説明

美容器具

【課題】液体を適量髪に吹き付けて整髪できるようにする。
【解決手段】ヘアドライヤにおける風洞1内の吐出口9側に、水Wを貯留するタンク17と、タンク17内を加圧するポンプ51を設ける。タンク17内の液体流路31の下流側端部には、開閉弁39とOリング41を順次設け、さらにその前方には液体吐出通路44aを備えるOリング押さえ44を取り付ける。ポンプ51を作動させることで、加圧された水Wが、空気流路35から液体流路31に空気を巻き込みつつ、開閉弁39を押圧してOリング41を弾性圧縮変形させて開弁させ、これにより開閉弁39の液体流通路43から液体吐出通路44aを経て微細化した水が噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を髪に吹き付けて髪のケア(お手入れ)を行う美容器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容器具として例えばヘアドライヤにおいては、乾いた熱風ばかりでなく、適宜液体を髪に吹き付けて整髪ができるようにしたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このヘアドライヤは、液体を吹き付けて使用する際に、外部に設けた押ボタンを押すことで、内蔵しているポンプによって、熱風吹出口近傍に設けてあるスプレーノズルから液体が噴射される。
【0004】
【特許文献1】実公昭51−32631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した従来のヘアドライヤは、手動によって押ボタンを押す毎に液体を噴射する構成であることから、液体が一気に多量に噴射される恐れがあり、髪がべたつくなどの課題がある。
【0006】
そこで本発明は、液体を適量髪に吹き付けて整髪できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、液体を貯留する液体貯留部及びこの液体貯留部内に圧力を付与する加圧部をハウジング内にそれぞれ設けるとともに、前記液体が流通する液体流路を前記液体貯留部内に設け、この液体流路の下流側の液体流出口に、前記加圧部によって加圧された液体が流通する液体流通路を開閉する開閉弁を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の美容器具であって、前記開閉弁は、前記加圧部によって加圧された液体により開放することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の美容器具であって、前記開閉弁は、前記液体流路の下流側の液体流出口での液体の圧力を受ける受圧部と、この受圧部が液体の圧力を受けて前方に移動することで開放する前記液体流通路とを有し、この開閉弁の前方に該開閉弁を閉じる側に押し付ける弾性体を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の美容器具であって、前記液体流通路は、前記液体貯留部内の液体流路よりも通路面積を小さくして複数設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の美容器具であって、前記複数の液体流通路の液体流出方向前方における液体流通路の中心線の延長線が互いに交差していることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1に記載の美容器具であって、前記開閉弁は、先端に液体の吐出口を備える先細のテーパ孔内に移動可能に収容される円錐形状の弁体からなり、前記テーパ孔の側面に前記液体流路の下流側端部を接続し、前記弁体を移動させることで前記テーパ孔と前記液体流路との連通遮断を行う弁開閉機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の美容器具であって、前記弁開閉機構は、前記弁体を前記テーパ孔から引き抜く方向に押し付けて前記テーパ孔と前記液体流路とを連通させる弾性体と、この弾性体の押し付け力に抗して前記弁体を前記テーパ孔に挿入する方向に移動させて前記テーパ孔と前記液体流路とを遮断させる操作部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項8発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の美容器具であって、前記液体流路に、前記液体貯留部内に形成される空気領域に一端が開口する空気流路の他端を連通接続し、前記加圧部の加圧時に前記空気流路から前記液体流路に空気を送り込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、加圧された状態の液体を、開放している開閉弁の流体流通路から吐出する構造としているので、押ボタンを押すことで内蔵ポンプによって液体を一気に吐出させる従来構造に比較して、液体の吐出量を抑えることができ、液体を適量髪に吹き付けて整髪することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、加圧された液体によって開閉弁を開放するようにしているので、弁構造としては簡素化したものとすることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、弾性体によって開閉弁を閉じることで、液体の漏れを抑えることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、複数の液体流路から吐出する液体を微細化することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、複数の液体流路から吐出する液体が互いに干渉しあうことで、液体をさらに微細化することができる。
【0020】
請求項6または7の発明によれば、弁閉塞機構を操作することで、必要時に液体の吐出停止動作を行うことができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、液体流路を流れる液体に空気が混入するので、流体流通路から流出する液体をより微細化して噴霧化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す美容器具であるヘアドライヤの一部を省略した側面断面図、図2は、図1のA矢視図である。このヘアドライヤは、中空筒状のハウジングとしての風洞1を備えるとともに、風洞1の長手方向一方の端部外周に把持部3を備えている。
【0024】
風洞1内の前記した把持部3を備えた側には送風手段である送風ファン5を備え、送風ファン5の回転駆動により、風洞1の一方の端部に設けた吸入口7から風洞1内に空気を吸い込み、他方の端部に設けた吐出口9から風洞1外に空気を吐出して送風する。送風ファン5は、モータ11及び、モータ11によって回転する羽車13をそれぞれ備え、これらがファンシュラウド15を介して風洞1の内壁に取り付けられている。
【0025】
風洞1内の吐出口9の中心位置には、液体貯留部としてのタンク17を設置し、このタンク17内に液体である水Wを貯留している。タンク17は、風洞1の前端部と前面がほぼ同一面となっている円板状の端板19と、端板19の送風ファン5側に、端板19側が開口している円筒カップ状のケース21とを備え、端板19の外周部に複数の支持具23を介して風洞1の内壁に取り付けられている。
【0026】
図3は、上記図1におけるタンク17を拡大した断面図である。端板19の中心位置の内面には、液体配管25の一端を接続し、これら端板19と液体配管25とを一体的に構成している。液体配管25は、端板19に対し直角方向に延びる下流部27と、下流部27の端板19と反対側の端部から図3中で下方に延びる上流部29とを備え、これら下流部27及び上流部29内に液体流路31を形成している。
【0027】
また、下流部27の図3中で上部には、空気導入管33を接続し、空気導入管33内に形成される空気流路35の一端35aを液体流路31に連通接続する一方、他端35bをタンク17内の水Wの上方に形成される空気領域37内に開口させる。
【0028】
上記した液体配管25の上流部29の先端、すなわち液体流路31の水W内の開口31aは、タンク17の図3中で下部近傍に位置し、水Wの吸込口を構成している。一方、液体流路31の下流側端部の開口31bは、端板19の中心部に液体配管25と反対側の外部から凹となるよう形成してある空隙19aに開口して水Wの流出口を構成している。
【0029】
上記した空隙19aには、開閉弁39と、その前方に位置する弾性体としてのOリング41とを収容配置している。図4は開閉弁39の単体図で、(a)は液体流路31と反対側の水の吐出方向前方から見た正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0030】
上記図4に示すように、開閉弁39は円柱形状を呈し、その軸方向に貫通する液体流通路43を、水の吐出方向前方から見て円周方向に沿って複数(ここでは4個)等間隔に設けている。このような複数の液体流通路43は、タンク17内の液体流路31よりも通路面積を小さくしている。
【0031】
また、この複数の液体流通路43は、水の流入口43aが、水の流出口43bよりも開閉弁39の中心に対して遠い外周側に位置するように、一方の流入側端面39aと他方の流出側端面39bとの間で傾斜している。この傾斜によって、前記複数の液体流通路43の液体流出方向前方における液体流通路43の中心線の延長線が互いに交差していることになる。
【0032】
そして、上記した開閉弁39に対して流出口43b側に配置してあるOリング41は、流出口43bよりも外側における外周側の近傍の流出側端面39bに当接している。また、開閉弁39の流入側端面39aは、空隙19aの底部19bに閉弁時に当接している
また、上記した空隙19aを覆うようにして端板19の外側の面には、液体吐出通路44aを備えるOリング押さえ44を取り付けている。液体吐出通路44aは、空隙19aの中心位置にあって前記した開閉弁39の液体流通路43の通路面積より大きい通路面積を備えている。
【0033】
図3の閉弁状態の開閉弁39は、液体流路31内の水Wの圧力によりOリング41を押圧して弾性変形させ、後述する図5に示すように、空隙19aの底部19bから離反して開弁状態となる。
【0034】
また、端板19の上記した開閉弁39を取り付けた部位よりも図3中で上部には、液体注入口45を貫通させて設けてあり、この液体注入口45には、Oリング47を介して蓋49を着脱可能に取り付けている。
【0035】
一方、図1に示すように、風洞1の吐出口9近傍の上部内面には、加圧部としてのポンプ51を取り付けてあり、このポンプ51と前記したタンク17とを、空気供給管53によって互いに連通接続している。空気供給管53は、内部に形成してある空気供給通路55の流出口55aが、前記した端板19の近傍に位置し、かつ空気流路35の他端35bに一部が対向している。
【0036】
このように構成したヘアドライヤは、把持部3を手に持ち図示しない電源スイッチを操作することで、送風ファン5が回転駆動して送風空気を吐出口9から吐出させ人の髪に当てて使用する。
【0037】
このとき、上記のスイッチ操作と同時に、または別のスイッチ操作によってポンプ51が作動し、空気供給通路55からタンク17内に空気を送ってタンク17内を加圧する。
【0038】
タンク17内を加圧することで、この加圧力がタンク17内の水Wに付与され液体流路31を経て開閉弁39の流入側端面39aの中心部に作用する。すなわち、開閉弁39の流入側端面39aは、液体流路31の下流側の液体流出口での液体である水Wの圧力を受ける受圧部を備えている。
【0039】
そして、この受圧部が水Wの規定以上の圧力を受けると、開閉弁39がOリング41を押圧して弾性圧縮変形させ、図5に示すように開弁状態となる。すなわち、本実施形態では、液体流路31の下流側の液体流出口に、加圧部53によって加圧された液体である水Wが流通する液体流通路43を開閉する開閉弁39を設けたことになる。
【0040】
図5の開弁状態では、開閉弁39の流入側端面39aが空隙19aの底部19bから離反するので、液体流通路43の流入口43aが空隙19aに開口し、したがって液体流路31内の水Wが、空隙19aから開閉弁39の液体流通路43を通過して再度空隙19aに流出した後、液体吐出通路45aから外部に水が吐出される。
【0041】
この際本実施形態では、加圧された状態の水Wを、開放している開閉弁39の流体流通路43から吐出する構造であり、しかも液体流路31内の水Wが、通路断面積の小さい複数の液体流通路43を通ることになるので吐出側で微細化され、さらにこの複数の液体流通路43から流出する水相互が干渉することでさらに微細化され、水Wの吐出量を抑えることができて水Wを適量髪に吹き付けて整髪することができる。
【0042】
このとき、タンク17内の空気領域37の空気が、前記した加圧作用によって空気流路35から液体流路31に流出して水W中に混入するので、上記吐出される水Wは、より微細化して噴霧状となる。
【0043】
したがって、本実施形態では、上記したような微細化した霧を髪に噴射することで、従来のように多量の水が一気に噴射されて髪がべたつくなどの不具合を招くことなく整髪することが可能となる。
【0044】
また、加圧部53によって水Wが加圧された状態で、この加圧力を受ける開閉弁39がOリング41を押圧しつつ開放するので、簡素化した構造で開閉弁39の開閉動作を行うことができる。また、閉弁時には、Oリング41の押圧作用によって開閉弁39を空隙19aの底部19bに押し付け、流入口43aを閉止するので、開閉弁39から水漏れを抑えることができる。
【0045】
なお、本ヘアドライヤの使用形態によっては、空気流路35の空気導入口である他端35bが水W内に水没する場合も考えられるが、空気流路35の空気導入口が水W内に水没して液体流路31に空気を導入できない場合であっても、水Wへの加圧力で吐出する水Wの微細化は可能である。
【0046】
図6は、本発明の第2の実施形態を示す、前記図1に対応する断面図である。以下、第1の実施形態と異なる点を説明する。第2の実施形態は、タンク17を風洞1内の外周側に配置するとともに、加圧ポンプ51をタンク17の後方に配置し、タンク17の端板19をケース21よりも図6中で下方に突出させて風洞1の中心部にまで延長して延長部59を形成している。
【0047】
図7は、上記した延長部59付近を拡大した断面図である。この延長部59には、先細のテーパ孔59aを設け、その先端を水Wの吐出口59bとしている。テーパ孔59aには、該テーパ孔59aと同形状の開閉弁となる弁体61を移動可能に収容し、弁体61の後端には軸63を連結している。
【0048】
また、テーパ孔59aには、端板19内に形成してある液体流路64の下流側端部を連通させ、液体流路64の上流側端部はタンク17内の液体流路31に連通接続する。
【0049】
そして、上記した軸63には弁閉塞機構70を設けている。すなわち、軸63の後端付近にはフランジ65を設け、フランジ65と、軸63が貫通孔67aに移動可能に挿入された状態で弁体61側に配置してあるスプリング受け67との間に弾性体としてのコイルスプリング69を介装している。
【0050】
また、フランジ65と、軸63のさらに後端側にて相対移動可能で、かつ風洞1側に図示しない連結具によって固定してある押さえ板71との間に作動アーム73を配置する。作動アーム73は、中心部に軸63との間に隙間を形成するように軸63の直径より大きな内径を有する貫通孔73aを備え、この貫通孔73aに軸63を移動可能に挿入している。
【0051】
上記した作動アーム73の端部には回動支持ピン75を介して連結アーム77の一端を回動可能に連結し、連結アーム77の他端は、図6に示すように、回動支持ピン79を介して操作アーム81の一端を回動可能に連結する。
【0052】
操作アーム81は、風洞1に設けてある開口1aに移動可能に挿入し、この開口1a内にて支持ピン85によって中心部が回転可能に風洞1に支持され、他端を風洞1の外部に突出させてこの突出部を操作部81aとしている。
【0053】
したがって、本実施形態では、図7(a)に示すようにコイルスプリング69によってフランジ65を押圧して作動アーム73を押さえ板71との間に挟持した状態では、弁体61は、その後端がスプリング受け67に当接してテーパ孔59aの内面との間に液体流通路としての隙間85が形成され、この隙間85に液体流路64が連通した状態となる。
【0054】
一方、図7(a)の状態から、操作部81aを図6中で矢印C方向に押し付けて操作アーム81を図6中で時計回り方向に回転させると、連結アーム77が後退移動するに伴って作動アーム73が、図7(b)のように、押さえ板71に連結アーム77側の一方の面が支持された状態で、他方の面にてフランジ65を端板19の延長部59側に押圧して軸63をテーパ孔59aに向けて移動させる。
【0055】
この軸63の移動によって軸63と一体の弁体61はテーパ孔59aの内面に密着し、液体流路64とテーパ孔59aとが遮断される。この遮断状態から操作部81aに対する押し付け状態を解除すると、コイルスプリング69の弾性力によって弁体61を後退させて図7(a)の開弁状態に戻る。
【0056】
なお、弁体61は、常時は開弁状態となるが、弁体61の外周側の隙間59aが極めて狭いので、ポンプ51が作動していなければ、吐出口59bからの水漏れの心配はない。
【0057】
本実施形態では、図7(a)のように、常時は弁体61が開弁状態であり、この状態で、第1の実施形態と同様にして電源スイッチを操作して送風ファン5を作動させるとともにポンプ51を作動させることで、タンク17内が加圧され、内部の水Wが液体流路31,64を通してテーパ孔59aの隙間85に流出し、吐出口59bから吐出される。
【0058】
この際本実施形態では、加圧された状態の水Wを、開放している弁体61の流体流通路である隙間85から吐出する構造であり、しかも液体流路31,64内の水Wが、弁体61の外周の狭い環状の隙間85から外部に吐出されるので微細化され、したがって水Wを適量髪に吹き付けて整髪することができるという、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態においても、タンク17内の空気領域37の空気が、前記した加圧作用によって空気流路35から液体流路31に流出して水W中に混入するので、上記吐出される水Wは、より微細化して噴霧状となる。
【0060】
このように第2の実施形態においては、ヘアドライヤを使用して水を噴射している状態から、必要時において適宜操作部81aを操作することで、水の噴射を停止することができ、使い勝手が向上する。
【0061】
なお、上記した第2の実施形態では、水の噴射を行う際に、操作部81aを手動で操作しているが、モータなどを利用して電動により弁体61を閉じるようにしてもよい。
【0062】
また、上記とは逆に、常時は弁体61が閉じ、操作部の操作によって弁体61が開くような機構も採用できる。この場合には、コイルスプリングにより弁体61をテーパ孔59a内に押し込むようにしておき、この状態から操作部の操作によって弁体61をコイルスプリングの弾性力に抗して開弁方向に移動させることになる。
【0063】
したがって、この場合には、常時はテーパ孔59aが閉じているので、ヘアドライヤを使用しないときでの吐出口59bからの水漏れを確実に防ぐことが可能となる。
【0064】
図8は、本発明の第3の実施形態を示す、美容器具であるヘアアイロンの斜視図、図9は同側面図、図10は、図9のD−D断面図である。この実施形態は、上記したヘアアイロンに、図1に示してあるタンク17と同等のタンク17Aや、図1に示してあるポンプ51と同等のポンプ51Aなど、水Wを微細化して噴射するための構成を適用している。なお、第3の実施形態では、前記図1に示した第1の実施形態と同様の構成要素には、同一の番号の後に、アルファベットの大文字Aを付して説明することとする。
【0065】
すなわち、このヘアアイロンは、ハウジングとしてのヘアアイロン本体87の基端部と挟持板89の基端部とが回動支持部91にて回動可能であって先端側が開閉可能であり、その先端側の互いに対向する面に加熱板93と加熱板95とをそれぞれ設けている。そして、この加熱した状態の各加熱板93,95相互間に髪を挟むことで髪のケア(お手入れ)を行う。
【0066】
このようなヘアアイロンには、図10に示すように、その長手方向ほぼ中央位置の幅方向(図10中で上下方向)両側に、側方に突出する一対の膨出部97を設け、この各膨出部97内に前記したタンク17Aをそれぞれ収容配置している。
【0067】
タンク17Aは、端板19Aを膨出部97に設けた開口97aに露出させた状態で取り付けている。この開口97aは、加熱板93を設けてある前方側(図9中で左側)に向けて開口している。
【0068】
そして、タンク17A内には、第1の実施形態と同様にして、液体流路31Aを有する液体配管25A及び、液体流路31Aに連通接続する空気流路35Aを有する空気導入管33Aを、それぞれ収容配置している。また端板19Aには、空隙19aA内に弁体39A及びOリング41Aを設けるとともに、その前方にはOリング押さえ44Aを設けている。
【0069】
また、前記したポンプ51Aは、タンク17Aと回動支持部91との間のヘアアイロン本体87内に設けており、このポンプ51Aとタンク17Aとを、内部に空気供給通路55Aを備える空気供給管53Aによって互いに連通接続している。
【0070】
さらに、一対のタンク17Aの互いに対向する側の側部には、水Wをタンク17A内に注入するための注入管99の一端を接続し、注入管99の他端は、ヘアアイロン本体59内に形成してある注入空間101に接続している。そして、この注入空間101には、図示しないOリングを介して蓋49Aを着脱可能に取り付けている。
【0071】
ここで、上記した注入管99及び注入空間101は、ヘアアイロン本体87内に収納配置しており、蓋49Aの頭部は挟持板89に対向する側に露出しており、該頭部を掴んで蓋49Aを取り外すことができる。
【0072】
このような構成のヘアアイロンにおいては、ヘアアイロン本体87の側部に設けてある電源スイッチ103を操作することで、加熱板93,95が加熱され、該加熱された加熱板93,95相互で髪を挟持して使用する。
【0073】
このとき、上記のスイッチ操作と同時に、または別のスイッチ操作によって、第1の実施形態と同様に、ポンプ51Aが作動し、タンク17Aの水Wが加圧されて開閉弁39Aが開弁することで、微細化された水Wが液体吐出通路44aAから吐出されるので、多量の液体が一気に噴射されて髪がべたつくなどの不具合を招くことなく整髪することが可能となる。
【0074】
図11は、本発明の第4の実施形態を示す、美容器具であるヘアブラシの正面図、図12は、図11のE−E断面図である。この実施形態は、上記したヘアブラシに、図1に示してあるタンク17と同等のタンク17Bや、図1に示してあるポンプ51と同等のポンプ51Bなど、水を微細化して噴射するための構成を適用している。なお、第4の実施形態では、前記図1に示した第1の実施形態と同様の構成要素には、同一の番号の後に、アルファベットの大文字Bを付して説明することとする。
【0075】
すなわち、このヘアブラシは、ハウジングとしてのヘアブラシ本体105の先端側の外部表面105aに多数のブリッスル107を設けてブラシを構成しており、このブリッスル107を設けた外部表面105aの内側に前記したタンク17Bを収容固定している。
【0076】
そして、タンク17B内には、第1の実施形態と同様にして、液体流路31Bを有する液体配管25B及び、液体配管25Bに連通接続する空気流路35Bを有する空気導入管33Bを、それぞれ収容配置しており、その端板19Bを外部表面105aの内側に固定し、外部表面105aに設けた貫通孔105bにOリング押さえ44Aを挿入配置している。なお、貫通孔105bは、多数のブリッスル107を設けた領域のほぼ中心に設けてある。
【0077】
また、前記したポンプ51Bは、ヘアブラシ本体105の把持部105c内に一部が位置するようヘアブラシ本体105内に設けてあり、このポンプ51Bとタンク17Bとを、内部に空気供給通路55Bを備える空気供給管53Bによって互いに連通接続している。空気供給通路55Bのタンク17B側の端部には、タンク17Bからポンプ51Bへの水の逆流を阻止する逆止弁109を設けている。
【0078】
さらに、タンク17Bのポンプ51Bと反対側の図12中で上部には、水Wをタンク17B内に注入するための注入管111の一端を接続し、注入管111の他端はヘアブラシ本体105の先端部に設けて開口105dに連通させ、この開口105dに、図示しないOリングを介して蓋49Bを着脱可能に取り付けている。
【0079】
このような構成のヘアブラシにおいては、髪をブラッシングして髪のケア(お手入れ)を行う際に、ヘアブラシ本体105に設けてある電源スイッチ113を操作すると、電源ランプ115が点灯するとともに、第1の実施形態と同様に、ポンプ51Bが作動し、タンク17Bの水Wが加圧されて開閉弁39Bが開弁することで、微細化された水Wが液体吐出通路44aBから吐出されるので、多量の液体が一気に噴射されて髪がべたつくなどの不具合を招くことなく整髪することが可能となる。
【0080】
なお、前記した図8〜図10に示したヘアアイロン及び図11,図12に示したヘアブラシにおいても、前記図6,図7に示した第2の実施形態の弁体61を使用した構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す美容器具であるヘアドライヤの一部を省略した側面断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1におけるタンクを拡大した断面図である。
【図4】(a)は図3の弁体を拡大した正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図5】図3に対し弁体が開放した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す、図1に対応する断面図である。
【図7】図6の要部を拡大した断面図で、(a)は開弁状態、(b)は閉弁状態をそれぞれ示す。
【図8】本発明の第3実施形態を示す、美容器具であるヘアアイロンの正面図である。
【図9】図8のヘアアイロンの側面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を示す、美容器具であるヘアブラシの正面図である。
【図12】図11のE−E断面図である。
【符号の説明】
【0082】
W 水(液体)
1 風洞(ハウジング)
17,17A,17B タンク(液体貯留部)
31,31A,31B,64 液体流路
35,35A,35B 空気流路
37,37A,37B タンク内の空気領域
39,39A,39B 開閉弁
39a,39aA,39aB 開閉弁の流入側端面(受圧部)
41,41A,41B Oリング(弾性体)
43,43A,43B 液体流通路
44a,44aA,44aB 液体吐出通路
51,51A,51B ポンプ(加圧部)
59a テーパ孔
59b テーパ孔の吐出口
61 弁体(開閉弁)
69 コイルスプリング(弾性体)
70 弁開閉機構
81a 操作部
87 ヘアアイロン本体(ハウジング)
105 ヘアブラシ本体(ハウジング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体貯留部及びこの液体貯留部内に圧力を付与する加圧部をハウジング内にそれぞれ設けるとともに、前記液体が流通する液体流路を前記液体貯留部内に設け、この液体流路の下流側の液体流出口に、前記加圧部によって加圧された液体が流通する液体流通路を開閉する開閉弁を設けたことを特徴とする美容器具。
【請求項2】
前記開閉弁は、前記加圧部によって加圧された液体により開放することを特徴とする請求項1に記載の美容器具。
【請求項3】
前記開閉弁は、前記液体流路の下流側の液体流出口での液体の圧力を受ける受圧部と、この受圧部が液体の圧力を受けて前方に移動することで開放する前記液体流通路とを有し、この開閉弁の前方に該開閉弁を閉じる側に押し付ける弾性体を設けたことを特徴とする請求項2に記載の美容器具。
【請求項4】
前記液体流通路は、前記液体貯留部内の液体流路よりも通路面積を小さくして複数設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の美容器具。
【請求項5】
前記複数の液体流通路の液体流出方向前方における液体流通路の中心線の延長線が互いに交差していることを特徴とする請求項4に記載の美容器具。
【請求項6】
前記開閉弁は、先端に液体の吐出口を備える先細のテーパ孔内に移動可能に収容される円錐形状の弁体からなり、前記テーパ孔の側面に前記液体流路の下流側端部を接続し、前記弁体を移動させることで前記テーパ孔と前記液体流路との連通遮断を行う弁開閉機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の美容器具。
【請求項7】
前記弁開閉機構は、前記弁体を前記テーパ孔から引き抜く方向に押し付けて前記テーパ孔と前記液体流路とを連通させる弾性体と、この弾性体の押し付け力に抗して前記弁体を前記テーパ孔に挿入する方向に移動させて前記テーパ孔と前記液体流路とを遮断させる操作部とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の美容器具。
【請求項8】
前記液体流路に、前記液体貯留部内に形成される空気領域に一端が開口する空気流路の他端を連通接続し、前記加圧部の加圧時に前記空気流路から前記液体流路に空気を送り込むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の美容器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−136563(P2009−136563A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317251(P2007−317251)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】