説明

美肌促進用組成物

【課題】皮膚の水分補給及び保湿作用といった美肌促進作用を示す、経口摂取が可能で、安全で日々継続的に摂取することができる美肌促進用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、カゼイン加水分解物及びセラミドを含有することを特徴とする美肌促進用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゼインの加水分解物及びセラミドを有効成分とし、経口摂取により、肌の保湿、肌荒れ防止、しわ防止等の美容効果を有する美肌促進用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外界からの異物等の侵入を阻止する物理的なバリア機能を担うとともに、生体内の必要物質が生体内から外界に流出しないようにする機能も担っている。皮膚は表皮細胞が整然と緻密に整列した構造を有し、これにより前述の機能を発揮しているが、皮膚が正常な機能を果たし健康な状態を保つには、皮膚表面に33〜39%程度の水分を含むことが必要とされ、これにより皮膚の柔軟性・弾力性が保たれ、その機能を発揮することができる。そして、正常な皮膚は平滑な表面を有しており美容的にも好ましいものとなっている。
【0003】
皮膚の水分が減少して柔軟性が失われ、表皮細胞内成分や細胞間成分のバランスが崩れると、表皮細胞の整列が乱れ、しわ、小じわ、ひび割れ等の発生の原因になる。このような状態になると、皮膚の水分がますます消失し、肌がカサカサとなって美容上好ましくない事態となる。同時に外界からの異物の浸入が容易となって、感染症や皮膚疾患が起こりやすくなって予防学的にも問題が発生する。そして掻痒感によって皮膚を引っ掻くことにより、さらに肌荒れが進行することになる。
【0004】
セラミドは、スフィンゴシンと脂肪酸が結合した構造を有しており、ヒトの皮膚構成成分の1つで、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れの防止・改善の効果を有する。セラミドを外部から補給するため、セラミドや、グルコシルセラミド及びガラクトシルセラミド等のセラミド配糖体を配合した皮膚化粧料があるが、セラミドを皮膚に適用しても、ほとんど皮膚内に吸収されないという問題点があった。そのため、経口投与によってセラミドを補給しようとする試みも行われており、例えば特許文献1には、セラミド配糖体を含有する健康食品が提案されている。経口投与によりセラミドの効果を得ようとする場合には多量のセラミドを摂取する必要があるが、セラミド配糖体は天然に少量しか存在しないため精製に多くの手間を要し、極めて高コストであるという問題点があった。
【0005】
また、特許文献2には、セラミドとリン脂質が結合したスフィンゴミエリンを有効成分する健康食品が提案されている。スフィンゴミエリンは、牛乳中のリン脂質の約30%を占め、多量に含まれているためセラミド配糖体に比べて精製のコストはかからないものの、生体内で代謝されてセラミドにならないと作用を示さないため、その効果は十分に満足できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−113530号公報
【特許文献2】特開2005−281257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、皮膚の水分補給及び保湿作用といった美肌促進作用を示す、経口摂取が可能で、安全で日々継続的に摂取することができる美肌促進用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の問題点を鑑み、探索を進めたところ、カゼイン加水分解物及びセラミドを組み合わせると、極めて高い肌の保湿効果及び水分補給効果、並びに、かさかさ、つっぱり、かゆみ等の肌に関する自覚症状を改善する効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は以下の事項に関する。
(1)カゼイン加水分解物及びセラミドを含有することを特徴とする美肌促進用組成物。
(2)カゼイン加水分解物が配列番号1で表されるペプチドを含む、(1)記載の組成物。
(3)カゼイン加水分解物がカゼイン酵素分解物である、(1)又は(2)記載の組成物。
(4)セラミドとして、乳由来のセラミドを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)皮膚の保湿用組成物である、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、皮膚の水分補給及び保湿作用といった美肌促進作用を示す組成物が提供される。本発明の組成物は乳蛋白質の主成分であるカゼインの加水分解物、及び皮膚角質層の主要な構成脂質であるセラミドを有効成分としているため、極めて安全性が高く、肌を気にする人だけでなく、子供から老人、ペット等の動物や家畜にも投与することができる。したがって、本発明の組成物は、日常的に継続して経口摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の美肌促進用組成物は、カゼイン加水分解物に、セラミドを配合することにより調製することができる。
【0012】
本発明の美肌促進用組成物に用いるカゼイン加水分解物としては、セラミドと一緒になって本発明の効果を有するものであれば、特に制限されない。カゼインは乳蛋白質の主体をなす蛋白質である。カゼインは牛乳由来であることが好ましく、一般的には、牛乳から脂肪を除いて得られる脱脂乳を20℃で酸を加えてpH4.6にすると、沈殿として得られる。カゼインはαSカゼイン、βカゼイン及びκカゼイン等の複数の分子から構成され、それぞれは分子量約23000Da、23000Da、19000Daの蛋白質である。カゼインとして、これらのうちの1種類を用いてもよいし、複数種の混合物を用いてもよい。カゼイン加水分解物の調製には、カゼイン塩、例えば、カゼインのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、無機酸又は有機酸との塩を用いてもよい。従って、本発明においてカゼインには、カゼイン塩も包含される。カゼインは、通常、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から常法により精製して得ることができる。カゼインとして、具体的には、例えば、全カゼイン、酸カゼイン、乳酸カゼイン、硫酸カゼイン、塩酸カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、マグネシウムカゼイネート又はこれらの任意の混合物を用いることができる。
【0013】
カゼインの加水分解方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、酵素による加水分解方法及び酸による加水分解方法が挙げられる。
【0014】
酵素を用いて加水分解する場合は、通常、水性媒体中にカゼインを分散させ、1種又は複数種の蛋白質分解酵素を作用させて加水分解物を生成することができる。このとき、水性媒体中のカゼインの濃度は、通常、蛋白質換算で1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲とするのが、効率性及び操作性の点から望ましい。加水分解の際のpHは、使用する蛋白質分解酵素の至適pH付近に調整することが好ましい。加水分解の反応温度は、酵素作用の発現する最適温度範囲が好ましく、一般的には5〜80℃、好ましくは30〜70℃の範囲である。
【0015】
カゼインの加水分解に用いる蛋白質分解酵素としては、トリプシン及びズブチリシン等のセリンプロテアーゼ、ペプシン及びカテプシン等のアスパラギン酸プロテアーゼ、サーモリシン等の金属プロテアーゼ、並びにパパイン等のシステインプロテアーゼ等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、セリンプロテアーゼが好ましく、特にトリプシンが好ましい。
【0016】
酸を用いて加水分解する場合、水性媒体中におけるカゼイン濃度は、酸の種類や規定度により適宜調節すればよいが、通常、1.0〜80質量%にして処理する。例えば、カゼインを水性媒体中に十分に分散させた後、酸規定度0.01〜2規定の範囲になるように酸を加え、水性媒体の温度を50〜100℃にして10分〜6時間反応させることにより、加水分解する。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸及びクエン酸等の有機酸が挙げられ、好ましくはギ酸及び酢酸が用いられる。
【0017】
加水分解処理の程度は、特に制限されないが、例えば、加水分解物の質量平均分子量が100〜50000Da、好ましくは200〜10000Da、さらに好ましくは500〜5000Da程度になるまで実施するのが好ましい。
【0018】
本発明の美肌促進用組成物に用いられるカゼイン加水分解物としては、以下の式:Tyr−Leu−Gly−Tyr−Leu−Glu−Gln−Leu−Leu−Arg(配列番号1)で表されるアミノ酸10個が結合したデカペプチドを含むものが好ましい。このデカペプチドの精製物をカゼイン加水分解物として用いてもよい。なお、Tyrはチロシン、Leuはロイシン、Glyはグリシン、Gluはグルタミン酸、Glnはグルタミン、Argはアルギニンを表す。各アミノ酸はL−アミノ酸、D−アミノ酸及びラセミ体のいずれでもよく、例えば、デカペプチドの一部のアミノ酸がD−型、別の一部のアミノ酸がL−型、残りのアミノ酸がラセミ型となっていてもよい。すべてのアミノ酸がL−アミノ酸から構成されるデカペプチドが好ましい。
【0019】
上記デカペプチドは特開平8−268903号公報に開示されており、カゼインの91〜100番目のアミノ酸配列に相当し、カゼインの酵素分解、特にトリプシン分解により得られる。カゼインを特開平8−268903号公報に開示された方法によりトリプシンで加水分解すると、上記デカペプチドを5〜6質量%程度含有するペプチド混合物が得られる。加水分解条件を適宜設定することにより、0.5〜8質量%程度の上記デカペプチドを含有するペプチド混合物が得られる。このデカペプチドを含む加水分解物をそのまま本発明の美肌促進用組成物に用いてもよいし、各種クロマトグラフィー(逆相高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等)、遠心分離、限外濾過等の慣用技術によって適度に分画、精製又は濃縮を行ったものを用いてもよい。
【0020】
カゼイン加水分解物に、上記デカペプチドを化学合成(液相合成法、固相合成法、ステップワイズペプチド固相合成法等)によって合成したものを添加して用いてもよい。
【0021】
カゼイン加水分解物としては、市販品を用いることもできる。例えば、ラクティウム(イングレディア社)は、カゼインをトリプシンにより加水分解したペプチド混合物であり、配列番号1のデカペプチドを約0.5〜8質量%含有する。これをそのまま、あるいは必要に応じて常法により精製して用いてもよい。
【0022】
本発明の美肌促進用組成物においてカゼイン加水分解物の一日あたりの摂取量は、ペプチドの総質量を基準として、成人で0.1〜3000mg、好ましくは0.5〜1000mg、さらに好ましくは1〜500mgである。カゼイン加水分解物として、配列番号1のデカペプチドを精製して用いる場合には、上記カゼイン加水分解物の摂取量とカゼイン加水分解物中のデカペプチド含量とを勘案して決定すればよい。本発明の美肌促進用組成物におけるカゼイン加水分解物の配合量は、前記摂取量が摂取できるように配合すればよく、一般的には、美肌促進用組成物中、乾燥質量基準で、0.1〜80質量%、好ましくは0.5〜65質量%、さらに好ましくは1〜50質量%である。カゼイン加水分解物を精製しないで用いる場合、乾燥質量基準で、1質量%以上で配合するのが好ましい。
【0023】
本発明の美肌促進用組成物に用いられるセラミドとしては、セラミド骨格(スフィンゴシン塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合した構造)を有し、カゼイン加水分解物と一緒になって本発明の効果を示すものであればいずれのものでもよく、セラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のセラミド配糖体、スフィンゴミエリン等のリン脂質体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記のセラミドは、合成品であってもよいし、抽出物でもよい。後者としては、小麦、米、トウモロコシ、コンニャクイモ、ミルク等からの抽出により得られるものが挙げられる。
【0024】
セラミドとしては、市販品を用いることもできる。例えば、ミルクセラミドMC−5(雪印乳業株式会社)等を用いることができる。
【0025】
本発明の美肌促進用組成物においてセラミドの一日あたりの摂取量は、成人で0.01〜500mg、好ましくは0.05〜200mg、さらに好ましくは0.1〜100mgである。本発明の美肌促進用組成物におけるセラミドの配合量は、前記摂取量が摂取できるように配合すればよく、一般的には美肌促進用組成物中、乾燥質量基準で、0.001〜15質量%、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
【0026】
本発明の美肌促進用組成物は、美肌促進作用を有し、換言すれば、美容効果を発揮し、肌に関するトラブルを改善することができる。肌に関するトラブルとは、肌に関連する外観的な問題又は肌に関する自覚症状をさし、例えば、しわ、しみ、小じわ、肌のくすみ、肌のつっぱり、かさかさ、粉ふき、かゆみ、化粧ののりが悪い、化粧水がしみる等が包含される。本発明の美肌促進用組成物により、上記の問題を改善することができる。本発明の美肌促進用組成物は、特に皮膚の保湿によって美肌を促進するための組成物として有用である。換言すれば、本発明の美肌促進用組成物は、皮膚の保湿用組成物として利用できる。皮膚の保湿には、皮膚の水分補給が包含される。
【0027】
また、近年愛玩動物の飼育数が増加するにつれて、動物の皮膚疾患や肌のトラブルが問題となってきており、その一方で動物に対する医療技術はまだ不十分であることから、愛玩動物の肌の健康維持がクローズアップされてきている。本発明の美肌促進用組成物は、こうした動物に対しても適用することができ、動物の肌のトラブルを改善することができる。
【0028】
本発明の美肌促進用組成物に用いられるカゼイン加水分解物及びセラミドは、いずれも食品として用いられている成分である。従って、本発明の美肌促進用組成物は、食品として、広く一般に提供することができ、疾患とはいえない一般的な肌に関するトラブルの改善に適用するためにも有用である。すなわち、本発明の美肌促進用組成物の形態は特に制限されず、例えば、医薬組成物として、又は食品(飼料、ペットフードを含む)として調製することができる。
【0029】
本発明の美肌促進用組成物は、種々の動物に投与することができ、好適には哺乳動物に投与される。哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒト及びサル等の霊長類、マウス、ラット及びウサギ等の齧歯類、イヌ及びネコ等の愛玩動物、並びにウシ、ウマ及びブタ等の家畜が挙げられる。本発明の美肌促進用組成物は、霊長類、特にヒトへの投与に好適である。肌に関する不満を有するヒト、肌のトラブルを自覚しているヒトに本発明の美肌促進用組成物を投与することが特に好ましい。
【0030】
本発明の美肌促進用組成物を医薬組成物として調製する場合は、通常、有効成分であるカゼイン加水分解物及びセラミドと、好ましくは薬学的に許容される担体とを含む製剤として調製する。本発明の美肌促進用組成物は、さらに、薬学的に慣用される添加剤、例えば、賦形剤、基剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、可塑剤、消泡剤、糖衣剤、剤皮、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、界面活性剤、可溶化剤、緩衝剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、安定化剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、抗酸化剤、充填剤、粘稠剤、粘稠化剤、pH調整剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、着香剤・香料、芳香剤、着色剤等を含んでいてもよい。
【0031】
医薬組成物の剤形は、特に制限されず、錠剤、丸剤、顆粒剤、粉剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、坐剤、流動食等の経口投与形態、吸入剤、舌下錠、点鼻スプレー剤、DDS製剤、貼り付け剤、注射剤等の非経口投与形態等任意の剤形とすることができる。
【0032】
医薬組成物の投与方法としては、経口投与の他、医薬の投与に一般に使用されている投与方法、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、皮下投与等が挙げられる。また、直腸、舌下、鼻内等消化管以外の粘膜から吸収せしめる投与方法を採用することも可能であり、この場合、例えば、DDS製剤、坐剤、舌下錠、点鼻スプレー剤等の形で投与することができる。消化管や粘膜からの吸収の形態をとる場合、カゼイン加水分解物としては、配列番号1のデカペプチドの精製物を含む組成物として投与するのが好ましい。医薬組成物は、皮膚の水分低下による疾患及び皮膚の水分低下を伴う疾患、例えば、乾癬、乾皮症、皮膚掻痒症及びアトピー性皮膚炎を予防及び/又は治療するための医薬組成物として有用である。
【0033】
本発明の美肌促進用組成物を食品として調製する場合、その形態は特に制限されない。食品には飲料も包含され、健康食品、特定保健用食品及び機能性食品も包含される。健康食品、特定保健用食品及び機能性食品は、具体的には、錠剤、丸剤、顆粒剤、粉剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、ドリンク剤、液剤、流動食等の各種製剤形態とすることができる。製剤形態の食品は、医薬製剤と同様に製造することができ、例えば、適当な賦形剤(例えば、でん粉、加工でん粉、乳糖、ブドウ糖、水等)を加えた後、慣用の手段を用いて製造することができる。食品の具体例として、さらに、コーヒー飲料、茶飲料、果汁入り飲料、清涼飲料、乳飲料及びアルコール飲料等の飲料、バター、マヨネーズ、ショートニング及びマーガリン等のスプレッド類、クッキー、チョコレート、キャンディ及びチューインガム等の菓子類、種々のサラダドレッシング、パン類、麺類、米飯類、パスタ類、ソース類、各種調味料、各種ダイエット製品等が挙げられる。
【0034】
食品形態の本発明の美肌促進用組成物には、有効成分であるカゼイン加水分解物及びセラミドに加えて、医薬、食品、飼料の製造に用いられる種々の添加剤を配合することができ、さらに種々の活性物質を共存させてもよい。このような添加剤及び活性物質としては、各種油脂、生薬、アミノ酸、多価アルコール、天然高分子、ビタミン、ミネラル、食物繊維、界面活性剤、精製水、賦形剤、安定剤、pH調製剤、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、有機酸等の酸味料、安定剤、フレーバー、着色料及び香料等が挙げられる。
【0035】
油脂としては、例えば、大豆油、サフラワー油及びオリーブ油等の植物油、牛脂及びイワシ油等の動物油脂が挙げられる。
【0036】
生薬としては、例えば、牛黄、地黄、枸杞子、ロイヤルゼリー、人参及び鹿茸等が挙げられる。
【0037】
アミノ酸類としては、例えば、アラニン、グリシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、システイン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、タウリン及びカルニチン等が挙げられる。
【0038】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及び糖アルコール等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール及びマンニトール等が挙げられる。
【0039】
天然高分子としては、例えば、アラビアガム、澱粉、改質澱粉、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、グアーガム、キサンタンガム、カゼイン、グルテン、グルテン加水分解物、レシチン及びデキストリン等が挙げられる。
【0040】
食物繊維としては、ガム類、マンナン、ペクチン、ヘミセルロース、リグニン、β−グルカン、キシラン及びアラビノキシラン等が挙げられる。
【0041】
界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸グリセリド及びレシチン等が挙げられる。
【0042】
賦形剤としては、例えば、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、還元パラチノース等の糖アルコール、デキストリン、澱粉、結晶セルロース、サイクロデキストリン及びポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0043】
ビタミンとしては、水溶性ビタミン及び脂溶性ビタミンが包含される。水溶性ビタミンとしては、ビタミンB群及びビタミンCが挙げられる。ビタミンB群には、ビタミンB1及びその誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、オロット酸、さらにビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸等の各種ビタミンB複合体が包含される。ビタミンB1及びその誘導体には、チアミン又はその塩、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン又はその塩、ジセチアミン、ビスブチチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、シコチアミン、オクトチアミン及びプロスルチアミン等のビタミンB1の生理活性を有する全ての化合物が包含される。脂溶性ビタミンとしては、ビタミンE、ビタミンD又はその誘導体、ビタミンK1、ビタミンK2、ビタミンA及びβカロチン等が挙げられる。
【0044】
ミネラルとしては、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、海洋深層水等が挙げられる。
【0045】
有機酸としては、脂肪酸等のモノカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸及びグルコン酸等のジカルボン酸やトリカルボン酸等が挙げられる。
【0046】
さらに本発明の組成物には、上記以外に種々の機能性成分、例えば、アスタキサンチン、共役リノール酸、タウリン、グルタチオン、カルニチン、クレアチン、コエンザイムQ、グルクロン酸、グルクロノラクトン、トウガラシエキス、ショウガエキス、カカオエキス、ガラナエキス、ガルシニアエキス、テアニン、γ−アミノ酪酸、カプサイシン、カプシエイト、フラボノイド類、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、フラクトオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖、ポリビニルピロリドン等を配合してもよい。これら成分の配合量は、その種類と所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、本発明の美肌促進用組成物中、乾燥質量基準で、通常0.01〜90質量%である。本発明の美肌促進用組成物を飼料として用いる場合、飼料は、対象が人以外であることを除き食品とほぼ等しいことから、本明細書における食品に関する記載は、飼料についても同様に当てはめることができる。
【0047】
本発明の美肌促進用組成物には、他の美肌用の成分、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、アスコルビン酸、コウジ酸、グルコサミン等から選択される1種又は2種以上を含ませることができる。その配合割合は、その種類、組成物の形態、用途、期待される効果等に応じて、適宜設定することができ、何ら制限されるものではないが、一般的に乾燥質量基準で、本発明の美肌促進用組成物中、0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜70質量%、さらに好ましくは0.5〜60質量%である。また、本発明の美肌促進用組成物を外用剤の形態で用いる場合、他の美肌用外用剤、化粧料、皮膚疾患治療用外用剤等と混合、又は併用して用いてもよい。
【0048】
本発明の組成物は、経口摂取により皮膚の水分補給、保湿、保護、バリア機能強化作用を有し、肌荒れの防止、しみ、しわ、小じわの防止といった美肌促進作用を示す。さらに本発明の組成物は前記の作用により、肌のかさかさやかゆみを主とした症状を改善することができるため、本発明により皮膚掻痒症やアトピー性皮膚炎の治療用組成物を提供することができる。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)75g、セラミド(MC−5;雪印乳業)10g、脱脂粉乳400g、パラチノース550g、及び糖アルコール265gを混合し、これにエタノール300mLを添加して、湿式法により常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、打錠機を用いて打錠し、1錠が1.3gの錠剤を1000錠製造した。
【0050】
(実施例2)
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)130g、セラミド(MC−5;雪印乳業)130g、脱脂粉乳300g、パラチノース520g、及び糖アルコール220gを混合し、これにエタノール300mLを添加して、湿式法により常法にしたがって顆粒を製造した。この顆粒を乾燥した後、打錠機を用いて打錠し、1錠が1.3gの錠剤を1000錠製造した。
【0051】
(実施例3)
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)50g、セラミド(MC−5;雪印乳業)7g、結晶セルロース127gをミキサーに入れ、攪拌混合し、1カプセルあたり184mgとなるように3号ハードカプセルに充填した。
【0052】
(比較例1)
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)50g、パラチノース7g、結晶セルロース127gをミキサーに入れ、攪拌混合し、1カプセルあたり184mgとなるように3号ハードカプセルに充填した。
【0053】
(比較例2)
セラミド(MC−5;雪印乳業)7g、パラチノース50g、結晶セルロース127gをミキサーに入れ、攪拌混合し、1カプセルあたり184mgとなるように3号ハードカプセルに充填した。
【0054】
(試験例)美肌促進試験
日常的に肌に問題を感じている成人12人を3群に分け、それぞれに実施例3、比較例1又は比較例2のカプセル剤を28日間、1日1回3錠ずつ夕食後に服用してもらい、症状の改善効果を検討した。効果は肌の水分量及びアンケートで集計し、肌の水分量は表1の各部位の水分量を肌水分計(DM−R2;ナショナル製)で測定し、アンケートは表2の各項目について、服用開始前及び服用期間終了後に回答(複数回答)をもらった。結果は、肌水分量は服用開始前と服用終了後の水分値の値(%)及び水分値の増加率(%)として表1に示し、アンケート結果は、服用開始前に対する服用期間終了後の自覚症状の改善を改善無し:0、改善度並:+1、改善度中:+2、改善度高:+3として集計し、表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表1より、本発明の組成物は、顔、手の甲、手首の裏のいずれの部位においても、肌水分量を向上させることが確認できた。一方、カゼイン加水分解物のみを含む比較例1では顔と手首の裏では効果を示さず、セラミドのみを含む比較例2では、手の甲と手首の裏で効果を示さなかった。また、表2より、本発明の組成物では、アンケートした肌に関する自覚症状のいずれについても改善効果が確認できたが、比較例1、2では、多くの項目で改善を認めなかった。したがって、本発明の組成物は、カゼイン加水分解物及びセラミドのそれぞれ単独では得られない極めて高い肌改善効果、すなわち美肌作用が得られることが分かった。
【0058】
(実施例4)飴
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)2質量部、セラミド1質量部、粉末ソルビトール96.5質量部、香料0.5質量部を混合し、常法にしたがって飴を調製した。
【0059】
(実施例5)キャラメル
カゼイン加水分解物(ラクティウム;イングレディア社)2.4質量部、セラミド2質量部、グラニュー糖33質量部、水飴20質量部、粉乳34質量部、硬化油3.9質量部、食塩0.6質量部、香料0.1質量部、水4質量部を混合し、常法にしたがってキャラメルを調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゼイン加水分解物及びセラミドを含有することを特徴とする美肌促進用組成物。
【請求項2】
カゼイン加水分解物が配列番号1で表されるペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
カゼイン加水分解物がカゼイン酵素分解物である、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
セラミドとして、乳由来のセラミドを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
皮膚の保湿用組成物である、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。

【公開番号】特開2009−221157(P2009−221157A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67670(P2008−67670)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】