説明

美白用組成物

【課題】
優れた美白効果を有する組成物を提供すること。
【解決手段】
成分(A)アスタキサンチンと成分(B)システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、胎盤抽出物、植物抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、酸化チタン、酸化亜鉛、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等から選ばれる1種以上を含有する美白用組成物、並びに、その美白用組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤又は飲食物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスタキサンチンと従来の美白剤を含有する優れた美白効果を有する美白用組成物に関する。さらに詳しくは、アスタキサンチン単独又は従来の美白剤単独でもある程度の美白効果を有しているが、それらを組合せることによりさらにその効果が増強されて優れた美白効果を有する美白用組成物に関する。また、美白用組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤及び飲食物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、美白剤として、ビタミンC類や、グルタチオン、ハイドロキノン及びその誘導体、胎盤抽出物、植物抽出物等が用いられてきた。しかし、美白効果が十分でなかったり、安全性等の問題があった。
【0003】
アスタキサンチンはβ−カロテンと同じカロテノイドの一種で、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布する食経験豊かな赤色色素である。アスタキサンチンの美白作用に関しては、外用での色素沈着抑制作用(非特許文献1)及び
in vitro でのメラニン生成抑制作用(非特許文献2)が報告されているが、実際の美白効果は十分であるとはいえない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】フレグランスジャーナル、14、180−185、2001年
【非特許文献2】Carotenoid Science、5、21−24、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、優れた美白効果を有する美白用組成物、並びにその美白用組成物を含有する医薬品、皮膚外用剤及び飲食物とそれらの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アスタキサンチンと従来の美白剤とを組合せることによりそれらの効果がさらに増強されて優れた美白効果が得られることを見出した。本発明は係る知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の美白用組成物を医薬品、皮膚外用剤や飲食物などの形態で使用することによって、有効な美白効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は、成分(A)としてアスタキサンチンを含有する。アスタキサンチンとは、天然物由来のもの又は合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、緑藻ヘマトコッカスなどの微細藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、イカ、タコなどの頭足類の内臓、種々の魚介類の皮やヒレ、ナツザキフクジュソウなどのAdonis属植物の花弁、Paracoccus sp. N81106、Brevundimonas sp. SD212、Erythrobacter sp.
PC6などのα−プロテオバクテリア類、Gordonia sp. KANMONKAZ-1129などの放線菌、Schizochytriuym sp. KH105などのラビリンチュラ類(特にヤブレツボカビ科)やアスタキサンチン産生遺伝子組み換え生物体などから得られるものをあげることができる。天然からの抽出物及び化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0009】
アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチン及び(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。本発明はこれらアスタキサンチン異性体のモノエステル及びジエステルを含む。
【0010】
本発明において、アスタキサンチンの脂肪酸エステルは、天然物由来のもの又は合成により得られるもののいずれも用いることができるが、体内での吸収からアスタキサンチンエステルが各種の油脂に溶解した天然物由来が好ましい。天然物由来には、例えば、オキアミ抽出物、ファフィア酵母抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物があるが、特に好ましいのはアスタキサンチンの安定性とアスタキサンチンのエステルの種類によりヘマトコッカス藻抽出物である。
【0011】
アスタキサンチンの脂肪酸エステルは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004)。
【0012】
ヘマトコッカス藻は、ボルボックス目クラミドモナス科に属する緑藻類であり、通常は緑藻であるためクロロフィル含量が高く緑色であり、2本の鞭毛によって水中を遊泳しているが、栄養源欠乏や温度変化等の飢餓条件では休眠胞子を形成し、アスタキサンチン含量が高くなり赤い球形となる。本発明においては、いずれの状態でのヘマトコッカスを用いることができるが、アスタキサンチンを多く含有した休眠胞子となったヘマトコッカスを用いるのが好ましい。また、ヘマトコッカス属に属する緑藻類では、例えば、ヘマトコッカス・プルビイアリス(Haematococcus pluvialis)が好ましい。
【0013】
ヘマトコッカス緑藻類の培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽やチューブ型の培養層を用いる方法が適している。
【0014】
本発明のヘマトコッカス藻から抽出物を得る方法としては、ヘマトコッカス藻を乾燥粉砕した後アセトンやアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法、ヘマトコッカス藻を有機溶媒に懸濁させて粉砕し同時に抽出する方法、二酸化炭素などを用いる超臨界抽出する方法などで行うことができる。
【0015】
超臨界抽出法は、常法によって行うことができ、例えば、広瀬(Ind Eng Chem Res、2006、45(10)、3652-3657、Extraction
of Astaxanthin from Haematococcus pluvialis Using Supercritical CO2 and Ethanol
as Entrainer)らの方法で行うことができる。
【0016】
前記培養物又は前記甲殻類から有機溶媒を用いて抽出及び精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチン及びそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
【0017】
前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出又は、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法(特開2006−70114)が、空気に触れることがないことからアスタキサンチンの酸化がほとんどなく、夾雑物が少なく、すなわち本発明の効果を阻害する物質が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ好適である。
【0018】
本発明において成分(A)アスタキサンチンと組合せる成分(B)は、以下に示す剤から選ばれる1種又は2種以上である。なお、以下の具体例中、「誘導体」にはエステルや塩、配糖体が含まれる。
成分(B)としては、システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体(リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルアミノプロピル、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸硫酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル等)、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物(コンブ、マコンブ、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、スジメ、トロロコンブ、カジメ、ツルアラメ、チガイソ、ホンダワラ、ジャイアントケルプ等の褐藻類;テングサ、オオキリンサイ、キリンサイ、ツノマタ、スギノリ、ウスバノリ、アサクサノリ、マツノリ、トサカマツ、フノリ、オゴノリ、カイメンソウ、イギス、エゴノリ等の紅藻類;クロレラ、アオノリ、ドナリエラ、クロロコッカス、アナアオサ、カワノリ、マリモ、シオグサ、カサノリ、フトジュズモ、タマジュズモ、ヒトエグサ、アオミドロ等の緑藻類;スピルリナ等の藍藻類等)、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、アミノ酸及びその誘導体(アスパラギン酸、アセチルグルタミン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン、セリン、タウリン、チオタウリン、テアニン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸、尿素等)、カロテノイド類(β‐カロテン、リコペン、β‐クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、カプサンチン、フコキサンチン等)、ポリフェノール類(フラボノイド類、カテキン類等)、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、酸化亜鉛、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等が挙げられる。
より好ましいものとしては、システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、カンゾウ抽出物、胎盤抽出物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類が挙げられる。
【0019】
前記成分(B)中、システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等は飲食物に使用でき、より好ましいものとしては、システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、カンゾウ抽出物、胎盤抽出物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類が挙げられる。
【0020】
本発明の美白用組成物におけるアスタキサンチンの配合量は、1日あたり、内用では0.01〜100mg、好ましくは0.1〜30mgで、外用では0.001〜10mg、好ましくは0.01〜1mgである。投与量は、投与される患者の年齢、体重、症状の程度、投与形態によって異なる。
【0021】
本発明の美白用組成物におけるアスタキサンチンと成分(B)の配合割合は、アタキサンチンが親油性のため、成分(B)が親水性か親油性によって相違するが、一般的には1:0.01〜1000の割合で配合することができ、好ましくは1:0.1〜100である。本発明の美白用組成物は、配合対象の全量に対して、0.001〜99.9重量%の範囲で配合することができ、好ましくは0.01〜90重量%である。
【0022】
本発明の美白用組成物を用いる場合は、通常の飲食物、皮膚外用剤又は医薬品の形態で用いることができる。
【0023】
本発明の美白用組成物を含む医薬品は、経口又は非経口で投与することができる。経口用の剤形としては、例えば、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップ及び懸濁液のような液体投薬形態で投与される。非経口の剤形としては、注射剤、点眼剤、点鼻剤、貼付剤、軟膏剤、坐剤の形態で投与される。リピッド分散型の製剤は血中濃度の増加に有効である。なお、医薬品には医薬部外品も含まれる。
【0024】
本発明の美白用組成物を含む医薬品は、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などの無機化合物などがあげられる。結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、寒天、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、F−MELT(商標、富士化学工業(株)製)などがあげられる。酸味剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などがあげられる。発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。界面活性剤として、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどがあげられる。アスタキサンチンやトコトリエノールの吸収や製剤化を良くするためには粉末状態にすることができる。
【0025】
シロップ、ドリンク剤、懸濁液、点眼剤、注射剤などの液剤は、有効成分を必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。懸濁剤としては、例えば、ポリソルベート80、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、アラビアガム、粉末トラガントなどを挙げることができる。溶解剤としては、例えば、ポリソルベート80、水添ポリオキシエチレンヒマシ油、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。防腐剤としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
【0026】
皮膚外用剤の形態には、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、メーキャップ化粧料、頭皮・毛髪用品等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品などとすることができる。上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、各種皮膚栄養成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、色剤、水、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0027】
本発明の組成物は、飲食物に配合して用いることができ、同様の効果を得ることができる。
【0028】
飲食物としては、サプリメント、保健機能食、特別用途食品、一般食品として用いることができ、摂取のしやすさや摂取量が決めやすいことから、サプリメント、保健機能食、特別用途食品が好ましく、前述医薬品と同様の形態、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投与形態、シロップ及び懸濁液のような液体投与形態で摂取することができる。上記医薬品用製剤で用いる成分のうち、食品で使用可能なものを選択でき、その他に乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミン蛋白質など、又は、これらの分解物である卵白オリゴペプチド、大豆加水分解物、アミノ酸単体の混合物を併用することもできる。また、ドリンク形態で提供する場合は、栄養バランス、摂取時の風味を良くするためにアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などの栄養的添加物、甘味料、香辛料、香料及び色素などを配合してもよい。本発明の飲食物の形態は、これらに限定されるものではない。
【0029】
一般食品、すなわち飲食物の形態例としては、マーガリン、バター、バターソース、チーズ、生クリーム、ショートニング、ラード、アイスクリーム、ヨーグルト、乳製品、ソース肉製品、魚製品、漬け物、フライドポテト、ポテトチップス、スナック菓子、かきもち、ポップコーン、ふりかけ、チューインガム、チョコレート、プリン、ゼリー、グミキャンディー、キャンディー、ドロップ、キャラメル、パン、カステラ、ケーキ、ドーナッツ、ビスケット、クッキー、クラッカー、マカロニ、パスタ、ラーメン、蕎麦、うどん、サラダ油、インスタントスープ、ドレッシング、卵、マヨネーズ、みそなど、又は果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料などの炭酸系飲料又は非炭酸系飲料など、茶、コーヒー、ココアなどの非アルコール又はリキュール、薬用酒などのアルコール飲料などの一般食品への添加例を挙げることができる。
【0030】
飲食物では、本発明の美容用組成物を一般食品の原料と共に配合し、常法に従って加工製造することにより製造される。その配合量は食品の形態などにより異なり特に限定されるものではないが、一般には本発明の美容用組成物は当業者が飲食物の種類に応じて適宜選択でき、前述の量を配合することができる。
【実施例】
【0031】
本発明をさらに詳細に説明にするために以下に実施例をあげるが、本発明がこの実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0032】
[実験1] 適用タイミングによるメラニン合成抑制作用の違い
評価系として、(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)より発売されているヒト正常表皮細胞にメラノサイトを加えた三次元皮膚モデル「LabCyte
MELANO-MODEL」を用いた。キットの説明に従い培養を開始し、培養液及び被験物質は2日ごとに新たなものに交換した。表1に示す適用タイミング及び表2に示す被験物質条件で14日間培養を行った。比較例として、既にメラニン合成抑制作用のあることが知られているトラネキサム酸を用いた。14日後、各処置組織からメラニンを抽出した溶解液について、メラニン量の指標となる405nmの吸光度を測定し以下の式[1]、式[2]によりメラニン抑制指数を算出した。同時に、細胞生存率をMTT Assayを用い、測定波長570nm、対照波長650nmの比色定量を行い、以下の式[3]により算出した。結果を表3に示した。
式:
各被験物質のメラニン抑制率=(1−各被験物質処置時組織溶解液の405nm吸光度/コントロール組織溶解液の405nm吸光度)×100 [1]
メラニン抑制指数=各被験物質のメラニン抑制率/アスタキサンチンのメラニン抑制率 [2]
細胞生存率=(各被験物質処置時の570nm吸光度−各被験物質処置時の650nm吸光度)/(コントロールの570nm吸光度−コントロールの650nm吸光度) [3]
【0033】
[表1] 適用タイミング

【0034】
[表2] 被験物質条件

【0035】
[表3] 結果

【0036】
表3の結果から明らかなように、トラネキサム酸のメラニン生成抑制作用は、適用のタイミングを変えることにより大幅に減少した。それに対して、アスタキサンチンでは適用のタイミングを変えることによってさらに増加した。また、いずれにおいても細胞生存率は非常に高く、毒性が低いことも確認された。したがって、アスタキサンチンと既存の美白成分を組み合わせたものを肌に適用することにより、きわめて優れたメラニン生成抑制作用を発揮し、日焼けによる肌の黒色化、シミ、ソバカスなどを効果的に抑制し、美白及び美肌効果が期待できる。
【0037】
[実験2] メラニン合成抑制併用効果
実験1の方法にて、比較例として既にメラニン合成抑制効果のあることが知られているL-システイン及び、それとの併用における表1適用タイミング1条件下でのメラニン合成抑制指数を算出した。同時に、細胞生存率も同様の方法に従って算出した。結果を表4に示した。
【0038】
[表4] 結果

【0039】
表4の結果から明らかなように、併用することによりそれぞれの単独処理時と比較してきわめて優れた美白効果が得られた。かつ、単独及び併用いずれにおいても、非常に高い細胞生存率を認めたことから、毒性が低いことも確認された。したがって、アスタキサンチンと既存の美白剤を組み合わせたものを肌に適用することにより、きわめて優れたメラニン生成抑制作用を発揮し、日焼けによる肌の黒色化、シミ、ソバカスなどを効果的に抑制し、美白及び美肌効果が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)
(A)アスタキサンチン、
(B)システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、酸化亜鉛、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等から選ばれる1種又は2種以上、
を含有する美白用組成物。
【請求項2】
成分(B)が、システイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の美白用組成物
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の美白用組成物を含有してなる医薬品。
【請求項4】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の美白用組成物を含有してなる皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項2に記載の美白用組成物を含有してなる飲食物。
【請求項6】
アスタキサンチン又は請求項1に記載の美白用組成物を含有してなる皮膚外用剤、並びにシステイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等から選ばれる1種又は2種以上を含有してなる飲食物の両方を合わせて使用する皮膚の美白方法。
【請求項7】
アスタキサンチン又は請求項2に記載の美白用組成物を含有してなる飲食物、並びにシステイン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシン及びその誘導体、エンドセリン拮抗薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、胎盤抽出物、イレイセン抽出物、ひまわり抽出物、イブキトラノオ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン(コガネバナ)抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、クララ(クジン)抽出物、ゴカヒ抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ(クワ)抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、ビャクレン抽出物、ブナノキ抽出物、ブドウ種子抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ハトムギ(ヨクイニン)抽出物、センキュウ抽出物、カミツレ抽出物、キイチゴ抽出物、コーヒー抽出物、コメ抽出物、小麦胚芽抽出物、ユリ抽出物、糖蜜抽出物、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、カロテノイド類、ポリフェノール類、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)類、マンニトール、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4-メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、酸化亜鉛、オリーブ油、パーシック油、ヒマワリ油、ホホバ油等から選ばれる1種又は2種以上を含有してなる皮膚外用剤の両方を合わせて使用する皮膚の美白方法。





【公開番号】特開2011−32171(P2011−32171A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176748(P2009−176748)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】