説明

義歯ケア組成物

義歯ケア組成物であって、1種以上の義歯ケア有効成分と、1種以上の非水溶性キャリアと、を含み、生体内分解性であり、義歯粘着剤ではなく、組成物が物品ではない場合、分子量約300〜約3000のポリブテンを実質的に含まず、かつ義歯に適用される、義歯ケア組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上の義歯ケア有効成分と、1種以上の非水溶性キャリアと、を含み、義歯粘着剤ではない義歯ケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、およそ5千万人の人々が義歯を装着している。義歯装着者は、残っている天然歯を保護するためにも、通常よりも歯磨きに気を配る必要がある。義歯ケア製品が様々な義歯ケア有効成分を人工歯の表面に送達でき、したがって、消費者に治療効果及び美容効果の両方を提供することが既知である。例えば、人工歯を一定時間漬け置く必要のある義歯洗浄用発泡錠は、義歯又はプレート上に形成された歯垢及び壊死組織片を除去するよう作用する。しかしながら、典型的には、このような義歯ケア製品は、治療、予防及び/又は美容効果を最適に増加させるか又は効き目を持続させるのに十分な期間にわたって義歯ケア有効成分を口腔内に維持することはなく、すなわち、義歯表面に対し有効成分は高濃度に維持されない。
【0003】
内容が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第6,500,406号(Rajaiahら、2002年12月31日発行)は、義歯ケア有効成分の持続的放出をもたらす義歯ケア組成物を開示する。Rajaiahの特許は、ポリブテンの使用を開示するものであるが、ポリブテンはほぼ実質的に加工が難しく、消費者にとっては取り扱いが難しく厄介であり、かつ高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、口息清涼成分又は抗菌剤などの義歯ケア有効成分を、安価に、より長期にわたり送達することのできる、製造が容易であり、かつ取り扱いが容易である義歯ケア組成物が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、1種以上の義歯ケア有効成分と、1種以上の非水溶性キャリアと、を含む義歯ケア組成物に関し、この組成物は生体内分解性(bioerodible)であり、義歯粘着剤ではなく、組成物が物品ではない場合、分子量約300〜約3000のポリブテンを実質的に含まず、かつ義歯に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書で使用するとき、用語「義歯」は、義歯、義歯床、橋義歯、人工歯、及び口腔に一時的に固定され、かつ典型的には洗浄時に口腔から取り外される、その他の歯科装置表面を意味する。
【0007】
本明細書で使用するとき、略記「cm」は、センチメートルを意味する。本明細書で使用するとき、略称「mm」は、ミリメートルを意味する。本明細書で使用するとき、略称「g」は、グラムを意味する。本明細書で使用するとき、略称「P」は、パスカルを意味する。本明細書で使用するとき、略称「s」は、秒を意味する。本明細書で使用するとき、略称「Ps」は、パスカル秒を意味する。本明細書で使用するとき、略称「oz」は、オンスを意味する。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「生体内分解性」は、過剰の水又は唾液に曝露したとき、組成物が、物理的作用及び/又は化学的作用により時間の経過と共に浸食されることを意味する。組成物を浸食するのにかかる時間は、瞬時から5日間までのいかなる長さであることもでき、一実施形態では、浸食するのに要する時間は約1〜約3日である。組成物は、完全に又は実質的に浸食される場合があり、最終的には組成物はその原形及び/又は一体性を失う。例えば一実施形態では、組成物は、口腔での少なくとも約24時間にわたる適用及び使用後に、義歯又は口腔表面から原形のまま容易に分離又は剥離させるのに十分な程に製品の一体性を有さない。別の実施形態では、組成物は、口腔内で約24時間使用した後に、義歯又は口に一部たりとも残存しないように、生体内分解される。別の実施形態では、義歯を口腔から取り外した後に、組成物の一部又は残留物が義歯又は口表面上に残るが、この組成物の一部又は残留物は、歯ブラシで払うことによって洗浄でき、しかしながら義歯から容易に分離しない。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「義歯粘着剤」は、義歯の定着性及び着け心地を改善する組成物を指す。義歯の定着は、義歯に組成物を適用した約8時間後に記録される、切縁の最大咬合力により測定することができる。切縁の最大咬合力の測定手順は、刊行物「Effect of denture adhesive on the retention and stability of maxillary dentures」(Joseph E.Grassoら、The Journal of Prosthetic Dentistry,October 1994 pages 399〜405)に記載されている。この刊行物は、「粘着剤を使用することで、適用の8時間後にも患者の切縁咬合力を有意に増加させることができる。これらの増加は、適用の8時間後で基底値35N〜最大値およそ54Nであり、約20ニュートン程度であった」とも記載している。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「安全でかつ有効な量」は、正常な医学的/歯科的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく改善させるために十分に多いが、重篤な副作用を避けるために十分に少ない(妥当な利益/リスク比率)量の薬剤(例えば、抗歯石剤)を意味する。薬剤(例えば、抗歯石剤)の安全かつ有効な量は、治療される特定の条件、治療される患者の年齢及び体調、状態の重篤度、治療の期間、併用治療の性質、用いられる供給源の特定の形体、及び薬剤が適用される特定の賦形剤によって、変えてもよい。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「物品」は、義歯などの起伏のある表面に装着させ、適合させ、かつ粘着させるように設計された物品を指す。本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、そして実質的に一体状で、手で持ち上げ、義歯上に置くことができる。
【0012】
用語「可撓性」又は「可撓性物品」は、本明細書で使用するとき、0.67mm厚の物品片を、直径1cmの中実の円筒の周囲180度に、目視観測で亀裂を生じることなく巻き付けることができることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「毒物学的に許容され得る」は、毒性特性が、ヒト及び/又は動物への投与に適している物質を説明するために使用される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「非水性」は、組成物が添加水は含有しないが、製造元より商業的に供給される際に他の成分中に含まれる水を含有している場合があることを意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「非水溶性」は、過剰量の水に晒した際に、溶解はしないが様々な程度に分散する物質を指す。一部の実施形態では、用語「非水溶性」は、水に約10%、5%、2%、又は1%未満で可溶性である物質を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「粘度指数向上剤」は、温度が規定範囲を超えて上昇するにつれて、取り込まれた物質の粘度及び/又はレオロジーをより安定化させる物質を指す。義歯ケア製品の場合、規定範囲は、約25℃〜約60℃である。
【0017】
特に記載のない限り、用語「融点」は、本明細書で使用するとき、物質がASTM D−127に列挙される所定の条件下で測定する際に用いる温度計から滴下するような十分な流体になる温度である、液滴融点(Drop Melting Point)を指す。ASTM D−3954は、融点を測定する代替法である。
【0018】
特に記載のない限り、用語「誘導体」は、本明細書で使用するとき、ポリマー主鎖骨格は不変であるが、側基/鎖及び/又は末端基が変化している場合を指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「シリコーン」は、様々な有機基がケイ素に結合した、ケイ素と酸素原子とが交互に存在する構造に基づくシロキサンポリマーを指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「熱可塑性」は、熱に曝露させたときに溶融する、軟化する、及び可撓性、押出性、変形性、造形性、成形性、流動性、加工性がより大きくなる、及び/又はレオロジーが変化する物質を指す。一実施形態では、この物質は、一般に、その後冷却されたときに固結し、硬化し、及び/又は実質的に元の状態に戻る。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「粘膜付着」又は「生体接着」は、ぬれた状態の粘膜上皮に適用された、天然又は合成物質が接着し、通常、粘膜層に新しい境界面を作り出す現象を指す(CRC Critical Review in Ther.Drug Carrier,Vol.5,Issue 1,p.21(1988))。一般的には、粘膜付着は、物理的なプロセス又は化学的なプロセス、あるいはこれらのプロセスの両方により実現され得る。このような機構の1つはJournal of Controlled Release,Vol.2,p 257(1982)及びJournal of Controlled Release,Vol.18(1992)p.249に記載されている。上記の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
用語「単位用量形態(unit dose form)」は、対象とするヒト及びその他の哺乳類への単位投与に好適な、物理的に別個の単位を指し、単位の各々が、所望される治療効果を生じると算出された既定量の有効成分を含有する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「粘性」は、物質の流れ又は変形に対する内部抵抗を指す。粘性は、せん断速度に対する、せん断応力の比率により測定することができ、一部の実施形態では、この比率は好適には測定されず、損失弾性率G”又は貯蔵弾性率G’などの好適な粘弾性パラメーターが測定され得る。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「容器」は、広口瓶、カップ、缶、チューブ、噴霧器、タブ型容器、ポンプ、ボトル、又は任意の他の液体保持手段若しくは分散手段を意味する。
【0025】
用語「歯石」及び「結石」は交換可能に使用され、石灰化した歯垢バイオフィルムを指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定された数平均として報告される。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「感覚剤(sensates)」は、その主な作用が口腔内で、主に知覚、例えば、温感、冷感及び/又はひりひりする感覚を付与することである物質を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「香料」は、その主な作用が口腔内で、主に味覚を付与することである物質を指し、甘味料は除く。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「甘味料」は、その主な作用が口腔内で、主に甘味を付与することである物質を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「R1」は、組成物中の「感覚剤重量/香料重量」比率を指す。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「R2」は、組成物中の「香料重量/甘味料重量」比率を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「R3」は、組成物中の「感覚剤重量/甘味料重量」比率を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語、「R4」は、組成物中の「(感覚剤重量+香料重量)/甘味料重量)」比率を指す。
【0034】
本明細書中の全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、総組成物の重量を基準とする。
【0035】
本明細書で言及される全ての測定は、特に明記されない限り、約25℃で行なわれる。
【0036】
義歯ケア組成物
本発明は、口腔内の義歯に使用した場合に、より長期にわたり義歯装着者に、又は口腔外で使用した場合には義歯に、1種以上の義歯ケア有効成分を送達できる組成物である。一般的に、義歯装着者は、口息清涼に対して強い必要を認識している可能性があり、口息清涼剤などの、長時間作用性の義歯ケア有効成分をより必要とすることになる。部分義歯装着者は、隣接する天然歯を失うリスクも増加している恐れがあり、したがって、抗菌剤などの長時間作用性義歯ケア有効成分を投与することに対し更なる理由を有している。これらの弱点は、歯のある人々と比較して義歯装着者を不利にする恐れがあるが、義歯は、堆積し数時間にわたり放出され得る様々な有効成分を送達するための基盤を提供するという、少なくとも1つの利点を義歯装着者は有する。
【0037】
理論に束縛されるものではないが、本発明の鍵は、義歯表面は口腔の粘膜表面と比較してかなり疎水性であるという見識の上にある。ところで、非水溶性物質、例えば、ワセリン、ワックス、油などは、義歯によく接着し、唾液による浸食に耐え得る。更に、非水溶性物質が、有効成分、例えば口息清涼成分、清涼剤又は抗菌剤などを含む場合、これらの薬剤は、口内洗浄剤及び歯磨き剤などの水溶性の製品により得られる時間よりもはるかに長い時間をかけて、ゆっくりと口中へ放出させることができる。
【0038】
明確には、本発明は、義歯粘着剤組成物ではない義歯ケア組成物である。口腔での義歯の定着及び着け心地を有意に改善するようには設計されておらず、このような効果は有さない。本発明の驚くべき発見は、義歯粘着剤組成物の粘膜付着性成分を用いずに使用した場合にも、ある種の非水溶性物質(一部は従来の義歯粘着剤組成物に成分として一般的に使用される)が異なる種類の組成物になり、ぬれた粘膜表面ではない表面上に付着し、とどまるというものである。例えば、義歯粘着剤とは異なり、これらの組成物は義歯には付着するものの、ぬれた粘膜組織には全く付着しない(又は、最小限に付着する)。すなわち、あるものを他のものに(義歯を口腔に)接着させるための組成物になるというよりは、組成物は、凝集して、より長い時間にわたって組成を保つようになる。
【0039】
一部の実施形態では、本発明は、口腔内の義歯の定着を有意に改善し得る1種以上の成分を実質的に含まず、すなわち有効量で含有しない。一部の実施形態では、組成物は、粘膜付着性成分を実質的に含まず、すなわち、ぬれた粘膜表面に接着し得る任意の1種以上の成分を実質的に含まない。
【0040】
上記の見識に基づくと、ポリブテンの持続性のような極度の持続性が、義歯ケア有効成分の長時間にわたる送達を達成するのに必要ではなかったという、別の驚くべき、予期されなかった結果が、本発明者らにより発見された。したがって、本発明の組成物は、組成物が物品ではない場合、分子量約300〜約3000のポリブテンを実質的に含まない。従来の粘膜付着性物質が使用されない場合でさえ、多くの非水溶性物質、例えばワセリン及びワックスが、義歯へ十分な持続性をもたらし、すなわち、義歯ケア有効成分の更により効果的な送達を可能にする十分に長い時間にわたり、義歯に対して凝集し付着したままであることが、今発見された。
【0041】
組成物は、口腔内での、又は口腔への義歯の接着による保持を有意に改善することはないが、組成物自体はより長い時間にわたって義歯表面に接着する。本発明の組成物は、義歯表面に接着したままで義歯ケア有効成分を放出することができる。一部の実施形態では、組成物は口腔にとどまり、適用から約1時間まで、適用から約2時間まで、適用から約3時間まで、適用から約4時間まで、適用から約6時間まで、適用から約8時間まで、又は適用から約8時間超までにわたり義歯ケア有効成分を送達し得る。
【0042】
本発明は、クリーム、ペースト、ジェル、液体、ストリップ、ウェハ、物品又は任意の他の好適な形態であってよい。
【0043】
義歯ケア有効成分
本発明の義歯ケア組成物は、指示に従って使用されると、口腔又は義歯を損傷することなく装着者により効果が見出され得る、義歯ケア有効成分を含有し得る。これらの有効成分が対処する、歯科的な状態の例としては、限定するものではないが、歯の外見及び構造変化、歯垢の処理及び予防、結石、残存する天然歯の虫歯、歯肉の炎症及び/又は出血、歯肉炎、真菌感染症(カンジダなど)、粘膜の損傷、病変、潰瘍、アフタ性潰瘍、口唇ヘルペス、歯膿瘍、並びに上記の状態及び微生物の増殖などの他の原因により生じる口臭の除去が挙げられる。
【0044】
好適な義歯ケア有効成分としては、一般的に口腔での使用が安全であると見なされ、かつ口腔の全体的な外観、感覚、匂い、味、感覚の特性及び/又は健康状態を変化させる、任意の物質が挙げられる。義歯ケア有効成分の例としては、香料、感覚剤及び/又は甘味料も挙げられる。本発明では、一般的に義歯ケア有効成分の濃度は、別途記載がない限り組成物の約0.001重量%〜約90重量%であり、一実施形態では約0.01重量%〜約50重量%であり、別の実施形態では約0.1重量%〜約30重量%である。義歯ケア有効成分が粒子状の形態である場合、本発明での使用に好適な粒径は、約0.01マイクロメートル〜約1000マイクロメートルであり、一実施形態では約0.1マイクロメートル〜500マイクロメートルであり、別の実施形態では約1〜約100マイクロメートルである。本発明の義歯ケア組成物は、当該技術分野においてこれまでに開示された義歯ケア有効成分の多くを含むことができる。以下は、本発明において使用され得る義歯ケア有効成分の非限定的なリストである。
【0045】
本発明の組成物は、組成物の約0.001重量%〜約50重量%の濃度で存在する、別の実施形態では約0.01重量%〜約25重量%、更に別の実施形態では約0.1〜約15重量%の濃度で存在する少なくとも1種の抗結石(すなわち抗歯石)剤を含み得る。抗歯石剤は、本発明の他の成分と本質的に相溶性であるべきである。抗歯石剤は、ポリホスフェート(ピロホスフェートを含む)及びそれらの塩、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、ポリオレフィンスルホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスフェート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスフェート及びそれらの塩、ジホスホネート及びそれらの塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩、ポリホスホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスホネート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスホネート及びそれらの塩、ポリペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい。一実施形態では、塩はアルカリ金属塩である。ポリホスフェートは、一般に、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和された水溶性アルカリ金属塩として使用される。無機ポリリン酸塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常は非晶質のガラス状材料として生じる。一実施形態では、ポリホスフェートは、FMC Corporationにより製造される、Sodaphos(n≒6)、Hexaphos(n≒13)、及びGlass H(n≒21、ヘキサメタリン酸ナトリウム)として商業的に既知のもの、並びにこれらの混合物である。
【0046】
フッ化物イオン供給源は、残存する天然歯用の抗虫歯剤としての、義歯ケア組成物での使用が既知であり、場合によりに本発明に組み込むことができる。天然歯の歯エナメル質へのフッ化物イオンの適用は、これらの歯をう蝕から保護する。多種多様なフッ化物イオン生成物質が、本発明の組成物の可溶性フッ化物源として採用され得る。好適なフッ化物イオン生成物質の例は、Brinerらの米国特許第3,535,421号、及びWidderらの米国特許第3,678,154号に見られる。本明細書に用いるのに好ましいフッ化物イオン供給源としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸塩(MFP)及びフッ化アンモニウムが挙げられる。一実施形態では、フッ化ナトリウムがフッ化物イオン供給源である。本発明は、総組成物中に約5ppm〜10,000ppmの、一実施形態では約100〜3000ppmのフッ化物イオンを提供し得る。
【0047】
本発明の組成物は、義歯ケア有効成分としてスズイオン供給源を含んでもよい。スズイオンは、フッ化第一スズ及び/又は他のスズ塩から提供することができる。フッ化第一スズは、歯肉炎、歯垢、敏感度の低減、及び口息の改善に関する利益に役立つことが見出されている。義歯ケア組成物において提供されるスズイオンは、組成物を使用している対象物に効能を提供する。効能としては、歯肉炎の低減以外の利益を挙げることができるが、効能は、その場の歯垢代謝の量の顕著な低減として定義される。他のスズ塩としては、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、マロン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、第一スズエチレングリコシド、ギ酸第一スズ、硫酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズなどのような、有機スズカルボキシレートが挙げられる。他のスズイオン供給源としては、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、及び塩化第一スズ二水素化物などの、ハロゲン化第一スズが挙げられる。一実施形態では、スズイオン供給源はフッ化第一スズであり、別の実施形態では、塩化第一スズ二水和物(stannous chloride dihydrate)である。組み合わせた複数のスズ塩は、組成物の約0.01重量%〜約11重量%の量で存在してもよい。典型的には、スズ塩は、組成物の約0.1重量%〜約7重量%、一実施形態では約1重量%〜約5重量%、及び更に別の実施形態では約1.5重量%〜約3重量%の量で存在してもよい。
【0048】
抗微生物剤も、本発明の義歯ケア組成物中に義歯ケア有効成分として存在してもよい。このような薬剤としては、限定するものではないが:通常トリクロサンと呼ばれ、The Merck Index、11th ed.(1989),pp.1529(登録番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許第0,251,591号(Beecham Group,PLC)に記載される5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;8−ヒドロキシキノリン及びその塩;限定するものではないが塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、フッ化銅(II)及び水酸化銅(II)が挙げられる、銅(II)化合物;限定するものではないが米国特許第4,994,262号に記載のものが挙げられるフタル酸及びその塩、好ましくはマグネシウムフタル酸モノカリウム(magnesium monopotassium phthalate);クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);テトラデシルピリジニウムクロリド(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC);オクテニジン;ヨウ素;スルホンアミド;ビスビグアニド;フェノール樹脂;デルモピノール、オクタピノール及び他のピペリジノ誘導体;ニシン(nicin)調製物;亜鉛/スズイオン剤;ナイスタチン;グレープフルーツ抽出物;リンゴ抽出物;タイム油;チモール;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン及びクリンダマイシンなどの抗生物質;上記の化合物の類似体及び塩;チモール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキチオール、ユーカリプトール、カテコール(特に4−アリルカテコール)及びこれらの混合物が挙げられる、精油;サリチル酸メチル;過酸化水素;亜塩素酸の金属塩;キシリトール;デカピノール;デルモピノール;及び上記全ての化合物の混合物が挙げられる。
【0049】
本発明は、有効量の抗微生物種、又はシトラス科、ブドウ科及びこれらの組み合わせ由来のパルプ抽出物を含まない。一部の実施形態では、有効量の抗真菌剤は存在しない場合もある。一部の実施形態では、組成物はフィルム形態でなくてもよい。
【0050】
本発明の組成物はスズ塩、銅塩、キシリトール、デカピノール(decapinol)、デルモピノール、ストロンチウム塩、マグネシウム塩、又はジメチコンコポリオールなどの抗歯垢剤を含んでもよい。ジメチコンコポリオールは、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール、及びこれらの混合物から選択される。一実施形態では、ジメチコンコポリオールは、商標名Abil EM90で市販のセチルジメチコンコポリオールである。ジメチコンコポリオールは、組成物の約0.001重量%〜約25重量%、一実施形態では約0.01重量%〜約5重量%、及び別の実施形態では約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度で存在してもよい。
【0051】
抗炎症剤も本発明の組成物に存在してもよい。このような薬剤としては、限定するものではないが、非ステロイド性抗炎症剤オキシカム、サリチラート、プロピオン酸、酢酸及びフェナム酸が挙げられる。このようなNSAIDとしては、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、及びアセトアミノフェンが挙げられるが、これらに限定されない。ケトロラクのようなNSAIDの使用は、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)で請求されている。好適なステロイド性抗炎症剤としては、フルオシノロン(fluccinolone)及びヒドロコルチゾンのような、副腎皮質ホルモンが挙げられる。
【0052】
栄養素は、口腔の状態を改善することができ、かつ本発明の組成物に含むことができる。栄養素としては、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。有用なミネラルとしては、カルシウム、リン、亜鉛、マンガン、カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ビタミンは、ミネラルと共に含まれてもよく、又は別個に使用されてもよい。好適なビタミンとしては、ビタミンC及びビタミンD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、バイオフラボノイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤及び経腸栄養補給剤が、「Drug Facts and Comparisons」(ルーズリーフ式薬剤インフォメーションサービス(loose leaf drug information service))Wolters Kluer Company(St.Louis,Mo.),(著作権)1997,3〜17及び54〜57)に、より詳細に記載されている。
【0053】
ホワイトニング剤を本発明に含んでもよい。ホワイトニングに適した有効成分は、過酸化物、亜塩素酸金属塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、オキソンなどの過硫酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な過酸化化合物としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、過酸化物化合物は過酸化カルバミドである。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。追加的なホワイトニング有効成分は、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素であってもよい。一実施形態では、亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。別の実施形態では、過炭酸塩は過炭酸ナトリウムである。過炭酸ナトリウムは、本発明の組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約35重量%の濃度で、一実施形態では約1重量%〜約25重量%の濃度で、別の実施形態では約5重量%〜約10重量%の濃度で使用され得る。
【0054】
酸化防止剤は、一般に、義歯ケア組成物に有用であると認識されている。酸化防止剤は、Cadenas and Packer「The Handbook of Antioxidants」(Marcel Dekker,Inc.(著作権)1996)などのテキストに開示されている。本発明に含まれ得る酸化防止剤としては、限定するものではないが、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド、ビタミンA、フラボノイド及びポリフェノール、ハーブ系酸化防止剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
本発明に有用な抗ウイルス有効成分としては、ウイルス感染を処置するために通常使用される、任意の既知の有効成分が挙げられる。このような抗ウイルス剤としては、限定するものではないが、ホスホノ蟻酸;シオシン(cyosine)誘導体;アデノシン、グアノシン及びイノシン類似体などのプリン類似体;シチジン(citidine)及びチミジンなどのピリミジン塩基;アマンタジン;リマンタジンHCl;リバビリン;ザナミビル;オセルタミビルリン酸塩;トリフルリジン(trifluridine);複素環式染料;アシクロビル;ファムシクロビル;バラシクロビル、シドフォビル;ガンシクロビル;レバミゾール(levimisole);イドクスウリジン;親油性β−ケトン;及びチオセミカルバゾンが挙げられる。これらの抗ウイルス剤は、どちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Drug Facts and Comparisons」(ルーズリーフ式薬剤インフォメーションサービス)(Wolters Kluwer Company(St.Louis,Mo.)(著作権)2001,pp.1400〜1423(b))、及び「Encyclopedia of Chemical Technology」(Kirk−Othmer,Fourth Edition,Volume 3,Wiley−Interscience Publishers(1992),pp.576〜607)に記載されている。具体例としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,747,070号(Majeti)に開示されるものが挙げられる。この特許は、ウイルスの制御のためにスズ塩を使用することを開示している。
【0056】
抗真菌剤も本発明の義歯ケア組成物に含むことができる。抗真菌剤は、真菌の増殖を不能にする又は阻害する薬剤である。本発明に有用な抗真菌剤は、全身性真菌症のための薬、又は粘膜皮膚感染のための薬である。好適な抗真菌剤としては、限定するものではないが、ナイスタチン、ミコナゾール、硝酸エコナゾール、クロトリマゾール及びフルシトシンが挙げられる。一実施形態では、抗真菌剤はナイスタチンである。
【0057】
抗疼痛剤又は減感剤もまた、本発明の義歯用組成物中に存在し得る。鎮痛剤は、意識を撹乱させることなく、又は他の感覚様相を変えることなく、疼痛の閾値を上げるように中枢に作用することによって疼痛を緩和する薬剤である。そのような薬剤としては、限定するものではないが、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、アセトアニリド、フェナセチン、アセルトファン(acertophan)、チオルファン、スピラドリン(spiradoline)、アスピリン、コデイン、テバイン、レボルフェノール(levorphenol)、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、フェナゾシン、フェンタニール、ブプレノルフィン、ブタファノール(butaphanol)、ナルブフィン、ペンタゾシン、並びに没食子、アサルム、クベビン、ガランガ、スクテラリア、両面針、及び白しのような自然の薬草が挙げられる。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン、及びベンゾカインなどの麻酔剤又は局所鎮痛剤もまた存在してもよい。これらの鎮痛有効成分は、その全体が参照により本明細書に組み込む、「Encyclopedia of Chemical Technology」(Kirk−Othmer,Fourth Edition,Volume 2,Wiley−Interscience Publishers(1992),pp.729〜737)に詳細が記載されている。
【0058】
ヒスタミン−2(H−2又はH2)受容体アンタゴニスト化合物(H−2アンタゴニスト)は、本発明の組成物に使用してもよい。本明細書で使用するとき、選択的H−2アンタゴニストは、H−2受容体を遮断するが、ヒスタミン−1(H−1又はH1)受容体の遮断に関して有意な活性のない化合物である。
【0059】
好適な義歯ケア有効成分としては、臭気を制御するか又はマスクするために使用されるものも挙げることができる。これらの例としては、グルコース単位を6〜12個含有している未置換シクロデキストリン、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び/又はこれらの誘導体、及び/又はこれらの混合物などの、任意の既知のシクロデキストリンが挙げられる。
【0060】
好適な義歯ケア有効成分としては、義歯洗浄剤に使用されるものも挙げることができる。これらの有効成分としては、市販の義歯洗浄錠(例えば、Fixodent、Polident及び/又はEfferdent義歯洗浄錠)の製造に使用されるものが挙げられる。好適な義歯洗浄組成物の例は、米国特許第5759523号、同第5827505号、同第5856282号、同第6004538号、同第6123950号及び同第6129906号に開示されており、これらの全てが本明細書に参照により組み込まれる。
【0061】
香料、甘味料、感覚剤、芳香剤及び顔料
本発明の非水溶性キャリアは、感覚剤、香料及び甘味料の口腔への送達を改善するために使用することができる。理論に束縛されるものではないが、これらの一部の非水溶性キャリアの疎水性の性質は、染色、歯垢、浸食なども阻止することができると考えられている。更に、非水溶性キャリアにより送達される特定の組み合わせ及び/又は比率の感覚剤、香料及び/又は甘味料は、洗浄したての感覚、清潔な感触、歯表面の滑る感触、歯の滑らかさ、清潔な息及び/又は好ましい味などの、高いレベルの美観効果及び/又は感覚刺激効果を提供する。本明細書に開示される特定の比率で存在する成分を含有する本発明の組成物は、本明細書に開示される成分を含有しない組成物、又は成分が異なる比率で存在している組成物と比較して、優れた美観効果及び/又は感覚刺激効果を提供すると考えられる。
【0062】
比率は以下のように定義される:本明細書で使用するとき、用語、「R1」は、組成物中の「感覚剤重量/香料重量」比率を指す。本明細書で使用するとき、用語、「R2」は、組成物中の「香料重量/甘味料重量」比率を指す。本明細書で使用するとき、用語「R3」は、組成物中の「感覚剤重量/甘味料重量」比率を指す。本明細書で使用するとき、用語、「R4」は、組成物中の「(感覚剤重量+香料重量)/甘味料重量)」比率を指す。
【0063】
一実施形態では、R1は約0.0〜約4.0であり、R2は約0.0〜約20であり、かつR3は約0.0〜約20である。別の実施形態では、R1は約0.5〜約2.0であり、R2は約1.0〜約4.0であり、かつR3は約1.0〜約4.0である。各種実施形態では、R4は約0.4〜約40、又は約2.0〜約8.0である。一実施形態では、ワセリンベースに4%のメントール(感覚剤)、4%のペパーミント油(香料)及び2%のサッカリン(甘味料)が(R1約1.0,R2約2.0,R3約2.0及びR4約4.0で)送達された組成物は、高いレベルの美観効果及び/又は感覚刺激効果を提供することが判明している。
【0064】
本発明のための香料は、合成液体着香剤、並びに/又は植物の葉、花、果物及びこれらの組み合わせなどに由来する油から選択することができる。代表的な液体着香剤としては、バニリン、セージ、マジョラム、パセリ油、スペアミント油、桂皮油、冬緑油(サルチル酸メチル)、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、アニス油、及びユーカリ油が挙げられる。レモン、オレンジなどのシトラス油、バナナ、ブドウ、ライム、アンズ及びグレープフルーツなどの人工、天然又は合成果実フレーバ、並びにリンゴ、イチゴ、チェリー、オレンジ、パイナップルなどの果実エッセンス;コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツ、アーモンドなどの豆及び木の実由来の香料なども有用である。更に、親水性マトリックスに吸着させた香料、例えば「噴霧乾燥させた」香料も含んでもよい。更に、カプセル化香料も含んでもよい概して、任意の義歯ケア有効成分を、噴霧乾燥させること、カプセル封入させること及び/又は親水性マトリックスに少なくとも一部含有させることができる。選択される香料の量は、通常、香りの種類及び所望される香りの強度などの因子に依存する、好みの問題である。一実施形態では、香料は、総組成物中に最大で約4重量%、一実施形態では約0.05重量%〜約3.0重量%、別の実施形態では約0.8重量%〜約2.5重量%の量で存在し得る。
【0065】
本発明のための好適な甘味料としては、天然及び人工の、水溶性の、非水溶性の強力な甘味料が挙げられる。甘味剤は、スクラロース、Rebiana、アセスルファムK、グリチルリチン酸モノアンモニウム、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、マンノース、キシロース、リボース、グルコース、フルクトース、果糖、ガラクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、固形コーンシロップ、デンプン部分加水分解物、アスパルテーム、サッカリン、糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト及び水素添加デンプン加水分解産物など、又はこれらの組み合わせを含み得る。ジペプチド系の強力な甘味料などの甘味料、モネリン、タウマッコスダニエリ(thaumaoccous danielli)及びL−アスパルチルL−フェニルアラニンメチルエステル、並びに可溶性のサッカリン塩を、甘味料として組み込んでもよい。甘味料の量は、選択した甘味料のタイプ、及び所望される甘みの程度により変化し得る。典型的には、甘味料及び矯味矯臭剤は、義歯ケア組成物中に、総組成物の約0.005重量%〜約5重量%の濃度で使用される。
【0066】
知覚効果(温感又は冷感剤)及び/又は芳香剤に好適な成分としては、メントール、メンチルラクテート、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、青葉アルコール、カンファー、クローブ子芽(clove bud)油、ユーカリ油、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、1−8メンチルアセテート、オイゲノール、オキサノン、α−イリソン、プロペニルグアエトール、桂皮、チモール、リナノール、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒドグリセロールアセタール(CGAとしても既知)、及びこれらの混合物並びに清涼剤が挙げられる。清涼剤は、多種多様な物質のいずれかであることができる。このような物質には、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物が含まれる。本組成物に好ましい清涼剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物などの、パラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい清涼剤は、メントール、TK−10(高砂製)として既知の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、MGA(Haarmann and Reimer製)として既知のメントングリセロールアセタール及びFrescolat(登録商標)(Haarmann and Reimer製)として既知のメンチルラクテートからなる群から選択される。本明細書で使用するとき、用語「メントール」及び「メンチル」は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、Amanoらの米国特許第4,459,425号に記載されている。WS−3及び他の薬剤が、米国特許第4,136,163号(Watsonら)に記載されている。どちらの開示も参照により本明細書に組み込まれる。別の好ましい清涼剤はG−180清涼剤であり、この清涼剤は化学的にはN−(4−シアノメチルフェニル)−ρ−メタンカルボキサミドであり、スペアミント又はペパーミントなどの香油中7.5%の溶液として、Givaudanにより供給される。カルシウムイオンを加えると、75ppmのG−180処方の冷涼効果が150ppmのG−180処方の冷涼効果にまで上昇し得、それにより、より低濃度の清涼剤を有する製品を処方することが可能になる。これらの薬剤は、組成物の約0重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約5重量%、及び別の実施形態では約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在してよい。
【0067】
顔料は、組成物が実際に接触した位置をより正確に示すために、本明細書の組成物に添加されてもよい。加えて、これらの物質は、消費者を満足させるために、義歯の色を修正するのに好適であり得る。これらの物質は、歯の表面に適用されると、歯の表面を光の吸収及び/又は反射に関して修正する粒子を含む。このような粒子を含有するフィルムが義歯の表面を覆って適用されるとき、このような粒子は外観効果をもたらす。顔料、染料、着色剤及びレーキ(lakes)もまた、消費者に製品がより受け入れられるよう本明細書の組成物の外観を修正するために添加してもよい。適切な顔料の濃度は、消費者に望ましい特定の影響によって選択される。例えば、特に黒ずんでいるか、又は染みのある義歯では、典型的には、歯を明るくするのに十分な量の顔料を使用するであろう。それに対し、個々の歯又は歯の染みの色が他の歯の色よりも薄いなら、義歯を黒くする顔料が有用であり得る。一実施形態では、顔料及び着色剤の濃度は、組成物の総重量の約0.001重量%〜約20重量%、一実施形態では、約0.01重量%〜約15重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。一実施形態では、顔料及び着色剤は、二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、Opatint D&C Red 27、CI 16185:1 Acid 27 Lake E123、CI 14720:1 Carmosoisine Aluminum Lake E122、赤色7号レーキ、赤色30号レーキ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。
【0068】
本発明は、成分の沈殿及び分離を阻止する、又は再分散を促進するという方法で沈殿を制御する、粘度調整剤を更に含んでもよく、流動特性を制御することができる。本明細書の好適な粘度調整剤としては、鉱油、有機化処理クレイ、ワセリン、シリカ、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、粘度調整剤はシリカである。組み込む場合、粘度調整剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.001%〜約99%、一実施形態では約0.01%〜約50%、及び別の実施形態では約0.1%〜約25%の濃度で存在し得る。
【0069】
本発明での使用に好適な、追加的な義歯ケア有効成分としては、限定するものではないが、インスリン、ステロイド、薬草及び他の植物由来の治療薬、並びに抗新生物薬が挙げられる。更には、当該技術分野において既知の抗歯肉炎剤又は歯肉ケア剤もまた挙げることができる。成分はポリブテン以外のものであり、歯に清潔な感触を付与する成分が場合により含有されてよい。これらの成分としては、例えば、重曹、又はGlass−Hを挙げることができる。また、治療の特定の形態では、これら上記指定の薬剤の組み合わせが、最適の効果を得るために有用である可能性がある。したがって、例えば、抗菌剤及び抗炎症剤は、効果を組み合わせて提供するために単一のチューインガム又は舐剤片に組み合わせてもよい。
【0070】
一部の実施形態では、非水溶性キャリア自体が義歯ケア有効成分であり得る。一部の実施形態では、非水溶性キャリアは義歯ケア有効成分のみであってもよく、他の実施形態では、1種以上のその他の義歯ケア有効成分と組み合わせてもよい。
【0071】
非水溶性キャリア及び粘度指数向上剤
本発明の組成物は、非水溶性キャリアを含む。非水溶性キャリアは、義歯への良好な接着特性を提供し、容易には浸食されず、有効成分をより長い時間にわたって口腔に送達する。粘度指数向上剤は、非水溶性成分の有益な効果を増加させ、かつ粘度指数向上剤自体も追加的な利点を有することが現在では更に判明している。歴史的には、粘度指数向上剤は、潤滑剤業界に関連する用語であった。潤滑剤の粘度は、摩擦を低減する能力に密接に関係している。最も望ましい潤滑剤は、摩擦を最小限にさせるため、2つの移動する表面を分離させたまま2表面を容易に移動させるものである。しかしながら、液体の粘度は、温度上昇と共に低下する傾向にあるので、比較的低温で機能する潤滑剤の多くは、比較高温では機能するには粘稠ではなく、比較的高温で十分粘稠なものは、比較的低温では粘稠すぎる傾向がある。最良の潤滑剤は、所望の温度範囲では粘度があまり変化せず、それゆえにその範囲で十分に機能する。
【0072】
潤滑剤が機能する温度範囲をうまく予測するために、米国自動車技術会(SAE)が粘度指数を確立した。粘度指数は、潤滑剤の粘度が温度変化と共にどのように変化するかを強調している。粘度指数は、40℃(100°F)の任意の「低」温及び100℃(210°F)の任意の「高」温における物質の粘度を示す。
【0073】
設定温度範囲にわたる潤滑剤の特性を理解した後、ある種の潤滑剤がより広い温度範囲でその潤滑剤粘度をよりばらつきのないものとしていることが発見された。このため、比較的高温では潤滑剤粘度の低下が少ない。高温で高い粘度を有することで、潤滑剤は高温でよりよく機能することができる。高温での粘度を上昇させるのに添加する物質を粘度指数向上剤と定義した。
【0074】
驚くべきことに、この原理の応用は、義歯ケア組成物とも関連があることが見出された。概して、義歯ケア組成物は、最終用途に基づいて、多種多様な物質から作り上げることができる。口腔へと有効成分を送達することが意図されるこれらの物質には、非水溶性キャリア及び義歯ケア有効成分を含む。使用時に、これらの組成物は浸食され、効力を失う場合がある。非水溶性キャリアの粘性は、組成部が浸食される速度に関与する。粘度指数向上剤により付与される、粘度の温度抵抗性は、次に組成物に浸食に対して耐性をもたらし、かつ時間が経過しても耐性が保持されるよう作用する。このことは、義歯ケア組成物のより長期間にわたる持続性と、性能の向上につながる。
【0075】
義歯ケア組成物に最適な温度範囲は、分注容器(例えば、チューブ又はパッケージ)で義歯ケア組成物の粘度を扱う室温(25℃)から口内で義歯ケア組成物の粘度を扱う40℃までの範囲である。温かい飲み物を飲んでいるとき、口内の温度は60℃以上に達する場合もあり、40℃での組成物の挙動を見ることは、60℃で有益な特性が増加するかについての良い予測判断材料にもなりやすい。したがって、義歯用ケア組成物関連の粘度指数向上剤は、機能温度(すなわち、25℃〜60℃)の範囲にわたり、粘度をより安定なものにする。
【0076】
したがって、粘度指数向上剤の単独使用又は非水溶性成分との併用は、義歯ケア組成物の浸食特性を、及び/又は義歯ケア用活性物質との適合性を改善し、それゆえに性能を向上させる。粘度指数向上剤は、義歯ケア組成物を機能温度(すなわち、約25℃〜約60℃)の範囲にわたりより安定なものにする。
【0077】
粘度指数向上剤に関する一般的な原理の理解はさておき、物質が義歯ケア組成物中で粘度指数向上剤として作用するかを決定する別の方法は、瞬間粘度比率(瞬間粘度比率)を見ることである。この瞬間粘度比率は、室温(25℃)と高温(40℃)で試作サンプルの粘度比率を測定するものである。粘度指数向上剤を含有する組成物は、粘度指数向上剤を含まない組成物と比較して、高温でもより良好な粘度を維持する傾向がある。義歯ケア組成物は、一般に室温よりも温度が高い使用者の口内に入れられるので、この傾向は重要である。更にまた、使用者の口内温度は、温かい飲み物を摂取したときにも上昇する。高温で高い粘度を維持する能力は、使用中の義歯ケア組成物の損失を減少させるよう貢献する。
【0078】
瞬間粘度比率は、以下に概説するようにして測定できる。一実施形態では、瞬間粘度比率は、約0.03を超える。別の実施形態では、瞬間粘度比率は、約0.03〜約1.0である。更なる実施形態では、瞬間粘度比率は、約0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.40〜約0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.40、0.80、1.00、あるいはこれらの組み合わせである。更なる実施形態では、瞬間粘度比率は約0.03〜約0.40である。他の実施形態では、瞬間粘度比率は約0.04〜約0.30、又は約0.05〜約0.20である。
【0079】
以下に2種のサンプル、すなわち対照サンプル(RS)及び試作サンプル(PS)を記載する。対照サンプルは標準として見なされるものであり、粘度指数向上剤を含まない標準的な非水溶性成分を用いて作製され、これに対し試作サンプルは粘度指数向上剤を用いて作製される。RS及びPSについての一般式が与えられ、比較のため、瞬間粘度比率と共に具体的なRS及び具体的なPSが与えられる。
【0080】
対照サンプル(RS)及び試作サンプル(PS)の調製手順
材料
標準WICを用いたRSのサンプルの調製:
白色ワセリン(「Snow」(Penreco))90%+香料(任意)10%
粘度指数向上剤試作サンプル及びWICを用いた、PSのサンプルの調製:
白色ワセリン(「Snow」(Penreco))80%+粘度指数向上剤試作サンプル10%+香料(任意)10%
【0081】
手順
対照サンプルを以下の手順を用いて調製する:
ワセリンをオーブンで溶融させる。別の容器内で香料を溶融させ、プレミックスを作製する。溶融させたワセリンに香料プレミックスを添加する。高速ミキサーを用いて十分に混合する。サンプルをホイルチューブなどの好適な容器に充填する。サンプルを室温で少なくとも1日平衡化させる。
【0082】
試作サンプルを以下の手順を用いて調製する:
ワセリンと試作粘度指数向上剤をオーブン内で溶融させ、混合する。別の容器内で香料を溶融させ、プレミックスを作製する。香料プレミックスを、ワセリンと試作粘度指数向上剤との溶融混合物に添加する。高速ミキサーを用いて十分に混合する。サンプルをホイルチューブなどの好適な容器に充填する。サンプルを室温で少なくとも1日平衡化させる。
【0083】
RS及びPSは、可能な場合には必ず同じ調製手順及び同じ任意材料で作製する。これは、粘度指数以外のあらゆる変数を同じに保つことにより、多様な粘度指数向上剤間の違いを試験するための標準マトリックスを提供するために行う。
【0084】
上記に詳述されているプロセスに対応していない粘度指数向上剤試作品又は粘度指数向上剤/非水溶性成分混合物の各種特性を対応させる必要がある場合、必要に応じて、加工温度プロファイルを変更できる。更にまた、上述の試験配合物が以下に述べるような瞬間粘度の試験には高粘度であるPSを与える場合、サンプルを鉱油のような追加的な非水溶性成分で希釈する必要があり得る。
【0085】
上記のプロセスは、約10%の濃度で粘度指数向上剤を試験する。10%での粘度指数向上剤試作品を試験することは、基準値の設定に役立つ、すなわち、10%濃度で粘度指数向上剤の特性を見つけることが、高濃度での粘度指数向上剤の特性の指標となると考えられている。しかしながら、10%で試験し、その濃度では粘度指数向上特性を持たないとわかった粘度指数向上剤試作品でも、より高い濃度でなら粘度指数向上特性を持つ場合があり、確認のため高濃度で試験すべきである。
【0086】
上記のプロセスは、スケールアップして、粘度指数向上剤及び/又は義歯接着物品の非水溶性成分に適切な温度での一般的な製造に利用することもできる。
【0087】
下表、表1は、具体的な対照サンプル(RS)及び具体的な試作サンプル(PS)についての処方を含む。これらは、粘度指数向上剤(下表の場合、微結晶ワックス)を使用した場合の、瞬間粘度比率の違いを示すために開示される。
【0088】
【表1】

【0089】
PSの瞬間粘度は25℃では207Psであり、40℃では20Psである。この粘度は、PSに関しては0.10の瞬間粘度比率を与える。これに対し、RSの瞬間粘度は25℃では98Psであり、40℃では2.0Psである。この粘度は、RSに関しては0.02の瞬間粘度比率を与える。PSの瞬間粘度比率がより高いことは、PSの温度耐性が対照の非水溶性成分よりも高く、ひいては微結晶ワックスが義歯ケア組成物中で粘度指数向上剤として作用することを示す。
【0090】
粘度指数向上剤の一部の例としては、ポリメタクリレート、オレフィン共重合体、水素化スチレン−ジエン共重合体、スチレンポリエステル、ゴム、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、微結晶ワックス、エラストマー、ポリ(n−ブチルビニルエーテル)、ポリ(スチレン−無水マレイン酸共重合体)、ポリ(フマル酸アルキル−酢酸ビニル共重合体)、アルキル化ポリスチレン、ポリ(t−ブチルスチレン)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0091】
ポリメタクリレートの例として、例えば、アクリレート−メタクリレート共重合体、メタクリレート−スチレン共重合体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。エラストマーの例としては、例えば、水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化スチレン−イソプレン共重合体、エチレン−エチレン−プロピレンポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンポリマー、又はこれらの混合物が挙げられる。ゴムの例として、水素化ポリイソプレンが挙げられる。粘度指数向上剤のその他の例は、Chapman及びHall「Chemistry and Technology of Lubricants」(2nd Ed.1997)に記載されている。
【0092】
一実施形態では、粘度指数向上剤は、ポリメタクリレート、オレフィン共重合体、水素化スチレン−ジエン共重合体、スチレンポリエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、粘度指数向上剤は、ゴム、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、微結晶ワックス、エラストマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。更なる実施形態では、粘度指数向上剤には、微結晶ワックス、ポリエチレン、ゴム、エラストマー、又はこれらの混合物を含む。
【0093】
別の実施形態では、粘度指数向上剤は、Honeywell製のA−C 1702及びA−C 6702などのポリエチレンである。別の実施形態では、粘度指数向上剤は、分子量が少なくとも約80,000の非晶質ポリエチレンを実質的に含まない。更なる実施形態では、粘度指数向上剤が平均分子量約1000〜約21,000のポリエチレンからなる場合、成分は低分子量AVE/MAの、カルシウムと、ナトリウム、カリウム、及び4級アンモニウムカチオンからなる群から選択されるアルカリカチオンとの混合部分塩を実質的に含まない。
【0094】
別の実施形態では、粘度指数向上剤は微結晶ワックスを含む。一実施形態では、微結晶ワックスは、精製され、かつ/又は実質的に純粋である。更なる実施形態では、ワセリンは微結晶ワックスに寄与しない。具体的な一実施形態では、微結晶ワックスは、約75℃〜約85℃の範囲に融点を有する。別の実施形態では、微結晶ワックスは、Crompton、Sonneborn(Witco)によって製造され、Multiwax(登録商標)W−835の商標で照会及び販売されている。
【0095】
一部の実施形態では、粘度指数向上剤は、約0.001%〜約90.0%の量で使用される。様々な実施形態では、粘度指数向上剤は、約1、2、5、10、15、20、30、40%〜約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90%、又はこれらの任意の組み合わせの範囲で存在する。一実施形態では、義歯ケア組成物を予備成形する場合、粘度指数向上剤は約40%〜約60%存在する。一実施形態では、義歯ケア組成物がチューブから分注できる場合、粘度指数向上剤は約1.0%〜約15.0%存在する。一実施形態では、粘度指数向上剤は、非水溶性であり、かつ/又は水に対し非膨潤性である。
【0096】
好適な非水溶性キャリアは、米国特許出願公開第2007/0185233号に記載のものであり、この内容は本明細書に組み込まれる。一実施形態では、非水溶性成分は、組成物の約2、5、10、20、25、30、35重量%〜約45、50、60、70、90重量%及び/又はこの内の、範囲を作り出す任意の組み合わせ内の濃度であり得る。別の実施形態では、非水溶性成分の濃度は、組成物の約20重量%〜約70重量%、約25重量%〜約60重量%、又は約35重量%〜約60重量%である。更に別の実施形態では、非水溶性成分は、非水溶性でかつ実質的に水に非膨潤性である。非水溶性キャリアは、2種以上の非水溶性キャリアの組み合わせであってもよい。
【0097】
一実施形態では、非水溶性成分は、鉱物油、天然及び合成油、脂肪、シリコーン、シリコーン誘導体、ジメチコン、シリコーン樹脂、炭化水素、炭化水素誘導体、精油、植物油、ポリブテン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トウモロコシ、大豆、豆、綿実、ヒマ、パーム油、ココヤシ油、動物油、魚油、オレイン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される非水溶性液体成分である。別の実施形態では、非水溶性成分はPDMSゴム、又はPDMSゴムと揮発性イソパラフィンなどの溶媒から注型されるMQ樹脂との混合物である(米国特許第6,074,654号を参照のこと)。
【0098】
一実施形態では、非水溶性成分は、ゴム、エラストマー、プラストマー、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ワセリン及びこれらの混合物からなる群から選択される非水溶性熱可塑性成分である。別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ワセリン、ポリエチレン及びこれらの混合物からなる群から選択される。更に別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ワセリン、パラフィンワックス、微結晶ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、ポリエチレン、微結晶ワックス、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、非水溶性成分はワセリンである。
【0099】
一実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、エチレン−エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、及びこれらの組み合わせなどのエラストマーを含み、これらは所望により、更にワックスと組み合わせてよい。
【0100】
一実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は天然又は合成ワックスである。これらのワックスは、動物性、植物性及び鉱物性ワックスのような天然ワックスを包含する。動物性ワックスとしては、蜜蝋、ラノリン、セラックワックス、中国蝋などが挙げられる。植物性ワックスとしては、カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ、サトウキビなどが挙げられ、及び鉱物ワックスとしては、化石ろう及び地ろう(オゾケライト、セレシン、モンタン)及びパラフィン、微結晶などの石油ワックスが挙げられる。一実施形態では、本明細書のワックスは、蜜蝋、キャンデリラ、カンデラ(candela)、カルナウバ、パラフィン、微晶性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0101】
別の実施形態では、ワックスは、Crompton、Sonneborn(Witco)によって製造され、商標Multiwax W−835で照会及び販売されている。このワックスは、約73.9℃〜約79.4℃(ASTM D127)の範囲の融点を有し、約60〜約80の針入度(25℃にて)(ASTM D1321)を有し、約75〜約90の運動粘度(98.9℃にて)(ASTM D2161)を有し、約246℃の引火点(COC)(最低)(ASTM D92)を有し、かつ約77℃の凝固点(ASTM D938)を有する。
【0102】
別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、Honeywellにより、98.5及び90.0の針入度値をそれぞれ持つようにして、ASTM D1321に従って製造されたA−C 1702及びA−C 6702などのポリエチレンである。一実施形態では、組成物がポリエチレンオキシドを含有する場合、非水溶性構成成分が熱可塑性であるか又は組成物が繊維性の紙ウェブ若しくはラミネート紙を包含しないかのいずれかである。
【0103】
一実施形態では、本明細書の組成物はアルコールと混合した蜂蜜を実質的に含まない。別の実施形態では、組成物はエチルアルコール内にポリ酢酸ビニル樹脂を実質的に含まない。一実施形態では、非水溶性キャリアは疎水性である。一実施形態では、組成物は1種以上の義歯ケア有効成分と、1種以上の非水溶性キャリアとの均一な混合物を含む。
【0104】
物品
一部の実施形態では、本発明は、よく、義歯などの凹凸がある表面に適合しぴったり一致するような形状であり、そのように設計された物品であり得る。
【0105】
一実施形態では、本明細書で使用するとき、用語「乾燥接着性」とは、物品が、使用者によって加えられた圧力によって活性化されるまでは、乾燥状態で、接着性若しくはくっつき合う性質を極めて低く示すか、及び/又はこれらの性質を全く示さないことを意味する。一実施形態では、物品は、約1×10、3×10、5×10、1×10、5×10及び8×10〜約5×10、5×10、1×10、5×10、1×10、及び1×1010及び/又はこの中の任意の組み合わせのせん断貯蔵弾性率G’(約25℃、約1Hzの周波数にてダイン/cmで測定されたとき)を有する。
【0106】
種々の任意成分
可塑剤
本発明の義歯ケア組成物はまた、場合により、1種以上の安全かつ有効な量の毒物学的に許容可能な可塑剤を含んでよい。一実施形態では、可塑剤の濃度は組成物の約0.0重量%〜約40重量%であり、一実施形態では、約0.01重量%〜約40%重量であり、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%であり、別の実施形態では、約2重量%〜約5重量%である。更に別の実施形態では、義歯ケア組成物は可塑剤を含まない。別の実施形態では、可塑剤は非水溶性である。
【0107】
一実施形態では、義歯ケア組成物が熱可塑的に押し出された場合に、可塑剤成分の作用結果として、硬化及び固定することはない。別の実施形態では、可塑剤成分は非水溶性成分又は義歯ケア組成物を凝固させない。別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、架橋及び硬化しない。
【0108】
あるいは、一実施形態では、義歯ケア組成物は可塑剤を実質的に含まなくてよい。一実施形態では、義歯ケア組成物は、ポリエチルメタクリレート、トリアセチン、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、リン酸トリフェニル、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はそれらの組み合わせを実質的に含まなくてもよい。
【0109】
持続性薬剤
上に列挙した成分に加え、義歯ケア組成物は更に他の成分を含んでもよい。これらの追加成分の一例としては、持続性薬剤が挙げられる。持続性薬剤の1つの群は有機リン酸塩である。好適な有機リン酸塩化合物は、歯表面に対して強い親和性を持ち、ペリクルタンパク質を脱着させかつ歯表面上についたままとどまるのに十分な表面結合特性を有する。有機リン酸塩のリン酸基は、カチオン、具体的には歯のカルシウムイオン又は正電荷を帯びたその他のなんらかの部位、例えば粘膜表面上のタンパク質残基に結合し、ひいては疎水性に修飾することにより、分子の疎水性部分を表面上へつなぎとめる働きをする。リン酸基は、静電相互作用、水素結合又は錯化を介し、カチオン性及び帯電した表面に容易に結合/接合し、適用により有機リン酸塩を容易に脱着させ、処理表面上にコーティングを形成する。強い結合は、コーティングのより長時間続く保持性又は耐久性及び持続性をもたらす。
【0110】
好適な有機リン酸塩化合物の例は、次の一般構造式により表わされるモノ−、ジ−又はトリエステルであり、式中、Z、Z又はZは同一であっても又は異なっていてもよく、少なくとも1つは有機部分であり、好ましくは場合により1つ以上のリン酸基で置換された炭素原子数6〜22の直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルケニル基;アルコキシル化アルキル基又はアルコキシル化アルケニル基から選択される。
【化1】

【0111】
いくつかの好ましい剤としては、以下の構造により表されるアルコキシル化アルキル又はアルケニルリン酸エステルが挙げられる:
【化2】

式中、Rは、場合により1つ以上のリン酸基により置換される6〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基を表し、n及びmは個々かつ別個に2〜4であり、a及びbは個々かつ別個に0〜20であり、Z及びZは同一であっても若しくは異なってもよく、それぞれが、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミンなどのプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した機能的アルキルアミン、又はR−(OC2n(OC2m−基を表す。好ましくは、Rは少なくとも10個の炭素原子を有するアルキル基であり、a及びbは、有機リン酸塩の全体的な疎水特性、及び表面に付与する疎水性の程度を維持するためにも、それぞれ10未満である。
【0112】
一実施形態では、持続性薬剤としては、モノ−、ジ−及びトリ−アルキル及びアルキル(ポリ)アルコキシホスフェート、例えばドデシルリン酸、ラウリルリン酸;ラウレス1リン酸;ラウレス3リン酸;ラウレス9リン酸;ジラウレス10リン酸;トリラウレス4リン酸;C12〜18 PEG−9リン酸及びこれらの塩が挙げられる。多くは、Croda、Rhodia、Nikkol Chemical、Sunjin、Alzo、Huntsman Chemical、Clariant、及びCognisなどの供給元より市販されている。一実施形態では、持続性薬剤は、モノアルキルリン酸塩を含む。
【0113】
有効成分
追加成分の別の例としては有効成分が挙げられる。有効成分のいくつかの例としては、虫歯予防及び歯の再石灰化のための様々なフッ化物塩;トリクロサン、セチルピリジニウムクロリド、フッ化スズ、クエン酸亜鉛又は精油などの抗菌剤の使用による歯肉炎予防;並びにストロンチウムクロリド、フッ化スズ又は硝酸カリウムなどの原料の使用による過敏症制御;抗歯石剤として使用することができるピロリン酸塩;漂白及び抗感染のために使用することのできるペルオキシド;並びにミネラル表面用の、リン酸化ポリマー、具体的には歯に結合するポリリン酸塩などの高分子ミネラル表面有効剤、あるいは浸食予防又は感覚保護のために使用することのできる、歯の表面上に堆積して不溶性の化合物を形成するスズ、亜鉛又は銅などの金属イオンが挙げられる。これらの有効成分は単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0114】
接着成分
追加成分の他の例としては、接着成分が挙げられる。本発明は、場合により、安全でかつ有効な量の接着成分を更に含んでもよく、一般に、ぬれた粘膜組織への組成物の接着を補助するのには十分であるが、義歯の保持を有意に改善するには十分ではないような低濃度で含む。
【0115】
一般に、接着成分は、水分で活性化したとき粘稠になる親水性粒子、又は親水性液体である。本明細書の接着成分は、様々な実施形態では、粘膜付着性で、歯に対して付着性で、親水性で、水溶性であり、水分への曝露に応じて膨潤する特性又はこれらの組み合わせを有する。
【0116】
一実施形態では、接着成分は、セルロース、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、及びこれらの混合物など)、デンプン、デンプン誘導体、糖、糖誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸塩、カラヤガム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、トラガカント、キトサン、アクリルアミドポリマー、カルボキシポリメチレン、ポリアミン、ポリ四級化合物、ポリビニルピロリドン、AVE/MA、AVE/MAの塩、AVE/MAの混合塩、高分子酸、高分子塩、ポリヒドロキシ化合物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0117】
ゲル化剤
本発明の組成物はまた所望により、1つ以上の安全かつ有効な量の毒物学的に許容可能なゲル化剤を含んでよい。一実施形態では、ゲル化剤の濃度は、組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約2重量%〜約5重量%の範囲である。
【0118】
他の任意成分
その他の適した成分としては、着色剤、防腐剤(メチル及びプロピルパラベンなど)、二酸化ケイ素及びポリエチレングリコールなどの増粘剤が挙げられる。着色剤、防腐剤、増粘剤は、組成物の約0重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在してもよい。
【0119】
更に、組成物は、1種類以上の溶媒を含んでもよい。これらの任意の溶媒は、非水溶性成分と混和性であってもよく、及び/又はその場で消散されることができてもよい。一実施形態では、これらの溶媒は、蒸発、溶解、分散、生体吸収、又は任意の他の好適な手段によって、その場で消散されてもよい。別の実施形態では、これらの溶媒は、その場で消散されて義歯ケア組成物が後に残ってもよい。このような溶媒としては、20℃にて0.01、0.1、1、5センチポアズから、20℃にて5、10、100、1000センチポアズまでの範囲の粘度を、これらの程度の内の任意の組み合わせで有する物質が挙げられる。一実施形態では、これらの溶媒はシリコーン、炭化水素、イソ−ドデカン、イソ−ヘキサデカン、イソ−エイコサン、及び/又はポリイソブテンであってもよい。好適な溶媒の等級としては、Permethyl 97A、99A、101A、102A及びこれらの混合物のような、Permethylシリーズ(Prespers Inc.,New Jerseyより販売)が挙げられる。
【0120】
調製方法
義歯ケア組成物は以下のように好適に作製される:非水溶性キャリアと任意の義歯ケア有効成分とを組み合わせて混合容器中に入れ、当該技術分野で既知の任意の手段、例えば、スパチュラ又はミキサーにより、よく混合する。必要な場合には組成物を加熱し、混合を促進する。組成物が均質になるまで混合し続ける。義歯ケア有効成分が固形の粒子形態で含有される場合、組成物内での粒子の分散及び懸濁状態を維持するために、シリカなどの粘度調整剤を添加することが好ましい場合がある。
【0121】
組成物を物品として作製する場合には、以下のプロセスを使用することができる。本発明で利用される物品は、当該技術分野、例えばフィルム製造産業において公知のプロセスである、キャスティング、コーティング、カレンダー工法、押出成形などにより形成される。一実施形態では、物品の個々の成分を溶融させ、次に均一な混合物が得られるまで、混合タンク内で混合する。その後、溶融混合物を許容可能な厚さで適切な基材上にキャストしてよい。このような基材の例としては、Mylar、連続運転ステンレス鋼ベルト(必要であれば、最終的には乾燥器セクションに入る)、剥離紙などが挙げられる。その後、物品は冷却される。その後、必要であれば、物品は、例えば強制空気オーブン内で乾燥させてもよい。続いて、物品は、所望の寸法で所望の形状に切断し、その後積み重ねられ及び/又はその後包装してもよい。
【0122】
一実施形態では、加工後、物品は所望の形状に打抜きされる。これらの形状は、物品の義歯への適用を容易にし得る。
【0123】
当該技術分野において既知の別の公知のフィルム製造方法は、押出成形である。この方法は、フィルムの膜形成成分が各種の押し出し可能な物質を含む場合に可能である。押出成形プロセスの機械的な部分、例えば、利用される特定の装置、押出成形力、オリフィス及び/又はダイの形状及び温度は、当該分野の技術の範囲内であるとみなされ、本明細書に記載される物品の物理特性を達成するために既知の態様で変更することができる。
【0124】
一実施形態では、物品である義歯ケア組成物の厚みは、一般に約0.1mm〜約2.5mmであり、別の実施形態では約0.4mm〜約1.5mmであり、別の実施形態では約0.5mm〜約1mmである。物品は、ユーザー又は着用者が希望する緩衝性の程度に応じて、より厚く又はより薄くてもよい。
【0125】
一実施形態では、物品である義歯ケア組成物は、場合により多相であり、又は視覚的に異なる複数の相を有し得る。別の実施形態では、本明細書の物品は、任意に剥離ライナーを有してもよい。
【0126】
使用方法
本発明の義歯ケア組成物の使用時には、使用者は、義歯を口腔から取り外し、本明細書で開示されている義歯ケア組成物を義歯の表面に直接適用する。組成物は、ブラシ、ペン型アプリケータ、スポイト、ドウズ・フットアプリケータ(doe’s foot applicator)又はその他の適用デバイスを用いて適用することができる。組成物はまた、指、綿棒若しくは歯科用スティック又は同様物により、義歯上に手で配置することで適用してもよく、あるいは義歯ケア組成物に義歯を漬け込むことで適用してもよい。一部の実施形態では、義歯ケア組成物を義歯表面に適用した後、次いで義歯を口腔に装着することができる。一部の実施形態では、義歯ケア有効成分は義歯洗浄剤であってもよく、この場合、義歯ケア組成物を義歯表面に適用した後、義歯は水に浸すことができる。
【0127】
本発明の組成物を適用する前に義歯を下処理する必要はない。例えば、使用者が、組成物を適用する前に、義歯をブラッシングするか又は洗浄するかを選択してもよく、しなくてもよい。適用前に義歯表面が乾燥している必要も、唾液又は水でしっかりとぬれている必要もない。しかしながら、組成物が適用される際に表面がより乾燥している場合に、義歯表面への付着性は改善されると考えられている。
【実施例】
【0128】
以下の非限定例は、必須材料と任意材料との両方を組み合わせた本発明の実施形態を更に例証し、説明する。例は単に例示目的でのみ与えられ、本発明の範囲を限定するものとしては解釈されないことから、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することのない多くの改変が可能であることが理解される。
【0129】
(実施例1〜7)
【表2】

【0130】
各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0131】
実施例1〜7の作製手順:
1.90℃に設定したオーブンでワックスを溶融させる。
2.粉末品目をジャーで撹拌混合する(塊はスパチュラで注意深く破壊する);
3.溶融させたワックスに工程2の粉末ブレンドをスパチュラにより添加し、湿潤させる;
4.高速ミキサーで1000rpmで2分にわたって混合する;スパチュラを用い、壁及び角から材料を取り外し、掻きだす;
5.高速ミキサーで更に2分にわたって2回混合する;合計混合時間は6分である;
6.厚さ約0.7mmの薄いストリップ状に押し出し、所望の形状及び大きさへとダイカットする。
【0132】
(実施例8〜13)
【表3】

シリコーン、油、ポリエチレン、又はこれらの混合物などの、任意の他の非水溶性成分であってもよい。
【0133】
各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0134】
実施例8〜13の作製手順:
1.70℃のオーブンでワセリンを溶融させる。
2.他の成分を添加する;
3.均一になるまで混合する;
4.チューブに充填するか、又は好適なストリップへと成形する。
【0135】
(実施例14〜21)
【表4】

【0136】
各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0137】
実施例14〜21の作製手順:
1.60℃のオーブンでワセリン/versagelを加熱する。
2.他の原料を添加し、高速ミキサーで1000rpmで2分にわたって混合する。3回繰り返す;
3.チューブに充填する。
【0138】
各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0139】
(実施例22〜31)
【表5】

各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0140】
実施例22〜31の作製手順:
1.90℃に設定したオーブンでワックスを溶融させる。
2.乳鉢及び乳棒で粉末品目を別個にすり潰す;
3.粉末品目(過酸化物は除く)を別々のジャーで撹拌混合する(塊はスパチュラで注意深く破壊する);
4.溶融ワックスにペパーミントを添加し、スパチュラで混合する;
5.工程3の粉末ブレンドを、溶融させたワックスにスパチュラで添加し、湿潤させる;
6.高速ミキサーで1000rpmで2分にわたって混合する;スパチュラを用い、壁及び角から材料を取り外し、掻きだす;
7.スパチュラを用い、過酸化カルバミドを添加しワックスで湿潤させる;
8.高速ミキサーで更に2分にわたって2回混合する;合計混合時間は6分である;
9.ストリップへと成形し、好適な形状及び大きさへとダイカットする。
【0141】
(実施例32〜34)
【表6】

Fixodent、Polident及び/又はEfferdentなどの、任意の市販義歯洗浄錠であってよい。
【0142】
実施例32〜34の作製手順:
1.90℃に設定したオーブンでワックスを溶融させる。
2.洗浄剤(1種又は複数種)を粉末へと砕く又は挽く;
3.粉末品目を別々のジャーで撹拌混合する(塊はスパチュラで注意深く破壊する);
4.工程3の粉末ブレンドを、溶融させたワックスにスパチュラで添加し、湿潤させる;
5.高速ミキサーで1000rpmで2分にわたって混合する;スパチュラを用い、壁及び角から材料を取り外し、掻きだす;
6.高速ミキサーで更に2分にわたって2回混合する;合計混合時間は6分である;
7.ストリップへと成形し、好適な形状及び大きさへとダイカットする。
【0143】
各原料の濃度は、上記実施例において、5、20、25、50、100%又はそれ以上に変えられ得る。更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。更に、上記の各処方例を互いに積層して、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0144】
実施例32〜34のストリップを義歯の歯部分上にぴったりとつけ、水の入ったカップに浸すことができる。これらの組成物は、水につけている間の義歯の洗浄を助ける。
【0145】
(実施例35A〜K)
【表7】

【0146】
上記例の組成物例B、E、I及びJを作製するために、95℃でワックスを溶融させ、このワックスにその他の成分を高温で混合する。上記例A、C、D、F、G、H及びKを作製するために、ワセリン及び/又はVersagelを約70℃へと加熱し、このワックスにその他の成分を高温で混合する。全ての実施例に関して、組成物は使用前に室温へと冷却させた。
【0147】
更に、上記の各処方例を互いに組み合わせて、ハイブリッド例を提供してもよい。
【0148】
(実施例35L〜N)
【表8】

【0149】
上記例L、M及びNを作製するために、ワセリンを約70℃へと加熱し、このワセリンにその他の成分を高温で混合する。全ての実施例に関して、組成物は使用前に室温へと冷却させた。サンプルは、作製後に容器に入れた。消費者に、使い捨てリップ・グロス・アプリケータ(lip gloss applicator)を容器に浸漬させ、サンプルの味見をさせることで、味についての消費者の好みを試験する。次いで、消費者に好みのサンプルを選択させる。また、消費者には−4〜+4のスケールで各サンプルを評価させる(−4は「非常に好ましくない」を意味し、+4は「非常に好ましい」を意味する)。M及びNの各サンプルはサンプルLと直接比較させ、したがって、各消費者はサンプルL対サンプルMを試験し、次いでサンプルL対サンプルNを比較する。これらの比較に関する好ましさ及び評価は以下に記載する。
【表9】

【0150】
上記結果は、サンプルLはサンプルMよりも非常に好まれ、サンプルMよりもかなり高く評価されたことを示す。具体的には、R1/R2/R3/R4比が1/2/2/4であるサンプルLは、R1/R2/R3/R4比が1/>100/>100/>100であるサンプルMよりも非常に好まれ、かなり高く評価された。
【0151】
上記結果は、サンプルLはサンプルNよりも好ましく、サンプルNよりも高く評価されたことを示す。具体的には、R1/R2/R3/R4比が1/2/2/4であるサンプルLが、R1/R2/R3/R4比が>100/0/2/2であるサンプルNよりも好まれ、より高く評価された。
【0152】
(実施例35O〜R)
【表10】

【0153】
上記例O、P、Q及びRを作製するために、ワセリンを約70℃へと加熱し、このワセリンにその他の成分を高温で混合する。全ての実施例に関して、組成物は使用前に室温へと冷却させた。サンプルは、作製後に容器に入れた。消費者に、使い捨てリップ・グロス・アプリケータを容器に浸漬させ、サンプルの味見をさせることで、味についての消費者の好みを試験する。次いで、消費者に好みのサンプルを選択させる。また、消費者には−4〜+4のスケールで各サンプルを評価させる(−4は「非常に好ましくない」を意味し、+4は「非常に好ましい」を意味する)。これらの比較に関する好ましさ及び評価は以下に記載する。
【0154】
【表11】

【0155】
上記結果は、サンプルPはサンプルOよりも好ましく、サンプルOよりも高く評価されたことを示す。具体的には、R1/R2/R3/R4比が1/2/2/4であるサンプルPが、R1/R2/R3/R4比が1/25/25/50であるサンプルOよりも好まれ、より高く評価された。
【0156】
上記結果は、サンプルRはサンプルQよりも非常に好まれ、サンプルQよりもかなり高く評価されたことも示す。具体的には、R1/R2/R3/R4比が1/2/2/4であるサンプルRは、R1/R2/R3/R4比が1/25/25/50であるサンプルMよりも非常に好まれ、かなり高く評価された。
【0157】
(実施例35S〜T)
【表12】

【0158】
上記例S及びTを作製するために、ワセリンを約70℃へと加熱し、このワセリンにその他の成分を高温で混合する。全ての実施例に関して、組成物は使用前に室温へと冷却させた。サンプルは、作製後に容器に入れた。消費者に、使い捨てリップ・グロス・アプリケータを容器に浸漬させ、サンプルの味見をさせることで、味についての消費者の好みを試験する。次いで、消費者に好みのサンプルを選択させる。また、消費者には−4〜+4のスケールで各サンプルを評価させる(−4は「非常に好ましくない」を意味し、+4は「非常に好ましい」を意味する)。これらの比較に関する好ましさ及び評価は以下に記載する。
【0159】
【表13】

【0160】
上記結果は、サンプルTはサンプルSよりも好ましく、サンプルSよりも高く評価されたことを示す。具体的には、サッカリン+ミント+メントールの合計濃度が10%[かつR1/R2/R3/R4比が1/2/2/4]であるサンプルTは、サッカリン+ミント+メントールの合計濃度が1.5%[かつ同様のR1/R2/R3/R4比が1/2/2/4]であるサンプルSよりも好まれ、より高く評価された。
【0161】
試験方法
所定の物質(例えばRS又はPS)の瞬間粘度比率を測定するために、以下の手順を用い、室温(25℃)での物質の粘度対高温(40℃)での物質の粘度の比率を算出する。
【0162】
設備:
・Ares歪み制御型レオメータ
・25mm永久平行プレート(permanent parallel plates)
【0163】
方法:
1.25mm平行プレートをAresレオメータに載せる。
2.垂直力をゼロにする。
3.25℃(すなわち室温)でのギャップをゼロにする。
4.プレート上で半円形に移動させながら、物質サンプルをボトムプレートに適用する。2.177±0.005mmのギャップに達したら、過剰分を調整し、ギャップを存在させずに全ての端に試料を均一に行き渡らせるように、十分な試料があるべきである。
5.以下の手順により、ギャップを調整する。
●ギャップ設定アイコンをクリックする。コマンドギャップ位置を2.55mmに設定する。
●許容最大力を100gに設定する。
●ギャップ設定をクリックする。
●プラスチック製のカバースライドでサンプルを調整する。
●コマンドギャップ位置を2.177mm、許容最大力=100gに設定する。
●ギャップ設定をクリックする。
●プラスチック製のカバースライドでサンプルを調整する。
●コマンドギャップ位置を2.147mm、許容最大力=100gに設定する。
●ギャップ設定をクリックする。
●サンプルは調整しない。
●最後のギャップは2.147±0.005mmを読み取るべきである。
●温度を25℃に平衡させる。
●ギャップ及び軸力を各観察記録と共に試験ノートに記録する。
●実験を開始する
6.試験を開始する:
●方法は、以下の手順を行うステップレート(一過性)試験である。
i.1s(1s遅延)に対し、0/sのレートを適用する。
ii.5sに対し、5/sを適用する。
●結果は粘度対時間の曲線で示すことになる。
7.この曲線の粘度のピーク値(別名「瞬間粘度」)を記録する。
8.物質に1〜7の工程を25℃で最低でも3回繰り返す。
9.物質に1〜7の工程を40℃で最低でも3回繰り返す。
10.25℃での物質の瞬間粘度の平均値、及び40℃での値を別個に計算する。
11.最後に以下を計算する。
●「瞬間粘度比率」=(40℃での物質についての平均瞬間粘度)/(25℃での物質についての平均瞬間粘度)
【0164】
義歯ケア組成物が物品である実施形態に関し、物品の乾燥粘着性は次の方法により測定することができる:1.物品をパッケージ材から取り出す;2.物品を、アクリル製の、歯が下に向かって生えている乾燥している上側義歯の口蓋部上に配置する;3.手で約3〜10秒にわたって圧力を加える;4.その後指圧を取りやめる;5.次いで義歯をひっくり返して歯が上に向かって生えているようにする。一実施形態では、物品は次の場合に乾燥粘着性を示す:i.物品が工程1〜2の間に指に付着しない、ii.工程3〜4の間に指にわずかに残るか、あるいは全く残らない、及びiii.工程5で逆さにしたときに、物品が少なくとも約10〜30秒にわたって、又は少なくとも約1分にわたって義歯から剥がれ落ちない。
【0165】
別の実施形態では、物品は、次の場合に乾燥粘着性を示す:i.物品が工程1〜4の間に指に張り付かない、及びii.工程5で逆さにしたときに、物品が少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間にわたって義歯から剥がれ落ちない。
【0166】
別の実施形態では、工程5で逆さにしたときに、物品が少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも約1分間にわたって義歯から剥がれ落ちない場合に、物品は乾燥粘着性を示す。
【0167】
組成物が物品である実施形態に関して、物品の弾性率G’は以下の手順により測定することができる:
a.直径8mmで厚さ0.67mmのサンプル円板を、平行プレート固定具(少なくとも直径8mm)を用いて圧縮力500gにてARESレオメータに装填する。サンプルが流動性である場合、十分な量の材料を用いて直径25mmの平行プレート固定具上の1mmのギャップを埋める。
【0168】
b.歪みを0.02%に設定する;
c.1Hzを包含する周波数掃引でG’を測定する。
【0169】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0170】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0171】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行い得ることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
義歯ケア組成物であって、
(a)1種以上の義歯ケア有効成分と、
(b)1種以上の非水溶性キャリアと、
を含み、前記組成物が
生体内分解性であり、
義歯粘着剤ではなく、
該組成物が物品ではない場合、分子量300〜3000のポリブテンを実質的に含まず、かつ
義歯に適用される、義歯ケア組成物。
【請求項2】
前記義歯ケア有効成分が、抗歯石剤、フッ化物イオン供給源、スズイオン供給源、ホワイトニング剤、抗菌剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、栄養素、酸化防止剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、鎮痛剤及び麻酔剤、H−2アンタゴニスト、芳香剤、感覚剤、顔料、染料、レーキ、着色剤、香料、甘味料、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記義歯ケア有効成分が香料、感覚剤、及び/又は甘味料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
抗菌剤である義歯ケア有効成分を更に含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記義歯ケア有効成分が、甘味料、並びに、感覚剤、香料及びこれらの組み合わせからなる群から選択された追加成分であり、
a.前記組成物中の、前記香料に対する前記感覚剤の重量比率が0.0〜4.0であり、
b.前記組成物中の、前記甘味料に対する前記香料の重量比率が0.0〜20であり、
c.前記組成物中の、前記甘味料に対する前記感覚剤の重量比率が0.0〜20であり、及び/又は
d.前記組成物中の、前記甘味料に対する前記感覚剤と前記香料との組み合わせの重量比率が0.4〜40である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非水溶性キャリアが、ゴム、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂、アクリル樹脂、ワセリン、ポリ酢酸ビニル、及びこれらの混合物からなる群から選択された、非水溶性の熱可塑性成分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記非水溶性キャリアがワセリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
更に粘度指数向上剤を含み、及び/又は、前記非水溶性キャリアが粘度指数向上剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記非水溶性キャリアが、前記組成物の50重量%〜99重量%のワセリン及び/又は微結晶ワックスを含み、並びに、前記義歯ケア有効成分が前記組成物の0.1重量%〜50重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
義歯ケア有効成分を義歯装着者の口腔に送達する方法であって、
a.請求項1に記載の組成物を義歯表面に適用する工程と、
b.前記義歯を前記口腔に適用する工程と
を含み、前記組成物が前記口腔でとどまる時間の長さが適用から8時間までである、方法。

【公表番号】特表2013−514275(P2013−514275A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537020(P2012−537020)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054370
【国際公開番号】WO2011/059715
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】