物を得た。
【化34】

【0146】
ステップ2:4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−N−(1−メチル−1H−イミダゾル−2−イルメチル)−ベンズアミド
【化35】

【0147】
実施例1(ステップ4)に記載された実験条件と類似する実験条件を、73mg(0.26mmol)の[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−(1−メチル−1H−イミダゾル−2−イルメチル)−アミン、3mLのDCM、61.5mg(0.26mmol)の4−ジフルオロメトキシ−3−メトキシ−ベンゾイルクロライド、72μLのトリエチルアミン(0.52mmol)で使用した。化合物を、逆相HPLC、グラジエント20〜80%アセトニトリルを伴った移動相を用いて、精製した。精製されたTFA塩を、遊離塩基に転換し、28mgの化合物を得た:収率18%。
【化36】

【0148】
実施例8
この実施例は、N−[1−(1−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2イルメチル]−4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−ベンズアミド、(16)の製造を例証する。
【化37】

【0149】
ステップ1:(1−[2−({(4−ジフルオロメトキシ−3−メトキシ−ベンゾイル)−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−アミノ}−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−シクロペンチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0150】
233mg(0.5mmol)の4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−N−ピロリジン−2イルメチル−ベンズアミド(Melikian&al国際特許公開第WO2004058705号)、及び107mg(0.5mmol)の(1−ホルミル−シクロペンチル)−カルバミン酸tet−ブチルエステルを、5mlのメタノール中に溶解した。その混合物を、45℃で1時間、加熱し、この溶液に、63mg(1.0mmol)のソジウム・シアノボロハイドライドを添加し、45℃で1時間、継続した。その反応をLC−MSにより完了し、この混合物に、327mg(1.5mmol)の(1−ホルミル−シクロペンチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、及び189mg(3mmol)のソジウム・シアノボロハイドライドを添加し、その混合物をさらに2時間、45℃で維持した。この反応を95%完了し、メタノールを真空下で蒸発させ、そしてその混合物を、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄された酢酸エチル内に入れた。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、そして真空下で濃縮した。クロロホルムメタノール5%でのシリカゲル溶出にかかる精製により、472mgの材料を得た。
【化38】

【0151】
ステップ2:N−[1−(1−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2イルメチル]−4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−ベンズアミド
【化39】

【0152】
粗{1−[2−({(4−ジフルオロメトキシ−3−メトキシ−ベンゾイル)−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−アミノ}−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−シクロペンチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの0.5mmolを、1.5mlのトリフルオロ酢酸、及び5mlのジクロロメタンの混合物中に溶解し、室温で一晩撹拌した。この混合物に、塩基性pHまで、炭酸ナトリウムの飽和溶液を添加した。この混合物をジクロロメタンで抽出し、混合された有機層を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、ろ過し、そして濃縮し、238mgの油を得た。144mgのこの材料を、逆相HPLC、0.1%のTFA20〜80%を伴う移動相アセトニトリルを使用して精製した。
【化40】

【0153】
実施例9
4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−N−[1−(1−ジメチルアミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−3−メトキシ−ベンズアミド、(15)
【化41】

【0154】
1.4mLのメタノール中に、室温で、78mg(0.14mmol)のN−[1−(1−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2イルメチル]−4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−ベンズアミド、及びパラ型アルデヒド25.2mg(0.84mmol)を溶解させた。かかる溶液を、すべてを均質にはせず、1時間、撹拌し、次いで、26mg(0.42mmol)のソジウム・シアノボロハイドライドを添加した。次いで、かかる反応混合物を、一晩撹拌した。次いで、かかる反応物を、移動相、20%〜80%アセトニトリルを有する逆相HPLCにより精製した。かかる化合物を濃縮し、40mgのHCl塩を産生させた。
【化42】

【0155】
実施例10
4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−ヒドロキシ−N−[1−(1−メタンスルホニルアミノ−シクロペンチルメチル)ピロリドン−2−イルメチル]−ベンズアミド、(17)
【化43】

【0156】
N−[1−(1−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2イルメチル]−4−ジフルオロメトキシ−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3−メトキシ−ベンズアミド 66mg(0.117mmol)を1.2mLのジクロロメタン中に溶解し、トリエチルアミン 65μL(0.468mmol)、及びメタンスルホン無水物{24mg(0.14mmol)}を添加し、その混合物を室温で撹拌した。LC−MSで通過させた反応混合物は、反応の完了を示した。アセトニトリル0.1%、トリフルオロ酢酸20〜80%のグラジエントを有する逆相HPLCを使用して精製された反応により、塩酸塩に転換された化合物27.4mgを得た。
【化44】

【0157】
実施例11
この実施例は、N−[1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド(13)の製造を例証する。
【0158】
ステップ1:[4−(2−{[[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−アミノ]−メチル}−ピロリドン−1−イルメチル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化45】

【0159】
実施例1(ステップ3)の実験条件と類似する実験条件を、100mg(0.214mmol)のN−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−N−ピロリジン−2−イルメチル−ベンズアミド・ヒドロクロライド(Melikian他,国際特許公開第WO2004058705号)、53mg(0.23mmol)の(4−ホルミル−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、及び91mg(0.428mmol)のソジウム・トリアセトキシ・ボロハイドライドで使用する。逆相HPLCアセトニトリル、0.1%TFA、グラジエント20〜80%の精製により、72mgの化合物を得た。
【化46】

【0160】
ステップ2:N−[(S)−1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−N−[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド
【化47】

【0161】
実施例8(ステップ2)と類似の実験条件、72mg(0.112mmol)の[4−(2−{[[3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−アミノ]−メチル}−ピロリジン−1−イルメチル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを、1mlのジクロロメタンに溶解し、そして200μLのTFAを添加した。化合物を、飽和重炭酸塩で中和し、ジクロロメタンで抽出し、遊離塩基として62mgの化合物を得た。
【化48】

【0162】
実施例12
N−[(S)−1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリドン−2−イルメチル]−N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド(10)
【化49】

【0163】
2mLのDCM中100mg(0.214mmol)のN−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−N−(S)−1−ピロリドン−2−イルメチル−ベンズアミド・ヒドロクロライドの溶液に、49mg(0.214mmol)の(4−ホルミル−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、及び91mg(0.428mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドを添加した。この混合物を、室温で一晩撹拌し、その後、1mLのTFAを添加し、その後、さらに1時間撹拌した。次いで、かかる混合物を、蒸発させ、そして逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を、1mLの水性1MのHClで蒸発させ、淡黄色油の如き、二塩酸塩のような105mgの生成物を得た。
【化50】

【0164】
実施例13
N−(S)−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−N−[(S)−1−(4−メタンスルホニルアミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリドン−2−イルメチル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド(9)
【化51】

【0165】
1mLのDCM中44mg(0.072mmol)のN−[(S)−1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド・ジヒドロクロライドに、9.2mg(0.080mmol)の塩化メタンスルホニル、及び16.2mg(0.16mmol)のトリエチルアミンを添加した。この混合物を室温で1時間撹拌し、蒸発させた。次いで、逆相HPLC、グラジエント20〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を、1mLの水性1MのHClで蒸発させ、塩酸塩の如き、淡黄色粘性油のような28mgの生成物を得た。
【化52】

【0166】
実施例14
7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸[(S)−1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリドン−2−イルメチル]−((E)−2−メチル−3−フェニル−アリル)−アミド(8)
【化53】

【0167】
1mLのDCM中33mg(0.076mmol)の7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸((E)−2−メチル−3−フェニル−アリル)−(S)−1−ピロリドン−2−イルメチル−アミドに、17mg(0.076mmol)の(4−ホルミル−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、及び24mg(0.113mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドを添加した。この混合物を、一晩、室温で撹拌し、その後、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製中間体を含む画分を蒸発させ、1mLのDCM、及び0.1mLのTFAの混合物中に溶解させ、室温で2時間撹拌し、その後、水性NaHCOで中和し、蒸発させた。次いで、この混合物を、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を蒸発させ、残留物をDCM中に溶解し、水性NaHCOで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させ、遊離塩基の如き、淡黄色粘性油のような17mgの生成物を得た。
【化54】

【0168】
実施例15
メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸[(S)−1−(4−イソプロピルアミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリドン−2−イルメチル]−((E)−2−メチル−3−フェニル−アリル)−アミド(6)
【化55】

【0169】
12mg(0.022mmol)の7−メトキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−カルボン酸[(S)−1−(4−アミノ−シクロヘキシルメチル)−ピロリドン−2−イルメチル]−((E)−2−メチル−3−フェニル−アリル)−アミドを、0.9mLのDCM、及び0.1mLのアセトンの混合物中に溶解させた。この溶液に、9.2mg(0.044mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドを添加し、この混合物を、一晩、室温で撹拌した。次いで、かかる混合物を、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を蒸発させ、残留物をDCM中に溶解し、水性重炭酸ナトリウムで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させ、遊離塩基の如き、淡黄色粘性油のような6.5mgの生成物を得た。
【化56】

【0170】
実施例16
N−[(S)−1−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド(7)
【化57】

【0171】
実施例14と類似の手順を、2mLのDCM中100mg(0.214mmol)のN−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−N−(S)−1−ピロリジン−2−イルメチル−ベンズアミド・ヒドロクロライド、91mg(0.428mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライド、及び49mg(0.214mmol)の((1R,3S)−3−ホルミル−シクロペンチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルと共に使用した。次いで、かかる混合物を蒸発させ、逆相HPLC、グラジエント25〜60%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を、2mLの水性1MのHClで蒸発させ、二塩酸塩の如き、淡黄色粘性油のような140mgの生成物を得た。
【化58】

【0172】
実施例17
N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−N−[(S)−1−((1S,3R)−3−イソプロピルアミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド
【化59】

【0173】
実施例15と類似の手順を、24mg(0.040mmol)のN−[(S)−1−((1S,3R)−3−アミノ−シクロペンチルメチル)−ピロリジン−2−イルメチル]−N−[(E)−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−2−メチル−アリル]−3,4−ジメトキシ−ベンズアミド・ジヒドロクロライド、1.8mLのDCM、0.2mLのアセトン、及び25mg(0.12mmol)のソジウム・トリアセトキシボロハイドライドと共に使用した。次いで、かかる混合物を蒸発させ、逆相HPLC、グラジエント15〜80%アセトニトリルの移動相を使用して、50分間、精製した。精製物質を含む画分を、1mLの水性1MのHClで蒸発させ、二塩酸塩の如き、淡黄色粘性油のような25mgの生成物を得た。
【化60】

【0174】
実施例18
上記化合物がCCXCKR2に結合するケモカインの有用なモジュレーターであることを例証するために、かかる化合物を多様な濃度で、CCXCKR2受容体からSDF−1を外す能力を測定するために生体外でスクリーニングした。当該化合物を、下記の「IC50値の測定」、「試薬、及び細胞」の章で詳細に示すように、125I標識ケモカインの存在下、CCXCKR2受容体を発現する乳腺細胞と結合させた。次いで、多様な濃度でのCCXCKR2受容体部位から標識されたケモカインを外すかかる化合物の能力を、スクリーニング過程で測定した。
【0175】
効果的なモジュレーターであるとみなされた化合物は、下記の表Bに示される例示的な化合物についての記号(+)により示されるように2.1マイクロモル(μM)又はそれ未満の濃度で、及びより好ましくは700ナノモル(nM)又はそれ未満の濃度で(++)、CCXCKR2受容体からSDF−1の少なくとも50%を外すことを可能とした。現在、特に好ましい化合物は、500ナノモル(nM)又はそれ未満の濃度で(+++)、CCXCKR2受容体からSDF−1の少なくとも50%を外すことが可能である。上記のように、これらの基準に合う例示的な化合物を、下記の表Bにおいて示した。全化合物を上記実施例において記載されるように、又は容易に入手可能な出発物質を代用する関連手法により作成した。
【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

【0178】
1.IC50値の測定
試薬、及び細胞
125I標識SDF−1を、Perkin−Elmer Life Sciences,Inc.(Boston,MA)から購入した。MCF−7(腺癌;乳腺)細胞系を、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手し、又は10%のウシ胎仔血清(FBS)(HyClone Logan,UT)、及びウシ(bovine)インシュリン(0.01mg/mL)(Sigma,St.Louis,MO))で補充されたDMEM(Mediatech,Herndon,VA)中、37度、5%のCO/空気混合物での加湿インキュベーター中で培養した。CCXCKR2トランスフェクトMDA−MB−435Sヒト乳癌株を、下記のように作成した。MDA−MB−435Sヒト乳癌株をATCCから購入し、DMEM/10%FBS培地中で培養した。CCXCKR2(a.k.a.CXCR7,hRDC1)をコードする遺伝子の完全コード配列を、μMACs mRNA単離キット(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用してMCF−7細胞から単離した。DNAコンタミネーションを、RNeasyカラム(Qiagen,Inc.,Valencia,CA)を介するDNase消化により除去し、そしてcDNAを、GeneAmp RNA PCR Coreキット(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して産生させた。cDNAサンプルのPCRを、Taq PCR Master Mixキット(Qiagen,Inc.)、並びに5’及び3’Not I部位を有するhRDC1プライマー(hRDC1F 5’GAATGCGGCCGCTATGGATCTGCATCTCTTCGACT−3’、hRDC1R 5’−GAATGCGGCCGCTCATTTGGTGCTCTGCTCCAAG−3’)を使用して実施し、NOT I消化されたPCR産物を、Not I消化されたpcDNA3.1(+)(Invitrogen,Carlsbad,CA)にライゲートさせ、オリエンテーションや完成配列をスクリーニングした。次いで、プラスミドDNAを、Maxiprep(Qiagen,Inc.)により、一晩の細菌培養物から単離した。プラスミドDNA(10μg)をMDA−MB−435細胞に添加し、細胞を、Gene Pulser(Biorad laboratories,Hercules,CA)によりエレクトロポレーション(0.22kV、960μF)した。エレクトロポレーションの48時間後、細胞を選択培地(1000μg/ml G418)に移した。
【0179】
結合分析
標的化合物を試験して、MCF−7、及び/又はMDA−MB−435S細胞におけるCCXCKR2部位との結合能力を測定した。Dairaghi DJ他,HHV8−encoded vMIP−I selectively engages chemokine receptor CCR5.Agonist and antagonist profiles of viral chemoldnes.,J.Biol.Chem.1999 Jul 30;274(31):21569−74、及びGosling J,他,Cutting edge:identification of a novel chemokine receptor that binds dendritic cell− and T cell−active chemokines including ELC,SLC,及びTECK.,J.Immunol.2000 Mar 15;164(6):2851−6に記載されたようなろ過プロトコールを使用し、効果を最大とする放射性リガンド結合を使用した。
【0180】
これらのアッセイにおいて、MCF−7、及び/又はMDA−MB−435S細胞を、標的化合物と共に調べ、これらの化合物の125I標識SDF−1を外す能力を、Dairaghi及びGoslingに記載のプロトコールを使用して評価した。標的化合物を、示された濃度までプレートに加え、次いで、以下の結合培地中(25mM HEPES、140mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、及び0.2%ウシ血清アルブミン、pH7.1に調整)、4℃で3時間、細胞と一緒にインキュベートし、その後、標識されたケモカイン(125ISDF−1)を添加した。次いで、全アッセイを、穏やかに撹拌しながら、4℃で3時間、インキュベートした。全結合アッセイについて、インキュベーション後、反応物を、細胞収穫器(Packard)を使用してPFI処理されたGF/Bガラスフィルター(Packard)上に吸引し、そして、2回洗浄した(25mM HEPES、500mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、pH7.1に調整)。シンチラント(Scintillant)(MicroScint 10,Packard)をウェルに添加し、そしてフィルターを、Packard Topcountシンチレーションカウンターにてカウントした。データを分析し、Prism{マッキントッシュ(登録商標)版GraphPad Prism バージョン3.0a,GraphPad Software,www.graphpad.com}を使用してプロットした。
【0181】
当業者は、上述の記載、図面、及び実施例から、請求項により定義される本発明の範囲、及びその同等のものを逸脱することなく、本発明の様々な態様を変化や改良することが可能であることを理解するだろう。
【0182】
配列表
【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

{式中、
下付文字mは、0〜3の整数であり;
下付文字nは、1〜3の整数であり;
下付文字pは、0〜3の整数であり;
式(III)の点線は、任意の二重結合の存在を示し;
Lは、C1−4アルキルC3−6シクロアルキル連結基であり;
は、水素、ハロゲン、C1−8アルコキシ、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキルC1−4アルキル、及びC3−6シクロアルキルC1−4アルコキシから選択されるメンバーであり;
、及びRは、C1−8アルキル、及びC1−8ハロアルキルから独立して選択される各メンバーであり、あるいは各々が5〜10員環に結合される酸素原子と場合により組み合わされ;
、及びRは、H、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、−CO、−CONR、−SO、及び−SONRからなる群より各々独立して選択され;
は、H、及びC1−8アルキルからなる群より選択され;
各R置換基は、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−OR、−NR、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−XCOR、−XCO、−XCONR、−XNRCOR、−XSO、−XSONR、−XNR、及び−XORからなる群より選択される群より独立して選択され、ここで、各Xは、C1−4アルキレン、及びC2−4アルキレンからなる群より選択されるメンバーであり、各R及びRは、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、及びアリール−C1−4アルキルからなる群より独立して選択される;
7a、R7b、及びR7cの2つの隣接したメンバーは、組み合わさり、炭素環式又は複素環式であり1〜3つの置換基で場合により置換される、融合5又は6員環を形成し;並びにR7a、及びR7cの残りのメンバーはRであり;
各Rは、ハロゲン、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−OR、−NR、−COR、−CO、−CONR、−NRCOR、−SO、−XCOR、−XCO、−XCONR、−XNRCOR、−XSO、−XSONR、−XNR、及び−XORからなる群より独立して選択され;及び、
ここで、上記R置換基の各々の脂肪族部分、及びR7aとR7bとの組み合わせにより、若しくはR7bとR7cとの組み合わせにより形成される環は、−OH、−OR、−OC(O)NHR、−OC(O)N(R、−SH、−SR、−S(O)R、−S(O)、−SONH、−S(O)NHR、−S(O)N(R、−NHS(O)、−NRS(O)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)N(R、−C(O)R、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NHC(O)NH、−NRC(O)NH、−NRC(O)NHR、−NHC(O)NHR、−NRC(O)N(R、−NHC(O)N(R、−COH、−CO、−NHCO、−NRCO、−CN、−NO、−NH、−NHR、−N(R、−NRS(O)NH、及び−NRS(O)NHRからなる群より選択される1〜3メンバーで場合により置換され、ここで、各Rは、独立して非置換C1−6アルキルである。}からなる群から選択される式を有する化合物、又はそれらの医薬として許容される塩、若しくは水和物。
【請求項2】
前記式(I)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式(II)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記式(III)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記mが2であり、nが1であり、及びpが0である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
前記Lが、以下の式:
【化2】

{式中、
波線は、ピロリジニル窒素原子への接着点を示し;
点線は、NRへの接着点を示し;及び
は、C1−3アルキル基である。}からなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
前記Rは、H又はOCHであり;前記R及びRは、C1−3アルキル、及びC1−3ハロアルキルからなる群より各々独立して選択され;前記R及びRは、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、及び−SOからなる群より各々独立して選択され;前記Rは、H又はCHであり;並びに、前記各Rは、存在するときには、ハロゲン、及びC1−4アルキルからなる群より独立して選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
前記Lが、以下の式:
【化3】

からなる群より選択されるメンバーである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
前記Rは、H又はOCHであり;前記R及びRは、C1−3アルキル、及びC1−3ハロアルキルからなる群より各々独立して選択され;前記R及びRは、H、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、−COR、及び−SOからなる群より各々独立して選択され;前記Rは、H又はCHであり;並びに、前記各Rは、存在するときには、ハロゲン、及びC1−4アルキルからなる群より独立して選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記R7b、及びR7cが、組み合わされ、ピロリジン環に融合される5又は6員環を形成する、請求項3に記載される化合物。
【請求項11】
前記R7aが、水素、及びC1−8アルキルからなる群より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項12】
前記nが、1又は2である、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
前記Rが、水素、及びC1−8アルコキシからなる群より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項14】
前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項15】
前記nが1又は2であり;前記Rが水素、及びC1−8アルコキシからなる群より各々独立して選択され;前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
前記nが1又は2であり;前記Rが水素、及びC1−8アルコキシからなる群より各々独立して選択され;前記R、及びR3が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項17】
前記nが1又は2であり;前記Rが水素、及びC1−8アルコキシからなる群より各々独立して選択され;前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項18】
前記nが1又は2である、請求項4に記載の化合物。
【請求項19】
前記Rが、水素、及びC1−8アルコキシからなる群より選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項20】
前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項21】
前記nが1又は2であり;前記Rが水素、及びC1−8アルコキシからなる群より各々独立して選択され;前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項22】
前記mが1又は2であり;前記各Rがハロゲン、及びC1−8アルキルからなる群より各々独立して選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項23】
前記RがH又はCHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項24】
前記nが1又は2であり;前記Rが水素、及びC1−8アルコキシからなる群より各々独立して選択され;前記R、及びRが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びC1−4ハロアルキルからなる群より各々独立して選択され;前記RがH又はCHであり;前記mが1又は2であり;並びに、前記Rが、ハロゲン、及びC1−8アルキルからなる群より選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項25】
表B中の化合物1〜20からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物、及び医薬として許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項27】
請求項2〜24のいずれか1項に記載の化合物、及び医薬として許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
請求項25に記載の化合物、及び医薬として許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物を、CCXCKR2受容体へのケモカインであるI−TAC又はSDF−1の結合を阻害するのに十分な時間、CCXCKR2受容体を発現する細胞と接触させることを含む、CCXCKR2受容体への前記ケモカインの結合を阻害する方法。
【請求項30】
請求項2〜24のいずれか1項に記載の化合物を、CCXCKR2受容体へのケモカインであるI−TAC又はSDF−1の結合を阻害するのに十分な時間、CCXCKR2受容体を発現する細胞と接触させることを含む、CCXCKR2受容体への前記ケモカインの結合を阻害する方法。
【請求項31】
請求項25に記載の化合物を、CCXCKR2受容体へのケモカインであるI−TAC又はSDF−1の結合を阻害するのに十分な時間、CCXCKR2受容体を発現する細胞と接触させることを含む、CCXCKR2受容体への前記ケモカインの結合を阻害するための方法。
【請求項32】
癌を治療するために十分な期間、患者に請求項1に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の癌を治療する方法。
【請求項33】
癌を治療するために十分な期間、患者に請求項2〜24のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の癌を治療する方法。
【請求項34】
癌を治療するために十分な期間、患者に請求項25に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の癌を治療する方法。
【請求項35】
炎症を治療するために十分な期間、患者に請求項1に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の炎症を治療する方法。
【請求項36】
炎症を治療するために十分な期間、患者に請求項2〜24のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の炎症を治療する方法。
【請求項37】
炎症を治療するために十分な期間、患者に請求項25に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、前記患者の炎症を治療する方法。

【公表番号】特表2009−501156(P2009−501156A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519573(P2008−519573)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/025409
【国際公開番号】WO2007/002842
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416218)ケモセントリックス,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】