説明

美容洗顔製品組成物

【課題】特定の視覚的属性を伴う強化された視覚的利益を皮膚にもたらす美容洗浄製品組成物を使用するための提供。
【解決手段】a)界面活性剤(但し、c)で規定する陰イオン性界面活性剤を除く)0.5〜90%;b)反射率の変化及び/又は不透明度の変化により規定される特定の一連の光学的特性を示し、沈積促進系と組み合わせて、本組成物を皮膚に塗布した場合、目的とする光学的特性のうち少なくとも1つを少なくとも5%変化させる、固形粒子状光修飾物質0.1〜35%;c)油又は皮膚軟化剤が分散されていて、特定量の陽イオン性ポリマーと特定量の陰イオン性界面活性剤とで希釈時に沈殿を形成する沈積促進系0.1〜25%;並びにd)ポリアルキレングリコール0.1〜90%とを含む美容洗浄製品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の視覚的属性を与えるために(例えば、反射率をある一定のパーセント値、向上させるために、及び/又はリンスオフ系で以前には不可能だった量で単位明白性又は明度を変化させるために)、リンスオフタイプの固形石鹸組成物から光修飾物質を与えることができる特定の沈積系を用いて、皮膚に対して強化された視覚的利益(光沢、輝き、色合い)を与える固形粒子状光修飾物質(例えば二酸化チタン、雲母など)を送達する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特定の沈積系(例えば、陽イオン性ポリマー/陰イオン性界面活性剤沈殿物)の使用により、及び/又は皮膚又は沈積基質において確実に粒子を分散させることにより(例えば凝集が殆ど又は全くない。)、この促進効果を達成する。本発明のある実施形態において、本沈積系は、油/皮膚軟化剤(エマルジョンとして個別に調製し、個別に調製したエマルジョンを別の時点で本組成物と混合するか;又は個別に添加し、本化合物の希釈時に粒子/油エマルジョンの一部となる。)を含有するが、必ずしも本沈積系が油/皮膚軟化剤を含有する必要はない。
【0003】
リンスオフタイプの組成物から、強化された光学的特性(光輝、白さ、知覚される、青色度対黄色度、又は赤色対緑色)を与えることは非常に困難である。これらの特性を与える光修飾物質は、容易には沈積せず、容易にすすぎ落とされ、簡単に凝集するので基質に対して効率的に送達されるために十分な分散状態にならない、つまり、あまりにも容易にすすぎ落とされる。
【0004】
本出願者らの、Zhangらに対する同時係属出願米国特許第10/241,401号(2002年9月11日出願)は、規定された、屈折率、厚さ、形状及び大きさの粒子を含有する個人用ケア処方物を開示している。この開示は、粒子それ自身の、大きさ、形状などがいかに沈積(及び、したがって光沢)を促進するかに関するものであるが、一方、強化された美白効果を与えるための、特定の沈積促進系(例えば、界面活性剤及び/又はポリマーのタイプに基づく。)及び、これらの目的とする特性を規定する値がある一定の絶対値又はパーセンテージ分変化する場合に具体的に目的とする光学的特性をもたらすものとして、このような沈積系を使用することは開示していない。この開示はまた、光学的特性を感知又は評価するのに必要とされる規定の変化値を与えるために、粒子がどのように基質(例えば皮膚)に対して適切に分散されなければならないか、ということを開示していない。
【0005】
Zhangらに対する米国特許第10/443,396号(2003年5月23日出願)は、光修飾物質の送達を促進するための構造化された有益物質を開示するが、同じく、特定の送達系を開示しておらず、粒子を分散させる必要性又はその様式も開示しておらず、感知される視覚的利益と関連する値(絶対値又はパーセンテージ)の変化を与えるために必要とされる組成物又は物質も開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第10/241,401号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/443,396号明細書
【0007】
思いがけなく、本出願者らは、今回、リンスオフタイプの系から特定の視覚的利益を与えるための、組成物及びこのような組成物を操作する方法の両方を見出した。これは、沈積促進系(例えば、ポリマー及び界面活性剤の相互作用を介して形成される沈殿を例えば特徴とするものであり、少なくとも本発明のある実施形態において、該沈積系はまた、油/皮膚軟化剤を含有する。)、特定の光学的特性(例えば、光沢、白さ、「青色」度)に関与する修飾物質を分散させ、所望する視覚的属性を与えるために送達することができる(つまり、感知される視覚的変化を得るために成分の絶対値又は%値を十分に変化させることによる。)。特定の成分を選択することにより、洗い流しタイプ/リンスオフタイプ系から以前に得ることができなかった視覚的属性の変化がもたらされる。
【0008】
とりわけ、ある態様において、本発明は、特定の視覚的属性とともに皮膚に対して強化された(変化した)視覚的利益を与えるための美容洗浄製品組成物を含み、この美容洗浄製品組成物は、
a)陰イオン性、非イオン性、両性及び陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される界面活性剤5.0重量%から約90重量%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%と;
b)特定の一連の光学的特性(例えば、光輝又は光沢(Δ光沢)、白さ(ΔL)、赤味もしくは緑味の程度(Δa)、黄色味もしくは青味の程度(Δb)、不透明度の変化を規定するもの。)を示し、沈積促進系と組み合わせて、該組成物を皮膚に塗布した場合に、目的とする視覚的属性(例えば、光沢、色合い)のうち少なくとも1つを少なくとも5%向上(つまり、5%の変化)させる(様々な光学的特性を反映する値は、規定したプロトコールに従い試験を行う前又は後に測定する。)固形粒子状光修飾物質0.1重量%から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%と;
c)沈積促進系(同じ濃度で使用される同じ界面活性剤及び同じ光修飾物質を含有しているが該沈積促進系を含有しない組成物と比較して、該沈積促進系は、該光修飾物質による目的とする、もしくは規定した視覚的属性(例えば光沢)の皮膚への送達を促進する。)0.1重量%から25重量%と;
d)親水性構造性分散剤(例えばポリアルキレングリコール)約0.1%から90%(好ましくは、液体の場合、0.1%から45%、固形石鹸の場合、0.1%から80%)と、を含有する。
【0009】
本沈積促進系は、必ずしも油/皮膚軟化剤を含有する必要はないが、好ましくは、これを含有する。
【0010】
述べたように、視覚的属性の変化は、絶対値又はパーセンテージで少なくとも5%の、少なくとも1つの成分の値(光沢値、a又はb値で規定される明度)の変化により評価し得る。以下の詳細な記述及び添付の請求項を読むことから、これら及びその他の態様、特徴及び長所が当業者にとって明らかとなろう。誤解を避けるために、本発明のある態様のあらゆる特性を、本発明の何らかの他の態様において利用し得る。下記の記述で与える実施例は、本発明を明らかにするためのものであり、本発明を実施例それ自体に限定するものではないことに留意されたい。
【0011】
実験例におけるものを除き、又は別段の指示がある場合を除き、本明細書中で使用する、成分の量又は反応条件を表す数字は全て、全ての場合において、「約」という用語で修飾されることを理解されたい。同様に、パーセンテージは全て、別段の指示がない限り、組成物全体の、重量/重量%である。「xからy」の形式で表される数値域は、x及びyを含むと理解されたい。特定の特性に対して複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で述べられている場合、異なるエンドポイントを組み合わせる範囲全てもまたもくろまれることを理解されたい。
【0012】
「含有する(comprising)」という用語が明細書又は請求項で使用される場合、具体的に列挙されないあらゆる項、段階又は特性を除外するものではない。温度は全て、別段の指定がない限り、摂氏温度(℃)である。測定は全て、別段の指定がない限り、SIユニットである。引用する文書は全て、要部において、参照により本明細書に組み込む。
【0013】
本発明は、リンスオフタイプの組成物からの目的とする視覚的値(例えば、反射率/光沢;不透明度/半透明性;白さ;青味;赤味)の送達を促進する、組成物及び方法に関する。具体的に、沈積促進系(沈積系の一部として油/皮膚軟化剤を含んでいても含んでいなくても良い。)を用いることにより、所望する属性又は外観を与えるために目的とする値を操作することができる。
【0014】
洗顔用洗浄剤、リンスオフタイプの入浴用洗浄剤及び固形石鹸を含む様々な形態から、属性の向上をもたらすことができる。
【0015】
具体的には、ある実施形態において、本発明のリンスオフタイプ組成物は、
a)界面活性剤又は界面活性剤の混合物5.0重量%から約90重量%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%と;
b)特定の一連の特性(例えば、白さ(ΔL))を向上させ、修飾物質に対して沈積促進系(例えば、ポリマーと界面活性剤との相互作用から形成される沈殿物)を組み合わせて、少なくとも1つの目的とする視覚的属性を少なくとも5%変化させる(この変化は、具体的な特性(即ち、Δ光沢は光輝に関連するか、又はΔLは白さに関連する。)を特徴づける絶対値又はパーセンテージ値の増減により規定され、評価は規定したインビトロ皮膚プロトコール試験を用いた後に行われる。)固形粒子状光修飾物質0.1重量%から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%と;
c)沈積促進系(該系(c)は、同じ濃度でいくつかの界面活性剤及び光修飾物質を含有しているが該沈積促進系を含有しない組成物と比較して、該修飾物質による目的とする視覚的属性の送達を促進するその能力により定義される。)0.1重量%から25重量%と;
d)親水性構造性分散剤0.1重量%から90重量%と、を含有する。
【0016】
少なくとも本発明のある実施形態において、本沈積促進系は油/皮膚軟化剤を含有する。
【0017】
一般に、使用する界面活性剤系も重要ではない。しかし、少なくとも1つの泡立つ陰イオン性界面活性剤が存在することが好ましい。
【0018】
界面活性剤は、製品形態に依存して、本組成物の0.5重量%から90重量%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%、さらにより好ましくは20重量%から70重量%のレベルで存在する。
【0019】
一般に、述べるとおり、本界面活性剤は、セッケン(純セッケン系を含む。)、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性/両性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0020】
一般的意味(即ち、脂肪族、アルカン又はアルケンモノカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアンモニウム塩)において、「セッケン」を使用する。使用し得るその他の界面活性剤は、Schwartz,Perry&Berch著「Surface Active Agents and Detergents」(I巻及びII巻)(このコピーを本明細書中に参照により組み込む。)で述べられている。
【0021】
固形石鹸には、純セッケン固形石鹸、主に(界面活性剤系の>50%)セッケンであり一部合成物を含む固形石鹸、主に合成物であり一部セッケンを含む固形石鹸、主に糖ベースの固形石鹸である固形石鹸、主にポリエチレングリコールベースである固形石鹸である固形石鹸などが含まれ得る。
【0022】
光修飾物質がターゲットとする視覚的属性に関して、これらの属性には、これらに限定されないが、皮膚の光沢、皮膚の明白性、皮膚の色合い、皮膚の輝き(skin glow)、皮膚の光輝(skin radiance)、皮膚の視覚的一様性、皮膚の均一性及びこれらの組合せなどの属性が含まれる。
【0023】
示されるように、粒子状光修飾物質は、沈積促進系と組み合わせて、目的とする視覚的属性の少なくとも5%の変化をもたらすべきであるが、ここで、5%の上昇とは、特定の属性に関連する様々な値(L、a、b、光沢など)(これらの属性は、該様々な値と結び付けられる(例えばLは「白さ」を指す。)。)のうち少なくとも1つを指す。
【0024】
具体的には、特定の測定成分(例えば、光沢値、L値、a値、b値)に対する値を用いることにより、及び粒子沈積促進系の適用の前後にこれらの成分の値を(例えば、インビトロ豚アッセイを用いて)測定することにより、向上度を評価する。したがって、例えば、光沢スコアが、5.5から7.8(又は逆)に変化する場合(光沢計で測定した場合)、光沢の%差異は41.8%である。同様に、「a」値(赤味の程度)が、2.3から0.8になった場合、これは、5%を超える、−1.5の絶対的低下となる。
【0025】
光修飾物質の沈積によりもたらされる視覚的利益は、皮膚表面の平坦域又は皮膚の皺部分のいずれかに向けることができる。
【0026】
本発明のある実施形態において、絶対値で、本発明の組成物(修飾物質を含み、沈積のない組成物とは異なり、さらなる沈積系を含む。)は、0±10「L」単位の範囲のΔL値(このL値は、プロトコールで述べられるように、Hunter Lab Color Meterにより規定される。)、0から約±300%の範囲の反射率の変化(光沢計から測定した光沢の変化により規定される。)及び約0から約±50%の範囲の不透明度の変化(60で割ったΔLとして定義される不透明度コントラストにおいて評価される。)を示す(少なくとも1つの値が修飾物質送達前の最初の値から少なくとも5%の変化をもたらす)ために、修飾物質を沈積させる。
【0027】
別の実施形態において、修飾物質の処方沈積により、皮膚の光沢、輝き又は同様の属性が変化し、約0から約±10L単位の範囲のΔL値、光沢における0から約±300%の変化の範囲の反射率の変化及び0±20%の範囲の不透明度の変化を示すように(ここで、Δa及びΔbは正常な皮膚の範囲内である。)、粒子状光修飾物質が沈積する。
【0028】
正常な皮膚の範囲を維持する、とは、Δa及びΔbが、それぞれ<2のΔa又はΔb単位であり、好ましくは1単位未満であることを意味する。繰り返すが、反射率、L又は不透明度のうち少なくとも1つにおいて5%の変化がなければならない。
【0029】
別の実施形態において、修飾物質の処方沈積により、皮膚の明白性、白さ及び/又は色合い又は同様の属性が得られ、本組成物は、±10L単位の範囲のΔL値、約0から約±10の範囲のΔa値、約0から約±10の範囲のΔb値及び約0から約±50%の範囲の不透明度の変化を示すように、粒子状光修飾物質を沈積させる。反射率は、正常な皮膚反射率範囲内である。この場合、これは、反射率の変化が≦10%であることを意味する。ここでは、述べたとおり、一般的なカラー属性に関心があるので、Δa及びΔb値により大きく焦点を当てる。
【0030】
さらに別の実施形態において、本処方物により、視覚的一様性、均一性、ぼかし、ソフトフォーカス又は同様の属性が得られ、本組成物は、±5L単位の範囲のΔL値、約0から約±100%(光沢単位)の範囲の反射率の変化及び約0から約±50の範囲の不透明度の変化(ΔL/60により規定される。)を示すように(ここで、Δa及びΔbは、正常な皮膚の色合いの範囲内(それぞれ、≦2のa又はb単位の変化)である。)、粒子状光修飾物質を沈積させる。
【0031】
重要なこととして、本処方物は、粒子及び/又は粒子タイプ及び/又は沈積促進物質の正確な組合せに依存して、1以上の効果/視覚的属性の組合せを得るように処方することができる。L又はa又はb又は光沢値を操作することによりこの種の特定の視覚的属性を得ることは、以前には洗い流しタイプの系からは不可能であった。
【0032】
具体的に、例えばΔL、Δa、Δbなどの範囲内で具体的に所望する光学空間に光学空間を調整することにより、何らかの個別の視覚的効果を得ることができる。特記すべきこととして、まだ明白でなければ、1以上の属性もしくはその組合せに対する効果を得るために範囲を操作することができる。
【0033】
本発明の構造化剤は、水溶性又は非水溶性構造化剤であり得る。
【0034】
水溶性構造化剤には、適切な融点(例えば40℃から100℃、好ましくは50℃から90℃)の中程度の高分子量ポリアルキレンオキシド、特に、ポリエチレングリコール又はその混合物が含まれる。
【0035】
使用するポリエチレングリコール(PEG)は、2,000から25,000、好ましくは3,000から10,000の範囲の分子量を有し得る。しかし、本発明のある実施形態において、50,000から500,000の範囲の分子量、特に100,000前後の分子量のポリエチレングリコールを幾分少な目に含むことが好ましい。このようなポリエチレングリコールは、固形石鹸の摩耗率を向上させることが分かっている。これは、それらの長いポリマー鎖が、使用中に固形石鹸組成物を湿らせる際も縺れたままであるからであると考えられる。このような高分子量ポリエチレングリコール(又は何らかの他の水溶性高分子量ポリアルキレンオキシド)を使用する場合、その量は、好ましくは、本組成物の1重量%から5重量%、より好ましくは1重量%又は1.5重量%から4重量%又は4.5重量%である。これらの物質は、一般に、分子量が2,000から25,000、好ましくは3,000から10,000の上述のポリエチレングリコールなど、多量のその他の水溶性構造化剤と一緒に使用する。
【0036】
非水溶性構造化剤もまた、通常、40℃から100℃、より好ましくは少なくとも500℃、とりわけ50℃から90℃の範囲の融点を有する。特に想定される適切な物質は、脂肪酸、とりわけ、12個から24個の炭素原子の炭素鎖を有するものである。例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸及びベヘン酸ならびにこれらの混合物が挙げられる。これらの脂肪酸の源は、ココナツ、トップドココナツ(topped coconut)、パーム、パーム核油、ババス及び獣脂脂肪酸及び部分硬化もしくは部分硬化脂肪酸又は蒸留脂肪酸である。その他の適切な非水溶性構造化剤には、8個から20個の炭素原子のアルケノール、特にセチルアルコールが含まれる。これらの物質は通常、20℃にて5g/リットル未満の水溶性を有する。
【0037】
セッケン(例えばステアリン酸ナトリウム)もまた、約1%から15%のレベルで使用することができる。このセッケンは、そのまま添加するか、又は、遊離脂肪酸に変換するために例えばNaOHなどの塩基を添加することによりインシトゥで作製することができる。水溶性構造化剤及び非水溶性構造化剤の相対的比率は、使用中に固形石鹸が摩耗する速度を左右する。非水溶性構造化剤が存在すると、使用中に水に曝露した際の固形石鹸の分解が遅くなる傾向があり、それ故、摩耗速度が低下する。
【0038】
固形石鹸において、20重量%から85重量%、好ましくは30重量%から70重量%で、構造化剤を使用する。
【0039】
水溶性とは、一般に、室温にて水中で化合物の1%以上が溶解することを意味する。
【0040】
本発明に対して使用し得る任意の光修飾物質は、無色及び有色の、有機物質及び無機物質から選択し得る。
【0041】
使用し得る物質の中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、着色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロムもしくは水和クロム、アルミナ、シリカ、ジルコニア、硫酸バリウム、ケイ酸塩、天然/アルカロイド(誘導体を含む。)ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウルトラマリン及び炭酸アルカリ土類などの、有機顔料、無機顔料、ポリマー及び充填剤が挙げられる。使用し得る物質は、タルク、絹雲母、雲母、合成雲母、有機及び無機分子で被覆された板状基質、オキシ塩化ビスマス又は硫酸バリウムなどの板状物質であり得る。粒子は、数種類の物質から構成され得る(色素、レーキ、トナーなど)。レーキは、例えば、固体への結合を促進するために水酸化アルミニウムを伴う色素である。蛍光、吸収又は銀化を介して色を生じさせることができる。すなわち、例えば化学的手段ではなくむしろ、光学的手段を介して修飾物質の色を生じさせる。
【0042】
光修飾物質はまた、D50<100ナノメートルのUVスクリーン物質でもあり得る(D50とは、粒子の50%の大きさが、この例において、<100nmであることを意味する。)。
【0043】
光修飾物質は、それらの物理的特性によっても規定し得る。例えば、光修飾物質を次のように広く規定し得る:
i)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
ii)球状、板状又は円筒型である形状;
iii)寸法:球状−0.1から200μm、平板状−1から200μm、円筒型−長さ1から200μm及び直径0.5から5μm;
iv)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ;
v)蛍光色、吸収色及び/又は干渉色(光学による色)を有し得る。
【0044】
とりわけ、光沢/輝き(glow)/光輝(radiance)の変化をもたらす粒子を次のように規定し得る:
i)1.8から4.0の屈折率を有する外面;
ii)板状又は円筒型である形状;
iii)寸法:球状−0.1から200μm(ミクロン)、平板状−10から200μm、円筒型−長さ10から200μm及び直径0.5から5.0μm;
iv)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ。
【0045】
皮膚の明白化/色合いをもたらす粒子を次のように規定し得る:
i)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
ii)球状又は板状である形状;
iii)寸法:球状−0.1から1μm、平板状−1から30μm;
iv)≦300ミクロンのD50である粒子サイズ;
v)蛍光色、吸収色及び/又は干渉色(光学による色)を有し得る。
【0046】
均一性又はソフトフォーカスを生じさせる粒子を次のように規定し得る:
i)1.3から2.0の屈折率を有する外面;
ii)球状、板状又は円筒型である形状;
iii)寸法:球状−0.1から200μm、平板状−1から10μm、円筒型−長さ1から10μm及び直径0.5から5.0μm;
iv)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ。
【0047】
言うまでもなく、本処方は、視覚的効果の組合せを生じさせるために、それぞれが特定の視覚的利益の特徴を有する粒子の混合物を含有し得る。
【0048】
最大の効果を得るための視覚的効果/属性に対して、本粒子は、皮膚上で良く分散されなければならず、知覚的な欠点がわずかであるか全くないものであるべきことも理解されたい。
【0049】
「よく分散される」とは、粒子が凝集しないこと及び粒子が皮膚表面にわたり容易に広がることを意味する。
【0050】
好ましい実施形態において、本粒子のうち、D50粒子サイズの10倍以上のサイズの凝集体であるのは、その30%未満である。これは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0051】
本粒子は、本組成物の約0.1から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%で使用する。
【0052】
沈積促進は、強化された視覚的利益(例えば、ΔL、Δaなどの変化において、及び所望する効果(例えば、光輝、色合いなど)を与えるために値を操作するための方法において、規定されるようなもの。)をもたらす粒子の送達にとって重要である。
【0053】
ある実施形態において、次のものを含有する沈積系により沈積がもたらされる:
a)電荷密度≧1Meq/グラムを有する陽イオン性ポリマー約0.1重量%から約10重量%、好ましくは0.1重量%から8重量%;及び
b)希釈時に陽イオン性ポリマーと沈殿を形成する陰イオン性界面活性剤約0.1重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から25重量%。
【0054】
形成された沈殿は、皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成するために剪断又は擦り込みにより破壊され得る綿状塊であり得る。
【0055】
このような界面活性剤の例には、C10−C24脂肪酸セッケン(例えばラウリン酸塩)、アルキルタウレート(例えば、ココイルメチルタウレートもしくは他のアルキルタウレート)、スルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、グリシン酸塩、サルコシン酸塩及びこれらの混合物が含まれる。
【0056】
所望する視覚的属性を送達する光修飾物質の沈積に重要である沈殿を形成するために、陽イオン性ポリマーが指示された電荷を有することが重要である。適切なポリマーは、陽イオン性グアーガム、合成陽イオン性ポリマー、陽イオン性デンプンなどを含む、修飾多糖類であり得る。
【0057】
使用される特定の陽イオン性ポリマーには、ポリクオタニウム6(例えば、Merquat(R)100又はSalcare(R)SC30)及びポリクオタニウム7(例えば、Merquat(R)2200又はSalcare(R)SC10)などのMerquat(R)ポリマー;グアーガム及び/又は誘導体(例えばJaguar CI7);四級化ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー(例えば、Gafquat(R)775);及びポリクオタニウム−16(例えば;Luviquat(R)FC550)が含まれる。
【0058】
ポリマー及びこれらの電荷密度の具体例を下表に列挙する。
【0059】
【表1】


【0060】
本発明のある実施形態において、沈積系は、油/皮膚軟化剤を含有する。沈積系の一部を構成し得る油/皮膚軟化剤は、例えば、シリコーン、ヒマシ油又はヒマワリ種子油であり得る。
【0061】
好ましくは、沈積系の一部を構成する、とは、沈積した粒子が油により封入/包囲され得、及び/又は沈積粒子が油/皮膚軟化剤中で乳化されるか又は水での希釈中に封入/包囲されるエマルジョン系の一部であり得ることを意味する。つまり、この油/皮膚軟化剤エマルジョンは、個別に調製し、別の時点で本組成物に添加することができるか、又は、個別に添加することができ、希釈中に粒子/油エマルジョンの一部となり得る。
【0062】
油中で懸濁されるこのような粒子の一例として、例えば、ヒマシ油中で懸濁されたオキシ塩化ビスマス(例えばRona(R)Biron Silver、ヒマシ油中70%固形縣濁液)が挙げられる。
【0063】
一般に、その他の沈積補助物質(例えば、光修飾物質粒子に対して)には、顆粒状陰イオン性ポリマー(例えば、デンプン、セルロース又はこれらの誘導体などのアルカロイドポリマー)が含まれ得る。即ち、沈積系がさらにこのような沈積補助物質を含有する場合、さらに沈積が促進される。上述のように、沈積系の一部として皮膚軟化剤を組み込むことにより、沈積系が強化される。この促進とは、一般に、例えば、その沈積系に皮膚軟化剤が全く添加されなかった場合に対して、ある値(例えば、光沢、ΔL、Δa又はΔb)が少なくとも10%変化することである。沈積に特に関与しない、及び感覚的効果(例えば触覚)のために添加される油/皮膚軟化剤を使用し得ることにさらに留意されたい。使用し得る油の中でも、例えば、ラッカセイ油、ヒマシ油、カカオバター、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、パーム核油、菜種油、ヒマワリ種子油、ベニバナ種子油、ゴマ油及び大豆油などの植物油が挙げられる。
【0064】
皮膚軟化剤には、上述の植物油が含まれ得、さらに、エステル、脂肪酸、アルコール、ポリオール及び炭化水素が含まれ得る。エステルは、モノ又はジエステルであり得る。脂肪ジエステルの許容可能な例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ジイソプロピルジメレート(dimerate)及びコハク酸ジオクチルが含まれる。許容可能な分枝鎖脂肪エステルには、ミリスチン酸2−エチル−ヘキシル、ステアリン酸イソプロピル及びパルミチン酸イソステアリルが含まれる。許容可能な三塩基酸エステルには、トリリノール酸トリイソプロピル及びクエン酸トリラウリルが含まれる。許容可能な直鎖脂肪エステルには、パルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイル・ユールケート(oleyl eurcate)及びオレイン酸ステアリルが含まれる。好ましいエステルには、ココ−カプリル酸塩及びコ−カプリン酸塩、酢酸プロピレングリコールミリスチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル及びオクタン酸セチルが含まれる。
【0065】
適切な脂肪アルコール及び酸には、10個から20個の炭素原子を有する化合物が含まれる。特に好ましいものは、セチル、ミリスチル、パルミチン及びステアリルの、アルコール及び酸などの化合物である。
【0066】
皮膚軟化剤として作用し得るポリオールの中でも、直鎖及び分枝鎖アルキルポリヒドロキシ化合物が挙げられる。例えば、プロピレングリコール、ソルビトール及びグリセリンが好ましい。ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどのポリマー性ポリオールもまた有用であり得る。
【0067】
皮膚軟化剤として作用し得る代表的な炭化水素は、どこかに12個から30個の炭素原子の炭化水素鎖を有するものである。具体例には、鉱物油、石油ゼリー、スクアレン及びイソパラフィンが含まれる。
【0068】
沈積を促進するためのさらに別の方法は、粒子の修飾(例えば表面修飾)によるものであり得る。
【0069】
別の実施形態において、本沈積促進系は、
1)少なくとも≧1.0Meq/グラムの電荷密度を有する陰イオン性ポリマー0.1重量%から10重量%と;
2)希釈時に陰イオン性ポリマーと沈殿を形成する陽イオン性界面活性剤約0.1重量%から30重量%と;
3)場合によっては、油/皮膚軟化剤を0.1%から40重量%と、を含有し得る。
【0070】
この系は、陽イオン性ポリマー陰イオン性界面活性剤系と逆のものである。この沈殿もまた、剪断時又は擦り込み時に破壊することができ、皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成することができる綿状塊であり得る。
【0071】
陽イオン性界面活性剤は、通常、ベタイン(例えば、ココアミドプロピルベタイン)などの四級化アミノ界面活性剤又は両性界面活性剤であり得る。
【0072】
陰イオン性ポリマーは、通常、ポリアクリレート、架橋ポリアクリレート、ポリウレタン及び/又はアルカロイド由来ポリマー(例えば、デンプン、セルロース及び誘導体)、多糖類(例えばキサンタンガム)、寒天及び/又はこれらの混合物であり得る。
【0073】
油/皮膚軟化剤には、上述のもののいずれかが含まれ得る。
【0074】
この系はまた、沈積補助物質として、天然アルカロイドポリマー(デンプン、セルロース及び誘導体)である、0.1%から30%の顆粒状陰イオン性ポリマーをさらに含有し得る。
【実施例】
【0075】
別段の指示がない限り、実施例中の量は全て重量%である。
【0076】
プロトコール
インビトロブタ/豚皮膚アッセイ
5.0cmx10cmの大きさの黒豚皮膚片を使用し(L=40±3)、その皮膚を黒色の背景紙カード上に置く。未処理の皮膚の最初の測定を行う。次に、液体洗い流しタイプ処方物又は固形石鹸0.2gを用いて、置いた皮膚を洗浄し、すすぐ。乾燥2時間後に最終測定を行う。
【0077】
色測定
Hunter Lab スペクトル色度計を用いて、0°光源及び45°検出器配置で、ブタ又はインビボのヒト皮膚に対して初回及び最終の色測定を行った。適切な黒色及び白色の標準物を用いてスペクトル色度計を調整した。洗浄処理の前後に測定を行った。各測定において3回測定し、平均値を計算した。L、a及びb色空間表示からの、L、a及びb値をこの様式で得た。Lは、「明るさ」の単位を測定し、aは、赤から緑の値を測定し、bは、黄色から青の値を測定する。
【0078】
反射率(光沢)測定
光沢の単位を測定する光沢計を用いて、ブタ又はインビボのヒト皮膚の、初回及び最終の反射率/光沢測定を行った。法線から85°で、検出器及び光源の両方とともに、光沢計を最初に設定した。適切な反射標準物を用いてこの光沢計を調整した。光沢測定は、処方物適用の前後で行い、%差異を得るために、Δ光沢を計算した。
【0079】
不透明度測定
Hunter Lab色測定から、洗い落とせる沈積物の不透明度を計算した。60で割ったΔL(沈積前と比較した、沈積後の白さの変化)から不透明度コントラストを計算した(これは、皮膚と純白色とのL値の差である)。
【0080】
(実施例1から実施例5)
次の組成物は、同じ成分を含まない、及び/又は異なる沈積系を含む、又は沈積系を含まない組成物と比較した、界面活性剤及び沈積系を使用する場合の値の変化(即ち、図表の下方で見られるように、Δ光沢(%)、ΔL、Δa、Δb)を示す。
【0081】
【表2】

【0082】
上記の表から分かるように、本発明の系は、正確な粒子、粒子サイズ及び使用する沈積系に依存して値の変化が様々である視覚的属性(ΔL、Δaなど)(及び、それに応じて、強調される属性とともに)を生じさせる。このように、本出願者らは、洗い流しタイプの系から値を操作し、以前には知られていなかった、値及び操作能を提供することができる。
【0083】
多くの実施例から得ることができる観察のさらに詳細な考察を下記に示す。
【0084】
実施例1から実施例5は、Jaguar C13Sをベースにした処方物であり、ある程度の沈積を示す。
【0085】
実施例1及び実施例2は、20%TiO及び10%TiOをそれぞれ含み、20%TiO処方物は、沈積度がより高く、ΔLの変化がより大きい。ここでは、b値の変化も大きい(及び負である。)(より青味が増す。)。この沈積はまた、負のΔ光沢(これは、光沢の低下を示す。)から分かるように、マットな視覚的効果も有する。
【0086】
実施例3から実施例5は、実施例2処方物に反射性粒子状物質を添加したものである。
【0087】
実施例3は、処方物中にタルク(10μmのD50)が含まれている。Δ光沢の変化がゼロであることから分かるように、タルクの僅かな反射性により、沈積したTiOのマット効果が弱められる。この組合せから、より白く明るい外観が得られ、その一方で、皮膚の正常な光沢が依然として維持される。実施例2から見られるΔL又はΔbは、タルクの添加によって変化しなかった。
【0088】
実施例5は、天然雲母(22μmのD50)を使用することを除き、実施例3と同じである。より大型の雲母はより反射率が高く、Δ光沢の増加により分かるように、沈積したTiOのマット効果を弱め、視覚的光沢を向上させる。実施例2から見られるΔL又はΔbは、天然雲母の添加によって変化しなかった。
【0089】
実施例4は、チタン被覆雲母(6μmのD50)を使用することを除き、実施例3と同じである。チタン被覆雲母は反射率がより高く、Δ光沢の増加により分かるように、沈積したTiOのマット効果を弱め、視覚的光沢を向上させる。実施例2と比較して、チタン被覆雲母の添加により、ΔL又はΔbが大きくなる。
【0090】
対照は比較目的のためにある。これは、陽イオン性ポリマー(Jaguar C13S)を含有しないことを除き、実施例2と同じ処方である。L、a、b及び光沢値から、沈積は観察されない。
【0091】
実施例1から実施例5において、視覚的属性の変化を見ることができるが、これらは十分に大きくはない。粒子沈積がさらに多量である必要がある。このために、より大きい電荷密度を有する陽イオン性ポリマーを使用しなければならない(この場合、Merquat 100)。
【0092】
実施例6は、使用する陽イオン性ポリマーが、Merquat 100であることを除き、実施例2と同じである。ΔL及びΔ光沢から分かるように、TiOの沈積が非常に大きくなる(5の因子による。)。視覚的効果は、白さが顕著に大きくなるが、また、マット感もより大きくなる。マット感を弱めるために、天然雲母又はタルクを本処方に添加することができる。
【0093】
実施例7及び実施例8は、天然雲母又はタルクを含むMerquat 100処方物である。両実施例とも、負であるが0に近づいている、又はさらに正であるΔ光沢により分かるように、多量のTiO沈積のマット効果の減弱を示す。
【0094】
洗い流しタイプ洗顔処方物はまた、デンプンなどの様々な親水性構造性分散剤を使用することができる。既に述べた実施例のように、デンプン処方系を用いて、同様の相互関係及び傾向を見ることができる。
【0095】
実施例12及び実施例11は、Jaguar C13S及びMerquat 100をそれぞれ用いた処方物からのTiO/タルクの沈積を比較する。前述と同じように、電荷密度がより高いMerquatは、同様の視覚的属性を持ちながら、Jaguarよりも多量の沈積を示す。
【0096】
実施例9は、陽イオン性ポリマーを含まない対照処方物である。L、a、b及び光沢測定から、沈積は微量であるか全くない。
【0097】
実施例10は、沈積効率に対する界面活性剤系の適合性の重要性を示す。実施例10は、CAPベタイン及びLE(2)Sの混合物を使用する。実施例11と比較して、ΔL値がより低いことから分かるように、沈積効率が低い。このことから、CAPベタイン/LE(2)S界面活性剤系は、希釈の際に、陽イオン性ポリマーをあまり効率的に沈殿させないことが示される。
【0098】
(実施例6)
下記の図表は、さらなる実施例を与える。
【0099】
【表3】

【0100】
同じように、本発明の沈積系及び粒子が、所望する視覚的属性(例えば、光輝、色合い、光沢)をもたらす所望の値を有する組成物を如何に与えるかということを上記の図表から見ることができる。
【0101】
対照
下記の図表は、陽イオン性ポリマーを含まない対照実施例を与える。
【0102】
【表4】

【0103】
この場合も同様に、陽イオン性ポリマーがない場合、沈積は殆どないか全くないことが、上記の対照から分かる。
【0104】
(実施例7)
下記の図表は、同様に、様々な変形物を与える。
【0105】
【表5】


【0106】
(実施例8)
下記の図表は、別の実施例を示す。
【0107】
【表6】

【0108】
−5.6という値は、幾分中間の光沢を示し、TiOのマット効果を弱めている。
【0109】
(実施例9から実施例12)
下記の図表は、デンプン構造化液体を含む実施例を示す。
【0110】
【表7】

【0111】
固形石鹸の例
処方物1から処方物7に関する固形石鹸の処方を下記に示す。
【0112】
処方物1
純セッケン固形石鹸中60%タルク(セッケンは、15%から20%のココナツ油及び80%から85%の獣脂の混合物である。)。基本的に、このような混合物は、約95%のC12からC18脂肪酸を有する。
【0113】
処方物2
成分 重量部
ポリエチレングリコール−8K 43.5
ココアミドスルホコハク酸塩 30
脂肪酸 10
ヒマワリ種子油 10
Merquat(R)陽イオン性ポリマー 1.5
水 5
TiO 16
処方物2において、ココアミドスルホコハク酸塩及びMerquatは、主たる沈積補助物質である。ヒマワリ種子油は、触感性のものであるが、沈積をあまり促進しないと考えられる(表の−45.1から−44.6の%光沢数を参照のこと。)。さらに、TiOは、油エマルジョンではないので、沈積系の一部である油からさらなる沈積促進は見られない。
【0114】
処方物3
成分 重量%
糖(スクロース) 45
マルトデキストリン 15
ラウリン酸ナトリウム 15
ドデシル硫酸ナトリウム 2
Merquat(R)陽イオン性ポリマー 0.4
TiO 10
O 残り。
【0115】
実施例2と同様に、陽イオン性及び陰イオン性界面活性剤によって殆ど又は全ての沈積促進が起こり、TiOによる沈積はわずかである。
【0116】
処方物4
処方物2と同じであるが、TiOの代わりに10%TiO被覆雲母を含む。
【0117】
見られるとおり、雲母コーティングは、反射率及び白さを向上させる。
【0118】
処方物5
処方物3と同じであるが、TiOの代わりに10%TiO被覆雲母を含む。
【0119】
処方物6
処方物2と同じであるが、TiOの代わりに10%オキシ塩化ビスマス(Rona Biron Silver、ヒマシ油中70%固形懸濁液)を含む。
【0120】
処方物2に対して処方物6(実施例15及び16に対して実施例23及び24)を比較すると、沈積(及び%光沢)が顕著に促進されることが分かる。
【0121】
処方物7
処方物3と同じであるが、TiOの代わりに10%オキシ塩化ビスマスを含む。
【0122】
処方物2に対する処方物6と同様に、油中で乳化させたビスマスを(沈積系の一部として)使用する場合、沈積(%光沢に反映される。)が顕著に促進される(17及び18に対する26及び27を参照のこと。)。
【0123】
処方物8
処方物5と同じであるが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のかわりに2%ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)を含む。
【0124】
処方物9
処方物5と同じであるが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のかわりに2%αオレフィンスルホネート(AOS)を含む。
【0125】
(実施例13から実施例30)
下記の表において、様々な方法で構造化した光修飾物質を含有する固形石鹸の例を挙げる。
【0126】
【表8】

【0127】
実施例の簡単な説明を以下に示す。
【0128】
実施例15から実施例26において、データは、新規沈積系(陽イオン性ポリマー/陰イオン性界面活性剤)が外観及び視覚的属性を大きく変化させる、大量の沈積を有することを示す。
【0129】
実施例15、16、17及び18(糖及びPEG含有固形石鹸)は、TiOの大量沈積を有し、個人の外観における、白さ及び不透明度(隠蔽力)を増加させる能力を有する。
【0130】
実施例19、20、21及び22は、チタン被覆雲母を用いて反射率及び白さを向上させることを示す。その効果は、この場合光輝(radiance)があることを除き、実施例7及び実施例8と同様である。
【0131】
BiOClを含む、実施例23、24、25及び26(糖及びPEG固形石鹸)では、反射率/光輝が大きく向上し、白さの向上はわずかである。
【0132】
しかし、実施例13及び実施例14(60%タルクを含む85/15固形石鹸)は、沈積が最小/乏しいケースである。この場合、60%タルクを含有するにもかかわらず、白さ及び反射率は最小である。その他の糖ベース及びPEGベースの固形石鹸実施例の粒子組成物含有量は、わずか10%である。
【0133】
実施例27及び実施例28は、異なる界面活性剤(SLES)を用いた、チタン被覆雲母を含有する糖ベースの固形石鹸である。実施例19、20、21、22と比較して、これらの実施例で示される沈積及び視覚的効果(反射率)は、低い/乏しい。
【0134】
実施例29及び実施例30は、別の異なる界面活性剤(AOS)を用いた、チタン被覆雲母を含有する糖ベースの固形石鹸である。沈積及び視覚的/反射率の結果は、SDSを用いたものとSLESを用いたものとの中間である。
【0135】
(実施例31、実施例32及び実施例33)
次のセッケン系固形石鹸をさらに下記のように調製し考察した。
【0136】
【表9】

【0137】
(実施例32)
【0138】
【表10】

【0139】
(実施例33)
【0140】
【表11】

【0141】
視覚的効果
【0142】
【表12】

【0143】
上記実施例31から実施例33から、いくつかの事柄を観察し得る。
【0144】
実施例31は、皮膚軟化剤としてヒマワリ油を使用するが、それ自身はあまり効果的な沈積促進物質とはなり得ない。沈積系の一部となるようにシリコーンを添加する場合(実施例32)、光沢のデータから、沈積が増加することが分かる(即ち、38から50の%Δ光沢)。実施例31及び32は両方とも陽イオン性沈積ポリマーを含有しない。
【0145】
最後に、実施例33は、沈積系がその沈積系の一部として油/皮膚軟化剤を含有し、尚且つ、陽イオン性沈積ポリマーがある場合、油レベルが低くても(わずか4%ヒマワリ油)、光沢が顕著に向上する(%Δ光沢71)ことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)界面活性剤約0.5重量%から約90重量%;
b)ΔL、Δa、Δb、反射率の変化及び/又は不透明度の変化により規定される特定の一連の光学的特性を示し、沈積促進系と組み合わせて、本組成物を皮膚に塗布した場合、目的とする光学的特性のうち少なくとも1つを少なくとも5%変化させる、固形粒子状光修飾物質0.1重量%から35重量%;
c)沈積促進系(同じ濃度で同じ界面活性剤及び光修飾物質を含有しており該沈積促進系を含有しない組成物と比較して、該沈積促進系は、該光修飾物質による目的とする視覚的属性の皮膚への送達を促進する。)0.1重量%から25重量%;及び
d)親水性構造性分散剤約0.1%から90%、
を含む、特定の視覚的属性とともに皮膚に対して強化された視覚的利益を送達するための、美容洗浄製品組成物。
【請求項2】
光学的特性のうち少なくとも1つの少なくとも5%の変化により影響を受ける視覚的属性が、皮膚の光沢、皮膚の明白性、皮膚の色合い、皮膚の輝き(skin glow)、皮膚の光輝(skin radiance)、視覚的な皮膚の一様性、皮膚の均一性及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
界面活性剤20重量%から75重量%を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
視覚的利益の送達が標的とされる皮膚部位が、皮膚の平坦域及び/又は皮膚の皺部分である、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
光修飾物質0.2重量%から25重量%を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
修飾物質の送達が、下記に示す規定された値及び/又はパーセンテージの変化:
0から±10L単位のΔL(L単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10a単位のΔa(a単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10b単位のΔb(b単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±300%の反射率の変化(光沢計から測定した光沢の変化により規定される。);
0から±50%の不透明度の変化(不透明度コントラストにより測定され、60で割ったΔLとして定義される。)
(ここで、示された値のうち少なくとも1つは、修飾物質の送達前の最初の値からの少なくとも5%の変化である。)
をもたらす、1以上の属性における変化を与える、請求項1から5の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
修飾物質の送達が、下記に示す規定された値の変化:
0から±10L単位のΔL(L単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±300%の反射率の変化(光沢計から測定した光沢の変化により規定される。);
0から±20%の不透明度の変化(60で割ったΔLにより定義される不透明度コントラストにより測定される。);
(ここで、Δa及びΔbは、≦2単位であり、L、反射率又は不透明度のうち少なくとも1つは、修飾物の送達前の最初の値からの少なくとも5%の変化である。)
をもたらす、光沢又は輝きの変化を与える、請求項1から6の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
修飾物質の送達が、下記に示す規定された値の変化:
0から±10L単位のΔL(L単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10a単位のΔa(a単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10b単位のΔb(b単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±50%の不透明度の変化(不透明度コントラストにより測定され、該コントラストは、60で割ったΔLにより規定される。);
(ここで、Δ反射率は≦10%であり(Δ反射率は、光沢計において測定される光沢の変化として測定される。);
L、a、b又は反射率のうち少なくとも1つは、修飾物質の送達前の最初の値からの少なくとも5%の変化である。)
をもたらす、明白性、白さ及び/又は色合いの変化を与える、請求項1から7の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
修飾物質の送達が、下記に示す規定された値の変化:
0から±5単位のΔL(該L単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±100%の反射率の変化(光沢計により測定した光沢単位により規定される。);
0から±50%の不透明度の変化(60で割ったΔLにより規定される不透明度コントラストにおいて測定される。);
(ここで、Δa及びΔbは、≦2単位である。)
をもたらす、皮膚の視覚的一様性、均一性、ぼかし及び/又はソフトフォーカスにおける変化を与える、請求項1から8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
1つ以上の所望する視覚的属性の組合せが、1つ以上のかかる属性を定義する範囲に適合するようにΔL、Δa、Δb、Δ反射率及びΔ不透明度の値を変化させることにより得られる、請求項1から9の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
光修飾物質が、有機顔料;無機顔料;ポリマー及び充填剤(二酸化チタン、酸化亜鉛、着色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロムもしくは水和クロム;アルミナ;シリカ;ジルコニア;硫酸バリウム;ケイ酸塩;アルカロイドポリマー及びその誘導体;ポリアルキレン;ナイロン;ウルトラマリン;炭酸アルカリ土類;タルク;絹雲母;天然及び合成雲母;有機及び無機物質で被覆された板状基質;オキシ塩化ビスマス;及びこれらの混合物から選択される。)から選択される、無色又は有色の、有機又は無機物質である、請求項1から10の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
光修飾物質が、D50<100ナノメートルのUVサンスクリーン物質である、請求項1から11の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
光修飾物質が以下のように規定される、請求項1から12の何れか一項に記載の組成物:1.3から4.0の屈折率を有する外面;
(a)球状、板状又は円筒型である形状;
(b)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ;
(c)得られた蛍光色、吸収色及び/又は干渉色である、色。
【請求項14】
粒子状光修飾物質が、
(a)1.8から4.0の屈折率を有する外面;
(b)板状又は円筒型である形状;
(c)0.1から200μmの球状粒子の寸法、10から200μmの平板状粒子の寸法、長さ10から200μm及び直径0.5から5.0μmの円筒型粒子の寸法;
(d)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ;
によりさらに規定される、請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
粒子状光修飾物質が、
a)屈折率1.3から4.0の外面;
b)平板状又は球状である形状;
c)0.1から1μmの球状粒子の偏向(diversion);及び1から30μmの平板状粒子の偏向(diversion);
d)≦30ミクロンのD50である粒子サイズ;
e)蛍光、吸収及び/又は干渉による色;
によりさらに規定される、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
粒子状光修飾物質が、
a)屈折率1.3から2.0の外面;
b)球状、平板状又は円筒型である形状;
c)0.1から200μmの球状粒子の寸法;及び1から10μmの平板状粒子の寸法;長さ1から10μm及び直径0.5から5.0μmの円筒型粒子の寸法;
d)≦200ミクロンのD50であるサイズ;
によりさらに規定される、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
沈積系が、
(a)平均電荷密度≧1Meq/グラムを有する陽イオン性ポリマー(含複数)0.1重量%から1重量%;および
(b)希釈時に陽イオン性ポリマーと沈殿を形成する陰イオン性界面活性剤0.1重量%から30重量%、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
沈殿が、剪断又は擦り込みによって破壊され得、皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成する、綿状塊である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
陰イオン性剤が、C10からC24脂肪酸セッケン、アルキルタウレート、スルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、グリシン酸塩、サルコシン酸塩又はこれらの混合物である、請求項17又は請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
陽イオン性ポリマーが、ポリクオタニウム6、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム16、四級化ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルグアーガム及びこれらの混合物から選択される、請求項17から請求項19の何れか一項に記載の組成物。
【請求項21】
天然アルカロイドポリマーである顆粒状の陰イオン性ポリマー約0.1重量%から30重量%をさらに含有する、請求項17から請求項20の何れか一項に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマーが、デンプン及び誘導体、セルロース及び誘導体及びこれらの混合物を含有する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
目的の光学的粒子が、アミノ酸、タンパク質、脂肪酸、脂質、リン脂質、陰イオン性及び/又は陽イオン性オリゴマー/ポリマー及びこれらの混合物から選択される表面修飾を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項24】
粒子が皮膚上で分散され、該粒子の30%未満が、光学顕微鏡により測定されたD50粒子サイズの10倍以上の大きさを有する、請求項1から23の何れか一項に記載の組成物。
【請求項25】
沈積促進系が、油/皮膚軟化剤を含む、請求項1から24の何れか一項に記載の組成物。
【請求項26】
沈積系の一部である油/皮膚軟化剤がエマルジョンとして個別に調製され、個別に調製されたエマルジョンが別の時点で組成物と混合される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
沈積系の一部である油/皮膚軟化剤が個別に添加され、粒子/油エマルジョンが組成物の希釈の間に形成される、請求項25又は請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
粒子状光修飾物質がオキシ塩化ビスマスであり、油がヒマシ油である、請求項1から27の何れか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−111762(P2012−111762A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−347(P2012−347)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2007−505425(P2007−505425)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】