説明

美容術及び皮膚科医学において有用なスポット適用配合物

この発明は、美容術及び皮膚科医学において有用な、皮脂腺の貯蔵能を利用する新規な配合物に関係する。
この配合物は、スポット型であり、ビタミンA、ビタミンE、遊離基と戦うための親油性剤、セラミド若しくはスフィンゴイド塩基及びステロイドホルモンから選択する親油性活性成分を、皮脂親和性を有する少なくとも一種の不飽和C4〜C26脂肪酸及び液体ビヒクルと一緒に含む。
親油性活性成分の局在化局所投与への応用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容術及び皮膚科医学の分野で用いるための局所的適用のための新規な皮脂親和性配合物、美容術及び皮膚科医学におけるその利用、及び関連美容的処置方法に関係する。
【0002】
皮脂腺は、長きにわたって、多くの著者によって、化石的腺とみなされ、その唯一の役割は、皮脂を生成することであり、座瘡の物理病理学に関与すると考えられてきた。
【0003】
最近の10年間において、研究は、再び、この問題に向けられてきており、初期の軽視した見解を修正することが可能となった。
【0004】
これらの研究に照らして、皮脂腺が皮膚のホメオスタシスにおいて演じる重要な役割についての情報を提供することが可能となった。皮脂腺は、毛嚢、排出のための導管及び腺自体を含む一層広い、一層複雑なシステムであるを含む毛嚢脂腺ユニットの不可欠な部分である。このユニットは、思春期後に、副腎及び生殖腺ホルモンの分泌の影響下で、その完全な発生を達成する。
【0005】
従って、皮脂腺は、様々なアンドロゲンを代謝することができるだけでなく、特殊な酵素装備の故に、コレステロールをアンドロゲン前駆体合成のための基質として用いることもできる真の二次的性的器官であるようである。その上、その5α−レダクターゼに富むことは、テストステロンの有効利用を可能にする。他のホルモンレセプター(レチノイド、サイロイド、ビタミンDレセプター)も又、存在し、これは、その生理的活性を調節する。
【0006】
3つの連続した事象が、それを特徴付ける:
− 15日間の細胞周期の最後における皮脂のホロクリン分泌生成(皮脂細胞の層を生じる)、
− 皮脂分泌ユニットの漏斗状器官内の皮脂の流れ、
− 皮膚表面及び頭髪における一様な排出(100〜500μg/cm2);真の貯蔵器が含まれる。
【0007】
皮脂は、スクワレン(15%)、ワックス(25%)及び、完全に特異的な脂肪酸の鎖を有するトリグリセリド(60%)よりなる(各個人について該脂肪酸の鎖の割合は、一般に、遺伝的に決定されている)。
【0008】
脂質合成における皮脂腺の新たな面は、かくして、強調されるべきである。
【0009】
皮脂は、その組成の故に、物理化学的意味において油と考えることができ、これは、その流れに対する温度の重要な影響を示す。
【0010】
皮脂の役割は、益々一層よく知られるようになってきている。それは、角質層内の脂質の組織化に関与し、それ故、バリヤー効果に関係する。ワックスは、皮膚の表面の不透過性を強化する。スクワレンは、その表面から流れ出るある種のサイトカインのように、UV防護に関係する。最後に、皮脂の特殊な脂質は、内因性6−デサチュラーゼにより、炎症の調節において役割を演じる。
【0011】
その上、ニューロペプチド(ニューロエンドペプチダーゼ)の特異的調節及びレチノイドを含むある種のホルモンに対する選択的応答も又、皮脂において起きる。皮脂は、ビタミンEの排出のための唯一の経路であること、グリセロールの寄与により、皮膚の保湿に関係すること、及び最後に、生態系の調節(パルミトオレイン酸の異性体のグラム陽性細菌耐性)に関係することも又、注意されるべきである。
【0012】
毛嚢脂腺ユニットの解剖学的位置は、毛嚢貯蔵器を、2つの世界(一つは、内部の生きた世界であり、他方は、微生物及び酸素を含む環境である)の交差点に置いている。これは、貯蔵領域(以後、毛嚢貯蔵器と呼ぶ)から排出された皮脂の継続的変換を説明する。
【0013】
その上、この位置は又、それを、ある種の外因性及び内因性分子の排出のための好適手段とし、又IL−1アルファサイトカイン若しくはニューロペプチドの供給源とする。
【0014】
最後に、皮脂腺は、皮膚及び身体表層の成長のホメオスタシス並びに免疫系において、重要な役割を演じる。
【0015】
要するに、皮脂腺は、分泌特性、並びに合成、貯蔵及び、最後に、排出の特性を同時に示す。
【0016】
局所的使用のための多くの化粧用及び皮膚科医学用組成物が、当分野で、様々な適応症において皮膚のケアを確実にするために提供されてきた。例えば、出願WO/0176538は、セラミド、必須脂肪酸及び非必須脂肪酸から選択する脂質の混合物を含む、唇を保護するための組成物を開示している。特許GB2004741は、コレステロール、脂肪酸及びホスホアミノ脂質に基づく脱毛症の治療のための組成物に関係している。特許FR2795960は、幾つかの脂肪酸が、身体に対して弛緩効果を有しうるという観察に基づいており、それは、不安の治療のために、経口、注射又は局所経路により投与することのできる遊離カルボン酸群などを含む脂肪酸ベースの安定なミクロエマルジョンを開示している。他の脂肪酸ベースのエマルジョンは、特許US6361806に開示されているが、この配合物は、表皮を通過することを意図している。特許DE4113346は、リン脂質、油及びアルコールベースの水性頭髪用組成物を開示している。しかしながら、当分野で記載された組成物で、皮脂腺の特性における使用に適したものはない。
【0017】
美容術又は皮膚科医学的処置は、しばしば、非常に限定され、それ故、所望の改善が現れるのが非常に遅いと判断された場合に、患者の部分に無関心の現象を生じる。
【0018】
従って、美容術及び皮膚科医学分野には、患者の部分に良い習慣をもたらすことを可能にする別の投与方法を見出すことに対する増大した要求がある。
【0019】
出願人の会社が行なった研究は、皮脂腺(一層詳細には、毛嚢貯蔵器)が、親油性の活性成分を延長された様式で放出するために構成する貯蔵能力を利用することが可能であることを示した。従って、皮膚の表面でのその内容物の連続的排出により、こうして得られた活性成分の徐々の放出により、非常に広範な皮膚疾患に作用することが可能であるということが見出されている。適当な配合物を達成するために、出願人の会社は、ビヒクルが、ヒトの皮脂と相容性でなければならないこと、その物理化学的性質を変える如何なる危険をも示してはならないこと、及び皮脂腺において優先的に吸収されるように選択されなければならないことを示した。
【0020】
本発明
従って、この発明は、局所的適用のための配合物であって、一種以上の親油性(好ましくは、脂質)活性成分を、少なくとも一種の不飽和C4〜C26脂肪酸及び極性液体ビヒクルを含む溶媒混合物中に含む飽和したエマルジョン又は溶液を含み、皮脂親和性を有する当該配合物に関係する。この液体ビヒクルは、好ましくは、極性有機溶媒を含む。
【0021】
配合物
不飽和C4〜C26脂肪酸の存在は、皮脂の脂質との相容性により活性成分の一層良好な指向性与えること及び排出期における後者の放出を促進することの両方を可能にする。不飽和C4〜C26脂肪酸は、1〜6の不飽和(好ましくは、1〜6の二重結合)を含むことができる。それは、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミチスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、サピエン酸、リシノール酸、α−及びγ−リノール酸、α−及びγ−リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸及びベヘン酸から選択することができる。これらの脂肪酸は、単独で又は互いに混合物として利用することができる。
【0022】
サピエン酸は、天然に、ヒトの皮脂腺に豊富に存在している。それは、16炭素原子とカルボキシル末端から数えて6番目の炭素に一つのシス二重結合を含む一不飽和脂肪酸である。この脂肪酸及び活性成分を、好ましくは、皮脂腺における優先的吸収を確実にするために有機溶媒に溶解させる。
【0023】
好適脂肪酸として、サピエン酸、リノレン酸及びリノール酸を挙げることができる。リノール酸、一層詳細にはα−又はγ−リノール酸は、好適である。
【0024】
本発明は、単純な溶液(好ましくは、無水溶液)又は単純エマルジョンの形態又は第四の型のエマルジョンの形態(これらに、活性成分を飽和させる)で、有利に与えることのできる皮脂親和性を有する配合物に関係する。
【0025】
それが、活性成分を飽和させた単純な無水の油性溶液の形態である場合には、そのビヒクルは、本質的に、脂肪酸及び極性有機溶媒よりなる。
【0026】
第四の型のエマルジョン(典型的には、ミクロエマルジョン)の形態である場合には、その極性液体ビヒクルは、親水性塩基、油性相、表面活性剤及び補助界面活性剤を含む第四のシステムである。かかるミクロエマルジョンは、液体で、半透明であって且つ等方性である。
【0027】
両方の場合において、この配合物は、適宜、結晶化阻止剤及び/又は抗酸化剤及び/又は、以下で詳述するような本発明で用いられる投与方法に適合性の任意の他の賦形剤を含む。
【0028】
「局所的適用のための配合物」は又、一般に、スポット適用型配合物とも呼ばれ;これら2つの用語は、本発明のコンテキストにおいては区別なく用いることができ;それらは、それらが、活性成分の標的を定めた適用によって、特定の皮膚疾患にかかり易い皮膚の特異的領域を治療することを意図していることを意味する。この型の配合物(獣医学の薬剤の分野では周知)は、該配合物の皮膚への単一投与量(典型的には、丁度一滴)の塗り広げない適用が、分散現象によって、多量の冒された領域の皮脂腺に達することを可能にすることを特徴とする。従って、エンデクトシダル(endectocidal)大環状ラクトンと1−N−フェニルピラゾール(獣医学の薬剤の分野で寄生虫との戦いに有用)との組合せを含むスポット適用配合物は、特許US6426333に開示されている。
【0029】
本発明のスポット適用型配合物の適用後に、活性成分は、皮脂腺(一層詳細には、毛嚢貯蔵器)に貯蔵され、次いで、皮脂腺の排出の生理学的周期に従って、角質層への皮脂の流れの中へ徐々に放出される。一層詳細には、本発明の配合物は、特に、親油性活性成分の毛嚢脂腺ユニット内の毛嚢貯蔵器内への容易な取込みを可能にし、次いで、活性成分の皮膚にわたる一様な分布だけでなく、該活性成分の時間をかけて広がる放出をも可能にする有利さを示す。この方法において、活性成分は、次いで、目的の作用を角質層内の皮膚で発揮することができるであろう。
【0030】
本発明の配合物は、皮膚バリヤーを通過することを目標とするものではない。換言すると、血液中への通過は、非常に制限される。
【0031】
当然ながら、化粧及び/又は皮膚科医学的処置の目的は、用いる活性成分によって変化する。
【0032】
従って、本発明の配合物によれば、皮脂腺自体の調節不良と直接関係した皮膚病又は、任意の他の皮膚病をも、別々に又は同時に、治療することが可能である(但し、それを治療するための親油性活性成分が存在するものとする)。後者の場合、これらの皮脂腺の利用は、専ら、角質層における活性成分のゆっくりとした放出のための貯蔵器として為されるということは明確に理解される。例えば、活性成分が、セラミド又はその前駆体の一種である(下記に示す)場合もそうである。
【0033】
従って、皮脂腺の調節不良に関係した病気の内には、皮脂分泌の不足又は過剰が見出される。皮脂分泌の不足は、皮膚の加齢から生じうるし、局所的退行の状態から生じうる;過剰(即ち、脂漏症)は、座瘡又は炎症性皮膚炎例えば脂漏性皮膚炎の原因でありうる。
【0034】
この配合物に適した活性成分
親油性を示す任意の活性成分を利用することができ、脂質活性成分が好適である。特に、本発明の配合物に適した次の親油性活性成分を挙げることができる:任意の脂溶性ビタミン例えばビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体;任意の親油性の遊離基と戦う薬剤;セラミド又はそれらのスフィンゴ塩基型の前駆体例えばスフィンゴシン又はフィトスフィンゴシン;ステロイドホルモン例えばエストロゲン又はプロゲステロン;及び必須脂肪酸、例えばリノール酸及びリノレン酸。
【0035】
上記の様々な活性成分の性質及び役割を、以下に記載する:
【0036】
ビタミンA(レチノールの名称でも知られる)は、美容術において、特に、その主要な生理的機能、特に、幾つかの種類の細胞の増殖及び分化の調節における生理的機能の故に、広く用いられている物質である。特に、レチノールの局所適用は皮膚におけるビタミンAの平衡を安定化させるということ及びこの平衡は、特にUV光への曝露によって悪影響を受けうるということが知られている。従って、ビタミンAの不足は、特に、しわの形成の増加へと導き、特に、太陽への過剰露出(「光線加齢」)の場合にそうである。ビタミンAの不足は又、皮膚の弾力性の喪失へも導き、皮膚の微生物に対するバリヤー機能を弱める。最後に、レチノールは、一般に、座瘡の治療において用いられる。有利には、ビタミンAは、その天然型(レチノール)でも、酸(レチノイン酸)でも用いることができ又はレチニルアセテート、レチンアルデヒド、β−カロテン又はレチニルパルミテートの形態でも用いることができる(本発明のコンテキストにおいて)。
【0037】
ビタミンE及びその誘導体は、遊離基と戦う薬剤(遊離基の抑制剤)と言われている性質によって、美容術及び皮膚科医学において広く行きわたった物質である。ビタミンE(トコフェロールとしても知られる)は、有利には、本発明の配合物に純粋で取り込まれることができ(天然型)又はエステル型特にトコフェロールアセテート、トコフェロールリノレート若しくはトコフェロールスクシネート型で取り込まれうる。
【0038】
遊離基と戦う親油性薬剤として、α−リポ酸の誘導体、アンドログラフォリド又はビタミンCの親油性誘導体例えばエステル(例えば、アスコルビルパルミテート及びステアレート)を挙げることもできる。
【0039】
フィトスフィンゴシン及びスフィンゴシン(ヒトの皮膚に存在するセラミドの前駆体)は、プロテインキナーゼCに対する阻害特性を有している。その上、これらの分子は、表皮のケラチン生成細胞の分化に関与するようである。スフィンゴシンは、角質層に存在し、表皮の他の層は、ある種の望ましくない微生物の成長を阻止するということも又、認められた。従って、それらは、特に、座瘡、脂漏性皮膚炎及び過剰脂漏症の治療において適用される。
【0040】
本発明の配合物で用いられるスフィンゴイド塩基は、公知の方法によって様々な適当な起源例えば天然起源から得ることができ又は化学合成若しくは発酵によって得ることができる。化学合成工程は、一般に、比較的高価であり、必ずしも所望の立体化学的コンフィギュレーションを有するスフィンゴイド塩基を得ることを可能にしない。スフィンゴイド塩基は又、動物又は植物組織から抽出及び精製によって得ることもできるが、これらの方法は、一般に、高価であり、動物起源のものは、必ずしも所望の抗菌性を示さない。
【0041】
これは、何故この発明で用いられるスフィンゴイド塩基が好ましくは微生物発酵により例えば酵母(例えば、ピチア・チフェリ)により製造され、その方法で得られたフィトスフィンゴシンが動物の皮膚のものと非常に類似しているという利点を示すのかという訳である。この発明の好適具体例により、脱アセチル化によって、ピチア・チフェリに由来するテトラアセチルフィトスフィンゴシン(TAPS)から得られたフィトスフィンゴシンの利用が、スフィンゴイドとして、為される。この脱アセチル化反応は、化学反応例えば水酸化カリウムの存在下での加水分解、又は酵素的反応によって行なうことができる。高純度のフィトスフィンゴシンを得るために、精製を加水分解後に行なうのが好適である。当分野で公知の如何なる精製方法でも適当でありうる。本発明のコンテキストにおいて、スフィンゴイド塩基は、スフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシンから有利に選択される。
【0042】
ステロイドホルモン例えばエストロゲン、抗アンドロゲン又はプロゲステロンは、ある種の脂漏症、フォックス−フォーダイス病、アンドロゲン性の脱毛症、座瘡及び多毛症と戦うそれらの能力について知られている。
【0043】
この配合物の成分
この配合物は、単純な油性溶液の形態か又は単純な若しくは第四エマルジョンの形態で提供することができ、該配合物は、何れの場合にも、脂質活性成分を飽和している。それは、脂肪酸に加えて、極性有機溶媒を含んでおり、該溶媒は、一般に局所適用のための配合物において許容しうる当業者に公知の任意の極性有機溶媒であってよい。特に、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコール、ジクロロメタン又はジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)を極性有機溶媒として利用することができる。活性成分の皮膚への浸透を促進し又は改善することのできる溶媒例えば非イオン性の両親媒性グリセロール誘導体例えば1,2−O−イソプロピリデングリセロール(Solketal)も又、この発明の組成物において有利に用いることができる。これらの溶媒には、所望の相によって、様々な賦形剤例えばC8〜C10カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(Estasan又はMiglyol812)又はオレイン酸を補うことができる。
【0044】
本発明のコンテキストにおいては、高い非選択的親油性が知られているTranscutol及びSolketalを好適に用いる。
【0045】
単純な溶液の場合には、適用後の乾燥を促進するため及び活性成分の過飽和を生じるために、揮発性補助溶媒例えばアルコール例えばエタノール及びグリコールを、主溶媒と組み合わせて、有利に利用することができる。単純な又は第四エマルジョンの場合には、この配合物は、油性相と親水相を含む。この補助溶媒は、非極性であってよく、例えば、リノール酸からなるものであってよい。
【0046】
皮膚への適用中に、皮脂腺を含む領域内の角質層との接触に際して、過飽和ビヒクルと角質層の間に存在する分配係数の差が、脂質活性成分の皮脂脂質への拡散及びその皮脂腺内の貯蔵を引き起こす。
【0047】
この発明の組成物の無水性は、その経時的安定性に有利である。しかしながら、これらのエマルジョンの場合には、水性相が存在しうるが、その水は、組成物の全重量に関して5重量%より多くない。
【0048】
この油性相は、C4〜C26の不飽和脂肪酸(適宜、鉱油又は植物油、不飽和ポリグリコシル化グリセリド又はトリグリセリドを補足するが、かかる化合物の混合物によっても補足される)に溶解させた親油性の活性成分により形成される。
【0049】
親水相は、特に、一般にグリコール誘導体例えばプロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリエチレングリコール又はグリセロールにより形成することができる。プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルは、特に、好適である。
【0050】
このミクロエマルジョンのための表面活性剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコシル化C8〜C10のグリセリド及びポリグリセリル−6ジオレエートから選択することができる。
【0051】
一層詳細には、本発明の配合物を、ミクロエマルジョンの形態で提供する場合には、安定な油性相の微小液滴の水性相中の分散又は、逆に、水性相の微小液滴の油性相中の安定な分散を特徴とする。これらの微小液滴のサイズは、200nmより小さい(エマルジョンは、1000〜100,000nm)。この界面膜は、界面活性剤(S)と補助界面活性剤(CS)分子の交替反復よりなり、これは、界面張力を低下させることにより、ミクロエマルジョンの自発的形成を可能にする。
【0052】
このミクロエマルジョンにおいて、油性相は、配合物の全容積に関して、2〜15%、一層詳細には7〜10%の、好ましくは8〜9%の含量で存在する。一般に、水性相は、配合物の全容積に関して、1〜4%の含量で存在する。このミクロエマルジョンは、好ましくは、配合物の全容積に関して、25〜75%の界面活性剤及び10〜55%の補助界面活性剤を含む。その上、この補助界面活性剤の界面活性剤に対する比は、好ましくは、1/7〜1/2である。
【0053】
従って、これらの補助界面活性剤は、短鎖アルコール例えばエタノール及びグリコールから選択することができる。
【0054】
幾らかの化合物は、これらの上で論じた3つの構成要素即ち親水相、界面活性剤及び補助界面活性剤に共通である。
【0055】
結晶化阻止剤は、活性成分の結晶化の危険がある場合に、多いに有利であることを示すことができる。従って、活性成分が容易に毛嚢貯蔵器に到達することは有用なことであるが、放出相が促進されること即ち活性成分が効果的に皮脂に溶解されることも又、有用なことである。
【0056】
この結晶化阻止剤は、特に、配合物の全容積に関して、1〜20重量%(好ましくは、5〜15%)の含量で存在してよい。これらのこの発明で用いることのできる結晶化阻止剤には、下記が含まれる:
− ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)コポリマー、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム;アクリル酸誘導体例えばメタクリレート、及びその他;
− アニオン性界面活性剤例えばアルカリステアレート特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム又はステアリン酸アンモニウム、トリエタノールアミンステアレート;ステアリン酸カルシウム、トリエタノールアミンステアレート;アビエチン酸ナトリウム;アルキルサルフェート特にラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート;脂肪酸特にココヤシ油から誘導されたもの;
− カチオン性界面活性剤例えば式N+1234,Y-(式中、R1〜R4基(同一であっても異なってもよい)は、適宜、ヒドロキシル化された炭化水素基であり、Y−y-は、強酸のアニオン例えばハリド、サルフェート及びスルホネートアニオンである)で表される水溶性第四アンモニウム塩;セチルトリメチルアンモニウムブロミドは、用いることのできるカチオン性界面活性剤の一つである;
− 式N+R’R''R'''(式中、R基(同一であっても異なってもよい)は、適宜、ヒドロキシル化された炭化水素基である)のアミン塩;オクタデシルアミンヒドロクロリドは、用いることのできるカチオン性界面活性剤の一つである;
− 非アニオン性界面活性剤例えば適宜ポリオキシエチレン化したソルビタンエステル特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ポリエチレングリコールステアレート、ひまし油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー;
− 両性界面活性剤例えば置換されたラウリルベタイン化合物;
− 又は、好ましくは、上記の化合物の少なくとも2つの混合物。
【0057】
この配合物は又、任意の脂質の過酸化を防止するために、抗酸化剤をも含むことができ、該剤は、特に、0.005〜1%(w/v)、好ましくは0.01〜0.05%の含量で存在する。
【0058】
当業者に慣用の任意の抗酸化剤を利用することができる。特に、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、チオ硫酸ナトリウム又はそれらの最大2つの混合物を挙げることができる。
【0059】
本発明の配合物の脂質ビヒクルの製造に有用な上記の化合物は、当業者に周知であり、市販品を購入又は公知の技術によって得ることができる。
【0060】
本発明の配合物は、一般に、上記の成分の単純な混合によって調製され;有利には、先ず、活性成分を有機溶媒に混合し、その後、他の成分を加える。
【0061】
この配合物の適用
この発明の配合物は、上記の様々な治療において、長期間にわたって、極めて有効である。
【0062】
本発明の配合物は、適当なアプリケーター付きの瓶に納めることができる。典型的には、この配合物は、治療すべき領域にわたって分配すべき一滴以上の液滴の形態で適用することができる。
【0063】
その投薬量は、用いる活性剤及び治療すべき病気に依って調節される。例えば、0.5%溶液のレチノイン酸の場合、それは、顔に適用される10〜25滴であってよい。
【0064】
皮脂の排出相の流れが温度に依存するということも注目されうる。このパラメーターは、遊離基と戦うための親油性薬剤を投与することを所望する場合には、有利に利用することができる。これは、温度は、皮脂に対して流体化効果を有するので、遊離基と戦うための薬剤が、皮膚を太陽に曝した場合に、一層迅速に放出されうるからである。
【0065】
この配合物の利用
この発明は、皮膚の固さの喪失又は張度の喪失並びに細かい線及びしわの出現よりなりうる皮膚の加齢と関係した皮膚のダメージの治療又は予防を意図した皮膚の美容的処置のための方法であって、該方法は、皮膚の患部領域に本発明の配合物を適用することにある当該方法に関係し、該配合物は、ビタミンAを、例えば、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチナルデヒド又はβ−カロテンの形態で含む。
【0066】
この発明は又、皮膚の光加齢と関係した皮膚のダメージの治療又は予防を意図した皮膚の美容的処置のための方法であって、該方法は、皮膚の患部領域に本発明の配合物を適用することにある当該方法にも関係し、該配合物は、ビタミンAを、例えば、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチナルデヒド又はβ−カロテン、ビタミンE(例えば、トコフェロールアセテート又はトコフェロールスクシネートの形態)の形態で、又は遊離基と戦うための任意の親油性薬剤例えばα−リポ酸、アンドログラフォリド又はビタミンCエステル(例えば、アスコルビルパルミテート及びステアレート)の形態でも含む。
【0067】
その上、この発明は、剥皮を意図した皮膚の美容的処置のための方法であって、該皮膚に、濃縮レチノイン酸(好ましくは、0.1〜1%)を含む本発明の配合物を適用することにある当該方法に関係する。
【0068】
加えて、この発明は、ヒト医学における皮膚科医学用組成物としての利用のための、本発明のスポット適用型配合物に関係する。
【0069】
一層詳細には、この発明は、以下に関係する:
− 本発明のスポット適用型配合物であって、ビタミンA、ステロイドホルモン、セラミド若しくはスフィンゴイド型のその前駆体の一つ、又は必須脂肪酸を含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、座瘡の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、セラミド若しくはそのスフィンゴイド塩基型の前駆体の一つを含み又はステロイドホルモンを含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、脂漏症の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、セラミド若しくはそのスフィンゴイド塩基型の前駆体の一つを含み又は必須脂肪酸を含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、脂漏性皮膚炎の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、ビタミンE、ビタミンA又はグリセロールを含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、皮脂の欠乏の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、ステロイドホルモンを抗炎症目的で含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、フォックス−フォーダイス病の治療が意図されている)、又は、アンドロゲン性の脱毛症及び多毛症のコンテキストにおいては、抗アンドロゲン性ホルモン物質を含む当該配合物、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、セラミド若しくはそのスフィンゴイド塩基型の前駆体の一つを含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、頭皮の慢性毛嚢炎の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、必須脂肪酸を含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、頭皮に局在する場合、魚鱗癬の治療が意図されている)、
− 本発明のスポット適用型配合物であって、コウジ酸エステル、甘草エキス、ステロイドホルモン、ビタミンA又はセラミド若しくはそのスフィンゴイド塩基型前駆体の一つを含む当該配合物(その皮膚科医学用組成物としての用途については、光線性黒子、加齢及び過黒色症と関連する色素異常の治療が意図されている)。
【0070】
その上、この発明は、皮膚を目標とする親油性活性成分の、皮脂腺により吸収されてから、該皮脂腺により、その分泌流れによって、角質層にわたって、徐々に経時的に放出されることを意図したヒトへの局所適用のための配合物の製造のための利用に関係する。
【0071】
この発明は、例えば純粋型(レチノール)又はレチニルアセテート型の、レチニルパルミテートの、レチノイン酸の、レチナルデヒドの又はβ−カロテンの形態のビタミンA;ステロイドホルモン例えばエストロゲン、プロゲステロン及び抗アンドロゲン;セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基例えばスフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシン;必須脂肪酸例えばリノール酸及びリノレン酸から選択する活性成分の、座瘡の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用に関係する。
【0072】
その上、この発明は、セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基例えばスフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシン;ステロイドホルモン例えばエストロゲン、プロゲステロン及び抗アンドロゲンから選択する活性成分の、脂漏症の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用に関係する。
【0073】
この発明は又、セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基例えばスフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシン;必須脂肪酸例えばリノール酸及びリノレン酸から選択する活性成分の、脂漏性皮膚炎の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用にも関係する。
【0074】
加えて、この発明は、ビタミンE例えばトコフェロールアセテート、トコフェロールスクシネート;ビタミンA例えばレチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチナルデヒド又はβ−カロテン;及びグリセロールから選択する活性成分の、皮脂の不足の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用にも関係する。
【0075】
この発明の他の主題事項は、ステロイドホルモン例えばエストロゲン、プロゲステロン又は抗アンドロゲン例えばシプロテロン若しくはフィナステリドから選択する活性成分の、フォックス−フォーダイス病、アンドロゲン性脱毛症又は多毛症の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用である。
【0076】
最後に、この発明の主題事項は、セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基例えばスフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシンから選択する活性成分の、頭皮の慢性毛嚢炎の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用である。
【0077】
この発明の主題事項は、必須脂肪酸例えばリノール酸及びリノレン酸から選択する活性成分の、頭皮に局在する魚鱗癬の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用である。
【0078】
最後に、この発明の主題事項は、コウジ酸エステル例えばコウジ酸ジパルミテート;甘草エキス(グラブリジン);ステロイドホルモン例えばエストロゲン、プロゲステロン及び抗アンドロゲン;ビタミンA例えばレチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、レチナルデヒド及びβ−カロテン;セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基例えばスフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラアセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシン から選択する活性成分の、加齢及び過黒色症の治療を意図した本発明の配合物の製造のための利用である。
【0079】
下記の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0080】
実施例1: ビタミンAについての研究プロトコール及び結果(10症例)
この第一の実施例の目的は、親油性活性成分を毛嚢貯蔵器に投与した後に、その生理的周期に従って長期間放出させる考えが適切であることを示すことである。
【0081】
この考えを主張するために:
− 局所適用後の活性成分の吸収速度を測定し、
− その毛嚢脂腺ユニットにおける優先的な貯蔵を確認し、
− その徐々の連続的な放出及びその持続期間をモニターした。
【0082】
新規な方法論を利用した。幾つかの、皮脂の脂質と相容性の蛍光性脂質を選択した。
【0083】
皮膚をウッドランプに曝した。単一投与量の検討する(亀裂効果)べき溶液の適用後に、分散表面積を、こうして測定した。皮脂腺による吸収速度の測定も又、行なった。
【0084】
この放出の実在を、考慮中の各活性成分に特異的なプロトコールに従って、単純蛍光によって示した。一層定量的なアプローチも又、皮脂の流れを測定して、分析のために皮脂を集めることを意図したセブテストによって導入することができよう。これらのパラメーターは、活性成分の作用の持続期間を予測することを可能にし、それ故、推奨すべき投薬量を予測することを可能にする。
【0085】
皮脂腺の数の変動も又、異なる部位での調査を行なうことにより、局所解剖学によって考慮した。これは、投薬量を投与部位の関数として調節することを可能にした。同様に、年齢による応答を評価した。
【0086】
手段
2つの配合物(対照用配合物とこの発明の配合物)について比較研究を行なった。
【0087】
製剤
ビタミンAパルミテート 3,000,000 IU
BHT 0.10g
PVP 4g
BHA 0.20g
フルオレセインナトリウム 0.20g(又はナイルレッド0.20g)
リノール酸 5g
ジエチレングリコール q.s.100g
【0088】
対照
フルオレセインナトリウム 0.20g
60°アルコール q.s.100g
【0089】
適用部位の選択
皮脂腺に富む領域:おとがいひだ、鼻ひだ
一層豊富でない領域:前腕(前面)
毛髪領域:頭皮
【0090】
プロトコール
比較研究を対称性領域で行なった。一滴の0.4mlの研究すべき生成物を、選択した各領域に付着させた。広げずに自然乾燥を行なった。下記を調べた:
− 分散(15分後に覆われた表面積を測定することによる)、
− 吸収(60分及び6時間の時点での蛍光の程度による)、
− 持続性(24時間、48時間及び96時間の時点で蛍光を測定することによる)。
【0091】
168時間の時点で、皮膚又は頭皮を普通に洗ったが、過度に強力な界面活性剤は避けた。シューグラ洗浄棒及び穏やかな洗髪液が推奨された。
【0092】
蛍光の減光も又、調べた。
【0093】
活性成分を、表皮を剥離して、三塩化アンチモン(24時間及び96時間の時点で、顕微鏡により観察される、青色の発色を与える)による特異的着色によって示した。最後に、吸収スペクトル(328ナノメートルのバンドが特徴的)を調べた。
【0094】
結果
これらの結果は、すべての被験者において同じである。
【0095】
この分散は、毛髪領域及び皮脂腺に富む領域にわたって一層良好である。それは、すべての場合に、対照より優れている。
【0096】
この吸収は、毛嚢脂腺出口に対応する分散斑点における貫通の最初の1時間から同定されうる。
【0097】
これらの貫通は、対照においては、遭遇しない。この面は、第6時間で一層顕著になるが、対照の斑点の蛍光は、減少する。
【0098】
持続は、蛍光の顕著な連続した存在により確認され、これは、168時間の時点において、依然として認められる。対照の斑点は、完全に消失することが観察され;この持続は、皮脂腺に富む領域において一層大きい。
【0099】
従って、ビタミンAの存在は、すべての領域で第4日において確認され、毛髪領域では第7日において確認された。
【0100】
この蛍光の減光は、9日の期間より大きかった。
【0101】
実施例2:この発明の配合物中のレチノイン酸の配合
レチノイン酸 0.30g
BHT 0.10g
BHA 0.20g
リノール酸 5.00g
PVP 4.00g
Transcutol q.s. 100g
【0102】
0.1% Locacid(登録商標)溶液に対する効力及び耐性の研究
5人の患者にこのスポット適用配合物を施与し、他の5人にはLocacid(登録商標)を与えた。額、頬、鼻翼及びおとがいに、このスポット適用配合物を1単一適用し、Locacid(登録商標)を一日一回適用した。
【0103】
これらの観察を、D1、D2、D3、D4、D5、D6及びD8で行なった。
【0104】
皮膚の種類は同じ、即ち、脂肪性の傾向を有する正常皮膚であり;患者は、35〜50歳の年齢であった。
【0105】
Locacid(登録商標)で治療した患者の内に、赤み、灼熱感及び乾燥を伴う刺激現象が、D2から認められた。5症例中4症例において、3回目の適用の後に、この治療を中止する必要があり、4日目には、5番目の患者も治療中止の必要があった。
【0106】
スポット適用配合物で治療された患者においては、漸進的活性が認められ、これは、刺激現象を有さず、細かい落屑の形態で見ることができ、3日目に始まって最長で6日目まで続き、皮膚表面で全体的改善が見られた。
【0107】
この研究は、この発明のスポット適用配合物が、Locacid(登録商標)より優れていること、その作用が漸進的であること及びそれが、顕著な許容条件下で8日に及び、これは、この生成物の真の効果を判定することを可能にするということを示している。
【0108】
これらの観察は、利用可能な公知の計画より遥かに効果的なビタミンA酸(レチノイン酸)の新規な投与方法を提供することを可能にする。
【0109】
週当たり一回の単一投与による治療の容易さは、遵守の保証である。
【0110】
実施例3:この発明の配合物の他の実施例及び治療後の結果
本発明の配合物によって構想しうる様々な治療を説明するために、他の実施例を行なった。
【0111】
リノール酸ベースのスポット適用
維持的座瘡を治療するための週当たり2回の適用。
目的:座瘡を患っている患者の皮脂中のリノール酸の不足の是正。
【0112】
結果は、非常に肯定的なものであることが判明した。
【0113】
脂漏性皮膚炎のケアにおけるケトコナゾール及び局所的コルチコイドに対するフィトスフィンゴシン及びリノール酸ベースのスポット適用
用いた配合物は、下記の通りであった:
サリチロイルフィトスフィンゴシン 0.5g
トコフェロール 0.5g
カプリル酸/カプリン酸C8−C10トリグリセリド 10.0ml
エタノール 13.5ml
PVP 5.0g
ツイーン80 5.0g
Transcutol 60ml
プロピレングリコール q.s. 100ml
【0114】
ケトコナゾール及び局所的コルチコイドの一日一回の適用に対して週当たり2回適用。
【0115】
これらの結果は、非常に肯定的であることが判明した。これは、スポット適用配合物の効力が、ケトコナゾール及び局所的コルチコイドに基づくものより早い理由である。従って、コルチコイドからの脱離が促進されよう。その上、治療の中止において、再発は認められない。
【0116】
頭皮の慢性的毛嚢炎におけるフィトスフィンゴシンベースの及びリノール酸ベースのスポット適用
用いた配合物は、下記の通りであった:
フィトスフィンゴシン塩酸塩 0.4g
γ−リノレン酸 5.0g
エタノール 20ml
Transcutol q.s. 100ml
週当たり2回適用。
【0117】
治療の第二週から結果を見ることができるであろう。
【0118】
光線性黒子の治療における甘草エキスベースの及びリノール酸ベースのスポット適用
用いた配合物は、下記の通りであった:
PT40(甘草エキス) 0.80g
リノール酸 5.0ml
ポリグリセリルジオレエート 4.5ml
エタノール 15.0ml
Transcutol 60.0ml
ツイーン80 50.0g
PVP 5.0g
プロピレングリコール q.s. 100ml
【0119】
顔の光線性黒子の治療において、5日ごとに一回適用。
【0120】
有意の軽減感が、治療の4週間後に認められた。
【0121】
剥皮におけるAHA又は三塩化酢酸に対するレチノイン酸+パルミチン酸スポット適用
用いた配合物は、下記の通りであった:
レチノイン酸 0.5g
パルミチン酸 4.0g
PVP 5.0g
BHT 0.1g
BHA 0.2g
Transcutol q.s. 100ml
【0122】
α−ヒドロキシル酸(AHA)及び30%三塩化酢酸を含む同等物を用いた場合より一層良好な結果が、剥皮後に、社会的困難や色素問題を伴わずに認められた。
【0123】
日光防護におけるトコフェロール+パルミトオレイン酸のスポット適用
用いた配合物は、下記の通りであった:
α−トコフェロール 1.0g
パルミトオレイン酸 5.0g
ツイーン80 50.0g
PVP 5.0g
エタノール 10ml
Transcutol q.s. 100ml
週当たり一回の適用。
【0124】
天然の光防護の強化が認められる。
【0125】
頭皮の魚鱗癬におけるリノール酸のスポット適用
週当たり2回適用。
リノール酸 5.0g
トコフェロール 0.5g
BHT 0.1g
BHA 0.2g
ツイーン80 10.0g
イソプロパノール 40ml
ジエチレングリコール q.s. 100ml
【0126】
落屑状態の正常化が、認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的適用のためのスポット適用型配合物であって、親油性活性成分を、少なくとも一種の不飽和C4〜C26脂肪酸及び極性液体ビヒクルを含む溶媒混合物中に含む飽和したエマルジョン又は溶液を含み、皮脂親和性を有することを特徴とする当該スポット適用型配合物。
【請求項2】
活性成分を、ビタミンA;ビタミンE;遊離基と戦うための親油性の薬剤;セラミド又はスフィンゴイド塩基;及びステロイドホルモンから選択する、請求項1に記載のスポット適用型配合物。
【請求項3】
ビタミンAを、天然型(レチノール)で、その酸(レチノイン酸)若しくはレチニルアセテートの形態で、レチンアルデヒドの形態で、β−カロテンの形態で又はレチニルパルミテートの形態で与え;ビタミンEを、純粋形態で又はエステル形態例えばトコフェロールアセテート、トコフェロールリノレート若しくはトコフェロールスクシネート型で与え;遊離基と戦うための親油性薬剤を、α−リポ酸の誘導体、アンドログラフォリド又はビタミンCの親油性誘導体例えばアスコルビルパルミテート及びステアレートから選択し;スフィンゴイド塩基を、スフィンゴシン、スフィンガニン、フィトスフィンゴシン、テトラセチルフィトスフィンゴシン、N−アセチルフィトスフィンゴシン、塩酸フィトスフィンゴシン及びサリチル酸フィトスフィンゴシンから選択し;そしてステロイドホルモンを、エストロゲン、抗アンドロゲン又はプロゲステロンから選択する、請求項2に記載のスポット適用型配合物。
【請求項4】
不飽和C4〜C26脂肪酸を、サピエン酸、リノレン酸及びリノール酸から選択する、請求項1〜3の何れか一つに記載のスポット適用型配合物。
【請求項5】
不飽和C4〜C26脂肪酸が、α−又はγ−リノール酸である、請求項4に記載のスポット適用型配合物。
【請求項6】
単純油性溶液の形態で、エマルジョン又は第四の型のエマルジョン(活性成分で飽和)の形態で提供される、請求項1〜5の何れか一つに記載のスポット適用型配合物。
【請求項7】
活性成分が飽和した無水の単純油性溶液の形態で提供され、極性液体ビヒクルが有機溶媒を含む、請求項1〜6の何れか一つに記載のスポット適用型配合物。
【請求項8】
有機溶媒を、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコール、ジクロロメタン、1,2−O−イソプロピリデングリセロール(Solketal)及びジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)から選択する、請求項7に記載のスポット適用型配合物。
【請求項9】
ヒトの治療における皮膚科医学用組成物としての利用のための、請求項1〜8の何れか一つに記載のスポット適用型配合物。
【請求項10】
皮膚を目標とした親油性活性成分の、皮脂腺により吸収され、その後、皮脂腺の排出のための生理的周期に従って、角質層にわたる皮脂の流れの中に徐々に放出されることを意図した、ヒトにおける局所適用のための配合物の製造のための利用。
【請求項11】
ビタミンA、ステロイドホルモン、セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基、及び必須脂肪酸から選択する脂質活性成分の、座瘡の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項12】
セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基、及びステロイドホルモンから選択する液体活性成分の、脂漏症の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項13】
セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基、及び必須脂肪酸から選択する脂質活性成分の、脂漏性皮膚炎の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項14】
ビタミンE、ビタミンA及びグリセロールから選択する脂質活性成分の、皮脂の不足の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項15】
ステロイドホルモンから選択する脂質活性成分の、フォックス−フォーダイス病、アンドロゲン性の脱毛症又は多毛症の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項16】
セラミド又はそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基から選択する脂質活性成分の、頭皮の慢性的毛嚢炎の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造ための利用。
【請求項17】
必須脂肪酸から選択する脂質活性成分の、頭皮の魚鱗癬の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項18】
コウジ酸エステル、甘草エキス、ステロイドホルモン、ビタミンA又はセラミド若しくはそれらの前駆体例えばスフィンゴイド塩基から選択する脂質活性成分の、光線性黒子、加齢及び過黒色症と関連する色素異常の治療を意図したスポット適用型の配合物の製造のための利用。
【請求項19】
スポット適用配合物が、請求項1〜8の何れか一つに記載のものである、請求項10〜18の何れか一つに記載の利用。
【請求項20】
皮膚の美容的処置のための方法であって、皮膚の冒された領域に、請求項1〜8の何れか一つに記載のスポット適用型の配合物を適用することに特徴がある当該方法。

【公表番号】特表2007−537214(P2007−537214A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512289(P2007−512289)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001188
【国際公開番号】WO2005/115335
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506379921)
【Fターム(参考)】