説明

羽毛用中袋用シート、羽毛用中袋、羽毛充填シートならびに衣料および寝具

【課題】羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れる上に、柔らかくて、軽くて通気性がよく、収納性、嵩高回復性のいずれにも優れた羽毛用中袋用シートおよびそれからなる羽毛用中袋、羽毛充填シートならびに衣料および寝具を提供すること。
【解決手段】エレクトレット不織布の少なくとも片面に基材不織布を積層してなる積層不織布シートであって、該積層不織布シートのフラジール法による通気量が8cc/cm2 .sec以上である羽毛用中袋用シートであり、さらに該シートを用いた羽毛用中袋、羽毛充填シート、衣料および寝具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽毛を安定して把持・収納することができ、羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れた羽毛用中袋用シートおよびそれからなる羽毛用中袋、羽毛充填シートならびに衣料および寝具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、羽毛蒲団の側地には、フラジール法による通気量が通常2cc/cm2 .sec以下の生地が使われている。また、「羽毛蒲団地流通協会基準」によれば、羽毛から発生する微細羽毛体の抜けを防止ため、綿織物の平織、綾織では該通気量が3cc/cm2 .sec以下、朱子織では2.5cc/cm2 .sec以下、合成繊維製織物では2cc/cm2 .sec以下という低通気量の織物を使用するよう定められている。
【0003】
このように通気量を3cc/cm2 .sec以下などにするためには、これら通常の織物にあっては織り密度をかなり高くする必要があり、結果的に硬い重い高密度織物にならざるを得なかった。
【0004】
そのため、せっかく軽く、嵩高な羽毛を使用しても、高密度織物を表地または側地を使用したのでは、結果として硬く、かつ羽毛の嵩高さを十分に発揮できない布団にならざるを得なかったのが実状である。このような通気量の少ない織物は、空気の抜け入りが遅いため、畳みにくく収納性が悪いばかりか、着用時には嵩高さの回復に時間がかかる製品となってしまうという問題もあった。
【0005】
一方、先行技術としては、主に織物の構成糸の種類を変更して通気性と柔軟性の両立した織物を得ようとする提案がなされている(特許文献1、2)。
【0006】
しかし、本発明者等の検討によれば、羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れるとともに、柔らかくて、軽く、通気性がよく、かつ収納性、嵩高回復性などの点でいずれも総合的に満足し得るものは得られていなかった。
【特許文献1】特開2004−225179号公報
【特許文献2】特開平7−39661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れる上に、柔らかくて、軽くて通気性がよく、収納性、嵩高回復性のいずれにも優れた羽毛用中袋用シートおよびそれからなる羽毛用中袋、羽毛充填シートならびに衣料および寝具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
【0009】
すなわち、本発明の羽毛用中袋用シートは、エレクトレット不織布の少なくとも片面に基材不織布を積層してなる積層不織布シートであって、該積層不織布シートのフラジール法による通気量が8cc/cm2 .sec以上であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の羽毛用中袋は、かかる羽毛用中袋用シートを袋状に縫製してなることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の羽毛充填シートは、かかる羽毛用中袋に、羽毛を充填してなることを特徴とするものであり、本発明の衣料は、かかる羽毛充填シートで構成されていることを特徴とするものであり、本発明の寝具は、かかる羽毛充填シートを側地で被覆して構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れる上に、軽くて通気性がよく、収納性、着用時の嵩高回復性に優れた、羽毛を保温材として使用してなる寝具や衣料を安定して提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、前述した課題、すなわち羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れる上に、柔らかくて、軽くて通気性がよく、収納性、嵩高回復性のいずれにも優れた羽毛用中袋用シートについて、鋭意検討し、エレクトレット不織布を使用した特定な通気性を有する特定の構造の不織布積層体を羽毛用中袋用シートとして用いて、羽毛を包み込んでみたところ、前述課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0014】
かかる特定の通気性を有する特定の構造の不織布積層体を羽毛用中袋用シートとして用いたことにより、極めて通気性に優れた表地または側地を使用することができるという特異な効果を得たものである。
【0015】
本発明は、エレクトレット不織布を利用した特定の不織布積層体という特定の積層不織布シートにより、エレクトレットの機能を巧みに利用し、羽毛はもちろん羽毛から発生する微細羽毛体までも、該積層不織布シート内に把持・保持して離さないばかりか、不織布という特定繊維構造体を使用して積層体を構成したことにより、フラジール法による該積層不織布シートの通気量が8cc/cm2 .sec以上という高い通気量を確保することに成功し、初めて柔らかくて、軽くて、収納性、嵩高回復性のいずれにも優れた羽毛用中袋用シートを提供することができた。
【0016】
本発明の羽毛用中袋用シートは、エレクトレット不織布の少なくとも片面に基材不織布を積層してなる積層不織布シートである。
【0017】
かかるエレクトレット不織布は、メルトブロー不織布やスパンボンド不織布からなるもの等のいずれでもよいが、好ましくはメルトブロー不織布を用いるのが製布性、エレクトレット加工のしやすさエレクトレット性能、コストなどの点か優位である。
【0018】
エレクトレット不織布を構成する素材としては、エレクトレット化可能な素材ならばいかなるものでもよいが、高いエレクトレット性能を得る上で、ポリオレフィン系繊維が好ましく、中でもポリプロピレン繊維がエレクトレット性能やコストの点から好ましく使用される。
【0019】
エレクトレット不織布は、特開昭61−102476号公報、特公昭57−14467号公報、特公平4−39218号公報、特表平11−510862号公報、あるいは特開2003−73971号公報等に記載の方法により、エレクトレット化することができる。
【0020】
かかるエレクトレット不織布は、特に限定されるものではないが、0.3〜0.5ミクロンの塵埃を99.9〜85%吸着・保持する機能を有するものが好ましく使用される。かかるエレクトレット不織布を使用することにより、羽毛から発する小さな羽毛屑を、確実に吸着・保持して、外部に漏れ出させることがなく、快適な寝具や衣料を提供することができる。
【0021】
ここで、塵埃の吸着率とは、大気塵ダストを吸着対象として、エレクトレット不織布を通過する風速を1.5m/minとして、上流のダスト数A、エレクトレット不織布通過後の下流のダスト個数をBとしたとき、下記式で求められる値である。
【0022】
吸着率(%)=(A−B)×100/A
本発明に用いられるエレクトレット不織布の目付は、好ましくは5〜50g/m2 、より好ましくは10〜30g/m2 である。目付が5g/m2 未満の場合では、製造、取り扱い上容易でなくなる場合があり、逆に50g/m2 を越えると、風合いが硬めな不織布となり、羽毛を使用した製品の本来の柔らかさ、軽さの特徴が失われる方向になるので好ましくない。
【0023】
エレクトレット不織布(単体)の前記フラジール法による通気量は、好ましくは10〜70cc/cm2 ・secであることが、該積層不織布シート全体の通気性を向上させる上で好ましい。
【0024】
エレクトレット不織布を構成するメルトブロー不織布は、製糸機構から未延伸糸に近く、強度が乏しいという問題があり、かかる問題を解決するために、該エレクトレット不織布の少なくとも片面に基材不織布を積層した積層不織布シートとするものである。布帛強度の点から、好ましくは該エレクトレット不織布の両面に該基材不織布を積層してなる3層積層構造、もしくはそれ以上の多層積層構造とするのがよい。
【0025】
すなわち、この基材不織布は、該エレクトレット不織布を外力から守るためのものであり、かつ柔らかく通気性があり、空気の抜け入りが容易である中袋を提供するという目的を果たす必要があり、したがって、かかる基材不織布の目付は、好ましくは5〜50g/m2 、より好ましくは10〜40g/m2 、特に好ましくは10〜35g/m2 の不織布がよい。すなわち、目付が5g/m2 未満では不織布の均一性、強度や耐久性が不足し用途によっては好ましくない場合があり、また、50g/m2 以上を越えると、通気性、柔軟性に乏しくなり、用途によっては好ましくない場合がある。
【0026】
基材不織布としては、スパンボンド不織布やスパンレース不織布が柔らかさや布帛の安定性の上から好ましく用いられるが、張力に対する変形性や、価格的な点からスパンボンド不織布の方が好ましく使用される。
【0027】
積層不織布は、該エレクトレット不織布を保護・補強する上から、積層不織布シートとして、3N以上の引裂き強力と、15N/5cm幅以上の引張り強度を有するものであることが好ましい。さらに好ましくは、5N以上の引裂き強力を有していること、20N/5cm幅以上の引張り強度を有することである。
【0028】
これらの引裂き強力や引張り強度が上述した値に満たない場合には、使用時の負荷によって積層不織布が変形した際、ひいてはエレクトレット不織布が変形した際に、羽毛から発する小さな羽毛屑などを該エレクトレット不織布が吸着保持する能力を良好に発揮できなくなる場合があるので、最終製品の設計に当たり注意が必要である。
【0029】
基材不織布を構成する素材としては、前記エレクトレット不織布と同様にポリオレフィン系繊維、中でもポリプロピレン繊維が好ましく使用される。
【0030】
本発明に用いられる積層不織布シートは、フラジール法による通気量が8cc/cm2 .sec以上であることが重要であり、好ましくは8〜100cc/cm2 .secであるものが、前記効果、すなわち羽毛から発生する微細羽毛体の抜け防止性に優れる上に、柔らかくて、軽くて通気性がよく、収納性、嵩高回復性のいずれにも優れた効果を奏する羽毛用中袋用シートを得る上で重要である。該フラジール法による通気量が8cc/cm2 .sec未満の場合は、空気の出入りの容易性が損なわれ、また100cc/cm2 .sec以上を越えると、羽毛から発する小さな羽毛屑の漏れが生ずるので望ましくない。
【0031】
かかる積層不織布シートは、超音波接着、熱エンボスあるいは縫製などの適宜の手段により、部分的に接合または接合されたり、キルティングして一体化されものが、該シートの積層状態の安定性の上から好ましく用いられるが、これらの手段中でも、超音波接着や熱エンボス接合が工程的にも簡単であるので好ましく用いられる。
【0032】
この接着時の注意点としては、接着部分が多すぎると、エレクトレット不織布の変形をもたらしたり、柔軟性や通気性が低下するので、接着部の面積比は全体の好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下とするのがよい。キルティングによる縫着部もこれに準じて少なくするのが良い。
【0033】
かかる積層不織布シートにおいて、それらの不織布の少なくとも1層が抗菌機能、防かび機能、抗アレルゲン機能の少なくとも1つ以上の機能を有するようにされていることが、用途上有用な特性を付加することができるので良い。
【0034】
好ましくは、かかる機能は、エレクトレット不織布以外の不織布、つまり基材不織布に機能付加するのが、エレクトレット性能の低下を来すことがないので好ましい。かかる機能は、相当する薬剤を繊維へ練り込んだり、もしくは不織布への後加工として機能付与するなど、いずれの方法でもよい。
【0035】
かかる抗菌剤としては、東亞合成(株)の銀系無機抗菌剤の商標名「ノバロン」やクラリアントジャパン(株)の商品名「JMACTMLP」等を適量塗布することで機能付与をすることができる。
【0036】
また、抗カビ剤としては、東亞合成(株)の無機/有機ハイブリッド防かび剤の「カビノン」、また、抗アレルゲン剤としては、松下電器(株)の商標名「アレルバスター」等の加工を施すことで効果的に所望の機能を付与することができる。
【0037】
本発明の羽毛用中袋用シートは、代表的には、袋状に縫製されて羽毛用中袋を構成する。該羽毛用中袋には羽毛が充填されて、羽毛充填シートを形成することにより、前記各種効果を奏する衣料や寝具などの羽毛充填製品を提供することができるものである。縫製は、通常のミシンのほか超音波ミシンなども適宜に使用できる。
【0038】
衣料の場合は、かかる羽毛充填シートのみでも使用することができるが、さらに表地および/または裏地で被覆することにより、よりシートの強度に優れた、より色彩豊かなファッション性を付与することができる。
【0039】
同様に寝具の場合も、かかる羽毛充填シートのみでも使用することができるが、さらに側地で被覆することにより、よりシート強度に優れた、より色彩豊かなファッション性を付与することができる。
【0040】
かかる側地、表地および裏地は、各種繊維布帛で構成することができるが、いずれにしても、従来の羽毛充填製品に使用されていた高密度織物に比して、格段に通気性や柔軟性に優れた布帛を使用することができる。
【0041】
本発明の羽毛充填シートは、たとえば、一般の綿、化繊の布団綿に使用する側地で構成し、布団としたり、中綿として樹脂綿からなる防寒着に使用する表地で構成し、衣料用防寒衣、または枕、帽子など羽毛を使用する寝具及び衣料に最適である。さらには、布団等において肌に触れる側地と羽毛用中綿構造体が取り外しが自由にできるので、肌に触れる側地を洗濯することもでき、清潔な状態で着用することができる。
【0042】
次に、本発明の羽毛用中袋用シートを図面により説明する。
【0043】
図1は、エレクトレット不織布1と、このエレクトレット不織布を両面から保護する基材不織布2、3で全体では3層積層構造としてなる羽毛用中袋用シートの構造をモデル的に示したものである。図示をすると、エレクトレット不織布1と、基材不織布2、3は強固に一体的に接合されているようにも見えるが、実際には、本発明の所期の効果が奏されるレベルで、部分的に接合されているのが通常なものであって、各不織布層間には空間も形成されてまた各層の動きもある程度は自由であり、通気性、柔らかさ、収納性、嵩高回復性などの各作用効果が確保されているものである。むろん、該エレクトレット不織布1と該基材不織布2との2層積層不織布シートでも、本発明の効果を奏するものである。また、3層よりも多い積層構造とされていてもよい。
【0044】
図2は、図1の3層積層構造の積層不織布シートを縫製して作られた羽毛用中袋4内に羽毛5を充填して構成された羽毛充填シートからなる寝具の断面模式図である。この寝具は、側地6で被覆されている。
【0045】
また、図2において、該積層不織布シートを縫製して作られた羽毛用中袋4内に羽毛5を充填して構成された羽毛充填シートからなる衣料の場合は、さらに該羽毛充填シートを表地および/または裏地で被覆したものが好ましく使用される。これらの側地、表地や裏地によって、寝具や衣料に色彩豊かなファッション性を付与することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。なお、実施例のダウンの抜け、引裂き強力、引張り強度についての測定評価は、下記試験方法にしたがった。
【0047】
<ダウンの抜け試験>
作成したサンプルを両手で持ち、200回、90秒にわたり、等速度で圧縮、解除を繰り返した。この作業を黒色のビロード作業台の上で行い、落ちてきた羽毛、羽毛屑を目視で本数を計測する方法で、この作業を2回繰り返し、下記基準で級判定した。
3個以下 5級
4〜10個 4級
11〜16個 3級
17〜25個 2級
26個以上 1級
【0048】
<通気量>
フラジール法(JIS L1906(一般長繊維不織布試験方法))に従って求めた。
<引裂き強力>
JIS L1096(一般織物試験方法)に従って求めた。本発明では、経方向及び緯方向の引き裂き強力を求めて弱い方の値を採用したものである。
<引張り強度>
JIS L1096(一般織物試験方法)に従って求めた。本発明では、経方向及び緯
方向の引張り強度を求めて弱い方の値を採用したものである。
【0049】
実施例1
ポリプロピレン繊維からなるメルトブロー不織布をエレクトレット加工して作られた、東レ・ファインケミカル株式会社製エレクトレット不織布「トレミクロン(登録商標)EF03010」(目付:30g/m2 )の両面に、三井化学(株)製ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布(目付:18g/m2)を積層し、熱エンボスをかけて部分接着(接着部面積比率:1%)をさせ、3層構造からなる積層不織布シートを得て、該積層不織布シートを用いて羽毛用中袋用シートを作成した。
【0050】
該積層不織布シートのフラジール法による通気量は13cc/cm2 .secであった。
【0051】
この羽毛用中袋用シートを用いて、29.5cm角の袋を縫製して羽毛用中袋を作成し、この中にダウン90重量%、フェザー10重量%からなるホワイトグースダウン30gを投入・充填して羽毛充填シートを作成した。
【0052】
別に、側地として、通常のポリエステル中綿用側地でフラジール法による通気量が20cc/cm2 .sec(一般綿織物)で、30cm角の袋を作成し、上記羽毛充填シートを入れて包み込んで、寝具として布団状サンプルを作成した。
【0053】
この布団状サンプルのダウン抜け評価結果は、前述の評価基準で5級を示し、非常に優れたものであった。
【0054】
実施例2
実施例1において、エレクトレット不織布として、東レ・ファインケミカル(株)製ポリプロピレン繊維メルトブロー不織布からなるエレクトレット不織布「トレミクロン(登録商標)EW02010」(目付:20g/m2 )を使用する以外は実施例1と全く同様にして、布団状サンプルを作成した。
【0055】
該積層不織布シートのフラジール法による通気量は、120cc/cm2 .secであった。
【0056】
この布団状サンプルのダウン抜け評価結果は3級を示し、実施例1のものに比較するとやや劣るものの、従来の類似のものよりは格段に優れていると評価できるものであった。
【0057】
比較例1、2、3
実施例1において、側地として通常のポリエステル中綿用側地生地でフラジール法による通気量が20cc/cm2 .sec(一般綿織物)の側地用生地を用い(比較例1)、通常のダウンループ加工生地でフラジール法による通気量が1.6cc/cm2 .sec(高密度綿織物)の側地用生地を用い(比較例2)、また、通常のポリエステル中綿用側地生地(一般綿織物)にポリウレタンコーティングして目詰めし、フラジール法による通気量が9.8cc/cm2 .secの側地用生地(比較例3)を用い、合計で3種類の側地用の生地を用いて30cm角の袋を作成した以外は、実施例1と同様にして、羽毛用中袋用シートを作成し、さらに布団状サンプルを作成した。
【0058】
この布団状サンプルのダウン抜け評価結果は、それぞれ比較例1が1級、比較例2が5級、比較例3が3−4級を示した。
【0059】
ポリエステル中綿用側地生地、ポリエステル中綿用側地(一般綿織物)生地にポリウレタンコーティングして目詰めした側地では、満足できる水準でなく、ダウンループ加工生地は、良好な結果であったが、軽く、嵩高なダウンを使用しても結果として硬く、かつダウンの嵩高さ性を自由分に発揮できず、空気の抜け入りが遅いため、畳みにくく収納性が悪いばかりでなく、着用時には嵩高さの回復に時間がかかるという望ましくないものであった。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明にかかる羽毛用中袋用シートの一構造例を示す断面概略モデル図である。
【図2】図2は、本発明にかかる寝具の一例構造を示す断面概略モデル図である。
【符号の説明】
【0061】
1:エレクトレット不織布
2、3:基材不織布
4:羽毛用中袋
5:羽毛
6:側地(表地、裏地)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトレット不織布の少なくとも片面に基材不織布を積層してなる積層不織布シートであって、該積層不織布シートのフラジール法による通気量が8cc/cm2 .sec以上であることを特徴とする羽毛用中袋用シート。
【請求項2】
該積層不織布シートが、該エレクトレット不織布の両面に該基材不織布を積層してなる3層積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項3】
該積層不織布シートのフラジール法による通気量が、8〜100cc/cm2 .secであることを特徴とする請求項1または2に記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項4】
該エレクトレット不織布の目付が、5〜50g/m2 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項5】
該基材不織布の目付が、5〜50g/m2 であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項6】
該積層不織布シートが、部分的に接着またはキルティングされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項7】
該積層不織布シートが、ポリオレフィン系繊維で構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項8】
該積層不織布シートを構成する不織布の少なくとも1層が抗菌機能、防かび機能および抗アレルゲン機能のうち少なくとも1種の機能性を付与されているものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項9】
該積層不織布シートが、3N以上の引裂き強力と、15N/5cm幅以上の引張り強度を有するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の羽毛用中袋用シート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の羽毛用中袋用シートを袋状に縫製してなることを特徴とする羽毛用中袋。
【請求項11】
請求項10に記載の羽毛用中袋に、羽毛を充填してなることを特徴とする羽毛充填シート。
【請求項12】
請求項11に記載の羽毛充填シートで構成されていることを特徴とする衣料。
【請求項13】
前記羽毛充填シートが、表地および/または裏地で被覆されていることを特徴とする請求項12に記載の衣料。
【請求項14】
請求項11に記載の羽毛充填シートが側地で被覆されて構成されてなることを特徴とする寝具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−89865(P2006−89865A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275121(P2004−275121)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【出願人】(591034143)西川リビング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】