説明

美白剤及びビタミン混合組成物

【課題】 リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤及びそれらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とする、美白作用を有するビタミン混合組成物を提供する。
【解決手段】 リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤及びそれらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とするビタミン混合組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
美容上の観点から、シミやソバカスに悩んでいる人が多い。シミやソバカスあるいはクスミやシワといった肌の老化は、紫外線照射、酸化的刺激、ホルモン異常、遺伝的要素などに大きく影響を受けていると言われており、その中でも紫外線照射の影響が最も大きいと考えられている。皮膚表面上で紫外線を受けると、組織内でフリーラジカル(活性酸素)が発生し、この活性酸素によって、細胞損傷や炎症が惹起されると、炎症系のケミカル・メディエーターを介して、色素沈着を惹起すると言われている。
【0003】
また紫外線照射などの影響により、メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)や副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)など複数のメラノサイト活性化因子の分泌が促進され、色素沈着を誘発することも知られている。
【0004】
また、現代社会で増え続けるストレスによってもメラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)や副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)など複数のメラノサイト活性化因子の分泌が促進され、色素沈着を誘発することも知られており、ストレス環境下で紫外線を浴びることは、色素沈着が顕著に強くなり、難治性のシミやソバカスが生じやすくなる。
【0005】
一方、色素沈着の生成は本来、生体防御反応の一つと考えられている。すなわち、皮膚表面細胞上で遺伝情報であるDNAを紫外線照射などから防御するために、表皮細胞に存在する色素細胞(メラノサイト)内のメラノソームと呼ばれるメラニン生成顆粒においてメラニン色素が産生される。このようにして生成したメラニン色素が隣接する細胞に拡散し、表皮細胞のケラチノサイトに蓄積され、皮膚の新陳代謝によりケラチノサイトは通常角質層となり、やがて皮膚から剥がれ落ちると考えられているが、必要以上に過剰にメラニン色素が産生された場合には、表皮内や真皮層に沈着して、その結果、シミとなって残存すると考えられている。
【0006】
そして上記のメラニン色素は大きく分けて色の濃いユウメラニンと淡色のフェオメラニンの2種類があり、いずれも紫外線の防御に寄与すること、また紫外線照射時にはユウメラニン合成が活性化されることも知られている。
【0007】
一方、シワはシミとともに皮膚老化の代表的な変化である。加齢に伴う皮膚の組織学的変化は日光暴露部と被覆部とでは大きく異なり、それぞれ、光老化及び生理的老化と区別されている。特に、顔面のシワが美容上問題となり、ここでは、生理的老化に加えて光老化の関与が大きい。この光老化には紫外線などにより生じる活性酸素などのフリーラジカルが主な原因と考えられており、紫外線による酸化障害として、脂質の過酸化、DNA損傷、蛋白変性、代謝異常などが生じる。それらが、急性・慢性炎症、真皮細胞外マトリックスの変性を引き起こし、光老化につながると考えられている。
【0008】
真皮細胞外マトリックスの変性は主に、活性酸素・フリーラジカルの繊維構造の分解・断片化作用によるものであり、また、活性酸素によりコラーゲン繊維の老化架橋が促進される。このようにして弾力繊維の変性が起こり、シワの原因になると考えられている。
【0009】
従来より、このようなシミやシワの生成を防止することを目的として種々の方法が検討されてきた。
【0010】
その一つとしては、紫外線照射などにより生じたフリーラジカルを消去し、またメラニン色素産生に関与する酵素のチロシナーゼを阻害することでメラニン色素産生自体を抑制する方法が挙げられる。
【0011】
上記作用を有する化合物としては、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEが挙げられ、ビタミンCが唯一の医薬品成分として古くから主に経口投与で用いられてきた。また、上記以外のビタミンと色素沈着に関連する事項としては以下の内容が知られている。
【0012】
すなわち、リボフラビンはグルタチオン還元酵素の補酵素として重要であり、過酸化脂質の生成を抑制すること、またフリーラジカル捕捉剤として作用する可能性があること(例えば、非特許文献1参照。)、さらにリボフラビンを局所注射後に紫外線照射することが青色母斑の治療に有効であることが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0013】
ニコチン酸アミドは、色素細胞から表皮細胞へのメラニンの転送を阻害することにより色素沈着を防止することが知られている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0014】
パントテン酸カルシウムは、単独では紫外線照射後の色素沈着に対して効果がないが、ビタミンCとの併用で色素沈着防止効果があることが知られている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0015】
上記以外では外用の美白剤が主に用いられている。具体的には、メラニン色素産生自体を抑制するハイドロキノン誘導体(例えば、特許文献1参照。)、チロシナーゼ阻害による美白効果を期待したエラグ酸(例えば、非特許文献5参照。)、コウジ酸(例えば、特許文献2、3参照。)、アルブチン(例えば、特許文献4参照。)などが既に提案されているが、前述のとおり、メラニン色素は紫外線防御における重要な物質であり、これらの成分はメラニン色素産生自体を抑制するので必ずしも好ましいことではない。
【0016】
しかしながら、上記公報及び文献のいずれにも、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上が効率的にメラノサイトの活性化を抑制し美白作用を有することについては何ら開示も示唆もされていない。また、それらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とするビタミン混合組成物がより効果的に美白作用を有することも何ら開示も示唆もされていない。
【0017】
【特許文献1】特開昭63−246311号公報
【特許文献2】特公昭32−8100号公報
【特許文献3】特開平1−275524号公報
【特許文献4】特開昭63−8314号公報
【非特許文献1】食品大百科事典、朝倉書店、2001年
【非特許文献2】Kenji Satoら、J.Dermatological Science、23巻、22頁、2000年
【非特許文献3】T.Hakozakiら、British J.Dermatology、147巻、20頁、2002年
【非特許文献4】麻生和雄ら、西日皮膚、42巻、885頁、1980年
【非特許文献5】立花新一ら、Fragrance J、9巻、37頁、 1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、優れた美白作用を有する、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤及びそれらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とするビタミン混合組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らの研究によれば、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上が意外にも優れた美白作用を見出し、それらからなる群から選ばれる3種以上を組合せたビタミン混合組成物がさらに優れた美白作用を有することを見出し本発明を完成させた。
【0020】
すなわち、本発明は、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤及びそれらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とするビタミン混合組成物である。
好ましくは、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる2種以上を有効成分とする美白剤であり、さらに好ましくはリボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる3種以上を有効成分とする美白剤であり、最も好ましくはリボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムを有効成分とする美白剤である。
また、本発明は、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴とするビタミン混合組成物に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のリボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤は、優れた美白作用を示し、それらからなる群から選ばれる3種以上を組合せたビタミン混合組成物がさらに優れた美白作用を示し、色素沈着が悪化するストレス環境下においても優れた美白効果を示した。従って、本発明の美白剤及びビタミン混合組成物が色素沈着を予防し、シミやソバカスの紫外線による悪化を抑制することが示唆され、美白剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
本発明に用いられるリボフラビンは、第十四改正日本薬局方、(株式会社じほう発行、2001年、以下局方と略記する)、749−750頁に記載のものが挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる塩酸ピリドキシンは、局方、361頁に記載のものが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられるニコチン酸アミドは、局方、588頁に記載のものが挙げられる。
【0026】
本発明に用いられるパントテン酸カルシウムは、局方、615−616頁に記載のものが挙げられる。
【0027】
本発明の美白剤及びビタミン混合組成物としては、固形剤、半固形剤、液剤等特に制限されるものではなく、具体的には錠剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、発泡剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、ゼリードロップ剤、液剤等の形態をした食品及び医薬品などが挙げられる。
【0028】
本発明の美白剤及びビタミン混合組成物は、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を混合したものをそのままの形で使用することもできるが、その他の成分として、通常の食品及び医薬品に用いられるものを使用することができる。例えば結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステル、白糖等の賦形剤を加え、例えば乾式顆粒打錠法あるいは湿式顆粒打錠法により造粒して製造することができる。
【0029】
また、通常、液状の食品及び医薬品に使用される浸潤剤、乳化剤、分散助剤、界面活性剤、甘味料、酸味料、糖アルコール、フレーバー、芳香物質等賦形剤を加えて溶解し、液体の状態として製造することもできる。
【0030】
本発明のリボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を有効成分とする美白剤及びそれらからなる群から選ばれる3種以上を含有することを特徴ビタミン混合組成物における、各有効成分の配合割合は用いられる種類によっても若干異なるが、全組成物1000重量部当たり、リボフラビンは0.4〜30重量部、好ましくは2〜30重量部、塩酸ピリドキシンは0.5〜100重量部、好ましくは5〜100重量部、ニコチン酸アミドは2〜60重量部、好ましくは12〜60重量部及びパントテン酸カルシウムは5〜30重量部、好ましくは5〜15重量部である。当該範囲内の使用であれば、優れた美白効果を示し、コスト的にも有効である。
【0031】
さらに具体的には、一日の投与量が、リボフラビン0.4〜30mg、塩酸ピリドキシン0.5〜100mg、ニコチン酸アミド2〜60mg及びパントテン酸カルシウム5〜30mgとなるよう適宜混合する。
【0032】
本発明の美白剤及びビタミン混合組成物は、必須成分である上記化合物の他に通常の医薬品及び飲食品において使用されるアスコルビン酸、コウジ酸、アルブチン、胎盤抽出物、ビタミンE、システイン、グルタチオン等の公知の美白剤、ビタミンB、ビタミンD、アミノ酸、ペプチド、蛋白質等を配合することができる。
【0033】
本発明の美白剤及びビタミン混合組成物は、美白剤として、通常成人1日当たり1〜3回に分けて経口投与する。
【0034】
以下に試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムは市販のものを用いた。
【0035】
[試験例]
試験例1(紫外線照射後のメラノサイト増殖活性化抑制試験)
(1)試験方法
DBA/2NCrjマウス(雄性、6週齢)6匹を1群として用いた。体重を測定し、
表1に示す被験物質を1%レシチンに溶解させて用いた。5群のDBA/2NCrjマウスにそれぞれ試験試料1a〜1d、対照試料1をゾンデで直接胃の中に投与した。その後、投与1時間後に医療用紫外線照射装置デルマレー(クリニカル・サプライ社製)を用いて、中波長紫外線を5分間0.09J/cm照射した。被験試料投与と照射を1日1回、9日間行った。次ぎに10日目にDBA/2NCrjマウスの両耳を採取し、外側の皮膚が上になるように置き、左右の耳から1箇所ずつ6mmのトレパンで皮膚を採取した。その後、外側の皮膚を採取し、定法に従ってメラニン色素を産生しているメラノサイトの指標であるド−パ陽性メラノサイトの染色を行い、顕微鏡下でメラノサイト数を数え、1mm当たりのメラノサイト数を計測した。なお、1群のDBA/2NCrjマウスは中波長紫外線を照射せず、同様に実験を行った(非照射投与群という)。
【0036】
【表1】

【0037】
(2)検定方法
結果の判定は、対照試料投与群1と本発明の試験試料投与群1a〜1dのそれぞれのドーパ陽性メラノサイト数を比較して行った。また、有意差検定はダネット(dunnett)検定を用いた。
(3)試験結果
結果を表2に示す。表2から明らかなようにリボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム及びニコチン酸アミドは有意に紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を抑制し、本発明の美白剤が色素沈着防止に有効であることが示された。
【0038】
【表2】

【0039】
試験例2(紫外線照射後のメラノサイト増殖活性化抑制試験)
(1)試験方法
表3に示す被験物質を用いる以外は試験例1と同様に試験を行った。
【0040】
【表3】

【0041】
(2)検定方法
試験例1と同様の方法を用いた。
【0042】
(3)試験結果
結果を表4に示す。表4から明らかなように本発明のビタミン混合組成物は有意に紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を抑制した。また、参考試料2a〜2cのビタミンC、ビタミンEに比べて本発明のビタミン混合組成物は有意に紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を抑制した。
【0043】
【表4】

【0044】
試験例3(紫外線照射後のメラノサイト増殖活性化抑制試験)
(1)試験方法
表5に示す被験物質を用いる以外は試験例1と同様に試験を行った
【0045】
【表5】

【0046】
(2)検定方法
試験例1と同様の方法を用いた。
(3)試験結果
結果を表6に示す。表6から明らかなように本発明のビタミン混合組成物は有意に紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を抑制した。
【0047】
【表6】

【0048】
尚、抑制率は下記式より求めた。

抑制率(%)={(対照群−ストレス群)−(各試料群−ストレス群)}/(対照群−ストレス群)×100
【0049】
試験例3(ストレス環境飼育下での紫外線照射後のメラノサイト増殖活性化抑制試験)
(1)試験方法
DBA/2NCrjマウス(雄性、6週齢)6匹を1群として用い、通常環境下と過密ストレス環境下で飼育を行った。すなわち、非照射投与群(紫外線非照射)と紫外線照射群(紫外線照射のみ)は、飼育を通常ケージ(30×20×12cm)で行い、ストレス群(過密ストレス環境飼育のみ)とストレス下紫外線照射群(対象群;過密ストレス環境飼育で紫外線照射)及び試験試料投与群は、飼育を過密ストレスケージ(14×7×8cm)で行った。試験には、表7に示す被験物質を0.5%カルメロースナトリウムに溶解させて用いた。8群のDBA/2NCrjマウスにそれぞれ試験試料4aと4b、参考試料4及び対照試料4をゾンデで直接胃の中に投与した。その後、投与1時間後に医療用紫外線照射装置デルマレー(クリニカル・サプライ社製)を用いて、中波長紫外線を5分間0.045J/cm照射した。過密ストレス環境飼育したDBA/2NCrjマウスは紫外線照射の際には通常ケージを用いて行った。被験試料投与と照射を1日1回、9日間行った。9日目の照射5〜30分の間にDBA/2NCrjマウスをジエチルエーテル麻酔をし採血後、両耳を採取し、外側の皮膚が上になるように置き、左右の耳から1箇所ずつ6mmのトレパンで皮膚を採取した。その後、外側の皮膚を採取し、定法に従ってメラニン色素を産生しているメラノサイトの指標であるド−パ陽性メラノサイトの染色を行い、顕微鏡下でメラノサイト数を数え、1mm当たりのメラノサイト数を計測した。なお、1群のDBA/2NCrjマウスは中波長紫外線を照射せず、同様に実験を行った。また、採血した血清については、血清中のACTH濃度を、MD Bioscience社キットのELISA法により測定した。
【0050】
【表7】

【0051】
(2)検定方法
結果の判定は、対照群と本発明の試験試料4a、4b投与群及び参考試料4投与群のそれぞれのドーパ陽性メラノサイト数を比較して行った。また、有意差検定はダネット(dunnett)検定を用いた。
【0052】
(3)試験結果
ドーパ陽性メラノサイト数の結果を表8に、ACTH濃度を表9に示す。表8から明らかなように本発明のビタミン混合組成物はストレス環境下の紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を有意に抑制した。また、参考試料のビタミンCに比べて本発明の組成物は低用量で有効で、紫外線照射によるド−パ陽性メラノサイト数の増加を有意に抑制した。また、表9から明らかなように、ストレス環境下の紫外線照射により顕著に増加するACTHに対して、本発明の組成物は有意に抑制することが明らかになり、本発明の組成物が色素沈着を予防し、シミやソバカスの紫外線による悪化を抑制する可能性があることが示唆された。
【0053】
【表8】

【0054】
【表9】

【実施例】
【0055】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0056】
実施例1(錠剤)
(処方)
リボフラビン 0.8g
塩酸ピリドキシン 1.0g
ニコチン酸アミド 2.0g
結晶セルロース 80.0g
二酸化ケイ素 6.0g
ソルビトール 198.2g
ショ糖脂肪酸エステル 12.0g
――――――――――――――――――――――――――――――
合計 300.0g
【0057】
(製造方法)
上記の各成分を混合し、その混合物を打錠機で1錠300mgに打錠して1錠中にリボフラビン0.8mg、塩酸ピリドキシン1.0mg、ニコチン酸アミド2.0mg含む実施例1の錠剤を得る。
【0058】
実施例2(錠剤)
リボフラビン0.8g及びソルビトール198.2gをパントテン酸カルシウム3.2g及びソルビトール195.8gに代えた以外は実施例1と同様にして調製し、実施例2の錠剤を得る。
【0059】
実施例3(錠剤)
塩酸ピリドキシン1.0g及びソルビトール198.2gをパントテン酸カルシウム3.2g及びソルビトール196.0gに代えた以外は実施例1と同様にして調製し、実施例3の錠剤を得る。
【0060】
実施例4(錠剤)
ニコチン酸アミド2.0g及びソルビトール198.2gをパントテン酸カルシウム3.2g及びソルビトール197.0gに代えた以外は実施例1と同様にして調製し、実施例4の錠剤を得る。
【0061】
実施例5(錠剤)
ソルビトール198.2gをパントテン酸カルシウム3.2g及びソルビトール195.0gに代えた以外は実施例1と同様にして調製し、実施例5の錠剤を得る。
【0062】
実施例6(液剤)
(処方)
リボフラビン 1g
塩酸ピリドキシン 5g
ニコチン酸アミド 5g
クエン酸 28g
リンゴ酸 20g
スクラロース 5g
香料 10g
精製水 適 量
――――――――――――――――――――――――――――――
全量 15kg
【0063】
(製造方法)
上記のリボフラビンからスクラロースまでの各成分を加えて加熱溶解し、冷後、香料及び精製水を加えて全量15kgとする。この液を100mLずつ容器に分注し、実施例6の液剤を得る。
【0064】
実施例7(液剤)
リボフラビン1gをパントテン酸カルシウム5gに代えた以外は実施例6と同様にして調製し、実施例7の液剤を得る。
【0065】
実施例8(液剤)
塩酸ピリドキシン5gをパントテン酸カルシウム5gに代えた以外は実施例6と同様にして調製し、実施例8の液剤を得る。
【0066】
実施例9(液剤)
ニコチン酸アミド5gをパントテン酸カルシウム5gに代えた以外は実施例6と同様にして調製し、実施例9の液剤を得る。
【0067】
実施例10(液剤)
パントテン酸カルシウム5gを加える以外は実施例6と同様にして調製し、実施例10の液剤を得る。
【0068】
実施例11(錠剤)
ソルビトール198.2gをバラの花びらエキス10.0g及びソルビトール188.2gに代えた以外は実施例1と同様にして調製し、実施例11の錠剤を得る。
【0069】
実施例12(液剤)
バラの花びらエキス5gを追加した以外は実施例6と同様にして調製し、実施例12の液剤を得る。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上からなる美白剤は、優れた美白作用を示す。それらからなる群より選ばれる3種以上からなることを特徴とするビタミン混合組成物は
、さらに優れた美白作用を示す。さらに本発明のビタミン混合組成物は、ストレスで増加するACTHの分泌を抑える作用が明らかであり、日常生活で受ける様々なストレスで悪化する色素沈着に対しても優れた効果を発揮することで、頑固なシミ・ソバカスなどの治療効果も期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上のみを有効成分とする医薬用内服美白剤。

【公開番号】特開2010−174049(P2010−174049A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117409(P2010−117409)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2003−420438(P2003−420438)の分割
【原出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【出願人】(306018343)クラシエ製薬株式会社 (32)
【Fターム(参考)】