説明

美容用飲食品

【課題】 皮膚の老化予防・改善に有用なコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤およびエストロゲン様作用剤を提供するとともに、皮膚の老化予防・改善作用を付与した皮膚化粧料及び美容用飲食品を提供する。
【解決手段】 コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤、エストロゲン様作用剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品に、五斂子の葉部からの抽出物を含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を促進する作用を有するコラーゲン産生促進剤、コラーゲンの減少・変性に関与するコラゲナーゼ活性を阻害するコラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞を増殖させる作用を有する線維芽細胞増殖作用剤、エラスチンの減少・変性に関与するエラスターゼ活性を阻害するエラスターゼ阻害剤、及び女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同様の作用を有するエストロゲン様作用剤に関するものである。また、本発明は、皮膚の老化予防・改善作用を付与した皮膚化粧料及び美容作用を付与した飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0003】
ところが、紫外線の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるエラスチンは分解・変質を起こし、また、コラーゲンの産生量が減少するとともに架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるから、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
【0004】
このように、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲン、エラスチン等の真皮細胞外マトリックス成分の減少、変性が関与している。
【0005】
近年、この変化を誘導する因子として、特にマトリックス系プロテアーゼの関与が指摘されている。マトリックス系プロテアーゼの中でも、コラゲナーゼ、即ちMMP−1(マトリックスメタロプロテアーゼ)は、皮膚の真皮細胞外マトリックスの主な構成成分であるタイプI,III コラーゲンを分解する酵素として知られるが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成等の大きな要因となることが考えられる。従って、コラーゲン産生の促進や、コラゲナーゼ活性の阻害は、皮膚の老化を防止・改善する上で重要である。
【0006】
上述のような機構による皮膚の老化を防止・改善するために最も普通に行われているのは、天然保湿因子(NMF)である糖、アミノ酸、有機酸、ピロリドンカルボン酸塩、コラーゲン、ヒアルロン酸等のムコ多糖類、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の保湿作用を有する物質を塗布して皮膚の保湿性を高めることである。
【0007】
しかしながら、保湿剤は表皮の角質の状態を改善するだけのものであって、真皮内の張力保持機構まで改善することは期待できない。また、保湿剤は皮膚からの水分蒸発を遅くするものであるから概して使用感が悪く、長期間使用すると皮膚障害を起こすことさえある。
【0008】
一方、加齢に伴う皮膚老化の一因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することである。すなわち、エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっていて、その分泌不足は種々の内科的疾患を招くほか、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等、好ましくない肌の変化の原因となることが知られている。
【0009】
そこで、エストロゲンの分泌が衰える更年期以降の女性に対してエストロゲンと同様の作用をする物質を経皮的又は経口的に投与することが行われている。そのためのエストロゲン様作用剤としては、従来より、ステロイド系エストロゲン、非ステロイド系エストロゲン、フラボン系化合物等が使われている。
【0010】
また、若い皮膚においては、線維芽細胞の増殖は活発であり、線維芽細胞やコラーゲン等の皮膚構成組織の相互作用が恒常性を保つ上で線維芽細胞の賦活化は重要な役割を担っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、真皮層線維芽細胞におけるコラーゲンの産生を促進して皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するコラーゲン産生促進剤を提供することにある。
【0012】
本発明の第二の目的は、コラゲナーゼ阻害作用を通じてコラーゲンの減少・変性を抑制し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するコラゲナーゼ阻害剤を提供することにある。
【0013】
本発明の第三の目的は、線維芽細胞増殖作用を通じて線維芽細胞を賦活化し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有する線維芽細胞増殖作用剤を提供することにある。
【0014】
本発明の第四の目的は、エラスターゼ阻害作用を通じてエラスチンの減少・変性を抑制し、皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するエラスターゼ阻害剤を提供することにある。
【0015】
本発明の第五の目的は、エストロゲン様作用を通じて皮膚の老化を防止及び/又は改善し得る物質を見出し、それを有効成分として含有するエストロゲン様作用剤を提供することにある。
【0016】
本発明の第六の目的は、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用及び/又はエラスターゼ阻害作用を有し、皮膚の老化の防止及び/又は改善に有用な皮膚化粧料を提供することにある。
【0017】
本発明の第七の目的は、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用及び/又はエラスターゼ阻害作用を有し、皮膚の老化を防止及び/又は改善に有用な美容用飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤は、五斂子(Averrhoa carambola L.)の葉部からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とし、本発明の皮膚化粧料及び美容用飲食品は、五斂子(Averrhoa carambola L.)の葉部からの抽出物を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤が提供される。本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、繊維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤は皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。
【0020】
また、本発明により、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用が付与された皮膚化粧料が提供される。本発明の皮膚化粧料は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用を有しており、しかも皮膚の適用した場合の使用感と安全性に優れているので、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。
【0021】
さらに、本発明により、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用が付与された美容用飲食品が提供される。本発明の美容用飲食品は、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤の有効成分である「五斂子の葉部からの抽出物」には、抽出処理によって五斂子の葉部から得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0023】
抽出処理の際に抽出原料として使用するものは、五斂子(学名:Averrhoa carambola L.、生薬名:陽桃)の葉部である。葉部には、完全葉の他、葉の一部(例えば葉身、葉柄、托葉など)が含まれる。また、五斂子の茎部も抽出原料として使用することができるので、茎部を葉部とともに抽出原料とすることや、茎部のみを抽出原料とすることも可能である。
【0024】
五斂子はカタバミ科に属し、新鮮な果実は食用される。五斂子は、中国では紀元前から文献に記載され、その果実は断面が星形のことからスターフルーツとも呼ばれている。五斂子は沖縄、中国東南部や雲南その他熱帯各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。
【0025】
抽出原料として使用する五斂子の葉部は、採取後ただちに乾燥し粉砕したものが適当である。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥器を用いて行ってもよい。五斂子の葉部は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、五斂子の葉部の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0026】
抽出処理の際には、抽出溶媒として極性溶媒を使用するのが好ましい。五斂子の葉部に含まれるコラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用又はエストロゲン様作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
【0027】
好適な抽出溶媒の具体例としては、水、低級脂肪族アルコール、含水の低級脂肪族アルコール等を例示でき、これらを単独で、又はこれら2種以上の混合物として使用することができる。好適な低級脂肪族アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソプレングリコール等を例示することができる。
【0028】
抽出溶媒として使用し得る水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0029】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比を7:3〜2:8(重量比)とすることができる。
【0030】
抽出処理は、五斂子の葉部に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されず、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0031】
例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、ときどき攪拌しながら可溶性成分を溶出させる。この際、抽出条件は抽出原料等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(重量比)であり、抽出時間は通常1〜3時間であり、抽出温度は通常、常温〜95℃である。
【0032】
抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0033】
得られた抽出液はそのままでもコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤として使用することができるが、濃縮液またはその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
【0034】
また、五斂子の葉部は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料や美容用飲食品に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。
精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0035】
以上のようにして得られる五斂子の葉部からの抽出物は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用を有する。
【0036】
五斂子の葉部からの抽出物は、そのままでもコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して使用することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができる。五斂子の葉部からの抽出物は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
【0037】
本発明のコラーゲン産生促進剤は、経皮的に吸収されて線維芽細胞に達し、コラーゲン産生を活発化して真皮層に十分なコラーゲンを補給することによって、皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。また、本発明のコラーゲン産生促進剤は、コラーゲン産生促進作用と共にエストロゲン様作用剤を併用するので、皮膚の老化防止と改善に多面的に作用して皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0038】
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、コラゲナーゼ阻害作用を通じてコラゲナーゼによるコラーゲンの減少、変性等を抑制し、コラーゲンの減少、変性等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0039】
本発明の線維芽細胞増殖作用剤は、線維芽細胞の賦活化によって光老化及び加齢等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0040】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスターゼ阻害作用を通じてエラスターゼによるエラスチンの減少、変性等を抑制し、エラスチンの減少、変性等によって生じる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0041】
本発明のエストロゲン様作用剤は、エストロゲン様作用を通じてエストロゲン分泌の衰えによる皮膚の老化を防止及び/又は改善することができる。
【0042】
〔皮膚化粧料〕
五斂子の葉部からの抽出物は、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用を有しており、皮膚の老化を防止及び/又は改善することができると共に、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。したがって、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤のいずれか1種または2種以上を皮膚化粧料に配合することにより、皮膚の老化を防止及び/又は改善する作用を皮膚化粧料に付与することができる。
【0043】
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤を配合し得る皮膚化粧料は特に限定されないが、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等を例示することができる。
【0044】
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的な五斂子葉部抽出物に換算して約0.01〜10重量%である。
【0045】
本発明の皮膚化粧料には、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ阻害作用、線維芽細胞増殖作用、エラスターゼ阻害作用及びエストロゲン様作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を配合することができ、皮膚の老化防止・改善に関し、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤のみが主剤となるものに限られるわけではない。
【0046】
本発明の皮膚化粧料において、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤と共に構成成分として利用可能なものとしては、具体的に挙げると次のとおりである。なお、五斂子の葉部からの抽出物とともに以下の構成成分を併用した場合、五斂子の葉部からの抽出物と、併用された構成成分との間の相乗作用が、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
【0047】
収斂剤:クエン酸またはその塩類、酒石酸またはその塩類、乳酸またはその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、チユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、チャカテキン類、ガイヨウエキス、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、スギナエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキス等。
【0048】
殺菌・抗菌剤:安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ウワウルシエキス、ホップエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキス等。
【0049】
美白剤:アスコルビン酸およびその誘導体、イオウ、エラグ酸およびその誘導体、コウジ酸およびその誘導体、グルコサミンおよびその誘導体、アゼライおよびその誘導体、アルブチンおよびその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸およびその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、センキュウエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、ハマボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物またはその抽出物、ギムネマエキス、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、油溶性カンゾウエキス(カンゾウ疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等。
【0050】
紫外線吸収剤:β-イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、β-カロチン、γ-オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カバノキエキス、シラカンバエキス、カミツレエキス、コゴメグサエキス、セイヨウサンザシエキス、ヘンナエキス、チョウチグルミエキス、マロニエエキス、イチョウ葉エキス、カミツレエキス、セイヨウサンザシエキス、油溶性カンゾウエキス等。
【0051】
保湿剤:セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸またはそのエステル類、エイコサペンタエン酸またはそのエステル類、ペクチン、アルゲコロイド、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物またはその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ-オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マロニエエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、コメヌカエキス等。
【0052】
細胞賦活剤:リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、α−トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、ナタネニンジンエキス、エゾウコギエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、シラカンバエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキス等。
【0053】
消炎・抗アレルギー剤:アズレン、アラントイン、アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、オキシベンゾン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、感光素301号、感光素401号、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸又はその誘導体、アデノシンリン酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プロゲステロン、コルチコステロン、アルニカエキス、インチンコウエキス、サンシシエキス、ジュウヤクエキス、セイヨウトチノキエキス、カンゾウエキス、トウキエキス、ヨモギエキス、ワレモコウエキス、リンドウエキス、サイコエキス、センキュウエキス、ボウフウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オウレンエキス、シソエキス等。
【0054】
抗酸化・活性酸素消去剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、ローズマリーエキス、メリッサエキス、オウゴンエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキス等。
【0055】
油脂類:大豆油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、モクロウ、ヤシ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、卵黄油、ホホバ油、月見草油、馬油等。
【0056】
ロウ類:カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類等。
【0057】
炭化水素類:流動パラフィン、ワセリン、マイクロスリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ポリエチレン末。
【0058】
脂肪酸類:ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベニン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸。
【0059】
アルコール類:ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール又はその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコール。
【0060】
エステル類:オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、酢酸ラノリン、乳酸セチル。
【0061】
界面活性剤:陰イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤。
【0062】
香料:メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油。
【0063】
〔美容用飲食品〕
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤は、それぞれの作用を通じて皮膚の老化を防止及び/又は改善することができるので、美容用飲食品に配合するのに好適である。ここで、「美容用飲食品」とは、美肌又は皮膚の老化防止・改善を図ることを目的とした飲食物を意味する。
【0064】
本発明の美容用飲食品は、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
【0065】
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤を配合して飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等の任意の助剤を添加して任意の剤形に製剤化することができる。
【0066】
本発明の美容用飲食品におけるコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人一日当たり五斂子葉部抽出物の摂取量が1日当たり約1〜1000mg程度となるように調整することが好ましい。
【0067】
本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤及びエストロゲン様作用剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これら飲料の濃縮液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、天ぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;錠剤状、顆粒状等の種々の形態の健康・栄養補助食品類;その他スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物等を例示することができる。
【0068】
以上説明した本発明のコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖作用剤、エラスターゼ阻害剤、エストロゲン様作用剤、皮膚化粧料及び美容用飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0070】
〔製造例1〕
五斂子(学名:Averrhoa carambola L.)の葉部の粗粉砕物300gを抽出溶媒2000mlに投入し、穏やかに攪拌しながら3時間、70℃に保った。その後ろ過し、ろ液を40℃で減圧下にて濃縮し、さらに減圧乾燥機で乾燥して五斂子の葉部からの抽出物を得た。4種類の抽出溶媒を用いて上記抽出処理を行ったところ、抽出物の収率は表1のとおりであった。なお、抽出溶媒が混合物の場合、以下に示す混合比は重量基準によるものである。
【0071】
[表1]
試 料 抽 出 溶 媒 抽出物収率(重量%)
1 水 25
2 エタノール/水(1/1) 23
3 エタノール 18
4 プロパノール/水(1/1) 12
【0072】
〔製造例2〕
製造例1で用いたものと同じ五斂子葉の粗粉砕物300gを抽出溶媒2000mlに投入し、攪拌しながら80℃で3時間保持した後、ろ過して抽出液を得た。3種類の抽出溶媒を用いて上記と同様に抽出を行い、表2に示した固形分濃度の抽出液約1500mlを得た。なお、抽出溶媒が混合物の場合、以下に示す混合比は重量基準によるものである。
【0073】
[表2]
試 料 抽 出 溶 媒 抽出液濃度(重量%)
5 1,3-ブチレングリコール/水(1/1) 3.5
6 グリセリン/水(1/1) 3.1
7 プロピレングリコール/水(1/1) 2.9
【0074】
〔試験例1〕コラーゲン産生促進作用の試験
製造例1および2で得られた試料1〜7について、Websterらの方法(Anal.Biochem.,Vol.96,220,1979)に準拠して試験を行った。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0075】
ヒトの線維芽細胞を24穴プレートに播種し、37℃、5%CO2-95%airの下にて、試料添加培地(試料濃度:50ppm、12.5ppm)で数日間培養した後、β−アミノプロピオニトリルと[3H]−プロリンとを添加し、更に24時間培養した。当該培養液全体にペプシン/酢酸溶液を加えて4℃下で16時間消化し、次いでこの消化液にキャリアーを加えて0.7mol/L食塩水溶液で沈殿させ、更に中性条件下で再溶解させて、4.2mol/L食塩水溶液で再沈殿させた。得られた沈殿物を20%エタノールで洗浄した後、その沈殿物の放射活性を測定した。
【0076】
コラーゲン産生促進率は、試料無添加時の放射活性を100%として算出した。
各試料のコラーゲン産生促進率(%)を表3に示す。なお、試料が製造例2による抽出液の場合、「試料濃度」は固形分換算濃度である。
【0077】
[表3]
試 料 試料濃度50ppm 試料濃度12.5ppm
1 257.1 159.9
2 278.9 187.5
3 267.3 177.1
4 212.5 134.6
5 193.6 132.7
6 165.2 128.3
7 147.4 110.2
【0078】
表3に示すように、各種抽出溶媒を用いて得られた五斂子の葉部からの抽出物は、いずれも濃度依存的にコラーゲン産生促進作用を示した。特に、抽出溶媒として水(試料1)、エタノール/水(1/1)(試料2)、エタノール(試料3)を用いて得られた抽出物は、優れたコラーゲン産生促進作用を示した。
【0079】
〔試験例2〕コラゲナーゼ阻害作用の試験
製造例1および2で得られた試料1〜7について、コラゲナーゼ阻害作用を試験した。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0080】
試料溶液(溶媒:トリス塩酸緩衝液)50μL、コラゲナーゼ溶液50μLおよび基質溶液400μLを混合し、37℃で30分間インキュベーションした。次いで25mMクエン酸溶液1mLで反応を停止し、酢酸エチル5mLで抽出した。得られた抽出液について、波長320nmの吸光度(対照液:酢酸エチル)を測定した。上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の緩衝液を添加して行った。さらに、それぞれの場合について、コラゲナーゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った。
【0081】
なお、コラゲナーゼ溶液はシグマ社のコラゲナーゼTypeIVを緩衝液1mLに溶解させ、使用時に50倍に希釈したものを使用した。また、基質溶液には、20mmol/Lの塩化カルシウムを含有するトリス塩酸緩衝液にBACHEM Fenichemikalien AG社Pz−ペプチドを濃度が0.5mol/Lになるように溶解して使用した。
測定結果より、次式に基づきコラゲナーゼ阻害率(%)を算出した。
【0082】
[数1]
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
【0083】
上記式中、「A」は試料溶液添加・酵素添加時の吸光度、「B」は試料溶液添加・酵素無添加時の吸光度、「C」は試料無添加・酵素添加時の吸光度、「D」は試料無添加・酵素無添加時の吸光度を表す。
【0084】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、コラゲナーゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度を内挿法により求めた。
試験の結果を表4に示す。
【0085】
[表4]
試 料 50%阻害濃度(ppm)
1 220
2 230
3 198
4 205
5 201
6 179
7 168
【0086】
表4に示すように、各種抽出溶媒を用いて得られた五斂子の葉部からの抽出物は、いずれも濃度依存的にコラゲナーゼ阻害作用を示した。特に、抽出溶媒としてグリセリン/水(1/1)(試料6)、プロピレングリコール/水(1/1)(試料7)を用いて得られた抽出物は、優れたコラゲナーゼ阻害作用を示した。
【0087】
〔試験例3〕線維芽細胞増殖作用の試験
製造例1および2で得られた試料1〜7について、線維芽細胞増殖作用をMTT法(J.Immunol.Method 93,157,1986)に準拠して試験した。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0088】
25cm2の培養フラスコに入れた10%FBS含有培地(α-MEM培地:GIBCO BLR社製品,PH7.2)にヒト正常新生児皮膚線維芽細胞(NBIRGB)1×106個を播種し、37℃、5%CO2-95%airの下で4日間培養した。次いでトリプシン処理し、遠心分離して細胞を集めた。沈殿として得られた細胞を5%FBS含有培地(α-MEM培地:GIBCO BLR社製品,PH7.2)に懸濁し、96ウェルプレートの1穴につき7×103個ずつ分注した。24時間培養後、試料を溶解した5%FBS含有培地を1穴につき100μLずつ加え、37℃、5%CO2-95%airの下で3日間培養した。培養後、培地を1穴につき100μLずつ除去し、MTT試薬(3-(4,5-dimethy1-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H tetrazolium bromide, 5mg/mL PBS(-)溶液)20μLを添加し、4.5時間インキュベーションした(増殖した細胞中のミトコンドリア由来の活性酸素がMTT試薬と反応し、黄色であった試薬の色が570nmに吸収のピークを有する青黄色に変わる。)。その後、各穴に10重量%ドデシル硫酸ナトリウム−0.02mol/L硫酸溶液を100μLずつ分注し、18時間インキュベーションした。インキュベーション終了後、マイクロプレートリーダーを用いて570nmの吸光度を測定した。別に、試料だけでもブランクをとり、同様の操作を行い吸光度の測定を行った。
【0089】
また、各吸光度測定値は、同時に測定した650nmの吸光度を差し引いて、増殖した細胞による濁度の影響を補正した。補正後の各吸光度より次式に基づき細胞増殖促進率(%)を求めた。
【0090】
[数2]
細胞増殖促進率(%)=〔(A−C)−(B−D)〕/(B−D)×100
【0091】
上記式中、「A」は試料添加時の吸光度、「B」は試料無添加時の吸光度、「C」は試料添加・細胞無添加時の吸光度、「D」は試料無添加・細胞無添加時の吸光度を表す。
【0092】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、線維芽細胞増殖作用を試験した。
試験の結果を表5に示す。
【0093】
[表5]
試 料 200ppm 100ppm 50ppm
1 59.9 32.9 19.1
2 58.7 51.8 30.1
3 49.6 45.2 35.4
4 51.5 43.6 33.2
5 42.1 30.3 25.5
6 33.7 24.1 12.3
7 34.8 19.2 11.9
【0094】
表5に示すように、各種抽出溶媒を用いて得られた五斂子の葉部からの抽出物は、いずれも濃度依存的に線維芽細胞増殖作用を示した。特に、抽出溶媒として水(試料1)、エタノール/水(1/1)(試料2)を用いて得られた抽出物は、優れた線維芽細胞増殖作用を示した。
【0095】
〔試験例4〕エラスターゼ阻害作用の試験
製造例1および2で得られた試料1〜7について、エラスターゼ阻害作用を試験した。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0096】
96ウェルプレートを用意し、1穴に対して試料溶液(溶媒:DMSO+水)50μLおよびエラスターゼ溶液50μLを添加し、さらに基質溶液100μLを添加し混合した。25℃で15分間反応させた後、波長415nmの吸光度を測定した。上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒のみを添加して行った。さらに、それぞれの場合について、エラスターゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った。
【0097】
なお、エラスターゼ溶液はシグマ社・エラスターゼTypeIII 5mgをpH8の0.2mol/Lトリス塩酸緩衝液1mLに溶解し使用時に250倍に希釈したものを使用した。基質溶液として、シグマ社のN−SUCCINYL−ALA−ALA−ALA p-NITROANILIDEをDMSOに溶解した濃度45.14mg/mLの溶液を上記トリス塩酸緩衝液で100倍に希釈して使用した。
測定結果より、次式に基づきエラスターゼ阻害率(%)を求めた。
【0098】
[数3]
エラスターゼ阻害率(%)=〔1-(A−B)/(C−D)〕×100
【0099】
上記式中、「A」は試料溶液添加・酵素添加時の吸光度、「B」は試料溶液添加・酵素無添加時の吸光度、「C」は試料無添加・酵素添加時の吸光度、「D」は試料無添加,酵素無添加時の吸光度を表す。
【0100】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、エラスターゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度を内挿法により求めた。
試験の結果を表6に示す。
【0101】
[表6]
試 料 50%阻害濃度(ppm)
1 205
2 186
3 174
4 178
5 228
6 215
7 224
【0102】
表6に示すように、各種抽出溶媒を用いて得られた五斂子の葉部からの抽出物は、いずれも濃度依存的にエラスターゼ阻害作用を示した。特に、抽出溶媒としてエタノール/水(1/1)(試料2)、エタノール(試料3)、プロパノール/水(1/1)(試料4)を用いて得られた抽出物は、優れたエラスターゼ阻害作用を示した。
【0103】
〔試験例5〕エストロゲン様作用の試験
エストロゲン依存性細胞の増殖に対する影響を調べるThomasらの方法(In vitro cell.Dev.Biol. 28A, 595-602, 1992)に準拠して試験を行った。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0104】
ヒト乳ガン由来のMCF-7細胞を75cm2フラスコでコンフルエント様になるまで培養し、トリプシン処理によりこのMCF-7細胞を集め、10%FBS(活性炭処理済み)、1%NEAAおよび1mMピルビン酸ナトリウムを含みフェノールレッドを含まないMEM培地(以下、「MEM培地」と略す)を用いて、3×104cells/mLに調製した。調製したMCF-7細胞を24穴プレートに0.9mLずつ播種し、これを定着させるために37℃、5%CO2-95%airの下で培養した。6時間後(0日日)、MEM培地で終濃度の10倍の濃度(12.5ppm、6.25ppm、3.1ppm)に調製した試料溶液100μLを上記プレートに添加し、培養を続けた。培養開始から6日目、培地を0.97mmol/L MTTを含むMEM培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
【0105】
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。
陽性対照としては、0.02ppmエチニルエストラジオールを使用した。
エストロゲン様作用(エストロゲン依存性増殖作用)の強さは、試料無添加時の吸光度を100%として次式に基づき算出した。
試験の結果を表7に示す。
【0106】
[数4]
エストロゲン様作用(%)=A/B×100
【0107】
上記式中、「A」は試料添加の場合の吸光度、「B」は試料無添加の場合の吸光度を表す。
【0108】
[表7]
試 料 試料濃度12.5ppm 試料濃度6.25ppm 試料濃度3.1ppm
1 138.4 127.7 114.1
2 135.2 132.5 124.2
3 140.9 127.1 112.3
4 133.2 121.4 113.3
5 129.1 118.2 111.8
6 121.5 110.2 106.4
7 119.3 108.6 103.5
【0109】
表7に示すように、各種抽出溶媒を用いて得られた五斂子の葉部からの抽出物は、いずれも濃度依存的にエストロゲン様作用を示した。特に、抽出溶媒として水(試料1)、エタノール/水(1/1)(試料2)、エタノール(試料3)を用いて得られた抽出物は、優れたエストロゲン様作用を示した。
【0110】
〔試験例6〕肌荒れ改善作用(皮膚の老化防止・改善作用)の試験
製造例1で得られた五斂子の葉部からの50%エタノール抽出物(試料2)を配合した乳液(以下「実施例乳液」という。)を常法に従って調製した。実施例乳液の組成を以下に示す。
【0111】
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料2) 0.1g
セチルアルコール 0.5g
ミツロウ 2.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(10E.0) 1.0g
モノステアリン酸グリセリル 1.0g
ヒアルロン酸 0.1g
プロピレングリコール 5.0g
エタノール 3.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.3g
香料 0.03g
精製水 残部(全量を100mlとする)
【0112】
実施例乳液と、五斂子の葉部からの抽出物を含まないほかは実施例乳液と同じ組成からなる比較例乳液とについて、下記の評価試験を行った。
被験者:22〜43歳の女性多数の中から、皮溝・皮丘が消え、広範囲の角質がめくれている(表8に示す評価が1)、又は皮溝・皮丘が不鮮明で、角質が部分的にめくれている(表8に示す評価が2)、肌荒れと判定された20名を選抜して被験者とした。
塗布試験:各被験者に、顔の右半分には実施例乳液を、左半分には比較例乳液を、朝夕各1回、30日間塗布させた。
【0113】
[表8]
評点 評 価
1 皮溝・皮丘が消え、広範囲の角質がめくれている。(肌荒れ状態)
2 皮溝・皮丘が不鮮明。角質が部分的にめくれている。(肌荒れ状態)
3 皮溝・皮丘が認められるが平坦である。(普通肌)
4 皮溝・皮丘が鮮明である。(比較的美しい肌)
5 皮溝・皮丘が極めて鮮明で整っている。(美しい肌)
【0114】
[判定1:肌荒れ改善効果]
塗布試験終了後、シルフロ(FLEXICL DEVELOPMENTS LTD製)によるレプリカ法を用いて顔のレプリカをとり、50倍の顕微鏡で皮紋の状態及び角質剥離の状態を観察し、表8に示す評価基準で肌の状態を判定した。判定結果を表9に示す。
【0115】
[表9]
評点 試験開始前 実施例乳液塗布部 比較例乳液塗布部
1 12名 0名 8名
2 8名 0名 8名
3 0名 6名 4名
4 0名 9名 0名
5 0名 5名 0名
【0116】
表9に示されるように、実施例乳液を塗布した領域は、比較例乳液を塗布した領域に比べて顕著に肌荒れ(皮膚の老化)が改善された。
【0117】
[判定2・官能評価]
使用感と肌への効果について、実施例乳液と比較例乳液とを比較した場合の優劣を被験者全員に質問した。回答の集計結果を表10に示す。
【0118】
[表10]
評 価 項 目 実施例乳液が良い 比較例乳液が良い 優劣なし
肌へのなじみ 13名 5名 2名
しっとり感 19名 0名 1名
肌へののび 15名 3名 2名
肌荒れ改善の満足感 17名 2名 1名
肌色改善の満足感 14名 4名 2名
シワの数と深さの改善 19名 1名 0名
【0119】
表10に示される結果より、官能評価によっても、上記判定1と同様の効果と、優れた使用感とが確認された。
【0120】
判定1及び2の結果より五斂子の葉部からの抽出物を配合した皮膚化粧料が皮膚の老化防止・改善作用(肌荒れ改善作用)を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れていることが確認された。
【0121】
〔配合例1〕
下記の組成の乳液を常法により製造した。
ホホバオイル 4g
オリーブオイル 2g
スクワラン 2g
セタノール 2g
モノステアリン酸グリセリル 2g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 2g
1,3−ブチレングリコール 3g
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1g
カミツレ抽出物 0.1g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
黄杞抽出物 0.1g
シャクヤク抽出物 0.1g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料3) 0.1g
五斂子葉部抽出物(製造例2の試料5) 1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0122】
〔配合例2〕
下記の組成の化粧水を常法により製造した。
グリセリン 3g
1,3−ブチレングリコール 3g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
油溶性甘草抽出物 0.05g
酢酸トコフェロール 0.05g
アロエ抽出物 0.1g
マロニエエキス 0.1g
クジン抽出物 0.1g
シラカバ抽出物 0.1g
香料 0.05g
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料1) 0.2g
五斂子葉部抽出物(製造例2の試料5) 2g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0123】
〔配合例3〕
下記の組成のクリームを常法により製造した。
流動パラフィン 5g
サラシミツロウ 4g
セタノール 3g
スクワラン 10g
ラノリン 2g
ステアリン酸 1g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3g
1,3−ブチレングリコール 6g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
コンキオリン加水分解物 0.1g
ニンジンエキス 0.1g
香料 0.1g
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料3) 0.1g
五斂子葉部抽出物(製造例2の試料5) 1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0124】
〔配合例4〕
下記の組成のパックを常法により製造した。
ポリビニルアルコール 15g
ポリエチレングリコール 3g
プロピレングリコール 7g
エタノール 10g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
チンピ抽出液 0.1g
ローヤルゼリー抽出液 0.1g
ソウハクヒエキス 0.1g
コメヌカ抽出液 0.1g
香料 0.05g
五斂子葉部抽出物(製造例2の試料5) 5g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0125】
〔配合例5〕
下記の混合物を打錠して、錠剤状健康・栄養補助食品を製造した。
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料1) 100重量部
コラーゲン 30重量部
ムコ多糖・タンパク(コンドロイチン) 10重量部
ヒアルロン酸 1重量部
ハス胚芽抽出物 20重量部
月桃葉茎抽出物 20重量部
黒米抽出物 20重量部
甘草抽出物(グリチルリチンを含む) 10重量部
ミルク蛋白加水分解物(アミノ酸、低分子ペプチドを含む)10重量部
ビタミンB群混合粉末(全ビタミンB群を含む) 4重量部
ビタミンC 10重量部
粉糖(ショ糖) 53重量部
グリセリン脂肪酸エステル 12重量部
【0126】
〔配合例6〕
下記の混合物を顆粒状に形成して健康・栄養補助食品を製造した。
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料2) 200重量部
ハス胚芽抽出物 50重量部
真珠蛋白加水分解(各種アミノ酸、ペプチドを含む) 15重量部
シルク蛋白加水分解物(各種アミノ酸、ペプチドを含む)15重量部
大豆イソフラボン 10重量部
紫米抽出物 50重量部
赤ワインエキスパウダー(プロシアニジンを含む) 30重量部
酵母エキス 10重量部
(グルタチオン、核酸、アミノ酸、ビタミンを含む)
ザクロ種子抽出物 10重量部
小麦胚芽抽出物 10重量部
(ビタミン、クロム、セレン、モリブデンを含む)
DNA 30重量部
ビートオリゴ糖 1060重量部
ステビア抽出物 10重量部
【0127】
〔配合例7〕
下記の混合物をゼラチンカプセル化して、錠剤状健康・栄養補助食品を製造した。
五斂子葉抽出物(製造例1の試料1) 50重量部
ハス胚芽抽出物 15重量部
セラミド 30重量部
リン脂質(レシチン) 10重量部
ビタミンE(トコフェロール) 17重量部
マルチカロチン(α及びβカロチン、ルテイン、リコペン)10重量部
赤米抽出物(シクロアルテノールエステルを含む) 15重量部
オクタコサノール 1重量部
植物ステロール 5重量部
シソの実油(αリノレン酸を含む) 20重量部
精製魚油(DHA、EPAを含む) 20重量部
ごま油(リグナン化合物を含む) 20重量部
オリーブ油 10重量部
大豆、菜種混合油 65重量部
グリセリン脂肪酸エステル 12重量部
【0128】
〔配合例8〕
下記の混合物を常法に従い混合し清涼飲料水を製造した。
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料1) 1重量部
ハス胚芽抽出物 1重量部
ローヤルゼリー 3重量部
水溶性コラーゲン 8重量部
ハトムギエキス 1重量部
高麗ニンジンエキス 1重量部
プラセンタ(胎盤)エキス 1重量部
プエラリアエキス 1重量部
パープルヤムエキス 1重量部
オリゴ糖 5重量部
ショ糖 10重量部
プルーン果汁 2重量部
ザクロ果汁 5重量部
グレープフルーツ果汁 10重量部
ビタミンC 1重量部
グレープフルーツフレーバー 0.7重量部
水 残部(全量を100重量部とする)
【0129】
〔配合例9〕
下記の混合物を常法に従い混合しキャンディーを製造した。
五斂子葉部抽出物(製造例1の試料2) 2重量部
ハス胚芽抽出物 1重量部
水あめ 30重量部
甘草エキス 3重量部
甜茶エキス 1重量部
ブルーベリーエキス 1重量部
ストロベリー1/5濃縮果汁 1重量部
赤キャベツ色素 0.05重量部
レモン果汁 0.5重量部
水 5重量部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
五斂子(Averrhoa carambola L.)の葉部からの抽出物を含有することを特徴とする美容用飲食品。

【公開番号】特開2011−55837(P2011−55837A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239067(P2010−239067)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2001−26841(P2001−26841)の分割
【原出願日】平成13年2月2日(2001.2.2)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】