説明

美容装置

【課題】肌の水分量を正確に検出して、肌面への光照射制御を的確に行い得る美容装置を提供する。
【解決手段】ミストを生成して施術部に噴出するミスト生成装置5,7,10と、施術部に光を照射する光源部11と、施術部から反射される光を検知して、施術部の水分量を検知する検知部と、検知部で検知した水分量に基づいて光源部の動作を制御する制御部8とを備えた美容装置において、光源部11には、検知部に対するノイズ成分の出力を阻止するノイズカット装置13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミストと光による刺激とで肌面のスキンケアを行うようにした美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の液体をミスト化して使用者の肌面に向けて噴霧し、肌に張りや潤いを与える美容装置が提案されている。
特許文献1には、液体を加熱して発生させたミストを噴出口から使用者の肌に向けて噴射するとともに、肌に光を照射して、美肌効果を確保するようにした美容装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ミストの発生が終了した後にも、所定時間が経過するまで、肌に光を照射して、肌面の温度低下を防止するようにしたミスト発生装置が開示されている。
特許文献3には、皮膚の水分量を検出した水分量データに基づいて光源部からの光出力を制御するようにした美容器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330690号公報
【特許文献2】特開2009−297088号公報
【特許文献3】特開2009−28275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された美容装置では、ミストの停止と同時に光の照射が停止されるため、光照射の停止後は、肌に付着している水分の気化作用により皮膚温度が急激に低下する。この結果、充分な美肌効果を得ることができない。
【0006】
特許文献2に開示されたミスト発生装置では、ミストの発生が終了した後にも、所定時間経過するまで肌に光を照射するので、ミストの噴霧終了直後の皮膚温度の急激な低下を防止することはできる。しかし、ミストの噴霧終了後の光の照射時間が一定であるので、肌の水分量が低下した後に光照射が継続されると、肌が乾燥してしまう。また、肌にミストが付着している状態で光照射が停止されると、皮膚温度が急激に低下するという問題点がある。
【0007】
特許文献3に開示された美容器具では、水分量センサに高周波電流を流すことで、皮膚の乾燥度合いを検出し、その検出結果に基づいて照射光の出力を制御している。しかし、皮膚の角層のコンダクタンスあるいはキャパシタンスを測定して皮膚の乾燥度合いを検出するため、検出精度を確保することが難しい。
【0008】
この発明の目的は、肌の水分量を正確に検出して、肌面への光照射制御を的確に行い得る美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の美容装置は、ミストを生成して施術部に噴出するミスト生成装置と、前記施術部に光を照射する光源部と、前記施術部から反射される光を検知して、前記施術部の水分量を検知する検知部と、前記検知部で検知した水分量に基づいて前記光源部の動作を制御する制御部とを備えた美容装置において、前記光源部には、前記検知部に対するノイズ成分の出力を阻止するノイズカット装置を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、前記制御部は、前記ミストの噴出停止から所定時間後に、前記光源部の動作を停止させることが好ましい。
また、上記構成において、前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記施術部の水分量があらかじめ設定した所定値となったとき前記光源部の動作を停止することが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記検知部を、前記光源部より前記施術部側に位置させることが好ましい。
また、上記構成において、前記制御部は、前記検知部の検出信号に基づいて前記施術部の水分量の一定値以上の変化を報知する報知手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、肌の水分量を正確に検出して、肌面への光照射制御を的確に行い得る美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一の実施形態の美容装置を示す概略図である。
【図2】第一の実施形態の美容装置を示す概略図である。
【図3】第一の実施形態の美容装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第二の実施形態の美容装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】皮膚温度の推移を示す説明図である。
【図6】皮膚温度と水分量の推移を示す説明図である。
【図7】皮膚温度の推移を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示す美容装置は、臼状の外形を備えた本体1の一側上面にタンク収容部2が開口され、そのタンク収容部2に給水タンク3が着脱可能に収容されている。また、給水タンク3は本体1の上面とほぼ面一となるように前記タンク収容部2に収容される。
【0015】
前記タンク収容部2に収容された給水タンク3の下端部には給水管4の一端が接続され、その給水管4の他端は前記本体1内の中央下部に配設されるボイラ室5の下部に接続されている。そして、給水タンク3からボイラ室5にミスト溶液6が供給されるようになっている。
【0016】
前記ボイラ室5の内側面にはヒーター7が取着され、前記本体1内においてボイラ室5の側方には基板上に制御回路を搭載した制御部8が配設されている。そして、制御部8の動作によりヒーター7が作動すると、ボイラ室5内のミスト溶液6が加熱されてミストが生成される。
【0017】
前記ボイラ室5の上部にはミスト案内管9の一端が接続されている。そして、ミスト案内管9は二股状に分岐されて、前記本体1の上面に開口される一対のミスト吐出口10に接続されされている。そして、ボイラ室5内で生成されたミストは、ミスト案内管9を経て、各ミスト吐出口10から噴出されるようになっている。
【0018】
また、前記ミスト吐出口10は、前記本体1の上面において、使用者の肌面(施術部)に向かってミストを噴出する角度に開口されている。
前記本体1の上面において、前記ミスト吐出口10に隣接する位置には、一対の光源部11がそれぞれ設けられている。光源部11は、前記ミスト吐出口10の開口方向と同方向に光を照射するように配設されている。
【0019】
前記光源部11の間には、肌の水分量を検知する検知部12が前記光源部11より使用者の肌面に近い位置に設けられている。この検知部12は、肌面から反射される光の中から水分による反射光の波長を検知可能としたものであり、その検出信号が前記制御部8に出力される。
【0020】
前記光源部11にはフィルター13が設けられている。そして、フィルター13は前記制御部8による制御に基づいて、光源部11から照射される光の中から上記水分量検知の際にノイズとなる波長の光を遮断するように動作する。水分量検知の際にノイズとなる波長は、例えば水分による反射光の波長の高調波成分である。
【0021】
前記本体1の上面には電源スイッチ14が配設されている。制御部8は、電源スイッチ14のオン操作に基づいて、前記ヒーター7、光源部11、検知部12及びフィルター13をオンさせるとともに、前記ヒーター7、光源部11、検知部12及びフィルター13のオフ動作を制御する。
【0022】
次に、上記のように構成された美容装置の作用を図3に従って説明する。
電源が投入されると(ステップ1)、制御部8の動作によりヒーター7がオンされて、ボイラ室5内でミストが生成される。そして、使用者がミスト吐出口10の近傍に肌面を晒すと、ミスト吐出口10から噴出されるミストが肌面に供給される(ステップ2)。
【0023】
また、光源部11がオンされて、肌面に光が照射される(ステップ3)。すると、肌面にミストが供給されるとともに、肌面の皮膚温度が美容効果を確保し得る温度に維持される。
【0024】
次いで、フィルター13がオンされ、光源部11から照射される光の中から水分量検知の際にノイズとなる波長の光が遮断される(ステップ4)。
また、検知部12がオンされて、肌面の水分量を検知し、その検知信号が制御部8に出力される。
【0025】
このような動作中に電源がオフされると(ステップ6)、制御部8はヒーター7をオフさせる(ステップ7)。すると、ミスト吐出口10からのミストの噴出が停止されるので、図6に示すように、肌面の水分量Yは時間の経過とともに徐々に低下し、制御部8は検知部12で肌面の水分量を検知し続ける。
【0026】
一方、光源部11はオン状態に維持され、肌面についているミストが徐々に蒸発して肌面の水分量が低下し、肌面の温度Stが徐々に上昇する。
そして、肌面の水分量があらかじめ設定された水分量Y1,Y2の範囲まで低下すると(ステップ8)、制御部8は光源部11をオフし(ステップ9)、検知部12及びフィルター13をオフさせて動作を終了する。
【0027】
このような動作により、例えば図5に示すように、時刻t1でミストの噴出停止動作と同時に光照射を停止した場合の皮膚温度St1は、時刻t1を境に急激に低下するが、時刻t1以降でも光照射が継続された場合、皮膚温度St2は急激には低下しない。
【0028】
上記のような美容装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)肌面に対しミストを噴出しながら光を照射することができるので、使用者の肌に張りや潤いを与えることができる。
(2)電源をオフしてミストの噴出を停止した後、肌面の水分量が一定の範囲内に低下するまでは、光を照射し続けることができる。従って、電源をオフしたとき、皮膚温度の急激な低下を防止して、充分な美肌効果を確保することができる。
(3)光源部11からフィルター13を介して光照射を行うので、水分量検知の際にノイズとなる波長の光を除去することができる。従って、水分量の検知精度を向上させることができる。
(第二の実施形態)
図4は、美容装置の第二の実施形態の動作を示す。この実施形態は、光源部11と肌面との距離を一定値以内に保持するために報知手段を備えたものである。この報知手段は、前記検知部12により検出された肌面の水分量が急激に変化したとき、光源部11と肌面との距離が不適当であることを検出し、前記光源部11を点滅させて報知する機能が制御部8に備えられる。その他の構成は、前記第一の実施形態と同様である。
【0029】
図4は、この実施形態の美容装置の動作を示す。同図において、ステップ11〜ステップ15の動作は第一の実施形態と同様である。
ステップ16では、検知部12の検知信号に基づいて肌面の水分量の変化を検知している。そして、図7に示すように、肌面の温度Stが急激に上昇するA点では、肌面が光源部11に対し近づきすぎているので、制御部8は検知部12により肌面の水分量が急激に減少することを検出して、光源部11を点滅させる(ステップ17)。
【0030】
また、肌面の温度が急激に低下するB点では、肌面が光源部11から離れすぎているので、制御部8は検知部12により肌面の水分量が急激に増大することを検出して、光源部11を点滅させる(ステップ17)。
【0031】
このような動作により、肌面と光源部11との距離が適切となると、光源部11の点滅動作が停止する。
ステップ18で電源がオフされた後のステップ19〜ステップ21の動作は、第一の実施形態のステップ6〜ステップ9の動作と同様である。
【0032】
この実施形態の美容装置では、第一の実施形態の美容装置で得られた効果に加えて、次に示す効果を得ることができる。
(1)肌面と光源部11の距離が近すぎる場合、あるいは遠すぎる場合に、光源部11を点滅させて報知することができる。従って、肌面の施術時に、肌面とミスト吐出口10及び光源部11との距離を一定の範囲内に容易に維持することができる。
【0033】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第二の実施形態において、報知手段は光源部11の点滅動作以外に、音声発生装置等を別途設けてもよい。
・電源スイッチ14のオフ操作から所定時間が経過した後に、光源部11を自動的にオフさせる機能を制御部8に備えてもよい。
【符号の説明】
【0034】
5…ミスト生成装置(ボイラ室)、7…ミスト生成装置(ヒーター)、8…制御部、10…ミスト生成装置(ミスト吐出口)、11…光源部、12…検知部、13…ノイズカット装置(フィルター)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミストを生成して施術部に噴出するミスト生成装置と、
前記施術部に光を照射する光源部と、
前記施術部から反射される光を検知して、前記施術部の水分量を検知する検知部と、
前記検知部で検知した水分量に基づいて前記光源部の動作を制御する制御部と
を備えた美容装置において、
前記光源部には、前記検知部に対するノイズ成分の出力を阻止するノイズカット装置を設けたことを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記制御部は、前記ミストの噴出停止から所定時間後に、前記光源部の動作を停止させることを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
前記制御部は、前記検知部の検知信号に基づいて、前記施術部の水分量があらかじめ設定した所定値となったとき前記光源部の動作を停止することを特徴とする美容装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の美容装置において、
前記検知部を、前記光源部より前記施術部側に位置させたことを特徴とする美容装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の美容装置において、
前記制御部は、前記検知部の検出信号に基づいて前記施術部の水分量の一定値以上の変化を報知する報知手段を備えたことを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−223419(P2012−223419A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94845(P2011−94845)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】