説明

翻訳後修飾ペプチドの検出および配列決定方法

翻訳後修飾ペプチドの検出および配列決定を行う方法が開示され、同方法においては、負イオンプリカーサースキャン(1)を実行する。次に、負イオン高分解能MSスキャン(4)を実行し、次に、正イオンモードにおけるMRMチャンネルを決定し、モニタリングする(5)。次に、正イオンMS/MSスキャンを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年5月29日に出願された米国仮出願第61/182,123号および2009年5月29日に出願された英国特許出願第0909285.9号の優先権および恩典を主張するものである。これら出願の全ての内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、質量分析の分野に関し、特に、翻訳後修飾ペプチドの質量分析計を用いた検出および同定に関する。
【0003】
ペプチドは、mRNAメッセージをタンパク質配列へと翻訳する処理の際にアミド結合を介して互いに結合した一般に存在する20のアミノ酸で構成される。これらのポリペプチドの翻訳後修飾は広範に生じ、これらの修飾から生物学的機能が推測される場合が多いことが今では広く理解され認められている。相当数の修飾が生じ、一般的な修飾としては、リン酸化、グリコシル化、ミリスチル化、アセチル化、メチル化およびユビキチン化(ubiquinylation)がある。
【0004】
様々な産業でタンデム四重極質量分析計が広く使用されている。公知のタンデム四重極質量分析計は、第1の分解四重極質量フィルタ(MS1)および、その後に続く、当該第1の四重極質量フィルタの下流に配置されたガス充填衝突セルを備える。第2の分解四重極(MS2)が衝突セルの下流に配置される。従来、衝突セルは非分解四重極ロッドセットを備える場合が多いことから、これらの機器は「三連四重極」として知られている。
【0005】
タンデム四重極質量分析計の一般的な動作モードは多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring)(「MRM」)として知られており、このモードにおいて、第1の四重極質量フィルタMS1は、所定のプリカーサーイオンあるいは親イオンのみを移送するように設定され、当該イオンは、次に、衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。得られたフラグメントイオンは、次に、質量フィルタとして動作し、1つの所定のフラグメントイオンのみをイオン検出器へと前方移送するように設定された第2の四重極質量分析部(MS2)へ移送される。したがって、得られた検出信号は、特異性が高く、また感度が高いものとなる。
【0006】
上記公知のタンデム四重極機器の別の一般的な動作モードは「プリカーサーイオンあるいは親イオンスキャン」として知られており、このモードにおいて、第1の四重極質量フィルタMS1は、選択された質量範囲全体にわたってスキャンされ、移送されるイオンは、衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。第2の四重極質量フィルタMS2は、一定のフラグメント質量を移送するように設定される。得られた質量スペクトルは、フラグメンテーションされることで選択されたフラグメントイオンを生じたプリカーサーイオンあるいは親イオンのみを含んでいる。これもまた、特異性および感度が高い動作モードである。
【0007】
「娘イオンあるいはプロダクトイオンスキャン」またはMS/MSとしてさらなる動作モードが知られており、このモードにおいて、第1の四重極MS1は、選択されたプリカーサーイオンあるいは親イオンのみを移送するように設定され、当該イオンは、その後衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。次に、娘イオンあるいはプロダクトイオンの質量スペクトルを得ることを可能にするために、第2の四重極質量フィルタMS2を選択された質量範囲全体にわたってスキャンする。
【0008】
MSスキャンとは、MS1が分解を行うように設定されてスキャンされ、MS2は分解を行わないか、あるいはその逆であるスキャンである。MSスキャンにより、全ての親イオンあるいはプリカーサーイオンのスペクトルが生成される。
【0009】
PTMペプチドの検出および配列決定を行うためのMSに基づくいくつかの手法が知られている。これらは、インフュージョンと液体クロマトグラフィーとの両方に基づく分離方法をタンデム四重極システムやハイブリッド四重極−飛行時間質量分析部システムといった様々なMS機器構成と組み合わせて使用している。例えば、タンデム四重極に基づくシステム上で共通の構造モチーフを探索するプリカーサーイオンスキャンを用いることが知られている。しかしながら、これら公知の手法にはいくつかの問題がある。これらの手法は、狭ピーク幅(4〜10秒の間)のナノスケールの液体クロマトグラフィー分離に対応しなければならなくなってきている。このことにより、クロマトグラフピーク全体にわたって適当な点を得ることを確実にするためには、1つの完全な分析試験サイクルに1秒以上を要しないことが求められている。これは、ほとんどの公知の手法には当てはまらない。第2に、全てのペプチドの試験および配列決定を行い、非修飾ペプチドから修飾ペプチドを選別するために総当たり的な手法が用いられてきた。これには非常に時間がかかり、相当量の冗長なMS/MS情報の取得を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
翻訳後修飾ペプチドの検出および特性決定のための特異的で迅速な高感度の技術が所望される。
【0011】
したがって、改良された質量分析計および質量分析の方法を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本発明の一態様によると、
イオン源と、質量フィルタまたは質量分析部と、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い負の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングする工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、上記方法が、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring)チャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う従来の方法を示す。
【図2】図2は、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る方法を示す。
【図3A】図3Aは、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る包括的な方法を示す。
【図3B】図3Bは、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る包括的な方法を示す。
【図3C】図3Cは、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る包括的な方法を示す。
【図4A】図4Aは、4つのリンペプチド(すなわち、リン酸化ペプチド)を含む混合物に対して30eVおよび70eVにおいて実行した2回の負イオンプリカーサースキャンに対応する2つのマスクロマトグラムを示す。
【図4B】図4Bは、4つのリンペプチドに対する4回の負イオン高分解能MSスキャンを示す。
【図4C】図4Cは、4つのリンペプチドに対する6つのMRMトランジション(MRM transitions)についての得られたMRM強度を示す。
【図4D】図4Dは、正イオンのフルスキャンMS/MS質量スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の別の態様によると、
イオン源と、質量フィルタまたは質量分析部と、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い負イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行う工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、上記方法が、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法が提供される。
【0015】
本発明の好ましさが劣る別の態様によると、
イオン源と、質量フィルタまたは質量分析部と、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い正の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングする工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、上記方法が、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法が提供される。
【0016】
本発明の好ましさが劣る別の態様によると、
イオン源と、質量フィルタまたは質量分析部と、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い正イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行う工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、上記方法が、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法が提供される。
【0017】
多重反応モニタリングチャンネルは、好ましくは、質量電荷比の半値幅がxDaとなるように構成され、xは、(i)<0.1;(ii)0.1〜0.2;(iii)0.2〜0.3;(iv)0.3〜0.4;(v)0.4〜0.5;(vi)0.5〜0.6;(vii)0.6〜0.7;(viii)0.7〜0.8;(ix)0.8〜0.9;および(x)0.9〜1.0からなる群から選択される。
【0018】
上記方法は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いてイオンをイオン化する工程を好ましくはさらに含む。
【0019】
一実施形態によると、上記方法は、イオン源を用いて分析種イオンをイオン化する前に、液体クロマトグラフィー装置を用いて目的の分析種イオンを時間的に分離する工程をさらに含む。
【0020】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス;(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス;(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス;(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス;(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス;(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス;(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス;(viii)赤外放射誘起解離デバイス;(ix)紫外放射誘起解離デバイス;(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス;(xi)インソースフラグメンテーションデバイス;(xii)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス;(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス;(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス;(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス;(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス;(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス;(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス;(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス;(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス;(xxiii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応デバイス;(xxiv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応デバイス;(xxv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応デバイス;(xxvi)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス;(xxvii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス;および(xxviii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される。
【0021】
本発明の別の態様によると、
イオン源、質量フィルタまたは質量分析部、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い負の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングするように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、制御システムがさらに、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、
質量分析計が提供される。
【0022】
本発明の別の態様によると、
イオン源、質量フィルタまたは質量分析部、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い負イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行うように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、制御システムがさらに、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計が提供される。
【0023】
本発明の好ましさが劣る別の態様によると、
イオン源、質量フィルタまたは質量分析部、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い正の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングするように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、制御システムがさらに、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計が提供される。
【0024】
本発明の好ましさが劣る別の態様によると、
イオン源、質量フィルタまたは質量分析部、第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに、
第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い正イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行うように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、制御システムがさらに、
(i)第1の質量フィルタもしくは質量分析部または第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計が提供される。
【0025】
上記質量分析計は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を好ましくはさらに備える。
【0026】
一実施形態によると、上記質量分析計は、
1つ以上のイオンガイドならびに/または
1つ以上のイオン移動度分離デバイスおよび/もしくは1つ以上のフィールド非対称イオン移動度分光計デバイスならびに/または
1つ以上のイオントラップもしくは1つ以上のイオントラップ領域をさらに備える。
【0027】
衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、好ましくは、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス;(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス;(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス;(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス;(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス;(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス;(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス;(viii)赤外放射誘起解離デバイス;(ix)紫外放射誘起解離デバイス;(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス;(xi)インソースフラグメンテーションデバイス;(xii)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス;(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス;(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス;(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス;(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス;(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス;(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス;(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス;(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス;(xxiii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応デバイス;(xxiv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応デバイス;(xxv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応デバイス;(xxvi)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス;(xxvii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス;および(xxviii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される。
【0028】
本発明の好適な実施形態は、質量分析を用いた方法であって、ペプチド上の翻訳後修飾部位を検出し、次に配列決定を行うために用いることが可能な方法に関する。(i)いつPTMペプチドが存在するかを判定し;(ii)修飾ぺプチドの質量電荷比および電荷状態を測定し;かつ(iii)その後、アミノ酸配列内の修飾位置を正確に示すように構造情報を特定するために、この方法には、好ましくは、異なるスキャンモードの組み合わせを用いた質量分析と併用した液体クロマトグラフィーによるタンパク質試料の分析が組み入れられる。
【0029】
本発明の一実施形態によると、
負イオンモードにおいてプリカーサーイオンスキャンを実行して、フラグメンテーションされることで特定のフラグメントイオンを生じる負電荷のプリカーサーを同定し、
同定されたプリカーサーに対して質量分解能が高い負イオンスキャンを必要に応じて実行して、その質量および電荷状態を正確に測定し、
正イオンモードにおいてモニタリングを行うための多重MRMチャンネルを決定して、既に同定された負電荷のプリカーサーの最も強い正イオンおよび電荷状態を同定し、
同定されたプリカーサーに対してプロダクトイオンスキャンまたはMS/MSスキャンを実行する、方法が開示される。
【0030】
好適な実施形態によると、正イオンの電荷状態が負イオンモードにおけるものと同じ電荷状態であると仮定するのではなく、正イオンの最も多い電荷状態が同定される。
【0031】
<図面の簡単な説明>
ここで、添付の図面を参照しながら、あくまでも例示として、本発明の種々の実施形態を説明する。図面において、
図1は、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う従来の方法を示し、
図2は、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る方法を示し、
図3A〜図3Cは、翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う本発明の一実施形態に係る包括的な方法を示し、
図4Aは、4つのリンペプチド(すなわち、リン酸化ペプチド)を含む混合物に対して30eVおよび70eVにおいて実行した2回の負イオンプリカーサースキャンに対応する2つのマスクロマトグラムを示し、図4Bは、4つのリンペプチドに対する4回の負イオン高分解能MSスキャンを示し、図4Cは、4つのリンペプチドに対する6つのMRMトランジション(MRM transitions)についての得られたMRM強度を示し、図4Dは、正イオンのフルスキャンMS/MS質量スペクトルを示す。
【0032】
<発明の詳細な説明>
翻訳後修飾ペプチドの同定および特性決定を行う従来の方法が図1に示され、同方法は、比較的分解能が低い負イオンプリカーサーイオンあるいは親イオンスキャンを実行して、目的の特定の質量電荷比を有する負電荷のフラグメントイオンを生じる親イオンを同定する工程を含む。次に、分解能が高い正イオンMSスキャン2を実行して、対応する目的の正電荷の親イオンの質量電荷比を正確に測定する。次に、目的の親イオンを同定するために正イオンMS/MSスキャン3を行う。
【0033】
従来の技術によると、1価の負の親イオンが目的の親イオンであると判定された場合、対応する正電荷の親イオンの電荷もまた1価であると仮定とされる。しかしながら、この仮定は正しくない可能性がある。以下に詳述する好適な実施形態によると、好適な実施形態によればこのような仮定はなされない。
【0034】
本発明の好適な実施形態は、翻訳語修飾タンパク質(一般に酵素消化または化学消化によって処理されて翻訳後修飾ペプチドを生成する)のタンデム質量分析計上での新規な取得方法と組み合わせた液体クロマトグラフィーによる分析に関する。その基本的な概念を図2に示し、これをリン酸化ペプチドの場合について以下に説明する。
【0035】
本発明の一実施形態によると、ペプチドは、液体クロマトグラフィーによって分離され、次に、質量分析計(「MS」)のエレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源またはナノESIイオン源に入るように配置される。この質量分析計は、第1の四重極質量フィルタ(MS1)と、その後に続く、当該第1の四重極質量フィルタの下流に配置されたガス充填衝突セルを備える。第2の四重極質量フィルタ(MS2)が衝突セルの下流に配置されている。衝突セルは、好ましくは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメンテーションするように構成されている。
【0036】
他の好ましさが劣る実施形態によると、第1および/または第2の四重極質量フィルタは、その他の形態の質量フィルタまたは1つ以上の質量分析部で置き換えてもよい。また、CID衝突セルは、電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイスを含む他の形態のフラグメンテーションデバイスで置き換えてもよい。
【0037】
好ましさが劣る実施形態によると、第1の四重極質量フィルタMS1と、四重極衝突セルと、第2の四重極質量フィルタまたは分析部MS2とを備える三連四重極構成を用いる代わりに、四重極質量フィルタ/分析部と、フラグメンテーションデバイスと、飛行時間質量分析部とを備えるハイブリッド四重極−飛行時間質量分析計を用いてもよい。
【0038】
図2に示す本発明の好適な実施形態の第1のステップ1において、質量分析計は、好ましくは、負電荷のフラグメントイオンを検出するように構成され、親イオンスキャンモードあるいはプリカーサーイオンスキャンモードで動作し、このモードにおいて、第2の四重極ロッドセットMS2は、分解モードで動作し、衝突セルまたはフラグメンテーションデバイスから現れ、共通の構造モチーフの質量電荷比を有するフラグメントイオンのみを移送するように設定される。第1の質量フィルタMS1は、分解を行うように設定され、スキャンされる。
【0039】
好適な実施形態によると、第2の四重極ロッドセットまたは第2の質量フィルタMS2は、質量電荷比が79(PO3−)であるフラグメントイオンあるいはプロダクトイオンを移送するように設定してもよい。質量電荷比が79であるフラグメントイオンあるいはプロダクトイオンが検出されると(例えば、閾値を超えることにより)、上記方法は、次に、好ましくは、第2のステップ4に進み、ここで、上記機器は、好ましくは、1つ以上のプリカーサーイオンあるいは親イオンの質量電荷比および電荷状態を測定するために、負イオンモードにある間に狭いMSスキャンを実行するように構成される。MSスキャン4は、MS1を分解するように設定するとともにMS1をスキャンし、MS2を非分解とするか、あるいはその逆を行うことで実行される。
【0040】
次に、MSスキャンステップ4の直後に第3のステップ5が行われることが好ましく、ここで、質量分析計は、好ましくは、正イオンモードに速やかに切り替えられ、負イオンモードスキャンから特定された情報に基づいて、上記機器は、好ましくは、モニタリングすべきいくつかの多重反応モニタリング(MRM)チャンネルを決定する。モニタリングすべきMRMチャンネルは、負イオン試験から得られたMS情報(プリカーサーイオンあるいは親イオンの質量電荷比値)と、選択されたイオンのうち1つのイオンがリン酸化されており、したがって、H3PO4のニュートラルロスを示すかあるいはホスホチロシン残基(質量電荷比216)の低質量電荷比マーカーイオン(インモニウムイオン)を示すという仮定とに基づいて計算される。これにより、MRMチャンネルが選択され、モニタリングされる。MRMチャンネルは、好ましくは、約0.7Daという狭い半値幅を有する。
【0041】
次に、これらMRM測定の信号強度を結果として用いて、修飾されているイオンはどれか、そして、正イオンモードにおいて観察された質量電荷比および電荷状態のうち最も強いものはどれかが判定されるのが好ましい。あるいは、MRMチャンネルを設定しモニタリングする代わりに、小さい質量範囲にわたる質量スキャンを取得してもよい。しかしながら、請求の範囲においては、MRMチャンネルの設定およびモニタリングへの言及は、狭い質量電荷比範囲にわたる狭いスキャンが実行される実施形態を含むものとして理解される。
【0042】
最後に、第4のステップ3において、好ましくは、プロダクトイオンまたはMS/MSのフルスペクトルをリン酸化ペプチドについて取得して、ペプチドの配列およびリン酸化の部位を決定する。この動作モードにおいて、MS1は、特定の質量電荷比を有する親イオンを移送するように設定され、次に、親イオンは、衝突セルにおいてフラグメンテーションされる。次に、得られたフラグメントイオンは、スキャンを実行するように設定されたMS2によって質量分析される。
【0043】
この基本的な方法は、多数の成分および多数のニュートラルロス(またはニュートラルゲイン)を同一の方法を用いてモニタリングすることができるように拡張してもよい。このような方法のフローチャートの一例を図3A〜図3Cに示す。図3Cにおいて、Scan/WaveDSスキャンの実行について言及する。これは、MS/MSスキャンあるいは娘イオンスキャンが実行されることを意味するものであると理解されるべきである。好適な一実施形態によると、MS/MSスキャンは、Scan/Wave(登録商標)機器を用いて実行してもよく、ここで、イオンは、装置の出口に配置された単一の擬電位障壁を有するイオントラップから射出される。イオンは、好ましくは、イオンが装置の出口に向かって駆動されるように、イオントラップを形成する電極に1つ以上の過渡DC電圧を印加することによって擬電位障壁に向かって駆動される。電位障壁の高さは変更してもよい。
【0044】
一実施形態によると、スキャンまたは測定のうち一部は、走査四重極を用いてではなく、リニアイオントラップ質量分析部または飛行時間質量分析部といった他の種類の質量分析部を用いて実行してもよい。
【0045】
好適な実施形態によるPTM検出方法をXEVO(登録商標)TQタンデム四重極(ウォーターズコーポレーション(Waters Corporation)、マンチェスター)上でWaters(登録商標)MPDSリンペプチド混合物(186003285)を用いて試験した。この混合物は、4つのリンペプチド、すなわち、リン酸化ペプチド:(i)NVPL(pY)K;(ii)HLADL(pS)K;(iii)VNQIG(pT)LSESIK;および(iv)VNQIGTL(pS)E(pS)IKで構成されていた。試料は、1mMのEDTAおよび5mMのリン酸アンモニウム中で調製し、NanoAcquity(登録商標)UPLCをトラップモードで動作させて、クロマトグラフ分離を行った。各試料注入前に、50mMのEDTA(無勾配)のフルループ注入(Full loop injections)を行い、使用した勾配は、300nL/分にて、30分間で5〜40%Bであった。
【0046】
試験の第1の段階において、30eVおよび70eVの異なる衝突エネルギーにおいて、2回の負イオンプリカーサースキャンを実行し、79Daのフラグメントイオンについてモニタリングを行った。質量分析計は、第1の四重極質量フィルタQ1と、衝突セルと、第2の四重極質量フィルタ/分析部Q2とを備えていた。衝突エネルギーは、第1の四重極Q1と衝突セルとの間に適切な電圧差を設定することにより固定した。
【0047】
図4Aに2つの異なる衝突エネルギーについての得られたマスクロマトグラムを示す。4つのピークのうち少なくとも3つが容易に観察され、これらは、4つのリン酸化ペプチドのうち3つに対応している。
【0048】
いずれかのスキャンの強度が規定された閾値を超えると、分解能が高い負イオンMSスキャンを実行して、負イオンモードにおける各プリカーサーイオンあるいは親イオンについての正確な質量を測定するとともにその電荷状態を測定した。
【0049】
図4Bは、この混合物中の4つのリンペプチドについての得られたスペクトルを示す。同位体ピーク間隔から、図4Bに示す最初の2つのペプチドが1価であるのに対し、図4Cに示す3番目および4番目のペプチドは2価のペプチドであることは明らかである。
【0050】
この情報を用いて、考えられる正の電荷状態毎にMRMトランジションを設定し、pYインモニウムイオン(m/z216.1)の特性に加えてpTリンペプチドおよびpSリンペプチドのニュートラルロス特性を探索した。例えば、6つのMRMトランジションを設定し、図4Bに示すm/z861.4のプリカーサーイオンについてモニタリングを行った。これら6つのMRMトランジションは以下の通りである。
【0051】
【表1】

【0052】
次に、これら6つのMRMトランジションをモニタリングして、正イオンモードにおけるリンペプチドの最も強い電荷状態を同定した。4つのリンペプチドの全てについての得られたMRM強度を図4Cに示す。負イオンモードでは4つのペプチドのうち2つが1価であったのに対し、正イオンモードでは、最も強いイオンはすべての場合において2価であったことに注目することが重要である。
【0053】
最も強い正イオン電荷状態が特定されると、図4Dに示すようにペプチドの配列決定を行うことを可能にするためにScanWave増感プロダクトイオンスキャンを取得した。上記に詳述したように、ScanWaveプロダクトイオンスキャンは、実質的にMS/MSスキャンに相当し、配列情報の特定を可能にすることによって親イオンの同定を可能にする詳細なフラグメントイオンスペクトルを提供するものである。
【0054】
MRMチャンネルの代わりに小さい質量範囲にわたる質量スキャンが取得され得る好ましさが劣る実施形態について上記に言及した。しかしながら、MRMチャンネルの設定およびモニタリングに対する請求の範囲における言及は、MRMチャンネルが正確には固定されず、むしろ、例えば、0.1Daという狭い質量電荷比範囲にわたって狭い質量スキャンを実行する実施形態を包含するものであるとも理解される。このような実施形態は請求の範囲に含まれるものである。
【0055】
請求の範囲において、質量フィルタの「質量電荷比移送ウィンドウ」という表現が用いられている。本発明のいくつかの好ましさが劣る実施形態によると、特定の質量電荷比を有するイオンを選択するために従来の四重極質量フィルタ以外の装置を用いることができることが考えられる。このような状況において、当該装置は、少なくとも四重極質量フィルタと同じ意味では、質量電荷比移送ウィンドウで動作しない場合がある。したがって、質量電荷比移送ウィンドウを有する質量フィルタの使用は、好ましいものであるが必須ではない。
【0056】
好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく形態および内容ともに種々の変更を加え得ることが当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源と、第1の質量フィルタまたは質量分析部と、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い負の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングする工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記方法が、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring)チャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法。
【請求項2】
イオン源と、第1の質量フィルタまたは質量分析部と、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを前記第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い負イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行う工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記方法が、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法。
【請求項3】
イオン源と、第1の質量フィルタまたは質量分析部と、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い正の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングする工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記方法が、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法。
【請求項4】
イオン源と、第1の質量フィルタまたは質量分析部と、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスと、前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部とを備える質量分析計を準備する工程、
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを前記第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い正イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行う工程を含む、質量分析の方法であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記方法が、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行する工程、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定する工程、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定する工程、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定する工程、および
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する工程、
をさらに含む、質量分析の方法。
【請求項5】
前記多重反応モニタリングチャンネルは、質量電荷比の半値幅がxDaとなるように構成され、xは、(i)<0.1;(ii)0.1〜0.2;(iii)0.2〜0.3;(iv)0.3〜0.4;(v)0.4〜0.5;(vi)0.5〜0.6;(vii)0.6〜0.7;(viii)0.7〜0.8;(ix)0.8〜0.9;および(x)0.9〜1.0からなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源を用いてイオンをイオン化する工程をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
イオン源を用いて前記分析種イオンをイオン化する前に、液体クロマトグラフィー装置を用いて目的の分析種イオンを時間的に分離する工程をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項8】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス;(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス;(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス;(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス;(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス;(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス;(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス;(viii)赤外放射誘起解離デバイス;(ix)紫外放射誘起解離デバイス;(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス;(xi)インソースフラグメンテーションデバイス;(xii)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス;(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス;(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス;(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス;(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス;(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス;(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス;(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス;(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス;(xxiii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応デバイス;(xxiv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応デバイス;(xxv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応デバイス;(xxvi)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス;(xxvii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス;および(xxviii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の質量分析の方法。
【請求項9】
イオン源、第1の質量フィルタまたは質量分析部、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い負の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングするように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記制御システムがさらに、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、
質量分析計。
【請求項10】
イオン源、第1の質量フィルタまたは質量分析部、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを前記第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い負イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行うように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記制御システムがさらに、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い負のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第1の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第2の正イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の正の電荷状態を有する正イオンに対応する第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の正イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計。
【請求項11】
イオン源、第1の質量フィルタまたは質量分析部、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを固定する、比較的分解能が低い正の親イオンスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比を有する目的の第1のフラグメントイオンをモニタリングするように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記制御システムがさらに、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計。
【請求項12】
イオン源、第1の質量フィルタまたは質量分析部、前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の下流に配置された衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイス、および前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスの下流に配置された第2の質量フィルタまたは質量分析部、ならびに、
前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンしながら、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを前記第1の質量フィルタまたは質量分析部と同期してスキャンする、比較的分解能が低い正イオンのニュートラルロススキャンまたはニュートラルゲインスキャンを実行するとともに、第1の質量電荷比差を有する目的の第1のフラグメントイオンのモニタリングを行うように構成および適合された制御システムを備える、質量分析計であって、
目的の第1のフラグメントイオンが検出された場合、前記制御システムがさらに、
(i)前記第1の質量フィルタもしくは質量分析部または前記第2の質量フィルタもしくは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンし、他方の質量フィルタまたは質量分析部を非分解動作モードで動作させる、比較的分解能が高い正のMSスキャンを実行し、
(ii)少なくとも、第1の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第1の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第2の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第2の負イオン多重反応モニタリングチャンネルと、第3の負の電荷状態を有する負イオンに対応する第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルとを決定し、
(iii)少なくとも前記第1、第2および第3の負イオン多重反応モニタリングチャンネルを設定およびモニタリングするとともに、観察されたイオンの強度が最も高いのはどの多重反応モニタリングチャンネルであるかを特定し、
(iv)観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対応する親イオンの質量電荷比および/または電荷状態を測定し、かつ
(v)前記第1の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウを、前記観察されたイオンの強度が最も高い多重反応モニタリングチャンネルに対して前記第1の質量フィルタまたは質量分析部が設定された質量電荷比移送ウィンドウに対応するように設定し、前記第2の質量フィルタまたは質量分析部の質量電荷比移送ウィンドウをスキャンする、MS/MSスキャンを実行する、質量分析計。
【請求項13】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)熱スプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える、請求項9〜12のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項14】
イオン源を用いて前記分析種イオンをイオン化する前に、目的の分析種イオンを時間的に分離するように構成および適合された液体クロマトグラフィー装置をさらに含む、請求項9〜13のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項15】
1つ以上のイオンガイドならびに/または
1つ以上のイオン移動度分離デバイスおよび/もしくは1つ以上のフィールド非対称イオン移動度分光計デバイスならびに/または
1つ以上のイオントラップもしくは1つ以上のイオントラップ領域をさらに備える、請求項9〜14のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項16】
前記衝突、フラグメンテーションまたは反応デバイスは、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーションデバイス;(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス;(iii)電子移動解離(「ETD」)フラグメンテーションデバイス;(iv)電子捕獲解離(「ECD」)フラグメンテーションデバイス;(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス;(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス;(vii)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス;(viii)赤外放射誘起解離デバイス;(ix)紫外放射誘起解離デバイス;(x)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス;(xi)インソースフラグメンテーションデバイス;(xii)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス;(xiii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス;(xiv)電界誘起フラグメンテーションデバイス;(xv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス;(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス;(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス;(xix)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス;(xx)イオン−準安定イオン反応フラグメンテーションデバイス;(xxi)イオン−準安定分子反応フラグメンテーションデバイス;(xxii)イオン−準安定原子反応フラグメンテーションデバイス;(xxiii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−イオン反応デバイス;(xxiv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−分子反応デバイス;(xxv)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−原子反応デバイス;(xxvi)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定イオン反応デバイス;(xxvii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定分子反応デバイス;および(xxviii)イオンを反応させて付加イオンまたはプロダクトイオンを形成するイオン−準安定原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項9〜15のいずれかに記載の質量分析計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate


【公表番号】特表2012−528318(P2012−528318A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512453(P2012−512453)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001077
【国際公開番号】WO2010/136780
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】