説明

美容装置

【課題】肌面の汚れを十分に除去し得る美容装置を提供する。
【解決手段】グリップケース1に支持された弾性振動板2は、上面に配設された超音波振動子3の振動に基づいて定在波W1で振動し、先端の施術部10の振動が肌面の汚れを除去する。また、グリップケース1内には給水タンク6が配設され、貯留された液体が給水管7により弾性振動板2の先端部に設けた霧化部8に供給される。霧化部8は、弾性振動板2の振動に基づいて肌面にミストを供給して肌面の汚れを軟化させ、施術部10の振動との相乗効果で効果的な汚れ落としが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動する振動板で肌面を擦ることにより、肌面の汚れを除去する美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波で振動する振動板を肌面に押し当てて、肌面に付着している古い角質、皮脂や化粧残りを除去するようにした美容装置が提案されている。このような美容装置は、特許文献1に開示されるように、超音波振動子の振動により弾性振動板が厚さ方向に振動し、その振動に基づいて肌面の汚れを除去するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−328042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような美容装置において、肌面に汚れが強固に付着している場合等、弾性振動板の振動による肌面の汚れの除去が十分に行われるかが懸念されていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、肌面の汚れを十分に除去し得る美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の美容装置は、グリップケースに支持された弾性振動板と、前記グリップケース内に収容され、前記弾性振動板を超音波振動させる超音波振動子とを備え、前記弾性振動板の先端突出部に設けた施術部を肌面に当てて前記超音波振動にて施術を行うようにした美容装置において、前記弾性振動板の先端突出部に液体を供給するための液体供給手段と、前記液体供給手段から供給された液体を前記超音波振動に基づいて霧化して前記肌面に供給する霧化部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また上記構成においては、前記弾性振動板は、前記施術部側に伝達する前記超音波振動と、前記霧化部側に伝達する前記超音波振動との相互干渉を防ぐための干渉防止部を備えることが好ましい。
【0007】
また上記構成においては、前記干渉防止部は、前記弾性振動板における前記霧化部の周辺に設けた溝又はスリットにて構成されることが好ましい。
また上記構成においては、前記霧化部は、その周囲の前記弾性振動板の板厚よりも薄く構成されることが好ましい。
【0008】
また上記構成においては、前記霧化部は、その周囲の前記弾性振動板よりも軽い材質で構成されることが好ましい。
また上記構成においては、前記弾性振動板は、前記霧化部にて霧化した液体の飛散方向を設定すべく所定箇所を曲げた屈曲部を有するものであり、前記弾性振動板における前記屈曲部を設けた位置を、前記弾性振動板が超音波振動に基づいて振動する定在波における節の位置とすることが好ましい。
【0009】
また上記構成においては、前記弾性振動板は、前記霧化部にて霧化した液体の飛散方向が前記施術部による肌面の施術部位に向くように設定されることが好ましい。
また上記構成においては、前記液体供給手段は、前記グリップケースに給水タンクを有し、該給水タンクから前記霧化部への液体供給を行うものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、肌面の汚れを十分に除去し得る美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は本実施形態における美容装置の平面図、(b)は弾性振動板の先端部の拡大図である。
【図2】(a)は本実施形態における美容装置の縦断面図、(b)は給水管の先端の拡大図、(c)は霧化部と不織布とが接している部分の拡大図である。
【図3】美容装置の別例を示すための縦断面図である。
【図4】美容装置の別例を示すための弾性振動板の拡大図である。
【図5】美容装置の別例を示すための弾性振動板の拡大図である。
【図6】美容装置の別例を示すための弾性振動板の拡大図である。
【図7】美容装置の別例を示すための弾性振動板の拡大図である。
【図8】美容装置の別例を示すための弾性振動板の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1(a)及び図2(a)に示す美容装置は、筒状に形成されたグリップケース1にステンレス等の金属部材を板状に形成した弾性振動板2が支持され、その弾性振動板2の先端部はグリップケース1の先端の開口部1aから突出されている。
【0013】
グリップケース1内の中央部には、弾性振動板2の基端部の上面に接して超音波振動子3が配設されている。また、弾性振動板2の下面とグリップケース1との間には、超音波振動子3の動作を制御する制御部4が配設されている。グリップケース1内の基端部には、制御部4に電源を供給する電源部5が配設されている。電源部5は、充電式バッテリー、乾電池あるいは商用電源の供給に基づいて所要の電圧を生成する電源回路のいずれでもよい。
【0014】
グリップケース1内において、超音波振動子3と電源部5との間には、水道水や保湿剤等の液体を貯留するための給水タンク6が配設されている。給水タンク6の電源部5側の側面には給水管7の基端部が接続されている。給水管7は、給水タンク6の側面から下面に沿って屈曲し、制御部4と弾性振動板2との厚み方向の間を通ってグリップケース1の先端の開口部1aから先端部が突出されている。開口部1aにおいて、給水管7と弾性振動板2とはゴム等の弾性体11を介して支持されている。尚、この場合、振動する弾性振動板2は、開口部1aに対して振動の節の部分で支持される。また、この弾性振動板2は、給水管7とはグリップケース1内で密着しないように配設されることが好ましい。
【0015】
図1(b)に示すように、弾性振動板2のグリップケース1から突出した部分(先端突出部)には、弾性振動板2の上面と下面とを貫通する複数の貫通孔8aが形成された、所謂メッシュ状の霧化部8が設けられている。グリップケース1の先端から突出した給水管7の先端部は、霧化部8が形成された弾性振動板2の裏面まで延設されている。
【0016】
図2(a)に示すように、給水タンク6には、グリップケース1の上面において液体を補給できるように注水口6aが設けられ、蓋にて開閉可能となっている。給水管7の内部には給水タンク6から霧化部8までの全体に亘って不織布9が挿入されており、該不織布9は給水管7の先端から霧化部8の裏面に露出している。給水タンク6と給水管7とが接続する部分においては、給水タンク6に注水された液体が毛細管現象により不織布9に吸収される。そして、不織布9に吸収された液体は、給水管7の先端から露出した不織布9まで浸透する。尚、例えば給水管7から不織布9の一部又は全部を取り外し可能とすることや給水管7自身を脱着可能にする構成とすることで、定期的に新品の不織布9を使用でき、不織布9の衛生面の維持や吸水性の維持が可能となる。
【0017】
弾性振動板2は、グリップケース1から突出する先端突出部において、霧化部8より先端の振動の節の部分で所定の角度で下面側に屈曲し、さらにその先端において所定の角度で上面側に屈曲した略く字状をなす。弾性振動板2の先端は、図1(a)に示すように、滑らかな曲線で略M字状をなしており、肌面に押し当てられる施術部10を備えている。
【0018】
図2(b)に示すように、給水管7のグリップケース1から突出した部分は、先端から露出した不織布9を霧化部8の裏面に対向させるように屈曲して形成されている。その給水管7の屈曲した部分は、グリップケース1に支持された板バネ12により下面から押圧され、不織布9を霧化部8の裏面に密着させように構成されている。
【0019】
図2(c)に示すように、霧化部8に形成された貫通孔8aは、弾性振動板2の厚み方向において上面の開口径R1の長さよりも下面の開口径R2が大きい略円錐台状の空洞として形成されている。貫通孔8aは、例えば開口径R1を5μm、開口径R2を10μmとし、開口径R2の長さを開口径R1の2倍に形成する。
【0020】
そして、グリップケース1に設けられた操作部(図示略)により電源が投入されると、制御部4の制御に基づいて超音波振動子3が振動して、弾性振動板2が厚み方向に所定の振動周波数(例えば、10kHz〜100kHz)で振動するようになっている。このとき、弾性振動板2は、先端の施術部10に向かって振動振幅が増大する。その振動する施術部10を肌面に当てて鼻や頬などの肌面を擦るように施術することで、化粧汚れ等を除去することができる。
【0021】
超音波振動子3の振動に基づいて、弾性振動板2の長手方向に強い機械振動(超音波振動)が生じるとともに、図1に実線で示す定在波W1で振動する。尚、施術部10に向かって振動振幅が増大するが、図1では定在波W1の振幅を一定として示している。定在波W1は、波長λであり、超音波振動子3の位置を節、同じくグリップケース1の開口部1aにて支持される位置を節となるように、また弾性振動板2の先端、つまり施術部10の位置を腹となるように設定されて振動する。
【0022】
また、不織布9が霧化部8の裏面に密着するその中心位置は、弾性振動板2の先端から半波長(λ/2の長さ)の位置、つまり、定在波W1の腹の位置に設定されている。これにより、霧化部8は、弾性振動板2の振動に基づいて液体を霧化するが、効果的に霧化できるようになっている。また、液体の出口に向かうほど貫通孔8aの内径を小さく形成したことで、超音波振動子3の振動に基づいて貫通孔8a内に伝わる振動が増大する。従って、不織布9から供給され貫通孔8a内に満された液体は、貫通孔8a内で増大した振動に基づいてより効果的に霧化部8の上面から霧化されるようになる。
【0023】
その結果、霧化された液体であるミストは、肌面に付着し浸透することで化粧残りや古い角質、毛穴の角栓などの肌面の汚れを軟化させる。そして、汚れを軟化させた状態の肌面を、振動する施術部10を用いて施術するその相乗効果によって、肌面の汚れを効果的に除去できるようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)超音波振動する弾性振動板2の施術部10で肌面を擦ることにより、肌面の汚れを除去することができる。
【0025】
(2)給水タンク6に貯留した液体を、霧化部8から肌面に噴霧して古い角質などの汚れを軟化させることができるので、施術部10の振動との相乗効果で、肌面の汚れを効果的に除去することができる。
【0026】
(3)弾性振動板2の振動に基づいて霧化部8から液体を霧化しているので、振動発生源である超音波振動子3を共用することができ、少ない構成部品で構成することができる。
【0027】
(4)弾性振動板2の先端の施術部10は、自身の振動(定在波W1)の腹となるように設定されているため、効果的な振動を肌面に付与することができる。
(5)霧化部8の中心位置(不織布9にて液体を供給する部分)は、自身の振動(定在波W1)の腹となるように設定されているため、効果的な霧化を行うことができる。
【0028】
(6)霧化部8の複数の貫通孔8aは、略円錐台に形成、即ち出口ほど小径に形成されるため、弾性振動板2の振動にて貫通孔8aの出口側での振動が増大し、より効果的な霧化を行うことができる。
【0029】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、給水管7の先端から露出する不織布9を、霧化部8の裏面に密着させるように構成したが、例えば図3に示すように、給水管7又は不織布9の部分を弾性振動板2の下面から上面に貫通させた構成としてもよい。このようにすると、弾性振動板2の振動が給水管7又は不織布9に直接伝わるため、効果的にミストを噴霧させることができる。この場合、霧化部8のメッシュ構造や板バネ12を省略することもできる。
【0030】
・上記実施形態の弾性振動板2において、例えば図4に示すように、霧化部8の幅方向両側にその霧化部8と外縁部分との振動干渉を防止する干渉防止部21を設けてもよい。干渉防止部21は、例えば弾性振動板2の長手方向に沿って形成した溝やスリット等にて構成され、これ以外でもよい。このようにすれば、干渉防止部21より内側の振動は霧化部8に効率良く伝達され、干渉防止部21より外側の振動は先端の施術部10に効率良く伝達される。尚、弾性振動板2に設けた干渉防止部21の長手方向の長さをLとした場合に、長さLは、定在波W1の半波長λ/2の整数倍に形成することでより効果的に相互の干渉を防止することができる。
【0031】
・上記実施形態の弾性振動板2において、例えば図5に示すように、霧化部8の部分の板厚を周囲の他の部分よりも薄くした構成としてもよい。このようにすると、霧化部8での振動振幅が増大するため(定在波W2)、より効果的な霧化を行うことができる。
【0032】
また、例えば図6に示すように、例えば霧化部8の部分の材質を周囲の他の部分よりも軽い材質、例えばアルミ等を用いて構成してもよい。このようにした場合においても、上記の霧化部8を薄くした構成と同様に、振動振幅が増大するため(定在波W2)、より効果的な霧化を行うことができる。尚、図5及び図6は、図2に示す美容装置を側方から見た図であって、弾性振動板2の先端部付近のみを図示している。
【0033】
・上記実施形態の弾性振動板2において、例えば図7に示すように、霧化部8の基端部側に屈曲部22を設け、霧化部8からミストを噴霧する飛散方向を、施術部10が肌面を施術する施術部位に向くように構成してもよい。この場合、屈曲部22に弾性振動板2の振動(定在波W1)の節が位置するように設定する。屈曲部22は湾曲形状でもよい(この場合、湾曲中心を振動の節に設定する)。このようにすると、霧化部8から施術部10が施術を行う肌面の部位に効果的にミストを供給することができる。尚、屈曲部22を設ける位置や曲げる角度は、ミストの飛散方向を施術部位に向くように構成することに限定されず、例えば施術部位を先にミストで濡らすように、設ける位置や曲げる角度等を適宜変更してもよい。
【0034】
また、図8に示すように、ミストが噴霧される側の面を凹凸形状とした霧化部23としてもよい。このようにすると、霧化部23の表面に供給される液体の霧化を好適に行い、広範囲に放出させることができる。
【0035】
・上記実施形態では、霧化部8の設定位置を、弾性振動板2の先端の施術部10から半波長(λ/2の長さ)に設定したが、定在波W1における別の腹の位置に変更してもよい。また、霧化できる範囲で腹(振幅のピーク位置)からずれていてもよい。
【0036】
・上記実施形態において、霧化部8に供給するための液体をグリップケース1内の給水タンク6に貯留するようにしたが、これに限定されない。例えば、グリップケース1内部でなくてもよい。また、給水タンク6を外部に設け、外部からホース等で霧化部8に供給する構成としてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、霧化部8を弾性振動板2の一部に構成したが、弾性振動板2に対して脱着可能な構成に変更してもよい。
・上記実施形態における、霧化部8及び施術部10を含む弾性振動板2の先端の形状は一例であり、適宜変更してもよい。例えば、弾性振動板2の先端の施術部10は、直線状であってもよい。また、施術部10は、弾性振動板2の先端に配設されることに限定されず、弾性振動板2の他の位置、例えば弾性振動板2を屈曲させた先端等に設けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…グリップケース、2…弾性振動板、3…超音波振動子、6…給水タンク(液体供給手段)、7…給水管(液体供給手段)、8、23…霧化部、10…施術部、21…干渉防止部、22…屈曲部、W1、W2…定在波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップケースに支持された弾性振動板と、
前記グリップケース内に収容され、前記弾性振動板を超音波振動させる超音波振動子とを備え、
前記弾性振動板の先端突出部に設けた施術部を肌面に当てて前記超音波振動にて施術を行うようにした美容装置において、
前記弾性振動板の先端突出部に液体を供給するための液体供給手段と、
前記液体供給手段から供給された液体を前記超音波振動に基づいて霧化して前記肌面に供給する霧化部と
を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記弾性振動板は、前記施術部側に伝達する前記超音波振動と、前記霧化部側に伝達する前記超音波振動との相互干渉を防ぐための干渉防止部を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項2に記載の美容装置において、
前記干渉防止部は、前記弾性振動板における前記霧化部の周辺に設けた溝又はスリットにて構成されたことを特徴とする美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記霧化部は、その周囲の前記弾性振動板の板厚よりも薄く構成されたことを特徴とする美容装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記霧化部は、その周囲の前記弾性振動板よりも軽い材質で構成されたことを特徴とする美容装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記弾性振動板は、前記霧化部にて霧化した液体の飛散方向を設定すべく所定箇所を曲げた屈曲部を有するものであり、
前記弾性振動板における前記屈曲部を設けた位置を、前記弾性振動板が超音波振動に基づいて振動する定在波における節の位置としたことを特徴とする美容装置。
【請求項7】
請求項6に記載の美容装置において、
前記弾性振動板は、前記霧化部にて霧化した液体の飛散方向が前記施術部による肌面の施術部位に向くように設定されたことを特徴とする美容装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記液体供給手段は、前記グリップケースに給水タンクを有し、該給水タンクから前記霧化部への液体供給を行うものであることを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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