説明

美容施術用貼付剤

【課題】顔のリフトアップ等を含むさまざまな美容効果を、苦痛を伴うことなく簡単確実に得ることができる美容用具としての美容施術用貼付剤を提供する。
【解決手段】貼付剤1は、黄土粉末及びその結合助剤を含む原料を焼成してなる、大きさ0.1〜10mmの焼成体2を含む。焼成体2の上面には、接着剤3を介して、焼成体2よりも拡幅の基板4が被覆されている。さらに、焼成体2の上方に装飾体6が付加され、装飾品としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容施術用貼付剤及びその製造方法に関し、より詳細には顔のリフトアップ等の美容効果に有効な貼付剤及びその製造方法にする。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の各部に装着して、痩身効果を発揮する美容用具が開発されている。特に、耳には、押圧や電気・磁気の刺激によって人体の各所へ作用するいわゆる「ツボ」が多く存在することから、耳ツボを刺激する用具が数多く開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、耳たぶに取り付けられる装飾本体に、耳に点在するツボを押圧する複数のピンと耳の上縁に係止する固定用ピンとを付設した痩身作用を有する耳飾りが記載されている。同じく、特許文献2に、耳の一部をはさむようにバネ状態に金属等で作られた耳に接する片面又は両面に小突起を付け、耳に接触しない部分に装飾を付した痩身作用を助長する耳飾が記載されている。これらの美容用具は、耳ツボを物理的に刺激するものである。
【0004】
特許文献3には、一定形状のリング部とカール部を備え、耳珠部及び耳部内にある耳つぼの胃点、肺点及び飢点を探測してこれを刺激し、ダイエット効果とアクセサリー機能を高める、ダイエット用イヤリングが記載されている。この特許によれば、アクセサリーの装着時に耳ツボの場所を探索しやすくなる機能が付加される。
【0005】
特許文献4には、帯状板の横断面の少なくとも一面を円弧,波形,凹面,凸面の内一種若しくはそれらの複合面に形成して反磁性を持たせる透磁率1.20以下の磁性体物質からなる身体装着用健康用品が記載されている。この美容用具は、磁気で耳ツボを刺激するものである。
【0006】
特許文献5には、飾り本体は電導性材料からなり、かつ前面は、電気化学列に応じて相対的な電位を有する材料から形成されている、耳介に存在する刺鍼点もしくは刺鍼線を刺激するための耳飾りが記載されている。この美容用具は、電気で耳ツボを刺激するものである。
【0007】
上記の押圧や電気・磁気で耳ツボを刺激する従来技術は、美容に関して主に痩身効果が期待される。しかし、顔のリフトアップやしわの改善といった広い意味での美容効果が得られるものは、未だ知られていない。美容効果を痩身用に限ってみても、耳ツボを押圧して刺激することは、一定の苦痛を伴う。電気・磁気による刺激は、実効性の点で問題が多い。しかも、これらの技術はすべて、耳ツボを的確に刺激しなれば、痩身効果が得られない。特許文献3のように耳ツボの刺激点を探索する技術も検討されているが、実効性に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平1−120840(痩身作用を有する耳飾り)
【特許文献2】特開昭55−99253(痩身作用を助長する耳飾)
【特許文献3】実用新案登録第3126179号(ダイエット用イヤリング)激するための耳飾り)
【特許文献4】特開2005−160703(身体装着用健康用品)
【特許文献5】特開平7−246228(耳介に存在する刺鍼点もしくは刺鍼線を刺
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、顔のリフトアップ等を含むさまざまな美容効果を、苦痛を伴うことなく簡単確実に得ることができる美容用具としての美容施術用貼付剤とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、以下の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、黄土粉末及びその結合助剤を含む原料を焼成してなる、大きさ0.1〜10mmの焼成体を含む美容施術用貼付剤を提供する。
【0011】
上記焼成体は、黄土粉末1重量部に対して結合助剤0.1〜10重量部を配合し、950〜1200℃の温度で焼成してなるものが好ましい。
【0012】
上記貼付剤は、前記焼成体の上面に、接着剤を介して、該焼成体よりも拡幅の基板が被覆されることが好ましい。
【0013】
上記貼付剤は、前記焼成体の上方に装飾体が付加されることが好ましい。
【0014】
本発明の貼付剤は、特に耳に貼付される。
【0015】
本発明の貼付剤は、特に頬、瞼、眉等の顔面筋肉のたるみ、むくみや緩みを防ぐ、顔面筋肉を持ち上げ又は引き締める、顔面のしわを減らす、ホウレイ線を変化させる、眼球を大きく見せる、目尻や眉毛を吊り上げるからなる群から選ばれる少なくとも一種の効能を有する。
【0016】
本発明は、また、黄土粉末及びその結合助剤を含む原料を焼成することを含む、大きさ0.1〜10mmの焼成体を含む美容施術用貼付剤の製造方法を提供する。
【0017】
上記製造方法は、前記黄土粉末1重量部に対して結合助剤0.1〜10重量部を配合し、950〜1200℃の温度で焼成することを含むことが好ましい。
【0018】
上記製造方法は、さらに、前記焼成体の上面に、接着剤を介して、該焼成体よりも拡幅の基板が被覆することを含むことが好ましい。
【0019】
上記製造方法は、前記焼成体の上方に装飾体を付加することを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の美容施術用貼付剤を例えば耳に貼付すると、しわの改善、顔のリフトアップ、ホウレイ線(小鼻の両脇から唇の両端に伸びる二本のしわ)の変化、小顔、目尻のアップ、目を大きく見せる等、美顔効果が顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施態様の貼付剤の側断面である。
【図2】図1の貼付剤の平面図である。
【図3】本発明の別の実施態様の貼付剤の平面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施態様の貼付剤の側断面図である。
【図5】本発明の貼付剤を、被験者の向かって左側の耳に使用したときの顔面写真である。
【図6】本発明の貼付剤を、別被験者の向かって右側の耳に使用したときの顔面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を用いて説明する。図1において、1が、本発明の美容施術用貼付剤(以下、「貼付剤」という)である。
【0023】
貼付剤1は、黄土粉末の焼成体2を必須成分とする。黄土は、韓国、日本の京都地方、中国北西部及びモンゴル地区、ヨーロッパや北米大陸の氷河周辺地域等に広く分布する黄褐色の風堆積物である。細孔性であり、乾燥時に塊状化していることが多い。鉱物成分として石英、雲母、長石等からなり、化学成分としてケイ酸、アルミナ、酸化カルシウム、含水酸化鉄(FeOOH)を多量に含む。黄土は、また、遠赤外線放射能を有することが知られている。
【0024】
黄土粉末の平均粒径は、通常、0.01〜100μmであり、好ましくは0.1〜10μmである。黄土の粉砕と粒度調整には、例えばボールミル、ロッドミル、ジェットミル等が用いられる。なお、黄土の平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定法等によって測定することができる。
【0025】
黄土粉末の焼結を促進するために、結合助剤が混合される。結合助剤は、黄土粉末を焼成体中に分散した状態で固定できるものであれば特に制限はない。例えば、アルミノケイ酸塩(カオリン等)、シリカゾル、アルミナゾル、リン酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウムが挙げられる。好ましくは、カオリンである。
【0026】
結合助剤の使用量は、黄土粉末1重量部に対して、結合助剤を通常、0.1〜10重量部でよく、好ましくは0.5〜10重量部である。結合助剤が0.1重量部より少ないと、黄土粉末の焼結が困難となる。逆に、10重量部よりも多いと、黄土の露出度が減って効果が減り、また、本発明の貼付剤が効果を奏するのに必要な量が過大となって現実的でなくなる。
【0027】
前記原料には、黄土粉末及びその結合助剤以外に、本発明の美容効果を阻害しない範囲で、分散剤、凝集剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、顔料等を添加してもよい。
【0028】
次に、上記原料を、常法に基づいて混練、成型及び焼成することにより、焼成体2を得る。混練工程では、上記原料100重量部に対して、水を通常0.5〜30重量部を添加し、ミキサー、ボールミル、ジェットミル等で均質になるまで混合する。
【0029】
上記混合物を、球、円板等の所望の形状に成型する。成型方法は、特に限定されず、加圧成形、押出成形、鋳込成形等を用いる。球状成型体(焼成体2の大きさとほぼ等価である)の大きさは、通常、0.1〜10mmでよく、好ましくは1〜2mmである。大きさが0.1mmより小さ過ぎると、本発明の美容効果が得られない場合がある。逆に、10mmよりも大き過ぎると、本発明の美容効果が飽和して、経済的でない場合がある。
【0030】
上記成型体を、通常、1〜3日間乾燥後、適宜の手段で焼成する。上記原料の焼成温度は、通常、950〜1200℃でよく、好ましくは1000〜1100℃の温度である。焼成温度が950℃より低過ぎると、焼結が進まず、その結果、貼付剤が崩壊しやすくなる。逆に、1200℃より高過ぎると、本発明の美容効果が減少する可能性がある。焼成時間は、通常、10分〜1時間でよく、好ましくは20〜30分である。
【0031】
皮膚用貼付剤1は、その貼付の利便や定着のために、図1や2に示すように、焼成体2の上面に、接着剤3を介して焼成体2よりも拡幅の基板4が被覆されていることが好ましい。
【0032】
基板4は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックシートやフィルム、アルミ箔、チタン、形状記憶合金等の金属板、布等であり得る。プラスチックシートやフィルムは、透明、半透明、不透明のいずれでもよい。基板4の形状は、特に制限されない。例えば、長方形、正方形等の矩形や丸形、楕円形等の円形が挙げられる。好ましくは、丸形である。基板4の大きさは、焼成体2の大きさの約1.2〜20倍でよく、好ましくは5〜10倍である。基板4の大きさは、具体的には、3〜10mmでよく、好ましくは5〜7mmである。
【0033】
基板4は、皮膚と接する面に、一個以上の突起部(図示せず)を備えてもよい。突起がツボを刺激することにより、本発明の美容効果がより一層発揮される。突起部の長さは、通常、1〜3mm、好ましくは1.5〜2.5mmである。
【0034】
基板4の焼成体と相対する面に接着剤3を塗布する。接着剤3は、基板4と焼成体3との接着に用いられる。さらに、基板4の焼成体2からはみ出た部分において、貼付剤使用時の基板4と皮膚との接着にも用いられる。なお、貼付剤1の未使用時に、接着剤3が乾燥しないように、基板4の下面は、図3に示すように、シリコーンコート紙のような離型紙5で適宜被覆される。
【0035】
前記焼成体2や基板4の上面の外部から見える所は、適宜、着色してもよい。肌色の着色は、貼付剤1の使用が不鮮明になる点で有利である。
【0036】
図4に示すように、前記焼成体2や基板4の上面の外部から見える所に、装飾体6を付加してもよい。装飾体6は、貼付剤1にアクセサリー機能を付加する。これにより、本発明の貼付剤の使用時の外観や違和感が改善される。
【0037】
上記装飾体6は、装飾性のあるものであれば特に制限はない。例えば、人造又は天然の宝石、金、銀等の貴金属、ガラス、セラミクス、プラスチック、木等が挙げられる。これらの装飾体は接着等の適宜の手段で固着される。
【0038】
本発明は、また、上記貼付剤を含む美容施術キットを提供する。このキットには、消毒液、ポーチ等が含まれる。
【0039】
次に、本発明の貼付剤の使用方法と効能を説明する。本発明の貼付剤を貼付する身体の位置は、特に限定されない。例えば、顔、耳、指、足等が揚げられる。
【0040】
本発明の貼付剤の使用時間に、特に制限がない。通常、貼付後、約10分後には美容効果が現れ、貼付している間、効果が持続する。
【0041】
ヒトの体には、押圧や電気・磁気の刺激により各種効果を発揮するいわゆる「ツボ」がある。特に、耳にはツボが集中している。本発明の貼付剤の作用は、従来の押圧や磁気による刺激とは異なるが、本発明においても、耳等にあるツボに貼付することで美容効果が一層顕著になる。
【0042】
耳、好ましくは耳のツボ、特に好ましくは耳たぶに貼付したときの本発明の美容効果は、頬、瞼、眉等の顔面筋肉のたるみ、むくみや緩みを防ぐ、顔面筋肉を持ち上げ又は引き締める、顔面のしわを減らす、ホウレイ線を変化させる、眼球を大きく見せる、目尻や眉毛を吊り上げることからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例と比較例を用いて、本発明をより一層詳細に説明する。
1.貼付剤の作製
表1に示す割合で、正確に秤量して混合した。
【表1】

【0044】
この原料を用いて、平均粒径が1.1μmになるまで粉砕した。上記粉砕物100重量部に水10重量部を添加後、外径1mmの球状に成型した。この成型体を常温で3日間放置して、乾燥させた。乾燥した成型体を温度1000℃で1時間、焼成した。図4に示すような上面に模造宝飾品を添付した外径5mmのプラスチックシートの下面に接着剤を塗布後、上記焼成体を貼り付けて、離型紙で保護した。
【0045】
2.貼付剤の効能試験
上記貼付剤を年齢23〜72の女性100名(平均年齢35歳)の耳に貼付することにより、貼付剤の美容効果を測定した。具体的には、以下の手順で試験した。本発明の貼付剤を離型紙から剥がし、被験者のいずれか片方の耳たぶへ4個貼付した。もう一方の耳の同じ所には、プラセボ(同じ形状であるが焼成体を貼り付けていない、模造宝飾品のついたプラスチックシート)を貼付した。なお、被験者には、試験時に本発明の貼付剤とプラセボの区別を伝えなかった。
【0046】
代表的試験者2名の試験片貼付後の顔写真を図5〜6に示す。まず、図5の被験者1は、向かって左側に本発明の貼付剤が使用されていた。被験者1の左半分は、右半分に比べて、目が大きくなり、目尻と眉がつりあがり、そして頬肉がリフトアップしていた。
【0047】
図6の被験者2は、向かって右側に本発明の貼付剤が使用されていた。被験者2の右半分は、左半分に比べて、目がやや大きくなり、そして頬肉にリフトアップ効果が顕著に見られた。
【0048】
被験者合計100名の効能を表2にまとめる。なお、この結果には被験者の体感も含まれている。
【0049】
【表2】

【0050】
表1に示すとおり、本発明の貼付剤は、比較例に比べて顕著な美容効果を奏した。特に、顔のリフトアップ、目尻が上がる、及び目が大きくなるという美容効果の改善度が顕著であった。
【符号の説明】
【0051】
1 貼付剤
2 焼成体
3 接着剤
4 基板
5 離型紙
6 装飾体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄土粉末及びその結合助剤を含む原料を焼成してなる、大きさ0.1〜10mmの焼成体を含む美容施術用貼付剤。
【請求項2】
前記黄土粉末1重量部に対して前記結合助剤0.1〜10重量部を配合し、950〜1200℃の温度で焼成してなる、請求項1に記載の美容施術用貼付剤。
【請求項3】
前記焼成体の上面に、接着剤を介して、該焼成体よりも拡幅の基板が被覆されている、請求項1又は2に記載の美容施術用貼付剤。
【請求項4】
前記焼成体の上方に装飾体が付加されている、請求項1〜3のいずれかに記載の美容施術用貼付剤。
【請求項5】
耳に貼付される、請求項1〜4のいずれかに記載の美容施術用貼付剤。
【請求項6】
頬、瞼、眉等の顔面筋肉のたるみ、むくみや緩みを防ぐ、顔面筋肉を持ち上げ又は引き締める、顔面のしわを減らす、ホウレイ線を変化させる、眼球を大きく見せる、目尻や眉毛を吊り上げる、からなる群から選ばれる少なくとも一種の効能を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の美容施術用貼付剤。
【請求項7】
黄土粉末及びその結合助剤を含む原料を焼成することを含む、大きさ0.1〜10mmの焼成体を含む美容施術用貼付剤の製造方法。
【請求項8】
前記黄土粉末1重量部に対して結合助剤0.1〜10重量部を配合し、950〜1200℃の温度で焼成してなる、請求項7に記載の美容施術用貼付剤の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記焼成体の上面に、接着剤を介して、該焼成体よりも拡幅の基板が被覆することを含む、請求項7又は8に記載の美容施術用貼付剤の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記焼成体の上方に装飾体を付加することを含む、請求項7〜9のいずれかに記載の美容施術用貼付剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40248(P2012−40248A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185342(P2010−185342)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510226691)株式会社アドーン (1)
【Fターム(参考)】