説明

美容機器

【課題】対電極部を人体の比較的炎症の起こりにくい場所に位置することが可能な美容機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る美容機器では、被施療部に貼着して当該被施療部に電流を出力
する電極部と、この電極部にパルスを出力するパルス出力部と、このパルス出力部に電流
を供給する電源部と、前記電極部と使用者の人体を介して導通する対電極部とを備え、イ
オン化溶液中に含まれるイオン化成分を前記パルス出力部からのパルスによって前記被施
療部へ導入する美容機器において、前記対電極部を使用者の耳に当接させるための耳装着
部を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化溶液中に含まれるイオン化成分をパルス出力部からのパルスによっ
て被施療部へ導入する美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔面に生じたシミや皺を改善する方法の一つとして、イオン化したビタミン類や
ミネラル分(以下、イオン化成分ともいう。)を肌に浸透させる方法が知られている。
【0003】
例えば、顔面のシミや皺が生じた部位(以下、被施療部ともいう。)に美容液を塗布し
たり、ペースト状やシート状のパックを被施療部に貼付したりすることで、美容液やパッ
ク中のイオン化成分を顔面皮膚に吸収させることができる。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、イオン化成分を単に浸透圧で皮膚に浸透させている
だけであり、皮膚の深部に至るまで効率良くイオン化成分を導入することはできなかった

【0005】
そこで、持続平流発生装置の出力端子に、薬液を含侵させた脱脂綿にて被覆した電極部
と、この電極部と逆の極性となる対電極部とをそれぞれ接続し、人体を介して電極部から
対電極部に向けて電流を導通することにより、前記脱脂綿に含浸させた薬液中のイオン化
成分を皮膚中に効率よく浸透させる美容機器が提案されている(例えば、特許文献1参照
。)。
【0006】
この美容機器によれば、イオン化成分と電子との間に働く引力や斥力を利用して、皮膚
の深部にいたるまでイオン化成分を導入することができ、皮膚に生じたシミや皺を改善す
ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−156475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の美容機器では、例えば図15を参照
すると、使用者が対電極部を人体の任意の位置に貼り付けることができるように構成され
ているため、使用者の体質や貼り付け位置によっては、対電極部と接触した皮膚がヒリヒ
リしたり、炎症を起こしたりするおそれがあった。
【0009】
また、対電極部は、皮膚に粘着して固定するよう構成しており、対電極部に配設された
ゲル状の粘着材が使用者に不快感を与えるおそれがあった。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、使用者が美容機器を装着すると
、対電極部は人体の比較的炎症の起こりにくい場所に位置することとなり、しかも、粘着
材を使うことなく人体に対電極部を掛止可能な美容機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る美容機器では、被施療部に貼着して当
該被施療部に電流を出力する電極部と、この電極部にパルスを出力するパルス出力部と、
このパルス出力部に電流を供給する電源部と、前記電極部と使用者の人体を介して導通す
る対電極部とを備えた美容機器において、前記対電極部を使用者の耳に当接させるための
耳装着部を備えることとした。
【0012】
また、本発明は、以下の点にも特徴を有する。
(1)前記耳装着部は、前記電源部を内蔵した本体ケースに設けられた耳掛部を有し、当
該耳掛部により前記本体ケースを使用者の耳に掛止可能としたこと。
(2)前記本体ケースは発音手段を内蔵すること。
(3)前記耳掛部に前記対電極部を設けたこと。
(4)前記発音手段からの音声を出力するイヤホンを前記本体ケースに設けたこと。
(5)前記イヤホンに前記対電極部を設けたこと。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対電極部を使用者の耳に当接させるための耳装着部を備えることとし
たため、人体の他の部位に比して炎症を起こしにくい耳部近傍に、粘着材を使用すること
なく対電極部を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る美容機器の外観、及び、電極部のA−A断面を示した説明図である。
【図2】本体ケースの腹面部に枢支した耳装着部の可動方向を示す説明図、及び、耳に装着した際の耳装着部の状態を示す説明図である。
【図3】本体ケース内に収容した本体基板の構成を示すブロック図である。
【図4】美容機器を装着して施療中の使用者を示した説明図である。
【図5】他の実施例に係る美容機器を装着して施療中の使用者を示した説明図である。
【図6】他の実施例に係る美容機器を装着して施療中の使用者を示した説明図である。
【図7】他の実施例に係る美容機器を装着して施療中の使用者を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態に係る美容機器は、被施療部に貼着して当該被施療部に電流を出力する電極
部と、この電極部にパルスを出力するパルス出力部と、このパルス出力部に電流を供給す
る電源部と、前記電極部と使用者の人体を介して導通する対電極部とを備えた美容機器に
おいて、前記対電極部を使用者の耳に当接させるための耳装着部を備えることを特徴とし
ている。
【0016】
このような美容機器は、例えば、イオン化溶液中に含まれるイオン化成分を前記パルス
出力部からのパルスによって前記被施療部へ導入するいわゆるイオン導入器として使用す
ることができる。
【0017】
また、本発明に係る美容機器は、前述のイオン導入器に限定されず、電気的な力を利用
した美容機器において適用され、例えば皮膚の老廃物等をイオンの力で導出させる、いわ
ゆるイオンクレンジング器にも好適であることはいうまでもない。
【0018】
ここで、被施療部の位置は、特に限定されるものではないが、例えばイオン導入器の場
合は顔面を挙げることができ、また、被施療部の施療対象は、シミ、皺、そばかす、日焼
け等である。また、本発明に係る美容機器を前述のイオンクレンジング器に適用した場合
には、施療部位は使用者が皮膚の老廃物を取り除きたい場所であり、施療対象は老廃物と
なる。
【0019】
また、電極部は導電性のある金属や樹脂で形成した電極板に、イオン化成分を含浸させ
た粘着材を貼付して構成している。この粘着材は電極板に固定していても良く、また、着
脱自在としても良い。
【0020】
そして、電極板を、イオン化溶液を含有する粘着材を介して皮膚(施療部位)にあてが
うことにより、電極板と皮膚との間の電位勾配によりイオン化成分が施療部位に浸透する
ようにしている。
【0021】
また、対電極部も電極部と同様に、導電性のある金属や樹脂で形成した対電極板を供え
ており、通電可能に構成しているが、電極板とは逆の極性となるようにしている。
【0022】
したがって、電極板から出力された電流は、粘着材を通り、人体を介して対電極板へ流
れることとなる。
【0023】
また、この際、電極部(電極板)からは、パルス(パルス電流)が出力されるようにし
ている。このパルスの振幅やデューティー比などの各条件は特に限定されるものではなく
、仕様や使用条件に合わせて適宜選択することができる。
【0024】
このパルスは、電源部から供給される電流を、パルス出力部で変換することにより形成
されるようにしている。
【0025】
そして、本発明の特徴的な構成は、対電極部を使用者の耳に当接させるための耳装着部
を備えたことにある。
【0026】
人体の耳は、比較的汗腺の数が少なく、汗をあまりかかない部位として知られている。
それゆえ、電極部より出力されたパルスが人体内を通らず、汗に濡れた体表面を導通して
しまう、いわゆる短絡やリークを効果的に防ぐことができる。なお、短絡は、皮膚表面を
刺激して、かゆみや炎症を起こすおそれのあるものとして知られている。
【0027】
耳装着部の形状は、耳に装着可能であれば特に限定されるものではなく、仕様や使用条
件に合わせて適宜設定することができる。
【0028】
耳装着部の好適な例としては、たとえば、前記耳装着部は、前記電源部を内蔵した本体
ケースに設けられた耳掛部を有し、当該耳掛部により前記本体ケースを使用者の耳に掛止
可能とすることができる。このような構成とすることにより、比較的重量のある電源部を
収容した本体ケースであっても、耳に掛けることができ、使用者は違和感なく本体ケース
を身につけて固定することができる。
【0029】
また、前記本体ケースは発音手段を内蔵することができる。ここで発音手段は、音を発
するものであれば特に限定されるものではなく、ブザーやチャイムで構わないが、任意の
音楽を再生することのできるミュージックプレイヤーなどとしても良い。
【0030】
発音手段を、例えばブザーやチャイムとした場合には、美容機器から使用者に対して発
せられる施術開始や施術終了の確認や警告等を、視覚に頼ることなく使用者に認識させる
ことができるとともに、発音手段を安価に形成することができる。
【0031】
また、発音手段を、例えばMP3プレイヤーのようなミュージックプレイヤーとした場合
には、施術中には、使用者に音楽等を聞かせて、より快適な使用感を与えることができる
。なお、この場合であっても、前述の確認や警告等を、視覚に頼ることなく使用者に認識
させるようにブザー音やチャイム音が発生されるようにすることが望ましい。
【0032】
また、前記耳掛部に前記対電極部を設けるようにしても良い。このような構成とするこ
とにより、発汗量の少ない耳に対電極部(対電極板)を確実に当接させることができ、し
かも、耳装着部を耳にしっかりと掛止させることができる。
【0033】
また、前記発音手段からの音声を出力するイヤホンを前記本体ケースに設けるようにし
ても良い。このように構成することで、周囲にできるだけ音声を漏らすことなく、使用者
に対して音声を認識させることができる。また、使用者の周囲に騒音があっても、使用者
は容易に音声を認識することができる。
【0034】
しかも、このイヤホンに、前記対電極部を設けることができる。イヤホンは外耳道に挿
入して使用するものであるから、例えば、イヤホンの筒状部の外表面に対電極板を配設し
て対電極部とすることにより、対電極板が耳(外耳道内壁)に接触することとなり、発汗
量のより少ない耳の穴内に対電極部(対電極板)を確実に当接させることができる。
【0035】
すなわち、対電極部による皮膚への刺激を効果的に抑制し、しかも、使用者が違和感を
感じることのない美容機器とすることができる。
【0036】
以下、本発明に係る美容機器の具体的な構成について、図面を用いながら詳説する。
【0037】
〔第1実施例〕
先ず、本発明に係る美容機器の一例を、図1〜図4を用いて説明する。図1(a)は、
本発明に係る美容機器Aの全体を示した説明図であり、図1(b)は、後述する電極部10
のA−A断面を示した説明図である。
【0038】
図1(a)に示すように、本発明に係る美容機器Aは、被施療部に当接させて電流を出
力する外観視略半円形状の電極部10と、同電極部10に送給するためのパルス電流を生成す
る外観視楕円形状の本体ケース20と、同本体ケース20から略U字状に延設された耳装着部
30とで構成しており、電極部10と本体ケース20とは導電性を有する電極接続ケーブル40で
接続している。
【0039】
電極部10は、図1(b)に示すように、外観の形状を保持するための化粧板11と、同化
粧板11と略同形状とし導電性を有する金属にて形成した電極板12と、イオン化溶液を含浸
させた状態で保持可能なイオン化溶液含浸粘着材13とを積層させて形成している。
【0040】
化粧板11は、導電性を有しない比較的軽量な合成樹脂にて形成しており、前述のイオン
化溶液含浸粘着材13が肌に粘着している際に、化粧板11の重みで肌から離脱しないように
している。
【0041】
電極板12は、本体ケース20から送給されるパルス電流をイオン化溶液含浸粘着材13へ流
す役割を担うものであり、その一部が電極接続ケーブル40と連結されている。
【0042】
イオン化溶液含浸粘着材13は、イオン化溶液を含浸させたゲル状の粘着材であり、一側
面を電極板12に当接し、他側面を被施療部に粘着させてイオン化溶液を皮膚中に浸透させ
る役割を担っている。
【0043】
次に、本体ケース20について説明する。図1(a)に示すように、本体ケース20は、略
楕円平板状に形成した外観を有するとともに、その一面側を外面部21とし、他面側を腹面
部22としている。
【0044】
外面部21には、電源を投入するための電源スイッチ23と、電源のON/OFFを示す電
源ランプ24と、電極部10の極性を反転させるための極性反転スイッチ25と、電極部10に送
給するパルス電流の大小を調整するための切替スイッチ26とを備えている。
【0045】
これらのスイッチを操作することにより、本体ケース20内に収容されている本体基板37
に信号を送り、美容機器Aの操作を行うことができるよう構成している。
【0046】
なお、この本体基板37については、後に図3を用いて説明する。
【0047】
一方、腹面部22には、本体ケース20のやや上方端部よりに突設した筒状部28を有するイ
ヤホン27が設けられている。
【0048】
筒状部28の表面には、前述の対電極板を配設して対電極部31を形成しており、この対電
極部31が外耳道の内壁に接触することにより、顔面に貼付した電極部10との間で人体を介
して通電することができるようにしている。
【0049】
また、腹面部22には、略U字状に形成した耳装着部30を回動自在に枢支している。具体
的な構成については図2に示す。
【0050】
図2(a)は、本体ケース20の腹面部22に枢支した耳装着部30の可動方向を示す説明図
であり、図2(b)は、使用者が本発明に係る美容機器Aを耳に装着した際の耳装着部30
の状態を示す説明図である。
【0051】
耳装着部30は、本体ケース20から斜め方向に延出した略直線状の立ち上がり部34と、同
立ち上がり部34の先端から緩やかな曲線を描くように折り返して形成した耳掛部35とを折
曲部36を介して構成している。
【0052】
そして、耳装着部30を耳に装着した場合、立ち上がり部34は、耳の付け根前方から耳の
付け根上部近傍に沿って配設され、折曲部36を介して耳の付け根上部から耳の付け根後方
に沿って配設されることとなる。
【0053】
それゆえ、折曲部36近傍や耳掛部35が、耳の付け根上部近傍や耳の付け根後方に掛けて
当接することとなるため、イヤホン27(対電極部31)を外耳道内壁に接触させた状態で、
本体ケース20を耳に固定することができる。
【0054】
そして、図2(a)にも示すように、耳装着部30は、本体ケース20の略中央で、本体ケ
ース20の長手方向に向けた枢軸32に枢支し、左右方向に向けて回動可能に構成している。
【0055】
従って、図2(b)に示すように、左右どちらの耳に電極部10を当接させた場合であっ
ても、本体ケース20は顎下から耳方向へ向けて前低後高状態に配設することができる。
【0056】
次に、図3を用いて本体ケース20の内部に収容した、美容機器Aを制御するための本体
基板37について説明する。図3は、本体基板37の構成を示すブロック図である。
【0057】
図3に示すように、本体基板37は、被施療部に電流を出力したり、後述する各回路を駆
動させたりするための電源部41と、同電源部41に接続され、美容機器Aの制御を行う制御
部42とを備えている。
【0058】
また、制御部42には、美容機器Aの電源のON/OFFを行うための電源スイッチ23と
、電極部10と対電極部31との極性を反転させるための極性反転スイッチ25と、電極部10よ
り出力する電流の大小を調節する切替スイッチ26と、美容機器Aの駆動状態を示す電源ラ
ンプ24とを接続している。
【0059】
さらに、制御部42には、電極部10にパルスを出力するパルス出力部43を接続しており、
制御部42からの信号に応じて、電源部41より供給される電流をパルスに変換して出力する
役割を担っている。
【0060】
このパルス出力部には、被施療部に貼着して当該被施療部に電流を出力する電極部10と
、前記電極部と使用者の人体を介して導通する対電極部31とが接続されている。
【0061】
また、制御部42には、音楽や効果音等を所定のデータ形式(例えば、MP3形式)で記
憶するためのメモリ44と、同メモリ44に記憶させたデータを読み出して音声信号に変換す
る発音手段としての音声再生部45とを接続しており、音声再生部45には同音声再生部45か
らの音声を出力するためのイヤホン27を接続している。
【0062】
そして、このような構成の本体基板37を有する美容機器Aによれば、以下の様な動作を
行うこととなる。
【0063】
まず、電源スイッチ23をON動作すると、電源部41より制御部42に電流が供給され、電
源ランプ24が点灯し、制御部42はパルス出力部43にパルス出力を指示する信号を送信する

【0064】
パルス出力部43は、制御部42からのパルス出力を指示する信号を受信すると、制御部42
を介して電源部41からの電流を受けてパルスに変換し、電極部10に出力する。
【0065】
パルスは、電極部10の電極板12からイオン化溶液含浸粘着材13を介して人体を通り、電
極部と反対の極性を有する対電極部31に導通することとなる。
【0066】
この際、電極部10のイオン化溶液含浸粘着材13からは、電極板12の極性と反対の極性を
有するイオン化成分が人体側へ向かって流れ、イオン化溶液含浸粘着材13と当接する被施
療部にイオン化成分を浸透させることとなる。
【0067】
また、制御部42は、メモリ44から音声データ(例えば、音楽データ)の読み出しを行い
、同音声データを音声再生部45に供給する。
【0068】
音声再生部45では、供給された音声データを音声信号に変換し、イヤホン27から音声(
例えば、音楽)を出力する。これにより、使用者は、音声や音楽を聴きながら施療を行う
ことができるのである。
【0069】
また、ここで、極性反転スイッチ25をON動作すると、制御部42は、パルス出力部43に
、電極部10と対電極部31との極性を入れ替える信号を送出する。
【0070】
これにより、イオン化溶液含浸粘着材13に含まれるイオン化成分のうち、極性反転スイ
ッチ25をON動作する前に被施療部へ向けて浸透させていたイオン化成分とは逆の極性を
有するイオン化成分を被施療部に向けて容易に浸透させることができる。
【0071】
また、切替スイッチ26をON動作すると、制御部42は、電源部41からパルス出力部43へ
送給する電流の大小を切り替え、電極部10から出力されるパルスの振幅が変更されること
となる。
【0072】
これにより、電極部10から被施療部へ向けて供給するイオン化溶液含浸粘着材13に含ま
れるイオン化成分の量を増減させることができる。
【0073】
このようにして施療を所定時間行うと、制御部42は、メモリ44に予め記憶させておいた
施療終了を知らせる音声データ(例えば、「施療が終了しました」の音声データ)の読み
出しを行い、この音声データを音声再生部45に供給する。
【0074】
音声再生部45では、音声データを音声信号に変換し、イヤホン27から施療終了を知らせ
る音声を出力することとなる。
【0075】
この音声を聞いた使用者は、電源スイッチ23をOFF動作することにより、電源部41か
ら供給される電流を遮断し、電極部10から被施療部へ向けて供給するイオン化成分の流れ
を止めることができる。
【0076】
次に、図4を用いて、本実施形態に係る美容機器Aの使用状態について説明する。図4
は、美容機器Aを装着して施療中の使用者Pを示した説明図である。
【0077】
図4に示すように、使用者Pは、美容機器Aの耳装着部30に形成した耳掛部35により本
体ケース20を使用者Pの耳に掛止すると共に、本体ケース20の腹面部22に突設したイヤホ
ン27を外耳道に挿入しており、また、電極部10を顔面Fの目元下の施療部に貼付して、施
療を行っている。
【0078】
なお、この際、イヤホン27の筒状部28には対電極部31が配設されており、この対電極部
31は使用者Pの外耳道内壁に接触した状態となっている。
【0079】
それゆえ、本実施形態に係る美容機器Aによれば、使用者Pが美容機器Aを装着すると
、対電極部31は人体の比較的炎症の起こりにくい耳に位置することとなり、対電極部31と
接触した皮膚がヒリヒリしたり、炎症を起こしたいりすることを防止できる。
【0080】
また、対電極部31は、粘着材を使うことなく人体に掛止することができるため、ゲル状
の粘着材が使用者に不快感を与えるおそれがない。
【0081】
しかも、電池など比較的重さのある電源部41を本体ケース20に収容し、この本体ケース
20を耳掛部35により使用者の耳に係止可能としているため、施療時に使用者Pが多少動い
ても、美容機器Aの着用状態が不安定になることがなく、電極部10が施療部から剥離した
り、美容機器Aを落下させてしまうことを防止できる。
【0082】
〔第2実施例〕
次に、他の実施形態としての第2実施例について図5を用いて説明する。図5は本発明
に係る美容機器Aの他の実施例を示した説明図である。なお、以下の説明において、前述
の構成と同様の部分については説明を省略する場合がある。
【0083】
図5にも示すように、本第2実施例では、美容機器Aを略眼鏡状としている点に特徴を
有している。
【0084】
具体的には、眼鏡の左右両側に配設したツルにあたる部位を本体ケース20と耳装着部30
とし、眼鏡の下部レンズフレームにあたる部位に左右2つの電極部10を配設し、眼鏡の鼻
当てにあたる部位に、制御部42、パルス出力部43、メモリ44、音声再生部45を収容してい
る。
【0085】
本体ケース20には、第1実施例と同様に、電源スイッチ23と、極性反転スイッチ25と、
切替スイッチ26と、電源ランプ24とを配設して使用者Pが操作可能に構成している。また
、本体ケース20の内部には、電源部41を収容している。
【0086】
本体ケース20の後方端部には、耳装着部30を延設しており、使用者Pの耳の付け根後方
に向けて略L字状に屈曲させて耳掛部35を形成している。
【0087】
この耳掛部35には、対電極部31が設けられており、前述の2つの電極部10との間で人体
(使用者P)を介して導通可能としている。
【0088】
このように、本第2実施例に示す美容機器Aによっても、使用者Pが美容機器Aを装着
すると、対電極部31は人体の比較的炎症の起こりにくい耳(耳の裏の付け根部分)に位置
することとなり、対電極部31と接触した皮膚がヒリヒリしたり、炎症を起こしたりするこ
とを防止できる。
【0089】
また、対電極部31は、粘着材を使うことなく人体に掛止することができるため、ゲル状
の粘着材が使用者に不快感を与えるおそれがない。
【0090】
しかも、電池など比較的重さのある電源部41を本体ケース20に収容し、この本体ケース
20を耳掛部35により使用者の耳に係止可能としているため、施療時に使用者Pが多少動い
ても、美容機器Aの着用状態が不安定になることがなく、電極部10が施療部から剥離した
り、美容機器Aを落下させてしまうことを防止できる。
【0091】
〔第3実施例〕
次に、他の実施形態としての第3実施例について図6を用いて説明する。図6は本発明
に係る美容機器Aの他の実施例を示した説明図である。
【0092】
第1実施例や第2実施例では、耳装着部30には耳掛部35を形成していたが、本第3実施
例では、図6にも示すように、耳装着部30は有しているが、耳掛部35を備えていない。そ
して、本体ケース20と耳装着部30はそれぞれ別体に形成している点に特徴を有している。
【0093】
具体的に説明すると、本第3実施例における使用者Pは、本体ケース20から延出する2
本の電極接続ケーブル40,40の先端に配設された電極部10,10を左右両方の目元に貼付する
一方、本体ケース20から延出する1本の対電極接続ケーブル61の先端に配設された略C字
状でクリップとして機能する耳装着部30を、耳介62の耳垂部63に挟着している。
【0094】
また、耳垂部63と接触する耳装着部30の端面には、対電極部31,31を配設しており、前
述の2つの電極部10との間で人体(使用者P)を介して導通可能としている。
【0095】
この図6に示すような構成によっても、本発明に係る美容機器Aを実現させることがで
き、しかも、対電極部31は人体の比較的炎症の起こりにくい耳(耳垂部63)に位置させる
ことができるため、対電極部31と接触した皮膚がヒリヒリしたり炎症を起こすことを防止
できる。
【0096】
〔第4実施例〕
次に、他の実施形態としての第4実施例について図7を用いて説明する。図7は本発明
に係る美容機器Aの他の実施例を示した説明図である。
【0097】
本第4実施例における美容機器Aは、第1実施例で示した美容機器Aと基本的な構成を
同じくするが、電極部10が顔面Fの略全体を覆っている点に特徴を有している。
【0098】
すなわち、本第4実施例における電極部10は、顔面F略全体にフィットするようなフェ
イスマスク形状としており、使用者Pの目部64,64と、鼻部65と、口部66とを露出するよ
うに露出孔67,67…(本第4実施例では4カ所)を形成している。
【0099】
このような構成とすることにより、電極部10に配設したイオン化溶液含浸粘着材13のイ
オン化成分を、顔面F略全体に浸透させることができる。
【0100】
また、使用者Pが美容機器Aを装着すると、対電極部31は人体の比較的炎症の起こりに
くい耳(本第4実施形態では外耳道)に位置することとなり、対電極部31と接触した皮膚
がヒリヒリしたり、炎症を起こしたりすることを防止できる。
【0101】
また、対電極部31は、粘着材を使うことなく人体に掛止することができるため、ゲル状
の粘着材が使用者に不快感を与えるおそれがない。
【0102】
しかも、電池など比較的重さのある電源部41を本体ケース20に収容し、この本体ケース
20を耳掛部35により使用者の耳に係止可能としているため、施療時に使用者Pが多少動い
ても、美容機器Aの着用状態が不安定になることがなく、電極部10が施療部から剥離して
しまうことを防止できる。
【0103】
上述してきたように、本実施形態に係る美容機器Aでは、シミや皺などが生じた被施療
部に貼着して当該被施療部に電流を出力する電極部(例えば、電極部10)と、この電極部
にパルスを出力するパルス出力部(例えば、パルス出力部43)と、このパルス出力部に電
流を供給する電源部(例えば、電源部41)と、前記電極部と使用者(例えば、使用者P)
の人体を介して導通する対電極部(例えば、対電極部31)とを備えたイオン化溶液含浸粘
着材13に含浸させたイオン化溶液中に含まれるイオン化成分を前記パルス出力部からのパ
ルスによって前記被施療部へ導入する美容機器において、前記対電極部を使用者の耳に当
接させるための耳装着部(例えば、耳装着部30)を備えることを特徴とする美容機器(美
容機器A)としているため、使用者が美容機器を装着すると、対電極部は人体の比較的炎
症の起こりにくい場所に位置することとなり、しかも、粘着材を使うことなく人体に対電
極部を掛止可能な美容機器とすることができる。
【0104】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形
態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に
係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であること
はもちろんである。
【0105】
例えば、図1に示した構成では、本体ケース20に接続する電極部10を一つだけ設けてい
るが、例えば、二つや三つなど複数個設けるようにしても良い。
【0106】
また、実施例1〜4では、主にイオン導入器について説明してきたが、本発明に係る美
容機器Aは、イオンクレンジング器としても勿論使用可能である。例えば、イオン化溶液
含浸粘着材13に替えて、クレンジング液や美容液等の薬液をしみこませた綿体を電極部10
の電極板12に貼付し、電極部10をプラス電位にし、皮膚側をマイナス電位にして使用す
ることにより、被施療部の老廃物を効率的に除去することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 電極部
13 イオン化溶液含浸粘着材
20 本体ケース
27 イヤホン
28 筒状部
30 耳装着部
31 対電極部
35 耳掛部
37 本体基板
41 電源部
42 制御部
43 パルス出力部
44 メモリ
45 音声再生部
62 耳介
63 耳垂部
A 美容機器
F 顔面
P 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部に貼着して当該被施療部に電流を出力する電極部と、この電極部にパルスを出
力するパルス出力部と、このパルス出力部に電流を供給する電源部と、前記電極部と使用
者の人体を介して導通する対電極部とを備えた美容機器において、
前記対電極部を使用者の耳に当接させるための耳装着部を備えることを特徴とする美容
機器。
【請求項2】
前記耳装着部は、
前記電源部を内蔵した本体ケースに設けられた耳掛部を有し、当該耳掛部により前記本
体ケースを使用者の耳に掛止可能としたことを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記本体ケースは発音手段を内蔵することを特徴とする請求項2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記耳掛部に前記対電極部を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の美
容機器。
【請求項5】
前記発音手段からの音声を出力するイヤホンを前記本体ケースに設けたことを特徴とす
る請求項3又は請求項4に記載の美容機器。
【請求項6】
前記イヤホンに前記対電極部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の美容機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−236087(P2012−236087A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198108(P2012−198108)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2007−341035(P2007−341035)の分割
【原出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】