説明

美白用組成物

【課題】カラピンチャの乾燥葉部およびその抽出物の新規利用方法の提供。
【解決手段】有効成分が、以下の一般式(I):


で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物を有効成分とする美白用組成物の提供。[式中、R、RおよびRは、水素原子であるか、またはRは、次の式:


で表される基、またはR、R、Rは互いに一緒になって特定式で表される基である。R、R、R、R、Rは、互いに独立して、水素原子等である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白用組成物に関する。
詳細には、本発明は、アルカロイドを有効成分とする美白用組成物に関する。
より詳細には、本発明は、カルバゾール型アルカロイドを有効成分とする美白用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラピンチャ(Murraya koenigii L.)(和名:ナンヨウサンショウ)は、インドを原産とするミカン科ゲッキツ属の多年生植物である。
カラピンチャは、カレーリーフ(curry leaf)との別名を有する程、インドから東南アジアにかけて庭などに植えられており、葉をとって各家庭で料理に使われている植物である。
【0003】
また、カラピンチャは伝承薬としても用いられてきており、葉部には強壮、解熱、健胃、鎮吐、下痢止め効果があり、全草には皮膚の発疹、咬創の治療効果があり、樹皮や根は、刺激剤として用いられる。その他、駆風薬や抗糖尿病、抗高血圧、マラリヤなどの抗周期性疾患の治療、抗カビ作用が伝承されている(非特許文献1)。
【0004】
また、カラピンチャの学名ムラヤ コエニギイの枝のエタノール抽出物がチロシナーゼ活性を有することが報告されている(特許文献1)が、葉部の作用および有効成分については、何ら具体的には記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−82133
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Anupam Nayakら、J. Chem. Pharm. Res., 2010, 2(2):286-299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カラピンチャの乾燥葉部およびその抽出物の新規利用方法の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意努力研究を重ねた結果、驚くべきことに、カラピンチャの葉部の2%酢酸水溶液で抽出した抽出物を、28%アンモニア水で弱アルカリ性とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキスおよび該抽出物に含まれ、新規化合物4種を含む14種のカルバゾール型アルカロイドがメラニン生成抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
しかるに、本発明によれば、 以下の一般式(I):
【化1】

[式中、R1、R2およびR3は、水素原子であるか、または
【0010】
1は、次の式:
【化2】

で表される基であるか、または
【0011】
1、R2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化3】

で表される基であるか、または
【0012】
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化4】

で表される基であり、これらの基におけるa、bおよびcは、式(I)における結合位置を意味し;
4、R5、R6、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子またはヒドロキシ基もしくはメチル基である]
で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、ミカン科ゲッキツ属カラピンチャ(Murraya koenigii L.)の葉部の2%酢酸水溶液抽出物を、28%アンモニア水で弱アルカリ性とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキスを有効成分とする美白用組成物が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カラピンチャの葉部の2%酢酸水溶液抽出物を、28%アンモニア水で弱アルカリ性とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキス、あるいは該抽出物に含まれるカルバゾール型アルカロイドを有効成分とする美白用組成物および美白効果を有する新規カルバゾール型アルカロイドを、主に日焼け防止を目的として安全に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による美白用組成物は、ミカン科ゲッキツ属カラピンチャ(Murraya koenigii L.)の細断した乾燥葉部の希有機酸水溶液抽出物を、弱アルカリ性(pH7.5〜9.0)とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキス、あるいは該抽出物に含まれるカルバゾール型アルカロイドを有効成分とすることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、カラピンチャの葉部に含まれる、以下の一般式(I):
【化5】

[式中、R1、R2およびR3は、水素原子であるか、または
【0017】
1は、次の式:
【化6】

で表される基であるか、または
1、R2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化7】

で表される基であるか、または
【0018】
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化8】

で表される基であり、これらの基におけるa、bおよびcは、式(I)における結合位置を意味し;
4、R5、R6、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子またはヒドロキシ基もしくはメチル基である]
で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物を提供できることを特徴とする。
【0019】
また、本発明によれば、カラピンチャの葉部に含まれる前記の一般式(I)の化合物が、以下の式:
【化9】

で表される新規なカルバゾール型アルカロイド化合物が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、前記有効成分が、以下の一般式(II):
【化10】

[式中、R1、R2、R3、R5およびR8は、水素原子もしくはメトキシ基であるか、または
【0021】
1、R5およびR8は、互いに独立して、次の式:
【化11】

で表される基であるか、または
【0022】
1、R2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化12】

で表される基であるか、または
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【0023】
【化13】

で表される基であるか、または
【0024】
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化14】

で表される基であるか、または
【0025】
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化15】

で表される基であり、これらの基におけるa、bおよびcは、上記式(II)における結合位置を意味し;
【0026】
4は、水素原子またはメチル基であり;
6は、水素原子またはヒドロキシ基、メチル基もしくはメトキシ基であり;
7は、水素原子またはヒドロキシもしくはメトキシ基である]
で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物である美白用組成物が提供される。
【0027】
さらに、本発明によれば、前記有効成分が、以下の:
【化16】

【化17】

【化18】

化合物からなる群から選択される1以上のカルバゾール型アルカロイド化合物である美白用組成物が提供される。
【0028】
本発明において用いられるミカン科ゲッキツ属カラピンチャの葉部の産地は、特に限定されるものではない。
また、本発明において用いられるカラピンチャの葉部は、採取した新鮮な葉部および乾燥した葉部のいずれをも、そのまままたは細断して用いることができる。
また、カラピンチャの葉部の採集時期としては、特に限定されるものではない。
【0029】
本発明によるカラピンチャの葉部の抽出に用いられる、「希有機酸」とは、酢酸2容量%を含むイオン交換水、イオン交換蒸留水およびミリポア水のいずれかの水溶液を意味する。
なお、上記の酢酸水溶液の代わりに、シュウ酸、クエン酸またはコハク酸などの有機酸水溶液を用いることもできる。また、希有機酸水溶液の弱アルカリ性化には28%アンモニア水が用いられる。
【0030】
これらの抽出溶媒は、抽出材料に対して、1〜50倍(容量)程度、好ましくは10〜30倍(容量)程度用いられる。
【0031】
抽出温度は、室温〜溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、上記の抽出材料を上記の抽出溶媒に浸漬して、例えば50℃〜抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下もしくは非振盪下または還流下に抽出するのが適当である。
抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜10時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。
【0032】
また、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分〜数時間加熱還流するのが好ましい。
なお、50℃より低い温度や室温で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、上記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。
【0033】
抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば、2〜5回程度繰り返すのが、抽出効率の観点から好ましい。
本発明のおけるカラピンチャの葉部の上記位の2%酢酸水溶液抽出混合物から固形物を除去して得られる抽出液を、冷却後28%アンモニア水で弱アルカリ性とし、ジエチルエーテル抽出処理し、得られたジエチルエーテル可溶画分(抽出液)を常法により濃縮してジエチルエーテル抽出エキスが得られる。
【0034】
常法により減圧濃縮して抽出エキスおよび抽出物とし、減圧濃縮の際に回収される溶媒は、再度抽出に利用できる。
【0035】
分配抽出は、当該分野で通常行われる撹拌もしくは振盪分配法または液滴向流分配法などの常法に従って行うことができる。例えば、室温下、振盪下または非振盪下に、抽出エキスの水溶液に対して、酢酸エチル、n−ブタノールまたはジエチルエーテルを1/5〜5倍(容量)(1:0.2〜1:5)程度加えて行うのが適当である。
【0036】
濃縮は、減圧下に抽出エキスが乾固するまで行ってもよい。
したがって、本願発明における抽出物とは、溶媒が完全に留去された抽出エキス、抽出エキスを減圧下に乾固するまで溶媒を留去した抽出物および抽出液を凍結乾燥して得られる凍結乾燥物のいずれをも意味し、該抽出物と抽出エキスは同義である。
【0037】
抽出エキスは、そのまま本発明の組成物を調製するのに用いてもよいが、粉末状または凍結乾燥品などにより固形化して用いてもよい。これらの固形物とする方法は、当該分野で公知の方法を採用することができる。
【0038】
さらに、上記の抽出液は、濃縮する前後に精製処理に付してもよい。
精製処理は、吸着クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、溶媒による分配抽出などを単独または組み合わせて採用することができる。
【0039】
例えば、クロマトグラフ法としては、順相もしくは逆相担体またはイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは遠心液体クロマトグラフィーなどのいずれか、またはそれらを組み合わせてアルカロイド含有画分を分取する方法が挙げられる。
この際の担体、溶出溶媒などの精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
【0040】
上記のジエチルエーテル可溶画分が、カルバゾール型アルカロイド含有画分として得られる。
【0041】
上記のエチルエーテル可溶画分の減圧濃縮物を、前記のような精製処理、すなわち、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーのいずれか単独で、またはこれらを組合わせて精製することもできる。
各生成段階および各画分は、ドラーゲンドルフ試薬によるアルカロイドの検出方法により、アルカロイドの存在の有無をチェックすることが好ましい。
【0042】
本発明者は、スリランカ産カラピンチャの乾燥葉部(500 g)を、2%酢酸水溶液(7.5 L)を用い、80 ℃で3時間抽出後、室温に冷却してろ過し、濾液を28%アンモニア水(150 mL)で弱アルカリ性(pH7.5〜9.0)とした。
【0043】
上記の弱アルカリ性液に同容量のジエチルエーテルを加えて抽出し、ジエチルエーテル画分と水溶液画分を得た。
上記の操作を計3回繰り返し行い、得られたジエチルエーテル抽出液を合わせ、減圧濃縮して、ジエチルエーテル抽出エキスを得た。
【0044】
本発明者は、上記のジエチルエーテル抽出エキスがメラニン生成抑制作用を有し美白効果を有することを見出し、さらに研究を進めたところ、以下に示す4種の新規カルバゾール型アルカロイド化合物ならびに10種の既知カルバゾール型アルカロイド化合物がそれぞれ強力なメラニン生成抑制作用を有し美白効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0045】
得られたジエチルエーテル抽出エキスを、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびODS HPLCを用いて繰り返し分離精製し、4種の新規カルバゾール型アルカロイド化合物として、カラピナミンA(karapinamine A)、カラピナミンB(karapinamine B)、カラピナミンC(karapinamine C)、カラピナミンD(karapinamine D)、および10種の既知カルバゾール型アルカロイドとしてマハニムビシン(mahanimbicine)、マハニムビン(mahanimbine)、ムヤマミン−B(murrayamine-B)、O−メチルマハニン(O-methylmahanine)、ピラヤフォリン−D(pyrayafoline-D)、エウスチフォリン−C(eustifoline-C)、エウクレスチン−B(euchrestine-B)、ギリニムビン(girinimbine)、コエニムビン(koenimbine)、ムラヤミン−E(murrayamine-E)を得た。
【0046】
上記で得られたカラピンチャの乾燥葉部から単離された化合物を以下に示す。
カラピンチャの乾燥葉部含有化合物
【化19】

【化20】

【化21】

【0047】
本発明によれば、上記のカルバゾール型アルカロイドのいずれかを単独で、もしくは組み合せて、または上記のカルバゾール型アルカロイドを含有する前記のジエチルエーテルアルカロイド含有抽出エキスを、美白用組成物として用いることができる。
その場合の使用量としては、例えば化粧品に用いられる公知の他の添加剤または賦形剤を含む製品中に、例えば0.001重量%〜5重量%の割合で用いることができる。
【0048】
したがって、本発明による美白用組成物は、局所または全身用の皮膚化粧品類;頭皮・頭髪に適用する薬用および/または化粧用の製剤類;浴湯に投じて使用する浴用剤;皮膚貼付用シートおよび化粧用シートなどの適当な形態とすることができる。
【0049】
具体的には、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ジェル、ローション、オイル、パック、ミストおよび顔面用化粧シートなどの基礎化粧料;シャンプー、リンスおよびヘアートリートメントなどの頭髪化粧料;ファンデーション、頬紅などのメークアップ化粧品などが挙げられる。
【0050】
尚、本発明の美白用組成物には、前記の有効成分に加え必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で以下の各種成分や添加剤を任意に選択併用し、当業者に公知の方法に従って、上記の各種化粧品を製造することができる。
【0051】
油脂類
アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタンまたはこれら油脂類の水素添加物(硬化油など)。
【0052】
ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス。
【0053】
鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス。
【0054】
脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸などの天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸などの合成脂肪酸。
【0055】
アルコール類
エタノール、イソピロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノールなどの天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノールなどの合成アルコール。
【0056】
多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール。
【0057】
エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール。
【0058】
金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛。
【0059】
ガム質、糖類または水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖またはそのエステル、トレハロースまたはその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチンまたはキトサン、エチレンオキサイドなどのアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチンまたはキトサン、低分子キチンまたはキトサン、キトサン塩、硫酸化キチンまたはキトサン、リン酸化キチンまたはキトサン、アルギン酸またはその塩、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン。
【0060】
界面活性剤
アニオン界面活性剤:アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩;カチオン界面活性剤:アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩);両性界面活性剤;カルボン酸型両性界面活性剤:アミノ型、ベタイン型;硫酸エステル型両性界面活性剤;スルホン酸型両性界面活性剤;リン酸エステル型両性界面活性剤;非イオン界面活性剤:エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤;その他の界面活性剤:天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤。
【0061】
各種ビタミン類
)ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸またはその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンEまたはその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU。
【0062】
各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸などのアミノ酸誘導体。
【0063】
植物または動物系原料由来の種々の添加物
これらは、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色などを任意に選択、組合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0064】
尚、抽出に用いる溶媒については、供する製品の使用目的、種類、或いは後に行う加工処理などを考慮した上で選択すれば良いが、通常では、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール或いは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール或いは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチルなどの各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、あるいは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独または水との任意の混液で用いたりすれば良く、また、搾取抽出したものでも良い。
【0065】
尚、植物または動物系原料由来の添加物を、全身用または局所用の外用剤、化粧料類に供する場合、皮膚や頭髪の保護をはじめ、保湿、感触・風合いの改善、柔軟性の付与、刺激の緩和、芳香によるストレスの緩和、細胞賦活(細胞老化防止)、炎症の抑制、肌質・髪質の改善、肌荒れ防止およびその改善、発毛、育毛、脱毛防止、光沢の付与、清浄効果、疲労の緩和、血流促進、温浴効果などの美容的効果のほか、香付け、消臭、増粘、防腐、緩衝などの効果も期待できる。
原料とする植物(生薬)としては、当業者に公知の生薬または動物由来の材料が用いられる。
【0066】
海藻類
海藻類としては、緑藻類、褐藻類、紅藻類、藍藻類、車軸藻類、黄色藻類などが挙げられる。
【0067】
動物系原料由来の素材
また、動物系原料由来の素材としては、牛、豚、鶏または魚類のコラーゲン加水(酸、アルカリ、酵素など)分解物や水溶性コラーゲンまたはアシル化コラーゲンなどのコラーゲン誘導体、牛または豚のエラスチンまたはエラスチン加水分解物(酸、アルカリ、酵素など)または水溶性エラスチン誘導体、ケラチンおよびその分解物またはそれらの誘導体、シルク蛋白およびその分解物またはそれらの誘導体、牛乳、カゼインおよびその分解物またはそれらの誘導体、脱脂粉乳およびその分解物またはそれらの誘導体、ラクトフェリンまたはその分解物、鶏卵成分、魚肉分解物、核酸関連物質(リボ核酸、デオキシリボ核酸)が挙げられる。
【0068】
海洋成分
深層水などの海水類、例えば、海水塩、海水乾燥物、死海または大西洋または太平洋の海より得た無機塩(塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど)、海泥または泥(ファンゴ)類、例えば、イタリアファンゴ、ドイツファンゴ、アイフェルファンゴ、フライブルグファンゴなどの各地の海泥または泥(含有成分:二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、クロム、鉄、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、マンガン、ヒ素、水)、聖徳石、黒耀石が挙げられる。
【0069】
微生物培養代謝物
酵母代謝物、酵母菌抽出エキス、細菌代謝物、細菌抽出エキス、カビまたは放線菌代謝物、カビまたは放線菌抽出エキス、納豆菌代謝物、納豆抽出エキス、米発酵エキス、米糠(赤糠、白糠)発酵エキス、ユーグレナ抽出物またはその分解物またはそれら水溶性誘導体、トレハロースまたはその誘導体、生乳または脱脂粉乳の乳酸発酵物、マメ科植物の乳酸菌発酵物、ココヤシ属植物の乳酸菌発酵物が挙げられる。
【0070】
無機顔料
無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミンが挙げられる。
【0071】
紫外線吸収/遮断剤
ベンゾフェノン誘導体(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン−スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノンなど)、パラアミノ安息香酸誘導体(パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチルなど)、メトキシ桂皮酸誘導体(パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸ナトリウム、パラメトキシ桂皮酸カリウム、ジパラメトキシ桂皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリルなど)、サリチル酸誘導体(サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、
【0072】
サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチルなど)、アントラニル酸誘導体(アントラニル酸メチルなど)、ウロカニン酸誘導体(ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルなど)、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、ウンベリフェロン、エスクリン、桂皮酸ベンジル、シノキサート、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、アルブチン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン、ネオヘリオパン、エスカロール、酸化亜鉛、タルク、カオリンが挙げられる。
【0073】
美白剤
パラアミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンCまたはその誘導体(ビタミンCリン酸エステルマグネシウム塩、ビタミンCグルコシドなど)、ビタミンEまたはその誘導体、コウジ酸またはその誘導体、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、アルブチン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン、胎盤エキス、エラグ酸、ルシノールが挙げられる。
【0074】
チロシナーゼ活性阻害剤
ビタミンCまたはその誘導体(ビタミンCリン酸エステルマグネシウム塩、ビタミンCグルコシドなど)、ハイドロキノンまたはその誘導体(ハイドロキノンベンジルエーテルなど)、コウジ酸またはその誘導体、ビタミンEまたはその誘導体、N−アセチルチロシンまたはその誘導体、グルタチオン、過酸化水素、過酸化亜鉛、胎盤エキス、エラグ酸、アルブチン、ルシノール、シルク抽出物、植物エキス(カミツレ、クワ、クチナシ、トウキ、ワレモコウ、クララ、ヨモギ、スイカズラ、キハダ、ドクダミ、マツホド、ハトムギ、オドリコソウ、ホップ、サンザシ、ユーカリ、セイヨウノコギリソウ、アルテア、ケイヒ、マンケイシ、ハマメリス、カラグワまたはヤマグワ、延命草、桔梗、トシシ、続随子、射干、麻黄、センキュウ、ドッカツ、サイコ、ボウフウ、ハマボウフウ、オウゴン、牡丹皮、シャクヤク、ゲンノショウコ、葛根、甘草、五倍子、アロエ、ショウマ、紅花、緑茶、紅茶、阿仙薬)が挙げられる。
【0075】
メラニン色素還元/分解物質
フェニル水銀ヘキサクロロフェン、酸化第二水銀、塩化第一水銀、過酸化水素水、過酸化亜鉛、ハイドロキノンまたはその誘導体(ハイドロキノンベンジルエーテル)が挙げられる。
【0076】
細胞賦活物質
ターンオーバーの促進作用/細胞賦活物質ハイドロキノン、乳酸菌エキス、胎盤エキス、霊芝エキス、ビタミンA、ビタミンE、アラントイン、脾臓エキス、胸腺エキス、酵母エキス、発酵乳エキス、植物エキス(アロエ、オウゴン、スギナ、ゲンチアナ、ゴボウ、シコン、ニンジン、ハマメリス、ホップ、ヨクイニン、オドリコソウ、センブリ、トウキ、トウキンセンカ、アマチャ、オトギリソウ、キュウリ、タチジャコウソウ、マンネンロウ、パセリ)が挙げられる。
【0077】
収斂剤
コハク酸、アラントイン、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、レゾルシン、塩化第二鉄、タンニン酸(カテキン化合物を含む)が挙げられる。
【0078】
活性酸素消去剤
SOD、カタラーゼ、グルタチオンパーオキシダーゼが挙げられる。
【0079】
抗酸化剤
ビタミンCまたはその塩、ステアリン酸エステル、ビタミンEまたはその誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ヒドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール、プロポリスが挙げられる。
【0080】
過酸化脂質生成抑制剤
β-カロチン、植物エキス(ゴマ培養細胞、アマチャ、オトギリソウ、ハマメリス、チョウジ、メリッサ、エンメイソウ、シラカバ、サルビア、マンネンロウ、南天実、エイジツ、イチョウ、緑茶)が挙げられる。
【0081】
抗炎症剤
イクタモール、インドメタシン、カオリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸、塩酸ジフェンヒドラミン、d-カンフル、dl-カンフル、ヒドロコルチゾン、グアイアズレン、カマズレン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸またはその塩、グリチルレチン酸またはその塩、甘草エキス、シコンエキス、エイジツエキス、プロポリスが挙げられる。
【0082】
抗菌・殺菌・消毒薬
アクリノール、イオウ、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、スルファミン、マーキュロクロム、ラクトフェリンまたはその加水分解物、塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、トリクロサン、次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンT、サラシ粉、ヨウ素化合物、ヨードホルム、ソルビン酸またはその塩、プロピオン酸またはその塩、サルチル酸、デヒドロ酢酸、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、ウンデシレン酸、チアミンラウリル硫酸塩、チアミンラウリル硝酸塩、フェノール、クレゾール、p-クロロフェノール、p-クロロ-m-キシレノール、p-クロロ-m-クレゾール、チモール、フェネチルアルコール、O-フェニルフェノール、イルガサンCH3565、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、クロロヘキシジン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、
【0083】
ジンクピリジオン、クロロブタノール、イソプロピルメチルフェノール、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなど)、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウムなど)、カチオン界面活性剤(臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルロザニリン)、ホルムアルデヒド、ヘキサミン、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、ジャーマル、感光素101号、感光素201号、感光素401号、N-長鎖アシル塩基性アミノ酸誘導体およびその酸附加塩、酸化亜鉛、ヒノキチオール、クジン、プロポリスが挙げられる。
【0084】
保湿剤
グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリカプリルカプリン酸グリセリン、グリコール酸(αーヒドロキシ酸)、ヒアルロン酸またはその塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、水溶性キチンまたはその誘導体或いはキトサン誘導体、ピロリドンカルボン酸またはその塩、乳酸ナトリウム、尿素、ソルビトール、アミノ酸またはその誘導体(バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンや、
【0085】
それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸)、油脂類「アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、クインスシード油、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ホホバ油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、タートル油、ティートリー油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、ユーカリ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタンまたはこれら油脂類の水素添加物(硬化油)」、ロウ類(ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、
【0086】
ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス)、鉱物油(流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス)、納豆菌代謝物、納豆抽出エキス、絹繊維抽出物、植物エキス(赤松樹液、アロエ、葛根、カミツレ、甘草、キュウリ、甘草、米または米糠、紫根、白樺または白樺樹液、センブリ、桑白皮、琵琶葉、ヘチマ、牡丹皮、蓬)が挙げられる。
【0087】
香料
ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、桧精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー(マンネンロウ)精油、和種ハッカ精油などの植物性香料、その他合成香料が挙げられる。
【0088】
色素
着色剤赤キャベツ色素、赤米色素、アカネ色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、エンジュ色素、オキアミ色素、柿色素、カラメル、金、銀、クチナシ色素、コーン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、スピルリナ色素、ソバ全草色素、チェリー色素、海苔色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、マリーゴールド色素、紫イモ色素、紫ヤマイモ色素、ラック色素、ルチンが挙げられる。
【0089】
その他の添加剤
その他ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質およびその分解物、動・植物性多糖類およびその分解物、動・植物性糖蛋白質およびその分解物、血流促進剤、抗炎症剤・消炎剤・抗アレルギー剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、酵素、精製水(電子水、小クラスター化などを含む)、消臭・脱臭剤などが挙げられる。
【0090】
メラニン生成抑制作用
メラニンを生成するメラノサイトは表皮の基底層全体にわたって認められ、皮膚が日射を受けると、メラノサイトはより多くの色素を作り出し、皮膚は黄褐色または暗褐色になる。メラニンはメラノサイトやメラノーマなどといった特殊な細胞内で合成される色素性のポリマーであり、UVからの保護や色素、毒性のある化合物の吸収などに重要な役割を果たしている。
一方で最近、美白効果を目的にメラニン生成抑制物質の探索が広く行われている。
【0091】
これら成分や添加剤と併用することによって、本発明効果または他の美容的効果の相加的または相乗的向上が期待できる。以下に、製造例、評価試験、処方例などの実施例を示し、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0092】
前記の美白作用を有する前記ジエチルエーテル抽出エキスに含有されるカルバゾール型アルカロイドの植物原材料としては、本発明のカラピンチャに限定されず、いずれも本願発明の原材料として使用できるものである。
【実施例】
【0093】
旋光度は、Horiba high sensitive SEPA-300 digital polarimeter(l = 0.5)(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
高分解能質量分析(High resolution FAB-MSおよびEI-MS)ならびに質量分析(FAB-MSおよびEI-MS)は、JEOL JMS-SX 102およびJMS-GCMATE型質量分析装置(日本電子株式会社製)を用いて測定した。
【0094】
水素核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)および炭素13核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)は、JEOL JNM-EX 270(270 MHz)、JNM-LA 500(500 MHz)およびJNM-ECA 600(600 MHz)(日本電子株式会社製)を用いて測定し、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いた。
【0095】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、ポンプおよび示差屈折計検出器はShimadzu LC-6ADおよびShimadzu RID-10A(株式会社島津製作所製)またはHITACHI L-2130およびHITACHI L-2490(株式会社日立製作所製)を用いた。
【0096】
カラムクロマトグラフィーの吸着剤は、順相系担持体はシリカゲルBW-200(富士シリシア化学株式会社製、150〜350メッシュ)、逆相系担持体はクロマトレックスODS DM1020T(富士シリシア化学株式会社製、100〜200メッシュ)を用いた。
【0097】
薄層クロマトグラフィー(TLC)には、シリカゲル60F254(Merck社製、順相)、RP-18 60F254(Merck社製、逆相)、シリカゲル60F254 HPTLC(Merck社製、順相)、RP-18 WF254 HPTLC(Merck社製、逆相)を使用し、TLC上のスポットの検出は、UV(254 nm)および1%Ce(SO42 / 10%H2SO4水溶液を噴霧し、加熱時の呈色により行った。
【0098】
試薬は、特に明記しないものは和光純薬工業株式会社製試薬(特級)を用いた。
実験で得られた数値は、平均値±標準誤差で表記し、対照群との平均値の有意差の検定にはDunnettの方法を使用し、p値が0.05以下のものを有意とみなした。
【0099】
細胞の培養は、MCO-18AIC(三洋電機株式会社製)CO2インキュベータを使用し、37℃、5%CO2存在下、飽湿状態で行った。
【0100】
マウスメラノーマ細胞におけるメラニン生成抑制の判定
理研細胞バンクより分譲されたマウスメラノーマB16-メラノーマ-4A5細胞(RCB0557)を10%ウシ胎児血清(FCS)、100 ユニット/mLペニシリンおよび100 μg/mLストレプトマイシン含有DMEM(4500 mg/L グルコース)培地(Sigma-Aldrich社)で培養(5%CO2、37oC)した。
【0101】
次に、24-ウェル マルチプレート(住友ベークライト社製)に2.0×104 細胞/400 μL/ウェルを播種し、24時間前培養した後、被験物質およびテオフィリン(theophylline)(終濃度1 μM)を添加した。72時間培養後、トリプシン処理により細胞を剥離、回収後、PBS洗浄し、NaOH水にて溶解(120 μL/ウェル、80oC、30 分)し、96-ウェル マイクロプレート(住友ベークライト社製)に細胞溶解液を分取(100 μL/ウェル)し、生成したメラニンの吸光度をマイクロプレートリーダー(model 550、BIO-RAD社)にて測定した(測定波長:405 nm、参照波長:655 nm)。なお、被験物質はDMSOに溶解し、培地添加した(DMSO終濃度 0.1%)。
【0102】
なお、阻害率は、以下の式により算出した。
阻害率(%)= [(A−B)/ A] / (C / 100) × 100
[式中、Aは被験試料未添加(コントロール)の吸光度、Bは被験試料添加の吸光度、Cは細胞生存率を意味する]
【0103】
マウスメラノーマ細胞におけるWST-8 アッセイ法による細胞増殖阻害・細胞毒性の判定
B16-メラノーマ-4A5細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)、100ユニット/mLペニシリンおよび100 μg/mLストレプトマイシン含有DMEM(4500 mg/L glucose)培地(Sigma-Aldrich社)で培養(5%CO2、37oC)した。
【0104】
次に、96ウェル マイクロプレート(住友ベークライト社)に5.0×103 細胞/100 μL/ウェルを播種し、24時間前培養した後、被験物質およびテオフィリン(終濃度1 mM)を添加した。70時間培養後、WST-8[2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム モノナトリウム塩](同仁化学研究所製)を10 μg/mLずつ添加した。2時間培養後、生成したWST-8ホルマザンの吸光度をマイクロプレートリーダー(model 550、BIO-RAD社製)にて測定した(測定波長:450 nm、参照波長:655 nm)。なお、被験物質はDMSOに溶解し、培地添加した(DMSO終濃度 0.1%)。
【0105】
阻害率(%)=[(A−B)/ A]× 100
[式中、Aは被験試料未添加(コントロール)の吸光度を意味し、Bは被験試料添加の吸光度を意味する]
【0106】
チロシナーゼ阻害活性試験
96ウェル マイクロプレート(住友ベークライト社製)に2.5mM L-DOPAリン酸緩衝溶液70 μL/ウェルを分注し、調整した試料溶液(DMSO溶液)20 μLを添加した。次に、終濃度46ユニット/mLチロシナーゼリン酸緩衝溶液120 μLを添加し、酵素反応(室温、5分)を開始した。また、ブランクにはリン酸緩衝溶液を用いた。生成されたメラニンの吸光度をマイクロプレートリーダー(model 550、BIO-RAD社製)にて測定した(測定波長:450 nm、参照波長:655 nm)。
【0107】
阻害率(%)=[(A−B)/ A] × 100
[式中、Aは被験試料未添加(コントロール)の吸光度を意味し、Bは被験試料添加の吸光度を意味する]
【0108】
実施例1
カラピンチャの乾燥葉部のジエチルエーテル抽出エキスおよび水溶性画分の調整
スリランカ産カラピンチャの乾燥葉部(500 g)を、2容量%酢酸水溶液(7.5 L)を用いて、80℃で3時間加熱抽出した。抽出混合物を室温に冷却後、ろ過し、濾液を28%アンモニア水(150 mL)で弱アルカリ性とし、同容量のジエチルエーテル(7.5 L)で抽出した。
上記の操作を計3回繰り返し、得られたジエチルエーテル抽出液を合わせ、減圧濃縮してジエチルエーテル抽出エキス2.25 g(収率4.25%)を得た。
また、ジエチルエーテルで分配処理した水溶液を減圧濃縮して水溶性画分として478.75 gを得た。
【0109】
実施例2
ジエチルエーテル抽出エキスのメラニン生成抑制試験
今回、カラピンチャの乾燥葉部の前記ジエチルエーテル抽出エキスおよび前記水溶性画分について、マウスメラノーマ由来B16-メラノーマ-4A5細胞におけるメラニン生成抑制作用を検討したので、その結果を以下の表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
その結果、ジエチルエーテル抽出エキスには、対照および水溶性画分と比較して顕著なメラニン生成阻害活性が認められた。なお、メラニンの生成抑制率については細胞生存率を考慮した値から算出している。
【0112】
実施例3
ジエチルエーテル抽出エキスの細胞毒性試験
次に、カラピンチャの乾燥葉部の前記ジエチルエーテル抽出エキスおよび前記水溶性画分について、マウスメラノーマ由来B16-メラノーマ-4A5細胞における細胞増殖に対する阻害効果(生存率)を検討したので、その結果を以下の表2に示す。
【0113】
【表2】

【0114】
その結果、ジエチルエーテル抽出エキスには、対照および水溶性画分と比較して10μg/mLの濃度までは、顕著な細胞増殖抑制効果は認められなかった。
【0115】
実施例4
スリランカ産カラピンチャの乾燥葉部からの含有成分の抽出および単離
スリランカ産カラピンチャの乾燥葉部(500 g)を、2容量%酢酸水溶液(7.5 L)を用いて、80℃で3時間加熱抽出した。抽出混合物を室温に冷却後、ろ過し、濾液を28%アンモニア水(150 mL)で弱アルカリ性とし、た。ろ別した植物材料については、上記と全く同じ操作をさらに2回繰り返し、中和した溶液を合わせた。
【0116】
スリランカ産カラピンチャの乾燥葉部(500 g)を、2容量%酢酸水溶液(7.5 L)を用いて、80℃で3時間加熱抽出した。抽出混合物を室温に冷却後、ろ過し、濾液を28%アンモニア水(150 mL)で弱アルカリ性とし、同容量のジエチルエーテル(7.5 L)で抽出した。
上記の操作を計3回繰り返し、得られたジエチルエーテル抽出液を合わせ、減圧濃縮してジエチルエーテル抽出エキス21.25 g(収率4.25%)を得た。
また、ジエチルエーテルで分配処理した水溶液を減圧濃縮して水溶性画分として478.75 gを得た(以下のチャート1参照)。
【0117】
【化22】

【0118】
上記で得られたジエチルエーテル抽出エキス(21 g)を、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびODS HPLCを用いて繰り返し分離精製し、4種の新規カルバゾール型アルカロイド化合物として、カラピナミンA(karapinamine A) (1、0.00063%)、カラピナミンB(karapinamine B) (2、0.00200%)、カラピナミンC(karapinamine C) (3、0.00029%)、カラピナミンD(karapinamine D) (4、0.00063%)を得(チャート2参照)、および10種の既知カルバゾール型アルカロイドとしてマハニムビシン(mahanimbicine) (5、211.3 mg、0.02625%)、マハニムビン(mahanimbine) (6、468.1 mg、0.08118%)、ムヤマミン−B(murrayamine-B) (7、39.5 mg、0.00322%)、O−メチルマハニン(O-methylmahanine) (8、20.3 mg、0.00211%)、ピラヤフォリン−D(pyrayafoline-D) (9、13 mg、0.00118%)、エウスチフォリン−C(eustifoline-C) (10、11.8 mg、0.00159%)、エウクレスチン−B(euchrestine-B) (11、177.1 mg、0.02385%)、ギリニムビン(girinimbine) (12、2.0 mg、0.00008%)、コエニムビン(koenimbine) (13、6.3 mg、0.00126%)、ムラヤミン−E(murrayamine-E) (14、11.6 mg、0.00156%)を得た(チャート3および4参照)。
【0119】
【化23】

【0120】
【化24】

【0121】
【化25】

【0122】
新規カルバゾール型アルカロイドの化学構造
カラピナミンA (1) は、正の旋光度 ([α]D24 +12.4°、MeOH) を示す黄色粉末として得られ、そのEI-MS において分子イオンピークがm/z 333 (M+) に観測され、1は高分解能 EI-MS により分子式 C23H27NO を有する化合物であることが明らかになった。
また、IRスペクトルにおいて水酸基 (3400 cm-1)、芳香環 (1509 cm-1) の存在を示唆する吸収が認められた。
【0123】
1の 1H-NMRスペクトルおよび13C-NMRスペクトル値(表3)から、1個のメチル基[ 2.51 (3H、s、6-CH3)]の存在が示唆された。次に、DQF-COSY、HMQC、HMBCスペクトルにおいて、フィギュア 1に太線で示すプロトン−プロトン間にDQF-COSYスペクトルの相関が、また矢印で示すプロトン−カーボン間にHMBCスペクトルの 1H-13C ロングレンジ相関が見られた。以上のことから1はゲラニル基を持つカルバゾール型アルカロイドであることが明らかにとなり、その構造をフィギュア 1に示すように決定した。
【0124】
【化26】

【0125】
カラピナミンB (2) は正の旋光度 ([α]D24 +5.64°、MeOH) を示す黄色粉末として得られ、そのEI-MS において分子イオンピークがm/z 347 (M+) に観測され、2は高分解能 EI-MS により分子式 C23H25NO2 を有する化合物であることが明らかになった。
また IR スペクトルにおいて水酸基 (3400 cm-1)、芳香環 (1601、1507 cm-1) の存在を示唆する吸収が認められた。
【0126】
2の1H-NMRスペクトルおよび13C-NMRスペクトル値(表3)から、4個のメチル基[ 1.26、1.43、1.85、2.37 (3H、s、H-8'、3'、9'、6)]の存在が示唆された。また2の 1H-NMR および13C-NMR のケミカルシフトは3位および6位付近を除いて既知アルカロイドムラヤミン-E (14) と類似していた。次に、DQF-COSY、HMQC、HMBC スペクトルにおいて、フィギュア 2に太線で示すプロトン−プロトン間にDQF-COSYスペクトルの相関が、また矢印で示すプロトン−カーボン間にHMBCスペクトルの 1H-13Cロングレンジ相関が見られた。このことから2カルバゾール型アルカロイドであり、その平面構造を以下のように決定した。
【0127】
次に、NOE により3位プロトン[ 6.61]から4位プロトン[ 7.48]間、5位プロトン[ 7.62]から6-CH3位プロトン[ 2.37]間、3位プロトン[ 6.95]から8'、9'位プロトン[ 1.85、1.26]間、1'位プロトン[ 3.26]から8'位プロトン[ 1.85]間、6'位プロトン[ 1.94]から8'位プロトンおよび9'位プロトン[ 1.85、1.26]間、2'位プロトン[ 1.90]から3'-CH3位プロトン[ 1.43]間に、フィギュア 2に点線矢印で示す相関が観測されたことから23の相対配置が明らかとなった。以上の結果、2の化学構造が決定した。
【0128】
【化27】

【0129】
カラピナミン C (3) およびカラピナミン D (4) は負の旋光度 (3:[α]D25 −22.6°;4:[α]D24−15.6°、CHCl3) を示す淡黄色粉末として得られ、その EI-MS においてそれぞれ分子イオンピークがm/z 331 (M+) に観測された。3および4は高分解能 EI-MS により共通した分子式 C23H25NO を有する化合物であることが明らかになった。
また IRスペクトルにおいて水酸基(3:3450;4:3450)、芳香環(3:1618、1509;4:1615、1509)の存在を示唆する吸収が認められた。
【0130】
また、既知アルカロイドビシクロマハニムビシンおよびビシクロマハニムビンの 1H-NMR および13C-NMR のケミカルシフトと一致した。次に、DQF-COSY、HMQC、HMBCスペクトルにおいて、フィギュア3に太線で示すプロトン−プロトン間にDQF-COSYスペクトルの相関が、また矢印で示すプロトン−カーボン間にHMBCスペクトルの 1H-13Cロングレンジ相関がそれぞれ見られた。このことから3、4の平面構造を決定した。
【0131】
これらの平面構造はそれぞれ、ビシクロマハニムビシンおよびビシクロマハニムビンと一致していることが明らかになった。次に、NOEにより1'位プロトン[3: 3.42;4: 3.42]から2'位プロトン[3: 2.70;4: 2.66]間、2'位プロトン[3: 2.70;4: 2.66]から3'-CH3位プロトン[3: 1.36;4: 1.35]および6'位プロトン[3: 2.52;4: 2.50]間、6'位プロトン[3: 2.52;4: 2.50]から9'位プロトン[3: 1.58;4: 1.53]間、5'位プロトン[3: 1.76;4: 1.78]から8'位プロトン[3:0.67;4: 0.63]間、8'位プロトン[3: 0.67;4: 0.63]から4'位プロトン[3: 1.63;4: 1.63]間、1'位プロトン[3: 3.42;4: 3.42]から9'位プロトン[3: 1.58;4: 1.53]間に、フィギュア3に点線矢印で示す相関がそれぞれ観測されたことから3および4の相対配置が明らかとなった。以上の結果、3および4の化学構造が明らかとなった。
【0132】
【化28】

【0133】
【表3】

【0134】
実施例5
カラピンチャ葉部含有成分のメラニン生成抑制効果
前記ジエチルエーテル抽出エキスから単離した新規カルバゾール型ルカロイド4種および公知カルバゾール型アルカロイド9種(1〜11、13および14) について、B16-メラノーマ-4A5細胞におけるメラニン生成抑制作用を検討した(表4)。
【0135】
【表4】

【0136】
その結果、カラピナミン A (1)、カラピナミン B (2)、カラピナミン C (3)、カラピナミン D (4)、マハニムビシン(5)、マハニムビン(6)、ムラヤミン-B (7)、エウスチフォリン-C (10)、エウクレスチン-B (11)、コエニムビン(13)およびムラヤミン-E (14) に活性が認められた。
【0137】
また、メラニン合成に関わるチロシナーゼに直接作用し、メラニンの合成を阻害するため、美白効果があるとして化粧品に広く使用されているアルブチン(arbutin) を、既存の美白効果を有する比較物質として用いた(表5)。
【0138】
【表5】

【0139】
上記の表1、4および5の結果から、カラピンチャのジエチルエーテル抽出エキスは、現在化粧品の美白成分として広く使用されているアルブチンよりも強力なメラニン生成抑制効果を有することが判明した。
また、上記のジエチルエーテル抽出エキスに含まれるカルバゾール型アルカロイド化合物の殆どは、上記アルブミンよりも強力なメラニン生成効果を有することが判明した。
【0140】
実施例6
マウスメラノーマ細胞における細胞増殖阻害効果
前記ジエチルエーテル抽出エキスから単離した新規カルバゾール型ルカロイド4種および公知カルバゾール型アルカロイド9種(1〜11、13および14) について、B16-メラノーマ-4A5細胞におけるメラニン生成抑制作用を検討した(表6)。
【0141】
【表6】

【0142】
また、メラニン合成に関わるチロシナーゼに直接作用し、メラニンの合成を阻害するため、美白効果があるとして化粧品に広く使用されているアルブチン(arbutin) を、既存の美白効果を有する比較物質として用い上記の作用について測定した。
【0143】
【表7】

【0144】
実施例7
チロシナーゼ阻害活性試験
前記ジエチルエーテル抽出エキスから単離した新規カルバゾール型ルカロイド4種および公知カルバゾール型アルカロイド9種(1〜11、13および14)について、マッシュルーム由来のチロシナーゼに対する阻害活性について検討した(表8)。
【0145】
【表8】

【0146】
その結果、ピラヤフォリン-D (9)、エウスチフォリン-C (10)、ムラヤミン-E (14) に若干の活性が認められた。しかしながら、作用濃度域を考えると、表8のこれらのカルバゾール型アルカロイドの強いメラニン生成抑制作用に、チロシナーゼ阻害作用の寄与は低いことが明らかになった。
【0147】
以下の実施例おいて、前記の実施例3および4で得られた各アルカロイドを1種以上を組み合せて化粧品の製剤化に用いることができるが、例として前記の実施例4で得られたアルカロイド含有画分を用いて各種化粧品を作成した。
【0148】
実施例8
化粧水の調製
以下の処方:
【表9】

に従って、常法により化粧水1kgを調製した。
【0149】
実施例9〜12
上記の実施例8においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例8と全く同様にして化粧水1kgをそれぞれ調製した。
実施例13
乳液の調製
以下の処方:
【表10】

に従って、常法により乳液1kgを調製した。
【0150】
実施例14〜17
上記の実施例13においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例13と全く同様にして乳液1kgをそれぞれ製造した。
【0151】
実施例18
クリームの調製
以下の処方:
【表11】

に従って、常法によりクリーム1kgを調製した。
【0152】
実施例19〜22
上記の実施例18においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例18と全く同様にしてクリーム1kgをそれぞれ製造した。
【0153】
実施例23
日焼け止めクリームの調製
以下の処方:
【表12】

に従って、常法により日焼け止めクリーム1kgを調製した。
【0154】
実施例24〜27
上記の実施例23においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例23と全く同様にして日焼け止めクリーム1kgをそれぞれ製造した。
【0155】
実施例28
ファンデーションの調製
以下の処方:
【表13】

に従って、常法によりファンデーション1kgを調製した。
【0156】
実施例29〜32
上記の実施例28においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例28と全く同様にしてファンデーション1kgをそれぞれ製造した。
【0157】
実施例33
全身用日焼け止め乳液
以下の処方:
【表14】

に従って、常法により全身用日焼け止め乳液1kgを調製した。
【0158】
実施例34〜37
上記の実施例33においてジエチルエーテル抽出エキス0.01、0.1、1および5重量%をそれぞれ用いたこと以外は、実施例33と全く同様にして全身用日焼け止めクリーム1kgをそれぞれ製造した。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明による美白用組成物は、カラピンチャの乾燥葉部の2%酢酸水溶液抽出物を、28%アンモニア水で弱アルカリ性とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキスならびに該抽出エキスが含有する4種の新規カルバゾール型アルカロイドおよび9種の公知のカルバゾール型アルカロイドを有効成分とし、主に日焼け防止を目的として安全に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I):
【化1】

[式中、R1、R2およびR3は、水素原子であるか、または
1は、次の式:
【化2】

で表される基であるか、または
1、R2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化3】

で表される基であるか、または
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化4】

で表される基であり、これらの基におけるa、bおよびcは、式(I)における結合位置を意味し;
4、R5、R6、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子またはヒドロキシ基もしくはメチル基である]
で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物。
【請求項2】
前記一般式(I)の化合物が、以下の式:
【化5】

で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ミカン科ゲッキツ属カラピンチャ(Murraya koenigii L.)の乾燥葉部の希有機酸水溶液抽出物を、弱アルカリ性とし、ジエチルエーテルで抽出して得られたジエチルエーテル抽出エキスを有効成分とする美白用組成物。
【請求項4】
前記有効成分が、以下の一般式(II):
【化6】

[式中、R1、R2、R3、R5およびR8は、水素原子もしくはメトキシ基であるか、または
1、R5およびR8は、互いに独立して、次の式:
【化7】

で表される基であるか、または
1、R2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化8】

で表される基であるか、または
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化9】

で表される基であるか、または
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化10】

で表される基であるか、または
2およびR3は、互いに一緒になって、次の式:
【化11】

で表される基であり、これらの基におけるa、bおよびcは、上記式(II)における結合位置を意味し;
4は、水素原子またはメチル基であり;
6は、水素原子またはヒドロキシ基、メチル基もしくはメトキシ基であり;
7は、水素原子またはヒドロキシもしくはメトキシ基である]
で表されるカルバゾール型アルカロイド化合物である美白用組成物。
【請求項5】
前記有効成分が、以下の:
【化12】

【化13】

【化14】

化合物からなる群から選択される1以上のカルバゾール型アルカロイド化合物である請求項3に記載の組成物。

【公開番号】特開2013−14530(P2013−14530A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147556(P2011−147556)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(501361600)株式会社 日本薬用食品研究所 (8)
【出願人】(502371646)株式会社エヌ・ティー・エイチ (2)
【Fターム(参考)】