説明

置換p−トリフルオロメチルフェニルエーテル類、それらの製造および使用

本発明は、式(I)で示される置換p−トリフルオロメチルフェニルエーテル、その製造および使用[ここで、各置換基は詳細な説明中に定義のとおりである]を開示するものである。本発明化合物は、広範なスペクトル活性および良好な殺虫活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫剤及び殺菌剤、特に置換パラ−トリフルオロメチルフェニルエーテル化合物ならびにその製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素原子は良好なシミュレーション、電子効果、遮断効果、浸透性などを有するため、フッ素原子の導入は化合物の活性を倍増させることができる。近年、フッ素を含む幾つかの新しい農薬が出現し、新しい農薬の割合はどんどん高まっている。
【0003】
メトキシアクリラート化合物は生物活性を持つことが知られている。これらは多くの特許、例えばEP335519、US4829085、US4914128、US5145980、US5157144、US5334748、US5395854、US6653258、US2004029944、WO2003087032等に開示されており、多くの農薬が市販されている。幾つかの市販農薬の名称および構造を以下に述べる。
【表1】

【0004】
数多くの特許および市販農薬が存在しているが、本発明に係る置換パラ−トリフルオロメチルエーテル化合物は、特に公開されていない。
【0005】
発明の要約
本発明の目的は、ごく低用量であらゆる種類の植物病害および害虫に生物活性を有し、植物の病害および害虫を制御するために農業に適用される、置換パラ−トリフルオロメチルフェニルエーテル化合物である。
【0006】
本発明の詳細な説明は以下のとおりである。
【0007】
本発明は、一般式(I):
【化15】


[式中、Qは、下記のQ、Q、Q、QまたはQ
【化16】


から選ばれ;
Aは、CHまたは
【化17】


から選ばれ;
Aが
【化18】


である場合、その4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xは、H、ハロ、CN、NO、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、C−C12ハロアルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、C−C12アルキルスルホニル、C−C12アルキルカルボニル、C−C12アルコキシC−C12アルキル、C−C12アルコキシカルボニル、C−C12アルコキシカルボニルC−C12アルキル、C−C12ハロアルコキシC−C12アルキル、場合により置換されているアミノC−C12アルキル、場合により置換されているアリールオキシ、場合により置換されているアリールC−C12アルコキシ、場合により置換されているアリール、ヘテロアリール、場合により置換されているアリールC−C12アルキル、ヘテロアリールC−C12アルキルまたはヘテロアリールC−C12アルコキシから選ばれる]
を有する置換パラ−トリフルオロメチルフェニルエーテル化合物および立体異性体を提供する。
【0008】
本発明の一般式(I)で示される好ましい化合物は、
Qが、Q、Q、Q、QまたはQから選ばれ;Aが、CHまたは
【化19】


から選ばれ;
Aが
【化20】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;Xが、H、ハロ、CN、NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルカルボニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−CハロアルコキシC−Cアルキル、置換されているアミノC−Cアルキル、置換されているアリールオキシ、置換されているアリールC−Cアルコキシ、置換されているアリール、ヘテロアリール、置換されているアリールC−Cアルキル、ヘテロアリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルコキシから選ばれる。
【0009】
さらに、本発明の一般式(I)で示される好ましい化合物は、
Qが、Q、Q、Q、QまたはQから選ばれ;Aが、CHまたは
【化21】


から選ばれ;
Aが
【化22】


である場合、4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;Xが、H、ハロ、CN、NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルカルボニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−CハロアルコキシC−Cアルキル、置換されているアミノC−Cアルキル、または、置換もしくは非置換のフェニル、フェノキシ、ベンジルもしくはベンジルオキシである。
【0010】
本発明の一般式(I)で示されるさらに好ましい化合物は、
Qが、Q、Q、QまたはQから選ばれ;Aが、CHまたは
【化23】


から選ばれ、Aが
【化24】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;Xが、H、Cl、Br、F、CNまたはC−Cアルキルから選ばれる。
【0011】
以下に一般式(I)における用語の意義を述べる。
【0012】
ハロゲンまたはハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含するよう意味する。
【0013】
アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびtert−ブチルといった直鎖または分岐鎖アルキルを包含する。
【0014】
ハロアルキルとは、水素原子の全てまたは一部がハロゲンで置換されていてよい、直鎖または分岐鎖アルキル、例えばクロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルを指す。
【0015】
アルコキシとは、酸素原子によって、構造と結合している直鎖または分岐鎖アルキルを指す。
【0016】
ハロアルコキシとは、水素原子の全てまたは一部がハロゲンで置換されていてよい直鎖または分岐鎖アルコキシ、例えばクロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロフルオロメトキシを指す。
【0017】
アルケニルとは、ビニルまたはアリルのように、任意の位置に二重結合を有する直鎖または分岐鎖を指す。置換アルケニルは、アリールビニルを包含し、任意の位置において任意の基で置換されている。
【0018】
アルキニルとは、任意の位置に三重結合を有する直鎖または分岐鎖を指す。例えばエチニル、プロピニルである。置換アルキニルは、アリールエチニルを包含し、任意の位置において任意の基で置換されている。
【0019】
アリール、および、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル中のアリールは、フェニルおよびナフチルを包含する。
【0020】
本発明におけるヘテロアリールとは、1個もしくは複数のN、O、Sヘテロ原子を含む五員環または六員環を指す。例えばピリジン、フラン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キノリンまたはベンゾフラン。
【0021】
いわゆる「置換された」とは、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、NOまたはCN等から選ばれる。
【0022】
C=CおよびC=Nが種々の置換基に結合しているため、本発明の化合物は幾何異性体(異なる異性体は各々ZおよびEと表現される)を形成し得る。Z異性体およびE異性体ならびにこれらの混合物は、いかなる比率であっても本発明に包含される。
【0023】
本発明を以下の表1の化合物によって説明するが、これらに限定される訳ではない。
【表2】

【0024】
本発明はさらに、式(I)を有する化合物の製造方法を包含する。これは、有機溶媒中、塩基の存在下で、一般式(II)を有する置換フェノール化合物と、一般式(III)を有するハロメチルベンゼンを用いて製造できる。
【化25】

【0025】
式中、Rは、Cl、Brまたはヨードのようなハロゲンから選ばれる脱離基である。他の基は前記と同義である。
【0026】
以下に、式(I)を有する化合物の製造における反応を述べる。
【化26】

【0027】
適切な溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、キシレン、ベンゼン、DMF、DMSO、アセトンまたはブタノンなどから選択できる。
【0028】
適切な塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムもしくはナトリウムtert−ブトキシドなどから選択できる。
【0029】
適切な温度は、室温から溶媒の沸点までであり、一般に20〜100℃である。
【0030】
反応は30分〜20時間、一般に1〜10時間で完了し得る。
【0031】
一般式(II)で示される置換フェノール化合物は、購入できるか、または既知の方法に従って製造できる。米国特許第4548640号を参照されたい。
【0032】
一般式(III)で示される化合物は既知の方法に従って製造できる。米国特許第4723034号、米国特許第5554578号を参照されたい。
【0033】
本発明の一般式(I)を有する化合物は、広域スペクトルの殺菌活性を持ち、種々の植物において卵菌、担子菌、子嚢菌病原体および不完全菌類が引き起こす病害の制御に利用でき、また、活性が高いため、ごく低用量で良好な制御有効性を提供できる。この化合物は、例えばブドウベト病、イネ紋枯れ病、イネイモチ病、トモト夏疫病、トマト胴枯れ病、小麦サビ病、小麦葉枯れ病、小麦ウドンコ病、小麦根腐れ病、小麦ふ枯れ根腐れ病、小麦赤サビ病、キュウリウドンコ病、キュウリ炭疽病、キュウリベト病、キュウリ灰色カビ病のような疾患、特にウドンコ病に対して優れた活性を有する。
【0034】
意外なことに、本発明の化合物は良好な殺虫活性を持ち、ヨトウガ幼虫、コナガおよびアブラムシ、ニセナミハダニおよびアカイエカのような多くの害虫、特にニセナミハダニにたいして優れた活性を有する。本化合物は、あらゆる害虫の総合的な制御に適している。
【0035】
本発明化合物は、生物活性試験によると、クレソキシン−メチルのような市販の農薬よりも良好な生物活性を有する。
【0036】
本発明はさらに、殺虫剤および殺菌剤である組成物を提供し、この組成物の活性成分は、一般式(I)を有する化合物であり、ここで、この活性成分は総量0.1〜99%(重量)で存在する。
【0037】
本発明はさらに、前記組成物の製造方法を提供する。一般式(I)の化合物およびその担体を混合する。該組成物は、単一成分の化合物であっても、幾つかの成分を持つ化合物の混合物であってもよい。
【0038】
要求に合致する本発明の担体は、活性成分との調合で処理される部位に容易に適用することができる。例えば、該部位は、保存、移動または操作に好都合な植物、種子または土壌であってよい。担体は、固体または液体であってよく、通常、加圧で気体状態から変化する液体を包含する。また、殺虫、殺菌組成物の製造に使用される担体が適用される。
【0039】
適切な固体担体は、天然および合成粘土およびケイ酸塩、例えばケイ藻土、タルク、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミニウム(カオリン)、モンモリロナイトおよび雲母;炭酸カルシウム;硫酸カルシウム;硫酸アンモニウム;合成酸化ケイ素および合成ケイ酸カルシウムまたはケイ酸アルミニウム;炭素および硫黄のような元素;天然および合成樹脂、例えばクマロン樹脂、ポリ塩化ビニル、ならびにスチレンポリマーおよびコポリマー;固体ポリクロロフェノール;ビチューメン;ロウ 蜜ロウまたはパラフィンワックスを包含する。
【0040】
適切な液体担体は、水、イソプロパノールまたはアルコールのようなアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトンまたはシクロヘキサノンのようなケトン類;エーテル;ベンゼン、キシレン、トルエンのような芳香族化合物;石油留分、例えばケロセンまたは鉱油、塩素化脂肪族炭化水素、例えば四塩化炭素、四塩化エチレンおよびまたは三塩化エチレンを包含する。一般に、これら様々な液体の混合物がしばしば適切である。
【0041】
殺虫剤および殺菌剤である組成物はしばしば、濃縮形態で調合および運搬され、その後使用者により適用前に希釈される。少量の界面活性剤の存在は、この希釈プロセスを容易にする。したがって、好ましくは本発明の組成物中の少なくとも一つの担体は界面活性剤である。例えば、この組成物は少なくとも二つの担体を含み、そのうち少なくとも一つが界面活性剤である。
【0042】
界面活性剤は、乳化剤、分散剤または湿潤剤であってよく、これは非イオン性であってもイオン性であってもよい。適切な界面活性剤の例は、ポリアクリル酸およびリグニンスルホン酸のナトリウムまたはカルシウム塩;分子内に少なくとも12個の炭素原子を含む脂肪酸または脂肪族アミンもしくはアミドとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの縮合生成物;グリコール、ソルビトール、スクロースまたはペンタエリスリトールの脂肪酸エステルおよびこれらエステルとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの縮合生成物;脂肪族アルコールまたはアルキルフェノール、例えばp−オクチルフェノールまたはp−オクチルクレゾールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの縮合生成物;これら縮合生成物のスルファートまたはスルホナート;分子内に少なくとも10個の炭素原子を含む硫酸エステルもしくはスルホン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、好ましくはナトリウム塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、第二アルキル硫酸ナトリウム、スルホン化ヒマシ油のナトリウム塩、およびアルキルアリールスルホン酸ナトリウム、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを包含する。
【0043】
本発明に係る組成物および製剤の例は、水和剤、粉剤、顆粒、水溶液、乳剤、エマルジョン、懸濁濃厚液、エアロゾル組成物および燻蒸剤である。水和剤は通常、25、50または75重量%の活性成分を含有し、これに加えて通常、固体不活性担体、3〜10重量%の分散剤、および必要ならば0〜10重量%の安定剤(群)および/またはその他の添加物、例えば浸透剤または粘着剤を含有する。粉剤は通常、分散剤を含まない水和剤と同様の組成を有する粉末濃厚剤として調合し、固体担体でさらに希釈して、通常、活性成分0.5〜10重量%を含有する組成物とする。顆粒は通常、10〜100BSメッシュ(1.676〜0.152mm)の間のサイズに調製し、凝集または含浸技術によって製造できる。一般に、顆粒は活性成分0.5〜75重量%および安定剤、界面活性剤、徐放性改質剤といった添加物0〜10重量%を含有する。いわゆる「乾燥流動性粉末」は、比較的高濃度の活性成分を含む比較的小さな顆粒で構成されている。乳剤は通常、溶媒の他に、必要ならば共溶媒、活性成分1〜50%(重量/容量)(w/v)、乳化剤2〜20%w/v、ならびに安定剤、浸透剤および腐食防止剤といったその他の添加物0〜20%w/vを含有する。懸濁濃厚液は通常、活性成分10〜75重量%、分散剤0.5〜15重量%、ならびに消泡剤、腐食防止剤、安定剤、浸透剤および粘着剤といったその他の添加物0.1〜10重量%を含有する。
【0044】
水性分散剤およびエマルジョン、例えば本発明に係る水和剤または濃厚剤を水で希釈して得られる組成物もまた、本発明の範囲内に包含される。このエマルジョンは油中水型または水中油型のエマルジョンであってよい。
【0045】
1種以上の他の殺菌剤が添加されている組成物は、一般式(I)を有する単一の化合物よりも広い活性スペクトルを持つ。さらに、他の殺菌剤は、一般式(I)を持つ化合物の殺菌活性に関して相乗効果を有し得る。一般式(I)を有する化合物はまた、他の殺虫剤と共に、または他の殺菌剤および他の殺虫剤と同時に使用することができる。
【0046】
発明の説明
以下の実施例は本発明の例であって、それにより限定されるものではない。
【0047】
製造例
実施例1:化合物1の製造
【化27】


乾燥炭酸カリウム0.8g、式(II−1)0.39g、式(III−1)0.4gを室温でDMF20mlに溶解し、次いでこの溶液を加熱還流した。5時間後、反応混合物をクラッシュアイスに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。抽出物を合わせ、飽和食塩水で3回洗浄し、乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。淡黄色固体の粗生成物を得た。これを、酢酸エチルおよび石油エーテル(沸点範囲:60〜90℃)の1:8(容量/容量)混合物を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、m.p.104〜106℃の化合物1を0.51g得た。収率は70.5%であった。
【0048】
NMRスペクトル(HNMR、300MHz、内部標準:TMS、CDCl)は以下のとおりである:
【表3】

【0049】
実施例2:化合物4の製造
【化28】


乾燥炭酸カリウム0.8g、式(II−1)0.39g、式(III−2)0.4gを室温でDMF20mlに溶解し、次いでこの溶液を加熱還流した。5時間後、反応混合物をクラッシュアイスに注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。抽出物を合わせ、飽和食塩水で3回洗浄し、乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。淡黄色固体の粗生成物を得た。これを、酢酸エチルおよび石油エーテル(沸点範囲:60〜90℃)の1:8(容量/容量)混合物を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、m.p.115〜116℃の化合物1を0.53g得た。収率は73.2%であった。
【0050】
NMRスペクトル(HNMR、300MHz、内部標準:TMS、CDCl)は以下のとおりである:
【表4】

【0051】
実施例3:化合物7の製造
【化29】


化合物4 0.6gおよびモル比2のメチルアミン水溶液を、室温でTHF50mlに溶解した。これを一夜攪拌した。反応混合物を濃縮後、酢酸エチルで2回抽出した。抽出物を合わせ、水で3回、そして飽和食塩水で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。m.p.92〜94℃の目的化合物0.53gが得られた。収率は88.5%であった。
【0052】
NMRスペクトル(HNMR、300MHz、内部標準:TMS、CDCl)は以下のとおりである:
【表5】

【0053】
上の実施例に従って他の化合物を製造した。
【0054】
本発明に係る幾つかの化合物のNMRスペクトル(HNMR、300MHz、内部標準:TMS、CDCl)は以下のとおりである:
【表6】

【0055】
製剤例
100%活性成分(重量/重量%)に基づく
【0056】
実施例4 60%水和剤
化合物1(97.2%) 60%
ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム 2%
リグノスルホン酸ナトリウム 9%
カオリン 加えて100%とする
【0057】
固体成分である化合物1、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、リグノスルホン酸ナトリウム、カオリンを全て良く混合し、粒子径が標準に到達するまで粉砕する。
【0058】
実施例5 35%エマルジョン濃厚剤
化合物4(98.4%) 35%
リン酸 10%
エチレンオキシ脂肪酸グリセリンエステル 15%
シクロヘキサノン 加えて100%とする
【0059】
リン酸をシクロヘキサノンに溶解し、次いで化合物4およびエチレンオキシ脂肪酸グリセリンエステルを加え、最終的に透明溶液中のエマルジョンが得られる。
【0060】
実施例6 30%水性懸濁液
化合物7(96.4%) 30%
ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム 4%
ヘミセルロース 2%
エポキシプロパン 8%
水 加えて100%とする
【0061】
80%量の水を加えた化合物7およびドデシルナフタレン硫酸ナトリウムの混合物をミル(1mmボール)で粉砕する。他の成分であるヘミセルロースおよびエポキシプロパンを残りの20%の水に溶解し、攪拌しながら加えて30%水性懸濁液を得る。
【0062】
実施例7 25%懸濁乳化剤
化合物10(96.2%) 25%
ドデシルポリエチレンリン酸エステル 4%
エチレンオキシ脂肪酸グリセリンエステル 2%
ドデシルベンゼン硫酸カルシウム 1.5%
ポリエチレンオキシアルキルプロピルエーテル 2.5%
シクロヘキサノン 30%
石油留分 加えて100%とする
【0063】
80%量の溶媒(シクロヘキサノンおよび石油留分)を加えて化合物10を溶解し、次いで乳化剤(ドデシルポリエチレンリン酸エステル、エチレンオキシ脂肪酸グリセリンエステルおよびドデシルベンゼン硫酸カルシウム)および分散剤(ポリエチレンオキシアルキルプロピルエーテル)を加え、混合物を完全に混合し、ミル(1mmボール)で粉砕する。他の20%の溶媒を加える。
【0064】
生物学的試験
実施例8 殺菌活性の測定
本発明に係る化合物を選択して使用して、着生植物の病害に対する殺菌活性の測定を、以下の方法によって実施した。
【0065】
少量のアセトンに測定用試料を溶解し、0.1%のトゥイーン80を含有する水で、必要な濃度まで希釈した。以下の方法によって防御活性を測定した。試験溶液を鉢植え植物にスプレーした。24時間後に病原体の接種を行い、その後、植物を一定の温度および湿度の生育室に保持した。処置されていない植物が所望の病害の重篤度となった時(およそ1週間後)、目視によって評価を実施した。以下の方法によって治療活性を測定した。病原体の接種を行い、4日後、試験溶液を鉢植え植物にスプレーした。処置されていない植物が所望の病害の重篤度となった時(3〜4日)、目視によって評価を実施した。
【0066】
試験結果の一部(有効成分に基づく用量):
400mg/Lで、化合物1、4、7は、キュウリベト病(Pseudoperonospora cubenis)に対して100%の制御を示した。
【0067】
400mg/Lで、化合物1、4、7、10、16は、小麦ウドンコ病(Blumeria graminis)に対して100%の制御を示した。
【0068】
200mg/Lで、化合物1、4、7は、小麦ウドンコ病に対して100%の制御を示し;化合物10は、小麦ウドンコ病に対して95%以上の制御を示した。
【0069】
200mg/Lで、化合物1、4、7は、小麦根腐れ病(Helminthosporium sativum)、キュウリ炭疽病(Colletotrichum lagenarium)、小麦ふ枯れ根腐れ病(Septria nodrum)、小麦赤サビ病(Puccinia tritici)、イネイモチ病(Pyricularia oryzae)に対して95%以上の制御を示した。
【0070】
12.5mg/Lで、化合物1、4、7は、小麦ウドンコ病に対して100%の制御を示した。
【0071】
化合物1、4、7およびクレソキシン−メチル(50%懸濁液、BASF)の比較を表2に示す。小麦ウドンコ病に対する化合物1の治療活性を表3に示す。
【表7】

【0072】
小麦ウドンコ病に対する化合物1の治療活性を表3に示す。
【表8】

【0073】
実施例9 殺虫および殺ダニ活性の測定
本発明に係る化合物を選択して使用して、昆虫およびダニに対する殺虫および殺ダニ活性の測定を、以下の方法によって実施した。
【0074】
アセトン/メタノール(1:1)に測定用試料を溶解し、0.1%のトゥイーン80を含有する水で、必要な濃度まで希釈した。
【0075】
ヨトウガ幼虫(Leucania separata)、コナガ(Plutella xylostella)、アカイエカ(Culex pippens pallens)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)およびニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)をエアブラシスプレーを用いて処置し、そしてアカイエカを浸漬法を用いて処置した。エアブラシスプレーの圧力は10psi(約0.7kg/cm2)とし、スプレー量は0.5mlとした。試験昆虫の致死性の調査を処置の2〜3日後に実施した。
【0076】
試験結果の一部:
600mg/Lで、化合物1はモモアカアブラムシの100%制御を示した。
600mg/Lで、化合物1、4はニセナミハダニの100%制御を示した。
150mg/Lで、化合物1はニセナミハダニの100%制御を示した。
50mg/Lで、化合物1はニセナミハダニの100%制御を示した。
10mg/Lで、化合物1はニセナミハダニの95%制御を示した。比較殺ダニ剤ピリダベン(Jiangshu Jianhuの農薬工場、含有量98%)は、ニセナミハダニの95%制御を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】


(式中、Qは、Q、Q、Q、QまたはQ
【化2】


から選ばれ;
Aは、CHまたは
【化3】


から選ばれ;
Aが
【化4】


である場合、その4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xは、H、ハロ、CN、NO、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、C−C12ハロアルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、C−C12アルキルスルホニル、C−C12アルキルカルボニル、C−C12アルコキシC−C12アルキル、C−C12アルコキシカルボニル、C−C12アルコキシカルボニルC−C12アルキル、C−C12ハロアルコキシC−C12アルキル、場合により置換されているアミノC−C12アルキル、場合により置換されているアリールオキシ、場合により置換されているアリールC−C12アルコキシ、場合により置換されているアリール、ヘテロアリール、場合により置換されているアリールC−C12アルキル、ヘテロアリールC−C12アルキルまたはヘテロアリールC−C12アルコキシから選ばれる)
を特徴とする、置換パラ−トリフルオロメチルフェニルエーテル化合物および立体異性体。
【請求項2】
Qが、Q、Q、Q、QまたはQから選ばれ;
Aが、CHまたは
【化5】


から選ばれ;
Aが
【化6】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xが、H、ハロ、CN、NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルカルボニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−CハロアルコキシC−Cアルキル、置換されているアミノC−Cアルキル、置換されているアリールオキシ、置換されているアリールC−Cアルコキシ、置換されているアリール、ヘテロアリール、置換されているアリールC−Cアルキル、ヘテロアリールC−CアルキルまたはヘテロアリールC−Cアルコキシから選ばれる、一般式(I)を特徴とする、請求項1に記載の置換化合物。
【請求項3】
Qが、Q、Q、Q、QまたはQから選ばれ;
Aが、CHまたは
【化7】


から選ばれ;
Aが
【化8】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xが、H、ハロ、CN、NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルカルボニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルコキシカルボニル、C−CアルコキシカルボニルC−Cアルキル、C−CハロアルコキシC−Cアルキル、置換されているアミノC−Cアルキル、または、置換もしくは非置換のフェニル、フェノキシ、ベンジルもしくはベンジルオキシから選ばれる、一般式(I)を特徴とする、請求項2に記載の置換化合物。
【請求項4】
Qが、Q、Q、Q、QまたはQから選ばれ;
Aが、CHまたは
【化9】


から選ばれ;
Aが
【化10】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xが、H、Cl、Br、F、CNまたはC−Cアルキルから選ばれる、一般式(I)を特徴とする、請求項3に記載の置換化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって、塩基の存在下における、一般式(II)を有する置換フェノール化合物と、一般式(III)を有するハロメチルベンゼンとの反応により、一般式(I)が製造できることを特徴とする方法

【化11】


(式中、Rは、Cl、BrまたはIから選ばれ;
Qは、Q、Q、Q、QまたはQ
【化12】


から選ばれ;
Aは、CHまたは
【化13】


から選ばれ;
Aが
【化14】


である場合、ピリミジンの4位で酸素と結合し、6位の酸素がベンゼンと結合し、Q=Qであり;
Xは、H、ハロ、CN、NO、C−C12アルキル、C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、C−C12ハロアルキル、C−C12アルコキシ、C−C12アルキルチオ、C−C12アルキルスルホニル、C−C12アルキルカルボニル、C−C12アルコキシC−C12アルキル、C−C12アルコキシカルボニル、C−C12アルコキシカルボニルC−C12アルキル、C−C12ハロアルコキシC−C12アルキル、場合により置換されているアミノC−C12アルキル、場合により置換されているアリールオキシ、場合により置換されているアリールC−C12アルコキシ、場合により置換されているアリール、ヘテロアリール、場合により置換されているアリールC−C12アルキル、ヘテロアリールC−C12アルキルまたはヘテロアリールC−C12アルコキシから選ばれる)]。
【請求項6】
植物において昆虫を制御するための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項7】
植物において菌を制御するための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項8】
組成物中の活性成分の重量パーセンテージが0.1%〜99%であることを特徴とする、殺菌剤および殺虫剤の組成物。

【公表番号】特表2008−546815(P2008−546815A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518597(P2008−518597)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001337
【国際公開番号】WO2007/000098
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507389565)シノケム・コーポレーション (5)
【氏名又は名称原語表記】SINOCHEM CORPORATION
【出願人】(506156768)瀋陽化工研究院 (7)
【Fターム(参考)】