説明

翻訳支援装置及び翻訳支援プログラム

【課題】翻訳品質、即ち校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳料が算出される翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る翻訳支援装置では、翻訳者により翻訳された翻訳文と、翻訳文に応じて算出される規定翻訳料が規定された規定翻訳料テーブルと、翻訳文の校正内容に応じて減額される翻訳料が規定された減額料テーブルとを記憶する記憶手段と、校正用画面を生成する画面生成手段と、校正用画面を前記校正者端末に送信し、校正用画面を介して前記校正翻訳文と、翻訳文の校正内容が記録された校正記録とを前記校正者端末から受信する通信手段と、翻訳文と規定翻訳料テーブルとに基づき規定翻訳料を算出し、校正記録と減額料テーブルとに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する翻訳料算出手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
OA機器等、外国に輸出されることを前提として生産される製品では、そのマニュアルについても輸出先の外国語に翻訳したマニュアルを用意する必要があるため、原文マニュアル(例えば英語)から、翻訳文(例えば各国言語)への翻訳作業が必要となる。
【0003】
従来より、メーカーが翻訳業者に翻訳業務を発注するに際し、原文の製作から、翻訳発注、翻訳、校正、納品、最終的な製本、請求に至るまで、マニュアル翻訳業務の一連のプロセスをWeb上で一元管理可能な翻訳支援システムが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
このような翻訳支援システムを利用した翻訳業務においては、一般に(1)メーカーによる原文の製作、(2)メーカーによる翻訳業者への翻訳業務の発注、(3)翻訳業者による原文の翻訳作業、(4)メーカーの校正者による翻訳文の校正作業、(5)翻訳文の納品、(6)DTP(Desktop Publishing)の作業、(7)メーカーから翻訳業者への翻訳料支払い、といった各作業プロセス(工程)を経る。
【0005】
(1)まずメーカーは原文マニュアルを製作する。原文は例えば日本語のものが考えられるが、世界各国の多言語に翻訳される必要がある場合、英語の原文マニュアルが製作される場合も多い。
【0006】
(2)メーカーは、原文マニュアルの翻訳を行うにあたり、翻訳支援システムを通じて翻訳費用の見積り等を行いながら、翻訳業者の選定を行う。そしてメーカーは選定した翻訳業者に翻訳業務を発注する。
【0007】
(3)メーカーから、翻訳支援システムを通じて翻訳対象となるマニュアルの原文を受け取った翻訳業者は、これを適宜区分し、各翻訳者に割り当てる。各翻訳者は、自己に割り当てられた原文マニュアルを翻訳する。このとき翻訳者は翻訳支援システムにWebブラウザを介してアクセスし、Web画面上において、翻訳支援システムにより提供される翻訳メモリ(後述)を利用して効率的に翻訳作業を行う。各翻訳者による翻訳がすべて完了したところで、翻訳された各翻訳文は、翻訳支援システムを通じてメーカーに提出される。
【0008】
(4)メーカーの校正者は、翻訳支援システムのWeb画面上において、翻訳ミスなどがないかどうか、翻訳者により翻訳されたその翻訳文を確認、校正する。翻訳文に翻訳ミスなどの誤りがあれば、校正者自ら誤り箇所を校正する。またもしくは誤り箇所を翻訳業者へ連絡し、翻訳者は、連絡された誤り箇所に基づいて、翻訳文を訂正し、校正後の翻訳文を再び提出する。
【0009】
(5)校正を経た後、作成された翻訳文(翻訳済みマニュアル)は、最終的に翻訳業者からメーカーへ正式に納品される。
【0010】
(6)メーカー(又は翻訳業者でもよい)は、最終的な翻訳文(翻訳済みマニュアル)を所定のDTPソフトに基づいて編集し、編集後の翻訳文をPDFファイルとして出力する。
【0011】
(7)最後に、メーカーは翻訳支援システムを利用して翻訳実績に基づく支払帳票を出力し、その支払帳票に基づき翻訳業者へ翻訳料(代金)を支払う。なお翻訳料は一般に、翻訳ワード数にワード単価を乗じた金額がベースとなって計算されることが多い。
【0012】
以上のように翻訳支援システムでは、一連の上記プロセスをWeb上で一元管理可能できるようになっている。またさらに、翻訳支援システムは翻訳業務や校正業務において作業者が作業を効率的に行えるよう、以下のような各種支援ツールを提供している。
【0013】
例えば、翻訳者は、いわゆる翻訳メモリを搭載したこの翻訳ツールを用いて翻訳作業を効率的に進めることができる。翻訳メモリは、翻訳者らにより過去に翻訳された翻訳文(翻訳データ)と翻訳対象となった原文と関連付けて随時蓄積しているDB(データベース)である。この翻訳メモリを搭載した翻訳ツールを用いれば、過去に同一又は近似する原文について翻訳を行った翻訳文については、これを翻訳メモリから抽出(引当)・流用し、自動変換させることができ、翻訳者は、自動変換されていない箇所のみを新規に翻訳していけばよいため、翻訳を効率化することができる。
【0014】
また例えば、上記翻訳ツールを用いた翻訳における校正作業に際し、翻訳者により新規に翻訳された部分、即ち翻訳メモリの内容に基づいて自動変換した流用部分以外についてのみ校正の有無を確認すれば効率的である。従って各翻訳者が上記翻訳メモリを搭載した翻訳ツールにより翻訳した翻訳文を校正(確認)する際、当該翻訳メモリからの流用箇所と、当該翻訳者が新規に翻訳した箇所を識別可能に編集できる校正ツールにより、メーカーの翻訳校正者は、翻訳者が新規に翻訳した箇所だけを確認することで、校正作業を効率化できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここで、上述の(4)においては、メーカーの校正者は、翻訳支援システムのWeb画面上において、翻訳ミスなどがないかどうか、翻訳者により翻訳されたその翻訳文を確認、校正する作業を行うことになるが、いうまでもなく、マニュアル翻訳業務の一連のプロセスにおいて、翻訳業者による翻訳文について誤訳の有無をチェックし、誤訳があればこれを訂正する校正作業は、翻訳品質の観点から不可欠のプロセスといえる。
【0016】
しかし実際、校正者が確認すべき確認事項は、翻訳誤り、文法誤り、綴り誤りなど多岐に渡るので、たとえ上述のように翻訳ツールを利用し翻訳者により新規に翻訳された部分のみの確認作業であったとしても、誤り箇所が多かったり度々誤り箇所が存在したりすると、確認・校正作業に手間を要し、メーカーの校正者にとっては一定の負担となっていた。
【0017】
そしてこのような状況において、従来の翻訳支援システムでは、多く誤り箇所が存在するような翻訳案件でも、そうでない翻訳案件でも、いずれにも同等な翻訳料を対価として算出していた虜があり、翻訳品質や確認作業の手間などの観点から、算出される翻訳料に対して不公平が生じていた。即ちこのような場合、上述の(6)において公平で適正な翻訳料の算出の仕組みが望まれる。
【0018】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、翻訳品質、即ち校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳料が算出される翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供することを目的とする。より詳細には、校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳業者に支払われるべき翻訳料を客観的・定量的に減額する翻訳支援装置等を本発明により提案する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明に係る翻訳支援装置は、翻訳者の翻訳者端末と翻訳校正者の校正者端末とネットワークを介し接続され、翻訳対象となる翻訳対象原文の所定言語への翻訳作業及び校正作業を支援し、また翻訳業務の一連のプロセスを管理する翻訳支援装置であって、翻訳者により翻訳された翻訳文と、翻訳者により翻訳された翻訳文に応じて算出される規定翻訳料が規定された規定翻訳料テーブルと、校正者による翻訳文の校正内容に応じて減額される翻訳料が規定された減額料テーブルと、を記憶する記憶手段と、翻訳文の校正を行うための前記翻訳文を含む校正用画面を生成する画面生成手段と、前記校正用画面を前記校正者端末に送信し、前記校正用画面を介して前記校正翻訳文と、翻訳文の校正内容が記録された校正記録とを前記校正者端末から受信する通信手段と、翻訳者により翻訳された翻訳文と規定翻訳料テーブルとに基づき規定翻訳料を算出し、前記校正記録と減額料テーブルとに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する翻訳料算出手段と、を有する。
【0020】
また上記課題を解決するため、上記翻訳支援装置においては、前記校正用画面は、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する入力画面を含み、前記校正記録は、校正種別及び校正種別毎の校正数を含み、前記減額料テーブルは、校正種別毎に減額される翻訳料を規定し、前記翻訳料算出手段は、校正種別毎の減額される翻訳料に前記校正数を乗算して、前記減額料を算出する。
【0021】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、翻訳品質、即ち校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳料が算出される翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る翻訳支援システムの構成図である。
【図2】翻訳支援サーバ10の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。
【図3】各装置の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。
【図4】校正用画面の一例を示す。
【図5】校正種別及び校正箇所毎の校正数の入力画面の一例を示す。
【図6】校正記録の一例を示す。
【図7】規定翻訳料テーブルの一例を示す。
【図8】減額料テーブルの一例を示す。
【図9】支払帳票の一例を示す。
【図10】翻訳支援サーバ10の行う翻訳料算出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0025】
[システム構成]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る翻訳支援システムの構成図である。図に示されるように、本実施形態に係る翻訳支援システム100は、翻訳支援サーバ10、翻訳メモリ20、翻訳支援DB30、翻訳者端末40、校正者端末50、管理者端末60を含み構成され、ネットワーク90を介して相互に接続されている。説明の便宜上、翻訳者端末40、校正者端末50、管理者端末60は、各々1台のみ示すが、いうまでもなくこれらは複数台接続されうる。
【0026】
翻訳支援サーバ10は、本実施形態に係る翻訳支援装置であり、翻訳者端末40、校正者端末50、管理者端末60に対して翻訳支援を行うサーバである。上述したように、メーカーが翻訳業者に翻訳業務を発注するに際し、管理者端末60にて、原文の製作から、翻訳発注、翻訳、校正、納品、最終的な製本、請求に至るまで、マニュアル翻訳業務の一連のプロセスをWeb上で一元管理できる。また翻訳者の翻訳者端末40に対して、翻訳メモリを利用した翻訳機能を提供する。また校正者の校正者端末50に対して、翻訳校正機能を提供する。本実施形態の翻訳支援サーバ10は、各端末へのインターフェースとしてWebを採用しているので、いうまでもなくWebサーバとしての機能をも当然に備えている。
【0027】
翻訳メモリ20は、翻訳者らにより過去に翻訳された翻訳文(翻訳データ)と翻訳対象となった原文と関連付けて随時蓄積しているDBである。翻訳支援サーバ10は、翻訳メモリ20に蓄積された翻訳実績から新たに翻訳される原文とのマッチング(検索)を行い、マッチする過去の原文があれば、その原文に関連付いて蓄積されている翻訳文を引当てる。このように、過去に同一又は近似する原文について翻訳を行った翻訳文については、これを翻訳メモリから抽出(引当)・流用し、自動変換させることができ、翻訳者(翻訳者端末40)は、自動変換されていない箇所のみを新規に翻訳していけばよいため、翻訳を効率化できる。
【0028】
翻訳支援DB30は、今回新たに翻訳されるべき原文のデータ(原文ファイル)や、翻訳者に翻訳され校正前後の翻訳文のデータ(多言語ファイル)、翻訳の進捗状況を管理するデータ、またその他の翻訳料算出に使用される各種データ(規定翻訳料テーブル、減額料テーブル、校正記録、支払帳票等)などを格納する記憶手段である。図1にも示されるように、今回新たに翻訳されるべき原文のデータ(原文ファイル)は、翻訳業務発注にあたってメーカーにより予め格納される。また翻訳、校正された後、最終的な成果物である翻訳文は、多言語ファイルとして格納される。この翻訳文は当該翻訳文に対応する原文、新規翻訳箇所、翻訳文流用箇所などと関連付けて格納しておく。
【0029】
翻訳者端末40は、例えばPC(Personal Computer)のような端末でよく、翻訳者の翻訳業務を行う端末である。翻訳者は翻訳者端末40を操作して翻訳支援サーバ10にWebアクセスし、Webブラウザ上に翻訳用画面を表示させる。翻訳用画面には、新たに翻訳者によって翻訳されるべき原文が表示されるが、上述の翻訳支援サーバ10の翻訳支援機能により、翻訳メモリ20に蓄積された翻訳実績から新たに翻訳される原文(入力された原文ファイル)とのマッチング(検索)が行われ、マッチする過去の原文があれば、その原文に関連付いて蓄積されている翻訳文を引当てられたものも表示される。この場合、翻訳用画面には、翻訳メモリから抽出して流用し自動変換された翻訳文流用箇所と、翻訳メモリから流用できずに新規に翻訳が必要とされる新規翻訳箇所とが表示され、翻訳者は、翻訳効率向上の観点から新規翻訳箇所についてのみ翻訳作業を行うことができる。
【0030】
校正者端末50は、例えばPCのような端末でよく、メーカーの翻訳校正者が校正作業を行う校正用の端末である。校正者は校正者端末50を操作して翻訳支援サーバ10にWebアクセスし、Webブラウザ上に校正用画面を表示させる。校正用画面には、翻訳者に翻訳された翻訳文(成果物)が表示されるので、当該翻訳文を確認し翻訳文の校正作業を行う。また表示される翻訳文は、翻訳メモリから抽出して流用し自動変換された翻訳文流用箇所と、翻訳メモリから流用できずに翻訳者によって新規に翻訳された新規翻訳箇所とが表示されるので、校正効率向上の観点から新規翻訳箇所についてのみ校正作業を行うことができる。
【0031】
また、本実施形態に係る校正用画面では、翻訳誤りが発見され校正作業がなされた場合、誤り箇所(校正箇所)やその誤り数が記録できるようになっている。この記録情報は、翻訳業者への翻訳料の支払いに反映される。この点再度後述する。
【0032】
管理者端末60は、例えばPCのような端末でよく、メーカーの翻訳業務の管理を行う管理者用の端末である。管理者は管理者端末60を操作して翻訳支援サーバ10にWebアクセスし、Webブラウザ上に所定の管理画面を表示させ、原文の製作から、発注、翻訳、校正、納品、最終的な製本、請求に至るまで、マニュアル翻訳業務の一連のプロセスをWeb上で一元管理できる。
【0033】
管理者端末60では、請求段階で支払帳票を出力し、支払帳票の翻訳料に基づき翻訳料が翻訳業者に支払われる。このとき翻訳料は、校正段階において発見された誤り箇所(校正箇所)やその誤り数が、翻訳料の支払いに反映されるようになっている。詳細は後述するが、例えば校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳業者に支払われるべき翻訳料は減額される。
【0034】
ネットワーク90は、例えばインターネット網であり、各装置や端末を相互通信可能に接続するネットワークである。
【0035】
(ハードウェア)
ここで、翻訳支援サーバ10のハードウェア構成について簡単に説明しておく。図2は、翻訳支援サーバ10の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。翻訳支援サーバ10は、主要な構成として、CPU101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶装置104、記憶媒体読取装置105、入力装置106、表示装置107、及び通信装置108を含む構成である。
【0036】
CPU101は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM102は、CPU101で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM103は、CPU101がROM102に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
【0037】
補助記憶装置104は、汎用のOS(Operating System)、翻訳支援ツール・プログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。上述の翻訳メモリ20や翻訳支援DB30は、この補助記憶装置104に構築することもできるし、翻訳支援サーバ10外部の他の補助記憶装置に構築することもできる。
【0038】
入力装置106は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置106は、マウス、キーボード、表示装置107の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。表示装置107は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。
【0039】
通信装置108は、ネットワークを介して他の機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0040】
(機能)
次に、翻訳支援サーバ10、翻訳者端末40、校正者端末50の機能構成についてそれぞれ簡単に説明する。
【0041】
図3は、各装置の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。翻訳支援サーバ10は、主要な機能として、記憶手段30、画面生成手段11、通信手段12、翻訳料算出手段13、翻訳支援処理手段14を有している。
【0042】
記憶手段30は、図に示されるように、今回新たに翻訳されるべき原文の原文ファイル31、翻訳者に翻訳された翻訳文32、校正者により翻訳文が校正された校正翻訳文33、規定翻訳料テーブル34、減額料テーブル35、支払帳票36、校正記録37、その他翻訳の進捗状況を管理するデータなどの情報を格納する記憶手段である。これら情報については後述する。
【0043】
画面生成手段11は、翻訳文の校正を行うための翻訳文32を含む校正用画面を生成する機能を有している。生成された校正用画面は、校正者端末50に送信される。校正者端末50は校正用画面を表示し、校正者はこの校正用画面を介して翻訳文の校正作業を行う。また校正用画面は、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力できるようになっており、校正者は翻訳文の校正内容に応じて、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する。また校正用画面は、校正者が翻訳者により翻訳された翻訳文32の校正を行うための画面であるので、校正用画面には、原文と翻訳文32が表示される。またさらに、翻訳文32は、翻訳者によって新規に翻訳された新規翻訳文と、翻訳メモリ20から過去の翻訳実績を引き当てて流用した流用翻訳文を含むようにすることができる。これにより、校正者は新規翻訳文のみ校正作業を行えばよいので校正作業の効率化を図ることができる。
【0044】
通信手段12は、校正用画面を校正者端末50に送信する。また校正用画面を介して校正者により校正された校正翻訳文と翻訳文の校正内容が記録された校正記録37とを校正者端末50から受信する機能を有している。
【0045】
翻訳料算出手段13は、翻訳者により翻訳された翻訳文32と規定翻訳料テーブル34とに基づき規定翻訳料を算出し、校正記録37と減額料テーブル35とに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する。算出された支払翻訳料の額は、支払帳票36に反映される。
【0046】
翻訳支援処理手段14は、翻訳支援処理全般を担う機能を有している。例えば、翻訳メモリ20から、翻訳対象となる原文(原文ファイル31)と一致する過去原文を検索する機能(検索手段)、検索された過去原文と関連付けて蓄積された過去翻訳文を取得し、翻訳対象となる原文を過去翻訳文に変換した流用翻訳文を生成する機能(変換生成手段)、この流用翻訳文を原文とともに表示させる翻訳者用画面を生成する機能(翻訳者用画面生成手段)、翻訳文を過去翻訳文とし当翻訳対象となった原文を過去原文として共に関連付けて、翻訳メモリ20に蓄積する機能(翻訳メモリ更新機能)、などを行うことができる。なお、翻訳支援処理のより詳細に関しては、上述の特許文献1、2の翻訳支援装置の有する処理手段を参照できる。
【0047】
次に、翻訳者端末40は、翻訳者の使用するPCであり、翻訳者記憶手段41、翻訳者通信手段42、翻訳者入力手段43、翻訳者表示手段44、翻訳者処理手段45とからなる。
【0048】
翻訳者記憶手段41は、例えば、メモリ、レジスタ、ハードディスクである。当該翻訳者記憶手段41は、HTML(hyper text markup language)で組まれた情報を閲覧するブラウザの制御情報を格納する。更に、翻訳支援サーバ10から翻訳対象となる原文(流用翻訳文を含む)を受信し、これについての入力された翻訳文を再び翻訳支援サーバ10に送信するための情報送受制御情報と、翻訳者から当該原文に関する新規翻訳文の入力を受け付ける翻訳インターフェースを表示するための翻訳インターフェース制御情報とからなる翻訳者端末制御プログラムを、上記ブラウザの制御情報のプラグインとして格納している。
【0049】
翻訳者通信手段42は、ネットワーク90を介して外部装置と通信を行う装置である。また翻訳者入力手段43は、例えば、キーボード、マウスなど各種入力装置である。また翻訳者表示手段44は、例えば、コンピュータディスプレイである。
【0050】
翻訳者処理手段45は、例えばCPUを含み、分散処理を行う複数の演算手段を含んでもよい。当該翻訳者処理手段45は、上記翻訳者端末制御プログラムを実行することにより、翻訳支援サーバ10から、当該翻訳者端末40の翻訳者が翻訳を担当する原文を、翻訳者通信手段42を介して取得する処理と、翻訳者記憶手段41のインターフェース制御情報に基づいて当該取得した原文についての新規翻訳文を受け取る為の翻訳インターフェースを生成する処理と、当該取得した原文と、当該生成した翻訳インターフェースとを上記翻訳者表示手段44に表示する処理と、上述の翻訳者入力手段43から、翻訳インターフェースを介して原文に関する新規翻訳文を取得する処理とを行う。そして、翻訳者処理手段45は、上記翻訳者端末制御プログラムを実行することにより、取得した新規翻訳文を、上記翻訳者記憶手段41に格納する処理と、翻訳者記憶手段41から当該新規翻訳文を読み出す処理と、当該読み出した新規翻訳文を翻訳者通信手段42を介して翻訳支援サーバ10に送信する処理とを行う。また、当該翻訳者には、認証のための個別のID、パスワードが割り振られている。
【0051】
次に、校正者端末50は、翻訳校正者の使用するPCであり、校正者記憶手段51、校正者通信手段52、校正者入力手段53、校正者表示手段54、校正者処理手段55とからなる。本実施形態における校正とは、翻訳者に翻訳された翻訳文を原文と照らし合わせ、誤訳があればこれを訂正することを意味する。
【0052】
校正者記憶手段51は、例えば、メモリ、レジスタ、ハードディスクである。当該校正者記憶手段21には、HTMLで組まれた情報を閲覧するブラウザの制御情報を格納する。更に、翻訳支援サーバ10から翻訳文を受信し、これについて校正された翻訳文を再び翻訳支援サーバ10に送信するための情報送受制御情報と、校正者から当該新規翻訳文に関する校正の入力を受け付ける校正インターフェース(校正用画面)を表示するための校正インターフェース制御情報とからなる校正者端末制御プログラムを、ブラウザの制御情報のプラグインとして格納している。なお校正インターフェース(校正用画面)では、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力できるようになっており、校正者は翻訳文の校正内容に応じて、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する。
【0053】
校正者通信手段52は、翻訳者通信手段42と同一の構成であり、校正者入力手段53は、翻訳者入力手段43と同一の構成である。また、校正者表示手段54は、翻訳者表示手段44と同一の構成である。
【0054】
校正者処理手段55は、例えばCPUを含み、分散処理を行う複数のコンピュータを含んでもよい。当該校正者処理手段55は、校正者端末制御プログラムを実行することにより、翻訳支援サーバ10が編集した校正用文章を、校正者通信手段52を介して翻訳支援サーバ10から取得する処理と、当該取得した校正用文章を解析し、当該校正用文章に含まれる新規翻訳文を識別する処理と、校正者記憶手段51の校正インターフェース制御情報に基づいて識別した新規翻訳文のみの校正を受け付けるための、校正インターフェースを生成する処理と、当該取得した校正用文章と、当該生成した校正インターフェースとを上記校正者表示手段54に表示する処理と、校正者入力手段53から、校正インターフェースを介して新規翻訳文の校正を取得する処理とを行う。そして、校正者処理手段55は、校正者端末制御プログラムを実行することにより、校正を取得したとき、当該校正後の翻訳文を校正者記憶手段51に格納する処理と、校正者記憶手段51から当該校正後の新規翻訳文を読み出す処理と、当該読み出した新規翻訳文を校正者通信手段52を介して翻訳支援サーバ10に送信する処理とを行う。
【0055】
なお、以上説明したこれらの機能は、実際には各装置のCPUが実行するプログラムにより制御、実現される。
【0056】
[実施例]
これまで本実施形態のシステム構成全般について説明してきたが、続いて以下、校正者画面及び支払帳票の具体例を参照しながら、翻訳支援サーバ10の算出する翻訳料について説明していく。
【0057】
図4は、校正用画面の一例を示す。本実施形態に係る翻訳支援システム100においては、翻訳支援サーバ10は校正段階で校正用画面を生成し、校正者が校正者端末50を使用して、翻訳者によって翻訳された翻訳文を校正できるようになっている。校正者は、校正者端末50の校正用画面に表示された翻訳文を確認し、翻訳誤り等を発見すると、誤り箇所に対して校正を行う。
【0058】
編集欄の翻訳元401には、翻訳元、つまり翻訳対象となった原文(英語)が表示される(図中、一部のみ抜粋)。本実施形態では、翻訳をセンテンス単位で扱うものとする。翻訳元match文402には、翻訳メモリ20に蓄積されている過去原文であって、原文とマッチした過去の原文(英語)が表示される。翻訳先match文403には、翻訳メモリ20に蓄積されている過去の翻訳文(ドイツ語)であって、原文とマッチした過去原文に対応する過去の翻訳文(引当て文)が表示される。
【0059】
図中、マッチ率(例えば91%)は、翻訳メモリ20に蓄積されている過去原文と、翻訳対象となった原文との適合率を示す。マッチ率が高いほど、翻訳先match文403に表示されている過去の翻訳文(引当て文)の翻訳信頼度が高いといえる。またもしもマッチ率が0であれば、翻訳メモリ20にはマッチする翻訳文(引当て文)が存在しないことを示し、この場合、翻訳元match文402、翻訳先match文403には何も表示されない。翻訳者は翻訳時、翻訳先match文403にマッチ率が高い過去の翻訳文(引当て文)が引き当てられている場合、例えばこのマッチ率が高い過去の翻訳文(引当て文)を翻訳後404の欄にコピーし、これを微修正することにより翻訳を簡便に行える。逆にマッチ率が低い過去の翻訳文(引当て文)が引き当てられている場合、これを参考にはしつつも、原文の大部分を新たに翻訳する必要がある。
【0060】
翻訳後404には、翻訳者によって翻訳対象となった原文(英語)が翻訳された翻訳文(ドイツ語)が表示される。校正者は、この翻訳後404に表示されている翻訳文に対して校正作業を行う。
【0061】
また校正用画面は、校正作業に伴って、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力できるようになっている。図5は、校正種別及び校正箇所毎の校正数の入力画面の一例を示す。具体的には校正用画面(図4)の校正種別405の欄の「校正種別」ボタンを押下すると、図5のような入力画面が表示される。校正者は校正内容に応じて、校正記録として、校正種別に校正箇所毎の校正数を入力する。入力方法としては例えば、翻訳誤りが3箇所(3ワード)発見されれば、「Translation error」の項目に「3」words といったように入力される。同様に、つづり誤りが2箇所(46ワード)発見されれば、「Spelling error」の項目に「2」words といったように入力される。
【0062】
校正者は、上述の校正用画面及び入力画面を操作し、当該センテンスを校正し終えると次のセンテンスへと作業を進め、翻訳者によって翻訳された翻訳文をすべて校正し終えると、所定操作を行って校正作業を終了させる。そしてこのタイミングで、校正翻訳文及び校正記録(校正種別及び校正箇所毎の校正数)が校正者端末50から翻訳支援サーバ10に送信される。
【0063】
図6は、校正記録の一例を示す。図に示されるように、校正記録37は、マッチ率毎に、校正種別毎の校正数の情報を保持している。マッチ率毎に区分されているのは、流用翻訳文のマッチ率に応じて、ワード単価が異なって規定されていることによる。この点は再度後述する。
【0064】
翻訳支援サーバ10は、校正翻訳文及び校正記録を受信すると、翻訳支援システム上、メーカーから翻訳業者へ支払う翻訳料の算出という請求プロセスに移行する。即ち翻訳支援サーバ10は、翻訳者に支払うべき翻訳料の算出を行う。
【0065】
翻訳料の算出は、翻訳者により翻訳された翻訳文32と規定翻訳料テーブル34とに基づき規定翻訳料を算出し、校正記録37と減額料テーブル35とに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する。
【0066】
図7は、規定翻訳料テーブルの一例を示す。規定翻訳料テーブル34は、翻訳者により翻訳された翻訳文に応じて算出される規定翻訳料が規定されたものである。翻訳料は、メーカーと翻訳業者間によって契約上決定されるものであるが、翻訳料は一般に翻訳ワード数にワード単価を乗じた金額がベースとなって計算されることが多いので、ここでも1ワード毎にワード単価が決定されているものとする。従って規定翻訳料テーブル34では、例えば、1ワード0.16ユーロといったように、ワード単位で規定の翻訳料の情報が規定されている。そして翻訳者により翻訳された翻訳文32のワード数を取得すれば、ワード数に上記規定のワード単価を乗じた金額を規定翻訳料として算出することができる。なお本実施形態においては、図7に示されるように流用翻訳文のマッチ率に応じて、ワード単価が異なって規定されている。ヒット率が高いほど、流用翻訳文を殆どそのまま再利用できるので、翻訳の手間は少なく、ワード単価を少なくできるからである。また図7の例では、通貨としてユーロのみが示されているが、各国の通貨毎に規定されてもよいし、ユーロから各国の為替レートに基づき各国の通貨額に変換されてもよい。
【0067】
次に、校正記録に基づき規定翻訳料から減額すべき減額料を算出する。減額料テーブル35は、校正者による翻訳文の校正内容に応じて減額される翻訳料が規定されたものである。
【0068】
図8は、減額料テーブルの一例を示す。減額料テーブル35には、校正種別と、校正種別毎の減額率が規定されている。例えば、翻訳者により翻訳された翻訳文に「翻訳誤り」が発見されれば、規定翻訳料に対して「100%」の減額率分減額されることを示す。規定翻訳料が1ワード0.16ユーロであれば、翻訳誤りのあったワードについては、支払われる翻訳料は0ユーロと計算される。また例えば、翻訳者により翻訳された翻訳文に「文法誤り」が発見されれば、規定翻訳料に対して「75%」の減額率分減額されることを示す。規定翻訳料が1ワード0.16ユーロであれば、文法誤りのあったワードについては、支払われる翻訳料は0.12ユーロと計算される。翻訳誤りの種類(校正種別)によって減額率が異なっているのは、誤りの程度に応じて減額率は規定されるべきであるからである。また翻訳上重大な誤りは相当の注意をもって翻訳するよう翻訳者に促すためである。
【0069】
校正記録37は、上述のように、校正作業に伴って発見された校正箇所の校正種別及び校正箇所毎の校正数の情報である。従って、校正記録37と減額料テーブル35とに基づき、規定翻訳料から減額すべき減額料を算出する。減額料は、翻訳誤りが多いほど、また重大な校正種別ほど、減額金額が大きくなるように算出されるので、ペナルティ料ということもできる。
【0070】
図9は、支払帳票の一例を示す。「Translation Hit Rate」(マッチ率)901は、翻訳メモリ20に蓄積されている過去原文と、翻訳対象となった原文との適合率を示す。図4でも示されるように、マッチ率が高いほど、翻訳先match文403に表示されている過去の翻訳文(引当て文)の翻訳信頼度が高いことを示すので、翻訳者は過去の翻訳文(引当て文)をそのまま流用することができる。つまり、マッチ率が高いほど、翻訳者は過去の翻訳文(引当て文)をそのまま流用できるので、新たに自ら翻訳する箇所は少なくなる。また、マッチ率100%であれば、翻訳対象となった原文は、過去の原文と完全一致しているので、その過去の原文と対応して蓄積されている過去の翻訳文(引当て文)をそのまま翻訳文として再利用できる。従って、翻訳料算出にあたっても、マッチ率に応じたワード単価で計算されるようになっている。そしてヒット率が高いほど、流用翻訳文をそのまま再利用できるので、ワード単価は少なくなっている(図7)。
【0071】
図9の例では、「100%」マッチ率のワード数が「13583」、「99−95%」マッチ率のワード数が「205」、「94−85%」マッチ率のワード数が「90」、「84−75%」マッチ率のワード数が「0」、「74−50%」マッチ率のワード数が「0」、「No Match(0%)」マッチ率のワード数が「1160」となっている。なお翻訳対象となった原文内のワード数は、これらを合計したワード数15038となる。
【0072】
また「unit price」(単価)905を参照すれば、マッチ率毎のワード単価(規定翻訳料テーブル34に基づく)が分かる。マッチ率100%の場合、流用翻訳文をそのまま翻訳文として流用すればよいので、ワード単価は0ユーロと規定されており、マッチ率74%以下の場合、流用翻訳文をそのまま翻訳文として流用できず、翻訳の労力が必要とされるので、ワード単価は0.16ユーロと規定されている。
【0073】
「number of word corrected during proofreading」902は、減額料分の算出箇所を示している。図9の例では、校正種別として、「Translation error」、「Syntax error」、「Spelling error」、「Punctuation error」・・・が記載されている。この校正種別は、図5の校正種別と対応している。つまり、校正作業に伴って発見された校正箇所の校正種別及び校正箇所毎の校正数の情報である校正記録37が、各値欄に反映される。また「deduction」には、減額料テーブル35の校正種別毎の減額率に校正数の乗じた値が記載される。
【0074】
図9の例では、翻訳料の算出にあたって、規定翻訳料から減額の対象となる翻訳誤りとして、「No Match(0%)」に分類されるワード数1160のうち、「Translation error」が46ワード、「Spelling error」が2ワード、「Punctuation error」が12ワード、また「94−85%」に分類されるワード数90のうち、「Punctuation error」が1ワード、存在していたことが分かる。そして翻訳誤り毎の校正数にそれぞれの減額率が乗算され、最終的に対価の対象となるワード数である「number of word to be paid」904が集計される。そして、この「number of word to be paid」904の各値に、「unit price」905を乗じて、累計した金額が翻訳業者への支払翻訳料となる(この場合、200.43ユーロ)。
【0075】
(情報処理)
次いで、主に翻訳支援サーバ10の行う情報処理について説明していく。図10は、翻訳支援サーバ10の行う翻訳料算出処理を説明するフローチャートである。これまでの説明を踏まえ、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、当該フローチャートが実行されるタイミングとしては、翻訳業者への支払翻訳料を算出すべきとき、例えば支払帳票の出力時などが挙げられる。
【0076】
S1001において、翻訳料算出手段13は、翻訳者により翻訳された翻訳文のワード数をマッチ率毎に取得する。
【0077】
S1002において、翻訳料算出手段13は、規定翻訳料テーブル34(例えば図7)から、ワード単価をマッチ率毎に取得する。
【0078】
S1003において、翻訳料算出手段13は、校正記録37(例えば図6)から、校正種別毎の校正数をマッチ率毎に取得する。
【0079】
S1004において、翻訳料算出手段13は、減額料テーブル35(例えば図8)から、校正種別毎の減額率を取得する。
【0080】
S1005において、翻訳料算出手段13は、取得した情報を集計し、最終的に翻訳業者へ支払うべき支払翻訳料を算出する。具体的には、翻訳者により翻訳された翻訳文のワード数をマッチ率毎に区分し、マッチ率毎のワード単価を乗算して、マッチ率毎の規定翻訳料を算出する。また、校正種別毎の校正数と校正種別毎の減額率とを乗算し、マッチ率毎の減額料を減算する。そして、マッチ率毎の規定翻訳料からマッチ率毎の減額料を減算すると、マッチ率毎の支払翻訳料が算出されるので、最後に全てのマッチ率毎の支払翻訳料を合算すれば、最終的に翻訳業者へ支払うべき支払翻訳料が算出される。
【0081】
また図9の例では、翻訳誤り毎の校正数にそれぞれの減額率が乗算され、これを翻訳者によって翻訳されたワード数から除算したものを、最終的に対価の対象となるワード数(「number of word to be paid」904)として集計し、この「number of word to be paid」904の各値に、ワード単価(「unit price」905)を乗じて、翻訳業者への支払翻訳料を算出している。
【0082】
また図9のような本実施形態では、マッチ率毎にワード単価を変更しているので、マッチ率毎に区分して計算する必要があったが、特段マッチ率毎にワード単価を変更していないような場合には、単純に、翻訳者により翻訳された翻訳文のワード数と規定翻訳料テーブルのワード単価とを乗算して規定翻訳料を算出し、また校正種別毎の校正数と校正種別毎の減額率とを乗算して減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算すれば、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出できる。
【0083】
S1006において、各ステップの情報を支払帳票フォーマットに入力し、支払帳票データとして反映すればよい。その結果、この支払帳票データを出力すれば、図9に示されるような支払帳票が出力される。
【0084】
[総括]
以上、本実施形態に係る翻訳支援装置(サーバ)は、翻訳者への翻訳料の算出にあたって、翻訳文の校正を行うための校正用画面は、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力できるようにておき、校正者は翻訳文の校正内容に応じて、校正記録として校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する。校正記録は減額料テーブルとに基づき、減額すべき減額料を算出する情報として使用される。そして、翻訳業者へは規定の翻訳料からこの減額料を減算した金額を翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する。
【0085】
このようにすることで、誤り箇所が多かったものについては、翻訳料を減額し、翻訳された翻訳文の翻訳品質に応じて翻訳料を決定できる。従って、従来、多く誤り箇所が存在するような翻訳案件でも、そうでない翻訳案件でも、いずれにも同等な翻訳料を対価として算出していたところ、翻訳品質に応じて翻訳料を調整することで、より適正で公平な支払翻訳料を決定できる。またこのようにすることで、翻訳業者に対して翻訳品質への意識を高め、より高品質な翻訳を期待できる。
【0086】
また、翻訳業者毎に校正記録を集計すると、翻訳業者の翻訳能力の査定にも応用でき、翻訳能力の高い翻訳会業者を選定できれば、結果的に校正時の修正箇所が減り、翻訳品質の向上、校正工数の削減に繋がることになる。
【0087】
即ち以上の本発明によれば、翻訳品質、即ち校正時において発見された翻訳の誤り分に応じて、翻訳料が算出される翻訳支援装置及び翻訳支援プログラムを提供することが可能となる。
【0088】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 翻訳支援サーバ
11 画面生成手段
12 通信手段
13 翻訳料算出手段
14 翻訳支援処理手段
20 翻訳メモリ
30 翻訳支援DB
31 原文ファイル
32 翻訳文
33 校正翻訳文
34 規定翻訳料テーブル
35 減額料テーブル
36 支払帳票
37 校正記録
40 翻訳者端末
41 翻訳者記憶手段
42 翻訳者通信手段
43 翻訳者入力手段
44 翻訳者表示手段
45 翻訳者処理手段
50 校正者端末
51 校正者記憶手段
52 校正者通信手段
53 校正者入力手段
54 校正者表示手段
55 校正者処理手段
60 管理者端末
90 ネットワーク
100 翻訳支援システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特許3771159号
【特許文献2】特許4049299号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
翻訳者の翻訳者端末と翻訳校正者の校正者端末とネットワークを介し接続され、翻訳対象となる翻訳対象原文の所定言語への翻訳作業及び校正作業を支援し、また翻訳業務の一連のプロセスを管理する翻訳支援装置であって、
翻訳者により翻訳された翻訳文と、翻訳者により翻訳された翻訳文に応じて算出される規定翻訳料が規定された規定翻訳料テーブルと、校正者による翻訳文の校正内容に応じて減額される翻訳料が規定された減額料テーブルと、を記憶する記憶手段と、
翻訳文の校正を行うための前記翻訳文を含む校正用画面を生成する画面生成手段と、
前記校正用画面を前記校正者端末に送信し、前記校正用画面を介して前記校正翻訳文と、翻訳文の校正内容が記録された校正記録とを前記校正者端末から受信する通信手段と、
翻訳者により翻訳された翻訳文と規定翻訳料テーブルとに基づき規定翻訳料を算出し、前記校正記録と減額料テーブルとに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する翻訳料算出手段と、
を有することを特徴とする翻訳支援装置。
【請求項2】
前記校正用画面は、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する入力画面を含み、
前記校正記録は、校正種別及び校正種別毎の校正数を含み、
前記減額料テーブルは、校正種別毎に減額される翻訳料を規定し、
前記翻訳料算出手段は、校正種別毎の減額される翻訳料に前記校正数を乗算して、前記減額料を算出すること、
を特徴とする請求項1記載の翻訳支援装置。
【請求項3】
翻訳者の翻訳者端末と翻訳校正者の校正者端末とネットワークを介し接続され、翻訳対象となる翻訳対象原文の所定言語への翻訳作業及び校正作業を支援し、また翻訳業務の一連のプロセスを管理する翻訳支援装置に、
翻訳者により翻訳された翻訳文と、翻訳者により翻訳された翻訳文に応じて算出される規定翻訳料が規定された規定翻訳料テーブルと、校正者による翻訳文の校正内容に応じて減額される翻訳料が規定された減額料テーブルと、を記憶する記憶手段と、
翻訳文の校正を行うための前記翻訳文を含む校正用画面を生成する画面生成手段と、
前記校正用画面を前記校正者端末に送信し、前記校正用画面を介して前記校正翻訳文と、翻訳文の校正内容が記録された校正記録とを前記校正者端末から受信する通信手段と、
翻訳者により翻訳された翻訳文と規定翻訳料テーブルとに基づき規定翻訳料を算出し、前記校正記録と減額料テーブルとに基づき減額料を算出し、算出された規定翻訳料から減額料を減算し、翻訳者へ支払うべき支払翻訳料を算出する翻訳料算出手段と、
して機能させることを特徴とする翻訳支援プログラム。
【請求項4】
前記校正用画面は、校正種別及び校正箇所毎の校正数を入力する入力画面を含み、
前記校正記録は、校正種別及び校正種別毎の校正数を含み、
前記減額料テーブルは、校正種別毎に減額される翻訳料を規定し、
前記翻訳料算出手段は、校正種別毎の減額される翻訳料に前記校正数を乗算して、前記減額料を算出すること、
を特徴とする請求項3記載の翻訳支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−180978(P2011−180978A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46638(P2010−46638)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)