説明

美容メイクアップおよび/または手入れ方法

本発明は、ケラチン質のメイクアップおよび/または手入れのための美容方法に関し、少なくとも一つの脂肪相を備え、かつ総重量に対して少なくとも75重量%の食料利用に認可された化合物からなる少なくとも一つの美容組成物をケラチン質に触れて塗布することを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料利用に認可された化合物を主成分とする美容メイクアップおよび/または手入れ組成物のケラチン質への塗布を備える美容メイクアップおよび/または手入れ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明が目指す方向の美容組成物は、より詳細には皮膚、唇および/または外皮への塗布用のメイクアップおよび/または手入れ(ケア)製品、特に口紅、リップクリーム、リップペンシル、とりわけスティックまたはデイッシュとして注型された液体または固体ファンデーション、コンシーラー製品および皮膚のカラーリング製品、一時的刺青、とりわけペンシル、マスカラまたはアイシャドウ形状の例えばアイライナーのようなアイメイク製品である。一般に、これらの美容組成物は、長期にわたりおよび/または温度の著しい変化に対して満足な安定性、特にメイクアップ品質の観点での十分な挙動および良好な塗布性のような特異性を付与するように大量の合成製品、特に製剤補助剤を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、製品の入れ替えが非常に早い化粧品の分野では、現在の製品により提供される性能水準と少なくとも等しいレベル、またはある観点では更に良好なレベルを得るための新しい製剤経路に関する絶え間ない要求がある。
【0004】
更に、これらの新しい製剤経路の実施に用いる原料の選択は、いつもされているように、組み込んだ化粧品処方がその人のために表示される消費者と、完全な環境の保全との双方に対して最大の保証を提示するために増え続ける懸案事項により導かれるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、その一形態によれば、本発明はケラチン質をメイクアップおよび/または手入れするための美容方法に関し、少なくとも一つの脂肪相を有し、総重量に対して少なくとも75重量%の食料利用に認可された化合物よりなる少なくとも一つの美容組成物の前記ケラチン質への塗布を具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
その他の形態によれば、本発明はケラチン質をメイクアップおよび/または手入れするための美容方法に関し、少なくとも一つの水性相を有し、総重量に対して少なくとも75重量%の食料利用に認可された化合物よりなる少なくとも一つの美容組成物の前記ケラチン質への塗布を具えることを特徴とする。
【0007】
本発明の特定の形態によれば、食料利用に認可された化合物は食品用化合物とすることができる。
【0008】
特に、本発明の方法はメイクアップ方法でも良い。
【0009】
一般に、本発明に係る組成物は、生理学的に許容可能な媒質を含む。
【0010】
「美容組成物」という語は、「1993年6月14日の協議会の通達93/35/EEC」で定義されているような組成物を意味する。
【0011】
「生理学的に許容可能な媒質」という語は、少なくとも一つの人体のケラチン質に塗布し得る毒性のない媒質を意味する。
【0012】
「ケラチン質」という語は、皮膚、例えば唇のような粘膜、爪、例えば睫毛や毛髪のようなケラチン繊維を含む。本発明に係る美容組成物は、皮膚および唇への使用に特に有利である。
【0013】
より一般には、本発明によれば、「食料利用に認可された化合物」という語は、オゾケライト、ライスロウ、コーデックス規格(国際食品規格)に載せられた化合物、および例えば真珠のような完全にコーデックス規格に載せられた化合物のみからなる物質から選択された化合物を意味する。
【0014】
コーデックス規格または食品基準は、消費者、食料品の生産業者および加工業者、国家食料統制機構並びに国際的な食品市場のための典拠として機能する世界基準である。
【0015】
コーデックス規格は、食品規格、指針、および1963年に食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)とにより創設されたコーデックス規格の委員会により食品規格に対するFAO/WHO共同プログラムとの関連、かつWHOの後援の下で食料品の分野で確立された使用の他の基準を組合わせる。
【0016】
本発明の目的に照らし、コーデックス規格に載せられた化合物は、その食品成分としての使用がコーデックスで考慮され、且つその中に特定の用語により規定されるかまたは規定されていない化合物を示す。
【0017】
ある成分に関して用語がコーデックス規格で特定される場合、これが本発明に係る組成物中での同一化合物の実施に関して決定的でないことであることが理解される。
【0018】
一般に、「食品」成分という語は、食品の製造または調理に用い、また時に変形形態であっても最終製品中に存在する水以外のあらゆる物質を示す。従って、「食品成分」の語は、特に食品添加剤および食用エキスを含む。
【0019】
更に、「食品添加剤」という語は、栄養価を有しているか否かに関わらず、食料品自体として通常消費されず、かつ食品の特徴的成分として通常使用されないあらゆる物質を意味し、その技術的または官能目的での食料品への意図的な添加は、この食料品の製造、変質、調理、処理、梱包、包装、輸送または貯蔵の何れの段階でも、食料品への組込み、若しくはその誘導体の食料品への組込みを導くか、または導き得る(直接的または間接的に)か、若しくはこの食料品の特性に他の何れの方法で作用することができる。
【0020】
本発明のために、全くコーデックス規格に載せられた化合物のみからなる製品は、その組成が全くコーデックス規格に載せられた化合物からなり、その結果として、少なくとも二つ、若しくはそれ以上のコーデックス規格に載せられた化合物を備える材料を示す。多層構造の材料、例えば真珠が特にこの定義下に含まれる。従って、真珠は一般に例えば酸化鉄の被膜で覆われたマイカまたはTiOのような無機基質からなる。
【0021】
本発明に係る検討中のコーデックス規格は、本特許出願の出願日には利用可能なものである。
【0022】
例えば、添加剤に関しては、コーデックス食品添加剤および混入物質CX/FAC05/37/6がある。
【0023】
エキスに関しては、特にコーデックス規格第8巻に、そしてより詳細には、コーデックス標準19、33および210に定義されている。
【0024】
植物油に関して、検討中のコーデックスは、2003年に改正されたコーデックス標準210の版がある。
【0025】
食用油脂に関して、検討中のコーデックスは、1993年2月に改定されたコーデックス標準19−1981の版である。例えば、オリーブオイルに関しては、1989年に改定されたコーデックス標準33の版がより詳細に参照し得る。
【0026】
一実施形態によれば、本発明に係る「食料利用に認可された化合物」は「食品用化合物」である。
【0027】
この実施形態によれば、「食品用化合物」は、食品用化合物として販売されている「食料利用に認可された化合物」、すなわち食品に使用可能であると供給者が表明した化合物でも良い。例えば、食品用化合物は、特に食品産業の要求に適合するようにした化合物である。食品用化合物は、食料品製品だけからなることができる。
【0028】
本発明によれば、「食品用化合物」は、その仕様が米国連邦規則集21編第1章73,74,82,172,184,および854節にある化合物を参照することができる。
【0029】
米国連邦規則集21編第1章では、各化合物がi)化学名、ii)化合物が含み得る不純物レベルおよび/またはiii)食料に使用可能な濃度を備える仕様により「食品用化合物」として定義される。
【0030】
本発明の一実施形態においては、米国連邦規則集21編第1章にある仕様を有する食品用化合物を美容組成物に使用する。
【0031】
食品用油に関して、検討される節は854節である。
【0032】
食品用の半固形または固形脂肪、例えばロウに関して、検討される節は184節である。
【0033】
食品用添加剤、より詳細には食品用染料に関して、検討される節は172,73,74,および82節である。
【0034】
より優先的に、本発明に係る組成物は、その総重量に対して少なくとも80重量%、特には少なくとも85重量%、とりわけ少なくとも90重量%、特には少なくとも95重量%、そして更に特には約100重量%の食料利用に認可された化合物を備える。
【0035】
一実施形態において、本発明に係る組成物は、その総重量に対して少なくとも50重量%、特には少なくとも60重量%、特には少なくとも70重量%、特には少なくとも80重量%、特には少なくとも90%、そして更に特には約100重量%の食品用化合物を備える。
【0036】
予想外に、本発明に係る検討中の化合物の存在は、美容組成物の期待され、関連する品質、例えば口紅の場合の耐損耗性若しくは光沢度、または特にファンデーションの場合の被覆力について有害であることを証明しない。
【0037】
光沢試験
本発明に係る美容組成物は、5以上、特には10以上、より特には15以上、特には20以上、特には25以上、30以上、または約50の光沢度を有し得ることが有利である。
【0038】
「光沢度」という語は、ゴニオリフレクトメータ、例えばGRM−2000(マイクロモジュール社製)を使用し、試料の垂線に対して30°のアジマス照射角、−30°の正反射(R)検出角、そして0°の拡散反射(D)検出角を用いて以下の方法で測定され得る光沢度を意味する。
【0039】
寸法40×70mmの長方形の発泡支持体は、厚さ3mmのネオプレン(登録商標)からなり、接着剤面を有する赤レンガ色の発泡体(CIE L 1976年版でL=37±3;a=15±2;b11±2)、特にジョイントテクニックリヨネ工業(Joint Technique Lyonnais Ind)から販売されている品番RE40×70C/C212B1スキンで既知の発泡体を用いて作成される。
【0040】
品番ブレンダーム(Blenderm、登録商標)FH5000−55113で3M社より販売されている透明な接着剤プラスターは、組成物のコーティングへの塗布が皮膚または粘膜への模擬塗布を可能にし、塗膜が粗末な被覆を付与する場合でも塗布感覚および結果として生じる色が類似するよう耐損耗品質を有し、前記支持体の接着剤面と反対の面に取り付けられる。
【0041】
次に、透明な接着剤プラスターを有する発泡支持体を、その接着剤面による結合により40×70mmの寸法の金属板に取り付ける。金属板に結合した支持体よりなる組立体が試料を形成する。
【0042】
操作者は、全部で5つの試料を上記のものと同一に作成する。
【0043】
光沢度を評価する方法の一例が、以下に記載される。
【0044】
操作者は、試料を38.5℃の温度に設定したホットプレート、例えばフィッシャーバイオブロック(Fisher Bioblock)社により販売されているN81076型のホットプレートの上に設置し、接着剤塗膜を支える支持体の表面が33±1℃の温度に達するまで待つ。
【0045】
支持体が所望の温度になると、操作者は手動で約15μm厚の化粧品の膜をブレンダーム(Blenderm、登録商標)塗膜に塗布する。
【0046】
化粧品は、例えば口紅を24±2℃で貯蔵した。
【0047】
化粧品の膜を堆積させるのに操作者が行った行為は、均一な堆積を得るような往復運動よりなる。支持体への化粧品の塗布は、該化粧品の実際の塗布条件を可能な限り表すように行うのが好ましい。同一の供試化粧品を、同一の方法で前述の調製した5つの同一な試料に塗布する。
【0048】
支持体が33±1℃で10分間維持されるように試料をホットプレート上に置いて、化粧品の膜を放置乾燥する。
【0049】
化粧品膜の正反射および拡散反射の強度を、前述した入射角で5つの試料のそれぞれについて測定する。
【0050】
測定値から、各試料に対する光沢度Glossを、該試料の比R/Dを介して算出する。拡散反射測定(試料の色度/明度を示す)により光沢度を特性化するのに通常単独で用いる正反射測定の重み付けが、光沢度の視覚認知がより良く評価されることを可能にする。
【0051】
平均光沢度

を最終的に算出することができ、
【数1】

標準偏差は、
【数2】

95%信頼区間は、
【数3】

であり、ここでNは測定回数を示し、換言すれば、本実施例では5である。
【0052】
耐損耗性
本発明に係る組成物は、30%以上、好ましくは40%以上、好ましくは45%以上、好ましくは50%以上、特には55%以上、とりわけ60%以上、若しくは更に65%以上、または70%以上の色指数の耐損耗性を有する堆積物を形成するのに適し得ることが有利である。
【0053】
本発明に係る組成物を用いて得られる堆積物の色指数の耐損耗性は、下記の測定手順に従い求めることができる。
【0054】
接着剤プラスターを固着する面と反対側の面上の接着剤であるポリエチレン発泡体の層(RE40X70EP3の名称でジョイントテクニックリヨネ工業(Joint Technique Lyonnais Ind)より販売される発泡体層)に結合したアクリル塗膜(ブレンダーム(Blenderme)品番FH5000−55113の名称で3M Sante社より販売されるポリエチレン膜上の低刺激性アクリル接着剤)よりなる支持体(40mm×70mmの長方形)を調製する。
【0055】
アクリル塗膜面上の支持体の色Lを、ミノルタ(Minolta)CR300色差計を用いて測定する。
【0056】
このように調製した支持体を40℃の温度で維持したホットプレート上で予熱して、支持体の表面を33℃±1℃の温度で維持する。この熱い支持体をプレートから取り除き、前記組成物を支持体の非接着剤面(すなわち、アクリル塗膜面上)に塗布し、ブラシを用いて広げて前記組成物の約15μmの堆積層を得る。かかる組立体をホットプレート上に戻し、10分間放置して乾燥する。
【0057】
乾燥後、このようにして得た膜の色Lを測定する。
【0058】
次いで、裸の支持体の色に対する膜の色の色差ΔE1を下記の関係式により求める。
【数4】

【0059】
そして、支持体はその接着剤面(発泡体層の接着剤面)を介して、ねじピッチを備えた直径20mmのアンビルに結合される。次に、支持体/堆積層組立体の試料を、直径18mmの穿孔機を用いて切り取る。その後、アンビルを、引張試験機(イマダDPS−20、ソメコ社製)を備えたプレス機(スタティフマニエルイマダ(Statif Manuel Imada)SV−2、ソメコ社(Someco)製)の上にねじ締めする。
【0060】
幅33mm、長さ29.7cmの細条を、秤量80g/mの白いコピー用紙のシート上に描画し、第1のラインをシートの端から2cmに付け、第2のラインをシートの端から5cmに付け、この第1および第2のラインが前記細条上に四角形を画定する。次に、前記第2のラインからそれぞれ8cmおよび16cmの基準点で細条に位置する第1の印および第2の印を付ける。20μlの水を第1の印に置き、10μlの精製ひまわり油(レシール(Lesieur)社より販売)を第2の印に置く。
【0061】
白紙をプレス機の基盤に置き、試料をこの紙の細条の四角形の上に置き、次いで約300g/cmの圧力で30秒間プレスした。再びプレスする前に、試料を取り除き、圧縮後の移動に相当する測定を行う。その後、試料を前記第2の印の直後(すなわち、四角形の隣)に再び置き、約300g/cmの圧力を再び加え、そして接触するや否や試料が水および油の堆積物を通過するように紙を細条の全長に渡って1cm/sの速度で直線方式により偏移する。
【0062】
試料を取り除いた後、いくらかの堆積物が紙上に移動する。次に、試料に残る堆積物の色L’,a’,b’を測定する。
【0063】
試料に残る堆積物の色と、裸の支持体の色との間の色差ΔE2を、以下の関係式を介して求める。
【数5】

【0064】
前記組成物の百分率で表す色素指数の耐損耗性は、下式の比率に等しい。
【数6】

【0065】
測定は6つの支持体に連続して行い、そして移動指数が前記6支持体で得られた6つの測定値の平均に相当する。
【0066】
被覆力
本発明に係る美容組成物は、30以上、特には50以上、とりわけ60超過、そしてより詳細には80以上、特には90から100にわたる範囲、または約100に等しい被覆力を有するのが有利である。
【0067】
この被覆力は以下の方法を介して測定することができる。
【0068】
スティックの場合、粘性のペーストを得るように前記組成物を予混合する。
【0069】
粉末の場合、粘性のペーストを得るように50重量部の粉末を50重量部のジメチコン(DC200流動性(Fluid)5CST、ダウコーニング製)と混合する。
【0070】
次に、配合物を黒色背景と白色背景とを有するエリクセン型の24/5対比カード上で50μmの厚みに塗布し、そして色度座標(X,Y,Z)をCH−2002またはCR−3700色差計を用いて測定する。
【0071】
同様の塗布を他の二つの対比カードに行い、そして3回の測定を各カードで行った。次いで、これら9回の測定値に対応する平均を算出する。
【0072】
被覆力は100×Yb/Ywに等しく、ここでYbは黒色背景上でのYの平均値であり、Ywは白色背景上でのYの平均値である。100の被覆力は、全体的に透明な配合物に相当する。
【0073】
脂肪相
本発明に係る美容組成物は脂肪相を具えても良く、該相は特には油類及び室温(20−25℃)かつ大気圧で固形の脂肪物質、例えばロウおよびペースト状脂肪物質並びにそれらの混合物から選択した少なくとも一つの化合物からなる。
【0074】
人体消費に適した形状の油および固形脂肪物質並びにその混合物が、エステル交換、水素化または分別のような変換を受けているか否かに関わらず、最も特に本発明に適している。
【0075】
油および固形脂肪物質は、特にはコーデックス規格の第1節の定義に従った食料品であり、脂肪酸グリセリドよりなる。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、油および固形脂肪物質は食品用化合物である。
【0077】
これらは、より詳細には米国連邦規則集21編第1章172,184,および854節に記載されている。
【0078】
これらは、動物、植物、無機物、合成物または海産物由来とすることができる。
【0079】
これらは少量の他の脂質、例えばリン脂質、不けん化成分、並びにこれら固形脂肪物質および油に自然に存在する遊離脂肪酸を含んでも良い。
【0080】
a)
「油」という語は、室温(20−25℃)かつ大気圧で液状のあらゆる脂肪物質を意味する。液状脂肪物質は、油に加えて、油中に溶解した他の化合物、例えばゲル化および/または構造化剤も含むことができる。
【0081】
本発明に係る美容組成物は、少なくとも一つ、特には少なくとも二つの油を備えることができる。
【0082】
本発明に係る美容組成物の調製に適した油は、揮発性または不揮発性の油でも良い。
【0083】
本発明のためには、「揮発性油」という語が、皮膚との接触により室温かつ大気圧で1時間未満で蒸発することが可能な油(または非水溶媒)を意味する。揮発性油は、室温で液状の揮発性美容油であり、特に室温かつ大気圧で零以外の蒸気圧を有し、とりわけ0.13Paから40000Pa(10−3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、そして好ましくは1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0084】
本発明のためには、「不揮発性油」という語が、0.13Pa未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0085】
揮発性または不揮発性の油は、特に動物、無機物若しくは植物由来の炭化水素系油、合成油、シリコーン油若しくはフッ素油、またはこれらの混合物とすることができる。
【0086】
本発明のためには、「炭化水素系油」という語が、主として水素および炭素原子を含み、そして場合により酸素、窒素、硫黄および/またはリン原子を含む油を意味する。
【0087】
本発明でより詳細に考慮される油は、炭化水素系油であり、より優先的には食用油、特にはコーデックス規格、より詳細にはその標準19〜27,33,34,123〜128,および210で言及されているものである。
【0088】
本発明での使用に適した油の一例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、鯨油酸、リグノセリン酸、およびネルボン酸、並びにそれらの混合物から選択された少なくとも一つの脂肪酸からなる油から選択された油を挙げることができる。
【0089】
これらは、より詳細には炭化水素系植物油、特にグリセロールの脂肪酸エステルよりなるトリグリセリドから選択されたものであり、その脂肪酸がCからC24の範囲の鎖長を有することができ、かかる鎖は場合により、直鎖または分岐鎖であり、また飽和または不飽和である。これらの油は、特にヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、ラッカセイ油、ババス油、ココナッツ油、ブトウ種子油、綿実油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、カラシ油、ヤシ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、小麦の胚芽油、カノーラ油、杏仁油、マンゴ油、ヒマシ油、シアバターノキ油、アボカド油、オリーブ油、甘扁桃油、桃仁油、くるみ油、へーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、髄油、ブラックカラント油、月見草油、粟油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油又はシアバター油、或いはまたはカプリル/カプリン酸トリグリセリド、およびそれらの混合物である。
【0090】
一実施形態において、本発明に係る組成物は、特に光沢効果を付与する意図がある場合、少なくとも多少のカノーラ油を含む。
【0091】
快適性の理由で、本発明に係る組成物はヒマシ油の量を削減して含む。実際、ヒマシ油は時間と共に空気により部分的に酸化され、それにより不快臭を発生する傾向がある。そのため、前記組成物は、該組成物の総重量に対して好ましくは5重量%未満、特には2重量%未満、とりわけ1重量%未満のヒマシ油を含み、そしてより特にはヒマシ油が全くない。
【0092】
特定の一実施形態によれば、本発明に係る美容組成物は炭化水素系植物油、より詳細には食料利用に認可された以下のオイル、すなわちステアリンリーデュボア(Stearinerie Dubois)より販売されているミリスチン酸イソプロピル;ステパン(Stepan)より販売されているカプリル/カプリン酸トリグリセリド;カールシェムンス(Karlshamns)より販売されている混成菜種油、液体綿実油、精製された保護脱臭マンゴ油、保護されたシアバターの液体留分および精製されたカノーラ油;カールシェムンス(Karlshamns)より販売されているリペックスシェアソフト(Lipex Sheasoft)および綿実油;ネスレ(Nestle)より販売されている脱臭杏仁油;ソエテナィ(Soetenaey)より販売されている甘扁桃油;オルフスユナイテッド(Aarhus United)より販売されている桃仁油;フイラリーズデラパリス(Huileries de Lapalisse)より販売されている菜種油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ブドウ種子油、大豆油およびヒマワリ油;並びにソエテナィ(Soetenaey)より販売されているくるみ油から選択した少なくとも一つの油を有することができる。
【0093】
より好ましくは、これらの油化合物は、以前に定義したような食品用化合物である。
【0094】
特定の一実施形態によれば、本発明に係る美容組成物は、カノーラ油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、杏仁油、桃仁油、くるみ油およびオリーブ油から選択した少なくとも一つの油を有する。
【0095】
特定の一実施形態によれば、本発明に係る美容組成物は、組成物中の総重量に対して0.1重量%から99重量%、特には1重量%から90重量%、とりわけ5重量%から70重量%、特には10重量%から65重量%、より特には20重量%から60重量%の食料利用に認可され、そしてより詳細にはコーデックス規格に記載された油を有する。
【0096】
上述した油に加えて、本発明に係る組成物は少なくとも一つの他の液体脂肪物質を条件付きで明白に備えても良く、その条件とはかかる油が本発明による要求に従った量で存在することである。
【0097】
特に列挙し得る不揮発性炭化水素系油は、
10から40の炭素原子を含む合成エーテル、
無機物または合成物由来の直鎖または分岐鎖の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、パールリーム(Parleam、登録商標)のような水素化ポリイソブテン、スクアラン並びにそれらの混合物、特に水素化ポリイソブテン、
合成エステル、例えば一般式RCOORの油で、この場合Rは1から40の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基であり、Rは1から40の炭素原子を有する特に分岐の炭化水素系の鎖であり、ただしR+R≧10、
を含む。
【0098】
エステルは、特に脂肪酸エステル、例えば、
オクタン酸セトステアリル、ミリスチン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソプロピルのようなイソプロピルアルコールエステル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルへキシル、ステアリン酸またはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチルのようなヒドロキシル化エステル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタノエート類、特にヘプタン酸イソステアリル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシルのようなアルコールまたはポリアルコールオクタノエート、デカノエートまたはリシノレート、2−エチルヘキシル 4−ジヘプタノエートおよびパルミテート、アルキル安息香酸エステル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2−ジエチルジヘキサン酸プロピレングリコール並びにその混合物、C12からC15のアルコール安息香酸エステル、ラウリン酸ヘキシル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリルおよびネオペンタン酸オクチルドデシルのようなネオペンタン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシルおよびイソノナン酸オクチルのようなイソノナン酸エステル、並びに例えば乳酸イソステアリルおよびリンゴ酸ジイソステアリルのようなヒドロキシル化エステル、
ポリオールエステルおよびペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリチルテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレート、
日本ファインケミカル(Nippon Fine Chemical)より販売され、2003年3月6日に出願の仏国特許出願FR0302809に記載されているルスプラン(Lusplan)DD−DA5(登録商標)およびルスプランDD−DA7(登録商標)のようなジオール二量体と二酸二量体とのエステル、
12から26の炭素原子を有する分岐鎖および/または不飽和の炭素系鎖を有し、室温で液体の脂肪アルコール、例えば2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、および2−ウンデシルペンタデカノール、および
セチオール(Cetiol)CC(登録商標)の名称でコニス(Cognis)から販売されているジカプリリルカーボネートのような二つのアルキル鎖が場合により同一または異なるジアルキルカーボネート、
から選択することができる。
【0099】
揮発性炭化水素系油は、8から16の炭素原子を有する炭化水素系油、特に分岐鎖C−C16アルカン(イソパラフィンとしても既知)、例えばイソドデカン、(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしても既知)、イソデカン、イソヘキサデカンおよび例えば商標名イソパルズ(Isopars、登録商標)またはパーメチルズ(Permethyls、登録商標)で販売されている油から選択することができる。
【0100】
本発明に係る組成物は、揮発性または不揮発性のシリコーンオイルも含むことができる。
【0101】
本発明に係る組成物で使用し得る不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン鎖に張り出しおよび/または末端に位置するアルキルまたはアルコキシ基を有し、これらの基がそれぞれ2から24の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン類、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよびトリメチルシロキシケイ酸−2−フェニルエチルのようなフェニルシリコーン類、および100cSt以下の動粘度を有するジメチコンまたはフェニルトリメチコン、並びにそれらの混合物とすることができる。
【0102】
より詳細に使用し得る揮発性シリコーンオイルは、揮発性の直鎖または環状シリコーンオイル、特に動粘度≦8センチストークス(8×10−6/s)で、特に2から10のケイ素原子、とりわけ2から7のケイ素原子を有するものであり、かかるシリコーンが任意に1から10の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を有する。本発明に使用し得る揮発性シリコーンオイルとして、特に5および6cStの動粘度を有するジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0103】
ノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタン並びにその混合物のような揮発性フッ素オイルも使用することができる。
【0104】
本発明に係る組成物は、有利にロウおよびペースト状脂肪物質並びにその混合物より選択した少なくとも一つの化合物を備えることができる。
【0105】
b)ロウ
ロウは室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を有し、200℃までとし得る30℃超過の融点および0.5MPa超過の硬度を有し、また固体状態で異方性結晶組織を有する。
【0106】
これは、炭化水素系ロウ、フッ素ロウおよび/またはシリコーンロウでも良く、また動物、植物、無機物または合成物由来でも良い。
【0107】
本発明に係る組成物は、食料利用に認可されたロウから選択した少なくとも一つのロウを含むのが有利である。
【0108】
本発明のためには、「食料利用に認可されたロウ」が、オゾケライト、ライスロウおよびコーデックス規格に載せられたロウ、より詳細にはコーデックス規格の表1に載せられたロウを含む。
【0109】
従って、本発明に係る組成物は、ミツロウ、オゾケライト、ライスロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウおよび微晶質ロウ、並びにその混合物から選択したロウを含むのが有利である。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、ロウ化合物が本明細書で既に定義したような食品用化合物であり、より詳細には米国連邦規則集21編第1章184節に載せられている。
【0111】
本発明に係る美容組成物に用いるロウは、パラメルト(Paramelt)社より販売されている微晶質ロウ、特にストラール&ピッツェ(Strahl & Pitsch)社より販売されているオゾケライト、ミツロウ、キャンデリラロウまたはカルナウバロウ、並びにそれらの混合物から選択するのが有利である。
【0112】
これらロウ類は、食品産業にとって都合が良いように供給業者により特定された形で使用するのが好ましい。
【0113】
特定の一実施形態によれば、食料利用に認可されたロウは、本発明に係る美容組成物中に、該組成物の総重量に対して1重量%から50重量%、特には3重量%から40重量%、とりわけ5重量%から30重量%、そして特には7重量%から20重量%の範囲の含有量で存在する。
【0114】
これら食料利用に認可されたロウ類の外に、本発明に係る組成物は、例えばポリエチレンロウ(好ましくは400と600との間の分子量を有する)またはフィッシャートロプシュ(Fischer-Tropsch)ロウのような合成ロウ、例えば16から45の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシジメチコンのようなシリコーンロウ、パラフィンロウ、セレシン、例えば日本精鑞(Nippon Seirou)社より販売されているEMW−0003のような40℃未満の融点を有するイソパラフィン、例えばニューフェーズテクノロジ(New Phase Technologies)社より販売されているポリマーのパフォーマV(Performa V、登録商標)825,103,および260のようなα―オレフィンオリゴマー、パフォーマレン(Performalene、登録商標)EP700のようなエチレン−プロピレンコポリマー並びにその混合物から選択された一つ以上のロウを含むことができる。
【0115】
c)ペースト状化合物
本発明に係る美容組成物は、少なくとも一つのペースト状化合物を備えても良い。
【0116】
本発明のためには、「ペースト状」という語が、固体/液体の状態変化の可逆性を有し、25℃の温度で液体画分と固体画分とを備える脂肪族化合物を表す。また、ペースト状の語はポリビニルラウレートも意味する。
【0117】
ポリオールエステルが、本発明に係るペースト状化合物として最も特に適している。
【0118】
本発明に使用し得るポリオールエステルは、市販されているか、または従来法で調製することができる。これらは一般に植物由来であり、特にポリオールと例えば脂肪酸のようなC−C34のモノカルボン酸または二酸二量体のようなジカルボン酸とのモノ−またはポリエステル化により得ることができる。
【0119】
得られるエステルは、特にポリエステル、トリエステル、ジエステル、モノエステル、またはそれらの混合物とすることができる。本実施形態において、エステルは種々のカルボン酸で形成した二種以上のエステルの混合物でも良い。
【0120】
モノカルボン酸でのエステル化の場合、約200から1300g/molの範囲の比較的高い分子量を有するエステルが得られる。
【0121】
ジカルボン酸でのエステル化反応の場合、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で求めた重量平均分子量が200から20000g/mol、好ましくは2000から4000g/molの範囲であるポリオールジカルボネートを得ることができる。
【0122】
本発明のためには、「ポリオール」および「多価アルコール」という語は、少なくとも二つの遊離ヒドロキシル基を有するあらゆる有機分子を意味するものとして理解すべきである。
【0123】
本発明に係る美容組成物の形成に有利に適する多価アルコールは、特に2から20の炭素原子、とりわけ3から10の炭素原子、そしてより詳細には4から6の炭素原子を含むものである。
【0124】
ポリオールは、例えばジオール二量体、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、および1,2,6−ヘキサントリオール;モノ−、ジ−またはトリプロピレングリコール(C−C)アルキルエーテル、およびモノ−、ジ−またはトリエチレングリコール(C−C)アルキルエーテルのようなグリコールエーテル(特に3から16の炭素原子を含むもの)、並びにその混合物から有利に選択することができる。
【0125】
これは、「ジオール二量体」、すなわち対応する二酸二量体の水素化により生成された飽和ジオールでも良い。
【0126】
ジオール二量体は二酸二量体の水素化により生成することができ、後者それ自体は特にCからC34の不飽和脂肪酸、例えば前述したもの、特にはC12からC22、そしてとりわけC16からC20、好ましくはC18の不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸およびリノール酸の二量化により得られる。
【0127】
より特に適しているポリオールは、単糖類、二糖類および三糖類から選択した糖である。これら糖類を特に例示すると、キシロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース、マンノースおよびグルコースのような単糖類、並びにその混合物がある。特に列挙し得る二糖類ポリオールとしては、マルトース、ラクトースおよびスクロース、並びにその混合物がある。
【0128】
本発明で使用し得るモノカルボン酸は、2から34の炭素原子、特に10から32の炭素原子を含む。
【0129】
本発明に適したモノカルボン酸を例示すると、特に
ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、およびテトラコサン酸のような飽和直鎖酸類、
イソブタン酸、イソペンタン酸、ピバリン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、ジメチルオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソヘプタデカン酸、イソオクタデカン酸、イソノナデカン酸、イソエイコサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−オクチルドデカン酸、2−デシルテトラデカン酸、2−ドデシルヘキサデカン酸、2−テトラデシルオクタデカン酸、2−ヘキサデシルオクタデカン酸、およびラノリンから得た長鎖脂肪酸類のような分岐鎖脂肪酸類、
ウンデセン酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、エライジン酸(elaidinic acid)、ガドレイン酸(gadolenoic acid)、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、およびアラキドン酸のようなCからC34の不飽和直鎖脂肪酸類、
2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシノナン酸、2−ヒドロキシデカン酸、2−ヒドロキシウンデカン酸、2−ヒドロキシドデカン酸、2−ヒドロキシトリデカン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシヘプタデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、2−ヒドロキシノナデカン酸、2―ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒドロキシドコサン酸、および2−ヒドロキシテトラコサン酸のようなヒドロキシ酸類、
環式酸、例えばシクロヘキサン酸、水素化ロジン、ロジン、アビエチン酸、水素化アビエチン酸、安息香酸、p−オキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、桂皮酸、p−メトキシ桂皮酸、サリチル酸、没食子酸、ピロリドンカルボン酸およびニコチン酸のような環状酸類、並びに、
オレンジ油、アボカド油、マカダミア油、オリーブオイル、水素化大豆油、ホホバ油、ヤシ油、ヒマシ油、小麦の胚芽油、サフラン油、綿実油およびミンク油並びにその混合物の脂肪酸のような天然由来の脂肪酸類
がある。
【0130】
これは特に脂肪酸、とりわけ上述したようなものである。
【0131】
本発明に使用し得るジカルボン酸は、1分子当たり少なくとも二つのカルボン酸基を含有すべきである。
【0132】
これは、特に次の一般式、HOOC−(CH−COOHで表すことができ、ここでnは1から16、好ましくは3から16の整数である。
【0133】
本発明に適したジカルボン酸の非限定例として、特にマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸、1,13−トリデカメチレンジカルボン酸、1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1,15−ペンタデカメチレンジカルボン酸および1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸、並びにその混合物を挙げることができる。
【0134】
ジカルボン酸は、二酸二量体でも良い。「二酸二量体」という語は、重合反応、特には少なくとも一つの不飽和脂肪酸、特には、例えば前述したようなCからC34までのもの、特にはC12からC22までのもの、とりわけC16からC20までのもの、好ましくはC18のもの、例えばオレイン酸およびリノール酸の分子間二量化により得られる二酸を示す。
【0135】
また、ポリエステルの脂肪酸エステルユニットが本発明に係るペースト状化合物の観点で所要の挙動を有するように選択した飽和または不飽和鎖の長さを備えているポリオールポリエステルは、ポリオールエステルとして最も特に適している。
【0136】
不飽和脂肪酸鎖は、通常分岐鎖であり、より詳細には12から約22、より特には約18から22の炭素原子を有する。
【0137】
より詳細に検討されている不飽和脂肪酸鎖は、一価不飽和および/または二価不飽和のC18脂肪酸類である。
【0138】
これらの長鎖を、より短い飽和脂肪酸鎖と組合わせることができる。後者は、一般に直鎖であり、2から約12、好ましくは6から約12、より好ましくは8から12の炭素原子を有する。
【0139】
一般に、これら脂肪酸エステルのエステル化度は、ポリオールのヒドロキシル官能化の約60%、より好ましくはポリオールのヒドロキシル官能化の約85%または実に95%がエステル化されるようなものである。
【0140】
不飽和長鎖脂肪酸エステルユニットに関しては、より詳細にラウロイル酸塩、ミリストレイン酸塩、パルミトレイン酸塩、オレイン酸塩、エライジン酸塩、エルカ酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、アラキドン酸塩、エイコサペンタエン酸塩およびドコサヘキサエン酸塩を挙げることができる。酸化に対する安定性の理由で、一価不飽和および二価不飽和脂肪酸鎖が好ましい。
【0141】
長鎖不飽和脂肪酸エステルユニットに関しては、より詳細にアラキン酸塩、ベヘネート、リノセレートおよびセロテートエステルを挙げることができる。
【0142】
短鎖飽和脂肪酸エステルユニットに関しては、より詳細にはアセテート、カプロン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩およびラウリン酸塩とすることができる。
【0143】
本発明に最も特に適する固形ポリオール脂肪酸ポリエステルとしては、より詳細に、エステル化脂肪酸部がリノール酸塩およびベヘネートであるオクタン酸ラフィノース、エステル化脂肪酸部がヒマワリ種子油脂肪酸およびリグノセリン酸塩由来であるへクタン酸マルトース、エステル化脂肪酸部がベヘネートおよびオレイン酸塩であるオクタン酸スクロース、並びにエステル化脂肪酸部がラウリン酸塩、リノール酸塩およびベヘネートであるオクタン酸スクロースを挙げることができる。
【0144】
かかる固形脂肪酸ポリエステルは、ポリオールポリエステルの調製に関して既に述べた方法により得ることができる。この点に関し、米国特許第5306516号、第5306515号、第5305514号、第4797300号、第3963699号、第4518772号、および第4517360号明細書を参照することができる。
【0145】
一実施形態において、本発明に係る組成物は、1から7の炭素原子を有する少なくとも一つのカルボン酸と、少なくとも4つのヒドロキシル基を有するポリオールとからなる少なくとも一つのエステルを備え、該エステルは例えば5000g/mol未満の分子量を有する。
【0146】
前記エステルは、好ましくは2000未満、より好ましくは1000未満、更に好ましくは900g/molより低い分子量を有する。また、該エステルの分子量は、100g/mol超過であるのが好ましい。
【0147】
かかるエステルは、それらを組み込んだ組成物の耐損耗性を高める点で興味深い。
【0148】
本発明に係るポリオールは、単糖類、ポリヒドロキシアルデヒド(アルドース)、またはポリヒドロキシケトン(ケトース)でも良く、それは環化若しくは環化されていない。ポリオールは、ヘミアセタール構造に環化された単糖類であるのが好ましい。
【0149】
ポリオールは、単糖類から誘導されたエリスリトール、キシリトールまたはソルビトールのようなポリオールでも良い。
【0150】
アルドースとしては、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルコース(または、環式ヘミアセタール構造の場合にはアルファ−D−グルコピラノース)、D−マンノースおよびD−ガラクトースを挙げることができる。
【0151】
ケトースとしては、D−キシルロースおよびD−フルクトース(または、環式ヘミアセタール構造の場合にはベータ−D−フルクトフラノース)を挙げることができる。
【0152】
ポリオールは、単糖類、または1から10の単糖類ユニット、好ましくは1から4、より好ましくは1から2の単糖類ユニットを有する多糖類でも良い。
【0153】
ポリオールは、好ましくはエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、グルコース、およびスクロースから選択される。
【0154】
本発明に係るポリオールは、好ましくは二糖類である。二糖類としては、スクロース(アルファ−D−グルコピラノシル−(1−3)−ベータ−D−フルクトフラノース)、ラクトース(ベータ−D−ガラクトピラノシル−1(1−4)−ベータ−D−グルコピラノース)、およびマルトース(アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−ベータ−D−グルコピラノース)を挙げることができる。
【0155】
ポリオールは、二つ以上の同一の単糖類ユニットまたは少なくとも二つの異なる単糖類ユニットからなる多糖類でも良い。本発明に係るエステルは、少なくとも二つの異なるモノカルボン酸または少なくとも三つの異なるモノカルボン酸で置換したポリオールからなっても良い。
【0156】
エステルは、本発明に係る二つのエステルを共重合する、特にi)ベンゾイル基で置換されたスクロースと、ii)アセチルおよび/またはイソブチリル基で置換されたスクロースとを共重合することにより得ることができる。
【0157】
かかるエステルは、極性基、特にヒドロキシル基を含まないのが好ましい。換言すれば、酸とポリオールとの間のエステル化反応中に、ポリオールの全てのヒドロキシル基と反応するのに十分な量で酸を加える。極性基は、例えば−COOH、−OH、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、−PO、−NHR、−NRから選択したイオンまたは非イオン極性基であり、ここでRおよびRは、任意に環を形成し、それぞれ直鎖または分岐鎖のCからC20のアルキルまたはアルコキシラジカルを示す。
【0158】
前記酸は、1から7の炭素原子、好ましくは1から5の炭素原子を有するモノカルボン酸であるのが好ましい。これは、特に酢酸、n−プロパン酸、イソプロパン酸、n−ブタン酸、イソブタン酸、3級ブタン酸、n−ペンタン酸および安息香酸から選択し得る。
【0159】
エステルは、少なくとも二つの異なるモノカルボン酸から得ても良い。
【0160】
一実施形態において、酸は非置換の直鎖または分岐鎖酸である。
【0161】
かかる酸は、酢酸、イソ酪酸および安息香酸から選択するのが好ましい。
【0162】
一つの好適な実施形態において、エステルは化学名としてスクロースジアセテートヘキサ(2−メチルプロパノエート)を有し、INCI名スクロースアセテートイソブチレートを有すことができる。
【0163】
本発明に係る美容組成物の形成に有利に適したペースト状化合物として、より詳細には、特にSIO社より販売されている精留水素化トリグリセリド;カールシェームス(Karlshamns)社より販売されている水素化植物油、水素化ヤシ油、カカオバター;SIO社より販売されている固形綿実油;およびイーストマンケミカル(Eastman Chemical)社より販売されているスクロースアセテートイソブチレートを挙げることができる。
【0164】
本発明に係る組成物に使用し得る他のペースト状化合物としては、ラノリンおよびラノリン誘導体、例えばアセチル化ラノリン、オキシプロピレン化ラノリンまたはイソプロピルラノレート、並びにその混合物を挙げることができる。しかし、ラノリンの量は、かかる化合物が時間と共に酸化する傾向があるかぎり、あらゆる不所望な作用、特に匂いに関する作用を避けるように調整される。
【0165】
ペースト状シリコン化合物として、高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)、特に8から24の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシタイプのペンダント鎖と、20−55℃の融点を有するもの、例えばダウコーニング(Dow Corning)社より商標名DC2503(登録商標)およびDC25514(登録商標)で販売されているステアリルジメチコン、並びにその混合物を挙げることができる。
【0166】
本発明の一変形例によれば、ロウまたはペースト状化合物タイプの固形物質を、液体脂肪相を組織化する際の効力で選択することができる。一般に、この点において適する化合物は、50℃以上、特には55℃以上、または実に55から150℃、そして実に60から130℃の範囲の融点を有する。
【0167】
ロウおよび特定のペースト状化合物の外に、ナイロン(登録商標)のような充填材も使用できる。
【0168】
一つの好適な実施形態によれば、本発明に係る組成物は、
少なくとも一つの炭化水素系植物油、例えばカノーラ油、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよび/またはそれらの混合物の一つと、
1から7の炭素原子を有する少なくとも一つのカルボン酸と、少なくとも4つのヒドロキシル基を有するポリオールとの少なくとも一つのエステル、特にスクロースジアセテートヘキサ(2−メチルプロパノエート)と、
少なくとも一つの水素化植物油と
を含有する。
【0169】
より具体的な実施形態によれば、本発明に係る組成物は、
約10から40重量%の炭化水素系植物油、特には非水素化植物油と、
約20から70重量%の1から7の炭素原子を有する少なくとも一つのカルボン酸と、少なくとも4つのヒドロキシル基を有するポリオールとのエステルと、
約10から40重量%の水素化植物油と
を含有する。なお、百分率は、前記化合物の混合物の総重量に対して表されている。
【0170】
かかる組成物は、更に、前述したようなロウ、染料および充填材から選択した少なくとも一つの化合物、例えば米デンプン並びにその混合物を更に含有し得ることは当然である。
【0171】
水性相
本発明のある形態によれば、本発明に係る組成物は、水性相を構成する少なくとも一つの水媒体を備え、これが該組成物の連続相を形成し得る。
【0172】
水性相は、水のみからなっても良い。
【0173】
また、これは、水と、水混和性の有機溶剤(25℃での水への混和性が50重量%超過)、例えばエタノールまたはイソプロパノールのような1から5の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコールまたはジプロピレングリコールのような2から8の炭素原子を有するグリコール、C−Cケトン並びにC−Cアルデヒドとの混合物とすることができる。
【0174】
一実施形態によれば、本発明での使用に適した美容組成物は、単純エマルジョン、油中水又は水中油滴形のエマルジョン、多重エマルジョン(水−油−水又は油−水−油)、若しくは逆エマルジョンの形でも良く、その使用は当業者に周知である。
【0175】
水性相(水、および、任意に水混和性有機溶剤)は、組成物の総重量に対して0.1重量%から25重量%の範囲、特には0.1重量%から20重量%、とりわけ0.1重量%から10重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0176】
更に、本発明の他の形態によれば、本発明に係る組成物は無水でも良い。
【0177】
本発明のためには、「無水組成物」という語は、組成物の総重量に対して10重量%未満の水、特には組成物の総重量に対して5重量%未満、とりわけ2重量%未満、そしてより詳細には1重量%の水を備える組成物を意味する。
【0178】
本発明に係る無水組成物は、水が無いのが有利である。
【0179】
染料
本発明に係る美容組成物は、一つ以上の染料、特に美容組成物に従来使用されている顔料または真珠を組み込み得るのが有利である。
【0180】
「顔料」という語は、水溶液に不溶で、対応する美容組成物を着色および/または不透明にするための白色または着色された無機または有機粒子を意味するものとして理解すべきである。
【0181】
本発明に使用し得る無機顔料として、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、および酸化亜鉛または酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、およびクロム水和物を挙げることができる。
【0182】
「真珠」という語は、あらゆる形態の虹色または非虹色に着色された粒子、特にある軟体動物の貝殻の中でまたは他の合成により製造され、光学干渉による色効果を有するものを意味すると理解すべきである。
【0183】
これら染料は、美容組成物の総重量に対して、0.01重量%から40重量%、特には0.1重量%から20重量%、そしてとりわけ0.5重量%から15重量%、または実に1重量%から10重量%の割合で存在する。
【0184】
本発明に係る組成物は、食料利用に認可された染料、特にコーデックス規格で言及されているもの、そしてより詳細にはその表1に記載されている物質を備えるのが有利である。
【0185】
特に、染料は、少なくとも二つの物質を含む染料とすることができ、該染料はコーデックス規格で言及され、またはコーデックス規格で言及された物質のみからなる。
【0186】
より具体的には、それはコーデックス規格で言及された物質のみからなる真珠、食料利用に認可され、コーデックス規格でも言及されているレーキ、およびコーデックス規格で認可された着色剤、並びにその混合物から選択された少なくとも一つの染料である。
【0187】
特に列挙し得る染料を示すと、酸化チタン及び酸化鉄のような無機顔料、水溶性または脂溶性の着色剤、例えばスーダンレッド、ベータカロチン、大豆油、アオゲイトウの絞り汁、紅色の二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノロンイエロー、DC赤色7番、DC緑色6番、DC黄色11番、DCスミレ色2番、DCオレンジ色5番、アマランスの三ナトリウム塩、タルトラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシンの二ナトリウム塩、キサントフィル、カンタキサンチン、カーマイン、エリトロシン、インジゴチン、およびリボフラビンがある。
【0188】
本発明の場合、コーデックス規格で言及されている物質よりなる真珠の選択が好ましい。
【0189】
特に列挙し得る真珠を示すと、チタンおよび/または酸化鉄で被覆されたマイカに基づく真珠、チタンおよび/または酸化鉄で被覆され、少なくとも一つの有機染料、例えばカーボンブラックで表面被覆されたマイカに基づく真珠、並びにアルミニウム、銀、および/または金で被覆され、必要に応じて少なくとも一つの有機染料で表面被覆されたマイカに基づく真珠がある。
【0190】
基材と、前述の表面被覆物とは食料利用に認可された物質であるのが有利である。例えば、TiOは参照E171で、酸化鉄は参照E172で、カーボンブラックは参照E153で、アルミニウムは参照E174で、そして金は参照E175で認可を得ている。
【0191】
かかる複合材料は、特にはメルク(Merck)社よりカンドゥリン(Candurin、登録商標)の名称で販売されている。
【0192】
レーキに関しては、カーボンブラック、食品医薬品局(FDA)による認証を受けたもの(例えばFD&C)を含む有機バリウム、ストロンチウム、カルシウム、またはアルミニウムレーキのような顔料、コチニールカーマイシンに基づくレーキ、または欧州特許出願公開(EPA)第542669号、第787730号、第787731号明細書、および国際公開第96/08537号パンフレットに記載されているジケトピロロピロール(DPP)を特に挙げることができる。
【0193】
本発明に最も適した「レーキ」型の顔料として、LCWセンシエント(Sensient)社よりFD&C黄色5番/E102、FD&C黄色6番/E110、FD&C青色1番/E132、FD&C赤色40番/E129、FD&C青色2番アルミニウムレーキ、FD&C黄色5番アルミニウムレーキ、FD&C黄色6番アルミニウムレーキ、FD&C青色1番アルミニウムレーキ、FD&C赤色40番アルミニウムレーキ、およびFD&C緑色3番アルミニウムレーキの名称で販売されているものを特に挙げることができる。
【0194】
FD&C青色1番アルミニウムレーキ、FD&C緑色3番アルミニウムレーキ、FD&C黄色5番アルミニウムレーキ、FD&C黄色6番アルミニウムレーキ、およびFD&C赤色40番アルミニウムレーキが最も有利である。
【0195】
レーキおよび真珠に関し、これらの染料が単純な従来のシェイド効果以外の効果、すなわち標準的な染料、例えば単色顔料によりもたらされるような統合安定化された効果を与えるのに特に有利である。
【0196】
本発明のために、「安定化された」という語は、見る角度によって色彩変動作用がないことを意味する。真珠および/またはレーキを用いて得られる効果は、金属光沢効果、特に鏡面、ソフトフォーカスおよび/またはレインボウ効果から選択される効果とすることができる。
【0197】
食料利用に特に認可されたもののような前述の着色剤の外に、前記組成物は他の有機または無機着色剤を明らかに備えても良い。
【0198】
すなわち、これらは有機顔料とすることができる。特に、以下の名称で知られているものを挙げることができる。
D&C青色4番、D&C茶色1番、D&C緑色5番、D&C緑色6番、D&Cオレンジ色4番、D&Cオレンジ色5番、D&Cオレンジ色10番、D&Cオレンジ色11番、D&C赤色6番、D&C赤色7番、D&C赤色17番、D&C赤色21番、D&C赤色22番、D&C赤色27番、D&C赤色28番、D&C赤色30番、D&C赤色31番、D&C赤色33番、D&C赤色34番、D&C赤色36番、D&Cスミレ色2番、D&C黄色7番、D&C黄色8番、D&C黄色10番、D&C黄色11番。
【0199】
有機染料は、有機担体、例えばコロフォニーまたはアルミニウム安息香酸エステルに支持された有機レーキとすることができる。
【0200】
特に列挙し得る有機レーキは、以下の名称で知られているものである。
D&C赤色2番アルミニウムレーキ、D&C赤色3番アルミニウムレーキ、D&C赤色4番アルミニウムレーキ、D&C赤色6番アルミニウムレーキ、D&C赤色6番バリウムレーキ、D&C赤色6番バリウム/ストロンチウムレーキ、D&C赤色6番ストロンチウムレーキ、D&C赤色6番カリウムレーキ、D&C赤色7番アルミニウムレーキ、D&C赤色7番バリウムレーキ、D&C赤色7番カルシウムレーキ、D&C赤色7番カルシウム/ストロンチウムレーキ、D&C赤色7番ジルコニウムレーキ、D&C赤色8番ナトリウムレーキ、D&C赤色9番アルミニウムレーキ、D&C赤色9番バリウムレーキ、D&C赤色9番バリウム/ストロンチウムレーキ、D&C赤色9番ジルコニウムレーキ、D&C赤色10番ナトリウムレーキ、D&C赤色19番アルミニウムレーキ、D&C赤色19番バリウムレーキ、D&C赤色19番ジルコニウムレーキ、D&C赤色21番アルミニウムレーキ、D&C赤色21番ジルコニウムレーキ、D&C赤色22番アルミニウムレーキ、D&C赤色27番アルミニウムレーキ、D&C赤色27番アルミニウム/チタン/ジルコニウムレーキ、D&C赤色27番バリウムレーキ、D&C赤色27番カルシウムレーキ、D&C赤色27番ジルコニウムレーキ、D&C赤色28番アルミニウムレーキ、D&C赤色30番レーキ、D&C赤色31番カルシウムレーキ、D&C33番アルミニウムレーキ、D&C34番カルシウムレーキ、D&C赤色36番レーキ、D&C赤色40番アルミニウムレーキ、D&C青色1番アルミニウムレーキ、D&C緑色3番アルミニウムレーキ、D&Cオレンジ色4番アルミニウムレーキ、D&Cオレンジ色5番アルミニウムレーキ、D&Cオレンジ色5番ジルコニウムレーキ、D&Cオレンジ色10番アルミニウムレーキ、D&Cオレンジ色17番バリウムレーキ、D&C黄色5番アルミニウムレーキ、D&C黄色5番ジルコニウムレーキ、D&C黄色6番アルミニウムレーキ、D&C黄色7番ジルコニウムレーキ、D&C黄色10番アルミニウムレーキ。
【0201】
本発明に係る組成物は、回折剤(diffracting agent)、ゴニオクロマト(色彩角度依存性)剤(goniochromatic agent)および/または反射粒子を含んでも良い。
【0202】
一実施形態によれば、本発明に係る組成物は、以前に定義した食品用化合物と見なされる染料を含む。
【0203】
より詳細には、染料は米国連邦規則集21編第1章73,74,および82節で与えられる仕様を有する染料から選択できる。
【0204】
一実施形態によれば、染料は総重量の少なくとも50重量%、より特には少なくとも75重量%、特には90重量%の以前に定義した「食品用化合物」よりなる。
【0205】
特定の実施形態によれば、これらの組成物は非食品用化合物を含まない。
【0206】
充填材
一般に、美容組成物は無機物または有機物由来の充填材も含む。
【0207】
言うまでもなく、上記に提案された化合物、特に着色剤としてのものがこの機能を一緒に満たすことができる。
【0208】
コーデックス規格により認可され、特にその表1で言及された非顔料の無機化合物が、本発明に最も適している。
【0209】
この点に関し、より詳細にタルク、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、米デンプンおよび炭酸水素マグネシウムを挙げることができる。
【0210】
添加剤
また、本発明に係る組成物は、美容および皮膚科学において添加剤として従来使用されていたあらゆる成分を備えることができる。
【0211】
これら添加剤は、コーデックス規格の表1に提示された食品添加剤、例えば酸化防止剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、酸性化または塩基性化剤、および保存剤、並びにその混合物から選択するのが有利である。
【0212】
本発明に係る組成物は、調味料および/または香料を含んでも良い。
【0213】
これら様々な成分の量は、その分野において検討されて従来使用されていたもので、例えば、組成物の総重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲である。
【0214】
言うまでもなく、当業者は、本発明に係る製品の有利な特性が、検討中の添加により悪影響を受けないかまたは実質的に与えられないようにこれら任意追加の化合物および/またはその量の選定に注意を払う。
【0215】
本発明に係る組成物はもちろん、美容または皮膚科学で従来使用されてきた調製方法により得ることができる。
【0216】
該組成物は、ペーストまたはクリーム状とすることができる。これは、乳濁液、特に水中油または油中水滴形の乳濁液、固形または軟無水ゲル、または緩んだ若しくは詰まったパウダーの形で二層構造でも良い。特定の一変形例によれば、それは乳濁液状である。
【0217】
前記組成物は、スティック若しくはデイッシュ状のように圧縮又は注型した固形状、またはペースト若しくは液状でも良い。
【0218】
組成物は固形状、すなわち例えばスティックまたはデイッシュとして特に注型または圧縮された硬い構造(その自重で流れない構造)であるのが有利である。
【0219】
本発明の特定の一変形例によれば、組成物は口紅またはリップクリームの形である。
【0220】
本発明に係る組成物は「液状グロス」の形でも良い。「液状グロス」、そして同様に「液体口紅」および「リップグロス」という語は、唇に塗布するための流体製品を示す。
【0221】
本発明に係る組成物は、着色若しくは無着色製品の形で、または対日光製品の形でも良い。これらは特に美容活性剤を含むことができる。そして、これらは唇の手入れまたは処理の下地、例えばリップクリームとして、唇を冷気および/または日光および/または風から保護するために使用することができる。
【0222】
本発明に使用し得る美容活性剤として、日焼け止め剤、ビタミンA,E,CおよびB3、例えばD−パンテノールのようなプロビタミン、例えばアルファ−ビサボロールのような鎮静活性剤、アロエまたはアラントイン、植物抽出物または精油、例えばセラミドのような保護または再構築剤、例えばメントールおよびその誘導体のような清涼活性剤、皮膚軟化剤(カカオバター)、保湿剤(アルギニンPCA)、しわ取り活性剤、および必須脂肪酸、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0223】
本発明の組成物は、任意に手入れまたは処理特性を有する唇メイクアップ品、例えば口紅またはリップグロスの形状とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0224】
以下の実施例は、限定ではなく、説明の目的で与えられる。
【0225】
実施例
実施例において、化合物は食料利用に認可された化合物から互いに無関係に選択される。一実施形態によれば、それらは独立して有利に、以上で定義したような食品用化合物にできる。
【0226】
以下の化合物を実施例で使用することができる。
ステパン(Stepan)社より商標NEOBEE M−5で販売されているカプリル/カプリン酸、
イーストマン(Eastman)社より商標Eastman SAIB−100で販売されているスクロースアセテートイソ酪酸エステル、
ネスレ(Nestle)社より商標Apricot Kernel Oil TypeCで販売されている脱臭杏仁油、
パラメルト(Paramelt)社より商標Micro Wax HWで販売されている微晶質ロウ、
ストラールアンドピッチ(Strahl&Pitsch)社より商標Ozokerite Wax SP1020で販売されているオゾケライト、
ストラールアンドピッチ(Strahl&Pitsch)社より商標Cerabeil Lor、Candelilla Wax SP75、およびCerauba T1で販売されているミツロウ、キャンデリラロウ、およびカルナウバロウ、
カールシェマン(Karlshamns)社より商標AKOGELで販売されている水素化植物油、
REMY社より商標Remy RDIで販売されている米デンプン、
カールシェマン(Karlshamn)社より商標AKOREX Lで販売されているカノーラ油、および
ステアリンリードゥボイス(Stearinerie Dubois)社より商標Myristate d’ isopropyle(DUB IPM)で販売されているミリスチン酸イソプロピル。
【0227】
以下の実施例により説明される口紅のスティックは、下記の手順で製造される。
【0228】
ロウ、ペースト状化合物および油を100℃で溶融する。酸化鉄および/またはアルミニウムレーキを含む下地顔料物質をそこに組み入れ、そしてその混合物を45分間撹拌する。撹拌期間の最後に、真珠および任意に香味料を添加する。その混合物を、42℃まで予熱した口紅の金型に注ぎ込む。次に、この金型の温度が2℃に達するまで金型を冷却機内に置く。その後、スティックを金型から取り出し、20℃で24時間貯蔵する。
【0229】
組成物の光沢、耐損耗性および被覆力に関する特性は、良好である。
【0230】
実施例1
口紅
その組成は以下の通りである。

【0231】
実施例2
口紅
その組成は以下の通りである。

【0232】
実施例3
口紅
その組成は以下の通りである。

【0233】
実施例4
口紅
その組成は以下の通りである。

【0234】
実施例5
口紅
その組成は以下の通りである。

【0235】
実施例6
口紅

【0236】
実施例7−13
以下の表1は、食品への使用が認可されたレーキおよび真珠を染料として組み込んだ7つの口紅の処方を示す。これらの染料は、特には食品産業の要求に適合するようにされている。これらは、幅広く認可された食品着色剤である二酸化チタンおよび/または酸化鉄と組み合わせた天然由来の食用ケイ酸塩だけからなる。
【0237】
口紅の組成物は、真珠とレーキとの様々な混合物と組み合わせて用いられる白質を含む。
【0238】
白質の組成は、以下の通りである。

【0239】
【表1】

カンドリン(Candurin)顔料は、メルク(Merck)社より販売されている。
【0240】
実施例14
コンパクトファンデーションの処方。

【0241】
実施例15
注型ファンデーションの処方。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの脂肪相を備え、総重量に対して少なくとも75重量%の食料利用に認可された化合物を備える少なくとも一つの美容組成物を、ケラチン質に触れるように塗布することを備えることを特徴とするケラチン質のメイクアップおよび/または手入れ美容方法。
【請求項2】
少なくとも一つの水性相を備え、総重量に対して少なくとも75重量%の食料利用に認可された化合物を備える少なくとも一つの美容組成物を、ケラチン質に触れるように塗布することを備えることを特徴とするケラチン質のメイクアップおよび/または手入れ美容方法。
【請求項3】
前記組成物が、その総重量に対して、少なくとも80重量%、特には少なくとも85重量%、とりわけ少なくとも90重量%、特には少なくとも95重量%、そしてより特には約100重量%の食料利用に認可された化合物を備える請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、油、ロウおよびペースト状脂肪物質、並びにその混合物から選択された少なくとも一つの化合物を含有する少なくとも一つの脂肪相を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、その総重量に対して、0.1重量%から99重量%、特には1重量%から90重量%、とりわけ5重量%から70重量%、特には10重量%から65重量%、より特には20重量%から60重量%のコーデックス規格で言及されている油を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記油が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、鯨油酸、リグノセリン酸およびネルボン酸、並びにその混合物から選択した少なくとも一つの脂肪酸からなる油から選択される請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、少なくとも一つの植物性炭化水素化油を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記油が、ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、ラッカセイ油、ババス油、ココナッツ油、ブトウ種子油、綿実油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、カラシ油、ヤシ油、菜種油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、小麦の胚芽油、カノーラ油、杏仁油、マンゴ油、ヒマシ油、シアバターノキ油、アボカド油、オリーブ油、甘扁桃油、桃仁油、くるみ油、へーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、髄油、ブラックカラント油、月見草油、粟油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油またはシアバター油およびカプリル/カプリン酸トリグリセリド、並びにその混合物から選択される請求項4から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、微晶質ロウ、オゾケライトおよびライスロウ並びにその混合物から選択された少なくとも一つのロウを備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、その総重量に対して、1重量%から50重量%、特には3重量%から40重量%、とりわけ5重量%から30重量%、そして特には7重量%から20重量%の食料利用に認可されたロウを備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、ポリオールエステルから選択した少なくとも一つのペースト状化合物を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、その総重量に対して、0.1重量%から25重量%、特には0.1重量%から20重量%、そして特には0.1重量%から10重量%の水性相を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が乳濁液状である前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が少なくとも一つの染料を備える前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記染料が、コーデックス規格で言及されている化合物、およびコーデックス規格で言及されている化合物からなる真珠、並びにその混合物から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物を皮膚および/または唇に塗布する前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、皮膚および/または唇用のメイクアップおよび/または手入れ用製品、特に口紅である前記請求項のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−501212(P2009−501212A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521023(P2008−521023)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052400
【国際公開番号】WO2007/007296
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】