美的外観に優れた人工爪組成物
【課題】本発明の目的は、天然爪上または人工爪上に形成される人工爪材料であって、天然爪または人工爪表面に塗布後、重合することにより用いられる組成物によって、特別な美的外観を指先に容易に付与することができ、詳しくは、古くから利用されている光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物では達成できなかった、透明感のある自然な色調と鮮やかさを有し、干渉色による特別な美的外観を与える人工爪組成物を提供することにある。
【解決手段】成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、成分(b)ラジカル重合開始材、成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物を提供する。
【解決手段】成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、成分(b)ラジカル重合開始材、成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然爪上または、人工爪上に形成される人工爪材料であって、天然爪または、人工爪表面に塗布後、重合することにより用いられる組成物に関する。詳しくは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、ラジカル重合開始材、光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および光の干渉現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物に関する。本発明の組成物を用いることにより、特別な美的外観を指先に容易に付与することができる。
【背景技術】
【0002】
ネイルアートとは、手足の爪に施す化粧や装飾の事である。ネイルアートを施してくれる店をネイルサロン、その技術者をネイリストと言う。さまざまなネイルアート用品が市販されており、個人でプロ顔負けのネイルアートを行っている女性も多い。
【0003】
歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料は、ラッカー塗料を応用したマニキュアと比較すると、強度および、耐久性に優れ、一部のプロネイリストには受け入れられたものの、アクリルモノマー由来の刺激性や、刺激臭等さらには、施術操作性の悪さなどにより、一般のネイリストには十分に普及しなかった。
【0004】
最近では、歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料の臭気刺激性や施術操作性を改善したジェルネイルが市場の中心となっている。現在市販されているジェルネイルは、(メタ)アクリル系モノマーと光重合開始材とを主構成成分とする高粘度液体材料であり、紫外線を照射することにより硬化する。これらの市販ジェルネイルは、上段落記載の歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料と比較して、臭気刺激や、皮膚刺激が少なく、施術操作性が良好で、さらに、豊富な色調を持つことから、一般のネイリストの多くに受け入れられている。しかし、市販ジェルネイルの色調では、消費者の美的要求に応えることができない。
【0005】
現在市販されているジェルネイル製品は、古くから利用されている光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物であり、着色材による光の吸収に由来した透明度と彩度の低下が問題であった。また、基本的には光の全反射によって得られるメタリック調顔料としては、金属アルミフレーク等が代表的であり、さらに、光の規則的な多重反射と干渉原理を利用した顔料としては、パール顔料が代表的である。これらを応用したジェルネイル製品も市販されているものの、基本的にはシルバー光沢による、シルキー感やキラキラ感を求めた単調な色調であり、消費者の美的要求に応えることはできなかった。
【0006】
特開2006−321751、特開2006−233356、特開2006−160683、特開2005−298514、特開2005−298513、特開2005−008643、特開2004−131484、特開2003−160439等には干渉機能を有する光輝性顔料を含有する組成物が開示されているが、いずれの公報においても、ラッカー塗料を応用した水系または油系マニキュアであり、本発明のジェルネイル型人工爪組成物とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−321751
【特許文献2】特開2006−233356
【特許文献3】特開2006−160683
【特許文献4】特開2005−298514
【特許文献5】特開2005−298513
【特許文献6】特開2005−008643
【特許文献7】特開2004−131484
【特許文献8】特開2003−160439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、天然爪上または人工爪上に形成される人工爪材料であって、天然爪または人工爪表面に塗布後、重合することにより用いられる組成物によって、特別な美的外観を指先に容易に付与することができ、詳しくは、古くから利用されている光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物では達成できなかった、透明感のある自然な色調と鮮やかさを有し、干渉色による特別な美的外観を与える人工爪組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、成分(b)ラジカル重合開始材、成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、干渉色を有する有機および/または無機着色材によって、特定の波長の反射のみを強めて鮮やかな色調を得ることができるために、透明感のある自然な色調と鮮やかさを有し、干渉色による特別な美的外観を与える人工爪組成物を得ることができる。さらに、従来用いられてきた、工業用ラッカー塗料を応用した、油系または水系マニュキュアの耐久性および操作性を向上した組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例25、実施例26、比較例32、および比較例33の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図2】実施例23、実施例24、比較例30、および比較例31の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図3】実施例19、実施例20、実施例21、および実施例22の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図4】実施例15、実施例16、実施例17、および実施例18の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図5】比較例27、比較例28、および比較例29の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図6】実施例13、実施例14、および比較例26の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図7】実施例11、実施例12、比較例24、および比較例25の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図8】実施例9、実施例10、比較例22、および比較例23の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図9】実施例5、実施例6、実施例7、および実施例8の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図10】実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図11】比較例18、比較例19、比較例20、および比較例21の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図12】比較例14、比較例15、比較例16、および比較例7の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図13】比較例10、比較例11、比較例12、および比較例13の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図14】比較例6、比較例7、比較例8、および比較例9の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図15】比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、および比較例5の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、公知の単官能性および多官能性の重合性単量体のうちから使用することができる。一般に好適に使用される代表的なものを例示すれば、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体またはウレタン(メタ)アクリレートである。なお、本発明においては(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロイルをもってアクリロイル基含有重合性単量体とメタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
【0013】
具体的に例示すれば次の通りである。単官能性単量体:メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
【0014】
二官能性単量体:1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート
【0015】
三官能以上の単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート。
【0016】
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、一分子に少なくとも2個以上のアクロイル基及び/又はメタクリロイル基並びにウレタン基を有する。例えば7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキソ−5,12−ジアザ−ヘキサデカン−1,16−ジオール−ジメタクリレート(以下、「UDMA」と略称する)、1,6-ビス[(2−フェノキシ−2’−アクリロキシ)イソプロピル−オキシ)イソプロピル−オキシ−カルボニルアミノ]ヘキサン(以下、「UDA」と略称する)、1,1,1−トリ[6-{(1−アクリロキシ−3−フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ}−ヘキシルカルバモイロキシメチル]プロパン(以下、「URO」と略称する)等が例示できる。
【0017】
上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に、人工爪組成物の目的に応じて、他の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体のオリゴマーまたはポリマーを用いても何等制限はない。また、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していても何等問題はない。
【0018】
本発明において、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、単一成分の場合のみならず、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物も含む。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、低粘度の重合性単量体と組み合わせて重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。この組合せは2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0019】
さらに、人工爪組成物の天然爪および/または人工爪との密着性向上のために、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物として、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性化合物を含有してもよく、詳しくは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を有する化合物であり、好ましくは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物であり、特に好ましくは、P−OH結合を有する化合物である。例としては、リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸基、ホスホン酸モノエステル基、亜リン酸モノエステル基、ホスフィン酸基、ピロリン酸基等であるが、特にリン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸基が好ましい。
【0020】
本発明における(b)ラジカル重合開始材は、100重量部の成分(a)に対して、0.01〜10重量部の配合割合において使用でき、好ましくは0.1〜5重量部である。また、公知の熱重合開始材および光重合開始材が使用できる。光重合開始材の例としては、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等が挙げられ、好ましくは、2-ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、アシルフォスフィンオキサイド類である。
【0021】
また、上記光開始材に光重合促進材を組み合わせて用いることも好ましい。特に第三級アミン類を光重合促進材として用いる場合には、芳香族基に直接窒素原子が置換した化合物を用いることがより好ましい。かかる光重合促進材としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、また、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類および、そのナトリウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、さらに、ジブチル−錫−ジアセテート、ジブチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジラウレート、ジブチル−錫−ジラウレート、ジオクチル−錫−ジバーサテート、ジオクチル−錫−S,S’−ビス−イソオクチルメルカプトアセテート、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等の錫化合物類等が使用できる。これらの光重合促進材のうち少なくとも一種を選んで用いることができ、さらに二種以上を混合して用いることもできる。上記開始材および促進材の添加量は適宜決定することができる。
【0022】
さらに、光重合促進能の向上のために、第三級アミンに加えて、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類を添加するのが効果的である。
【0023】
熱重合開始材として具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類が好適に使用される。
【0024】
また、上記有機過酸化物とアミン化合物を組み合わせて用いることにより重合を常温で行うこともできる。このようなアミン化合物としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが、硬化促進の観点より好適に用いられる。例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジンが好ましい。
【0025】
上記有機過酸化物とアミン化合物の組合せに、さらにスルフィン酸塩またはボレートを組み合わせることも好適である。かかるスルフィン酸塩類としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。ボレートとしてはトリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。また、酸素や水との反応によりラジカルを発生するトリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類は、有機金属型の重合開始材としても使用することができる。
【0026】
本発明における、(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材とは、有機着色材としてアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料などがあり、無機着色材としては白色顔料である酸化チタン、ルチルチタン、アナターゼチタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛などが代表的である。本発明における(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材は、100重量部の成分(a)に対して、0〜10重量部の配合割合において使用できる。
【0027】
また、無機着色材としては、黄色酸化鉄、群青、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイトなどの有彩および/または黒色顔料を組み合わせてもよい。無機着色材としては、酸化チタン、および酸化アルミニウムが適している。
【0028】
有機着色材として具体的に例示すると、ビクトリアピュアブルーB、α―フタロシアニンブルー、β―フタロシアニンブルー、γ―フタロシアニンブルー、ε―フタロシアニンブルー、ナフトールレッドFRR、ナフトールAS、ナフトールレッド、ピラゾロンレッドB、BONAバリウムレーキ、BONAカルシウムレーキ、BONAストロンチウムレーキ、マグネシウムレーキ、ローダミンY、チオインジバイオレット、ナフトールレッドFGR、キナクリドンマゼンタ、トルイジンレッド、パラクロルレッド、ハンザイイエローG、ハンザイイエローGR、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、バルカンファーストイエロー5G、アリライドイエローNCG、フラバンスロンイエロー、ストロンチウムイエロー、アンチモンイエローがある。特に青色有機着色材としては、α―フタロシアニンブルーであるPigment Blue15:2が、赤色有機着色材としてはBONAカルシウムレーキであるPigment Red48:2が、黄色着色材としてはジスアゾイエローAAOTであるPigment Yellow14の組合せが適している。
【0029】
本発明における、(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材とは、光は波状に進むため可視光の波長と同じくらいの厚みの薄膜に光が当たると表面で反射する光と、内部または裏面で反射する光が干渉しあって増幅したり打ち消しあったりして異なる色を呈することの出来る着色材である。本発明における(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材としては、100重量部の成分(a)に対して、0.01〜20重量部の配合割合において使用できる。
【0030】
干渉色を有する無機着色材として具体的に例示すると、ガラスフレークあるいは酸化アルミニウムなどの母材にアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイ型酸化チタン、酸化スズが均一に被膜している干渉色を有する無機着色材である。特に母材である酸化アルミニウムに酸化チタンと酸化スズが被膜した無機着色材が適しておいる。
【0031】
本発明において、透明度の尺度としては、コントラスト比によって表現される。コントラスト比とは透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、200μm厚の人工爪組成物の硬化体に黒背景もしくは白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な硬化体であり、0に近いほど透明な硬化体であることを示す。
【実施例】
【0032】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[本発明の実施例に使用した化合物の略号]
(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
UDMA:ジメタクリロキシエチル−2、2、4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン
BisGMA:ビスフェノールA−ジグリシジルメタクリレート
14G:テトラデカエチレングリコールジメタクリレート
BisMEP:ビス[2−(メタクリロキシ)エチル]フォスフェート
4AET:4−アクリロキシエチルトリメリット酸
(b)ラジカル重合開始材
MAPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
DAR1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
IRG184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材
Blue5050A:Fastogen Blue 5050A(大日本インキ社製)
Red3013:Symuler Red 3013(大日本インキ社製)
Yellow5GF:Symuler Fast Yellow 5GF(大日本インキ社製)
JR−805:二酸化チタン(テイカ社製)
(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材
T60−23:Xirallic T60−23WNT(メルク社製)
T60−21:Xirallic T60−21WNT(メルク社製)
その他添加材
R974:超微粒子シリカ(日本アエロジル社製)
【0033】
[本発明の実施例に使用した機器、装置]
紫外線光重合装置:アクセンツUVランプ(UVL-92型、滝川株式会社製)
分光測色器:CM-2002(コニカミノルタ社製)
【0034】
本発明の実施例に使用した材料の調製方法、および評価方法を下記に示す。
[人工爪組成物の調製方法]
表1に記載した配合量に従い、原材料(a)および(b)を計量後、大気圧下60℃にて3時間混合後、さらに大気圧下23℃にて12時間混合した。次に、原材料(c)、(d)および添加材を計量し、自転公転型混合機を使用して添加原材料の分散を行った。さらに、40〜45Torr下にて脱泡して高粘度透明液体を得た。
【0035】
[測色用人工爪組成物硬化体の作製方法]
人工爪組成物を直径(内径)30mm、厚さ200μmのリング型ステンレス製モールドに充填し、上下方向からガラスで圧接し、形態の修正と光照射面の空気の遮断を行った後、紫外線重合装置(アクセンツUVランプ)を使用して上下面各3分間光重合を行い、人工爪組成物の円盤状硬化物を作製し、これを測色用円盤状試験片とした。
【0036】
[測色方法]
色の測定方法は、JIS Z8722:2000に準拠した。以下に測定条件を記載する。
a)使用したイルミナントおよび表色系:補助イルミナントCを使用し、XYZ表色系を用いた。
b)反射測定方法において測定を実施した。
c)測定に使用したJIS Z 8722に規定する幾何光学条件:条件c[8/0]
d)試験装置の形式および名称:分光測色器(コニカミノルタ社製、CM-2002)
e)試験片裏面: 透過性がなく内面反射のない光トラップを使用した。
得られたXYZ値より、JIS Z8729:2004記載の算出式より、CIE1976abクロマ(本実施例においてC*と省略する場合がある)を得た。得られたCIE1976abクロマを表1に記載した。
さらに、図1〜15に該測色条件において計測された分光反射率グラフを示した。
【0037】
[コントラスト比の算出]
本発明において、透明度の尺度としてはコントラスト比によって表現される。コントラスト比とは透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、200μm厚の人工爪組成物の硬化体に黒背景、もしくは白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な硬化体であり、0に近いほど透明な硬化体であることを示す。得られたコントラスト比を表1に記載する。
【0038】
図8、図9、図10および図7の結果より、実施例1〜12は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。また、実施例1〜12の組成物硬化体は、紫みの赤を呈し美的外観に優れていた。
【0039】
図7および図8の結果より、比較例22〜25は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。しかし、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が、0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0040】
同様に、図6の結果より、実施例13〜14は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。また、実施例13〜14の組成物硬化体は、紫みの赤を呈し、美的外観に優れていた。しかし、図5および図6の結果より、比較例26〜29は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。しかし、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が、0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0041】
比較例1〜21は、成分(d)を含有しない組成物である。図11〜15の結果より、成分(d)由来の色調を呈した分光反射率が得られているが、成分(d)を含有する実施例の組成物硬化体と比較すると、表1の結果より同じコントラスト比におけるCIE1976abクロマの値が低く、鮮やかな色彩が得られていないため美的外観に劣っていた。
【0042】
図1〜4の結果より、実施例15〜26は、約610〜750nmのブロードなピークによる分光反射率のスペクトルが得られており、赤色の干渉色を有している組成物硬化体であり、実施例15〜26の美的外観は優れていた。また、比較例30〜33は約610〜750nmのブロードなピークによる分光反射率のスペクトルが得られており、赤色の干渉色を有している組成物硬化体であるが、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0043】
【表1−1】
【0044】
【表1−2】
【0045】
【表1−3】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然爪上または、人工爪上に形成される人工爪材料であって、天然爪または、人工爪表面に塗布後、重合することにより用いられる組成物に関する。詳しくは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、ラジカル重合開始材、光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および光の干渉現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物に関する。本発明の組成物を用いることにより、特別な美的外観を指先に容易に付与することができる。
【背景技術】
【0002】
ネイルアートとは、手足の爪に施す化粧や装飾の事である。ネイルアートを施してくれる店をネイルサロン、その技術者をネイリストと言う。さまざまなネイルアート用品が市販されており、個人でプロ顔負けのネイルアートを行っている女性も多い。
【0003】
歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料は、ラッカー塗料を応用したマニキュアと比較すると、強度および、耐久性に優れ、一部のプロネイリストには受け入れられたものの、アクリルモノマー由来の刺激性や、刺激臭等さらには、施術操作性の悪さなどにより、一般のネイリストには十分に普及しなかった。
【0004】
最近では、歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料の臭気刺激性や施術操作性を改善したジェルネイルが市場の中心となっている。現在市販されているジェルネイルは、(メタ)アクリル系モノマーと光重合開始材とを主構成成分とする高粘度液体材料であり、紫外線を照射することにより硬化する。これらの市販ジェルネイルは、上段落記載の歯科用常温重合レジンを応用した人工爪材料と比較して、臭気刺激や、皮膚刺激が少なく、施術操作性が良好で、さらに、豊富な色調を持つことから、一般のネイリストの多くに受け入れられている。しかし、市販ジェルネイルの色調では、消費者の美的要求に応えることができない。
【0005】
現在市販されているジェルネイル製品は、古くから利用されている光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物であり、着色材による光の吸収に由来した透明度と彩度の低下が問題であった。また、基本的には光の全反射によって得られるメタリック調顔料としては、金属アルミフレーク等が代表的であり、さらに、光の規則的な多重反射と干渉原理を利用した顔料としては、パール顔料が代表的である。これらを応用したジェルネイル製品も市販されているものの、基本的にはシルバー光沢による、シルキー感やキラキラ感を求めた単調な色調であり、消費者の美的要求に応えることはできなかった。
【0006】
特開2006−321751、特開2006−233356、特開2006−160683、特開2005−298514、特開2005−298513、特開2005−008643、特開2004−131484、特開2003−160439等には干渉機能を有する光輝性顔料を含有する組成物が開示されているが、いずれの公報においても、ラッカー塗料を応用した水系または油系マニキュアであり、本発明のジェルネイル型人工爪組成物とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−321751
【特許文献2】特開2006−233356
【特許文献3】特開2006−160683
【特許文献4】特開2005−298514
【特許文献5】特開2005−298513
【特許文献6】特開2005−008643
【特許文献7】特開2004−131484
【特許文献8】特開2003−160439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、天然爪上または人工爪上に形成される人工爪材料であって、天然爪または人工爪表面に塗布後、重合することにより用いられる組成物によって、特別な美的外観を指先に容易に付与することができ、詳しくは、古くから利用されている光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材を含有する人工爪組成物では達成できなかった、透明感のある自然な色調と鮮やかさを有し、干渉色による特別な美的外観を与える人工爪組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、成分(b)ラジカル重合開始材、成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、干渉色を有する有機および/または無機着色材によって、特定の波長の反射のみを強めて鮮やかな色調を得ることができるために、透明感のある自然な色調と鮮やかさを有し、干渉色による特別な美的外観を与える人工爪組成物を得ることができる。さらに、従来用いられてきた、工業用ラッカー塗料を応用した、油系または水系マニュキュアの耐久性および操作性を向上した組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例25、実施例26、比較例32、および比較例33の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図2】実施例23、実施例24、比較例30、および比較例31の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図3】実施例19、実施例20、実施例21、および実施例22の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図4】実施例15、実施例16、実施例17、および実施例18の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図5】比較例27、比較例28、および比較例29の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図6】実施例13、実施例14、および比較例26の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図7】実施例11、実施例12、比較例24、および比較例25の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図8】実施例9、実施例10、比較例22、および比較例23の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図9】実施例5、実施例6、実施例7、および実施例8の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図10】実施例1、実施例2、実施例3、および実施例4の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図11】比較例18、比較例19、比較例20、および比較例21の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図12】比較例14、比較例15、比較例16、および比較例7の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図13】比較例10、比較例11、比較例12、および比較例13の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図14】比較例6、比較例7、比較例8、および比較例9の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【図15】比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、および比較例5の組成物からの円盤状硬化物についての分光反射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、公知の単官能性および多官能性の重合性単量体のうちから使用することができる。一般に好適に使用される代表的なものを例示すれば、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する重合性単量体またはウレタン(メタ)アクリレートである。なお、本発明においては(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロイルをもってアクリロイル基含有重合性単量体とメタクリロイル基含有重合性単量体の両者を包括的に表記する。
【0013】
具体的に例示すれば次の通りである。単官能性単量体:メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサフタル酸、ステアリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
【0014】
二官能性単量体:1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート
【0015】
三官能以上の単量体:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート。
【0016】
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレートは、一分子に少なくとも2個以上のアクロイル基及び/又はメタクリロイル基並びにウレタン基を有する。例えば7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキソ−5,12−ジアザ−ヘキサデカン−1,16−ジオール−ジメタクリレート(以下、「UDMA」と略称する)、1,6-ビス[(2−フェノキシ−2’−アクリロキシ)イソプロピル−オキシ)イソプロピル−オキシ−カルボニルアミノ]ヘキサン(以下、「UDA」と略称する)、1,1,1−トリ[6-{(1−アクリロキシ−3−フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ}−ヘキシルカルバモイロキシメチル]プロパン(以下、「URO」と略称する)等が例示できる。
【0017】
上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に、人工爪組成物の目的に応じて、他の重合性単量体、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有する単量体のオリゴマーまたはポリマーを用いても何等制限はない。また、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していても何等問題はない。
【0018】
本発明において、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物とは、単一成分の場合のみならず、複数の重合性単量体からなる重合性単量体の混合物も含む。また、重合性単量体の粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、低粘度の重合性単量体と組み合わせて重合性単量体の混合物として使用するのが好ましい。この組合せは2種類に限らず、3種類以上であってもよい。
【0019】
さらに、人工爪組成物の天然爪および/または人工爪との密着性向上のために、(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物として、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性化合物を含有してもよく、詳しくは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を有する化合物であり、好ましくは、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物であり、特に好ましくは、P−OH結合を有する化合物である。例としては、リン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸基、ホスホン酸モノエステル基、亜リン酸モノエステル基、ホスフィン酸基、ピロリン酸基等であるが、特にリン酸モノエステル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸基が好ましい。
【0020】
本発明における(b)ラジカル重合開始材は、100重量部の成分(a)に対して、0.01〜10重量部の配合割合において使用でき、好ましくは0.1〜5重量部である。また、公知の熱重合開始材および光重合開始材が使用できる。光重合開始材の例としては、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、α-ジアルコキシアセトフェノン類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等が挙げられ、好ましくは、2-ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、アシルフォスフィンオキサイド類である。
【0021】
また、上記光開始材に光重合促進材を組み合わせて用いることも好ましい。特に第三級アミン類を光重合促進材として用いる場合には、芳香族基に直接窒素原子が置換した化合物を用いることがより好ましい。かかる光重合促進材としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、また、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類および、そのナトリウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、さらに、ジブチル−錫−ジアセテート、ジブチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジマレエート、ジオクチル−錫−ジラウレート、ジブチル−錫−ジラウレート、ジオクチル−錫−ジバーサテート、ジオクチル−錫−S,S’−ビス−イソオクチルメルカプトアセテート、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等の錫化合物類等が使用できる。これらの光重合促進材のうち少なくとも一種を選んで用いることができ、さらに二種以上を混合して用いることもできる。上記開始材および促進材の添加量は適宜決定することができる。
【0022】
さらに、光重合促進能の向上のために、第三級アミンに加えて、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、α−オキシイソ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等のオキシカルボン酸類を添加するのが効果的である。
【0023】
熱重合開始材として具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類が好適に使用される。
【0024】
また、上記有機過酸化物とアミン化合物を組み合わせて用いることにより重合を常温で行うこともできる。このようなアミン化合物としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが、硬化促進の観点より好適に用いられる。例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジンが好ましい。
【0025】
上記有機過酸化物とアミン化合物の組合せに、さらにスルフィン酸塩またはボレートを組み合わせることも好適である。かかるスルフィン酸塩類としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。ボレートとしてはトリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。また、酸素や水との反応によりラジカルを発生するトリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類は、有機金属型の重合開始材としても使用することができる。
【0026】
本発明における、(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材とは、有機着色材としてアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料などがあり、無機着色材としては白色顔料である酸化チタン、ルチルチタン、アナターゼチタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫化亜鉛などが代表的である。本発明における(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材は、100重量部の成分(a)に対して、0〜10重量部の配合割合において使用できる。
【0027】
また、無機着色材としては、黄色酸化鉄、群青、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイトなどの有彩および/または黒色顔料を組み合わせてもよい。無機着色材としては、酸化チタン、および酸化アルミニウムが適している。
【0028】
有機着色材として具体的に例示すると、ビクトリアピュアブルーB、α―フタロシアニンブルー、β―フタロシアニンブルー、γ―フタロシアニンブルー、ε―フタロシアニンブルー、ナフトールレッドFRR、ナフトールAS、ナフトールレッド、ピラゾロンレッドB、BONAバリウムレーキ、BONAカルシウムレーキ、BONAストロンチウムレーキ、マグネシウムレーキ、ローダミンY、チオインジバイオレット、ナフトールレッドFGR、キナクリドンマゼンタ、トルイジンレッド、パラクロルレッド、ハンザイイエローG、ハンザイイエローGR、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、バルカンファーストイエロー5G、アリライドイエローNCG、フラバンスロンイエロー、ストロンチウムイエロー、アンチモンイエローがある。特に青色有機着色材としては、α―フタロシアニンブルーであるPigment Blue15:2が、赤色有機着色材としてはBONAカルシウムレーキであるPigment Red48:2が、黄色着色材としてはジスアゾイエローAAOTであるPigment Yellow14の組合せが適している。
【0029】
本発明における、(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材とは、光は波状に進むため可視光の波長と同じくらいの厚みの薄膜に光が当たると表面で反射する光と、内部または裏面で反射する光が干渉しあって増幅したり打ち消しあったりして異なる色を呈することの出来る着色材である。本発明における(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材としては、100重量部の成分(a)に対して、0.01〜20重量部の配合割合において使用できる。
【0030】
干渉色を有する無機着色材として具体的に例示すると、ガラスフレークあるいは酸化アルミニウムなどの母材にアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイ型酸化チタン、酸化スズが均一に被膜している干渉色を有する無機着色材である。特に母材である酸化アルミニウムに酸化チタンと酸化スズが被膜した無機着色材が適しておいる。
【0031】
本発明において、透明度の尺度としては、コントラスト比によって表現される。コントラスト比とは透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、200μm厚の人工爪組成物の硬化体に黒背景もしくは白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な硬化体であり、0に近いほど透明な硬化体であることを示す。
【実施例】
【0032】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[本発明の実施例に使用した化合物の略号]
(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物
UDMA:ジメタクリロキシエチル−2、2、4−トリメチルヘキサメチレンジウレタン
BisGMA:ビスフェノールA−ジグリシジルメタクリレート
14G:テトラデカエチレングリコールジメタクリレート
BisMEP:ビス[2−(メタクリロキシ)エチル]フォスフェート
4AET:4−アクリロキシエチルトリメリット酸
(b)ラジカル重合開始材
MAPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
DAR1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン
IRG184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材
Blue5050A:Fastogen Blue 5050A(大日本インキ社製)
Red3013:Symuler Red 3013(大日本インキ社製)
Yellow5GF:Symuler Fast Yellow 5GF(大日本インキ社製)
JR−805:二酸化チタン(テイカ社製)
(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材
T60−23:Xirallic T60−23WNT(メルク社製)
T60−21:Xirallic T60−21WNT(メルク社製)
その他添加材
R974:超微粒子シリカ(日本アエロジル社製)
【0033】
[本発明の実施例に使用した機器、装置]
紫外線光重合装置:アクセンツUVランプ(UVL-92型、滝川株式会社製)
分光測色器:CM-2002(コニカミノルタ社製)
【0034】
本発明の実施例に使用した材料の調製方法、および評価方法を下記に示す。
[人工爪組成物の調製方法]
表1に記載した配合量に従い、原材料(a)および(b)を計量後、大気圧下60℃にて3時間混合後、さらに大気圧下23℃にて12時間混合した。次に、原材料(c)、(d)および添加材を計量し、自転公転型混合機を使用して添加原材料の分散を行った。さらに、40〜45Torr下にて脱泡して高粘度透明液体を得た。
【0035】
[測色用人工爪組成物硬化体の作製方法]
人工爪組成物を直径(内径)30mm、厚さ200μmのリング型ステンレス製モールドに充填し、上下方向からガラスで圧接し、形態の修正と光照射面の空気の遮断を行った後、紫外線重合装置(アクセンツUVランプ)を使用して上下面各3分間光重合を行い、人工爪組成物の円盤状硬化物を作製し、これを測色用円盤状試験片とした。
【0036】
[測色方法]
色の測定方法は、JIS Z8722:2000に準拠した。以下に測定条件を記載する。
a)使用したイルミナントおよび表色系:補助イルミナントCを使用し、XYZ表色系を用いた。
b)反射測定方法において測定を実施した。
c)測定に使用したJIS Z 8722に規定する幾何光学条件:条件c[8/0]
d)試験装置の形式および名称:分光測色器(コニカミノルタ社製、CM-2002)
e)試験片裏面: 透過性がなく内面反射のない光トラップを使用した。
得られたXYZ値より、JIS Z8729:2004記載の算出式より、CIE1976abクロマ(本実施例においてC*と省略する場合がある)を得た。得られたCIE1976abクロマを表1に記載した。
さらに、図1〜15に該測色条件において計測された分光反射率グラフを示した。
【0037】
[コントラスト比の算出]
本発明において、透明度の尺度としてはコントラスト比によって表現される。コントラスト比とは透明性を表す尺度であり、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系の三刺激値のうち明るさに関するY値を用いて算出するものである。具体的には、200μm厚の人工爪組成物の硬化体に黒背景、もしくは白背景を接触させ、標準の光Cを照射した際の反射光におけるY値を読み取る。黒背景の場合のYをYb、白背景の場合のYをYwとすると、コントラスト比(C)はYb/Ywから求められる。Cの値が1に近いほど不透明な硬化体であり、0に近いほど透明な硬化体であることを示す。得られたコントラスト比を表1に記載する。
【0038】
図8、図9、図10および図7の結果より、実施例1〜12は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。また、実施例1〜12の組成物硬化体は、紫みの赤を呈し美的外観に優れていた。
【0039】
図7および図8の結果より、比較例22〜25は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。しかし、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が、0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0040】
同様に、図6の結果より、実施例13〜14は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。また、実施例13〜14の組成物硬化体は、紫みの赤を呈し、美的外観に優れていた。しかし、図5および図6の結果より、比較例26〜29は、約450nmをピークとする分光反射率のスペクトルが得られており、青色の干渉色を有している組成物硬化体である。しかし、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が、0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0041】
比較例1〜21は、成分(d)を含有しない組成物である。図11〜15の結果より、成分(d)由来の色調を呈した分光反射率が得られているが、成分(d)を含有する実施例の組成物硬化体と比較すると、表1の結果より同じコントラスト比におけるCIE1976abクロマの値が低く、鮮やかな色彩が得られていないため美的外観に劣っていた。
【0042】
図1〜4の結果より、実施例15〜26は、約610〜750nmのブロードなピークによる分光反射率のスペクトルが得られており、赤色の干渉色を有している組成物硬化体であり、実施例15〜26の美的外観は優れていた。また、比較例30〜33は約610〜750nmのブロードなピークによる分光反射率のスペクトルが得られており、赤色の干渉色を有している組成物硬化体であるが、表1の結果より、組成物硬化体のコントラスト比が0.6以上であり、優れた美的外観を与える干渉色が、成分(c)由来の光の散乱により低減され、美的外観に劣っていた。
【0043】
【表1−1】
【0044】
【表1−2】
【0045】
【表1−3】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、
成分(b)ラジカル重合開始材、
成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および
成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物。
【請求項2】
該人工爪組成物の硬化体のコントラスト値がJIS28701に従って測定して0.6未満である請求項1記載の人工爪組成物。
【請求項1】
成分(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、
成分(b)ラジカル重合開始材、
成分(c)光の吸収および/または散乱現象を利用した有機および/または無機着色材、および
成分(d)少なくとも1種以上の干渉色を有する無機着色材を含み、ここに、100重量部の成分(a)に対して、成分(b)の含有量が0.01〜10重量部、成分(c)の含有量が0〜10重量部および成分(d)の含有量が0.01〜20重量部である人工爪組成物。
【請求項2】
該人工爪組成物の硬化体のコントラスト値がJIS28701に従って測定して0.6未満である請求項1記載の人工爪組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−13439(P2010−13439A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121506(P2009−121506)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】
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